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1966-04-13 第51回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十三日(水曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    海部 俊樹君       神田  博君    黒金 泰美君       佐々木秀世君    田中 六助君       三原 朝雄君    石野 久男君       沢田 政治君    島口重次郎君       田原 春次君    麻生 良方君       栗山 礼行君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四八号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため不在でありますので、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。沢田政治君。
  3. 沢田政治

    沢田委員 この間に引き続きまして、若干の質問が残っておりますので、数点にわたって質問したいと思います。  まず最初は、この金属鉱物探鉱促進事業団法、この目的規定がきわめて明確じゃないじゃないか。しかも今日の事業団事業分野といいますか作業分野といいますか、そういう分野とは非常に離れておるのじゃないか、こういう印象を持っておるわけでございます。たとえば金属鉱物探鉱促進事業団法目的規定におきまして、この文面をすなおに読むと、探鉱融資をする、金を貸すというのがこの目的であって、自主探鉱するということは、等という文字からしか解釈できないわけです。したがってすなおにこの目的規定を変える必要があるのではないか、こういうように考えておるわけです。もともとこの金属鉱物探鉱促進事業団法は、やはり国際競争にうちかち、合理化をする。そうして安定供給をする、こういうことでありますので、そのねらいはやはり合理化国際競争にうちかつ、こういう点が大前提になっておるし、目的でなければならぬと思うわけです。したがって、ただ単に探鉱融資をするということだけでは目的が達成できないわけです。何といっても安定的な供給をするということになると、品位の飛躍的な向上ということは当然考えられるわけです。したがって、やはり事業団の主たる目的融資をするということではあるけれども、私はこれは従だと思うのです。したがって合理化手段としては、何といっても新しい鉱源を発見する事業団自主探鉱というのが中心目標でなければならぬというように考えておるわけでございます。そういう意味でこれを変える意思がないか、検討する意思があるかないか、こういう点をまず第一点としてお伺いしたいと思うのです。
  4. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘のありました金属鉱物探鉱促進事業団法目的におきまして、「資金の貸付け等」ということばの中におきまして広域調査ないしは精密調査受託業務といったものができるという解釈で今日まできておるわけでございまして、ただいまのところ法的な安定性を保つ見地から、特にこれを修正する必要はないと考えております。
  5. 沢田政治

    沢田委員 法律において当初に定めた目的規定をくるくる変えることは立法的な技術といいますか、法制的な技術という面からいって議論がある、こういうことは私も聞いております。しかし私は立法技術とか、そういうものもあることながら、やはり実態にそぐわぬような目的を掲げておることは、将来の事業団発展阻害になるのじゃないかと思うのです。これをすなおに見るならば、何といっても自主探鉱をやるということはずっと従になっておるわけです。「等」という文字でわずかに解釈できる程度なわけです。ところが昭和三十七年の国会決議あるいはその後の法制定の際にも当委員会議論されたのは、やはり何といっても自主探鉱しなければならぬ、こういう点が非常に議論されておるわけです。法律制定の際の議論の焦点はそこに集中されておるわけです。そしてまた現実の実態もやはり事業団自主探鉱するという方向にどんどん踏み切ってやっておるわけです。そういうことだから、そういう立法技術とかいう問題はあるかもわからぬけれども、やはりぼくはこの目的規定を変えることを検討すべき段階じゃないかと思うのだけれども、どうですか。重ねてお聞きします。
  6. 両角良彦

    両角政府委員 金属鉱物探鉱促進事業団の従来の歴史的な経緯からいたしまして、御指摘のような法律目的を掲げておるわけでございまするが、その実態につきましては漸次これを拡充強化してまいりまして、広域調査その他の調査業務もみずから行なえるというたてまえに法律上もなってまいっておりますが、目的につきましては、法律性質そのものから見まして、特にこれをあらためて修正する必要性はないということに考えております。
  7. 沢田政治

    沢田委員 私こういうことを重ねてお聞きする前提としては、やはり金属鉱物探鉱促進事業団事業分野をまだまだ飛躍向上せしめたい、こういう前提を私自身は持っておるわけです。そういうことだから重ねてお聞きするわけです。たとえばいま事業団では、主としてすでに設定された他人の鉱区探鉱しておるわけです。これは頼まれて探鉱しているのじゃなくて、一つの政策の一環として有望地区有望地層探鉱をしているわけですが、私のお聞きする前提としては、将来事業団そのもの鉱区を設定してどんどん自主探鉱を拡大していく、そういう方向発展強化すべきじゃないかという前提を持っているわけです。したがって目的規定が主として金融する機関であるということになると、その目的規定からしても、事業団がみずから鉱区を設定してやるということは非常に阻害になってくると思うわけです。したがってこの目的規定から、事業団事業分野というものは非常に制限されてくるのじゃないかというように考える。ぼくはここで即答を求めておるわけじゃありませんが、そういう意味から、やはり結果はどうあろうとも、検討すべきじゃないかと考えておるわけです。そういう意欲というものをここで断念する必要はないじゃないか。やはり検討に値するならするという点を、もっとすなおにここでそのお考えを述べていただきたいと思うのです。
  8. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように探鉱促進事業団におきましては、新たに広域調査というものにも踏み出せるような法律上の措置をお願いしておるわけでございまするが、探鉱そのものにつきましては、将来事業団自体がこれを行ない得ることが適当かどうかというような問題もあろうかと思いまするが、さような際には目的自体も含めまして検討いたす必要があろうかと考えております。
  9. 沢田政治

    沢田委員 法律的な問題をお聞きしたついでにもう一つお聞きしたいわけですが、現行の鉱業法では鉱業権私的占有を認めておるわけです。鉱業法の第一章総則(目的)第一条に「この法律鉱物資源を合理的に開発することによって公共の福祉の増進に寄与するため、鉱業に関する基本的制度を定めることを目的とする。」つまり鉱物資源の合理的な開発、国の資源開発するというところに大きな目的を置いておるわけです。その手段として鉱業権私的占有を認めておるわけです。ところがこの法律、いい悪いは別としても、最近非常に矛盾が起きつつあるということであります。私は石炭あるいは石油においてはそういう例はあまりないのじゃないかというように考えています。地質学的にも石炭のある地層石油のある地層というものが日本でも限られておるわけです。石炭に例をとるならば、主として九州、北海道、常磐、あるいは石油に例をとるならば、秋田、新潟というように非常に限られておるわけです。したがって何人も想像しない地域に画期的な石油資源が突如としてあらわれるということは、もう地質学的にほとんどないのじゃないか。ところが複雑多岐にわたる金属非鉄金属鉱物においては、いついかなる場所にどういう鉱源が発見されるか、現在の地質学分野においてはまだ未確定なものがあるわけです。それだけやはり夢も多いわけであります。したがって、そういうことに関連して、実際に鉱区を出願しても、採掘の意思もないし、開発意思の全然ない者が、いまの鉱業法によって投機的に鉱区を持っておるという例は非常に多いわけです。したがって適当な値段になったならば高く売ってやろうということで、開発を非常に阻害しておる面もなきにしもあらず——なきにしもあらずよりも、大いにあり得るわけです。したがって、そうなりますと、やはり第一条の目的であるところの公共のために、国民のために地下資源というものを開発しようという目的が、結果的には私的占有理由にして非常に阻害されておる面があるのじゃないか、こういうように考えるわけでございます。といいますのは、これは私の想像で言っているのじゃないのです。「週刊朝日」にも載っておるわけです。北鹿地帯黒鉱開発と相まってそういう記事が出ておるわけです。二百五十も鉱区を持っておって、虚業家であると自負しておるわけです。もう大地主だ、まぼろしの事業だ、こういうふうに自負しておるわけです。この人たちは全然開発意思はありません。鉱山の知識もないのです。いろいろ職人もあれば商店のおやじさんもある。したがって、そういうものを将来の鉱業法改正の際に何らかやはりチェックする必要があるのじゃないか、こういうように考えておるわけです。決して国民やそういう人方権利を圧縮するということではなく、鉱業法のねらいというものは、より多く鉱物を発掘する、また発見する、そうして国民経済に稗益する、こういうところに目的がある限りにおいては、明らかにそれを阻害しておる事実があるならば、やはりそれに対して制限を加えるということは国民権利侵害というものじゃないと私は思うのです。   〔始関委員長代理退席委員長着席〕 もっと高い次元で国民に寄与するということになるのじゃないか、こういうように考えますけれどもいかがですか。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 鉱業権につきましては、鉱物開発ということが、地下に埋蔵されました不確実な資源開発という意味で、相当リスクを伴う仕事であり、かたがたその開発のためには多額の投資を必要とするということから、将来の経営の安定性ということを確保するためにも、一つ権利としての鉱業権というものを確立いたすことが必要であるというたてまえになっておる次第でございますが、他方お話のございましたように、投機的な意味を含めました意味での不当な休眠鉱区というものをいつまでも認めていく必要もございませんので、そこの休眠鉱区を阻止するという意味ではいろいろ法律上も措置を講じておる次第でございます。たとえば探鉱段階におきまする試掘権というものにつきましては、その存続期間を二年間というふうに限定をいたしておりまして、かつその更新も二回しか認めないというような制約を課しておるわけでございますし、また鉱業権自体につきましても、権利が設定されたあと、たとえば六カ月以内に着手しないというような場合、あるいは一年以上も休業しようというような場合は、いずれも認可を受けることを必要としておりますが、この認可を受けない場合については別途これを取り消すといったような措置も講じられるようになっておる次第でございます。かような法律上の措置並びに鉱区税の賦課といったような面から、休眠鉱区というものを阻止する方策が講じられておると考えております。  なお、他方休眠鉱区とは別な意味におきまして、いわゆる予備鉱区というものは、これは鉱区開発を将来にわたって継続的に、安定的に進めるためには必要なものであろうと考えておりますので、これはこれで休眠鉱区とは別に判断をして、その保有を認めるべきものではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  11. 沢田政治

