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1966-03-25 第51回国会 衆議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十五日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    内田 常雄君       海部 俊樹君    黒金 泰美君      小宮山重四郎君    田中 六助君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       沢田 政治君    實川 清之君       島口重次郎君    田原 春次君       山崎 始男君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (企業局長)  島田 喜仁君         中小企業庁長官 山本 重信君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局商務課         長)      林 信太郎君         建設事務官         (計画局参事         官)      大津留 温君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第三四号) 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案内閣提出第三五号) 中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法 律案内閣提出第九四号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、同じく中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、同じく中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。島口重次郎君。
  3. 島口重次郎

    島口委員 間もなく大臣が来るようですから、その前提になる問題でお尋ねをしておりまして、大臣が見えてから、直ちに大臣のほうへ答弁を要請いたします。  そこで、高度化資金の問題ですが、白書にも報告をされておりまするけれども、高度化資金によりまして、協業デパート建設をやりましたが、その結果不成功に終わったということが報告されております。その理由等がいろいろあげられておりまするが、資金の操作に困りまして、破産もしくは休店をしておる、あるいは規模があまり拡大いたしまして、自己資本借り入れ金との構成がアンバランスになった、これも大きな理由一つだ、こういうことをいわれておりまするが、全国で、この種の失敗しておる協業事業と称するのは、どの程度あるのですか。
  4. 山本重信

    山本(重)政府委員 いわゆる寄り合い百貨店で、貸し付け対象の件数が全体で八十九件でございますが、その中で、いま御指摘のような理由によりまして、経営がうまくいってないものが、六件ございます。
  5. 島口重次郎

    島口委員 それに対する対策として、ただいまどういうことをやっているか、具体的にひとつ教えてもらいたいと思います。
  6. 山本重信

    山本(重)政府委員 計画がうまくまいりませんでしたケースについて、その原因調査をいたしてみますと、いろいろな原因があるのでありますが、その中でまず第一に、最初計画が、率直に言いまして、十分に練られていない、ずさんである、あるいは最初計画したよりも大きなものを、途中で急に計画変更して、つくってしまったというような、計画性欠除というものが一つあろうかと思います。その点につきましては、特に三十八年度にこれを始めた当時、政府のほうの指導も必ずしも十分でなかった点もございますので、まず計画の段階で診断指導を徹底してやろう、こういうことで、それ以後のものについて、かなり念を入れた指導をいたしておるような次第でございます。  次に、土地購入代金対象に入っておりませんでしたために、業者の負担がかなり大きくなった、それが全体の資金繰りにかなり圧迫を加えておるという事情がございます。今回その運用方針を改正いたしまして、土地助成対象にするということにいたした次第であります。  それから、貸し付け資金償還期限が、従来五年で短かったという点もございましたので、これを七年に延長することにいたしました。  そのほかまた、業界自体で内部の協調性が十分とれないとか、あるいは商品の割合が適正を欠いておったというような点もございます。  その辺につきましては、政府あるいは県の指導機関のほうで、できるだけきめのこまかいアドバイスをいたし、今後こういうような事例のないようにいたしたいと思っております。幸いにして、第一年度に計画したところにそういう失敗の例がございましたが、その後のものはおおむね順調にまいっているような事情でございます。
  7. 島口重次郎

    島口委員 ただいま、今度は融資対象として土地借り入れ代金対象にした、あるいは五年を七年に償還期限を延長いたしました、こういうお話でありますけれども、これはこれからできるものにそうやるのでありますか、それとも三十八年度、三十九年度で、対象になっておらぬもので、建てたものは、扱いはどうなるかということであります。
  8. 山本重信

    山本(重)政府委員 既存のものにつきましては、償還期限の点は、これから支払うものについては適用になりますので、その残存期間がそれだけ延びることになります。  それから土地は、これはすでに発足したあとでございますので、すでに実施されたものについてさかのぼって土地資金を供給するということは、できないたてまえでございます。
  9. 島口重次郎

    島口委員 前のものに遡及しないということになりますと、私は、ただいま申し上げました店を締めている、営業を休んでいるものの救済対策にはならぬと思いますけれども、これから先でなく、既存のもので店を締めているものに対する対策をどうするか。  たとえば、あなたのほうからもらいました近代化資金助成法に関連する報告でありまするが、先ほど六件あると言いました一番大きな代表的なものを申し上げますけれども、これは弘前にできました新興デパートです。これが、この報告を見ますると、所要資金が五千四百四十六万五千円、こうなっておりまするけれども、これに間違いないですか。
  10. 山本重信

    山本(重)政府委員 いまお話しの弘前の場合は、当初計画と実行された実績とがかなり違いまして、最初は一階、二階という店舗であったものを、その後業界のほらの一存で三階、四階の建物に増設をしたというような関係もございまして、所要資金が、これでは九千五百万円の予定であったものが、実際には一億七千万円余りかかった、こういう実情でございます。
  11. 島口重次郎

    島口委員 それではこの関係資料報告書が間違いだということですか。これはあなたのほうから出た資料ですが。
  12. 山本重信

    山本(重)政府委員 先生のごらんいただいております資料は、当初計画ベースにしたものでございまして、いま私が申し上げましたのが、その後の修正を加えた数字でございます。
  13. 島口重次郎

    島口委員 当初計画はともあれ実際のありのままの姿をわれわれに報告してもらわなければほんとうの姿がわからないと思いますが、そういう点はどうなんですか。
  14. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまごらんいただいております資料は、当初計画ベースにした数字でございまして、御指摘のように、その後変更になった分については、その実態を申し上げませんと実情がはっきりおわかりにくいと思いますので、その点さらに資料を追加をしてはっきりするようにいたしたいと存じます。
  15. 島口重次郎

    島口委員 われわれが一つ一つ具体的な質疑をしてから訂正をするのではなくて、やはり実際のありのままの姿をわれわれに出してもらわなければ検討する資料にならないと思いますから、そういうことのないようにお願いしたいと思います。  そこで問題は、当初計画から申し上げますると五千四百四十六万五千円になっているわけです。ところが、私が現実状況を見てみますると、土地買い上げ代金が五千万、それから建築費が二億、さらに店が完成をいたしましてから商品整理いたしますのに約七千万、こら聞いているのであります。三億二千万の状況でありまして、開店はしてみたけれども、ただいま申し上げました建築代金やらあるいは土地買収代金の支払いで新しい仕入れができない。開店をいたしまして三月、四月程度で店を閉鎖したのであります。その後依然として開店しておらないのです。そういうものに対する対策をどうするんだ、ただ高度化資金を出してやったからそれでよろしいというのではないと思うのです。やはり失敗したものは失敗したものとしてこれを取り上げてどう生かすかといろ指導をすることも皆さんの大きな役割りだと思うのです。その点をどうするかということをお聞きしたい。
  16. 山本重信

    山本(重)政府委員 本件につきましては、特に県が主体になりまして再建するためにどうしたらいいかということでいろいろ検討していただいたのであります。たとえば従業員も何か最初は百五十名、相当大ぜいの人を一挙に採用したりして人件費が相当かさんだとか、それから中の商品構成も必ずしも適正でなかったというような点もあって、いろいろ指導いたしたようでございます。  それからもう一つは、この場合は従来持っていた店を全部やめてそこへ集まるというのが大前提になっておりましたところが、ほとんどの方が前の店をそのまま継続して営業して、こちらはこちらでやるという二またかけたようなかっこうであったために、かなりそこに無理が出たような点もあったようでございます。再建についてもいろいろ検討されて、それから県のほうでも考えているようでありますが、どうもいまのままの形態では再建は不可能だ、そういう判断が下されましたので、やむを得ず貸し付け金の返還という措置に出ておるような状況でございます。まことに遺憾な事例であると思います。
  17. 島口重次郎

    島口委員 これは、あなた方だけが悪いとか責任を追及するのではなくて、やはり企業家本人企業努力が足りないからで、あえてあなた方だけの責任追及をするのではないのであります。ただ、だれから見てもわかることは、約三億以上の資本投資をやっているわけであります。その中で自己資金と称するのはわずかに一千万、一〇%にも達していない。四%そこそこであります。先ほどの長官お話にもあるとおり、最初計画では一階、二階より建てないというのが三階、四階も建てた。そういう監督をだれがやるのか、そういうことは、間接的には青森県の県庁あるいはあなたのほうでも責任がないとは言えない。しかし破産、倒産しておる姿を何とか救済策をとらなければどうにもならぬということは現実の姿だろうと考えますが、そういう面からあと大臣にもお尋ねをいたしますけれども、山一証券と同一の方法をやれとは申し上げませんけれども、それに類似したような政策的な行政的な手をやらなければ復活をしないという状況であります。おそらくただいまの借金と称するのは一億五千万以上だと思います。そういう面におきましては、融資をしておる銀行あるいは債権者利息をたな上げしてもらう、あるいは借金長期にわたる返済方法につきまして、店を有効に活用しなければ、この協業化いたしました零細、中小の方は生きれぬのではないかと考えておりますので、従来のような行政的な措置だけでは解決されないと思う。そこで大所高所から何か政治的な手を打ちましてこれを救済する意思があるかどうかをお尋ねしたいのであります。
  18. 山本重信

    山本(重)政府委員 本件につきましては、率直に申しまして、基本的にその経営のあり方にかなり大きな欠陥があったように思います。したがいまして、今後の経営基本方針をどういうふうにしていくか、また、だれが中心になってやっていくべきか、こういうところにも十分な検討を加える必要があろうかと思います。失敗してうまくいかなかったのをそのまま放置して貸し付け金だけ回収すればいいという態度では済まされないと思いますので、なお実情につきまして県当局ともよく連絡をとり、そうしてどういうふうにしたら一番再建が可能であるか、また失敗を繰り返さないか、そういう点をよく調査をしてみたいと思います。
  19. 島口重次郎

    島口委員 長官も言うとおり、事業は最後は人であると言われております。特に資本主義社会におきましては、そういう観念が強いと思います。しかし、だれが経営者になってきましても、私の憶測するところによりますれば、百貨店を建てました建築業者に一億二千万の借金が残っておる。それから金融機関である秋田相互銀行に一億三千万の負債があるといわれており、この負債の処理の方法を定めなければ、だれが乗り込みましても決して成功しないと思うのであります。そこでただいまお尋ねいたしましたとおり、ここしばらくの間は利息のたな上げをする、あるいは借金に対する償還期間として相当長期にわたる返済方法をやらなければ、この前提を解決しなければ、だれが行うてもだめだと思います。そういう面から政治的に配慮いたしまして救済方法をとる意思があるかないかということを大臣お尋ねしたいと思いますが、大臣もただいま入ったばかりでよくわからぬと思いますから、一応長官から御答弁願いまして、そのあと大臣からお答え願いたいと思います。
  20. 山本重信

    山本(重)政府委員 本件につきましては、今後再建をしようとしたらどういう条件が備わることが必要であるか、また、いままでの報告によりますとかなり再建はむずかしいというようなことでありますが、万やむを得ず整理をしたらどういう方法があり得るか、また、そこに現にできた建物あとどういうふうに活用するか、こういう基本的な方針がまず大前提として必要であろうかと思います。それがきまりました上で、それでは現在ある借金をどうするか、たな上げするのか、どうするのかというような問題になるわけでございまして、まずその基本方針をはっきりと打ち立てることがこの際必要なことである、かように考えます。国としても、助成をいたした対象でございますから、これからあとも最も適切な解決方法を実現するためにはできるだけの努力をいたしたいと考えておる次第でございます。具体的にいまお尋ねの点の利息のたな上げとか、借金返済の延期とかいう具体的な問題につきましては、やはり基本的な方針をきめまして、それとの関連において検討をすべき事柄であろうかと考えておる次第であります。
  21. 三木武夫

    三木国務大臣 いま入ってきたばかりですが、これは仙台に通産局などもありますから、そして、できるだけのことはいま長官の話したようにするべきだと思いますが、中小企業庁、出先の通産局等でできるだけのことはいたすべきものだと考えております。
  22. 島口重次郎

