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1966-03-16 第51回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十六日(水曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 有田 喜一君 理事 加藤 高藏君    理事 藏内 修治君 理事 始関 伊平君    理事 壽原 正一君 理事 多賀谷真稔君    理事 松井 政吉君 理事 八木  昇君       大坪 保雄君    神田  博君       田中 六助君    中村 幸八君       三原 朝雄君    滝井 義高君       中村 重光君    細谷 治嘉君       伊藤卯四郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         労働政務次官  天野 光晴君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         大蔵事務官         (関税局企画課         長)      植松 守雄君         通商産業事務官         (大臣官房審議         官)      田中 芳秋君         通商産業事務官         (通商局国際経         済部通商関税課         長)      井川  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六八号)  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第五三号)  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五四号)  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 六月の石炭鉱業審議会石炭鉱業の抜本的な安定策を本答申として出すということが伝えられておるわけですが、そうなりますと、再び石炭問題というのが、三十六年の、われわれが石炭政策を転換をしていただこうという闘争をやったときと同じような形で、新しく政治の舞台に登場してくることになると思うのです。それだけに私たちとしても、今度の政策というのはどういうものが出るか、かたずをのんで見守っておることになるわけですが、一方、企業側から言うと、おそらく、これが私企業として生き延びていく最後の御宣託というか、もし今度の六月に出る答申石炭企業企業としての自立性を確立できなければ、私企業としての石炭企業の存続は終わりになるというように考えておるのではないかと思うのです。  そこで、そういう点で非常に重要だという見地に立って、二、三質問をしてみたいと思うのですが、まず第一に、エネルギー調査会石炭鉱業審議会との関係ですね。一体政府はこの両者関係をどういうように考えておるのか、まずそれを御説明願いたいと思うのです。と申しますのは、六月に最終的に答申が出るものは、おそらく、石炭鉱業審議会も、それからエネルギー調査会においても、十分これは論議を尽くされたものであろうと思うのです。まずこの両者関係というのをどういうように位置づけをしたらいいのか、それを御説明願いたい。
  4. 井上亮

    井上政府委員 御承知のように、石炭鉱業抜本策を考えますにあたりましては、ただいま御指摘のありましたように、石炭総合エネルギーの中における位置づけという問題をどう考えるかということが非常に大きな要点でございます。そこで、石炭総合エネルギーの中における位置づけにつきましては、政府といたしましてエネルギー調査会できめるという方針になっておるわけでございますが、エネルギー調査会は、この問題にもう一月以来取り組んでおるわけですが、数回にわたって相当慎重な検討を進めております。ただ、現在の議論段階では、やはり、何と申しましても、石炭鉱業一般についての根本的な対策、それから石炭鉱業の今後の方向というような問題に非常に大きな関係があるものですから、むしろ、現在のエネルギー調査会審議といたしましては、そういった石炭鉱業一般についての対策と、それから石炭鉱業の今後の方向というようなものを石炭鉱業審議会検討していただいて、石炭の今後のあるべき方向位置づけというようなものについてまず石炭鉱業審議会意見を固めてもらいたい、そうして、その意見を重要な参考としてエネルギー調査会においてさらに総合的な見地に立ってきめてまいりたい、こういうような関係に相なっております。したがいまして、これを簡単に申しますと、エネルギー調査会における位置づけ検討と、石炭鉱業審議会検討、これはいま並行的に進められておるわけであります。並行的に進められておりますが、ただいま申しましたように、やはり、最後の断を下しますためには、石炭鉱業審議会意見を十分聞いた上できめたい、こういうことでいま審議を進めておるわけでございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、エネルギー全体の中における石炭位置づけというのを先にエネルギー調査会が出すのですか。
  6. 井上亮

    井上政府委員 ただいま申しましたように、先にというわけにもいきませんので、やはり位置づけを考えますときには石炭鉱業の今後の抜本対策いかんにも関係かございますので、たとえば、卑近な例で申しますと、助成策程度によって石炭供給力は違ってまいります。そういった関係もありますので、やはり並行審議——並行審議というよりも、むしろ、いまの段階におきましては、石炭鉱業審議会において石炭のそういった抜本策を含めた位置づけについての見解をまず出してもらいたい、その意見を受けてエネルギー調査会としてさらに総合的な視野に立って最終の判断を下したい、こういう関係になるわけであります。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、石炭鉱業の抜本的な安定策というのは石炭鉱業審議会が出すわけですね。この石炭鉱業審議会が出すのは巷間六月と言われておるが、これは六月は間違いないわけですね。
  8. 井上亮

    井上政府委員 中間答申の中にも、おそくとも六月末までに本答申を提出したいということがうたわれてございますので、私どもも、鋭意、おそくとも六月末までには本答申を出していただくように、ただいま審議をしていただいておるわけでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、石炭鉱業の抜本的な安定策石炭鉱業審議会が六月末までに出すとすれば、エネルギー調査会位置づけというのはその抜本策に基づいて位置づけをすることになるのですか、それとも、先に位置づけをやっておって、その位置づけに基づいて抜本策が出るのですか。並行審議といったって、出す時期がやはり設定をされておらぬといかぬと思うのです、その間の話はある程度お互いに交流して行なわれたにしても。それから、抜本的な安定策は六月ということははっきりした。そうすると、エネルギー調査会位置づけというのはいつごろ行なわれるかということが問題なんです。
  10. 井上亮

