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1966-03-29 第51回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    海部 俊樹君       神田  博君    黒金 泰美君       佐々木秀世君    田中 六助君       竹山祐太郎君    中村 幸八君       二階堂 進君    三原 朝雄君     早稻田柳右エ門君    沢田 政治君       山崎 始男君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官 竹下  登君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         中小企業庁長官 山本 重信君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         検     事         (民事局第三課         長)      住吉 君彦君     ————————————— 三月二十六日  電気工事業法制定に関する請願池田清志君紹  介)(第二一三五号)  川内川河口地区原子力発電所設置に関する請  願(池田清志紹介)(第二一四二号)  中小業者生活営業擁護に関する請願加藤  進君紹介)(第二一八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地又は建物に関する計量単位統一に伴う関  係法令整備に関する法律案内閣提出第九一  号)(参議院送付)  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第三四号)  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三五号)  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出第九四号)  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出土地又は建物に関する計量単位統一に伴う関係法令整備に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 土地又は建物に関する計量単位統一に伴う関係法令整備に関する法律案に関しまして、若干の質疑をいたしたいと思います。  まず一つ日本メートル法採用後の経緯というものを説明していただきたいと思う。メートル法採用以来の歴史的な経過ですね。これを説明してください。
  4. 川出千速

    川出政府委員 物象の状態をはかる単位としまして、古来日本には尺貫法があるわけでございますが、日本明治十九年にメートル条約に加入いたしました。明治二十四年に度量衡法制定されたわけでございますが、このときには計量単位として尺貫法メートル法併用しておるわけでございます。したがって、しばらくの間併用時代が続いたわけでございますが、大正十年に至りまして、メートル法統一しようという国の方針がきまりました。これはメートル法の非常に長所を採用いたしまして、将来メートル法統一しようということできまったわけでございます。  大正十三年に度量衡法改正が施行されまして、メートル法統一する一歩が踏み出されたわけでございますが、これを一挙にメートル法統一することになりますと、いろいろ社会上の混乱も起きますので、暫定的に併用時代を経てだんだん統一をするという方針がとられた次第でございます。  その後二回にわたりまして、その暫定的な延長の期限が延ばされてまいりましたが、戦後昭和二十六年に度量衡法にかわりまして新しい計量法制定をされたわけでございますが、その計量法制定に際しまして、土地建物等単位、つまり坪でございますが、そういうものを除きまして昭和三十三年十二月末までは長さその他重量等尺貫法併用を認めますけれども、三十四年の一月一日以降は土地建物を除きましてはメートル法統一をされる、尺貫法使用しない、土地建物等単位につきましては、四十一年の三月三十一日まで併用を認め、四月一日から併用を認めないという方針が、昭和二十六年計量法制定する際にきまりまして、いよいよその期限が到来をしてきているという経緯でございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 計量法単位メートル法統一するということは、国民的な利益といいますか、どういうような利益があるのですか。
  6. 川出千速

    川出政府委員 ものをはかる単位計量単位は、これは社会生活経済生活あるいは文化生活等各般にわたりまして生活基礎をなしておるあるいは経済活動基礎をなしておるわけでございます。その単位があるいは尺貫法であるあるいはメートル法であるあるいはヤードポンド使用するということは複雑多岐になりますし、その換算等も非常に複雑になるわけでございまして、その社会生活経済生活におけるエネルギーのロスというものはばく大なものであろうかと思います。したがって、これを一番簡明な合理的なメートル法統一することが社会生活経済生活を合理化するゆえんであろうかと思っております。
  7. 板川正吾

    板川委員 メートル法の利点を一口に言うとどういうことになりますか。
  8. 川出千速

    川出政府委員 十進法ですべて進められておりまして、きわめて簡明であるという点でございます。したがって、世界各国八十七カ国が現在メートル法を採用しており、そのうち七十カ国がこれを法律によって強制しておるわけでございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 欧米等主要国メートル法採用状況はどういうことになっておりますか。
  10. 川出千速

    川出政府委員 欧米大陸系統はフランスを中心にいたしまして主としてメートル法を採用いたしておりますが、アメリカ及びイギリスはこれは伝統的にヤードポンドが国の計量単位のもとになっておりまして、メートル法との併用でございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 アメリカイギリスでは、現状ではまだメートル法を強制していないのですね。
  12. 川出千速

    川出政府委員 そのとおりでございます。しかし世論の一部には、メートル法統一すべきではないかという議論が最近起きているということを聞いております。しかし現在は併用でございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 本法の説明の中に、取引または証明のためにメートル法以外のものを使っては悪い、こういうことになっておりますが、取引または証明とはどういうことですか。
  14. 川出千速

    川出政府委員 メートル法を強制すると申しましても、すべての社会生活文化生活経済生活における使用を強制しているわけではないわけでございまして、取引あるいは証明に関するものだけを強制をしておるわけでございます。たとえば取引ということになりますと売買ということがございます。証明ということになりますと、公の、公正証書とかあるいはその他の証明行為等がこれに入るかと思います。したがってそういうものでないもの、たとえばわれわれが日常に体重が何貫あるとかあるいは何里歩いたとかあるいは小説、文学その他で尺貫法使用することは自由でございます。また取引証明でない、学術的なものとかあるいは生産活動でも管理する場合に尺貫法を使っても、これは何ら違法ではないわけでございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 そうしますると、取引契約書あるいは公の証明、これは計量法十一条の定義にあると思うのですが、この取引とは有償無償関係ないのだ、「問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為」である、こう言っておりますね。それから証明とは、「公に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明することをいう。」こう計量法の十一条で定義がありますが、取引または証明メートル法以外のものを使ってはいけないが、それ以外は自由に使っても、それは本来の規制するところではない、こういうふうに解していいのですか。
  16. 川出千速

    川出政府委員 そのとおりでございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 昭和二十六年に計量法制定をされて、いよいよメートル法が全般的に採用される、こういうことが、大体昭和二十六年の計量法で、施行法と同時にきまったのですね。そして一般では、三十三年三月末をもって期限がき、特殊なヤードポンド等は三十八年十二月末、こういうふうに猶予期間がある。尺貫法の中で土地建物、主として面積、坪ですね、これだけが四十一年三月までの政令で定める日とした猶予期間が非常に今日まで長びいた、要するに長期の猶予期間を置いたという理由はどこにあるのですか。
  18. 川出千速

    川出政府委員 土地建物計量単位のほかは、三十三年十二月末で期限が切れておるわけでございます。土地建物がそれよりも延長されましたゆえんのものは、やはり日本のいろいろな伝統に密着しておる。中でも土地とか建物というのは、土地台帳ということがございましたり、非常にいろいろな権利関係にも関係がある基本的な問題でございまして、これを一挙にほかの計量単位と一緒にメートル法実施するのには実情に合わない点がございましたし、またPRその他にも猶予期間を設ける必要があると認めまして、延長した次第でございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 尺貫法、特に尺のほうですね。貫のほう、目方のほうは、大体キログラムというのが普及して、それほど不便はない。しかし、坪、尺、これのほうは生活と非常に密着しておりますね。英米でもおのおの自国の単位をまだ使っており、必ずしも強制していない、併用しておる、こういう状況であります。今日、全面的に尺貫法禁止するということになると、いろいろ問題点もあろうと思うのですが、そういうことはきょうの朝日新聞等にも取り上げられておりますが、ここで四月一日強行しまして、どうでしょう、問題はありませんか。
  20. 川出千速

    川出政府委員 これはやはり一定の年齢以上の方々はどうしても従来の坪とかあるいは畝とか町、反とか、そういうものになじみが深い、頭に入りこんでおるわけでございまして、それが平方メートル、ヘクタール、アールということになりますと、なかなかなじめないという点は私は否定できないところであろうかと思います。しかしながら面積のもとになっておる長さ、長さから面積を割り出すわけでございますが、これは三十三年十二月末までで、すでに三十四年の初めからはもうメートル法に切りかわってしまっておるわけでございますし、それから何といいましても、坪の計量のほうは十進法でないものですから非常に複雑な計算を要するわけでございます。そういうことで不便があることは私は否定できないと思いますけれども、いずれか踏み切らなければならない方針でございまして、二十六年にそういう方針がずいぶん前にきまっておったわけでございまして、これをそれではどれだけ延長したらどれだけの効果があるだろうかという点は確かにあると思いますけれども、要するにこれは踏み切りの問題でございまして、今回既定方針に基づいて延長しないということにきめたわけでございます。私は相当の不便その他あるということは否定できないことと思っております。
  21. 板川正吾

    板川委員 もし取引証明に間違って尺貫法使用した、こういうことになったらばどういう処分を受けることになりますか。
  22. 川出千速

    川出政府委員 計量法罰則に照らしますと、罰金五万円以下ということになっておりますが、これは法務省との関係にもなりますけれども、いろいろ運用面等もあろうかと考えておる次第でございます。
  23. 板川正吾

    板川委員 罰則計量法二百三十五条ですか。
  24. 川出千速

    川出政府委員 そのとおりでございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 昭和二十六年に計量法制定されて猶予期間も明示をされておる。そこで一般はすでに三十三年に、それから特殊なものは三十八年の猶予期間が切れてメートル法計量法に移行されておる。ところがこの尺貫法だけは四十一年三月末ということになったのですが、この尺貫法生活に結びついておるから、もしこれの使用禁止するということになれば非常にいろいろ不便を感ずるということはいま局長も言われたとおりですが、それならそれなりにもう尺貫法は使えないのだということをいままでにPRをしてまいっておらなくちゃならぬ、こう思っておった。実はわれわれもどういうことになるかと思っておったのですが、国民に対するPRというのが欠けておったように思うのですが、どういうようなPRをしてきたか、伺いたい。
  26. 川出千速