    沢田委員 予備鉱区の場合はわかるわけです。一定の量で掘っていくと、これは限度がありますから、なくなりますから、やはり操業を安定的にするためには予備鉱区が必要である。これは事業運営のために、持続させるために必要である。これは常識的にだれでもわかっているわけです。ところが、私が言っておるのは、全然鉱物を発見しようとも思わぬし、あってもなくてもいいわけです。全然発見しようという意思はないわけです。適当な買い手がつくのを待っているわけです。売買することを目的に、利潤を得ることを目的に、投機対象にして頭から出願する例が非常に多いわけです。おそらく私は率にしたらほとんど大半数がそういう人方じゃないかと思うのです。特に、週刊誌等で、秋田県において一兆円に相当する鉱物が発見されたということになっておりますので、おそらく秋田一ぱいはもうみんな全部鉱区じゃないかと思うのです。そういうように、非常に投機対象になっておるわけでございまして、したがって六カ月以後に報告させるとか何かじゃなく、事前にあなたは大体鉱石を掘ったり開発する意思があるかどうか、その意思を出願したとき、初めからある程度ふるいにかける必要があるのじゃないか、こういうことを私は聞いておるわけです。
  12. 両角良彦

    両角政府委員 法律上のたてまえといたしまして、いわゆる先願主義というものは長年の制度として確立されておりますので、いわゆる投機的な意味を含めました鉱区の出願につきましても、このたてまえをくずすわけにはいかないであろうと考えます。しかしながら、現在のところ、いわゆる金属鉱山というものは大体全国で二十七カ所くらいの地点に密集をしておると考えられまして、それ以外のところに全然新たな鉱床が発見されるという可能性は非常に少ないと考えております。したがって、現在ある休眠鉱区というものについては、むしろこれを積極的に開発を促進するという見地で、休眠鉱区国民経済的な役割りを見出していくというような方向開発体制を整備することが必要ではあるまいかというふうに考えます。
  13. 沢田政治

    沢田委員 次に、この前硫黄鉱種事情についてお聞きしたわけでありますが、その場合、通産省の出しておる方向の中に、製錬上の技術開発の問題に関連して、群馬県の吾妻地区の製錬所の共同化とか研究とかこういうことが出ておるわけで、したがって、これは在来の製錬業者というか硫黄業者が何とか新しい製錬技術開発したいものであるということで盛んに研究しておるわけですよ。ところが今日に至っても、画期的にコストをダウンするような新しい技術というものはまだ核心をつかんでおらぬやに私は理解しておるわけです。したがって、製錬技術のどういう分野開発研究するのか、この点は非常に抽象的でございまして明確でないので、何を考えて何をねらっておるのか、こういう点をお聞きしたいと思うし、さらにはまた、あそこに書かれておる内容が吾妻地区共同製錬化、こういうことを考えておるならば、地理的にいっても相当離れておるわけですね。小串にしても石津にしても非常に離れておるわけです。したがって、共同製錬というのは地理的条件からいって同じ山の中に鉱区が同居しておるならばこれは可能かもしらぬけれども運搬経路とか距離からいっても不可能ではないかと思うのですけれども共同製錬ということもあの構想の中に含まれておるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  14. 両角良彦

    両角政府委員 製錬費が硫黄コストの中では約四割というふうにきわめて高い率を示しておりますので、硫黄鉱業合理化方策といたしましては製錬費の引き下げがたいへんきめ手になるということは御指摘のとおりでございまして、さような見地から、群馬地区におきましても何らかの方法で現在製錬法を改めまして、五つの山の共同製錬ということが可能になるならば、これら硫黄鉱山合理化に大いに寄与するであろう、かような見地からさような意味での共同研究というものを推進することにいたしております。たとえば現在松尾鉱山で実施しておりますような大規模な新製錬法、これは直熱法ないし流動法といったような新しい方式がこのような群馬地区においても共同方策として取り入れられるかいなかというような点を研究してもらうことが好ましいのではないか、かように考えてこれを推進したいと考えております。
  15. 沢田政治

    沢田委員 松尾お話も若干出ましたけれども、早晩あそこの坑内掘り露天掘りに変更になる、すでに計画中で、もう計画を実施に踏み切っておるのじゃないかと思うわけです。  そこで、この関連でちょっとお聞きしておきたいのは、非常に集約した作業ができるわけでございまして、坑内掘りとは非常に条件が変わってくるわけです。そういう保健衛生の面から考えまた能率化の面から考えるならば、私は歓迎すべきことであるし、それによってコストダウンできて、安定供給できるということも、これは反対の理由がないわけです。ただ、一番そこに困るのは、非常に合理化される、こういうことになると、人減らし、つまり、はっきりいうと、首切りが出てくるんじゃないか、こういうことで、地域の自治体並びに当該の従業員が非常に心配しているわけですよ。なるほどいいものを安く多くつくるようになるわけだけれども、そのためにわれわれの首がなくなったのじゃ生活権の問題だ。また、人がいなくなると地方自治体に影響してくるわけです。税金を納める人が少なくなるわけです。そういう面で、両面の心配を非常にしておるわけです。したがって、もちろん通産省は、合理化をさせたりそういう指導をするということが主たる官庁であると同時に、やはり人の面も考える必要があるんじゃないか。したがって、私は、ここでくどくどこまかいことを申し上げませんけれども、やはり雇用の問題に不安感を与えないような行政指導というものをいまから考えておいてほしいし、指導一環にやはりそういうことも考慮に置いてほしいと思うのですけれども、御所見いかがですか。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 硫黄鉱山合理化の推進に際しまして、雇用問題についても特別の配慮を加えて、ただいま御指摘のあったような事態を招来しないように進むべきであるという点につきましては、私どもも全く同感でございます。先般、新しい露天掘りに移行いたしました松尾鉱山の例を見ましても、むしろ新合理化生産方式の採用によりまして、その生産性が高まり、むしろ労働者の賃金、待遇が改善され、同時に、新しい事業規模の拡大ということが期待されるといったような方向で進められておると承知しておりまして、ただいま御指摘のような懸念は、松尾の例については全くないというふうに存じております。さような方向で他の硫黄鉱業の場合についても慎重に措置をいたすべきであろうと考えております。
  17. 沢田政治

    沢田委員 また質問が逆戻りすることになるわけですけれども、ちょっとさっきど忘れしたもので質問をし忘れましたが、事業団ですね。事業団鉱区を設定して、そしてある段階まで開発を進める、こういう方向に将来事業団というものが発展強化されていくべきじゃないか、こういう考え方を私自身が持っておるわけです。そういうことは考えられますか。また、そうあるべきだと思いますか、端的に御意見をお伺いしたいと思うのです。
  18. 両角良彦

