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1966-03-30 第51回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君       内田 常雄君    小笠 公韶君       海部 俊樹君    神田  博君       黒金 泰美君    佐々木秀世君       田中 六助君    中村 幸八君       二階堂 進君    三原 朝雄君     早稻田柳右エ門君    沢田 政治君       山崎 始男君    栗山 礼行君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         内閣官房副長官 竹下  登君         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局取引部         長)      柿沼幸一郎君         検     事         (民事局第三課         長)      住吉 君彦君         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         通商産業事務官         (重工業局計量         課長)     東   現君     ————————————— 三月二十九日  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第一  三三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地又は建物に関する計量単位統一に伴う関  係法令整備に関する法律案内閣提出第九一  号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出土地又は建物に関する計量単位統一に伴う関係法令整備に関する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 昨日の質問に引き続いて質問いたしたいと思います。  昨日の私の質問に対する川出局長答弁をもう一ぺん確認したいのですが、何市何町何丁目何番地宅地何々あるいは何番地地上建物木造かわらぶき二階建て延べ幾ら、こういったようなものは、証明であるのか資料であるのかということに対して、証明ではない、こういう御答弁をされたと思うのですが、これはいかがですか。証明になりますか、なりませんか。
  4. 川出千速

    川出政府委員 証明でないと御答弁したとすれば、それは行き過ぎでございまして、証明になる場合が多いと思います。証明になると思います。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど、証明にならないとも言われなかったと思うが、証明にならない場合が多いという言い方だったと思うのです。  そこで、計量法第十一条を開いてください。第二項ですが、「この法律において「証明」とは、公に又は業務他人一定の事実が真実である旨を表明することをいう。」となっていますね。他人一定の事実、特定せられたものに対する事実を表明するときは証明だ、こうなっておるのでしょう。そうすると、何町何番地宅地何々あるいは何番地地上建物、こういう表示のしかたは、そのあと取引というかそういうことを、広告を出すあるいは店頭に公示をする、そのことによって相手方の買い入れあるいは借り入れの申し入れを待つという行為ですね。まさにこれは証明ではないのですか。
  6. 川出千速

    川出政府委員 証明だと思います。取引には入りませんが、業務上の証明だと思います。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、具体的な事実をあらわす、すなわち何々ニュータウン、こういう場合はその中にたくさんの番地があると思います。しかし何丁目何番地、一丁目一番地地上建物、こうなった場合は、なるほどそこに数個のものがあることは予想できます。また土地の場合は何番地の一、二、三でもう固定するのですよ、その場合は証明じゃないですか。
  8. 川出千速

    川出政府委員 証明だと思います。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、店頭あるいは広告において、何番地所在の何々あるいは何番地の何々、坪何坪と、いわゆる旧尺貫法でやったときには、四月一日から違法になるのですか。
  10. 川出千速

    川出政府委員 ただいまのお話のような、具体的に特定された場合、それは業務上の証明行為になりますので、坪で表示すればそれは計量法違反になるかと思います。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 不動産屋店頭に書いていますね、紙をぶら下げておる、あれにそう書いた場合はどうです。
  12. 川出千速

    川出政府委員 同様だと思います。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、この十一条二項に関連してですが、たとえば、ゴルフで何ヤードといっていますね、あるいはボクシングで何パウンドといっていますね。これは、たとえばゴルフの場合、その施設をした者からいえばこれは営業ですね。そうして幾ら飛ばしたら、ここまでいくと何ヤードだということは、一つ競技というか、その上に立っての証明ですね。そういたしますと、ゴルフにおいて、いままで旗を立てて、ここまでは何ヤード、あるいはボクシング試合で何パウンドということは、試合取引でないとしても、その競技を行なう一つ証明になるのでしょう。なりませんか。
  14. 川出千速

    川出政府委員 ボクシングの場合の何パウンドという呼び名でございますが、これは業務上の証明にはならないと思います。ただボクシング契約上、たとえばフライ級であれば五〇・八キロでございますか、それをこえると違約金その他を払わなければならぬそうでございますが、これはメートル法でやらなければいけませんし、事実メートル法でやっております。  それから、ゴルフヤードでございますけれども、これは取引には関係ございませんし、それから業務上の証明というようにも解釈しないわけでございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 一項でも「物又は役務給付目的とする業務上の行為」、いま申しましたボクシングあるいはゴルフですね、これは業務上の行為ではありませんか。
  16. 川出千速

    川出政府委員 ゴルフヤード表示の場合でも、ボクシングの舞台でのレフェリーの発言も、これは業務上の証明とは考えられないと思います。したがって計量法違反ではないのではない  かと考えておる次第であります。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 この計量法十一条で呼ぶ「業務上」というのは一体どういうことです。
  18. 川出千速

    川出政府委員 個人的な行為ではなくて、継続反復的な営業行為というように解釈いたしております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 ボクシングをやる、入場券を売る、これは一つ業務上じゃありませんかね。そして、きょうの選手甲乙とも基準の何パウンド基準よりか下であります、下というか、そこまで体重が達していない、こういうことを一つ証明として、もしそれをこえた場合はできないのでしょう。そうした場合は、主催者側からいえば、これは業務上の証明行為、こうなりませんかね。  あるいは、新たにゴルフ場をつくる、そのときに、このゴルフ場は何ヤードのなにを持っております。そういうことで会員募集する。これはまさに業務上の行為であり、その広さ並びに長さは業務上の証明行為ではございませんか。
  20. 川出千速

    川出政府委員 会員募集の場合確かに業務上の行為でございますし、それは駅からどのくらいの距離でありますとか、立地条件あるいは面積等ございますが、そのヤードというのも必ずしも正確でない場合も多うございますし、まあ疑義はございますけれども、計量法違反であるというふうに断定は私はできないのではないかと思っております。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 その施設なり、あるいはいま言っているゴルフ場ならゴルフ場でけっこうです、それを駅から、何メートルでなしに何里何町というこのことと、もう一つは、そのゴルフ場なり、そういう施設の広さを証明する場合に、ヤードを使いますね。それは会員を募集するということについては業務上であり、そしてその広告なり、そういうものを見てその広さを判断するのでしょう。そうすると取引に対する証明になるでしょう。そういう場合にヤードを使った場合はどうです。
  22. 川出千速

    川出政府委員 その取引内容の問題としまして、非常に重要な要素である場合は、私はやはりそれは計量法の問題になろうかと思います。
  23. 板川正吾

    板川委員 関連して。きのうは二つほど、あなたの言ったことと私の言うこととお互いに食い違ったような点があった。  第一点は、時間の基本単位が秒であるべきものを、時が時間の法定単位だ、あれは間違いであった。  それからゴルフ場、これは例ですから言うのですが、ゴルフ場表示もまあヤードでいいということですが、いろいろ調べてみたら、どうもこれはヤードでいいのだというのに無理があるようですね。外国の例を見たらばヨーロッパ大陸ではメートルと、それからヤードと併用しておるそうです。本場のイギリスでも大陸からのお客さんということもあるでしょう、ヤードと(メートル)、こういうことで両方立てをしておるそうです。そういうので、西欧諸国でもメートル法を使ったりヤードを使ったり、両立てでやっておるんですね。だから日本の場合も、これはやはり原則としてメートル法に切りかえて(ヤード)と表示、こういうことであるべきじゃないかな。メートル法を普及宣伝して統一していこうという精神からいえば、そういう方向にやるべきじゃないか。ヤードでそのままいいのだという解釈専門家局長としてはどうもおかしいじゃないかな。これが一つ。それから、たとえばどうして問題があるかというと、ゴルフ場の工事を依頼する場合、契約メートル表示されて(ヤード)ということになるべきじゃないか、カッコ説明だ、違法じゃないといっているのですから。そういう便法がメートル法が完全に国民生活の中へ入ってしまわない段階においてはあってもいいのじゃないか、尾てい骨みたいなものがあっていいじゃないか、こう思うんです。それから日本ゴルフ協会というのがあるそうです。ゴルフ場ができると、ほんとうの草ゴルフ場なら別ですが、一定基準を持つと、日本ゴルフ協会ゴルフ場認定を申請して、日本ゴルフ協会認定をとるということがあるらしいのです。その場合にはやはりヤードで申請を出す、これはいまの実情ですね。これなんかもやはりメートル法で(ヤード)という形に直すべきじゃないか。そんなことを考えると、どうもゴルフ場表示ヤードで、取引じゃないのだから、あるいは証明じゃないのだから、まあ証明かも知れぬけれども、ここでいう違法の証明じゃないということで逃げるよりも、いっそのことメートル表示ヤード)、こういうことに指導すべきじゃないか。それから野球の場合でも、塁間が九十フィート、バッテリーの間、投手とキャッチャーの間が六十フィート六インチというふうに、これまたなっておるそうですね。最近は何フィートの大ホームランなんということを言わずに、百何十メートルというふうに新聞なんかでもいっていますが、この野球塁間表示なんかもやはりメートルにして(フィート)、こういう形に、やはりメートル法で一本化して統一していこう、こういうことであれば、そういう方向統一するように指導すべきじゃないか。当分の間はカッコを使って説明をしていくべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  24. 川出千速

    川出政府委員 ただいまおっしゃいましたとおりでございまして、メートル法統一精神からいたしましすと、違法のものはもちろん取り締まっていかなければいけませんが、法律上必ずしも違法でないものもそういう精神にのっとってメートル法表示に改めていくという指導をいたしたいと思います。なお野球の場合は、政府のほうでいろいろ要請をいたしまして、メートル法に切りかわっております。ゴルフその他のスポーツも徐々にそういう方向指導することが肝要かと考えております。
  25. 板川正吾

