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1966-03-24 第51回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 有田 喜一君 理事 加藤 高藏君    理事 藏内 修治君 理事 始関 伊平君    理事 多賀谷真稔君 理事 八木  昇君       大坪 保雄君    上林山榮吉君       神田  博君    西岡 武夫君       三原 朝雄君    滝井 義高君       中村 重光君    山下 榮二君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小平 久雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員以外の出席者         通商産業事務官         (鉱山保安局管         理課長)    森田三喜男君     ————————————— 三月二十四日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  山下榮二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山下榮二辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六八号)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。多賀谷真稔君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、炭鉱災害関係をして、ことに、一酸化炭素中毒患者が、療養中にもかかわらず三年を経過すると解雇される、こういう点で疑問なきを得ないのですが、法律には基準法ではっきり明示されておりますが、政策として御考慮願いたいと思うのです。と申しますのは、日本の場合は、外国と違って、やはり終身雇用制という、現実においてそれがたてまえになっておる。外国は、雇用関係というものについては、雇用が断絶するとか、あるいは雇用終了するとかということについて、ことに欧州においては完全雇用の今日において、それほど雇用という問題については労働組合も関心がないわけです。ですから、いわゆる雇用関係終了に対する解雇反対闘争というようなものが、ストライキまでかけてやるという事例が非常に少ない。それは、きわめて雇用関係が流動的であり円滑化されておる、あるいは解雇をされても次の就職までは生活が保障されておる、いろいろな点から言えるわけですが、日本の場合には必ずしもそういう情勢にない。そこで、私は、三年たったら解雇をしてもいいというこの点については、再検討する必要があるのではないか、こういうように思うわけです。企業は存続しておるけれども、その災害を受けた人々は全く生活を破壊されておるわけです。ですから、もう少しそういう点における企業責任というものを、ものの考え方として考えていいのじゃないかと私は思う。ことに、CO中毒のような場合には、療養しておるわけですから、解雇をして全部経営者の手から縁が切れるということは、これは道義的にも社会的にも許されないのじゃないか、かように考えるのですが、これをお聞かせ願いたい。
  4. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 御指摘の問題は、昭和三十五年に労災保険法を改正いたしまして、従来の一時金のみの補償制度長期傷病者補償という年金制度に切りかえられました際に、労働基準法十九条の解雇制限条項とどういう関連を持つかということについて、かなり議論されたところでございます。あの当時におきましては、CO中毒患者よりも、むしろ、けい肺患者脊椎損傷患者のように、三年たってもなおらないということが歴然としておる患者をどうするかという問題に関連して論ぜられたところでございますが、労働省といたしましては、長期傷病者補償という年金体制労災保険法上導入したという際におきまして、従来の一時金による打ち切り補償を支払いまして十九条の解雇制限を免れるという制度のかかり合いをどうするかという点については、長期傷病者補償に移行したならば、打ち切り補償を支払ったものと同様に扱いまして、解雇することができるたてまえを存続したわけであります。  ただいま多賀谷先生のお説でございますけれども外国立法例を見ましても、十九条的な、三年たったら云々というような規定を設けておる国はあまり多くないようでございます。つまり、従来のわが国の制度が、労災保険制度が十分でないために、個別使用者に対して無過失責任を課す、したがいまして、個々使用者補償するにつきましてもおのずから限度があるべきで、年金的な補償使用者がするとかいうようなことは事実上困難だから、三年たったら千二百日分の打ち切り補償を支払って責めを免れる、こういった日本固有制度をつくったものというふうに考えられるわけであります。したがって、個別使用者の無過失賠償責任から一種の産業全体の団体補償責任というふうに思想の転換を見、それを背景といたしまして労災保険制度がいまのイギリスとかドイツといったような形に発展して、個々使用者責任においてではなくして、全体の責任において、病気がなおるまで五年でも十年でも補償をする、その間の療養補償休業補償を見るという体制になったならば、十九条のような規定は要らない、こういう見方もあるわけでありまして、現に、西欧の立法例を見ましても、十九条的な規定はほとんど見当たらないわけであります。そこで、十九条の問題は、そういった補償体制のいわば完全な形というものに接近するに従いましてその機能を失うというのは、これは政治の論議としてではなくて、従来の制度的研究の上から、私ども感じておるような次第であります。  したがって、企業責任と申しますけれども、大企業の場合にはある程度言えましょうが、零細企業の場合どうするか。いろいろ、個別企業責任だけを追及しておりました場合には、その社会的実現可能性という問題からは困難にぶち当たりまして、どうしても産業全体の立場からの問題として取り上げざるを得ない。そうした場合には、個々企業との労働関係の存続ということはあまり重視されなくなる、こういった関係もございます。政治的あるいは人道的にいろいろな立場もあろうかと存じまするが、そういった点は私ども十分傾聴いたしまして本問題を研究していくつもりでございますが、当然に三年以上も継続して解雇すべからずという法理が直ちに生まれ出るかどうかという点については、三十五年の労災保険法改正のときに一応論議したつもりでありますが、私どもさらに研究いたしたいと存じます。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 おっしゃるとおり、歴史的に見ると、個別責任から集団産業別責任転換をしておるわけです。いま外国立法に十九条的な条文がないというのは、それは、私が初めから申し上げましたように、雇用関係というものを、そもそも他の国においては比較的重要視してないのです。ですから、これがないために、確かに日本固有かもしれぬ。ただ、私は、最近あまりにも固別企業責任というものが無視されているのじゃないかという感じがするのです。ことに、最近における災害の非常な頻発を見ると、どうも個々企業責任というものが労災制度漸次完備とともになくなっていっておるのじゃないかという気持ちがしてならない。私は、それを課すことによって何も企業が非常に注意するとは思いませんけれども、どうも最近の傾向は非常に企業責任というものを感じなくなっておるのじゃないか。日本においては、道義的あるいは社会的責任というものについて、比較的世論的なものが人間の命を尊重するという面については十分でないわけであります。そういう中において企業家がその責任をあまり感じていないのじゃないかという気持ちが非常にしてならないのです。ことに、これは全然別な話ですが、都市集中化の問題だって、私はそう思うのですよ。それは、鉄工場の次には自動車工場ができ、そして部分品工場が出来れば、それはお互いに大企業の間では輸送費も免れるし経費も少なくなる。しかし、社会的費用というものは、道路にしても港湾にしても、あるいは水にしても、最近のスモッグにしても、どうも大企業には社会費用不払いの原則が通用しているという気持ちがしてならないのです。国全体としてどちらがプラスであるかマイナスであるかわからない。もう少し企業責任というものを追及してもいいのじゃないか、こういう気持ちがするわけです。ことに、産業災害が起こった場合には、企業隆々としておるのに、個人生活は全く破綻に瀕しておるわけでしょう。ですから、企業が存続する以上、もう少し個人については企業が見てやっていいのじゃないかと思うのです。私は、いま労災補償制度を後退させるという意味ではないのです。後退さす意味ではないけれども企業責任というものをどうしてあらわすか。私は、刑事的な責任を追及するという、そういう気持ちはない。しかし、雇用くらいでも続いて置いてやれば、従来の福祉施設等についての利用もできるし、もう少し企業責任というものを追及してもいいのじゃないか、産業別集団補償ができれば、なおそれに並行して企業責任も負わしていいのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
