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1966-03-23 第51回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    内田 常雄君       小笠 公韶君    神田  博君      黒金 泰美君    小宮山重四郎君       佐々木秀世君    二階堂 進君     三原 朝雄君    早稻田柳右エ門君       沢田 政治君    島口重次郎君       栗山 礼行君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         中小企業庁長官 山本 重信君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         議     員 板川 正吾君         議     員 由中 武夫君         議     員 中村 重光君         議     員 栗山 礼行君         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     黒住 忠行君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     石川 一郎君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   森岡  敞君 本日の会議に付した案件  中小企業者事業分野確保に関する法律案(  加賀田進君外十八名提出衆法第二一号)  官公需中小企業者に対する発注確保に関す  る法律案板川正吾君外十八名提出衆法第二  二号)  中小企業組織法案田中武夫君外十八名提出、  衆法第二三号)  倒産関連中小企業者に対する資金融通に関す  る特別措置法案栗山礼行君外一名提出衆法  第七号)  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第三四号)  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三五号)  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出第九四号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  去る十日付託になりました加賀田進君外十八名提出中小企業者事業分野確保に関する法律案議題とし、提出者から趣旨説明を聴取することといたします。中村重光君。     —————————————     —————————————
  3. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業者事業分野確保に関する法律案提案説明をいたします。  ただいま議題となりました中小企業者事業分野確保に関する法律案提案理由を御説明いたします。  今日、中小企業経営がきわめて困難な状態に置かれている原因の主たるものは、対大企業との関係であります。大企業がその資本力にものをいわせて、従来の中小企業分野にまで、どんどん進出し、弱小中小企業を駆逐しつつあるのが、今日の実情であります。大企業中小企業分野進出するやり方には、大企業自身が直接行なうもののほか、既存の中小企業資本や役員を投入して、実質上の支配権を確立する方法があります。このような傾向を放置しますならば、中小企業は近き将来、その存立基盤までも奪われること必至であります。  わが党は、この事態を深く憂慮し、かねて中小企業者に適切な事業分野確保して、その経営の基礎をまず安定させなければならないと繰り返し強調し続けてまいったのであります。これに対して、政府自民党は、事業分野を定めてこれを中小企業者確保することは、憲法に違反するといって反対してきたのであります。しかしながら、事態の悪化は、違憲論をもって放置することを許さず、最近ではようやく政府自身でさえ、大企業中小企業との間の事業分野について、何らかの調整の必要を認めざるを得なくなっているようにうかがえるのであります。  この際、中小企業に適切な事業分野を明確にし、その分野への大企業者進出規制することによって、中小企業者存立基盤確保することが何よりも緊急必要なことと存ずる次第であります。  これが本法律案提出する理由であります。  次にその内容概要を御説明いたします。まず第一に、本法律案中小企業者事業分野として確保すべき適切な業種を次の基準に基づいて、政令指定することにいたしております。すなわち、製造業建設業またはサービス業に属する業種のうち、その業種に属する事業を営むものの総数のおおむね五分の四以上が中小企業者であり、かつその業種の過去一年間の生産実績なり取り扱い量のおおむね三分の二以上が中小企業者によって占められ、経済的にも中小規模企業形態が適切であって、もしこの分野に大企業者進出する場合においては、中小企業者を著しく圧迫すると認められるものを、中小企業事業分野として確保しようとするものであります。  第二に、指定業種を営むものはすべてこれを届け出させ、大企業者指定業種分野に新たに進出し、拡張することを制限し、これに違反するものには罰則をもって臨むことといたしたのであります。  第三に、大企業者がみずから行なわなくとも、資本的または人的関係において支配力を持つ中小企業者をして行なわしめる場合も、同様に規制対象とし、主務大臣が大企業者に対しその違反行為を排除するための命令を出すことができるようにして、予想される脱法行為を未然に防止することとしたのであります。  第四に、かかる業種指定並びに大企業者進出制限脱法行為禁止等に関する政令を制定、改廃する場合、大企業者に対する命令を行なう場合は、特に公正を期すため中小企業審議会に諮問することにいたしたのであります。  以上が本法律案提出理由並びにその内容概要であります。  何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げて提案説明を終わります。(拍手)      ————◇—————
  4. 天野公義

    天野委員長 次に、板川正吾君外十八名提出官公需中小企業者に対する発注確保に関する法律案議題とし、まず提出者から趣旨説明を聴取することといたします。提出者板川正吾君。     —————————————
  5. 板川正吾

    板川議員 ただいま議題となりました官公需中小企業者に対する発注確保に関する法律案提案理由を御説明いたします。  わが国経済が二重構造を持ち、大企業中小企業との間に非常な格差があることは、政府みずから常に指摘しているところであります。そしてこの経済の不合理を是正することが、今後の経済政策基本でなければならないとされているのであります。それには、国の政策が大企業に偏重することを改め、おくれた中小企業にこそ政策の重点を置くべきであります。金融、税制、その他、財政金融全般にわたる政策を、この政策方向に沿って抜本的に是正することなくして、中小企業の振興や近代化経済の二重構造の解消などは期し得ないのであります。  したがって、まず、国、地方公共団体その他これに準ずる公的機関みずから、率先してその範をたれるべきだと存ずる次第であります。すなわち、たとえば中小企業庁が若干の中央官庁物品発注状況を調査したところによりますと、その発注対象は大企業に集中し、中小企業にはその総額の二割程度にしか及んでおりません。こうした現状を改善し、中小企業相当部分発注確保することこそ、まずさしあたって、国がなすべき、最も手近な問題であります。これを国の機関にとどまらず、地方公共団体公社公団等公的機関に及ぼすならば、その発注量はばく大な額に達するでありましょう。すでに諸外国でもその例があります。中小企業問題が特に深刻なわが国において、このような施策がおくれていることはきわめて遺憾であります。ここにそのすみやかな実施を願ってやまないものであります。  これが本法律案提出する理由であります。  次に、その内容の概略を御説明いたします。  まず第一に、この法律案は、国、地方公共団体及び公社等が、物品または役務を調達するため請負、購入その他の契約をする場合において、中小企業者への一定割合発注確保することを目的としているのであります。  そこで、その官公需契約を行なう対象となるべき製造業または建設業に属する業種については、別に政令指定することといたしております。  第二に、この発注が確実かつ適正に行なわれるため、中小企業審議会の答申に基づき、内閣総理大臣が各公的機関当該年度における中小企業向け発注量を公表することといたし、この公表された割合を達成する義務をこれら機関の長に課しているのであります。  第三に、その施策完全実施を、さらに裏打ちするために、その実績当該年度終了ごとに報告させることとしており、また、各上級機関の長が、その所管の公的機関の長に向かって、官公需契約に関して必要な勧告をすることができるよう考慮されているのであります。  以上が本法律案提出理由並びにその内容概要であります。  何とぞ御審議の上、御賛成くださるようお願いして提案説明を終わります。(拍手)      ————◇—————
  6. 天野公義

    天野委員長 次に去る十一日付託になりました田中武夫君外十八名提出中小企業組織法案議題とし、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。提出者田中武夫君。     —————————————
  7. 田中武夫

    田中(武)議員 ただいま議題となりました中小企業組織法案提案理由を御説明いたします。  今日、中小企業に関する組織は、現在中小企業団体組織法中小企業等協同組合法環境衛生関係営業適正化に関する法律等各種あります。私どもが現存する組合の実態を見ます場合、どれだけ活発に活動しているかはなはだ疑問な組合がきわめて多いのであります。さらにまた未組織中小企業者がいかに多いか、およそ中小企業関係するもののひとしく痛感するところであります。  この理由は、一体どこにあるのか、それは一つには、現行法律規定中小企業者現状に適応しておらないというところからきておるのであります。二つには、一般に仏つくって、魂入れずということばがありますように、法律はつくっても、肝心の組織化促進助成を積極的に行なわない、予算の裏づけがほとんどなされないということのためであります。  最近、中小企業者組織化の必要、協同事業の必要について切実に目ざめつつあります。そして、現に何らかの組織任意団体に参加するものが多くなってまいりました。  ところが、一歩進んで、これらの法律に基づく組合をつくったり、それに加入したりすることには、必ずしも積極的ではありません。むしろ、魅力がなく、かえってわずらわしいとさえ感じているのであります。  今日、技術革新に伴う経済情勢の著しい変化の中で、中小企業経営を安定させ、その近代的な発展をはかるには、中小企業者団結の強化、協同化促進をはかることが最も急務とされているのであります。  しかるに、以上のように中小企業の当面する課題と現状とは、不幸にも相離反した姿を示しているのであります。そして、この離反をもたらした最大原因が、政府施策の不備、怠慢にあるということは、何としても遺憾きわまりないことであります。  わが党が、ここに中小企業組織法案提出するゆえんも、実にこの現状を打開せんがためであります。そして中小企業者協同化への切実な要望にこたえ、だれもが、みずからの自由意思に基づいて、その業種業態に適応した組合簡易に参加でき、協同事業活動のもたらす恩恵に浴することができるよう、国に積極的な施策の実行を義務づけんとするものであります。さらにまた、これらの組織に強力な団結権団体交渉権を保障することによって、従来の大企業からの不当な圧迫に対し、それに動じない中小企業者の強固な、安定した地位を確立してまいろうとするものであります。  とれが、いままでの中小企業者組織関係する諸法律を一体化し、中小企業組織法案として提案する理由であります。  次に本法律案概要を御説明申し上げます。  まず、第一に、本法律案の定める中小企業基本組織協同組合であります。この協同組合加入、脱退の自由、組合員の権利の平等を原則とし、設立の要件、手続を簡易にし、経済事業調整事業団体協約締結をあわせ行ないうる組織として考えられておるのであります。また、あくまで自主的な、中小企業者が喜んで入る組織原則とし、強制加入はいかなる場合にもこれを認めていないのであります。なお、ここに中小企業者とは資本金五千万円以下、かつ従業員三百人以下のものをいい、商業サービス業にあっては従業員三十人以下のものをさしておりますが、同時にまた業種業態に応じた適切な定義決定の余地を残しておるのであります。  第二に、組合の種類としましては、事業協同組合勤労事業協同組合下請協同組合商店街協同組合環境衛生協同組合共済協同組合信用協同組合企業協同組合協同組合連合会を考えています。これによって従来の事業協同小組合勤労事業協同組合に発展させ、また商工組合を廃止して、新たに下請並びに商店街の両協同組合を設けぬことといたしました。またいままでの事業協同小組合環境衛生同業組合火災共済協同組合企業組合は、それぞれ勤労事業協同組合環境衛生協同組合共済協同組合企業協同組合組織がえすることといたしております。  勤労事業協同組合は、地区内の勤労事業者すなわち、従業員おおむね十人以下にして、かつ資本金百万円以下のもの、ただし商業サービス業にあってはおおむね三人以下のものによって、下請協同組合は、主として地区内の下請業者によって、商店街協同組合は、主として地区内の小売業またはサービス業者五十人以上によって、共済協同組合は、一または二以上の都道府県の区域の全部または全国の区域内の中小企業者によって組織され、他の組織は大体従前どおりであります。  第三にその事業内容につきましては、事業協同組合勤労事業協同組合下請協同組合商店街協同組合環境衛生協同組合の各組合は、経済事業調整事業団体協約締結をあわせ行なうものであります。そして事業協同組合下請協同組合環境衛生協同組合調整事業を行なう場合には、同一業種について地区の重複を認めないことといたしておるのであります。  また共済協同組合は、火災だけでなく、風水害、地震、盗難、交通事故爆発等による損害をも共済事業対象に加えております。信用協同組合企業協同組合事業については、従来のとおりであります。  第四は、調整事業に関する事項についてであります。すなわち、調整事業を行なう場合は、不当に差別的でないこと、一般消費者及び関連事業の利益を不当に害するおそれがないことを一般的な必要要件としております。  さらに、それに加えて、不況カルテルの場合は、不況要件を、合理化カルテルの場合は、価格等に不当な影響を及ぼさないことを要件といたしております。  また調整規程については、中小企業者のみが加入している組合の場合は届け出制で足り、中小企業者以外のものが加入できる組合の場合は、認可制をとることにし、特に価格協定については公正取引委員会の同意を必要としたのであります。  なお調整事業を効果あらしめるために、不況カルテルの場合について、アウトサイダー規制命令を出し得ることとしておりますが、事業停止命令加入命令は認めておりません。  第五は団体協約についてであります。  協同組合取引条件並びに調整事業について団体協約締結することができ、相手方はこの団体交渉に対し、応諾する義務があります。そして団体協約のうち、取引条件に関するもの、中小企業者のみが加入している組合締結したものについては、届け出制で足りることといたしました。なおまた系列別下請協同組合が、親事業者との間に取引条件に関して締結した団体協約については、その四分の三以上が適用をうける場合、その親事業者取引関係のある組合員以外の下請業者に対し、一般的拘束力を持つことといたしておるのであります。  第六に、中央会の機構、運営につきまして、従来の天下り方式を改め、真に民主的な中小企業者組織とするよう配慮いたしました。すなわち、中央会に正規の理事会を置き、理事会業務の執行を決し、会長は理事会の定めるところに従って業務を行ない、会長事故あるときは理事がその職務を代理する、といたしたのであります。  第七といたしましては、とくに政府助成義務を明記しておるのであります。これは初めに申し上げましたように、せっかくの組織に関するりっぱな法律ができても、協同化促進する政府助成措置に欠けるところがあっては、法の効果的な運用を期することができませんので、共同施設福祉厚生施設に要する経費組合事務に要する経費について、国がその一部を補助することを義務づけたのであります。  また商店街など協同組合の設置する街灯の公共性を考え、その電気料金について特別の軽減措置をとることといたしておるのであります。  その他、細目の規定につきましては、おおむね従来の法律規定を準用しております。  以上が本法律案提案理由内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  8. 天野公義

    天野委員長 次に、去る二月四日付託になりました栗山礼行君外一名提出倒産関連中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案議題とし、提出者から趣旨説明を聴取することといたします。栗山礼行君。     —————————————
  9. 栗山礼行

    栗山議員 ただいま議題となりました倒産関連中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案提案理由を御説明いたします。  昨年中の倒産件数は約六千件で前年に比べて四二%の増加、倒産に際しての負債総額は約五千五百億円に達しました。昨年中の倒産特徴として大企業中堅企業倒産が目立ちましたが、倒産の大半は零細企業であり、むしろ倒産小口化最大特徴でありました。しかも倒産原因として、販売不振や放漫経営などの自己経営責任によるもののほか、売り掛け金回収難関連倒産のごとく、全く自己経営責任にあらざる外部的原因によるものが増加したことが、大きな特徴でありました。  この憂うべき事実に着目した政府が、昨年十二月下旬の本国会に、中小企業信用保険法改正案提出して、小企業者に対する特別小口保険付保限度額を三十万円から五十万円に引き上げを提案されました。また中小企業信用保険臨時措置法案提出して、倒産関連中小企業者定義を定めて、これに対して、信用保険上に無担保保険制度の創設を提案されました。この二つ法律案は昨年中に成立し、現在施行されるに至りました。  私どもは、政府中小企業倒産予防のために深い関心をもって具体的な施策を提案されたことに対して双手をあげて歓迎し、これを支持したのでありますが、残念ながら、これらの施策だけをもってしては、怒濤のように迫りくる関連倒産危機にあって、中小企業は、これをとうてい乗り切ることは不可能であります。  なぜならば、今回実施に入った二つ政府施策は、いずれも信用保険の活用の範囲で行なわれるものであって、第一に、これら双方とも直接融資ではなく、信用保険という間接金融であり、しかも融資額は、特別小口保険では五十万円を限度としております。倒産関連中小企業に対する無担保保険は、昭和四十二年三月末までの時限措置であって、これに対する政府出資はわずか十億円であるので、保険規模全体は五、六十億円にすぎません。第二に、山一証券の倒産危機に際して、政府日銀法第二十五条を適用して巨額な救済融資を講じたのでありますが、中小企業に対しては倒産危機に臨んで適用すべき緊急融資法的根拠がないとの理由をもって、直接融資の道を開こうとしないなら、これほど不平等、片手落ちの措置はありません。むしろ、政府は、進んで関連倒産中小企業に対する直接緊急融資制度を創設すべきであります。中小企業関連倒産危機は、大企業中小企業に対する犠牲転嫁のしわ寄せ、企業間の融資手形の乱発など、わが国経済構造そのものに根ざす危機でありますから、今後も多数発生のおそれあるものとしての施策を確立する必要があります。  私は、この観点に立って、この民社党案を提案するものであります。  まず第一条目的として、中小企業金融公庫倒産関連中小企業融資基金を設けて、倒産関連中小企業に対する融資適正円滑化をはかることを明らかにしました。  第二条定義で、この法案にいう倒産関連中小企業者とは、昨年十二月末に成立した中小企業信用保険臨時措置法定義をそのまま踏襲しましたので、説明を省略します。  第三条基金として、法の目的として掲げた倒産関連中小企業融資基金は、中小企業金融公庫資本金のうちの三十億円をもって充てることとし、貸し付けは、設備資金または運転資金、及び高利負債肩がわり融資の三つの貸し付け公庫の別ワクの業務として、実施するものであります。  第四条資金借り入れでは、公庫法第二十五条第四項の規定にかかわらず、主務大臣認可を受けて、公庫はこの貸し付け業務のために、日本銀行から五百億円以内の資金借り入れることができることにしました。  第六条貸付条件として、この貸し付けは他の同公庫貸し付けよりも借り入れるものにとって有利な条件でなければならないものとしました。したがって同公庫現行平均貸し付け利率年八分四厘よりも下回るべきものとしました。  第七条で、同公庫はこの貸し付けを特に迅速に処理するよう義務づけました。これは関連倒産予防の見地に立ってみれば、きわめて当然の規定であります。  最後に附則として、この法律実施は公布より九十日以内としました。これは業務開始のための準備期間を考慮しつつ、できるだけ早く実施するようはかったものであります。  以上の提案理由説明でも明らかなように、本案はきわめて時宜に適した具体的な施策であり、特に中小企業関連倒産危機を救済する唯一のきめ手ともいうべき施策であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いしまして、私の提案理由説明を終わります。(拍手
  10. 天野公義

    天野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  各案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  11. 天野公義