    板川委員 ボクシング目方表示は、キログラムで契約しているからいいんだということです。確かに何パウンドということばは非常に力強く大きそうに見えて、何パウンドと言うといかにも重そうに見えて、あれのほうが威勢がいいのかもしれませんけれども、メートル法統一されていくならば、ああいう国民の耳に入るもの、これはやっぱりキロでやっていくんだ、こういうふうに指導すべきじゃないだろうか。どうもパウンドなんかが出てくると、まだそういうものがあるんか、こういうふうな気持ちを持つのじゃないですか。だから原則としてメートル法統一していくんだ、その方向に視点を置いて、便宜上過渡期的にはカッコでやる。ボクシングパウンドというのは調子がいいかもしれませんけれども、何キログラムで言うことのほうがメートル法普及精神に合うんじゃないか。こういう点を四月一日からさっそく指導啓蒙できますかな。
  26. 川出千速

    川出政府委員 そのような方向で大いに努力したいと思っております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 どうやら板川君は契約、いわゆる出場契約ですね。ボクシングのような場合はヤードポンド法でやっているから、試合にあたって何パウンドということは指導によって、こういうことですが、私はプロの場合は出場契約も取り、同時に入場券も売って観衆を入れる、その入場券を発売するという行為一つ契約だと思います。取引だと思うのです。その取引の中にあって試合を見せる、ショーを見せる。その場合に出場選手目方幾らであるかということは取引の中に含まれるというか、取引に関連するその証明行為だと思うのです。そうなりませんか。入場券を売る。それはショーを見せる、試合を見せるということを内容とする。また一方からいえば、それは対価を払って見るというりっぱな双務契約じゃありませんか。取引でしょう。出場する選手、これがどれだけの体重を持つかということは、一つルールの中にあって、そのルールに定められたところの資格を有する者であるという証明になりませんか。なら、ば取引のための証明、こう言わざるを得ないと思いますが、いかがですか。
  28. 川出千速

    川出政府委員 プロボクシング興行そのもの営業でございますし、また入場券の発売は契約であろうかと思います。その場合にフライ級とか、あるいはバンタム級とか、そういう試合であるということをいっておるわけでございまして、それによって、何パウンド表示すること自体が直ちに計量法業務上の証明に該当して違反になるという断定はしにくいのじゃないかと思っておるわけであります。それは確かに取引であり、契約であると存じます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 十一条一項ですね。いいですか。「物又は役務給付目的とする業務上の行為をいう。」試合をするということは役務提供と解されるのじゃないですか。選手役務提供ですよ。
  30. 東現

    東説明員 お答えいたします。フライ級に合格するかどうか、あらかじめコミッショナーあるいはその代理が立ち会った上で、それで両選手計量いたしまして、フライ級に合格するかどうかということを確認いたしております。それでもしフライ級に合格しないでそれをオーバーする場合には、これは当然に試合そのものがやめになりますから、すでに売り払っておる切符につきましては、これは償還の問題も起こりましょうし、新たに切符を発売することは差しどめでありますから、試合そのものはやめになります。したがって計量そのものと、それから取引そのものとは、これは直接関係があるといえばありますけれども、まず計量というものが前提にあって、それで両者がこれに合格した上で取引が行なわれるわけです。付随契約が行なわれるわけです。したがいましていまのケースにつきましては特に試合を見せるという付従契約に直接関連するというよりか、その前提として計量というものがあるというふうに見たほうが妥当じゃないかと思います。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 出場契約、これだけにライトを当てた場合にはあなたの言うとおりなんですね。それも契約ならば、入場料を取って試合を見せるということも取引だといっているのです。そしてその観衆の側からいえば、選手がきょうの状態においてどれだけの重さがあって、それがきめられたルールの範囲内であるということを証する行為は、まさにその取引に関連するといいますが、取引の重要な部分をなす証明である、こう言えませんか。出場契約だけを言っておるのではないのです。今度はその主催者観客との関係一つ取引行為なんです。そうでしょう。そして出場選手といえばこれは役務提供なんです。そうじやないですか。計量法第十一条第一項による役務提供ならば、当然この計量法の適用あるべき業務上の行為であり、その、何パウンド目方を発表することは証明である、異論がありますか。
  32. 川出千速

    川出政府委員 法律解釈の点で必ずしも自信があるわけではございませんので、法律専門の部局、たとえば内閣法制局とよく相談して検討したいと思います。
  33. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいまの先生の御意見でございますが、取引上の行為証明上の行為計量法におきまして二つで、いずれに違反するかということをきめておるわけでございます。いずれにしてもどちらかである、こういうことでございます。証明行為であるということでありますとすれば、役務提供にしても、売買にいたしましても、通常この土地なり物が幾らあるということが売買なり何なりの当事者の意識にあって、それで売買が成り立つわけでございますから、取引というものと証明というものを二つに分けている以上は、その取引に通常伴いますような証明とならないような行為は、これはそこには含まない。だから証明というからにはやはりそこにもう一つあって、もう一つ一般社会通念上考えられる証明という行為がある場合に、その証明計量法違反しているかどうかということを判断しなければならないと実は思っておるわけでございます。その場合に、いまの何パウンドという、フライ級なり何なりのそういう興行お客さんに提供する行為は、これは取引でございますけれども、またこの人が何パウンドいまあるということを言うこと、そのことはその契約者と申しますか、そこに出場する人と契約者との間の一種のあるいは証明になるかもしれないのでございますけれども、営業場提供して観客に見せているその行為におきましては、はたしてそれが証明に当たるかどうか、確かに先生おっしゃいますようにこれは限界の問題だと思いますが、ただ法律はそれに罰則を科しているわけでございますので、計量法違反というまでのものとしてそれを取り扱うべきかどうか、われわれもう少し検討してみなければならないと思います。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 契約関係出場選手主催者との間に一つあるわけですよ。それからもう一つ主催者観客の間にあるわけです。そしてそのことは、選手側からいうなら役務提供である。観客側からいうならバンタム級ならバンタム級フライ級ならフライ級試合ということが、入場券を買って入るという一つ取引契約の中身なんですよ。それに具体的な甲なり乙なりという選手が当てはまりますということが、試合に先立って言っているところの何々選手パウンド、まさにそれは証明行為じゃございませんか、こう言うておるのです。
  35. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいまの先生の御説で、観客に対して一定役務提供する行為の上におきまして、しかもそれがたとえばフライ級だとかあるいは何々級の試合であるということでものを売っておるわけでございますから、そういうものを売っている場合におきまして、そのものが明らかにバンタム級試合である。あるいはフライ級試合であるというためには、そこに一種のそうであるという旨のどこかで証明する行為がなければいけない、これはもうお説のとおりでございます。そこでいまの場合、はたしてそういう証明行為というものが、先生おっしゃいますように計量法十一条にいう証明になるかどうかということでございますけれども、これはやはり罰則を伴います行為でございまして、はたしてそこまで広げて読むべきかどうかということは、いま先生の御意見ですぐそうだということまで実は言えないことでございますので、なおよく検討いたそうと思っております。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 私は何も罰則を拡張して適用しろという意味のことを言っておるのじゃないのです。しかしずっときのうからきょうにかけての川出局長答弁等から見るならば、これも証明行為であり、それが計量法第十一条違反ということになるかならぬかは、刑罰をかけることは第二義的としても、証明行為である、こう言っておるのですが、ともかく四月一日まであと二日ありますから、それまでに通産省と法制局とでよく検討をして私が納得のいくような回答をしていただきます。いいですか。
  37. 川出千速

    川出政府委員 はい。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは次にまいります。  きょうは公取部長が見えておるのですね。——公取は一問だけですから先に片づけます。これはきのうの質問から関連をするのですが、いままで慣習というか、習慣で庶民はまだ坪ということが頭にある。ところが四月一日からもう土地建物についても尺貫法はだめなんだ。そういう場合に、どこそこニュータウン単価幾ら、こういう広告をした場合、見るほうはいままでの取引観念から坪であると解釈する。そうして格安だと思って契約をする。そのときはもう手付金を渡しておる。いざ最終的な精算あるいは登記の段階になって、それは一平方メートル金額であった、三分の一程度の金額ですね。逆にいうなら三倍になるわけです。そこで問題が起きる。こういう場合もあり得るのじゃないかと思うのです。そのような場合に、広告主が、おそらくそう誤認するであろうというような点を一応知りながらそういった広告をするということ、これは詐欺の問題にもなろうと思いますが、こういう広告に対して不当表示という観点からどう考えられるか、こういうことなんです。きのうこのことを川出局長にお伺いしたら、公正取引委員会ともよく相談をして云々ということだったので、ひとつそういう場合——もちろんそれが詐欺行為ということになれば話は別。それからその場合に、それじゃ話が違うんだということで契約を破棄する。これは重要なる契約部分に錯誤があったのだからこの契約は無効である。そうすれば渡した手付は返すべきである。だが、こういうことをめぐって必ず紛争があると思うのです。そこで、公正取引委員会としては、こういう契約に対してどういうような観点から今後不動産等広告を見るか、こういうことです。
  39. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 お答えいたします。従来不動産広告指導するにあたりまして、面積につきましては平方メートルまたは坪を単位として、かつその単位を明らかにして示すような指導をいたしております。これは今月中に平方メートルだけを指示するように改正いたすことになっております。従来この指導は相当徹底いたしておりますが、ただ単位当たり幾らというような表示をした広告はほとんど見かけないような実情でございます。もし今後ただ単位幾らというような表示をしたものが出てまいりまして、しかも広告の全面から見ましてそれが一般消費者を誤認せしめるようなおそれが非常に濃厚だという場合には、広告全体からそういう結果になるかどうかということを委員会として判断していただくというふうに考えております。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 委員会が判断する、それはもちろんそういうことだけれども、指導要綱というか、それはわかったのだが、そんな場合に不当表示としての対象になるかと聞いておるんですよ。なるかならぬかは委員会がきめるんだということでは答えにならぬのですよ。
  41. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 なり得る場合があると思います。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 川出さん、公正取引委員会とよく連絡をとって云々という答弁だったのですが、それでよろしいか。
  43. 川出千速