    島口委員 できるだけのことをやると、こういう答弁では、誠意があるのやらないのやら、ほんとう再建せしめる熱意があるのかどうかという点で非常に疑問であります。  そこで、長官お尋ねしたいのですが、たしか店を締めましたのが五月か六月なんですよ。それがまだ基本的な方針もきまらない、検討しておらないというのはどうかと思う。もうすでに私どもが質問いたしまする前にあなた方のほうでは資料等も入っておると思いますから、十分検討いたしまして、これに対する対策がどうあるべきかということが結論出ておってしかるべきだと考える。ないとは私は非常に残念だと考えております。  基本方針の問題ですが、ここは場所が非常にいいのですよ。弘前の駅の商店街なんです。だから、資金さえつきまして、私が先ほど申し上げましたように利息をたな上げをする、あるいは借金長期にわたる返済にいたしますと十分やっていけるといろ環境なんですよ。そういう面からぜひとも再び店を継続する。経営者がだれであるかということはまた別個の問題にいたしましても、再建復活をして従来の商売を継続するという前向きの姿勢検討してもらいたいということであります。そこで、ただいま申し上げましたとおり、場所柄もよいし、順調にいきますれば再建復活十分可能性がありますから、せいぜい二億ぐらいの特別融資でもしてくれましたら生きてくると思います。そういう面から大臣、もう少し具体的にお話をしてもういたいと思います。ただ抽象的にできるだけのことはやると言っても、どこまでやるのだかさっぱりわからない。私の具体的な案といたしましては、ただいま申し上げましたとおり場所柄弘前A級のAなんです。過大な借金がなければ十分やっていける見通しがあるのであります。そういう面から、ここしばらく利息をたな上げいたしまして、借り入れ金長期返還するような方向でいきますると、あえて新しい資金を導入しなてもよいと思う。なおかつ有効にやろうとするならば、商品整理等におきまして五千万程度の金を出してくれたらいけると思う。この程度のものであるならば大臣政治力で簡単に解決できると思うのだが、どうですか。
  23. 三木武夫

    三木国務大臣 どうも政治力は金のことになりますと、これはやはり政治力だけで解決できる問題でもないので、きわめて具体的な案をお出しになったので、これは地方通産局とも相談をいたしまして何とかして再建できないかという方向でいろいろ考えてみることにいたします。いまここで御提案のように利子はたな上げしてどうということは、もっとやはり再建方針検討する一環としてそういうことも考えられるのかもしれませんが、この場合としてはもっと具体的に再建方途検討して、そういう場所もいいようでございますかう、できれば再建できるような方向で考えてみることにいたします。どうもそれ以上ここで、たな上げするかしないかというきわめて具体的な金融問題でありますから、これはお答えすることをごかんべん願って、再建方途は具体的に検討することにいたします。
  24. 島口重次郎

    島口委員 具体的なことはそれでは若干検討いたしまする時間を待ちまして、その上でまたあらためてお尋ねをいたすことにいたします。  ただ、参考意見として申し上げておくのは、土地にいたしましてもあるいは建物にいたしましても、時価評価をいたしますると三億円程度あるのであります。ただいまの借金と称するのは大体二億五千万程度でありますから、これから五千万か六千万投資をいたしましてもあえて無になる金ではないと考えております。そういう面から、ひとつ前向きの姿勢においてぜひとも再建するということで御検討願いたいと思います。  育成会社のことでお尋ねをしたいと思いますが、どうも投資をいたしておる対象を見ますると、後進地域がすこぶる少ない。私の考えといたしましては、東京名古屋大阪におきましては相当資本力のある方もおりますから、投資家もあるけれども、むしろ後進地域におきましてほとんど資本の蓄積がない。こういう地方のほうに積極的な働きかけをいたしまする姿勢をとるのがほんとうだと思いますが、どうも投資をいたしておる実績を見ますると、大都会中心後進地域解すこぶる少ない。こういう点はどうなんですか。
  25. 三木武夫

    三木国務大臣 これは御承知のように大阪名古屋東京というところに中小企業の半分はあるわけですかう、そういう点でどうしてもこれの数が多いということはやむを得ないと思いますが、私も見まして、もう少し地域的な配慮ができないかという点で今後はそういう点にも気を配って、都会中心でなしに地域などももう少し対象にできるようなことで今後育成会社というものの業務を考えていくように努力をしてみたいと思います。ただ、これは将来株式を公開するというような目標を持っておるわけですから、どうしても一つ対象というものがやはり中堅企業にならざるを得ないのですね。そういう点で地方には非常に地域的に考えていっても、たくさん各地域に平均してというような考え方にはやはり育成会社考え方というものは向かない面がある。しかし、もう少し地域的な投資会社というものが対象にできるような業種があっていいわけですから、これは今後の育成会社としての仕事のやり方について配慮を加えることにはいたしたいと考えております。
  26. 島口重次郎

    島口委員 大臣のおっしゃるとおり、大都会中小企業の数が多いからどうしても多くなるのは必然かと思います。原則としては私も了承いたします。ただこの率を見ましても、東京あたりが五〇%以上なんですね。低開発地域におきまして一件もないところもある。やはりいなかでありましても、証券市場に出してもよろしいという方がたくさんあると思います。そこで従来における、後進地域における能動的な働きかけがどうなっているのか、その状況長官のほろからお答えをしてもういたいと思います。
  27. 山本重信

    山本(重)政府委員 投資育成会社の機構を直ちに拡大していくことはいろいろ問題もございますので、現在は中小企業金融公庫窓口としまして、そのあっせん業務を積極的にやらせております。中小企業金融公庫窓口に、投資育成会社相談所といいますか、そういう表示を出しまして、そこで業務案内等をやっておるような状況でございまして、特に店のない、ちょうど先生お話のような僻地といいますか、地方のほうにそういう活動を特に積極的にやるように指導をいたしておるのが実情でございます。
  28. 島口重次郎

    島口委員 これからするじゃなくて、いままでどういう活動をやったかということを聞いている。ただいまの答弁によりますと、中小企業金融公庫を通してやっているというけれども、たとえば今度中小企業金融公庫の支店に昇格をいたしました山形あたりに一件もない。あるいは岩手、青森におきましても、今度初めて中小企業金融公庫出張所ができましたけれども、この辺も一件もない。だからいままでどういうような能動的な積極的な活動をやったにもかかわらずないのだという、従来の活動経過報告がどうなっているかということをお尋ねしたのであります。
  29. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいま申し上げましたように、中小企業金融公庫窓口としてあっせん業務を依頼してやってきておるのでありまして、それぞれの店の窓口に、中小企業投資育成会社業務案内あるいは取り次ぎ口というような表示をしまして、そして相談に応じてきておるわけであります。しかしこれはおそらく先生指摘のように、まだ非常に不十分でございまして、これから大いに拡充をしなければならないというふうに考えておる次第でございます。特に御指摘のように、東北の県ではまだ一件も育成会社投資が決定を見てないというような県もございますから、そういうところには、これから積極的な配慮を加えて、できるだけ広い範囲にこれが適用されるように努力をいたしたいと考えます。
  30. 島口重次郎

    島口委員 私も中小企業金融公庫にはたびたびおじゃまをしている者でありますけれども、いまだかつて公庫職員から、育成会社のことについてお話を承ったこともない。ましてや昨年から開設をされました出張所の場合は、職員がたった四人です。借り入れ申請を申し込んでも、それも消化もできないような状況である。ましてや育成会社のPRなどはできるものではないのです。やると言うなうば、やり得るような体制をつくってやるというのがほんとうにやるのであって、やる体制も何もできておらぬで、ここで質問されてその場限りの答弁でそう言うなら、うまくないと思う。ほんとうにやる気があるのかどうか、大臣、どうですかね。
  31. 三木武夫

    三木国務大臣 私も投資会社の表を見ましてあまりにも——都会に集中することはやむを得ないにしても、もう少し地域的にも投資会社が利用されていいのではないか、そういう点で、いままではお話のようなことは、中小企業金融公庫などであったと思いますよ。こういう制度があるのだということで、いろいろ地方に対しても利用する道があるというようなことを一般の人に周知させるような努力も足りなかった面もあると思います。今後努力して、できるだけ地域的にももう少しこれが利用されるような方向に持っていくように努力したいと思います。
  32. 島口重次郎

    島口委員 それじゃ過去のことをいつまで言ってもしようがないから、大臣がただいま言明したとおりその構想が下のほうに浸透するような態勢をとってもらいたいと思います。  それから、投資をいたしました会社が約百以上あるのでありますけれども、その後の成果がどの程度あがっておられるのかどうであるか。先ほど長官からも御説明がありましたが、前提条件は証券市場に上場させるということが前提条件なんだ。そういたしますと、何年かかりまして証券市場に上場させ得るのか。いまそういう方向で進みつつあるのかどうかという点であります。
  33. 山本重信

    山本(重)政府委員 投資育成会社投資が行なわれた会社についてその後の動向を見ておりますと、何としましても投資育成会社投資をします場合にはかなり事前の調査をよくやりまして、将来株式市場に上場する見込みがあるという見当をつけませんと投資いたしませんので、ある意味から言うと、これが信用を増す上で大きな役割りを持っております。投資を受けた会社の人の話を聞いてみますと、それによって対外的な信用が相当ふえる。それからその結果社会的な評価といいますか、そういうようなものも高くなるし、求人活動も楽になってきたというようないい結果が出ておるようであります。それから投資育成会社自体がある程度企業のコンサルタント的な役割りもいたしておりますので、いろいろ会社の内情も話をして投資育成会社の知恵も借りる、こういうことを積極的にやっておる会社もございます。  そこで、株式上場の見込みでございますが、かなり質のいい会社が大部分でございますから、おいおいとそういう段階にまいると思います。具体的な上場の計画は、会社によってそれぞれいま計画を持っております。おそらく四、五年先にはそういう段階がくると思います。なお株式の上場基準のほうが先生御存じのように暫定的に引き上げられておりますので、そのために当初計画よりちょっとずれるわけでございますが、四、五年すれば確実に上場できるという見込みを立てております。
  34. 島口重次郎

    島口委員 そこで、あなたのほうで投資をいたしますときのめどとして、当初計画において何年間計画証券市場に上場させるというような見通しを持っているのですか。
  35. 山本重信

    山本(重)政府委員 一般論としてはおおむね投資育成会社投資しましてから五年というのを一つのめどに考えております。
  36. 島口重次郎

    島口委員 それじゃ投資育成会社が創立いたしましてから五年を見ておりますから、実績のあがるように成果の出るようにやってもらいたいと思います。  ただもう一言お聞きしておきたいのは、先ほども低開発地域のほうに対する消極的な運動の状況だということで、これに関連いたしまして、東京の会社のケースをとりますと、会社の職員がどの程度あるんですか。その職員数と内部の担当部門の構成がどうなっておるかをお聞きしておきたいと思います。
  37. 山本重信

    山本(重)政府委員 東京投資育成会社の場合について申し上げますと、現在、総員四十九名でございます。部課は総務部、投資部、育成部、経理部、こういう部制になっております。
  38. 島口重次郎

    島口委員 投資育成会社のPRはどこがやるんですか。
  39. 山本重信

    山本(重)政府委員 投資部でPRすることにしております。
  40. 島口重次郎

    島口委員 投資部の職員は何名ですか。
  41. 山本重信

    山本(重)政府委員 十一名でございます。
  42. 島口重次郎

    島口委員 中小企業金融公庫に依頼することも一つ方法だけれども、その部ですか、課をもっと強化して、職員を拡充して定期的なPR運動をやるというような方策ができないですか。
  43. 山本重信

    山本(重)政府委員 実は、投資育成会社のあり方につきましては、新しい制度でございますし、最初にあまり急速に手を広げ過ぎて失敗してはたいへんだという気持ちも一部にはございまして、最初はある程度堅実に、着実にという気持ちがこの三つの投資育成会社の幹部にもあるわけでございまして、そうした関係から、投資育成会社自身の経営もできるだけ健全にしていきたい、そのためには人員も最小限度に押えたい、こういう気持ちがあって、比較的こういうコンパクトな体制になっておるのが実情であろう、こう思います。しかし一方におきまして、ある第一段階をおおむね過ぎて、これからもうちょっと手を広げていってもいい段階に来ておるように思います。また、先生の御要望も非常にごもっともな、また重要な御要望であると思いますので、そうした目的を達成するためにどうしたらいいのか、極力人員をふやすのがいいのか、あるいは中小企業金融公庫のほろが何といっても世帯が大きいのでございますから、その辺何か特別な仕組みを考慮するとか、こういうことも考えたいと思います。それからなお、必ずしも投資部だけでなく、ほかの部の幹部も含めましてそうしたPR等に地方へ出かけていっていろいろ説明会を開くとか、そういうことも積極的にやっていく必要があろうかと思います。投資育成会社の人たちとは、定期的に会合をするチャンスがございますので、その御意見の趣旨をよく伝えまして、目的が達成できるように取り計らいたいと存じます。
  44. 島口重次郎