    川出政府委員 国民各層へのPRと、いうことは、先生指摘のとおりに一番大切なことでございまして、その組織としまして中央にメートル法実行期成委員会というものを通産省に設けております。と同時に各都道府県に同様の委員会組織を設けまして、この委員会を通していろいろPR活動を行なっておるわけでございます。たとえば各種パンフレットを作成配布しております。土地建物に関する今度の計量単位につきましても、パンフレットを作成して各方面に配布しておるわけでございます。もちろん数等につきましては不満足な点があろうかと思いますが、さようなこともやっておるわけでございます。  それから土地建物につきましては、特に建築士とか土地家屋調査士とか不動産業者とか司法書士などの関係するところが多うございますので、こういう団体にはだいぶ前からPRをやり、いろいろ説明をしてきたところでございます。またラジオとかテレビとか、あるいは新聞等に対しましてもいろいろ説明をしてきておりまして、最近よく報道をされておるかと思いますが、もちろんこれで十分だと思っておるわけではございません。  最近この法律改正を機会としまして、各方面からの質問が都道府県にも非常に殺到しておるそうでございます。またわれわれのところへも来ておりますので、一般的な関心も相当高まってきたと考えておりますけれども、なおこれで十分だというわけではございませんし、ただいま御指摘がございましたようにまだまだ不十分な点が多いかと思いますので、今後ますますそういう点につきましては努力をしたいと思っております。  なお学校教育につきましては三十四年以降、土地建物を含めましてメートル法で一本化してやっておる次第でございます。
  27. 板川正吾

    板川委員 四十一年四月から完全にメートル法で全部やるのだということがわかっておって、いま各県にメートル法実施はどういうことになるのだろうという問い合わせが殺到しているということは、それだけ事前のPRがなかったことを物語るだろうと私は思うのです。いま県や国で委員会をつくってパンフレットを発行しておられたというのですが、一体過去のPRに使った国の予算というのは、どのくらいとって実際やっておられたのですか。
  28. 川出千速

    川出政府委員 これは土地建物を除きましてメートル法実施に移しました三十二年、三十三年あるいは三十四年ごろは、この普及PRのための予算が、額は覚えておりませんが、かなりの額であったと思いますが、その後逐年減ってまいりまして、現在のところそういう関係の経費は三十万円くらいでございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 四十年の予算が三十万円だというわけですね。わずか三十万円で、各県にメートル法普及委員会をつくり、国や県でパンフレットを配って、それで普及のために国や県が努力してきたというようなことはどうも言えないのじゃないですか。だから各地方で実は四月一日からメートル法になるとは思わなかった。最近新聞で報道しているために、急になるということで、あわてて各地方自治体や何かに問い合わせがある、そういうことだろうと思うのです。一体三十万円の宣伝費というのは、通産省としていま少し大規模に普及するためPRする、こういうようなことで予算交渉や何かしたことはないのですか。三十万円でいいということでやってきたのですか。
  30. 川出千速

    川出政府委員 まあ国の予算は三十万円でございますけれども、地方公共団体あるいは業界団体等でも相当のPR費を計上してやっておりますので、三十万円でも十分だとは全然考えていないわけでございますけれども、その点ははなはだ遺憾に思っております。
  31. 板川正吾

    板川委員 地方業界がどういう程度PR活動をしてまいりましたか。
  32. 川出千速

    川出政府委員 パンフレットをつくりましたり、あるいは講習会を開いたりしてやっておる次第でございます。
  33. 板川正吾

    板川委員 その使われた金額はどの程度ですか。
  34. 川出千速

    川出政府委員 ただいまその数字を手元に持っておりませんので、調査して御報告したいと思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 調査してわかりますか。
  36. 川出千速

    川出政府委員 わかると思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 それでは調査して、それは至急資料として出してください。  それから、メートル法がいよいよ完全実施されて、特に尺の単位、坪の単位面積単位メートル法にするということになりますと、どうも日本人の生活には、たとえば畳二畳が一坪、畳は大体六尺の三尺、こまかい計算は別として、大体の概念として三尺の六尺、その畳二畳が一坪、こういうことになっておりますね。戸、障子なんかも幅が大体三尺ときまっております。柱なんかも何寸角という。したがって間口等も大体何間間口というようなぐあいに、建物の構造、日常生活の中にそういう単位が入っておる。これをそのままにしておいて将来メートル法で表現するということになると非常にやりづらい、メートル法がほんとうになじまないのじゃないかと思うんですね。たとえば畳を将来長さ二メートル、幅一メートル、こういう単位を基準にするとか、何寸角というようなやつを十センチ角といようなぐあいに、もとから直していかないと、メートル法生活の中になじんでこないのじゃないかという感じがいたしますが、そういう点の指導はどういうふうに考えられておりますか、メートル法普及指導として。
  38. 川出千速

    川出政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、木材をはじめ建築構成材料規格等は、これはすでに昭和三十六年からメートル法化しているわけでございまして、生活に密着している日本家屋建築につきましてメートルによる規格普及させていくことが今後非常に必要だろうと思いまして、現在そういうような方向で進んでいるわけでございます。
  39. 板川正吾

    板川委員 何時何分何秒、これはメートル法ですか。
  40. 川出千速

    川出政府委員 計量単位としましては時間が計量法定単位になっております。一時間とか二時間とかその時間が……。
  41. 板川正吾

    板川委員 時間が法定単位になっており、分とか秒とかが補助単位になっていることは計量法にあると思います。これはメートル法部類に入るのですか。
  42. 川出千速

    川出政府委員 メートル法部類に入ります。その意味では十進法の例外でございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 法務省に伺いますが、どなたか来ておりますか。——計量法が施行されて以来十五年になりますが、この法定メートル法を守らないために刑罰を受けた事例というのはどの程度ありますか、計量法違反事例
  44. 津田實

    津田政府委員 計量法施行以来のはいまちょっとわかりませんが、最近五ヵ年の計量法違反事件につきまして、事件といたしまして検察庁が受理いたしましたのは、昭和三十五年が三十九人、三十六年が五十六人、三十七年が四十一人、三十八年が百十四人、三十九年が二百六人でございまして、そのうち起訴されましたものが三十五年が十四人、三十六年が三十人、三十七年が七人、三十八年が三十八人、三十九年が六十二人となっております。
  45. 板川正吾

    板川委員 この計量法違反の件数はそれでわかりましたが、内容はどういう点が一番多いようですか、起訴内容
  46. 津田實

    津田政府委員 この内容につきましては、具体的事件の報告を各地からとっておりませんので、その点はわかりませんのでございますが、大体十条関係のものではないかという想像でございます。しかしながら大体におきまして実際の違反というものはたくさんあると思いますので、非常に重大なものあるいはそれによって詐欺的な内容を含んでいるような、きわめて情状の重いものが送致され起訴されているのではないかというふうに考えておりますが、具体的にはいまはっきりいたしておりません。
  47. 板川正吾

    板川委員 法務省に伺いますが、最近の計量法違反は除々にふえてきておりますね。今度四月一日から尺貫法禁止ということになると、従来の惰性としてまた政府PR宣伝の不足から、本人は悪い気持ちでなくて、取引のためあるいは証明のために、禁止されておる尺貫法使用するということはあり得ると、こう思うのです。しかもこれはある意味じゃ違反者が大量にあるんじゃないかと思うのですが、こういう場合に、法の運用について、現状においてひとつ心がまえを聞かしてもらいたいと思うのです。四月一日からこういう取引証明のための尺貫法禁止ということを知らずにやる人がずいぶん多いと思うのです。これに対して取り締まりというのですか、そういう面の検察当局方針というものをひとつ明らかにしてもらいたい。
  48. 津田實

    津田政府委員 計量法に限りませず、新しく罰則を含む法律が施行された場合におきます罰則の適用に関しましては、きわめて慎重を要することは当然でございますが、特に今回の計量法完全実施ということになりますれば、当然その点を考えなければならぬわけでございます。そこで、およそ罰則が無力であるということは、これの施行状態をあいまいなものにするということでありますので、さようなことは避けなければならないわけでありますけれども、罰則そのものは、罰することが目的ではなくて、本来の法の精神が生かされることが望まれるわけであります。したがいまして、具体的事件取り締まりにあたりましてはもちろんでありますが、具体的事件起訴、不起訴にあたりましては、当然常にその事案に即しまして、諸般の社会的事情個人的事情を慎重に勘案いたしまして、真に訴追やむを得ないもの、きわめて情状の重いものにつきまして訴追をするというような運用でまいることになると思います。したがいまして、全く当該の状況によりまして寛厳よろしきを得る処理をいたすことは当然でありまして、これは計量法に限りませんけれども、今回のような事情につきましては、もとよりこのことは十分考えなければならぬ問題だというふうに考えておる次第でございます。
  49. 板川正吾

    板川委員 メートル法を守らない、法定計量単位を使わなかったということに対する刑罰、その刑罰の理念というのですか法理といいましょうか、これはどういうところにあるのでしょう。計量単位使用というのは社会的な一つの約束だろうと思うのです。これを守らないから刑罰を科す、こういうことはどういう理由なんですか。ひとつその点を明らかにしてもらいたいと同時に、外国の場合にはそういう例がどういうふうな実情にあるかということも聞かしてほしい。
  50. 津田實

    津田政府委員 計量につきまして、一定法定計量単位を用いると申しますことは、取引その他証明内容を明らかにするためにきわめて必要なことであります。計量についてあいまいな、あるいは多数の同一事項証明する単位を用いますことは、きわめてそれをあいまいにいたしますし、すべてに通じない人にとってはきわめて不利な状況になるということを防ぐために、一定単位によりまして取引あるいは公の証明をするというために、十条等の規定が設けられているというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、このことが一般国民に励行されてこそ安全に何人も取引をしたり証明したり、あるいは証明によっていろいろな事項基礎としたりすることができるというわけで、きわめて簡明であることが必要であることは当然であります。そこでその意味におきまして、その励行をはかるためにこれに罰則を設けるということでなければ、少なくともいつまでも法定単位というものが使用されないままになっていって、国家的にはきわめて不利であり、国民の上にも不利益を来たすということから罰則を適用するということになっておるわけであります。  そこで、具体的に諸外国の例はよくわかっておりませんが、大体におきましてやはり罰則を用いておるところが多いようでございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 ゴルフ場ではヤードを使っておるようですね。このゴルフ場でヤードを使うということは、四月一日以降メートル法に切りかえをされなければいけないのですか、それともこれは取引ではない、こういうことになるのですか。どうでしょう。
  52. 川出千速