    川出政府委員 ただいま公正取引委員会が発言されたような方向で私のほうも行政指導したいと思います。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ法務省、きのうの続きへまいりますが、現在登記簿にもうすでにメートル法に直っておるのが相当あるんですか。
  45. 住吉君彦

    ○住吉説明員 ただいま直っておりますのは、経済企画庁で実施しておられます国土調査、この国土調査の中に地籍調査というのがございますが、一筆測量をやるわけでございます。この成果図は地籍簿という書類をつけて登記所に送ってまいりますが、これは平方メートルということで徹底しております。それから最近なされております土地改良法に基づく区画整理、そういうところにも平方メートルがおいおい使われてきておりますので、そういうものは登記所のほうでは平方メートルで受けております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、今日までメートル法で申請のあったもの、それはメートル法によるように地籍をもうすでに変更しておる。しかしそうでなくて、従来のままの取引であるなら従来のままで登記は残っておる、こういうことですね。もしそうであるとするならば、メートル法統一するということは、昭和二十六年にきまっているんです。ただ土地建物については、いろんな従来の慣習等を見て、四十一年三月三十一日まで延期するということになっておる。だが二十六年には、メートル法でやるんだということはさまっておるんですよ。そしてただ例外的に四十一年三月三十一日まで延期するということなんです。やがてはメートル法に直すべき運命にあることは二十六年にわかっておる。そうしますと、その間にいわゆる権利の移転とか、あるいは権利の設定とかいうことで登記簿をさわったときに、すでに直しておくべきじゃないですか。それを今日までほっておった。そしてなおこれからもそのつどそのつどに直していく。しかも昨日の私の質問では、閲覧とかあるいは登記謄本、抄本の場合は直さずに出す、こういうことでしょう。メートル法統一するという観点と、しかもそれが一歩誤ればもう罰則に当たるということ、二十六年から原則としてそのことはわかっておったという、これらの事情を考えたときに、今日までの法務局の出張所といいますか、登記所あたりのやり方はどうかと思うんですが、どうです。
  47. 住吉君彦

    ○住吉説明員 おことばを返すようでたいへん失礼でございますけれども、登記は申請といいますか、きわめて受動的な手続でございまして、登記所のほうで積極的にそれを書きかえていくということは、特段の事情がない限りはできないわけでございます。したがいまして、当事者本人から登記をしてほしいという趣旨の申し出を受けて立つという形になっております。それが一つと、もう一つは、登記の本質は、当事者間の権利関係を明確にするということでございまして、権利の目的物、ただいま問題になっております土地建物面積ということについて、積極的に登記所がその誤謬を訂正していく。たとえば本人が百坪、こう言っておるのを、実測の結果それは百二十坪である。したがってその登記は受け付けられない、こういう趣旨の手続にはなっておらないわけでございます。そのような次第で、今日まで登記所のほうから、御指摘のように、そのつどということではなしに、今日あることを予期して十全の対策を立てるべきであったということは御指摘のとおりでございますが、昨日申し上げましたように、その時点におきましては、台帳と登記簿という二本立ての帳簿になっておりまして、その筆数も二億数千万筆に及んでおります。したがいまして、この双方を書きかえるということになりますと、その倍の事務量といいますか、書きかえの手間を要するということで、まずこれを一本の帳簿にするということを前提の作業といたしまして現在実施しておるわけでございます。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど登記の本質は第三者への対抗要件です。しかし先ほど来こちらで議論しておったように、登記簿謄本はやはり一定の事実を事実であると証明する行為なんです。もちろん権利関係に対して第三者への対抗要件が主たるものであるとしても、その対象たる不動産、これは一つの具体的な事実、これに対する証明行為ですよ。もちろん土地台帳が基本で、土地台帳の写しからこちらに持ってくることになっていますが、しかし、権利移転、売買その他の場合、土地台帳を見ると同時に、やはり登記簿というものを見るし、今日一般庶民では、やはり登記簿というほうにその重点が置かれておる。そうすると、一定の事実を事実であると証明する行為は、計量法第十一条二項にいうところの証明行為である。そうするなら、登記簿謄抄本は当然四月一日からメートル法でやるべきじゃないか、こう思うのです。ただ法務省の、具体的には登記所の、法務出張所の人員が足らないとか、あるいは事務が煩瑣であるとかいうことだけでは許されないと思うのですが、これはどうでしょう。証明行為じゃありませんか。あなたきのう、謄抄本は証明行為じゃない、こういうように言ったのですが、計量法十一条の二項から考えてどうです。
  49. 住吉君彦

    ○住吉説明員 昨日も申し上げましたように、謄抄本といいますのは、原本の記載の全部またはその一部と全く相違はないという趣旨の証明書でございます。そういたしまして、そこに記載されてある内容といいますか、いま問題になっております土地建物面積がかくかくであることに相違ないということを証明しているわけではございませんで、そのようなことが登記簿原本に書いてあるということは間違いない、こういう趣旨の文書でございます。ただしかし、昨日も申しましたように、そのことでもってもちろん私どもは事足れりとしておるわけではございませんで、閲覧に際しまして、あるいは謄抄本の交付に際しまして、登記簿は現在尺貫でその面積単位表示されているので、その取り扱いに間違いのないようにということは、奥書きもありますし、掲示もいたして十分指導していきたい、こう考えております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 これはあなたの直接の管轄でないかもわかりませんが、新憲法ができていわゆる家長制度がなくなった場合に、戸籍謄本の戸主というところを消す行為は何でやりましたか。
  51. 住吉君彦

    ○住吉説明員 これは戸籍法を改正いたしまして、戸籍原簿の戸主を戸籍の筆頭者、こういうふうに改めまして、戸籍法自体を改正いたしております。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで不動産登記法を改正すれば同じことがいえるわけです。登記謄本でも戸籍謄抄本でも、ともに記載事実が事実であるという証明であるならば、戸主何の何兵衛とあることをそのまま証明する行為は、いまあなたの言う登記法からいえば同じ行為になる。それを新憲法下において家長制度がなくなったということで、戸籍法を改正して合わしたのでしょう。そうするなら、いまあなたの言っていることは、予算とか人員とかいうことは別として、こういうようにメートル法になるならば、それに合わすように不動産登記法を改正するというのがほんとうの道じゃないですか。これをいまあなたにしいてもできないと思います。しかし私は、あくまで、登記簿の謄抄本は一定の事実を証明するものである、こういうことで計量法第十一条二項の証明に該当する、このように考えております。  ここで先ほどの保留したといいますか、あれと合わせて法制局と相談をして、ひとつ回答を求めたいと思います。これはあなたに、いまそうしろと言ったって、あなたは、失礼ですが、政府委員でもない、説明員の方に言ったって、それは無理だと思う。しかし、一方戸籍法を改正してやったならば、同じことが不動産登記法を改正することによって、できないことはないはずなんですよ。だから、これはこの程度にしておきましょう。いいですか。これは通産、法務、法制局三者で納得のいく回答を四月一日までに寄せていただきたいと思います。いいですか。——ではそういうことにして次にまいります。  今度のこの整備に関する法律、この中で、十四法ですね、これを整備法によって一様に変えようとしておるわけです。その中に地代家賃統制令というのがある。これはいわゆる勅令なんです。そこで、今日勅令がどういう状態にあるのかということを調べてみましたら、現在勅令で効力を持つものが二百以上ある。きのう法制局の話では二百八だそうですが、ともかく二百以上の勅令が今日効力を持っておる。その勅令が効力を持つに至った経過を見てみますと、まず昭和二十二年法律第七十二号で、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律ということで、いわゆる旧明治憲法によって効力を持つものが、新憲法になった場合に、さしあたり総括的に、この昭和二十二年法七十二号によって、まず効力を持たした。そうして今度は、昭和二十七年法第八十一号、これは講和発効の場合だと思いますが、そこで、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律、こういうものによって、自後引き続き効力を有するものは、百八十日以内にその手続をしない場合には失効する、こういうことをきめたわけです。  そこで、具体的に、きょうここに出ておる地代家賃統制令を見ますと、その当時は経済安定本部の所管法律になっておって、いわゆる昭和二十七年法八十一号に基づいて、各省庁が所管するところの勅令の効力ということで、これはポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律ですか、昭和二十一年法八十八号の第四条によって、この地代家賃統制令を効力を持たした。そこで、これらの三つの措置法といいますか、法律による行為、このことは、現憲法のもとに行なわれたものであるので、これはやはり現憲法下における法としての効力を、現憲法の定める手続によってやったということで、一応私は手続として形式的には終わっておると思います。しかしながら、戦後二十一年、新憲法発布せられてから二十年にならんとしております。その間に、現在の憲法において許されない法形式、これが今日残っておるということ。勅令第何号というのを見ると、まだ明治憲法が生きておる、そういう感じを受けるのですが、私はいま、だからといって、この統制令に効力がないとは言っておりません。一応の手続は完了しておる。しかし、この三つの措置に関する法律を見た場合は、あくまで暫定的な措置ですよ。いつまでもこのままほっておくという上に立ってのこれらの法律ではなかったと思うのです。今日までこれをほっておったということは、どこの怠慢かは知りませんが、法制局としてはいかがでしょうか。現在の憲法のもとに許されない法形式のものが現に効力を有しておるという問題につきましては、どうですか。
  53. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいまお述べになりましたように、今日勅令という名前で——というより、法形式と申したほうが適切と思いますが、法形式で、そのまま存続しておりますものが、私の調べでは、きのう二百八件と申し上げましたが、二百七件でございました。この勅令という形式は、確かに、ただいまお述べになりましたように、新憲法施行の際に定められました日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律及びそれと同時に定められました日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令、この二つによりまして、従前のまま、法律事項を定めたものにつきましては前者によって処理され、政令事項を定めたものにつきましては後者によって処理されております。それからさらに、ポツダム勅令につきましては、やはりお述べになりましたように、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律というのが出まして、これも、そのほとんどの部分につきまして、必要のないものは廃止されましたけれども、いまお述べになりましたように、経済安定本部その他の関係で、残ったものがございます。そういうのを全部合わせまして、ただいま申し述べました二百七件ということに相なっているわけでございます。  法制局といたしましては、これらの勅令は、新憲法下それぞれいま申し述べましたような過程によりまして、それぞれ法律と同一の効力を有するか、あるいは政令と同一の効力を有するものとされておりまするので、その形式的効力につきましては全く同じという観点から、そのまま処理を——個々の勅令というようなものがそれぞれ時勢に合わないというようなことによりまして、他の政令なり法律にかわっていくということは、これは一生懸命つとめてまいったわけでございますけれども、それを全体として一括してこれを整理するというところまでは、まだ手が届かなかった次第でございます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 これは何も通産大臣の責任じゃないのですが、一応参考までに申し上げますけれども、昭和四十一年一月一日現在現に効力を有する法律、命令を少し当たってみたのです。そうすると、勅令が、いま私は二百八と申しましたが、二百七だそうです。それから法律が千五百六十、政令が千四百六十、閣令が二十、省令が二千二百五十という、あるいは若干数字が違うかもしれませんが、これだけの現に効力を有する法律あるいは政令、命令があるわけなんです。しかも、御承知のように、毎国会二百前後の法律の改正なり制定をやっておるわけなんです。ところが、いままでに、先ほど言った三つの法律的手続はとっておりますが、勅令が残っておるということ。もちろん、この勅令の中に現に相当な役割りを果たしておる、たとえば物価統制令とかあるいは地代家賃統制令というようなものは、やはり現在相当な存在価値はあると私は思います。しかし、そのことは、やはり基礎が明治憲法なんですよ。したがって、現憲法下においては許されない法形式が残っておるということ。文章等が文語体が口語体になったとか、かたかながひらがなになったとかいう、ていさい上の問題だけでなく、やはりその中には、戦前、戦中を通じた思想が残っておるのじゃないか、あるいは用語が残っておるのじゃないか、こういうようなことが言えると思うのです。もうこの辺で明治憲法の亡霊は払拭したほうがいいのじゃないかと思うのですが、これは国務大臣として三木大臣いかがでしょうか。
  55. 三木武夫