    島口委員 長官のおっしゃるとおり、一つの企業体であり、独立採算制ですから、堅実にやるということも十分了承できます。ただ、単なる私的な企業ではない、公益性がある。いかに堅実な経営をいたしますにも、その公益性というものを等閑に付しては意味がないと思います。投資育成会社をつくりましたのは、まさに中小企業を救済いたします公益性の一大使命がありますから、そういう公益性を十分徹底できるような体制でやってもういたいと思います。  それから近代化促進法に関連いたしましてお尋ねいたします。おたくさんのほうからもらいました資料によりますと、四十年度において近代化促進法に基づき基本計画を策定して、その所要資金が九百三十二億だ、こういうのが出ております。ところが昨年中小企業金融公庫から特別ワクとして近促の予算というのは五十億、さらに都道府県を通して政府なり都道府県が貸している金が約二百億内外、そういたしますと二百五十億、約四分の一程度より資金の裏づけがないと思いますが、これでも皆さんのほうで考えておられる速度と歩調をともにいたしまして、中小企業の近代化促進が行なわれつつあるかどうか、この点を大まかに聞いておきたいのであります。
  45. 山本重信

    山本(重)政府委員 近代化促進法によりまして近代化計画を作成して、その推進をはかっておりますが、それに必要な所要資金の調達につきましては、まず自己資金、それから一般金融機関から借りる分もございます。それからいま先生お話しのように、中小企業金融公庫からの融資がございますが、いま五十億というお話でございます。これは近促法の法律の精神に基づきまして、ある程度奨励的な意味で特別低利の資金を供給するわけでございますので、対象も設備を指定いたしまして、そのものにだけそういう特資を出す。したがいまして中小企業金融公庫から供給される資金は、この五十億のほかに一般の資金も当然あるわけでございます。それからお話しの設備近代化資金、こういうものを合わせまして、現在の体制所要資金は供給できる状態になっておる、かように考えております。
  46. 島口重次郎

    島口委員 私らも中小企業者の一人なんでありますけれども、われわれは、昨年日銀の金融緩和対策によりまして、若干市中銀行の金融制度が緩和されつつあるということは認めているのであります。ただ問題は、例の不況ムード、倒産ムードが強化されまして、金融制度は緩和されましたけれども、選別融資の線が非常に強く出ている。そういう面から、庶民の金融機関と称する相互銀行にいたしましても信用金庫にいたしましても、資金がむしろだぶついておるような状況でございます。そういう面から、政府の三金融機関と称する、特にその中核をなしておる中小企業金融公庫がもっと大幅な融資をするようでなければ、あるいは政府の政策金融と申しますか、設備近代化資金なり、あるいは近促の特別融資ワクというものを大きく見ていかなければ、所期の目的が貫徹されないと思う。そこで、金融状況がただ何とか調達をしておるであろうというような金融面だけからでなくて、あなた方が構想を持っておる業界自体が近代化されつつあるかどうかの問題であります。そうでなければ近代化促進法の目的が達成されないと思う。もしそれが徐々に成果をあげつつあるとするなうば、どの業界がその成果をあげつつあるかということをお話してもらいたい。
  47. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまお話しのように、金融の面でもまだまだ積極的にその拡充をはかる必要があると考えておるのでございまして、四十年度五十億のワクも、今度四十一年度は八十億にふやすことにいたしておる次第でございます。  それからなお、近代化促進法に基づきまして近代化を進めておる状況でございますが、できるだけ実情をよく把握してその促進をはかりたいという趣旨から、長期的な五ヵ年の近代化計画のほかに、毎年毎年年度計画をつくっております。それをよくフォローする意味で促進協議会をつくって、その実態の把握につとめておる次第であります。そして、現在の段階では、どの業種で具体的にどういう成果があがっておるかということを総体的に申し上げるところまで、まだこれが整っておりませんけれども、最近調査をいたしたところでは、かなり近代化が進められて、能率の向上あるいは経費の節減等に役立っている例も報告を受けております。たとえば、合板製造業におきましては、この近代化によりまして特別融資を受ける、あるいは税の面で割り増し償却の恩典を受けましたことによって、ドライヤー自動機、それからホットプレス等の新設、改造等をやりまして、能率を二割あげることができた。それからミシン部品、作業工具あるいは機械すきの和紙等につきましても、そうしたかなり高い能率向上の実例の報告を受けておるような次第でございます。
  48. 島口重次郎

    島口委員 ただいま長官の説明によりますと、徐々に成果をあげておる業界がある、こういう説明ですが、この基本計画をつくります際にはどういう方が集まりまして基本計画を立てるのですか。あなたのほうの省内だけで立てるのですか。それとも、業界のベテランの方、そういう方が一緒になりまして立てるのかどうか。基本計画を立てます過程をちょっとお伺いしたいと思います。
  49. 山本重信

    山本(重)政府委員 基本計画を作成いたしますためには、近代化審議会で部会をつくりまして、さらに業種別の分科会をつくりまして、そこで業界の代表者、さらにいわゆる学識経験者、大学の先生等にも入っていただきまして、こういう方の御意見をむしろ中心にして、役所はまとめ役というような立場で基本計画を作成いたしております。
  50. 島口重次郎

    島口委員 それでは先ほどの成果をあげておるというのは、業界全体にその成果が浸透しつつあるという解釈なんですか。それとも、その業界の一部の方がそういう成果をあげておる、こう解釈してよろしいですか。
  51. 山本重信

    山本(重)政府委員 近代化計画では、五年後の生産規模、輸出の規模、それから品質向上の目標、生産コスト低下の目標、それから適正規模の目標、こういうものを掲げまして、さらにそれを毎年度実施計画をつくってやっておるわけでありまして、業種によりましてはその近代化計画に基づいて相当活発に資金の導入もし、また設備の購入をする。中には、適正規模の達成のために積極的にどんどん合併をしておるような業種もございます。業種によってかなりいろいろな差がございますけれども、私たちの目標としては、その業界全体としての近代化、合理化というのが目標でございます。もちろんそういうことが達成されるためには、それに属する個々の企業自体が合理化されていく、そしてそれが集大成されて、ここに業界全体としての近代化の達成乏いうことになる次第でございます。
  52. 島口重次郎

    島口委員 いま長官もおっしゃるとおり、業界全体でなければ意味がないと思う。特に最近の不況経済界におきましては、デフレギャップの問題が出てくる。いかに中小企業が需給バランスをとろうと思いましても、大企業のほうが操業短縮をやっておる、これを解除されますと生産過剰になってくる、こういう状況がある。そういう経済的な見通し、基本的な問題を検討した上で各業界ごとに基本計画が策定され、その上で業界全体が生かされるものでなければならぬ、こう思いますが、そういう面でやっておるわけでございますか。
  53. 山本重信

    山本(重)政府委員 お説のとおりでございまして、一つ一つの企業だけを考えておりますと、うっかりすると業界全体としての調和を失うことにもなりますので、まず業種を選びます場合に、その業界の過半数が中小企業である、そして将来成長の可能性のある業種を選びまして、計画をつくって、計画的に近代化ができる、またそういうことに適した業種を選んでおる次第でございます。その場合に、当然五年後に全体としてどの程度の生産規模になるのがいいかということを考えて進んでおる次第でございますので、かりにそれが全体の調和を失う、たとえば突如として大企業がそこへ進出してくるということになってはこれはたいへんでございますかう、そういう場合には少なくとも近代化の計画をつくって推進しておるような業界に大企業がみだりに入ってくることについては、われわれは重大な関心を持って、そういうことを阻止するという方向で考えております。
  54. 島口重次郎

    島口委員 この点、まだまだお尋ねしたい点もあるけれども、この程度にして、いずれかの機会にゆっくりお尋ねしたいと思います。  そこで、焦点である近代化促進法に今度企業組合が入れられましたけれども、協同組合をなぜ入れなかったかということについて一言お尋ねしてみたいと思います。
  55. 山本重信

    山本(重)政府委員 今回の改正にあたりましては、企業組合と関連して事業協同組合をどういうふうに扱うかという問題がございます。いろいろ検討したのでございますが、今回は結論として、事業協同組合を加えることは見送ろうということにいたしたのであります。元来、事業協同組合もこれに加えるべきではないかという考え方もございまして、そういう線でかなり検討を進めてみたのでありますが、一方におきまして税の関係で、現在は事業協同組合は終局的な事業体でないということから、かなり法人税が軽減されております。企業組合のほうはその点は会社あるいは個人と同じ取り扱いにいまなっておりまして、その点に一つのバランスの問題が——これは特に税当局のほうの意見でありますが、そういう考え方一つあります。それからもう一つは、より基本的には、事業協同組合自体が、最近ある意味では質的な変化を遂げてきておるものが出てまいっておりまして、いわゆる協業化法人の問題が出ております。その問題も含めまして、現在組合制度全体を基本的に再検討を加えまして、新しい法制をつくろうというので、せっかく中小企業政策審議会の組織小委員会で検討いたしておりますので、その検討を待った上でこの問題を処理するほうが適当であろう、こういう配慮から今回は見送った次第でございます。
  56. 島口重次郎

    島口委員 先ほど理事会の状況を聞いておりましたら、自民党でも事業協同組合を適用させることに原則的には賛成であるという御意見もあるようなので、この程度でこの問題に関する限りは打ち切りまして、ただ大臣に決意のほどをお願い申し上げますが、まあ、どうせ本年度というわけにはまいらぬと思いますが、本年度あたりではぜひとも事業協同組合も適用させてもういたいというより、するという決意であるという態度を表明でさましたら、ぜひともしてもういたいということをお願いいたします。
  57. 三木武夫

    三木国務大臣 今年度にも問題になった点でありますから、できるだけ言われたような趣旨に沿うて検討いたしたいと思います。
  58. 島口重次郎

    島口委員 大臣政治的な答弁ばかりで、できるだけという答弁なのでどうも困るわけだけれども……。  その次の問題は近代化促進法の業種指定をしておりまするが、この基準原則、先ほど長官からもお話のあったように将来成長し得る可能性のあるものをやるのだ、こういうことでありますが、これと同様に近代化資金助成法のほうでも業種指定をしておりますが、そういう面との関連、あるいは近促法のほうでもよろしいからどういうものを基準にして業種指定をしておるかという点をお尋ねいたします。
  59. 山本重信

    山本(重)政府委員 近代化促進法の業種指定の基本的な考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、近代化計画をつくって近代化を計画的に促進するのに適当な業種ということでございます。またその場合におのずから緊急度があるわけでございまして、ただいま考えておりますのは、特に最近物価問題等も出ておりますので、国民生活と密接な関係がある業種を積極的に取り上げたい。また輸出の伸長に寄与する業種、それからそのうらはらになりますが、貿易の自由化の影響が相当著しい。そのために早急にそれに対応する体制を整える必要のある業種、こうしたものを重点に置いて指定をしてまいっております。
  60. 島口重次郎

    島口委員 そこで、そのとおり業種指定が行なわれておるかどうかということで若干議論があるのでありますけれども、これも省略をいたしまして端的に申し上げます。いまの原則から申し上げまして、まだまだ指定をされなければならない業種があるだろうと思います。その一例を申し上げますけれども、砂利が不足して採石に対して考えなければならないということが新聞でも報道しております。ところが採石業に対する業種指定がない。これは日本国土の開発のためにも地方開発のためにも絶対量が不足しておる。それこそがみなさんの決定しておられる原則から申し上げまして、業種指定しなければいけない問題だと私は考えるのです。その他もあるけれども、私は一つの例として、ケースとして申し上げたのですが、あなたのほうの通産省が言っている原則に適合しておるにもかかわらず、まだ業種指定を受けておらないものがある。そういう点ほどうなっているのでしょう。
  61. 山本重信

    山本(重)政府委員 四十一年度の業種指定をただいま検討しておる段階でございまして、政府部内で一応中小企業庁としての一案をつくりまして関係省と下相談をしておる段階でございます。  ただいま御指摘の業種につきましては、新年度は何とか指定をいたしたい、こういう方針でいま話を進めております。
  62. 島口重次郎

    島口委員 近代化促進法のほうは、これで打ち切りまして、大臣のおる間に、二、三お尋ねしたいことがあるのでそっちのほうから申し上げたいと思います。  今度共同工場を建設いたしまして、これを貸与する、機械設備を設置いたしまして貸与するというのでありますけれども、大臣お尋ねいたしまする前に長官お尋ねいたしますが、共同工場の建設をいたしまする資金は、高度化資金のほうかう出るわけですね。それから設備貸与のほうは、これは高度化資金ですか、設備資金ですか、どっちのほうから出るのですか。
  63. 山本重信

    山本(重)政府委員 設備貸与のほうは、設備近代化資金のほうから出すことにいたしております。
  64. 島口重次郎

    島口委員 そういたしますると、工場を建て、設備をいたしまして、それを零細企業者に貸し付けをいたします。そういたしますと、金の償還期限の問題でありますけれども、一方におきましては不動産である土地建物の金を返していかなければならない。一方におきましては設備資金返済していかなければならない。二重に返すということはおそらく不可能だと思うのです。零細企業といたしまして、土地の代金も返済する、建物の代金も返済する、さらに機械の設備資金返済するということは、とうてい不可能だと思うのです。これは工場貸与資金のほうも設備資金のほうも一本に合わせまして、この原案から申しますると、高度化資金のほうは十年、設備資金のほうは五年となっておりまするが、十五年間で返済する方法が合理的で、ほんとうに零細企業が国策の恩典に浴し得る制度になると思いますが、そういう点はどうですか。
  65. 山本重信

