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1966-02-23 第51回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十三日(水曜日)    午前十一時四分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 有田 喜一君 理事 加藤 高藏君    理事 藏内 修治君 理事 壽原 正一君    理事 多賀谷真稔君 理事 松井 政吉君    理事 八木  昇君       大坪 保雄君    倉成  正君       中村 幸八君    野見山清造君       三原 朝雄君    滝井 義高君       中村 重光君    芳賀  貢君       細谷 治嘉君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君         労 働 大 臣 小平 久雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君     ————————————— 二月十七日  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六八号) は本委員会に付託された。 一月二十八日  三菱新入炭鉱石炭採掘による地表への影響調  査等に関する請願伊藤卯四郎紹介)(第五  一五号) は、去る一月十四日商工委員会に付託されたが、 これを本委員会に付託替えされた。 二月八日  石炭鉱業安定に関する請願湊徹郎紹介)(  第一二四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六八号)  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、石炭対策基本施策について、通商産業大臣及び労働大臣からそれぞれ所信を承ることにいたします。三木通産大臣
  3. 三木武夫

    三木国務大臣 石炭対策特別委員会の御審議をいただくにあたり、一言ごあいさつ申し上げます。  御承知のとおり、石炭鉱業は、エネルギー革命の渦中にあって、きわめて憂慮すべき状況に置かれており、政府といたしましても、昭和四十年度におきましては、第二次石炭鉱業調査団答申に基づき、炭価の引き上げ、利子補給等資金経理対策をはじめとして諸般にわたる施策拡充につとめ、石炭対策を強力に推進してまいりました。  しかしながら、その後の事態の推移を見ますると、出炭の不振、労務状況の不安定、企業資金繰りの深刻化等、その情勢はきわめて悪化し、過去数年にわたる急激かつ大規模合理化過程において発生した過重な費用の負担と相まって、石炭鉱業の構造的な危機は予想以上に急迫の度を強め、現状のまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。  このため、昨春以来、石炭鉱業審議会において、石炭鉱業抜本的安定対策について慎重な調査審議が進められ、昨年十二月政府抜本的安定対策基本的方向抜本策実施までの間における諸措置について中間答申が提出されたのであります。  政府は、直ちに、この答申趣旨を尊重し、石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策基本的方向を明らかにいたしました。  この方針に沿いまして、現在、抜本的安定対策具体的方策を可及的すみやかに樹立すべく、そのための諸準備を鋭意取り進めておりますが、それまでの間、石炭鉱業経営悪化を極力防止するため、従来からの施策を一そう促進するとともに、特に次のような施策重点を置いて、より強力に石炭対策を講じてまいる所存であります。  第一に、石炭鉱業の窮迫した資金経理状況にかんがみ、現行利子補給制度について、その補給対象拡大補給率の引き上げ等大幅な拡充強化を行なうとともに、再建計画に見合って必要がある場合には、市中金融機関からの融資残高についても利子補給を行なうこととしております。  第二に、特におくれの著しい安定出炭及び保安体制確保をはかるため、鉱区調整を積極的に推進するとともに、近代化資金及び新鉱開発資金大幅増額、坑道掘進及び保安施設に対する助成強化等をはかることとしております。また、炭鉱機械化を一そう強力に促進するよう炭鉱機械貸し付け制度を創設するとともに、炭層探査について新たに補助制度を導入することとしております。  第三に、鉱害対策につきましては、膨大な鉱害が累積残存している現状にかんがみ、鉱害復旧事業規模を大幅に拡大するとともに、新たに、無資力鉱害農地にかかる被害者に対し毎年賠償調整交付金を交付することとしております。  第四に、産炭地域振興につきましては、従来から各般にわたる対策を講じてまいりましたが、産炭地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展をはかる必要がなお存続している実情にかんがみ、産炭地域振興臨時措置法有効期間を五年延長するとともに、産炭地域振興事業団業務長期運転資金貸し付け出資、及び工業用水供給事業を加える等、産炭地域振興対策の一そうの充実を期しております。  第五に、現在審議されております国鉄運賃値上げに際しては、石炭流通経費相当部分を占める運賃の上昇に伴う石炭鉱業負担を軽減する見地から、値上げ分について一カ年の延納措置を講ずることとしております。  以上の施策を中心に実着に石炭対策推進することによって、極力石炭鉱業経営安定に資してまいりたいと考えておりますが、さきにも申しあげましたように、石炭鉱業をめぐる環境はきわめてきびしく、石炭鉱業審議会並び総合エネルギー調査会答申を待って、できるだけすみやかに石炭鉱業抜本的安定対策を具体的に策定樹立し、新たな決意をもって石炭鉱業の根本的な安定達成のため努力を傾注してまいる所存であります。  本委員会におかれましても今後とも一そうの御協力を賜わりますよう、お願いする次第であります。(拍手)
  4. 野田武夫

