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1966-04-05 第51回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月五日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君       内田 常雄君    海部 俊樹君       黒金 泰美君    佐々木秀世君       田中 六助君    中村 幸八君       二階堂 進君  早稻田柳右エ門君       石野 久男君    大村 邦夫君       沢田 政治君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       堀本 宜実君         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君  委員外出席者         (大蔵事務官主         計官)     吉瀬 維哉君     ————————————— 四月四日  キッチンツール輸出規制反対に関する請願(  天野公義君紹介)(第二五六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四八号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際おはかりいたします。  理事会において御協議を願いましたとおり、本案審査のため、明四月六日参考人より意見を聴取することとし、その人選、手続等に関しましては委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  4. 天野公義

    天野委員長 次に、本案に対する質疑の申し出がありますので、これを許します。沢田政治君。
  5. 沢田政治

    沢田委員 金属鉱物探鉱促進事業団に対して質問するわけでありますが、昭和三十七年衆議院本会議決議以来、金属鉱業等安定臨時措置法並びに金属鉱物探鉱促進事業団法というように、一連の施策が、それが満足なものであったかないかは別としても、とられつつあるわけであります。特にその中で、本会議決議でさらに政策として実現されておらないのは、需給安定機関、この問題は、これは完全に手がつかずにいまだ残っておるわけです。この点を中心にして質問したい、こういうように考えておるわけでありますけれども、この点は非常に重要な問題でございますが、大臣もまだ見えておられませんので、その問題をあと回しにしまして、若干の事務的な質問から入りたいというように考えます。  まず第一に、鉱種事情であります。たくさんの鉱種があるわけでありますけれども、その中から硫黄の問題、石こうの問題、マンガンの問題、こういう特に当面お聞きしたいという三つの問題に限って質問いたしたいと思います。  まず最初に、硫黄の問題でありますが、現在硫黄硫化鉱需要はきわめて逼迫しておるわけであります。一時は非常に滞貨があって出血輸出をしたときもあったわけでありますけれども、現時点においては非常に需要というものが逼迫をしておる。たとえば価格にしても、二、三年前にはトン二万円を大きく割っておった時代もあったわけであります。そういうこともあったわけでありますけれども、現在では工場渡しで、御承知のように二万六千円程度になっておるわけでございます。こうした状況の背景には、私の考えるところによりますと、二、三年前は、硫黄国内資源が完全に自給体制を確立できるほどあったわけであります。もちろん今日もあるわけであります。ところが国際比価、つまり価格の比較との関係で、国内鉱山生産分を十万ないし十五万程度に押え、国内鉱山スクラップ・アンド・ビルド政策を、条件が整わないうちにこれを強行してきた、こういうような政策の結果からであるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。国際価格にして非常に値段の合わないところはつぶしていくという政策をいま意識的にとったとらないは別としても、そういう結果として残っておるわけであります。したがって、そのために相当硫黄山も閉山を余儀なくされておるわけでございます。こういう点について、結局条件の整わないうちに、外国のものが安いのだから、一時でも安易に入ってくるのだから、安く入ってくるのだから、こういう目先の勘定、目先計算だけで多くの硫黄山をつぶしたというところに大きな原因があるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。したがって、こういう点に対してどう考えるか、こういうように考えています。したがって、将来こういう方向をさらにとるのかどうか。外国からどんどん入ってくるのだから、国内硫黄は要らぬのだ、こういう政策を、条件が整う、整わないということは別としても、間に合わないところはつぶしていく、そういうものを保護する必要はない、そういう従来の政策というもの、施策というものを継続していくのかどうか、こういう点に対する御答弁をまずお伺いしたいと思います。
  6. 両角良彦

    両角政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のようにわが国におきます硫黄資源につきましては、昭和二十九年ころまでは毎年相当量輸出を行なってまいりまして、完全な自給体制にあったわけでございますが、その後海外におきまする回収硫黄増大その他の事情の変化がございまして、わが国からの輸出もとだえまして、その間自給体制をとるようになってきておるわけでございまするが、海外回収硫黄その他の硫黄は御承知のようにわが国硫黄価格に比較いたしましてきわめて割安でございます。したがいまして、わが国硫黄産業に与える影響は、これが自由化をいたしました場合には相当広範なものがあろうかという観点から、かつまたわが国国内資源を活用いたすという観点から、資源の温存という見地のもとに、現在輸入は非自由化をいたしておるわけでございます。その間別途硫黄鉱業につきましての合理化対策というものを推進いたしまして、円滑なる生産合理化、製錬法の改善等促進した上で、できるだけ早期に国際的な自由化体制に入っていきたい、かように考えます。
  7. 沢田政治

    沢田委員 ただいまの質問に関連しまして、先ほど申し上げましたように、硫黄資源は、現在将来とも品位の問題があります、価格の問題があります。けれども、資源としては完全に自給体制ができるというように私は考えておるわけです。したがって、こういう自給体制供給体制ができるものを、若干値段向こうのほうが安いということで、資源が現にあるものを、どんどん輸入してくるという政策を将来ともとるのかどうかということです。これはやはり外国のものが若干値段が安いということは認めます。しかしながら、いまのスポット物ではそう安く入っておらぬわけですよ。若干私の調査によりますと、現時点においては、国内産よりもむしろ高く入ってきておるものもあるわけです。そういう意味で将来の需給等をもあわせ考えて、完全に供給体制があるのだから、しかも外貨という問題もあるでしょう、それを、輸入というものを何でもしなくちゃならぬ、こういうような政策的な方向をとるのかどうか、重ねてこの点をお聞きしたいと思うのです。
  8. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように国内硫黄を前提としましてほぼ自給体制を維持できる量的な体制にあるかと存じますが、他方、海外硫黄は一般に価格が低廉であるという利点がございますけれども、国際的な需給逼迫等影響もございまして、国内市場におきまして輸入硫黄にあまりに依存いたすということは、需給価格の面で著しい不安定性を来たすという不利な点がございますので、われわれとしましては鉱業審議会等の議を経まして硫黄鉱業合理化対策というものを強力に展開いたしまして、国内硫黄鉱山合理化によるコストダウンということを実現をいたし、低廉かつ安定的な硫黄供給国内硫黄によってまずはかっていくということを、当面の目標として推進してまいりたいと考えております。
  9. 沢田政治

    沢田委員 これに関連した質疑をいたしますけれども、特に鉱業審議会分科会ですかの中で、従来は銅とか鉛、亜鉛、重要な鉱物を主として鉱業審議会の中で審議を進めてまいったわけでありますけれども、最近において硫黄分科会ですかで一応の結論を出して、そうして通産当局としても当面の硫黄の将来がいかにあるべきか、こういう一応の結論を出したやに私は伺っておりますので、それを概略ここで御説明願いたいと思います。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 鉱業審議会硫黄硫化鉱分科会におきましては、硫黄対策につきましての恒久的な方策を検討いたしました結果、三月二十二日に一応の硫黄鉱業合理化方針というものを定めて採択をいたしております。その概略を申し上げますと、大体コストにおきまして昭和四十五年度には、昭和三十九年度の平均工場着コストに比較しまして二七%のダウンを目標とするということになっておりまして、生産量はその際鉱山硫黄につきまして三十一万トンという計画になっております。かような合理化目標を達成いたしますために、探鉱促進あるいは採掘能率向上ないしは硫黄製錬法の改善等々の施策を推進いたしますとともに、需要業界努力を得まして鉱山硫黄の引き取り問題を円滑に解決をいたし、あわせて国といたしましてもできるだけ企業合理化努力を推進してまいる、かような体制を整えることになっておるわけであります。なおこのような硫黄鉱業合理化計画という目標に対しまして、各年次計画を具体的に作成しまして、この毎年の硫黄鉱業の具体的な合理化目標の達成に努力をいたす、こういうことになっておる次第でございます。
  11. 沢田政治

    沢田委員 非常に項目を羅列した程度になっておると思うのです。お料理屋さんの、レストランのメニューと同じで、食べてみなければわからぬわけであります。おいしそうな題目を並べておりますけれども、これをどうしてやるかという明確なものはまだ出ておらぬと思うわけであります。特に私はこの点について二、三点お聞きしたいのは、たとえば合理化目標といいますか価格目標コスト目標、こういうものを定めておるわけであります。つまり昭和四十五年度においては昭和三十九年度の平均工場着コスト七三%以下とする、こういうことになっておるわけです。この七三%程度がいいのか悪いのかという議論ももちろんあります。その議論もさることながら、工場着ということになるとこれはどういうことになるかと思うわけであります。といいますのは、私はなぜそういうことを言うかといいますと、鉄道運賃の問題があるわけです。御承知のように硫黄があるところは消費地じゃないわけです。ほとんど硫黄生産地消費地は非常に遠隔な距離にあるわけです。そうなった場合に将来、昭和四十五年度まで国鉄運賃が上がらぬという約束は、見通しができたとしてもだれも断言できないと思うわけであります。最近の国債政策によってインフレになるかもわかりません。かてて加えてまた国鉄運賃の値上げになるかもわかりません。そうなるならば国鉄運賃までもこれはしょって立たなくちゃならぬようじゃ、とても合理化目標とかそういうものは立たぬと思うわけであります。私はせっかくこういうような合理化目標あるいはコスト目標をつくるならば、これは山元渡し幾ら、こういうふうにやったほうが国鉄運賃に左右されることなく、長期合理化目標ができるのじゃないか、こういうように考えますけれども、その点についていかがお考えですか。
  12. 両角良彦