    天野委員長 内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、同じく中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案及び同じく中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 大臣は参議院の予算委員会に御出席の予定だそうでございまして、時間がないようでありますから、大臣にお尋ねしたい点を先にしぼりまして申し上げます。  まず、投資育成会社の問題について大臣の見解を伺ってみたいと思うのですが、この投資育成会社制度を制定いたしました本来の趣旨というのは、中小企業者自己資金の調達が困難であり、かつ銀行からの借り入れが不可能であるという企業にして将来の事業計画というものを立てておる場合、その計画の遂行ができない。そのためにこの投資育成会社によって一億円、第二市場に上場し得るまでその株式を引き受けてめんどうを見ていく、こういうことであったわけです。ところが、この投資育成会社が今日まで事業運営をやってまいりましたけれども、その内容を見ると、必ずしも当初の方針に沿っておるとは考えられない。内容的に見ましても、中小企業者の中でも銀行融資を受け得る比較的信用度の高い、資本金も四千万あるいは五千万といったような企業、そうした中小企業の中でも優良な企業、上位に属するような企業に対して投資育成会社が株式を引き受けていくというようなことで、どちらかというと優等生教育みたいな方向にこの投資育成会社事業運営をやっておる、こう考えられるわけです。私は、それも全然めんどうを見るべきではないとは主張いたしませんけれども、本来の、投資育成会社を設立した趣旨にやはりウエートを置いた運営がなさるべきではないのか、こう思うわけです。  時間の関係がございますから、私のほうからこれに関連いたしましてこの運営の状況を申し上げますが、地域的な関係にいたしましても、東京あるいは大阪、名古屋、この三つの地域に投資育成会社が設立されておる。しかしこれではいけないのであって、やはり全国各地の中小企業というものを強めていくためには、比較的後進地域にある中小企業を十分育成するような方向で運営していくべきではないかというようなことであったのでございますけれども、現実はそうでなくて、やはり東京あるいは大阪あるいは愛知県というような地域の中小企業に対して主として投資をしていくというように、地域的にも偏在をしておるという傾向があるわけであります。さらに九州地区に対しまして投資育成会社をやはり設けるべきではないかということに対しましても附帯決議がつけられたのでございますけれども、このことについても積極的な検討をされておるというような傾向でもございません。これらの質問に対して、通産大臣としてはどのようにお考えになっておられるのか、まず考え方をひとつ伺ってみたいと思います。
  13. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま御承知のように東京、大阪、名古屋で中小企業のシェアというのは五〇%ぐらいになっておるわけです。したがってやはりこういう新しい一つの方式というものは、まず東京、大阪、名古屋という地域で育てて、そして将来それ以外の地域にもこういう会社の設立を考える場合には、まずできたこの三地域の会社を育て上げてその結果にしたい、あまり方々に手を広げてもどうかと思うわけであります。現在のところはこの東京、大阪、名古屋という地域の投資育成会社を健全に育てていきたい。  それからまた、これは将来株式の上場を目標にしているものでありますから、優等生教育というお話があったが、どうしてもある程度中堅の企業というものが対象にならざるを得ないのですが、この統計なんか見てみますと、必ずしも優等生教育とだけもいえない。二千万未満の新規の投資決定というものが相当あるのです。これが十四件、三千万以下が二十一件、五千万未満が二十八件、必ずしも中小企業の中で非常な優等生といわれるような企業ばかりを対象にするともいえないわけですけれども、目標はいまのような目標でありますから、どうしてもやはりどこにもここにもというわけにはいかぬ制約はあると思います。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 大臣のいまのお答えは当初であればわかる。私どもその点は了解する。しかしもう五年になる。ところが大臣が言われるような方向に発展をしていない。この前の一部改正案の際にも、私はいま言ったような指摘をした。そのときもいま大臣がお答えになったような答弁が政府のほうからなされて一歩も前進はない、これはよろしくない。いま私は四千万、五千万以上というような、いわゆる中小企業の中でも比較的上の部に属するものだ、こう言った。ところが大臣は統計を見て、必ずしもそうじゃないんだとおっしゃった。ところがそういう上の部に属するような中小企業というようなものだけであってはならないのだというので、やはり小規模のもの、あるいは中クラスのもの、こういうように特別の配慮がなされておるということではないのですね。これはそうではなくて、結果としてそういう形になった。やはり考え方は投資育成会社が独立採算制をとっておるというような点もあるのです。やはり上の部にウエートを置いて運営していくということになる。このことは適当ではないですよ。私ども投資育成会社法案なるものが提案をされた際に、これは優等生教育ではないかということを主張した。そうじゃない、銀行から金を借りられない、さらに自己資金の調達がみずからできない人なんだ、そういうものを何とか育成していかなければならないんだということで、政府答弁はなされておる。だからそれを了解して、私どもはこの法律案に賛成をしたわけです。しかしそういう政府の方針というものが、やはり実際の運営の面において貫かれておるならば何にも言わない。結果として四千万あるいは五千万といったような企業に対して、投資をするということがあってもそれはいい。当初の提案の趣旨というものが貫かれておって、そういう形が局部的に出てきたということはかまわないと思う。しかしそうではないところにこの問題があるわけです。さらにまた、地域的な関係におきましても、東北、山陰あるいは南九州、こういったような地方というものには、全然投資決定がなされていない。二回の附帯決議に対して、九州にも投資育成会社をつくるべきであるという積極的な院の意思というものがなされておるのだから、企業に対するところの投資決定でも、そうした地域に対して投資育成会社が十分配慮して、投資を決定していくという態度が私は見受けられなければならぬと思う。全く院の意思というものを尊重していこうというような考え方を持っていないところに私は問題があると思う。政府はどういう指導をしておられるのかもうさっぱりわからない。大体投資育成会社というものを、中小企業庁長官は必要だとお考えになっておるのだろうか。あなた自身が、これはどうも芳しくない、こう思っておるのじゃないか。せっかくできたものをつぶすわけにもいかないから、こういうわけでまあ消極的に投資育成会社運営をやっておるというようなことではないのか。そういった疑問すら浮かんでまいります。どうです大臣
  15. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま中村さんの言われるように、地域を見るといろんな地域がぼつぼつありますけれども、非常に片寄ったもので、東京、大阪、名古屋だけでなしに、何かもう少し地域的な新規の投資というものも考えなければならない点でしょうが、みなぼつぼつで、あんまりだいしたものがない。むろん、やはり企業の集中というものが、日本の場合には三都市に集中しておるということは前に申し上げたとおりでございます。この表から見ると、もう少し地域的な配慮があっていいんじゃないかというようなことは私も同感です。この点はにわかに投資会社を方々につくるわけにいかぬとするならば、現在の投資育成会社がもう少し地域性を加味して考えていく必要があると思うのです。これは中小企業金融公庫の窓口になっているわけでしょう。これはやはり御指摘の点は改善を加える必要があると思うわけです。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 三木通産大臣に期待するのは、いま言。たような考え方ですよ。あなたが、政府がやってきていることだからというのでそれにこだわって、やっていることは正しいんだということから一歩も出ないとするならば、あなたの実力大臣としての価値はないのです。だから、政府のやっておることが適当でないと思うなら、ぴしぴしと改革していくというところに、あなたの通産大臣としての期待というものに沿うことになると思うのですね。同時に、この表をあなたのほうで見ていただくとわかるのですが、金融機関というのが引き受けに比較的積極的だということは何を物語るのかということですね。やはり金融機関というのは、自分がめんどうを見ている会社、企業、そういうものに対して投資育成会社政府資金をもって株式の引き受けをやるということをむしろ金融機関自体が期待をしておる。ある意味においては、金融機関の安全弁的な役割りを果たしておるというような傾向があると私は思うのです。このことをやはり政府としては十分慎重に見守りながら対策をお立てにならなければいかぬと思うのです。  それから、この法律案による投資育成会社、この種の会社というものと若干性格は変わってくると思うのですけれども、産炭地域あるいは後進地域、そういったところに投資育成会社的なものを設立して、産炭地域、後進地域等の企業進出をはかっていくとか、あるいはその地場企業を育成強化していくという必要があるのではないか、そう思うのですが、その点どうでしょう。
  17. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も産炭地振興というのは非常に問題だと思うのです。あんまり効果があがっておるとは言えない。これは経済全般のこういう環境も悪いということも背景にあるわけですが、もう少し産炭地振興というものは従来の考えにとらわれないで考えてみないと、なかなか産炭地振興という目的は達成できない面があるのだというふうに考えております。これを投資育成会社といういま中村さんが言われるようなのがいいのか、あるいは従来の産炭地振興のやっておるいろんな条件というものをもっと実情に沿うように改めていくのがいいのか、これは検討をさしてください。いまここで即答はいたしかねますが、検討をいたします。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 これは長官からお答え願ってけっこうですが、投資会社が株式を引き受けていますね。これをできるだけ資金の回転をはかるためには株式市場に上場するという、いわゆる株式の公開をやるという必要があるわけですね。ところが、企業の側といたしますと、公開されることを好まない、やはり自分が強くなって、その株式を自分で買い戻したいという考え方もあるだろうと思います。だから、上場するからいやなんだというので投資育成会社の投資をあまり求めてこないということもあるだろう。ところが、通産省の方針もそうでしょうが、大蔵省としてはできるだけ資金の回転をはかるためには上場しろという主張をされるのではないか。ここらあたりは、政府の方針また投資を受ける企業というものは利害が一致しない、こういうことになっておるのではないかと思います。あなたもいままでこれに携わっておいでになりましたから、どういうことが好ましいとお考えになっておるのか考え方も固まっておりましょうからお答えを願いたい。さらにまた大蔵省主計官がお見えですから、吉瀬主計官からもこの点に対してのお答えを願いたいと思います。
  19. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話がありましたような場合でございますが、もともとこの点は、どちらかというと自己資本の調達がむずかしいということが一つの前提にございまして、何とかして外部資本を安定的に取り入れたい、こういうことが制度自体の一つの出発点になっておりますので、その点につきましてはある限度でもし経営者が希望すれば買い戻しということも可能になっておりますけれども、これには一定の限度を設けておりまして、その限度以上のものはやはり市場に公開するということが実はたてまえになっております。最近も企業について調査をしてみますと、将来上場しなければいけないという条件があるために、ついしり込みしておるという企業があることは先生御指摘のように実情でございます。その点われわれとしても今後の問題として検討していかなければならない問題であろうというふうに考えておりますけれども、ただいまのところ、従来の発足の大前提がいま申し上げたような外部資本を安定して導入するというところにございますので、そういう運用を当面いたしておる次第でございまして、今後の問題として検討いたしたいと思います。
  20. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 先生御指摘のとおり、資金の効率的運用という見地からは、公開が適当と認められる会社につきましては、できるだけ公開していただいたほうがけっこうである。こう考える次第であります。ただし四十一年度の予算の作成の当時におきましては、中小企業庁といろいろ相談の結果、まだその時期にあらずということになりまして、いまのところは株式の公開、これによる資金の回転の円滑化というところまで考えていないというのが実情でございます。ただし将来またそういう時期になりましても、はたして公開することが会社側にとりましてほんとうに資本経営の安定の保障ということができるかどうかということにつきまして十分慎重に検討してから行なっていきたい、こう考えております。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになったようなことは、この育成会社が発足いたしましてもう二年後くらいに問題になっておるはずです。ですから投資育成会社自体も、公開ということについてはやはり問題があるのではないか。全然公開しないというのは資金効率という点からいってこれは適当でないのです。当然公開もしなければならない。だがしかし政府の考えておられる資金効率ということからのみこれを見るということは、また必ずしも実情にそぐわないという点もありましょうから、そこらあたりは第一線の投資会社のほうと十分話し合いをしながら、実情に即するような形の運営をやってもらわなければ、せっかくこうした政策をとりながらも実際は効果あるものにならないと思いますから、十分配慮してもらいたいと思います。  次に中小企業近代化促進法内容についてお尋ねをいたしますが、この改正案の内容は、企業組合中小企業者定義に加えるということと、それから五千万円かつ常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人に限るということになっておりますね。これは、私ども社会党の主張が、五千万円かつ常時使用する従業員の数が三百人以下ということになって、いわゆる二つのしぽりというものがあった。ところが政府のほうは「又は」ということで、実はしぼりがかかっていなかった。だから「かつ」という形でしぼりがかかっていたのです。二つしぼりがあった。ところが今度はこれをはずしてしまおうという考え方でしょう。これを特に「かつ」ということでしぼりをかけておったということは、中小企業の中でも先ほど申し上げた優等生教育ということではなくて、近代化の比較的おくれた中小企業というものをできるだけ強めていこうという考え方があって、しぼりをかけておったのだと私ば思う。ところが、そういったような条件の変化はない。中小企業といいながらも、上の部に属するもの、それから近代化が非常におくれている小規模のものの格差というものはさらに拡大しておる。だから、むしろそういった近代化のおくれておる中小企業というものを育成していこうというような方向はさらに強められていかなければならぬと私は思う。にもかかわらず、せっかくしぼりがかかっておった「かつ」というのを「又は」ということに改めてしぼりをはずしてしまうその積極的理由は何かということが一つ。  それから、企業組合のみをその定義に加えて、中小企業事業協同組合というものは、少なくとも前回この問題についてもいろいろと議論されたのでありますが、中小企業庁の方針としては協同組合も含めなければならぬという考え方であったと私は了解している。だから私どもは社会党提案という形でなさなかった。政府はこの次は必ず企業組合協同組合を含めて促進法案の一部改正を行なうであろうと、こう期待していた。にもかかわらず、今度は協同組合を入れないで企業組合だけにこれをしぼったということも私どもは了解できない。だから、まずこの二点についてお答えを願いたい。
  22. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 お答えいたします。  第一の中小企業の範囲の定義を、現在三百人及び資本金五千万円以下となっておりますのを、今回「又は」に変える点でございますが、御存じのように中小企業基本法におきましては、現在従業員三百人または資本金五千万円以下となっておりますので、それに合致させようという趣旨でございます。どっちかといいますと、せっかく基本法できまっております定義に対しまして、この法律だけがその定義に含まれておるべきものが一部入っていない。こういうことで、実務の面でも、たとえば中小企業金融公庫等の扱いでも、ほかの点では中小企業者として扱われるべき人が、この法律に関する限り適用を受けないという点でまことにぐあいが悪いというのでございまして、今回それを一致させるという趣旨でございます。ただ、先生がお話ございましたように、小規模企業のほうにできるだけ力を入れるべきだ、この御趣旨には私も全く同感でございまして、いろいろな施策の面でもそういう心がまえで実は努力をいたしておるつもりでございます。また近代化促進法自体の運用につきましても、たとえば近代化設備資金の運用等につきましても、できるだけ小規模ということで、たとえば百人以下ということを一つのめどにして運用いたしたりしておるのでございまして、その基本的な考え方は、先生のお話しのような趣旨で今後もやってまいるつもりであります。ただ、いかにも一部分だけ定義が違っておりまして、税法の取り扱いあるいは中小公庫の取り扱い等で不便でもございますので、一致させる、こういう趣旨でございまして、決して小規模零細対策に大いに重点を置いてやっていこうという基本的な考え方を、これによって変更するというような趣旨のものではございませんので、御了承をいただきたいと思います。  それから第二点の企業組合を入れて協同組合を入れない点であります。これは率直に申し上げまして、やはり問題がまだ残っておるというふうに考えております。協同組合の中にも、最近ではかなり協業化法人というような名称でもつけなければいけないような実態が出てまいっておりますので、ただいま中小企業政策審議会の組織委員会で、せっかく組織法全体の検討をいたしておりますので、この点もその一環として今後検討をいたしたい、かように考えております。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 山本さん、あなたがそういう御答弁をなさるならば、ここへ「かつ」ということで基本法は「又は」になっている。「かつ」はミスであったという考え方の上に立ちますか。「かつ」に特にしたということは、それなりの積極的な理由があったのですよ。それをどうもぐあいが悪い、いまころあなたがそういうことをおっしゃるのは、私は了解できない、もちろん納得できない。どうして「又は」というように基本法をするのか。そういうことになってくると、資本金が一億でも二億でもあるいは三億でも、従業員が三百人以下であるということになれば、中小企業として扱われるではないか。そうすると大企業の系列下にある中小企業近代化が、即大企業の利益を守る、そういうような大企業が必要とする中小企業というものに施策の重点が向けられる可能性がある、こういったようなことに対して、中小企業近代化促進法は、「又は」にしないで「かつ」にしておるのです。こういうことで、この「かつ」というものは、促進法の中にあるしぼりをかけたのに積極的な理由中小企業庁自体は認めてきたのですよ。主張してきたのですよ。にもかかわらず、いまあなたがそういう答弁をなさることは納得できない。どうです。
  24. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 中小企業定義基本法で決定されておりますので、この中小企業関係のいろいろな法律におきましても、同じ定義を使うのが一番はっきりしていいのではないかということを私は基本的に考えておる次第でございます。ただ考え方として、近代化を進めます場合に、とかくおくれがちな小規模の零細企業のほうに重点を置いてやっていかなければならない、こういう考え方につきましては、私ども全く先生と意見を同じくするものでありまして、その考え方は今後も堅持してまいるつもりでございますので、ただいまお話がございました点につきましては、私のほうの考え方、その趣旨をひとつ御了承いただきまして御了解いただきたいと思います。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 それでは了解できないのですね。「かつ」ということでしぼりをかけたということについては、それなりに積極的な理由があったのです。ところがこれを特に「かつ」というものを「又は」ということに改めて、基本法と一緒に定義をしなければならないということに対しては、いまの答弁では積極的な理由というものが私には見出せないのです。施策の重点というものが、これは先ほども投資育成会社の場合にも出てきたのでございますけれども、どうしても優等生教育になっておりますよ。だからせめてこの促進法だけでもしぼりをかけて、そしてこの施策の重点を比較的近代化のおくれた中小企業近代化促進するというような運営をやったっていいじゃありませんか。あなたはどうもぐあいが悪いのだ、それは事務的な考え方ですよ。事務的にはどうだっていいですよ。実際は経済は生きものなのだから、中小企業というものをほんとうに近代化していこう、おくれておる生産性が非常に低いような中小企業近代化して生産性を高めていこうという考え方があるならば、いまさら「かつ」を「又は」という形に直していくという必要はないじゃないですか。これを直そうとすることに対しては、私は事務的な考え方というより、中小企業に対するあなたの取り組み方というところに問題があるような気がするのです。けれども大臣の時間の関係もありますから、大臣にまたちょっと質問したいことがありますから、これはあと回しにします。  それじゃ大臣に一言。先ほど申し上げた協同組合をこれに入れてないということ、それから「かつ」というのをわざわざしぼりをはずして、「又は」というように事務的に並べなければならぬということでやるというようなことは、特にいまさら「かつ」をはずすということについては、私はいまの答弁では積極的なはずさなければならぬ理由を見出せないのです。この二つについてひとつお考え方を聞かしていただきたい力
  26. 三木武夫