  5. 小平久雄

    小平国務大臣 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について、一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  最近の石炭鉱業雇用情勢を見ますと、合理化に伴う人員整理はほぼ一段落し、昭和四十一年度においては新規合理化離職者の数は昭和四十年度を若干下回る見通しでありますが、他面一部の炭鉱において坑内労働者の不足という事態も見られるところであります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、再就職が困難な離職者重点を置いて現行離職者対策充実強化してまいる考えでありますが、特に、就職促進手当につきましては、離職者失業保険金日額産炭地における再就職者賃金等を考慮し、今回日額最高限を引き上げることとし、関係法律改正案を本国会に提出して御審議を願うことといたしております。  また、石炭鉱業における労働者確保対策につきましては、従来とも、第二次石炭鉱業調査団答申の線に沿って、閉山合理化に伴う離職者の高能率炭鉱への優先的あっせん広域職業紹介強化職業訓練推進等の諸施策を講ずることによって、必要な労働者確保をはかってまいりましたが、昨年十二月の石炭鉱業審議会中間答申におきましても取り上げられているところでありますので、今後とも、これらの答申趣旨を十分尊重して、労働者確保対策を進めてまいりたいと存じます。  次に、石炭鉱業に働く労働者労働条件確保につきましては、かねてから監督重点事項として鋭意監督指導を実施してきたところでありますが、今後ともなお一そうの努力を重ねてまいる所存であります。  また、石炭鉱業における保安の問題につきましては、労働者保護という見地から、通商産業省と緊密な連絡をとりつつ十分協議を行ない、また必要に応じ勧告を行なう等、保安確保のため諸般努力を重ねてまいったところでありますが、不幸にして昨年山野鉱をはじめ重大災害が相次いで発生いたしましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  このような状況にかんがみ、労働省といたしましては、今後とも、総合的な保安確保のための施策推進するため、通商産業省との連携を一そう密にして、石炭鉱山における労働者災害防止に遺憾なきを期してまいりたいと存じます。  また、不幸にして事故にあわれた労働者保護につきましては、かねてから労災保険制度充実につとめてきたところでありますが、特に、一酸化炭素中毒患者に対する医療対策につきましては、三井三池災害の発生以来、これが対策に万全を期するとともに、さらにその充実を期するため、産炭地付近労災病院高圧酸素室及び精神神経科の設置、救急車その他救急器材配置等を行なうとともに、九州大学、北海道大学等の大学に対し、一酸化炭素中毒に関する医学的研究を委託しているところであります。  さらに、労災保険給付につきましても、昨年の通常国会において労災保険法の一部を改正する法律が成立し、本年二月以降は、障害補償給付年金の範囲の拡大遺族補償給付年金化等給付内容の大幅な改善が行なわれることとなりましたので、その円滑な施行につとめ、被災労働者及びその遺族保護に万全を期してまいる所存であります。  以上、当面の諸施策について所信の一端を申し上げた次第でありますが、今後とも各位の御意見を十分拝聴しながら行政の推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。      ————◇—————
  6. 野田武夫

