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1966-06-24 第51回国会 衆議院 商工委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十四日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君      稻村左四郎君    内田 常雄君       小笠 公韶君    海部 俊樹君       神田  博君   小宮山重四郎君       田中 六助君    竹山祐太郎君       中村 幸八君    三原 朝雄君     早稻田柳右エ門君    石野 久男君       大村 邦夫君    加藤 清二君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       實川 清之君    島口重次郎君       田中 武夫君    山崎 始男君       麻生 良方君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  國井  眞君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  鹿野 義夫君         大蔵事務官         (関税局長)  谷川  宏君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (貿易振興局         長)      今村  昇君         通商産業事務官         (企業局長)  熊谷 典文君         通商産業事務官         (重工業局長) 高島 節男君         通商産業事務官         (重工業局次         長)      赤澤 璋一君         通商産業事務官         (化学工業局         長)      吉光  久君         通商産業事務官         (繊維局長)  乙竹 虔三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      安達 次郎君         特許庁長官   川出 千速君         中小企業庁長官 影山 衛司君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         議     員 海部 俊樹君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      田代 一正君         通商産業事務官         (通商局次長) 原田  明君     ————————————— 六月二十四日  委員五島虎雄辞任につき、その補欠として加  藤清二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤清二辞任につき、その補欠として五  島虎雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律案田中榮一君外八名提出、衆法第五四  号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  請 願   一 豪雪地帯対策の確立に関する請願湊徹     郎君紹介)(第一二四八号)   二 鉱業法第三条改正に関する請願西岡武     夫君紹介)(第一五四三号)   三 発明行政制度改善に関する請願田口長     治郎君紹介)(第一五四四号)   四 工業所有権制度改正に関する請願(小渕     恵三君紹介)(第一六〇五号)   五 中小機械貸与企業育成に関する請願(藤     枝泉介紹介)(第一六〇六号)   六 中小企業合理化機械貸与制度創設反対に     関する請願稻村左四郎紹介)(第     一六九七号)   七 薬局及び薬店の体温計販売に関する請願     (相川勝六紹介)(第一八〇一号)   八 同(片島港君紹介)(第一八〇二号)   九 電気工事業法制定に関する請願池田清     志君紹介)(第二一三五号)  一〇 川内川河口地区原子力発電所設置に関     する請願池田清志紹介)(第二一四     二号)  一一 中小業者生活営業擁護に関する請願     (加藤進紹介)(第二一八二号)  一二 キッチンツール輸出規制反対に関す     る請願天野公義紹介)(第二五六三     号)  一三 電気工事業法制定に関する請願栗山礼     行君紹介)(第二八七九号)  一四 中小企業団体の組織に関する法律の違反     業者制裁処分に関する請願中馬辰猪君     紹介)(第二八八〇号)  一五 中小企業合理化機械貸与制度創設反対に     関する請願田中榮一紹介)(第三四     三九号)  一六 同外四件(佐々木秀世紹介)(第三四     四〇号)  一七 電気工事業法制定に関する請願横山利     秋君紹介)(第四〇七九号)  一八 同(勝澤芳雄紹介)(第四一七四号)  一九 鹿児島県の石材利用推進に関する請願     (池田清志紹介)(第四〇八六号)  二〇 鹿児島県の石材工業育成に関する請願     (池田清志紹介)(第四〇八七号)  二一 中国経済貿易展覧会開催に関する請願     (小川平二紹介)(第四二九五号)  二二 同(唐澤俊樹紹介)(第四二九六号)  二三 同(小坂善太郎紹介)(第四二九七     号)  二四 同(羽田武嗣郎紹介)(第四二九八     号)  二五 同(吉川久衛紹介)(第四三二三号)  二六 同(下平正一紹介)(第四三二四号)  二七 同(中澤茂一紹介)(第四三二五号)  二八 同(倉石忠雄紹介)(第四四三〇号)  二九 同(原茂紹介)(第四四三一号)  三〇 同(増田甲子七君紹介)(第四四三二     号)  三一 電気工事業法制定に関する請願田中榮     一君紹介)(第四三〇七号)  三二 同(田中榮一紹介)(第四三七九号)  三三 同(田中榮一紹介)(第四四一六号)  三四 中国経済貿易展覧会開催に関する請願     (井出一太郎紹介)(第四四九八号)  三五 電気工事業法制定に関する請願麻生良     方君紹介)(第四五五七号)  三六 同(綾部健太郎紹介)(第四五五八     号)  三七 同(伊藤卯四郎紹介)(第四五五九     号)  三八 同(岩動道行紹介)(第四五六〇号)  三九 同外一件(浦野幸男紹介)(第四五六     一号)     号)  四〇 同(江崎真澄紹介)(第四五六二号)  四一 同(小川平二紹介)(第四五六三号)  四二 同(大石武一紹介)(第四五六四号)  四三 同(大久保武雄紹介)(第四五六五号)  四四 同(唐澤俊樹紹介)(第四五六六号)  四五 同(倉石忠雄紹介)(第四五六七号)  四六 同外一件(藏内修治紹介)(第四五六八     号)  四七 同(久野忠治紹介)(第四五六九号)  四八 同(小泉純也君紹介)(第四五七〇号)  四九 同(小坂善太郎紹介)(第四五七一号)  五〇 同(小平久雄紹介)(第四五七二号)  五一 同(小宮山重四郎紹介)(第四五七三     号)  五二 同(小山省二紹介)(第四五七四号)  五三 同(四宮久吉紹介)(第四五七五号)  五四 同(鈴木善幸紹介)(第四五七六号)  五五 同(田中榮一紹介)(第四五七七号)  五六 同外二件(田中六助紹介)(第四五七八     号)  五七 同(高橋清一郎紹介)(第四五七九号)  五八 同(高瀬傳紹介)(第四五八〇号)  五九 同(竹谷源太郎紹介)(第四五八一号)  六〇 同(竹山祐太郎紹介)(第四五八二号)  六一 同外二件(中島茂喜紹介)(第四五八三     号)  六二 同(中村幸八君紹介)(第四五八四号)  六三 同(丹羽兵助紹介)(第四五八五号)  六四 同(西岡武夫君紹介)(第四五八六号)  六五 同(西村直己紹介)(第四五八七号)  六六 同(増田甲子七君紹介)(第四五八八号)  六七 同(南好雄紹介)(第四五八九号)  六八 同(羽田武嗣郎紹介)(第四五九〇号)  六九 同(藤尾正行紹介)(第四五九一号)  七〇 同(福井勇紹介)(第四五九二号)  七一 同(福永健司紹介)(第四五九三号)  七二 同(吉田重延紹介)(第四五九四号)  七三 中国経済貿易展覧会開催に関する請願     (松平忠久紹介)(第四七六二号)  七四 電気工事業法制定に関する請願伊藤卯     四郎紹介)(第五二七四号)  七五 同(内海清紹介)(第五二七五号)  七六 同(竹本孫一紹介)(第五二七六号)  七七 同(吉川兼光紹介)(第五二七七号)  七八 同(稲富稜人君紹介)(第五三〇九号)  七九 同(伊藤卯四郎紹介)(第五三一〇号)  八〇 同(鈴木一紹介)(第五三一一号)  八一 同(中村時雄紹介)(第五三一二号)  八二 同(門司亮紹介)(第五三一三号)  八三 同(今澄勇紹介)(第五三三六号)  八四 同(受田新吉紹介)(第五三三七号)  八五 同(春日一幸紹介)(第五三三八号)  八六 同(竹本孫一紹介)(第五三三九号)  八七 同外一件(竹谷源太郎紹介)(第五三八     〇号)  八八 同(西村榮一紹介)(第五三八一号)  八九 同(春日一幸紹介)(第五四七四号)  九〇 同(栗山礼行紹介)(第五四七五号)  九一 同(玉置一徳紹介)(第五四七六号)  九二 同(西尾末廣君紹介)(第五四七七号)  九三 同(永末英一紹介)(第五五〇九号)  九四 中国経済貿易展覧会開催に関する請願     (林百郎君紹介)(第五四五四号)  九五 台湾バナナアウトサイダー割当に関す     る請願關谷勝利紹介)(第五六二一     号)  九六 電気工事業を営む者の営業所登録等に     関する法律制定反対に関する請願(逢澤     寛君紹介)(第五六四七号)  九七 特許法の一部を改正する法律案等に関す     る請願岡崎英城紹介)(第五六四八     号)  九八 渡良瀬川の水域指定並びに水質基準設定     に関する請願外一件(坂村吉正紹介)     (第五七一二号)  九九 玩具、雑貨の輸出貿易振興に関する請願     (倉石忠雄紹介)(第五七二九号) 一〇〇 電気工事業法制定に関する請願小平忠     君紹介)(第五八五一号) 一〇一 同(吉川兼光紹介)(第五八五二号) 一〇二 同(麻生良方紹介)(第五九七七号) 一〇三 同(本島百合子紹介)(第五九七八号) 一〇四 短絡遮断試験設備設置に関する請願(原     茂君紹介)(第六〇二〇号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件並びに経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 会期末でありますので、いままで残っておりました幾つかの案件について、この際質疑をしておきたいと思います。  まず第一に、北陸電力値上げ問題について伺いたいと思います。  去る六月十六、七、八日、北陸電力値上げのための公聴会現地富山で行なわれたようでありますが、公聴会経過状況賛否色分け等について公益事業局長から報告をしていただきたいと思います。
  4. 安達次郎

    安達政府委員 では、先ほど富山におきましての公聴会についての報告を申し上げます。  この六月の十六、十七、十八日、三ヵ日間、富山において北陸電力料金改定に関する公聴会を実施いたしました。これは電気事業法に基づく手続として行なったものでございますが、その手続によりまして、あらかじめ陳述申し出を受けたわけでございますが、大体その数は五百六十七という従来に前例を見ないほどの大量の申し込みに接したわけでございます。これを大体公正な基準賛成反対、あるいは条件づきの賛成反対というようなグループ別にそれぞれ人員の配分をいたしまして、大臣指名を行なったわけでございます。それに基づきまして当日は二百四十名の出席を求めたわけでございますが、欠席七名を差し引きまして二百三十三名の陳述がございました。  それで一応、賛成する者百十六人、条件づきの賛成と見られる者二十八人、条件づきの反対、まあ一応反対であるけれども、やむを得ないときにはいろんな措置を行なうことによって極力その値上げ影響を狭めるようにというような条件づきの一応の反対と見られる者が三十五名、そして反対であるという者が五十四名というような結果になっております。  このうち特にここで御報告申し上げておきたいのは、いわゆる条件づきで意見を申し述べられた方々でございますが、これはおもに大口の需用家団体とか電解、電炉あるいは紡績などの各工場などが、いわば条件づきの反対ともいえるグループでございまして、いずれも原価の中に占める電力費のウエートが大きいから、この不況下においていささかなりとも料金値上げはとても耐えがたいというようなこと、それで電力が安いというのが北陸地区における唯一のメリットであったのが、それが失われるというのは困るというような意見、しかし料金改定には一応の反対立場はとらざるを得ないけれども、やむを得ない場合には経営合理化あるいは広域運営によるほかの電力会社協力等によって、その値上げの幅を極力圧縮するようにというような要望が強く出ておりました。  賛成反対の内容については省略いたします。  以上のようなことでございました。
  5. 板川正吾

    板川委員 賛否両論がありましたが、賛成は別として、反対論の論旨を要約するとどういうことが一番主張されましたか、どういう点が反対論の中心であったかということをひとつ個条書きであげてもらいたいと思います。
  6. 安達次郎

    安達政府委員 反対論を申し述べられた方々は、需用家団体の一部あるいは紙パルプ工業界あるいは印刷業あるいは一部の一般の個人の方々でございまして、おもにその大体共通の議論といたしましては、今回の値上げにまで立ち至った大きな原因一つには、昭和二十六年における電力再編成当時のいわゆる電源帰属が不適当であったからだというような議論、それから先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる生活環境がよくない、いわば産業立地といたしましても必ずしも優位を占めていない北陸において、たった一つ地域開発の誘因ともなり得た安い電力料金、これは日常の生活に恵まれない北陸地区に与えられた唯一の天恵である、その安い料金が今度安くなくなる、そういうことは何といっても耐えがたい、反対であるというような議論、あるいは議論のうちには、いわゆる北陸電力昭和三十五年でございましたか、有峰という大容量の貯水池式のダムを建設しております。その費用などが、確かに資本費の負担の高騰ということで今度の経営圧迫原因となったのでございますけれども、そういう有峰発電所などは、会社としてはもったいない、むだなんだから、これをよその会社なり政府なりに買い上げてもらいたい、そうすれば値上げの必要はなくなるじゃないかというような議論、あるいは電力会社一般に一割配当をやっておるのでございます。今度の北陸についても同じく一割の配当をやっておるわけでございます。それで実質的に赤字の経営になりながら一割配当を続けるというようなことは、いわゆる管内の需用家である各企業が減配ないしは無配というような状況のときに納得できないというような議論、そのような議論が多かったのでございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 反対論の中にはわれわれも首肯すべき点が多いのであります。そこでわれわれ第三者的に考えても、会社側北陸電力料金日本一安いんだから値上げをするのが当然だという言い方主張、説得のしかたというものは、私はこれはまことに不愉快な表現じゃないかと思うのです。北陸電力が安い電力を供給するということは、当初北陸電力が生まれるときからのそういう約束であったんですね。だから九電力のうちで安いのは当然であって、九電力のうちで一番安いんだから値上げしてもいいんだという言い方は、私はそういう主張北陸では通用しないのじゃないかと思うのです。それはやはり、どうしても値上げをしなくちゃならないような、また別個な説得力ある言い方がなくてはならぬじゃないか、こう思います。  そこで伺いますが、反対者理由の中で、電力会社だけが一〇%の配当を継続しておるのはけしからぬじゃないか、われわれは無配を続けておるし、あるいはようやく配当を若干復活した、しかしこれによってまた無配に転落せざるを得ない、こういうような主張をしておるのに対して、電力会社が一〇%を配当として維持しなければならないという客観的な理由妥当性というのはどういう点にあるのですか、この点をひとつ解明してもらいたいと思います。
  8. 安達次郎

    安達政府委員 お答えいたします。  電力事業は、御存じのように膨大な設備を要します設備産業でございます。同時に地域的な独占の権利を法令によって確保されております。独占事業でございます。それから当然出てくる義務といたしまして、いわゆる供給確保義務があるわけでございまして、将来生ずべき需用の増大、これに応ずるために膨大な設備投資を常に先行的に行なわなければならないというような性格を帯びているわけでございます。そこで北陸電力のように比較的規模の小さな会社でありましても、大体年間百億以上の設備投資を続けているというような状況になっております。この設備資金調達のためには、もちろん資金コストといたしましては外部資金が一番安いわけでございますけれども、しかし何としてもやはり自己資本比率はある程度まで維持しなければいけない。特に、先ほどちょっと触れました有峰建設の世界銀行の融資などの場合でも、やはり自己資本比率がある数値まで一応条件づけられているというような状況にもなっております。それでこの自己資本比率を確保し、そういう増資をして調達するということが当然必要になってくるわけでございますけれども、この場合に、他の電力八社が全部一割配当をいたしておりまして、北陸だけを半分なり八分なり七分なりでもいいというか。こうでの扱いは、増資による資金調達あるいはひいては社債の調達とかその他いろいろな面での影響が出てくるであろうということで、北陸だけを一割配当よりも下げるというようなことは、私たちは適当ではないのではないか。もちろん、電力全体の一割配当というのが適正な配当水準であるかどうかというのは、これは議論といたしましては、一般金利水準の問題なんかに関連いたしまして一応問題となろうかとも思いますけれども、一応ただいま他の電力会社は一割の配当をいたしておるということから、北陸電力も一割の配当は継続さしてやるべきだろうというふうに考えておる次第でございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 北陸の場合に、一〇%の配当というのは資金調達上どうしても必要だ、こういういまの説明ですが、株価から計算して一〇%の配当というのは利回りどのくらいになりますか。
  10. 安達次郎

    安達政府委員 大体八分くらいになっておるようでございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 八分見当とすると、一般金利水準からいうと、一〇%の配当維持ということはやや優遇されている条件になるのじゃないですか。ですから、いま局長が言った一般の八電力会社が一割配当しているのだから、北陸だけ一割を欠けたのじゃいかぬ、こういうことを言っておるのですが、これはいまの金利水準からいって北陸がどうしても一〇%配当しなくちゃならぬということには必ずしもならないように私は思う。それから、かつて日本金利が世界でも高いという時代なら別でしたが、いまや日本金利は世界的にも高いほうではなくなってきておるのですね。ですから、従来金利が非常に高いときに、公益事業電力会社が一〇%を維持しておったのですが、今日においては必ずしも一〇%を維持しなくてもいいのじゃないか。九%あるいは八%、外国の例からいえばもっと低いようでありますから、一〇%というのはやや優遇された計算ではないだろうか。どうでしょう。
  12. 安達次郎

    安達政府委員 先ほども申し上げましたように、一割の配当というのは、そういう金利水準との関係などからいっていろいろ議論の余地はある問題だと思います。ただ、現実の問題といたしまして、増資の募集をいたしまして、やはり増資に応じてもらうということからまいります場合に、他の各社との間に格差をつけるということは適当ではないと思いますし、現に従来の増資自主規制というようなことで、証券業界などが自主的にやっておりますようなそういう基準なんかにおいても、一応増資後に一割配当が可能な企業にというような基準なんかもあったやに記憶しておりますが、ただいまのところでは一割配当で適当ではないかと考えております。
  13. 板川正吾

    板川委員 それでは次に議論を移しますが、通産大臣経済企画庁長官に伺います。  電力値上げが相次いで行なわれてきておりますが、中部電力さきに上がり、今度は北陸電力、次にはさらに東北か、あるいは他の地域ということになる可能性もあるのでありますが、この値上げを防止する方法についてどういうふうな対策なり考え方を持っておられるか、通産大臣からひとつ伺いたいと思います。
  14. 三木武夫

    三木国務大臣 次々に電力料金値上げというものは考えていない。長い将来はともかく、当分電力料金値上げをするような事態は起こってこないと見ております。北陸は、いろいろ公益事業局長からも御説明申し上げましたように、今回改定をせざるを得ない現状でありますが、できるだけその値上げの幅を押えるために電力広域運営という考え方最大限度に活用して、できるだけ値上げの幅を押えたいという方針でいまいろいろ検討をいたしておるわけであります。まだ経済企画庁のほうにまで御相談する段階ではない。私のほうでそういう方針のもとで検討を加えておる最中でございます。
  15. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 北陸電力の問題は、まだ通産省で通産行政の上で御検討になっておりまして、私どもにまいっておりません。御相談がありますれば、われわれも物価問題その他の立場から検討してみたい、こういうふうに考えております。将来の問題としては、現状のままにおいてできるだけ広域運営をしていただいて、諸種の事情の違ったところを調整していただくのが適当ではないかと思いますし、電力問題の根本については今後大きな問題として十分検討していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  16. 板川正吾

    板川委員 国税庁がさきに発表した四十年度の法人申告所得ベストテンというものによると、関西電力日本銀行に次いで第二位をなし、実質的には、日本銀行はああいう機関で民間ではありませんから、日本第一位の所得をなしておる、こういうことになり、他の電力会社ベストテンの中に三つも入っておる。ということは、電力事業というのが非常に安定した高収益を得ておるということを物語っておると私は思うのであります。電力事業全般が非常な高収益を得ておるのは企業努力という説もあるでしょうが、私は、何よりも燃料革命によって従来の石炭から重油に変わり、しかもその重油の価格が大幅に下落しておる、こういうところに高収益最大原因があるだろう、こう思うのです。そこで一般的に言うならば、従来電力会社料金原価計算の場合には、予定されたよりもはるかに安いいい条件ができておったのになかなか値下げはしない、こういう状況であります。しかし値下げしないならば、私は電力会社がもっと社会に対して奉仕するという気持ちを持たなければならぬと思うのです。独占を社会から与えられておる。しかもそういった燃料革命によって、はからずも非常な収益を得ることができたということであれば、やはり社会に対して奉仕するという気持ちを公益事業者として持たなければならないのじゃないか、そう思うのです。これは余談でありますが、ある収益第一位の会社の重役が、どうも政府は高い石炭を売りつけて困るから、ぜひ社会党反対してくれという、実は陳情を受けたことがあるのです。これはおそらく、社会党は何でも反対してくれる政党だから、そういう反対陳情でも持ち込めば反対するだろうと思ったらしいのですが、私は一言のもとに拒否いたしました。そこの例にもありますように、どうも独占体として社会から与えられた恩恵を全く無視して、利己主義に走っている感じがないでもないと思うのです。そこで通産大臣に伺いますが、広域運営をやるというのですが、具体的にはどういう方法で広域運営をやって、この値上げをやめさせるなり、あるいは最小限にするなりという方法をやろうとしておるのですか。具体的な方法はどうお考えですか。こまかいことは、また局長から聞いてもいいのです。
  17. 三木武夫

    三木国務大臣 関西とか中部、東京、これに北陸電力等、関連を持っておる電力会社値上げの幅をできるだけ少なくするように協力をしてもらいたい。したがって、これは全然関連のないものは協力するわけにはいきませんが、そういう会社北陸電力電力の供給などに関連を持っているわけでありますから、そういう点を大所高所から考慮して、値上げの幅をできるだけ押えることに協力をしてもらいたいという考えでありますが、具体的なことは公益事業局長からお答えいたします。
  18. 安達次郎

    安達政府委員 御説明申し上げます。  ただいま大臣からお答えいたしましたように、関係の三社に対しては、協力の要請をいたしておりまして、ただいま三社において鋭意その具体的な方式を練っております。そこで大体考えられる考え方といたしましては、やはり電力の融通ということを通じて協力を行なってもらう形になろうかと思います。その具体的な姿といたしましては、たとえば、今度の北陸電力経営を圧迫した最大原因が、いわゆる新しい電源開発に伴う資本費の高騰にあるというような事情にかんがみまして、ただいま同社の持っております電源開発計画を若干繰り延べする。繰り延べすることによって当然将来における供給力のどこかで穴があくわけでございますが、その時点においては関連の電力会社より、当然制度として許されるごく割安な料金での融通を行なうという方法。あるいはただいまにおきましても現に北陸電力と関西電力との間では、大阪発電所という関西電力発電所に、北陸電力に供給するために一基増設したのが大阪火力発電所四号機でございます。これなり、あるいは中部電力が同じように北陸電力に供給する目的で設備した設備もございまして、四日市火力発電所のうち一台がございます。その四日市火力発電所、大阪火力発電所の融通料金の再検討というような形で、結果としては北陸電力にメリットが出るというような形での協力を要請することになろうかと思います。具体的にどのような方法がいいか、それによってどの程度のメリットが出るのか、それを連日のように各社集まって現実に検討中のようでございまして、ただいま私の手元にその報告が参っておりませんので、具体的に申し上げるわけにまいりません。
  19. 板川正吾