    両角政府委員 事業団がみずから探鉱を行なうということが将来考えられるかという御趣旨の御質問かと存じますが、現在の法律のたてまえでは、精密調査を行ないます場合に、それとの関連におきまして、付帯業務として、たとえば鉱区の設定というようなことを行なうことは、法律上は可能であろうかと考えております。しかしながら、探鉱ないしは開発という問題につきましては、現在のたてまえが広域調査精密調査企業探鉱という三段階方式で進められておりまして、かつ、それによりまして所期の効果を上げておりますることにかんがみまして、当分この方式を推進いたすことが妥当ではなかろうかという考えでございます。
  19. 沢田政治

    沢田委員 私は、決して根拠のないことを、こうあるべきじゃないかというような願望を言っておるわけじゃないわけです。たとえば、あそこの北鹿地帯黒鉱開発の問題でも、なるほどある程度の協調は、従来も、非常に協調されています。協調体制をとっていますが、従来は、自分の鉱区鉱量がどれだけあるのか、どの方向に向かってどうあるのか、もう企業間において完全に秘密主義であったわけです。ところが、あそこの黒鉱開発においては、私のほうはどれだけのものをつかんでおる、どの方向にこの鉱石の層が伸びておるとか、そういう点の協調は非常になされておると思うのです。ところが、開発段階では必ずしも、協調体制がとられておるかといいますと、そうじゃないわけです。非常に狭い範囲にみずからの鉱区鉱石を把握し、みずからがそれを処理するために立て坑を掘り、選鉱をつくるというように、非常に個々になされておるわけですね。この経費というのはばく大な損失だと思うのですよ。そういう意味からいって、私は、やはり事業団鉱区を設定して、そうしてある段階まで、選鉱をつくる段階くらいまで開発していったほうが、個々企業がむだな投資をして経費を浪費するよりは、それだけやはり非常にコストが安くなるから、減価償却費が減るんだから、その財源が少なくなるんだから、安定供給の道につながるんじゃないか、こういうように考えて申し上げておるわけです。やはり私はこれも検討を要すべき問題じゃないかと思うのです。早急にどうこうということを私は言っているわけじゃないのです。しかしながら、やはり役所——民間は利害に追われて一ぱいですよ。そういう長期展望とかあるべき姿というものは、現在の民間の私企業では考えられないと思うのですよ。したがって、指導機関である国家の行政機関がやはり民間より一歩先のことを考えておくということは、私は、官庁の役目じゃないかと思うのです。やはりそういう必要があるのかどうか。来年実現せよ、再来年実現せよとか言っているわけじゃないのです。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 探鉱関連いたしまして、企業間の協調体制が必ずしも十分でない、そういう面を補なう意味においても、事業団自身業務発展が必要ではなかろうかという御所見でございますが、私どもも、方向としては、さような方向検討する価値があろうかと考えております。現在のところ、関連企業の間で、たとえば共同ボーリングといったような措置もかなり見られておりまして、開発及び探鉱面共同化という方向は、これはわれわれとしても指導をいたしているわけでありまするが、将来の問題といたしまして、事業団自体探鉱開発ということが必要であるかどうかという点については検討いたしたいと考えております。
  21. 沢田政治

    沢田委員 いま鉱業審議会があるわけでして、学識経験者、労使、産銅会社あるいは需要業界等からそれぞれ構成員に入っておられるわけですが、特にここで考えられることは、非常に構成がアンバランスじゃないか、こういうように考えるわけです。私は、産銅業者が入るのもけっこう、役所が入るのもけっこう、学者が入るのもけっこう、需要業者が入るのもけっこうだけれども、特に鉱山が壊滅するあるいは閉山する、こういうことによって決定的に打撃をこうむるのはやはり労働者だと思うのですよ。しかも鉱山というのは特殊的な条件からして、労働力の流出というのは非常に困難なわけです。気軽に隣の職場に移るというような態勢にないわけです。地下作業をしている人は外に出るとモグラのようになって非常に条件が合わぬ。こういうことで、非常に労働力が移動するということは、他の産業より困難なわけです。新しい技術も習得しなくちゃならぬ。しかも山の中に生息といっちゃ悪いけれども、住んでおる者には、そういう刺激の多い、環境の違う都市にはなかなか向かぬ。こういうことで非常に労働者が大きな打撃閉山等によってこうむるわけです。そういう問題もはらんでおるので、ある面においては合理化、ある面においては雇用の問題、ある面においては今度は地域産業の問題、こういう多種の要素を持っておるわけでございまして、したがって、この構成員の中にもう少し労働者を多く入れる必要があるんじゃないか、こういうように考えるわけですけれども、いかがですか。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 現在鉱業審議会には二つの部会がございまして、そのうち、鉱山部会というものは二十五名の委員で構成されております。ただいま御指摘がございましたように、生産業者代表、需要業者の代表、あるいは金融ないしは学識経験者といったような方々がそれぞれ御参加をいただいておるわけでありますが、特に労働関係につきましては、全鉱及び資源労連からそれぞれ代表者が委員として審議に参加をしていただいておる次第でございます。かつ、これまでの、審議会におきまする経緯から見ますと、労働関係の代表の方々はきわめて活発な御意見をお出しいただいておりまして、労働者側としての意見が十分当審議会に反映されてまいったと存じております。したがいまして、ただいまのところ支障なく運営されておると思いますので、新たに労働関係の代表の委員の増員をいたす必要性はないと考えております。
  23. 沢田政治

    沢田委員 私も労働者代表を無制限にどんどんふやすべきだ、そういうような考えで言っておるわけではないわけです。しかしながら全鉱と同盟会議ですか、二名出ておるわけです、これは組織が別でございますから。片っ方は総評系、片っ方は同盟会議糸ですか、あの資源労連のほうは。そういう組織の状態を考慮して両方から代表を出させたのではないかというふうに私は考えております。これにはかなり疑問もあります。私は人員の組織、構成員の人数からいっても平等に一名一名というのは問題があり得るとしても、これはさておいて、せっかくそういう事情まで考慮されるならば、やはりこうした事情というものをもう少し取り入れて考えていってもいいのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。私は五名も六名もというような考えは持っておりませんけれども、今度聞くところによると硫黄対象を更新するというお話もあったので、少なくとも硫黄も非常にきびしい条件にあるわけです。これは自由化されるならばほんとうに死活問題になるわけです。したがって、やはり硫黄の業種の労働代表も一名くらいは含めてもしかるべきじゃないか、こういう感じを私は持っておるわけです。これは答弁は要りません。検討を願いたいという要望を私はここに出しておきます。  そこで次は黒鉱処理の問題です。非常に黒鉱は金、銀、銅、鉛、ほとんどの鉱種がこの中に含まれておる特殊な鉱石なわけです。しかしながら、これが選鉱段階あるいは製錬過程において、技術的にこの分離、さらにはまた含有されておる鉱石を完全に抽出する、そういうものの回収の実収率、こういうものが非常に悪いことは皆さんも御承知のとおりなわけです。したがって、これを技術的に全然これをのがさずに回収したいものである、こういうことで鉛、亜鉛の製錬でいうならばISPとかいろいろな方法があるわけでありますけれども、これはどういう機関でどういう場でどういう規模でどういうように研究するのか、ともかく通産当局のいろいろな方向とか方針を見ますと、いつの場合でも黒鉱処理の技術開発、こういうことばばかり出てくるけれども、内容は一体何だといいますと、私も理解できないわけです。どういう方法でどういう規模でどういう手段で何をやらんとしておるのか、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
  24. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように黒鉱の成分の分離回収におきまする実収率の向上が非常に必要であるという点でございますが、このため特別な研究の助成がわれわれとしては好ましいと考えております。現在民間におきましても、それぞれ黒鉱に関する選鉱、製錬等の新技術開発につとめておるようでございまするが、政府といたしましても、まず第一に資源技術試験所等におきまする国の研究機関としての研究を極力力を入れて進めておりますとともに、民間におきまする黒鉱開発技術研究促進のために補助金を共同研究に対して交付をいたすという方針でございまして、さらに科学技術庁に資源調査会というものが置かれておりまするが、そこにおきまして黒鉱開発技術研究成果を総合的に検討いたしまして、高度な利用技術開発を促進をするようにお願いをいたしておる次第でございます。今後ともかような方向で黒鉱の開発技術を促進いたしてまいりたいと考えております。
  25. 沢田政治