    ○三木国務大臣 一つは、一協同組合は、いま中小企業政策審議会等でも協同組合の協業化の実態調査をやっておるわけです。したがってその実態調査の結果をまって、協同組合をできるだけ入れる方向で検討してみたい。いろいろ実態が違うでしょうから、これはいま調査しておるわけですから、その結果も見て、協同組合に対してはそういう方向で検討することにいたします。  それから「かつ」と「又は」ですが、私もよくわからないですけれども、こういう点が違いじゃないでしょうか。この場合は税制上の特例ですから、割り増し償却ですか、これに対して税金ですからワクがあるわけじゃないのですね。できるだけ減税の特典に広くかけようということで、「かつ」ということになってくると狭められてきまずから、「又は」ということになるとどちらでも選択的になって、できるだけ税金の特例は広い範囲に拡大したほうがいいのじゃないか。何か予算制度にでもなっておるなら中村さんの言われることはごもっともですけれども予算でないですから、そういう「又は」という範囲が拡大すれば特例の恩典にあずかる人の範囲が広がるわけですから、われわれとしたらできるだけそういう税制上の特例の恩恵を受ける人を広げたいということで、必ずしも中村さんだって小さいものだけで、少し大きいものは要らぬとおっしゃるわけではないので、どうもこのケースの場合「かつ」と「又は」はそうやかましく問題にはならないのじゃないかと私は思うのです。税制上のことですからね。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 いま大臣が答弁されること自体にまた問題が出てくるのです。金融、税制の関係というのも、中小企業の上の部、そういうところにどうしても施策の重点が向けられる。いまあなたの答弁の中からも、なるほど範囲を広げるということは、それだけ税制上の対象であって、金融上の対象であって、拡大するからいいじゃないか。ところが政府には予算というものがある。いわゆる金融も絶対額というものがちゃんと押えられている。税制だってどれだけの税収入をはかってこなければならないといったようないろいろな点もあると私は思う。だからやはりいま大臣がお答えになったような形で金融の問題にしてもあまり範囲を拡大するということは、中小企業に対する金融措置というものがそれだけ規模が大きくなるのか、そうじゃないじゃありませんか、政府関係金融機関だって前は全体の総貸し出し高の九%を占めておった。しかしいま比率は八・五%に減っておる。絶対額はふえておっても、比率は減っておるのです。基本法に基づいて中小企業に対するところの金融措置というものが拡大をされたという姿は一向見出し得ない・そういうことになってくると、私は、との範囲を拡大していくということについてはいろいろ問題が出てくると思う。だからいま大臣が言われたことも、なるほどそういうこともあるでしょうけれども、この促進法の面において全般的な施策の重点を中小企業の上の部のほうへずっと向けられてくる可能性がないとは言えない。私はそこが問題なんだから、局部的にはプラスの面も出てくるであろう、しかしマイナス面というものが相当出てくる可能性があるというところに、私は、これだけでも「かつ」という形でしぼりをかけて、そうして比較的近代化のおくれた中小企業近代化促進するというようなことが必要ではなかったのか、こういうことを言っているわけですよ。
  28. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは金融なら一つのワクが考えられますが、これは税ですから、税にはワクというものはないですよ。税務署がワクをつくって、これ以上になってきたら……。(中村(重)委員「ものの考え方を言っているんですよ」と呼ぶ)ものの考え方としては私はこう思うのです。やはり中堅の中小企業というものも育てなければならぬわけですからね。零細企業中堅企業政策というものを両方一緒にすると、確かにいまのような御批判はあり得ると思うのです。だから中堅企業も育っていくし、一方においては零細企業対策というものがもう少し別に力を入れて——両方一緒というところにいま中村さんの言われるようないろいろなことも私はわからぬではない。しかし、それなら中小企業中堅企業というものは育たなくていいか、零細企業対策ばかりでいいかということになってくると、これはわれわれの考えからすれば、安定して、それだけ大企業のようなものになっていくものもあるでしょうし、また大企業にならないまでも、安定してやっていくためには、中堅企業の育成というものは一つの中小企業対策の柱だと私は思う。だから零細企業の面については、必ずしもそれと同じような形で行きにくい。投資育成会社にもやはりそういうものがあるんですね。だから今後は零細企業対策というものを一段と——必ずしも中堅企業を育てる政策そのものを適用していいとも言えない。こういう点はこれから力を入れなければならぬ点だと思うのです。そういう点で、これはとにかく税のことだから、なるべく広い範囲内で特例の適用を受ける人があってもいいのじゃないかという感じです。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 この促進法は税のことだというだけに限定されることはどうか。これは税だけじゃないのです。実際は金融その他中小企業近代化促進するというところにこの促進法というものがあるのです。だから税制だけじゃありません。さらに私は、先ほどから申し上げておるように、中堅企業の育成が必要ではないとは言っていない。中堅企業というようなものも育成していく必要もあるだろう。しかし、せめて近代化促進法だけでも、しぼりをかけておったのだから、それはそのままでいいではないか、こういうことを言っておるのであって、大臣が私の質問に対して趣旨を十分理解しておられないから先ほどのような答弁が出てくると私は思う。しかし、きょうは大臣の時間がございませんから、なお詰めていきますから、あとで十分聞かれて配慮してもらいたいと思う。
  30. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いまほかのはみな「又は」となっています。これだけしぼりをかけておったのを、今度同じ「又は」にしたのですから、そういう意味で私は申し上げておるので、ほかのほうはみななっております。しぼりがかかっておったのを今度「又は」にしたということは、範囲を広げるということは悪いことじゃないじゃないか。割り増し償却の範囲が拡大するということは、社会的に考えてもそう悪いことではないじゃないかというのが、私がここで申し上げた点でございます。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 この協同組合を入れるということについて、長官自体も問題がまだ残っているという答弁をされたんだし、大臣もこれを入れる方向でひとつ検討したい、こういう答弁がなされた。だから私は、この点については一つの考え方はわかりましたから、全然逆ではないので、大体同じような方向に私の考え方が出るわけですけれども、大蔵省としてはこの点をどう考えておられるのか、その点を伺いたいということです。伝えられるところによりますと、協同組合に対してはいろいろと優遇措置が考えられておる、割り増しの償却制度というものもある、だからまたこの促進法の中にこれを含めるということになってくると、あまり協同組合のみを優遇し過ぎることになるのじゃないかといったような御意見等もあったように伺っておるのでありますが、大蔵省はどうでございましょう。
  32. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 担当が主税局になりますので、はなはだ恐縮でございますが御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  33. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 協同組合をこの対象にすることにつきましては、組合の育成という基本的な考え方からいいますと、きわめて必要なことであるというふうに私どもは考えておるのでございまして、いろいろ問題がございますのは、この促進法の対象としてもともと従来から会社、個人というものを対象にして組合を考えていない、これは税法上の一つの考え方で、組合については別に一般的な特典を与えている、こういう考え方がおそらくあるのだろうと思います。それに対しまして最近の組合の実態がかなり変わってきておりまして、単なる同業組合的なものでなくて、共同経済活動をやるような実態がだんだんできてまいっておりますので、その辺についてやはり実態をよくきわめまして、そして何らかのはっきりした限界をそこにつくるようなことによって、この問題の解決を打ち出していくのがいいのではないかというような感じであるのであります。特に大蔵省のほうがこれこれこういう理由で絶対反対というふうに言っておられるわけではありませんので、今後その実態をはっきりさせる、そして特に今後の組合関係の法制をどういうふうにするかという全般的な問題の一環として解決する、こういう考え方でおる次第であります。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 私は、もっとあなたのほうは積極的であるべきだと思うのです。やはり今度、協同組合企業組合と並べて入れるという考え方であったのだろうと思う。それがどこかにぶつかって’これを企業組合だけにとどめられたのだと私は思うのです。私はその点が適当でないと言うのですよ。協同組合を入れなければならぬという考え方を持っておったならば、なぜもっと積極的にこれを推進されないのか。その点があなたのほうはきわめて消極的だと思う。同時に確信を持っておられないのではないか。政府中小企業対策の方向は企業合同の方向でしょう。いわゆる共同化の方向のはずなんです。個人の個別企業というものを近代化していく、しかし一挙に共同化が進み得ない、その中間的なものとして協同組合というものが可能な限り共同事業というものをやっていく、そういうような方向であなたのほうも指導しておられるのだろうと思う。ならば協同組合がそうした事業をやるという場合に、税の特別の減税措置というものが考えられてしかるべきだと思う。なるほど一般の課税の基準が三一%から二八%になった。協同組合は二六%が二三%になった。この点も協同組合は若干減税幅というものは一般よりも広いわけですね。ですけれども、これがあるからといって、この促進法にこの協同組合を入れられないという積極的な理由は私は出てこないと思う。この法律の中に協同組合を入れるということは、それなりの——協同組合がさらに近代化促進をしていくというような必要性というものは、共同事業をやる以上はあるわけなんだからして、いわゆる税の均衡とかなんとかという方向よりも、近代化促進していくという積極的なところに私は問題を見出していかなければならない、こう考えるのです。だからせっかくあなたのほうは協同組合を入れなければならないという考えを持っておるにもかかわらず、今度の改正案の中に企業組合と並べて協同組合を入れなかったということに対しても、どうもあなたのほうはどこか非常に強い壁にぶつかったのか、あるいはあなたのほうとしてはその必要を認めながらも、積極的にこれを入れなければならぬという確信に欠けるものがあったのではないか、こう思われる。その点どうでしょうか。
  35. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回の改正に際しましては、協同組合対象にしたいというのが私たちのほうの当初の希望であったのでございますが、政府部内でいろいろ検討いたしておりました段階で、どうも基本的に究明を要する問題がある。それは組合に対する税制が会社、個人に対する税制とは違ったかなり軽減された恩典が現在与えられておるわけでありますが、税のほうの立場から見ますと、そういうところにさらにまた余分にこういう恩典を与えることはどうかというような考え方があるのであります。それに対しましてわれわれのほうとしては、いま先生お話のように、組合と申しましても最近は組合自身で経済活動をする方向にだんだん進んできておるというようなことで、新しい事態に対処するための考え方というものを主張しておったのであります。しかし率直に申し上げまして、そうした新しい事態に対する実態の把握あるいはその性格づけ等がいろいろ問題がありまして、そのために現在も組織委員会で非常にひんぱんに審議を続けておるような状況でございますので、われわれといたしましてはこの際若干の時間をかけて、そしてまず組合制度自体についてはっきりした性格づけを行なって、それをベースにしてこの税制を中心とする促進法の問題も解決したほうがよかろう、こういう考え方になって、途中で今回の改正には協同組合をのせないということにいたした次第でございます。ただ御趣旨の点は私たちも同感でございますので、組織委員会の検討を待ちまして、次回に実現するように努力をいたしたい、かように考えます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 大体考え方は同じです。ただ、今日の改正案の中へ入れるかあるいは次回に入れるかという時期の問題だけになったようです。ですから、この点は与党の理事とあとで相談をいたします。私のほうとしては、政府のほうで今度提案されるであろうということから独自の改正案を出さなかったのです。だからして後刻話し合いをしたいと思います。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと関連して。中小企業庁なり通産省なりは協同組合を入れたい、こういう最初の方針であったが、税金の関係で大蔵省との折衝の中において落ちた、こう理解していいのですか。
  38. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 問題は二つございまして、一つはやはり現行税制上協同組合のほうは特別に低い税率が適用されておるということがございます。それからもう一つは、協同組合自体の性格づけが新しい協業化という動きを示しておりますので、それを将来法制上どういうふうに性格づけるか、それと税制上の関係をどうするか、こういう点でございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 本法の目的は、何も固定資産税の償却を特例によってやるということだけが目的じゃないですね。それはそのうちの一部のものなんです。指定せられた場合の一部の目的なんです。ところがその一部の目的関係があるということで全体のことがはずれたというのはちょっとおかしいじゃないですか。そうでしょう。税制上において協同組合は特別な措置がなされておる。しかし、税金のことはこの法律の中では一部分でしょう。目的はそんなものじゃないでしょう。第一条を読んでごらんなさい。それなら入れて、もしまだ調整が残っておるならば税金のほうで除外したらいいじゃないですか。目的に従って法律運営指定をすべきです。しかるにそのあとから出てくるところの少しの恩典とでもいいますか、その税金についての特別措置、そのことに問題があるからといって、腹の中では指定しようと考えておったのが指定しなかった、入れなかったというのは本末転倒しておるではありませんか。近代化促進法の目的は何です。この法律は固定資産の特別償却制度を認めるだけが目的じゃないはずですよ。いかがです。
  40. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 基本的には私は先生の御意見に賛成でございまして、近代化促進法は近代化計画を作成して総合的に近代化を進めるという法律でございます。その内容近代化計画をつくるということが骨格になっておりまして、それに付随してそれを助成促進するために税制問題あるいは金融問題があるのでございます。その点は全くお説のとおりでございます。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕 ただ、今回われわれ考えましたのは、一つはその税の問題がございますけれども、もう一つは組合の実態が、たとえば近代化計画をつくっていきます場合に、個々の事業者と並存して近代化計画の中に繰り込まれるべきもの、そういうものが一つ考えられなければならないわけですが、その場合には協業化が相当進んだような組合は当然一緒に考えていいのではないか、ただし、そうでない単なる同業組合的のようなものはそれを対象に考えていくのはどうも適当でないというような問題も実はあるわけでございまして、御指摘のように決して税制の問題だけではないのであります。やはり組織法、法制自体の問題にも関連をいたしておる次第でございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 本法二条の定義の中ではなるほど「会社及び個人」となっておりますね。いままでは会社と個人となっておる。そこへ企業組合というものを入れた。企業組合中小企業等協同組合法によって認められたる法人でしょう。その企業組合を入れておって本家の事業協同組合を入れないというのはどういうことです。税金の面において何らか折衝過程にあってそういうことがあったことは推測できます。しかし、そのことだけで入れないということは本末転倒ですよ。この審議が終わるまでにもう一度検討し直して、私の金曜日の質問の前に検討の結果を言ってください。それに従ってじっくりと金曜日にやらしていただきます。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 影山さんは大臣のうしろにいていろいろ大臣にこの法律案がああだこうだといってそこで補佐しておられる。誤った補佐をされないように……。大臣をしてこの法律案は税金のことだけですというふうな、そういう誤った指導を事務当局がやることは間違いだと私は思う。それはまたあとでやりますからいいです。  なお、促進法のことについてもいろいろお尋ねいたしたいことがありますが、きょうは運輸省と自治省から先ほどからお見えいただいておりますから、そのことをまずお尋ねします。  中小企業の団地化が政府政策によってどんどん進められてきておる。ところが土地を取得する、これは自治省の関係になろうと思いますが、その土地の取得というのは、組合自体が土地を取得するというような場合もある。そうでなくて、個人個人が土地を取得してそこへその後に団地の何々組合という組合をつくるという場合もある。ところがこの近代化高度化資金助成は、こういう場合に組合の名義にその土地をしておかなければならない、こういう形で指導をしておられる。だから金を借りなければならないような業者にしてみると、これは弱い立場ですから御無理ごもっともでございますという形になるわけです。そういうことでいままで運営をしてまいっておりますが、ところが御承知のとおり土地政策の失敗といったような点からどんどん地価が上がっておる。暴騰しておるのですね。購入をしたとき直ちに個人の名義にしておくならば、あるいは個人会社の名義にしておくならば、不動産取得税というものもほんのわずかの取得税を納めればよかった。ところがどんどん土地の値上がりになりますから、その組合の名義にしておるその土地を今度は個別の会社あるいは個人に名義変更をするという場合、千円で当初取得したそれが今度は一万円になったということになってくると、九千円の差額があるわけです。その場合に不動産取得税というものはどういう扱い方をするのか。個人の意思によって組合の名義にしたのではない。政府の方針に沿って、政府助成を受けるために、あるいは金融機関からの金融を受けるためにそういう形にされておる。だからそれぞれの個人あるいは会社としましては非常な不安が私はあると思う。名義がどうであれ潜在的には個人の所有であることには変わりはないわけです。だからその方針がどうなのか、まずこれは中小企業庁長官から先にお答えを願いまして、次に、自治省の方針を伺っておきたいと思います。
  43. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 工場団地等をつくります場合に、その土地の取得というのがたいへん大きな仕事でございまして、組合としましては、まとめてそれを取得いたしまして、そしてある期間つまり工場の運営が軌道に乗りますまでは組合が保有をする。そしていよいよ軌道に乗った暁に組合員に所有権を移すというのが、実際のやり方になっておるわけでございます。したがいまして組合としては、土地の転売によって利益を得るとかというのは最初から全然目的ではございませんので、やはり取得した価格でそのまま組合員に譲り渡す、こういうことが本来の趣旨からいって当然の措置でございます。私たちはそういう趣旨の指導をいたしております。したがいまして税法上の取り扱いもそういう点からいえば、そこにかりに名目的な土地の価格の変動がございましても、それは考慮に入れないで取り扱っていただくということが必要ではないか、こういう考え方でおる次第でございます。
  44. 石川一郎

    ○石川説明員 お答えいたします。  不動産取得税の取り扱いにつきましては、法律で特別の規制をいたしておる場合は別といたしまして、一般に単に組合が取得をされた、組合に所有権が帰属するというときには、その時点におきまして不動産取得税がかかります。その際に固定資産評価基準に基づく評価をいたします。その時点の価額でかかってくる。なおその後にお話にこざいましたようなことで組合が個々の組合員にそれぞれその土地を譲渡するということがございますときにおきましては、その時点でやはり評価をいたしまして、これも固定資産評価基準で評価をいたしますが、その評価によって課税することになっております。ただ一定の資金助成その他が行なわれている場合において特別に法律規定がされている場合もございます。その場合にはその法律規定の適用があるわけでございます。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 ここでいま中小企業庁長官の御答弁とあなたの答弁は食い違っておる。初めはそのとおりです。それは土地を取得したときの価格なんだから。ところが今度は、先ほど私が申し上げたように潜在的には個人の土地なんです。ただ金融上の関係から組合名義にしておるにすぎない。取得のときもそうだし、また事実使用している、それぞれの自分の取得した土地に工場を建てているのです。組合のみ金融することはありませんで個人もやはり金融を受けなければならないということになりますから、担保に提供するという立場からも実は個人の名義に早く直してもらいたい。ですけれども、この高度化資金あるいは近代化資金助成計画から個人の意思は押えられておる。もう個人の意思は必要がない。しかしいつの時点にか個人の名義に変えることがあるわけですね。いわゆる高度化資金の償還をやってしまった、別に制約を加えられる必要はなくなったという時点がある。そういう場合はその名義を個人に移うじゃないかということになる。あなたの答弁からするとその時点で評価をする。特別の法律があれば別だけれども、特別の法律がないのですね。中小企業庁長官もそういうことでやってもらいたいという希望的な見解を述べられたにとどまった。そういう政府の考え方では、団地の業者というものは、これはもう不安でたいへんなんですよ。国の政策によって団地化計画に基づいて、その一定の、いわゆる市の中心でなくて郊外に移った、騒音あるいは公害関係もある。そういうことで国の方針というものが立てられるわけです。その方針に沿って協力をしたのですよ。そうして土地を取得したのですよ。自分の名義にしたいのですよ。けれどもいかぬと国が言うのですよ。それで組合名義にしているのですよ。個人の名義に移すときが訪れてきた。その時点でやるというならば、買ったときは千円だった。ところが分割をするときは一万円になったというので一万円で評価をされて、固定資産税いわゆる不動産取得税を取られたのではたまらぬじゃないですか。そういうことではだめですよ。だから中小企業庁長官の答弁は私はきわめて常識的であると思う。しかしいまのような希望をいたしますというようなそういう、端的に言えばあいまいなことでは、もうこれからあなたのほうの団地計画というようなものについては大きなガンになる、壁になりますよ。それではだめです。もっとはっきりした方針を打ち立ててもらわなければならぬと思う。どうですか。
  46. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 この点は非常に重要な問題でございまして、これがうまくまいりませんと、今後工場団地の建設は非常に大きな障害にぶつかることになりますので、私としてはこの問題はぜひとも解決をいたしたい、こう考えております。実は内々に関係省とも話を進めておる段階なのでございます。工場団地もようやく最近になって具体的にこういう組合から組合員に譲渡するというケースがいよいよ現実化してくる段階へきておりますので、早急にはっきりした方針を打ち出したいと思っております。多くの場合にそれぞれの出先の税務署の取り扱いになるわけでありますけれども、税務署によって取り扱いが違ってはまた困りますので、やはり統一的に安心して工場団地の建設ができるように、はっきりした方針を打ち出してもらいたい、こう思って、実はせっかく折衝中の段階でございます。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 どうもこういう重要な問題があいまいなままに置かれて、いま折衝しておる段階ですというようなことでは、どうにもならぬじゃありませんか。大体組合名義にさせるということがそもそもあまりにも形式的ですよ。個人の名義にしておったっていいわけですよ。そして担保は提供するのだから。どうも政府は自分のほうのベースでのみものを考えていこうとするのです。形式ばかりあまりに尊重するというのは、そういうことは現実的じゃありません。だから、この法律案が上がるまでの間に、私どもとしては、与野党話し合いをいたしまして、議院の意思を決定したい、こう思います。あなたのほうも重要性を認めておられるのだから、早くいまあなたが答弁された線でこれを確立する、そして単なる答弁じゃだめですから、やはりきちっとした制度化をしていく、こういうことでないと私はいかぬと思うのです。  次に、今度は運輸省の関係についてであります。やはりこの団地と関連をします。具体的な例で申し上げますが、長崎県の責津団地というのがある。二十の業者が入っています。そして金属協同組合というのを組織している。特に土地なんかのことはいま申し上げたようなことですね。経済行為というようなものを大体同じような方向でやらせる。ところが長崎市内におった業者が、先ほど申し上げましたようなもろもろの国の方針に沿って、そして郊外に団地をつくったわけです。そこへ移転した。したがって、従業員というのは諌早の貝津の場合は、長崎市であるとかあるいはその他の地域から通勤しておるわけです。通勤をするということになってまいりますと、これは朝は早い、夜はおそいわけですから、バスでなければ——汽車はその都合のいい形でいつも走っておるわけじゃありませんから、バスの購入になる。ところが協同組合が共同事業という形においてそうした従業員の送り迎えをやって、その自家用バスのいわゆる車検の交付というのが、個別の企業ならば車検は交付するけれども組合員では車検の交付はできないというような考え方を持っているように伝えられていますね。これは私は適当でないと思う。どういう御方針なのか、またどういう指導を陸運事務所のほうでしておいでになるのか、その点をひとつ伺っておきたい。
  48. 黒住忠行