    板川委員 反対論の中にも広域運営の問題で大阪火力発電所の問題を取り上げております。これは私も、いろいろの事情があるかもしれませんが、反対者意見賛成であって、大阪火力発電所は、この際何とか関西、中部電力に引き取ってもらうような方法はできないものか。従来建設に対するいろいろないきさつがありますから、なかなかむずかしい点もわかりますが、これは広域運営の中で解決することができないだろうかという感じを持っております。北陸は、北陸の人たちが言いますように雪が非常に多い。年間四カ月間も休むという状況である。したがって企業活動には雪が多いために非常に不利な地域である。しかしその雪が多いということは、一面水が多いということに通じて、安い電力が供給されるという有利さを持っておる。だから北陸地域には、冬場の不利をしのいで、電力が安いという前提で電力を使う企業が集まってきておると思うのであります。北陸地域で現在発電されておる水力発電というものは全体で二百万キロワット・アワー、そのうちに北陸が使っておるのが約百十万、関西が使っておるのが九十万ですから、四五%、大体半分近くは関西電力北陸の水力を使っておる。こういう実情にあるわけであります。水力発電は最初は石炭燃料がないときには唯一の燃料源として非常に渇望されたし、優位性を持っておりました。現在火力による大容量発電ができますと、水力はピーク用として非常な価値を持ってきておる。したがって北陸の水力発電というものの半分近くを関西電力が取っておるのであるから、北陸地域の住民に、関西電力が相当奉仕してもいいじゃないか、こういう要求を地域住民として持っておることも、われわれは理解できるのであります。しかも大阪火力の契約単価は三円六十六銭と非常に割高である。いま大容量火力であれば二円五十銭か六十銭程度でできるのでありますから、そういう意味で大阪火力発電所をひとつ関西で引き取ってもらうことによって、値上げ幅を少なくするなり、あるいは値上げを押えるなりの方法はできないものだろうか。広域運営最大限に活用するというならば、その辺ができないだろうかと思うのでありますが、いかがですか。
  20. 安達次郎

    安達政府委員 お答えいたします。大阪火力発電所は、確かに設立当時は北陸地区に石炭の輸送費がかさむために、北陸地区に石炭火力を建設することがむずかしかったということから、関西に委託して建設してもらったというようないきさつになっておるものでございます。したがって、そういう条件で設立しましたものを、全部今度はその契約がなかったことにしてしまってはという議論は、議論として考えられますけれども、これは当事者がよほど意見が一致しなければなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思います。しかしおっしゃるように大阪火力発電所の原価が石炭火力をベースとした高いものである、これを下げるためのいろいろな考え方、これはいろいろあるわけでございます。これはいま関係会社意見調整中でございますので、詳細はまだ私も承知しておりませんけれども、たとえば大阪火力発電所から北陸電力が買い取った電気を北陸に運ばずに大阪で消費してしまって、逆に関西電力北陸から大阪に送るべき電気を地元に落とすというような形で、たとえばロスがなくなるわけでございますから、送電ロスのそういうメリットも出てくるし、これは現にいままでも出ておるわけでございます。あるいはそういう大阪火力発電所の高いコストの電力を部分的にまたもう一度関西電力が買い戻すという形で融通電気料金のいろいろな算定の面で、たとえば基本料金、従量料金というような計算のいろいろな形で、現実に北陸が大阪火力発電所から受けるべき電力の単価がぐっと安くなるというような形を導き出す技術的な方法もいろいろあって、それを研究中のようでございます。そういう契約がなかったことにしてしまってはどうだ、全部破棄といいますか、そういうのはちょっといかがかと思いますけれども、現実にはおっしゃるような目的に合致するような形での大阪火力発電所からの融通料金の引き下げという形での具体的な方法を目下研究中であるということをお答え申し上げておきます。
  21. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁長官が御用のようですから、長官に伺いますが、経済企画庁電力の体制問題について前々から非常な検討もされておるし、関心も持っておると思うのです。いまの大阪火力の問題、お聞きのとおり大阪で火力発電をしておる、石炭火力でやっておる。しかしその電力は大阪から北陸に売っているのではないのです。大阪で使っているのです。北陸で頼んで大阪で火力発電をつくってもらったという形になっておる。その電力は大阪で使っておる。そのかわり関西電力が持っておる北陸の水の電力北陸で使っておる。しかし計算上では、北陸電力が大阪火力発電所から三円六十六銭のコストの電力を自分で使っておるという計算になっておる。計算にはなっておるけれども、実態はそうじゃないというように、これは前々から広域運営の一番はしりのようだったのであります。そういう運営をされておる。昭和二十六年の電力再編成のときに実は関西電力北陸とは一社でやるのがいいという案があったそうであります。しかしそれが最終案とはならなかった。当時北陸のほうで関西から独立してやったほうがいいという希望もあったようであります。そういうことで二社になったというのですが、実は当初は一社案すら考えられておった。そういうお互いに非常に密接な関係を持っておる。また広域運営というものができないうちに大阪火力問題を両社間で協定をし、融通し合っておる、こういう情勢であります。  ところで電力業界の権威者である松永安左ェ門さんが、六月の一日にこういった新聞記者談話を発表しておりますね。  それは、いまの九電力体制は、いわばやむを得ず出発したいきさつがある。このため数年前、私は、いま採算悪化で悩んでおる北陸と中部と、さらに採算が非常によい関西の三電力を一社にするとかすれば、企業格差は自然に吸収されるだろうという構想を明らかにしたことがあるが、そのとき私の言い分を聞いて整備しておけば、北陸はいまよりもっとよくなっていたと思う。いまのように問題がなかったと思う。こういう趣旨の談話を松永さんがやっておるのですね。電気事業法をわれわれが審議をしたときに、電気事業法の審議会の答申も、現行九分割の体制というものが必ずしもいいとは考えていない。しかし、当面これを変えるだけの強い理由、変えることによってよくなるというものがいまのところないから、不満だけれども、九分割そのままで認めていくほかはないのだ。しかし将来、あちこち値上げをするようなことであれば、これは積極的にこの体制問題等も考えていかなければならぬだろう、こういう趣旨のことも電力問題の審議会で電気事業法の答申の際にいっておるのですね。体制問題はその審議会においても、必ずしもいまのままでいいとはいっていない。また松永さんは御承知のように、いわゆる四ブロック案というのを立てておるのですね。こういうように考えてくると、四ブロック案の一環として、はしりとして、関西、中部、北陸というのが、この際このブロックで一体化して一本化することが、いわゆるその部分だけ松永案の趣旨——当面やってみたらどうかというようなことが、この際妥当ではないか、こう思うのですが、非常に関心を持っておる経済企画庁として、この問題をどうお考えでしょう。
  22. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 電力問題はわが国産業の基礎的な問題でございますので、将来長くこの問題は十分な検討をしてやっていかなければならぬ問題だと思います。特に、たとえば水力発電がある程度限界にきているということ、あるいは石炭にかわる重油燃焼という問題も出ておりますし、将来原子力の問題もございます。したがって、こういう新しい事態に立って電力の問題をもう一ぺん検討してみることは、私はある時期には必要じゃないか、同時に地域開発ということを考えてみますと、それに対応するような開発料金というものもある場合には考えていかないと、過密都市対策ということを考えまして、全体の日本経済のあり方も考えていく場合に必要じゃないか、新しい問題としてそういうふうにもわれわれが考えなければならぬ問題がいろいろございます。したがって、こうした問題は——しかし非常に大事な問題でございまして、一ぺん何か方針をきめてしまいますと、また抜き差しならぬことになりますから、これらの新しい事態に対応するような問題点を十分考えながら慎重に審議していく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておる。したがって、当面の問題として中部、関西、北陸の三つをそのまますぐに一緒にしてしまうことがいいかどうかという問題についても、そうした全体の問題を考えながら、やはり考えていかないといかぬと思うのでありまして、急速にいずれの方針にきめるかということについてはあれでございますけれども、長期の日本経済の基本的なエネルギー問題として、十分私は、ある時期に検討して方針をきめていく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  23. 板川正吾

    板川委員 この体制問題は、やがてくる原子力開発の問題ともからんでくると思います。ぜひひとつ検討を進めてもらいたい、こう思います。それでは長官けっこうです。  そこで、これは局長に伺いますが、最小限値上げせざるを得なくなった場合には、この地域の産業があまりいんしん産業でない、しかも電力が原価の中に占める割合が三割から四割という企業が多い、電力が安いということで向こうへ集まったのですから。そこで、やむを得ず上げざるを得ない状態になった場合には、そういう企業に対する影響というのが非常に大きいと思う。そこで、これに対する緩和措置というのが、この際私は大きくとらるべきじゃないかと思うのですが、この緩和措置に対してどういうような考え方を持っておりますか。
  24. 安達次郎

    安達政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、北陸電力料金値上げの申請自体が約八・三%と、従来他の電力会社に例を見なかったほど低い申請でもございますし、さらに、それに対していろいろな先ほど企業合理化なりあるいは広域運営なりの協力によって、できる限り上げ幅を狭めていって、他の電力会社料金よりもそれでも低い料金にきまったとしましても、いわゆる北陸地域需用家にとっての影響は、特に個別企業に開いてみました場合には、いろいろな相当大きい影響があることは、先般の公聴会の場合の個別企業の御意見としても数多く聞かされた点でございます。その点は、影響緩和の措置について考えなければいかぬ。その場合の影響緩和の措置といたしましては、従来の場合考えられておった相当高い幅の頭打ち、それから、高い幅で、あるいは十数%以上をこえる場合にはそこで頭打ちをするというようなやり方、あるいはせいぜい期間も二年程度というような、そのような頭打ち制度を、もっとぐっと低い線で、しかももっと長期に考えられないだろうかというような形で、私たちはただいま事務的の検討を進めている途中でございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 じゃ、次へ移りますが、大臣どうでしょう。これはいつ値上げするのですか。私は、ぜひひとつ大臣が言うように、広域運営最大限に活用してひとつ値上げをやめるか、あるいは、最悪の場合でも、最小限な措置をひとつ強硬にとって指導してもらいたいということを要望いたしますが、大臣、どうでしょう。
  26. 三木武夫

    三木国務大臣 やめるわけにはまいりませんけれども、できるだけ値上げの幅を押えることによって、関連需用家影響力を緩和するようにいたしたいと考えております。
  27. 板川正吾

    板川委員 次に、アラビア石油問題と出光の脱硫装置開発、こういった問題について伺いたいと思います。  二月二十幾日ですか、大臣と私とのやりとりの中で、アラビア石油問題を実は取り上げたわけです。それは、私はあくまでも、日本の石油行政のたてまえからいって、アラビア石油がシティーズ・サービス等の外資との提携は、大きな石油行政の変更になるのだし、われわれが旗じるしにしてきました民族系石油、それから外資系のひものつかない石油を確保していくというたてまえからいって、われわれ反対だという意見表示をしてまいったのであります。最近、新聞によると、通産省は、大体これに賛成方針で、アラビア石油がサウジアラビア政府の承認を求めるのを待っておる、こういうふうに新聞報道がありました。そのアラビア政府の承認が六月十五日ごろくるということで、当然もういまごろ承認になっていいはずだしというのが、まだアラビア石油に対してサウジアラビアの回答がきない、同意がきない、こういうことのようであります。一体この問題はその後どういうことになったのですか、これは局長からでけっこうです。
  28. 両角良彦

    ○両角政府委員 アラビア石油の現地交渉が、クウェート政府とは一応話が円満に進展いたしましたが、サウジアラビア政府との間につきましては、まだ話し合いの最終的な結論を見ておらない状況でございますので、したがって、当方としましても、判断をまだ留保いたしている次第でございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 この前の二月二十三日のここの商工委員会での大臣と私のやり取りでは、大臣考え方は、アラビア石油は硫黄分が非常に多いんだ。そうしてこれは国内引き取りを頼むに非常にいやがられてなかなかたいへんだ。だから、この際は、外国に売られて、硫黄分の少ないやつを入れるということもしかたがない、こういう趣旨であります。そこで、私は、脱硫装置が近く開発されるんじゃないか。だから、それもそう長い将来じゃないんだから、この際もう少しがまんして、脱硫装置が開発されればそういう心配がなくなるじゃないか、こういう議論をしておったのです。しかし当時は、脱硫装置が完成されるという見通しが、実は私はつかんでなかったのでありますが、その議論をした二月二十三日の新聞で、実際は二十二日に、科学技術庁の資源調査会の会長内田俊一という人が、脱硫装置で水素化法が最適という趣旨の報告を科学技術庁にしております。これは、同じ日であったがために私は知らなかったのですが、しておるという事実がある。それから、今度出光興産が姫路に精製工場を設けるについてこの脱硫装置を開発して同時につけよう、こういうことで目下技術提携の申請を政府にしておる、こういう状況であるそうであります。この出光の脱硫装置の技術提携の申請、これは六月中におそらく許可になるだろうという見通しでありますが、この問題はどうですか。
  30. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のとおり、出光興産からは、アメリカのUOP会社からの脱硫装置の技術導入についての申請が提出されておりまして、目下これが処理につきまして検討中でございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 いや、検討中といったって、どういう検討中——まあ技術提携について、これはいいことなんだから、それは賛成せざるを得ないでしょう。これは悪いというわけにはいかないですな。  それはそれとして、私、この出光のUOPと提携した脱硫装置について資料をもらって十分検討してみました。検討してみましたら、これは大臣、十分——十分といっちゃおかしいですが、採算に合うのですね。採算に合うということを明らかにしている。それは幾つかの条件があります。この脱硫装置に対して、約六十億近い——六十一億と言いますが、その後若干変わっておるそうでありますが、とにかく六十億近い設備をつけて脱硫装置を開発すると、コストが原料一キロリットル当たり千九百十一円高くなるという計算が出ております。しかし千九百十一円高くなりますが、副産物として硫黄がとれますから、この硫黄を一トン一万三千円で売りますると、千五百六十一円というデメリットになる。しかし、その上にナフサが出たものを売ったりして差し引きしますと、千三百十二円よけい費用がかかる、こういう計算になるのです。千三百十二円よけい費用がかかりますが、重油の硫黄分三・八%が〇・九%になる。〇・九%になると、一%当たり幾らかというと四百五十二円になる。だからこの費用は、重油のサルファを一%低くするために四百五十二円かかるという計算になる。ところが、この重油の価格は六千円として、硫黄分が〇・一%下がるたびに五十円高く売れるという計算になる。そうすると一%ということになると五百円という勘定になります。費用は四百五十二円、〇・一%の硫黄分が減るたびに五十円よけい払うということになれば、大体収支合う、こういう計算になるのですね。しかも出光はこれを許可を受けたならば早急にやって、来年八月までには完成したいと言うのであります。こういう装置を六十億も金をかけて出光がやると言うのですから、そう不安定なものではないだろうと思う。そうして科学技術庁でも、そのことはすでに技術的に可能であり、採算上合うという報告を科学技術庁長官にしております。出光に聞きましたところによると、数年前からこの問題を重要な問題として、公害防除上研究しておった。一九六三年の世界石油会議出席して、そのレポートをもらって、一九六四年から五年にかけて徳山の工場で実地に試験をしている。さらにアメリカにおける実際の工場の試験に技術者を派遣して、そうして採算上にも大体いくという決心をして、脱硫装置の開発に踏み切った。出光の言によりますと、企業者の責任として公害を防除するために脱硫装置をやるのは当然である、したがって、たとえ赤字であろうともこの問題はやり抜く、こう言っているそうでありますが、計算上はそう赤字にならないという計算になります。こういうように脱硫装置が開発される段階になれば、大臣がこの前私に主張した、脱硫装置の開発は理論的にはできておっても採算ベースとして合わぬから、先の話だから、こういうこととは違ってまいったと思うのであります。そうするとアラビア石油に対するアメリカのシティーズ・サービスとの提携問題ですね。幸いにしていまサウジアラビアからオーケーがこないのですから、この際は、情勢が変わったことだし、通産省としてはこの問題を不許可にして、それよりも脱硫装置の開発をする方向に重点を入れて、そして公害問題を解決したらどうかと思うのですが、大臣考え方はどうですか。
  32. 三木武夫

    三木国務大臣 アメリカのUOP社からの出光の技術導入というのは、これは非常に検討に値する脱硫装置だと思います。いま御承知のように、サウジアラビアのほうの問題が片づいておりませんから、そういう問題を解決されることによって、これはどうするかという問題の決着がつくことにしたいと思っております。しかしこの問題は非常に興味のある開発であると考えておるわけでございます。  それに関連して、大型プロジェクトの中にも、脱硫装置の研究というものを取り上げて、これをやろうとしておるわけであります。日本政府としても取り上げたい。こういう外国の技術も導入し、国内においてもこういう研究開発が進んで、われわれが原油の引き取りの場合に一番悩んでおるこの問題が解決されるということは、われわれの非常に望むところでございます。アラビア石油の問題は、シティーズ・サービスとの提携というものは、サルファの問題ばかりでもないわけであります。しかしこういう事態も頭に入れて、十分検討を加えたいと考えております。
  33. 板川正吾

    板川委員 アラビア石油とシティーズ・サービスの提携はサルファ問題ではないというのですけれども、それは資金の問題です。ことしの鉄鋼に対する設備投資の金額は、二千三百億円でしょう。石油精製に対する設備投資は千九百億円ですね。膨大な国内の資金が集まっておるのですよ。ところが、アラビア石油のように、あるかないかのところを掘るのではなくて、膨大な埋蔵量があり、すでに設備ができており、すでに実績ができておるのに、シティーズ・サービスと提携して二割輸出しても六百億に対する二割、百二十億の金が必要だというのでしょう。今後同額程度の開発資金があと百二十億で、二百四十億程度じゃないでしょうか。石油精製に膨大な二千億近くの資金が集まり、鉄鋼産業に二千億以上の資金が集まる中で、日本産業の血液と言うべきこのエネルギー、石油の確保のために、二百億や三百億の金が集まらぬということは私はおかしいと思うのです。これを外国に借りなければ、外資提携してもらわなければ資金が集まらない、こういうようなことは私はどうしても承服できない理論です。われわれが一番問題にしておるのは、やはりサルファ、硫黄分です。至るところで公害に対する国民の反対が多くなりました。アラビア石油のように非常に多い硫黄分を持っている石油を国内引き取りというのは、なかなかわれわれもつらかったのですが、ここに出光興産のような企業者がおって、敢然と脱硫装置に対して膨大な費用をかけて、たとえ赤字でもやり抜く、こう言っておるのじゃないですか。こういう方向に力を入れて開発を促進させてやれば公害問題は解決する、そうすればシティーズ・サービス等と連携する理由がなくなると私は思うのです。  もう一つ大臣は言わないのでしょうが、シティーズ・サービスと提携するとアメリカと提携することになり、中近東において何か戦乱でも起きた場合にアメリカに頼んでというようなことを考えておるかもしれませんが、私はそういう状態になればアメリカを頼んでおったってやはりだめはだめになろう、こう思うのですね。ですから、シティーズ・サービスとの提携問題というのは理屈がなくなってきたじゃないか。最近政府も財界も、ひもつきでない原油を少なくとも五〇%程度までは高めていこうじゃないかという方針をお考えなんでしょう。そういう方針からいったりすれば、私は当然、アラビア石油が外資と提携するという根拠はなくなったし、さすべきでないだろう、こう思います。ひとつ大臣、この問題はそう簡単に考えずに真剣に考えて、ぜひわれわれの意見を取り上げてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  34. 三木武夫

    三木国務大臣 これはむろんいろいろ影響するところ多い問題でありますから、私申したのはサルファの問題もあるがサルファばかりではない、いろんな問題をあわせて慎重に検討をいたしまして結論を出したいと考えております。
  35. 板川正吾

    板川委員 それからこれは大臣に要望しておきますが、この出光のように、ほかの企業でやれなかったような公害防除というたてまえから六十億円も投資をするということはなかなかできないことだと思うのです。従来わが国の産業は、生産には非常に重点を置いたが、そういった公害防除施設というようなものについては非常に冷淡だった。だから、今日公害が至るところに発生しているということになったと思うのです。そこで、こういう公害防除の施設に対しては、長期低利等の融資という問題を考えてやる必要があるだろう、こう思います。またこれは直接生産するのじゃないですから、また公害防除の公益的な事業なんですから、そういう資産に対する特別の免税措置というものも考えてもいいのじゃないか、こう思うのです。そのほか、脱硫重油に対する関税等の還付措置についていろいろ要望も出ておるようでありますが、私は、こうした国民の生命を守るというか、こういう措置に対して政府としてもできるだけの措置をしてやることがやはり望ましいと思うのです。大臣、これに対する見解をひとつ伺いたい。
  36. 三木武夫

    三木国務大臣 実際からいえば、公害というものに対して、企業の社会的責任を各企業が自覚をもっとしなければいかぬと思います。生産と公害は別だという考え方はだんだん許されなくなっている。しかし、出光のような、相当ばく大な費用をかけて公害を防止しようという態度は、これは非常に企業家の態度としてわれわれも評価しなければならぬ態度でありますから、公害防止事業団等を通じて、こういう金融的な措置についても便宜がはかられるような配慮をすべきものだと考えております。
  37. 板川正吾