    井上政府委員 位置づけの時期につきましては、当初の予定では、三月末か四月の初めぐらいには石炭位置づけについてエネルギー調査会から中間的な答申と申しますか、意見の決定をお願いしょうということで、今日までエネルギー調査会においてはこの位置づけという問題の審議を進めてきたわけでございます。しかし、この議論の過程で、石炭供給力は一体今後どうあるか、あるいはどういう見通しなのかというような疑問があるわけでございます。この供給力見通しにつきましては、技術的な見地から見れば、これは五千五百万トンでも六千万トンぐらいでも長期に私は可能だと思います。ただ、しかし、現実の問題としますと、単に技術的な見地だけで供給力をきめるわけにはまいりません。やはり、トン当たり千円以上の赤字がある山、あるいは千二、三百円の赤字のある山、それもとにかく技術的には掘れるからといって供給力の中に数えるわけにはまいりません。したがいまして、一般的に言いまして、それは現状は相当の赤字でございます。赤字ではございますが、いろいろ今後の抜本的な対策をまって企業としましてはいろいろ現実的な生産計画を組むわけでございますので、したがって、そういった今後の助成対策と申しますか、これもある程度念頭に置きませんと、確実なあるいは安定的な供給見通しというのは立ちがたいわけでございます。そういった見地は、これはむしろ石炭鉱業審議会で十分検討して、そうして、その結論といいますか、その見通しの上に立ってエネルギー調査会が総合的な視野判断を下す、こういうことになりますので、石炭鉱業審議会抜本策がおそくとも六月末ということになりますれば、これは私個人の見通しでございますが、おそくも五月ぐらいには位置づけというものはエネルギー調査会においてきめていただいて、その上でまた石炭鉱業審議会としてはさらに対策を練る問題もございますので、そういう見通しになるのではないかというふうに考えております。ただ、この五月というのはまだエネルギー調査会で確認されたわけではありません。ただ私が審議の経過を見まして、私どものほうの石炭抜本対策がおそくとも六月末であるとすれば、位置づけというのはそれよりも一ヵ月以上前にきまっていないと、やはり相互の関連がございますので、困るのではないかというふうに考えて申し上げた次第でございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、結論としては、石炭鉱業審議会抜本策が六月に出るのだが、それ以前にエネルギー全体の中における石炭位置づけというものが先行しなければならぬ、その先行の上に立って最終的な六月の抜本的な安定策についての周密な手直しの計画がきちっときまってくる、こういうことになるわけですね。そう確認して差しつかえないですね。
  12. 井上亮

    井上政府委員 位置づけの問題と抜本策とはからみ合っておりますので、率直に言えば同時ということも言えるわけでございますが、ただ、位置づけが明らかにならないとさらに石炭対策として議論しにくい問題も起こりますので、そういった意味両者並行的に検討するわけですけれども、やはり位置づけのほうが早いほうが好ましいというような見解に立って今後この両審議会の運営をやっていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、各石炭会社長期再建計画と申しますか、いまやはり石炭供給量というものの明確な見通しがつかないと長期計画は立たない、技術的見地から見れば五千五百万トンか六千万トンは出るのだけれども、それはやはり経済的に油との競合関係がありますから、経済的な側面も十分考慮に入れた上で五千万トンなら五千万トン、六千万トンなら六千万トンというある程度長期供給見通しというものを立てなければならぬ、こういうふうに局長は言われておるわけですが、そうしますと、各社長期再建計画というものが一体どういう形で出ているのかという資料はわれわれに説明ができますか。というのは、われわれも、石炭鉱業審議会とか、それからエネルギー調査会とかという行政ベース諮問機関ばかりにものごとをまかしておったのでは、もはや信用ならぬわけです。それは、この前から言っておるように、天下の有名な有澤さん以下の委員がやっておるのだからいいかもしれないけれども、いままでそれらのことが一回も当たったことがないんですね。そこで、われわれ国会としても、もうだめです、息が切れそうになっておる、さあ滝井先生来てくださいといったって、いかにやぶ医者でも、これは助からぬわけです。だから、その前にやはり、石炭鉱業審議会なりエネルギー調査会でやっている資料と同じものをわれわれにも見せてもらって、われわれもやはりそのあなた方のほうで出した結論を批判できるだけの力を持っていなければいかぬと思うのです。それは、いま四つの再建炭鉱ができておりますが、もう明治鉱業にしてもあるいは日炭高松にしても、もはや暗礁に乗り上げてからではなかなか手間取る。大蔵省との折衝もうまくいかない。そこでやはり、ころばぬ先のつえで、ものごとは予防的にやるのが一番いいのであって、もう病膏肓に入って医者にかかるというのは下の下の方法ですから、ひとつ今度は、各社長期計画というものについて、これは私企業の点があるから大ぴらには出しにくいというならば、この前加藤委員長のときにおとりになったと同じように、それを石炭局長なり各社の社長を呼んでもらって説明をしてもらって、そうしてこの集計をやはりきちっとわれわれに示してもらうというような方式でもとらしてもらわぬと、少なくとも今度石炭政策を抜本的に安定させようとするならばそれくらいの処置というものが必要だ、役所のベースだけでものを運んでおったのではいかぬという感じがするわけですが、それについては政務次官なり委員長にもお尋ねするわけですが、そういう処置をやれるかどうかということです。
  14. 進藤一馬