    川出政府委員 ゴルフ場のヤードにつきましては、これは取引あるいは証明のためのものではございませんので、計量法違反ではないわけでございます。したがって、四月一日以降もヤードで表示いたしましても、これは法律違反にはならないと考えております。
  53. 板川正吾

    板川委員 ゴルフ場のヤード表示は取引ではないという理由をいま少しはっきりしてください。
  54. 川出千速

    川出政府委員 スポーツでございまして、取引には関係がないと解釈しております。
  55. 板川正吾

    板川委員 やるほうはスポーツですよ。やるほうはスポーツですが、ゴルフ場の経営の立場からいえばゴルフ場はスポーツじゃないのです。そうすると、これはメートル法で表示しなければおかしいのじゃないですか。やるほうは確かにスポーツです。しかし、ゴルフ場を経営する主体からいうとこれはやはり営業ということになるのじゃないですか。そうすると、これはメートル法でやらないとおかしいと思うのですが、局長はその道の専門家ですから……。
  56. 川出千速

    川出政府委員 ゴルフ場は確かにこれは経営行為でございますけれども、そこに表示してあります何ヤードということは、これはスポーツの一つのルールでございまして、それによって取引をするわけではございませんものですから、したがって計量法違反ではないと解釈しております。
  57. 板川正吾

    板川委員 こういうことですか。ゴルフ場は一つの営業行為であるが、何ヤード打ったから幾らになるとかいう取引上の表示ではない、これは競技場の一つの符牒であって、そのもの自体が営業行為ではない、だから、ゴルフ場のやつはヤードで表示しておってもメートル法違反じゃない、こういうことになるのでしょうか。
  58. 川出千速

    川出政府委員 さように解釈いたしております。
  59. 板川正吾

    板川委員 メートル法を急に実施ということになりますから、いろいろごたごたが起こって地方に質問が殺倒しておるということでありますが、土地建物売買業者が店頭にたとえばどこそこのあき家何骨、何坪と売買の表示をする場合がありますね。それから新聞、雑誌、テレビ等でやはり何坪の土地を売買するというふうな広告等がある。電車の中で、やはり土地建物の広告の中に何坪ということが書かれる場合がある。チラシ、宣伝広告、こういう中に坪で表示した場合には、それは宣伝の場合には別に違法となりませんか。
  60. 川出千速

    川出政府委員 単なる広告の場合、そのもの自体が取引あるいは契約と考えられない場合が多いと思いますので、私は原則としてそれは違反にならないと思います。
  61. 板川正吾

    板川委員 そういう表示は違法にはならないということですが、しかし将来メートル法統一されていくのですから、そういう表示はやはりどうも好ましくない、古い慣習をそのまま維持することになって好ましくないと思うのですが、これは方針としてはメートル法で表示するように指導するというのがたてまえじゃないですか。
  62. 川出千速

    川出政府委員 そのとおりでございまして、メートル法統一の精神からいたしますと、広告といえどもメートル法によって表示されることが好ましいわけでございますので、さように行政指導してまいりたいと思います。
  63. 板川正吾

    板川委員 土地建物業者等が宣伝したり、店頭に表示したり、広告の中で訴えたり表示したりするそのこと自体は違法じゃない、しかし実際売買の契約になるときに坪で表示してはいけない、こういうことになるのですか。
  64. 川出千速

    川出政府委員 実際の契約の場合あるいは公に証明するような場合は、メートル法でないと違法になります。
  65. 板川正吾

    板川委員 じゃ、メートル法で表示して、カッコつけて坪で表示すると、どうなりますか。
  66. 川出千速

    川出政府委員 両方併記しますと違法の疑いがあると思います。
  67. 板川正吾

    板川委員 ちょっと、違法の疑いではどうもぐあいが悪いね。これは違法なら違法、適法なら適法ということにはっきりしないといけないと思うのですが、法務省の見解はどうでしょうか、その場合。
  68. 津田實

    津田政府委員 先ほど通産省のほうから申し上げましたように、取引そのものにつきましては、メートル法によらなければ違法になることは当然でございますが、ただそのカッコをするという意味が、約幾らということを説明するという趣旨にうかがわれる限りは差しつかえないのではないかと私は思います。取引単位そのものはメートル法であるが、それを説明する材料ということであれば差しつかえないというふうに私は判断いたします。  なお、先ほど、いままでの違反事件は何が多いかというお尋ねでございましたが、十条関係ではないかというふうに申し上げたのですが、いろいろ考えてみますと、十三条の無許可製造でございますね、あるいは修理、この関係が比較的多いように思われますから、訂正いたしておきます。
  69. 板川正吾

    板川委員 法務省のいまの見解は、売買の場合、取引の場合、それから証明の場合に、もちろん原則としてはメートル法で表示します。しかしメートル法では、まだ普及が完全じゃないし、メートル法を理解しない人口というのが二割近くいるはずですね。ということになると説明が必要だから、説明としてカッコをつけて、これはメートル法では何平方米であるが坪に換算すると何坪だということで、説明につけることは違法じゃないだろう、こういう解釈ですが、通産省の見解はどうでしょう。
  70. 川出千速

    川出政府委員 そのとおりでけっこうだと思います。
  71. 板川正吾

    板川委員 そうなれば、過渡期的ですが、比較的混乱も起こらないで済むのじゃないかなという感じがいたします。  それからメートル法証明をしなくちゃならぬということになりますと、不動産登記簿の問題が重要だろう、こう思うのです。二十六年に計量法制定されて尺貫法の猶余期間が四十一年三月末だ、そうしてメートル法に切りかえるのだ、こういうことになってまいっておるわけですが、そうしますると、土地取引証明のための原簿、登記簿の書きかえ、これはどういうような状況に今日なっておりますか。
  72. 住吉君彦

    ○住吉説明員 局長が法務委員会のほうに出席しておりますので私がかわってお答えいたします。  御存じと思いますが、戦後税制の改革によりまして、登記所のほうには戦前税務署で管理しておりました土地台帳、家屋台帳という帳簿が移管されてまいりました。したがいまして、登記所は、台帳と不動産登記簿という二本立ての帳簿を管理してまいったわけでございます。昭和三十三、四年ごろに将来、今月末でもって尺貫法使用禁止されるということで、その時点において今日あることは当然に予期されたわけでございますが、いま申しますように、二本立ての帳簿をそれぞれ書きかえるといいますと、たいへんな日時と費用を要します。したがいまして、土地建物の坪数あるいは個数といっておりますが、これが全国で、その当時の集計で二億数千万筆ございます。したがいまして、これが二本立てであるということになりますと、五億筆近くのものを書きかえなくちゃならないということになります。  そこで、私どもはまず、台帳と登記簿とを一本の帳簿にする、そうして書きかえる際には、一つの不動産について一枚の用紙を書きかえればそれで足りるようにするということで、私どものほうではこれを一元化と申しておりますが、その作業を現に実施中でございます。その作業が大体五〇%完了したのでございます。したがいまして、この作業を一〇〇%完了いたしますのにあと五年かかりますが、私どもといたしましては、御指摘の、現在登記簿の表示はどうなっているかということにつきましては、大部分の不動産の土地面積それから建物の床面積、これは尺貫で表示されてございます。したがいまして、できるだけ早い時期にこれを書きかえるように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  73. 板川正吾

    板川委員 昭和三十六年に不動産登記制度を、ひとつ従来の二本立てを一元化して簡略にしよう、こういうようなことになって、不動産登記法ですか、これが施行されて、土地台帳と家屋台帳を一本化する作業が進められておる。この土地台帳と一元化するための手続が準備されておるのですが、それが現在尺貫法で表示されておる、こういうことでしたね。そうすると、これはいつからその尺貫法メートル法に直すんですか。これは国民には四月一日からメートル法でやれ、取引上あるいは証明上やっちゃいかぬというのですが、政府の原簿に尺貫法で表示されておるというのでは、これはある意味じゃおかしいと思うのです。それは取引するときにあるいは証明を出すときに換算してやる、こういうことになるかもしれません。しかし、土地台帳を見せてくれといって見た場合には、それは坪数で表示されておるというのじゃ政府自身がメートル法を強制するという資格に欠けておるし、大体この計量法違反第一号が登記所ということになるんじゃないですか。どういうことですか。
  74. 住吉君彦

    ○住吉説明員 その点につきましては、委員御存じだと思いますが、計量法施行法の十三条という規定がございます。この規定によりますと、本年三月三十一日までに尺貫ですでに記載された文書の表示は、計量法十条一項の規定にかかわらず、なおそのままでよろしいという趣旨の規定がございます。ただ、しかし、これは法律論でございまして、御指摘のように、国民にはメートル法使用を強制し、政府自身はその準備を十分整えてないじゃないかという点につきましてはまことに申しわけなく思いますが、先ほども申しましたように、できるだけ早い時期に書きかえの作業を計画的にやってまいりたい。先ほど申しましたように、何ぶんにも数量が二億数千筆ということになりますので、これを一挙に書きかえていくということはたいへんなことであろうと思います。法律論といたしましては、計量法施行法十三条でもって一応登記簿上の表示が尺貫で記載されること自体は許されております。そういうことでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  75. 板川正吾

    板川委員 施行法十三条で、法律的な罰則はのがれていますが、実際は国がメートル法国民に強制し、国の責任のもとにおける土地台帳には尺貫法で表示されているということは、これは実際おかしな話だと思うのですが、そこでちょっと伺いますが、土地建物の登記制度の一元化について、四十一年度の予算はどのくらいですか。資料によると約二億円弱が計上されておるというのですが、この二億円の中には、過去において一元化した作業の中にはメートル法書きかえはされてない、これはわかる。しかし、これから一元化する中には、書きかえるときにメートル法に書きかえたらどうか、こう思うのです。そういう作業ができるのですか。
  76. 住吉君彦

    ○住吉説明員 四月一日以降、たとえば新築建物の保存登記あるいは土地の分筆、合筆その他、土地建物面積を新たに登記簿に表示しなくてはならない、こういう登記につきましてはもとよりメートル法によるわけでございます。それから、すでに登記されている不動産につきまして、御指摘の一元化作業の過程において、これをメートル法に書きかえるのか、こういう御質問でございますが、その点につきましては予算事情の許す限りそのようにやってまいる、こういうふうに現在計画を立てています。
  77. 板川正吾

