○伊藤(卯)委員 この点も、深追いをかけるということになりますと、石炭の基本問題等にも関係をさせて論議をしなければならぬことになり、さらに、
炭鉱の根本的安定、健全経営等の問題、あるいは将来日本の石炭をエネルギー源としてどのくらい必要とするかという問題な
ども論議しなければならなくなりますから、私は、その点、本日これを深入をして論議をしようとも思っておりません。これは後日のことにいたしますが、ただ一言
最後に申し上げておきたいと思いますのは、とにもかくにも、最近になって
炭鉱の
災害というものが非常に多いということでございます。
ガス爆発の大きいのだけは大きく取り上げられますけれ
ども、
あと落盤
事故やら何かで死傷者の二人、三人出たことはあまり新聞にも出ないというほど、
炭鉱のそうした
災害というものは当然なものなりということで不問に付されておるということが今日の現状になっておるわけでございます。そういうところから、何とかして
炭鉱から抜け出したい、それから自分の子供だけは
炭鉱に働かせたくないというのが、
炭鉱の鉱員のみならず、職員もそうです。ですから、そういうところに他から希望者のあろう道理はないわけです。そうなりますと、
石炭局長もそこにおられるけれ
ども、どんなに基本的な
石炭対策を立てても、もちろん立てることもなかなか容易ではないと私は
考えるが、まず何とか立てたとしても、石炭の置かれている現状から見て、
炭鉱の
労働条件を他の工場
労働よりもより魅力的なものに整えることは、なかなか困難ではないかという気がいたします。そうすると、結局、それなら一番魅力あるものは何か、定住させるものは何かといえば、もうこの老後年金によって定年後の生活が保障されるという、これよりほかに
炭鉱に働く者に魅力というものをつくり得ないのではないかと私は思います。
そして、
炭鉱というものは、御存じのように、金属鉱山もそうですけれ
ども、特に
炭鉱は激しいのですが、そんなに五十年も百年もというようなわけにいかぬのです。あるいは十年とか二十年とか三十年とかいうような年限で大体その炭層を掘り尽くしてしまいますと、これは
閉山、廃鉱にならざるを得ないのですよ。そういうことやら、いろいろな点から、
労働者の移動もかなり激しいのです。でありますから、Aの
炭鉱に五年とか、Bの
炭鉱に五年とか、Cの
炭鉱に五年とか転々としていても、それは永年勤続として通算する。そうなりますと、
炭鉱での技能熟練工というものは、いずれかの
炭鉱でその本職を生かしておるということになりますから、私は、この問題というものは、そういう
考え方の上に立っても真剣に解決していかなければならないのじゃないかと思うのです。
それから、石炭問題は、この六月有澤団長の最終答申案が出てから出てからということで、
政府はそこに名をかりて逃げこんでばかりいるようですけれ
ども、大体、有澤
調査団の最終答申が出たくても、どういうように解決しなければならぬかということは、これはもうわかり切っておる話なんです。だけれ
ども、
政府としては、解決するのになかなかあっちにぶつかりこっちにぶつかりするものだから、そこで最終答申に名をかりて逃げこんでいる。とはいっても、
労働者の定住、安定という問題は、これはまた別にやれるわけです。これは、石炭問題の根本的解決ということが一〇〇%できなくても、この老後年金の問題の解決というものは、石炭問題を解決するほど私はむずかしい問題ではないと思っております。ただ、問題は、独立の年金制度にするか、あるいは厚生年金との上積み関係とか、そういうことについてどうするかという、そういう役所関係においての扱い方の点においてはとかくの議論があるかもしれません。けれ
ども、年金をつくるということについての法案というものは、当然これは本人も一部出すことになりましょうが、
経営者ももちろん一部出すことになりましょう。それから
政府ももちろん出すことになる。諸外国の例を見ましても、また他の保険関係の例を見ましても扱い方は大体そういう組み合わせになっておるようであります。ですから、石炭問題が根本的に解決しなければこの問題も解決できないんだということは、私はこれは許されぬと思う。それだったら、おそらくいつまでたっても解決できないんじゃないか。そうなってくると、
炭鉱はもう人的にまず先に老朽化してしまって、近代化設備をしても、新鉱開発をしようとしても、技能工、熟練工がいないということになる。そうして、相当熟練を要するものを請負掘りさせるというようなことになると、それこそ、
災害事件などが続発をし、また計画的に能率も上がってきませんし、それは
炭鉱としての形態をなさないと思うのです。
諸外国の例から見ても、これだけの産業経済力を持っている日本として、一番取り残されてしまっているものは社会保障ですから、特に
炭鉱労働、坑内
労働関係なんですから、これらの点は石炭問題の根本的解決と別個に解決のできるものなりという上に立って、
労働大臣、通産
大臣、厚生
大臣、三
大臣が話し合いをされて、関係係官らに命じて、至急そういう方面で
意思統一をして、さっき申し上げたように、でき得れば来たるべき臨時
国会にでも一応提案だけしておく、そして次の通常
国会においては
予算とともにこれを成立をさすという腹をきめてもらいたい。この主管省は
労働省であるわけでありますから、これは
労働大臣がどれだれ腹をきめて積極的におやりになるかどうかにかかっているわけです。通産、厚生
大臣もやはり克服をして、かくなければ
炭鉱はもうやっていけなくなるという悲痛な決意をされておやりにならなければならぬ。石炭問題を解決しなければという、そんなあいまいなことでやられることでないと私は思います。それとこれは別にやれるのだということでやっていただきたいと思いますから、ひとつ
最後に
大臣の決意を、いやおれはどんなことがあってもおれの任期中にやるぞという決意を、ぜひもう一回お聞かせください。