    進藤政府委員 ただいまの滝井委員の御希望に沿うようにしたい、こう思っております。
  15. 滝井義高

    滝井委員 では、委員長もぜひひとつ機会をつくっていただきたいと思います。
  16. 野田武夫

    野田委員長 滝井委員の御要望をできるだけ実現したいと思っておりますから、努力いたします。
  17. 滝井義高

    滝井委員 では、そういう形をつくっていただくことを確認をさしていただきましたので、大蔵省が参ったそうですからお尋ねします。  そこで、いよいよ私企業としての最後の手当てを保守党内閣としてやられようとしておる。私たちのものの考え方は、どうもそういう考え方ではまた失敗するんではないかという考え方を持っておるわけです。だけれども、われわれの考え方はまた別の機会に述べるとして、きょうは一応政府ベースでものを考えてみたいと思うのです。   〔委員長退席加藤(高)委員長代理着席〕  今度抜本的な石炭政策を展開する上において、われわれの必要とするものは、それに持っていく財源なんです。政府は、多くの法人が不況になって税を納めなくなると、そのあいた欠損を埋めるために、昨年度赤字国債を二千五百九十億も発行し、今年は同じ赤字国債だけれども建設公債の名のもとに七千三百億発行するというように、思い切った施策をやったわけです。ところが、石炭産業について、石炭産業赤字で困っておるからひとつ三千億くらいの交付公債でも発行してやろうかということはなかなか思い切れなかった。最近になってようやくそういう傾向が出てきつつあるわけですが、そこで、そういう交付公債の前に、やはり石炭産業を救済する上の財源というものを見なければならぬ。一体どこから財源を出してくるか。過去においては、すでに石炭再建のための財源というものは原油中心財源を出してきたわけですね。現在、輸入関税として一体どの程度の税金をとり、そしてそれを石炭産業の救済のためにどの程度持っていっておるのか、それをまず御説明願いたいと思うのです。
  18. 植松守雄

    植松説明員 いま滝井委員のお話にありましたように、現在原油関税が重要な財源になっておりまして、四十年度の見込みでございますが、これはいろいろ還付制度がございますので、その還付を差し引きますと、約四百七十億くらいの原油関税を徴収いたしております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、それはキロリットル当たりはどういうようになっておりますか。  それから、同時に、もう一つは、四十年度の四百七十億のうち石炭政策として回した分は幾らなんですか。
  20. 植松守雄

    植松説明員 原油キロリットル当たり六百四十円でございます。  それから、全体の石炭対策関係主計局のほうの問題でございますが、これはどこまで石炭対策に入れるかということで問題があるわけでございますが、全体の、最も広義石炭対策費は五百三十四億充ててございます。五百三十四億でございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 私がお尋ねしているのは、原油関税四十年度見込み四百七十億のうちで石炭政策の中に一体幾ら持っていきましたかと、こういうことなんです。五百三十四億というと、それは額が多いでしょう。そうすると、それは、原油石油製品全体に対する関税とかガソリン税とか、そういう中から五百三十四億持っていったという意味ですか。
  22. 植松守雄

    植松説明員 ガソリン税は全然別でございますが、全体として完全にひもつき財源というわけのものではございませんので、私、いま申しましたのは、四百七十億のうちの五百三十億というわけではございませんで、別途、石炭対策財源的に大体の見合いにはなっておりますが、それをこえたものが手当てせられておるということでございます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、石炭局長に尋ねますが、四百七十億の原油関税は、石炭政策にいま広義のもの五百三十四億という御意見ですから、四百七十億は全部来ておる、こう理解して差しつかえないですか。
  24. 井上亮

    井上政府委員 石炭対策としての予算は、これはかつて御説明も申し上げましたが、四十年度におきましては、石炭局プロパー予算が百四十五億二千万円、鉱山保安局石炭関係が一億六千万円、労働省が五十八億三千万円、それから鉱害の他省分が二十億六千万円、ここまでで一応合計が四十年度としましては二百二十五億七千万円。それから、四十一年度は、ただいまのような項目の総計が二百八十一億七千万円で、本年度に対しまして六十億近くふえておるわけでございます。なお、私どもは一応石炭対策予算としてはその程度までを考えておるわけですが、ただ、主計局の方がおられないのであれなんですが、主計局とこの問題につきましていろいろ打ち合わせたところによりますと、主計局はそのほかに公共事業等も含めておるというような説明をしておられます。しかし、これは私の言う筋合いでないと思いますが、一応そういう考え方になっております。
  25. 滝井義高

    滝井委員 原油関税四百七十億、これは石炭政策に持っていきますということでとっておる。ところが、実際にいま植松関税局企画課長さんの説明したのでは、広義では五百三十四億。ところが、石炭局長のほうは、四十年度が二百二十五億、四十一年度は二百八十一億、こう言われると、ずいぶん話が違うわけですよ。これは違うから宿題にして、大臣が来たときに…………。
  26. 井上亮

    井上政府委員 違うのではありませんで、大蔵省が御説明されましたのは関税収入のほうの見地から御説明されたわけでございまして、私申しましたのは、石炭予算のほうを説明申し上げたわけであります。
  27. 植松守雄

    植松説明員 私が五百二十四億と申し上げましたのは、これは先ほどもお断わりいたしましたように最も広義石炭対策費ということでございますので、いま通産省から申されましたもののほかに、たとえば港湾整備、特に若松港その他の石炭の積み出しを主とする港の港湾整備とか、あるいは治水事業費とか、こういうものも含めた最も広義予算経費の全体の積算でございます。
  28. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、植松さん、一ぺん五百三十四億の内訳を出してもらいたいのですがね。出せますか。これはきょうでなくてもけっこうですが。
  29. 植松守雄

    植松説明員 主計局と相談いたします。
  30. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一ぺん出してもらいたいと思うのです。  どうして私はここを議論するかというと、これからだんだん核心に入っていくわけですが、御存じのとおり、一昨年の三十九年に石油審議会は、ケネディ・ラウンドの動きなどからも、また諸外国を例にとっても、原油関税をかけておる場合があるけれども日本のように高率な原油関税をかけておるところはない——アメリカでもキロリットル当たり百二十円ぐらいでしょう。かけているのはアメリカ日本くらいのものです。アメリカは国内産の原油を保護するという大義名分のもとにかけておるわけです。そこで、この石油審議会は、外国日本のようなこんな高率の関税をかけていないので、例がないんだから、二年限りで撤廃することが望ましいという答申をしているわけです。で、一体この抜本策との関係はどうなるのかということですね。
  31. 井上亮