    野田委員長 次に、去る二月十七日付託になりました内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府にその礎案理由説明を求めます。小平労働大臣
  7. 小平久雄

    小平国務大臣 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  石炭鉱業合理化に伴う炭鉱離職者援護対策につきましては、昭和三十四年炭鉱離職者臨時措置法の制定以来、同法に基づき、その職業及び生活の安定に資するための諸般施策を講じ、炭鉱離職者の再就職促進につとめてまいったところであります。特に、昭和三十七年には、石炭鉱業総合的対策を確立するため石炭鉱業調査団が編成され、同調査団は、同年十月、石炭鉱業近代化合理化及び雇用に関する対策についての答申を行なったのでありますが、政府におきましては、この答申に基づき、新たに合理化に伴う炭鉱離職者に対する炭鉱離職者求職手帳発給及び就職促進手当支給等制度を設け、炭鉱離職者対策強化充実をはかることとし、昭和三十八年四月からこれを実施してまいっておるのであります。  この就職促進手当制度は、炭鉱離職者求職手帳発給を受けた炭鉱離職者に対し、失業保険金支給終了後その支給期間も含めて三年間、引き続き日額最高四百五十円の手当を支給し、もって、その者が再就職するまでの生活の安定と求職活動円滑化をはかるものでありまして、昭和三十八年八月以降はこれに扶養加算をすることにより制度を改善し、他の援護対策と相まって炭鉱離職者の再就職促進を進めてまいったのであります。  しかして、最近の炭鉱離職者失業保険金日額別分布状況あるいはまた産炭地の再就職賃金等状況にかんがみ、この際、本制度創設当初の諸事情の変化を十分考慮して、手当日額最高限度を四百五十円から五百七十円に引き上げることとしたものであります。  以上、この法律案提案理由につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 野田武夫

    野田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 野田武夫

    野田委員長 続いて石炭対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十一年度通商産業省所管石炭関係予算及び提出法案について政府説明を求めます。井上石炭局長
  10. 井上亮