    板川委員 二億円の予算の中には書きかえのための費用というのは計上されてない、こういう話でありますが、いま、できる限り書きかえをするという、その書きかえをする費用というのはどこに計算されていますか。
  78. 住吉君彦

    ○住吉説明員 予算の積算内訳といたしましては御指摘のとおりでございます。書きかえのための特段の費用は含まれておりません。本年度予算の実行におきまして、私どもはこまかい換算表をつくりまして、約五百ページにわたるものでございますが、これは一勺から千坪までを一勺刻みでそれぞれ平方メートルに換算する対数表でございますが、これを使いますならば、ある程度余力のある登記所におきましては一元化作業の実施過程において平方メートルに書きかえることも可能であろう、こう考えております。
  79. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、換算表をつくって作業を便利にするような方式をとるから、予算はなくても手のすいておる登記所では書きかえるだろう、こういうことですね。じゃそれはそれとして、登記制度を一元化することと、それから登記簿の内容メートル法に書きかえるということ、これは一体いつまでにやるつもりですか。
  80. 住吉君彦

    ○住吉説明員 一元化の作業は、先ほども申しましたように、三十六年度から十年間ということになっておりますので、四十五年度末には全国の登記所の一元化が完了いたします。  それからメートル法のための書きかえ、これは四十二年度以降、関係省庁と連絡いたしまして、できるだけすみやかにやるように努力をいたしたい、こう思っております。
  81. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、この一元化の準備というのは昭和四十五年までかかる。あと五年間かかる、こういうことですね。そうすると、このメートル法への書きかえは、それとは別に、五年を待たずに、書きかえることが可能になりますか。
  82. 住吉君彦

    ○住吉説明員 そのようにやれるように努力いたしたいと思っております。できるだけ早くやることをわれわれも期待しております。
  83. 板川正吾

    板川委員 十三条によって免責はされていますが、やはり土地台帳なりは一般に見せるものでしょう。そこで、政府メートル法国民に強制しながら、自分の台帳のほうは尺貫法で表示するというのは、これはやはりいけないことであって、一元化とは別に早急に書きかえをすべきだと思う。そこでこのメートル法、この計量単位統一自体は、われわれは結論としては反対ではない。しかし尺貫法廃止に伴う政府PRが不足しておるから、罰則運用についてはひとつ慎重にやってくれというのがいままでの私の質問の結論だと思います。ただし、先ほどお話がありましたように、やみでかね尺や鯨尺をつくったり売買したりするような悪質なものは、これは取り締まることはやむを得ないが、しかし従来の慣習、惰性で、善意を持っておって、取引上表示上間違った場合には、これは罰則の適用は、ひとつ適正な常識的な運用をしてほしいということであります。  それからまた結論としては、登記簿の表示をすみやかにメートル法に直せ、こういうことになります。  そこでもう一つ政府は今度のメートル法適用除外に農地報償法についてだけ尺貫法を認める、こういうことで例外を設けてありますが、農地報償法だけ二年間尺貫法の適用を認める理由をひとつ明らかに説明してもらいたい。
  84. 川出千速

    川出政府委員 農地報償法に基づきまして、給付金の請求書を農地の所持者が出すことになっておりますが、その期限が四十二年の三月末になっておる次第でございます。現在尺貫法土地台帳その他表示されておりますので、これをメートル単位に換算して請求することは事務が非常に複雑になりますので、尺貫法による申請を認めたわけでございます。またこれに引き続きます交付事務等もまたメートル法でやりますのも、これもたいへん複雑な事務になりますし、これはいずれにしても期限つきで終了するものでございますので、事務簡素化の見地から例外的に取り扱った次第でございます。
  85. 板川正吾

    板川委員 まあこのメートル法統一についてはわれわれも反対じゃないので、ただ政府PRに不十分な点があると思います。ひとつ国民に不便をかけないようにPRの点について十分今後努力してもらいたいということを要望します。  以上で私の質問を終わります。
  86. 天野公義

  87. 田中武夫

    田中(武)委員 この法案について若干の質問をいたします。板川委員の質問と重複している点がありましたら、その点については簡単でけっこうです。  この法律によって四月一日から土地建物取引行為証明にはいわゆる尺貫法ではいけない、メートル法でなくてはいけない、それに罰則がつく、こういうことなんです。そこでたとえばよく広告等をやっておりますが、何々ニュータウン、坪何千円、あるいは百坪何万円、こういうような広告、これも四月一日から本法の違反になりますか。
  88. 川出千速

    川出政府委員 同様の御質問が板川委員から先ほどございましたわけでございますが、単なる広告だけでは取引行為と認められない場合が多いわけでございますので、私は原則として違反にならないと思っております。しかしながらメートル法統一の見地からすれば、表示もそういう広告もメートル法によることが望ましいわけでございますので業界に対しては、メートル法による表示をするように行政指導をしてまいりたいと考えております。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、ただ単に単価幾ら、いままでは大体宅地の場合は坪ということがわかっておる。単価幾ら、こういう広告のしかたもしているわけですね。今後単価幾らとした場合に、いわゆる坪でやっておるのか、あるいは平米でやっておるのか区別のつかぬことがありますし、いわゆる広告側と、それを見て買おうとする側とに意思の違ったものが出てくるおそれもあると思います。そういう場合は、この法律でいうなら、単価ということがもしあらわされた場合は一平方メートルだという推定を下すのですか、いかがです。
  90. 川出千速

    川出政府委員 その広告の具体的には場合によるだろうと思いますけれども、単に単価というだけでは正確な表示ではないわけでございまして、今後は平方メートル単価というのが好ましいわけでございます。さように考えておる次第でございます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 いままではいわゆる単価幾ら、単価三千円、こういうことを言えば宅地の場合は坪三千円ということが慣行であります。そこで広告をした場合に、単価幾ら、これはおそらく一方は一平方メートル当たり幾らということで書いたとします。ところが買い主側はいままでの慣行に従って坪幾ら、こう見た場合に、三分の一の面積——言いかえるならば、三分の一の定価になっているわけですね。そういうことで契約が成立していざ決済の場合に問題が起こることもあり得ると思うのです。そういう面においてはどのように指導しますか。あるいは相手方が坪幾ら、これはまあ通産省その他の今後のPRというか、いままでのPRも必要であろうと思いますが、ともかくまだ一般的には四月一日から直ちに頭を切りかえるわけじゃないのです。それを一平方メートル当たり幾ら、これは一坪の約三分の一でありますというような表示をすればいいが、そうでなく、ただ単に単価幾らあるいは意識的に相手方がいままでの坪をもって考えるであろうというようなことで、そういうことをやる。ところがこれは法律によって四月一日から平方メートルということになっておりますので、当然平方メートルでございます。じゃ、買い主側では大きな錯誤があったといいますか、そういう場合に成立した売買契約の効力あるいはこのこと自体が、不正競争防止法、不当景品類及び不当表示防止法との関係も考えれると思いますが、いかがでございます。
  92. 川出千速

    川出政府委員 御指摘のとおりでございまして、切りかえ時期を悪用いたしまして単価幾らということで悪意を持ってそうするようなことになりますと、これは先ほど御指摘になりました法律違反にもなりかねない、私はかように考えます。これは公正取引委員会の所管でございますので、その解釈の問題につきましては公取の見解によって判断をしなければならないと思いますけれども、私はどうも違反に該当する場合が多いのではないかと考えます。したがってわれわれとしましては、平方メートル当たりの単価はこうであってこれは従来の坪になればどのくらいに値するかというPRは大いにしなければいけないと思っております。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 不当景品類及び不当表示防止法では公取ですが、もう一つ私が言いましたほうは、平方メートルでやっている、しかも相手が誤認するであろうということまでも考えて、単価幾ら、それで手つけを渡していわゆる売買契約の予約といいますかあるいは売買契約をやった、いざ決済のときにそんなはずじゃなかった、こうなった場合に、法律的にはメートル法統一せられて四月一日から平米になっているのだからそのほうに法律は軍配を上げるでありましょう。しかしそのねらいは、まだ十分にそのことが一般の庶民に行き渡ってない、したがって三分の一程度の価格と誤認せしむる、こういう行為はあり得ると思うのです。現に目方をグラムに統一したときに百グラム幾らというのを見て、きのうまで三百円もしておった肉が八十五円に下がったと喜んだ人もおるわけです。いままでは百匁幾らの表示だった。それをグラムに統一したときに百グラム幾らになった。約四分の一です。そういうことがあるので、そういうことをねらう。そうでなくても今日不動産周旋屋というか、ずばり言うなら悪徳不動産屋が横行している今日、そのようなことがあり得ると考えます。それに対してどのような指導をするか、あるいは現実にそういうことが起こったときに、それは契約の内容に対して認識が誤っておったのだからこれは無効だと思います。そうした場合に、すでに渡した手付金をおそらく不動産屋は返さないだろうと思います。そういうことについての指導をどう考えておられますか。あるいはそれから先のことは通産省ではなくて取り締まり当局である、こういうようにも言えると思いますがどうなんでしょう。
  94. 川出千速

    川出政府委員 そのような場合の契約が内容の錯誤で無効であるかどうかということは、これは私どもの所管する問題ではないと考えます。しかし過渡的にそのようなことを悪用をして悪徳業者がそういう行為をするであろうということは可能性があることでございますので、その点につきましては公取ともよく連絡をとって、悪質なものがあったらどんどん取り締まるということをすると同時に、政府としましては、何にしましてもやはりPRが一番大切だと思いますので、そちらについては大いに力を尽くしていきたいと考えております。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、たとえば一平方メートル三千円、一坪の約三分の一、相手に誤認を与えない、錯誤を与えないということで、当分の間そういう広告をやらしたほうがいいのだと思うのですが、それはどうでしょうか。  それから、証明行為あるいは取引——これも取引です。何平方メートル、カッコ何坪、こういうことはいかがですか。
  96. 川出千速

    川出政府委員 先ほど板川先生から御質問がございまして、法務省のほうからも御答弁があったわけでございますが、説明的な意味でカッコをするということはけっこうなことではないかと考えております。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 証明行為とか正式な取引、いわゆる売買契約書とかなんかにそういうこともあると同時に、広告者といいますか業者に対して、相手方に誤認せしめるような行為は慎み、十分説明をしろ、こういうような指導なりあるいは勧告なり、これこそやるべき行政指導だと私は思うのです。いかがですか。
  98. 川出千速