    井上政府委員 御承知のように、石炭対策財源は、これは関税審議会でも一応議事録にとどめておられますけれども関税収入を引き当てる。ただし、関税収入といいましても、石炭につきましては、根っこの二%については従来慣行と申しますか一応除いて私ども考えておりまして、現在一二%の関税がかかっておりますが、一〇%の関税収入相当額、それから還付等がありますから、こういうものを差し引きました額が石炭対策に回る財源だというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そういう見地から見まして、先ほど関税局のほうから御説明されましたのよりも私ども考えております財源はもう少し金額が減るかと思いますけれども、そういうことになっております。  そこで、今後の石炭対策を考えるにあたっての財源問題ですが、一応、この制度につきましては、関税審議会では限時的になっております。なっておりますが、石炭が非常に将来そういった巨額な助成がなくてもできる情勢になれば別ですけれども、そうでない場合には、石炭対策予算は相当現在でも巨額でございますので、何らかの財源対策については、さらに私どもとしましては、これは大きな政策問題でございますから、今後石炭合理化審議会あるいはエネルギー調査会にもはかりまして考えてまいりたいというふうに存じております。
  32. 滝井義高

    滝井委員 私、さいぜんエネルギー調査会なり石炭鉱業審議会との関連を実はくどくど聞いたのは、こういう質問に入りたいからくどくどと聞いたわけです。そうしますと、あなたは、今度非常に長期抜本政策を立てなければならぬ、こうおっしゃった。三木さんも、私の予算分科会における質問で、十年から十五年と言ったのです。そこで、私は、三木さん、十年とか十五年とか、そんなことを言わなくてもよろしい、これから五年でいい、四十五年まで石炭を微動だにさせぬということでしてください、十年とか十五年ということをあなたがここで言うとうそになると言ったら、いや、これからひとつ長期で、五年間は絶対やるという御答弁をいただいておるわけです。そうしますと、今後エネルギー調査会中心になって石炭鉱業位置づけをやり、同時に、その位置づけに基づいて石炭鉱業審議会が抜本的な安定対策を出すということになると、必然的に再建資金というものが要るわけです。再建資金というものは、いまのところ、われわれの考え得るものは、原油関税というもの、これを形を変えていくか、現状のままでいくかということ以外に、そう考え得る財源というものはないわけですよ。そうしますと、あなたもいま言われたように、相当抜本的なものをやる、長期に考えるということになれば、この原油関税というものを五年間くらいは今度はきちっとした形をつくらなければいかぬわけですよ。ところが、一方においては、石油審議会その他においては、もう二年間ですよ、こう言っているのでしょう。そこに食い違いが出てきているわけです。同じ政府ベース審議会諮問機関の中でも、そういう違いが出てきているので、この違いをやはり内閣として克服して統一をしておいてもらわなければならぬことになるわけです。  そこで、今後抜本策をやるとすれば、いままでよりかよけいに財源を必要とすることは確実です。そうすると、いまのあなたの御説明のように、一二%の原油関税の中から、二%の根っこは別にして、一割は石炭政策にいただきます、そうして、あとで還付のことを聞きますが、還付の分を差し引いたものが全部石炭対策費だということですが、いま来ているものについては、大蔵省の見方は治山治水まで入れておるわけですよ。港湾整備とか、広義のものも入れております。入れておるなら入れておるでよろしい。もっと広義のものがふえなければならぬことは確実です。そうすると、あなたのほうとしては、この原油関税のほかに一体重油消費税みたようなものを上積みしていくのか、関税の一二%という率を一四%とか一五%に上げるつもりなのか、ここらあたりがはっきりしないと財源が出てこないわけですね。これを一体どう考えているのか。
  33. 井上亮

    井上政府委員 お説のように、今後の石炭対策を考えるにあたりまして、私どもの現在の見通しでは、これは、はなはだ遺憾なことでございますけれども、やはり現在以上の巨額な助成策が必要ではないかというふうに見ておるわけでございますが、ただ、私どもとしましては、現在石炭鉱業を大手、中小を問わず個別に検討しておりまして、できるだけ自力でできるものは自力でやるような努力を要請して、できるだけ国の負担を減らしたいというふうには考えておりますけれども、ただ、見通しとしてなかなか容易ならぬ事態にございますので、相当巨額な国の助成が必要ではないかというふうに考えてはおります。その財源につきましては、御指摘のような点はあるわけでございますが、ただ、この財源問題をどうするかという問題につきましては、中間答申にも触れております。中間答申の中にも、やはり石炭は今後相当巨額な国の助成が必要だ、そうなると、やはり何らかのそういった財源対策を考慮しないと政策が首尾一貫しない、したがって、これについて今後慎重に検討しようというふうなことが中間答申にもうたわれておるわけでございます。この問題はなかなか重大な問題でございまして、現在、まず石炭鉱業の今後の再建の内容をどうするかというようなところから検討していきまして、一体助成の幅がどの程度必要になるかというような議論を進めまして、その上に立って今後の必要な助成額というものが出てまいりますので、それが出てまいりますと、その御指摘の財源が出てまいるというふうに考えております。現在はそういった過程を踏みながらただいま審議をしておる次第でございます。  なお、財源につきましては、私個人の意見でございますが、何も石炭対策について必ず関税収入でなければならぬ、あるいは消費税収入でなければならぬということはありませんで、一般財源から見ていただいても筋合いじゃないか。ただ、しかし、この一般財源につきましては、これは従来私主計局との予算折衝に際しましてそういう議論をするわけでございますが、そう言いましても、それは主計局には主計局のなかなか苦しい事情もございますので、現在の考え方としては、ただいまある関税収入を引き当てるという方針に相なっておりますが、ただ、根本的に考えれば、必ずしもそれにこだわる必要はないというふうに、私個人の意見でございますが、考えております。
  34. 滝井義高