    両角政府委員 四十五年度の生産費目標を三十九年度の平均工場着コストの七三%以下ということに設定をいたしましたのは、硫黄輸入採算価格工場着で一万八千円、これに対応する目標価格を設定した、こういう趣旨でございます。
  13. 沢田政治

    沢田委員 昭和四十五年度における鉱山硫黄生産量三十一万トンとする、量の目標ですね、これはどういう計算から三十一万トンになったのか、ここ一、二年の需要供給関係、将来の伸び関係、そういうものを、知っておるならばここで簡単に説明願いたいと思うのです。
  14. 両角良彦

    両角政府委員 昭和四十五年度におきます硫黄生産量三十一万トンと算定いたしました数値は、四十五年度におきまする推定量を積み上げまして、その数値を約四十万トン計算をいたしまして、そのうち回収硫黄が九万トン見込みまして、残りの三十一万トン鉱山硫黄生産量と見込んだ次第でございます。
  15. 沢田政治

    沢田委員 具体的な能率向上の問題については「露天掘りの採用あるいは採掘機械化規格化等一そう推進して採鉱能率向上をはかるものとする」こう言っておりますけれども、どこの山でもどこの状態でも露天掘りできるとは限らぬわけです。岩手県の松尾鉱山等露天掘り可能な、しかも計画の俎上にのぼっておるわけです。しかしどこでも露天掘りできるとは限らぬわけですね。したがって、いま露天掘りを採用するならば、採用でき得る山はどこどこであるのか、と同時に従来の坑内掘り露天掘りに切りかえる、こういうことになると、膨大な経費がかかると思うわけです。第一に地表を取り分けなくちゃいかぬわけです。頭のてっぺんから、山頂から硫黄含有鉱石じゃないわけです。相当地表があるわけです。それを取り分けるためには、段取りをするためには、相当膨大な経費が要ると思うわけであります。しかも非常に弱小な硫黄鉱山、特に銅、鉛、亜鉛等から比較するならば、資本構成を見ても非常に中小に属するこれらの企業が、単独の力で露天掘りに切りかえるということは、どう考えても物理的に不可能だと思うわけであります。こういう点に対してどう考えるかということ。  さらには精錬方法改善、私も専門家じゃないからわかりませんが、硫黄精錬方法も非常にやかましく言われておるわけであります。ほとんどの多くの山は、いま原始的な焼き取り精錬ですか、焼いて硫黄分を抽出しておりますけれども、松尾鉱山等でも蒸気精錬とかいろんな試験を試みておるわけでありますけれども、画期的な成果はまだ上がっておらぬというように考えております。したがって、そういう現実を踏まえて、はたして画期的な新精錬方法というものがあるのかどうか、あるならばどういう具体的な方法があるのか、こういう点を重ねてお聞きしたいわけです。  ついででありますから、これに関連してお聞きしますが、需要業界協力、こういう点もうたっておるわけであります。さらに「鉱山硫黄の引き取りに協力するものとする」従来硫黄を産出する山とそれを需要する化繊、パルプ、こういうようなもの、ある意味では非常に従属関係にあるわけでありますけれども、価格をめぐってやはり相当あつれきがあったということもあったんじゃないかと思うわけであります。したがって、この需要業界協力というのは、一体何を意味しているのか、この点も明らかにしていただきたい、こういうように考えるわけでございます。  さらに回収硫黄も、これは硫黄自給計画をきめる上には非常に大きなウエートになってくるのじゃないかと思うわけであります。したがって一回収硫黄に対する将来の見通しをどう考えるか、こういう点をお聞きしたいと思うわけであります。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 御質問採掘能率向上のために露天掘りを採用いたすという山は、ただいま私どもの承知しておる限りでは、松尾鉱業だけでございます。  なお精錬方法改善につきましては、御指摘のとおり、いろいろ技術的になお未開拓な点が多かろうとは思いまするが、新しい流動法等の技術につきまして研究促進いたしますとともに、中小鉱業所等につきましても、そのような精錬法改善につきましての共同研究というものを推進助成していく考えでございます。  なお需要業界協力とは何かという御質問につきましては、大体硫黄輸入計画等策定その他にあたりまして、国内硫黄との調整を考えまして、これが輸入計画のスムーズな策定を可能ならしめるために、需要業界協力を求める、こういう趣旨でございます。  最後に御質問がございました回収硫黄見込みでございますが、現在は大体能力的には年間十三万トンということになっておりまするが、四十五年度は大体九万トンというふうに推定をいたしておることは先ほど申し上げたとおりでございます。しかしながら、回収硫黄につきましては、諸般の事情からその数量が変動する可能性があるということはお含みいただきたいと存じます。
  17. 沢田政治

    沢田委員 この問題の最後にお聞きしたいのは、皆さんがお出しになっている中には、「国の援助」という項目があるわけです。「国は優良鉱合理化努力し、融資等を行なうものする」つまりこれはスクラップ政策ですね。どういうものを優良とするのかどうか。かつてスクラップにされた山もあるわけでありますけれども、現在ある山の中で、どれとどれがビルド、どれとどれがスクラップか、これは言いにくければ答弁しなくてもいいけれども、非常にスクラップビルド方向をねらっておると思うので、差しつかえなければこの点についてお聞きしたいと思うのです。  それとやはり、最後に一番重要なのは、自由化の時期だと思うのです。したがって、条件が整わないうちに、はだかの自由化をしたならば、これはもう完全に崩壊することは火を見るより明らかです。したがって、どういう条件が整った場合に自由化にするのか、その時期はいつか、こういう点も明らかに願いたいと思うのです。
  18. 両角良彦

    両角政府委員 どの山がビルドの山であり、どの山がスクラップ山であるかということを具体的に申し上げることは、ただいまの段階では不可能でございまするが、たとえば先ほど申し上げました松尾鉱業の場合につきましては、これは優良なる企業合理化努力の一例といたしまして、北東公庫から約三十億円の融資が行なわれている次第でございます。  輸入自由化見込みでございますが、これは先ほど来申し上げておりまする硫黄鉱業合理化目標というもの、すなわちコストの切り下げあるいはその他の合理化対策進行状況というものが具体的に中小硫黄山につきまして実を結ぶ状況を勘案しながら、できる限り早目自由化をいたしたい、かように考えております。
  19. 沢田政治

    沢田委員 特に自由化の時期については慎重な配慮をしてもらいたいと思うのです。そうでなければ、国内合理化条件が整わないうちにこれを断行した場合は、壊滅状態になると思うわけです。この点については、慎重に考えてほしいと思うのです。特に冒頭に申し上げました需給関係からまた入りたいと思いますが、現在の需給逼迫日本だけじゃない。世界的に需給状況が非常に逼迫してきておるわけであります。同じ状態国際市況の中でも生じていることは御承知のとおりと思うわけであります。たとえばアメリカフラッシュ硫黄もそうです。しかもこの国際価格も非常に上がっている中で、年五百万トン前後の生産は現在では停滞ぎみであって、フランス天然ガスからの回収硫黄もまた同じような停滞ぎみ状況を続けておるわけであります。また価格面では、カナダ天然ガスからの回収硫黄港渡しが五十三ドル、フレートが十五ドル二十五セント、日本の港での荷役が四千円、合計いたしますと二万八千五百円以上になっているわけです。先ほど申し上げましたように、日本硫黄現時点においては決して非常に高いものじゃない、むしろある場合には安い、こういう状況になっておるわけであります。したがって、このような状況が一昨年からずっと続いてきておるわけでありますが、実態はむしろかえって激化の方向をたどっているのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。したがって、こういう現象、こういう事態というものを——向こう長期展望はできないにしても、こういう事態というものをどういうように観測しておるのか、こういう点が第一点です。このような事態について、それが見通される状況のもとで、私が政府に対して質問を行なっているとき、この前、おととしの委員会であったと思いますが、政府側答弁では、それは一時的であって長期的なものではない、そういうような答弁をしておるわけです。この点についてどう考えますか。だからそのつどそのつど輸入したり輸出したり——これはどういう状況かといいますと、長期にそういうことはないだろうと言いますけれども、長期にこれが続いておるわけです。したがって、こういう点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 世界硫黄生産は、ただいま御指摘がございましたように、アメリカ、メキシコにおきまするフラッシュ硫黄、並びにカナダフランスにおきまする天然ガスからの回収硫黄というものが非常に増大をいたしておりまして、全世界供給量の約七割が、かようなフラッシュ硫黄及び回収硫黄で占められておると了解しております。一方、需要関係では世界的には一九六二年までは生産過剰ぎみでございまして、価格も低迷をいたしておった次第でございますが、その後世界的な農業生産低下並び国連食糧機構によりまする飢餓追放運動等によりまして食糧増産の要請が強まりまして、世界的に一九六三年以降急速な需要伸びを示しておりまして、結局需給バランスから見て硫黄供給不足という事態が起こった次第でございます。その間価格相当高くなってまいったわけでございます。かような需給関係は、硫黄生産を急速に増大するということがなかなか困難であるという事情考えますと、ここ二、三年の間は継続をするのではないかと考えられておりますが、その後は漸次需給及び価格は安定する傾向に向かうものと考えます。  なおこれに関連いたしまして、わが国輸入量につきましても、昭和四十年度は長期ストライキ等影響もございまして、約六万トン輸入をいたしましたが、四十一年度ではこれが鎮静いたしましたために、一万トンというふうに落ち込んでおります。なお四十二年度以降は十分国内自給体制が整うものと考えております。以上でございます。
  21. 沢田政治

