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1966-06-21 第51回国会 衆議院 商工委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十一日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    内田 常雄君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    神田  博君       菅野和太郎君    黒金 泰美君      小宮山重四郎君    佐々木秀世君       田中 六助君    中村 幸八君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       石野 久男君    五島 虎雄君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       實川 清之君    島口重次郎君       田中 武夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         総理府技官         (科学技術庁振         興局長)    谷敷  寛君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (企業局長)  熊谷 典文君         通商産業事務官         (重工業局長) 高島 節男君         通商産業事務官         (重工業局次         長)      赤澤 璋一君  委員外出席者         人事院事務官         (任用局長)  岡田 勝二君         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         通商産業事務官         (企業局参事         官)      瀬谷  徹君         建 設 技 官         (都市局技術参         事官)     後藤 明治君         自治事務官         (行政局給与課         長)      内山 鉄男君         参  考  人         (日本万国博覧         会協会会長)  石坂 泰三君         参  考  人         (日本万国博覧         会協会事務総         長)      新井 眞一君     ――――――――――――― 六月十六日  委員三原朝雄辞任につき、その補欠として大  坪保雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大坪保雄辞任につき、その補欠として三  原朝雄君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員小沢辰男君及び三原朝雄辞任につき、そ  の補欠として大高康君及び倉石忠雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員大高康君及び倉石忠雄辞任につき、その  補欠として小沢辰男君及び三原朝雄君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十五日  電気工事業法制定に関する請願今澄勇君紹  介)(第五三三六号)  同(受田新吉紹介)(第五三三七号)  同(春日一幸紹介)(第五三三八号)  同(竹本孫一紹介)(第五三三九号)  同外一件(竹谷源太郎紹介)(第五三八〇  号)  同(西村榮一紹介)(第五三八一号)  同(春日一幸紹介)(第五四七四号)  同(栗山礼行紹介)(第五四七五号)  同(玉置一徳紹介)(第五四七六号)  同(西尾末廣君紹介)(第五四七七号)  同(永末英一紹介)(第五五〇九号)  中国経済貿易展覧会開催に関する請願(林百郎  君紹介)(第五四五四号) 同月二十日  台湾バナナアウトサイダー割当に関する請願  (關谷勝利紹介)(第五六二一号)  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律制定反対に関する請願(逢澤寛君紹介)(  第五六四七号)  特許法の一部を改正する法律案等に関する請願  (岡崎英城紹介)(第五六四八号)  渡良瀬川の水域指定並びに水質基準設定に関す  る請願外一件(坂村吉正紹介)(第五七一二  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十六日  離島振興法の一部改正に関する陳情書  (第四六四号)  十和田市の都市ガス爆発犠牲者補償等に関する  陳情書  (第五四五  号)  商業の近代化促進のための流通改善に関する陳  情書(第五  五三号)  中小企業海外協力会社創設に関する陳情書  (第五五四号)  日本万国博覧会出展参加企業等への助成措置に  関する陳情書  (第五五五号)  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律制定反対に関する陳情書  (第五五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律案内閣提出第一二一  号)      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題として審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として、日本万国博覧会協会会長石坂泰三君、日本万国博覧会協会事務総長新井眞一君、以上両名の方が出席されております。  参考人の皆さまには、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございました。  参考人並びに政府当局に対する質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 万国博特別措置法に関連いたしまして、先日に引き続き質問をいたしたいと思いますが、実は昨日急転直下国会正常化申し合わせもありました。その間委員長及び与党の理事諸君が常識をもって委員会運営に当たられて、いわゆる商工委員会の伝統を汚さなかったことに対して心から敬意を表します。したがいまして、私も、先日の質問に対して留保せられておったところ及び残余の質問に対してできるだけさらりと終わりたいと思います。したがいまして答弁者も、そのつもりで、率直なる答弁を求めます。  まず最初に、これは両参考人石坂さんでもあるいは新井さんでも、いずれでもけっこうですが、参考人にお伺いいたします。現在、日本万国博協会大阪府あるいは大阪市その他から、地方公務員あるいは——国家公務員はいないと思いますが、いろいろのところから、いわゆる出向というかっこうで出ておると思うのですが、それらの人数及びそれらの人たちの現在における待遇、身分給与はどうなっておるのか、そういうような点についてお伺いいたします。
  4. 新井眞一

    新井参考人 出向しております者の人数でございますが、詳細手元に持ってまいっておりませんけれども、現在、全体で百四十名おりまして、そのうち、府・市ほとんど同数でございますけれども、大体三十名ないし四十名程度それぞれから出向していただいております。  それから、身分の問題でございますけれども、身分は全然こちらの職員と同じようにやっておりまして、ただ退職をいたしました場合の取り扱いにつきましては、府と市それぞれと申し合わせをいたしましてやっておるわけでございます。それから、給与は従来の府・市におりました者とほとんど変わらない、そういう地方公務員並み給与をやっておる次第でございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 その府・市におったときと同じように出しておるということは、その給与万博協会が負担しておるわけですか。
  6. 新井眞一

    新井参考人 さようでございます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 人事院岡田局長にお伺いいたしますが、先日の私の質問に対しまして、大阪府・市等から万博協会出向しておる人は、いわゆる休職で行っている、こういうことだと思う。そこで休職というのは一体どういうことなのか。むずかしく言えば、身分を保持しながら仕事に専念しなくてもいい、こういうことではなかろうかと思うのですが、この休職というのはどういうことなのか。  それから休職には期限というものが条件だと私は思うのです。その期限確定期限である、あるいは不確定な期限であるということは別といたしましても、期限がつくことが休職一つ条件ではなかろうかと思います。  それから休職の場合は、原則として給与はその休職を命じたところが出すのがたてまえではなかろうかと思いますが、いまの万博協会事務総長答弁はいわゆる休職という観念からは違った答弁が出ておりますが、それらについて人事院としてはどうお考えになりますか。
  8. 岡田勝二

    岡田説明員 万博協会関係につきましては、ただいまのところ国家公務員から行っている人はないように承知しておりますので、問題は地方公務員の場合になろうかと存じますが、国家公務員休職制度につきましてその辺のところをお答え申し上げます。  休職制度と申しますのは、職員の側に一定の事由が発生いたしました場合に、公務上の必要からその職員身分を保有させたまま一時職務の執行の義務を免除する、こういう制度でございます。休職制度が設けられました根本的な趣旨と申しますか、理由ということは、いま申し上げたようなことになろうかと思います。  それから休職にした場合の期限の問題でございますが、国家公務員の場合におきましては、話がいささかこまかくなりますが、刑事事件で起訴されたような場合の休職、これは刑事事件が裁判所の手を離れるまでという期限がついておりますし、それから何らかの休職であって、復職する場合に欠員がないということになりまして復職できません場合には、さらに休職でいきますが、これは欠員を生ずるまでの間という二つの例外がございますが、そのほかの休職事由の場合には三年を限度といたしまして、個々の必要に基づきまして任命権者がその期限を半年とか一年とかきめる、こういうたてまえになっております。  それからもう一点の休職者に対する給与の問題でございますが、これは国家公務員の場合給与法に基づきまして、本来的にはノーワーク・ノーペイの原則からいたしまして給与が出ない、これが原則ではありますが、給与法におきましてそれの例外をつくりまして、休職事由ごと休職給が出せるという規定がございます。したがいまして出す場合もあり、出さない場合もあり、こういう二色になっております。出す場合にはむろんのことその職員の属する省庁において給与を出す、こういう仕組みになっております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 自治省がまだ見えていないようですが、岡田さん、地方公務員国家公務員もそうういう休職とかそれについては、法律の場合、人事院規則の場合、あるいは自治法国家公務員法地方公務員法あるいは条例、それぞれ根拠は別としても、大体同じようなたてまえだと思うのですが、どうですか。
  10. 岡田勝二

    岡田説明員 休職制度が、先ほど申し上げましたような趣旨のものでございますから、大まかに申しまして、国家公務員におきましても、地方公務員におきましても、その仕組みは同様であろうかと存じます。ただこまかく申しますと、国家公務員の場合はすべての休職は意に反してでもできるというたてまえになっております。そして国家公務員法の七十九条に規定する事由の場合のほか、人事院規則でもって休職事由をつくれることになっております。現在公務員法人事院規則でもって休職制度が動いておる、こういう実情でございます。  地方公務員のことは私の当面の所管外ではございますが、地方公務員法の二十八条でもちまして、休職事由国家公務員と同じように二つ書いてあります。そのほか条例でつくることがあるいは可能かと存じますが、その辺の詳細のところは責任当局でございませんので、十分なお答えは差し控えようと思います。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 自治省が見えていないのですが、この問題について企業局答弁できますね。先ほどから私が言っているように、休職の場合は、この期限確定期限の場合と不確定期限の場合があると思うのですが、期限がついておるということ、たとえば刑事訴追を受けている場合はその確定判決までとか、病気の場合は何年までとか、あるいは病気が全快するまでとか、いろいろあると思うのですが、その条件といいますか、期限というものが前提だと思う。それが一つ。  それから先ほど人事院答弁にもありましたように、まず休職の場合は、たてまえとしては給与を出さないが、給与を出すときには休職を命じた側が出すというのがたてまえである。それから休職期限というものが、私は解除条件の場合もある、あるいは停止条件という場合もあると思う。こういうふうに考えてきた場合に、現在大阪市、府から日本万博協会出向しておる人の休職形態はどのようになっておるか、たとえば期限というものがどうなっておるのか、あるいはその根拠になる——ここに条例の資料をもらっておりますが、これによると三年の範囲内ということになっているが、それが期限なのかどうか、そういうような点についてひとつまとめてお伺いいたします。
  12. 瀬谷徹

    瀬谷説明員 ただいまの御質問についてはっきりしたお答えができませんので、後ほど調べてまいりますが、一応職員出向期限の問題でございますが、これは三年の期限で一応切りかえるというふうなたてまえでただいま出向しております。それからこの法律制定のときに、自治省のほうの方針といたしましてはできるだけ早くこの法律に切りかえるよう指導したい、こういうふうな方針のように聞いております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 ここに府の職員の分限に関する条例というのがあるのですが、その第二条に休職事由というのがありますね。今回の休職はこれに基づく休職ですか。これに基づく休職だとすると、市のほうにはあったのですが、府のほうには第四条で「いずれも三年をこえない範囲内において、」というこの三年が私の言っている期限になるのかどうか、そしてこの法律が通れば、そこで身分を切りかえて万博職員にしよう、そういうことになると思うのです。そうすると、三年をこえない範囲ということなら、もちろん三年をこえていないからいいわけですが、その辞令の出し方、どう出ておるのか、もっと具体的に言うなら、まさかそんなばかなことはないだろうと思うけれども、これこれの法律制定せられるまでというようなことで辞令は出ないと思うのです。そういう含みで出ておるのじゃないかと思うのですが、それと条例との関係はどうなるのです。
  14. 新井眞一