    ○三木国務大臣 亡霊がずっと続いているかどうかはなかなか疑問で、やはりそれだけの必要があって残っておるんでしょう。そういう亡霊があるものならば、田中さんがやり玉にあげて、なかなかじっと置いておくことを承知しないはずですが、この勅令ですか、格別これがけしからぬということで、国会でそう論議を呼んだこともあまり私はないように思うのです。しかし、そういう亡霊はともかく、何かそういうものが多過ぎる。どうも法律が毎回毎回——もう必要でないようなものはやめていくべきでしょうね。そしてなるべく整理していくという考えが要ると思います。いまはそういう法律が必要でないものをそのまま置いておいて、次々にふえていきますから、国民としてもそういう法律とかあるいは命令とかいうようなものの存在をよく知らないというような場合もあるでしょうし、そういう点で一ぺんそういうふうな法律、いままでのものでもうそういう法的な効力、作用の必要のないようなものは、やはり整理するということは、考えてみたいと思います。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣が通産大臣に御就任の前ですが、いわゆる電気に関して、これもややこしかったのですよ。一たん死んだものをポツダム政令で生かして、また殺して、それで一部生かしたとかいったようなことで、いま大臣がおっしゃったようにおかしなものがあるなら、亡霊があるなら指摘してやるであろう、こういうことで、私は数年来電気の規制に関して指摘を続けてきたわけなんです。その結果、その思想というか、そういう規定をそのまま写したところが多いのですが、新電気事業法というのが一昨年成立したわけなんです。したがって、同じ思想からいえば、私は先ほど来言っているように、物価統制令とか、地代家賃統制令といったようなものが不必要とは言っておりません。しかし、これはもういわゆる新しい憲法下における手続をとった法律にすべきじゃないか、こういうように考えておるわけなんです。それで三木通産大臣の国務大臣としてのお気持ち、わかりましたが、実はこういうことを一体どこがやるのか、こう考えたところが、適当な人がないので、官房長官に実は出席を求めたのですが、所用のために竹下副長官が見えておる。そこで竹下副長官、官房長官にかわって、先ほど来の議論をお聞きだろうと思うのです。この際メートル法統一するということもけっこうですよ。ならば法律を、あるいは法律的命令も、法律の効果を持っている命令といいますか、そういう法律、命令等も一応この辺で交通整理をしてみたらどうかと思うのです。ひとつ官房長官にそれを伝え、そして閣議でもはかって、直ちにあすからやれとは申しませんが、そういう方向に閣議が決定をし、各省庁において法の整備に入るというようなことを閣議等で提言することについてはいかがでございますか。
  57. 竹下登

    ○竹下(登)政府委員 お答えいたします。  本日の田中委員の御質疑につきましては、私どもも同感の意を表する点が非常に多いと思っております。そこで、私も、一昨年の通常国会に電気事業法が成立した、それのきっかけが、本委員会田中委員のポツ勅等の整理に関する提言からなされたということは記憶いたしております。昨日来私なりにいろいろ検討いたしてみましたが、今国会で例を申し上げますならば、提案を希望する法律案が百五十八件でございます。昨年の国会が百三十六件であったと記憶いたしております。これを消化する法制局の審査能力等から申しまして、直ちにここでその御提言を承知いたしましてあるいは一年以内とかあるいは二年以内とか、期限を切って二百七にのぼるものを整理することが可能かどうかという点については、いま少し私も慎重に検討してみなければならない課題であろうと思う次第であります。ただボツ勅等で今日生きておりますものは、それぞれの必要性に応じて生きておるわけでありまして、これも正確な数字はつかめませんが、千数百の勅令が二百七にだんだん減ってきたということは、先生のおっしゃる御趣旨に沿った措置をその都度漸次とってきた結果ではなかろうかとも思ってみたわけでありますが、いずれにいたしましても政令に落とすべきものは落とす、あるいは省令にゆだねるべきものはゆだねる。また整理して法律として、文語とかかなづかいとかいうこともさることながら、整備していくということは、今日当然私どもとして考慮しなければならない課題であろうと思います。  さてそこで、閣議にはかって云々ということになりますと、私どものほうでは、閣議にかかる重要案件に関する総合調整の任務を果たしておるわけでありますが、これは直ちに閣議にはかって、あるいは期限つきで整理にさっそく取りかかるということになりますと慎重に検討する必要があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、内閣におきましてただいまの趣旨を尊重して、前向きで検討し、具体的に閣議にはかって目標を定めてきめるかどうかということになりますと、なお明確な答弁は差し控えさしていただきますが、その御趣旨に沿う方向で検討をしていきたい、このようにお答えしてしかるべきだと思います。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 竹下副長官の御答弁はだいぶ何かぐるぐる回ったような言い方だったが、ここでいつの閣議にはかります、あるいはいつまでに整備するよう閣議に提案しますと言えないだろうと思います。しかし三木大臣も国務大臣として閣議に出られるのですから、ひとつそういう事実があるということを認識していただいて、できるだけ早く整理する、こういう方向に三木大臣も官房副長官も努力してもらう、そういうことでこの点はこの辺にしておきましょう。  最後に、四月一日から土地建物について取引証明尺貫法を使ったならば直ちに違法になるということになるのですが、しかし長い習慣で、ことに大工さんだとか左官さん等が家を建てたり修理をしたりするときに、大工さん、左官さんのほうもそうだし頼むほうもそうだと思うんですよ。直ちにそれを違法だ、こういうことで罰則を適用することはどうかと思うので、その辺の運用につきましては十分なる考慮を払ってもらう必要があるのじゃなかろうかと思うのでありますが、最後に大臣から明確な答弁をいただきたいと思います。
  59. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もそのように考えています。だから法務省とも連絡をとって、これは長い習慣を一ぺんに切りかえるのですから、非常に将来の秩序を乱す悪質なものはともかく、善意でそういうことの場合は、これはみな罰則にかけてという性質のものではない。そういうことでこの法の運営については、きわめて過渡期の時代ということも考えて、弾力的に運営するようにいたします。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 以上で終わります。
  61. 板川正吾

    板川委員 ちょっとひとつ……。  計量法施行法第十三条、これは専門的なことですから局長に伺いたいのですが、「新法」、要するに計量法ですが「新法第十条第一項の規定にかかわらず、当該期間満了後であっても、取引上又は証明上の物象の状態の量の表示として用いることを妨げない。」こういう十三条の規定があるのです。これは計量法施行法第三条で、いわゆる一般は三十三年十二月三十一日、それから尺貫法では「四十一年三月三十一日以前において政令で定める日)までは、新法による法定計量単位とみなす。」こういうふうになって、この期限満了後であっても、十三条の当初に書いてありますが、第三条に、規定する期限の満了前に法定計量単位による表示を文書に記載して、そうした場合には期限満了後であってもいいということになっておるのですね。きのうも法務省に言ったのですが、これを読み直せばそういう趣旨のことです。そうすると、いま言った大工さんなんかが家を直す——新しくつくるときはメートル法で計算しても、古いものを直す場合には、古いもの自体が尺でできておるのですね。家が、尺で何間、何坪でできているのだから、これを一々翻訳しなくては取引もできない契約もできない証明もできないというのじゃ、これはまた不便な感じがしますね。一方においては、期限満了前に表示したものは後であってもいいといっているのですね。この辺に、法の運用についてしかるべき指導措置があっていいのじゃないかということを、いま田中発言の大工さんのことから思いついたのですが、これはどういうふうな措置をとられますか。趣旨はわかりますか。施行法十三条では、期限前に表示証明してあったものは期限後においてもいいといっているわけですよ。だからメートル法施行前にすでに家を坪、尺単位でつくっておいて、それを直す場合にはいま言った十三条の趣旨に似通った措置があってもいいんじゃないか、こう思うのですが、質問の趣旨はわかりますか。
  62. 東現