    沢田委員 最近の硫黄需給逼迫は、私の考えでは、一時的なものではなく、構造的なものではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけです。たとえば共産圏、中国でもそうでありますし、パキスタンあるいはインド等も、食糧事情の悪化に伴って、肥料生産には相当の力を入れておるわけであります。将来ますます拍車をかけてその必要性が出てくると思うわけであります。したがって、私は硫黄需給逼迫は一時的なものではなくて、やはり世界的な規模において構造的なものではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、これを一時的なものと考えるのか、相当長期に続く世界的なものであるというふうに考えるのか、これは将来の硫黄計画硫黄政策を立てる意味においては重要なかなめになるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。そうなるならば、価格の面でも一トン一万五千円とか二万円を割るようなことはないのじゃないか、むしろ高くなるのじゃないか、こういうふうにさえ予見されるわけであります。したがって、こういう点については、価格の面を含め、さらに世界的な硫黄資源需要供給の問題を含めて国内資源を守るという必要性がその意味からも出てくるのではないか、こういうふうに考えますので、重複するような質問でございますが、もう一度的確な御答弁を願えれば幸いと思います。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、たとえば世界的な食糧不足といった傾向はなお当分続くという意味におきましては、世界的な硫黄需給関係逼迫しておることは構造的な面があろうかと思います。たとえば、先ほどの硫黄合理化対策における合理化目標におきましても、海外からの輸入硫黄トン三十ドルというふうに一応計算いたしておりますのも、さような意味硫黄の構造的な高値とも申すべきものを想定いたした次第でございまして、われわれとしては、かような硫黄需給関係はなお当分続くものと考えます。
  23. 沢田政治

    沢田委員 これも重複するような質問で恐縮ですが、先ほどの合理化目標価格目標の、昭和四十五年度は七三%、これがよいとか悪いとかいうことは私も議論できないんですよ。できないけれども、どこの山も露天掘りができるわけではない。松尾の山のように恵まれておる硫黄山というものはそうざらにはないわけです。しかもあのように大量に鉱物が存在しておる山はちょっと国内ではないのじゃないかと思います。世界的な規模から見てもそう恥ずかしいものではないと思います。沈でん硫黄とか天然ガス回収硫黄を除いては、山自体としてはそう遜色がないと思うのであります。松尾ならば可能かどうか、この七三%ということが妥当かどうかわかりませんが、他の山ではたしてそれができるかどうかということです。一応通産省の考え方では、外国の将来の値段というものを想定して、国際価格と競合するという意味からこの付近が妥当じゃないかというのが七三%というようにいわれておるわけであります。それについてのよしあしはここで言うことはできないわけだが、そういう想定面から外国との価格競合に非常に適合するという面のみからそれを合理化目標と定めたとしても、はたしてできるのかどうか、松尾の山を除いてどういう方法でしからば七三%に近づけていくのか、こういう点は問題になると思うわけです。したがって、私は通産当局がメニューをつくり上げることだけが通産当局の仕事じゃないと思うのです。こうこうこういうようにして、こういう手段で、こういう時期にこういう値段にすべきだという方法論までも指導しなければいかぬじゃないかと思うのです。行政の責任があると思うわけです。その点について、どうですか。
  24. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、四十五年度までに平均工場着コストを二七%以上切り下げていくという合理化目標の達成はなかなか困難であろうかと思います。特に中小の山につきましても、さような問題があろうかと思いますが、しかしながら、かような合理化目標というものは、先ほど来申し上げておりますような各種の合理化対策の推進の上に漸次実現をされてくるわけでございまして、これが一がいに不可能であるとか、困難であるとかいうことは申せないかと思いますが、一応合理化対策といたしましては、各年次にわたりまして、ただいま御指摘のございました合理化のための具体的な方法を詳しく定めまして、各山にふさわしい具体的な合理化努力年次計画に従って展開をいたし、政府もこれに対して強力な助成、協力を行なうということによりまして、二七%以上の合理化目標の実現をはかりたいと考えております。
  25. 沢田政治

    沢田委員 私は特にここで強調しておきたいことは、非常に長期展望に立ってほしいということです。というのは、これは銅を例にとっても、特に鉱業政策の中で言えるんじゃないかと思うのです。何も日本の賦存状況が悪い、品位の低い一握りの鉱石を守っていく必要はない。外国からどんどん安い鉱石を買ってきたならば、銅も供給できるんじゃないか、こういう考え方が特に大蔵当局にあったと思うのです。もちろん長期のそろばんではじくならば、安い鉱石を買ってきて安い基礎資材をつくり、そうして製品をつくって輸出したほうがいい、こういうことは単純計算の上から出てくると思うのです。しかし、こういう資源というのは、やはり国際商品なわけです。簡単にこっちで望むようなことばかりはいかぬわけです。向こう条件の変化ということも十分計算に入れておかなくちゃならぬわけです。そういうことで、最近においては銅の供給が非常に逼迫しておる。一時は銅の値段がかつて二十万円くらいの値段が、市中相場では八十万円というふうに、四倍くらいにはね上っておるわけです。貴重品扱いになっておる。そういうことは硫黄についても繰り返してはならぬと思うわけです。したがって、たとえばカナダ天然ガスからの回収硫黄が安く取れそうだ、したがって国内の若干の不良硫黄鉱山はつぶしても何とかなるんだという願望だけで政策を立てられた場合、行政をやられた場合、これはひどいことになると思うわけです。そういう点を十分配慮願いたい、こういう点を私は強調しておきたいと思います。  伊藤軽工業局長さんが来ておられますので、簡単なことでありますので、先にまずお伺いします。  この前の独禁法の審議の際にアンホの問題をお聞きしたわけでありますが、めんどうくさい前口上は除きまして、その後われわれも何も好んでそういう行政の分野に介入するという気持ちも持っておらないし、ただアンホ、特に協同アンホの問題、これは単なる行政の問題じゃない。特に鉱業政策の一環、自由化対策の一環、合理化政策の一環、こういう角度からお聞きしたわけです。そういう意味で非常にわれわれは心配しておるわけです。したがって、行政の場においてうまくこれが——協定ということばがいいのか悪いのかわからぬけれども、共存の形で平和裏に解決してほしい、こういうことを強調しておいたはずです。特に通産当局もこれは適法の手段によって、適法の手続によって認可した協同アンホでありますから、しかも月算七十五トンまで認めているわけですから、しかも金属鉱山の自家消費ということでございますから、これは当然売れるわけですし、また売るように指導しなければならぬと思うのです。そういうことが現在なされつつあるのかどうか非常に心配があるので、再びその後の経過をお聞きしたい、こういうように考えます。  それと同時に、鉱山局のほうにお聞きしょうというふうに考えておりましたけれども、昨日連絡をとりましたら、硫酸センターに関してはこれは肥料に関係がありますので、軽工業局のほうから聞いたほうがいいのではないか、こういう意見もありましたので、あわせてこれをお聞きしたいと思うわけであります。たとえば、いままでずっと硫黄のお話をしてまいったわけでありますけれども、政府はその現状の中で、特にS分に対する総合的な対策として硫酸センターの構想を考えている、こういうふうに聞いているわけです。私も不勉強で硫酸センターの構想の内容は的確に把握しておりません。しかし、これは硫化鉱に十分関連があるものでありますから、外国からその原料を輸入してくるということになりますと、相当国内資源ということから考えても非常に関連が出てくるので、その御構想をお聞きしたい、こういうように考えているわけでございます。
  26. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 最初にお尋ねの協同アンホに関する問題でございますが、三月の中旬に協同アンホの大株主であります三社の鉱山会社と爆薬の四社の部長クラスの会談をいたしているのでございます。また結論は出ておりません。両者協議をいたしまして、その結果火薬関係のほうでは社長会も開いてどうするかということを協議しておりますが、火薬業界のほうの希望としましては鉱山三社だけではなくて、協同アンホの責任者も入ってもらって協議をしたいということを言っております。そういことにつきまして、鉱山業界のほうでいま内部の意見を調整しているという段階であることを聞いております。私どもそういう形で協議が進み、円満妥結を見ればけっこうでありますし、また協議がととのわなければ、その申し出によりまして通産省で調停の仕事をいたしたいと考えているわけであります。  第二の硫酸センターの構想でございますが、一昨年来、御承知のように硫酸が非常に不足をいたしておりますし、特に西部地区においては不足を来たしている状況でございます。その対策を検討するために、産業構造審議会の化学工業部会に無機化学小委員会を設けまして、その検討を続けてまいったわけでございます。中間報告がまとまったわけでございます。今後の硫酸の需給見通しといたしましては、昭和四十二年度の硫酸の需要量が六百四十二万六千トン、同じく四十五年度の需要量が七百三十七万六千トンという数字でございます。これに対しまして硫酸の生産見通しでございますが、これは鉱業審議会硫黄硫化鉱分科会で推計をいたしております。その推計によりまして、硫化鉱と精錬の廃ガスからの硫酸の生産見通しの数字をとっております。差し引きいたしますと、昭和四十二年度におきましてサルファに換算しまして約十万トン、硫酸で約三十四万トンの不足になり、その以後この不足量はますます増大するであろうという推定を得ております。この対策といたしましては、国内硫化鉱あるいは精錬の廃ガスによる硫酸を計画以上に増産することは非常に困難であろう。したがいまして、輸入硫黄による硫酸の製造が最も望ましい方法である。この場合に、先ほど御指摘ありましたように、国内硫化鉱及びそれによる硫酸の生産に対しまして、混乱を防止するように配慮しつつ、関係企業が協同して輸入硫黄による硫酸の生産を一元的に行なう会社、これを設立する必要がある、この会社を硫酸センターと称しておるわけでございます。こういう構想によりまして、まず問題であります輸入硫黄をいかに安く確保するかという点を第一に取り上げておるわけでございまして、近くカナダに対しまして硫黄の調査団を派遣することにいたしております。この十日に出発をする予定でございます。カナダ生産地に参りまして、現地の状況等を調査いたしまして、今後の硫黄の確保について調査をしてまいる。その結果に基づきまして、さらに対策を具体的に推進をいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 沢田政治