    板川委員 そういう意味で、ぜひひとつ適切なる援助をしていただきたいと思います。  次に鐘紡と東邦レーヨンの合併問題に対して、若干この際伺っておきたいと思います。繊維局長に伺いますが、鐘紡と東邦レーヨンの合併が破棄に至った経過を説明していただきたいのです。この問題は私的な契約であったようであります。しかし鐘紡と東邦レーヨンとの合併いかんということは、いま非常に繊維の不況あるいは構造政策、こういった面からこの成否が非常な影響を持っておったと思うのです。そういう意味でわれわれは、私的な契約関係かもしれませんが、この際この問題を検討することは、これからの繊維政策の上に重要な示唆を持つものだと思うので、ひとつ合併と破棄に至った経過について説明をしていただきたいと思います。
  38. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 合併が発表になりましたのは三月の九日でございます。合併の予定期日は八月二十六日ということでありました。その後二十四日に、鐘紡と東邦レーヨンの武藤、若林両社長会談が行なわれておるようであります。この六月八日、もめ出したあと鐘紡から声明が出ておりますけれども、その六月八日付の声明によりますと、この二十四日の両社長会談では、東邦レーヨンの経営内容及び繊維業界の客観情勢から見て、東邦レーヨンの人員合理化の必要があることを両社長の間で確認をしたということを鐘紡側は言っておりまするが、六月九日付若林社長の言明によりますと、人員合理化には協力をいたしますということを申し上げたが、確認はしていないということでございます。三月二十九日、合併契約書調印になっております。同契約書第十条によりますると、甲——これは鐘紡でありますが、甲は合併期日における乙——東邦レーヨンの本採用在籍従業員全員を、甲の従業員として引き続き雇用する旨きめております。これはいま申しましたように、合併期日における従業員、こういうふうに契約書はなっております。四月十三日から十六日、両社長の間で会談が行なわれまして、人員合理化等合併問題についてのいろいろ打ち合わせが行なわれたということでございます。そうこういたしますうちに、五月二十四日、東邦レーヨンの労働組合が、鐘紡と東邦レーヨンの合併には大量の人員整理が東邦レーヨン側にあるということを理由にスト権を確立しております。それで、合併がそのまま強行されるならば、五月二十八日以降無期限ストに突入するという声明を発しております。それから、五月二十六日に、東邦レーヨンは鐘紡に対しまして文書で大要次のごとき申し入れを行なっております。すなわち、臨時総会を八月の十日まで延長したい、この間労組の説得につとめたいという申し入れをしておりますが、鐘紡はそれに対しまして、役員会の決定に基づいて期日を変更するならば、その決定によって起こる一切の事態に対しては、東邦レーヨンが全責任を持って収拾する、こういうことを条件にして申し入れば了承せざるを得ないということの回答をしております。この総会延期でございますが、これは調印になりました合併契約書第五条によりますると、本契約の承認及び合併に必要なる事項の決議を求めるために招集すべき株主総会の期日は、甲においては昭和四十一年六月二十三日、乙においては昭和四十一年五月二十七日とする、ただし合併手続の進行に応じ必要あるときは、甲乙協議してこれを変更することができるというのが第五条にあるからでございます。二十七日に東邦レーヨンの株主総会がございまして、合併事項は見送りになっております。五月の二十八日に東邦レーヨンの労組はストを回避いたしまして、人員合理化については東邦レーヨンの労使間で話し合いをしております。それから六月の八日、鐘紡は声明書を発表しておりまして、その要旨は、東邦レーヨンの労使間紛争の根本原因は東邦レーヨン側が経過を秘してきたことにある、現段階では合併できる状態ではない、したがって鐘紡は六月二十三日の株主総会に合併契約承認案件は付議しないという声明を出しております。六月十四日鐘紡の武藤社長は見解を表明しておりますが、その要旨は、東邦レーヨンとの合併は現状では無理である、将来にわたっても不可能であるというふうな趣旨の声明を発表しているわけであります。  以上、経緯を御説明いたしました。
  39. 板川正吾

    板川委員 この経緯を見ますと、私は、破約の原因になったものは鐘紡側から要求している人員整理、これにあるだろうと思うのです。大量の人員整理をしてこいというので組合が硬化して、組合としてはそれでは反対だ、こういうことになり、その反対する組合を首を切ってこない以上は合併はできない、この原因を顧みますと、こういうかっこうになったと思うのです。そうすると、この首切りの問題ですが、契約書の中には少なくとも人員を整理してこいということはうたってないんですよ。ですから私は、鐘紡側が契約書の中にないことを、たとえば人員整理してくることを希望するにしても、人員整理をしないからこの約束は破約だというのはどうもちょっと虫がよ過ぎる議論じゃないだろうか、おそらくこれは人間間でいえば婚約をした、婚約をして相当つき合ってみたら意外と悪かったからもうおれのほうではごめんこうむる、こういうことだとすれば、私はごめんこうむるほうに社会的な非難があっても当然じゃないだろうかと思うのです。断わったほうが当然だと大いばりでいるようではおかしいと思うのです。なるほどこの契約書によると、合併する時期における在籍従業員は全部引き継ぐと言っておる。このことは、もちろん契約する時期と合併する時期が半年なら半年ありまして、だから契約してから合併する間に定年でやめたり、あるいは自分の都合でやめたりする人がいますから、そういう人は引き継がないことは当然です。だから合併時において従業員を全部引き継ぐということは、考え方として、特に人員整理をするという約束がなければ、私は契約したときの人員で普通の状態で合併時に残った人は全部引き継ぐというのが当然の理屈じゃないかと思うのです。私らも在野当時というんですか、ずいぶん会社合併をやったものです。会社合併をやったけれども、人員整理といえばそれははっきりとすべきで、片っ方はそういう希望はしたけれども、約束したものではないということですね。この契約書に入れなければ別の覚え書きで、ちゃんと人員を整理するというのならそういうはっきりした契約を結ぶべきじゃないだろうか、それがないとするならば——この経過から見ればないようでありますが、ないとすれば、鐘紡の希望を表明したにすぎない、契約にはない希望を表明したにすぎないのに、言うことをきかないからといって一方的に破約するのはどうかな、こう思うのです。時間がなくて議論上少し抜きましたが、相互にいろいろ理由があるかもしれません。われわれも新聞に出た程度の知識しかないから深くは知りませんが、どうもこの問題は鐘紡側に横暴さがあるという感じがしてならない。大臣、この問題どうでしょう。
  40. 三木武夫

    三木国務大臣 われわれも奇々怪々の問題だと思うのです。会社とすれば合併というのはたいへんな大事件でありますから、少し話し合いでだめを詰めるべきで、その背後にはたくさんの従業員がいるわけですから、社長二人の話というものでなく、その背景には非常に社会的にもたくさんの従業員をかかえて影響があるわけでありますから、もっと婚約するときに、その責任を自覚して——これはどっちが悪いかというようなことは、真相をよく知りませんからここで批判はできませんが、双方とも企業の持つ社会的責任というものを自覚して、こういう合併をやるような場合にはもっと話を詰めるべきである、実に不可解な事件であるというふうに考えているわけでございます。どっちが悪いか審判せよ、これに対してはまだ真相を知りませんから申し上げることは適当ではないと思います。
  41. 板川正吾

    板川委員 鐘紡と東邦レーヨンの問題は、今後の行政上にも多くの教訓というか、示唆というものを与えたと思うのです。通産大臣はよく合併を奨励する。合併すれば規模の利益が生まれる、こういう議論をよくされる。それは一面の真理であります。しかし、人間社会はこのようにただ合併をしたからといったって、お互いに合意して、またお互いに合併することによって協力する態勢がなければ、なかなかうまくいかないのですね。日産、プリンスの合併でもそうじゃないでしょうか。前の通産大臣の功績と言われておりますが、労働組合間の確執があって、その合併の成果というのは必ずしもうまくいっておりません。うまくいっていないと私は思うのです。そういう意味で、合併を通産省が奨励する場合には、私は、こうした労働者にも大きな影響を与えますから、労働者の協力が得られるような方策を講じることをひとつ今後念頭に置いていただきたい、こう思うのです。普通合併というと、大局的には社長同士の話し合いでも、具体的には事務局同士で詰めて、詰めたものを契約にして、最終的に社長同士ではんこを押す、こういう形をとるべきなんです。ところがどうも経過を見ても、新聞等のあれを見ても、社長同士でまあまあ、やあやあという形になっていて、人を整理してこいというのを条件と思わなかった、じゃ幾人ぐらい整理したらいいのですかといっても回答もない、こういうようなこと、片方は整理してこなければだめだ、幾人整理かそっちが考えろ、こういうようなことになって破約になったとすれば、これはどうしても鐘紡の側に社会的非難を受けてもやむを得ないものがある、こう私は思うのであります。しかし通産省は、この問題を契機に、多くの教訓を学んだと思うのでありまして、今後の行政指導の上にひとつ大いにこの経験を生かしていただきたい、こう思います。  この整理問題は以上でけっこうです。  それから、最近、新聞を見ると、プロパンの爆発事故というのが非常に多いですね。国分寺のアパートで爆発した、川崎で爆発した、さらに江戸川区で爆発した、さらに調布の地下街で爆発と、このわずか一カ月に足らないうちに、三面の記事を大きく四段、五段と抜くような爆発事故が数件、東京都内とこの周辺だけで起こっておりますね。このプロパンの爆発というのは、保安の指導というのが十分じゃないように思うのですが、この保安指導は実際はどこが担当するのですか。
  42. 吉光久

    ○吉光政府委員 プロパンは高圧ガス取締法の体系で保安関係を規制いたしておりまして、現在の通産省の中では化学工業局の所管に相なっております。実際の権限は都道府県知事のほうに機関委任されておりまして、第一線の実働部隊は都道府県知事ということに相なっております。
  43. 板川正吾

    板川委員 保安の取り締まりはそれは県でやることになっておるのですが、このプロパンというのは、家庭の末端の消費者の取り扱い者に対する事故防止のPR活動は、販売業者じゃないのですか。販売業者に指導するようにしているのじゃないですか。どうなんですか。
  44. 吉光久

    ○吉光政府委員 お話のように、プロパンの事故というのは、ほとんど圧倒的多数が消費先で起こっております。家庭でございますとか、旅館でございますとか、そういう消費先の事故が八十数%でございまして、事業所内部の事故はその残りというわずかな比率でございます。  家庭におきますプロパンの事故防止の関係でございますけれども、この家庭内で起こりました事故を原因別に調べてまいりますと、一つは、人的原因と物的原因と分けますと、人的な原因というのはこれは非常に多うございまして、粗暴な取り扱いでございますとかあるいはバルブコックの締め忘れでございますとかというふうな原因のものと、工事から起こってまいります、配管工事が取りつけが不良であったとかあるいは配管そのものにひび割れがあるとかというふうな、工事面から起こっておるものもあります。したがいまして、そういう意味で、いまの保安思想の高揚という問題につきましては、一般の家庭生活の問題につきましては政府もPRにつとめておりますけれども、販売業者の団体等を通じてのPR運動というふうなものも極力奨励してやってもらっておるわけでございます。と同時に、具体的な保安責任そのものになりますと、先ほど申し上げましたように、取りつけ工事の不良あるいは配管そのものにひび割れがあるというふうなことでございますので、多分に販売店そのものの協力を得ないと、保安の高揚ということはなかなかむずかしいのじゃないだろうかというふうに考えております。
  45. 板川正吾

    板川委員 プロパンの使用家庭が全国で一千万軒でしょう。そうして、各県で取り締まるといったって、取り締まるわけにいきませんよ。だから、結局販売店なりを通じて、事故が起きないようにPRする必要があるのですよ。取り扱いが間違っていたから爆発したというだけでは、これはそういうことで責任をのがれるわけにいきませんね。だから私は、これがプロパンの市況の軟化の状況と事故との関係があるやに考えるが、この点はどうですか。この市況の問題になると鉱山局長で、取り締まりのほうは化学工業局長で、どうも末端にいくと原局が二つに分かれておって、一体これは、最近の市況軟化の状況と事故の関係は何かありませんかな。
  46. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘のとおり、LPGの市況は元売り段階におきまして、確かに軟化をいたしてまいっておりますが、そのことと、末端におきます事故との間には直接の関係はないと考えております。
  47. 板川正吾

    板川委員 それが直接の関係がない、しかし、末端では販売競争で、保安教育どころか、できるだけ安く売ったほうがいいという状況のような、そういうことが、とにかく事故の一因にもなっておるようであります。この問題は、私は販売業者を中心に、保安事故が起きないようなPRを、ひとつ行政指導として強化してもらいたいと思います。一千万軒もあるのです、事故が頻発しておる。これは取り扱いが悪いからやむを得ないのだという理由にはなりませんから、ぜひひとつ両局で協議して、事故が起きないようなPRをさらに強化してもらいたい、こう思います。  それからもう一つは、同様な問題ですが、これはまた公益事業局になるようですが、埼玉県武里に住宅団地が今度開設をされて、約三千世帯入った。ところが、都市ガスがその団地に入っておるのですが、非常に事故が多い。私どもが調べた範囲によりますと、わずか二月のうちに、おとなが五、六人、子供が五、六人というようなぐあいに、ガス爆発事故でけが人が出ておる状況であります。この原因は、都市ガスのブタンガスが非常に発火するのがおそいのだそうですね。それで、つかない、つかないとやっているうちにいっぱい出ていて、ついたときには、中に放出されたガスが相当たまってばんとくるというようなことで、けが人が非常に続出しておるようであります。ですから、それを付臭義務、有毒性ガスについてにおいをつけるということになっておりますが、いまはどうなっているかわかりませんが、つい最近まではにおいがない、こういうところに事故の連発しておる原因があるだろうと思う。もう一つは、地方のガス会社が急に大きいところを扱ったものですから、PRが全く不足しておって、そうして取り扱いについての十分な事故防止上のPRといいますか、指導というのが行なわれていない、こういうところにこの事故の乱発があるようでありますが、この実情をどう考えますか。ひとつ調べて対策を講じてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  48. 安達次郎

    安達政府委員 お答えいたします。  液化石油ガスなどによるガス事業の需用者に対する保安の確保のために、すでに六、七年前でございますけれども、たとえばガス器具はその供給するガスの組成にマッチしたような器具であるように指定したり、あるいは付臭の義務、漏洩の危険を早く感得できるようににおいをつけさせる義務などを負わして指導しております。  今回の武里団地の事故につきましてもさっそく調べてみましたところ、やはりブタンが熱源でございまして、ブタンは比重が重いというようなことで、しかも埼玉県で新しい団地なもので東京在住の方で移られた方々が相当多い。東京ガスにおけるガスの組成と質が違うというようなことから、いわゆるガスの取り扱いについてふなれだというような状況が実情であったようでございます。もちろん需用者に対するそういう事故防止のためのいろんなPR、これは十二分にしなければいけませんし、現にいわゆる団地の入居当初などに、そのガスの点火順序などについてはガス会社から全部指導しているという説明はいたしておりますけれども、特にこういうガスの組成の違う他の都市周辺の地域への移住者などに対しては、ことさらにそのガスの質の違いからくる危険性についてのPRはさらに徹底的にさせなければならぬ、こういうふうに考えております。
  49. 板川正吾

    板川委員 東京にいた人は、せっかく苦労して抽せんに当たって団地に来て環境もよくなった。しかしガス料金は東京より三割から三割五分高い。しかもつきが悪くて、マッチを幾つかすったらば爆発してけがをする。しかもそれが一ヵ月もの重傷を負うというようなことになると、まことに不幸なことでありまして、ぜひひとつこれも危険防止のためにもっとPRを十分にするように、早急に指導していただきたいと思います。  次に、これは公取と鉱山局長に伺うのですが、全国石油商業協同組合連合会が昨年全国的にガソリンの反応試験をやった。要するに抜き取り検査をやった。ところが、全国的にやった中で一割以上が完全な不良品であった。それから不良品と思われるものは四分の一が大体ガソリンの中に灯油ないし軽油をまぜた痕跡がある、こういうことを言っておるのであります。これは昨年、全国石油商業協同組合連合会で調べた結果です。全国的にいうと地域的に片寄ったところがありますが、たとえば不良品の多いところはこの統計によるとどうも地方が多いですね。鳥取県とかあるいは宮崎県とか鹿児島県とかいうのが二〇%をこえて、不良品が二五%、二一%、一九%になっている。全国平均すると、不良品とそれから不良品が入っていると思われるもの等を合わせると、四分の一くらいがどうもあやしい。これはガソリンに軽油ないし灯油をまぜている、こういうことを報告しておるのであります。これはインチキ販売ということになると思う。ガソリンと言って実はガソリンでないものを売っている。こういう問題をこの前も私取り上げたのですが、一体こういうことのないように消費者が安んじて正規のガソリンを買えるような方法はないのですか。対策はないのですか。
  50. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のように、一部不良品と見られる品物が市販をされましたことは、まことにわれわれとしても遺憾に存じておりまして、その後通産局を通じまして末端におきまする販売品の抜き取り検査を行ない、もし不良品が発見されました場合には、厳重な警告を発しておりまして、さような面での指導を強化しまして、再びかような不良品の販売が行なわれることのないように努力をいたしておる次第でございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 鉱山局長、そういう答弁は前に二回ほど行なっているのだよ。あとを断たないのはどういうことかというのだよ。これの対策はないだろうかというのだよ。しかも全国的にやったら四分の一くらいはガソリンに灯油なり軽油をまぜておるおそれがあるというのですよ。これはどうも厳重に注意をしますというだけでは済まないね。何らかの方法はないですか。
  52. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のとおりかような不良品の販売、特に品物に対する混入を事前に一〇〇%予防するということもなかなか現在の体制では困難でございまするが、われわれとしましては今後通産局におきまする指導取り締まりの体制を十分強化いたしまして、かような販売の行なわれることのないように一そうつとめたいと考えます。
  53. 板川正吾

    板川委員 事前に入れるのをやめさせるというのはなかなか困難でしょう。しかし系統別に調査して、どこの業者が入れたか、どういう石油会社がそれを流通の過程でそういう方法をやって売らせたか、徹底的に調べて、それに対する公表なりあるいは社会的な懲罰を加える必要があるのじゃないですか。これはインチキ販売ですよ。これは公取にも前に言っておったのですが、この前は、灯油と軽油を入れると比重が下がる、オクタン価が下がる、しかしJISの規格上八〇ということになっておる、しかし行政指導として八五にするようにということで精製会社に指導しておった、ところが抜き取り検査してみたら八三であった、これはJIS規格を破ってないのだから公表するのは待ってほしい、社会的懲罰を加えるのは待ってほしい、JIS規格に対しては破っておるのじゃないのだが、行政指導で比重八五としたものが足らぬ、足らぬということは、それだけガソリンに対して、精製の段階では八五で出るのですから、低いということは灯油なり軽油なり入れておるということがわかるが、しかしこれはJIS規格上からいえば文句は言えないのだから、発表はかんべんしてくれ、こういう話であった。ところが御承知のように、JIS規格は今度改正になったでしょう。八五になったでしょう。そうすると、八五以下であれば明らかにそういう規格的にいっても社会的懲罰をしてもいいことになるのじゃないですか。だから私は、これをどこで入れたのか徹底的に調べるようにして原因を突きとめて、一罰百戒じゃないけれども、どこかの会社を徹底的にひとつ公表するなり注意するなりしてやったほうがいいのじゃないですか。事前に取り締まれないから今後注意していきます、こんなことでは、もう何回も取り上げていますが、いつになったってこの問題は解決しませんよ。どう思います。
  54. 両角良彦

    ○両角政府委員 ガソリンを中心とします不良販売につきまして、確かに御指摘のとおり厳重な取り締まりを行なう必要がございますが、私どもとしましても別途全国石油商業連合会に対しましても厳重な警告を発しまして、その連合会所属員の間で自主的にかような不正な販売を行なうことのないよう努力を要望しておる次第でございまして、いろいろな方策を通じまして、かような不良品の販売の絶滅を期してまいりたいと考えます。
  55. 板川正吾

    板川委員 まあ新任の鉱山局長だから、あまり言ってもどうかと思うからこの辺にしておきましょう。ひとつ今後こういうことのないようにやってもらいたいと私は思います。  もう最後ですが、大臣、鉄鋼の勧告操短は六月一ぱいで切れることになりますが、これはいつまでおやりになる予定ですか。われわれとしては、これはもうこの六月でやめてもらいたい、やめるべきだ、こう思うのですが、新聞報道によると、国会が終わるからそれまではうやむやにしておいて、国会が終わったとたんに、とりあえず九月まで延長しようという腹だ、通産大臣の腹の底まで読んだ記事が出ておりますが、大臣考え方はどうなんですか。
  56. 三木武夫

    三木国務大臣 この問題は産業界全般にも大きな影響を与える問題でありますので、目下は慎重に検討中、こういうお答えをいたすよりほかにはない。これは市況の状態、需給関係の見通し、また業界の生産に対する態度、これをじっと見ておるわけであります。こういうことを見て、むろんこれは六月末日までに結論を出さなければなりませんが、なるべく安易に次々に粗鋼減産を続けていくような形でもいけない。そういうことでいろいろな各方面の情勢を検討しながら結論を出したいということで、いま検討を加えております。国会との関連というのは考えておりません。これはできれば国会開会中にやりたいぐらいでございます。しかし、そういう配慮でなしに、まあこれは板川さんお考えになってもなかなか重大問題ですからね。そういうことで慎重な検討を加えておるということが実情でございます。
  57. 板川正吾

    板川委員 公取委員長、公取は、この勧告操短に対しては承認したものじゃない。しかし、いつでもこれについて発言することを留保しているのだ。何回か当委員会で発言しておりますが、公取はどういう見解を持っていますか、この勧告操短を今後七月以降も続けるということになれば。
  58. 北島武雄

    ○北島政府委員 行政指導による操短ということは、競争制限的効果を持つものでございますので、独占禁止法のたてまえからいけばおもしろくない。もしそういう必要があるならば、法律にのっとってやっていただきたいというのがかねがねの公正取引委員会の態度でございまして、常に公正取引委員会といたしましてはそういう態度で対処いたしてまいりました。そうして行政指導による操短も全部なくなっておりましたところへもってきての昨年七月のこの粗鋼の減産勧告でございます。公正取引委員会といたしましては、これはもう独禁法上の不況カルテルでやるべきじゃないかということを強く申し入れたのでございましたが、その当時の情勢から、八十数社もあってなかなかカルテルといってもまとまらない、しかも粗鋼の価格の回復を景気のてことするために早急にやる必要があるというので、通産省の権限と責任においてやるから、こういう話でございましたので、公正取引委員会は時代の推移を見守って、もしそれが一般消費者や関連事業者の利益を不当に害することになるならば、これは厳重に通産省に申し入れる、こういう態度でまいったわけでございます。粗鋼の市況も次第に回復してまいったようでございまして、時期としてはだんだんやめていただく時期が近づいてきているような気がいたします。ただ、ただいま通産大臣のお話のように、この七月以降どうするかということについてはまだ態度をおきめになっていらっしゃらない、こういう話でございますので、私どもといたしましてはただいま何とも申し上げるわけにはまいりませんが、もしそれで七月以降も続けたい、こういうお話がございましたならば、その資料等を十分伺いまして、それから委員会で相談いたしたい、こう考えております。
  59. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、七月以降継続する場合には前もって相談がありますか。
  60. 北島武雄

    ○北島政府委員 この四月に継続いたしましたときにも、これは私のほうでお話がございまして状況を見ておったわけであります。今度七月以降かりに継続いたしました場合におきましても、通産省の御一存でなさることはまあなかろう、私どもに少なくもこういう事情だというお話はあるものと考えております。
  61. 板川正吾