    東説明員 お答えいたします。  いまの例で申しますと、大工さんが古い、尺とか間とか坪という単位で建てられた家屋を建て直す場合でございますが、建て直すこと自体は、これは取引あるいは証明は全然関係はございません。ただ問題なのは、改築なんかの場合で設計図を変える場合でございますが、その場合、通常大工さんは設計図を設計事務所か何かからもらいまして、それに従って木材の木組みその他をいたしますから、大工さんに関する限りはその点問題はございません。ただその設計図につきましては新たなる表示になりますから、四月一日以降はメートル単位でやっていただくということになるかと思います。
  63. 板川正吾

    板川委員 古い家を改築する場合ですね。間取りなり大きさなりは昔の坪の、尺貫法による建物になっておるのですね。その中を修理、改築をする、直すのだ、こういう場合には、間取り全体が尺貫法によっておるのだから、取引であっても尺貫法でいいということになるのですか。
  64. 東現

    東説明員 お答えいたします。  改築すること自体は、かりにそれが旧間取りのまま新しい材料を使って建て直すということ自体は、先ほど申し上げましたように取引証明には全然関係ございません。大工さんに関する限りはそうでございます。それでその場合、部屋が坪でたとえば四畳半であるというような場合に、メートル単位に変えなければならないということは全然法律的な拘束もございません。それもなぜかなれば取引あるいは証明関係ございませんから。そういうことで、いまのケースにつきましては法律的には問題はないと考えます。
  65. 天野公義

    天野委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 天野公義

    天野委員長 速記を始めて。
  67. 東現

    東説明員 では、もう一度申し上げます。  私、その点は十分承知はいたしておりました。その解釈の点については問題がない。十分御了解をいただいておるという点をお話し申し上げましたが、いまお話しのケースにつきましては、この三月三十一日までにすでに建っておる建物について、四月一日以降それを改築するというケースについて申し上げたわけでございます。その場合につきましては、旧の表示がある、たとえばその家屋についての設計図がございまして、それが坪なり間の単位で示されておるというふうな場合には、その設計図そのもの取引あるいは証明の対象になる場合でもそれは有効でございます。ただ大工さんに関する限りはそういった取引証明には事実上全然関係ございません、われわれ調べましたけれども。そういうことで大工さんに関してはその設計図をいただいてそれで改築なら改築をするということになりますが、その場合には大工さん自身としては取引証明関係ございませんから、大工さんに関しては法律的な問題というのは全然生じないということを申し上げたわけでございます。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 大工さんに関しては全然法律上問題がないというのは、ちょっとおかしいのだよ。あなたは設計事務所が設計をする、その設計の図面に従って大工は建てるのだ、こういうケースだけを考えておられるのですよ。そうではなくて、大工さん自体が直接請負契約する場合があるわけです。その場合はやはり適用はあるのですよ。あなたは、設計事務所、そこから図面が出てというケースを考えての答弁だと思うのです。そうじゃなしに、直接大工さんと、ここをこう直してくれとか、ここをこう広げてくれとかいうことはあるんですよ。そのときを言っておるんですよ。
  69. 東現

    東説明員 少し極端に言い過ぎたかもしれませんが、そういうケースもあるということはございましょう。その場合につきましては、その改築をする家主と大工との間の契約におきまして、この設計図に従ってやるという付帯条項がついておるということになりましょう。その場合には、古い設計図面で尺なり間なり坪で表示されている場合には、それはそのまま有効でございます。それを少し模様変えするというふうな場合には、これはその設計図を改めなければいけませんから、あるいは新しくつくり直さなきゃいけませんから、その場合にはメートル単位を使用しなきゃいけないというのが十三条の趣旨だろうかと思います。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 大工に関係がないということはどうするんですか。
  71. 東現

    東説明員 その点は訂正いたしておきます。
  72. 板川正吾

    板川委員 その点はわかったのですが、もう一つ、四月以降ですか、古い建物で何間、坪でなっているのを、それを改築するような場合に、大工さんと持ち主とが契約をする場合に、建物自体が坪になっているものだから、つい坪で取引をするような形になるが、しかしこれは坪でやったら違反ということになりますね。しかし十三条の趣旨は、過去にあったものはその後でもいいというような点もあるから、家自体が過去すでに尺貫法でできているんだから、そういう場合に、多少運用上の手心はあってもしかるべきじゃないかなという感じがしたのです。
  73. 東現

    東説明員 その点につきましては私の答弁の限りではございませんので、局長にお願いいたしたいと思います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 十三条が出てきたので、ちょっと局長、関連してだけれども、十三条の解釈は、適用期限前、たとえばさようならきょうは期限前ですが、きょう尺貫でもって表示したもの、あるいは契約に書類をもって表示した場合、それは期間後、十一条にかかわらず適用がない、こういうことでしょう、十三条は。それでここに宅地何坪幾らというやつを建てておる、これは期間前に表示しておるんです。四月一日以降は、これは取りかえる必要はありませんか。施行法十三条から言うなら、期間満了前に表示したことになりますね。それはなおかつ十一条一項にかかわらずということになれば、腐って倒れるか、売買の終わるまでは有効だ、かまわないということになるのですか。それでいいのですか。
  75. 川出千速

    川出政府委員 法律上、違法ではないと思います。
  76. 板川正吾

    板川委員 そうすると、あとから尺で直してもいいんですね。
  77. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 先ほどの板川先生の御質問は、私どものほうの罰則の運用の問題に関連してくるかと思いますので、一言御説明申し上げておきます。  先ほど先生から御指摘になりました十三条の御解釈、それから十三条の精神の御指摘、いずれもごもっともだと存じます。したがいまして、形式的には十三条にぴったりはまらないために、違法な形になる場合がありましても、実際の検察の運用といたしましては、先生のような御趣旨を十分体して弾力的な検察をいたす所存でございます。
  78. 板川正吾

    板川委員 わかりました。
  79. 天野公義

    天野委員長 中村重光君。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 いま田中委員板川委員と質疑が行なわれた大工さんとの関係ですが、施行法十三条に基づいて従来登記しておった、それは尺貫法そのままでよろしい、今度は、増改築が行なわれた場合はメートル法によらなければならぬ。こういうことになりますね。それは同じ物件なんですね。だから以前のものは尺貫法によってそのままな登記が有効である、新たに増築されたものはメートル法によるということになってくると、尺貫法メートル法一つの物件に対して混在することになる、非常に混乱するのではないかと思うのだけれども、いまの質疑応答の中ではそういったように解釈されたのだが、その点どうなのですか。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕
  81. 川出千速

    川出政府委員 厳密に申しますと、そのような事態も予想されないわけではないと思いますけれども、過渡的な措置としては、本体が尺貫法の時代にできておったものはそれに合わせてやってもよろしいかと思います。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 待ってくださいよ。本件が尺貫法によってやっておったのだから、今度増築した分を本体に合わせていわゆる尺貫法でもって登記してよろしいのだ、こういうことですね、いまの答弁は。その点はどうもおかしいと思いますね。そんな混乱するような、矛盾するようなことはどうも適当ではないと思うのだ。
  83. 住吉君彦

    ○住吉説明員 登記の点についてお答え申し上げます。いま御質問のございました事例につきましては、すなわち新しい登記簿ができる、こう御理解をいただいてけっこうなわけでございます。すなわちある既設の一棟の建物に一部屋増築しましてそれがやはり一棟として観念されるということでございますと、その従前の登記簿は消しまして新しく登記用紙を起こします。そして四月一日以降におきましてはそこには平方メートルで書かれます。いままでたとえば建坪が二十坪の建物があった。そこに五坪の建て増しをした。ところがその建て増し分を含めての二月の建物とそれは観念されるという場合には、二十五坪を平方メートル表示します。でございますから、一棟の建物が一部尺貫、一部平方メートルという形で床面積表示されることはございません。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、いまのあなたの答弁重工業局長答弁とは食い違っておるのだ。だからその点は、あなたのほうとしては十分改正案を提案するにあたって意思統一が行なわれていない。これは増改築だけの問題なのだけれども、全般的にそういったような法務省とあなたのほうとは十分な折衝が行なわれていない、いわゆる研究がなされていないのではないか、そういうことでは国民はたいへん迷惑なのです。まず政府部内で混乱をしておったのでは国民側はえらい迷惑を受けることになるのですよ。あなたは先ほどの答弁を訂正することになりますか。
  85. 川出千速

    川出政府委員 法務省から御答弁になったとおりでございます。私は登記という先生の御質問のところを聞き落としたものですから、非常にあいまいな御答弁をして申しわけなかったと思います。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 私は登記ということを言ったのだけれども、登記にそのことが認められるならば、発注する側の家主と大工さんの関係だって、それは坪でもって取引していいはずなのです。取引メートル法でなければいけない、そうして登記は坪でよろしいなんてそんなばかげたことがありますか。だから質問は登記ということで質問したのだから、実際は取引というものが含まれてくると理解をして答弁をしていかなければならぬし、またそういったような行政指導がなされなければ、それは地方自治体だってそういうことでは迷惑しますよ。いまあなたが登記という質問であったからそう答えたんだとおっしゃるならば、それじゃ取引はどうなんだ、そういう場合の取引はどうすればよろしいか。
  87. 川出千速

    川出政府委員 改築の場合が取引に該当するような場合になりますと、罰則の適用の問題になりまして、先ほど法務省のほうから御答弁になりましたような運用の問題になろうかと思います。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 どうもいまのはぴったりしないんだな。登記は、いま法務省の答弁によると、増築をした場合、一方は尺貫法により、一方はメートル法によるということであってはならぬ、こういうことだった。そこであらためて増築したものを登記をする場合に、メートル法によって、平方メートルだ、これは新たに登記をさせるんだ、こういうことで、その点ははっきりした。そうすると、あなたのほうも、大工さんと家主さんとの間、あるいは請負師と家主さんとの間、そういうところはすべてメートル法によって取引が行なわれなければならぬ、積算をする場合もそうだし、領収書の交付等をやる場合もそうなんだ、そうしていなければ、当然違法であるとして罰則の対象になる、こういうことですか。
  89. 川出千速