    滝井委員 財源は、あなたの言われるように、輸入関税でなくても、あるいは消費税でなくても、一般財源でもけっこうだ、そのとおりですよ。それを出してくれれば一番いいんだけれども、一般財源は、御存じのとおり、どこか新しい財源を持ってこぬ限りは、国債を七千三百億も発行しなければ財源のつじつまが合わぬという事態になっているわけですから、だから、一般財源を持ってこいといったって、補正予算を組む以外には方法はないんで、なかなか困難ということになると、いまの税金の入っている中から切りくずしてくるか、あるいは上積みする以外に方法はないと思うのですが、この点は、先日の質問でも、三木さんも明らかに、もう石炭というものをまる裸で他のエネルギーと競争させる意思はございません、それから重油とも競争させる意思はないと、これはやはり方針として保護政策をとらざるを得ないんだということを答弁しました。それから、同時に、出炭量というものはやはり五千万トンから五千五百万トンを維持せざるを得ないということも言ったのです。それから、出た需要というものは電力や鉄鋼に持たせなければならぬ、この三点を明白にしたから、私は、けっこうです、もうその基本的な三点さえ明らかになればこれ以上私は質問する必要はありません、あとはひとつ調査会の結論を待ちましょう、おそらく三木さんは政治力があるんだからその方向に調査会の答申を持っていくだろうと期待して終わったわけです。しかし、財源というものは、これは大蔵省所管もありますので、少し心配になるので、きょうは財源のことを尋ねておるわけです。そうしますと、もう五千万トンから五千五百万トンの出炭をやり、そうして出たものは電力や鉄鋼に食わしていくんだ、そこに需要を確保するということになれば、もうその財源をどこに持っていくかということ以外にないと思うのです。そうすると、そういう基本方針が、少なくとも大臣が国会で言明したからには、まさか佐藤さんの沖繩問題の答弁みたいにぐらつくことはないと思うのです。  そこで、これは一般財源からはもう不可能ですから、すでに敷かれている軌道を拡大するかどうか以外に方法はないと思うのです。政府としては、一体、重油消費税でやるのか、それとも関税一二%を上げてやるのか、ここらあたりを明らかにせずして、法案だけを上げい上げい言ったって、これは問題にならぬですよ。何も審議会がすべてを出すんではないので、政党政治ですから、内閣がやはり基本方針を出して、それでどうだということを審議会に問うのが私は政党政治だと思うのです。何も内閣に方針がなくて、自民党に方針がなくて、すべて審議会にまかせるというなら、国会は要らぬし、政党は要らぬですよ。全部審議会にまかしたらいい。われわれも審議会委員になりますから。国会があるんだから、政党があるんだから、政党は政策を持ち、選挙に公約したものを持っているわけだから、佐藤さんが筑豊炭田に来て、多賀谷君がよく言うんだが、これは日本の政治の恥部だ、一体ここには政治家がいなかったのかと言いましたけれども、それが回り回って総理大臣になって今度それをあと片づけすることになったのだから、一体、財源というものは、油の関税を上げるのか、消費税をやるのか、これがはっきりしないことには、何もかにも審議会結論が出たら結論が出たらと言っていたら、国会は終わってしまいますよ、五月十八日までしか国会はないのだから。だから、それまでに明らかにしておいてもらわなければ話にならぬのですよ。だから、あなたの言うように、政府は一般財源でいきますと、これでもいいです。どっちか答弁してもらわなければ、一般財源もあります、重油の消費税もあります、関税もありますということでは、これは困るんですよ。どれかを選択するのが政治家の任務なんですよ。与件はたくさんある。与えられた条件の中から最上の条件を選択して、最大多数の最大幸福を打ち立てていくのが政治なんだから、それが政治家の任務だから、それをどれもやらぬのでは話にならぬですよ。どれを選びますか。どうせ財源が要るということについては、あなたと私と意見の一致を見たんだから、その財源をどれを選ぶか。私は、いままでの軌道から言うと、政府輸入関税をふやすか、それとも輸入関税の上積みとしての消費税をとるかする以外に方法はないんじゃないかと考えておったら、一般財源とこうおっしゃるから、だから、どれですか。政務次官、どれですか。
  35. 井上亮

    井上政府委員 財源問題につきましては、これは現在関税収入石炭対策財源ということで考えられておるわけでございますが、ただ、関税をさらに今後継続いたします場合には、やはり関税審議会の議を経て、その了承のもとに実施しなければならぬようなたてまえになっております。従来、関税につきましては、石炭対策財源が必要だということで、根っこの二%以来、さらに二%を上げ、四%を上げというぐあいにして、今日の一二%という関税率になっておるわけでございます。そのつど関税審議会に事情を説明して、本来石油関税というのは無税であるべきだという意見が非常に強いわけですが、それを特に石炭対策のために必要だという意味で特別にお認めいただいて今日に来ておるわけです。なお、前回も、たしか二年間という期限が切られておりましたのを、さらに関税審議会石炭現状にかんがみまして延長していただいた経緯もございますので、これを私ただいまここで軽々にさらに延長をお願いしますとも言えないわけでございまして、なおまた、一方、今後の石炭対策、今後の石炭に対する助成の幅というものにつきましても現在検討中の段階でございまして、一体どの程度助成をすれば石炭対策としてはやっていけるかという線がまだはっきり出ておらない現状でございますので、関税収入のさらに再延長をお願いするか、あるいは他に財源を求めるような税制上の措置を考慮するか、あるいは一般会計で見るという考え方になるのか、この辺のところは、やはり、まず私どものほうが一体どれだけの金が必要になるのかという見通しを持ちませんと、この議論にいま直ちに入り得ないというのが実情でございまして、しかし、早晩滝井先生御指摘のような問題を早急に取り上げる段階が来るのではないだろうかというふうに考えております。   〔加藤(高)委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 滝井義高