    沢田委員 こういう研究は、あちらでも研究をやるこちらでも研究をやるというようなばらばらな研究体制じゃいかぬと思うのです。現在政府にそれにふさわしい、また非常に研究できるような機関がなければそれでいいのですよ。これをすでに民間でどんどん研究しておったことは事実ですね。そういう伝統と歴史を持っておる民間会社に委託してもけっこうですよ。やはり窓口を一つにして体系的にこれを研究させて、早くこれを開発するような方向を物心両面からとるべきじゃないか、こういう点を強調しておきたいと思うのです。  次は交錯輸送の問題です。御承知のように、いつかの委員会でも私指摘しましたように、秋田鉱石が九州へ行く、九州の鉱石が四国へ来るというように、いま鉱業権者各企業がそれぞれの利害得失が違いますので、非常にむだな長距離輸送をしておるわけです。今度の国鉄運賃値上げによって鉱業全体がこうむる運賃の値上げ分は、当初は二十億円くらいと言われたわけです。最後には十億円内外になりましたけれども、そういうように国鉄運賃が非常に負担増になっておるということと、もう一つはやはらこれは輸送力の阻害になるのじゃないかと思うのです。明らかに経費的にもむだだし、でなくとも輸送力に非常に余裕のない国鉄に、秋田鉱石を九州へ持っていくとか九州の鉱石を四国へ持ってくるとかということは、明らかに、金の面と運輸行政の面から見ても非常に私はとるべき方法じゃないと思うわけです。したがってこの交錯輸送というものをしないようにしようじゃないかということは、しばしば鉱業審議会の中でも議論になっておるやに私聞いておるわけでございまして、この交錯輸送を廃止する、それをなくする、どういう方向でどういう議論をしてどういう結論を現在の段階において出されていますか。
  26. 両角良彦

    両角政府委員 交錯輸送の問題につきましては、お話がございましたようにそれがきわめて非経済的であるという点はおのずから明らかでございまして、すでに三十七年の鉱業審議会の中間答申におきましてもこのような交錯輸送の改善が必要であるという御指摘をいただいておる次第でございます。さらに本年二月の鉱業審議会におきましてもやはり交錯輸送の改善ということが必要であるという基本方針を出していただいておるわけでございまするので、政府といたしましてはさような方向で交錯輸送問題を改善すべく努力中でございます。しかしながら別途交錯輸送につきましては企業自体といたしましても、委託製錬というような形で行なうにしましても、交錯輸送をやめたほうが経済的であるということが確実に認められることが必要でございますし、さらに鉱石交換というようなことが行なわれるといたしますと、自社にとって必要な鉱石量というものが十分に確保されるかどうかというような点があらかじめ確認されることが必要ではなかろうか。そういう点が前提的に解決されますと、実際の交錯輸送の問題が円滑に改善されてまいると考えております。さような方向で業界を指導してまいりたいというのが、現在の方針でございます。
  27. 沢田政治

    沢田委員 具体的にどうなるのですか。たとえば秋田鉱石をA社ならA社が九州へ持っていく。これはA社は秋田鉱石があるけれども秋田に製錬所がないから九州へ持っていくわけですね。それを廃止する、それをなくするということになると、交換をしなくちゃならぬわけです。ところがA社ならA社が秋田鉱石を持ち九州に製錬所を持っておるけれども、九州には鉱石がない。今度はB社の場合は四国に製錬所がある、そうして九州に鉱石を持っておる、こういう場合に、具体的にどういうような方法で交換しますか。まあB社の場合は四国に製錬所があって九州に鉱石を持っておる。そういう場合は国内産の相当量の鉱石を交換すればいいわけですね。ところがB社の場合でも、製錬所は四国に持っておるけれども鉱石は九州に持っておらぬ、その近傍には持っておらぬということになると、外国鉱石になるのかどうなるのか。その辺は具体的にどういう方法で鉱石交換をするのか、ちょっと考えがありましたらお答え願いたいと思うのです。
  28. 両角良彦

    両角政府委員 交錯輸送の改善につきましては、鉱石の交換を必要とするようなケースが多く出てまいると予想されまするが、そのような場合はただいま御指摘のあったようなケースにつきましても、たとえば輸入鉱石との交換というようなかっこうで改善、解決をはかっていくということが一応考えられると思いますが、いずれにせよ具体的な事例に徴しまして、委託製錬その他の内容についての検討を経た後に鉱石交換の見通しを立てるべきではなかろうかと考えております。
  29. 沢田政治

    沢田委員 つまり、要は共同開発共同製錬というところにほんとうの解決というものは見出されるのではないかとぼくは思うのです。それが現実にできないから鉱石交換くらいでもして交錯輸送を廃止しようじゃないかという、そういう方法も次善策として出てくると思うのです。そういう私の言わんとするところの裏をひとつお考えなされまして、善処していただきたいと思います。  次は北鹿地帯の廃滓処理、これは前々回の当委員会でもお聞きしましたが、鉱害の問題は非常に重大な関心を払っておかなくちゃならぬわけです。その一環として、従来はダムをつくってそこで処理しておったわけですね。しかしながら、北鹿地帯は人家が散在し、非常に水田が多い。こういう面から非常に与える影響が大きいわけです。聞くところによると、従来考えられなかった新しい分野の廃滓処理を考えられておるというように私聞いておりますけれども、どうなっていますか。
  30. 両角良彦

    両角政府委員 秋田県の北鹿地区におきます廃津処理方策という点につきましては、いまお話のございましたように、その立地の条件からしてきわめて慎重にこれを検討する必要があろうかと存じます。このため、現在秋田県が中心となりまして、関係企業等の合同の検討がここ一年来進められてきておりまして、その結果いわゆる流送計画共同のパイプによりまして廃滓を流送するという計画がすぐれておるという結論を得た次第でございます。したがいまして、かような方向秋田県を中心といたしまして各企業が協力をして、かような流送計画の実現について現在努力中であると承知しております。
  31. 沢田政治

    沢田委員 もう一つは、やはりこれは将来の鉱業法改正意思があると思うのです。前々国会ですか継続審議になって廃案になったわけですけれども鉱業法というものを考えたいという気持ちはいまでもあると思うのです。その場合の参考にお聞きしておきたいわけですが、現在の鉱業法によりますと、石炭じゃない金属の場合、地下三十メートルであったのですか、適法な手続によって鉱業権を設定し、試掘権、採掘権を得た場合は、三十メートルだか五十メートルだか以下掘れるわけですね、鉱物があった場合、与うべき損害の金銭賠償をした場合は。したがって、三十メートルだか五十メートルだか、ちょっと調べればわかるわけですけれども、これはちょっと考え直す必要があるのじゃないかと思うのです。やはり弾力性を持っておく必要があるのではないかと思うのです。その地質条件によって、あらかじめ五十メートル以下なら五十メートル以下掘ってもいいという規定ではなくて、地質の変化によって非常に違うわけです。一様ではないわけです。従来金属鉱物が胚胎しておる立地条件というのが、ほとんど山にあったわけです。ところが最近においては、黒鉱のごときは水田の下にあるわけですね。これは考えられなかったわけです。そういうように五十メートルや三十メートルでは、明らかにたんぼが埋没するし、住宅等も陥没する危険性があるわけです。したがって、将来鉱業法検討する際に、五十メートルなら五十メートル、あるいは三十メートルなら三十メートルじゃなく、その地質構造によってはやはり採掘可能範囲を規制することができるというような余裕を残しておくべきではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  32. 両角良彦

    両角政府委員 現在の鉱業法のたてまえでは、一応五十メートルというものを一つの基準といたしまして、それよりも浅いところの採掘というものにつきましては、特別な事情のない限り、地上権者はこれを認めなければならないたてまえになっておりますので、実際の企業事業遂行には支障ないと考えております。またそれに伴う諸般の問題につきましては、施業案というものの認可におきまして、十分予防措置を講じてまいりたいと考えます。
  33. 沢田政治