    新井参考人 ただいま、あるいは詳しい御説明ができないかもしれませんが、いずれにしましても府・市それぞれ条例等ございまして、それにのっとって措置をいたしておるつもりでございますが、いまのお話の期限の問題でございますけれども、そういう点もございますので、万国博覧会が終わるまでやるということは必ずしも明確にいたしておりません。したがいまして、休職期限がございますれば、それはまた帰っていただきまして、またほかの人が来る、そういうことも実は考えませんと、なかなかいい方に御出向していただけませんので、そういう運用もいたしておる次第でございます。お答えになりましたかどうか存じませんけれども……。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 自治省が来るまでしばらくこの問題はおいておきます。  次に、一般規則についてお伺いしたいと思うのですが、一般規則の九条は国に対する参加の問題、十条は企業といいますか、国以外の団体あるいは法人、これの参加の場合をきめたものだ、こう思うのです。先日、新井事務総長参考人として当委員会へ参られたときに、私、他に所用があって委員会にいなかったのですが、あなたの答弁と先日私に対する瀬谷参事官答弁とが若干食い違っていたように思うのですが、ここで確認をいたします。  瀬谷さん、この前の私の質問で、第十条の場合、これは公式に参加した国の企業以外は考えられないというような意味答弁だったのですが、間違いありませんね。
  16. 瀬谷徹

    瀬谷説明員 実ははなはだ申しわけございませんが、私の答弁は誤っておりまして、十条は、ただし書きに書いております公式参加の場合には、その「当該参加国代表の承認を受けなければならない。」ということでございまして、非公式の参加の場合には別に政府代表参加は要らない。したがいまして、非公式の参加の場合は十条によってできるということでございます。ここで訂正いたしておきます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、先日の瀬谷参事官答弁は誤りであった、これは認められたわけですね。——これは新井さんのほうの万博協会主体になるのですから、事務総長答弁のほうが権威あるといいますか、そうであろうと思います。そうなれば私はこれ以上ここで聞く必要はないのですが、十条の条文の中で「公式参加している場合は、」ということがあるわけですね。これでいくと十条の三行日あたりですが、この文面を見ると、その反対解釈として、必ずしも公式参加している国だけではない、こういうように出てくるのです。ところが、新井さんは先日はこうお答えになった、こういうことですから、これはそれでいいと思うのですが、もう一度ここで確認します。
  18. 新井眞一

    新井参考人 先般お答え申し上げましたとおり、第十条のただし書き以降につきましては、公式参加をしておらない場合は直接協会でございまして、もともと公式参加しておりませんときにはその国の政府代表も実は存在しておらないわけでございますので、さように考えておる次第でございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 したがいまして、この十条の条文中の「公式参加している場合は、」というこの反面解釈として、必ずしも公式参加している国のみではない、こういう確認でいいんですね。
  20. 新井眞一

    新井参考人 これは一般的な規則解釈でございます。それは前提といたしましてさようでございます。公式参加している場合、公式参加していしない場合、あり得るということでございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 それから九条、十条に参加契約ということばが随所に出てまいります。この参加契約というのを分類しますと、協会参加国代表との間に結ばれるもの、これが九条三項ですね。それから協会当該申し込み者、これが十条二項ですね。それからもう一つは、非公式参加の国またはこれに属する申し込み者協会との契約というのがありますね。三つ形態が考えられるわけなんです。この三つ形態の中で参加契約という面におきましては、何ら変わりはございませんね。
  22. 新井眞一

    新井参考人 参加契約そのもの協会長の名前でやるわけでございますので、あるいは相手先別に若干契約書の態様がかわるかも存じませんけれども、お話しのように三種類あろうかと思います。ただ、条約によりまして、政府の招請問題あるいは公式参加問題というのはそれぞれ別項に書いてございますような状態でございまして、それが取りきまったあとでの実際の契約の問題でございますので、その点は御承知おきをいただきたいと思います。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 したがって、契約内容の若干の違いはあり得るとしても、契約それ自体の本質は変わらない、そう解釈していいわけですね。——それから九条の五項の最後のほうですが、「全参加国代表代表する組織およびその長を決定しなければならない。」とあるのは、これは一体どんなことなんです。
  24. 新井眞一

    新井参考人 九条の五項でございますが、公式参加いたしました場合、その前項各条にございますように、それぞれ参加国代表というのができるわけでございまして、これはコミッシャー・ゼネラル・オブ・セクションと申しておりますが、その方々といろいろ打ち合わせ等をやらなければなりません。その場合に、日本政府代表が招集をいたしましたり、あるいはその会の運営をやるわけでございますが、その際、やはり参加国代表も複数でございましょうから、代表するステアリング・コミッティーみたいなものをつくったり、あるいはその長をきめておいたほうが便利であろう、こういうことから五項というものができ上がっておるわけでございます。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、その代表との間には別にこれということはない、全体を相手にした場合は窓口も広いから窓口にするというだけで、契約その他については違うのですね。
  26. 新井眞一

    新井参考人 さようでございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 それは別に、代表する組織というけれども、いわゆる代表ではないわけですね。ただ窓口としての接触は、交渉や何かするときの窓口という意味ですね。
  28. 新井眞一

    新井参考人 そのとおりでございます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 この一般規則でいう、先ほど申しました参加契約、これは一般規則の四十九条の二項で、日本法令に従うということになっておるところから見て、いわゆる私法上の契約だと思うのですが、それでいいのですね。参加契約の性格。
  30. 新井眞一

    新井参考人 今回日本で行なわれます博覧会は、御承知のように公認の博覧会でございまして、主体財団法人日本万国博覧会協会でございますので、その協会長がやるわけでございますから、お話しのように財団法人契約ということになるわけであります。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 だから私法上の契約ですね。
  32. 新井眞一

    新井参考人 そうでございます。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 私の聞きたかったのは、たとえば参加国との間にやる参加契約とか、こういうような国際法上の契約になるのかどうかということだけれども、この万博協会自体が民法三十四条の法人なんですから、それはあくまでも私法的な私契約、それは四十九条の、いま言った日本法令に従うというところからも出てくると思うのですが、それでいいのですね。
  34. 新井眞一

    新井参考人 御承知のように参加契約書の中にはいろいろな保険問題もございますし、あるいは敷地料問題等もございますし、各般の問題がございますので、それを含めまして、お説のように解釈しておるわけでございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 藤山国務大臣も見えておりますので、お忙しいでしょうから、その問題だけ先にひとつ議論をしたいと思います。  これは三木大臣、いわゆる中国日本といま公式な国交をやっていない。新聞の情報によりますと、来月早々にでも百二十何カ国へ招請を出す、これはまず第一次として公式な国交関係のあるところ、こういうことになっております。しかしアジアで初めての万博であり、基調の「進歩と調和」ということから考えても、私はぜひ多くの国、ことにアジアにおける大国である中国参加というものはぜひ必要であろう、しかもこの中国というのは少しメンツを考えるところですから、あとから出すということになると、かえって話もしにくいような点もあるのじゃなかろうか、このようにも考えるわけなんです。そこでこの万博について、まあ中国だけじゃありませんが、そういった国の参加ということをどう呼びかけるか、どうするかということが、この万博開催一つの問題であろうと思います。そこで、いままでも何回か当委員会で取り上げました。石坂参考人にもこの前お伺いしました。ところがどうも石坂参考人は、日本人であれば、国が交際しておらぬところを呼ぶのは日本人でないような言い方のような私は印象を受けたので、少しおかしいじゃないかという感じもあったのですが、まあそれはそれとして、藤山長官は先日大阪で、中国参加ということについて意思表示をせられたようであります。また当委員会で、参考人として見えましたテーマ委員会委員長茅先生も、これを積極的に参考意見として述べられております。そういうように、ここにおられるうちで、三木大臣石坂参考人は、まあどっちかといえば消極的な意見である、それからテーマ委員長である茅さんと藤山長官は積極的な意見である。言うならば閣僚間あるいは万博協会会長テーマ委員長、こういう重要なポストにある人たちの間に、ニュアンスの違いだけでは済まされないような表現の違いがあるのですが、その点についてもう一度三木大臣、それから藤山長官石坂参考人に、ひとつはっきりとした考え方をお伺いいたします。
  36. 三木武夫

    三木国務大臣 これは差をつけるわけじゃないのですけれども、外交上の手続として、国交を回復しておる国に外交機関を通じてやるわけですから、国交を回復しておる国に招請状を出すということは、どこの国だって当然のことです。国交未回復の国は外交機関もないですから、それに対してはやはり区別というよりかは、外交上の手続として、そういうことは当然どこでもそうで、何も国交回復してない国に先にというわけのものではない。このことは外交の慣例上も当然のことである。未回復の国については、やはりいろいろ世界の情勢も流動しておるわけでありますから、諸般の推移も見きわめながら、そして二段がまえとしてこれに対して検討を加えたい。しかし原則としてはできるだけ多数の国が参加してもらいたい、これは原則です。それで未回復の国に対する処置は、今後いろんな推移等も勘案しながら検討を加えたい、これが考えでございます。したがって、消極も積極もありません。外交の慣例をすなおに見ておるわけであります。
  37. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 せんだって大阪へ参りましたときに、記者諸君からこの万博への中共参加についてどういう考えでいるかということでございましたから、私は、手続上の問題は別にしまして、中共が、日本でやります以上はやはりできるだけ参加していくことが望ましいことであって、同時に、それについていろいろな支障が起こった場合には、そういう国々も万博の精神からいってオリンピックと同じようにできるだけ説得をして、そして円満に各種の国が参加するように努力することが、日本として必要ではないかということを申したわけであります。
  38. 石坂泰三

    石坂参考人 この問題はまだ万博協会としては研究したことはないのでございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 会長としてのあなたの考え……。
  40. 石坂泰三

    石坂参考人 ですから、茅さんのお述べになったことも、個人の資格でおっしゃったのだと思います。私も個人としてはなるべく多くの国に参加してもらうことはけっこうだと思っております。しかし招請するのは政府でおやりになることだと存じますが、なおこの問題については協会としても無関心でいるわけにもまいりませんから、よく研究をいたしたいと存じております。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 いまのお三方のを聞いていると若干ずつ違うんですね。私、石坂参考人に望みたいことは、万博協会として理事会等で決定はしてない、これはいいです。しかし、協会代表としてのあなたはもっと積極的な態度をとってもらわなければ困るのじゃないか、こう思うわけです。それから三木大臣と藤山大臣との間にも、違いはないとおっしゃっておるが、どこかやはりちょっと違いますね。ということは、三木さんの答弁にはもう一つ積極的な意味がないと思う。そこで、このことについて内閣不統一、こうは申しませんが、参加する、あるいは参加するようにやっていくのだ、こうはっきりは言えませんですか。藤山さんはああいう意見を述べられました。当面三木さんが担当大臣なんだから、外交上の手続の問題ではなく、担当大臣としてぜひ参加するように、あるいはしてもらうように、いろいろな問題はあろうが、そういう問題を排除しながらやっていくのだ、こう前向きな答弁はできませんか。それから石坂さん、そういうようなのらりくらりではなくて、私も積極的にそういう方向へ政府が努力するように万博会長としてやりたいとか、こういったようなはっきりしたことは言えませんか。いかがですか、お二人。
  42. 三木武夫