    川出政府委員 その点はたいへん大切なことだろうと思いますので、今後の行政指導面に生かしていきたいと思います。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 法務省にお伺いしますが、不動産登記、土地登記、建物登記、立木登記とありますが、その登記謄本あるいは抄本は証明行為ですか。それとも資料ですか。
  100. 住吉君彦

    ○住吉説明員 謄抄本といいますと、これは原本の全部もしくはその一部の記載どおりであるという趣旨における証明でございます。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、先ほど私が入ってきたときに、板川委員も取り上げておられたようですが、現在の多くの登記簿はまだ尺貫法であると思います。そしていままでの例によれば、何らかの登記簿というか、厳重な一筆を相続なり売買なり抵当権設定なりのときに直していく、こういう方法が今後もとられるだろうと思うのです。謄本の申請等の場合は、表示のところを書きかえて出しますか。それとも現在の登記簿のそのままのことを証明する、したがって尺貫法でやりますか、いかがです。
  102. 住吉君彦

    ○住吉説明員 先ほど申しましたように、謄抄本ということになりますと、原本の全部もしくはその一部の記載と相違ないという趣旨の文書でございます。したがいまして、原本自体が尺貫で書かれてございますので、謄抄本ということになりますと尺貫で出ます。しかし、それではいま先生指摘のように取引間に誤解を生じますので、その際には奥書きに、この謄抄本は尺貫単位で記載されているものであるという注意書きをつけまして、それをそのまま取引上の計量単位として使わないように、その点は十分措置を講じておきたい、こう考えております。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 何市、何町、何丁目何番地、宅地、あるいは何丁目何番地、地上建物、具体的なものに対するものは、これは証明事項になるのじゃないですか。たとえば先ほど言ったように、どこそこニュータウン坪何ぼ、これはかまわないとおっしゃったのですね。それじゃ具体的な土地あるいは建物、これを表示した場合はどうなります。広告で、何地何番地宅地何坪あるいは何番地地上建物建坪何坪、こういう広告はかまいませんか。
  104. 川出千速

    川出政府委員 これは法律解釈の問題として、私専門的知識がないのではっきりわからないわけでございますが、それが契約の誘因であるのかあるいは申し込みであるのかというようなことによっても解釈の相違が出てくると思いますけれども、単なる表示だけで計量法違反であるときめてしまうわけにはいかないのではないかと考えておる次第でございます。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 いや具体的なこの建物、これがわかるのですよ。何番地地上建物木造かわらぶき二階建て建坪幾ら、二階延べ何坪、これは証明行為じゃないですか。それともそれは一つの資料だということで、坪でやってもいいですね。
  106. 川出千速

    川出政府委員 そのことのみによって証明行為と断定するわけにはいかないと思います。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ取引のときにそういう資料を見せて、この家を幾らですということは証明行為になるでしょう。なりませんか。具体的な事実をあらわすものは証明行為だというのが、あなたのほうの解釈じゃないのですか。
  108. 川出千速

    川出政府委員 具体的な取引と申しますか、具体的な問題として、一般的な表示でなくて、ただいま御指摘になりましたような場合は、証明に該当する場合があろうかと思います。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと登記簿謄本を請求する場合は、やはり一つ証明資料だと私は思うのです。そこで登記簿謄本を出す場合、もう尺貫法からメートル法にかえて証明したらどうなんです。ということは、一度にかえろということは無理だと思います。しかし売買なり抵当権設定なりのときに直す。要は具体的なその土地、登記簿を必要があってあけたときに直すのだということでそれはいかがですか。
  110. 住吉君彦

    ○住吉説明員 いま御指摘のように、謄抄本の請求があるつど、原簿をまず平方メートルで書きかえまして、それをコピーしたものを謄抄本として出すということが一番望ましい、これは御指摘のとおりでございます。ただ、大都会の登記所におきましては、一日に数千通の謄抄本の請求がございます。そういう際に、本来登記の謄抄本を請求される方々は、それがもう一刻も早く出ることを期待しておられます。書きかえのためにまた数日を要するということになりますと、登記本来の目的が達成できませんので、新しい事件はもとよりでございますが、余力のある登記所、原簿を書きかえて謄抄本を出してあげることが可能な登記所、これにおきましては、できるだけそのようにすることに指導いたしております。ただ、いま申します大都会の登記所におきましては、何ぶんにも一日に謄抄本の件数が相当多量にございまして、これを一日のうちに出してしまうこと自体が現在手一ばいでございますので、あるいは尺貫で出すことになろうと思いますが、その際は、先ほど申しましたように、奥書きにおきまして、この謄抄本に表示されている面積は尺貫で書かれているのだから、それをそのまま取引上使わないようにという趣旨の奥書きをいたしております。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 ついでだから聞くが、そういう登記簿謄抄本の申請書あるいは登記簿閲覧書、これを司法書士が出す場合に、地目の次には尺貫法で書きますかメートル法で書きますか。
  112. 住吉君彦

    ○住吉説明員 申請書は地積はございません。申請書には土地の所在だけを出させます。
  113. 田中武夫

    田中(武)委員 そうじゃないよ、坪数を書く欄もある。
  114. 住吉君彦

    ○住吉説明員 具体的事件、甲号事件といっておりますが、所有権の移転とか抵当権の設定、これにつきましては、先生のおっしゃいますように、所在と地目と地積、この三つを出させまして、不動産の同一性をそれによって登記所のほうで理解していくということになります。
  115. 田中武夫

    田中(武)委員 登記簿の閲覧のときには地積は書かなくてもいいのか。
  116. 住吉君彦

    ○住吉説明員 はい。
  117. 天野公義

    天野委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  118. 天野公義

    天野委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  119. 天野公義

    天野委員長 次に、内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、同じく中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案及び同じく中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  120. 中村重光

    中村(重)委員 当委員会において中小三法の質疑を行なってきた、それに関連いたします諸問題につきましても質疑を続けてまいりましたが、その中で、大臣が他の委員会あるいは参議院に出席をしておられまして、大臣の見解を伺っていない点がありますので、二、三点大臣の見解をひとつ伺っておきたいと思います。  まず、中小企業の近代化を促進していくという立場から、工場あるいは商業の団地をやっているわけですが、都市の中心に存在しておった工場が非常に喧騒をきわめるとか、あるいは公害が発生をするとか、あるいは交通上の問題等もある。そこで、できるだけ郊外に団地をつくって、工場の集団化をはかっていくということが政府方針であるわけです。そうした政府方針に沿って地方自治体でも促進をしておるわけです。そうした国あるいは地方自治体の要請にこたえて、これに協力をして郊外の団地に入った下請工場等が、当然土地を取得しなければならないわけですね。その取得した時点では比較的安い、ところが工場が移りますから非常に地価が上がってくるわけです。そこに問題が実は出てまいります。どういうことかといいますと、その取得した土地は、個々人が入手をする、もちろん組合がそれなりの努力をするわけですけれども、そこで取得をしたあとにどうなるのか。団地ですから、当然近代化資金の助成を受けるわけです。あるいはこれと裏金融的な中小企業金融公庫あるいは商工中金その他の機関から借り入れをする、借り入れをいたしますとこれは当然担保が必要になってくるわけですね。その場合に、団地に入ります下請工場等、個人の企業といたしましては、自分の土地ですから自分の名義にしたいわけです。したいのだけれども、当然近代化資金の助成をしておる、それに伴って政府関係の金融をやった、だから、その担保は個人の名義でなくて組合名義にしてもらいたい、それでなければならぬということが一つ制度化しているわけです。ところが、いつまでも組合の名義にしておく必要はないわけですね。近代化資金の借り入れの助成資金も払った、あるいはその他の金融機関に対する借り入れも払った、当然組合名義であるものを個々人の名義に分割登記をしなければならぬということ、そこで不動産取得税が問題になるわけです。私は、この点どうするのだということを長官の見解を聞きましたら、長官は、それは入手したときの価格、それによって不動産取得税を賦課すべきものであるという見解だ。ところが、自治省からも来てもらったのですが、自治省の見解はそうじゃないのですよ。分割した時点における価格によって評価をして不動産取得税を賦課すると、こういうのです。これはたいへん問題になるわけです。通産省の団地行政といったようなものにも大きな阻害要因として働くわけです。だから、個人の意思によって組合名義にしておるものでもないわけです。国の方針に沿って組合名義にしておるのであるから、当然、それが分割をした場合は、入手した当時の時点における価格、その評価額によって不動産取得税を賦課するということが私は当然でなければならぬと思うわけです。当然であるけれども、肝心の指導に当たる通産省と、税を賦課する立場にある自治省の見解が食い違っておったのでは、これはどうにもならないわけです。だから、国務大臣としての三木通産大臣は、この点についてどういう見解をお持ちになるのか、まずその点。これは団地に入っている企業も非常に不安なんです、また長官の答弁の中でも明らかでございましたように、そういう不安を持たせたのでは、これから先の団地行政もやはりうまくいかないという考え方を持っておるようでございますから、ひとつこの際、はっきり大臣の見解を明らかにしておいていただきたいと思うわけです。
  121. 三木武夫

    ○三木国務大臣 中村さんのお話ごもっともでございます。国税庁とは話し合いがついて、取得してからの値上がりの分は課税をしないということになっておるわけです。自治省とはまだ話がついていないようですが、国税庁と話がついておる線に沿うて、自治省ともこの線でまとめるように最善の努力をいたします。
  122. 中村重光