    沢田委員 最後にお聞きしたいことは、最近御案内のように銅の供給が需要に追いつかない。需給が逼迫しておる。こういう点は御案内のとおりなわけです。これは思想とか政治を越えて銅の供給を受けたい、こういうことは偽らない考えじゃないかと思うのです。そこでときどき私新聞等で知っておる限りにおいては、ソビエトのバイカル湖付近の何とか銅山の開発に日本も積極的に乗り出したい、こういうようなことが新聞等ではちらほら出てまいるわけです。したがって、それがどういうような形で、どこでどのように話し合いが進められておるのか、その真相というものは私は寡聞にしてまだ聞いておらないわけであります。それと、旧樺太の天然ガスの開発に日本は乗り出したい、こういう話も聞いておるわけでございまして、樺太の天然ガスの開発と、それからバイカル湖の銅山開発の問題、こういう問題がどのようになっておるのか、差しつかえない範囲でここで御説明願いたいと思うのです。
  34. 両角良彦

    両角政府委員 シベリアの銅鉱山開発の話につきましては、本年の初めごろソ連側から非公式に意向が示されたものでございまして、バイカル湖の東北方にありまする銅鉱山についての日本側の開発協力、またそれに関連する資材輸入というものを希望しておるという内容のものでございました。現在当方としましては具体的な資料をソ連に求めておりまして、今後現地調査等を行なった上で実際上の結論を出していきたいと考えております。また、樺太からの天然ガスの輸入という件につきましても、先方から一応の申し出がございまして、これまた現地の事情等を十分検討した上で、主として新潟地区を中心とする裏日本の天然ガスの需給状況の改善というものに役立つような方向において輸入の実現をはかってまいりたいという方針で、現在慎重に検討いたしておる最中でございます。
  35. 沢田政治

    沢田委員 私が新聞等で若干知っておる範囲、さらにはいま局長が説明された範囲では、銅の開発より天然ガスのほうが実現性が、可能性としては多いような気がしますし、ことにバイカル湖周辺の銅山開発については積極的に向こうから希望しているのではなく、こっちのほうが希望しているというようなかっこうになっているのではないかと思うのです。したがって、まだここで議論する段階じゃないじゃないか、こういうように考えます。しかし、そういう可能性が出た場合には、いつも日本が諸外国に銅鉱山開発を行なっておるように、非常に競合してなだれ込んでいくという方法じゃなく、やはり行政の指導よろしきを得て、秩序ある開発というものをいまから心がけておく必要があるのじゃないか、こういうように考えます。  そこで天然ガスの問題ですけれども、これは銅開発よりは実現の可能性が非常にあると思うのです、向こうのほうも積極的に望んでおるわけですから……。そうなった場合、パイプラインが新潟から東京まで延びておるわけですね。新潟に持ってくる、あるいは秋田に持ってくる、いろいろな話はありますけれども、それはけっこうでしょう。ただ安定供給のためには、不測の事態も考慮しつつやはり地下貯蔵ということは将来考えるべきじゃないかと思うのです。そうなった場合に、私はこれは専門的な立場じゃございませんが、新潟に地下貯蔵をするということもあるでしょう。しかしながらあそこの場合非常に地盤が軟弱で、ガスを掘っただけで地盤が沈下してもうてんやわんや、公害を起こしておるわけです。そういうことと、もう一つ新潟がだめであるならば秋田の八橋油田ですか、天然ガスが年々減退していますね。あそこは地質学的に見ても貯蔵地としては非常に適地じゃないか、こういうように言われておりますので、やはり将来地下貯蔵ということも考えられるのかどうか、こういう点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  36. 両角良彦

    両角政府委員 天然ガスの地下貯蔵ということにつきましては、本来地下貯蔵の目的がピークの調整を行なうということにあるわけでございまして、地下貯蔵を行なうことが適当であるかどうかというのは、その地域における需要との関係、供給との関係で検討さるべき問題かと存じます。したがいまして、かりに樺太からLPGが輸入されたと仮定いたしますと、それを液化いたしたガスをはたして地下に貯蔵することがよろしいか、地上の貯蔵設備で足りるのかというような点につきましては、技術的な問題も含めまして将来検討を加えるべきであろうと考えております。
  37. 沢田政治

    沢田委員 時間もないのでこれで質問を終わるわけでありますが、時間の関係上言いっぱなし聞きっぱなしに終わった感があるわけです。しかしながらそういう点はことばの裏ということも——裏というのは変な意味のことばの裏じゃなくて、言わんとするところをひとつ参酌されまして、行政のよろしきを得ることを強く要望して、私の質問を終わります。
  38. 天野公義

    ○天野委員長 板川正吾君。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 金属鉱物探鉱促進事業団法の改正に関しまして若干質疑をいたします。  政府の鉱業政策というものをひとつこの際振り返ってみたらどうか、こう思うのです。  いままでの政府の鉱業政策というものを見ますと、どうもあらゆる問題が中途はんぱなように思うのです。金属鉱物探鉱促進事業団法事業団にしましてもそうです。海外開発の問題にしてもそうです。それから中小鉱山の助成という問題にしても、あるいは鉱業政策全般にしても、どうも振り返ってみますると、政府の政策というのは何か中途はんぱである。この中途はんぱなのは、一体どういう認識、前提の上にそういう政策であったのかという点を振り返ってみる必要があるだろうと思うのです。  たとえば、主要鉱産物のうちで銅に例をとってみてもわかりますが、いまの日本の工業、主として軽工業、機械工業という中で銅の資源というものは非常に大切なのです。その銅の使用量というのはわずか五十万トン程度です。これは石炭や鉄あるいは石油といったような鉱物資源の割合からいうと全くごく少量で、一%くらいです。しかし、これがなければ日本の工業なりが——なければという前提をかりに立てれば、これは成り立っていかないようなもの、ちょうど鉄や石炭石油産業の食糧かもしらぬが、これは産業の塩のようなものだろう。ごく微量だけれども、しかし、これがないと生活に困るという重要さを持っておる。だからその意味では重要な希少物資だと思うのです。ところがこのメタルマインの供給というのが最近非常に不安定になってまいりました。従来政府の考え方をながめてみると、海外から安い鉱石類が手に入るから、国内資源のほうはほどほどにしておいてもいいじゃないか、そうして安くて能率のいい品位の高い海外鉱石を買ったほうが、日本としては産業の立地上からも条件がいい、こういうような認識に基づいて鉱業政策というのがある程度中途はんぱ——しかし、なくては困る、必要なものだから適当にあればよい、特に力を入れた振興政策をとらぬ、こういうような認識の上にあったのだろうと思うのです。  ところが最近銅を中心とする需給関係が非常に不安定になってきた、こういう状況になってくると、私は銅、鉛、亜鉛という希少物資の安定的供給というものを見直す必要があるだろうと思う。安定的供給というのは、やはり国内である程度の生産を確保する一ある程度というよりも、安定供給に寄与する程度の国内資源開発というのが重要になってきたのじゃないか。だからこの辺で従来の工業政策というのを振り返ってみて、国内資源開発の点に関しまして、供給という意味から力点を置きかえていくべきではないかという感じがします。大臣に聞きたいと思うが、大臣がいないから鉱山局長いかがですか。
  40. 両角良彦