    三木国務大臣 前向きもうしろ向きもないのです。できるだけ多数の国が参加できるような万博にしたいというのが基本的な考え、しかし、国交未回復の国は、回復しておる国のように外交機関もございませんし、この問題はやはりそういう手続上の問題もあるし、いろいろ情勢の推移等も見きわめて、そして態度をきめたい、こう言っておるわけでございまして、前とかうしろとかいうことではないのでございます。
  43. 石坂泰三

    石坂参考人 私個人としては、前に申し上げたとおり、積極的になるべく多数の国に参加してもらいたいと思います。しかし、それを国家の方針に反してまでやるということには私はまだ考えておりませんが……。どういうことになりますか。これはむしろ皆さまのほうでおきめになることじゃないのでございましょうかね。(「協会長として困るじゃないか」と呼ぶ者あり)協会長としてまだ研究しておりませんから、協会代表しての言はここではっきり申し上げられない。(田中(武)委員「個人でよろしい」と呼ぶ)私個人ではそう思います。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 国の方針に反してと、こうおっしゃいますが、お聞きのように藤山長官はすでに積極的に言い切っておられる。三木さんは少し答弁でごまかしておるけれども、腹の中は大体わかると思うのです。それから窓口がないと言うが、中国には窓口といって外交的なものじゃないけれども、あるでしょう。そういうところあたりへ話しかけるという方法もあるのじゃないかと思うのですよ。これはこれ以上言ってもはっきり言えませんか。どうです、石坂さん、ひとつ協会長としては、ぜひその参加を呼びかけるように政府にも働きかけます、そうは言えませんか。
  45. 石坂泰三

    石坂参考人 ひとつよく協会で検討いたしてから返事させていただきます。(田中(武)委員「いや、あなた個人です」と呼ぶ)私個人はいいのですよ。しかし国交がないから、それに……(田中(武)委員石坂さんともあろう人がだめだぞ」と呼ぶ)そうでございますかね。——そういうふうに考えております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも頭古いね。(笑声)
  47. 板川正吾

    ○板川委員 関連。どうも石坂さんと田中委員のやりとりを聞いておりますと、石坂さんは、多数の国が参加することはわれわれの望むところだ、こうおっしゃっておる。ところがおそらく石坂さんの腹の中は、われわれが聞こうとしていることの多数という中に中国なりという国を考えていない。中国を除く多数の国の参加を希望しているという趣旨で発言しているのだろうと私は思うのです。しかしこの万国博覧会というのは私は見本市と違うと思うのですよ。見本市は商売ですから、もうけ本位です。しかし 国博覧会というのは、条約や、この日本万国博協会で発行した、また協会できめました「人類の進歩と調和」という一つの考え方に集中されて行なう行事ですよ。だからこの「人類の進歩と調和」という精神にのっとった運営がされなくちゃならぬと思うのです。その「人類の進歩と調和」という基本理念の内容からいえば、私は万博協会はできるだけ多くの国という中に、アジアにおける万博ですから、中国等も含めて参加することを要望したいのだ。しかし、それは万博協会としてはまだ正式態度としてきめてないのです。しかしアジアにおいて初めて開く万博としては「人類の進歩と調和」という観点からいえば、当然中国も含めたいのだという希望を表現すべきではないでしょうかね。私はそれが当然だと思う。その希望が結果的にどうなるか、それはまた政府なり国会なりの議論になりましょう。しかし万博協会長がどうも多数という中に中国を除いて考えておる。おそらくそうです。だからそれはこの基本理念の精神に沿っていないじゃないかと私は思うのです。どうなんですか。
  48. 石坂泰三

    石坂参考人 私申し上げましたことは、中共をも含めてなるべく多数の参加を私個人として望んでおります。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 これは実は逐次質問を続けていって結論のところで言いたいことだったのですが、藤山長官、上原長官も見えておりますので、これはまた一時間以上お待たせするのもどうかと思いますので、結論が先になりますがお伺いいたします。  私は質問の最後に万博日本経済ということを一ぺん考えてみたい。これが質問の一番最後であったのですが、日本経済における万博の意義を一体どう把握したらいいのか、そこで私は日本経済の将来のための準備と反省の機会にすべきじゃないか、このように考えておるわけです。一体準備とは何か、これは国産品の価値というものを高めていく、国産品というものはまず輸入の代用品といいますか、そういうところから国産品というものが出てきて国産化していく。そうしてそれを外に出していくという、いわゆる輸出振興、あるいは国際競争力に持っていく。たとえば紡績とか雑貨とか、そういうようなものが輸入代用品として国産品になり、それが大きな輸出になったという、そういうふうなこともひとつ考えなくちゃならぬではないか、それからこれを機会に世界における日本の地位と申しますか、世界経済の中の日本経済、日本経済は世界の経済の中にどのようなかっこうで組み入れるべきか、あるいはまた組み入れられるべきか、そういうことを考えていく一つのいいチャンスではなかろうか、それから日本経済の再編成といえば大げさですが、今日まで高度成長、こういうことで直接生産設備に対しましては多大の投資が行なわれました。しかしながら公共投資といいますか、社会投資の面についてはおくれておる。そこでそういうアンバランスな日本経済をノーマルな状態、いわゆるいままでの生産第一主義から社会投資という方面への日本の経済の片ちんばを直すいい機会ではないか、そういうように考えておる。さらにこの万博を新しい科学技術開発の機会にしたい、このようにも考えておるわけなんです。たとえば一八五一年のロンドン博、これはガラス張りの建築、これの技術の発展に貢献したといいます。それから一八七六年のフィラデルフィアの博覧会はタイプライター、電話機等の普及に大きな貢献をした。一八八九年のパリ博はエッフェル塔に象徴せられるように、鉄骨の高層建築技術の発展、そして自動車等の現出に大きな役割りを果たした。それからこれは万博ではないが、一九三九年のニューヨーク博覧会では、ナイロンとかプラスチックとかテープレコーダー等々の、いわゆる大消費時代を生み出す新製品が多く紹介せられた。こういうような歴史を持っておると思うのです。  そこで一九七〇年に開かれる日本万博においては、一体日本はどういう技術を開発のチャンスにするか、あるいはあとでも伺いたいと思っていましたが、政府館とかそういうものがあると思いますが、そういう中に日本の最も誇るべき技術開発としてはどんなものを考えたらいいのだろうか、こういうようなことでもいろいろありますが、考えてみたわけです。  そこでいま申しましたようなことについて、いわゆる万博日本経済をどう結びつけるか、あるいは科学技術の開発についてどう考えるか、何を目標に置くべきか、これを三木、それから藤山、上原の三大臣、それから石坂さん、ひとつ財界というのか経済界の大先輩という立場から、万博はいかなるかっこうで日本経済の中で考えていくのか、万博を機会に日本経済をどのように世界経済に組み入れていくのか、こういったことについてそれぞれの御所見をお伺いいたします。
  50. 三木武夫

    三木国務大臣 いまの田中さんの発言は全く私も同感であります。万博の機会に日本の経済、科学技術、これに対する反省と、やはり将来の発展の刺激にすべきである。万博はそれだけの意義を持っておるということでございます。そこで政府としてもこれから相談をいたすわけでありますが、政府館というものを持たなければいかぬ、科学技術館のようなもの、日本の現在の技術、これを内外に紹介するような特別の科学技術館を持ちたい。そこでここで何を重点にするかということで各方面とも検討を加えて、そして一番日本が技術開発として現在進んで、将来も発展の余地のあるようなそういうものを選びたいと思っておりますが、現在のところは、これを中心にという段階まで至っていないのでありますが、それまでに一つの中心にする題目はきめたいと思っております。
  51. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 万国博覧会が開かれますについて、日本経済が万国博覧会を中心にして一つの新しい躍進の道に進んでいくという契機といたさなければならぬことは当然でございます。そして国際的にいえば、日本の科学技術、あるいは機械生産の技術というようなものを広く知らすと同時に、日本の各種の人たちが外国の製品を見て新たに啓発を受けるということによって、その基礎に立って経済全般の新たなる動向を国民自体が見定めていくという方向にこれが運営されることが望ましいことだと思います。またこれを機会に社会資本の充実をやったらどうだという御意見でございますが、今日、日本経済におきまして、社会資本の充実がおくれておりますこと自体が、意外にひずみを起こしている一つの原因でございますから、万博を機会とすることなしにも努力してまいらなければなりませんけれども、しかし万博という機会に、さらに一そうそういう面から見まして力を入れてまいらなければならぬ。そしてそれが日本経済の円滑な運営に資していく、あるいはコスト低下に資していくというような方向に進められてまいりますことが、国土の総合開発という見地から見ましても、経済能率的な運営という上から言いましても必要だ、こう考えております。
  52. 上原正吉

    ○上原国務大臣 四十五年の万国博覧会には、科学技術庁といたしましても、間に合うか間に合わないかせとぎわでございますが、実用衛星を打ち上げようという計画があるようでございます。そういうわけで世界、ことに有色人種のアジア方面で、わが国の科学技術の振興、発達並びに産業の隆興に多大の期待を寄せておりますることは、皆さま御承知のとおりでございまするから、ここで非常な信頼と期待とを集めているわが国の科学技術をこの万国博覧会に大いに顕示いたしまして、できることなら——ぜひともできることにいたしたいのでございますが……(田中(武)委員「やると言い切りなさい」と呼ぶ)やると言い切りましょう。言うだけで終わっては困りまするが、とにかく有色人種が科学技術の世界に堂々として進軍ラッパを鳴らして黎明の鐘を鳴らす、こういう画期的な時代の黎明にいたしたい、こう考える次第でございます。そうしてできることなら、これもおしかりを受けるかもしれませんけれども、科学技術館というものをぜひ建ててくれということを、私は第一回の閣僚会議でお願いをしているところなんでございまして、りっぱな業績を世界に、ことにアジア人種に示して、日本人の職責を果たしたい、その夜明けにしたい、こう考える次第でございます。
  53. 石坂泰三