    中村(重)委員 もう一点は、先ほど申し上げましたような理由で郊外に移った。ところが従業員というのは、まず旧設備があったところを中心として働いておる。郊外に移りますと、その従業員は当然団地のほうに通勤をするということになるわけですね。通勤をいたします場合は、汽車を利用する場合もありましょうしバスを利用する場合もある。ところがやはりバスになるわけですね。汽車ということになってまいりますと、その工場のところにそのまま線路、駅があるわけではございません。バスを利用するということになってまいりますと、団地に入りましたそれぞれの下請工場あるいは商業というものは、当然協同組合をつくるわけですよ。共同事業というような形でやるわけですね。またそれでなければならない。通産省としてもそういう指導をしておるわけです。そこでさっそくバスを入手しなければならぬ。バスを入手するということになってまいりますと、当然自家用白ナンバーが必要になってくるわけです。ところが運輸省はこれをどうしておるかといいますと、運輸省は個々の企業に対してならば自家用としての白ナンバーを交付するけれども、協同組合に対しては白ナンバーを交付できないというのです。しいて求められるならば、その協同組合の職員に限って職員の輸送用の自家用白ナンバーならば交付しよう。それぞれの工場で働いている従業員の、いわゆる労働者の輸送のための白ナンバーは交付しないわけです。どうなるのか。それぞれの企業で一台のバスを購入するだけの従業員がおるとは必ずしも言えないわけです。二十名もあるでしょう。三十名もあるでしょう。あるいは百何十名、二百名というものもあろうと思う。そうすると、自分のそれぞれの企業でバスを購入するわけにはいかないということになってまいりますと、勢い他の会社の名義によって交付されておる白ナンバーのバスに乗車せざるを得なくなる。ところが、何も事故がないときはいいわけです。途中で何か交通事故が起こった、そしてけがでもしたということになってくると、当然医師の治療を受けなければならぬ。それから労災補償というものも当然受けなければならないわけですね。ところが他の会社のバスに便乗しておったという形になってまいりますと、労災補償を受けることにまで問題が出てくるわけです。現実に起こっておる事例もあるわけです。それは通勤中とみなされないといったような、よその会社のバスに便乗しておったということは正当な交通機関を利用したとは言えないとか、いろんな理屈がつけられて労災補償の対象からはずされるということがある。これはたいへん不都合なことだと思う。そこで私は、ただ数人の職員の輸送というだけでなくて、現実に団地をつくりそして協同組合をつくり、また共同事業等もやっているわけですから、当然協同組合に必要な自家用車としての白ナンバーを交付すべきですよ。それは中小企業庁長官も私と同じような見解を持っておる。ところが運輸省のほうはそうじゃない。他人を輸送することになるのだから、それは白ナンバーを交付するわけにはいかない。だからいわゆる営業用としての認可を受けなさいというのですね。それが道路運送法のたてまえになっているのだ。それじゃあというので、いわゆる業務用という形で申請をいたしますと、いろいろな課税上の問題も一つ出てくる。さらにまたこれには公聴会を開くことになってまいりますから、既存業者というものも、ものすごい反対をしていくことにもなるわけです。だからこれはそう簡単にいくものではない。いろいろ私運輸省に詰めてみたのですが、農協の経済連というのがありますね。あれがいわゆる業務用という形でトラックの免許がおろされておるわけです。そういう形では可能であるから、業務用としての申請が行なわれるならば認めようというような、そういうニュアンスの答弁はなされた。必ずしも明確ではないわけですね。だから私は、まずそういう形式に運輸省もこだわるのでなくて、現実に協同組合をつくり共同事業等もやっておるわけなんだ、そうしてその団地に入っておる個人企業に白ナンバーを交付するというのであるならば、協同組合に白ナンバーを交付して、全体の団地の従業員の輸送、送り迎えをやらせればいいじゃないか、これが常識的だというように判断をしておるのですが、大臣の見解はどうでございますか。
  123. 三木武夫

    ○三木国務大臣 お話のように、協同組合の人だけの送り迎えということで、範囲を広げないということならば、白ナンバーでもいいのじゃないかと思いますけれども、運輸省との関係がありますから、そういう線に沿って運輸省と折衝をいたすことにいたします。
  124. 中村重光

    中村(重)委員 大臣はこの点はもちろん弱腰でおやりになるということは考えられませんが、団地行政という立場からこれは強力にひとつやってもらいたい。これはだれが聞いても運輸省があまり形式にこだわっている。受け取り方によれば、既存業者から相当圧力をかけられておるのじゃないかとすら勘ぐりたくなりますよ。だからこれは大臣強い態度でもって協同組合に白ナンバーを交付させる。他の者を輸送するなんということは考えられません。そういう場合は免許を取り上げればいいですよ。だからぜひそれをやってもらいたい。  次に、大臣に再度お答えを願いたいのですが、近代化資金の貸し付けにあたりまして貸し付け対象となる土地建物その他の施設等の算定基礎、これが現実的でないと私は思うのです。非常に物価は上昇しております。当然必要資材というものも値上がりになるわけです。だから政府予算を編成するときの時点と、現実に予算が働いて近代化資金等の貸し付けが行なわれる、そしていろいろな諸設備をするというときになってまいりますと、価格のずれが出てくるわけですね。それが一点。  もう一つは、どうしても政府のほうで算定をされますときに単価が辛くなるのです。ですから、二分の一補助であるということになりましても、現実には三分の一程度にしかならない。だから今回の予算案の中におきましても、単価もある程度引き上げられておることは、これは認めます。認めますけれども、それでもなおかつ現実的でない。だからして当該の企業といたしましては、金融も困難でありますから、負担が過重してくる。だから高利貸し等の金融すら受けなければならないということになってきますと、経営上支障を来たすということになるわけです。だからして、この算定にあたっての単価の引き上げというものを大幅になさなければならぬと私は思うわけです。その点に対する大臣の考え方をひとつ伺っておきたいと思います。
  125. 三木武夫

    ○三木国務大臣 中村さん御承知のように、土地の貸し付け単価の引き上げというので、いろいろな資金も今度全部引き上げましたね。これが基準になるのですから、この基準をいま変えるわけにはいかぬけれども、運用の面で弾力的に運用することによっていまのあなたの御指摘のような場合をできるだけ負担の軽減になるように努力をいたしたいと思います。
  126. 中村重光

    中村(重)委員 次はボランタリーチェーンの点ですが、ボランタリーチェーンの事業運営というものが行なわれてくる。それに伴って小売り商業の連鎖化ということが積極的に進められるだろうと思うのです。ところが、連鎖化は従来のように小売り商業との集団化という方針でなくて、今度はむしろ分散化になるわけです。したがって、これは長官の見解も伺ったのですが、向こう三軒両隣というので、一チェーンにこれを加盟させるということは適当ではない、こういうことです。それでは連鎖化される小売り商と連鎖化からはずされる小売り商との間に格差が生じてくる。勢いはずされる小売り商というのは比較的規模の小さいものがまずはずされることになる。ということは、経理内容等優良なものを連鎖化するという方針があるわけですから、勢いそうなってまいる。そうすると、規模の小さい零細な商業というもの、小売り商というのは淘汰されるという危険性が出てくると私は思う。これはたいへん重大な問題となってくると思います。この点を御指摘いたしましたところ、長官は、一チェーンに対してはなるほど向こう三軒両隣というようなことで加盟しないけれども、その他のチェーンの縦の線でもってまたそのはずされたものが入ってくる、こういうようなことで、チェーン本部がたくさんできるから、したがって、その系列化の中にあって、最終的には全部の小売り商というのがチェーン化、いわゆる連鎖化してくることになる、その点はいい意味における競争が行なわれるから、これはいいのではないかという答弁があった。なるほど長官の答弁のとおりにうまくできるならばけっこうなんですよ。ところが、政府の今度の計画だけを見ても、わずかに二十五、これではてんで問題にならない。そういうことですから、長官が頭の中で考えているふうにはなかなかいかぬ。したがって、この点非常に重要な問題であろう、私はこう考えますから、この点に対しては、大臣もそれぞれこのボランタリーチェーンの運営のことについては勉強もしておられるであろう、新しい試みですから相当な知識もあられると私は思いますが、私が指摘いたしましたような弊害が出てまいります、こういう点についてはどういう配慮を加えていこうと考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
  127. 三木武夫

    ○三木国務大臣 どうも小売り商に対する対策というのはなかなかいい対策がないのです。しかし、中小企業の中で数は非常に多いわけですから、その中で、ボランタリーチェーンのような考え方というものは一つの新しい試みですね。欧米諸国では五〇%も六〇%もこういう形で小売り商の連鎖方式が相当できておるというのですが、日本の土壌、こういう社会的な土壌の中にこれが育っていくだろうか、どうだろうかということは、今度の場合二十幾つですけれども、やってみて、そしていろいろくふうを加えていかなければいかぬと思いますが、くふうを加えていかなければいかぬというのは、いまの構想を日本に向いたような形に改善を加えていくよりほかにない、一つのテストケースだと思うのです。そしてこれがいいということになれば、みながこういう組織化をされるのではないでしょうか。全体の小売り商が何らか組織化されていくということは非常にけっこうなことで、このために政府が金を出さなければならぬというなら出したらいいと思うのです。たいした政策がないのですからね。このことが小売り商の経営の合理化に非常に役立つならば、政府は思い切って金を出したらいい。金に糸目はつけないつもりですから、全部これが成功して全国の組織化がいいということならば、これはそういうことに入るものと入らないものと、そんな区別は考えておりません。みな組織化されたらいい。またこれが成功すればそういうことになるでしょう。ほかにいろいろ考えてみても小売り商の場合なかなかいい対策というのはないですから、これは一つの新しい試みとして成功さしたいと考えておるわけで、中村さんが御心配のような、入るものと入らないもので区別するということはない。これが成功すれば全小売り商がこういう組織の中で経営を合理化していくことが理想であって、これに必要な資金は惜しむものではないということを申し上げておきます。
  128. 中村重光