    板川委員 再三これまで取り上げておりますから、あえていま繰り返し申し上げませんが、いずれにしましても大臣の勧告操短というのは緊急避難的な、時期的に全くやむを得なかったということであって、今日まで一年間もやっておれば、この辺でどうしても続けるなら不況カルテルでやるべきであって、まあこの辺で緊急避難の行為というものは終わってもらいたい、こう思うのです。またそれが独禁法のたてまえからいっても当然だと思うので、ぜひひとつ通産大臣から相談があったらぴしゃっと断わるなりして、今回六月一ぱいでせめて打ち切るように強く主張してもらいたいと思います。通産大臣の前であえてその点を申し上げておきます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 関連。いま板川委員が質問をされましたので続けてやりますが、この鉄鋼の勧告操短を緊急避難的だとおっしゃったのはどなたがおっしゃったのですか。(「それは質問者が言ったんだ」と呼ぶ者あり)大臣、緊急避難的に行なっておると思っておられるのですか。
  63. 三木武夫

    三木国務大臣 いま緊急避難ということばがこの場で出たのは板川さんから出て、いろいろと御説明の場合にそういうことばを使われたわけであります。この勧告操短というものは異常の事態でありますから、そういうことを一言に——適切なことばであるかどうか、このことば自体が必ずしも適切でないのかもしれませんが、いままでの委員会で私も緊急避難的というようなことばを使ったように思います。このことばを田中委員がずうっと掘り下げていくといろいろ議論はありましょうが、私も使ったように思います。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 緊急避難的というのはこれ以上追及しませんが、緊急避難だとおっしゃるなら、緊急避難の要件は、何か避けようとする法益とそのことによってこうむる法益の均衡を失してはいけないという一つの大原則があるわけです。そういう問題について追及しなければならないことになる。この問題につきましては、かつて私は当委員会において北島公正取引委員長に、ひとつ文書をもって通産省に対して意思表示をいたしなさい、その場合には通産省から文書をもって回答してもらって、その公文を双方対照しながら、この問題についての検討をしようじゃないかということを提案したことがあると思うのです。ところが公正取引委員会では、そういうことをなされていないようだし、いまの答弁を聞いておりますと、操短があるものと思う、操短があればといったような態度は若干おかしいんじゃないか。公正取引委員会は当然私的独占禁止法を守る。いうならば私的独占禁止法の番人である。しかも現在行なわれておる勧告操短は、私的独占禁止法からいって疑わしいものである。これが行政措置でできるのかできないのかということは何回か私は、通産省設置法の各条項のどれに当たるのかということで議論をいたしました。きょうはそういうことはいたしませんが、公正取引委員会はもう少し積極的な態度で、あまり長く勧告操短というかっこうでやられることは困る。先ほども緊急避難的ということで横にいる人があげましたが、緊急避難的ということは、きわめて短時間でなくてはならぬ。避くことを得ない事実の発生に対して、きわめて短期間許される行為である。それが二回、三回繰り返されるところには緊急避難的ということは出てこない。したがいまして公正取引委員会は、はっきりとした態度をもって通産省に、むしろ受け身でなく積極的に、そういうことは困る、そういう必要があるならば私的独占禁止法の二十四条の三の規定でいくべきである。そういうように意思表示をすべきじゃないか。意見だけ言っておきます。どうですか。このごろ公正取引委員会は見直されて、よくやっておるというのです。この辺でもっと筋を通してもらいたいのですが、いかがですか。
  65. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま意見だけ申し上げるというお話でございますので、よく承っておきます。
  66. 板川正吾

    板川委員 以上で私の質問を終わります。
  67. 天野公義

    天野委員長 午後二時より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ————◇—————    午後二時十七分開議
  68. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。加藤清二君。
  69. 加藤清二

    加藤(清)委員 順序を変えまして、委員長の命に従って、質問をいたしたいと存じます。  まず第一番に、大蔵省の証券局長、銀行局長にお尋ねしたいのでございますが、山一に対する特別融資の件でございまするけれども、二百八十二億の膨大な国家資金を無利子、無期限、無担保で、しかも日銀法二十五条の例外措置までとってこれを考えてみえるようでございまするが、それにつきまして私は担保の内訳を要求いたしておりました。今国会中にこれは出るということは予算理事会の約束事でございます。出していただきましょう。
  70. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  ただいまおりあしく担当の証券局長もおりませんので、後ほど答弁さしていただきたいと思います。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは約束事でございまするので、答弁ができるとかできないとかという問題ではございません。予算委員長並びに予算理事会で確約のとってある問題でございます。出していただきましょう。
  72. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  その点につきましても、直ちに証券局長参ると思いますので、証券局長から答弁さしていただきたいと思います。
  73. 加藤清二

    加藤(清)委員 今国会終了以前に出せますか出せませんか。
  74. 田代一正

    ○田代説明員 その点につきましても、後ほど、証券局長参りますので、答弁いたしたいと思います。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 これでは答弁にならないのですね、全然。委員長がこっち向けおっしゃいましたからこっち向いたけれども、全然答弁にならぬ。  次、第二間、日銀総裁は私の質問に対して、至急再建計画を立ててこれを提示すると約束されました。ところが、この再建計画はいまだに出ておりません。しかし、漏れ承るところによりますと、十一日に再建計画発表が行なわれているようでございます。しかもなお新山一設立発起人会は本月の十三日に行なわれたようでございます。一体国会の約束をどのようにお考えでございますか。新聞発表はするけれども、予算委員会と約束したところの再建計画は出せないのでございますか。
  76. 田代一正

    ○田代説明員 まことに申しわけないですが、その件につきましても、証券局長がただいま参りますので、証券局長から答弁いたします。
  77. 加藤清二

    加藤(清)委員 局長来る、局長来るというお話でございますが、委員長、いつ来ます。——それでは時間の関係上次へいきます。  次に特別融資の返済計画の内容をお示し願いたい。今度新しく新山一が発足するという発起人会では発表したという。したがってその第一の条件は特融の返済計画だろうと思われます。その内容についてお示し願いたい。一体いつから何年かかって払うのか、金利はいかほどであるのか、はっきり御提示願いたい。
  78. 田代一正

    ○田代説明員 本件につきましても証券局長がすぐ参りますので、証券局長から答弁いたします。
  79. 加藤清二

    加藤(清)委員 委員長どうしましょう。この調子では時間のロスですよ。
  80. 天野公義

    天野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 天野公義

    天野委員長 速記を始めて。加藤清二君。
  82. 加藤清二

    加藤(清)委員 それじゃ委員長の命に従って、これはあと回しにいたしましょう。委員長がほかを先にということだったのでほかをやりましたら、お答えができぬようでありますので、もとへ戻ってお尋ねをいたします。  まず大臣にお尋ねしたいと思いますが、大臣は大物大臣ということになっております。この大物大臣は、失礼でございまするが、七月の内閣改造以後大臣を継続なさるでございましょうか、それともどこかへ御栄転なさるでございましょうか。それによって質問の内容が変わるからでございます。
  83. 三木武夫

    三木国務大臣 お答えいたします。  残念ながら閣僚の任免権を私は持っておりませんので、私の口からは何とも申しかねることであります。
  84. 加藤清二

    加藤(清)委員 ごもっともでございます。しかし由来通産省にはけっこうなジンクスがございまして、大物大臣通産大臣になった場合は、この人はだいてい総理に向かう、やがて総理になれるということでございますから、私もそれを希望しつつ、期待しつつ質問をいたしたいと存じます。  そこで第一番にお尋ねしたいことは、今日のこの状況下にあって通産行政の最重要点は一体何と何であるか、大物大臣として通産行政の欠陥はどことどこにあるか、それはどのように直すか、簡単でけっこうでございますから、項目別にちょんちょんと言ってください。
  85. 三木武夫

    三木国務大臣 たいへんむずかしい御質問でございますので、加藤さんの御質問に御満足がいくかどうか知りませんが、私が考えておることは、通産行政は、こういう国際経済の一員として日本が生きていくわけでありますから、外に向かっては日本の産業が国際競争力を持つ、そのために輸出においてもますます日本が輸出を伸ばしていけるだけの競争力を持つ。内においてはその経済の発展が均衡のとれたものであることが必要である。中小企業の問題——とにかく日本の経済は二重構造と言われているように、大企業ばかりでなくして、企業の数あるいはそれに従事しておる人の数からいったら圧倒的に多い中小企業をかかえておるわけでありますから、単に国際競争力というものが、そういう中小企業が全部参ってしまって大企業ばかりの国際競争力ではいけない。均衡のとれた日本の経済の秩序を確立する、そして外に向かっては、日本の産業の国際競争力を持っていく。そういう施策からそれを阻害するものは何かというような点で、通産行政に対する絶えざる反省が要ると考えておるものでございます。
  86. 加藤清二

    加藤(清)委員 さすがは大物大臣だけあって、私もその意味においては、党は別でございまするが、賛成でございます。外、国際競争力、内、均衡のとれた経済の発展、けっこうでございます。ところが、それでありながら通産省が今日、長年かかえている欠陥が是正されないままずっと継続されております。古くて新しい問題でございます。その一つが、大企業の育成には非常に御努力をあそばされていらっしゃるようでございます。しかし中小企業の倒産対策については一向にさえた実績があがらないようでございます。これにつきましては予算が問題だろうと思います。常に実態を調査するにあたっても、東京商工興信所にたよらなければならないようなことで、つまりおのれみずからの手で実態を把握することができないような予算構成で、中小企業とか、あるいは均衡のとれたとかおっしゃられても、これはできぬはずです。大企業のほうは国際的に伸びてきた、しかし片方均衡のとれない中小企業は倒産が続出しているというその実態把握さえできない、これは欠陥と言わざるを得ないと思います。これが私の指摘する第一の欠陥。さて、その欠陥に対して、しからば来年度予算——ことしの予算でなしに、来年度予算はどうなさるか、これが第一の質問でございます。  第二、通産行政には生産行政はありますけれども、消費者行政というものがないといって過言でございません。したがって生産段階におけるコストは下がっていても、これが直接消費者に渡る段階になりますると、べらぼうな値上りがしてくる。これが物価上昇の一つの大きな原因になっている。これは経企庁も同じことなんです。一体消費者を守るという行政は、通産省としては——いままでのことはよくわかってますから、いまに予算折衝をしなければならぬ八月が参ります。それに向かってどのような対策を練られようとしているのか、これが第二でございます。  第三、科学技術の振興を口にされます。しかし特許庁の行政はほうりっぱなしでございます。担当官一人当たりの案件が七百件もあるという。三年もほうっておかれるという。新しいアイデアも三年たてば腐っしまってものの役に立たなくなる。こういうやさき請願なり陳情なり届出を制限するようなかっこうに持っていかずに、ここと中小企業庁はもっと人をふやして、行政管理庁が何と言おうと国家の要請なんです。均衡のとれたことをやるとあなたはおっしゃるが、その基本に沿う問題でございますから、これは当然予算をふやすべきである。本年度も二百億円余ふえたはずです。来年度はどれだけふやされるか、これは大もの大臣の腕の見せどころだと思います。長年の懸案、古くて新しいこの案件を大もの大臣のときに処理ができなくて、ほかにたよる先はございません。したがって来年度予算編成にあたられまして、この欠陥を是正するの用意ありやいなや、その積算をいま行なっておられるやいなや、これについてお尋ねいたします。
  87. 三木武夫

    三木国務大臣 きわめて急所に触れた御質問ばかりでございますが、第一の点につきましては、御指摘のように末端における中小企業の実態の把握というものがいままで弱い点は私も認めます。しかしまた一面に、言いわけではございませんが、中小企業といわれるものが多種多様である。商業もあれば工業もあればサービス業もあって、そういう点で末端における中小企業の実態の把握ということには、いままでの機構だけではなかなかやりにくい。そういう点で、中小企業の総合指導所というものにかなり望みをかけておるのでございます。これは単に実情の把握ばかりでなくして、もっといろんな指導の面においても、業態がいろいろ違うのですから、その個々の場合に応じて相談相手になるような機関を持たなければ、かゆいところに手が届くような中小企業対策にはならない。そういう点で総合指導所という今年から置こうとしておりますものを、来年度においてももっと強化する予算の要求をいたしたいと思っておるのでございます。  それから特許庁の問題は、お説のように五年間に四百四十五名でしたか、予算も十五億円とある程度ふえることはふえたのですが、なかなかこなし切れない。御指摘のように三年もかかるような場合がある。こういうふうな技術進歩のテンポの早いときに、二年も三年もというようなことは、技術進歩を助長する意味においても好ましい形ではないということで法案の改正などもこの国会に提出いたしましたが、なかなか国会の会期内に御審議を願えるような段取りにならなかったわけでありますので、これはそういうことも含めて再検討をいたしてみたい、これが来年度の予算編成とも結びつけて考えていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから消費者行政の面においても、御指摘のようにこの点については生産行政に比べて、通産行政の中でわれわれはやはりこの問題も頭には入れておるのですけれども、いろんな予算とか機構とかいう面においてウエートが低いことは御指摘のとおりでございます。しかし日本は、大体末端の消費者価格の中で生産者のコストというものは半分くらいでしょう。あとの半分は、いろいろ生産費以外に流通過程を通じて費用がかさんでいくわけでありますから、やはり流通機構の合理化というものはぜひとも取り組まなければならない問題であります。ボランタリーチェーンのようなあるいは卸売りセンターのような構想が今年度予算の上においてもあらわれておりますが、もっとやはり徹底した流通機構の合理化という問題については、来年度の予算編成などで取り組みたいという考えでございます。
  88. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは次に進みたいと思いますが、要は国際競争力養成、国際的に伸びなければならないというにしきの御旗の陰に中小企業が倒産のうき目にあう、労働者が首切りのうき目にあう、消費者は救われずに物価高で苦しむ、これではほんとうの通産行政ではないと思われます。もちろんそれは通産省だけでなくて、経企庁、大蔵省ともにこの経済閣僚が一協致力して事に当たらなければならないと思いますけれども、とにもかくにも担当は通産省でございまするから、これはただいまけっこうな御答弁をいただきましたので次に進みたいと思いまするが、予算上におきましても大臣のおっしゃられたいわゆる均衡のとれた財政、均衡のとれた経済、これが実現するよう予算面でまず努力を願いたい、こう申し上げたいのでございます。  次にお尋ねいたしますが、きのうの内閣委員会におきまして、社会党の質問に対して佐藤総理及び松野長官はこう言うておられます。第三次防衛計画は新長期経済計画とはかわりなく早くきめたい、第二、その際、国情、国力に応じて整備をはかるが、特に国内の防衛産業の積極化を進めたい、これは総理のことばでございます。間違えるといけませんから、新聞を読み上げてみまするが、「一、第三次防衛計画については、現在経済企画庁で作業を進めている新長期経済計画にはこだわらずにできるだけ早い時期に決めたい。また同計画の内容はわが国の国力と国情に見合ったものにしたい。一、装備の国産化については松野防衛庁長官とも話し合ったが、兵器を外国から全部買うということはおかしなことなので、もっと国産化を積極的に進めるべきだと思う。その意味で防衛産業界が装備の国産化についてももっと関心を持ってほしい。」こういうことでございます。これについて通産省としてはこれを受けて立たなければならぬ担当でございまするが、その御用意がございますか。
  89. 三木武夫

    三木国務大臣 加藤さんと御意見が違うかもしれませんが、自民党は防衛力を日本はある程度確保しなければならぬという立場でありますから、国力の充実に従って防衛力は漸増していこう、これが基本方針であります。したがって防衛費も急激ではないけれども、だんだんとふやしていこうという立場であります。そうなってくれば、防衛費といっても中心をなすものは、今日のようにいろいろ防衛力の内容が非常に高度になってまいりましたから、武器、弾薬その他兵器の近代化をやっていかなければならぬ。われわれは日本の防衛力を確保するという基本方針の上に立っているものですから、これに見合うだけの装備というものは持たなければならぬ。その装備をできるだけ国産化していこうということは当然の方針であって、これにわれわれも即応していくような防衛産業の体制を今後整備していきたいという基本方針でございます。
  90. 加藤清二

    加藤(清)委員 総理は下世話にもよくわかるようにこう言っておられるんですね。「兵器を外国から全部買うということはおかしいことなので、もっと国産化を積極的に進めるべきだと思う。」つまりこれをもっと砕いて言えば、うちにあるものをよそから買わぬでもいいじゃないか、うちでできるものをよそからわざわざ買う必要ないじゃないか、したがってそのおかしさを正しさに戻そう、こういう意味ですね。私は防衛云々は別として、この考え方日本の産業界全般に当てはまることばだと思います、何も兵器に限らず。うちにあるものをよそで買う必要ないですね。うちでできるものをわざわざよそで買う必要はないでしょう。これは私は日本の産業界のバックボーンにある哲語だと思います。哲学的なことばはこれでなければならぬですね。したがってその積極化ということでございまするが、これは具体的にどう運ばれる御予定でございますか。
  91. 高島節男

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  三次防の内容につきましては、防衛庁からまだ詳細な内容については具体的な連絡を受けておりません。ただ、ただいまお話がございましたように、特色といたしまして、国産化の方向、それと合わせました技術開発への力の注ぎ方、これが相当顕著に見えているようでございます。したがいまして今後防衛庁のほうから内容が、いろいろな手続があるようでございますが、ステップを経て通産省に対しても御連絡があるかと思います。その内容を承りまして、一つ一つの工業に対して適正な技術開発及びそれによる国産化の方向へ極力持っていきたいと希望いたしておる次第でございます。
  92. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると総理は、松野防衛長官とは相談したが、とこう出ているが、通産大臣はつんぼさじきに置かれたのですか。あるいは後に相談があるかもしれませんが、今日の段階では何も相談がなかったのですか。
  93. 三木武夫

    三木国務大臣 絶えず総理あるいは松野長官とも相談をしておるので、それは総理もおそらく通産大臣ともということばをちょっと忘れられたのだと思います。そういうことでございます。
  94. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは通産大臣もよう御存じのはずです。つんぼさじきではなかった。しからば、防衛産業の積極化の内容は一体何でございましょうか。これはもしなんでしたら、私はそこのところのやりとりやいきさつを質問しようと思っていないのですから、装備局長の國井君でけっこうですから。どうです。
  95. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいまお話の装備の国産化の推進の問題でございますが、実は私ども防衛庁が発足をいたしまして以来、あるいはもっと古く、その根本であります警察予備隊発足以来でございますが、装備の国産化につきましては非常な熱意と申しますか、これをぜひ増大したいという意図で努力をいたしてまいっております。一例をあげますと、昭和三十年当時の国産化と申しますか国内調達率は大体三〇%程度でございました。これは御承知のように当初米軍からの装備の供与というものが主体をなして発足をいたしましたので、当初は非常に低い比率でございましたが、最近に至りまして、三十九年度になりまするとこの国内調達率は逐次努力をいたしました結果八五%程度でございます。それから昨年度になりますとこれがさらに上がりまして、八七%程度という状況でございまして、もちろん全体の装備の中で依然として古い供貸与の装備が残っておりますので、全体としてはまだ国内調達によります装備の率というものはそれほどは高くございませんけれども、最近の年度を見ますと非常に率は高まってきておるという状況でございます。今後第三次防衛計画の推進にあたりましては、御承知のようにまだ三次防計画が具体的に決定をいたしておりませんので、この内容決定の過程においてきまるわけでございますが、私どもこの傾向をさらに増大をいたしたいというふうに考えるわけでございます。この増大いたします場合に考えられますのは、少なくとも国内でできるものであって、しかも、これは技術提携あるいは国内開発両方を含めてでございますが、国内でできるものはあくまで国産でやりたい、ただ問題は非常にコストの高くつくもの、あるいは技術的に非常に困難がありまして、私ども装備をする上で不安が残るというふうなものにつきましては、やむを得ず輸入またはMAP、MASというようなものもございますけれども、できるだけこれを推進したい。いままでとっております長期一括契約の方式、あるいは計画的な調達方式の推進というようなことを進めまして、その率をさらに高めていきたい、かように考える次第でございます。
  96. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは國井さん、あなたにお尋ねしますが、第三次防備計画は一体いつごろ完了するか。引き続いて、その第三次防衛計画を、うちでできるものはつくらせる、しかし高くつくとかできないものはやむを得ぬで買う、こういうお話でございまするが、その第三次防衛計画が完了した場合の想定ですがね。一体内地調達を何%程度にしようとなさるのか、これが第二、第三は、ただいまあなたも通産省から向こうへ派遣されて行っていますね。また通産省からアメリカに派遣されてその調達に専念している人がいらっしゃいますね。それから防衛庁からも行ってそのことに専念している人がいらっしゃいますね。この方の任務といいましょうか内容というものは、はたして日本でできないものに限られているのか、できるもので農お向こうで買おうとしていらっしゃるのか、その辺の内容を第三点としてお示し願いたい。
  97. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいま三次防はいつできるのだというお話でございますが、実は三次防の策定計画は私の主管ではございませんので、明確なるお答えをできかねるわけでございます。この三次防の策定は、私ども内部においてはできるだけ早く策定をしたいというような考えで進めておりますけれども、いつできるかという点については御容赦をいただきたいと思います。  それから三次防を通じまして一体国産化率をどの程度に高める予定か、こういう御質問と思いますが、この点は実は内容につきまして一例をあげますと、たとえばナイキあるいはホークというようなものにつきましても、実はまだ具体的に国産するかあるいはMASで調達するか、その他の方法によるかという点が最終的に決定をしておりません。こういった具体的な問題を逐次詰めまして、その上で最終的な比率が出るわけでありまして、一律にと申しますか当初計画として何%というような計画は現在ちょっと出しにくい状況でございます。  それから米国に人を派遣して調達に当たっておるという実情はどうかということでございます。実は私ども現在四十年度で見ましても有償援助のMASの契約を六十三億ほど陸海空を通じましていたしております。毎年、年度によってこれは多少違いますが、そういった契約をいたしまして、アメリカから物の円滑な輸入をはかるという立場から、米国のサクラメントとベーヨンでございますが、一名ずつの長期駐在官を派遣いたしております。現在長期出張という形で出ておりますが、これはこういった契約されたものの具体的な買い付け促進をしておるのが任務でございます。したがいまして、新たに新しいものをさがし出して契約をするとか、あるいは新しいものを見つけまして契約をするように本国に言ってくるとかいうことが任務ではございませんで、きまりました契約の実現について現地において促進をやっておるというのが任務でございます。
  98. 加藤清二

    加藤(清)委員 いま、アメリカを主としてでございますが、そこへ発注しているものの中で、うちでできるものはなるべくうちでというその精神に沿って、内地産業で製造、加工し得るものは一体何と何を想定しておられますか。
  99. 國井眞