    石坂参考人 ただいま田中さんからおっしゃったことは私は全く同感でございます。何かその時代時代における博覧会が、たとえばクリスタル・パレスができてガラス工業が発達したかどうか私もよく知りませんが、そういったものを残すのがよい。それについては、皆さんからもお話がありましたが、私は今度の博覧会のねらいはエレクトロニクスじゃないかと思っております。電子関係でございます。たとえば、できるかできないか知りませんが、外国にないようなものを展示することによって日本の文化を広めると同時に、各国の人類の向上に資する。いろいろ研究し議論しておりますが、たとえば存外いま日本で発達しておるのは、われわれがこういうものに向かって日本語で話をしますと、それがすぐ英語に翻訳されて出てくるというようなことも研究しておるのです。展示するまでにいくかどうかわかりませんが、まだ外国にはあまりそれがないと聞いております。私は中心は、スペースの問題なんかもいろいろございますが、今度のは実際問題としては電子関係がおもじゃないかと思っておりますが、なお、よく研究して外国にないものを出したい、こう思っております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 それぞれの閣僚あるいは石坂参考人から聞いたのですが、まだちょっとはっきりしないのです。そういうことを成功させるためには、それの責任者といいますか、それはやはり担当大臣だと思いますが、三木さん、私の言ったことに賛成でしょう。これの成功のためにといいますか、いまそれぞれの閣僚なり石坂さんがおっしゃいましたそういうことについて、ひとつ責任者としてもう一度御決意をお伺いします。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 全体とすれば、万博は宇宙開発ということが大きな全体のテーマになると思います。そのころまでには月旅行も成功しておるでしょう。しかし日本の技術としては、宇宙開発までいきませんから、あるいは石坂さんの言われるような電子関係なども、こういうことで案外できれば——日本も宇宙開発の競争の中に入っていくだけの国力、科学技術力を持てば非常によいのですが、そうはいかない。そうなるとやはりいま言われた電子技術関係というようなものは、あるいは日本一つの新機軸を出せる面があるかもしれません。これは何らかやはり万博までに日本としてこういう世界にないようなものを一つくらい開発したいと思っております。大きく言えば、やはり万博の背景をなすものは、宇宙開発に対してのいろいろの問題が非常に進んでくるでしょうから、そのころまでにはこれが背景になる、こういうふうに考えております。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 いま上原長官から、ぜひ科学技術館を持ちたいということを閣議で一番に発言しておるということですから、藤山さんも三木大臣も、閣議でひとつ大いにそういう方面について援護してもらって、科学技術においても日本の特徴というか、日本の進歩のほどを示すような方法をとってもらいたい、こう思いますが、お二人の大臣さん、よろしいですね。答弁してもらいましょうか。
  57. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いま上原君が言われましたような科学技術館をつくって日本の科学技術をできるだけ世界に広く知らせるということは望ましいことでございますから、十分努力いたします。
  58. 石野久男

    ○石野委員 関連して。ただいま各大臣あるいは石坂参考人から非常に高邁な今度の博覧会についての構想の一端が聞けて非常にうれしいのです。そこで、やはり問題はこれを成功させるということがそれよりも以上に大事なことなんだろうと思うのです。田中君もいま成功させるための担当大臣である三木さんから決意を聞いたわけでございますが、しかし先ほどもやはり同僚議員からお尋ねしているように、成功させるということについての問題が、やはりわれわれの考え方と協会なりあるいは政府なりの考え方とまだ若干の違いがあるように思います。私たちの考えている博覧会を成功させる道というのは、すでに皆さんのほうで出しておりますように、多数の国を、そして多数の人をここへ呼び込むことが第一の成功の条件であろう、こう思うのですが、その点について御意見があるかどうかが一つ。  それから多数の国、あるいは多数の人を入れようとすると、この前の本委員会でも問題になりましたが、やはり先ほど問題になった未承認国をどういうように入れるか。特にアジアにおけるところの中国をどうするかという問題がここにもう一つ出てまいります。この問題について、やはり担当大臣ははっきりした見解を明示しませんと、成功するか不成功になるかということの分かれ道がそこできまっちゃうと思うのです。やはりそういう意味政府の態度を明確にしていただきたい。  それからもう一つ、先般の石坂参考人のおいでになったときに、田中委員からの質問に答えて、政府代表の持つ性格というものについて、とにかく政府というのは協会と違って責任を背負うものだ、こういうふうにおっしゃられたわけなんです。石坂協会長がここで言う責任という意味はどういうことをお考えになって責任と言っておられるのか、まあ運営はおれのほうでやるけれども、とにかく赤字が出たら政府が見ろよという意味の責任なのか。この万博全般としてのいま言われました構想を達成する意味における成功、不成功というこの意味なのかという、ここが非常に重要だと思います。そこで石坂協会長が言われる責任というものの内容はどういうものであるかということをここではっきりしておいていただきたい。協会長が言う責任の問題の内容に答えて、ひとつ三木大臣の責任をどうとるかということについての所見をこの際聞かしていただきたい、こういうふうに私はお尋ねしたいわけです。その点で先にひとつ石坂参考人から御所見を承って、あと三木担当大臣の御意見を承りたい。
  59. 石坂泰三

    石坂参考人 責任といいまするものは対外的と対内的にまあ大体二つに分かれやしないかと存じます。対外的にはいろいろ契約上、その他損害賠償とかいろいろな問題が起こると思いまするが、私の考えでは対外的には政府に責任があると思っております。対内的には、これもまあ種類によりますけれども、経理の上において非常に赤字が出たというような場合にやはり私はしりぬぐいは政府においてやってもらわなければ背負い手がないと考えます。したがってその責任ということはどういうことか、まあ非常に広い意味でございますけれども、主として経理上の経済上の責任について私は考えておりました。そのほかなお条約上の責任もありますが、それはまあ結局主として金銭関係上の責任じゃないかと思います。
  60. 三木武夫

    三木国務大臣 三点ばかり私にも御質問があったようですが、できるだけ多数の国々が参加してたくさんの人々が参加することが万博の成功の基礎ではないか、それはやはり一つの基礎だと思います。しかしまあどこの例をとりましても、カナダでもあれは七十五カ国くらいですか、全部というわけにはいかない。できるだけ多数の国々が参加するということも万博が成功する一つの要素であることは、お説のとおりでございます。  また中共に対しましては先ほどから申し上げておりますように、国交未回復の国——中共に限らず国交未回復の国に対する処置は、最初にはやはり国交未回復国に招請状を出すけれども、まあそういう国々についてはできるだけ多数の国に参加してもらいたいという基本方針のもとに、どうするかということは検討を加えたいということで、これ以上の答弁は本日は差し控えたい。検討は加えたいと思います。  それから第三点の政府の責任でございますが、対外的には政府が責任を持って、いろいろな問題が起こったときにはやはり政府が最終的には責任を負うべきだ。国内の問題で、まあ赤字という話が出ましたが、これは必ずしも赤字が出るとは限らないのでありまして、ブリュッセルなんかだいぶこれは黒字になったわけであります。また赤字という観念が、いろいろな施設があるのですから、その施設というものはまるまるなくなるわけでないのですから、その評価を一体どういうふうに見るか。この赤字たる概念がきわめてばく然としておるのです。残るでしょう、いろいろなものが、施設がね。そういうものの評価を一体どう見るかということによって——だからあまり赤字赤字ということで、赤字が出たらどうするというようなことは、これはまあそういう場合があればそれは何も知らぬというわけにはいきますまい、これは処理しなければならぬわけで、しかしまだやってみてどうなるかわからぬのに赤字だ赤字だといって、何かこう議論を詰めるということもいかがかと思うのですよ。そういうことで大きく政府万博に対して責任を持っておることは事実でありますが、まあ万博運営日本万博協会が中心となってもらわなければならぬ。政府は全般的に大きな責任を持っておることはこれは申すまでもない、こう考えております。
  61. 石野久男

    ○石野委員 大体責任に関しての見解よくわかりました。問題はまたあとでいろいろありましょうから、関連ですから一つだけここでお聞きしておきたいのですが、未承認国の中国問題について、私はこれをしつこくお聞きするのは、万博を成功させるために、特にアジアにおいて百年目に最初に万博をやるわけです。先ほど関係大臣からのお答えの中には有色人種の云々ということが出ておりました。だからアジアにおけるところのいわゆるアジア人がここでやる場合の成功というものには、この有色人種の万博に占める位置づけというものへの期待もまた一つあるのだと私は思っております。そうなって見ますと、アジアにおいてわれわれがやる万博への中国参加、それで世界の人口のうちの約四分の一を占める中国人というものを無視する万博は成功であるか不成功であるかということは、これはよほど、世界人というよりアジア人としてわれわれ考えねばいかぬだろう。この際責任の位置にある政府としては、日本人という立場からこの問題の責任感というものは相当深度の深いものとして考えてもらわなければいけないのじゃないか。そこで私はやはりこの際積極的な御意見をここで聞きたいけれども、これはなかなかできないのでしょうが、しかし協会としては成功させるための——ただ運用だけではこれは意味がないのだろうと思う。石坂参考人が責任問題をここへ持ち出してきているのは、赤字が出ればどうであるかこうであるかという意味でなくて、この時代に生きる財界の中心人物としての石坂さんが、この協会協会長として後世に日本万博意味を残すためにどういうことをやるかという責任感から政府に対して要請を積極的に出す意思がなかったら、われわれ期待に反するものになるだろうと思います。だから協会自身としても積極的に、政府がこうだからどうだということでなくて、こうしてほしいという積極的な意思が出なかったら、これ成功しないだろうと思うのです。同時にまた担当大臣である三木さんは、やはり閣内において、内閣の方針はどうであるかわかりませんけれども、すでに閣内の企画庁長官はやるべきであるということを明確に意思表示しておるこの段階で不明確な答弁をしておるようなことでは、本委員会がこの万博の法案を通すという意味もまた非常に希薄になってくると思うのです。われわれはここで、あとからまた若干の付帯条件などをつけながらこれを通そうとしている意味は、これを日本において成功させたい、歴史的に成功させたいという意味からでございますから、この審議の過程で皆さんの意見がそれにこたえるべきところの一つの所見として出てこなければいけないのではないかと思うのです。そういう意味で、私は中国問題について政府方針がまだきまっていないことはよくわかっていますけれども、ここで担当大臣としての三木さんがあいまいな答弁をしておるようなことであると、われわれとしてはこれはちょっと承知ができない。この際もう一ぺん中国問題について、政府の中であなたがどう対処するかというその態度の問題を明確にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  62. 三木武夫

    三木国務大臣 繰り返して申しておりますように、できるだけ多数の国々が参加するような万博にしたいものである。アジアばかりではありません。アフリカでも——そんなにアジアアジアと言ってアジアばかり考えないで、やはり進歩と調和というものは人類を基礎にして言っているのですから、アジアばかりをそんなに強調するという考えはない。人類全体の進歩と調和ですから。そういうような意味において、人類的な見地に立ちまして、この問題は真剣に取り組みたい。いまこの段階で申し上げることは適当でないが、しかしできるだけ多数の国々が参加できるような形において検討を加えたいというのが担当大臣の真意でございます。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの点については、先ほど来三木大臣はいろいろと言われておるが、腹の中はわかったような気がするので、いま言いにくい点もやり切るように、ひとつ決意というか勇気を持ってもらいたいと思います。  藤山さんと上原さん、もうけっこうです。  それから、こういうことで質問が系統立たなくなってしまったので、それならそれでやりますが、石坂さん等も何か急ぐような話もありましたので、ひとつこれも順序を変えて質問します。  この法律が通りますと、五条三項によって万博協会の役員、職員は刑法上公務員と同じに扱う、すなわち、いわゆる汚職といいますか、それだけでなく職権乱用その他あるわけですが、そういうことに対する刑法上の扱いを受けるわけなんです。そこで、これはもう言いたくはないのですが、新幹線でもそうだった。あるいはオリンピックのときもそうだった。万博だけがそうではないとは言えないと思うのです。やはり予算のむだづかい、あるいは汚職というか、そういう問題も必ず出てくるのではないか。そこで石坂会長としては、ただこの法律が通って刑法上公務員に準ずるということだけでは事足りない。そういうことを起こさないような、職員及び役員に対する監督というか規律というか、そういうことが必要だと思うのです。その辺について石坂さんはどう考えておられますか。絶対起こさないと言っても、これは起こると思うのです。起こらないようにどういう配慮をしなければいけないか、ひとつお伺いをいたします。
  64. 石坂泰三