  6. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 先生の御指摘考え方、私どももうなずけるのでありますが、ただ、法律的にこれをどう扱うかという場合には、三つの仕組みがあってその一つだけが自由にまかされておるという仕組みではない、つまり、個別使用者責任と、産業全体としての保険背景とする体制、それから、労使交渉によってきめ得る分野がもう一つある。そこで、ただいま御指摘のような、企業責任を負うべきではないか、それをどういうふうにして責任を追及するかという場合に、法的な立場からしますれば、刑事責任であるとか経済的負担を課すとかいったような関係で処理せざるを得ないと思いますが、労使雇用関係をそのまま存続するかどうか、それが使用者社会的責任のつぐないの意味においてなされるかどうかという点につきまして、法的に強制するのか、いやそうじゃなくて社会的な立場背景にした労使関係においてこれを処理するかという問題があるのではなかろうか。そういった社会的責任を追及され得るような条件のものでありますならば、労使団体交渉においても、ある程度被災者側あるいは労働者側において希望するところのものが自主的な交渉を通じて実現され得る可能性は一応体制的にはできておるわけでありますから、その間の努力が相当なされて、しかもなおかつ実現が不可能であるという場合に問題をさらに考え直すというような、手続と申しますか、社会的経験がもう少しあってもいいのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。法律ベースで考えます場合には、もう一度と申しますか、さらに経験を積む必要があるのではないか、こういうふうに考えるのであります。罰則を加重する、そういう趣旨ではない、こういう御指摘でございますが、刑事責任とか経済的負担を課して責任を追及するという処置でないとするならば、第三の道としては、残された団体交渉を通じまして問題を解決する。法律は何も三年たったら解雇すべしとは書いてはいないのでありますから、労使交渉によってそれを四年にもし五年にもするということは可能でございますし、また、雇用関係の問題とは別に、現実雇用関係が切れましても、さらに従来と同様な措置使用者がなし得ることも団体交渉できめ得るわけでございまして、そういったものをさらに経験として積み重ねる必要があるのではないかというふうに感じておる次第でございます。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 雇用関係を継続するということは、若干経済的負担は増しますよ。それはまた、それがなければ意味がないわけですから。とにかく、大きな災害を起こしてぶつつぶれたという会社はないわけですよ。それは、補償制度保険制度ができておるから、それだけ保険制度というものが非常に役立っておるわけです。ところが、産業災害は減らぬじゃないですか。そして、これは何も炭鉱だけじゃなくて、化学工場においても、あるいは造船工場においても、罹災者というものはほとんどが下請や社外工でしょう。こういう状態を考えれば、日本においては社会的な非難が比較的少ない、道義的非難人命について比較的少ないということをいいことにして、私はサボっておるとは言わないけれども保安について、あるいは安全について十分注意してない、それだけの施設をしてないということが言えるだろう。そういう面から言えば、私は、雇用関係を継続するくらいの経済的負担をさしてもいいと思うのですよ。罹災者のほうは補償が十分でないのですからね。両々相まって補償を行なう必要があるのではないか、こういうように思います。ですから、私は、けい肺のごときもそういう感じがあるわけです。少なくともその仕事に従事すればけい肺の起こる可能性があるというような企業は、そのくらいの責任感じてもいい。しかも、けい肺というのは、いまはかなり医学が進んでおりますけれども、とにかく不治であるということ。本来ならば、不治というような職業病が起こる産業は、国全体から言えばつぶしてもいい。社会政策から考えれば、黄燐マッチのごとく、そういうことすら考えられるのです。しかし、経済の伸展も必要ですから、それは許しておく。ですから、その分については、ただ労災保険金の掛け金が多いというだけでなくて、もう少し経営者として責任感じてもいいのじゃないか、かように私は考えるわけです。これはひとつ大臣に十分検討してもらいたいと思うのです。最近のように災害がどんどん起こる。大きな災害が起こっても、経済的には全然打撃を受けずという場合も多いわけです。それは鉱山保安局が採掘の停止をすればその間若干損失を受けるけれども災害が非常に多いから急に株の配当が停止をされたとか、赤字がその災害によってものすごく出たなんていうのはあまり出ないのですよ。それほど、わずかでありますけれども保険制度制度としては不十分ながらもできておるということなんですけれども、どうも私は、雇用関係ぐらいは延長してもいいだろう、こういうように考えるわけです。あるいは、雇用関係については、労使だけの間の問題でなくて、別に査定機関か何かを設けまして、雇用終了申請をする、同意書のない場合はあるいは異議の申し立てができるような方法をとるとか、何か制度を考えてみる必要があるのではないか。いま労使関係と言われますけれども日本労働組合経営者との間には、三年以上雇用関係を結ぶところはないでしょう。
  8. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 三年以上雇用関係を存続したところがあるかどうかという点についてでありますが、数字はただいま持ち合わせておりませんけれども、十九条の第一項の例外条項を発動する場合に、三年たったら即日解雇するかどうかという点については、必ずしもそうきっぱりとはいっておりません。といいますのは、三年たったが、もう少したったらなおるという可能性のあります場合には、打ち切り補償を千二百日分支払うよりも経済的にはむしろ安上がりだという場合には、三年以後も継続するとか、いろいろ事情に即した措置がとられております。必ずしも三年かっきりたったら解雇するという形がとられていないという例は間々ございます。しかしながら、問題は別にしまして、先生の御指摘のように、もっと使用者責任というものを経済的負担に転嫁して、雇用関係を存続せしめるようにしたらどうかという御意見でありますが、経済的負担を負わしめるということでありますならば、これは金銭的な評価の問題であろうかと存じます。理論的に、労働不能の状態にある者を三年たってもなお労働するという前提のもとに雇用関係を存続せしめるということは、いかがなものであろうか。それよりも、被災労働者にとっては、労働可能の状態にあると同様な補償が受けられるということが問題の中心であって、客観的に見て労働不能の者を、労働し得るような状態の者と仮定して雇用関係を存続せしめる、それを法的に強制するという点については、さらに検討を要するのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 小平久雄