    中村(重)委員 いまお尋ねしておることは長官とは詰めておる。それで大臣が出席しておられなかった。だから最終的に大臣の見解をただしておるのですが、金に糸目はっけない、全部組織化するのだ、こういうことですから、無責任な大臣の答弁であるとは私は考えておりません。だからいまの答弁のとおり確信を持ってひとつ進めてもらわなければならぬと思う。全体を組織化していく、こういうことでなければならぬと私は思う。しかし、そうするのだということですから、それを信頼することにいたします。  次に、この点はある程度大臣の考え方も聞かしていただいたのですが、この中小三法を、与野党いろいろ話い合いをいたしまして、きょうは附帯決議をもって上げることになりましたが、最終的に大臣の明快な見解を伺っておく、こういうことの必要を感じましたので再度お尋ねをしたいと思います。  近代化促進法によりまして、今度企業組合は特別の割り増し償却制度の対象にするということになった。これは従来私どもが主張してまいっておりましたから、けっこうなことだと思う。ところがこの事業協同組合が実は対象からはずされているということです。私はこれは適当ではないと思う。事業協同組合というものは当然この政府方針に従って組織化されていく。さらに政府方針は、私は共同化の方針であろうと思う。その前段的な形ということにもなろうと思うのでございますが、協同組合自体が経済行為をやる、事業を興す、そういう場合に当然指定されたいわゆる指定業種、今度新たに追加される企業組合と同様に協同組合もこの促進法の課税対象にする、こういうことでなければならぬと私は思う。当然今回の一部改正によって事業協同組合は入るであろうことを期待しておった。ところが大蔵省との予算折衝等々、政府部内の事情によって今回は事業協同組合だけははずされた。しかし、与党の理事の考え方をただしてみましても、また中小企業庁の長官の考え方をただしてみましても、その必要は認めておられる。また大臣の先般のお答えも、それでなければならぬという意味の御答弁はなされました。ですけれども、私どもは、最も早い機会の国会において事業協同組合を追加した改正案というものが出されなければならぬ、こう考えます。通産大臣において確信を持って、最も早い機会の国会において改正案を提案をするということでありますならば、これに賛成をして全会一致この法律案を成立さしたい、こう考えるのでありますが、まず大臣はこの点をどうお考えになるか、明確にひとつお答えを願いたいと思います。
  129. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御指摘の近代化促進法に事業協同組合を入れるべきであるという点でありますが、事業協同組合は中小企業の組織化の中核体としてきわめて重要な役割りを果たしていることでもあり、事業協同組合に対して、本法に定める割り増し償却制度を適用することについては、御要望に沿うてできるだけすみやかに実現するよう最善の努力を傾注いたしたいと思います。
  130. 中村重光

    中村(重)委員 もう一点です。近代化資金助成法の一部改正が行なわれて、これまた新しい試みとして構造改善事業というものが行なわれることになったわけです。そこでこの構造改善事業の課税の特例、この特例に企業組合は対象からはずされておるということです。これも私は、ただいま促進法の中において事業協同組合がはずされておるという見解と同じような見解でありますが、当然企業組合というものは対象にしなければならぬと思う。これもまた中小企業の共同化という方針に沿って政府は積極的な推進をなされておると考えるのであります。企業組合は、政府のそうした方針に沿って共同事業を行なっていく。さらに積極的な設備改善を行なって近代化を進めていこう、こういう考え方の上に立って積極的な取り組みをやっておるわけです。さらに近代化を促進をするという立場から、この構造改善事業というものが考えられたならば、当然この企業組合もその対象にすべきである、こう考えるのでございますが、この点に対しては大臣はどういうお考えをお持ちになるのか、これも最も早い機会、次の国会において企業組合を加えて構造改善事業をさらに強力に推し進める必要があると考えるのでございますが、この点どうでございましょう。
  131. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御指摘の、構造改善事業に企業組合を入れるべきであるという御意見については、構造改善事業の中における企業組合の役割りを考え、またこれを育成するということの重要性にかんがみて、御要望の線に沿うてできる限りすみやかに所要の措置が講ぜられるよう努力をいたしたいと思います。
  132. 中村重光

    中村(重)委員 最後にもう一点、大臣の見解を伺っておきたいと思います。今度の改正案を見ましても、いろいろと新しい試みがなされようとしておるわけです。いまの構造改善事業の問題もしかり、さらにボランタリーチェーンの問題もしかり、あるいは工場の貸与等々、従来中小企業対策といたしましては、あえて私は画期的と申し上げてもよろしい。歴代の通産大臣において、あるいは総理において、画期的ということをいわれ、小規模企業対策も強力に進めるということを答弁をしてまいりましたが、単なる答弁であって、なかなかこれは実現はしなかった。しかし今度の近代化資金助成法を中心といたしまして、小規模企業の対策等、積極的に推し進めていこうという意欲が出ておる。率直にこれは認めたいと思うわけです。ところが現在の制度でもっていたしますと、どうしても地方自治体の協力を求めなければいけないという面が多いわけです。そのことは、先ほど単価の問題等にも申し上げましたように、どうしても地方自治体に対して負担を要求するという面が出てくる。現在の地方自治体の財政が非常に貧弱であるという段階の中におきましては、地方自治体も大きな犠牲を受けなければならぬということになってきます。だから政府といたしましては国の助成というものをもっと積極化して、地方自治体並びに当該の中小企業等の負担軽減をはかっていく必要があると考えるのでございますが、この点に対しては、どういう考え方を持っておられるのか伺っておきたいと思います。
  133. 三木武夫

    ○三木国務大臣 最初に、野党の立場にある中村さんから、今度の中小企業対策は画期的であるという評価を賜わって非常に敬意を表するものであります。これは与野党を越えて、やはりわれわれの苦心をしておる点が正当に評価されたということは、政党政治のたてまえからは深く敬意を表するところでございます。最初にそれを申し上げておきます。それから中小企業に対しては、地方自治体もなかなか負担が過重になるわけですから、政府の助成を強化していけということは、将来中小企業対策を考える場合に、私たちそういうふうな線に沿うて考慮いたすことにいたします。
  134. 板川正吾

    板川委員 質問が微に入り細にわたり終わりましたから、一つだけ質問の取り残しがあるのでその点を伺います。中小企業の共同化なり近代化なり、高度化なりというものが必要だということを再三大臣も強調される。ところが共同化なり、近代化なり高度化なりをやるために必要な資金、その手続というものは実は非常にめんどうなんです。これはおそらく大臣も、中小企業の近代化にどういう金とどういう制度があるかということはわからないのじゃないかと思う。中小企業庁の担当者を呼んで私が聞いたことがある。ある個人が五十坪ばかりの家を鉄筋コンクリートにして、一階を店舗に、二階を倉庫に、三階を住宅に、四階を従業員住宅にする場合に、どこからどういうふうに借りられる方法があるんだと言ったら、中小企業担当者ですら答弁ができない。それは建設省で、それは中小企業庁のどこでということではっきりわからなかった。それほど中小企業の近代化をするにしても、高度化あるいは協業化をするにしても、資金的な手続が非常に入り込んでおるのです。そこでひとつ問題があるということが新聞等で報道されておるのですが、それは神奈川で中小企業が協業化店舗をつくる。共同で店舗を改善する、こういうことをやって中高層ビル五階建て、一、二階が一般的店舗ということで、共同して店舗を改善しようと思った。ところがそれに対する助成の方法はどうあるのかというと、中小企業近代化助成法による高度化資金貸し付けである。高度化資金による協業化資金がある。これは無利子で一年間据え置き、四年間均等償却である。さらに中小企業金融公庫の中高層不燃建築資金、これは店舗が年七分五厘の利子で、住宅部分が年七分の利子、十年均等償還、こういう制度であります。第三が県住宅公社の市街地改造資金で、これは年七分五厘の利子で十年均等償却、この三つの問題に関連しておるそうであります。ところが、県住宅公社の場合は問題はないそうでありますが、協業化助成と公庫の融資を受ける場合に、一つの問題に二つの融資を受ける場合に問題がある。それは、公庫融資を受ける場合には、公庫の受付の締め切りが十月末で、融資確定の通知は十二月か一月になるのが通例だそうです。十二月か一月に融資確定がする。通常着工が二月か四月ごろになる。一方中小企業庁の協業化資金は年度当初に申請を締め切り、そして六月に県商工指導所で診断した後、九月ごろ決定する。このため、当該年度は、九月ごろきまりますから、同じ年度の中に六カ月しか残っていませんが、この協業化資金の貸し付けが、年度内に着工して年度内に完成するという条件でなければ貸し付けができない、こういうことになると、時期がずれて、一つの工事をやるについて、貸す時期がばらばらであるために、なかなか協業化資金がうまく使えない。そこで県の措置として、工期の延長を認めるということをやっておるけれども、しかし、工期を若干延長してもやはり足が出てしまうというのですね、手続上。一つの工事を行なうのに、ほうぼうから金を借りる。しかし、ほうぼうから金を借りるのには、手続締め切りの時間等がちぐはぐになっておる。こういうことで、なかなか、実際に借りてやれば、違法な手続によらざるを得ない。この点は中小企業庁に、非常に問題だといって、是正方を神奈川県では求めている。こういうことになっております。こういう点で、せっかく中小企業の共同化、高度化や近代化資金がありましても、これ一つだけで全部をやるというわけにいかないのです、現在の制度は。御承知のように、半分は県で出し、さらに幾つかは他の金融制度から借りる、こういうことになりますから、そういう場合にセットで借りられるような方式、手続というものを考えなくちゃいかぬじゃないか。こういう点で、協業化資金の、手続上若干ミスがあるので、この点はひとつ検討して是正されることは当然じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  135. 三木武夫

    ○三木国務大臣 せっかくの資金が、みなそんなに時期的にもずれて、利用者に迷惑をかけるということは、こういう制度を設けた趣旨に反しますから、さっそく連絡会議を開いて時期を調整します。それと手続も、いろいろ手続をして非常に長期にかかることはまたよくない。手続したら二カ月以内に診断を終える、こういうふうに改善を加えます。
  136. 板川正吾

    板川委員 今度、政府がボランタリーチェーンを大いに奨励しよう、これは一つの方法でしょう。しかしこのボランタリーに加盟のできない中小企業者というのが、当然刺激されて共同化なり近代化なりしなくちゃならぬと思うのですね。そういう場合にいろいろのケースを考えて、たとえば一階を店舗、二階を住宅、三階を従業員用住宅、こういうふうな場合もありますし、あるいは地下をガレージ、二階を倉庫、こういうこともあるでしょう。そういうようないろいろの小売り商店の店舗改造や近代化のためのいろいろな措置というものを、ひとつ事例をあげて、こういう場合にはこういう金融制度を、こういうふうに幾つかの金融制度をあわせてこうしたほうがいいです、こういうようなPRをする必要があると思うのです。中小企業庁の金融担当官——かわったばかりだったのですが、質問をしたらわからぬで、帰って返事しますといったきり返事もろくになかったように、よくわからない。こういったようないまの制度を簡素化し借りやすくする、こういうような親切な行政があってしかるべきだ、こう思うので、ひとつもっと親切な、わかりやすいPRをするようなことを考えていただきたいということを要望いたします。大臣いかがですか。
  137. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今度、板川さんも御承知のように、PR予算は相当ふえたのですね。中小企業庁の中に施策普及費というのをつくって、中小企業にこういう制度があってもよく知らないために利用されない場合があるので、こういうふうにありますということを、施策をできるだけわかりやすく、みなに周知徹底して、そしてみなが知らないで利用できないという人がないように努力をいたします。
  138. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。三案に対する質疑は終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、三案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  140. 天野公義