    ○國井政府委員 お答えいたします。  具体的にできるものがどれかというお尋ねになりますと、これは非常にたくさんのものがございます。ただ、ものによりまして、アメリカにおいて、特許権なりノーハウなりを向こうが持っておるというようなものは、その交渉をいたしまして、技術導入の手当て等いたしませんとやれないという状況でございます。これにつきましても技術的にはわが国は相当の水準にございますので、大体わが国において相当の部分が国産できるのではなかろうかというふうに存じております。ただ、技術導入による国産の場合におきましても、国産化率という形で見ますと、一〇〇%国産ということにはなりませんで、たとえば104の例で見ますと、当初の国産化率は四三%、それからあとのフォローオンは六〇%というふうに逐次上がってくるということで、これも努力したいということもあろうかと思います。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 では大臣にお尋ねいたしますが、新経済長期計画なるものは、これは経企庁でつくっておられると思いますけれども、実行に移すほうは通産省がそれこそ主体のはずでございます。そこでお尋ねするのですが、新経済長期計画なるものはいつごろできるのでしょうか。
  101. 三木武夫

    三木国務大臣 今年の秋を目標にしていま作業しているわけであります。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 その計画とはかかわりなく早くきめたいと総理が第三次防について言うておるわけでございます。新長期計画とはかかわりなくより早くと言われますと、これで大体煮詰まってくるわけですね。第三次防は一体いつごろできる予定です。
  103. 國井眞

    ○國井政府委員 いまの詰めての御質問でございますが、非常に大きな根本的な問題でございまして、しかも三次防の計画担当が実は防衛局長でございます。そういった関係もございまして、その点の御答弁は御容赦を願いたいと思います。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 私がなぜこういうことを聞かなければならぬかと申しますと、次にお尋ねする問題に関係があるからなんです。すなわち、日米経済閣僚会議が七月に行なわれる。その会合の基本は、この長期新経済計画であり、第三次防である。それがいつできるかわからぬというような今日的な答弁で七月に臨んでどうしてやれます。それなしで臨んだらますますアメリカから軽べつされるだけなんです。いつも日米経済閣僚会議は、いずれかというといかれっぱなしが多い。したがって私は聞いておるわけです。いつできます。大臣は新経済計画は九月ごろとおっしゃった。七月の会合ではもはや素案ができておるという勘定だ。では、あなたは防衛庁の中ではつんぼさじきですか。よそからの入り来たり人だから、國井装備局長みたいなものはほうっておけ。何もこれは三矢事件じゃないのですから、三矢事件とは全然別の問題なんですから、当然外部に発表されなければならぬ。これを発表され、積算が行なわれて次の予算となるのですから。  それでは逆に聞きましょうか。四十二年度予算に第三次防の予算要求はございませんか。
  105. 國井眞

    ○國井政府委員 もちろん、第二次と申しますか四十二年度の予算編成にあたりましては、これは第三次防の初年度という年度になるわけでございますから、その一部を更正するということになろうかと思います。ただ、御承知のように、四十二年度の予算要求の計画そのものがまだ策定をいたされておりません。これはおそらく三次防の策定作業と並行いたしまして、その帰趨を見ながら組まれていくというふうに考えておりますが、少なくとも現在の段階においてはまだきまっておらないという状況でございます。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、防衛庁ではだれが主にこれを策定しているか、もう一度お尋ねいたします。
  107. 國井眞

    ○國井政府委員 三次防の担当局長は防衛局長でございます。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 防衛局長とよく相談して後ほどお答え願いたい。それができてないはずはない。もしもできてないとおっしゃるならば、今度の予算要求には応じませんよ。なぜかならば、そんなまぎわになってからどろなわ式につくった予算、それは受けられるはずのものじゃない。少なくとも第三次防といえば長期計画のはずなんです。いつも日本の計画は、十年経済計画も中期五ヵ年計画も、今度のやつはどうか知らぬけれども、みんな途中でくずれておるというのは、間に合わせにつくってくるからなんです。予算だけ要求しておいてからに、実際はというたら途中で立ち消えていく。そういう計画だったら、もはや国家の重大な予算、しかも国民の膏血をしぼって行なうところの予算編成、これには応じられませんぞ。ですから、あなたは自分のところじゃ発表できないと言われるが、きょう内閣委員会その他でこれをやっておるはずなんです。向こうは向こうで、こっちはこっちで聞いておるわけです。したがって、あなた一人で答えられぬというならば、いまから使いを走らしていって——内容を示せと言うていないんだから。いつできるかと聞いている。期日もわからぬと、予算要求ができますか。計画のないところに予算が要求できますか。八月には大蔵省と折衝しなければならぬ。そうでしょう。できぬはずはない。だからあとで答えていただきたい。  次に進みますが、日米経済会議、これはいつ、どこで、日本のメンバー、相手方のメンバー、それからおもな内容、これについてお示し願いたい。
  109. 原田明

    ○原田説明員 お答えいたします。  日米経済閣僚会議は七月の五日から七日まで、現在の予定では京都におきまして行なわれる予定でございます。  アメリカ側から来られると予定されておるメンバーはラスク国務長官、コナー商務長官、ワーツ労働長官、農務長官、ユードル内務長官等でございます。財務長官とアクリー経済諮問委員長は来られるかどうかまだ未定と伺っております。当方から出席される閣僚は外務大臣、大蔵大臣通産大臣、農林大臣、運輸大臣、労働大臣と承知いたしております。  以上でございます。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのメンバーの中にハーター・オフィスは参加して参りますか参りませんか。これは代表にはならないでしょうが……。
  111. 原田明

    ○原田説明員 ハーター・オフィスからもしかるべき方が来られるというふうに了解をいたしております。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 引き続いて、相手方が日本に要求するであろうと推定できる重要案件、これをお示し願いたい。
  113. 原田明

    ○原田説明員 今回は従来と異なりまして、あらかじめ日米双方から議題を交換し、それに基づく双方の立場を書類をもって交換するという形のトーキングペーパーを廃止するという取りきめにいたしました。したがいまして、具体的々州なる議題が双方から提出されますかは会議の席上で御出席されます閣僚が決定されるわけでございます。  ただし、加藤先生の御質問にお答えいたしまして、私どもでおそらく議題になるのではないかと思われます重要案件を二、三申し上げますと、わがほうからは貿易問題に関しましては先ぽうの日本商品に対する輸入制限的運動、並びにこれに関する貿易障害の除去の問題、先ぽうからはわが国の資本取引に対する規制がややきつ過ぎるのではないかという点に対する問題点、さらにケネディラウンドを通じまして日米双方の貿易並びに世界の貿易の拡大のために日米双方がいかなる貢献をなし得るかといったような問題、さらにいわゆる南北問題と称せられております発展途上国の貿易経済開発のために、日米双方はいかに協力し得るかというような問題、以上が重要議題であると私どもは了解いたしております。
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 これはすでにもう新聞発表ないしはテレビ、ラジオあるいは経済雑誌等に長きにわたって論議が行なわれている点でございます。したがいまして、私は論を一歩進めまして、今度はそれの具体策を、もはや担当代表としては考えておかなければならぬ時期だと思います。  さてそこで、いまあなたがいみじくもおっしゃられました相手方の要求であろうと思われる資本取引の自由化の要請、それから関税一括引き下げの問題、これを要求してくるであろうと思われますが、しかし私はここに非常な矛盾を感ずるわけでございます。なぜかならば、彼らは自分で関税一括引き下げを言いながら、日本品に対しては何を行なっているかといえば、御存じのとおりです。輸入関税の運用、ダンピング防止法の適用等等が行なわれている。つまり日本品の相手国への輸出を非常な過酷な態度でもって制限をしているということなんです。これはしかし考えてみればガット違反と推定できる問題なんです。日米友好通商航海条約違反とも言えるわけなんです。特に関税評価の問題でございますが、これを一体通産省並びに大蔵省としてはどのようにお考えであるか、この点をはっきり承りたいのでございますけれども、大体日本品の評価はFOBで行なわれるはずなんです。日本の港の船積み価格でいかなければならぬはずなんです。にもかかわらず相手は一体何をやっておるかといえば、これはあなた御存じのとおりだ。アメリカの市場価格でやっておる。そうでしょう。アメリカのショッピングプライスなんです。これでやっておる。ないしは日本の小売り価格でやっておるじゃないか。そのおかげで関税は普通正常にいく場合の二倍から三倍も取られておるでしょう。こういうむちゃなことをやっておる。右手でそういうむちゃなことをやっておきながら、左手でケネディラウンドでございの一括引き下げでございの、アメリカから日本が輸入する場合の関税は五〇%引き下げろ、こう言っておるわけです。明らかに矛盾ではございませんか。それをなぜ日本は正々堂々と要求できないのですか。おかげでアメリカに対する日本の商品は、銘柄別にすればいまだに百八十品目も——特に繊維製品のごときは非常に過酷だ。各国にその例を見ない。したがって、日本の繊維製品のアメリカ市場における占拠率はどんどん低下してきておる。称してレーバーダンピング、チープレーバーだ、だからいけないといいながら、日本よりもなおチープレーバー、なおレーバーダンピングをするような香港ものであるとか韓国ものとかポルトガルものの比率がどんどん伸びておるじゃないですか。こういう矛盾を一体何ゆえ黙っていなければならないのか、ここらあたりの確たる信念を次長からまず事務的に聞いて、あと大臣から腹を聞きたい。
  115. 原田明

    ○原田説明員 ただいま加藤先生から御指摘の諸点はまことにごもっともな点であると私どももかねがね痛感いたしております。アメリカの関税評価制度はかなり古い制度でございまして、一九三〇年の関税法を主体にしてつくられております。したがいまして、ガットがつくられる以前にできた制度でもございますので、ガットに加入する際にすでに義務免除を持っておるというような点から、形式的にはアメリカはガットに違反しないという主張ができる形になっております。ただし、私どもといたしましては、実質的にはただいま御指摘のございましたようなものによっておりますような関税評価のやや恣意的な制度、ASP、アメリカン・セリング・プライスというような制度でございますとか、四百二条のaというような適用条項によって事実上わが国の輸出価格ではございませんで、向こうの市場で売られる価格から逆算して関税を課せられる。そのためにきわめて高い税率になっておるというような事態がございますので、この点はすでにケネディラウンドが始まりますより前から、アメリカ政府当局に対しまして、私どもとしてはこういう制度はできるだけ早く改善をしてもらいたいということを強く申し入れているところでございます。ケネディラウンドの場所におきましても、こういう制度が改善されること自体が、わがほうが一括引き下げに参加し得る前提条件であるという態度をはっきりいたしております。特にASPの制度につきましてはわが国だけではございませんで、EECの諸国あたりも、もし米国がASPの制度を変えないならば、たとえば化学品あたりについては一括引き下げには応じがたいという明確な態度を打ち出している模様でございます。したがいまして、ケネディラウンドの外におきましても中におきましても、私どもは機会をとらえ、かたがた政府あるいは税関当局といったようなものに、こういう制度の改善をすみやかにやっていただくように努力をいたしておるつもりでございます。この点はおそらく今回行なわれる日米閣僚会議においても、従来第一回の日米閣僚会議以来ずっと行なわれましたと同じように、強くわがほうの閣僚から御主張いただけるものと、私ども期待いたしております。以上でございます。
  116. 三木武夫

    三木国務大臣 昨年の七月にも、われわれのほうから強く申しました問題点であったわけでございます。京都で行なわれる来月の会議においても、われわれは強くこの問題を取り上げて、ガットの精神にも違反するし、アメリカの自由貿易という従来の主張にも反するという点で、アメリカの反省を求めたいと考えております。
  117. 加藤清二

    加藤(清)委員 実はこの問題について先般アメリカに渡りましたときに、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ等々の編集長並びにフルブライト外交委員長、パストーレ委員会の委員長パストーレ等々に会いました。そして中曾根君、石田博英君等々とこの問題を渡り合いました。かの国の人たちは言えばわかるのです。あるいは知っておっても知らぬふりをしておったのかもしれませんが……。あなたたちの言うておることは二律背反である。右手でケネディラウンドを言うて関税を下げろ下げろと言いながら、自分らはガット違反、日米通商航海条約の違反を犯してまでも、なおこういうばかなASPのような制度を押しつけているじゃないか、どこに友好があるのだと話をしますと、これはそういうことになっていたか、これはあなたたちの言うのが正しい、われわれも貿易は自由主義を標榜している。ケネディラウンドは実行に移さなければならない。しかもなおケネディラウンドについてはよその国はいざ知らず、日本の国はいの一番に賛成してもらいたい、こういうことを言うた。それだったら為替をいじくるだけですから、何もむずかしいことはない。去年も言うた、おととしも言うた。返事がない。具体的事実は、なお過酷な制度が行なわれておる。その結果は競争力の強い商品がアメリカ市場に来るというと、日本のシェアをだんだん侵食されている。こういう状況なんです。これはひとつ代表の経済閣僚が腹をすえて団結して、相手によく理解してもらうということをすべきであると私は思うのです。もう一度、大臣の所信を承りたい。
  118. 三木武夫

    三木国務大臣 そのような考え方でおるわけでございます。世論の国でもありますし、そういう事態を改善したいというのが政府自体の考えのようでございますが、アメリカの国会筋のいろいろな各州における世論なども反映をして、必ずしも政府の意図と国会の意図とが一致しない場合もある。ワシントンの政府も、その点は相当深い理解を持って、これを改善したいという意図を持っておるようでございますが、今回の場合においてもさらに注意を喚起いたしたいと思っております。
  119. 加藤清二

    加藤(清)委員 特に関税一括引き下げについては、欧州諸国も必ずしも承知していない。EEC諸国のごときは、これを額面どおり受け取っていない。アメリカとしては日本を一緒に引き込んで、最初に二国間協定で実績をつくってしまって、そしてその実績によってEEC諸国にこれを訴えようという手段をとるよりほかに、いま手はない状況になっておる。だから時期としては非常にいいと思う。きょうこんなことを言ったって新聞には出やしないから心配ないのです。いつも皆さんが、波打ちぎわから向こうのことについては、与野党一致団結して当たれとおっしゃる。私はそれは賛成なんです。波打ちぎわから、向こうのことについては、日本の利益ということを主体に置いて、党利、党略を越えて当たるべきだと思う。その意味において私は少なくとも関税評価の問題くらいはもう解決してしかるべき時期にきておる。向こうがそれを言い出してきておるのですから、渡りに船と乗るだけのことですから、要はいままでいけなかったことは、具体的事実を相手がよく認識していないということです。そういうことは事務屋にまかしてある、親心子知らずということがあらわれておる。知らないからできない、こういうことになる。  そこで、事のついでと言っては失礼でございますけれども、たとえばバイ・アメリカンの問題、シップ・アメリカンの問題でも同じことでございまして、シップ・アメリカンのごときは、海運自由の原則の違反になるのじゃないかとだれしも言うておる。学者ならず経済家はみんなそう言っておる。しかもそれはどうなっておるかというと、ボナー法の適用によって海運同盟に干渉までしてきておる。むちゃな話です。原田君、君はこれをどう思います。あなたは専門家だからよくわかるでしょう。しかし本日は私は海運問題とかあるいは漁業協定とか、航空協定に論を進めようとは思いません。しかしいずれ劣らぬみんな不平等条約なんです。いうなればオキュパイド・ジャパン時代のマッカーサーの意向がそのまま実績として残されてきておるというのが今日の実態です。二十年もたった今日、なおそれがそのままにおいておかれるというのは、あまりにも新モンロー主義といいますか、新植民地主義に甘んじておるといわなければならぬ。だから後進国のほうは新植民地主義に甘んじておるという。その結果はアジア開発銀行の場所も向こうに取られてしまう。今度総裁だって取れるかどうかわからぬ。あまりにも日本はアメリカナイズされ過ぎておる。こういうところにまで影響する。しかもその結果はどうだ、帳じりは常に慢性的赤、去年だけが黒になっておる。二十年間というものは貿易の帳じりは常に赤が慢性的である。日本の国益を考えるならば、当然声を大にして言うべきことなんです。所見を承りたい。
  120. 原田明

    ○原田説明員 シップ・アメリカン、バイ・アメリカン、特にバイ・アメリカンあたりはわが国の輸出を阻害する点が非常に大でありまして、六%外国品の値が安くても国内品を買えという制度であります。さらに不況地帯におきましては、その上にさらに六%安くて一二%違っていても買えというようなものもございます。こういう点はなるべく安いものを国際的に分業で交流し合って、各国間の貿易の拡大をはかろうという自由貿易主義の精神には非常に反しておると私どもはかねがね考えております。したがって今後もこういうアメリカがとっております制度をすみやかに改善していただくように、われわれとしてはあらゆる機会をとらえて努力してまいりたい、かように考えております。
  121. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういう状況下にあって、なお相手はどうなっておるかと申しますと、資本の自由化を要請してきておる。円交換の自由を要請するでしょう。株の取得の自由を要請してくるでしょう。これはまことに矛盾と言わざるを得ないのですね。まことに矛盾、えてかって。したがって貿易の自由とは何ぞやといえば、買いの自由は与えられたけれども、売りの自由は制限のしっぱなしである。売りの自由は与えられていない。経済的植民地である。外国の経済学者までが日本を批評している。それはあなたは専門家だからよう御存じのはずなんです。そこで、資本取引の自由、株の取得の自由、円交換の自由、これを要請された場合に、日本としてはいかなる態度でこれに臨まれますか。本会議だそうですから、これだけで……。
  122. 三木武夫

    三木国務大臣 資本取引の自由化は、これはやはりやがてだんだんと制限を緩和していくことが必要である。それは国際経済の一員に日本が参加して、そういうふうな約束のもとにOECDにも入った今日は、留保条件をつけておる。これをだんだんと緩和していくことが日本経済のためにも大きく見ればプラスである。ただ、しかしタイミングということが問題であります。タイミングが問題であって、それだけの体制の整備も整わない前に何らかのスクリーン制度というものをやめて、あまり資本取引を自由化するということは、日本の産業に混乱を与えますから、体制を整備しながら、資本の自由化が、いまの制限が緩和できるような産業政策をとっていきたい。いま直ちに全制限を撤廃する考えは持っておりません。しかし、だんだんとこれは制限を緩和していくことが——方向としては、そういう方向でございます。むろんアメリカ自身としても、こちらはこちらのいろいろな前提条件が満たされる前に要求があるからといってやるわけにはいかないわけであります。日本は貿易の面においては、今後アメリカに対して、そういう制限を撤廃してもらいたい。向こうは資本の自由化、資本の取引に対する制限を撤廃してもらいたい。ワシントンで会議をやりましたときには、両方のこういう要求が出てくるわけでございます。これはやはり両方とも制限をやるんだという立場は、アメリカも成り立たない、こちらも資本取引の自由化をいつまでも制限するんだということは、これは成り立たない。この問題は直接の関連性はございませんけれども、この問題は日米両国が解決しなければならぬ課題である。したがって、われわれはやはりいままでのような主張を続け、またやはり向こうも言いましょう。資本取引の自由化、こういうことで一日も早く、こういういろいろな制限というものが撤廃できるような体制を整えなければいかぬと考えております。
  123. 天野公義

    天野委員長 本会議散会まで暫時休憩いたします。    午後三時二十五分休憩      ————◇—————    午後四時十分開議
  124. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続行いたします。加藤清二君。
  125. 加藤清二

    加藤(清)委員 さきに引き続きましてお尋ねいたしたいと存じまするが、先ほど会議で計量法が通過したですね。あれについてちょっとお尋ねしますが、すでに田中さんやら大村さんたちがお尋ねになって御答弁になっているところは省いていただいてけっこうです。大体メートル法を実施する、その他のものはいけないのだ、もし使えば罰則を食らわせるのだということでございまするけれども、国民の生活にしみ込んだものをむちでもって一挙に変えるということはこれはできないことなんです。しかも世界の慣行になってしまっているものをわが国だけがこれを変えるといったって、これはなかなか困難な問題なんです。したがってこれについては除外例なるものを用意しておいていただかないと市場に混乱を来たすおそれがある。そこでお尋ねするのですが、大体真珠というのは匁が世界共通なんです。それから宝石はカラットなんです。どこの国へ行ったって宝石はカラットなんです。毛糸は相場が世界じゅう立ちますけれども、これはポンドなんです。拳闘でも目方はポンドなんです。あれをキログラムとは言わないのです。そこでそういうものについて直ちに罰則だの何だのという心配が起きておりますので、いま業界では非常に恐慌を来たしているわけなんです。これについて真珠は世界じゅう匁で通用している、それを慣行として認めなさるのか、宝石のカラット、これは国内のみならず世界じゅう同じなんだからこれを許しなさるのか、あるいは毛糸についてはデパートで売る場合でもこれを何グラムとは言わないのです。ポンドが単位になっている。三品市場においてもそうなんです。それをどうなさるのか、それをまず……。
  126. 高島節男

    ○高島政府委員 計量法の内容を見ますると、現在メートル法を施行するたてまえでその方向にまいっておるわけでございますが、御指摘のような特定の用途に対して適用いたしますもの、たとえばいま非常に適例としておあげになりました真珠の例でございますが、これは私も初めて今度勉強をいたしたわけでございますけれども、匁といいますか、外人はモメと称しておるようでございます。MOMEというのが一つの世界的な取引単位になって行なわれておるようでございます。したがいまして、これは計量法のむしろ補助計量単位として特定の、真珠の計量のために使う特殊のものといたしまして、第七条でございましたか、例外措置をとる余地があると思います。今回ちょうど計量法の改正がございまして、これの施行に移ってまいります。その過程において審議会等を経なければなりませんが、その所要の手続を経まして、これはむしろ世界的な計量単位という角度から問題を取り上げて解決いたしたいと考えておる次第でございます。  それからそのほかにもいろいろな計量単位がございますが、輸出入に関連いたしますものは、これは世界的な計量単位の影響を反射的に受けるわけでございますから、輸出入に伴う取引等については日本としてはメートル法の統一に国内法の歩調としてはまいっておりますが、しかし輸出入と関連するところはポンドその他を採用していくこともやむを得ない、こういう態度で運用いたしていきたいと思います。最初の真珠の話はちょっとわれわれもうかつにして、その辺十分検討をして事実を十分に認識してなかったところがあるかと思います。このあたりは至急そういった手続をとってまいりたいと考えております。
  127. 加藤清二

    加藤(清)委員 通産大臣いらっしゃいましたからもとへ戻って、インドネシアの緊急経済援助について一言だけお尋ねをいたします。  これも総理の一声で三千万ドル、金詰まりで倒産続出の中小企業にとってはこれは垂涎のまとでございます。全国の中小企業者の声よりもブオノ副首相の声のほうがとうといのだろうかという疑問を、中小企業は抱いたようでございます。学校の子供の教科書の無償、これを削るほど予算が少ないという、固定資産税につきましては三年間の延長の恩典を二年で切り上げてまでも増税をするという、なお足りぬで公債発行するという、こういうやさきに、なぜ債権国会議も開かないうちに、ブオノ副首相の一声でどうして三千万ドルも供与されるようになったのであろうか。  そこで通産大臣にお尋ねしたいのは、大臣には事前に相談があったのかなかったのか、閣議にこれはかかったのかかからぬのか、これをまず第一番に……。
  128. 三木武夫