    ○黒住説明員 いまの御質問の具体的の場合はちょっと存じませんが、団地ができました場合は、まず第一に既存のバス事業者に輸送力を増強してもらってその需要に応ずるというふうにやっております。それから、また、工場が面接自分の工員を輸送するような場合におきましては、これは自家用車でございますから、自家用車としての登録をやってもらう。それから協同組合組合員の輸送をやるということになりますと、他人の需要に応じて旅客を輸送するということになりますので、道路運送法上の事業としての免許を要するというわけでございます。法律的にはそうでございますが、実際としましては、当該地域において既存のバス業者が十分な輸送力を提供できるかどうか、そのほうに指導いたしまして、なおかつそれでも不十分な場合におきましては、個々の企業者が自家用車を所有する、あるいは連合いたしまして一つの団体をつくって、それが車を持って事業の免許を受けるというふうな方法があるかと思います。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 協同組合でもって従業員の送り迎えをやりますね。そういう場合に協同組合に自家用としての車検を交付しますか。
  50. 黒住忠行

    ○黒住説明員 いま車検と事業の免許と別個のものでございまして、車両検査というものは自家用であろうと営業用であろうと、保安上の規制のために車両検査をいたしております。ただ、あとの自動車の使い方の場合に、他人の需要に応じて運送するということになりますと、事業の免許をさらに要するということでございます。したがいまして、各事業者あるいは協同組合等が自家用車を所有するという点については、車両検査を受け、その車を登録をするということでございます。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 私は特に自家用の免許ということで質問をするつもりだったところが、昨日あなたのほうから、その免許ということは適当じゃございません、車検ということです、こういうもので、それで私は特別に車検車検ということばを使っておるのです。だから、自家用の免許というのですか、認可というのですか、それのほうが一番適確だと思う。ですから、そういうことばでいまからお尋ねします。具体的な問題でないとわかりにくいと思ったから私は具体的な問題で申し上げた。いま、一つの例として、私は申し上げた。長崎県の諌早のいわゆる貝津団地、二十の業者が入っている。いま車が四台。三台は、組合の名義では認可しないというものだから、個人の企業のその名称でもって認可をとっている。ところが、協同組合に対しては、従業員はだめですよ、その職員だけです、こういうのです。ですから、その職員は一台のバスに乗り切らぬようにたくさんはいないでしょうから、一台だけは組合で認めましょう、こういっている。ところが、実際問題として、個々の企業が、二十入っている企業が、バス一台を購入するということは、資金的にももちろん困難がありましょう。さらにまた従業員もバス一台は必要でない小さい企業だってこれはあるわけです。国の方針に基づいて団地をつくったわけです。その後のいろいろな運営もそういったような国の指導方針に従ってやっているわけです。ならば、そういう方針に沿った、いわゆる協同組合事業協同組合ですが、共同事業というものもやっているのだから、その協同組合にバスの認可をする。そして送り迎えをさせるということでなければ、ほかの企業のバスに便乗したとしますと、途中で事故が起こったという場合は労災保険の対象からはずれます。いわゆる通勤の途中は業務上の時間になるわけですね。家を出て、バスの途中何か事故が起こったという場合は、これは業務上ですから、労災の対象になります。だがしかし、もしほかの会社のバスに便乗しておったということになってくると、厳密にいって、そこに問題が出てきます。これは問題です。だから、どうしても組合名義で、バスのいわゆる自家用としての認可をしていくという方針でなければ、いろいろな支障が起こってまいります。だから、その点はひとつはっきりしておいてもらいたい。
  52. 黒住忠行

    ○黒住説明員 自家用車としての使用でいいのか、その形が免許を要するかという問題であるかと思います。現在までの考え方あるいは法律の解釈といたしましては、企業者自己に従属するものの輸送、自己目的のためにする輸送、たとえば工場が工員を輸送するような場合におきましては、自家用車として、いわゆる白ナンバーで輸送してよろしいということでございます。ただし、企業組合のような場合におきましては、組合組合員関係は従属関係等ではございませんので、いわゆる他人の需要に応じて輸送するということになりますので、この場合の輸送をするためには、道路運送法上の免許を要するということでございます。いま御質問の場合におきましては、免許を受ければ組合員の輸送ができるということで、法律的にはそうでございます。ただ実体的には、当該地域においてそういうような車を持って朝晩だけ輸送されるほうがいいのか、あるいは既存の事業者の輸送を使いまして従業員等を運んだほうが能率的であるかどうかという問題がございますので、まずわれわれといたしましては、一般のバス事業者等がある地域におきましてはそのバス事業者に、輸送力を増強さすことによって、総合的にその地域の輸送の分担をさせ、責任を果たすというような指導をやっている次第でございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 一般のバス業者云々ということでなくて、個人の企業には認可しているのですよ。現実問題で私は質問しているんだから、ひとつ現実問題で答弁をしてもらわなければいかぬ。個人の企業には認可している。そしていま申し上げたように、四台のうちの三台は個人企業の名義になっているんだというのです。ところがそれでは協同組合は困るのです。ほかの企業の名義になっているバスに便乗すると、事故が起こったとき等、これは労災保険の対象にもならない。これはいろんな問題が起こってくる。国の方針に基づいて団地をつくったんだ。公害とかあるいは騒音とかあるいはその他後進地域の開発であるとか、いろんなことからして、国の大方針に沿って団地に行ったわけだから……。そして協同組合をつくっているんだ。だからその協同組合でもって、いわゆる自家用としての認可をしてさえもらえば——通勤、それから送り迎え、そういうようなことなんですね。ですから、その出退時に対してのみしかそのバスは使わぬ。だからいまいう一般のバス業者云々というものは、いま私が申し上げた限りにおいては出てこないのです。だから個人企業認可をしているのを組合名義でもって認可をされることが適当ではないか、こう言っておるわけだから……。
  54. 黒住忠行

    ○黒住説明員 先ほど御説明申し上げましたように、自動車を所有いたしますことは自由でございます。それで、各企業者が自分で車を持つ、自家用車を持つということは自由でございますし、その持った人が自分の会社の従業員を運ぶということは、その白ナンバーのままで輸送ができる。ただし企業組合の場合におきましては、車を持つことは、これは車両検査を受けて登録すればできるわけでございますけれども、他人を運ぶという輸送の面になりますと、道路運送法上免許を要するというわけでございます。自動車を使用する場合には、車両検査あるいは登録という行為と、それからそれの車の使い方の問題と二つございまして、後者の場合におきましては、自己の需要に応ずる、従業員でございますとかあるいはスクールバスというふうなものの場合のように一体的な——従業員の場合のようなときには自家用車として使わしておりますけれども、他人を輸送するためには免許を要するということでございます。その場合に、既存のバス業者はもちろん事業の免許を受けておりますが、企業組合におきましても、そういうふうな免許を受ければやれるということでございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 私は、白ナンバーでいい、白ナンバーであるべきだ、実際はこう言っているのです。他人を輸送するというようなこと、そうなってくると、あなたが言われたように、一つの免許を受けなければならない業務用という形に実はなる。実際はそうじゃないのですね。事実上は、これは協同組合の使用というようなことで扱ってもらうことが当然であろうと思うのです。一つの団地の性格からして……。これは団地ではこの問題で非常に困っている。あなたのほうで実は非常に形式にとらわれた扱い方をやっているのですけれども協同組合事務所の事務職員だけは、それは協同組合の使用人として協同組合にそれを輸送するための認可をしましよう、しかしそれは一台で足りるでしょう、こういっている。それは一台だけ認可をする。ところが二十も入っているそういう企業、それの従業員の送迎ということに対しては、それは個別の企業の名義でなければ白ナンバーとしての輸送はできないのだ、こういうことで形式にこだわって認可をされないんですね。そのバスそのものは、実は組合の所有なんですよ。認可をされないもんだから、名義だけ個人企業にしているんですね。ところが乗る従業員というのは二十の企業従業員が実際は乗っている。一たん事故でも起こったという場合は、先ほど申し上げたように労災保険の問題等々いろいろ出てくるわけです。だから形式にあまりこだわらないで、実体がそういうことなんだからその実体に沿って認可をされる必要があるのではないか、こういうことなんですね。いわゆる白ナンバーを交付するということが必要であろうということです。
  56. 黒住忠行

    ○黒住説明員 道路運送法という法律によりまして規制をしておるわけでございまして、いま先生がおっしゃる場合には道路運送法上免許を要するということでございまして、そのこと自体その行為を否定しておるわけではないのでございます。現在の法律によりますと有償無償にかかわらず他人の需要において反復継続的に旅客を輸送する場合には、旅客自動車運送事業の免許を要するということになっておりますから、いまのような場合には免許を受けて輸送をすれば全然問題がなく輸送できるわけでありまして、これは形式的な手続の問題であります。その場合に免許をするかどうかということになりますと、やはり法律上の規制がありますから、それは申請によりまして審議するということでございまして、そういう行為を行ないますための法律手続が単なる自家用の場合と営業用の場合は違うというわけでございます。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 他人の輸送とみなすか、組合員従業員の輸送とみなすかということですね。その見方が他人という形になってくると、いまあなたが言われたようにこれはやはり免許を受けなければならない、こういうことになるのだろうと思う。その場合も単に形式的に手続だけ踏めばよろしいということであればあるいはいいかもしれないのですけれども、いろいろ問題があるわけですね。公聴会等を開いてその認可をすることが適当であるかどうか。ところが運輸省の大方針としてはやはり既存業者というものの利益を守るという立場からなかなか認可しょうとしないとかいう問題等が出てくると私は思う。だから他人の輸送とみなさない、協同組合従業員の輸送とみなして、そして白ナンバーを交付するということであれば解決すると思うんですよ。それは絶対にそういうことはいまの道路運送法上からは道はないんですか。そういうことを、いわゆる協同組合従業員の輸送、自家用としての認可という扱いはできないことはないんでしょう、どうですか。
  58. 黒住忠行

    ○黒住説明員 トラックの場合に、運輸農業協同組合というものがございますが、その運輸農業協同組合組合員の貨物を輸送いたします場合におきましても、従来から戦後ずっと免許制度でもって免許を与えて営業ナンバーで営業さしております。ちょうどそれと同じように旅客の場合におきましても協同組合従業員でなくて協同組合員ということでございますから、やはりその法律解釈上従来から他人性ということで、旅客の場合も貨物の場合も同じような解釈でまいっておるようなわけでございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、あなた方の考え方はわかりました。  次に今度は自治省のほうにお尋ねしたいことがあります。固定資産税の問題です。低開発地域工業開発促進法という昭和三十六年に制定されている法律、この法律によりますと新しい設備のみが税の軽減の対象となっている。ところが団地の場合は既存の設備というものがあるわけですね。機械器具、そういうようなものを団地に持ち込んでくる。ところがそれが対象にならない。こういうことになっておるわけですが、この点は救済の道がないのかどうか。
  60. 森岡敞

    ○森岡説明員 御質問の低開発関係の不均一課税にいたしました場合の措置でございますが、すでに御承知のように、この低開発法の関係規定は、税制上の不均一課税を市町村がいたしました場合に、交付税の計算につきまして基準財政収入額からその税額相当分を差し引きまして、その分を交付税で財源の補てんをする、こういう規定でございます。したがいまして、税制上、不均一課税をするしないということを直接規定しておるのではございませんで、市町村がその判断によりまして、不均一課税をしました場合の財源補てんの道をきめておるわけでございます。この点は十分御承知のことと存じます。  そこで機械の範囲でございますが、機械の範囲につきましては、低開発地域に進出いたします工場あるいは事業体、それぞれ多様でございます。したがいまして、その範囲をどうするかにつきましては、関係各省と私どもとでいろいろ検討をいたしまして、やはり相当共通したものに限定をしていきたい。すべて全部網羅的に入れていくということになりますと、非常に範囲が広くなってしまうだろう、こういうこともありまして、機械の範囲もある程度限定いたしました。同時にまた機械の新設に限定しておるわけでございます。そういう経緯を経まして定めておりますので、いま古い機械を稼働いたします場合に、その部分は直ちにいまの財源補てんの対象に加えるということについては、私ども消極的であるわけでございます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、これも具体的な事例を申し上げます。  いまの長崎県の諌早の貝津団地、これは中小企業庁長官、よく聞いておってください。ほかにも例があるのだから。幾つもの候補地があるのです。市町村というものは、その市町村の発展上から誘致運動を盛んにやる。ところが進出する企業条件のいいところに行きたがる。その条件とはそれはいろいろあるでしょう。いま言う税の軽減の問題があるわけです。あるいは財政的な援助をしてくれるということもある。いろいろあると思うのです。それで、その責津団地の場合はこういうことであったわけです。西彼杵郡の時津というところと諌早市の両方のところから誘致運動が起こった。ところが諌早市は、持ち込んでこられる固定資産に対してはいわゆる固定資産税の免税をいたしますという条件を出した。そこで西彼杵郡の時津町よりも条件がよかったから諌早市のほうに決定をしたのです。ところがその後、低開発地域工業開発促進法ができたわけですね。これによると、いまあなたの御答弁のとおり、その税の軽減の範囲というものがしぼられてきている。それで、いわゆる持ち込んでくる旧設備というものが対象にならないということから、国の方針に右へならえして、せっかく約束をしておった持ち込み資産に対しての固定資産税の免税はしないということになった。責津団地だけで、約二千万円程度になる。これは団地にとってはたいへんな負担になるのですよ。これだけ計算が狂った。こういう事例は私はほかにもあると思うのです。ところが諌早市はどういうことを言っているのか、国の方針に従わなければ、軽減をいたしましても基準財政需要額という形においてこれは認めてもらえないのだ。基準財政需要額と収入額との関係が出てくるので、どうしても国の法律を変えてもらう以外に手はありません、こう言っている。そういうことで応じないならば、それにかわるものとして利子補給でも考えてくれないか。利子補給というものも、これもなかなか基準財政需要額という形で見てもらうことは困難であろうというわけで、せっかく条件がいいということでそれを信用して進出を決定した企業としては、もうだまされた。そういう具体的な事例がある。これをしょうがないことだということで放置するということは、中小企業庁としても問題だろうと思う。だから、この種の事例はほかにも私はあるのではないかと思いますから、そういう場合にどう対処されたのか。また、いま申し上げた具体的な長崎県の諌早責津団地の問題に対しては、これをどう処理しようとお考えになるか。これは自治省並びに中小企業庁長官からひとつお答えを願いたい。
  62. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 具体的なケースについてただいま初めてお聞きをいたしましたので、さらに詳細実情を調べまして、できるだけ団地の育成に支障のないようにいたしたいと考えます。
  63. 森岡敞

    ○森岡説明員 中小企業庁長官のお話にもございましたが、具体のその町と団地との間のいろいろな約束とか、そういうことにつきましては、私どもいま初めて伺いました。よく調査をいたします。ただ、一般的に機械設備の範囲を、新設以外の古い設備まで拡張するということがいいかどうかということになりますと、これは先ほどまだ申し足りなかったのでございますが、たとえば同じ町の中で、従来の工場は廃止いたしまして古い機械設備を合わせまして別の会社をつくるということもないことではございません。ですから、そういうふうないろいろな形の組み合わせが出てまいりますので、一般的な制度といたしまして、新設以外のものにまで範囲を拡張していくということになりますれば、これはなかなかむずかしい問題が出てまいるというふうに私ども思っております。そういう意味合いで、先ほど設備の範囲につきましては現在消極的だと申し上げたわけでございます。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な事例について私は申し上げたので、その同じ町の問題ではない。全然違ったところから誘致運動によって進出をしてきた。条件も信頼をして進出してきた。ところが国の方針によって全くその条件が無に帰してしまった。これでは進出した企業はがまんができませんよ。ですからこういう場合、長官の答弁もわかった、あなたの気持ちはわかったけれども、やはりひっかかるのですね。こういう場合に、ケース・バイ・ケースとして考えられる余地があるかどうか。いわゆる法改正を待たずしてそういうことがあるのかどうか。
  65. 森岡敞