    山本(重)政府委員 高度化資金のほうは、先生御存じのように高度化あるいは共同化ということが一つの旗じるしになっておりますので、共同事業的なものに使うのがたてまえでございます。したがいまして共同工場はまさにその高度化政策の一環として考えるわけでござやます。機械貸与のほうは、個々の企業者に機械を貸すということでございますので、直接その高度化という観念には入らない。はなはだ理屈のことで恐縮ですが、そういう考え方で実は両方に分かれたのがその経緯でございます。お話のように近代化の中の一環でありますために期限が五年ということになるわけでございまして、その点は、あるいはもう少し延ばしたらいいのじゃないかという御意見も私は一理あると思うのでございます。しかし、従来ずっと五年でやってきておりまして、どっちかといいますと、近代化のほうは一件金額も比較的少ないというようなこともあって、五年でやってきておりますので、今回は実はそこまで改正をすることにならなかったのでございます。ただ、従来設備近代化の制度そのものですと、国及び県から出ますのは必要資金の半分だけで、あとの半分は自己調達しなければならないという点に問題がありましたので、今回の機械貸与制度では、直接の自己調達分をなくしまして、全額国及び県及び中小企業金融公庫で出し合って、そうしてともかく資金の調達をしなくても機械が使えるという制度をつくった次第でございます。
  66. 島口重次郎

    島口委員 高度化資金の性格と設備近代化の資金の性格は、長官説明のとおり、百も承知なんです。私の言っていることは、こうしたものを返済するということになると、中小企業者に返済能力があるかないかの問題なんです。大臣、日本の法人にいたしましても、戦前におきましては、資本構成を申し上げると、自己資金が六割、借り入れ資金が四割、それが健全経営だと称した。ところが昨年十月の調査によりますと、自己資金は二〇%、借り入れ資本が約八〇%であります。そこで会社が不健全なので、いわゆる体質改善をしなければならぬ問題が出てきている。いまの小規模業者高度化資金によりまして建物を借りる、土地の借り入れができる、あるいは機械の貸与ができ、不足な分は中小企業金融公庫のほうで融資をしてくれる。融資をしてくれる条件はよろしい。くれるものならよろしいけれども、返済しなければならぬ。そういたしますと、これは近代化資金なり高度化資金は無利子であるけれども、全部借り入れ資金である。一〇〇%借り入れ資金である。その一〇〇%借り入れ資金を零細企業のような小規模な企業者返済していけるかどうか、私も少なくともそういう能力がないと解釈する。そういう一〇〇%を借り入れ金でやるようなことは、やりましても返済不可能な状況になるのではないか。だかう、やる限りは返済可能な政策でやることがほんとう姿勢、かまえじゃないか、こう考えるのであります。そういう点、大臣はどう考えますか。
  67. 三木武夫

    三木国務大臣 これは御承知のように、機械貸与、工場、みな一〇%、二〇%ですかね、そういうことで、これは全部理想的には島口さんの言われるようなことが理想的でしょうけれども、ある程度やはり自己資金というものも持つべきではないかということで、今度、新しい一つの方式ですからね。そういうことで、何かこれをやってみて、実際にやってみるといろいろな問題も起こってくるでしょうから、これは改善は加えてまいりたい。しかし零細企業の一つ対策としては、これは相当親切な対策であることは間違いないです。これを運用してみて、こういう点で改善をする余地があるという、いま御指摘のようなことが起これば、改善するにはやぶさかではない、しかし出発はこの程度で出発をしたいという考えでございます。
  68. 島口重次郎

    島口委員 政府のやることはいつでもそういうことなんです。たとえば昨年行なわれました小口特別融資の制度ですが、あれも三十万で国税、地方税を完納した者でなければ融資対象にならぬ。ところが、中小企業といわれる四百九十万の中には、三分の二の方が国税を納めておらない。対象者の三分の二もない。三分の一におきましても国税、地方税を完納している者であるとするならば、あえて三十万そこそこの金を信用保証協会の保証を得なくても、みずからの力で金融機関から借りることができる。こういうことは何にも効果がないぞと言いましても、やってみて、悪ければ直してみる、すこぶる自信のないことをやっている。長官にしましても、あなたのもらう俸給を考えてみなさい。おそらく、この零細企業、小規模業者の諸君が、土地の代金、建物の代金、機械の代金——なるほど長官のおっしゃるとおり、一方は高度化資金である、一方は設備資金である、違うと言うけれども、これを一挙に五万なり六万返さなければならぬ、こうなりましたら、やっていけるか。零細企業者は、おそらく長官の俸給ほど月の収入はないと思うのです。それから五万も六万も毎月返済するとなったら、できるものじゃない。だからこの制度は確かに違うけれども、一方は、法律改正するなりあるいは運用で、最初は設備資金のほうを先に返済する、あるいは高度化資金のほうを先に返済する、機械貸与の資金あとに回していく、こういうふうな方法で、あまり苦しまないで返済ができ、しかも近代化もできる、零細企業の期待するような方向でやることがほんとうの正しいやり方ではないか、こう私は考える。
  69. 山本重信

    山本(重)政府委員 実際にいま小規模事業者事業をいたします場合に、ある程度は、やはり経済ベースで採算を考え、また償還を考えてやっていくということは、最小限度必要な点ではないかと思うのであります。御説のように、小規模事業者は、資金の調達力もございませんし、そういう点で、できるだけの応援はすることにやぶさかでないのでございますけれども、そこにおのずから一つの限度があるのじゃないか。特にこの近代化資金償還期限でございますけれども、従来ずっと五年でやっておりまして、これは、私は、今後の問題としてさらに延長するかどうか検討すべき点があると思うのでございますけれども、今回は、そういう期限の延長を考えるよりも、むしろ当初の所要資金の半額を自己調達するというところの負担を軽減して、そうして小規模業者資金調達を一挙にしなくてもやれる道を開こうという意味で一歩前進したつもりなんでございます。もちろんこれで万全とは考えませんけれども、とりあえず今回はこういうことで新しい道を開いて、実際の運営の面を見て、今後改善すべき点は改善してまいりたいと思います。  それからもう一つ、初年度のとりあえずの運用としましては、設備貸与をしますのは、八つの県でございまして、この県が、工場アパートをつくる予定の県と、必ずしむ現在のところ一致していません。むしろずれておりますので、将来の問題としては、先生御説のように、この制度による工場アパートに入り、そしてまた設備の貸与を受けるというケースが出てまいると思いますけれども、とりあえず第一年度は、ほとんどの場合は、工場アパートをつくる県と、それから設備貸与の実施をする県とが違っておりますので、両方競合するというケースは、第一年度は、とりあえず、ないのが実は実情でございます。
  70. 島口重次郎

    島口委員 いま長官がおっしゃるとおり、各都道府県のケースで若干相違があると思うのです。工場パートをつくるにしても、あるいは個々の人の工場をつくるにいたしましても、借りる当事者から見ると、土地建物資金も借りることになり、あるいは機械貸与、これも借りることになるのです。全投下資本返済しなければならぬ。それほどの、中小企業というか、零細企業の方に力があるとすれば、あえてこういう共同工場に基づく新しい新築をしなくても自力でやれる、そういう自力でやれない人がこの対策でやろうとするのですかう、全部負債返済するということは、おそらく不可能だと思う。長官は、その経過を見てさらに対処すると言うけれども、これはおそらく長官、昨年あなたに言ったとおり、小口特別融資と同じ性格のものでしょう。初めからわかっておるのです。こういう机上の計画を立てるところに官僚的な性格がすこぶる出て、おるというのです。やはり救済をする、助けるというならば、救済策に相当するような、これならいけるという可能性のあることを出してくるのがほんとうだと思う。  まああとの質問者も残っておりますから、まだまだたくさん質問したいけれども、いずれかの機会に譲りまして、私の質問をこれで終わります。
  71. 天野公義

  72. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業関係三法案の質問をいたしますが、まず中小企業投資育成株式会社法の改正から質問に入ります。  そこで、この法律が昭和三十八年にできましたのですが、そのときにこの法律は中小企業のうちでも優等生教育である、大企業の側から見て役に立つ中小企業に国が援助をやろうという一つ方法である、こういうようにわれわれは言ったと思うのですが、過去三年間における実績、経過を説明していただきたいと思います。
  73. 山本重信

    山本(重)政府委員 現在までに投資育成会社投資決定を見ました企業の数は百六でございますが、これを資本金の規模別に申し上げますと、一千万円以上二千万円未満が十四社、二千万円以上三千万円未満が二十一社、三千万円以上四千万円未満が二十七社、四千万円以上五千万円未満が十六社、五千万円が二十八社、こういう分布になっておりまして、一千万円以上五千万円までという間では、おおむね適当な分布になっておるかと思います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 資本金から見ても私はやはり上のほうに集中しておるだろうと思うのです。ことに三年間の実績を見ました場合に、昭和三十八年は東京名古屋大阪とありますが、合計でいきます。相談件数は三百三十四件、うち投資決定が七件、三十九年は三百六十九件が相談件数、決定四十一件、四十年度が相談三百四十七件、決定六十四件、トータルいたしまして千五十件の相談件数に対して百十二件、まさに一流大学以上の競争率です。優等生でなくて秀才教育だということがいえると思いますね。これだけの比率、競争率。そこで、たとえば千五十件の相談を受けて百十二件決定をしたこの選定基準はどうして選定をいたしておりますか。
  75. 山本重信

    山本(重)政府委員 投資対象の決定はあげて投資育成会社の自主的な判断にまかせておるのが実情でございます。投資育成会社が内部で一つ方針を持ちまして、それによってケース・バイ・ケースで判断をいたしておる、共通の基準というようなものは特につくっておりません。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律の第九条二項一号あるいは二号にもあります相手方の選定基準、これは投資育成会社が立てて通産大臣の認可を得ることになっていますね。通産大臣が認可を与える場合、その選定基準については十分にあなた方は頭に入れておるはずなんだ、それを明らかにしてください。  それから、九条との関係において三社とも同じようなものなのか違うのか。
  77. 山本重信

    山本(重)政府委員 選定の基準といたしましては、先ほど私共通の選定基準がないと申し上げましたが、これは不正確な点もございますので、訂正をいたします。やや抽象的な基準がきまっておるのでありまして、その内容を申し上げますと、まず第一に、相手方が将来その株式を証券市場に公開する意向を有しておる、第二に、相手方の事業が成長発展する見込みがある、第三に、相手方が過去に二ないし三、これは決算期が一年であるときには二、半年であるときには三期でございます。この二ないし三期にわたり配当率年一〇%以上の配当をし、または資本金利益率が年三五%以上の利益を計上している。それから第四に、相手方が設備の近代化または合理化のための計画を有している。それから第五に、相手方の株主には増資に応ずる能力が不足しているため独力で自己資本を調達することが困難と認められること、以上が相手方選定の基準でございます。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 相手方選定基準にふるいにかけて約一一%くらいしか合格していないですね。それをいま読み上げた五つの基準のどれによって落ちたのが何件あるか、それからその基準に当てはめたときに三社においてそれぞれやはり人が違うのだかうニュアンスも違うと思うのだ、そういうことについての九条による基準の認可をやった、しかしその認可というのはこういうことでありますと返ってきた、それをそのまま認可したあるいはそれに対して何かの意見をつけたのか、あるいは認可したから、そのままほっておるのか、その後どういうような指導をしておるのか、そのふるいにかけた九百何件を一から五までの基準に照らして件数を出してください。
  79. 山本重信

    山本(重)政府委員 各社がそれぞれいま申し上げました基本的な基準に基づきまして選定をいたしました。そこで選定をしたものを役所のほうに持ち込んでまいるわけでございます。したがいまして、その選に漏れたものがどういう基準のどの項目に該当しなかったかということは、ただいまここではつまびらかにいたしておりませんが、いままで私が直接会社の責任者から聞いたところの感触を申し上げますと、多くの場合に、この二にあります相手方の事業が成長発展する見込みがあること、この将来の見込みというものの見方がなかなかいろいろな角度がございますので、これがおそらく実際の場合には相当にふるいをかける一つの基準になってくるのではないかと想像いたします。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 将来発展する見込みがあるのかないのかというのはわかるのですが、何かそれに対するものさしがありますか、主観でしょう。それから過去三期にわたり一〇%、一割以上の配当をしているということは、これは優良企業でしょう。現在一〇%以上中小企業で配当ができておるというところは幾らほどありますか。全企業のうち何ぼありますか。
  81. 山本重信