    三木国務大臣 お答えいたします。  まあ加藤さんのようにいいますと、低開発国に対する協力というものはできぬことになってしまうわけです。国内においても中小企業の問題あり、公共投資の問題あり、日本も何もあり余るわけではないのであります。にもかかわらず、これは低開発諸国に対しても大きな見地から——大きな見地というのは、やはり近隣の諸国が安定していくということからくる、日本の——これは日本のためにも直接とはいえないにしても、アジアが安定するというのは、計算すれば大きな計算にもなりましょうからね。そういう点でインドネシアが、いままではむしろ対外的な対決主義ということで外のほうに向かって目を向けておったのが、国内の安定のためにこれから力を入れようという大きな政策の転換をした。これは好ましい方向であることはだれの目にも明らかでありますので、これに対して、三千万ドルという金額は決して少なくない金額ではございますが、アジアの安定をこいねがう日本が相当思い切ってインドネシアの経済協力に寄与しよう。ただしかしこの三千万ドルというのはやがてコンソーシアムの国際的な会議が行なわれることになりましょうから、その場合にはこの三千万ドルということも頭に入れて、そうして日本の協力関係というものが幾ら——どうしてもその場合には日本はある程度の援助をしなければならぬことは明らかですからね。そういう場合にはこの三千万ドルということも頭に入れて関連において日本が援助すべく金額をきめたい。しかしいまその国際的な援助の計画が具体的に動き出すまでの間に、やはりインドネシアは非常に不安定な状態でありますから、これに対して援助をするということは、きわめて時宜に適したものであるという考え方から、そういう決定を行なったのでございます。
  129. 加藤清二

    加藤(清)委員 当然このインドネシアのような場合においては、これに融資をするとかあるいは援助をする場合には、債権国会議を開いて、その結果行なわれるというのが、これが定石になっているはずなんです。にもかかわりませず、それが行なわれない先にやられたというについては、先ほどの緊急待避か緊急避難じゃないけれども、その緊急性があったはずなんです。その緊急性の理由と、それから目下のところインドネシアには信用不安があるのかないのかという問題。次に、この輸銀法によれば、十八条の二では、信用不安のある者には、これは日本国民といえども、輸銀資金は使わないことになっている。それをあえてなさる。私が申し上げるまでもなく、輸銀資金というのは、一般会計予算、すなわち税金がもとなんです。と同時に、御承知の資金運用部資金なんです。これは郵便貯金なんです。それを、法律を犯してまでも行なう。では総理大臣法律を破ってもいいかということになってくる。ここらが国民としては素朴に考えてわからない点なんです。したがって、この際国会においてこれを明らかになさるということは、国民の疑惑を払拭するという道に通ずるわけなんですから、そこらあたりをわかりやすく説明していただきたい。
  130. 三木武夫

    三木国務大臣 一つにはやはりそういう近隣諸国に対して、ことに低開発国に対しては、国民所得の一%程度の援助をしようという約束を行なっているわけであります。そういう意味で、われわれはいろいろ国内的事情を持っておるけれども、そういうことをやるという約束をしておるわけです。その約束をした根拠は、低開発国の安定なくして世界の平和はないという、これは日本の非常な強い外交の方針に基づくものであります。そこで、インドネシアの場合も、どういう緊急性があったかというと、御承知のような、インドネシアは非常な大きな、従来の政策の転換を行なった、新しい政治、新しい政権と言ってもいいと思いますが、これが、スハルトを中心とした新しい政治勢力というものが全責任を負うような形になってきた。そこで、これが、国際債権国会議などによってやがては——関心を持っておる国が非常に多い、西欧においても。そういうことで、世界的に援助の手を差し伸べられる状態が生まれることは、これは必ず生まれると私思っています。西独においても、シュレーダー外相と私、話したときに、非常に関心を持っておった。そのほかにおいても、オランダも関心を持っておれば、豪州なども非常な関心を持っておるし、ニュージーランドも関心を持っておる。そういうことで、これは何カ国の会議になるか、ともかく近い将来に国際債権者会議が開かれて、世界的に援助の手が差し伸べられることは、これは私は信じています。そういう場合に、当然に日本はアジアの一員としての唯一の先進国でありますから、相当やはりこれに対して寄与せざるを得ない。しかし、同じ寄与をするとするならば、向こうもいまとにかく政権が安定していくためには民生の安定ということが非常な急務である。そのために必要な緊急援助というものが、将来はともかく、いまほしいのだということで日本が援助をしようとするなら、向こうが最も望む効果的なときにするということが、援助のしかたとしても喜ばれるわけでありますから、せっかく向こうがするという——腹はきまっているわけです。いつするかということは、いま言われたように、国際的にそういう話し合いがまとまったほうが、その金を確保するその援助、長期、低利の資金ということになるでしょうが、それを確保する意味においたら、加藤さんの言われるほうが安全でしょうね。しかし向こうを助けたいという日本の善意というものがあらわれるためには、向こうの要求、向こうの要請にこたえるということが、それは援助としては効果的であるという判断でございます。  また輸銀の問題についても、これは閣議決定をいたしたわけでありまして、この三千万ドルは、将来の国際的な債権者会議において援助計画が立つでしょうが、そのときにこの金額もにらみ合わすということでありますから、輸銀でこの資金が将来回収できる見込みが全然ないというような性質のものではない。だから輸銀法の精神にもこれは真正面から抵触するものではないという解釈のもとに閣議決定を行なったのでございます。
  131. 加藤清二

    加藤(清)委員 各国が関心を持っている、善意を示すには相手の要請にこたえることのほうが効果的である、そのことはそのとおりなんです。しかしだからというて、インドネシアの信用不安がこれで解消するとは限らない。  そこで信用不安のある国へ輸銀法十八条の二の適用による信用供与は、これは日本国民といえども、信用不安のある場合には輸銀の資金を拝借することはできないのです。それをあえてこれを適用してやりなさったということについては、よほどの緊急性がなければならぬ。その緊急性が私にはわからない、まだわからない。ところで百歩譲ったとしまして、なおあなたのおっしゃる、あるいは政府のおっしゃるインドネシアの民生安定に役立つ、これが大切なことである、こういう話なんです。これもそのことばだけとるとごもっともなんです。しかし民生安定に役立つには、目下のところ、かの国は非常に物価騰貴なんです。あれは生活必需物資を送るということが、この民生安定には一番役立つのです。ところがこの輸銀資金は消費財には適用できないのです。そうでしょう。耐久消費財しかこれは適用できないのですよ。それをどう解釈しておられますか。
  132. 今村昇

    ○今村(昇)政府委員 輸銀資金につきましては、原則として生産財の延べ払い輸出等に主として使用されておりますが、ただ、政府の直接援助としまして、いわゆる商品援助という形でこれを使用することについて、これを禁止するという規定はございません。
  133. 加藤清二

    加藤(清)委員 そんな……。三百代言だ、それは。禁止規定はないといったって、あれは許可基準だけきめてあるのですからね。いや、これはおもしろい答弁だ。  しかし、それもまあ百歩譲りましょう。百歩譲ったとして、それではつつ込んで伺いますが、その商品援助をするとおっしゃる、じゃあ何という商品、その三千万ドルに値する商品の銘柄、品目、数量、それを承りたい。
  134. 今村昇

    ○今村(昇)政府委員 ただいまきまっておりますのは、三千万ドルに相当する円資金を供与するということでございまして、その内容に何を含ましめるかということにつきましては、インドネシアの債権国会議開催までの緊急な需要を満たすために必要な物資を供給する、こういうことがきまっておるだけでございます。したがいまして、今後具体的に三千万ドルの内容をどうするかということは、インドネシア側と相談をいたしまして、インドネシアの最も緊急に必要とするものを三千万ドルの中にはめていく、こういうことできめてまいりたいと思います。
  135. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはいつでございますか。
  136. 今村昇

    ○今村(昇)政府委員 ごく近いうちに交渉段階に入る予定でございます。
  137. 加藤清二

    加藤(清)委員 緊急緊急とおっしゃるのですから、よほど大急ぎで行なわれるはずでございますが、いまその緊急性を時期的に申し上げますると、債権国会議を開く前にやらなければならぬほど緊急性がある、とこうおっしゃる。債権国会議は九月に行なわれる。それ以後の計画でよければ、何もあわてて急いでやる必要はなかったはずです。九月以前に行なわなければならぬほどの緊急性だというが、きまってからこれはもうだいぶになる。それがまだ、商品援助をするというその商品の内容はわかりませんという。これはおかしいじゃないですか。それほど緊急性のものだったら、話し合いが行なわれたときに何と何と何ぐらいなことは向こうから出たはずなんです。だから商品援助というものが出てきたはずなんです。逃げ口上ですよ、それは。
  138. 今村昇

    ○今村(昇)政府委員 もう少し具体的に申し上げますと、インドネシアのほうからその交渉のできるしかるべき代表を、早ければ今週、それから、おそくとも来週くらいには派遣をいたしまして、そして日本側の政府並びに輸出入銀行と協議に入る、こういう予定でございます。
  139. 加藤清二

    加藤(清)委員 緊急性があるからやむを得ないと法律違反を犯してまでもやる、耐久消費財というものに、輸銀法を犯してまでも商品援助をする、それほど急いでおる。しかしそれはあなた、向こうの注文どおりをやるとおっしゃるが、その商品はすでに在庫されているものでございまするか、これから製造するものでございまするか。
  140. 今村昇

    ○今村(昇)政府委員 いまお答え申し上げましたように、趣旨はインドネシア側の緊急な要請をまず満たすということでございますが、御承知のように昨年の十二月に輸出保険が一部停止をいたしまして以来、既契約のもので実は船積みを見送った、まあ現在日本にいわゆる滞貨として残っておるものがございます。したがいまして、三千万ドルの中身がどうなるかはこれからの交渉、相談の結果きまるわけでございますけれども、結果的に見てそのうちのある部分が、すでに滞貨になって日本にあります、そのもの自体がそのまま役に立つという結果になるということは、容易に想像できるところでございます。
  141. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうするとこれは向こうの希望というよりは、むしろこっちの滞貨を消化するという希望、そっちのほうにウエートがあるのですか。
  142. 今村昇

    ○今村(昇)政府委員 趣旨はあくまでインドネシアのための緊急援助でございます。しかし結果的に見てそれが滞貨の処理になるという効果を一部持つことになるかもしれぬ、こういうことを申し上げたわけであります。
  143. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは私は、この借款を生かす道、そしてなおそれは国民が納得する道、なお指をくわえてながめておらなければならない中小零細企業も納得をする道、それを参考に申し上げてみたいと思います。それは何かといえば、緊急を要するんだから、これからつくれといったってこれは間に合わぬはずだ。これからつくるものなら九月過ぎでけっこうなんです。その道を生かす、それにはどうするかが問題ですが、いままですでに約束されている問題があるわけなんです。それは御承知のとおり高碕・スカルノ会談によって成立した、しかもアメリカの大統領も加わってこれが行なわれたところの委託加工貿易、これを生かすべきだと思う。それから御承知の川島・スカルノ会談、ここから発生してきて、そしてこれが全部御破算になってしまっておる、そのものを生かす。こうすればこれはむしろ新しく発生した円借款は決済方法をきめたことになって、もとよりの方針を具体的に進めていく、ただし相手国の経済が非常に不安になったので、別途援助資金としてのクレジットとしての考慮を払った、こういうことになるわけなんですから、つまり言えば高碕・スカルノ会談、川島・スカルノ会談、ここから発生してきているものを生かす、これが最高の道であると思いますが、これは大臣にお答え願いましょう。
  144. 三木武夫

    三木国務大臣 この点ははっきりしておかなければいけない。何もこっちの滞貨処理のためにやるというのではない、向こうの希望でたまたまそういう場合がある、だから、したがってこれは民生安定のために、インドネシアの安定のために、緊急度の高いものからやるということであります。いま高碕・スカルノ会談で委託加工貿易、三角貿易をやる、これはいまはこの問題をこの三千万ドルの中でもう一ぺん再開してやるということにはならぬと思います。これは将来の問題として大いにこの問題は検討の余地があると思います。アメリカもインドネシアに対しては少なからざる関心を示しておるようですから、これはあると思いますが、今度の三千万ドルの中には高碕・スカルノ会談による委託加工貿易が入るということはちょっと無理だと考えております。将来の課題だと思っております。
  145. 加藤清二

    加藤(清)委員 それじゃ川島・スカルノ会談は……。
  146. 三木武夫

    三木国務大臣 川島・スカルノ会談の結果与えられたクレジットがこの三千万ドルでそれを履行していくというふうに、直接的な関係を持つことは困難でございますが、川島氏の先方へ約束したクレジットの中で、今度の三千万ドルの中で処理できる品目を先方も希望しておるようでありますから、直接というのでなくして、川島氏の与えられた、先方へ約束したクレジットの中で処理できる部分も相当にある。しかし川島氏の約束したクレジットを処理するために三千万ドルというクレジットを与えたというものではないということでございます。
  147. 加藤清二

    加藤(清)委員 私がなぜ高碕・スカルノ会談をこれに持ち出したかと申しますると、その緊急性、民生安定の方向が、これを設定されたときと非常によく似ているからでございます。御承知のとおりこれが行なわれましたおりには、インドネシアの日本債権が二億ドル焦げついていた。あの十何年前に二億ドルなんです。にもかかわらずあえて貿易を行なわなければならぬ状況が、アメリカのほうから発生してきた。で、これに対してどうすべきやに対して、時の通産大臣、名前を携えまするが、何べん言うてもようやらなかった。そこで私は党とはかりまして、高碕先生とはかって、そうして案を練った。これをやれ、こういうことです。で、時の農林大臣、いまなくなられましたけれども、その方とも相談をした。そうしたら、高碕さんがいいと言うならええやろう、こういうことになった。そこで委員会を開いて外務大臣の重光さんにも、通産大臣にも、農林大臣にも出ていただいて、この案を提示した。イの一番に高碕先生が賛成した。そうしたらあと、なくなられた農林大臣も、重光さんもみな賛成した、そうしたら通産大臣はあとから、それならよろしいと言われた、それまでだめだだめだと言うておきながら。もちろんそれ以前にアメリカ大使館にも相談をして三角貿易、スイッチ貿易ということになり、アメリカの希望も、日本の希望も、インドネシアの希望もこれで満足されるということができたわけなんです。それがいままでずっと継続されてきておった。ところが、今度の経済事情の不安からそれがストップになった。だから事情は、これが発生したとき、あの当時と非常によく似ている。それを御存じなかったら、一ぺん振興局長通商局長とよく研究し直してもらいたい。これを別ものだとか、それは適用できぬというのは、それじゃあの当時といまとどう事情が違いますかと言いたくなってくる。ただ違っておるのは時のきめた大臣がいまみんな死んじまっていないということだけなんです。私は、これを適用することは、結果、日本にも、アメリカにも、インドネシアにも利するところであって、これは債権国会議に持ち出したとしても、日本ひとりが勇み足をしたとか、先に突っ走ったということを言われもする材料にもなる、こう思うから申し上げたわけなんで、決していいかげんな思いつきを申し上げておるのではございません。それはよく検討していただきたい。時間がもうなくなってきたそうでございまするから、検討するなら検討すると言うてください。
  148. 三木武夫

    三木国務大臣 これは同じことじゃないかというけれども、アメリカとインドネシアの関係はいまとは変化があります。いままではインドネシアとアメリカとの関係というものは非常に悪化しておったのです。いままで援助が途絶しておって、最近アメリカが五万トンですか食糧の援助をした。これが最初のものであります。だから三角貿易がいままでずっと継続しておったというのは、加藤さんのほうでもちっと御研究願いたいのであります。これがずっと続いておったという形ではないと私は解釈しておる。それはインドネシアとアメリカとの関係に非常な変化が起こってきた、そういうことです。しかし、加藤さんの言われるこの問題は、将来債権国会議においても、これは一つのインドネシアの経済援助という形において非常に参考にすべき案ではないかということで検討をすべきだという説には同感でございます。これは検討を加えたいと思っております。
  149. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはちょっと誤解があるようですから申し上げておきますが、インドネシアとアメリカとの国情がある程度変わったといっても、貿易の銘柄は変わっておらないのです。つまりアメリカはインドネシアから生ゴム、すず、その他第一次産品の原材料を購入する。アメリカは逆に日本へ綿花を輸出する。日本はそれを委託加工として受けて、これに見合う製品をインドネシアへ送る、こういうことでございますから、商品市場の関係は何にも変わっておらないのです。全然変わらない。もし変わっておるとおっしゃるなら変わった理由を聞きたい。そこで、こういう三角貿易、これならば行なわれるはずです。なおそれが委託加工という名目によってずうっと継続されておった、これは事実なんです。まあしかし、これは時間がなんですから、検討をしていただきさえすればそれでけっこうです。  それでは、ほんとうは中小企業問題からその他ずいぶんだくさん用意をしておりまするが、さきに申し上げました大蔵省関係のあれはどうなりました。
  150. 天野公義

    天野委員長 見えております。
  151. 加藤清二

    加藤(清)委員 あれは私が質問したのですから、もう一ぺん重複すると時間を食いますから、委員長の手元で答弁を書類にしてとっておいてもらいたい。そうすれば時間が早く済むでしょう。
  152. 天野公義

    天野委員長 わかりました。
  153. 加藤清二

    加藤(清)委員 せっかく関税局長その他が来ていらっしゃるようですから、韓国の問題についてちょっとお尋ねいたしますけれども、これでおしまいにいたします。  日韓国交正常化の問題から発生してきている問題ですが、隣の国と仲よくすることにおいては私ども人後に落ちるものではございません。これはやぶさかではない。しかし、仲よくすることはけっこうでございまするが、うちの子供を殺したり、うちのきょうだいを殺してまでも他人さまを助ける必要はないと思う。その一つがいわゆる生産性本部の相談から発生してきておるところの韓国における綿製品、毛製品等々の繊維産業の振興策なんです。次の問題が漁業協定妥結によるところの韓国水産振興計画、これは三月六日に韓国の国会を通過しておるわけでございますが、そこから発生してくる輸入の問題でございます。そこで大臣にお尋ねいたしますが、韓国から輸入されるノリの量が年々歳々ふえてきておりますけれども、これについてお約束がございましたですね。つまり、韓国からは非常に安いノリが入ってくるが、品質は日本と比べて悪い。それが日本ノリに化けて販売されている。これは国民をだまくらかすものである。したがって品質表示をすべきである。検討して進めるとおっしゃった。なおかつここにはやみ輸入が盛んに行なわれて、某々派閥の選挙資金になっているということは、これはもう一般周知の事実なんです。そこでこれを食管会計に繰り入れたらどうか。食管会計が赤字だ赤字だ、こうおっしゃるならば繰り入れたらどうか、こういうことを予算委員会で質問したはずなんです。それは検討をして前向きの措置をする、こういうことになっておった。これはどうなりましたか。
  154. 三木武夫

    三木国務大臣 いまノリの輸入というのは非常に複雑になっておるのです。これを何とかもっと合理的なものにしたいということで検討を加えておるのですが、現在の段階について事務当局からお話を申し上げたいと思います。
  155. 原田明

    ○原田説明員 外国の産品に国内で、それは外国産品であるという表示をすることが非常に差別になるという場合と、消費者の利益になり、あるいは相手国の利益にもなるという場合と、いろいろな場合があるのではないかと私どもは考えております。問題のノリにつきましては、確かに先生御指摘のとおり、若干韓国のノリは内地のノリに比べましてかたいものが多いとか、光沢、におい、その他問題はございますが、これを消費者に必ず区別をして韓国産であるということをわからせなければ困るという問題がそれほどシリアスになっておるかどうかという点は、相当検討の余地がまだ残っておるというふうに私どもは考えております。したがいまして、いま直ちにすべてのノリに韓国産というのを表示するということは適当であるというところまで踏み切ってはおりません。
  156. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはおかしい。原田氏の答弁とも思えない。それじゃ外米を日本へ輸入して、これを日本米として売ったらどういうことになりますか。おのずから値段も違うはずなんです。品質も違う。しかも数量が非常に少ない場合はいざ知らず、今日は数量が三億七千枚、やみを入れたら五億余なんです。五億とは何かと言ったら日本人一人当たり、おぎゃあと生まれた赤ん坊にまで一人五枚ずつですよ。それが輸入されるときは、安い値段で八十銭、高い値段で一円二、三十銭だ。それが一体幾らで売られるか、こちらへ持ってきたら十五、六円に売られているじゃないか。十倍にも二十倍にもはね上がっておる。その途中のさやかせぎのおかげで、ビルが東京のど真中に幾つかできておる。そのピンはねしたのが某々派閥の政治資金になっておる。こういう問題だから、当然行なうべきなんだ。そうでしょう。同じバナナでも台湾バナナとエクアドルバナナのように消費者が見てはっきり見分けられるようなものは品質表示をする必要はない。しかし味が違う、値段も違う、ところが色だけ見て買えばまぎらわしい。したがってごまかしがきくから品質表示をしなさい、こう言っておるのです。ごまかしてもいいのですか。何のためのJISマークです。やらぬでもいいというのはどういうことなんです。この前大臣は、前向きで検討すると言うた。
  157. 原田明

    ○原田説明員 私がいま申し上げましたのは、やらないでもいいと決定したと申し上げているわけではございませんで、まだ現在の段階で品質表示をすべきであるというところまで踏み切っておらないということでございます。この問題は、今後農林省とも御相談をいたしまして、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  158. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたがあくまでそういうことをおっしゃるなら、これはどこの製品だか鑑定してください。   〔加藤(清)委員政府委員席に商品を示す〕
  159. 加藤清二

    加藤(清)委員 これが日本の中小企業をいじめておるのです。区別がつかぬでしょう。
  160. 原田明

    ○原田説明員 残念ながら専門家でございませんので、どちらか一方が韓国委託加工をされたもので、どちらか一方が日本製品ではないかと想像いたしますが、見たところではよくわかりません。
  161. 加藤清二