    沢田委員 この問題で私が一番重要視しておったのは、国内硫化鉱をどうするのか、これを優先するのかどうか、こういう問題が、非常に質問したい大きな柱になっておるわけです。この点については、国内鉱優先ということを明確にされたので問題は解消するわけですが、ただ、たとえばカナダに調査団を派遣すると言っておりますけれども、私の聞くところによると、カナダ等から入ってくる外国硫黄トン一万三千円ないし一万三千五百円、こういうように想定されておるようですけれども、はたして、そういうような低廉なものが長期安定供給できる見通しがありますか。
  28. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 硫酸センターを設立するにつきましては、硫黄の入手価格につきましてもちろん腹案は持っておるわけでございます。ただ、この価格が幾らであるかといいますことにつきましては、これは今後相手方との交渉でございますので、幾らということをここで申し上げることはお許し願いたいのでございますが、現在、硫黄価格が非常に国際的にも上がっております。スポットでいま直ちに買おうということになりますと、相当高いものであろうということになるわけでございますが、一年ないし二年先におきまして新しい鉱区による回収硫黄ということを考えますと、われわれの期待する価格で入手できるのではないかということを考えまして、現地からもある程度の情報をキャッチして、そういう想定のもとに調査団を派遣をいたすわけでございます。また、その輸入硫黄を当てにしてセンターをつくるわけでございますので、その契約も長期の契約ということで、安定したソースを確保したいという考えでおるわけでございます。
  29. 沢田政治

    沢田委員 硫黄の問題はこれで終わるわけでございますが、特に合理化方向としてはいろいろな方法があると思うのです。製錬所の問題ですね、あると思うのだけれども、地下資源でありますからやはり何といっても品位をあげる、石炭で言えばカロリーですね。他の非金属あるいは金属の鉱物であるならば含有量、その中に含まれておる目的鉱種の品位を上げる、これがやはり一番重要な道じゃないかと思うわけです。たとえば硫黄でも一%品位を上げることによって、私の計算では一トン当たり約六百円のコストダウンになるのではないかと思うのです。したがって品位を上げるということになると、どうしても探鉱資金というものが必要なわけです。探鉱にはリスクが伴う。したがってそれ相当施策的な援助というものも必要じゃないかと思うのです。特に、硫黄の場合には、いままで新鉱床探査補助金の対象にもなっておらぬわけですけれども、聞くところによると、今度これを対象鉱種にする、こういうお話を聞いておりますが、これはいかがですか。
  30. 両角良彦

    両角政府委員 四十一年度から補助金対象に取り上げます。
  31. 沢田政治

    沢田委員 次は、マンガンについてお聞きします。  マンガン鉱は、これは御承知のように金属マンガンとして製鉄あるいは製鋼用の媒溶剤になるわけであります。あるいはフェロマンガン、シリコンマンガン用に、また二酸化マンガンとして、いわば化学工業用にきわめて重要な資源であることは御承知のとおりであります。現在国内産出分は二五%程度でないかというように私は考えております。低品位鉱が非常に多くなっておるところでありますけれども、探鉱促進事業団の対象鉱種になって、新鉱床探査補助金の対象にもなっておると思うわけです。また行政指導による引き取り保証もあって、不十分ながら若干の行政指導がなされておる、こういうようにこの鉱種について私は理解をしておるわけです。しかし最大の需要先であるフェロアロイですね、この合金鉄には不況カルテル——数量カルテルの申請がなされておって、その結果、買いたたきの傾向が最近の傾向としては見られておるのが実情じゃないか、こういうように考えるわけです。したがって全体の不況カルテル対策をさらに強化して推し進めていく必要があるのじゃないか、こういうように考えておるわけでございます。そういう意味で、これの需給安定機関——全部に通ずる問題でありますけれども、これの需給安定機関の設定を行なう、こういうような措置をとるべきじゃないか、こういうように考えておるが、これはいかがですか。  この問題について、これは全部言ってしまいますけれども、また、国内鉱の品位は昭和三十五年三七%、昭和三十六年三四%、昭和三十七年、八年は三三%、昭和三十九年は三二%、こういうようになって、統計を見てみますと、だんだん品位が低下しておるのが実情であります。こういうような状況に見られますように、貴重な資源でありながら、形式的な一定の指導があるだけで、非常に品位も低下していく、こういう傾向が非常に見られるわけであります。積極的な姿勢、そういう意欲というものが全然感じられないわけです。したがって、マンガン鉱の資源開発について政府がどこまでこれの把握を行なっておるのか、どれだけのまた資源の賦存状態というものを把握しておるのか、こういうように考えるわけです。はっきりした見通しなりそういうものを持っておらぬのじゃないかともさえ極言すれば考えられるわけでありますけれども、これに対してどういうような見通しなり指導なりをとろうとしておるのか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  32. 両角良彦

    両角政府委員 マンガン鉱の需要者といたしましては、御指摘のとおり鉄鋼業界ないしはフェロアロイ業界が大部分の需要者であるわけでございますが、これに対しまして供給側であるマンガン鉱山は全国で百二十ほどございますが、その中で安定的な経営並びに計画生産のできるものはわずか二割弱という状態でございまして、大部分のマンガンは百近い小規模鉱山によって供給されておると承知しております。したがいまして、御指摘のように、マンガン鉱の需給安定のために特別の措置を講ずる必要性があるわけでございまして、鉱産物の需給安定構想というものの一環といたしまして、この問題を検討してまいりたいと考えております。  さらにフェロアロイ業界ないしは鉄鋼業界との協調関係につきましては、当該業界が漸次景気の回復とともに、その構造改善の実をあげるとともに、かようなマンガン業界との協力体制、協調体制も従来以上に緊密に推進できる構想が固まりつつあると考えますので、さような方向で適切な行政指導を行なってまいりたいと考えます。  さらに御指摘のございました品位の低下という点につきましては、つとにマンガン鉱山の経営の合理化その他を通じまして、品位の向上努力をいたしておるところでございますが、特に最近におきましてはフェロアロイ業界におきまして低品位鉱の需要がふえてきたということが全体としての品位の数字的な低下ということにつながっておるかと考えられまして、必ずしもいわば意識的にもしくは結果的にマンガン鉱の品位が低下しておるというふうには理解いたしておらない次第でございます。
  33. 沢田政治

    沢田委員 鉱種事情最後に石こうについて若干お聞きしたいと思うのです。  石こうは、御承知のように、資源状況生産構造ともに硫黄鉱業に非常に類似しておるわけでございます。成分は、これは別でありますけれども、非常に単純なわけです。掘ってつくり出すというような製造工程といいますか、採掘工程といいますか、非常に似ておる鉱種であることは御承知のとおりです。しかも国内資源をもって完全にこれは自給体制というものがとれるわけです。何も貴重な外貨で外国から買わなくとも自給できる、こういう条件にあることは御承知のとおりです。しかもほとんどが中小企業によって占められておるわけでございます。しかしながら、そういう状況のもとにありながら、外国からも若干の輸入がなされておる、こういうように聞いておるわけです。しかも自給が一〇〇%とれるのだから、さらにあり余るほどあるのだから、それを何も外国から買う必要はないじゃないか、こういうように考えますが、これはいかがですか。
  34. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、石こうにつきましては、天然石こうにつきまして、特に国産の天然石こうは、輸入の天然石こうに比較しましてなお割り高であるといった面がございますために、今後合理化努力を払いまして、さような値段の差というものを解消する努力をいたすべきであると考えておりますが、現在のところ価格差のために一部輸入天然石こうが入ってきておるものと理解しております。
  35. 沢田政治

    沢田委員 この石こうを金属鉱業等安定臨時措置法の指定鉱種にするしないということが若干議論になったというように聞いておりますけれども、これは非常に零細な中小企業でありますし、自給率も一〇〇%のものでありますので、温存していく必要があるのではないかと思います。そういう意味で、これに適用させたほうがいいんじゃないか、こういうように考えますが、その点いかがお考えですか。
  36. 両角良彦

    両角政府委員 石こうを金属鉱業等安定臨時措置法の指定鉱物として鉱業審議会審議することの当否につきまして、先般審議会におきましてもいろいろな意見が出まして、分科会の設置には至らなかった次第でございますが、今後かりに設置をいたすとしましたら、分科会においていかなる項目を検討すべきかというような点等を整理いたしました上で、審議会にはかり、検討を進めてまいりたいと思います。
  37. 沢田政治

    沢田委員 いま石こう鉱業が問題になったわけでありますけれども、化学石こうは燐鉱石から燐酸肥料をとる場合、これは不純物としてその中から石こうが出てくるわけです。従来、これは不純物があるのでセメントに使えなかったわけです。セメントには化学石こうが用いられた。したがって、もっぱらプラスターとか石こうボード用に使っておったと思うのです。ところが最近技術が非常に発達してセメント用にも不純物を除去して使えるような状況になってきておるようです。そこで、化学石こうがセメントの分野まで進出するということになって、国内自然石こうの場合、非常に大きな脅威を受けておるわけです。したがって、これは私見でありますけれども、燐鉱石を外国から輸入しないで——それだけやはりかさも大きくなるし、運賃もかかるから、燐鉱石の原石のままで輸入しないで、燐酸液、中間製品にして持ってきたほうが国内資源を保護するという意味、それからそれだけかさが小さくなるのだから船賃というものが安くなるわけです。そういうことも私見として考えるわけですけれども、いかがですか。
  38. 両角良彦