    川出政府委員 さようでございます。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、いまお聞きのとおり、一つの増築の問題をめぐってでも、政府部内で十分検討されていないといううらみがある。国民の間には、尺貫法というのはもう定着しているわけですね。ですから、ここで四月一日からメートル法によるということになりましても、なかなか簡単には定着しないと思うのですよ。そこで政府が考えているように、新法を適用する、そう長くかからないでこれは定着してくるであろうということは、私は希望的観測に過ぎるんじゃないか。これは罰則の問題とも関連してくるわけです。新法に切りかえたから直ちにこれが違法である、悪質な犯罪行為は別として、そういった犯罪を意識してやっていないというものであるならば、これは罰則を直ちに適用するということは適当ではないんだと大臣はお答えになりましたが、私もそうだと思う。思うんだけれども、それじゃいつの時点にこれは違法であるという形で罰則を適用することになるのだろうかという、ここにやはり一つの疑問もあるわけです。だからして、国民にこれを定着をさせるために、政府はこれから先どのようなPR活動をするのだろうか、四月一日からメートル法を適用するということは、これはいつの時点かには必ず切りかえをしなければなりませんから、四月一日がいいか悪いかは別として、私は切りかえということそのことには反対をいたしません。いたしませんけれども、やはりこういう新しい制度のもとに運用していこうということになってまいりますと、国民の中にこれが定着しなければ意味ないですね。どんなにいい法律をつくりましても、その法律が、あるいは制度が国民のものにならなければ、私は意味がないと思う。したがって、政府としては、どのような準備、用意があるのであろうか、こういう疑問を持つわけです。ですから、この点に対して、大臣は提案されるにあたってどのような用意を持っておられるのであろうか、まずそのことを伺ってみたいと思います。
  91. 三木武夫

    ○三木国務大臣 定着の問題ですが、四十歳ぐらいまでの者はもう定着しているんではないでしょうか。五十歳以上じゃないでしょうか。若い四十代の者に、君はどちらかといったらやっぱりメートルだというのですね。だからそういう意味では、人口の上からいったらよほど定着してきておる。中村さんやわれわれはちょっと不便ですよ。そういうものがやっぱり一つの過渡期としてある。しかしそういっていつまでもそういうことになればなかなか改革はできないわけですから、そういう点でやらなければならぬことはPRと罰則の適用に対して弾力的な運営ということじゃないでしょうか。これは四月から、国会で議決願えれば、今後やっぱりPRをしていかなければならぬ。しかし公の新聞なども全部そうなっていますし、だから定着という点では国民の大多数の間には定着してきている。こういう尺貫法で育った人たち、この過渡期の処置としては、罰則の適用の問題あるいはこれをできるだけ周知徹底するという努力は今後いたしまして、一つの過渡期に対して非常な非常識なことが起こらないようにしたいというのが政府の方針でございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お答えのとおり、四十歳以下の人、教育を受けたという点からいいますと、四十歳以下の人は、これはメートル法が定着しておるということになる。われわれにはまた尺貫法が定着しているのですよ。また四十歳以下の人、二十歳とか三十歳という人はメートル法が定着しているから、尺貫法の定着しているほうに引きずられてくるというように混乱するということはないと思うのだけれども、四十歳あるいは三十歳の人といえども、教育はメートル法で受けたんだが、実際は土地建物は言うに及ばず、その他いろいろ一個の単位として販売をされている、取引されている、いわゆる尺貫法取引されているものは、教育はメートル法で受けたんだけれども、実際生活の中で尺貫法取引をされているものだから、今度はそのほうがまた実際生活の面から定着をしてきているということになると私は思う。したがって必ずしもわれわれだけが混乱をするということでないと私は思う。相当広い層の国民が混乱をしてくることになるのじゃなかろうか、こう思うのです。ですから四月一日からこれを実施する、実施するけれども直ちに新法に切りかえられたからといって定着するわけじゃないんだから、積極的に今度はPR活動をしていくんだ、その間間違いがあってもそれは悪質でない限り違法であるという罰則の適用はしない、そういう方針でいくんだ、こうおっしゃる。おっしゃるのだけれども、必ずしも大臣がお考えになっているような積極的なPR活動をおやりになることは、予算面から考えてもできないんじゃないか。ですから私はもっと政府のほうのPRに対するかまえが積極的でなければならぬというような感じがいたします。予算も大幅にとらなければなりますまい。また局長答弁では、新聞とかテレビとかラジオとかあるいはその他パンフレット等を出して相当PRをしておるのだとおっしゃったのだけれども、私は忙しい時間をさいてでもできるだけテレビを見るようにしているのだけれども、コマーシャルはなかなか盛んなんだが、どうもこのメートル法にするためのPRというものを民放の中でもあまり見ないですね。したがって四月一日からメートル法ですから寝耳に水のような感じを大多数の国民が受けるのではないかという感じがいたします。大臣のお取り組みになろうとする姿勢というのか、それはわかりますけれども、その裏づけというものが不十分である、私はこう考えるわけです。その点が非常に重要ですから、ほんとうに具体的にどのようなPR活動をしようとするのか、予算面が非常に少ないじゃないかということに対しては、それは国の予算だけじゃないんだ、地方自治体も予算を計上してPR活動をやることになっているんだ、こうおっしゃった。それでは地方自治体は具体的にどの程度の予算を計上してPR活動をしようとしておるのか、さらにまた地方自治体がするPR活動に対して国はどのような援助をしようとしておるのかということに対してのお答えもまだないわけですから、その点もつまりびらかではありません。だからしてそういう問題を進んであなたのほうから具体的に御説明がなければならぬと私は思う。同時に、法定計量単位というのが四十七単位かある、こういうわけですね。私どももそんなにあるんだろうかと思うのです。それは尺貫法というものが定着しているから特に私はそういう感じを受けると思う。したがってこういう改正案というのか整備法を今度はお出しになるのだから、そういう場合はわれわれに対する資料をお出しになって、これはこういうことになるんですといって具体的に単位を明確にして、この品物はこういう形で取り引きがなされなければならないのだという参考になるような資料を委員会に提出していくというぐらいのかまえが私はあってしかるべしと思う。そういうことをなさらないということだけでもまだあなたのほうの取り組みというものが積極的でない、不十分過ぎるぐらいに不十分だと言わなければならない。それを不十分のまま国民に押しつけていくという態度は私は怠慢だと言わなければならぬ、こう思うわけです。これは違反をやってもすぐ罰則を適用しないんだからいいじゃないかというそういうこと自体が、もしあるとするならば私は間違いであると思う。決して私は罰則を適用しろと言わない、言わないんだけれども、やはり法律をつくる、そして罰則なら罰則というものがあるということを国民にも知らしめる、そしてまたこのメートル法国民の中に十分定着させて事実上メートル法が守られることによってそういう罰則が適用されるという形にならないようにしていくということが行政としての重要な点ではなかろうか、私はこう思うわけです。昨日から本日にかけましての質疑応答を通じて私が感じますことは、どうもその点はむしろ怠慢ではないか、私はこう指摘しなければならない、こういうことでございますが、その点どうでございましょう。
  93. 三木武夫

    ○三木国務大臣 確かに宣伝の点は十分にやったとは言えぬと思います。したがってこれがいよいよ実施されるということになれば政府、地方自治団体あるいはラジオ、テレビなどの協力も得てできるだけ国民が過渡期の混乱を起こさないように努力をするようにいたしたいと思います。ただこのごろテレビなんかは、私よく見るのですけれども、やっぱりみんな変わってきている。残っているのは坪だけですが、ほかのほうではあまり混乱が起こらない。いま土地問題なんかやかましいときですから、この点がなかなかやっかいなんですが、切りかえてみたらやっぱり坪よりもメートルのほうが幅がわかって、考えてみればこのほうが便利でしょうからね。そういう点でできるだけきりかえのときに混乱が起こらないように最善を尽くして努力をいたします。いままでちょっと足りなかったということはわれわれもそのとおりに考えますから、これが実施される場合には全力を尽くして混乱を少なくするようにしたいと思います。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 切りかえは私も賛成なんです。併用していくなんていうことがそうたくさんあってはそのこと自体が混乱をしますから、全くこれは不合理であるし不経済である、こういうように考えますから切りかえそのものに反対しているのではない。時期と方法が問題であるということを言っている。同時に政府のかまえが非常に重要である。先ほど私は局長にあなたの昨日来のお答えが明確になってないということでお尋ねをしたんだが、あなたは地方自治体に予算が計上されてある、地方自治体もそういうことでそれなりのPRをやるのだとおっしゃった。それでは具体的にどういうことを地方自治体に協力要請をしておられるのか。そしてあなたは地方自治体もこうしておるのだということをお答えになったのだからあなたも知っておられるだろうと思うが、地方自治体はこのためにどの程度の予算を計上しておるのか、そしてまた地方自治体に対してあなたのほうとしてはどれほどの財政援助をしようとお考えになっておるのか、その点どうなんですか。
  95. 川出千速

    川出政府委員 地方自治体の予算につきましては現在調査中でございますが、四、五百万見当ではなかろうかと思っております。そのほかに特別市その他の関係がございますが、この辺はよくわかっておりません。それから地方自治体に対しましては私のほうからもいろいろ連絡をしておりますが、講習会とかあるいはPR用のパンフレットの作成配付等が中心になろうかと考えております。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 意地悪くいえば調査をしておらずに四、五百万とどうしてわかるかと言いたいけれどもそれは触れません。ともかくもっと積極的におやりにならなければならぬと思う。  それからいままで数回延期されたが、どうして延期したのですか。
  97. 川出千速