    井上政府委員 お手元に昭和四十一年度石炭関係予算の表が出ておりますので、これに基づきまして、まず石炭関係予算の御説明を申し上げます。  まず第一に、石炭鉱業合理化事業団出資金でございますが、これは、内容といたしまして、大規模近代化資金出資金中小炭鉱機械化出資金、新鉱開発出資金保安施設整備出資金流通合理化出資金という内訳になっておりますが、これらを合わせまして近代化資金出資金といたしまして、六十二億七千七百万円の予算が計上されたのでございます。  なお、この中で特に制度的に新たに拡大強化されましたものといたしましては、新鉱開発出資金がございます。これは、従来の融資率は四割でございましたが、四十一年度から融資比率は五〇%に引き上げることにいたしました。  それからなお、保安施設整備出資金でございますが、これは、本年度七億九千万円に対しまして、  来年度は相当な伸びを見せまして、十七億五千四百万円。この内容につきましては 従来からの保安施設融資と、今度新たに保安抗道の掘進助成が入ったわけでありまして、融資比率は、ほとんど大部分が五割、一部三割のものもございますが、そういうことになっております。  それから、次に、(2)といたしまして、炭鉱機械化促進出資金。これは新規でございます。これは名前が少しわかりにくい表現になっておりますが、簡単に申しますと、炭鉱機械化促進のために貸与制度を新設することに伴います予算でございまして、来年度年度でございますので、金額は三億でございますが、これは今後拡大されるものと考えております。三億のうち、大体いま考えておりますのは、大手炭鉱につきましては、最新鋭機械、これを貸与して十分習熟させるということ、それから、中小炭鉱につきましては、最新鋭というわけにもまいりませんが、できるだけ中小炭鉱助成趣旨に沿った機械化促進という意味で機種を選んでまいりたいというふうに考えております。  それから、(3)といたしまして、石炭運賃延納保証基金出資金が五千万円が出ておりますが、これは、御承知のように、国鉄運賃が値上がりになったわけでございまして、石炭関係につきましては約一年間全額延納を認められておるわけでございますが、国鉄に対して運賃の支払いを延納いたしますに際しまして、特に中小炭鉱におきましては担保とか保証人等関係が必ずしも十分でありませんので、石炭鉱業合理化事業団保証業務を営むという、そのための基金出資金でございます。  それから、大きなカテゴリーといたしまして、第二の問題は炭鉱整理費でございます。これはいわゆるスクラップ・アンド・ビルド政策の一環としてのスクラップ政策になるわけでございますが、これは、四十年度は四十三億でございますが、来年度は三十五億と減っております。これは、閉山炭鉱閉山のトン数が来年度はことしよりも減りますので、その関係予算が減っておりますが、来年度といたしましては、大体ただいま見通しております整理促進交付金対象になります閉山山は三百二十二万九千トンというふうに予定いたしております。なお、これと並びまして、特に保安関係の不良な山につきましてはこれを買いつぶすという制度が従来からあるわけでございます。保安勧告によってつぶすという制度がありますが、これは二十万トンを予定いたしております。合わせまして三十五億の予算が計上されております。  次は、大きな3でございますが、石炭鉱業合理化資金利子補給金制度でございます。この制度は、御承知のように、本年度から新設された制度でございまして、本年度は一応半期分の九億五千万円が予算として計上されておりますが、来年度は、対象拡大し、補給比率も手厚くいたしまして、予算額としましては五十億三千二百万円の予算が計上されております。内容といたしましては、従来、財政資金融資残高につきましては、これは一般的なものは三%の利子補給でございましたが、来年度から、財政資金の旧債につきまして、これは四十年三月末現在の残高でございますが、これに対しまして全額利子補給、六・五%の利子補給ということにいたしました。なお、市中銀行からの残高につきましても、特に苦しい企業、まじめにやっているけれども苦しい企業につきましては三%の利子補給をいたしたいということでございます。  それから、次は四番目でございますが、これは新規制度でございます。炭層探査についての補助金制度を新設いたしまして、これは二億七千万円ついたわけでございます。炭層探査につきましては、二、三年先に掘るべき地点の炭層探査が各社とも非常におくれておりまして、どうしてもやはり目先の金に追われますので、二、三年先の安定出炭のために必要な炭層探査がおろそかになっておるわけでございますが、こういうことでは安定出炭の実があげられませんので、符に炭層探査につきましては補助制度をとりまして、五〇%の補助をいたしております。これが二億七千万円でございます。  五番目といたしましては、石炭技術振興対策費二億五千六百万円。  六番目は、これは電力用炭出資金でございますが、これは来年度はございません。  七番目といたしまして、産炭地域振興対策でございますが、これは、本年度二十五億に対して、来年度は二十八億の予定でございます。金額的の伸びは少ないわけでございますが、内容的には新規項目が三点新たに認められております。  三点の内容につきましては後刻法律改正の問題で触れさしていただきたいと思いますが、この中で、工業用水造成事業、これが産炭地域振興事業団業務として認められたということ。それから、産炭地に誘致しました企業長期運転資金の貸し出しができる制度が認められたこと。それから、もう一つは、出資事業といたしまして、産炭地域にふさわしい新規事業を営みます場合に出資事業ができる。ここでいま新規に五千万円認められておりますが、ただいま予定いたしておりますのは、ボタ山ボタを利用いたします軽量骨材製造業に対しまして出資をいたしたいということでございますが、この三点が新規に認められた産炭地域振興事業団事業でございまして、その予算がこの中に計上されておるわけでございます。  それから、次は、産炭地域小水系用水開発事業費補助金。これは、先ほど申しました産炭地域振興事業団がみずから行ないます工業用水供給事業と別に、ここに掲げております予算は、飯塚市が直営で久保白ダム用水をやるわけでございますが、これに対する補助をいたしたい。それと、先ほど申しました事業団がやります鞍手に対する補助と、合わせて七千六百万円を計上しております。  それから、(4)といたしまして、産炭地域振興事業債調整分利子補給金といたしまして、ことしは一千万円でございますが、来年は四千万円を計上いたしております。