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駒村参考人 日本貿易振興会理事長の
駒村資正でございます。
先ほど来だんだんと御要求のことがございましたが、私らは終戦後ブリュッセルなり
ニューヨークなりまた来年のモントリオールなりの
博覧会につきましていろいろ
政府の御
指名によりましてお手伝いを申し上げてまいりました経験上、
博覧会に関連いたしますことで非常に重要であるということを少しく申し述べまして、御参考に供したいと存じます。
まず
博覧会が成功するかどうかということは、より多くの国からいろいろのものを出してもらう、集まってもらうということが一つ、なおその
会場そのものがテーマに即応してうまく経営されていくということ、それから次にはより多くの人を誘致すること、この三つであろうと思うのでありますが、大体どれだけの人が集まったかということがその
博覧会が成功したとか失敗したとかいうような一つの標準にもなりますし、また
あとに残すいろいろな
記念物というようなものも、ある
意味において、テーマに関連いたしまして一つの
記念物となって非常に有意義なものとなると私は思うのでありますが、いずれにいたしましても一八五一年ロンドンで
博覧会が開かれまして以来、
博覧会自体であまりペイした
博覧会はごく少ないのでありまして、りょうりょうたるものでありまして、大体大小ともみな赤字を計上しておるわけでございます。
が、その点におきまして、
財政の問題につきましては、もうすでに各位からいろいろと説明なり懇請がございましたので、省略させていただきますが、ただ最近のカナダにおきまするやり方は、
政府が諸費用の五〇%、それから州が三七%半持つ、それからモントリオールの市が残りの一二%半を持って、大小問わずこの比率でもってカバーしていくというふうになっております。昨年、一昨年の
ニューヨークには非常な赤字が残って、現在非常に困っておられるようでありますが、これは債券を発行しておられますので、債券の購入者が予想した利益を得られなかった、換言すれば損をしたということでおさまっておるようなわけでございます。大体において非常に
財政的に好都合にいった
博覧会は少ないようでございます。
次に、
運営の面でございますが、一番必要なのは語学でありまして、ブリュッセルではフランス語、
ニューヨークはもちろん英語、今度モントリオールででも英語並びにフランス語というふうに、大体欧米諸国で平常使われている、また非常にファミリアなことばでやっていけたのでございますが、
わが国ではまだ
日本語ですべてを通すということができませんと思われますので、やはりこの
博覧会ができます前に何とかして各種のことばを十分研修しておいて
準備をせなければ、いろいろな面で非常な不便が生じてまいります。特に今回は
アジアの地域であり、
アジアで初めてのことでありますので、私といたしましては東南
アジアの諸国の土語と申しますか、
各国のことば、英米仏のような先進国のことばではないことばを十分それまでに研修して、これがやがて来たるべき
わが国にも経済
援助あるいは技術提携その他の
方面に大きに役立つ基盤になるのでございますので、ぜひこの
方面に力を注いで、これらの
経費その他の分をまかなっていけるようにひとつ御考慮していただきたいと存じております。
立地的にはなかなかヨーロッパのように
各国と非常に近い距離で交通できるところではございませず、非常に不便なところである。したがって、
外国からの客を多く誘致するということが非常にむずかしい仕事であると私は思っております。来年のモントリオールにおきましても、三千万の入場者を予定して、そのうち五割七分を
アメリカに依存しておって、
国内では四割一分五厘ですか、その他の諸国一般に対しては
あとわずか一分五厘だけの客しか
期待しておらないというふうなことでございますので、たくさんの人をヨーロッパ
方面から、西欧諸国からもたらすことの非常にむずかしい点もあることをひとつ銘記していただきたいと存じます。
が、それにつけても、もうすでにブリュッセルでは、この
博覧会の期間中に国際
会議を
計画的に約三百回ほど開いております。延べ人員が十五万人ほど集まっておる。日数からいたしますと千二百日ほどの日をその会合に使っておるのでございます。これはもうすでにブリュッセルが十年ほど前から、一九五八年までの間にいろいろと
計画して、
博覧会中に国際
会議を開けるように、全国をあげていろいろな
計画を立てた結果でございまするが、
わが国といたしましてもそういうふうなことはぜひひとつ国をあげて御
計画願って、人が一人でも多く集まるようにこの
機会を
利用していきたいと思っております。それにつきましても、宿泊所の、つまりホテルの問題もございますので、これも
地元においては非常にいろいろとくふうをしていただいているはずでございますが、これらの点におきましても、
政府におかれましても十分御考慮願いたいと存じております。
なお、
博覧会が近づきますにつれて物資の高騰並びに労力といいますかレーバーのアンバランスが起ってまいるのでありまして、
各国がいろいろと
博覧会場で設営いたしまする建物その他におきましても、それに類するレーバーが必要になってまいりますので、そういう一時に集まってくる需要のために、地域的にもあるいは業種的にも非常にレーバーの賃金が高くなるというなこともございます。
もう一つ考えておかなければならないことは、一九七〇年の三月十五日から発足いたしまする
わが国の
万国博覧会は、日がきまっておりますので、その前後に万一何かの都合で、そういうふうな環境といたしましては、レーバーのアンバランスとか、あるいは物価の騰貴とか、いろいろなものがございますが、ストライキでも起りますと、これはもうすべて
計画の上に非常な手違いを起こすと同時に、国際信用にも大きく影響いたすと思いますので、この点何とかお互いに防止できますようにひとつぜひ御
高配願いたいと思うのであります。日がきまっておるということが一つの非常な弱みでございまして、それに間に合わないようなことになってまいりますと非常に大きな手違いが起こってまいりますので、ぜひこの点を御考慮願いまして、何とか諸般の
準備と言いますか、手回しのできますように、ひとつぜひお考えおき願いたいと思うのであります。モントリオールでも、すでにそういう問題が起こっておりまして、
博覧会場内でのストライキは協約によってやらないことになっておりますが、その他の場外におきましては、いろいろなことが——いま船積みのために、非常にわれわれ自体も困っておるようなことがございますので、ぜひひとつ
お願いいたします。
なお
最初申しました
各国の
博覧会への誘致のことにつきましても、
博覧会御当局においては非常に
努力していただいておるのでございますが、
政府におかれましても、
各国が
参加し、また出品しやすいような、あらゆる
方面における事柄に対してスムーズに行き得ますように、法制の上でもあるいは手続の上でもお取り計らい願うことができれば非常にしあわせだと思っております。どうぞよろしく。