    小平国務大臣 多賀谷先生の御指摘の、全般的な問題として企業社会的責任というものをもっと高揚する必要があるのじゃないか、こういう点については、私も一般論としては同感でございます。社会が非常に複雑になり、かつまた社会生活を確保していくというたてまえから申しましても、その必要性が非常に重要になっておる今日、企業がただ単に営利追求だけでよろしいんだ、こういう考え方は、私は許されぬであろうと思いますので、一般論としては、この日本社会に及ぼす影響というものを十分考慮する責任企業にも当然あってしかるべきだと思います。  ただ、具体的な問題として、この被災者が三年たってもなおらぬ、そのときには使用主がこれを解雇することができるといったような問題についても、もっと使用者の個別的な責任を考えるべきじゃないかという点でございますが、これは、結局、保険制度というものと保険加入者責任という問題との調和をどうとるかという問題ではなかろうかと思います。そういう点で、先生指摘の点は、局長からも御答弁申し上げましたとおり、これはなお一そう検討に値する問題だ、私もかように先ほど来伺っておったのでございます。  さらに、具体的なこの三池の問題等につきましても、各方面からいろいろお話を承っておりますので、この三年経過後の雇用関係をどうするかという点につきましては、私といたしましても、会社側にも十分善処を求めよう、そういう努力を私もひとついたしましょうということをすでにお約束をいたしておるような次第でございまして、こういう点はやはり一がいにもなかなか私はいかないんじゃないかと思うのです。まあ力のある会社の場合はいいでしょうが、力のない会社というか、使用者というか、そういう場合もございましょうし、やはり、具体的な問題として、いわゆるケース・バイ・ケースといいますか、そういう実態に即しながら関係者善処を求めていく。実際問題として、私はそういうことがやはり一番適切な方法ではなかろうか、かように感じておるわけでございます。
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 時間もありませんから、あまりこれ以上質問いたしませんが、打ち切り補償よりも経費が安く済むんじゃないかというような場合に延長しているという、それはあたりまえですよ。そのことを私は聞いておるわけじゃない。しかし、人命を尊重しなければならぬということが盛んに言われながら、実際産業災害というのは減っていないでしょう。そういう面から見ると、企業隆々としておるけれども個人生活は破壊されているということは、どうしても私はいまの日本の段階においては納得できないものがある。ですから、もう少し責任を追及する意味において、雇用関係くらい残したらいいじゃないか、こういうように思うわけです。これはひとつ大臣に十分検討してもらたいいと思うのです。こういうものは臨時立法ではおかしいかもしれないけれども、どうも、いまの日本産業災害状態を見ると、あまりにも企業家責任を免れ過ぎておる。大きな災害が起こったからその会社がぶっつぶれるというようなことはあり得る現象なんだけれども、そういうのは一つもない。だから、災害のほうについては、金をかけぬと言えば何だけれども、どうしても頭がその方向に向かない。ですから、その点、私は、制度が後退をすることがあると困るわけですが、前進する意味において、もう少し御考慮を願いたい、こういうように思います。
  11. 小平久雄