    石坂参考人 私、この会長をお引き受けいたしますときの自分の心境といたしましては、あまり博覧会——これはどなたでも経験があるわけでもないし、こまかいことはわかりませんが、ただ何ぶんにも非常に大きな仕事でございまするから、何とかしてきれいにいきたいということは、もう私の常に念頭を去らないことで、実は就任以来もその点を幹部の者にはよく言っております。しかしながら何ぶん大きな仕事でございますし、聖人の集まりではございませんから、仕事が進めばそういうことも十分あり得ると私は存じます。したがって、公務員扱いをしてやるということは、これだけの大きな事業に対しては私は当然なことであると考えております。  それじゃどうするかということは、まだきまりませんけれども、いまのところは公認会計士を頼んであることはもちろん、なお内部において経理の監査をすることをやっておりますが、これは多少金はかかるのですけれども、内部の者でわれわれの言うことを聞く人間よりも、外部の立場において監査する制度が必要じゃないかというふうに考えておりまして、あまりこまかいのはわかりませんから、そのほうだけは一生懸命やるつもりでございます。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 新井さん、いまの問題に関連して、規律に関する規定といいますか、あるいはそういうことが起こらないことを期待するのですが、いままでの例から言えば、日本にはこういう大きなことをやると、たいてい汚職がつきものなんです。起こらないようにできるだけチェックができるような方濃について、内部規律のようなことを考えておられるのかどうか、それをひとつお伺いいたします。
  66. 新井眞一

    新井参考人 先ほど会長が申されましたように、私どもも第一番にそれを考えてやっておるつもりでございますが、いまの内部規律の点も、実際の予算の計画をつくるところ、それからこれを発注するところ、それから支払いをするところ、そういう点につきましては十分な手続をやりますように、それからなお会長のおっしゃるような外部からの監査でございますか、そういうものも十分やっていかなければならぬと思いますし、なお職員一同そういう点については厳密にやるような心がまえでやっておりますので、御期待に沿いたい、こう考えております。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 規律についての何か規定は。
  68. 新井眞一

    新井参考人 経理規程そのほかできておりますので、あれで十分やっていけるのではなかろうかと思っております。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 石坂さん、これは考え方によっていろいろあるのですが、会議を多く持つ、あるいは会議にいろいろな段階がある、協会の中にいろいろな機関がありますね。これは事を民主的に運ぶ上において必要だと思うのです。と同時に、少し会議が多過ぎたりあるいは会議倒れになるということも考えられるのではないか。そういうような点もありますので、そういうような点についてはどうです。石坂さん、民主的にやるためにはいろいろな委員会とか何かが必要だと思うのですが、しかし考えようによっては少し会議が多過ぎるのではないか。ものを一つきめるのでも、いろいろな段階がある、こう思うのですが、組織についてはどうです。
  70. 石坂泰三

    石坂参考人 ごもっともでございます。ただいまのところでは大阪に百四十人ほど人がおりますが、東京はまだ二十名に及んでいないかと存じます。しかし、いろいろのことで会議や何か東京でやる場合もございます。その点非常に不自由を感じておりまするが、いよいよ現場で具体的に仕事をするようになると、大阪のほうが人が大ぜい要りますが、計画的、管理的には、むしろ東京のほうにいま幾らか移しつつあります。と申しますることは、どうも旅費であるとか何だとか、私はなるべくむだ金を使わないように倹約にと思っておるのでございますが、ただいまのところでは幹事会という、これは会長の下に副会長というものが四人おります。そのほかこういう協会組織される前のたとえば大阪府知事であるとか、市長、会議所の会頭、東京における会議所の会頭というような方が集まって、これらをすべて常任理事にいたしております。しかしみんなお忙しい方々ですから、その常任理事会のもとに、皆さんが使っておられる片腕のような方をお願いして幹事会というのがございます。それで事務局でやりましたことで重要なことはすべて幹事会へかけまして、そして幹事会を過ぎた上で常任理事会にかけます。これまでは決議機関ではございません。常任理事会で通ったことを今度は、理事をお願いしておる方がございまするから、理事会にかけております。理事会は決議機関で、すべて実行するものは理事会の決議を経た場合にのみ実行される。これは少し多いと言えば多いのですけれども、どうもやはりそれだけの手続をとりませんと、先後になっても困りますしいたしますのですが、なるべくそういう順序をとりまして倹約をして、しこうしてなおかつスキャンダルの起こらないように、なかなかこれは容易な仕事ではございませんが、できるだけ努力をして、もし不足にしてできなければどうも骸骨を請うよりしかたがないと思っておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 私の言わんとするところは、いわゆる会議が踊るというか、会議倒れになったり、あるいは経費をむだ使いするようなことのないような範囲においてできるだけ民主的に——これはむずかしい注文だろうが、そういう言っていることはわかりますね。
  72. 石坂泰三

    石坂参考人 御期待に沿うようにいたします。
  73. 天野公義

    天野委員長 板川正吾君。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 大臣と石坂会長にちょっとこの際所見を承っておきたいと思います。それは万博が成功したかどうかということは、先ほど議論になりましたが、なかなかむずかしい問題だと思います。御承知のように、ニューヨークの世界博覧会は空前の大観客を集めたそうであります。しかしニューヨークの世界博覧会は、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙やウォールストリート・ジャーナル紙なども指摘しておりまするように、成功していない、失敗だったという声が強いのです。それはなぜかというと、アメリカの世界博覧会にはあとに残るものがない、たいへんりっぱに規模は大きくやったけれども、あとに残ったものがない、こう言っておるのです。万博が成功したかしないかという評価は、こういう説があります。ただ万国博覧会は営利事業ではなく、文化事業ですから、結果として赤字を出したかどうか、それ自体万博に対する評価をきめるものではない。博覧会の成果は、人間の思想や活動にいかにその後に影響を与えたかという見地のみから評さるべきである。万国博覧会がその後に人類に与えた思想的影響、文化的影響、科学的な影響、こういったものから評価さるべきである、こう言っておるのです。そしてもちろん収支が償うことに越したことはありませんが、万博企業経営と同一視しては、一番大切なことを見のがしていることになるだろう。万博の経営を企業経営という観点からのみ考えたのではいけない。万博をやったのが将来の歴史に影響を及ぼすような運営なり企画なりがされなくてはならない、こう言っております。これは日本経済新聞の「万国博日本」という結びにそういう主張がありますが、私はなかなか含蓄ある表現であろうと思うのです。  その中でもう一つ万博が成功するのには少なくとも五つの条件が満たされなくてはならない、こう言っております。その五つというのはどういうことかというと、第一は万博趣旨を国民全体が理解し、その開催を承認していること、要するに万博の開催について国民全体が理解するということ、第二は献身的なリーダーが必要だということ、第三は万国博を開催する強固な理由を持つこと、第四としては、その万国博が人類の知識に貢献する理念を持っており、展示品がテーマにふさわしく、かつ万国博覧会当局が展示の質的な基準を維持する勇気を持っていること、なかなか含蓄あることばであります。第五は、博覧会運営に経験のある有能な経営者と、それを助ける各分野の専門家がいること、この五つの条件が満たされないと万博が成功裏に開催されることはむずかしいということを——規模は小さかったけれども、シャトルの博覧会は非常な成功だったそうでありますが、そのときの副会長であり、兼支配人である人が体験上そういうことを言っておりますね。  私はこの五つの条件というものの中で、特に献身的リーダーが必要だということに非常に重要性を持つと思うのです。そういう意味石坂会長には、あるいは政府当局の通産大臣なりは、なかなか大事業でたいへんだろうと思いますが、ひとつ献身的に尽力をしてもらいたい。頼まれたのだから、めんどうくさければやめてもいいというような気持ちは私はないと思いますけれども、ぜひひとつ成功してくださるように期待しておりますが、大臣と石坂さんの御所見はいかがでしょう。
  75. 三木武夫

    三木国務大臣 いま板川さんが読み上げられた五項目は、私もそうだと思う。それがすべてではありますまいけれども、成功というものの評価はそういうものだと思います。幸いにも石坂会長が、実際から言えば、こういうやっかいなことは、財界におって大御所としておいでになればいいので、そんなやっかいな、いまのいろんなスキャンダルの問題なども、そういうことが一番いやだなということを最初から言われておった。そういうことで、やっかいな仕事を引き受けて非常に献身的にこれを成功さそうという御努力に対しては、私も非常に感銘を深くして、いわゆる献身的な中心人物が要るということについては、やはり人を得ているという感じがいたします。政府のほうとしても、これは石坂さんにおまかせきりというようなものではない。最終的にはやはりこれを成功さすには政府の責任にかかるものが非常に多いと思いますから、われわれとしてもこれが日本というか、人類の思想と行動とに一つの大きな影響を与える意義のある博覧会にいたしますよう最善の努力を尽くしたい決意でございます。
  76. 石坂泰三

    石坂参考人 ただいまの御注意まことにごもっともなことでございますが、実はニューヨークの博覧会のリーダーと申しまするか、やったのはモーゼスという方で、これはなかなか勢力のある方——私は面識はないのでございまするが、私が日本博覧会を引き受けたということについてたいへん丁重な手紙をよこして、自分のできることは何でもやるというような手紙をもらいまして、最近こんなに厚い資料を送ってまいりました。いま事務局でそれを検討いたしております。実は先月私はニューヨークに参りまして、モーゼス氏をたずねようと思ったのですが、ちょうど彼は国外に旅行中で会う機会はございませんでした。またモントリオールのほうの、これはコミッショナー・ゼネラルと言っておりますが、政府代表でありかつ博覧会の事務局のほうの会長でございますデュピー、この人は日本に参りましたけれども、もう来年開場に相なりますので、こちらからは最近副会長の井上五郎氏が行って親しくいろいろ——まだ報告を聞いておりませんが、もう帰ってまいりました。それから両三日中に建築家の方、きょう私が紹介状を書いたのでございます。そういうことで、事務的にはいまおっしゃったようなことはもう当然やるべきことで、詳細に事務局において研究をいたしております。私も及ばずながらお引き受けした以上は、自分の能力のある限りは微力を尽くすつもりでございますので、どうぞその点は御安心を願いたいと存じます。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 石坂参考人は時間の関係があるそうですか、もう一、二点だけお伺いをします。  これは政府がきめるのか、あるいは万博協会のほうがきめるのだと思うのですが、そのことについてお伺いします。入場料、これは千円程度だというように言われておりますが、これはどっちがきめるのです。それで幾らくらい——四年先ですから、まだ貨幣価値も変わるかもわからぬからでしょうが、たとえばモントリオール博覧会はおとなは二・五カナダドル、八百三十三円ですか、それから子供は一・二五カナダドルで四百十六円、日本はどのくらいするのか。  それから、一九五八年のブリュッセル博覧会では、国際実験映画大会だとか国際青年音楽家オーケストラ集会だとか、いろいろ催しものをやっております。またモントリオールでも、たとえば国際芸術祭といったようなものとか、いろいろな計画があるようです。それで日本でも万博に関連した催し、アトラクションといいますか、そういうことについてはどういうように考えておりますか。いわゆる催しものは一緒におやりになりますか、やるとすればどういうものをお考えておられるか。やはり日本というものを世界に知らしめるような催しものがいいのじゃないか。あるいは日本の民芸とか風俗とか、そういうものを認識せしめるような、あるいは日本の芸術を知らしめるようなものがいいと思うのですが、そういう催しもの、アトラクションについて大臣なり協会長はどういうように考えておられますか。これはどちらがきめるのか知りませんが、お二人からひとつ……。
  78. 石坂泰三

