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中村(重)
委員 きょうは時間がありませんから、
大臣に基本的な問題についてお尋ねをしまして、それで私の質問は保留をいたしたいと思います。
第五十一国会も、当商工
委員会といたしましては、きょうこれで終わるわけであります。そこで、長期間にわたった国会の中で貿易上の問題、具体的には
先ほど加藤委員から東南アジアその他の貿易の問題につきましても
質疑がかわされ、中国貿易の問題あるいは北鮮の貿易振興に伴う技術者の入国の問題、韓国の貿易の問題等々
質疑が行なわれたのでありますが、そうした
質疑を通じて
通産大臣の
考え方が必ずしも明確でない点がありますので、ただ一問私はお尋ねをいたしまして
大臣のお答えを願っておきたいと思います。
中国貿易振興の問題に対しましては、御承知のとおりに松村さんが訪中されまして、LT貿易の期間を延長する、そのことに対しましての合意も成立をいたしたようであります。御承知のとおりに、松村さんが自民党に対しましてもいろいろと提言をいたしているようであります。中国から入りたい者はどんどん入国をさせるし、また訪中したい者はこれを訪中させていくということで、人事の交流というものも活発に行なわさせなければならないことだし、また輸銀の使用等に対しても、プラント輸出をさらに積極的に推し進めていくためにはそれが必要である、吉田書簡等にこだわるべきではないといったような積極的な提言をされているようであります。しかし、これに対しましても、
政府の
考え方というものは前向きの姿勢をあらわしていないということは非常に遺憾であります。御承知のとおりにLT貿易あるいは友好貿易と、貿易の形態が二つに分かれているようでありますけれども、友好貿易は申し上げるまでもなく中国のベースにおいてこれが行なわれるということになってまいりますから、ある場合におきましては無理もがまんして、貿易をするためには進めていかなければならぬという不利な状態に貿易業者が置かれているということは否定することのできない事実だろうと思うのであります。したがいまして、
政府間貿易というものが当然すみやかに行なわれなければならないことでありますし、そこまで直ちにいかないというような場合でありましても、当然LT貿易というものは、活発に輸銀使用という形におきましてプラント輸出というものも当然行なわれてこなければならないわけでありますから、閣僚の中におきましても進歩的な政治家といわれるほどの
三木通産大臣にして、かつてわが党の
板川君の質問に対しまして、吉田書簡には拘束されないのだと明確に言い切った。その
三木通産大臣としましては、当然これらの問題を解決していかなければならない、貿易の振興をはかっていかなければならないと私は考えるのでありますが、それらの点に対して
大臣はどのようにお考えになっておられるのか。また北鮮貿易あるいは技術者の入国の問題に対しましても、参議院の亀田
委員の商工
委員会における質問に対しまして、韓国側が内政干渉をしている事実があるといったような指摘等に対しまして、
大臣が亀田
委員に答弁をされましたその答弁の内容、さらに当商工
委員会におきまして、石野
委員が質問をいたしたことに対する
大臣の答弁、必ずしもニュアンスは一致していないのではないか。亀田
委員の質問に対しましては、
大臣は確かに好ましくないことがあるように思われる、いささかもこれに干渉を受くるべきではないということをはっきり言い切ったようでありますし、さらにまた、暗に韓国側がそういう態度をとっておるということを認められるような印象を与えるような答弁もあったようでありますけれども、当
委員会における石野
委員の質問に対しましては、そういう事実は知らないということをはっきり言い切っておるようであります。いろいろこの問題に対しまして、私がこの事実を
一つ一つ取り上げてここで
大臣に指摘することは省略をいたしたいと思いますけれども、私どもは韓国側が内政干渉しておるというこの事実は、これは確たる証拠をもって、こういうことをやめさせなければならないということを
主張いたしておるのでありますから、
大臣としても調査するところは調査をし、いささかもそうした内政干渉的なものが行われないような、き然たる態度をとられる必要があるであろうし、また技術者の入国の問題に対しましてもケース・バイ・ケースでやるのだということを
政府は言っておりますけれども、ケース・バイ・ケースというものはどういうことなのか。また、いままでかつて日韓条約の問題に対して、特別
委員会におきましてこの問題が取り上げられたとき、あるいはその前の法務
委員会におきましてもケース・バイ・ケースでその入国を認めるのだと言ったのでありますけれども、その後ケース・バイ・ケースというものがなかったのかどうか。入国を認めたという事実はないか。したがって、貿易の振興という面におきまして多大なる障害となっておるということは事実でありますから、少なくとも
政府がケース・バイ・ケースでこれを認めるということを明言された以上は、貿易関係の業者が具体的な申請をしてきたというこの時点においては、当然それを調査をし、これを認めていくという態度でなければならないと私は思うのであります。それらの点に対して、
大臣はどのようにお考えになるのか、はっきりしていただきたいと思うのであります。
韓国貿易の問題におきましても、御承知のとおり最近保税加工貿易に重点を置いてきたということは、これは明らかになっております。私はこの点に対しまして、保税加工貿易というものが強められてくるということになってまいりますと、当然これはそのはね返りとして
日本の国内の労働者に、あるいは中小
企業者に大きな
影響を与えてくるということは否定できないと思うのであります。しかも日韓条約の審議の際におきまして、この保税加工の問題に対しまして韓国の中小
企業者に対して
日本の中小
企業者がやっておるものをやらしていくということが、韓国の経済の発展の上に必要ではないかというようなことを財界の
方々は
主張いたしておったのでありますし、韓国自体がもちろんそのことを強く要求しておったのであります。しかし
日本の中小
企業者に
影響があるというところから、
政府も慎重な態度をとってきたと私は思うのでありますけれども、最近この保税加工貿易が非常に伸びてきたというこの事実は、中小
企業者の
立場を守るという
立場から、非常に注視していかなければならないと私は思うのであります。さらにまた、
大臣が日韓条約の問題の際に、
通商航海条約というものを締結をしなければ、貿易、金融、あるいは海運の関係において問題であるということを強く
主張いたしておったのでありますが、それが今日どうなっておるのか。現在、韓国に物資を輸送いたします際に、韓国といたしましては、いわゆる韓国の船を優先するという態度をとっておる。そのことが非常に大きな
影響を及ぼしておるということは事実でありますから、これらの点に対して
大臣はどのようにお考えになっておられるのか。さらにまた韓国に
日本の商社が相当進出をいたしておる。その商社の地位というか身分というものはどういうことになっておるのか。さらに韓国の市場における
日本商社の動向といったようなものもいろいろ問題が出ておる。そういう中から、
日本が韓国の経済を侵略するのだといったような、韓国の
日本に対する不信感というものが高まっておるということもこれは事実でありますし、そういう不信感を持たれるような動向というのを
日本の財界、具体的には進出している商社がやっておるということも、これまた否定できないことであろうと思うのであります。したがって、
三木通産大臣が幹事長をしておられた当時、いささかも韓国から
日本が経済侵略をやるのだ、そういう意図があるのだということを言われないように注意しなければならぬということを、財界にも強く求められたということを私は伺っておるのであります。したがって、いま当の責任ある担当
大臣であるところの
三木通産大臣として、これらの問題に対してどのようにお考えになっているのか。それらの問題に対しまして、
大臣の基本的な見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。