    ○森岡説明員 先ほど申し上げましたように、具体の事例を承知いたしておりませんので確たるお答えができないのでございますが、いまのお話で伺いました範囲内で申しますと、約一千万円ないし二千万円というふうな税収の問題だということでございますが、これはやはり現在の御承知の非常に窮迫しております市町村の財政から申しますと、なかなかたいへんなことだと思います。市町村もやはりそういう財源補てんの道などを考えながらいろいろの誘致運動をやってまいったものだと思いますので、そういう方途がないといたしますと、これはなかなかにむずかしい問題になろうかと思います。  そこで、個別に何か政府でそういうめんどうを見ていく道があるかということでございますが、これも現時点におきましてそういうふうな道はなかなかつけにくいのではないかと思います。ただしかし、いずれにいたしましても、もう少し実態をよく調べてみたいと思います。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 では実態を調査してもらいたい。  これは私は、単に話を聞いたんではない。私は商工委員であるから、当然私どものほうへ持ってくる。私、市長にも会ったのです。市長と折衝した。それはだましてはいかぬじゃないか。ところが市長の答弁は、いまあなたが言われるとおり、いやもう貧弱な諌早市としてはどうにもならないのです。もう一千五百万の減収になるということになればこれはたいへんなんで、やはり国からそれを減収補てんしてもらうのでなければどうにもなりません、こう言う。それは無理もないことだと思うのですね。ですから、やはりこの法律が制定される以前の約束ごとなんだ。だから、何らかの形で補てんをやるというようなことが考えられなければならぬだろうと私は思うのです。その点はあまりに無慈悲だ、こう思うのです。ですから、当該市町村のほうからの要請もありましょう。いまあなたからお答えになったようなことは必ず伝わりましょうから、そういう場合は中小企業庁長官もいまのおことばどおり誠意を持ってこれらの問題の解決に当たる、こういうことをやってもらいたいと思いますが、その点は長官並びに自治省のほうもよろしいですか。   〔小川委員長代理退席、河本委員長代理着席〕
  67. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 実情をさっそくよく調べまして、できるだけ現地の実情にあった、そしてまた特に私のほうからいいますと、この団地の運営に支障のないような解決をするように努力いたしたいと思います。   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 森岡敞

    ○森岡説明員 ただいま申しましたように、現在の制度上は補てんの道はございませんし、また金額も相当な金額にのぼるようでございますので、御趣旨のような具体のいい解決方法がありますかどうか。実は、私税務を担当いたしておりますし、これは直接には私どもの財政局の所管でございますので、いま確答を申し上げることはちょっと差し控えさしていただきます。何にいたしましても、実情をよく調査いたしてまいりたいと思います。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 次には、下請代金支払いの関係になるわけですが、それは簡単にお尋ねします。  親企業がみずから使用する器具、工具を下請発注する。その場合と、そうでなくて親企業が他からの注文を受けて——いわゆる商品ですね、その場合は船でもいいでしょうし、あるいは車両でもいい、他から注文を受けてそれを下請発注する、その下請に対する支払い方法が区別されてよろしいのかどうか。親企業自体がみずから使う器具、器材を製造するために下請発注する場合の支払い内容と、それから、そうでなく親企業自体が他から発注を受けたあるいは船舶とか車両とか何でもよろしい、そういうものを下請発注する場合の支払い内容とその条件が異なってよろしいかどうか。
  70. 北島武雄

    ○北島政府委員 下請代金支払い遅延等防止法の関係では、別に差別はいたしていないように私は存じます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 ところが現実に区別されている。それで、私はかつて竹中事務局長にもその事実をお伝えしたことがある。ところが事務局長のほうでは、それは問題なんだから調査をしようということであった。ところが全然調査をしておる様子がない。ましてや予算がない、こういうようなことでありましては、これはもう予算に縛られておるのでございますから、一面やむる得ないところもありましょうけれども、私は公取委員長としては、こういったような問題に対してはもっと積極的な改善措置を講じられるのでなければならぬ。それは親企業が悪意を持ってやっていることは、常識的にわかっているのですね。みずから使用する器具であり、器材であり、機械である場合でも、あるいは他から注文を受けてその生産を下請に依頼をするという場合でも、下請にとっては同じなんですよ、いずれの場合といえども。その場合に、一方は半年かそこらしなければこの支払いをしない。いわゆる長期手形を切る。そういう差別的な支払い方法をやってはならぬと私は思う。事務局長はよく事情を御存じでしょうから、委員長の考え方はわかったのですが、局長どうですか。
  72. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 ただいま中村委員のお話は、私前に伺ったことがございまして、下請に対しては同じ行為でありましても、下請法のたてまえから親事業者下請に製造委託をする、そのしかたによりまして下請になる場合もありますし、ならない場合もあります。これは確かに下請法上おかしいといいますかアンバランスな点でございます。  それから、中村委員は公取はさっぱり調べぬというようなことを言っておられますけれども、少ない予算を年度末やりくりいたしまして、先般二名の職員を派遣いたしまして、十日ほど前に膨大な資料を送ってまいりました。いま検討いたしておりますので、近いうちに結論が出ると思います。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 よくわかりました。それで、あなたのほうで調べてはおられるだろうと私は思った。ところが実際はそういう様子がないということですね。それでお尋ねをしたのです。  それで、ほかにもこういう事例は多いだろう、私はこう思います。ですから下請代金支払い遅延等防止法の問題に対して十分、ひとつ公正にこの法律案運営されるように処理してもらいたいということです。  それから、先般お尋ねをいたしました例の粉ミルクの問題に対して、その三社が公取のとった措置に対して異議ありとして訴訟を起こしておるということが伝えられておりますが、そういう事実がありますか。
  74. 北島武雄

    ○北島政府委員 公正取引委員会といたしまして独禁法に基づきまして勧告いたしましたところ、その勧告を受諾いたしませんので審判開始が決定いたしております。現在審判中でございますが、すでに二回あるいは三回の審判を経たと私は記憶しております。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 乳業会社は断固戦う、こういうので——それでは訴訟を起こすということでなくて、訴訟を起こしてでも断固戦っていく、こういう態度であるわけですか。どういうことですか。
  76. 北島武雄

    ○北島政府委員 まだ訴訟という問題ではございません。審判いたしておりますので、審判の結果によりまして、あるいはまた被審人がそれに不服でございますれば訴訟という問題も考えるわけであります。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 時間がございませんから、まだいろいろお尋ねしたいこともありますが、法律案内容に入っていきたいと思います。やはりこの下請の支払いの問題について今度は中小企業庁の長官にお尋ねいたします。  あなたのほうでは、それぞれの通産局に指示して下請との間の懇談会を開いておられますね。そういう場合のあなたのほうの通産局の態度ですが、要するにいま親企業下請単価の切り下げというようなことを強引にやっておるという事実は、あなたのほうでもおわかりになっておられるだろうと思う。ところが、そういう懇談会の席上において下請業者が、親企業がそういう単価の切り下げをやっておるということに対していろいろ異議を言うと、手かげんをして発注を見合わせをするとかいう、いわゆる懲罰的な態度がある。そういうことはもう事実あるのです。ところがそういう場合に、通産局に対して何とか親企業に対して反省をし、あるいは改善をするように連絡をしてもらいたい、要請をしてもらいたい、こういったような要求をすると、通産局はどういうことをいうのか、通産局は、それは単価を切り下げておるというけれども、それは安いのか高いのか基準はわからぬじゃないか、安いというのは君たちのほうが能率をあげないからだ、こういうことで一方的に下請業者をしかり飛ばすという傾向がある。通産局に対して下請業者は非常に不満を持っておる。公正に調査をして、下請業者が言うことが無理である、なるほど能率が低い、もっと合理化を進めていく必要がある、こういうようなことを確認をもって指導される、あるいは注意をされるならばわかるけれども、せっかく懇談会を開いて、そうしていろいろあるならば言いなさい、こういうことでその方針に従って実情を話をすると逆にしかりつける、こういう態度をとられるということは、これはまことにけしからぬ話だと私は思う。だからしてあなたのほうではこういう事実を知っておられるのかどうか、またどういう指導を通産局にしておられるのか。
  78. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 最近受注が減少しております関係もありまして、下請業者の間で競争が激しくなってくる、それに対して親会社が若干足元を見て切り下げをやるというような傾向が一般的に起きておるようでございまして、たびたびそういうことを聞くのであります。具体的な案件で私たちのほうではっきりわかりますものにつきましては、たとえばある自動車部品等につきましてもそういう場合には原局と相談をしまして、原局のほうの一般的な指導の力も使って協力してそういうことのないように努力をいたしておるのであります。ただいまお話しの具体的な案件につきましては、私、報告を受けておりませんが、もしそういうことがあるとすればたいへんに遺憾なことでございまして、これはやはり私たちとしては中小企業者のために単価の適正化をはかるということに努力しなければならないと思いますので、具体的な案件を、もしございましたらお教えいただければその是正をいたしたい、そして一般方針としてはそういうことのないように、できるだけ中小企業の立場を擁護するという方針で今後指導してまいりたいと、かように考えます。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 それでは時間がありませんからあらためて……。  次に、近代化資金助成法の内容についてお尋ねしたいと思います。  高度化資金貸し付け条件の緩和がなされたわけですが、工場集団化資金あるいは商業団地資金商店街近代化資金、これを十年に償還期間を延長するという形になったわけですね。そこで据え置き期間が問題になるわけですが、据え置き期間は何年にされるのか。
  80. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回の基準の改正によりまして、償還期限全体としては七年から十年に延ばしたのでありますが、据え置き期間につきましては一応従来どおりの三年ということにいたしております。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 期間を延長されるということは、これはけっこうです。ですけれども、設備に一年やどうかすると二年ぐらいかかるのですね。だから据え置き期間というものは、実際は操業を始めたならば直ちに支払いを開始しなければならぬ、こういう形になってくるわけです。ですから、据え置き期間というものは相当延長する必要があるのではないか。これは従来のとおりに三年据え置きということは私は適当ではないと思う。その点の配慮はなされなかったのですか。検討の結果適当であるという結論を得たわけですか、どうですか。
  82. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 従来の団地の建設の状況を見ますと、中小企業の場合ですから比較的規模も大きくない関係もありまして、大体三年くらいすれば建設は終了して稼働に入る、こういうふうに考えられますので、検討をいたしたのでございますが、結論としまして一応三年据え置けばそれで間に合うのではないか、こういう判断で三年据え置きそのままにいたした次第でございます。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 それではあなたのほうは据え置き期間というのは、そういう設備の期間ということを考えているのですか。操業を開始した、直ちにそこで利潤というものがあがってきて、これが償還が順調にいけるということじゃないですね。やはりその間しばらく償還を猶予していくというようなことでなければならぬと私は思う。だから設備の期間だけという形で据え置き期間というのを考えるのではなくて、やはり支払いについて余裕を持たせる、こういうことで私は据え置き期間は考えるべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  84. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 私が申し上げましたのは、若干不十分だったと思いますけれども、建設が終わりまして稼働に入って、ある程度収益もあがるという状況になるのに、三年というふうに考えたのでございます。これはまた業種によりましても若干いろいろニュアンスがあると思いますが、まあ大観して三年すれば大体ある程度収益があがる状況に入るというのが、現在の私たちの見方でございます。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたの見方というのは、若干実情というものにそぐわないと思うのです。建設が終わって収益があがる期間の三年というのは、私は短過ぎると思う。だから十年そのものが大体短いんですね。これをもっと大幅に延長する必要がある。同時に据え置き期間というものを、もっと延長していく必要が私はあると思います。ですから、この点は十分配慮を私はされる必要があると思います。なお、その他の共同施設資金ですね、企業合同であるとか小売商業店舗共同化資金、これの据え置き期間はどうしたのですか。
  86. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 一年でございます。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 これは考え方は、これも大体同じなんです、私の場合と。それで次にお尋ねしますが、環衛業者に対する近代化資金、高度化資金貸し付けの問題ですが、御承知のとおり環衛公庫が見送りになり、国民金融公庫に二百億の別ワクが設けられた。ところがこの二百億の貸し付け条件というのは、指定業種指定設備ということになったわけですね。そうすると、その指定設備とは何ぞやというと、近代化合理化のいわゆる機械器具等の設備である、こういうことになっておる。だからこれとこの中小企業近代化助成との関係はどういうことになるのか、これは全然別に扱うのか、やはり二百億の別ワクというような点を考慮して、そうした環衛業者が近代化資金助成に対して借り入れ申し込みをした場合に、この貸し付けについてチェックするという形になるのか、その点はどうです。
  88. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 こちらの近代化のほうでも、環衛関係で必要なものは取り上げていくという考えでおります。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 だから必要なものは取り上げていく、それはわかっている。私が言っておるのは、やはり別ワクをもって近代化合理化のための設備として、指定業種指定設備ということでその二百億の別ワクの中から借り入れをしている業種。ところが実態を話しせぬとわからないのですけれども、環衛業者がいまいわゆる指定設備として必要資金として厚生省に申請をしておるのは三千三百億、これにたった二百億ですからね、今度別ワクが。だからこれはもう問題にならないです。だからして当然環術業者が近代化のためのこの資金助成を求めるということは多いわけですけれども、また二百億も、おそらくその要求の必要資金の半分も三分の一も貸し付けが行なわれないであろうということも考えられるわけです。ですから、そういう場合に別ワクによって貸し付けが行なわれておるからというので、この近代化資金助成からはずすということはないのかどうか、それをお尋ねしておるわけです。
  90. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 現在こちらではクリーニング業を対象として取り上げております。したがって、片方は国民金融公庫からの別ワク融資でございますし、こちらのほうは無利子の貸し付けでございまして、制度的にも若干違う点もございますので、特に小規模対策ということでこちらで取り上げることが適当と思われるものにつきましては、まあ並行してやっていくつもりであります。ただ、お説のように、非常に業界のほうの要望の金額が大きいようでございます。一般融資でいけるものはできるだけ国民公庫のほうでこなしてもらいまして、そうしてこちらのほうはやはり無利子で、助成的な意味を相当強く含まなければいけないものを重点的に取り上げるという考え方でおります。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 この償還期間の延長をされたんですが、延長した積極的な理由というのは何です。
  92. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 最近の工場団地、その他集団化の実態を見てみますと、一つには最近の経済情勢が停滞し、いわゆる不況が続いたというようなこともあると思いますが、一般的に見まして、資金の面で団地に入りました業者の手元がかなり苦しくなっておる。たとえば設備資金を相当つぎ込みましたために運転資金の余裕がなくなってきておるとか、それから、中には、前の工場、あと地を処分するつもりでおりましたところが、いろいろな都合でなかなかはかばかしく進まないというような事情もございますし、また新しいところに団地をつくります関係で、いろいろ関係施設といいますか、環境整備等の負担もあるというようなことで、一般的に申しまして、かなり業者の資金繰りが苦しくなっているのが実情でございます。そこで各団地から相当強い要望がございまして、償還期限をぜひ延ばしてもらいたいということでございまして、まあ幸いにして、ことしは、いままでも少しずつ延ばしてきたのでありますが、それに比べればやや大幅な延長ができた次第でございます。今後も業界の状況をよく見まして、できるだけ実情に合った運用をしていきたい。要すれば、さらに今後もこの償還期限、あるいは先ほどお話がございました据え置き期間につきましても、実情とにらみ合わせて、もし必要があればまたその改善を考えたい、弾力的にやってまいりたいと考えております。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 本来この償還期間が初めから短かったということはいえるわけですね。同時に、経済界の変動で非常に不況になって、償還が困難になってきたというようなことが、あなたのほうとしては償還期限を延長しなければならぬという最大理由であることは間違いないわけですね。
  94. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 基本的には先ほどお話しございましたように、最初の七年というのがやや短過ぎたということは率直にいってあったと思います。実際にやってみてそのことが一そうはっきりしたわけでありますが、それに加えまして、実際問題としては不況という影響が相当大きいというふうにいえると思います。
  95. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、この前は五年が七年になった、今度は七年を十年にされた、こういうことですね。五年を七年にした場合も、まあ団地の企業というのは延長してもらいたいという必死の運動をされたことはもう当然なことである。そういったようなことが反映をしてあなたのほうとしても延長することに踏み切った。ところが、五年を七年に延長した場合、その公布がこの前は五月三日でしたね。ところがたまたま四月一日でもって支払いの期限が到来をした団地があったわけです。ところが五月三日から延長するということの改正案が公布された、したがって、四月一日に遡及するわけにいかないというわけで、四月一日に到来した分の支払いを求められた。ところが当該団地の企業としては、これはたいへん失望もし、憤慨もした。まあ期間を延長してもらいたいというわけで一生懸命運動をやった、ようやくこれが認められた、支払いは若干延びてきた、非常に喜んでおったところが、いや法律の改正案は五月三日からの公布なんだから、四月一日の支払い分は当然支払いをしろ、こういうわけで支払いを求められた。私はこのことについては影山次長にも申し上げておりますし、会計検査院との関係があるというので、会計検査院の考え方も尋ねたことがあるわけです。私は具体的な事例をとってそのことに対してのみ言おうとしておるのではありません。あなたのほうの考え方をお尋ねするということでいま質問をしておるわけですが、経済界の変動というようなことでもって償還が非常に困難であるということが、やはりこの償還期限を延長するという積極的な一つの理由になっておるならば、五月三日から公布だけれども四月一日に、あるいは四月一日にこだわらないのだけれども、その前にさかのぼって、支払い期限に到達したものに対しては何らかの配慮というものが私はなされるべきではないのか、こう思うのです。それらの点に対する配慮というものはあなたのほうではなされなかったのか、またそういう必要はないとお考えになっておられるのか、どうなんですか。今度の場合だって私は出てくると思うのですよ。
  96. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回のこの基準の切りかえは、お話しのような事態を避ける意味もありまして、四月一日に切りかえをするつもりでいま手続を進めております。それから具体的なケースにつきまして、どうしても償還ができないというようなものにつきましてはケース・バイ・ケースで、場合によってはその償還の猶予をする、こういう運用もいたしておるような次第でございまして、あまりそこをしゃくし定木にやるということは、御指摘のようにいろいろ非常に業者にとって困る場合があると思いますから、十分気をつけてまいりたいと思います。
  97. 中村重光