    両角政府委員 重要な鉱山資源につきまして、安定供給見地から大いに国内資源開発を進めるべきではなかろうかという御意見につきましては、私どもも全く同感でございまして、先ほど御説明を申し上げました黒鉱の開発につきまして技術的に、資金的にいろいろな助成策を講じて積極的な開発体制を整えつつありますのもその一例と存じます。  さらに安定供給という見地からどうしても輸入鉱石に依存せざるを得ない分につきましては、もっぱらわが国が開発等を行なって鉱山からの輸入鉱石というものにより多くたよるべきではなかろうか、そういう意味での海外開発というものも積極的に推進すべきではなかろうかと考えております。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 趣旨においてはお互いに差はないと思うのです。そこで国内の開発をし、どうしても国内にないようなものはみずから海外開発に進出をして、海外と協力しながらこの鉱山資源の確保を考える、こういう方向でいくべきだと思うのです。  そこで、しかし鉱石なりは確保できたとしても、最近のように非常に価格が不安定、銅に例をとると、銅にしてもロンドン相場あるいは生産者価格、国内価格といろいろありますが、特にロンドン相場が一番相場としては先行性を持つわけです。このロンドン相場を見ましても、非常に振幅が激しいですね。これがそのまま国内価格、需要価格とイコールじゃないのだが、しかし不安定さを物語っておる。そこで重要鉱産物の安定機関を設けろとわれわれがかつて主張し、政府にも答申しておるわけですが、これができない原因、この間通産大臣は技術的になかなかむずかしい点があって安定機関ができないのだ、それから四十二年度には設けるか設けないかということをひとつ結論を出したいという趣旨のことを言っておったが、重要鉱産物の安定機関を設けられないいままでのいきさつというものをもう一ぺんひとつ説明してもらいたい。
  42. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、重要鉱産物、特に銅につきましての需給安定構想というものは、需給の安定をはかる見地からたいへん意味ががあることかと思いますが、これにはいろいろ技術的な問題があるということは従来申し上げてきたとおりであります。その中の一番大きな問題は、何といっても資金の問題でございまして、たとえばアメリカの行なっておりますようなストックパイルということを行ないまして、銅の需給に対して有効な量の銅の放出もしくは買い上げを行なうために必要な資金量というものは、相当膨大、巨額な資金を寝かせなければならない。そのことがはたして現在の状況において可能であるかどうかというような点が最大の問題点ではなかろうかと思います。  なお、これに関連いたしまして、実際に操作を行なおうとする場合に、放出ないしは買い上げの時期の選定ないしはその価格水準というものをいかにきめていったらよろしいか、あるいはこれに伴いまして関連業界の協力体制というものをはたして期待できるかどうか、さらには法律論としましては、独禁法上いろいろ問題が出てくるのじゃなかろうか等々、なお検討さるべき問題点があろうかと存じておる次第でございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 買い上げの時期、それから買い上げするときの価格、こういった問題は、業界の協力なり、やればできないことはない。それから独禁法の問題があるといいますが、これは除外法をつくればそれは問題はないはずです。こういう鉱産物のような場合には、これは独禁法を除外して当然いいのですよ。こういうものこそ、自由競争といったってなかなかそうできないことだ。また必要があるからといって急に山を掘り出すわけにはいかぬ。それから余ったからといって山をやめてしまうわけにいかない。生産はある程度コンスタントに生産をしなくちゃならない。しかし需要は常に変動する。だから、そうするとある種のストックする機関が必要だ、こう思うのです。だから、そのことは、独禁法除外をしても、独禁法のたてまえからいって決して批判すべきものではない。問題は資金量じゃないですか。一番の問題点はやはり資金量で、こういう点に政府が金を出したがらない、ここに問題があると思う。ただ、私はもう一つの提案として、二段がまえでやってできないことはないかなという感じがするのです。それは御承知のように現在民間に銅地金買い上げ株式会社ですか、ありますね。ああいった民間機関である程度の効果をあげさせる。そしてそれで防ぎ得なかったときに第二弾として政府関係機関がそれの調整の役割りをする、こういうような二段がまえで需給の安定をはかる。第一段階民間の責任において防ぎ、第二弾で政府機関がそれの調整をさらに行なう、援助するという形の調整機能ならば、膨大な金を使わなくてもある程度の調整をする機能ができるのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  44. 両角良彦

    両角政府委員 御意見にございましたように、政府だけでストックパイルに必要な資金の全額を準備いたすということも、実際問題としてはなかなか困難な面があろうかと思います。さような際には、御指摘のございましたような民間側の資金的な協力もしくは二段階方式というものを検討する価値は十分あろうかと存じます。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 これはだれかわかっておると思いますが、民間の銅地金買い上げ株式会社の運営、経理、事業計画状況、どの程度の効果ある活動を今日やっておるか、この点ちょっと説明してください。
  46. 両角良彦

    両角政府委員 日本銅地金株式会社は、昭和三十年の九月に産銅業界が中心となりまして、これに電線、伸銅といった需要業界が協力いたしまして滞貨買い上げ機関として設立された次第でございまして、当時資本金は一億五千万円でございます。その後この銅地金会社は、昭和三十二年及び三十七年の両回にわたりまして五十トンの電気銅の買い上げを行なっております。また、滞貨融資につきまして三億四千万円の融資を行なっておりますが、その後資金量等が不足いたしまして十分な機能を果たさぬまま今日に至っておる、かように承知しております。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 銅地金買い上げ株式会社ですか、独禁法上もいろいろ問題があるというようなこともあって十分な機能を発揮してないようですね。そういう点もあります。しかし、この機能を法律に基づいてある程度明確にして、そしてまず産銅会社あるいはユーザー、こういったものに協力をさせ、政府にも応分な出資をさせるというようなことでこの民間機関であるものをさらに強化する、これも安定機関への第一歩ではないかな、こう思うのです。どうも五十トン程度ではこれはたいした役割りは果たしてないようですね。しかし、この着想というものを、芽を大きく育ててやる必要があるんじゃないか。そういう上に立って、将来政府関係の安定機関というものも考えてもいいじゃないか、私はこう考えるのです。この点ひとつ、本年度大いに検討してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  48. 両角良彦

    両角政府委員 銅地金株式会社等の実例をよく検討した上で、需給安定構想の内容については積極的な姿勢で検討いたしたいと考えております。幸い、昨今では、需要業界からも十分な理解が期待できるような情勢になっておりますので、一そうこの問題の推進をはかってまいる時期が到来したと考えております。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 次に、海外鉱物開発について伺いますが、海外鉱物開発という課題を政府はどういうふうな視点からこれをとらえておるのかということを伺いたいのです。御承知のように、海外鉱物資源開発株式会社がございます。これは、海外経済協力基金から七億五千万出され、民間各社から七億五千万出されて、十五億程度で事業活動を行なっておる。この海外鉱物資源開発株式会社というのは実はあまり活動しておらない。大体開発しておるのは二カ所しかない。これでは本気で海外鉱物開発のためにこの機関を強化拡大して、ほんとうにこれにたよっていこうという政府の考え方というのは見当たらないですね。この海外鉱物資源開発株式会社というのは海外経済協力、この間アジアの閣僚会議があって、国民所得の一%を後進国の経済協力に日本は寄与しようというようなことをみずから提案し、会議の了承を得ておりますが、従来、海外経済協力というのは、日本も、後進国から先進国へ移行しつつあるから、ある程度の海外経済協力というものの形をとっておかなくちゃならぬ。かっこうをつけておかなくちゃならないということで、海外経済協力というものをつくり、それから、この海外鉱物資源開発会社に若干の出資をしておるという程度だろうと思うのです。だから、重要鉱産物の海外における鉱石の確保というようなところに力点がなかったのだろうというふうに考えるのです。どうでしょうか。   〔委員長退席、始関委員長代理着席〕
  50. 両角良彦

    両角政府委員 海外鉱発につきましては、まず第一に、主要な非鉄金属鉱山資源というものの安定供給というものをはかりますためには、何としても海外における開発投資を行ないまして、そこで開発された鉱石を輸入できるような体制を整備強化する必要がある。そのための実施機関としての海外鉱発の役割り考えておるわけでございます。第二には、やはり経済協力といった見地から、発展途上にある国との間における協力の具体的な形態としてその開発に協力いたし、あわせて、鉱石輸入をも確保するというねらいを持ったものと存じます。そのような実施機関としての海外鉱発、この二つの目的を持った企業としてこれを育成強化してまいる必要があると存じております。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 海外鉱発について、いままで通産省それから経済企画庁、どちらが発言権が多かったんです。経済企画庁のほうが多かったんじゃないですか。
  52. 両角良彦

    両角政府委員 海外鉱発の出資を経済協力基金が行なっておりまする関係から、経済企画庁も十分これに関心を寄せていただいておると思いますが、所管官庁といたしまして通産省も、これが海外鉱発に関する諸般の指導並びに助成を行なってまいっていると思います。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 海外鉱発が海外における鉱物資源開発にやっておるものと、海外鉱発以外の企業ですね、これはどのくらい海外開発について資金か投入し事業をやっておられるか、これを比較してみてください。
  54. 両角良彦