    両角政府委員 燐鉱石の原石輸入という形態を、燐酸液の輸入に変えたらどうだろうかという御指摘の点につきましては、その供給源の問題あるいは受け入れ体制等につきまして、かなり困難な事情があるようでございまして、早急な実現をはかることはただいまのところむずかしい情勢ではないかと考えております。が、なお検討してみたいと思います。
  39. 沢田政治

    沢田委員 石こうについては具体的にお聞きしたいことがまだまだたくさんあります。何といっても、先ほど申し上げましたように、これは国内で完全に一〇〇%の供給体制にある資源なわけです。しかも、セメントの需要も飛躍的にどんどん増大していくだろうと思うのです。道路等も非常に完備されてくるし、公共事業の率というものも非常に多くなってくると思いますから、非常に伸びる産業であり、さらにそれを供給し得る体制にある。そういう面から、この問題については真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。しかしながら、何といっても当面非常に苦しんでおることは事実です。しかも、国鉄運賃が値上げになった。運賃をつくっておるようなものだというようにこの前、私は何かの委員会でも言いましたけれども、運賃生産するようなものなんです。かさが大きい、目方が重い、そういうことだから運賃の値上げ等によってもさらに苦しみが倍加されておるわけです。したがって、この点についても深く留意すべきではないか、こういうように考えておるわけです。したがって当面苦しんでおる零細——私も内容を見ましたけれども、零細も零細、資本金五千万円くらいのところがちょっとあっただけで、あとは百万円とか二百万円とかいう零細企業である、しかも、これは国内供給体制が一〇〇%ある、こういうことだから地域産業、地域雇用、地域格差の是正、こういう角度から単にそろばん上の政策ではなく、そういう多角的な意味を持っておる点を留意して考えてほしいと思うのです。したがって、そういう状況にありますので、どうして今日の石こう産業、こういうものを当面守っていくのか、こういう御構想でもありましたならば、大臣のほうからでもひとつ御答弁願いたいと思います。
  40. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、最近の天然石こう業界は化学石こうの進出ないしはセメント産業の不況といった影響を受けまして相当深刻な状況にあるわけでございまして、かつ先ほど来お話のございましたように、中小規模のものが多いという意味で一そうその不況の度合いを深めておるわけでございます。われわれといたしましては、このため天然石こうの振興をはかるということがきわめて緊要であると考えまして、そのための方策といたしましてまず第一には化学石こうとの間で市場協定といいますか、需要分野の調整を行なっていくことが必要ではなかろうか。たとえば天然石こうはセメント用、化学石こうは石こうボードないしは土木建築用というふうに分野を分けていくということ、さらには天然石こうに対する需要を積極的に拡大をしてまいるということ、ないしは輸出の確保につとめるといったような努力を払い、さらにどうしても合理化目標に到達し得ない零細な石こう鉱山等につきましては、むしろ業種の転換ということを積極的に指導していくことが必要ではないかと考えております。このため業界におきましても団体法によります工業組合を設立いたしまして共同の努力と結束を固めまして合理化の道を歩んでおるわけでございまして、われわれとしてもこれを一そう推進助長をいたしていきたいと考えております。
  41. 沢田政治

    沢田委員 単に口先だけじゃなく、やはり使用分野というものを明確にしていく必要があるんじゃないかと思うのです。  それからもう一つは、石こうの転業といいますか、何かそういうことを考えていますか。たとえば石こうと黒鉱は地質学的に見てうらはらで背中と腹の関係にあるというように言われているわけです。最近の黒鉱の賦存状態からして石こうのある付近にはいま脚光を浴びている黒鉱が賦存する可能性がきわめて強いわけです。そういう点についても特段の政策的な配慮をする必要があるんじゃないか、こういうように考えております。それともう一つは、特に今日の石こう産業が非常に零細である、地域経済に及ぼす影響が非常に大きい、私こういう面から憂慮しておるわけでありますけれども、いま脚光を浴びておる秋田県の北鹿地帯は黒鉱ブームで非常にわいておるわけです。探鉱事業団も行っておるわけでありますけれども、ここは膨大な石こうがあるわけです。もう石こう層なわけで、その間に黒鉱があるわけであります。したがって日本鉱業と同和鉱業ですか、これも本格的に石こうを出そうとするならば、いままでの既存の資本金百万円あるいは二百万円という零細な石こう産業は壊滅に瀕すると思うわけです。したがって私はあるものを掘るなという意味じゃありませんけれども、そこにはやはり政治的な手心というものが必要じゃないかと思う。しかも鳥取県とか北陸とかあるいは福島県にも非常に零細な企業が広範にあるものでありますから、そういう点に対してもやはり政策的な配慮というものがあってしかるべきじゃないか、こういうように考えていますけれどもいかがですか。
  42. 両角良彦

    両角政府委員 お話のように黒鉱が賦存しております可能性のある地域につきましては、黒鉱の探査を積極的に助成いたしまして、天然石こうからの業種転換につとめてまいりたいと考えております。なお今年度の広域地質調査といたしましては石こう地帯を特に対象地域として優遇をいたしておりまして、さらに新鉱床探査費補助金の交付にあたりましても石こう地帯を重点的に取り上げていく予定でございます。  なお中小業者に対する影響を勘案しまして手心を加えた採掘指導を行なうべきではないかという御意見につきましては、まことにごもっともでございまして、さような見地から大手の採掘等につきまして適宜指導を行なっておる次第でございます。
  43. 沢田政治

    沢田委員 大臣にお伺いいたしますが、ちょうど去年の参議院の選挙のときであったと思いますが、当時大臣はおそらく幹事長であったんじゃないかと思うのです。秋田県に選挙の応援に参られたそうであります。一党の幹事長でありますから選挙の応援に来られるのはこれは当然であります。そのとき、いま秋田県で開発されておる黒鉱の開発に対しては自民党としては全力投球をしてこれの開発を助成する、こういう一席をのたまわれたように私は地方新聞で知っております。そういう政治的な発言が功を奏したのかどうか僅差で社会党が破れたわけでございます。ところがふたをあけて今度は予算を見ますと、自民党が全力をあげたかどうかわからぬし、政府が全力をあげたかどうかもわからぬけれども、何も全力をあげておらぬというように私は考えざるを得ないわけでございます。したがって、これはつまらぬ質問のようにとられるかもしらぬけれども、現在の鉱業に対する助成なり地域経済を開発するという意味から、これはやはり自民党・政府としての全力投球であるのかどうか、またその場で言ったことが事実と相違するならばあれは選挙用の発言であったのかどうか、その辺、御決意を含めてお伺いしたいと思うのです。
  44. 三木武夫

    ○三木国務大臣 よくは覚えませんけれども、まあ選挙のときですから大いに——選挙のときに限らず、やはり黒鉱というものが大きな夢を与えたことは事実です。五千万トンぐらいの埋蔵量があるというのでありますが、ああいうものが発見されたのにはやはり政府の広域調査の助成というものが実を結んだというわけであります。こういうことで、とにかく日本の持っておるああいう資源というものはやはり大きな国の富になるわけですから、今後調査の点においては政府がもっと徹底して調査をやっていく必要があると思う。秋田においてもそういう意味においてはできるだけの助力を政府はしてきたつもりでございます。
  45. 沢田政治

    沢田委員 特に私この際大臣に申し上げておきたいのは、一ころ前自由化を前にして日本の金属鉱業が壊滅に瀕するんじゃないか、したがって国内資源を守らなくちゃならぬという声は与党も野党も一致しておったと思うのです。しかしながらある人のある見方によると、何か特定産業を一生懸命バックアップしているんじゃないか、利益を保護しているんじゃないか、こういう印象を持った人もあると思うわけであります。たとえば金属鉱業なら金属鉱業という産業を守るためにこれはあまりに重点的に傾いているんじゃないか、利益保護のほうが全般的な政策より先行しているんじゃないかというように考えた人もあるいはあるんじゃないかというように考えるわけです。ところが今日になったならば、金属鉱業を守る、その産業を守るということは決して特定の産業の利益を守るということではなく、日本の産業政策全般にとってもこれは非常に重要な政策であったという点は明確に証明されつつあるわけですね。といいますのは、一ころ大蔵省等ではそうであったようでありますけれども、そうでないと言われればそうでないわけでありますけれども、何も一握りの、供給量が三分の一の、しかも賦存状態が悪い、品位が悪いところを守る必要はないじゃないか、船が一そうあったならば三十万トンや四十万トン積んでこれるじゃないか、外国から買ったほうがいいじゃないかという意見も大蔵省等にはあったやに聞いておるわけであります。ところがそれが誤りであったということは今日の情勢がそれを明確に証明しておると思うわけであります。そう簡単に入ってきません。銅の需要世界的に非常に逼迫しておるわけです。しかも一ころは二十万円までして海外出血輸出をした銅鉱が市中相場では八十万円もこえたときがあったわけです。いまでも六十万円ないし七十万円だと思うわけであります。まさに銅は貴金属扱いになっているわけです。すでに銅線をかっぱらったとかそういうものが盛んに社会面をにぎわす状態になっているわけです。そういう意味で、やはり目先のことだけ考えずに、遠い将来に立って考えなくちゃいかぬじゃないかと思うわけです。特に銅の場合には後進地域といいますか、未開発地域に非常に賦存しておるわけです。したがって、ちょっとクーデターでも起きたならば入らなくなる、こういうことでございますので、やはりある程度、少なくとも半分くらいは国内鉱でいつでも供給できる、こういう対策というのは一つの産業を守るということではなく、産業全般を守る意味からも必要になってくるのじゃないかと思うわけであります。特に最近は伸銅業界、電線業界から原料倒産の声さえも非常に高いわけであります。そういうことを考えるならば、政策としても非常に重要なことじゃないか、こういうように考えるわけでございますが、いかがですか。
  46. 三木武夫