    山本(重)政府委員 事業が将来発展する見込みがあるかどうかという判定は、ある程度主観が入ることは避けられないと思います。会社によりましては、ある程度会社で一つの点数制みたいなものを考えて、そしてその経営陣のあり方について何点とか、機械設備について何点とか、こういうような点数を考えて、それも一つの参考にしてやっておるところもありますが、先生おっしゃられるように、ある程度の主観が入ることは免れないかと思います。  それから次に配当率一〇%を二期ないし三期続けている企業でございますが、抽出調査でございますが、資本金一千万円から五千万円までの間の企業について調査をいたしましたところ、それに該当するものが四九・一%、約五〇%ございます。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 それはいつの調査です。
  83. 山本重信

    山本(重)政府委員 昨年の四月一日現在の調査でございます。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 それは抽出するときにどういう抽出方法をとったのか知りませんが、いいところを抽出したのだと思うのですよ。昨年の四月一日現在だったら、一番倒産のあらしの吹きすさんでいるときなんです。四九%までが一〇%以上の配当を三期も続けているというなら、これは健全なものですよ。同じ企業においてそういうのがある一面、あの膨大な倒産が出たのはどういうわけなんです。  それから委員長、この基準の問題につきましては、投資育成会社当事者に来てもらわないと十分に明らかにすることができませんので、参考人として呼んでいただくことを提案します。
  85. 山本重信

    山本(重)政府委員 この調査は、中小企業庁から調査対象企業に調査票を送りまして、会社のほうからその回答を集めたものでございますが、発送先の企業者が四千五百社でございまして、その中で回答をよこしたものが千八百六十七社、四割強という回答率でございます。したがいまして、あるいはあまり業績のよくないところは回答をよこさなかったというようなこともある程度考えなければならないかと思います。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの参考人の件は、あと相談することとしまして……。  ここでこういう問題に入ってしまうと、また大きなことになるのですが、俗に粉飾決算ということが問題になっています。私は粉飾決算というものに二つあると思う。その根本は財務諸表公表制度の中に隠されておる。一つは、合法的に粉飾決算をする。これは大企業、独占企業。これは利潤隠蔽の役を果たしておる。しかもそれは租税特別措置法と一緒になってやる。それからよく問題になりますのは中小企業、これは非合法だといわれている。したがっていまの四九%も一〇%以上の配当をしておったというのは、多分に粉飾決算のにおいもする。  同時に、それはいわゆる株式を上場しているところですか。むしろ同族会社じゃないでしょうか。その点どうでしょうか。その割合はどのくらいになっていますか。  それから粉飾決算の問題につきましてはきょうここでは問題にいたしませんで、後日大蔵省もまじえて問題にしたいと思いますが、これは商法の問題、いわゆる諸財務公表制度の中でどうでもなるようなことになっておる。たとえば資産の評価だとかあるいは債権等の評価、そういうものについてどうでもなる。そう思いませんか。したがって、その抽出による四九%が確実なものだ、こういうように考えていますか。
  87. 山本重信

    山本(重)政府委員 この調査はあくまでも自主的に会社のほうかう出していただいたものをまとめたものでありまして、さらにこちらが現場へ行って調査をするとかそういうことは一切いたしておりませんので、その場合にどの程度の信憑性があるかということについては、やはりいま先生お話しのような点もある程度考慮に入れて読まなければならない数字であるかと存じます。  それから、これは上場会社は入っておりません。  株主の比率でございますが、一千万円から五千万円という範囲でございますので、一般的な傾向としてはいわゆる同族会社役員及びその親族が株を持っているというものがかなり多うございまして、役員、その親族等の持っておる株が六五%という数字が出ております。  それからこれを資本金別に見ますと、規模のやや大きいほうはそうした同族会社的な比率が若干減って、そしてやや小さいほうに同族会社的なものが多い、こういう傾向が出ております。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、お聞きのように、これはもちろん何らかの選定基準を抽象的にきめておかなくてはそれは選べないと思うんですね。しかしいま中小企業庁長官が読み上げた三社の基準の五項目を考えてみたら、やろうと思えばどうでもなるのです。ことに同族会社とか限られた範囲の株主の場合はどうでもなる。そこに作為的にこれに該当を受けようと思うならできぬことはないのです。したがってもっと具体的な選定基準を定めるなり、あるいは三社が提出したこの選定基準を法九条によって大臣が認可する場合、もっときめのこまかいことを指示すべきではないか。したがってこの三社の五項目にわたる基準は再検討の必要があると思いますが、いかがですか。
  89. 三木武夫

    三木国務大臣 田中さんのようにどうでもなるとは私は思わぬけれども、相当弾力性があることは事実でしょうね。この点再検討いたしましょう。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすなおに答えられたら質問が早く進んで困るのだが……。  じゃ次に、この実績を見ますと、三社のある東京、愛知、大阪というところに融資決定を受けたのが集中しているような観が多いですね。たとえば東京が二十三件、大阪が二十五件といったように集中しておる。もちろんそういうところには対象になる中小企業も多いだろうと思うのですが、他の、たとえば石川だとか山梨といったようなところ、新潟でも一件ですね。佐賀でも一件、やはり大阪名古屋東京というこの会社があるところのものが恩典をよく受けておる。こういうことがこの統計でもわかるのですが、中小企業庁長官、そこにある、たとえば名古屋なら名古屋にある中小企業のうちこれを受けたもの、東京を例にとりましたら二十三件、大阪は二十五件受けていますね。大阪対象企業の二十五件とたとえば佐賀の対象企業の一件というのは、比率にしてどっちが高いのですか。
  91. 山本重信

    山本(重)政府委員 お尋ねの趣旨は、中小企業の分布状況投資育成会社投資対象にしておる企業とがどういう関係になるかというお尋ねであろうかと思いますが、ただいま手元に各県別の中小企業の分布の数字がございませんので、ちょっと申し上げかねるのでございますが、おおむね投資相談の受付状況と決定とが大体比例しているという感じでございます。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 急にこういうことを言うのは無理だとは承知して言ったわけですが、これは一度検討し直す必要があると思うのです。今回のこの法案に関連しても同じような趣旨の質問が前にも出ておったと思うのです。そこで私はむやみに投資育成会社をつくれとは言いません。しかし何らかの方法で末端まで施策がいくようなことを考えねばならないのではないか、こういうように考えるのですが、大臣いかがですか。
  93. 三木武夫

    三木国務大臣 これは中小企業の町の東京大阪名古屋に集中をすることはやむを得ないだろうけれども、投資会社の恩典に浴するものがもう少し全国的にあっていい、統計の数字から見たらそう思います。ただそこでこういう制度がございますということをもう少し周知徹底さす必要があるのではないか。どうしても都会のほうはいろいろな点で政府の施策というものに対して鋭敏ですからね。だから今後は育成会社あるいはまた中小企業金融公庫、こういうところでこの制度があるということを周知徹底してまいる、知らないで利用しないというようなことのないように努力をいたしたいと考えております。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 各都道府県等が出資をしていますけれども、その出資の多いところのほうが優遇を受けておる、そういうことはないですか。
  95. 山本重信

    山本(重)政府委員 特にその出資があるなしということを考慮に入れて投資先の決定はいたしておりません。できるだけそこは公平にしております。  それから先ほどのお尋ねの件につきまして資料がございますが、佐賀県というお話でございましたが、資本金一千万円から五千万円の間の企業の分布は佐賀が十六でございます。東京が千三百六十一ございます。この比率から言いますと、佐賀が一で東京が二十幾つというのは、もし同じ比例でいけば東京のほうはもっと多くてもいい、そういうことになります。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 兵庫の一に大阪の二十五はどうです。
  97. 山本重信

    山本(重)政府委員 兵庫が百九十七でございます。それから大阪が七百四でございますから、そのバランスはとれておりません。兵庫のほうがまだ少ないということになります。県によってかなりでこぼこがございます。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 結局私が言わんとするところは、この投資育成会社設立にあたってあるいは今後都道府県が協力の度合いが強いところほど有利な運営がなされやしないかということが心配なんです。それが一つ。もう一つはこの三社がそれぞれ業務区域というのを定めておりますね。たしかこの法律制定の当時、たとえば神戸のものが東京に申し込みができるか、こういうことに対して当時の樋詰さんかだれか忘れましたが、できるという答弁があったと記憶しておりますが、この三社の業務の区域ということを定めておるのは、どの程度の強い区域割りになっておるのか。これを定めるのもやはり、九条に区域を定めるということは書いてないが、この区域を定めるにあたって、やはり通産大臣の認可事項なんですか。認可したのですか、指導したのですか。
  99. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいま各社の管轄区域は各社のそれぞれの事業に関する規程というものの中にうたってございまして、原則としてそれぞれの区域に本店を有する中小企業者という規定の内容になっております。たとえば東京は新潟県、長野県及び静岡県以北の各県等々でございます。そこでここに原則としてという文句が入っておりますが、実際の運用では管轄区域外に所在する本柱がごく名目的なものでありまして、事実上の主たる事業所がその管轄区域内にある場合には、投資育成会社がその関係投資育成会社と協議をした上でより便利なほう、といいますと、事実上の主たる事業所の所在地、その管轄の投資育成会社がそれを対象企業として取り上げる、こういうやり方をいたしております。現に、たとえば名目上の本店が東京にあるけれども、主たる事業所が愛知県にあるというようなものは、名古屋対象企業として取り扱っております。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 この各社の業務に関する規程ですね、これは認可事項ではありませんね。それぞれ三社が適当にきめ得ることのできるものですか。
  101. 山本重信

    山本(重)政府委員 事業に関する規程は認可事項になっております。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 それはどこでなりますか。
  103. 山本重信

    山本(重)政府委員 本法第九条に基づいております。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 九条で「事業に関する規程を定め、」として、その中に一号、二号、三号のことは必ず定めておかなければいけない、そういう書き方ですが、たとえば「相手方の選定の基準、新株の引受けの際の評価の基準、」云々とありますね。これは一号、二号、三号にわたっておりますが、九条というところは業務規程の内容を言うておるのと違いますか。そうしたら区域はどういうことになるのですか。この一号、二号、三号にはありませんね。
  105. 山本重信

    山本(重)政府委員 ここには管轄についての文言はございませんので、この規程自身は、第一号から三号までの事項は必ず必要なものである、必要記載事項でありまして、それ以外のものも会社のほうで適当と思うものはその規程の中に入れるのは妨げない、かように考えます。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 そうだと思うのです。「事業に関する規程を定め、」「大臣の認可を受けなければならない。」そして一号、二号、三号は必ず定めなければならない。だからこの一号から三号までは必要的記載事項というか、あと業務に関する必要な事項すべて含んで大臣の認可事項。そこでそういう区域の分け方だとかいうのはやはり三社が相談するかあるいは中小企業庁なりが指示するか、でなければ重複するおそれがあるわけですね。そういうところの交通整理はどうしてやったのです。それから業務規程にはこの九条一号−三号以外のもので、どういうようなものがきめてあるか。それから三社の業務規程はすべて同じであるかどうか。何なら三社の業務規程をひとつ出してもらいましょうか。
  107. 山本重信

    山本(重)政府委員 管轄区域と申しますか、事業対象とする区域につきましては、三社が事実上相談いたしまして、その相談の結果きめられたものでございます。それから事業に関する規程は、その管轄の区域の点を除きましては、三社おそらく相違点はない、全部共通のものであると思います。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、だから、それは実際は三社がそれぞれ独立できめて、大臣の認可を受けるというかっこうに法律はなっておるけれども、実際はあなたのほうでこれこれをきめなさいと言ったのじゃありませんか。そうでなければ同じものができるはずがない。あるいは準則みたいなものをつくって右へならえさせたか。そこで同じことであるなら東京だけでけっこうです。違っておるなら大阪名古屋を入れて、ひとつ業務規程を提出してください。
  109. 山本重信

    山本(重)政府委員 提出いたします。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 そこでこれから基本的なことをお伺いしたいと思うのですが、投資育成会社はいわゆる特殊法人ですか、商法上の法人ですか。
  111. 山本重信

    山本(重)政府委員 投資育成会社は法的性格から見ますと商法上の株式会社であると思います。ただ一般の株式会社と若干性格的に違う点がございますのは、設立が特別法によって行なわれておりますので、その限りにおいて商法上の株式会社であるけれども、若干違った性格も持っておるというふうに考えております。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 特殊法人と言うかと思ったら商法上の会社だ、こういう答弁だったので、私の考えと一緒なんですが、それは三条の三項で商法の二百四十二条の第二項の規定を適用しないとうたっている。この商法の規定というのは優先株の発行限度をきめておるわけです。したがってそれには縛られずに優先株を出せるということだけが適用除外になっておる。そのほかいまあなたが言ったように、設立あるいは役員の就任等については若干の特例が本法できめられておる。そのほか全部商法上の株式会社各条項が該当すると思うのです。そうするならば、そういうことは、実際には中小企業金融公庫がうしろについておる、あるいは各地方団体が出資しておるということで、実際上はあり得ないと思いますが、理論上はあり得るし、絶対にないとは言えないのですが、この投資育成会社破産の適用を受けたらどうなります。会社更生法の適用を受けるような事態に立ち至ったときに、この優先株はどういう地位に置かれますか。
  113. 山本重信