    川出政府委員 戦後計量法になってからは一回も延期いたしておりません。戦前、戦中に二回ほど尺貫法メートル法に法の強制によって切りかえようとしました際に、いろいろ反対の声が強くなって延期したことはございますけれども、それは先ほどのおことばのとおりやはり尺貫法に定着をしている人口も相当ございますし、また民族的な考え方という思想もございましたし、かえって生活に不便になるのだというような意見もございました。特に土地建物については、伝統とそれから生活にいろいろと密着しておる関係上、戦前におきましても例外扱いになって猶予期間を延ばすという取り扱いになっておりました。戦後二十六年に度量衡法から計量法に移行をした場合メートル法統一の方針がきまったわけでございます。そのきまった方針というのは、三十三年十二月末までに土地建物以外のものはメートル法に切りかえる、土地建物は四十一年の三月末を期限として四月一日から切りかえる、かような方針が二十六年にきまっておりまして、それからは延長をいたしておりません。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 時期尚早であるという意見が相当ありますね。同時にこれまた田中板川委員から質疑が行なわれました登記簿の書きかえの問題、昨日のお答えではそれが五億万件ということでしたかね。目下土地建物の台帳を一本にするためにその作業が五〇%程度しか進んでいない、こういうことです。ですから、いろいろ法務省としては考え方はありましょうけれども、私どもは、メートル法を全面実施をするということに対しては、登記簿というものをきちっとまず整備するということが適当ではないかという考え方を持つ。あなた方政府自体としても、それらのことを検討しなかったはずはないと私は思う。やはり時期尚早であるという、国民の中のどの程度の声かは別として、そういう声が相当ある。政府部内においてももまだ準備は整っていない、そういうことから四月一日全面実施ということでなくて、これをもう少し延ばす必要があったのではないかという検討など行なわれておるのではないかと私は思うのだけれど、そういった検討は行なわれなかったのか、行なわれたとするならば、やはり四月一日実施に踏み切るべし、延期すべきではないということに決定をした積極的な理由はどうなのか、その点どうでしょう。
  99. 川出千速

    川出政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和二十六年に計量法を制定いたしました際に、土地建物につきましては、本年の三月末を期限とするという方針がきまったわけでございまして、自後、われわれといたしましては、メートル法の普及、PRに力を尽くしてきたわけでございます。三十四年一月以降をもって土地建物以外のものは完全にメートル法に現在移行しております。残りましたのは、土地建物面積の問題だけとなったわけでございます。これをさらに延ばす意見がなかったのか、その辺はどういう検討をしたのか、こういうことでございますが、法律としては、四十一年三月末ということできまっておったわけでございまして、この方針をさらに変更しなければならないかどうかという議論は、現在、計量法の改正法案を国会に出そうとしておりますけれども、この改正法案を審議しました計量審議会でも、私はいろいろはかってみたわけでございますけれども、いろいろ不便はあるけれども、方針はすでにきまっておるから、一つは踏み切りの問題でございますし、やはり既定方針でやったほうがいいのではないだろうか。これを延長してみても、また同じ問題を起すのであるから、それは政府はあらゆる努力をしてPRに力を尽くさなければならないけれども、やはり一つの決断ではないだろうかという意見が多かったわけでございます。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 土地建物以外は全面的に切りかえた、こうおっしゃった。なるほど手続としてはそうでしょう。しかし実際問題として、日常生活の中にまだ古いままの姿で残っておるというものが相当あるんじゃありませんか。その点は調査をしておられると思いますが、どういったものがどの程度ありますか。
  101. 川出千速

    川出政府委員 日常生活で、日常の会話とかあるいは個人の文書でございますとか、文芸作品でございますとか、そういう——取引証明関係のあるものだけが法の規制の対象でございまして、その他のいろいろな文化的な分野を法が押えようという趣旨ではないわけでございまして、そういう点は自由であるわけでございます。取引証明に関する限りは、完全に三十四年以降メートル法によって統一されておると思います。例外はないと思います。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 今日までこの切りかえに基づいて相当、犯罪あるいは違反というものがあったんではないかと思います。その件数、それから内容、それは法務省、どういうことになっていますか。
  103. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 昨日もお答えしたかと思いますが、昭和三十五年から昭和三十九年までの五年間で検察庁で受理しました計量法違反という罪名の事件は、人員にいたしまして四百五十六人、そのうち起訴いたしましたのが百五十一人でございます。これらにつきましては、私ども統計のとり方といたしまして、それぞれが何条の違反であるかというところまでこまかい統計を計量法についてはとっておりませんので、判明いたしませんが、私個人の過去における検事をいたしました経験等から、はなはだ失礼でございますが、申し上げますと、これらのうちのほとんどは不良計量器の販売あるいは不良計量器の製造等の事犯でございまして、私が承知しております限りにおきましては、単純な、尺貫法を使ったというだけで処罰された事例はこの中にはないのではないか、かように存じております。   〔小川(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 中村重光

    中村(重)委員 違反として取り上げたのが四百五十六人、その中で起訴したのが百五十一人という答弁でしたね。それで百五十一人が起訴されているんだから、その起訴された者はどういう処分を受けていますか。
  105. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 具体的な言い渡されました刑の内容ははっきりいたしませんが、そのうちのほとんどが有罪の判決を受けております。これも私の個人的な経験に基づいて申し上げるわけでございますが、相当大部分が罰金刑であろう、かように思います。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 これをお尋ねするのは、今度は土地建物がいわゆるメートル法に切りかえられて全面実施ということになるわけで、それとの関連が出てくるわけです。だから、ほとんど罰金刑である、先ほどあなたがお答えになったいわゆる軽微な違反というものは、起訴されているんだから、略式とかなんとかいうことで罰金刑という形になったのか、主として悪質な犯罪というものが、いまあなたのお答えになった罰金という形で処分されたのであろうか、これがやはり私どもとしては重要になってくるわけです。その点どうでしょう。
  107. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 先ほども私の記憶に基づきましてお答え申し上げましたように、大半は不良計量器の販売等の悪質違反でございます。たまたま誤って尺貫法を使ったとか、こういうようなものが検挙されたということも私はあまり聞いておりませんし、いわんや起訴された事例は存じません。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 川出局長にお尋ねしますが、全面実施、これが国民の中にほんとうに完全に定着ということになるのか、それはなかなか予想はつきますまい。しかし大体において国民の中にこれが浸透して定着するというのは何年くらいかかるとお考えになっているのか、そしてまたそのためにどのようなPRを、どの程度予算を計上してやったならばよろしいとお考えになっているのか、その点どうですか。
  109. 川出千速

    川出政府委員 政府のいろいろPRとも関連する問題でございます。尺貫法というのは教育のときから頭に入り込んでしまうとなかなか抜け切れないものでございまして、そう簡単に、メートルのほうに定着するというのにはかなりの時間がかかろうかと思います。三十四年以降、土地建物以外はメートル法統一実施になったわけでございますが、現在までに数年間かかっておりますが、ほぼ切りかわった。先ほど申し上げましたように、取引証明に関するのが計量法の規制対象でございまして、そういうものに関してはほぼ満足すべき状態に近づいておるのではないか、かように考えておるわけでございまして、土地建物のほうも今後の努力ということも大いに必要だと思いますけれども、同様の期間はかかるのじゃないか、これは推測でございます。
  110. 中村重光

    中村(重)委員 それから、これは取引または証明を業とする者ということになっているのですが、その業とする者とそうでない者との解釈、その業ということばはどの程度のものをもって業というのか。具体的に私が申し上げますが、みずからの生活の手段としてそういう取引行為をやる、こういうようなことがいわゆる業という形になるのか。やはり売買とかなんとかいう一時的なことですね、それに売買ですからもちろん利潤も伴っていくわけですが、そういうものをもって業ということになるのか。ですから業の解釈がなかなかむずかしいと思う。その点はどのようにお考えになっておられますか。
  111. 川出千速

    川出政府委員 法律業務という表現を使っておりますが、これは事業を反復継続して営むという解釈をしておりますので、たとえば不動産業者が継続して土地売買をする、これは不動産業者は業としてやっておるわけでございます。個々の、全く一回限りの個人間の取引というのは業とは考えられないと思います。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 これが定着していない間に、いろいろと国民が無知であるということを利用して犯罪行為等の発生する危険もないとは言えないのです。農地なんかにしても一ヘクタールだとか一アールという形に全部なってしまうわけですね。ですから坪の場合だって同じようなことが言える。ですからそういうことも十分検討されて、そういう詐欺事件等いわゆる犯罪行為が起こらないようにやってもらわなければならない、こう思うわけです。いまの業の問題も反復して行なう、それがいわゆる業務であるということなんです。ところが実際問題としてこれを当てはめていく場合にはなかなかむずかしい二ともあるだろう。何というか、私個人がだれからかメートル法によって、新法によってものを買った。私は業ではない。この私が今度は坪といういわゆる尺貫法によってそのものを売却するということもあるだろう。そういう場合は業ではない、こういうことになるのかどうか。だからそれをずっと認めてくるということになると、ますますもってこれが定着をしない。いつまでも尺貫法というのは、いわゆる業でない、業務でないという形において使われてくるということになってくると、なかなか定着をしないということになってこようと思う。だからそこいらも、質問はこまかくなるのですけれども、定着をさせるという上については非常に重要な点でもあろうと思いますからお尋ねいたしますが、そういう点はどうでしょうか。
  113. 川出千速

    川出政府委員 計量法のたてまえ、メートル法統一のたてまえは法による強制をたてまえとしておりまして、いわゆる罰則を設けておるわけでございます。したがってその範囲というのをあまりに拡張いたしまして罰則の適用範囲を法的に広げるというのは、これは立法としてもいろいろ問題があろうかと思います。やはり必要な限界内において適用する。そのほかは完全にメートル法統一するという精神、そういう立場からいえば不満足な点も出てくると思いますけれども、やはり私は立法論としては現行法のような立場のほうがいいのではないかと考えております。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な問題でお尋ねいたしますが、山を購入する場合、これは従来は一つの山を石で買っておった。山師が個人から買う場合、あるいは木材問屋が山師から買う場合石で買っておった。これは業務です。いまからこれをどういう方法で、どういうことで買うことになりますか。これはメートル法によらなければならないと思うのだけれども、実際問題としてこれがメートル法という形ではなかなか積算ができにくいのです。この点、研究しておられると思いますが、どういうことですか。
  115. 川出千速