これは、御承知のように、県が産炭地域振興のために起債事業をするというときに、一定の比率につきまして、新産都市と同じような制度、同等の制度に基づきましてその利子補給をするという制度でございます。  それから、最後に、鉱害対策でございますが、本年度八億六千万円に対して、来年度十三億四千万円と書いてございますが、これは通産省関係鉱害対策関係予算でございまして、他省を合わせますと、備考欄通産分、他省分と書いてございますが、鉱害対策予算としましてはむしろ他省を含めた予算が全貌でございまして、来年度補助金といたしましては、鉱害復旧といたしまして四十二億円の予算が計上されることに相なったわけでございます。なお、通産省関係といたしまして、鉱害基金に対する出資金が本年度並みの三億認められたこと。それから、特に新規の問題といたしましては、無資力鉱害の毎年賠償調整交付金、これは、この石炭対策特別委員会におきましてかねがね懸案になり問題になっておりました無資力農地鉱害につきまして、これは無資力でございますから毎年賠償ができない、復旧におくれる、そのために被害農民が非常に困っておられたのでございますが、これに対しまして国から調整交付金を支出するという制度新規に認められたわけでございまして、その予算が計上されております。  その他合わせまして、石炭局関係予算といたしましては、百九十九億九千九百万円、約二百億の予算が計上されております。ただ、先ほども御説明いたしましたように、この中には、通産省の部局の取り扱いの関係といたしましては、最初に御説明をいたしました保安施設整備出資金十七億、これは実際問題としては保安局がこの運用に当たるということに相なります。  それから、次に、保安局長がただいまの調査団と九州に行っておりますので、便宜私から説明申し上げますが、石炭鉱業特別対策としまして、これは保安局のほうですが、一億八千百万円。これは危険ボタ処理等の問題につきましてこれだけの予算がついております。  次に、御参考までに労働省関係と、それから石炭鉱害復旧の他省分が載せてありますが、労働省関係は後刻労働省側から御説明願うことといたしまして、石炭全体といたしましては、総合計に書いてありますように、本年度の二百二十六億に対しまして、来年度は二百八十一億、こういう予算に相なっております。  最後に、財政投融資でございますが、簡単に御説明申し上げます。  開発銀行は今年度横ばいの百十億ということに相なっております。それから、合理化事業団整備資金は、本年度十五億に対して、来年は五億計上されております。この五億は明治関係の分だけになっております。それから、産炭地域振興事業団は本年度横ばいの三十八億。鉱害基金は、財投として、本年度十一億に対しまして、来年度十三億、本年度よりも来年度は減っておりますが、これは、大蔵省と私どもの話し合いにおきましては、石炭関係は、御承知のように石炭鉱業審議会資金経理部会あるいは経理審査会におきまして個別の検討をいたしまして、必要のあるつどに補正を考えるというようなしきたりになっておりますので、そういう運用で必要な資金確保につとめてまいりたいというふうに考えております。  以上、簡単でございますが、予算関係説明を終わります。  それから、引き続きまして、まだ正式に提案理由は済んでおりませんが、大臣所信表明にありましたように、石炭関係といたしましては三法の改正法案をお願いいたしたいというふうに考えております。その三法の改正の概要につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。  まず最初に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案でございますが、この改正の要点の第一は、石炭鉱業合理化事業団業務に二つ新しい追加をいたしたい。第一点は、先ほど予算で御説明いたしました機械貸与制度、この業務を行なうこと。それから、第二の業務追加といたしましては、鉱区調整のために必要があります場合には、合理化事業団が消滅しました鉱区につきまして採掘権の取得をし、それを中小炭鉱等の所要の炭鉱に処分する、譲渡するという業務でございます。  それから、次には、先ほど予算で御説明しましたように、運賃延納にからみまして基金制度をつくる予算を御説明いたしましたが、この延納保証業務を四十二年三月三十一日まで延長するという点でございます。  それから、なお、今度の改正の中で一番やっぱり大きな問題になりますのは、先ほど申しましたような鉱区調整のために従来買いつぶしました消滅鉱区の復活とその活用の問題でございまして、それにつきましては、通産局長は、事業団鉱区消滅区域の全部または一部を区域とする採掘権の設定または採掘鉱区の増加の出願をしました場合には、それを開発することが著しく合理的であるという通産大臣の確認を受けておりますときには、その出願を許可することができるというような規定を設けておるわけでございまして、これによりまして、従来消滅鉱区隣接地域にある炭鉱が、その消滅鉱区を活用さしてもらえばより合理的な開発なりより有利な経営が可能であるにかかわらずできなかったことを、今回できるようにしようという趣旨でございます。  以上が石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案改正の概要でございます。  それから、次に、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案でございますが、これは、御承知のように、産炭地域振興臨時措置法有効期間が本年の十一月に切れますので、これをさらに五年間延長いたしたいと考えておるわけであります。その延長の規定でございます。あわせまして、この法律の中にうたっております産炭地域振興審議会の設置期間も、これと並べまして五年間延長いたしたい、これが改正の骨子でございます。  それから、次に、三番目の改正法案といたしまして、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案でございますが、これは、先ほど予算の面で御説明しましたように、三つの新しい業務拡大いたしたいという改正でございます。それと関連いたしまして、従来慣例になっております監事の職務権限につきまして修正を加えたこと。特に、役員の欠格条項につきまして、国会議員等が欠格条項に入っておったわけですが、これを改めまして、政府職員のみが欠格条項というように改正した点でございます。  以上、簡単でございますが、国会にただいま提出いたしております三法案の改正の要点の御説明を終わりたいと思います。
  11. 野田武夫