    山本(重)政府委員 その場合には一般の会社更生法の適用を受けるわけであります。したがいまして優先株は一般の更生債権よりも優先順位はあとになるわけですが、一般の株式よりは優先する、こういう地位になると思います。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律では五条四項ですか、あるいは五項で、会社解散の場合のことを規定しておりますね。これはこの限りにおいて優先するだけですね。したがってこの投資育成会社公庫へ出すところの優先株、これは会社が破産あるいは更生手続開始決定というようなときには、共益債権にならないことは当然、更生債権の中で普通の株券と同じ取り扱いを受けると思いますが、普通の株主より優先しますか。優先するとするならばその根拠。
  115. 山本重信

    山本(重)政府委員 会社更生法によりまして優先株の取り扱いの順位が一般的に定められておる、そのとおりでございまして、優先順位から申し上げますと、いわゆる更生担保権が最優先、それから一般の先取特権、その他の更生債権、それからそれ以外の更生債権。その次に劣後的な更生債権という更生債権の順位がきまりますが、その次にきます株主の権利としましては、まず残余財産の分配に関しまして優先的内容を有する種類の株主の権利ということで、一般の株主の権利よりは優先する。その次にそれ以外の株主の権利がくる、かように考えております。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 いま言われたから、破産でなしに会社更生法の例でいきましょう。すると共益債権ではない。更生債権だ。そのうちの優先債権ではない。したがって商法上の先取特権あるいは民法上の先取特権よりはあとにくる。そして更生債権の中の劣後更生債権でもない。ただ普通の株主に優先するということ、この優先株はこの法律によって公庫投資育成会社との間のことだけを定めてあるわけですね。それは他の株に優先して配当を受けるということ、優先消却、それから残余財産分配に対しての優先、こういうことだけが定まっておるわけですね。したがって他の株主に対しては優先するが、その他のものに対しては優先しない。それでいいですね。いわゆる商法の二百四十二条第二項の規定以外は、いわゆる商法で言う優先株の性質を持っておるものだ、それによって律せられるものだと解釈していいのですね。
  117. 山本重信

    山本(重)政府委員 御意見のとおりと思います。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと今度は投資育成会社融資決定をした相手方、これを便宜被融資会社としましょう。この被融資会社が破産あるいは更生手続開始決定、こういう事態は往々あると思うのです。この場合に転換社債、あるいは新株、これの地位はどうなります。
  119. 山本重信

    山本(重)政府委員 被育成会社が会社更生法の適用になった場合ですが、転換社債につきましては担保つきの場合と無担保の場合とがあると思います。担保がついております場合は、いわゆる更生担保権債権となりますので最優先の分類に入ると思います。それから、そうでない場合は一般の更生債権という順位になると考えます。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 転換社債というのは一種の社債ですね。これは普通の債権債務と考えていいのじゃないですか、違いますか。
  121. 山本重信

    山本(重)政府委員 株式のような転換権を行使しない限りにおいては一般の債権と同様に考えるべきだと思います。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、この投資育成会社が欠損をするということは考え得られますね。そこで、それの損失てん補のための措置はどういうことになりますか。たとえば損失準備金制度というようなものを置くべきではないか。しかも、これは商法上の適用の範囲においてやるのか、あるいは特別な損失の補完制度というか、準備制度というものを考えるべきか、こういう問題になりますが、いかがですか。
  123. 山本重信

    山本(重)政府委員 投資育成会社も運用のいかんによりましてはお説のように欠損を出す場合があり得ると考えます。そのために必要な準備金を用意することはきわめて必要であると思います。現在は一般の商法の規定により積み立てをいたしております。立法論といいますか、政策論といたしましては、何らかもう少し特別な制度を考えるべきではないかという議論もございますけれども、その点はまだ検討の段階でございまして結論を得ておりません。
  124. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、お聞きのような状態なんです。そこで、この法律を見ると、投資育成会社のいろいろの——先ほど言っておった、たとえば業務規程の認可だとか、あるいは設立についての役員の許可だとかというような点はありますが、それを除けば政府にかわって出資をする中小企業金融公庫投資育成会社との間だけを規定しておるのです。そうでしょう。商法で特別に投資育成会社に適用する条文のほかに優先株の関係だけでしょう。そうすると、この法律は公庫が損をしないようにというねらいだけであって、それから先のことには考慮がないということになる。ほんとう中小企業投資育成だというならば、私は先ほど来一、二の例をあげましたが、損失の出ることはあり得るし、また損失が出るくらいでやらなくてはいかないと思うのです。なれば、損失に対する準備金制度等を考えておく必要があると思うのですが、これは商法とは違った高度のものを考える必要もあると思うのですが、立法論としていかがでしょうか。
  125. 三木武夫

    三木国務大臣 田中さんのお話を聞いておってもっともだと思う。だから準備金制度を置くようにいたしたいと思います。本年はだめですけれども来年度から置くようにいたしたい。
  126. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもいい答弁をしてもらっていいんだけれども、それじゃけんかにならぬので困るのですが、八条の事業の範囲、そこで「産業構造の高度化又は産業の国際競争力の強化の促進」こういうことがあるが、これと同様の文句がこの時期にできた法律には全部書いてあるのです。それを頭にかぶって政令できめるのでしょう。ところが一体政令でどういうことをきめておるのかというと、政令第二条に業種がずっと並んでおるわけですが、そこに食料品製造業から始まっていままでで二十三指定になっていますね。こういう指定はどういう観点、それは法律に産業構造の高度化、国際競争力ということがかぶっておるから、それを基準にしたというのは当然だけれども、政令の指定にあたっては特にどういう点を重要視して考えたのか、それをお伺いいたします。たとえば食料品製造が一番にあがっていますが、それが八条でいう産業構造の高度化、国際競争力の強化ということで一番緊急なのは食料品製造であったのかどうか、こういうことになるわけですね。
  127. 山本重信

    山本(重)政府委員 産業構造の高度化という考え方と、それから産業の国際競争力の強化、この二つの観念をここではっきり打ち出しておるのでございますが、具体的には業種を拾い上げる場合に、もうちょっと砕いて考えて見ておるのでございまして、たとえば、産業構造の高度化という場合には、将来の成長性の大きな業種であるということ、それから国民生活と密接な関連のある業種、生産性向上の余地が大きいもの、さらに製品原材料等の流通の円滑化に寄与する業種、こういうように、かなり広く産業構造の高度化というものを分解して考えて見ております。  それから第二の観念の産業の国際競争力の強化の場合は、積極的に輸出を伸ばすための業種と、同時に受けて立つという意味で貿易の自由化が進む、そのために業界がそれに対応する体制をつくる必要がある。これは輸出と貿易の自由化とがうらはらをなすものでありまして、ある程度輸入の促進というか、その体制を考えることがひいては輸出の振興にも寄与する、こういうような考え方でかなり広く実は観念いたしておるのでございまして、ただいま御指摘の食料品等の相当部分のものは、いま最後に申し上げた立場から取り上げてまいっておるような次第でございます。
  128. 田中武夫

    田中(武)委員 その最後のやつが第一になっておるわけですね。中小企業近代化促進法と関連をしてお伺いいたします。したがって中小企業近代化促進法の質問にも入っていくわけなんですが、それの三条一項二号と投資育成会社法の八条とは同じ文句なのです。同じ文句であって、指定は片や食料品で、片や清酒、しょうちゅうが第一にあがっておる。同じ文句をかぶって同じ定義、そうして政令に受けて指定のときには、その範囲も違うし、まず最初に取り上げたものが違うのです。それはどういうところが違うのです。それは法律の目的が違うから違う、こういうことだけでは答弁にならぬと思うのです。同じ文句をかぶって政令の委任をとって、これは違うのです。それはどういうところから違ってきておるのですか。
  129. 山本重信

    山本(重)政府委員 この投資育成会社の制度とそれから近代化促進法の制度は、基本的には同じ目的を追求しておるのでございますけれども、具体的なやり方としましては、片方は、個々の会社に対しまして投資をするという、個別的なやり方でございまして、近代化促進法のほうは、まず業種としての近代化計画を作成しまして、それを全体として推進をする。さらに具体的な手段、方法として個々の企業に対する課税の特例とか、あるいは融資というようなことをするわけでありますが、その両者で、特に方法論として違います点は、近代化促進法の場合には、近代化計画を業種としてつくっていく、この点が非常に大きな違いでございます。  実際問題といたしましては、そういう意味で、近代化計画をつくるのに適当な業種というようなところに、ある程度ウエートを置いて選んでおりますので、具体的な選定の場合に、若干そこも違った点が出てきておるのであります。
  130. 田中武夫

    田中(武)委員 法律の規定は同じことなんでしょう。そして政令委任を受けておって、もちろん、法の目的によって、取り上げるのが変わってきていいとぼくは思う。しかし、法律の規定は同じなのです。しかも、偶然かしらぬが、片方は食い物、片方は飲み物なのです。これで中小企業庁長官以下が、いかにいじきたないかということがわかるのです。もっと取り上げるべきものがあったと思うのです。  そこで大臣、この法律も、それから近促法も、ともにいわゆる高度経済成長の中で成立した法律なんです。したがって、うたっておる文句も一緒なんです。しかし、これがだいぶ色あせてきて、中期経済計画が御破算になった。ここで、現在指定しているのを取り消せという意味ではございませんが、この指定について再検討すべき時期ではないか、こう思うのですが、これは双方にわたっていかがでしょうか。近促法では、基本計画ができ、そして自主計画を取り消せという意味じゃありませんが、再検討すると同時に、同じ法律の文句をかぶっておるが、目的によって政令で変わってくるというところに対して、何らかの基準というものをはっきりさす、そういう作業が必要と思いませんか。
  131. 三木武夫

    三木国務大臣 田中さんとちょっと意見が違うのです。再検討はいたしません。ただ、これから追加をいたしていきたい、これをふやしていきたい。いま再検討しても、指定してあるのをまたやり直すというのは、動揺を与えます。だから、これを広げていくということについては、いたします。
  132. 田中武夫

    田中(武)委員 再検討ということについてそうとられたのですが、私はさっき言ったように、すでに計画ができて、実施に移しておるものを取り消せとは言っていないのです。したがって、変わっていないのだ。しかし、あまり不細工ですよ。片方をあけたら飲食品です。片方をあけたら、しょうちゅう。これが産業の高度化、国際競争力という大上段に振りかぶった中で、よほどいじきたない人がそろっておるのだな。こういうことになるわけです。  それでは次に行きますが、今度の中小企業近代化促進法で、長年の懸案であった企業組合を定義に入れた。なるほど法律で定義をきめる場合は、この法律で、何々というのは、とれこれだというように、きめるのですから、一つのタイプだと私は思うわけです。  そこで、そうではあるけれども、中小企業基本法以下一連の中小企業の法体系の中で、きまった一つの定義というものを考えなければいかぬと思うのです。たとえば、近代化促進法の二条の定義、これを中小企業基本法の定義と比べてみたら、一号と二号はそのまま、三号に別に規定があるわけです。そうして四号に企業組合を入れる、こういうことです。ところが今度は、たとえばもう一つの法律である資金助成法のほうを見ますと、その定義には一号、二号、三号と分かれておる。そうして一号、二号は大体基本法のあとを受けておる。  そこで言わんとするところはたとえば指定のところを見ますと、近代化促進法から見ますと、政令で定めるものとしては陶磁器関係あるいはゴム、こういうものは五千万円で、従業員九百人ということになっておる。今度助成法を見ると、定義が変わってくるんですね。たとえばゴムならゴムをとりましょう。近代化促進法の定義からいけば、ゴム製造にあっては、中小企業の範囲は、資本金は五千万円、従業員九百人、こうなるわけです。ところが、近代化助成法ではそうではなくなりますね。そういうように、一つの業種が中小企業であるのかないのか、こういうことが法律によって変わるということはいかがですか。近代化促進法と助成法の定義を一ぺん政令指定の項をながめてみてくだざい。
  133. 山本重信