    ○三木国務大臣 言われるとおり国内資源の開発、これはやはり政策の基本になると思います。地域開発といっても、恵まれない地域といっても、神さまはやはり公平にいろいろなものを与えてあるわけでしょう。それでなければ、立地的に非常に都合の悪いところというのは、取り残されていくわけですから、その資源を開発することによって地域開発の目的も達成できるわけです。こういう意味で、日本の全国土にわたってそういう広域調査というものはやはり今後一そう力を入れていって、そして金を出せば、船さえあれば買っていいという考え方は、どうも政治の基本としてはいかないんじゃないか、やはり国内資源を十分に利用して、なお足らないものがたくさんあるんでしょうから、それで輸入するということが政治の基本でなければならない。そういう意味で、今後国内資源調査というものは力を入れてまいりたいと思います。
  47. 沢田政治

    沢田委員 大臣のおことばを聞きますと非常にごもっともでありますけれども、いま現在やっておる内容を見ますと、まだそのことばとはほど遠いものじゃないかと思うのです。努力のほどはよくわかるわけです。  特に私この際お聞きしておきたいことは、いま地下資源といっても石炭資源もありますし、石油ガスもありますし、これは一様には言えません。しかしながら、石油の需要供給に占める位置というものは、一%程度じゃないかと思うのです。これでも、一%だから無視せよ、軽視せよ、私はこういうことは言えないと思うのです。少なくとも技術温存という角度からいっても、これはやはり保護すべきだと思うのです。外国の石油資源を開発するということになっても、石油産業があってそこに技術があるからこれは可能であって、全然産業がなければ技術がないわけですから、そういう意味じゃ私はやはり国家的な見地、海外開発という角度からも、技術温存のためにも当然留意すべきことじゃないか、こういうように考えますけれども、ただ私どうも合点いかないのは、天然ガス探査補助金ですか、これは六億円ですね。これと比較してみて、国内産業においても三分の一の供給力を持っておる、こういうウエートからいくならば、横綱と序の口くらいの差があるわけですね。需要度は同じだけれども、位置づけというものは非常に差があるわけです。そういう差があるわけだけれども、片一方の自主探鉱は二億幾らですか、二億ちょっとですね。非常に差があるわけです。これはどうしてそういう差が出てくるのかと思うわけです。しかもガスの場合はおもに帝石さんがやっているのですね。SKもやっていますね。大体二社か三社だと思うのです。ところが片方、銅の場合は百何社か非常に多いわけですよ。しかも産業の総体的な占める地位というものは、があっとはるかに高いわけです。こういうことで、やはり国の資源を探査するという共通点は私わかりますけれども、そこにむらがあってはいかぬと思うわけです。もちろん限られた財源ですから、財源上の制約もあるでしょう。私はこれを非常に疑問に思っておるわけですが、片方に多いというわけじゃないのですよ。ただ比較することを許されるならば、非常に差があるのじゃないか、こういうように考えざるを得ないわけです。したがって、これが政治力があるから多くなっているのかという一つの見方も出てくると思うのです。だから私は、そういうことは政治力とかそういうものじゃないと思うのです。やはり国の地下資源というものは国民全体の財産である。それを開発することは国家としても必要であるという角度に立つならば、どうしても六億円と二億円の差というものは、考え方において合点がいかぬわけです。納得できないわけですよ。もちろんこれは大蔵省でも相当努力したというように聞いておりますけれども、なかなかこれは努力というものをすなおに認められないわけであります。したがって、大蔵省の吉瀬主計官が来ておりますので、その辺の考え方並びにこの予算要求の際にそういうように差をつけて要求したのかどうか、差をつけて要求したとするならば、どういう根拠に基づくのか、これは通産当局と大蔵省からお聞きしたいと思う。
  48. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 御質問のとおり、確かに天然ガスに対しましては六億二千万円、それに対しまして金属鉱物関係の補助金、委託費合わせまして、先生二億とおっしゃいましたが、広域地質構造の調査委託費一億五千万円、さらに準広域と申すべき地下資源の探査費の補助が一億三千四百万円、さらに中小鉱業主に行きます中小の新鉱探査補助金が四億一千万、合計いたしますと六億九千四百万円、約七億程度の金額になるわけでございます。石油のわが国の全体の需要に占めるパーセント及び金属鉱物の全体に占めるパーセントから比較いたしまして、確かに金額上のバランスは問題があろうかとも存ずる次第でございます。ただし天然ガスの探査費の補助金のほうは、先生すでに御承知のとおり、新潟地区及び秋田地区の既存の工場が相当密集しているわけでございますが、そういう工場の需要に対しまして相当資源的に枯渇してきている。この枯渇してきた状態に対しまして、何かカンフル注射を打たなければならない。もちろん金属鉱物のほうもそうでございますが、相当緊急性があるわけでございます。通産省の要求のほうも、それに備えましてある程度のバランスを持ちまして私のほうに要求してきた次第でございます。そういう要求にこたえまして、金属鉱物の探査、広域調査等につきましても相当な増額を行なった次第でございますが、なおそのバランス問題につきましては、検討を続けていきたいと思います。  なお、本年度の予算につきましては、これもすでに御承知のことかと思いますが、特に私ども力を注ぎました点は、広域の地質構造調査委託費でありまして、これにつきましては、従来の五カ所から十二カ所にふやしまして、特に下川、北鹿、和賀雄物地区、山形吉野地区等、七カ所の新地区を、地域開発というような観点を取り上げまして、新規に採択したというような事情になっております。なおまた、金属鉱物探鉱促進事業団の組織の充実、さらに定員の増加等につきましても、予算の実行段階におきまして十分配意していきたい、こう存じておる次第でございます。
  49. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、中小鉱業に対しましては、新鉱床探査費補助が、ただいま主計官の御説明にもございましたように、四億円計上されておりますが、このほか大手につきましては、金属鉱物探鉱促進事業団のほうから二十四億円の事業計画をもちまして融資を行なう準備をいたしておるわけでございます。そのような面をあわせ考えますと、天然ガスの開発と相並びまして、金属鉱物につきましても十分な努力を払っておると考えております。
  50. 沢田政治

    沢田委員 努力を払っておるおらないというのは主観になりますけれども、いずれにしても、先ほど大蔵省の吉瀬さんのほうから相当配慮したはずだと言われておりますけれども、しかもガスの場合は非常に緊急性がある、こう言われておりました。これももっともでしょう。しからば、金属鉱物について緊急性がないかということです。緊急性どころじゃないでしょう。本会議でもわが党の同僚議員が質問したように、原料倒産さえ出ておるのです。かつての、四、五年前の四倍にもはね上がっておるわけです。これは異常なことです。これはどう言ったとしても、努力した、しないという水かけ論じゃなく、やはり政府需給計画の誤り、さらにはやはり国内開発のおくれにあると思うのです。これは責任を追及する、しないは別として、やはり責任だと思うのです。そういうことだから、こういう議論をしておっても始まらぬから、やはり来年度においては相当慎重な長期的な展望に立ってこの点については考えてほしいと思うのです。  それともう一つは、最近二月の十七日ですか、鉱業審議会から答申——答申と言うか、私読んでみましたけれども、非常にあいまいですね。結論があるような、ないような、非常にわからぬわけでありますけれども、二月の十七日に出されまして、そうして黒鉱に対する基本的な考え方、特に北鹿地帯の黒鉱に対する通産当局の基本的な考え方をおまとめになった、こういう話を伺っておりますけれども、若干その点について説明を願いたいと思います。
  51. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のございました三月にまとめました秋田県北鹿地区における黒鉱開発に関しましての基本方針でございますが、この趣旨は、将来きわめて有望である銅、鉛、亜鉛等の混在しておりまする黒鉱の開発にあたりまして、これを極力推進をいたしますとともに、これに伴う鉱石の処理技術というものを新たに開発していこう。さらにこれに伴いまして、製錬所等の設備の近代化を推進をしていこうというようなことを通じまして、黒鉱の合理的な開発を進めることを目的といたしておるものでございます。このため、まず第一に、黒鉱開発にあたりましての探鉱促進ということを金属鉱物探鉱促進事業団を中心といたしまして、広域調査、精密調査の段階並びに企業探鉱という、いわゆる三段階方式を十分に活用してまいりたいということになっております。  さらに黒鉱の開発に伴いまして特に予想されまする問題点の中で、地盤の沈下対策というものにつきましては、土地の有効利用の見地から、十分関係者との調整をはかって有効な対策を講じてまいりたいということを考えております。  さらに製錬所につきましては、硫酸使用との関係等もございまして、きわめて近い将来相当量の黒鉱の処理の量が予想される地域につきまして、その既存製錬所の増設、近代化という方針によりまして合理化を進めてまいりたいと考えております。  なお、そのほか関係企業間の緊密な協調体制というものを確立いたしまして、黒鉱その他の鉱石の交錯輸送の排除あるいは施設の共同利用等々の推進をはかってまいりたいという次第であります。  さらに技術的な問題としましては、先ほど申し上げました黒鉱処理技術の向上につきましては、国といたしましても特段の研究の助成をはかりたいと考えております。  以上が、黒鉱開発の基本方針の概要でございます。
  52. 沢田政治