    滝井委員 なるほど、その一割二分の関税をかけるについて、当時の歴史的な経過から考えてみて、石炭産業の維持、保護をはかるために競合燃料である重油との価格差を埋め、かつ石炭対策費財源調達をねらった措置としてやったんだけれども、こういう行き方はエネルギーの流動化時代においてはいかぬということは、当時石油の側からも出ております。それから、同時に、関税審議会は、原油関税は無税にすべきだということを、三十六年の十二月十四日答申附帯決議でやっておるし、それから、三十七年十二月二十七日答申でまた再確認しておるわけです。再確認をしておりますけれども、これは石油の立場であって、われわれのほうから言うと、これはいまの石炭の状態から言ってこのまま捨てるわけにはいかぬ、石油意見もあるけれども一割二分はやむなしということで、確立をしてかけているわけですね。だから、あなたのほうで、これは国会が法律をつくっておる、その諮問機関だから、諮問機関に気がねをするなら、何なら社会党からこの委員会に、石炭財源を確保すべきである、そのためには政府もすみやかに関税なり消費税を検討ぜいという決議案を出してもいいですよ。まさか石炭政策に一生懸命になっていて与党さんが反対するわけないと思うのですよ。そうすればあなた方がやりいいなら、出してもいい。私としては言えませんという、きわめて謙虚な御遠慮をなさっているけれども石炭局長が遠慮しておったら石炭政策立たぬですよ。やはりあなたが火の玉にならぬと立たぬですよ。油に負けてしまって、油に食われてどうにもならなくなる。斜陽になって、すべて石炭政策は間違ってしまう。いまでも有澤調査団以下みんな不信感を買っているのだら。中小炭鉱の鉱業権者みんな、大手からも不信感を買っているのです。やはり有澤さんたちが不信感を買わないようにするためには、政府が五千五百万トンを必ず政治責任を持ってやるということをはっきり言わないから、われわれも風にそよいだアシみたいにならざるを得ないということを、何回か有澤さんが言っているのですから、五千五百万トンを確保すると言った裏づけの財源は何であるということを、やはり政党と政治が明白に示す以外にないのです。いまのような局長の答弁では、幾ら法案を上げてくれと言ったって上げられぬですよ。合理化法を上げるためには、これがはっきりしなければ、率直に言って私は絶対反対しますよ。六月になって国会も終わってから結論が出るようなことでは間に合わぬ。ほんとうは去年の暮れ出すという約束だった。暮れに出すのを、いかなる理由によってそんなに延びなければならなかったか。日本石炭山の状態というものは、もう地の底まで知って知って知り尽くしているのがあなた方の立場のはずなんだ。それを、一体、国会が終わった六月に出すなんというのは、まず第一にその点が納得できない。去年の暮れに、予算編成のとき出すはずだったでしょう。それを、一体どういう理由で六月に延びたのですか。
  37. 井上亮

    井上政府委員 激励していただいて、非常に力足らず申しわけないと思っておりますが、昨年の十二月に通産大臣が諮問いたしました石炭抜本対策についての中間答申が出たわけでございますが、中間答申には、すでに六月に予定しております本答申の大体の骨子まできめまして、抽象的ではありますが方向はうたわれておるわけでございます。ただ、本答申がおくれましたのは、やはり、石炭鉱業の今後の見通しについての的確な把握をするために、さらに個別企業にわたって詳細な検討をする必要があるというようなことで、そのために時間が足りなかったというのが率直な実情でございます。したがいまして、現在石炭鉱業審議会審議いたしておりますのは、個別企業をシラミつぶしに一つ一つ検討いたしていく、その上に立って全体の姿を出しまして、そこから最終政策論の討論に入りたいというようなやり方をやっておるわけでございまして、十二月にできなかったのは、一言に申しますれば、ただいま申しましたように、検討にさらに時間がほしかった。ただ、しかし、実情は十分わかっておるわけでございますので、本答申で盛るべき政策の基本的方向だけは明らかにしたというような実情でございます。
  38. 滝井義高

    滝井委員 個別企業の詳細な資料を把握しなければならぬということのためにおくれているということですけれども、第一次調査団、第二次調査団あるいはその他鉱害調査といっていろいろ調査団が出てずいぶんおやりになっておるわけで、新しい鉱区をそんなにあそこもここも見つけるわけではないわけで、もうこの狭い日本でどこに鉱区があってどこに石炭が分布しておるということは大体わかってしまっておるわけです。明治以来八十年もの長い間やってきているわけですから。だから、いまごろになってそういうことを言うこともおかしいのです。そして、いまごろになってまだ政府財源対策見通しがつかぬということもおかしいことなんです。そこで、これは無理な要求かもしれぬけれども、やはり、四つの法案を上げるまでの間には、少なくともそれらの政府の方針というか、方向だけは明らかにしておいてもらわなければいかぬと思うのです。その方向エネルギー調査会なり石炭鉱業審議会意見を聞く。これは何も、政府意見はこうですと出して、これでひとつ検討してくださいということは、ちっとも差しつかえないわけです。何も出さぬで無手勝流にいって、そしていいものだけ持っていこうなんて、それではあまり虫がよ過ぎるので、やはり、たたかれる案でもいいから出すということでないと困る。われわれも、オオカミが来た、オオカミが来たといってもう何回もだまされて、私たちの筑豊はぺんぺん草がはえて何もなくなってしまっているわけだから、だまされようだってだまされようがない。今度は、無理な要求だけれども、法案が上がるまでに政府の手のうちを示してもらう、その上で私たちは私たちの態度をきめたい、こう思うわけです。われわれは国有化政策を主張しているから、率直に言えば、ほんとうはこの法案が通らなくてもいい。われわれから言えば、私企業を存続するような法案は通らなくてもいい。だから、私企業としてやろうとするならば、法案が通るまでにあなた方の手のうちを明白に出してもらわぬことには、われわれとしては納得がいきかねる、こういうことです。だから、いま答弁のできなかった、一体財源はどこに求めるか、これは一般会計なら一般会計でけっこうです。それから、さいぜんお願いしました個別企業の状況、それから抜本策方向、こういうものはひとつぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。  次は、三木さんは、五千万トンぐらいは石炭は必ず出す、他の燃料との競合はまる裸ではやらせない、純粋な形では競争はやらせない、こういう御答弁があった。そうしますと、五千万トンから五千五百万トンの石炭を確保するとすれば、これは電力と鉄鋼に食ってもらう以外に方法はないわけです。一体電力と鉄鋼の今年度の需要状況はどういうようになっていますか。
  39. 井上亮