    小平国務大臣 先生の御主張はよく拝聴いたしましたから、なおひとつ検討をいたしてみることにいたします。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それから、石炭局長、あなたは、滝井委員質問に対しても、あるいは予算分科会等における質問に対しても、どうも健康保険組合についてのあなたの答弁は認識が足らないんじゃないかと思うのです。どうも石炭局長は、石炭局長仕事の範囲内しか考えていない。しかし、労働者の問題は生産の基盤ですよ。健康保険組合の場合でも、あれだけわれわれが、厚生省としては特に炭鉱健康保険組合だけに補助金をやるようなことはなかなかむずかしいんだ、いま制度はあるけれども、多くやることはむずかしいんじゃないか、だからひとつ石炭予算で取って厚生省のほうに回してやれということをあれだけ言ったわけですよ。きっぱりあなたのほうはそういう処置をとっておらぬ。それで、石炭鉱業審議会中間答申でもわざわざ入れておるけれども、これは何にもならぬです。健康保険組合に対する国庫補助の配分というのは、二億五千万しかないんだから、まるまるもらってもたいしたことないんですよ。それがわかり切っていてこういう答申を出す。答申は、それは先生方がやられるんだと言うけれども、しかし、あなたのほうがいろいろサゼスチョンしておるのじゃないですか。ですから、こういう点ももう少し考えてやるべきではないか。  それから、特別年金の問題でも、いま農林年金が問題になっているけれども、あるいは共済組合法が問題になっているけれども、みな所管省がやるんですよ。ですから、厚生年金特別年金といいましても、実際は石炭局がやるようになるんだろうとぼくは思う。いまの日本の体系は、一般的な水準については厚生省がやります。しかし、その上にプラス特別というものについては、みな所管省がやっておるわけです。農林年金でも、農林省提案でしょう、厚生省提案じゃありませんよ。あるいは公務員共済組合でも、地方公務員共済組合ならば自治省、それから国家公務員なら大蔵省がやっている。ですから、これはあなたのほうで責任を持って取りまとめなければならぬわけですよ。ひとつ決意を聞きたい。
  13. 井上亮

