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中村(重)委員 ただいま可決されました三法案のそれぞれに対する附帯決議案につきまして、自由民主党、
日本社会党及び民主
社会党を代表し、その趣旨を御
説明申し上げます。
まず、それぞれの案文を朗読いたします。
中小企業投資育成株式会社法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、後進地域及び産炭地域の中小企業者も広く投資対象とするよう中小企業投資育成株式会社に対し
指導するとともに、この趣旨に基づいて会社機構の
整備を図るべきである。
中小企業近代化促進法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、事業協同組合が中小企業近代化促進のため重要な役割を果していることにかんがみ、本法に定める税制上の優遇措置を事業協同組合も受けられるよう早急に措置すべきである。
中小企業近代化資金助成法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行にあたり、左の
事項につき必要な措置を講ずべきである。
一、小売商業連鎖化に対する助成にあたっては、零細小売商の切捨てとなることのないよう
運用するとともに、助成対象とならない連鎖化事業に対しても必要な
指導を行なうこと。
二、機械貸与機関が貸与する機械から当分の間建設業用機械を除くこと。
三、企業組合が中小企業構造改善事業を行なう場合も本法による課税の特例と同様の優遇措置が受けられるよう早急に措置すること。
以上が案文でございます。
三案の趣旨
説明を行なうにあたり、中小企業政策
実施の基本姿勢について、一言
政府に要求いたします。
わが国経済の安定的発展を達成するためには、すみやかに中小企業の革新的近代化をはかることが絶対に不可欠の要件であります。そのため、われわれも中小企業基本法を
制定し、中小企業の進むべき道を明らかにしておりますが、
政府は中小企業近代化施策の推進にあたって、従来から
地方自治体に多くの負担と協力義務を課しております。すなわち、現在の制度では中小企業の高度化、近代化に関する国の施策が積極的に進めば進むほど、
地方自治体の財政負担量も増加するのであります。したがいまして、中小企業政策が
地方財政を圧迫することになるという問題が今後ますます深刻化してまいるのであります。この観点から、私は中小企業政策は国の責任において進めるという姿勢がきわめて重要であることを
指摘し、これを大前提として中小企業近代化施策の進め方について、再検討すべきことを強く
政府に要請するものであります。
それではまず第一に、
中小企業投資育成株式会社法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議案について申し上げます。
中小企業投資育成株式会社の投資実績を見ますと、設立以来今日までの投資決定企業は、三社合わせて百企業を数えております。しかしこれを地域的に見ますと、東京都、大阪府及び愛知県だけで五十八企業にのぼり、投資決定企業の半数以上が大都市に集中している
実情であります。また投資決定
状況を見ますと、優良な中小企業に重点を置き過ぎる傾向もうかがわれるのであります。したがってこの際、中小企業に株式資本を供給して保護、育成をはかるという本法
制定の趣旨からも、また地域格差を縮小するという見地からも、投資の対象とする中小企業を広く選定し、後進地域、産炭地域の中小企業に対しても投資を行なうよう、中小企業投資育成株式会社を
指導することが必要であります。これとともに、このような観点から、中小企業投資育成株式会社については本法
制定の際の附帯決議において現在の三都市以外への配置も考慮するよう要望をした
経緯もあるので、必要に応じ既存三社の機構の
整備を行なうことが必要であり、場合によっては新会社を設立することも考慮すべきであります。
次に、
中小企業近代化促進法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議案について申し上げます。
今回、本
改正案によりまして企業組合が中小企業者の
定義に加えられ、新たに企業組合が固定資産に対する減価償却の特例、及び合併等の課税の特例の恩典を受けられることになるのでありますが、事業協同組合はこの優遇措置の対象から除外されております。しかしながら、中小企業の近代化のために事業協同組合が果たしつつある役割りはきわめて重要であり、また企業組合と同様に、中小企業等協同組合法に基づく自主的な
組織であることを考えますならば、事業協同組合も本法による税制上の優遇措置が受けられるよう、早急に措置する必要があると存ずるのであります。
次に、
中小企業近代化資金助成法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議案について申し上げます。
第一点は、小売り商業連鎖化に対する助成についてであります。現在、中小小売り商は百五十万の多数にのぼり、中小企業全体の過半数を占めている実態でありまして、その相当部分を連鎖化によって近代化するのは容易なことではありません。特に本法による助成には
予算上の制約もあり、当面の助成対象はごく一部の小売り商に限定されますので、勢い、ある規模以上の小売り商が早く連鎖化し、零細小売り商は連鎖化に参加することができないような事態が懸念されるのであります。
政府はこの点をよく認識し、本法による助成が、結果として零細小売り商の切り捨て上なるがごとき事態は厳に避けるよう
運用すべきであります。なお、本制度の対象とならなかった連鎖化事業あるいは対象となり得ない連鎖化事業に対しましても、右と同趣旨の
指導その他中小商業対策上必要な
指導について万遺憾なきを期する必要があります。
第二点は、機械貸与制度についてであります。本
改正案によって、とりあえず数カ所の貸与機関が設置されることになりますが、現在、すでに土木建設機械の貸与を業とする企業が約二千存在しており、これとの競合が問題化しております。この問題に関しまして、無用の混乱を避けるために、当分の間、建設業用機械は、中小企業設備貸与制度の対象から除外することが必要と存ずるのであります。
第三点は、中小企業構造改善事業についてであります。本制度は、組合員への賦課金を組合が数年間積み立て、それによっていわゆる高度化のための事業を行なう場合に、賦課金に対しても積み立て金に対しても非課税措置を講ずるものでありますが、組合員に対する賦課を前提とするため企業組合は本制度の対象とならないのであります。しかしながら、企業組合においても、本制度の構造改善事業と同趣旨の事業のために、資金を積み立てることは十分考えられるところでありまして、この点、本制度は片手落ちの感なきにしもあらずであります。企業組合が事業協同組合等と同様、中小企業者の相互扶助の精神に基づく
組織でありますことにかんがみ、
政府は企業組合の行なう構造改善事業も税制上の優遇措置の対象となるよう早急に措置すべきであります。
なお、中小企業近代化資金助成制度の
運用に関しまして、冒頭に申し上げました根本問題に付言して二、三
指摘いたします。
まず、団地の
土地を組合員が組合から譲渡を受ける場合の課税の問題であります。団地の造成が終わって組合員が自己の
使用する
土地を組合から譲渡される際、組合が取得した価格より値上がりした評価価格によって不動産取得税が課税せられることがありますが、この場合は、当然組合が取得した時点の評価に基づく課税がなさるべきでありますので、すみやかにこの点について
地方税制の
整備改善をはかるべきであります。
次は、団地資金の貸し付け条件についてであります。今回の
改正によって償還期間が延長されるほか、
土地、
建物の貸し付け単価も引き上げられることになっておりますが、なお団地内の企業にとっては、旧資産の処分のおくれ、運転資金の資金繰りの悪化、道路、上下水道向け投資の増大等、困難な問題が山積しておりますので、さらに一そうの条件緩和について、
政府は今後も努力を続けるべきであります。
以上、三つの決議案の趣旨について御
説明いたしましたが、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。