    井上政府委員 昭和四十年度におきまして、電力は千九百万トン、それから鉄のほうは八百五十万トン程度引き取る予定に相なっております。
  40. 滝井義高

    滝井委員 これだけ引き取ってもらう。同時に、四十年度において、電力業界にはトン当たり一般炭三百円、鉄鋼業界にはトン当たり二百円の値上げの協力を要請をいたしました。そして、同時に、石炭の一定額を必ず引き取っていただく補償として、その負担増に見合う政策というものをやってやる、とりあえず関税還付をやります、こういうことになっておるわけですね。これは一体どの程度実行されているのか。約束どおり実行されておるのかどうか。その額その他を御説明願いたい。
  41. 植松守雄

    植松説明員 四十年度の見込みでございますが、電力に対して十八億、鉄鋼に対してまして八億還付でございます。
  42. 滝井義高

    滝井委員 電力十八億、鉄鋼八億というのは、電力会社なり鉄鋼会社が、これは約束どおりでございますといって満足をしておる額ですか。
  43. 植松守雄

    植松説明員 いま申しましたのは支払いベースでございまして、昨年御指摘のような炭価の値上げがございまして、それに伴いまして増加の要求が出ておるわけでございます。それは支払いか四十一年度になります。四十一年度の支払い額はそれよりも相当ふえる見近みでございます。もちろん、電力会社、鉄鋼の言い分をそのまま認めるわけにもこれはまいりません。いろいろ還付の問題は非常にめんどうでございまして、先ほどのお話にありました石炭対策財源をどうするかということにからんだいろんなジレンマがここにも一つあるかと思います。つまり、現在石炭対策として重油ではなくて原油関税をかけておるというところから、原油でございますから、したがいまして、原油から精製されるすべての石油製品にその負担が転嫁されていくという関係でございます。そこで、石炭対策ともいいながら、石炭と競合する重油という分野を離れて、広く一般に負担が転嫁されておるという実情を認識しなければいけないということでございます。そこで、現在われわれの立場から見ますと、せっかく石炭対策という見地から関税をかけておるわけでございますから、還付は必要最小限度のものだけに、やむを得ないものに限りたいという気持ちがございます。そこで、現在、御案内のように、農林漁業関係の重油であるとか、国際競争力の戦略的な日本の産業構造に着目しました石油化学関係であるとか、その他公共的なガスであるとか、あるいは石炭対策に協力した電力、鉄鋼という関係でしぼって還付制度を設けておるわけでございます。いずれにしましても、この全体の財源との見合いにおいて、その辺とのバランスをとりながらやはり適正にやっていかなければいけないということでございまして、どこがいいのか、これもそれぞれの立場の要求は非常に強力なものがございまして、それらの調整をつけるのに非常にむずかしいということでごごいます。したがいまして、いまの御質問につきまして、完全に満足している数字が出ておるかと申しますと、それについてそのとおりですというお答えをすることはできませんのでございますが、いま私が申しましたのは四十年度のベースでございまして、四十一年度は炭価引き上げでこれよりは相当上がるということでございます。
  44. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、四十年度は、農林水産とか石油化学とか、都市ガスですか、公共的なガス、それから電力、鉄鋼等に還付を認めている。しかし、四十一年度は、これは電力とか鉄鋼というのはトン当たり三百円、二百円の引き上げをのまされているわけです。そして、もはや、三木さんが明白に言ったように、今後ももっとよけいに食わせなければならぬことは確実なんですよ。そうしますと、ここらあたりの政策の打ち方というのが今後の石炭政策を進める上に非常に重要な一つのポイントになってくるわけですよ。この方針もやはりここで明らかにしてもらわなければいかぬと思うのです。そこで、一体還付をやる具体的な基準というものをわれわれにひとつ示してもらわなければいかぬと思うのですよ。行政ベースだけでしては困ると思うのです。国会に、一体還付の基準というものは、農林水産業についてはどういう基準、石油化学についてはどういうものについてやるんだというその一覧表が出せますか。一覧表と基準、一キロリットル当たりどの程度還付をやるというのが出せますか。
  45. 植松守雄

    植松説明員 これは全部法律及び法律に基づく政令で定められておりますから、基準の一覧表は提出することができます。
  46. 滝井義高

    滝井委員 法律の分はとにかくとして、政令でできる分は行政のベースでやるわけですから。というのは、私たちは、たとえば原油関税六百四十円のうち半分の三百二十円は石炭政策に回っておる、こう思っておったわけです。ところが、いまの御説明では、非常に広い公共事業にまでいくということになると、これはやはりなかなか問題がある。だから、そこの資料も一ぺん出していただいて、そうして、原油関税について政令で具体的にどういう基準で還付しているというその還付基準もひとつ資料として次回に出していただきたいと思うのです。それでもう少し具体的な質問に私は入らしていただきたいと思うのです。  そうしますと、現在鉄鋼については、八幡にしてもわりあい安い鉄鉱石を買ってきておる。ところが、問題は、文句が出るのは石炭ですね。この石炭は、全国の製鉄が使っている石炭というものは、輸入炭に比べてどの程度値段が高いんですか。
  47. 井上亮