    石坂参考人 ただいま入場料のお話がございましたが、これは当然協会においてきめるものだと思います。しかしやはり政府に無断というわけにはいかないのじゃないかと思いますが、了解を得てきめる問題だと存じます。それを発売するについても、たとえばモントリオールでは回数券みたいなものを出すとか、それにある程度の賞品をつけて前売りをやるとか、いまこちらでもそのことを研究しております。  それからいまおっしゃった催しものは、これまた当然やります。これはもう博覧会の中核をなすものではないかと存じますが、これはむろん日本並びに東洋の伝統的の文化その他を紹介することはもちろんですけれども、いやしくも万国博覧会と銘を打てば、そこに行けば万国のものがわかるんだ、たとえば美術品、芸術品にしても相当なものを集めて、そこに行けば何でも見れるんだというようなことも考えております。しかしこれはたいへんな仕事でございまして、費用は持つか持たないかわかりませんが、そういう点は十分考えておるのでございます。
  79. 三木武夫

    三木国務大臣 いろいろ御相談はあると思いますけれども、いまの田中さんの御質問は、みなやはり万博協会でいろいろしてもらいたいと思う。アトラクションでも六カ月ですからね。これは日本ばかりではだめなので、外国の有名ないろいろ劇団も呼んでくることになろうと思いますので、いま協会のほうで六カ月間にわたるそういうアトラクションの計画を立てておるようでございます。こういうもののイニシアチブはやはり協会でやってもらいたいという意向でございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 入場料千円程度というのは、まだそこまでは考えてないのですか。
  81. 新井眞一

    新井参考人 御承知のように私ども協会といたしましては、もう入場料が唯一の収入でございます。そのほか今度御審議をお願い申し上げております法律案ができますれば、私どもも政府の御協力を得まして十分の収入調達をやりたいと思いますが、したがいまして非常に重要な問題でございますので、現在まだ確定はいたしておりません。ただこういう催しでございますから、なるべくたくさん入りやすいような、そういう線で考えてまいりたい、こう考えております。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは参考人けっこうです。まだいろいろ伺いたい点がありますが、またの機会にしたいと思います。
  83. 天野公義

    天野委員長 ほかに参考人に対する御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれをもって終了いたします。  参考人各位におかれましては、長時間にわたりまして御出席をいただき、まことにありがとうございました。参考人の皆さまには御退席をいただいてけっこうでございます。     —————————————
  84. 天野公義

    天野委員長 政府当局に対する質疑を続行いたします。田中武夫君。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 建設省見えておりますが、実は先ほどからおいでだったと思うのですが、この万博日本経済ということをぼくが申し上げましたところで、社会投資の問題とモニュメントの問題で建設省にお伺いしたがったのです。しかし、実は大臣をお呼びしておったのですが、大臣は見えずに参事官か何か見えられておるのですが、答弁願えますか。願えなければけっこうなのですが……。  それでは三木大臣を中心に質問を続けます。あまり触れたくはないのだが、昭和十三年七月十五日の閣議決定についてはお調べになりましたか。この前わからぬから調べるといった二千六百年のあのときのやつですよ。
  86. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘によって調べましたが、御質問の要旨は、紀元二千六百年の博覧会と今度の博覧会が違うかどうかという点と、当時の紀元二千六百年の博覧会の入場券が出ておるが、これが今回の博覧会について有効かという御質問であったと思いますが、当時の資料によりますと、確かに入場券については今後有効とするという閣議決定が行なわれております。ただ御承知のように、この文章の中には「延期後更メテ開設セラルベキ紀元二千六百年記念日本万国博覧会ノ入場ニ付有効トス」、こういうような決定となっております。そういう意味合いからいいまして、先ほど申し上げましたように紀元二千六百年の延長ではございませんので、当然この規定は適用ないもの、こう考えております。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 すっきりやろうと思ったのが、そう答えられると言いたくなるのだが、それではその当時入場券を売ったという売買行為、これは法律上どういう性格です。単なる私法上の売買行為ですか。もしそうだとするならば、今後これこれまでは有効だということを閣議で一方的にきめたことはおかしいということになる、あるいはもう何十年も前のことであって消滅時効にかかっておる、こういう意見もあると思います。消滅時効ということを言うならこれも私法上の契約だということなんです。そうすると、そのときの売り出した入場券——あのときは政府だったと思う。政府が売り出した。それを一私人が買った。それは一体法律上どういう行為になりますか。あまりそういうことはきょうは言わないつもりでおったのだが、法制局どうですかな。
  88. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいまの紀元二千六百年記念の万国博覧会の入場券は、ただいま先生政府が売り出したと仰せられましたけれども、これは政府ではないと思います。別の団体だと思います。別の団体が売り出しまして、その行為は当然一種の予約的な地位を相手方に与えておりますから、それを何ら処理していないとすれば、それに対する債権は依然として買ったほうに残っております。ただ、私、その後その団体がどうなっておるか、そういう債務について完済したか、その他の処理を実は存じませんので、はっきりいたしておりませんが、その団体がもしいますでに解散をしておりますというような場合におきましては、それが民法上の法人であれば、当然民法の規定によりまして清算をいたしたはずでございますので、債務は消滅しておる。もしそうでないならばまだ残っておるかもしれません。この点は事実問題を調査いたさなければわからないと思います。
  89. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 大体法制局の言ったとおりだと思いますが、当時も社団法人日本万国博覧会協会というのがやっております。なお、私法上の契約でございますので、その後どういうことをやったかと申し上げますと、そういうものを売り出しまして、それでその後できませんので、希望者があればお返ししますという措置はとったようでございます。ただ、それに漏れた方についてさらにこの私法上の契約があるものかないものかという問題であろうかと思いますが、今度の万国博覧会とは関係のない問題でございます。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 もうよそうと思いますが、それじゃ閣議で効力を持続さすとかどうとかきめたことはおかしくなるじゃないですか。単なる民法法人の売り出した予約である。そうなるとその効力の問題を閣議できめることがおかしい、そういうことになりますが、もうやめます、古いことだし。議論しておもしろい問題ですね、法律上。
  91. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 私のことばが足らなかったと思いますが、閣議できめましたのは延期するということをきめたわけでございます。  それから次の、二千六百年の記念の万博につき有効というのは、社団法人協会がそういうような決定をいたしたわけでございます。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 そうですか、ぼくの資料では閣議で決定したのだとなっているが、そうじゃないのだな。それならよろしい。  それじゃ自治省を片づけます。実は一番最初だったのだが、自治省が見えていなかったので、あとになったのです。簡単に申します。  現在百何十名の人が大阪府あるいは大阪市から万博協会出向しておる。この人は休職ということで行っておる。それはそれぞれの条例による休職だと思うのです。その場合、給与等はいま万博協会のほうが出しておると思うのですが、そういう取り扱いについて、地方公務員法関係あるいは条例関係等について自治省は相当な相談も受けましたかどうか。それから私は、休職には期限というもの——この期限確定期限である、あるいは不確定期限であるという場合はあるけれども、期限がつくということが一つ休職の要件といいますか条件じゃなかろうかと思います。そういう人たちに対してはどういうような期限がついておるのか、それからその共済組合の掛け金等はどうなっておるのか。この法律が通れば公務員をやめて万博職員になると思うのです。そうして、この法律によって今度復職したときには期限が継続する、こうなるのですが、その切れておる間の掛け金あるいはその退職年数の通算と共済の年数の通算とは違いますね。退職の年数には二分の一を加算するということになっておりますね。そうなった場合にはこれらの人たちは退職金の計算の年数において不利な点に立つと思いますが、そういう点についてはどうなっておるか。
  93. 内山鉄男