    天野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  141. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  142. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  143. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  144. 天野公義

    天野委員長 次に、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して田中栄一君外二名から中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対して、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。中村重光君。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま可決されました三法案のそれぞれに対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、それぞれの案文を朗読いたします。    中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、後進地域及び産炭地域の中小企業者も広く投資対象とするよう中小企業投資育成株式会社に対し指導するとともに、この趣旨に基づいて会社機構の整備を図るべきである。    中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、事業協同組合が中小企業近代化促進のため重要な役割を果していることにかんがみ、本法に定める税制上の優遇措置を事業協同組合も受けられるよう早急に措置すべきである。    中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、左の事項につき必要な措置を講ずべきである。  一、小売商業連鎖化に対する助成にあたっては、零細小売商の切捨てとなることのないよう運用するとともに、助成対象とならない連鎖化事業に対しても必要な指導を行なうこと。  二、機械貸与機関が貸与する機械から当分の間建設業用機械を除くこと。  三、企業組合が中小企業構造改善事業を行なう場合も本法による課税の特例と同様の優遇措置が受けられるよう早急に措置すること。 以上が案文でございます。  三案の趣旨説明を行なうにあたり、中小企業政策実施の基本姿勢について、一言政府に要求いたします。  わが国経済の安定的発展を達成するためには、すみやかに中小企業の革新的近代化をはかることが絶対に不可欠の要件であります。そのため、われわれも中小企業基本法を制定し、中小企業の進むべき道を明らかにしておりますが、政府は中小企業近代化施策の推進にあたって、従来から地方自治体に多くの負担と協力義務を課しております。すなわち、現在の制度では中小企業の高度化、近代化に関する国の施策が積極的に進めば進むほど、地方自治体の財政負担量も増加するのであります。したがいまして、中小企業政策が地方財政を圧迫することになるという問題が今後ますます深刻化してまいるのであります。この観点から、私は中小企業政策は国の責任において進めるという姿勢がきわめて重要であることを指摘し、これを大前提として中小企業近代化施策の進め方について、再検討すべきことを強く政府に要請するものであります。  それではまず第一に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。  中小企業投資育成株式会社の投資実績を見ますと、設立以来今日までの投資決定企業は、三社合わせて百企業を数えております。しかしこれを地域的に見ますと、東京都、大阪府及び愛知県だけで五十八企業にのぼり、投資決定企業の半数以上が大都市に集中している実情であります。また投資決定状況を見ますと、優良な中小企業に重点を置き過ぎる傾向もうかがわれるのであります。したがってこの際、中小企業に株式資本を供給して保護、育成をはかるという本法制定の趣旨からも、また地域格差を縮小するという見地からも、投資の対象とする中小企業を広く選定し、後進地域、産炭地域の中小企業に対しても投資を行なうよう、中小企業投資育成株式会社を指導することが必要であります。これとともに、このような観点から、中小企業投資育成株式会社については本法制定の際の附帯決議において現在の三都市以外への配置も考慮するよう要望をした経緯もあるので、必要に応じ既存三社の機構の整備を行なうことが必要であり、場合によっては新会社を設立することも考慮すべきであります。  次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。  今回、本改正案によりまして企業組合が中小企業者の定義に加えられ、新たに企業組合が固定資産に対する減価償却の特例、及び合併等の課税の特例の恩典を受けられることになるのでありますが、事業協同組合はこの優遇措置の対象から除外されております。しかしながら、中小企業の近代化のために事業協同組合が果たしつつある役割りはきわめて重要であり、また企業組合と同様に、中小企業等協同組合法に基づく自主的な組織であることを考えますならば、事業協同組合も本法による税制上の優遇措置が受けられるよう、早急に措置する必要があると存ずるのであります。  次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。  第一点は、小売り商業連鎖化に対する助成についてであります。現在、中小小売り商は百五十万の多数にのぼり、中小企業全体の過半数を占めている実態でありまして、その相当部分を連鎖化によって近代化するのは容易なことではありません。特に本法による助成には予算上の制約もあり、当面の助成対象はごく一部の小売り商に限定されますので、勢い、ある規模以上の小売り商が早く連鎖化し、零細小売り商は連鎖化に参加することができないような事態が懸念されるのであります。政府はこの点をよく認識し、本法による助成が、結果として零細小売り商の切り捨て上なるがごとき事態は厳に避けるよう運用すべきであります。なお、本制度の対象とならなかった連鎖化事業あるいは対象となり得ない連鎖化事業に対しましても、右と同趣旨の指導その他中小商業対策上必要な指導について万遺憾なきを期する必要があります。  第二点は、機械貸与制度についてであります。本改正案によって、とりあえず数カ所の貸与機関が設置されることになりますが、現在、すでに土木建設機械の貸与を業とする企業が約二千存在しており、これとの競合が問題化しております。この問題に関しまして、無用の混乱を避けるために、当分の間、建設業用機械は、中小企業設備貸与制度の対象から除外することが必要と存ずるのであります。  第三点は、中小企業構造改善事業についてであります。本制度は、組合員への賦課金を組合が数年間積み立て、それによっていわゆる高度化のための事業を行なう場合に、賦課金に対しても積み立て金に対しても非課税措置を講ずるものでありますが、組合員に対する賦課を前提とするため企業組合は本制度の対象とならないのであります。しかしながら、企業組合においても、本制度の構造改善事業と同趣旨の事業のために、資金を積み立てることは十分考えられるところでありまして、この点、本制度は片手落ちの感なきにしもあらずであります。企業組合が事業協同組合等と同様、中小企業者の相互扶助の精神に基づく組織でありますことにかんがみ、政府は企業組合の行なう構造改善事業も税制上の優遇措置の対象となるよう早急に措置すべきであります。  なお、中小企業近代化資金助成制度の運用に関しまして、冒頭に申し上げました根本問題に付言して二、三指摘いたします。  まず、団地の土地を組合員が組合から譲渡を受ける場合の課税の問題であります。団地の造成が終わって組合員が自己の使用する土地を組合から譲渡される際、組合が取得した価格より値上がりした評価価格によって不動産取得税が課税せられることがありますが、この場合は、当然組合が取得した時点の評価に基づく課税がなさるべきでありますので、すみやかにこの点について地方税制の整備改善をはかるべきであります。  次は、団地資金の貸し付け条件についてであります。今回の改正によって償還期間が延長されるほか、土地建物の貸し付け単価も引き上げられることになっておりますが、なお団地内の企業にとっては、旧資産の処分のおくれ、運転資金の資金繰りの悪化、道路、上下水道向け投資の増大等、困難な問題が山積しておりますので、さらに一そうの条件緩和について、政府は今後も努力を続けるべきであります。  以上、三つの決議案の趣旨について御説明いたしましたが、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  146. 天野公義

    天野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  まず中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付するの動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  147. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付するに決しました。  次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付するの動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  148. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付するの動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  149. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。三木通商産業大臣
  150. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ただいま御決議をいただいた附帯決議の趣旨は尊重をいたしまして、今後やってまいりたいと思います。     —————————————
  151. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。  三法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  153. 天野公義

    天野委員長 私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  先日の田中武夫委員の質問に関し、公正取引委員会事務局長から発言を求められておりますので、これを許します。竹中公正取引委員会事務局長
  154. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 先般、田中委員より国鉄の構内で販売されるお茶の価格について御質問がございましたので、国鉄本社及び構内営業者の団体でありますところの国鉄構内営業所中央会の意見を求めましたので、御報告申し上げます。  御承知のように国鉄の構内営業は、日本国有鉄道構内営業規則に基づきまして、国鉄が承認することになっております。この承認に基づきまして現在列車食堂は財団法人鉄道弘済会外六社、その他の物品の販売は一万六千五百の従業者がございます。このように国鉄が承認をいたしまして、構内営業が行なわれるわけでございますので、これは国鉄の承認の反射的効果といたしまして、上独占のような状態が出ましても、独占禁止法でとやかく申すべき筋合いのものではないと思います。しかしながら、独占禁止法の立場から申しますと、国鉄が承認する場合も、できるだけ競争の要素を取り入れて旅客の便益をはかるような承認のしかたをされることが望ましいんじゃなかろうかとわれわれは考えております。  次に、先般問題になりましたお茶の価格でございますが、国鉄の構内で販売されます物品の価格は、日本国有鉄道構内営業規則に基づきまして国鉄が指定することになっております。お茶につきましては昭和二十九年以来百八十ミリリットル、容器につき十五円ということになっておりましたが、本年の一月一日これが二十円に引き上げられたわけであります。国鉄の説明によりますと、その理由は、製造原価の上昇、特に人件費の上昇ということでございまして、二十円にすることによって、品質と販売意欲の向上をはかり、乗客の便益をはかりたいということのようでございます。われわれの立場から申しまして、全国画一的にお茶につきまして二十円ということはいかがかと存じますが、独占禁止法の立場から申しますと、今回のお茶の値上げにつきましては、これは国鉄が指定したものにつきまして、その価格で構内営業所が販売いたしているのでありまして、その間に共同行為のようなものは認められないということで、これまた独占禁止法上の問題はないものと考えます。  簡単でございますが、御報告申し上げます。
  155. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの公正取引委員会の事務局長の調査報告で一応は了承いたします。しかし、望ましくないことにつきましては、機会を見てひとつ国鉄のほうへも公取の立場から、勧告というような法によることはいかがかと思いますが、話し合いを持ち込むように配慮願いたいと思います。
  156. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 御趣旨のように努力いたしたいと思います。
  157. 天野公義

    天野委員長 次回は明三十日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五分散会