    井上政府委員 まず、最初に御指摘になりました健康保険組合赤字補てんの問題でございますが、この問題につきましては、先般滝井先生の御質問にお答えいたしましたけれども健康保険組合が、御承知のように、炭鉱労務者が逐次年を追いまして減少する等の関係で、特に最近赤字状態がひどいわけでございまして、このまま放置しますと、炭鉱労務者に非常にゆゆしい事態、ひいては石炭鉱業の今後の安定に大きな悪影響を及ぼすわけでございまして、私どもとしましては、所管省であります厚生省に対しまして事務的にも、あるいは通産大臣から閣議におきましても特に厚生大臣に対し御発言いただきまして、この健康保険組合赤字補てんの問題について連絡要請をいたしておるわけでございます。これは、多賀谷先生の御意見では、そういう連絡要請ではだめであって、やはり石炭行政を担当している通産省において特に石炭予算としてこの赤字補てんの財源を確保してめんどうを見るべきじゃないかという御意見でありますが、一応ごもっともな御意見とは思いますけれども、現在、健康保険組合に対する赤字補てん等行政あるいは予算体制が、一応厚生省で扱うという体制になっておる関係もありまして、今度の予算編成に際しましても、そういう要請は、厚生省に対し、あるいは大蔵省に対して、いたしておるわけでございますが、その点、結果的に不十分であった点については、私どもはなはだ遺憾だと思っておりますが、そういう事情がございます。ただ、しかし、これをこのまま放置することもできませんので、私ども厚生省ともさらに打ち合わせいたしまして、この健康保険組合赤字脱却といいますか、財政力の強化といいますか、これについては何らかの方策を新たに講じなければいかぬだろうというふうに考えております。  それから、第二の厚生年金の問題でございますが、この点も、前々から石炭鉱業審議会におきましても指摘をされ、さらに各労働組合等からもそういう要請が私どものほうにあるわけでございまして、従来必ずしもその検討が順調に進んでいなかったことは事実でございます。これは、事務的にいろいろ検討を加えますと、理論的な筋の点その他からしましてなかなか困難な点もありまして進まなかったわけでございますが、私どもは、再三申しておりますように、今日の段階において、特に石炭鉱業の今日置かれておる現状におきまして、雇用確保といいますか、雇用の安定といいますか、やはりそういうような見地から厚生年金については特別措置が必要であるというふうに考えておりますので、さらに厚生省、労働省等とも打ち合わせしまして、十分な、スピーディーな検討を進めてまいりたい。   それから、なお、所管問題について、多賀谷先生は、あれは所管省である通産省がやるべきじゃないかというような御意見でございますが、特別の年金制度をつくるその態様によりまして、厚生省がやるほうが妥当であるか、厚生省がどうしてもいかぬと言えば、これは私どもあとへ引けませんので、通産省においてやるというような決意もいたしておりますし、ただいま厚生省ともいろいろ打ち合わせておりますが、これは理論的にもなかなかむずかしい問題がございますので、現行の厚生年金体制をそのままにして、今日の石炭鉱業の現状からして特別にプラス要因を加えるような制度を、並行的にといいますか、プラスしてつくらないと悪いというような実情もありますので、その実情論からしまして、厚生省にどうすべきかというような打ち合わせをいたしておるわけでございます。したがいまして、内容をとにかく現状より手厚いものにするという方針で検討していくわけですが、その内容によりまして、厚生省にやっていただくか、厚生省がどうしてもいかぬと言えば、私どもあえてこれを引き受けましてやるようなつもりになって、いま真剣に取り組んでおる次第でございます。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これらの問題の財源を、やはり原油関税見合いの広い意味における石炭予算から出さなければ解決しないのじゃないか、基本的にはこう言っているわけですね。ですから、今度の厚生省の健康保険の助成金の調整金にしてみても、あれは何も石炭予算とは無関係ですよ。そういうところにやはり隘路があるのじゃないか、こういう点を指摘しておるわけです。これはひとつそういう方向でやっていただきたいと思います。
  15. 野田武夫