    中村(重)委員 今度は四月一日に改正案を公布したいということですね。そういう考え方はわかる。だから私どもも精力的にこうして質問申しておるわけですね。あなた方のほうもたいへん迷惑だけれども昼食抜きでやってもらっているということなんです。ところがあなたは、支払いが非常に困難なものに対してはケースー・バイ・ケースで扱うのだ、そうしゃくし定木にはやらないのだ、こういうことなんです。ところが私はしゃくし定木にやっていると思うのですよ。なんでしたら影山さんから御答弁願ってもけっこうです。これは会計検査院が非常にやかましいというようなことの配慮も私はあっただろうと思う。しかしそれは会計検査院はしゃくし定木に言うでしょう。しかし政策面を担当する中小企業庁としては、若干償還に対してケース・バイ・ケースでこれを延長していく必要があるとお考えになるなら、しゃくし定木で言う会計検査院を説得する、こういうかまえでやはり取り扱いをしなければならないのじゃないか。ところがそういうことをおやりになっておられない。ここに問題が一つある。それから私は大蔵省もこの点についてはお考えにならなければならぬと思うのです。自治省のほうも帰ってしまわれたのですが、これはどうもこの前の改正案がやはり一つガンになったのですね。一応全部吸い上げてしまうという形をとったところに非常にゆとりがなくなってしまったという点もあるわけです。県自体としては、償還期限がいつくる、それで償還されるその金を、また次に貸し付けをするという計画を県はちゃんと立てている。だから県自体はどうにもならないのですね。だから気の毒だなと思いながらも、県は、いや、支払いをしてもらいたいということを盛んに言う。もしあなたのほうで支払いができないと言うならば、県のほうがあっせんをしてどこか銀行からでも借り入れをするように協力をいたしましょうと、こう言う。ところがこれは私が申し上げるまでもなく無利子ですよ。今度市中銀行から借り入れる場合は利子がつくわけでしょう。しかも無制限に金を貸してくれるわけじゃありません。やはり企業に対する銀行の貸し付けワクがある。そのワクに食い込んでいくということになってくると、その他の運転資金等にも影響してくるということになってまいりますから、市中銀行から借り入れを県があっせんをしたからといって、問題が解決するものじゃないのです。だからいまあなたが言われるような、ケース・バイ・ケースというような形で扱ってまいりましょう。しゃくし定木は好ましいことじゃありません。答弁としてはそういうことをおっしゃるが、現実にそういう扱いをしておらないのですから、どうにもならぬじゃないですか、どうですか。
  98. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 従来の取り扱いぶり、私詳しくは存じないんですが、どうもちょっと聞いてみますと、先生御指摘のように、会計検査院等の関係もありまして、返すものは返す、そのかわりつなぎの金融をめんどうを見るということでやってまいったようであります。この点は運用上なかなかむずかしい点もあろうかと思いますけれども、私は先ほど申し上げましたように、あんまりしゃくし定木に一律にやるということだけではどうもまずいように思いますので、この席だけで申し上げてもなんでございますが、そういう気持ちで、ひとつ弾力的な運用ができる方向で努力をしてみたいと思います。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 私が具体的な問題を持っておるのは、三月三十一日の支払いで、まだ若干余裕があります。そういうようなことに対して調査をしてケース・バイ・ケースで扱う用意がありますか。
  100. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 具体的なケースについてお知らせいただきまして、ひとつ努力してみたいと思います。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの誠意はよくわかりました。国の債権の管理等に関する法律というものもあるわけです。これでは「当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。」というものだってあるわけだから、これは分割してでも、たとえ三月三十一日の支払いになっておるならば、四十一年度末までに分割して支払いをさせるということだって考えてもいいのではないか。こういうことも話しましたが、しかしこれは非公式に申し上げておりますので、私はここで別に責めるということで申し上げておるのではありません。あなたのいまの誠意のほどはわかりましたから、全般的な問題としても、いまあなたの答弁が生かされるように対処していただきたいということと、それから具体的な問題についてはこれをどうするかということで、さっそく調査をして解決をはかってもらいたいということを強く求めておきたいと思います。  次にお尋ねしますが、高度化資金貸し付け対象として今度共同設備を追加されたわけですね。団地に入られた全体の業者を対象とする施設でなくとも、その中の数名でもよろしい、特定施設をしようとする場合は、この高度化資金貸し付け対象にする、こういうことのようでございますが、そういう場合のこれの償還期限というものは十年ということになるのかどうかということと、二、三の者という形になり、組合員全員ではないということになってまいりますが、その場合の償還責任というものはだれなのか。それから債務保証というものが必要になってまいるでありましょうが、債務保証はどういう形でなされるのか、まずその点について伺いたい。
  102. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回新しく貸し付け対象といたしまして、個々の組合員の所有する設備の中で、二以上の組合員が共同で使用するという設備で、いわゆる事業の共同化に著しく寄与するもの、こういうものを取り上げたわけでありますが、その場合の償還期限は工場団地一般と同じように十年を考えております。  それから返還の責任は結局その所有者になるわけでありまして、所有者が共同所有と言うか、そういうことになれば全部の者が返還の責任を持つ。  それから保証の点も工場団地の一般資金と同じような方式になるわけであります。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 協同組合の保証並びにその協同組合理事の個人保証という形で、二以上の特定施設に対する貸し付けの場合も同じような扱いになるのですか。
  104. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 さようであります。
  105. 中村重光

    中村(重)委員 どういう設備が予想されますか。
  106. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 さしあたり考えられますのは、たとえば起重機等でありまして、団地の中のある部分に備えつけられて、その起重機のまわりにおる企業者が共同で使う。ある一社だけで使うのはもったいないし、それほど必要もない。三軒とか四軒とかまわりの者が使うというようなのが考えられる一つの例でございます。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 債務保証、理事の個人保証ですが、当該組合の役員、理事をやめたという場合に、その個人保証の義務を解除いたしますか。
  108. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 その役員がかわって、ほかの人に肩がわりした場合はけっこうですけれども、さようでありませんと解除されないということになっておるそうであります。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 解除されない。それはいわゆる保証の差しかえが行なわれないからだ、こういうことになる。これはあなたのほうの方針は、役員の改選があった場合は新任の役員の保証に差しかえるというような形で、積極的にそういう要求をされるのかひあるいはその組合からの申し出がなければ、それがかわったとはわかりながらも、そのままにしておかれるのか、方針はどういうことなんですか。
  110. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 その人が保証するというのは、やはり組合の役員としての地位があるからやるのでございますので、できるだけ早く切りかえをするのが望ましいと思います。ただその辺は組合のほうの自主的な動きに一応まかせてあるのでありますが、基本的な指導方針としましては、できるだけ早く切りかえるということが望ましいと思います。
  111. 中村重光

    中村(重)委員 これは組合の民主的運営という立場で十分配慮される必要がある。むしろあなたのほうで役員がかわったならば直ちに差しかえをさせるという態度で臨まれぬと、個人保証しておるから自分は役員をやめないのだと、好ましくない理事、役員でも、保証しておることを理由としてそのまま居すわるということがないとは言えない。そこで組合のボス化というものが出てくるわけです。そのことから組合の円滑な運営が行なわれないということになってまいりますから、保証しておるがゆえに、団地経営というものが、協同組合運営というものが民主的な運営が阻害されないように、十分この点は配慮される必要があると思うのです。いまは、考え方は同じでしょうから、御答弁の必要はありません。  次に伺いますが、この設備近代化の補助に生鮮食料品の小売り商に対するコールドチェーン設備を追加しておられるわけですが、この施設の具体的な内容というものが明らかでありませんが、この点はどういうことですか。
  112. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 コールドチェーンの場合にこちらのほうの助成対象となりますのは、そのチェーンに加盟する業者の冷凍設備及び冷蔵設備でございます。
  113. 中村重光

    中村(重)委員 これは冷凍施設でしょうが、そのチェーンに加盟したものというのは、もちろん小売り店に対してもやるのでしょう。
  114. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 小売り店にも当然備えられるわけでございます。その場合に、それを対象として助成をいたします。
  115. 中村重光

    中村(重)委員 その考え方はわかったのですが、そういう小売り店に対して生鮮食料品を冷凍させるということになってくると、それを希望するもの、参加加盟するものというものも相当多いだろうと思う。どの程度の規模にお考えになっているのでしょうか。どうも何か新味なことを考えたというような、何か思いつき的な感じがしまして、科学的な一つの分析に欠けているような感じがいたしますが、どうですか。
  116. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 生鮮食料品の物価対策の一環といたしまして、産地から消費者までを一つの冷凍のチェーンをつくりまして、それによって安定的な流通体系をつくろうというのがこのコールドチェーンの考え方でありまして、この点はかなり前から、長いことかかっていろいろ議論されてまいったものであります。特に農林省が中心になって検討してまいったのでありますが、この考え方の基本は、やはり冷凍にして、生鮮食料品を一貫して配給するというところにもあるのでございますから、そのためには、卸とか産地とかという大きなところだけでなく、小売り商の段階でも冷凍設備を持っていくということが必要になりますので、そういうことから、こちらのほうの一つの商業対策という観点も加味いたしまして、今回取り上げることにいたした次第であります。アメリカあたりの様子を聞いてみますと、かなりそういった制度が発達しておるようでありますけれども、日本の場合に、はたしていまの消費の形態からいって、どこまでそういう冷凍品の消費というものが伸びてくるか。また、そういうことによってどれだけコストダウンに寄与するかというような点は、今後の問題でございますので、そういう点でまずやってみて、そうしてその結果を見てだんだんに改善をしながら広げていくというようなことが実際のやり方ではないかというふうに考えております。
  117. 中村重光

    中村(重)委員 これはボランタリーチェーンの場合だって同じことが言えると思うのですけれども、この当該小売り店の規模というものが問題になるのです。これはやはり相当大きい店舗でなければ実際設備できないであろうと思われる。だから、どの程度の規模の小売り店を考えておられるか。それから、こういうことをやるそのことは、冷凍設備をさせるということは、それはいいことでしょうけれども、そのことから生ずる設備ができない小売り店との関係、私はいろいろ起こってくると思うのですがね、そこらあたりの配慮というものはどうしておられるのですか。
  118. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 コールドチェーンの場合、それからボランタリーチェーンの場合も、それに参加しないものがどうなるかという問題は、実は同じようにあるのでございますが、ボランタリーチェーンの場合を申し上げますと、日本の流通段階というものがかなり複雑になっておりまして、それを合理化する余地は相当ある。その場合に、必ずしも粒の大きな商業者だけがボランタリーチェーンをつくって向上していくということでは、商業対策としても片手落ちでございますし、また、それは必ずしもそれが大きいから合理的だというふうにも言えないわけでありまして、むしろ私たちは、ボランタリーチェーンを今後推進していきます場合は、小規模零細の商業者がそういう気さえあれば軌道に乗せていける、こういうことを考えておるのでありまして、また逆の言い方をいたしますと、ある程度規模の大きいところは、必ずしもチェーンを組織しなくても一本立ちでやれるということも考えられます。私たちといたしましては、なるべく小規模の商業者が同志的な団結をつくって、その地位の向上をはかり、自分たちの商権を拡大すると同時に、ひいては物価対策にも寄与してもらう、こういうことをねらっておる次第でございます。  ある部分の人がこのチェーンに加盟する、それでそれに入らない人はどうかということでありますが、私は、時間はかかりましても、チェーンを結成しようという意図を持つ人は、ふるいをかけてどうこうするということじゃなしに、だれでもチェーンの結成ができるというふうにしていきたいと考えておる次第であります。
  119. 中村重光

    中村(重)委員 小規模の同志的結合をもってチェーンに加盟する、理想——してはわかるのです。現実にどうするのですか。小売り商に冷凍施設をするという場合に、現実にどうするんですか。
  120. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ボランタリーチェーンの場合とコールドチェーンの場合とでは、若干違う事情があろうかと思います。ボランタリーチェーンの場合は、取り扱う商品によりまして、必ずしもそうたいした設備をしなくても、共同仕入れとかあるいは共同宣伝とかいうものをやることによって合理化ができる。それからコールドチェーンの場合のように、ある程度設備を持つ、そのためにはまとまった資金が要るというような形態のものにつきましては、おそらく小売り業者がある地区で集まって、そこで協同組合なりなんなりつくりまして、そうして共同設備をして、こういう冷凍設備を持つというような形態の方向に進んでいくべきじゃないかというふうに考えます。
  121. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、結局協同組合をつくって共同施設をやるということが、まずこのコールドチェーンのあなたの構想の前提になっておるわけですね。それでは、時間の関係がありますから、またあとで質問します。  かけ足でお尋ねしますが、プロパン製造業の保安設備ということが考えられております。この点はどういう保安設備を考えておられるか。
  122. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 プロパンガスの保安設備といたしましては遮蔽板とか、地下タンクの建設というようなものが考えられます。
  123. 中村重光

    中村(重)委員 これは充てん工場だけですか。
  124. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 充てん工場及び販売所の両方を対象として考えております。
  125. 中村重光

    中村(重)委員 販売所が考えられる。ところがこれはプロパン製造業の保安設備ということになっておるのじゃありませんか。販売業は製造業ではない、充てん工場だけが製造業ということで、今度明確になったわけです。この点はどうですか。
  126. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 訂正いたします。対象といたしますのは製造業と充てん所でございます。
  127. 中村重光

    中村(重)委員 製造業と充てん所というのはどういうことですか。中小企業対策という場合に、中小企業の範疇に入るもので製造業というのは、まずいまのところ考えられているのは充てん工場だけじゃないですか、どうですか。
  128. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 御指摘のように製造業中小企業はまずないと思います。したがいまして、中小企業という範囲では充てん工場が大部分でございます。
  129. 中村重光

    中村(重)委員 この点はまた法律案が出てまいりましょうから、その際になお詳しくお尋ねします。  この地方特産品の製造施設、これは私は考え方としてはけっこうだと思うのです。だいぶん中小企業庁もきめこまかく施策を講じつつあるというような感じがして、好感を持ってこれを迎えているのですが、地方特産品の製造施設ということで具体的にいろいろと検討されたと思いますが、これは要求も非常に多いのではないかと思います。こういう改正案をお出しになって新しいことをやろうというからには、いろいろと調査をしておられると思うのですが、その点は具体的にどういうようにお考えですか。また償還期限というものもあわせてお答えを願います。
  130. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 地方特産品を対象にすることにつきましては、前から各地方から相当強い要望がございまして、今回実現することになったのでございます。具体的な業種につきましては、現在いろいろ調査中でございますが、窯業機械とかあるいは山梨県の水晶の加工設備とかいうようなものを含めまして、かなり地方色の豊かなものがいろいろ調査の対象になっております。  償還期限は近代化資金一般と同様でございまして、五年でございます。
  131. 中村重光

    中村(重)委員 それから設備近代化資金の償還期限とか据え置き期間というものもお尋ねしたいのですが、なお高度化資金貸し付けの場合の積算の基礎というのが私は実情にそぐわないと思っているのです。あなたのほうで一方的に積算をされる。ところが、土地にしましてもあるいは建物にいたしましても、どうもあなたのほうで積算をしておられ、それによって割り出しておられますが、それは実際は違うのです。たとえば二分の一の補助というような場合も、実際は三分の一程度にしかならないというようなことになっておる。そのことで貸し付けを受ける企業も実際非常に資金繰りに苦しんでおるというような実情にあるわけです。特に最近のような物価上昇という状態になってまいりますと、その関係がきびしくなってくるわけです。その点は期限延長とあわせて特段の配慮がなされなければならなかったと私は思うのですけれども、たいした改善の内容はないようでございますが、この点はどうお考えになっておられるか。
  132. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 高度化資金の算定の根拠でございますが、従来基準が若干きつ過ぎまして、実情に合わない点がありましたことは御指摘のとおりでございます。その結果、二分の一の補助という考え方でおるのでありますが、結果において二分の一にならない、それよりも下回らざるを得ないというようなことが実際にあったのであります。新年度はその点につきましても実情に合わせようというので、土地、建物等の評価基準を引き上げまして、しかもまたその基準自体の運用につきましてもできるだけ弾力的に実情に合わせるようにするということにいたしましたので、その点は非常に大幅な改善が行なわれたというふうに考えております。
  133. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたが力こぶを入れて大幅な改善とおっしゃったのだけれども、その力こぶを入れたわりあいに中身は大幅じゃございませんですね。しかしこれは時間の関係もございますから、先に進みます。  中小企業共同工場貸与事業助成という、これも新しいことをお考えになったようです。これもいいです。ところが、従業員二十人以下ということになっております。この二十人の中には事務職員及び臨時工員を含めるのかどうか。
  134. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 いまの二十人という中には、従業員でございますから事務職員も入ります。ただ、臨時工はこれには含めない計算でございます。
  135. 中村重光

    中村(重)委員 事務職員が入る。もちろん零細な小規模工業ですから、事務職員なんというものもそうたくさんいない。それでこれは家内工業といったようなものまでも考えておるのかどうか、三十人以下というと二人でも入るのだろうと私は思うのですが、どうもその点がはっきりしないのですが、具体的にどうお考えになっておられますか、予算も非常に少ないのですが……。
  136. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今度の共同工場制度の構想の中には、家内工業等も対象にしようという意図がはっきり入っておるのでありまして、その具体的な一例といたしましては、たとえば燕の洋食器の産業等でありますが、かなり家内工業的な零細企業が多い場合に、それをある構想のもとに一つの工場の中に入れまして生産形態の規模を大きくする、そして生産方式も近代化をしていく、従来の家内工業としてばらばらになったのではできないような合理化、近代化を進めようというのが大きなねらいの一つになっておる次第でございます。
  137. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、この工場というのは土地、建物というものを含むのか、あるいはそうでなくて工場の設備だけということになるのか。それから、残りの二〇%を企業自体が出さなければならない、こういうことになっておるようですが、これに対しては担保はどういうことになるのか。当該貸与を受けた、譲り受けを受けた工場を担保にするということで、残り二〇%の資金調達が可能なのかどうか。この点どうですか。
  138. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 当初の建設費の中で八〇%は国と県が負担をして出すわけでありますが、残りの二〇%につきましては業者負担ということになるのであります。ただ、ごく零細の企業でその二〇%についてもめんどうを見てあげないといけないような場合が多かろうかと思いますので、その点は、この事業実施いたします県においてめんどうを見てもらうとか融資の道を何か別途くふうをいたしたい、かように考えております。  それから、担保でございますが、所有権は、この場合に県あるいは県が委託する協会というようなところが持っておりますので、業者から特に担保を取る必要はないのであります。業者はそれを借りて中へ入るということになっております。
  139. 中村重光