    井上政府委員 地域によっても違います。たとえば、八幡あるいは室蘭、産炭地にあります製鉄会社におきましては、輸入炭と国内炭の価格を比べますとそう大した差はございません。輸入炭のほうが最近は若干安いかという程度のことで、大差がないと思いますが、揚げ地になりますと、トン当たり約千円程度の値開きがございます。
  48. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、たとえば八幡とか室蘭とかというのは還付金が少なくてもいいわけですね。内地炭はほとんど同じものを使う。ところが、揚げ地のこういうところに来ると、京阪神に来るとトン当たり千円も違うというならば、そういうところに還付をよけいにやることになるんですか。
  49. 井上亮

    井上政府委員 室蘭といいましても、室蘭にありますのは富士製鉄の室蘭製鉄所で、富士製鉄にはさらに広畑もありますし、東海製鉄等いろいろありますので、一がいには申せないわけでございます。八幡も同様でございます。ただ、そこで、電力については特に明確にやっておりますが、業界で負担の公平を期するような制度を考えて自主的にやっていただいているということでございます。
  50. 滝井義高

    滝井委員 業界も近ごろは御存じのとおり戦国時代になって、日向方斎なんという豪傑も出てきて、通産大臣の言うことを聞かない者が出てきている。だから、こういう配分のしかたも、もう少しわれわれに知らしてもらいたいと思うのですよ。知らしてもらって、すべて石炭政策というものについてはガラス張りの中でやってもらわぬと、何が何だかわからぬようなことでは困るんですよ。いままでわれわれもぼやっとしてきたけれでも、これから相当金をつぎ込んでやるというならば、やはりきちっとしなければいかぬと思うのですよ。  そこで、いまの鉄鋼会社やら電力会社に還付金を配分するについても、なるほど八幡にしても富士にしても各地に製鉄所を持っておるかもしれぬけれども、揚げ地と産炭地とがやはり一つ一つの製鉄会社について違ってこなければいかぬと思うのですよ。みそもくそも一緒にして政治的につかみ金をやるということは許されぬことだと思うのです。だから、そういう点もきちっとしてもらいたいと思うのです。  それから、原料炭です。四十年度の原料炭の出炭見込みは幾らですか。
  51. 井上亮

    井上政府委員 四十年度としましては、まだもう少し日時がありますが、見通しといたしましては千三百万トン程度になろうかと思います。
  52. 滝井義高

    滝井委員 この原料炭が、私たちは原料炭は幾ら出してもだいじょうぶだという安心感を持っておったわけです。ところが、どうも最近は、原料炭は少し左前になる傾向が出てきているということを聞くわけです。そうすると、千三百万トンの四十年度出炭の原料炭の需要は一体どういうようにいきますか。鉄鋼とかガスとかコークスとかというふうなもの、どういうふうに需要は配分されますか。
  53. 井上亮

    井上政府委員 四十一年度の需給計画につきましては、ただいま四十一年度の出炭見通しを最終的に検討しておる段階でございますので未定でございますが、四十年度の例で申し上げますと、鉄鋼につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、原料炭八百五十万トン程度、ガスが二百万トン程度、コークスが百万トン程度ということで、その他一般炭等がありまして、先ほど申しましたような数字になります。ただ、最近の傾向は、一般炭もそうでございますが、原料炭につきましても相当増産のテンポが大きくなっておりますので、貯炭がふえるおそれが相当濃くなってまいっております。
  54. 滝井義高

    滝井委員 問題はそこなんです、千三百万トンの原料炭が出てくると。ところが、いま鉄鋼八百五十万トン、ガス二百万トン、コークス百万トンというと千百五十万トンで、もう百五十万トンどっかに食わせなければならぬわけですよ。そうすると、おそらく四十一年度だって千二、三百万トンは同じように出て、またやはり貯炭ができてくる。こういう形になると、政府は原料炭ならばだいじょうぶと胸をたたいたはずですよ。一般炭はともかくとして、原料炭はだいじょうぶだ、だから出しなさい、こう言っておったのですが、原料炭でさえもがどうもちょっとあやしくなってくるということになると、これは私は問題だと思うのです。御存じのとおり、都市ガス等はナフサに転換をする傾向が出てきているわけでしょう。それから、コークスだって最近需要がずっと減っていますよ。そうしますと、これは小さいようであるけれども、原料炭というものはいまや日本に残っているいわば宝ですよ。石炭でも宝に属する。それらの宝の部類に属するものが、政府は需要はだいじょうぶだと言っておったのに、増産体制に入ってみたらだめだということになると、こういうところから全体がくずれてくるのです。この非常に重要なポイントのところがうまくいかないということになるとくずれてくる。こういう点から、私たちは、やはり鉄鋼その他に、原料炭が出たらひとつ無理をしてでも買ってくださいという形をとらざるを得ないということになると、還付制度というようなものもきちっと不安定のないような形で価格政策上やる必要があると思うのです。やはり、無理を言うからには道理だけは通しておいてやらぬと、無理を言って道理が引っ込んでしまうということになると話にならぬ。石炭政策にならないですよ。だから、石炭政策というのは、石炭だけを見ておったのではやりそこなうので、やはり電力とか鉄鋼というものを十分見て、そうしてそれに財源を見てやってもらわなければならない。  そういう意味では、どうも、きょう私少し序論をやったのだけれども局長のほうが勉強不足ですよ。勉強不足というか、自民党さんのほうが政策を決定して局長さんに渡していないのかもしれないけれども、もうちょっとしっかりした答弁をしてもらわないと、質問せい質問せいと言うから質問してみたら、答弁はあいまいもこ、星雲状態だというのでは困るですね。もう神武の神さまははるかかなたにいっておるのだから、二十世紀の月に行く時代ですから、もう少ししっかり石炭政策を立ててもらわないと困ります。いまのような答弁では、これ以上質問してもどうもむだなようでありますから、ひとつぜひ関税のほうの資料もそろえて、還付の基準等もそろえていただいて、次回にさせていただきます。委員長、ここできょうは終わります。
  55. 野田武夫

    野田委員長 次会は明後十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会