    野田委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  17. 野田武夫

    野田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  18. 野田武夫

    野田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  19. 野田武夫

    野田委員長 この際、有田喜一君外六名から、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者に趣旨の説明を求めます。提出者多賀谷真稔君。
  20. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 自民、社会、民社三党を代表いたしまして、附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。  その前に、案文を朗読いたします。     炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、本法施行にあたり、炭鉱離職者、なかんずく中高年令者の就職困難にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、炭鉱離職者臨時措置法は、合理化の進行状況を勘案し、昭和四十三年度以降においても存続するよう検討すること。  二、緊急就労対策事業の就労人員を実情に即するよう確保するとともに、昭和四十三年度以降においても滞留離職者の状況を考慮し、事業を実施するよう善処すること。  三、炭鉱離職者求職手帳の失効した離職者の就労については万全の措置を講ずること。  以上であります。  御存じのように、炭鉱離職者臨時措置法は、石炭鉱業合理化臨時措置法の実施とともに行なわれたわけでありますけれども、今日この法律が、昭和四十三年三月三十一日までに廃止法案を出すことになっております。現状は、相当滞留者がおりますし、さらにまた、合理化が進捗しておるような状態であります。近く行なわれます石炭鉱業審議会の最終答申で、今後どういうようになるかもわかりませんけれども、合理化がさらに一そう行なわれるのではないか、そこで離職者も相当出るのではないか、こういうように考えられるわけであります。そこで、この法律をぜひ四十三年度以降においても存続するように御配慮願いたい。  第二は、緊急就労対策事業でありますが、就職促進手当の創設とともに、この制度につきましては法律で削除されたのでありますけれども、現状においては産炭地において相当離職者がおり、しかも事実緊急就労対策事業に従事しておる労働者がいたわけであります。そこで、経過的に漸次減少するように予算で組まれておりますけれども、実際は緊急就労対策事業の希望者というのは相当多いわけです。でありますから、ぜひひとつ今後の予算折衝においてはその実情に十分即応するように人員の確保をお願いいたしたいとともに、昭和四十三年度以降につきましても、この滞留をしております離職者の状況を考慮してこの事業の存続をお願いいたしたいと思います。  さらに、求職手帳の失効する者が四十年度において千二百三十名であり、四十一年度においては千四百六十名になると聞いております。しかも、その年齢構成は、五十歳以上が七二・七%というような状態でありまして、この手帳切れになった離職者の就労、生活安定については、ひとつ十分配慮していただきたいと思います。公共事業あるいは他の産業への就職、さらに緊急就労あるいは一般失対と、とにかくあらゆる分野にぜひ就労対策の万全を期してもらいたい、かようにお願いをする次第であります。  以上で附帯決議の趣旨説明にかえます。
  21. 野田武夫

    野田委員長 これより本動議について採決いたします。  有田喜一君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  22. 野田武夫

    野田委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所見を承ることにいたします。小平労働大臣
  23. 小平久雄

    小平国務大臣 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につき、ただいま満場一致で御可決いただき、ありがとうございました。政府といたしましては、ただいまの附帯決議につき、その御趣旨を十分尊重いたしまして、今後の炭鉱離職者対策の推進につとめてまいりたいと存じます。     —————————————
  24. 野田武夫

    野田委員長 ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  26. 野田武夫

    野田委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  去る二十二日発生いたしました北海道歌志内市空知炭鉱の爆発事故につきまして、本委員会から現地に委員を派遣し、その実情を調査するため、議長に対して委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。  また、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、今回の委員派遣に際しましては、往復とも航空機の使用をいたしたいと存じますので、この点も議長申請するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十一分散会