    山本(重)政府委員 中小企業の範囲につきましては、ただいま先生指摘のように、法律によって若干変わっております。実は中小企業基本法の第二条にも「この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が前条の目標を達成するため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。」と、ある程度施策によりまして、対象を変えることを示唆しておるのでございまして、その精神を受けまして、たとえば近代化促進法の場合には、先ほど申し上げましたように、まず業種ごとに近代化計画を作成して、その場合にはできるだけ広い範囲のものを中に入れて計画を策定をし、場合によれば、それらのものに対して調査あるいは勧告等をする必要があるわけでございます。それから具体的に助成措置を講ずるとか、あるいは課税の特例、こういうような、ある程度恩典を与える場合は、それよりも若干狭く、シビアーに考えていく、こういうのが基本的な考え方でございます。
  134. 田中武夫

    田中(武)委員 ほんとうにそうならいいんだが。いわゆる施策の恩典を与える場合は、下に施策の重点がいくように考える。それから税等で特別の措置ということは、すなわちそれ以下のものに恩典がかかるわけです。したがって、いずれからいっても、いわゆる中小企業のうちでも、より小さいもの、より弱いものに施策の重点がいくという考え方の上できめられているというなら、私、いいと思うのですが、しかし、同時に、この法律では、おれは中小企業だが、この法律では中小企業でないというのも、少しおかしいじゃないかと思う。それは施策ごとにきめるのもいいと思う。だから定義は定義でぴしっときめておいて、そして施策のときに除くという言い方でも、やり方とすればいいと思うのです。それはどうでしょう、立法技術になると思うのだが。でなかったら、どうも法律を見てみるだけではわからぬ。政令までさかのぼってみないと、私は中小企業であるのかないのかわからぬようなのがたくさんある。普通の製造業あるいは商業、サービス業ならわかるのです。工業とか土建、ことに同じ製造業でもゴムとか陶磁器には特別な規定があるのでしょう。そういう点、少し観念整理というか、交通整理の必要があるのじゃないですか。いかがですか。いまの答弁で、下へ施策の重点がいくという考え方なら私はけっこうだと思うのですよ。
  135. 山本重信

    山本(重)政府委員 中小企業の範囲についての基本的な考えはこの基本法ではっきり打ち出しておるわけでありまして、したがいまして特別な事情のない限りは、その基本法の範囲というものを基準に考えていくのが適当であろうかと思います。それに対して、個々の法律の中で特に変更する必要があるものについては部分的な修正をしていく。こういう考え方で、確かに法律によって一つ一つ違うということは不便でもございますので、できるだけそういう例外的なものは少なくする、こういう考え方を持つべきであろうかと思います。先ほど申し上げましたのは近代化促進法の場合でございますが、近代化計画をつくる場合と、それからあとそれに基づいて個々の会社に対して課税上の恩典を与える場合とを考えてみますと、計画をつくるときはある程度広く網羅的なものをつくる必要がありますし、そのためには調査あるいは勧告等の対象としてもやや広目の企業を対象といたしますが、今度は具体的に近代化計画を進めるために税の面とか資金の面で恩典を与える場合には、ある程度しぼりをかけていく、こういう考え方でいくべきであると思っております。
  136. 田中武夫

    田中(武)委員 要は、税とか融資とかのときには、解釈を上へ上げるほど下のほうに恩典がいくのでしょう。それから積極的に施策をやる場合、それを下へ下げればこれも下のほうに恩典がいくのでしょう。そういうことであるならけっこうだと私は言っておるのです。あなたの答えは違いますか、私の考えと違っておったら違っておると言ってください。
  137. 山本重信

    山本(重)政府委員 率直に申しまして、私の申し上げておるのと先生のおっしゃられるのとはちょっと違っておるように思うのです。具体的に申し上げますと、近代化計画を策定いたします、そのために調査をする、それから必要があれば勧告をする、こういう事柄の対象としてはやや広い範囲の中小企業者というものを考えます。それから今度は、具体的に近代化計画を進めるために課税の特例で恩典を与えるのはそう広い範囲にしない、むしろ本来の中小企業者の範囲にとどめる、こういう考え方であります。
  138. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、定義と同時に、あなたは九条のことも頭に置いて答えたからそういう答えになったので、まだ九条までぼくはいっていないのだ。だから大体考え方においては変わりないと思う。いわゆる施策の面においては広く、そして税等の特別な措置をするときには狭くということは、中小企業のうちでも上のほうには恩典を与えない、こういう考え方でしょう。だから、施策もやはり下へいくということでしょう。だから一緒になる。九条も一緒に答えたから、ちょっと混線したと思う。わかりました。  それではその前の七条を伺いますが、この法案の審議にあたって、昨日来社会党と自民党あるいは民社党も入れて、与野党の間で折衝しておるのが実は一つあるのです。それは企業組合を対象にした場合に、なぜ協同組合を入れないのかという問題なんです。これは先日も中村委員から質問がありまして、何だか税法上に関係があるので問題があるというような答弁をしておられるわけなんです。しかし、税のことを考えた場合は、協同組合に特別な措置があるというのは法人税でしょう。九条は法人税の問題じゃないのでしょう。法人税になりますか。八条は合併その他で、協同組合等が合併をする、企業組合が合併をするということもあり得ると思いますが、それも必要だと思うのです。だから税体系の中で論じる場合にはこれは性質が違うわけですね。そこで七条のしまいのほうの、「当該中小企業者又は当該中小企業者を構成員とする団体に対し、必要な勧告をすることができる。」というこの規定、このあとの「当該中小企業者を構成員とする団体」というものはいろいろあろうが、一番最初に頭に浮かぶのは協同組合でしょう。いうならば、近代化促進は協同組合を考えずして推進できるかといったら、できないのです。基本計画を立てて、それを実施計画に移していくときに、あるいは基本計画を立てる場合においてすら、意見を聞く、これはやはり一番に考えられるものは協同組合じゃないですか。今日まだこのことについて協同組合を入れるのがいいのか悪いのかというような論争のあること自体が私はおかしいと思う。この法律推進には協同組合なくしては実施できないはずですよ。七条の勧告の条文は、まさにこれは、他の団体もあるでしょう、しかしまず一番には協同組合を考えた規定だと私は思うのです。だから、いまさら入れるや入れないじゃなしに、私は定義にあろうがなかろうが、当然入っておるのだ、こう読むべきが正しいのじゃないかと思うのです。どうですか。
  139. 山本重信

    山本(重)政府委員 お説のように、この第七条にあります「中小企業者を構成員とする団体」というのは、協同組合がその主力であろうと思います。この規定の趣旨は、基本計画を作成し、それを実施する段階で勧告をする対象として考えておるわけであります。そこでいま問題になっておりますのは、減価償却の特例を適用するかどうかということであります。こちらの勧告あるいは第四条の実施計画関係指導を行なうという場合の対象の組合というのは、組合という組織を通じて中小企業者にそうした施策を浸透させる一つの中間的な機関として考えておるのでありまして、今度は減価償却の対象にするかどうかといいますれば、これは一つ事業体としてそういう恩典を、たとえば法人税の算定の基礎としての減価償却の恩典を与えるかどうか、こういう問題でございますので、その点若干次元の違う問題であるように考えております。
  140. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、基本計画を立て、これを実施計画に移して実行していくのには、現在の中小企業の組織状態を見た場合には、協同組合を考えずしては済まないのですよ。指導対象になり、勧告の対象になっておること自体はもう片足も両足もこの法律の法域に入っておるのですよ、協同組合というものは。そうでしょう。そうして、そうだとするならば、あとに残るのは何かというと、八条、九条との関係だけが残るわけです。企業組合に八条、九条の適用を受けさせるというので定義にもってきたわけですね。私は法律案の作成技術、立法技術としてはまずいのじゃないか。趣旨はわかる。趣旨はいい。要は八条、九条の加わることによって企業組合も協同組合も適用が受けられるようにもっていっていいだろうと思うのです。ただ、協同組合は営利追求の団体ではない、こういうことが勢い協同組合を入れることの一つの大きな難点になっているようです。ならば、大蔵省はなぜ法人税を協同組合からとっておるのか。しかも中小企業等協同組合法の九条かなんか忘れましたが、それには利用配分をやっている組合員には税金をかけたらいかぬ、こうなっておるのに税金もとれという通達を出しておるでしょう。その辺大蔵省の考え方も間違うておるのですよ。そこで、これはもう事務局段階ではないと思います。いま鋭意前向きのかっこうにおいて与野党で折衝しておりますから、そういうことに対して大臣の意見を求めることはどうかと思いますが、大臣、意見があったらここでひとつ言っていただきたい。それだけ言ってもらったらいい。それとも与野党の折衝にまかすならまかすでけっこうです。
  141. 三木武夫

    三木国務大臣 これはいろんないきさつがあり、税制上協同組合にはいろんな特典がありますね。そういうことで割り増し償却制度の問題ですよ、実質的には。こういうことでいきさつがあったんですが、与野党の間でいろいろお話があるというのですかう、これはやはり国会の立法権のもとでなされるべきであり、われわれが言う性質のものでないのですから、われわれとしては中小企業政策審議会でこの問題をひとつ検討してもらっていく、こういう結論も見たいというのが私の考えです。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 この段階ではそれでけっこうです。しかし、これはいま議論になったんじゃないのですよ。もう二、三年前かう議論をしておる。だから政策審議会にはかるなら、もうすでにはかっておらなければならないと思うのです。これは大臣ということはのけて与党との間に折衝していく。実は与党の窓口の各理事諸君もやっておられると思う。そこで趣旨には賛成であるが、はっきり言えばどうも党内事情が、というのなら大臣としてではなくして与党の幹部としての三木さんに私は期待をして、どうぞ参議院へ行ってください。  大臣が出られましたので残余の質問を、時間の関係もあるから話し合いがつかなければ幾らでも保留をしていきながら、次へ進んでいきたいと思います。  近促法にもまだあるのだけれども、近代化資金助成法のほうに移りたいと思います。今度の近代化助成法の改正というのは、なかなか内容が盛りだくさんで、一部改正というのでわれわれは軽く考えておったのですが、中身を見たら、これは重要法案だ、こういう感じを持っておるわけなんです。  そこで、まず第一番にボランタリーチェーンの問題についてお伺いいたしますが、一体このボランタリーチェーンあるいは小売り商のチェーン、こういうことはどこから生まれてきたのですか。
  143. 山本重信

    山本(重)政府委員 この構想の発生の経過を振り返ってみますと、二つの出発点であったと思います。一つは、中小企業の中で、そのほとんど半分を占めます商業者に対しまして、従来いろいろの施策をやってまいっておりますけれども、まだまだきわめて不十分であるということから、いろいろ検討しました結果、ひとつこれはチェーン化をして、そうしてその真の向上、合理化をはかっていこう、こういう考え方が出てまいったのであります。時たまたま流通機構の改革、特に物価対策との関連におきましてチェーン化という問題が出てまいりました。両方かう同一の構想が出てまいりまして、その点で二つの目的を持った制度として考えておる次第であります。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 長官、あまりうそを言ってはいかぬ。きのうは内閣委員会で、中小企業長官答弁をするのが適当だと思うところまで企業局長答弁をせられたので、企業局長にきょうはじっくり御答弁を願いたいと思う。  まず、この小売り商のチェーン化というか、こういう構想は、産業構造審議会の流通部会から出てきたのでしょう。そのときの流通部会の答申の一文句に、「各地に分散する多数の小売商等が独立制を維持しつつ永続的連鎖関係を締結し、協同する組織」としてこのボランタリーチェーンが考えられたと思うのです。しかし、この流通部会は、一体どういう目的で持たれた流通部会ですか。産業構造審議会、すなわち世をあげての経済高度成長の中で、そのことを論議するというか、そのことによって持たれたのが構造審議会でしょう。その一分派である流通部会は、その経済の高度成長に乗って、多量の生産をする。マスプロをやる。これをいかに流通せしむべきかという上に立って検討を加えられたのが流通部会なんです。そうじゃありませんか。それを途中から小売り商のための絶対的な施策なんだというのはどこで変わってきたのですか。そもそも生まれはそういうものではなかった。そうでしょう。
  145. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 産業構造審議会の流通部会におきまして、大臣からの諮問は、流通の近代化というテーマであったと存じます。御承知のようにいま先生が言われましたように生産革命が行なわれ、消費面での急激な革命が行なわれた中で、流通機構の問題というのは、一つは流通機構が近代化されませんと、経済全体の構造のゆがみがあるという面と、それからもう一つは、できるだけ消費者の利益あるいは物価の引き下げという面をあわせて考えるという必要から、流通部会の流通近代化の審議が行なわれたわけでございます。ただ、御承知のように流通機構といいましても、小売りと卸売りとございますが、何と言っても一番問題は小売り商の面でございまして、小売り価格という形で消費者に直結するわけでありますが、小売り商をどういうふうに近代化していくかということが実は一番大きな問題であったわけでございます。ただいま中小企業庁長官からも説明がありました中小企業の近代化も、同じ意味で、中小企業の改善と、それから物価対策にさらに寄与するという面で、中小企業庁としてそういう問題を検討いたしておった関係から、一連の流通機構という中で同じ問題を考えていくことになったわけであります。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 産業構造審議会というのは、開放経済体樹下の産業高度化の方向はいかにあるべきか、これが主たる討議内容じゃなかったですか。そしてその分流である流通部会は、大量生産体制に即応する大量流通体制はいかにあるべきか、このことが論じられたはずなんです。小売り商を中心に論じられておるとおっしゃるならば、流通部会の議事録を要求します。
  147. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 ただいまの流通機構の近代化の中で、ボランタリーチェーンの問題をまた分科会として検討したわけでございます。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 これはあくまでも大量生産に見合うところの流通機構をいかにすべきかということの上に立って出てきたものであるということは間違いないんです。そうでないというならば議事録を出して、小売り商の近代化を中心に論議が進められておったという証拠を出してください。その証拠に、それではその流通部会、あるいはそれからもう一つ分かれたボランタリーチェーンの分科会に小売り商を代表する人はどういう人がおるんですか。
  149. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 宗像平八郎氏がおります。
  150. 田中武夫