    加藤(清)委員 アメリカ市場においてもこれが問題になっておる朝鮮のシャークスキンと日本のシャークスキンです。このおかげで日本では貿管令までできたことは大臣御存じのはずなんです。人ごとじゃないのです。いまに日本に上陸してまいります。いや、現に上陸しつつある。区別ができないでしょう。ところがこれは専門家が見ればすぐわかることなんです。あなたの答えとは違う。見てごらんなさい。私はあえてノリを持ってきたかった。そうすると皆さんに試食してもらわなければならないから、それではあまりにも失礼だと思って、目でわかるものを持ってきた。こういう調子で盛んに行なわれるということが、すでに日韓会談の前にわかっていたので、横路君がこの問題について質問台に立ち、私が関連質問に立ったわけなんです。もう一度繰り返しますが、そのときに問題になった点は、日本の中小零細企業、労働集約的製品並びに沿岸漁業の人たちが大挙して、日韓の交渉は延期してもらいたい、この問題が解決するまでは延期してもらいたいという陳情を行なったわけだ。ところがそのときの大臣の答弁、あえてこことは申し上げません。総理とはっきり申し上げましょう。総理以下関係各大臣は、おまえらまでが共産党のしり押しをやってくれては困る、おまえらまでが社会党の味方になってくれては困るじゃないか、あとでちゃんと始末してやるから、これは賛成しておいてくれぬと困る、必ず君らの損のいかないようにしてやるから——こういうことだった。そこでもうやむなく帰った。ところがそのあとどうなった、行なわれていない。委託加工、保税加工貿易がじゃんじゃん行なわれておる、その結果は日本の零細企業、これがどんどん攻められておる。それのみならず、アメリカ市場においては、なお日本よりもチープレバー、レバー・ダンピング的な朝鮮の商品が、日本のアメリカにおけるシェアを侵食しつつある、これが現状なんです。そういうやさきに、日本の繊維設備制限をなおやって、縮小せんければならぬということになっておる。自分のきょうだいを殺して、いやじゃいやじゃという労働者まで引き連れて、それを合併させて、切って捨てて、朝鮮の産業をなぜ保護しなければならないのか。なぜ品質表示がいけないのか。これはアメリカだって、イギリスだってみんな行なわれておる。陶器にまで輸出するときにはメイド・イン・ジャパンは書き込まれておる。あなたのやったJISマークもそうだ。繊維製品には品質表示というものはちゃんとあるはずです。なぜいけない。しかも数量が少なければまだしも、日本人一人当たり五枚という数は、同じ消費物資でも多いほうなんです。なぜいけない、おかしな話だ。お答え願いたい。
  162. 原田明

    ○原田説明員 私はここでいけないと申し上げておるわけではございませんで、ノリの特性その他に応じまして技術的な問題もございますし、なお農林省と相談いたしまして、これから検討を進めてまいりたい、こう申し上げております。
  163. 三木武夫

    三木国務大臣 これは加藤さんの言われるように、何か品質の表示というものも考えられるべきことであると思いますが、農林省ともよく相談をして検討いたすことにいたします。いろいろ問題もあるでしょうから、そういうことで検討いたすということにきょうはいたしておきたいと思います。
  164. 加藤清二

    加藤(清)委員 あれからすでに半年かかっておる。検討をどれだけ重ねたら答えが出てくるでしょうか。簡単なこと、やる気があるかないかということ。そこで大蔵省関税局長に聞きますが、関税局としては保税加工貿易についてどういう態度をとっておられますか。
  165. 谷川宏

    ○谷川政府委員 お答え申し上げます。韓国に対しまして、わが国から原材料を輸出して、韓国で加工を行ないまして、そのものをわが国に輸入する場合におきまして、通常の輸入物品と同じ関税を課しておるのが現状でございます。今後とも韓国との保税加工貿易に対する協力の問題につきましては、国内の労働事情あるいは中小企業者の立場をも慎重に考慮しながら、協力関係をどうやったらよろしいか検討してまいりたいと思いますが、関税の面ではただいまそのようになっております。
  166. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう一度お尋ねします。  関税は正常化以前と変わりないのですか。変わりないとすればそれはいつまで続く予定でございますか。
  167. 谷川宏

    ○谷川政府委員 韓国から輸入されております物品に対する関税のかけ方は、正常化前と後は変わっておりません。ただ、韓国との貿易の拡大という見地から、また、韓国のいろいろな要望もありまして、国内産業との調整をはかりながら、関税率自体につきましては、たとえばノリでございますとか、あるいは黒鉛というようなものにつきまして、ことしの四月以降関税率を引き下げましたことは、御承知のとおりでございます。  なお、今後関税率をどういうふうに持っていくか。この問題につきましては、ケネディラウンドにおける交渉の結果によりまして、韓国から輸入する物品につきましても、該当物品が出てまいりました場合等、今後国内の経済情勢あるいは世界情勢等を十分考えながら、関税率を適正な水準にきめてまいりたいと思います。
  168. 加藤清二

    加藤(清)委員 これで結論にしますが、韓国と日本との友好を進めることについて私は反対ではございません。しかし隣と仲よくするが、おかげで、わが子やわが兄弟を殺してまでも仲よくするというのは、行き過ぎであると思います。先ほども申し上げましたが、事、アメリカでさえも、日米関係はフレンドシップである、兄弟であるといいながら、なお、日本の輸入については、品質表示どころの騒ぎではございません。片やケネディラウンドと言うて一括引き下げをいいながら、アリメカの業界を守るためには、同業者を守るためには、日本の商品に対して過酷な輸入制限を行なっておるわけなんです。これはアメリカだけではない。イギリスしかり、EEC諸国しかり、イタリアのごときは、三百六十品目もなお日本の商品に制限を加えているのが事実なんです。ガットに加入したとはいうものの、三十五条の第二項の援用をしてまでも、差別待遇をしているのが事実なんです。そういうやさきに、ケネディラウンドがどうだからといって、そしてそのままそれを受け取らなければならないほど日本は朝鮮に借りがあるのですか。(「朝鮮じゃない」と呼ぶ者あり)韓国。そういうことをなぜしなければならないのか。日本国民がかわいいのか、朝鮮国民がかわいいのか。行政府並びに大臣諸公は一ぺんよう考えてもらいたい。これはいまそこへ早稲田先生も来てみえるけれども、完全に意見は一致なんです。これは与野党の問題ではないのです。このために、絞業者はいま全国で反対の協会までつくって、非常に苦労しておる。苦境に落ち込んでおる。だから、せめて品質表示をやりなされとこう言うておる。何が悪い。悪いものは悪い、いいものはいいとすることが何が悪い。消費者にそれを知らせることが何が悪い。政策的にこれをとめるととができなんだら、せめて国民によくわからせる。よい品物と悪い品物の区別をわからせる。これはアメリカだってやっている。イギリスだってどこだってやっている。それが日本はなぜやれないのか。これは納得のできないところなんです。しかも、関税局は、国交正常化の前と同じだ、こう言ったが、ノリの関税はすでに下げてみえる。下げなさったでしょう。下げているのです。だから、あと行なわれるその糸へんの問題あるいは印刷の問題、その他あげていったら限りがありません。時間がないからこれでやめまするが、これはともに日本の零細企業を苦しめる原因になり、それはやがて繊維設備制限を一そう過酷にしなければならぬ問題が起きてきておるわけなんです。日本の機場を倒産させてどうして向こうだけを助けなければならぬのです。国民感情として理解のできないところでございます。最後に大臣の御所見を承って、本日の結論にします。
  169. 三木武夫

    三木国務大臣 日本の利益を守るということを第一義的に考えなければならぬということは、これはもうだれも異存のないことでございます。したがって、今後委託加工貿易が日本の産業に与える、ことに、中小企業に与える影響には深い関心を持って見守りたいと思います。ただ、しかし、各国ともその産業の発展の段階が違うわけでありまして、韓国にしてもその他アジア周辺の国々は、日本よりも非常に産業発展の段階がおそいわけでありますから、そういう国々が繊維産業などにおいても次第に伸びてくるという傾向は否定できないわけです。したがって、日本の繊維産業もできるだけ高級な繊維産業というものに変わって、そういう低開発諸国の産業が伸びていく余地も与えるという大局的な見地も私は要ると思うのでございます。そういうことも大局的には頭に入れながら、だからといって、いま現に中小企業に対して非常な打撃を与えるということは、これはわれわれとしても方法を考えなければなりませんが、そういうことばかりでは低開発国が伸びていく余地はないわけであります。低開発国に対してもチャンスを与えるという大局的な判断も失ってはならぬ、こういうふうに考えております。
  170. 天野公義

    天野委員長 暫時休憩して理事会を開きます。    午後五時八分休憩      ————◇—————    午後五時三十九分開議
  171. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  去る二十二日付託になりました田中榮一君外八名提出、電気工事業を営む者の営業所登録等に関する法律案を議題として、まず趣旨の説明を聴取することといたします。海部俊樹君。     —————————————
  172. 海部俊樹

    海部議員 電気工事業を営む者の営業所登録等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年における電気技術の急速な進歩による電気施設の高度化と家庭電化の進展に伴う電気使用量の著しい増加とにより、電気施設の保安の重要性はますます高まっているのであります。  さきに制定されました電気事業法におきましても、この点を重視し、電気工作物の保安体制を整備し、合理化することが、大きな目的の一つになっていることは御承知のとおりであります。  ここに提出いたしました電気工事業を営む者の営業所登録等に関する法律案は、一般用電気工作物の保安の確保に資することを目的としているのでありまして、このため電気工事業を営む者の営業所について登録の実施、電気工事管理者の設置、工事記録の保存等の措置を定め、あわせて電気工事業の運営の適正化をはかろうとするものであります。  次に、この法案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、電気工事業者の登録等に関する規定であります。  電気工事業を営んでいる者または営もうとする者は、営業所ごとに都道府県知事に所要の事項を記載した登録申請書を提出し、登録を受けることができることとしたことであります。  なお、この登録を受けるときは、当該営業所に電気工事士が二名以上置かれていることを要件としているのであります。  第二は、電気工事の管理に関する規定であります。  これは電気工事にかかわる事故を防止するため、電気工事業者の管理体制を整備しようとするもので、所属する電気工事士のうちから電気工事管理者を置き、電気工事の設計、施工等電気工事に関する業務を管理させることとしたことであります。また、電気工事の施行に関する帳簿書類を保存させることにいたしております。  第三は、登録電気工事店等の名称についてであります。  登録電気工事業者は、登録電気工事店の名称を使用し得ることとし、登録を受けていない者の類似名称の使用を禁止したことであります。  第四は、その他、報告及び検査、罰則等所要の規定を設けたことであります。  以上がこの法案の提案理由及び要旨の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  173. 天野公義

    天野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  174. 天野公義

    天野委員長 本日の請願日程全部を議題として審査を進めます。  各請願につきましては、委員各位におかれましてもすでに文書表等により内容等は御承知のことと存じます。またさき理事会におきましても十分内容を検討いたしましたので、ここに紹介議員の説明等を省略して採決いたします。  本日の請願日程中、第一、第一〇、第一二、第一九ないし第三〇、第三四、第七三、第九四、第九五、第九八、第九九、第一〇四の各請願はいずれもこれを採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、ただいま議決いたしました各請願に関する委員報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  177. 天野公義

    天野委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配布いたしましたとおり二十一件でありますので、十分各位において御検討をお願いいたします。      ————◇—————
  178. 天野公義

    天野委員長 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  内閣提出、特許法の一部を改正する法律案、同じく実用新案法の一部を改正する法律案並びに通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、公益事業に関する件、鉱工業に関する件、商業に関する件、通商に関する件、中小企業に関する件、特許に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件、鉱業と一般公益との調整等に関する件、以上各案件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  180. 天野公義

    天野委員長 次に、委員会が閉会中審査を行なうにあたりまして、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合の人選、日時、手続等に関しましては、あらかじめすべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  182. 天野公義

    天野委員長 次に、閉会中委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣を行なう必要が生じました場合には、委員派遣承認の申請に関しましてはすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  184. 天野公義

    天野委員長 通商産業基本施策について調査を進めます。  質疑申し出がありますのでこれを許します。中村重光君。
  185. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは時間がありませんから、大臣に基本的な問題についてお尋ねをしまして、それで私の質問は保留をいたしたいと思います。  第五十一国会も、当商工委員会といたしましては、きょうこれで終わるわけであります。そこで、長期間にわたった国会の中で貿易上の問題、具体的には先ほど加藤委員から東南アジアその他の貿易の問題につきましても質疑がかわされ、中国貿易の問題あるいは北鮮の貿易振興に伴う技術者の入国の問題、韓国の貿易の問題等々質疑が行なわれたのでありますが、そうした質疑を通じて通産大臣考え方が必ずしも明確でない点がありますので、ただ一問私はお尋ねをいたしまして大臣のお答えを願っておきたいと思います。  中国貿易振興の問題に対しましては、御承知のとおりに松村さんが訪中されまして、LT貿易の期間を延長する、そのことに対しましての合意も成立をいたしたようであります。御承知のとおりに、松村さんが自民党に対しましてもいろいろと提言をいたしているようであります。中国から入りたい者はどんどん入国をさせるし、また訪中したい者はこれを訪中させていくということで、人事の交流というものも活発に行なわさせなければならないことだし、また輸銀の使用等に対しても、プラント輸出をさらに積極的に推し進めていくためにはそれが必要である、吉田書簡等にこだわるべきではないといったような積極的な提言をされているようであります。しかし、これに対しましても、政府考え方というものは前向きの姿勢をあらわしていないということは非常に遺憾であります。御承知のとおりにLT貿易あるいは友好貿易と、貿易の形態が二つに分かれているようでありますけれども、友好貿易は申し上げるまでもなく中国のベースにおいてこれが行なわれるということになってまいりますから、ある場合におきましては無理もがまんして、貿易をするためには進めていかなければならぬという不利な状態に貿易業者が置かれているということは否定することのできない事実だろうと思うのであります。したがいまして、政府間貿易というものが当然すみやかに行なわれなければならないことでありますし、そこまで直ちにいかないというような場合でありましても、当然LT貿易というものは、活発に輸銀使用という形におきましてプラント輸出というものも当然行なわれてこなければならないわけでありますから、閣僚の中におきましても進歩的な政治家といわれるほどの三木通産大臣にして、かつてわが党の板川君の質問に対しまして、吉田書簡には拘束されないのだと明確に言い切った。その三木通産大臣としましては、当然これらの問題を解決していかなければならない、貿易の振興をはかっていかなければならないと私は考えるのでありますが、それらの点に対して大臣はどのようにお考えになっておられるのか。また北鮮貿易あるいは技術者の入国の問題に対しましても、参議院の亀田委員の商工委員会における質問に対しまして、韓国側が内政干渉をしている事実があるといったような指摘等に対しまして、大臣が亀田委員に答弁をされましたその答弁の内容、さらに当商工委員会におきまして、石野委員が質問をいたしたことに対する大臣の答弁、必ずしもニュアンスは一致していないのではないか。亀田委員の質問に対しましては、大臣は確かに好ましくないことがあるように思われる、いささかもこれに干渉を受くるべきではないということをはっきり言い切ったようでありますし、さらにまた、暗に韓国側がそういう態度をとっておるということを認められるような印象を与えるような答弁もあったようでありますけれども、当委員会における石野委員の質問に対しましては、そういう事実は知らないということをはっきり言い切っておるようであります。いろいろこの問題に対しまして、私がこの事実を一つ一つ取り上げてここで大臣に指摘することは省略をいたしたいと思いますけれども、私どもは韓国側が内政干渉しておるというこの事実は、これは確たる証拠をもって、こういうことをやめさせなければならないということを主張いたしておるのでありますから、大臣としても調査するところは調査をし、いささかもそうした内政干渉的なものが行われないような、き然たる態度をとられる必要があるであろうし、また技術者の入国の問題に対しましてもケース・バイ・ケースでやるのだということを政府は言っておりますけれども、ケース・バイ・ケースというものはどういうことなのか。また、いままでかつて日韓条約の問題に対して、特別委員会におきましてこの問題が取り上げられたとき、あるいはその前の法務委員会におきましてもケース・バイ・ケースでその入国を認めるのだと言ったのでありますけれども、その後ケース・バイ・ケースというものがなかったのかどうか。入国を認めたという事実はないか。したがって、貿易の振興という面におきまして多大なる障害となっておるということは事実でありますから、少なくとも政府がケース・バイ・ケースでこれを認めるということを明言された以上は、貿易関係の業者が具体的な申請をしてきたというこの時点においては、当然それを調査をし、これを認めていくという態度でなければならないと私は思うのであります。それらの点に対して、大臣はどのようにお考えになるのか、はっきりしていただきたいと思うのであります。  韓国貿易の問題におきましても、御承知のとおり最近保税加工貿易に重点を置いてきたということは、これは明らかになっております。私はこの点に対しまして、保税加工貿易というものが強められてくるということになってまいりますと、当然これはそのはね返りとして日本の国内の労働者に、あるいは中小企業者に大きな影響を与えてくるということは否定できないと思うのであります。しかも日韓条約の審議の際におきまして、この保税加工の問題に対しまして韓国の中小企業者に対して日本の中小企業者がやっておるものをやらしていくということが、韓国の経済の発展の上に必要ではないかというようなことを財界の方々主張いたしておったのでありますし、韓国自体がもちろんそのことを強く要求しておったのであります。しかし日本の中小企業者に影響があるというところから、政府も慎重な態度をとってきたと私は思うのでありますけれども、最近この保税加工貿易が非常に伸びてきたというこの事実は、中小企業者の立場を守るという立場から、非常に注視していかなければならないと私は思うのであります。さらにまた、大臣が日韓条約の問題の際に、通商航海条約というものを締結をしなければ、貿易、金融、あるいは海運の関係において問題であるということを強く主張いたしておったのでありますが、それが今日どうなっておるのか。現在、韓国に物資を輸送いたします際に、韓国といたしましては、いわゆる韓国の船を優先するという態度をとっておる。そのことが非常に大きな影響を及ぼしておるということは事実でありますから、これらの点に対して大臣はどのようにお考えになっておられるのか。さらにまた韓国に日本の商社が相当進出をいたしておる。その商社の地位というか身分というものはどういうことになっておるのか。さらに韓国の市場における日本商社の動向といったようなものもいろいろ問題が出ておる。そういう中から、日本が韓国の経済を侵略するのだといったような、韓国の日本に対する不信感というものが高まっておるということもこれは事実でありますし、そういう不信感を持たれるような動向というのを日本の財界、具体的には進出している商社がやっておるということも、これまた否定できないことであろうと思うのであります。したがって、三木通産大臣が幹事長をしておられた当時、いささかも韓国から日本が経済侵略をやるのだ、そういう意図があるのだということを言われないように注意しなければならぬということを、財界にも強く求められたということを私は伺っておるのであります。したがって、いま当の責任ある担当大臣であるところの三木通産大臣として、これらの問題に対してどのようにお考えになっているのか。それらの問題に対しまして、大臣の基本的な見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  186. 三木武夫

    三木国務大臣 非常に広い範囲内で御質問でございますが、基本的には共産圏との間もできるだけお互いに知ることが必要である。そういう意味において、人間の往来というものは、原則的にはひんぱんにしたらいいという考えでございます。知らなければいかぬ。中共の場合でも案外日本の事情を必ずしも知っておるとは思わぬ。いろいろ中共側の発言を聞いておっても、知って言っておるのかどうか知らぬが、もしそうならばこれは別ですよ。しかし知らずに言っておるとしたら、日本というものの事情に案外精通していない。日本の場合でも中共の事情というものを、たまに中共を訪問しても、それはそのときの感じとしていろいろな印象を受けるでしょうが、もっとやはり取り組んで、中国の動向なども研究すべきものだと私は思います。そういう意味において、原則的には人間の往来というものは、できるだけひんぱんにすることがいいと思いますが、貿易の上においては、これは御承知のように輸銀の問題、いまニチボーなどがとまってから新しい申請がない。しかしこれはいつまでも申請がないというわけでもございますまいから、いつかは新しい申請もなされるわけでありましょう。いろいろ諸般の情勢の推移等もにらみ合わして、輸銀問題というものは、将来これは解決しなければならぬ懸案だと私は思っておるのでございます。  それから韓国のことについてでありますが、韓国は日本に一番近い近隣の国でありますから、日韓関係というものは、アジア外交の中に占める比重が案外重いと思う。一番近いですからね。この両国の関係がうまくいかぬということでは、口でアジア外交といっても、日韓関係というものの調整がうまくいかぬというならば、日本のアジア外交に対する評価は軽くならざるを得ない。だからこれは非常にむずかしい問題、かえっていままで深い関係があっただけにむずかしい面もあるわけです。したがって、日本は韓国に対して日本の善意、韓国が一日も早く安定してもらいたい、民生が向上してもらいたいという日本の善意と誠意が、出先外交機関はもとより商社に至るまで、この善意を疑わしめるような行為は厳に慎まなければならぬ。われわれは通産省として商社には関係があるわけでありますから、厳重にそういう善意の国策の第一線に立っているのだという自覚のもとに、日韓関係を悪化さすような行動は、厳に慎むような強い指導を行ないたいと思っておるのでございます。  ただ委託加工の問題についてはむずかしい問題があると私は思う。いまのところは、日本の中小企業に非常に打撃を与えるようなことは、関税政策その他で阻止していかなければなりませんが、大きく見れば、日本の繊維産業なども体質を改善して、高級な繊維産業というものに脱皮していって、低開発諸国の繊維産業が伸びてくる余地ができるような配慮も要るのではないか。しかしそれには時間がかかりますから、その過渡期における処置は政府としてやはり十分な周到な注意が要る。しかし大きい目で見れば、産業の体質改善、これに伴って低開発国と真正面な競争相手にならないだけの産業体制に日本がなっていくことが必要である。これは韓国ばかりでなしに、台湾でも東南アジア諸国でもやはり大なり小なり同じような関係が今後貿易の上においてあらわれてくると思う。やはり日本がそれだけの自覚のもとに産業政策というものを考えていかなければ、低開発国と日本との関係というのはよくなる日がない。伸びてくれば芽をみな日本がつみ切ってしまうということでうまくありませんから、産業体質を日本が高級化していきながら、その間過渡期においては、中小企業に打撃を与えないような配慮をいたす所存でございます。
  187. 天野公義

  188. 栗山礼行

    栗山委員 ちょうど私の時計が六時二分でございます。きょうは五十一国会の最終の委員会で、一般質問ということで期待をいたしまして、早い順位の申し出をいたしておったのであります。六時二分過ぎになりまして、ようやく質問の時間を与えていただく。委員長は御苦労なさった運営であろうかと思うのでありますけれども、まことに残念しごくでございます。なお、大臣が六時からもしくは少々譲っても六時十分から所用があるそうでありますから、これは委員長の権力行使により大臣の足どめをしていただくか、もしくはまたひとつ良識によりまして——私実は十分間で大臣意見を申し上げて御答弁を伺うということは困難なことであります。政務次官がお越しをいただいたのでありますから、その範囲のことについては政務次官にお尋ねを申し上げるということになりますが、ただ、大臣から一言、私休会中に省を訪れまして、二、三十分じかにひとつ申し入れをするということの御回答をいただけば、大臣直ちに私お帰りをいただいてけっこうだと思うのであります。それから委員長は、きょうはたいへん長くなっておることでございますから、どの程度のお時間を与えていただくか、私自身は御無理を申し上げてひんしゅくを買うような時間をとりたいとも考えておりませんが、おおむね委員長のひとつ御配慮をいただいて、そのワク内で質問をすみやかにいたし農、このように考えておりますが、質問に入るまでにひとつお時間をお定めをいただきたい。
  189. 三木武夫