    内山説明員 御質問お答えする前に、地方団体の職員をほかの団体の業務に従事させる場合の方法と申しますか取り扱い方について申し上げますが、一般的に申しますと、地方公務員は地方団体の業務にだけ専念する義務があるわけでありまして、ほかの業務に従事することができないというのが原則でございますから、ごく一般的には退職をするということが大原則になっております。しかし、その業務に従事します団体なり機関なりが地方団体の事務と密接な関連を有する場合には、これは国にも例があるわけでございますけれども、いわゆる公庫・公団方式と申しまして、身分は切るけれども、公庫、公団に勤務した後に復職しました場合には退職手当なり年金なりで救済措置を講ずる、こういう方式がございます。それからいま一つは、その団体の業務が全く地方公共団体の業務そのものであるとみなされる場合は地方団体の事務に従事させるということで、全額給与を支給しながらその業務を行なわせるという場合が一方にございます。その中間の方法として、密接な関連を有し、かつその団体に対して特別の援助なり配慮をすることが必要である団体については、期間を定めて暫定的に休職で従事させる。この三通りの方法があるわけでございます。この中で一番最初に申しました一般論は、今回の件では職員についてあまり酷でございますし、また府・市と万国博協会との関係から申しましても適当ではございませんので、結局、いま四つ申し上げたのですが、そのうちの三つの方法のいずれかをとるということになるわけであります。その中の二番目に申しました、団体の事務に従事させているのだから全額給与を支給する、もちろん退手も年金も完全に通算をするという方式をとることは、万国博協会というものはやはり別の団体でございますし、万国博協会の行なっております事務を大阪府や市の事務そのものとみなすことはやはり困難かと思うわけでございますので、これをとることはできないわけであります。したがって、残されている方法は公庫・公団方式か、休職方式か、この二つになるわけでありますが、公庫・公団方式は国の場合もかなり限定的にやっておりますし、私ども地方団体を指導する場合におきましても、国に例のある場合に限ってこの方式をとるようにというかなり限定的な指導をしておりまして、私どものほうに大阪府や市から相談があった段階では、今度の法律のような規定がどこにもなかったわけであります。したがって、休職という手段をとる以外に方法がなかった、こういうような経緯で休職という扱いをしたわけでございます。  そこで、この給与の負担の問題でございますが、最初に申し上げましたように、地方団体の職員は地方団体の業務に従事することによって給与を受けるわけでありますので、休職の場合には原則的には給与がないというたてまえをとっております。ただ病気休職とかあるいは刑事休職、これは分限休職といっておりますけれども、こういう場合に、全く給与を支給しないというのは職員の生活保障の面で欠けるところがありますので、一定の範囲内で一定の期間給与を支給するということがありますし、それからまた、たとえばそれ以外の場合にもごく限定的に給与を支給する場合があります。原則論としては地方団体の業務をやっておらないのでありますから、地方団体の給与を支給するということはできないというたてまえをとっております。したがって、この場合万国博協会の事務に従事している限りでは万国博協会のほうで給与を負担するということが当然かというふうに思っております。  それからこの期限の点につきましては、先生のおっしゃるとおり休職については一般的に期限があるわけでございまして、府・市の条例を見ましても、この場合、三年以内で任命権者の必要と認めた期間というふうに規定されておりますから、おそらく何年間というふうな期限をつけて休職辞令を出しているものというふうに私ども考えております。  それから共済の掛け金の関係でございますが、今度の法律の規定によりまして復帰希望職員の取り扱いを受けたい職員は共済の掛け金を負担するわけでございます。(田中(武)委員「使用者負担ですね」と呼ぶ)使用者の負担は万国博協会が負担する、こういうことになります。この負担した掛け金がかりに団体の職員のままで退職をするということによって不利になるかならないかという点につきましては、あとで調整措置がございます。  それから退職手当の通算について、休職の場合は二分の一の控除があるから不利になるのではないかという点でございますけれども、これは一般的には休職の場合は二分の一控除をするという原則をとっておりますけれども、大阪府の場合は、この場合二分の一の控除をしないような条例の規定になっているようでございます。それから市のほうも規定が必ずしも明確でございませんけれども、市長の定める場合には二分の一の減額をしなくてもいいというような運用ができるような条例の規定になっているようでございます。こういう取り扱い方がいいかどうかについては、一応国家公務員については完全に二分の一の控除をいたしておりますから、その均衡上は若干の問題がありますけれども、たとえば先ほど申しました事務従事ということと休職とのつり合いの問題もありますし、この事務従事というのは東京オリンピックの際に東京都の採用した方式でありますが、そういうこととの均衡等から、万博協会と府・市との関連の密接度から特別にそういう条例の規定を置いたのではないかと思っておりますが、その限りで大阪府・市においてはこの問題は解決いたしておりますが、ほかの県等で休職をする場合に二分の一控除ということになるとすれば、確かにそのまま在職していた場合に比べますと、若干の不利は免れませんけれども、この点は退職時の給与の調整その他で総合的に運用が行なわれるものというふうに考えております。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題でもっと掘り下げて伺いたかったのですが、この程度にします。現実にどういう辞令が出たのか、それも一ぺん見たかったのです。それからいまの二分の一の問題について特別な配慮がなされておるというが、府の分限条例を見てもそういうのがないのですがね。まあその点はよろしい。あとでいまあなたが説明したことの裏づけになるようなそういうものの資料を下さい。  それからどういう辞令が出たのか、いま知らぬということですが、一ぺん調べてください。どういうことで休職を命ず、それから期限はどういうふうになっておるのか、そういうことでこの問題はもうこの程度にしておきます。そこで次に大蔵省まだおられますか——それじゃよその部門を片づけましょう。  大臣、今後万博をやっていく上においてこの法律だけでなく税法上の法律なんかも出るだろうと思うのです。それには関税の改正も考えられる。それから租税特別措置法による出品者についての免税措置等も考えられると思うのです。そういうものをいまどう考えておるかということについては、まあそれは国際条約で定まっておる免税についてはこれはいいとして、これはまだ十分答弁できないだろうと思うが、昨日ですか、大阪のほうでそれに似たような発言もしておられるわけです。そこで一体税法上どういうふうなことが今後考えられるか、これは大蔵省の主税局長ですね。私は税金の問題を聞くつもりだったのですが、租税特別措置法ではどういうことを考えられるか、それからここでもう一つ言っておきたいことは、この法律に賛成をする、そうして成立をした後にいろいろこれに基づく——これに基づくというよりか万博関係の法案が出てくる。いまの租税特別措置法なんかがそうだろうと思う。ただここで私はっきりしておきたいことは、これに賛成をしたからといって、自後の法案に必ずしも無条件で賛成でないということ。そこでひとつどういう税法上のことが考えられるのか、これは大蔵省に聞くつもりだったのですが、そういうことですから大臣にお聞きします。
  95. 三木武夫

    三木国務大臣 いま関税も少しはあるようですけれども、これはいま急がない。ただ早く結論を出さなければならぬのは、出品者に対しての企業の積み立て金制度ですね。これについては積み立てるのですから、あんまりまぎわになってやれば積み立ての期間がないですから、この問題は来年度の予算編成ともにらみ合わして結論を出したい。だから次にもし出す法律があるとするならば、出品者に対する出品積み立て金制度と、これに対する税制上の特別措置法ですね。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 それからこの万博開催のための費用調達のために、この法律でもいろいろ専売公社関係のタバコだとか、あるいは寄付金つきの郵便はがきですか、そういうようなものがありますが、その一つとして競輪あるいは競馬、オートレース、こういったいわゆる公営ギャンブルからの益金といいますか、こういうのをどの程度考えておるのか、そしてこのための、いわゆる万博のための特別な競輪なり競馬等々をやるお考えですか。
  97. 三木武夫

    三木国務大臣 この万博のために特別の競馬、競輪をやる考えはない。ただその中から競輪などに対しては万博に対する寄与をしてもらう場合はある。しかし万博のための競馬、競輪は現在考えてはおりません。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ一般的な競輪の益金から万博のための金を出そう、こういう考えはあるのですか。それはどのくらいを考えておられますか。
  99. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 本年度も約二億ばかり、万博を国民に理解していただくという意味の費用としていただいておるわけでございますが、特別、競輪は先ほど大臣が答弁したようにいたしませんが、御承知のように、競輪関係では、公のものについて、たとえば社会福祉とかあるいはスポーツというように金が出せるということになっておりますので、その程度の、全体のバランスをにらみましてしかるべき金はぜひお願いしたい。大体年間二億程度、こういうふうに考えております。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 重工業局長、益金の配分、いろいろ目的がありますね。そのうちのどれを適用して出すのですか。
  101. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの御質問でございますが、自転車競技法の第十二条の十七に規定されております「体育事業その他の公益の増進を目的とする」ということで、「公益の増進を目的とする事業」という項目で支出をいたすことにいたしております。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 議論はありますが、その辺にしましよう。  それから、これは大臣じゃないといかぬだろうが、熊谷さん、この会場への交通の問題なんですが、入場者は一番最高のときは一日大体四十万とか三十九万とか考えておられるわけですね。それは一体何で運ぶのか。そこで、千里ニュータウンが近くまでできておる。そこで、阪急と地下鉄が乗り入れを計画しておるのですが、そこから会場まで約二キロあります。それを延長さすとしても何か三十億も金が要るそうですね。ところが、そういうことが地元ではぽんぽんと打ち上げられて、そしてたとえばこの問題になると運輸省の認可が必要だ。こういうような中央の担当官庁との間に無関係に地元のほうでどんどん打ち上げられておるというかっこうがあります。これは大臣に聞いたほうがいいと思うのですが、きのう、大臣が大阪へ行ったのを機会に、地元の万博関連事業地方協議会というのが発足したようですが、その中には中央官庁の出先もそこに入ると思うので、今後はそこでやるならば中央との連絡もとれるのだと思うのですが、そういうような点いままでどう考えておったのか、今後どうするのか、それから交通の問題ですね、どう考えておられますか。
  103. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先般も御説明いたしましたように、現在協会で、まだ素案の段階を出ないのですが、第二次的な会場計画案というのを現在議論中でございます。そういう過程におきまして、協会のほうでは御指摘のように、たくさんの人間が集まりますので、それをできるだけスムーズにはかしたいという意味で、いろいろな計画が出てまいっております。ただ、これは今後まだ十分練らないといけない計画でございますし、御指摘のように、関連公共事業あるいは運輸省との関係、いろいろな問題があるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、これまたお話がありましたように、地方協議会というのをつくりまして、そこで今後はそういう計画もある程度調整する。さらに関連の公共事業についても調整するということになるわけでございます。その中には出先のそれぞれの分野の担当の機関が入っておりますので、その意味は、中央と連絡をとりながら最終的にはまとめていこう、こういう趣旨でございますので、多少いままでそういう意味合いにおきまして何かぽっぽと計画が出まして、いかにもそれが進むのだというような感じを与えたことは申しわけないと思いますが、今後はそういう形でなくて、かっちりした計画を方々の知恵を集めて出す、かように考えております。  なお、内容的にどうしたらいいかという問題でございますが、これは協会内でもいろいろな案があります。いまの地下鉄とか私鉄を乗り入れるとしますと、やはり相当の助成が要ると思います。特にその場合は起債ワクというような問題も出てまいるわけでございます。したがって、そういう方法でいくか、あるいは、もう少し入り口を別な面につけて人がはけるようにするか、いろいろな考え方があるわけでございます。今度の問題として十分研究してまいりたい、こういう段階に相なっております。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 いままでそういうことで、必ずしも十分じゃなかったと思います。今後そういう機関ができればうまくいくと思いますが、その辺のところをうまくやってもらわぬと、地元ではかってなことを言う。ところが、それが中央の各官庁につながる問題については、一方の意見を聞かずにぽんぽん打ち上げて悦に入っているということがあるので、そういうことがないようにしてもらいたい。  それから、敷地の問題ですが、これは大阪府が買収をして協会へ提供するというかっこうをとっているようですが、この敷地の買収といいますか敷地の確保についてはどの程度進んでおるか。  それから、これは毎日新聞だと思いましたが、この万博を機会に「緑のニッポン全国運動」とかいうことで、敷地に全国からの木を集める、こういう計画もあり、通産大臣も大いにこれを推奨しておられる。そうすると、その木を植えるということが最初よりか敷地を大きくする必要があるのじゃないか、そういうことも考えられるのですが、そういうことについてどう考えておられるのか。  さらに、いよいよ話がうまくいかないときには土地収用法等を適用するということになろうと思いますが、そんなことがあるのかないのか。  それから、敷地買収には何か百六十億円も要るそう——もっと要るかもわからない。その利子だけでも五年間に八十億とか九十億とかいわれておる。その利子補給について地元では、何か政府に考えてもらいたいというような意見もあるようだが、そういう敷地問題についていまどの程度進み、どう考えておるのか。  それから、緑の日本全国運動の木を植えるための敷地というようなものは新たに考える必要があるんじゃないかと思うのですが、そういう点について、どうなっておりますか。
  105. 瀬谷徹

    瀬谷説明員 第一の用地買収の問題でございますが、現在のところ、大口を除きまして九八%程度まで完成しているそうでございます。  なお、用地買収について土地収用法の問題でございますが、土地収用法は万博会議場そのものについては収用の対象にならないし、また、これによってやるつもりはないというふうに考えております。  それから、献木の問題に関連いたしました緑地の問題でございますが、万博会場で、ただいま会場計画で考えております展示場の面積がほぼ六十万坪程度でございまして、周辺に……。(田中(武)委員「坪で言ったら計量法違反だぞ」と呼ぶ)失礼いたしました。百九十万平方メートル程度でございますので、その余地は十分あると思います。  それから資金の百六十億の起債の問題でございますが、これにつきましては、大阪府から中央のほうに利子補給の問題を陳情しております。われわれのほうでもできるだけ応援したいと思っております。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 先日の大阪府議会で万博の用地買収予算などを含んだ予算が流れていますね。これはどうするのです。これは大阪府の問題だろうと思うのですが、これはまあもう一度臨時府会でも開けばということだろうと思うのですが、いまあなたが答弁した土地買収との関係において予算委員会が流会になった、そういうことはどうです。
  107. 瀬谷徹