    野田委員長 続いて、昭和四十一年度労働省所管の石炭関係予算について政府説明を求めます。有馬職業安定局長。
  12. 有馬元治

    ○有馬政府委員 四十一年度離職者対策関係予算につきまして、お手元の資料で概要を御説明申し上げます。  最初に、炭鉱離職者の援護業務費ですが、事業規模は十六億でございます。これに対する国庫補助金は十四億四千万円で、あとの一割は合理化事業団の交付金でございます。それから、本年度に比較いたしまして減額になりましたおもなものは移住資金関係の経費でございますが、これは、合理化に伴う離職も逐次減少いたしまして、本年度合理化離職の規模を一万三千人と予定したのでございますが、四十一年度は一万一千人程度の規模を予定しておるからでございます。  それから、二番目に、炭鉱離職者緊急就労事業費でございますが、総額におきまして、本年度の二十五億六千万円に対し、四十一年度は二十六億六千万円を計上いたしておりますが、内容につきましては、吸収人員を五千四百名、それから事業費単価を千九百円にいたしております。それから、訓練関係でございますが、訓練の規模は本年度よりもかなり減りまして、訓練関係指導員、職員等の人件費の単価増が逆にございましたので、金額といたしましては大体本年度程度の金額になっております。  次に、就職指導関係の経費でございますが、就職促進手当は、対象人員は本年度よりも若干下回りまして、それに見合って金額が当然減ってまいるわけでございますが、先ほど大臣所信表明でも申し上げましたように、最高日額を現在の四百五十円から五百七十円に引き上げることといたしております。それから、広域職業紹介関係につきましては、これも対象人員が減ってまいりましたので、金額は今年度と比べまして多少減っております。  なお、このほかに、移転就職者用の宿舎でございますが、来年度も今年度と同様に一万戸を予定しており、炭鉱離職者の再就職に積極的に役立ててまいりたいと考えておるわけでございます。  したがいまして、移住資金就職促進手当の経費が大幅に減りましたので、総額におきましては、今年度の五十八億三千万円に対しまして、来年度は四十六億八千万円の予算を要求しておる次第でございます。
  13. 野田武夫

    野田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会