    中村(重)委員 そういうことになりますか。残りの二〇%に対して業者負担でしょう。国が四〇%、県が四〇%、残り二〇%は業者負担であるということになるのではありませんか。そうすると、その二〇%の資金調達をしなければならぬでしょう。その二〇%に対しては担保が要るのじゃありませんか。そういうことになりませんか。要るとすればその担保は、当該工場を貸与、譲り受けを受けるのでありますから、譲り受けという形式をとったものは当該工場を担保にするということで足りるのかどうか。なお県のほうで資金のあっせんをしてもらいたいということですが、中小企業金融公庫等からこの場合も裏貸し付け、裏金融というものが行なわれるのかどうか。
  140. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 実際のやり方は、まずその工場アパートができまして、それからあと個々の中小企業者がそこへ入ることになるのでありますが、その入りましてからある年限が過ぎますと、そこで所有権が業者に移るということが予想されます。その場合にはあらかじめ抵当権を設定をして、そして、業者に対して持っておる債権の確保をはかるわけであります。  それから、最初に業者が調達をしなければならない二〇%の問題でございますが、これは正直申しまして、実は各県でいろいろやり方があろうかと思いますので、県のほうでそれぞれくふうをしてもらって、必要な範囲で国も応援をしようという考えであります。県によってはあるいは起債をして、そして県自体が二〇%もめんどうを見てしまおうというところもあるかもしれない、そんな話もちょっと聞いております。それから、その県なりあるいは協会が自分で資金を調達するというようなことも考え得るわけでありまして、この点は一律にこういうふうにしようという方針はまだきめておりません。各県ごとにひとつくふうをしてもらって、それをこちらが応援しよう、こういう考えでおります。
  141. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、何年かたってからこれを譲渡をするということですか。それは直ちに譲渡を受けたいというような業者も私はあると思います。そういう場合に直ちに譲渡しないのかどうか、何か譲渡するための条件というものがあるのか、そこらあたりどうなんですか。
  142. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 一時金ですぐに所有権を移してもらうというような企業者というのは、比較的資金の調達力がある人でありますから、そういう人よりも、もっと調達力のないような人をなるべくこの対象にして考えたいと思っております。しかし中には、おそらく途中で非常に業績が上がって、そうして早く金が返せるといいますか、払えるというような事態も出てくるかと思います。その辺は、県でこの事業業務方法を定めるときに弾力的な運用ができるように考えていただければいいのじゃないかというふうに思っております。十三年というのは、そういう意味では一応最高限度をきめておるというふうに考えられるかと思います。それから、県と入ってくる人との関係で債権確保等のために必要な場合には、あるいは保証人を立ててもらうというようなこともあり得ると思います。
  143. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、貸し付けの期間ということになってくる十三年間たったあとで所有権を移してもらいたい、いわゆる譲り渡してもらいたいという希望者もある、そうでなくて、もつと早く譲り渡しをしてもらいたいという希望者もあるであろう、こう思うのです。そこらあたりは何か制約条件というものがあなたのほうにあるのかどうか、その点が明確でないということ。  それから、八〇%を国と県から貸し付けを受けるわけですから、これは問題の高度化資金によってやることですから無利子である。その間は極端に言えば、もちろん利子を十三年間全然負担する必要はないということになるのかどうか。それから、十三年間貸与しておると、相当な長期にわたるその間の管理というものもいろいろあろうと思う。設備改善とかいろいろなものが起こってくると思う。そういう場合に維持管理というものの責任はどういうことになるのか。そこらあたりのそういう費用を必要とするといったような場合、それは業者がやるのか、あるいは国なり県なりがこれをやるのか、その点はどういうことになりますか。
  144. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 いまの所有権の問題でございますが、二つのケースが考えられると思います。一つは、先ほど来私が申し上げております行き方でありまして、共同工場をつくりまして、完成したあと入居者に貸し付けをして入れまして、そうして一定の期限がたったときに所有権を移す。それからもう一つのケースは、共同工場を完成、引き渡しと同時に譲り受け人に所有権を移してしまう。そうして共同工場に第一抵当権を設定して、そしてあとで分割払いで代金の支払いを県にする、こういう方法も考え得るわけであります。  そのそれぞれの場合に応じまして、若干保全、管理等の責任の所在とか、負担等は違うと思いますけれども原則としてやはりそうした負担は入居者にしてもらうというのがたてまえになろうかと思います。これは私のほうで一応の基準をつくりまして、それぞれこの制度実施する県のほうで具体的にはきめてもらうことでございますので、そういった細目の点は、今後それぞれの県で検討の上決定してもらうことにいたしております。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 それぞれの県でやるのだというのだけれども、私はあなたのほうの考え方というものがなければいかぬと思うのです。なお、分割譲渡または貸し付けの期間は十三年以内として、譲渡または貸し付けについては担保の提供及び保証人を要する、こういうことになっている。そうするとこの貸し付けについては担保の提供及び保証人——これは借りているものを担保に出すわけにはいかない。別個の担保が必要になってくるように思われるのですが、この点はどういうことなんですか。はたしてあなたが考えているような零細企業で担保を提供し得るようなものがあるのか、また政府の担保の評価というのは非常にからいですから、実際は——あなたは気の毒な家内工業までこれに含めるというのだから零細企業を考えているようだ。ところがそういういろいろな制約条件があり、その条件がきびしいために、実際は、あなたが救い上げようと考えて答弁をされた、そういうものは救われないという形になる可能性がないとは言えない。だからこの担保はどういうように考えているのか、保証人というものはどのように考えているのか。
  146. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 その点は担保または保証人でございますので、私が申しましたような家内工業のような場合にはおそらく担保でなくて、人的担保といいますか、保証人という場合が多いと思います。これはどちらでもいいわけでございますので、実情に合った実現できる方法で処理して差しつかえないわけでございます。
  147. 中村重光

    中村(重)委員 そういうことになってくると、「又は」とか「及び」というのが問題になる。「及び」というのは担保と保証人ともに要るというふうにも判断できる。ところが「及び」はそのいずれでもよろしいというようにもとれる。あなたのほうの「及び」の解釈はどういうことなんですか。
  148. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 私のほうでは、この場合は「又は」ということでございますので、どちらか一方であればよろしいというふうに考えております。
  149. 中村重光

    中村(重)委員 それは明らかになりましたから、担保がない、保証人だけではだめだといって断われない、その解釈は、一方でよろしいというように明確にお答えになったわけだから、そういう指導をして、県ごとでからい扱いをしないようにひとつやってもらわなければならぬと思います。  なお中小企業設備貸与事業、貸与機関に対する貸与事業助成ということをまた新たにお考えになっているようですが、これも国と県が二分の一、残り半分は中小公庫がいわゆる裏金融をする、こういうことなんですね、これは。そうすると、貸与機関をおつくりになる、こういうことでございますが、この貸与機関の構想はあるのかどうか。それからこれに対して環衛団体なんかの共同事務所というものに対しての何か対策があるのかどうか、ここいらあたりどうですか。
  150. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 設備貸与につきましては、県に特別な法人をつくってもらいまして、そこがこの事業の主体になるというのでございまして、県によっていろいろ名称は違うと思いますけれども、たとえば現在ややそれに似たような制度実施しておりますところでは、振興協会とか機械貸与公社というような名前を用いておるところもあります。その点は県のほうで必要な機関をつくっていただくことにしておる次第であります。  それからお尋ねの環術団体の共同事務所というのは、協同組合一般としては対象としては考えておりますが、具体的にいまの共同事業というものがどういうものでございますか、それによって判断いたしたいと思います。
  151. 中村重光

    中村(重)委員 環衛団体、これはその他の法律によって設立された団体は、要するに環衛団体なんかが入るわけですから、こういう団体に対して協同組合で別に考えていくというのだけれども、これは協同組合ではない。だからこの環衛団体もこれは中小企業あるいは零細企業であることに間違いないのだから、こういう事業近代化合理化をはかっていくということはサービス料金が非常に値上げになるというので批判の的になっている。だから物価対策上からもこの点は相当きめこまかに対策がなされなければならぬと私は思う。したがってあなたのほうも環衛公庫をおつくりになるという場合、屋上屋だということで好ましいことではないというので反対の立場をおとりになるならば、こういう環衛団体に対しても特別な金融措置がなされなければならぬと私は思う。そういうことで、こういういろいろな新しい構想でもっていろいろな施策を講じようとしておられるのだから、そういう物価対策の面、環衛公庫に反対をしたという立場から中小企業としてこれを救い上げていくというような観点の上にあなたのほうもお立ちになるだろうと私は思う。したがって環衛団体の共同施設であるとかあるいは共同事務所といったような点は、当然これは団体自体にも考えてもらわなければならないことですから、そういうことに対して、あなたのほうは何か対策がないのか。
  152. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお尋ねの点は、ちょっと御趣旨が、実はどこの条文のところかはっきりしない点があるのでございますが、一般的に従来から協同組合共同施設につきましては、高度化資金制度が適用されておりますので、その基準に合致するものにつきましては対象として取り上げることをいたしておる次第であります。今回も新しい制度として、特にいまの機械貸与等の関係では別に新しいものを考えてはいないのでございます。
  153. 中村重光

    中村(重)委員 機械貸与の構想では考えていないから、こういう環衛団体の共同施設、共同事業といったようなものも当然何か考えてもよろしいのではないか。物価対策というような面もあなたのほうではあるのでしょうから、やはり環術公庫をつくるということについては、屋上屋ということであなたのほうは反対なさったんだから、ならばこの環衛団体に対してあなたのほうも特別な配慮があってしかるべきだと私は思う。だから反対だけをしてそういう環術団体に対して何も施策を考えておらないということは片手落ちじゃありませんか。そういう片手落ちじゃだめだというのです。反対ならばこういうことで反対する。だがしかし中小企業庁でこういうことでやるのだ、そういう態度をおとりにならなければだめじゃありませんか。そういう何でも反対するということだけではだめなんですよ。そうでしょう。だから、協同組合の高度化資金で考えているのだ、これは近代化資金では、なるほどクリーニングの近代化設備等は考えているということなんですね。それは現にやっておられる、そういうことを私は言っているのではない。だからいわゆる共同施設ということにあなたのほうは相当力こぶを今後入れていこうとしておられるのだから、そういう環衛団体に対しても何らかの対策を積極的に講じられる必要がある。考慮の中になかったのかどうか、そういうことです。私の質問の趣旨がわからぬじゃないでしょう。
  154. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 環術団体につきましては、今度の新しい制度といたしましてはいろいろな制度が適用しようと思えばできるような仕組みになっております。たとえばこの構造改善事業でございますが、これは組合共同施設をしよう、現在でもこの共同施設に対する助成制度があるわけでありますから、それは環衛関係組合でも御活用願えるわけであります。その場合に直ちに共同施設をつくるだけの資金の調達がむずかしい、ある年限かけてだんだんに積み立てていこう、こういうような場合に、そのための制度としてこの構造改善事業が新しく考えられておるわけでありますから、これによって積み立てをすることになれば、それだけ税の面でも恩典がありますし、共同設備の建設もしやすくなる、こういうことが言えるかと思います。
  155. 中村重光

    中村(重)委員 構造改善事業のことをお尋ねしておるのじゃないのですよ。それはいまから尋ねていきます。あえて私は消極的と言わなければならないのだけれども、そういう消極的な施策だけを求めているのじゃない。何回も繰り返すからこだわったように思うかもしれないけれども、こだわって言っているのじゃない。やはり環衛団体も中小企業なんだから、環衛公庫なんという特別な政策金融をするような機関をつくることは好ましくないという態度をあなた方はおとりになった。そうして大蔵省なり通産省のそういう態度によって環衛公庫というものは見送りになった。それで別ワクの国民金融公庫貸し付けを行なわれるけれども、国民金融公庫貸し付けるのだから額にしても二百億、しかもこれはきわめてきびしい条件がついている。申し込みは、あなた方はもう事情をよく知っておられるとおっしゃるように、すでに出ておるだけでも三千三百億、こういうことで現実に政府の考えておる施策はほど遠いものがある。だからあなたのほうとしてはやはりあなたのほうの中小企業の範疇に入れて、もちろんそれは範疇なんだが、特に金融、税制の施策を講じていこうというお考えなんだから、物価対策の面、なかんずくサービス料金の問題というような点は十分あなたのほうとしても配慮しておられるだろうと思うから、環衛団体に対する近代化資金の何らかの貸し付け措置を講じられる必要もあるだろう。やはりこういう新しいいろいろな制度もけっこうなんだから、環衛団体等のことについてももっと前向きで考えてやる必要があるのではないのか、全然検討しなかったのか、こういうことを言っている。
  156. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 御指摘のように環衛関係は業者の数も非常に多うございますし、また特に最近のように物価問題が重要性を増してきております段階では、その近代化合理化というのは従来にも増して重要になってきておるように思います。その点中小企業庁といたしましてもできるだけ前向きで考えてまいりたいと思っております。従来からいろいろな制度がございますけれども、これが必ずしも十分に環衛関係のほうに活用されなかったうらみもございますので、できるだけその辺は業界のほうでもくふうしていただき、われわれもまた気のついたところを申し上げて、そうしてまず現在の制度をできるだけ活用するということで考えてまいりたいと思います。  それから国民金融公庫には特別のワクができましたが、同時に今度、いま申し上げました構造改善とかそれから工場アパートの制度というのは、量的に見ますとまだほんのテストケース的な感覚ではございますけれども、たとえば共同工場等にいたしましても環衛関係でうまくこれを使いまして、クリーニングとか何かでもこれをうまく利用していく道もあるのじゃないかと思います。その辺十分にひとつこれから配慮してまいりたいと思います。
  157. 中村重光

    中村(重)委員 時間がないから先に進みます。  国民金融公庫の二百億の問題にしても、この前私は金融問題で大臣に質問したときに指摘しましたように、国民金融公庫融資の規模というものは、二百億の別ワクをつくったからといって特別に規模を拡大したのじゃないのです。環衛団体に対してそうしたいわゆる指定業種指定事業指定設備という形において貸し付けが行なわれるということになってまいりますと、今度は一般の国民金融公庫からの貸し出しワクというものがそれだけ食い込まれることになる、それだけ金融は苦しくなってくるわけです。だからこういう場合はあなたのほうも十分配慮されて、大蔵省との折衝等は、二百億の別ワクをつくるのだったら二百億だけ積み上げになるように、それだけ貸し付け規模が拡大をするように折衝をされる必要があったと思う。そういう点は私は実に消極的であったし、これはまずかったと思います。十分こういう失敗がないように努力される必要がある。大臣にも十分注意をして、そうして積極的に規模を拡大するように、あなたのほうでは補佐される必要が私はあったのだと思います。  なお、この貸与機関ですが、貸与機関はまず予定があろうと思うのですが、どういうところを考えているのかということが一点。もう一つは、貸与機関というのは公益法人ということのようですが、公益法人ということになってくると、いろいろ問題も出てくるのではないかと思います。先般機械類賦払信用保険制度の中でお尋ねしました際にお答えがございました。この貸与機関信用保険対象にするということでございましたが、そのとおりお考えになっておられるのかどうか。これは影山さん御承知のとおり、てん補率の問題でお尋ねしました際に、あなたの助言によって大臣がお答えになった。だから十分この点は検討しての結果であろうと思いますから、この点明確にお答えおきを願っておきたいと思います。
  158. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回新しく計画をしております機械貸与制度の運用の母体といたしましては、県と特別の関係を持ちます公益法人を考えておるのでございます。現在八つの県で具体的な計画が進行中でございます。それから信用保険の点でございますが、これは今回の貸与制度にも適用する方針でおります。
  159. 中村重光

    中村(重)委員 県と関係を持つ公益法人、私どもは公益法人じゃなくて、貸付事業団をこの際設立すべきではないかということを考えているのですが、この点検討されなかったかどうか。やはり貸付事業団よりも公益法人がよろしいという積極的な理由はどの点にあるのかという点と、それからさきに申し上げた、県との関係を持つ公益法人というけれども、この法人の資本というものは国家資金によるのだろうと私は思う。その点はどういうことになるのか。
  160. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 その公益法人は地方公共団体の全額出資によってつくる考えでございます。それから、その場合に県は、国の補助を県が受けまして、さらにそれに県自体の資金を加えましてその公益法人に供与する、こういう形になります。それから御存じのように、残りの半分は中小企業金融公庫からその公益法人に対しまして融資をいたす、こういう方式でございます。
  161. 中村重光

    中村(重)委員 地方公共団体が全額出資である。ごれに対しては国から機械貸与補助二億八千八百万円、それに機械貸与指導事業補助というものがそれぞれあるわけですね。なお中小企業金融公庫からの貸し付けということが考えられておる。すべて国の資金だということになります。そうすると信用保険も、これは国家資金で保険事業をやっているわけです。国家資金に対して国家資金信用保険をするということが妥当なのかどうか、その点どういうことです。
  162. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 立法論としましては議論のあるところかと思いますけれども、この場合も出資は地方公共団体の出資でございまして、一応国とは別でございますし、それからその補助も二分の一の補助のうちの半分は県でございますので、その場合に県だから国と違うのだということをどの程度まで言い得るかという問題はあろうかと思いますけれども、一応そういうことで別動隊でございますから、国が保険を別途するということが考え得るのではないかと思います。
  163. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになったような多分にあいまいなところがあるのです。地方自治体が全額出資するところの公益法人ということではなくて、この貸与機関の性格ということからいって、やはり貸付事業団を設立する必要があったのじゃないか。どうもいろいろなことを地方自治体にやらせる。そのことは地方自治体の事務あるいは財政面に対して非常なしわ寄せをしてくる。いままでもいろいろな問題があるのです。だからますますもって地方自治体を非常に事務的、財政的に苦しい状態に追い込んでいくということになるのじゃないか。それから貸与事業というものも非常に簡単なようで相当重要な業務を遂行する、運営することになるわけですから、やはり貸付事業団というものが適当であると私は思う。この点検討したのじゃございませんか。どうです。
  164. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 そういう案も実は一つの案としては考えて検討いたしたのでございますが、現在の中小企業行政のあり方が、それぞれ地方に分散しておる中小企業対象にします関係で、相当県に依存しておる面が多いのでございまして、行き届いた行政をしようと思いますと、どうしてもやはり県に乗り出してもらわないとうまくいかないというのが実情でございます。そのかわり先生がいま御指摘になりましたように、地方財政の制約というものが非常に最近強く出てまいっておりまして、この構想を関係の県の担当官に話して相談をしてみましたところ、その点については非常に強い要望があったのでございます。そこで地方財政の苦しい中でもやれるような方式を考えるとしたら、どうしたらいいかということにいろいろ注意を払いまして、そして今回のような制度をつくった次第であります。その結果現在では所要資金のうちの四分の一だけを県が自分で出し、あとの四分の三は国と中小企業金融公庫から供給される、一応こういうことに落ちついた次第でございます。
  165. 中村重光

    中村(重)委員 県が四分の一ということになりましても、これは現在の貧弱な地方自治体の財政状態では非常に大きな圧迫になるのだから、この点に対しても当然基準財政上の問題としてあなたのほうとしては配慮され、それぞれの関係各省との連絡を密にして、そうして地方自治体の負担にならないようにしなければならぬ。同時に将来の問題としては貸付事業団の構想というようなことも検討される必要があると私は思う。  なお信用保険の契約は国と貸与機関との間に行なわれるのであろうと私は考えているが、その場合信用保険の期間は三年ということになっている。ところがこの貸与期間とのズレがあるわけです。この調整はどうお考えになっているか。
  166. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 御指摘のように現在保険のほうの期間が三年でございまして、こちらのほうの貸与期間と食い違いがございますので、保険のほうを五年に改正してもらう予定にいたしております。これは政令でできるそうです。
  167. 中村重光

    中村(重)委員 けっこうです。同時に、その際保険とこの貸与期間との関係だけではなくて、いまの信用保険の期間が三年になっている。これは近代化のおくれている中小企業というものが締め出される可能性があると私は思う。だからこれを契機に、そうした近代化のおくれている中小企業というものがこの信用保険対象となり得るように、三年を五年に延長していくというような全般的な期間の延長、こういう形で取り組まれる必要がある。先般の委員会で審議の際あなたは御出席じゃなかったのですが、しかしその内容はお聞きになっておると思いますから、ひとつあなたの心がまえを……。
  168. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 とりあえず私のほうの直接の関係の点は話がついているようでございますが、一般的にどうするかにつきましては、先生の御意見も参考にさせていただきまして、よく検討、相談をさせていただきたいと思います。
  169. 中村重光

    中村(重)委員 ボランタリーチェーンの中で小売り店の連鎖化を考えておられるようですが、これは予算にして一億二千二百万円、件数は二十五件、大体小売り商が百五十万の業者があるわけでしょう。これに二十五件、一ケースが大体三十名程度考えているということですから、そうすると、これは全く新しい構想ではあるのだけれども、この網にかけて、いわゆる施策対象になるというものはほんのわずかですがどうですか。こういうことでよろしいとお考えになっているのですか。
  170. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ことしのボランタリーチェーンの予算は御指摘のようにまことに少ないのでございますが、何といたしましても新しい政策でございます。いろいろ実施をしてみますと、そこに問題もあろうかと思いますので、まず第一年度でもございますので、テストケースとしてできるだけ模範的なものを育成していきたい、同時に一般に対する啓蒙宣伝といいますか、そういう方面に力を入れまして、将来段階的にだんだんに拡充をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  171. 中村重光