    両角政府委員 現在まで、昭和二十九年から十二年間に海外の鉱山開発のために投資いたしました金額は、約百五十億円というふうに見積もられております。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 そうなんですね。日本の各社で海外鉱物資源開発のために活動している状況は、累計して今日百五十億円、そうして探鉱をやっておる山数が三十一、開発をすでに実施しておる山が二十です。これと、海外鉱発でやっておるものは開発が二つでしょう。資金量が十五億。そうすると、十分の一です。政府が海外経済協力も含めて鉱物資源安定供給を確保するためにこうした会社をつくって援助しています、出資をして応援をしていますが、これを利用するのは十分の一で、九割はみんな各自がおのおの海外に手を伸ばして鉱物資源の確保のためにそれぞれの思惑を持って活動しているということじゃないでしょうか。実際は海外鉱物資源開発株式会社というのは、政府が援助しているにかかわらず、あまり活用されていないんじゃないだろうか。どうですか。
  56. 両角良彦

    両角政府委員 現在までのところ、海外鉱発は、ペルー及びボリビアの両国におきまする鉱山開発に着手いたしておりますが、さらに最近、オートボルタにおきまする鉱山開発についても具体的な折衝を継続しておるわけでございます。しかも、これらの開発鉱山はいずれもその規模におきまして、きわめて良質かつ大規模なものでございまして、十分海外鉱発としての使命を遂行しつつあるものと考えております。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 各社がやっておるのが、手をつけているのが五十一もある。まあ二つだけれども、大型だから十分その機能を果たしているというのはどうですか。これは十分機能を発揮していないと思っておるのですよ。もしこの海外鉱発に魅力があるんなら、各社がばらばらに出るよりも、これをもっと使ったらいいだろうと思うのですよ。また、政府も、海外経済協力、後進国の経済協力というものを強化しようといっているのですから、これにもっと出資をしてやってもいいと思うのですよ。出資をしてやって、そしてこれを各社がもっと利用したほうがいいんじゃないか。しかし、これはあまり利用しない、どこに問題があるだろうか、こう思うのです。この点はどうですか。
  58. 両角良彦

    両角政府委員 民間業界が海外鉱発を十分に利用していない、ないしは協力体制が不十分であるというような点につきましては、今日までの経緯に徴しますと、各企業はそれぞれ自己の海外開発計画というものを促進をしてまいっておりまして、いわゆる共同開発といった意味での海外鉱発の役割りにいまだ多くを依存していないということは御指摘のとおりかと思います。しかしながら、今後は大規模な海外開発を行なう必要性はますます強まってまいると考えられますので、さような要請にこたえ得るように海外鉱発の資金、組織等もこれを拡充強化いたしまして、民間企業と相並びまして鉱山資源の海外における確保を期待してまいりたいと考えております。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 この間参考人を呼んで——海外鉱発の社長ですか、青山さんに質問しても、答えるのがうしろを振り返ってみないとよくわからないというような答え方で、どうも隠居仕事にやっておるのかしらぬが、本気で海外鉱物資源開発というものに取り組んでいないような感じがする。だから、結局各社もそういう隠居仕事のものに依存をするよりも、自分は自分の企業の責任でやったほうがいいということで素通りして、おのおの自分の責任で開発に手をつけていく、こういう形であろうと思うのです。これはひとつ人事の面においても資金の面においても組織の面においても再検討して、もっと強化をして、そして各社がこれを有効に活用できるように、体制を検討して強化すべきだと思います。ひとつ本年度の課題として、大いにその点新鉱山局長の活躍を期待します。  次は事業団の運営について若干注文したいのですが、貸し付け条件の緩和について。金属鉱物探鉱促進事業団融資する金利は現在七・五%、七分五厘です。これができたころは、これに見合う商工中金なり中小企業金融公庫なり国民金融公庫なりというのは、金利がいまよりも非常に高かった。その上で七分五厘というのは一つの魅力ある金利だったのです。ところが、最近は商工中金も中小企業金融公庫も国民金融公庫も金利が下がってまいりました。大体一分見当下がっておりますね。そこで、この七分五厘というのもその見合いにおいてもっと引き下げてやるべきではないか、こう思うのです。それには政府の出資をふやすということもあるかもしれませんが、本年度の課題として七分五厘という金利をもっと下げるように努力すべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  60. 両角良彦

    両角政府委員 事業団融資条件の改善、特に貸し付け金利の引き下げにつきましては、現行の七分五厘を六分五厘にまで引き下げたいということは一つの目標としまして十分努力をいたしたいと考えておりますが、しかしながら現段階におきましては、事業団自身の経理が赤字でございまして、貸し付け金利を引き下げることによりまして、一そうその赤字を累増するようなことは不可能でございますので、将来出資を大幅に増額するという方向で金利の引き下げをはかってまいりたいと考えております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 赤字というのは、どのくらいの程度の赤字ですか。
  62. 両角良彦

    両角政府委員 七千万円ということでございます。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 それから、関係者の要望として、返済条件について現在一年据え置き五年返済、結局六年間で完済しなければいけないことになっております。探鉱のような非常にリスクの多いものは、御承知のとおり当たる場合もあるし当たらない場合もある。当たったからといってすぐそれが開発されて資金化する、売れるという状況にもなりません。そう考えると、一年据え置きではなくて、据え置き期間をもう一、二年延ばして、三年据え置き五年返還というくらいに据え置き期間も考えるべきではないか。一年というのはどうも短過ぎると思うのですが、この点はどう考えておりますか。
  64. 両角良彦

    両角政府委員 据え置き期間並びに償還期間の問題を含めまして、事業団業務としましての償還方法を一そう改善いたしたいと考えます。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 それから、減耗控除制は、四十年上期の実績によると、九社約十六億程度の減耗控除積み立てができたそうであります。私、昨年国政調査で神岡鉱山に行ったときに、減耗控除制度について意見を聞いたところが、あれはたいしたことはないというような発言をされた。長年そういう業界の希望であったものがたいしたことはないというと、一体どういう理由かなと思って実は考えたことがあるのですが、それは別として、この減耗控除でせっかく積み立てても、三年間でそれを使用しなければ課税の対象になるということになりますが、従来景気のいいときに積み立てができる、そしてやがて不景気になると探鉱資金も十分にまかなえない、したがって減耗控除積み立てをおろして探鉱する、こういうことになるのですが、この三年間の制限を一年ほど延ばしてもらいたいという希望があるそうです。大体八年くらいで周期的に一つの需給の山がくるものですから、そのまん中ごろで四年間くらいに延ばしてくれ、こういう希望もあるそうであります。ひとつこういう点も考えておいていただきたいと思います。  それから、この間参考人から話があった分ですが、減耗控除の細部について大蔵省の通達がない、やっておっても非常に不安だ、こういうことを言われておりますが、大蔵省のその点における通達の問題は解消いたしましたか。
  66. 両角良彦

    両角政府委員 減耗控除制に関します大蔵省の通達は、主として鉱物の販売収入あるいは採掘所得といったものをどういう基準、方法で算定をいたすか、あるいは新鉱床探査費の具体的な費用の範囲といったもの等をいかにきめるかという技術的な問題でございまして、きわめて近日中にその通達が出されるという予定になっております。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 中小鉱山に対する探査補助金がありますね。この間この実績を聞きましたら、有資格の鉱山が千八百ほどあるのだ。しかしこの探査補助金をもらっているのは百九十四だ。大体一割ぐらいしかこの恩典に浴しておらないのです。この政府の金属鉱物探鉱促進事業団ができて、大手は大手、中小は中小でこうやって、それぞれ政策の恩典に浴しているのですが、零細鉱山は、ほとんど切り捨てられていますね。減耗控除の恩典も、もうけがないのですからない。探査補助金も九割はひっかかっておらないという現状ですね。そうしますと、これは探査補助金を受ける鉱山をふやしてやる必要があるのではないか。一部しかせっかくの恩典に浴していない。それにはこの金額をもっとふやしてやるべきだと思います。  それからいま五十万を貸し付けの最低限にしていますね。これを自主的に四十万でできるという場合があったら、それはそれでいいのではないか。ということは、少し弾力的に運営して数をもっとふやすような運用はできないものだろうか。基本的にはこれはもっと探査補助金をふやしてやるべきではないか。そして国内鉱物資源安定供給に寄与すべきじゃないかということが基本的です。その細部の運営についても若干弾力的な運営をして、千八百のうち百九十四しかこの探査補助金を受けているものがないという状況じゃなくて、もっとこれをふやしてやるような運用をすべきじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  68. 両角良彦