    沢田委員 ただいまのお話、さらには鉱業審議会の答申の内容を見ますと、特に現地製錬所の問題ですね、この点は非常にきわめて不明確なわけです。どっちにもとれるように私には考えられてならぬわけです。銅鉱の場合は既存の製錬の拡張をはかる、こういうことになっておりますから、既存の製錬といいますと、あそこには発盛というところと小坂という製錬所があるわけです。発盛の場合規模が小さいから、これはおのずから小坂製錬所を拡大する、こういうことに相なろうかと思うわけです。銅鉱の場合はきわめてわかるわけでありますけれども、亜鉛鉱の場合には非常に不明確なわけです。しかも文章によりますと、臨海ということになっておるわけであります。海のそばということになりますと、いま既存の製錬所としては三菱秋田製錬所があろうかと思うわけであります。したがって秋田製錬所を拡大するのか、あるいはまた臨海に新しい亜鉛製錬所をつくるのか。その亜鉛製錬所がどうなるのか、きわめて不明確なわけです。したがっていろいろな考え方が出てくると思うのです。既存の施設を拡大する、新しくまたつくる、こういうものも出てくるわけです。これは各社の利害も入っておると思うのです。私はどっちにも利害がないからきわめて簡単に言えるわけでありますけれども、たとえば三菱製錬所を拡大するということになると、鉱石を持っておるのが同和と日鉱である。はたしてこの原料供給だけで甘んずるか、こういう利害関係が出てまいろうと思うのです。一方新しい製錬所をつくるということになると、でなくても、いまでさえも日本亜鉛製錬所の設備は過剰ぎみなわけですよ。そういうものを、高い金をかけてもう一カ所つくるのかどうか。しかもこれが完全に減価償却されるまでは、二十年間コンスタントに鉱石が続かなければならぬわけです。そういうことなので、この点は非常にあいまいにとられておる向きがありますので、この点について大臣も詳しくわからなければいいけれども、どのように理解しておるのか。答申をいただいたほうですから、どう考えているのか、ちょっとお願いしたいわけです。
  53. 三木武夫

    ○三木国務大臣 事務当局から補足いたしますが、私が聞いているのは硫酸ですね。これの需要が一体現地でどれくらいあるのか。一つの製錬所の設置については硫酸の需要というものともにらみ合わせなければ、企業の採算に非常に影響するので、こういうのをひっくるめて検討を加えておると聞いておったのですが、事務当局のほうからもっと詳細にお答えができるかもしれません。鉱山局長からお答えいたします。
  54. 両角良彦

    両角政府委員 現在秋田県にございます製錬所の中には、設備の老朽化ないしはコストの上昇等の事情から、このまま操業を存続することが困難と認められるような製錬所も二、三あろうかと存じまするが、この問題は地域開発の問題ないしは現地におきます雇用問題等々、いろいろ影響するところもございますので、これが対策につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。特に亜鉛につきましては将来の新産都市育成との関係並びに現存する各種処理施設の活用面からの問題、新しい処理技術の開発等の関係等々、いろいろ亜鉛に関連する特有な問題点が残されておりますので、これまた慎重な検討をいたしたいと考えております。
  55. 沢田政治

    沢田委員 簡単に大臣にお伺いいたしますが、黒鉱ブームで非常にわいておる。いろいろな週刊誌にも出ておりますね。非常にけっこうなことだと思うのです。ああいう未開発と言いますか、農業県に新しい分野の産業の発展のきざしが見えてきたということは、非常に喜ばしいことだと思うのです。しかしながら現地で一番心配しておるのは第二の産炭地になりはしまいかということが多くの県民、地域住民としては非常に心配の種のようです。せっかく鉱石があった。それを全部このまま九州とか工業が密集しておる関東に原料を持っていって、残るのは鉱害だということになったのではたいへんだという空気も一部にあることは、いなめない事実です。そういうことなので、鉱業審議会ではいろいろな事情があったにしても、黒鉱の銅については小坂、そして亜鉛についてはやはり秋田。秋田のどこになるかこれはまだ若干のニュアンスが残っておるし、新たにつくるか、既存を拡大するか別としても、秋田でやる、こういう方向が出ておるわけであります。したがって、大臣も、秋田でやるというように、これは言い切れるかどうか、その点を明快にここで答弁してもらわなければ困ると思うのです。これは新産都市の問題もあるようです。
  56. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま言われることはよくわかります。地域開発の意味からいっても、新産業都市育成の意味からいっても、地元とすれば無理からぬ要望であるということはわかりますので、審議会においても十分検討いたしたいと考えております。
  57. 沢田政治

    沢田委員 局長、これは審議会で一応結論が出たというように聞いているのだけれども、まだ出ていないのですか。
  58. 両角良彦

    両角政府委員 銅につきましては、一応の結論があるわけでございますが、亜鉛につきましてはまだ出ておらないと承知しております。
  59. 沢田政治

    沢田委員 秋田で処理するというところまではきまっておるわけだけれども、秋田でどのようにして、どこで、新しくつくるのか、既存の施設を拡大するのか、こういう点は三者三様にとって、なかなか微妙で、まだはっきりした結論がつかぬ、処理するということは明確になったというように答申にも出ているでしょう。これはどうですか。
  60. 両角良彦

    両角政府委員 秋田中心としてさような製錬所も活用していく方向で検討いたしたいというふうに了解しております。
  61. 沢田政治

    沢田委員 あの付近に製錬所があるというのは秋田県だけで山形県にも新潟県にも青森県にも製錬所はないのですよ。中心としてと、回りくどい表現じゃなく、結局秋田でやる——秋田のどこだか、これはまた別ですね。そういうことでしょう。そうじゃないのですか。青森県になるかわからぬ、山形県になるかわからぬということじゃないでしょう。
  62. 両角良彦

    両角政府委員 さような方針で検討いたします。
  63. 沢田政治

    沢田委員 もう一つ、秋田で製錬をする。地域開発あるいは格差是正、こういう面から秋田で製錬をする、こういう方向が明確なようですからこの問題はこれで質問は終わります。  ただこれに関連してお聞きしておきたいのは、鉱害の問題だと思うのです。一般の住民は、炭鉱の人なんかは非常に地下を掘った場合にはどういう被害があるものか、こういう点は十分身をもって体験しておると思うのです。ところが金属鉱山の場合は山にばかりあるわけです。平たん地、居住地の下に鉱山があったということは有史以来だと思うのです。あの黒鉱が初めだと思うのです。したがって、どれだけの被害があるかということは一般の住民はまだぴんときておりません。ところが昭和四十五年、あるいは早ければ四年ころから相当の陥没が出てくるんじゃないか。住宅が傾く、あるいは農業用水路が用をなさなくなる。若干陥没したら、これはだめです。もうすでにそういうことは証明済みなわけです。現在稼行しておる花岡鉱山において相当の陥没を見ておるわけです。住宅が十度も傾いておる、ひどいところは十五度も傾いておるわけです。したがって、完全に充てん方法をとったとしても、地下水はくみ上げなければなりませんから——ガスでさえも、これは新潟県等で地盤沈下しているでしょう。しかも地下水をくみ上げるということになると、地盤沈下することは明らかです。そういうことから鉱害対策というものは非常に慎重に考えなければならぬのじゃないかと思うのです。したがって、私はその意味では、第二の産炭地にしてもらいたくないと思うのです。政府も産業界でもやはり産炭地で経験しているのですから、したがって、鉱山資源を掘り尽くして逃げていって、あとはだれもおらなかった、政府でめんどう見なければならぬ、こういうふうになりかねぬと思うのですよ。私は、少なくとも生産手段と所有権を持っておる産業会社なり経営者というものは、当然鉱害の責任の第一義を負わなければならぬと思うのですよ。そういう意味で漫然として鉱害を迎えることなく、鉱害を予想して、石炭と同じように、たとえば新しく発見された黒鉱地帯の黒鉱を一トン幾らなら幾らとして鉱害対策費として積み立てておくならおく、こういうようにしなければ、将来、政府最後には背負うかもしれませんが、いかぬことじゃないかと思うのです。みずからがそこで利潤をあげておるのだから、みずからの責任においてやはり鉱害を処理するということは道義的にも当然だと思うのです、この点についてどう考えますか。
  64. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もやはりそういうように考える。今日の企業が、自分はいろいろ企業の産業活動だけやって、鉱害は社会が責任を負うということは、第一義的には筋道は通らない。やはり企業自体がそういう鉱害を起こさないような防止の対策、鉱害が起きた場合に対する対策というものは当然に考えていく社会的な責任がやはりあると思います。したがって、従来炭鉱の経験もありますから、これに対しては強い指導を行ないたいと思います。鉱害問題は大問題だと私は思います。
  65. 沢田政治