    田中(武)委員 宗像君は日本専門店会常任理事か何かしていますね。彼はよく知っています。彼は西ドイツ的なボランタリーチェーンの推進者です。この宗像君は流通部会に入っておったんですか、分科会に入っておったんですか。
  151. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 流通部会のメンバーであると同時に分科会のメンバーであります。
  152. 田中武夫

    田中(武)委員 何名中に一人ですか。ほかのメンバーはどういう人ですか。
  153. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 担当の課長からメンバーを申し上げます。
  154. 林信太郎

    ○林説明員 メンバーは、野田先生が部会長でございます。あと入っておられますのは、日本商工会議所専務理事の高城元さん、それから学識経験者では早稲田大学の宇野先生、それから久保村さんというように学識経験者が大半でございます。一部卸の方も入っております。
  155. 田中武夫

    田中(武)委員 そのメンバーではたして真剣な小売り商対策として論ぜられたと思いますか。議事録を出してください。
  156. 林信太郎

    ○林説明員 議事録はいま手元に用意しておりませんので、あとで出します。
  157. 田中武夫

    田中(武)委員 流通部会の議事録の提出まで留保いたしまして、次に進みます。  私が言っておるいわゆる大量生産に即応する流通問題として考えられたということは、予算の面でもそれを明らかにしておるのではありませんか。小売り商中心だというこのボランタリーチェーンについてはあとで触れますが、一体だれのための金であり、だれのための存在であるかということに疑問を持っております。ことに大企業を中心とするレギュラーチェーンとでもいいますか、それには低金利で六分五厘ですね。日本開発銀行から十五億円という金を出す用意があるでしょう。ところが、この中小企業中心だというボランタリーチェーンには、予算は一億二千二百万円ですか、それから政府系三公庫——商工中金はどうかと思いますが、どのくらいのものがありますか。対象人員と資金の割合を言ってみてください。片や十五億用意してあり、片や一億二千二百万円です。対象として考えておるのは何件ほど考えておりますか。
  158. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 御承知のようにボランタリーチェーンの組織化の問題はなかなか簡単にはまいりませんし、問題がありますので、今後どういうふうに組織化していくかということになりますが、一応のあの当時の積算では二十四、五というふうに考えていたと思いますが、実は十五億円になったのですが、大体二十前後になろうと思います。
  159. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業庁のほうはどうですか。
  160. 山本重信

    山本(重)政府委員 無利子の資金として国が予算に計上しておりますのが一億二千二百万円でございます。現在チェーンの結成目標といたしましては二十五チェーンを考えております。なお、一億二千二百万円につきましては、これに同額を県が出しまして倍の金額になります。この所要資金の半分を国と県との資金で供給するという状況であります。
  161. 田中武夫

    田中(武)委員 片や二十五件、片や二十件、十五億円と一億二千二百万円——これは二億四千四百万円になりますが、けた違いですね。それを頭数に割ってごらんなさい。十五億円を二十で割って出てくる数字と、県の分も入れた二億四千四百万円を二十五で割った数字とは、一件当たりのなにはけたが違いますね。——それではもう本会議まで時間もないようですから、このボランタリーチェーンの問題については、まだこのことがいわゆるメーカーの系列販売あるいは卸の系列販売になる。それから十三万を目標にしておるそうだが、現在少なく見ても百三十万といっているが、私は小売り商はもっと多いと思う。いわゆる一割、その十三万の根拠は、百三十万の小売り商と見て、一人か二人までが七〇・四%ですよ。三人から四人までが一九・二%、合わせて八九・六%、まさに九割。したがって、十三万、一割というのは、五人以上の従業員を使用しておるものとの数字が合ってくるのですよ。だからどこをねらっておるのか、いろいろあります。しかし時間の関係上、これは後日の質問に回します。
  162. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 基本問題で、ちょっと私のほうから御説明申し上げねばならぬ点は、審議会の流通部会でいろいろな検討が流通機構として行なわれたわけでございます。その結果、ボランタリーチェーンの考え方を申し上げますと、要するに問題は、流通機構の中で一番問題になるのは、小売り商の問題でございますので、小売り商というものをどういうふうに組織化していくかというところに一つの問題がありたわけでございます。この小売り商を、ただ小売り商という段階だけで組織化いたしましても、要するに小売り商の経営が改善されないというので、卸との結びつきを考え、卸の中には、御承知のように、小売りの関係り卸もあれば、小売り業者が卸業を営む場合もある。それから中小企業でない卸もあるわけでございますが、そこのところが流通経費といたしまして下がってこなければ小売りの改善が実はできないという意味で、この小売り業者を独立したまま、要するに組織化をし、分業化をしていくという意味で、その卸を営む、これは中小企業であろうが中小企業でない場合でも、あるいは小売りであろうが卸であろうが、その卸業に対して、開銀の融資なりあるいは近代化資金なりをあれするのは、いずれにしても小売り業者のための倉庫であるとか配送設備に対してこれを出すわけでございますので、問題は小売り業者経営改善になる場合にのみこのボランタリーチェーンというものは政府がこれを助成していくという、こういう考え方になるわけです。卸が、たとえば小売り業者がチェーン化したために、経営改善にならぬ、あるいはコストの低減をはかれないというようなことであれば、このボランタリーチェーンは意味をなさないわけでございますから、したがって、小売り業者だけの、いいかえれば小売り業の段階だけでなしに、縦の系列として流通経費を引き下げていく、こういう観点から、このボランタリーチェーンというものはできておるわけでございます。
  163. 田中武夫

    田中(武)委員 私はそれが問題だと言っておる。ということは、メーカーなり卸の系列販売になるのですよ。
  164. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 御承知のように、メーカーとの、あるいは卸業者との系列関係のできておるような有力小売り店は、私どもの考えからいえば、ボランタリーチェーンの組織下に入らなくても、私は独立してやっていけるのじゃなかろうかと思います。と申しますのは、そういう小売り店ではなしに、むしろ卸と要するに系列関係にないような小売り店というものをこのボランタリーチェーンの組織化によって経営の近代化をはかっていこう、しかもこのボランタリーチェーンは、御承知のようにボランタリーでございますかう、任意に同志的結合によりまして、組織化をするわけでございますから、むしろ系列化その他によりまして、非常に不利益をこうむるような場合には、いつでも脱退をすればいいわけでございまして、無理にこのボランタリーの中に入る必要はないわけです。むしろ組織化されて、ボランタリーチェーンの中に入ることによって小売り商が利益になる場合にのみこの組織に入り込んでくるわけでございますので、いまお話のような、たとえばメーカーの系列下にあるような卸は、私ども組織の中の中核に考えておりません。   〔田中(栄)委員、長代理退席、委員長着席〕
  165. 田中武夫

    田中(武)委員 入って不利なら出たらいいというのだが、それじゃつぶれるんだよ。むしろ系列に入ったものがいま生き延びているんですよ。自由だからというのはいわゆることばの自由であって実際は自由でない、そこに現在の小売り商なり中小企業の問題があるわけです。時間がないのであれですが火曜日に何なうもっとやります。私に考えられるのは、中小企業中心のものが考えられると思うのです。その中に、中小小売り商ばかりのものが考えられる。あるいは中小卸商と中小小売り商が組んだものが考えられる。次には大企業が中心のものが考えられるのです。大規模の小売り商と中小企業が組む場合、大規模の卸商と小売り商が組む場合あるいは大企業同士及び外国資本中心とする場合が考えられるわけです。ここで外国資本、いわゆる外国スーパーの問題は、三、四年ほど前に問題になったが、通産省はこういうチェーン化あるいはスーパー等で外国資本の上陸をどう考えておるかといろ問題も持っております。しかしいろいろとあるし、私は結論的に言うならば、これはやはり九割切り捨てですよ。先ほど数字を申し上げたように、百三十万のうち十三万だけを対象に考えておる、あとのほうは切り捨てる、その行為は、一定の事業分野において現在または将来事業者の数を制限するような行為といわざるを得ない、そう断定します。そのことについては火曜日あるいは水曜日にもっと議論をいたしましょう。今度の助成法の改正は六つの点があるわけです。それを一つ一つ聞こうと思っているのですが、もう時間がありませんので、あと一つの項目だけ聞きます。ボランタリーチェーンについてまだおっしゃりたい点があったら伺いましょう。そしてあらためて議論いたしましょう。いいですか。——それじゃボランタリーチェーンについては多くの質問を持っていますが、保留しておきます。  次に機械貸与制度の問題に若干触れてみたいと思うのですが、この機械貸与制度の中小企業庁が考えておる機種の中に、土木建築の機械も入るように考えておられる。ところがいま土木関係の機械を貸与する会社が全国に二千近くある。それがいま公社、民法上の法人ですが公社をつくってやっている。また一面では地方公共団体が出資または融資をしてつくっているのが五つばかりありますね。北海道、福島、茨城、神奈川、長崎、そのうち神奈川は協同組合らしいですが、形態はいろいろあるわけです。そういうのに対して建設省としてはどう考えておりますか。
  166. 大津留温

    ○大津留説明員 建設機械の貸与会社は、お話のとおり全国で約二千近いものがございます。これらは大部分が零細企業というか、中小企業がほとんどでございまして、地方公共団体が出資等の形で応援しておりますのは、いま御指摘のような数社にすぎません。また二千近い会社の中で、機械貸与を専業としておるものはきわめて少ないのでございまして、大部分は建設業と兼業あるいは機械のメーカーが兼業、あるいはその子会社というようなものが多いのだと思います。この二千近い数がある上に、そのいずれも小さい規模でございますので、業者間の競争も相当激しく、倒産するような業者も出ておるような状況でございます。建設省といたしましては、建設業の機械化の促進といち近代化のための命題に従いまして、こういう機械会社を育成、助長していきたいというふうに考えておるわけでございますが、当面はこれらの業者が団結いたしまして、その組織を通じて育成していきたい、こういうふうに考えております。
  167. 田中武夫

    田中(武)委員 建設省ではそういうものを育成していきたいということ、そこで先ほど言ったように全国で約六県ばかりは、北海道も入るわけですが、県あるいは北海道、東北公庫あたりが金を出してそういうことをやっているわけですね。その企業の実態を見ますと、大体全国二千社中、個人企業が千社、法人企業が千社くらいだ。そしてそれを資本金百万円ぐらい、従業員三十人ぐらいで線を引いて、それを零細というか、小規模というように見ましたら、それが六百社ぐらいあります。それから、いわゆる中小企業が四百あります。そこでこれらの人たちが民法法人を、これはやはり公社という名前ですが、つくっている。これは建設省へ申請を出しておるが、まだ認可になっていないようですが、そういう動きがある。すでに長崎県では民法法人で公社ができております。先ほど言ったように神奈川県では協同組合ができておる、こういう状態でありますので、中小企業のための、ことに零細企業のための施策として考えられたこの機械の貸与制度、これがこれらの人たちの仕事を奪うというような結果になることは考えねばならぬと思うのです。だから、時間がありませんのでずばり申します。この機械貸与制度の中から、当分の間といいますか、対象機種から土木建築用機械を削除する。いかがですか。
  168. 山本重信

    山本(重)政府委員 御意見ございましたので、実情を調べましたところ、いまお話のような状況でございますので、当分の間今度新設いたします設備貸与制度の対象から、建設機械は除外をすることにいたしたいと思います。
  169. 田中武夫

    田中(武)委員 建設機械を除外するならば、この機械貸与制度の他の部分については、これは中小企業庁プロパーの問題としてやっていけるので、建設省とは関係がないといえば言い過ぎかもしれませんがそういうことになると思います。この点だけを確認しておきまして、委員長、もう本会議前ですから残余の私の質問は保留のままで一応終わります。
  170. 天野公義

    天野委員長 次会は来たる二十九日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十六分散会