    瀬谷説明員 再度この問題について二十日から府会がまた開かれまして、そこで討議されるということになっております。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣中座の間に土地買収、敷地買収の問題についていま政府委員から聞いたわけなんですが、そこでこれは百六十億円要るそうなんですね。もっと要るかもわからない。そこでこの起債の申請及び利子補給——五年間に八十億とか九十億とかいわれておるのですが、そういう問題については一応政府委員から聞きましたが、大臣この敷地の確保ということについてどう考えておられますか。
  109. 三木武夫

    三木国務大臣 田中さん御存じのように、きのう大阪に行ったんですよ。行って、関連の公共事業というものが心配になりまして、これが来年度の予算からいえば三カ年ですから、相当計画的にやらないと間に合わないので、それで地方の、関係府県の協議会をつくったわけです。そのときに土地の問題を大阪の府知事とも話してみたら、九三%とか言っていましたが、もう解決した。これはもうあとも解決する予定である。利子補給の話も出ましたけれども、これはまあ少し研究さしてもらいたいということで、政府の結論は出てないのです。そういう希望を持っておるようであります。それだからまだこちらのほうも研究してみたいという段階で、いまお答えするような段階には至っておりません。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで当然政府館というのを置くと思うのです。その政府館についてはどういうテーマを考えておられますか。これは聞くところによると、日本とか、日本人とかいう話も出ておるようですが、まだ決定に至っていないかもわかりませんが、政府館はどういうかっこうで、どういうテーマでどうあるべきだということをお考えになりますか。
  111. 三木武夫

    三木国務大臣 これは近く関係のある省の出品関係の協議会を開こうと思っております。各省の意見も聞きたい。しかし政府館の中で、ここの委員会でお約束をしたものが幾つかありますね。たとえば中小企業館、これは政府がやりましょうというお約束をしてありますから。そのほか農業とか青少年とか、そういう一連の日本でやはり紹介したいという、それは政府が施設をしないと独力ではできないようなものもございましょうが、政府館の中にどういうものを一体展示してその重点はどこに置くかというのは、これからひとつ協議会を開いて各省庁の意見も聞きたいと考えておる段階でございます。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 これはきのう大阪でちょっと触れられておったようですが、万博の所要経費の地元と国の負担割合、こういうようなことで発言をしておられたようですが、四十二年度の予算編成の過程で明確にする、こういうことですが、大体その比率はどうあるべきか、あるいはどう考えておられるか。
  113. 三木武夫

    三木国務大臣 これはちょっと、私のほうで腹づもりはあるのですけれども、これは予算折衝の問題の中心に触れるものですから、私の個人的な腹づもりを申し上げるのはちょっと適当でないと思うが、しかし毎年この問題で大阪府とか大阪市と政府との間にいろんな——もっと負担してくれ、あるいは地元でもっとしろとかいう、そういうふうなトラブルが起こらないように明確にしておいたほうがいいという、私の意見です。そして割合をきめまして、そのほうが地元のほうとしても予定がつきますし、政府のほうとしてもこれは予定がつきますので、そうしたいと思いますが、割合の腹づもりはちょっとこの場合ではごかんべん願いたいと思います。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、先ほどもちょっと話が出ておりましたが、かりに赤字が出たときのしりぬぐいについての負担というか、そういうことも同じ答弁ですか。
  115. 三木武夫

    三木国務大臣 モントリオールでは赤字の場合のことを書いてあるようですが、私は先ほども申したように赤字というものの概念というのは非常にやっかいだと思いますよ。いろいろなものが残るのですからね、実際問題として。そういうことで場合によったら赤字の問題は出たとこ勝負でもいいのではないかというような感じを、率直に私はいま持っているんですよ。出るときまったものでもないから、そういう場合にこれはどうせ処理しなければならぬわけですから、そのときでもいいんではないか。しかし会場の費用の政府と地方公共団体の負担区分のときに、この問題も検討はいたしてみたいと思っております。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 質問が何か飛び飛びになりますが、なるべく早く片づけようと思うのでそうなっておるのです。万博向けに各企業いろんな万博対策委員会というようなものを持っていますね。たとえば建築関係でいえば大林組は日本万国博覧会対策委員会、鹿島建設では万国博工事入手対策委員会、これは仕事をとろうということの対策のようです。あるいは鉄鋼で見ると、八幡では八幡グループの万博対策協議会、あるいは富士鉄は富士鉄グループで持っておる。日本鋼管あるいは神戸製鋼、あらゆる業種あるいは商社に至るまで、いろんな万博対策とか協議会というのを各企業ごとに持っておる。これはもちろん企業企業ベースの上に立ってやることはかまわぬといえばそうなんですが、これは少しコントロールの必要はないかと思うのですがね。たとえば産業別とか業種別にそういうような委員会を持たすとかそういうようなことはどうです。これを見てみますと、あらゆる大手企業全部が持って、それがおのおの思い思いに企業という上に立って、これはいろいろの考え方、端的に言えばもうけろということだと思うのです。そういうのをたくさん持っておるようですが、これはどうですか。少しコントロールする必要はないのですか。
  117. 三木武夫

    三木国務大臣 どうもコントロールというのは、あまり行き過ぎますと民間の創意というものを殺すようになりますので、経済団体がありますから、そういう団体ともいろいろ話をして、できるだけ整とんされた形でいくことが必要だと思います。しかし、グループ別とか業種別とか、業態によっていろいろ形が違うと思うのです。そういうことで、あまり規則ずくめみたいなことにはできないけれども、できるだけ秩序のある出品の計画を立てるようなことは、各種経済団体の協力を得て、そういう指導を行ないたいと思います。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 まあそういうことだと思うのですが、何かこれを見ておると、この中には仕事をとるための対策委員会というのもたくさんあるようなんです。そういうのを、何か業種あるいは産業別あたりで一つのやはり対策協議会とか委員会というようなものを持って、もちろん規則とか法律とかではなしに、私は行政指導の行き過ぎをいつも言っていますが、ある程度やはり必要ではないか、こう思うわけなんです。
  119. 三木武夫

    三木国務大臣 それは程度問題ですけれども、しかしまあ田中さんの言われる気持ちはわかりますから、できるだけみなが統制のとれたような形で出品ができますような指導はいたしたいと思います。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣中座のときにちょっと政府委員に聞いたのですが、ちょっと敷地問題に関連して。  毎日新聞の提唱で、万博を記念して、「緑のニッポン全国運動」ちょうど明治神宮のように、各地からのあらゆる木を植えようじゃないか。それで三木さんも「平和な国土へ」という見出しでこれに賛成の意見を述べておられるわけなんです。それといままでの敷地計画と、どうなんですか。もっとふやさなければならないのではないかと思うのですが、そのような点。
  121. 三木武夫

    三木国務大臣 私は個人的見解として、日本には森林がなさ過ぎると思っておる。外国ではたくさんの森があってうらやましいです。パリなんかでも、ちょっと郊外へ出ればたくさんの緑の森がある。何というか、こういう樹木、緑、これは案外大きな意味を人間生活には持っている。やはりもっと森林公園のようなものがふえなければいかぬ。東京などにほとんどないですからね。だから万博あともそういう各府県から木を寄付するというような方法もいいでしょうが、ひとつ森林公園、これはやはり持つべきである。その森林公園というものを背景にして、美術館とかいろいろな文化的な施設をするという考え方を一つのアイデアとして生かしたい。私個人の意見としては、大都会にはもっとそういうものがあってほしい。やがてまた都会に人口が多くなってきて、森のない都会はさびしいですよ。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 もうそろそろ結論に入っていきたいと思うのですが、はっきり言いまして、われわれはこの法案には原則的には賛成であります。しかしどうも割り切れない点があるわけなんです。と申しますのは、たとえば財政法において、債務負担行為は国会の承認事項になっておるわけです。これはわかった範囲のものなんですね。これも国会の承認なんです。ところが今後四年ないし五年にわたって多大の出費、国費を出さねばならぬことが予想せられる。言うならば、債務負担行為だと思うのですね。こういうのがまだはっきりと出ていないわけなんです。それが財政法からいってわかった。このことについて幾らということでも、債務負担行為は国会承認である。ところが今後どのくらい出るかもわからぬというようなことに対して、直ちに双手をあげて賛成できかねるということが一つあります。  それからもう一つは、これは財政法の十七条二項の規定でも明らかなように、各省庁の大臣は、予算編成にあたって来年度の見積もりを大蔵大臣に提出しなければならぬ、こうなっておる。たとえば四十二年度については、もうそろそろその見積もりを立てねばならぬ時期だと思うのです。それでは一体、これは通産省予算として出るのかどうか知りませんが、担当大臣とすれば、財政法十七条二項による見積もりというものも持っておられていいのではないか。それがまだはっきり出ていない。さらに先ほどちょっと触れましたが、この法律に賛成しあるいはこの万博を聞くということに基本的に賛成することによって、今後出てくる万博関係のすべてに、何だかものが言いにくいということになっては困る。あくまでもわれわれは国民の側から国費を出していくという上に立って監視する立場をとりたい。そういう点からまだいろいろ突きたい点があるのですが、きのうからだいぶ国会の内部の情勢も変わったようですし、私の質問も一週間ぐらい続けると宣言したのですが、この辺で終えたいのですが、どうもその点財政法等の関係等々におきまして、何か割り切れぬものが残りはしませんか。三木大臣どうですか。
  123. 三木武夫

    三木国務大臣 この万博法律が通りましても、そのことでいろいろ発言を御遠慮される田中さんでもないでしょうから、そういうふうな御心配は要らないのではないでしょうか。田中さんにしても板川さんにしても、これに賛成したから口を封ぜられたというようなお方だとは思いません。そういう点ではあまり御心配はないのじゃないでしょうか。これは予算として出てきますから、御審議を願わなければならぬので、この法案に賛成しても予算に反対という場合もあるでしょうし、そういう御配慮は御無用に願って、この場合は割り切って、万博を開くということには御賛成でありますから割り切っていただいて、あとはいろいろ賛否の自由を留保されてけっこうではないか。それが国会本来の姿ではないか。あまり取り越し苦労をなさらなくてもいいのではないかと思います。
  124. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん言われるまでもなく、そう考えておりますが、どうも財政法からいったって割り切れぬところが残ります。あるいは前から申し上げておるように、一九七〇年という年を考えた場合に、何だかそこにまだはっきりと割り切れないものがあります。しかしながら原則としてわれわれは反対ではない。しかし今後いろいろなことについての、これは特別委員会等も設けられるかもしれません。そのつどそのときにあたって意見を述べあるいは態度はそのつどにきめていくということで、きょうはこの程度で私の質問を終わります。
  125. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。  本案についての質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、本案についての質疑は終局いたしました。  次会は明二十二日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会