    川出政府委員 木材の計量法につきましては、三十四年以降メートル法に切りかわっておりまして、これは立方メートル計量することになっております。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 だから、昨日もプライベートで課長といろいろお話ししたのだけれども、立方メートルに切りかえられておるけれども、そのとおり行なわれていない。立木というのはなかなか立方メートルでは買えないのです。これは長い経験、慣習、そういうことによって、大体山師が山を見るとこれは何石あるというのがすぐわかるのですよ。だからそれならば立方メートルだってわかりそうなものじゃないかと言うのだけれども、現実に当てはめるとそうはなかなかいかないのですよ。ですから、制度としては切りかえたが、現実には切りかえられてない。そういうところに問題がある。だから、そういった点はこのことも相当複雑にからみ合ってくるだろうと私は思うのです。その点はどうお考えになるのかということでお尋ねしているわけです。だからこういう土地建物メートル法に全面切りかえをやるということに踏み切られた以上は、従来切りかえられておるものがどういうように実施されておるであろうかということをまず前提としてあなた方のほうでは調査をし、これを検討する、その上に立って全面切りかえという形に私は進むべきであると思う。だからお尋ねしているわけです。
  117. 川出千速

    川出政府委員 現在切りかえられたものの実施の状況でございますが、教育、郵便、通信、鉄道、気象、地理、地図、鉱業、ガス事業、水道事業、電気事業、化学工業、製鉄業等はほとんど一〇〇%完全に実施をされていると推定いたしております。なお、ただいま御指摘の、農業でございますとか、水産業でございますとか、そういうものについては、八割とか七割とか九割とかということで、水産業は九〇%、農業は七五%、木材工業は一〇〇%という調査になっておりますが、大体において完全実施に近い状況になっておると考えております。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 いまの山、立木を買う場合、これは一山何石という形で買われて取引がされているということも、これも事実です。さらにまた今度これが全面実施になりますけれども、大工さん方が木材を買う場合に、あなたはそういう専門語を御存じないだろうけれども、寸五の回りぶちとかなんとかいうのがあるのですね。それでやっておる。これが変わりますると、おそらく材木屋さんは適当にメートル法によって領収書も書くでしょう、請求書も書くだろうとは思うけれども、実際は大工さんが山主との間に取引をするという場合は、従来の慣習というものはなかなか抜け切らない。しかし、こういうことは繰り返していろいろ言ってもこれは切りがないことです。  それで、その他の問題で具体的なことでお尋ねするのだけれども、たとえば卵を一個買うとか、リンゴだとかミカンなんかを一個買う、こういう場合もこれは当然尺貫法によってはならないと思うのだけれども、これはどういう扱いをするのですか。たくさん買うときはちゃんとなにだけれども、一個、二個買うという場合がある。これも一個という形ではいけないのでしょう。この点どうですか。
  119. 東現

    東説明員 卵を一個、二個というふうに売ったり買ったりする場合は、取引慣習としてそういうふうなことで消費者のほうでも満足しているわけですから、特に計量法上では規制を加えることはいたしておりません。ただそれは何グラムとか、あるいは長さだとか質量とか体積とか、そういうふうな単位で売る場合だけ規制を加えております。したがいまして、社会の実情に合わせまして、そういう必要以上のことまではくちばしをいれないというふうなたてまえに大体なっております。
  120. 中村重光

    中村(重)委員 しかし、それでいいのですか。小売り店が販売するんだが、それはやはり広い意味の取引ということになるんじゃないかと私は思うんだけれども、それはそれで、かつぎ屋さんが米を売る場合には、これは一升ということ、いわゆる升で売る以外に私はないと思う。だから、それもいまあなたのお答えのとおりだとよろしいということになる。それでいいわけですか。
  121. 東現

    東説明員 お答えいたします。  計量法第十条に、法定計量単位によって売る場合には、こういうふうにございます。それで法定計量単位につきましてはいろいろ並べてございますが、その中に一、二とかいう、ある数量をはっきり示すものは入っておりません。長さとかあるいは質量とか体積、そういうような単位で売る場合にはというふうに法第十条では規定されておりますから、それからはずれるわけでございます。
  122. 中村重光

    中村(重)委員 その点わかりました。わかりましたが、PRという面からいったら、そういうこともやはり指導していくようにしなければいかぬと思うのですね。そうせぬとなかなか定着をしない。私は指導という問題と——これは法に除外されておるということになってくると、罰則の適用もないわけなんだから、それはそれでいいだろうと思う。思うけれども、やはりメートル法を定着させていくということであるとすると、それらの点も指導して、尺貫法的な形のものが、そういう残滓がいつまでも残らないということも必要なことではないかと思う。  それから法務省にお尋ねいたしますが、あなたのほうで台帳がそのままであるということになってくると、分割登記とか譲渡の登記をしますね。その場合はこれはどういうことになりますか。司法書士を通じないで個人がやる、その場合の扱い。
  123. 住吉君彦

    ○住吉説明員 昨日もちょっと申し上げたかと思いますが、たとえば土地の分割合併あるいは一部滅失、建物の増築あるいは一部滅失、こういうような場合には、従前の土地建物面積に変更を生じます。したがいまして、そうい場合には、四月一日以降は平方メートルによって表示されるということになります。それから本人が直接申請ということでございますが、これはそのための換算書を登記所の窓口に備えておきまして、従前の何坪何合何勺というものは何平方メートルだということをこまかく対数的に印刷したものを窓口に備えておりますので、それをごらんいただく、あるいは登記所の職員はそれを指導する、こういうことで平方メートルに切りかえてまいるつもりでございます。
  124. 中村重光

    中村(重)委員 それからこれは具体例としていろいろなことをお尋ねしておかぬといけない。石工さんが石積みをやります、石がきをつくる、そういう場合はどういうことで計算しますか。平方メートルになりますか。
  125. 東現

    東説明員 石がきなどをつくる場合には、石そのものと、それから石がきをどういうふうにつくるかという、建物なんかと同じような一つの設計みたいなものがあるものと、両方あろうかと思いますが、石そのものがもし重量単位でもってはかられる場合には、これは取引になりますから、その場合はやはりキログラムを使うとか、要するにメートル単位を使っていただかなければなりません。それから石がきを構築するについて設計図面があるといたしますと、それもやはり先ほどお話が出ました建築に関する設計図面と同様に、しかるべきメートル単位を使っていただかなければなりません。そのほか、取引証明にあまり関係することはないかと思いますが、個々の売買においてそういうふうなメートル単位を使わなければいけないというケース、そういう取引証明の場合にはやはりメートル単位を使っていただくということになるかと思います。
  126. 中村重光

    中村(重)委員 石がきをつくるという場合、いまあなたの答弁の中に入ってくると思うのだけれども、実際問題として非常に複雑にからみ合ってくるのは、石は三十石とか二十五石とか十八石とかいうのがありますね。要するに足が長いというのかな。その石と、それから三十でもって一坪になる場合、坪で言えば——もうここで質疑をしながら坪というようなことばを言うのも変なかっこうなんだけれども、三十でなる場合と二十五でなる場合と三十三でなる場合と、こうある。積み上げたそれのみによってメートル法によって計算するわけにいかなくなる。だから石そのものというのも、いまあなたが言われたように、そういう関係等も出るくるのですね。そこらあたり非常に社会生活の面において定着をしておるということについてはなかなか簡単には切りかえができないから、いろいろな面であなたのほうでも研究されて、そうしてこれは周知徹底させるように、いわゆる問答集というようなものをつくって、PRをされる必要があると私は思う。だからそこらあたりの用意があるのかどうか、その点どうですか。
  127. 川出千速

    川出政府委員 ただいま御指摘のようないろいろな問題が切りかえに伴って生じてくると思いましたので、いま具体的な例もわれわれよく勉強し、何といいましても一般国民にPRすることが一番肝要でございます。それについてはできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
  128. 中村重光

    中村(重)委員 それでは時間が参りましたからこれでやめますが、通産、法務両当局に最後に要望いたしておきます。  犯罪行為ということに対しては、悪質なものでない限り罰則適用という形でいくということはしない、こういうことでしたが、私の申し上げたことが杞憂であればよろしいのですけれども、私はこれが国民に定着していない間に詐欺行為、悪質な犯罪行為というものが発生する可能性なしとしない。そういう場合には、そのこと自体は処罰を受けるのだけれども、そのために犠牲をこうむった人はだだ犠牲を受けっぱなしという形になる危険性だって私はあると思うのです。ですから、そういう点に対する十分な配慮をしてもらいたいということと、通産省はそうした犯罪行為が起こらないように、しかもこれがただ犯罪防止ということだけでなくて、尺貫法メートル法に切りかえること自体に意義があるのだから、その意義を十分国民の中に定着させることにおいて効果あらしめるように十分な配慮をしていただきたい。PRするためには何といっても予算の裏づけが必要になってまいりましようが、地方自治体に協力を求めるにいたしましても、貧弱な地方自治体の財政状態の中におきましてはきわめて困難でございますから、大蔵財政当局と折衝されて、十分な予算措置というものが行なわれるように配慮していただきたいということを強く要望したいと思います。  最後に、政務次官に、それらの点に対するあなたの決意というか、かまえについて御意見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  129. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 中村委員の御趣旨をよく体しまして、国民にいろいろな迷惑がかからないように十分注意をいたして実行していきたいと思っております。
  130. 天野公義

    天野委員長 次会は明三十一日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会