    沢田委員 それから最後に、需給安定機関の問題についてお聞きしたいと思うのです。  予算委員会分科会の中でも同僚議員の多賀谷議員が大臣質問したようでございます。特に昭和三十七年、六年ごろは国際価格との競合において金属産業、特に銅は非常な苦境に立っておったわけです。当時は、先ほど申し上げましたように、何か需給機関をつくるというのは、非常に高く買ってやるというような保護策ではないか、こういうように考えられたのでもあるわけでありますけれども、当時の状況からいって、そういうこともあったでしょう。ところが今日のように非常に需給逼迫しておる、関連産業が非常に被害を受けておる、こういう状況のもとにおいては、特定産業の問題じゃなく、全般的な加工産業を含め、やはり政策的に考える段階にきておると思うわけです。したがって冒頭に私、大臣が来る前に言いましたけれども、昭和三十七年の衆議院の決議以来、金属鉱業等臨時措置法ですか、金属鉱物探鉱促進事業団というように、政策のよしあしは別として、厚い薄いは別として、ほとんどとられてきておるわけであります。残るのはやはり何といっても需給安定機関の問題一つにしぼられてきているのではないかと思います。他の施策についても相当研究すべき面、改良すべき面があると私は思うのですけれども、何といっても裸のまま残っておるのはやはり需給安定機関の問題じゃないかと思うのです。それで一応通産省が伸銅業界、あるいは電線業界、産銅業界からそれぞれ意見を提出させておるようであります。私も詳細にこれを読んでみました。なかなかこれは同床異夢、呉越同舟でありまして、非常に利害が違っておるわけであります。私は、やはりそれぞれの置かれておる利害というものもあり得ると思うのです。これは買うほう、売るほう、使うほうに永久につきまとう宿命じゃないかと思うのです。したがって、この三者が、完全に野放しにしておったならば、これはもう一致することは不可能じゃないかと思う。したがって、どうしたならば需要供給あるいは低廉なものを安定的に供給できるかというのがやはり高度な次元の政治的な一つの政策じゃないかと思うのです。これは意見を聞くことも必要ですよ。だけれども、何といっても最後の断を下すのは、やはり高い次元から政治的にこれを判断をする必要があるのではないか、こういうように考えるわけでございます。したがって、この点について、多賀谷議員とも相当の応酬があったようでありますけれども、なかなかわかったような、わからぬようなふん切りのつかぬような答弁でありましたけれども、これは衆議院の本会議決議にもありますので、これに対する御所見をお伺いしたいのです。
  66. 三木武夫

    ○三木国務大臣 需給安定の機関の設置については、やはりそういう構想は成り立ち得ると思うのですけれども、技術的にもいろいろむずかしい点もあって、これはやはり検討させていただきたいということで、やはり検討を——検討をするのに時間がかかるくらい、なかなかやはり技術的には困難がございますので、やはり検討の時間を与えてもらいたいと思います。
  67. 沢田政治

    沢田委員 これはいろいろ問題があるのでありますけれども、私考えても問題はありますよ。こちらを立てればあちらが立たぬというような問題があることは、これは当然です。ただこちらを立てればあちらが立たないのでこれは困る、ということでは永久にできないと思うのです。しかし、現状は私は放任できないと思うのです。かつては二十万円の銅が八十万円になっておる。原料倒産をしておる。こういうことは見のがしできないと思うのです。たとえば伸銅、電線にしても、中小企業が多いわけですね。両方合わせて四、五百くらいの会社がありますけれども、その九七%ほどは中小企業です。とても六十万、八十万の銅を買ってできるものじゃないのですよ。それでも買えればいいほうの部類ですよ。あとの三%は大企業系列で、産銅会社と直結しているものだから、高くても手に入ったほうがしあわせかもしれません。手にも入らないわけです。これで倒産している会社も相当多いのじゃないかと思うのです。したがって、いろいろ問題があるということではなくて、あることはわかっておるわけだ。わかっておるけれども、このままでは異常な状態だと思うのです。しかもかつては外国輸出したこともある。また輸入したこともある。それで外貨を日本円に直すと約八十億円程度のものを損しておるわけです。そのときはっきりした需給見通しを立ててストックをしておくならば、貴重な金、八十億円というものを損しなくても済んだわけですね。そうして国内産業も助かります。一挙両得であったわけですけれども、それをやっておらなかったからそういう損を招くし、今日のような事態を全部招いたとはしないけれども、やはり相当被害を受けておるわけです。したがってこの点については勇気を持って、いますぐ構想をここで明らかにせよということを私は言っておるわけではない。少なくともいまの銅の不足というもの、需給逼迫というものはベトナムがあるからとか、あるいはローデシアの独立によってザンビアの鉱石が入らないとか、チリのストライキによって鉱石が足りないとか、そういう原因もあります。原因もあるけれども、私の考えによると構造的の銅資源の不足じゃないかと思うのです。したがってこれは来年になったならば、価格の問題は別ですよ。価格の問題は別ですけれども、需給というものは、急速にこのバランスがとれる時期はまだほど遠いのじゃないかと思うのです。したがって、これは真剣に考えるべき事態じゃないかと思うので、少なくとも昭和四十二年度、来年度の国会にはやはり法案を提出できるような心がまえをここに明確にしておかなければ、昭和四十二年は三年、三年は四年ということになって、困難に困難が重なるという事態を必ずや私は招来すると思うのです。そういう意味で、やはり産業界、伸銅業界でもあるいは産銅業界でもそうでしょう。電線業界もそうでしょう。これはやはり長期のことを考えると同時に、きょうあすのもうけがどうなるかということを考えるといろいろ違いが出てくるだろうと思うのだが、そういうことはやはり高い政治の次元から解決しなければならない一つの道ではないかと思うので、昭和四十二年度にはこれは明確に打ち出すという決意のほどを大臣からお伺いしたいと思うのです。
  68. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいま申し上げたように検討中というようなこの場のことばでなくして、四十二年度に結論を出すことにいたしましょう。需給安定ということはやはり必要ですから、もしそういうことがないならばこういう方法でやるとか、いずれにしても結論を、いま言われるように四十二年度には出すことにいたしましょう。
  69. 沢田政治

    沢田委員 最後に、あまり活躍しておらないので名称も忘れるわけですけれども、海外鉱物資源開発株式会社ですか、これは何かやっておれば、私も鉱山には非常に興味を持っておりますのでわかっておるけれども、どうもあまり活躍しておらないようですね。その構成が悪いとかいいとかいうのではなく、いろいろな事情もあるでしょう。特に私、ある方面の方から聞きますと、海外鉱物資源開発株式会社は、鉱山業界、産銅業界のおっぽり出したスクラップ山ばかり金魚のうんこのようについてまわって、いじくりまわしておる。あんなものでは話にならないですよ。その人もどれだけの権威を持ってそこまで言ったかどうかわからないけれども、そう言っておるわけです。なるほど実績を見まするならば、そういう感も免れないわけです。したがって、これはやはりこの運営なり将来の行き方というものを根本的に考えていくべきじゃないかと思うのですけれども、その辺の事情、私もこれに対しては深い事情は知りません。知りませんけれども、実績があがっていないということは事実なんです。したがって、将来どうするのか、これに対して御答弁を願いたいと思います。
  70. 両角良彦

    両角政府委員 海外鉱発につきましては、御承知のように出資金十五億円をもちまして今日まで約四年半にわたり南米諸国数カ国の鉱山の調査を行なっておりまして、そのうち特に有望であると見られるペルーのチャピー鉱山、ボリビアのマチルデ鉱山等については探鉱をも行なっておる次第であります。この調査並びに探鉱の結果、チャピー鉱山につきましては昨年の八月、他の鉱山会社三社と共同開発に踏み切った次第でございます。またマチルデ鉱山につきましては、現在国際入札中でございます。そのほかアフリカのオートボルタのタンバオ鉱山の開発につきましても積極的な態勢のもとに相手国政府と現在折衝を進めておる次第でございます。したがいまして、海外鉱発につきましては、今後同社が民間会社では行ない得ないような大規模な鉱山開発というものを重点的に行なっていく主体といたしまして、政府としては一そう援助育成をしていく方針でございます。
  71. 沢田政治

    沢田委員 非常に経験のある民間会社でも、万三つとか千三つとかなかなか当たる率が少ないわけでありまして、したがって経験が——全部が経験が乏しいわけではないですけれども、データ等からいっても歴史が新しいですから、そういう意味であまり大きな成果は期待できない、と言いますと、ここで水をかけるようですけれども、やはり、人事なり、民間会社とのデータの交換なり、そういう点は緊密にとってもらいたいと思うのです。  それと同時に、もう一つは、海外にそれぞれ開発するために民間の会社が乗り出して行っておるわけですね。私、それをいいとか悪いとか言いません。必要でしょう。ただ、私の感ずるところによりますと、それぞれの利害のみにとらわれておると思うのです。この印象はどうしてもぬぐい切れないと思うのです。したがって、不当に鉱区を買いあさってみたり、条件をつり上げてみたり、これはちょうど四、五年前でありますけれども、アメリカの労働組合の機関紙に、どうも日本人が鉱石を買いあさって、そうして鉱石の値段を不当につり上げておる。これは大統領何とかせよといって、何というか、そういう書簡を大統領あてに出すとか出さぬとかいうことが載っておりました。そういうように非常に定評があるわけなんです。必要があるから行っておるのでしょうけれども、非常に商売としては好ましいことではないし、国家利益からいっても国内業者が相争って条件をつり上げていくということは好ましいことではないと思うのです。  そこで私は大臣に以上のことをお望みして御所見をお聞きしたわけですけれども、やはり窓口を一本化——何というかあまり向こうへ行って特定の山を買いあさって、そうして高い外事払うことがないよううまい方法がないかと思っておるのですが、これはどう考えますか。これは明らかに国費の浪費ですよ。
  72. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もそういうふうに思って、いままで私もそういう問題にぶつつかったこともあるのです。それで窓口を一つにしようといって、各社がお互いに条件を緩和した、そういう例が現にあったわけです。そういうふうな方針を打ち出しておるわけでありますから、そういう意味でこの問題も海外開発会社が中心になって、そうしてこれを窓口にして、各社が緊密な連絡をとるということで海外における開発にそういうお考えのような趣旨が徹底するような方向で指導したいと考えます。
  73. 沢田政治

    沢田委員 まだ相当ありますけれども、明日も引き続きこの議題で審議されるようでございますから、早く早くという督促の声もありますので、きょうの質問は一応これで終わります。
  74. 天野公義

    天野委員長 次会は、明六日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時三十一分散会