    両角政府委員 基本的には新鉱床探査補助金をもっと増額すべきであるという点につきましては全く同感でございます。ただし、中小鉱山に対する補助対象となる企業が数が少ないという御指摘でございますが、御承知のように新鉱床探査補助金を受けます対象鉱種というものが現在十七定められておりまして、この十七鉱種を掘っております中小鉱山の数は約三百ぐらいでございます。したがいまして、その中で百九十以上が補助を受けているということは、相当高い率で補助対象に取り上げられているというふうに私どもは了解をいたしております。  なお、補助金額が五十万円以下でもよいのではないかということでございますが、これまたさようかと存じますが、一応の目安といたしまして、現在の探鉱補助金は試錐ボーリングが三百メートル、坑道延長が八十メートルということを一つの基準といたしております。それに必要な金額の半分を最小限度の補助金額として考えておりますので、それが大体五十万円、こういうことになっておるわけでございます。
  69. 板川正吾

    ○板川委員 それじゃ二つほど、簡単に。  この探鉱事業団が年度ごとに実施計画を立てて、大臣の承認を受けるということになっておりますが、年度ごとに実施計画を立てるについて、その前提となる基本計画というのが必要じゃないだろうか。毎年毎年その行き先がどっちへいくかわからないというのじゃなく、たとえば五カ年計画なりという、やや長期的な一つ計画というものを設け、その方向に基づいた年度ごとの計画、こういうものを立てていくべきじゃないか。年度ごとの実施計画というだけじゃ若干不足しているのじゃないか。この年度計画も、長期的な計画に基づいた年度計画というものにならなくちゃならぬじゃないか、こう思うのですが、その点と、あとは事務的ですが、十一条の役員の欠格条項、この改正の理由、「国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長」を削った理由、その二つだけでいいです。
  70. 両角良彦

    両角政府委員 探鉱計画につきまして、年次ごとの計画の基礎に基本的な計画を設定すべきではなかろうかという点につきましては、御指摘のとおりでございまして、現在金属鉱業安定臨時措置法の規定に基づきまして、金属鉱業安定のための基本計画というものが、四十二年度を目標に一応設定をされておりまして、この基本計画に基づきましていわゆる必要な埋蔵量というものを算定いたし、それに必要な探鉱量というものを次に算定をいたしまして、各年次の実施計画を策定いたしておる次第でございます。  次に法律の欠格条項の点につきましては、他の立法例と統一をいたしたという次第でございます。
  71. 板川正吾

    ○板川委員 安定臨時措置法は四十三年度でおしまいになりますからね。限時立法ですから。これはまだ長期的に続くものでしょう。ですからその点においてこちらでも基本計画というのが必要じゃないのか、こう思ったわけです。   〔始関委員長代理退席委員長着席〕 大臣見えましたが、大臣に質問する点は省略しましょう。そのかわりその内容は附帯決議の中で十分説明をいたしますから、附帯決議を聞いて、大臣のひとつ所見を承りたい、こう思います。
  72. 天野公義

    ○天野委員長 おはかりいたします。  本案に対する質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 天野公義

    ○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  74. 天野公義

    ○天野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  75. 天野公義

    ○天野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  76. 天野公義

    ○天野委員長 次に、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、始関伊平君外二名から、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず提出者から趣旨の説明を聴取いたします。板川正吾君。
  77. 板川正吾

    ○板川委員 ただいま可決されました金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表して、その提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を読み上げます。    金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、最近における銅市況の世界的混乱にかんがみ、重要鉱産物の需給の安定並びに金属鉱業の体質改善に資するため、金属鉱物探鉱促進事業団業務及び機構の飛躍的拡充強化を図るとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、探鉱の広範かつ十分な実施を推進するため、金属鉱物探鉱促進事業団探鉱融資について、金利の引下げ等融資条件の改善を図るとともに、中小鉱山に対する新鉱床探査費補助金について、予算の増額、補助単価の引上げ等その充実を図ること。  二、重要鉱産物の需給の安定を図るため、需給安定構想の具体的方策を早急に確立するよう検討すること。  三、海外における鉱物資源開発を促進するため、海外鉱物資源開発株式会社を積極的に活用できるよう強化措置を講ずること。 以上であります。  御承知のとおり、最近における銅の需給並びに価格の状況は、ローデシアの独立問題、チリの労働経済事情等に基因して、世界的混乱の様相を呈しております。もともと銅の需給関係はザンビア、チリ等の政情、労働情勢の不安定な低開発国が大きな影響力を持っている実情であります。したがって銅をはじめ重要鉱産物の需給の安定をはかることは、きわめて重要な課題となっているわけであります。一方わが国の鉱業は、開放体制において国際競争力を強化するため、体質改善を迫られているのであります。こうした状況のもとにあって、金属鉱物探鉱は最も重要な問題であり、去る昭和三十七年の本会議決議においても、探鉱促進のための機構の整備が中心的な事項であったのであります。これによって設立された本事業団は、今日まで融資、地質調査の面で相当の成果をあげてまいりました。  申すまでもなく、本事業団鉱業政策推進の柱でありまして、需給の安定のためにも、また金属鉱業の体質改善をはかるためにも、本事業団業務、機構を飛躍的に拡充強化することが今後ますます必要であると思うのであります。  次に、事業団の拡充強化とともに重要なことは、企業探鉱がより広く、より十分に行なわれるための措置の問題であります。現在事業団探鉱融資は、その特殊性にもかかわらず、必ずしも妥当な条件とはなっていないのであります。たとえば金利は七分五厘でありますが、これは他の政府関係の融資機関が年々金利を低下している傾向にあるのに反し、事業団の設立以来変わっていないのであります。本来探鉱はきわめて危険性の高いものであり、かりに探鉱して一応の成果を見ても、償還財源となり得るには相当の期間を要するのでありますから、少なくとも六分五厘程度に金利を引き下げるとともに、一年据え置き、五年償還についても改善すべきものがあると思います。  また中小鉱山は、四十年度から実施された減耗控除制度の利益を受ける場合が少なく、新鉱床探査費補助金も、これを受けられる鉱山はきわめてわずかでありますので、まず補助金予算を大幅に増額し、できるだけ多くの中小鉱山探鉱を助成することが必要であります。さらに補助単価は、現実には三分の一程度の補助にしかならない実情でありますので、単価を実態に応じて引き上げるよう措置すべきであります。  第二点は、需給安定対策の問題であります。  需給安定機関の問題は、昭和三十七年の本会議決議において要望された問題の一つであり、決議で指摘された施策のうちでいまだに実現を見ない唯一のものとなっております。最近の銅市況を見ても、需給安定の必要性は万人の認めるところであります。したがって、この際需給安定機関あるいは需給安定のための特別措置を早急に確立するよう検討することが必要であります。  最後に海外開発の問題であります。  海外開発の重要なことはいまさら申すまでもありません。過去の実績によると、海外開発については各鉱山会社が単独で進出している例が多く、海外経済協力基金から半額を出資している海外鉱物資源開発株式会社がありながら、まだ十分これが活用されていないうらみがあるのであります。したがって海外鉱物資源開発株式会社が海外開発の中核として共同体制がとれるよう、同会社のあり方を再検討することも含め、積極的に活用できるよう強化措置を講ずることが必要であります。  以上が附帯決議案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。
  78. 天野公義

    ○天野委員長 以上で説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 天野公義

    ○天野委員長 起立多数。よって本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際三木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。三木通商産業大臣
  80. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議の内容は、金属鉱物探鉱促進事業団に対して金利の引き下げ等融資条件を改善せよということ、中小鉱山に対する新鉱床の探査費の補助金について予算を増額せよ、第二には重要鉱産物の需給安定の策を講ぜよという点、第三には海外鉱物資源開発株式会社を育成強化すべきという点は、われわれもその必要は同じように考えますので、今後この決議の趣旨を尊重いたしまして実現に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  81. 天野公義

    ○天野委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 天野公義

    ○天野委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  83. 天野公義

    ○天野委員長 次会は明後十五日金曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会