    三木国務大臣 御承知のようにニュージーランドの関税大臣が参りまして、私と会う約束があって、こういう事情に栗山さん御理解がある態度で、役所で十分とくと通産行政についていろいろと御意見を言ってくださるということですが、どうか三十分というような時間でなしに、できるだけ時間をとりますから、一時間でけっこうでございますから、十分に意見を承りたいと思います。国会が終わりますれば、私も時間の余裕は十分にあるわけでございます。とにかくこの商工委員会を通じて野党の各位にもきわめて建設的な熱心な御討議をいただきまして、しかもきょうはまだこの時間になっても御質問を賜わるという、この熱心な態度に対して敬意を表して、私もできればおりたいのですが、そういう事情でありますから、お許しを願って、どうか閉会中においても、国会がなくても通産省においでをくださって、いろいろな野党の批判を受けることは私の歓迎するところでございます。よろしくお願いをいたします。
  190. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、委員長、はみ出さないように、その範囲でひとつ若干幅を持たしていただきたい。  記録だけにとどめていただきたいと思うのでありますが、大臣はじかに役所で三十分よし、一時間でも会うて意見を交換したい、こういうような御意見でございましたから、不日日にちを定めまして大臣にきょうの私の中心課題の問題についてお話を申し上げたいと思うのであります。  私の大臣にお尋ねを申し上げたいと考えておりましたことは、第一に資本自由化に対する問題でございます。来月の五日から日米貿易経済委員会が開催される。時を同じゅういたしまして通産大臣が、資本自由化の問題について非常にラッパを吹かれまして、これが産業界に大きな波紋を与えておりますことは、これは御承知のとおりでありまして、これまた日本産業の行く手を定める重要な課題であろうかと思うのでありまして、私は日本の産業経済に大きく与える問題を実はじっくり大臣のお説を承りまして質問を続けたい、このように考えております。  具体的に申し上げますと、これに関連いたしまして、資本自由化の必然性の範囲の中において、わが国の産業に及ぼす影響、なかんずく大企業と中小企業の分野にわたりまする問題、こういう点が非常に重要な問題に立ち入ろうかと、私の質問の要旨を整理をいたしておったのであります。したがって長年私どもが主張いたしておりまする経済自由化に対処して、日本の産業の近代化、合理化の方向と、中小企業の行く手についての施策をどのように進めてまいるかということとの関連を持たずして、日本が取り組んでまいるというようなことは、日本産業と経済の大混乱を招く要因であるのではないか、こういう観点からいろいろお尋ねをいたしてみたいと考えております。記録でとどめていただきたいと思います。  それから、なおこれに関連いたしまして、私は大企業と中小企業の分野の確保を立法化する、もしくは行政的な処置による調整のいよいよ急務なることを痛感いたしておりますので、それらの具体的な施策について伺ってみたい、こう考えております。  以上が大臣に伺ってみたいという内容でございまして、いま政務次官のお越しをいただいたのでありますが、私が大臣にお尋ねしようという内容について、それは栗山君、おれから通産行政の方向を示してみよう、こういうことでございますなら、これもけっこうなんでございますけれども、何しろ三十分か四十分しかない、こういうことでとうてい、こういう問題は私は二時間くらいちょうだいできるのだという前提で、つたない頭を整理いたしてまいったのに、はからずもこういう経過でございますので、せっかくお越しをいただきましたけれども、大臣に、栗山君の質問の要旨はかくかくの内容であるということを承知した、こういうことでお伝えをいただけるかあるいはひとつ御所見を伺うか、願いたいと思います。
  191. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 ただいまの栗山委員の問題につきましては、よく承りまして、私から大臣にもお伝えいたすことにいたします。
  192. 栗山礼行

    栗山委員 企業局長にお尋ねを申し上げます。  まず、企業局長の直接関係することであろうかと思うのでありまして、外資法について、私の理解をいたしております点を申し上げて御見解を伺いたい。そうでないと、もし私のゆがんだ法解釈をいたしておりますと、暴走的な質問に発展する、こういうふうに考えますのでお聞きいたしたいと思うのであります。  外資法の第八条でございます。認可、指定等の基準を定めておりますのが第八条であろうかと承知をいたします。  その中で、八条の一項一号、二号、三号にわたっております問題、この問題は、いま読み上げますと、「主務大臣がこの法律に規定する契約について認可をする場合の基準は、左の通りとし、その認可に当っては、国際収支の改善に有効に寄与するものを優先させなければならない。」これが認可、指定等の基準を定めた第八条の明文であろうかと思うのでありますが、以下三点にわたりまして、一号は「直接又は間接に国際収支の改善に寄与すること。」二号は、「直接又は間接に重要産業又は公益事業の発達に寄与すること。」三号は、「重要産業又は公益事業に関する従来の技術援助契約の継続又は更新その他当該契約の条項の変更に必要であること。」こういう規定を三点にわたっていたしておるのでありますが、私の解釈では、ずばり申し上げまして、外資導入の積極的条文がこの三点によって示されておる、こういう解釈をいたしておるのでありますが、法律に弱い私どもでございますから、ひとつ局長の御見解を承りたい。
  193. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 八条の第一項におきましては、お説のように積極的な要件をきめておるわけでございます。
  194. 栗山礼行

    栗山委員 もう一点。  この第八条の二項に「主務大臣は、左の各号の一に該当する場合においては、この法律に規定する契約について認可をしてはならない。」こういう二項にわたりまして明記をされております。その二項の三号に、「日本経済の復興に悪影響を及ぼすものと認められる場合」これも局長にお尋ね申し上げます点は、外資法の目的と定めによりまして、これは外資導入を積極的に排除する規定なりと解釈をいたすのでございますが、局長の御見解を承りたい。
  195. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 経済の復興というような文字を使いまして、文言は古めかしいわけでございますが、要するに外資が日本経済にこういう悪影響を与えてはいかぬという意味の消極的要件、前段が積極的要件でございますれば、これは消極的要件をきめた規定でございます。
  196. 栗山礼行

    栗山委員 どうでしょうか。私の理解とちょっとニュアンスの点が違うのですが、いま申し上げましたように、これは外資導入すべからずという法解釈といいますか、条文解釈が適正なり、私はこう考えたのでありますが、局長は別なニュアンスでありますが、もう一ぺん、この条文の上においてひとつ御説明していただきたい。
  197. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 別なことばを使いましたので、あるいは誤解を与えたかと思いますが、こういう場合は外資は御遠慮願うという意味の規定でございまして、先生のおっしゃるとおりの意味でございます。
  198. 栗山礼行

    栗山委員 今度は化学工業局長にお尋ねいたしますが、建築金物業界は、四十年の三月、近促法による業種指定を行なわれたと承知をいたすのでありますが、さようでございますかどうか。
  199. 吉光久

    ○吉光政府委員 御説のとおりでございます。
  200. 栗山礼行

    栗山委員 四十年三月でありますから、約一年三カ月余を経過いたしておると思います。法に定むるところによりまして、近代化の基本計画を策定すると、こういうふうな規定になろうかと思うのでありますが、これはいまどのようになっておりますか、その経過をお伺いをいたしたい。
  201. 吉光久

    ○吉光政府委員 近代化促進法の指定事業になりまして、現実に各かぎ業界の実態についてまず調査いたします。調査に大体一年ぐらいかかりまして、現実の実態調査はすでに終わっております。その実態調査をもとにいたしまして、かぎ業界の近代化計画を作成する、こういうことに相なっておりまして、現在近代化計画そのものについて作業中でございます。
  202. 栗山礼行

    栗山委員 一年三カ月の経過でございますから、大体実態調査というものを計画策定の前提条件として行なわれて、すでにそれは完了した。その調査に基づいて、いま計画策定の事業に入りつつあるのだ、こういうふうにお伺いをいたしたと思うのでありますが、たいへん事務的になるのでありまして恐縮でありますけれども、計画策定の見込み、時期というものについて、おおむねひとつ、御答弁をいただければ御答弁願いたい。
  203. 吉光久

    ○吉光政府委員 計画の方向というものは、まさに近代化そのものでございますので、方向それ自身のものの考え方はきまっておりますけれども、ただ業態が非常に多岐でございます。ほとんど中小企業という状況でございますし、また同じかぎの中でも、いずれかといいますと、精巧なかぎの部類とそうでない部類といろいろなものがございます。したがいまして、そういうふうな実態に合った形での計画ということになるわけでございますので、関係業界のほうとも連絡をとりながら作業をやっておるわけでございます。  現在そういう状況でございまして、いつこの計画全部が完成するかという点につきましては、いまのこの段階ではお答え申し上げかねるような段階でございます。現在作業を急いでおります。そういう段階でございます。
  204. 栗山礼行

    栗山委員 私は、局長、そうだと承知をするわけなんですが、したがって私お尋ねする点は、時期とはおおよそのめど、こういう方向でお示しをいただければけっこうだ、こういうお尋ねをいたしたのでありますが、それ以上お答えを願えないのか、それならひとつこういうふうなめどをもって取り組んでおるのだ、こういうお答えをいただけるかどうか。
  205. 吉光久

    ○吉光政府委員 この十月を一応のめどにいたしまして作業を進めております。
  206. 栗山礼行

    栗山委員 重ねて化学工業局長にお伺いをいたします。四十一年、ことしの四月に入りまして、日本建築金物工業組合が設立した、このように承知をいたしておりますが、間違いはございませんか。
  207. 吉光久

    ○吉光政府委員 そのとおりでございます。
  208. 栗山礼行

    栗山委員 これは両局長に関係を持つのであろうかと思いますが、あるいはまた化学工業局長だけでございましたら、化学工業局長のお答えをいただきたいと思いますが、御承知のとおりアメリカのドアのロック業界の最大の雄と自他ともに認めておりますエールと、それから日本の写真機業界の、主としてシャッターメーカーと規定をすることがいいのでございましょうが、コパルとの合弁会社の申請を三十九年十月にいたしておろうかと思うのでありますが、これについて事実をお答えをいただきたい。もしそのとおりでございますと、三十九年十月からいろいろ今日までの経過があろうかと思うのであります。その経過並びに処置、こういうことについて具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。合弁会社の申請に関する問題でございますから、両局長にわたる問題であろうかと思います。
  209. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいまお話がございましたように、三十九年の十月にエールとコパルとの間の合弁会社設立の認可申請書は受理いたしております。受理はいたしましたけれども、実は建築金物業界自身が、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、非常に中小企業が多く、新しく合弁会社でやろうとしている内容がドアロックとドアクローザーでありますけれども、ドアロック関係は現在十六社ございますけれども、そのうち十五社は中小企業でございます。またドアクローザーにつきましては五社ございますけれども、そのうち四社が中小企業である、こういう状況でございますので、その申請を直ちに認可するということは中小企業に与える影響が非常に大きいという意味で、実は認可の申請を受理いたしましたまま今日に至っておるわけでございますけれども、ただこれを漫然と見ておるというわけにはまいりませんので、先ほどお話がございましたように、四十年度に近促法の指定業種に取り上げまして、この業界自身の近代化計画に本格的に取り組むということで、その関係の作業を先ほどお答え申し上げましたように急いでおるわけでございます。いまの申請が出ました後の経過あるいは役所のほうでとりました措置と申しますか、そういう点につきましてはいまお答え申し上げたような事情に相なっております。
  210. 栗山礼行

    栗山委員 大体いま化学工業局長から経過の推移を承ったのでありますが、時間がございませんから、そのものずばりで早めてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、経過の推移はそれでわかるのでありますが、もう一点、これが許可されますと日本のかぎ業界の死活問題となり、さらに日本のかぎ業界の国内市場の生産の実態、それから需給状況等の事実をお示しいたしまして当局に陳情、請願等が盛んに行なわれたと私は承知をするのでありますが、これらの経過につきましても私の理解のとおりであるかどうかということをあわせてお伺いいたします。  それからいろいろ順序を追いたかったのでありますが、経過よりもそのものずばりこれを認可するという立場で取り組んでおいでになるか、あるいは外資法第八条の二項の三に該当するものとして、特に中小企業日本の特殊性を持つかぎ業界の壊滅的打撃を及ぼす内容等々を考慮しつつ、この問題は許可すべからざるものとしての立場で対処されるものであるかどうか。たいへんそのものずばりでどうかと思うのでありますけれども、端的にひとつ局長の所信あるいは方向についてお答えを願いたい。
  211. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、当業界の圧倒的多数が中小企業者でございます。現在エールから入っておるドアロックもございますけれども、これは輸入品でございます。エール自身から、四十年で約一万五千個程度のドアロックが輸入されております。その輸入されていること自体は、生産秩序にそれほど大きな影響を与えていないように見受けるわけでございますけれども、いま直ちにこれを認可するということは非常に早急な措置であって、かえって災いを残すのではないであろうかという感じから本日まで認可を延ばしておったわけでございます。したがいまして同時に、先ほどお答え申し上げましたように、並行的に業界自身の近代化計画を急速に樹立いたしまして、それに沿った形で業界の体制が整備されるという日の一日も早いことを願っておるわけでございまして、そこらの体制整備の進捗状況とにらみ合わせた上で最終判断をいたしたいという意味で、近代化計画自身の早く達成されることをむしろこいねがっておる状況でございます。
  212. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん懇切な答弁になっておろうかと思うのでありますが、せっかく指定業種として指定をし、実態調査もした、そうして計画の策定に入って、今秋を期して大体計画策定ができるのだ、そういうような近代化、合理化の実態と見合った形においてこの認可の可否をきめたい、可否をきめたいということより、そういう合理化の策定と並行して認可ということを何か隠れみののような感を与えるような御答弁でございましたが、私はこれは非常に重大な問題である、こういうオーバーな言い方もどうかと思いますけれども、私は、指定業種で、しかもそれの合理化、近代化の調査の実態に対処してその計画策定をする、この形から認可の問題が出てまいらないのでないか。おそらく局長の手元にも、あるいは担当課長の手元にも、業者から、あるいはまた役所それ自身が近年におきます需給関係というものについて、そのデータを持っていらっしゃるのでないか。業界それ自身の近代化をはかってまいらなくてはならぬということは、特殊産業として非常に家内工業的な規模が大きく現存し、それがまた若干拡大してまいったという経過から、その必要は私は認めたい、これを認めるにやぶさかでないのでありますが、それとこの問題と兼ね合って認可の問題になるというところに私は非常に大きな問題があるということは、御承知のとおりエールの計画も出しております。私は市場価格等も資料を持っております。技術的にも何ら遜色ないということが権威ある機関によって示されておる。こういうふうなことで、技術提携の必要もないという結論が出ておりますことも、局長御存じのとおりでございます。最近ではこれはございません。三十九年にそういうことで技術提携の問題は打ち切っておろうかと思うのでありますが、そこで問題は、わが国のこれの生産と需要、需給の関係から見て、これの合弁会社それ自身というものがかぎ業界の専門分野を完全に壊滅せしめるという最近の需給関係の実態を調べれば明らかに出てまいる。いろいろ資料はございませんけれども、国の住宅五カ年計画が策定されておりますが、これについて全部この種のものを利用いたしませんことは御承知のとおりでありますが、かりにこれに全部使いまして一カ月あるいは一年の生産計画をいたしましても、わが国の二つないし三つのメーカーによってこれの需要にたえるという内容を持つといたしますならば、私は日本産業が外資法の基本的な精神あるいはわが国の中小企業あるいはわが国の産業をどのように堅実な方向に発展せしめ、そして世界産業としての劣らざる条件を確立するかというところに近代化の問題があろうと思うのでありまして、そういう面から考えまして外資の導入及び合弁会社というものが合理化あるいは業種指定の計画策定と並行するものなりということにつきましては、時間がございますとどうしても局長と、具体論を御存じなんですから——委員会の中で公式にただいまの段階で認可をしないということが言いがたいという政治的配慮等も私はわかるのでありますけれども、これを一個一個詰めてまいりますと、外資法の法律的な解釈あるいは外資法の求める一つの目的の条項から反する問題、いわんや日本経済と産業日本の構造上の特質をどのようにつかんで将来の近代化と日本の経済、産業の基盤を拡充強化いたしてまいるか、こういう議論を展開いたしますと、おそらく局長詰まっちゃって、それはもう白を赤、赤を黒と言わなければ問題は御答弁されぬというような内容に発展しようかと思うのでありますが、私は白黒を明らかにするということは、良識を持つ私どもとしては必ずしも適切と考えておらないのでありますけれども、やはり外資についても、少なくとも日本の産業と経済の健全な発展を期する立場における外資法の目的規定であるということであり、日本の大企業及び外資というものが零細中小企業を玉砕、壊滅させるという内容の事実に至るとするならば、これは適用すべきでない、認可すべきでないということは、歴然たる私は理解と解釈に到着しようか、こう思うのであります。たいへんひとりよがりのことを申し上げておりますけれども、この点はひとつニュアンスでけっこうでありますから、明確に所管局長としてお尋ねいたしたい。もし、時間がございませんから、委員長にらんでおりますから、お預けだということでございましたならば、大臣とこの問題で一時間でも資本自由化の問題を——先ほど申し上げましたように、具体的なこういう事実を解決せずして、日米の貿易経済会議を前にして何か政治的工作か政治的意図か存じませんけれども、日本のオポチュニストの迎合的なあるいは場当たり的な一つの方向づけをもってものをさばくというところに、政治、行政の姿勢を正してまいらなくちゃならぬ、こういうふうに私自身は考えておるのであります。  いろいろ理屈を申し上げたのでありますけれども、私が心の中でことばだけを突きとめませんけれども、ひとつ理解のできる局長の御弁答を求めたいと思います。
  213. 吉光久

    ○吉光政府委員 技術的な優劣の問題等につきまして、実は私専門家でございませんので、お答えするだけの力がないわけでございますけれども、やはりいままで日本になかったかぎと申しますか、壁の中で生活しておる国のかぎと、木造の中で生活をしておる国のかぎと、そのかぎについての歴史的な事実と申しますか、相当違っておりますので、あるいは相当進歩したかぎであるというふうなことを言っておる人もございますし、そこらの判断は実はつかないわけでございます。さらに勉強させていただきたいと思うわけでございますけれども、ただ現状で言えますことは、先ほどお答え申し上げましたように、この問題が日本のかぎ業界に与える影響というものは非常に大きいものでございますので、軽々に処理するわけにはまいりませんということでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、業界内部の近代化計画、体制整備等の進捗状況と見合ってと申しますか、あるいは逆にそういう整備体制につきまして相当急いで整備してまいると申しますか力をつけると申しますか、というふうなことをやりまして、これは簡単にいくことだとは思っておりません。そう簡単に半年ないし一年というふうなもので底力がつくとは考えておりませんけれども、できるだけ早くそういうふうな力をつけていただくというふうな措置を現状においては促進すべき状況、段階ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  214. 栗山礼行

    栗山委員 どうやらこれは局長と並行線の方向に進んだように思います。合理化や近代化の問題でない、それ以前の問題であるということを私は指摘をいたします。私は価格の問題についていろいろ資料を持っております。とにかく日本の近世史の百カ年間というものは、私どもも含めまして舶来というものについて何でもいい、こういうような理解で取り組んでまいった頭の展開があったのであります。これが一つであります。それのために同じものでも高い条件でそれが売れるのだ、こういう愚を重ねてまいったということについて反省をいたさなくちゃなりません。価格も日本の製品の倍以上の価格である。合弁会社をつくるとなれば五〇%ダウンする。いろいろ申請書の中にも示されておるのでありますが、日本の価格よりはるかに高いものにつく、こういうことでございます。  それから技術的なことは私はエンジニアではありませんからよくわかりませんけれども、やはり東京都の経済局がこれを調査いたしまして、エールのものと日本の製品とは技術的遜色はないということを明らかに示しておる。さらにまた大成建設の研究機関が建設科学の観点から相当の資金をかけまして権威ある研究をいたしておると承知いたしておるのでありますが、明らかに外国品より日本製品の優秀性を事実をもって示しておる、こういうことでありまして、日本のかぎ業界のすべてのものということでなく、エールが進出をねらってまいりまするドアについてと、こういう限定でございますが、私は技術上の問題、価格の問題、こういう二点を持ちますと、あと残された問題は日本市場を中心とする進出でありますから、日本の需給関係がどうなんだ。人口及び建築構造も一挙に大きな変革というような、そんな気違いみたいなことは考えられないわけでございまして、やはり良識的な範囲における建築構造の変化及び人口構造の増大、こういうようなことを考えます場合において、日本がいまですらこの業界が生産過剰であり過当競争で、ゆえにこそ組合をつくってこれの自己調整をし、及び近代化に対処しなくちゃならぬ、こういうふうな問題に取り組んでおるのでないか、これが中心だと思うのでありまして、私は近促法の計画策定が中心でない、それは日本の独自な企業を発展、拡充するという場合における必要な問題点でありますけれども、いま申し上げるようにそれとエールとの合弁会社の進出というものとおすりかえになられておるのじゃないかと思うのであります。これは文章を見ると完全にひとつ魔術にかかっちゃった。こういうふうな一つの記録にあらわれてまいると、こういうふうに理解をいたしますので、私はそれは局長すりかえでございますよ、私の申し上げているのは、それはけっこう、その形で大いに秋を目ざす、近代化の促進及びその成果に向かって行政的な指導と処置にお取り組みいただかなくちゃならないが、それを離れて、私はますます日本合理化、近代化の方向をとってまいるということなら、いま申し上げまする合弁会社の進出というものについてのその必要性はどこからも生まれてこないという立場において許可すべからざるものである、しかも先ほど法律解釈を伺いましたように、八条の二項三号の規定は日本産業経済に悪影響を及ぼすもの、弱肉強食のそういう鉄則から、それを踏み越えて弱きもの泣け、こういうような暴政的政治と行政に発展するということなら、これはもう何をか言わんやであろうかと思うのでありますけれども、私はそのようには考えておらないのでありまして、いわゆる一歩一歩積み重ねたいい政治と行政の方向ということで取り組んでまいっておると考えるのでありまして、重ねて御賢慮だけをいただき、御答弁をいただくということについては私は少し局長に酷であろうかと思いますので、その点もあなたとひとつひざつき合わしてお番茶をごちそうになりながらひとつ御懇談申し上げるということで、私の質問を終わることにいたします。
  215. 天野公義

    天野委員長 次会は来たる二十七日月曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会