    中村(重)委員 できるだけ早く審議を煮詰めて、委員長の要請もあることですし、できるだけ早く上げたい、こういうことでやっていきますから、速記の方にもまことに申しわけがない、役所の方にも恐縮なんですが、いましばらく審議を続けます。  この連鎖化ですが、この目的は何ですか。あなたはテストケースでやりたい、こう言っているんだが、どうも私は企業整備のにおいがしてしょうがない。だからその目的近代化なのか、物価対策か、企業整備か、いずれにウエートを置くのですか。
  172. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回のボランタリーチェーンの推進の目的は、大きく分けまして二つあるかと思います。一つはいわゆる近代化でございまして、現在の流通機構がかなり複雑になっておりますので、近代化いたしまして、小売り商業者の地位の向上をはかりたいという点であります。第二の点は物価対策でありまして、コストダウンによりまして、消費者に提供する価格が引き下げられることを期待いたしております。この二つが大きな目的でございます。
  173. 中村重光

    中村(重)委員 いまのお答えに対してもいろいろ問題があるように思うのですが、時間の関係で先に進みまして、あとでまたあらためてお尋ねします。  チェーン化するということになってくると、どうも向こう三軒両隣の業者が加盟をするということが好ましいようであって、またこれを好ましくないとする向きもなきにしもあらず、いろいろそこらあたりでピックアップされるのではないかと思うのですが、その場合に、いわゆる距離というものも当然制限というか適正配置みたいな構想が出てくるのではないかと思うのですが、そこらあたり、どうなんですか。
  174. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回のボランタリーチェーンの構想は、いままで行なわれました商店街近代化とかあるいは寄り合い百貨店というような、ある地域に集合するという形態とはちょうど正反対の行き方でございまして、適当な距離を置いて分散しておるということがその特徴であろうかと思います。したがいまして、先生のお話のように、向こう三軒両隣が集まってチェーン化するというようなかっこうではございませんで、適当な範囲に分散をする、離れておるというところにその特色があろうかと思います。そして、いたします事業は、そのチェーンの名前によりまして共同宣伝をする、それから共同仕入れをするとかいうことによりまして、比較的現在のままの形を存続しながら、しかも手をつなぐことによって地位の向上をはかる、あるいは合理化を進めるというところにそのねらいがある次第でございます。
  175. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのお答えはごもっとものようにも聞こえる。ところが弊害が出ますね。いろんな施策を講じようとされる、共同化の問題のところで行き詰まる、どうもうまくいかないというので、今度はそのいわゆる逆とあなたが言われた分散したやり方でもってチェーン化していこう、こういうことなんです。ところがこれには相当きめこまかい国の施策が講じられておるんですね。いわゆる本部ができる、製造、販売、共同仕入れだとか共同宣伝だとか、あるいは従業員の採用だとか訓練だとかいろいろなことが考えられる、それについては個人の企業努力というものももちろんありましょうけれども、国やあるいは地方自治体のきめこまかい助成、指導というものがなされてくるということになってくると、格差がっくわけですね。まわりの店舗との間に格差がつくんです。そうなってくると事実上優勝劣敗というような形になってまいりましょう。その点をあなたのほうとしてはお考えにならなかったか、そういうことのないように何か特別な配慮というものがなされるのか。まあ何かやろうとするといろいろな問題が出てまいります。一面やむを得ないということはそれは私は言えると思います。ですけれども、こういう新しい施策を講じられる、同時にこれに参加を希望しても、いまあなたが向こう三軒両隣はいけないのだ、いわゆる分散させなければならないのだということが方針なんだから、希望があってもいれられない、しかもその希望するものも、必ずあなたのほうではいわゆるその企業の規模、能力というものが対象になるような気がする。比較的中以上の、いわゆる何というのかその地域によってその中小の度合いは違ってまいりましょう、まいりましようが、比較的に経営内容、経理内容がいいような商業をお選びになるようなことになるのではないか、そうなってくるとその波及するところの悪影響というものは相当大きいと私は思う。そこらあたりの配慮はどうしておられますか。
  176. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 先ほど最初の御質問にも企業整備をねらっているのじゃないかという御質問があったのでございますが、今回のボランタリーチェーンはそういうねらいを持っておるわけでは毛頭ないのでございまして、あくまでも向上しようとする意図のある小売り商に新しい方向を与えるということでございます。したがいまして、たとえばある小売り商がボランタリーチェーンに入った、かりに言えばさくらチェーンというのをつくりまして、そして新しい制度による合理化の恩典を受けまして、ある程度商品も値引きができるというようなことになってまいりますと、その近くにあるほかの小売り商は確かに脅威を受けるわけでありますが、その場合にそのほかの小売り商のほうもまた自分が同志をさがして、そしてふじチェーンというものをつくる、それによって合理化をはかっていくというようなことが考え得るわけでありまして、そういう場合に私たちとしては、さくらチェーンは認めたけれどもふじチェーンは認めないということでなしに、同じような条件のものはどんどんこれを助成していくという考えでおるのでございます。そういうふうになってまいりますと今後チェーンの数がふえる、それに対する助成資金も非常にたくさん要るようになってまいりますが、それは第一年度からはそうたくさんには出てまいりません。今後段階を追って実情に応じてその面の手当もふやしてまいりたい、かように考えておる次第であります。それからなお個々の単位の小売り商があまり小さ過ぎて、どうもそれ自体はチェーンの一環としてでも十分に合理的でないというふうな場合には、ある地域で、お互いに合同しまして、そしてかりに言えば、スーパーなり何なりを結成する、そのスーパー同士が、ある地域、離れたところ同士がチェーンをつくるという行き方も考え得るかと存じます。
  177. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの御答弁は若干混乱をしているような気がするんだけれども、大体あなたのほうでは、集団的は好ましくない、チェーンに加盟するものは分散して、あまり同じような地域にチェーンに加盟するものが多いことは好ましくないんだというのが先ほどの答弁、いまのお答えは、さくらボランタリーチェーンというものの本部ができた、またこっちも本部ができた、あっちも本部ができた、その本部からこの小売り店を勧誘する、こっちを勧誘する、そういう形だと全部チェーンに入ることになる。そうすると、先ほどのいわゆる集団化ではない、今度は従来の集団化の全然逆の分散してそういうものを考えていくのだというような、個人の民間企業がいろいろ会社をつくってお互いに競争していくというならば、自由企業の中におきましては、まだ適正配置とかなんとかいうことができない中においては、とめることはできないかもしれぬが、少なくとも政府施策において、こういうようなことが好ましいというので打ち出された以上は、本部が幾つもできて、向こう三軒両隣が違った本部の加盟店ではあるけれども全部入ってくるということになると、先ほどのあなたの基本的な方針とは食い違ってくるじゃありませんか。そうなりませんか。
  178. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ある地域に、たとえば隣同士でおります同じような種類の店が、Aのほうはさくらチェーンに加盟している、Bのほうはふじチェーンに加盟する、こういうことを申し上げた次第でございまして、それぞれ別のチェーンに加盟をして、それでお互いに競争しながら合理化をはかっていく、こういう趣旨でございます。
  179. 中村重光

    中村(重)委員 だから、あなたの答弁は少し混乱しているというのです。大体当初私の質問に対して、共同化、企業合同という集団的なものと今度は逆なことをやるのです、向こう三軒両隣がこのボランタリーチェーン、小売り連鎖店に加盟することは好ましくないのだというのが、あなたの私の質問に対するお答えだったのですよ。そうすると、幾つも本部ができて、そうして縦の線でずっと出てきて、今度は本部こそ違うけれども他の本部に入っているのだから、政府施策に基づいて、そういうことになれば、全部の企業がチェーンに加盟することになるじゃありませんか。そうすると分散をして、同じところに向こう三軒両隣入るということは好ましくないということとは答弁が食い違うでしょう。どの本部に入ろうとも、要するにボランタリーチェーンという方針は、あるべき姿というのは、あなたが構想しているのだから、その構想に基づいて私の質問にお答えになったのだから、さっきの一番当初の答弁が間違いですか。どっちです。
  180. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 最初に申し上げましたのは特定のチェーン、たとえばさくらチェーンというものを考えます場合に、そのチェーンに属する店はある程度お互いに距離が離れているということを申し上げたのでございます。したがいまして、違うチェーンに入っている店が近接するということは当然あり得ることでございまして、最初に申し上げました点と、これは特に何も矛盾をいたしていないのであります。ボランタリーチェーンというものの制度は、アメリカあたりで行なわれているのを見てみますと、ある程度、特定のチェーンに加盟している店というのは、ある地域、その活動範囲の中に一軒だけ指定してある。ところがその同じ地域で、やはり競争する立場にある店はほかのチェーンに入ってそしてお互いにせり合って競争していくという姿でございまして、最初申し上げましたのは、特定のある一チェーンの姿を申し上げたわけでございます。その場合に、たとえばさくらチェーンというのに、ある地域にあるAという店とBという店と隣同士の店が入るということになれば、ついお互いに若干そのチェーンの中で競争し合うということですから、そうすると、本来のボランタリーチェーンの目的が達成できないのじゃないか、こういうことでございます。ただこの辺は、若干地域的に、地域の特性その他もございますから、一つの特定のチェーンの場合ですが、さくらチェーンに属する場合にはどの程度の範囲に一軒、次にどのくらい離したらいいかということは、これは商品の種類なりまたその土地の状況等によりましてかなり違うと思います。一律には申し上げられないのじゃないかと思います。そういうことでございますので、最初に申し上げましたように、ボランタリーチェーンに入る店というのはある地域には一つしかないのだという趣旨では決してないのでございます。そうなりますと、これはたいへんな企業整備というようなことにもなるおそれがあるわけでございます。そうではございませんで、チェーンというものの性質上、ある一つのチェーンに入るものは適当に分散したものが集まり合う、そういうものが、たとえばたまたま同じ隣同士の店で、違うチェーンがどこででもみんな競争し合うというようなことも考え得るわけでございます。これはチェーンが違う場合は当然あり得るわけでございます。
  181. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁の中からはボランタリーチェーンをおつくりになった趣旨がどうもすっきりしないですね。そういうようなことでチェーンを幾つもつくって、そしてあなたは競争させるのだとおっしゃる。そういうことが事実問題として期待できますか。それよりも、従来の小売り商業協同組合であるとかいろいろな組合によって共同事業をやらしたり何か、いままでの制度の中でそれを強化した中で十分いまあなたがお答えになったようなことが可能なんです。新しい制度をつくる、そういう新規措置のみを追うていくというような感じがしてならないのです。この問題をずっと追及していくと、中小企業指導センターと商工会の経営指導の事業というものはどういう調整をしていくのかとか、既存の組合との関係はどうだとかいうものがいろいろまだ出てくるわけです。ですから、そこらあたり現在の制度をさらに強化していく、その充実をしていくというような配慮があってしかるべきだと私は思う。あなたはいま、当初答えたことと矛盾はないのだとおっしゃるけれども、少なくともあなた自身は矛盾を感じておられるだろうと私は思うのですよ。しかし、これはきょうでおしまいでありませんから、また続いて別の機会にお尋ねすることにいたします。  サービス業の連鎖はどうお考えになっておりますか。
  182. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ボランタリーチェーンの対象といたしましては特に限定的に考えておりませんので、サービス業も考え得ると思います。
  183. 中村重光

    中村(重)委員 物価対策の問題から考えるのだったら、考え得るのじゃなくて、やはりサービス業については当然考えてしかるべきじゃないですか。サービス業だって人件費が主になるような企業が多い。やはり共同仕入れであるとかなんとか——ところがいま言うようないい意味の競争だったら、それだってやればやれないことはないですね。また物価対策という問題からいたしますと、いつも問題になるのはサービス料金なんですから、そういったような物価対策という面からは相当重点を置いて考えられなければならないものなんです。サービス業の連鎖化ということは構想の中に出ておらなかったのですか、考え得るといったような程度ですか。
  184. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回考えましたボランタリーチェーンは、実は小売り商、商業対象にいたしておりますので、私先ほど申し上げましたのは訂正させていただきます。サービス業は今回の助成対象としては一応考えておりません。
  185. 中村重光

    中村(重)委員 ボランタリーチェーンの問題をお尋ねすると、これだけでまだ一時間、二時間かかりそうですから、きょうはボランタリーチェーンの点は以上の程度にとどめまして、あらためてまた委員長に時間を特に配慮していただいて質問を続けたいと思います。  最後に、簡単に構造改善事業について質問を二、三いたしまして終わりたいと思います。  この構造改善事業計画政令基準に該当しなければならない、こうあるようでございますが、まだその他にも政令にゆだねている点が非常に多いわけですが、どうもこれはあまり気に食わないのですが、しかしあなたのほうの考え方ですからこれを押していく以外にはないわけです。政令基準はどういうことを考えているのですか。
  186. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 構造改善事業対象になるためには、主務大臣の承認が必要なわけでございますが、その場合の承認基準として考えておりますのは、まず第一に、構造改善事業というものがあるわけですが、その事業計画にすべての組合員が参加する。そしてその計画に基づく事業実施による利益をすべての組合員が受けることになるという点が第一であります。第二に、その事業実施することになりまして、組合員の生産性の向上が期待できる。それから第三に、その計画が五年以内に実施されることが確実である。第四に、事業計画実施に要する資金の額及びその調達方法が妥当なものと認められるものである。それから第五に、組合の経理的な基礎が確実で、かつ組合の永続性が認められるものである。それから第六に、事業計画にかかる事項の達成される見込みが確実である、こういったような、やや抽象的でございますが、そういう基準を考えております。  なお具体的には賦課金の徴収、積み立ての限度、準備金の保管の方法、あるいは転廃業の場合はその交付金の償還方法等につきまして、できるだけ組合の実態に即して考えたいと思っております。
  187. 中村重光

    中村(重)委員 ずいぶんきびしい制約条件というものがあるようですが、抽象的であるのがかえってどうもあぶないので、具体的にいろいろお尋ねしたいことがありますが、これもまた先に譲ります。その場合、団地なんかの場合の旧設備、土地、建物その他の設備に対してはこの規定が適用されることになりますか。
  188. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回の構造改善事業対象として考えておりますのは、将来共同施設をつくるために積み立てをするということでございますので、すでにつくっております設備はこの対象にはならないと考えております。
  189. 中村重光

    中村(重)委員 この特定組合の中に企業組合が入っていないようです。どうして企業組合をはずしましたか。
  190. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 この構造改善事業は一応組合組合員とがそれぞれ独立しておるといいますか、組合員から賦課金を徴収して共同施設をつくるというような仕組みになっておるのであります。企業組合はその点組合員が独立した事業者としての立場を失って組合に没入をしております関係で、いま申し上げましたような仕組みにはちょっと乗り得ないようなかっこうになっておりますので、その点で実際問題としてそういう必要がないといいますか、当てはまらないということで一応対象からはずしております。
  191. 中村重光

    中村(重)委員 なるほど形態から言えばあなたの言われるとおりですが、実態はそうじゃないのじゃないですか。この実態は、企業組合のほうも、やはりそれぞれの店舗を持って、そうして企業組合という形で共同事業をやっていく、こういうことじゃないかと思います。せっかくこういう構造改善事業で全体を対象に組み入れて施策を講じていこうとお考えになるならば、やはりこういう企業組合というのは、ある意味では政府施策に協力しておるんですよ。あなたのほうでは、やはり究極の目標というものは企業合同である、こういうことであるならば、その企業組合というのは、あなたのいわゆる究極の目標に近い形態であると考えられなければならない。そういうような政府施策に協力をするような団体、こういうものを、もっと弾力性を持ってこういう制度の中に組み入れていくという態度こそ、私はほんとうに生きた政治の姿ではないかと思います。それを、そういうたてまえにはなっていないのだという、かんで吐き捨てるようなそういう考え方は私ばどうかと思う。中小企業庁長官のお答えとしては形式論に過ぎて受け取りかねるのですが、どうですか。
  192. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 企業組合につきましては、先般来いろいろ御議論をいただいたのでございますが、本質的に現在の組合制度の中で企業組合というものはどういう形が適当なのか、また現在検討されております組合制度自体の中でどういうふうに扱っていくべきか、また協同組合の中でやや企業組合的な方向に進んできておる、いわゆる協業化法人との関係をどうするかというような問題もございますので、先ほど私が申し上げましたのは、一応現在の法律のたてまえに基づいて申し上げましたので、それでは最終的な解決にはならないという御指摘はまことにごもっともでございますので、今後の問題として検討させていただきたいと思います。
  193. 中村重光

    中村(重)委員 どうも誠意のある答弁をされると、あまり追及もできないのですが、いまのあなたの答弁を生かさなければいけないですよ。組合の母法は改正してもいいじゃないですか。いつも改正して、よりよい方向に前進しようとしておるのですから、やはりあなたのほうの目標を追求していくためには法の改正だってあってしかるべきで、なければいかぬと思います。  なお環衛業団体の養成施設というものをつくるための構造改善事業の中で考えられる面があるのではないかと思いますが、そういう点はどうですか。
  194. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 組合共同施設として十分に考え得ると思いますので、この新しい制度に乗り得ると思います。
  195. 中村重光

    中村(重)委員 わかりました。  最後に、いまのあなたのお答えの中で私が率直に感じたボランタリーチェーンの点ですが、どうもこれは優良企業組合というものを対象として特別の措置を講ずるという結果におちいっている。事実上、優勝劣敗、零細企業を淘汰するというような方向におちいりやすいというような感じがいたします。ですからこの点に関してはひとつ十分なあなた方の配慮がなされなければならない。このことはいわゆるボランタリーチェーンというものはメーカーのための対策であるということにおちいるおそれがある。だからこの点に対しても十分の配慮をなされなければならないの池はないかというように考えます。  もう一つは、明確でないのは卸価格及び小売り価格というものをどう考えているのか。いろいろ競争するとあなたはおっしゃった。だから小売り価格ということについて一割なら一割引かなければならないということを一つの制度化するような形になるのではないか、そうするのかどうかという点、そうなった場合にいわゆる独占禁止法の関係というものは出てこないのかどうか、そこらあたりをまとめてひとつお答えを願いたい。
  196. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ボランタリーチェーンにつきましては、私の説明がどうも不十分でおわかりいただけない点があるようでございますが、終始一貫して私たち考えておりますのは、これによって小売り商の地位の向上をはかるということでございますので、決して優良企業だけが手を結んで伸びていく、そしてそれに入れないものが脱落して滅びていく、こういうようなことを私たちは考えていないのでありまして、特に今回ボランタリーチェーンの協会ができましたときも、私は小規模企業者のチェーンとして、小規模企業者の地位の向上をはかるということに重点を置いてまいりたいということを申し上げたような次第でございます。まあ実際の運用になりますと、いろいろむずかしい点もあろうかと思いますけれども、そういう心がまえで努力してまいるつもりでおります。  それからメーカーのためのチェーンになるということにつきましては、これは特に私は警戒を要する点だと思いますので、その点も十分な配慮をしてまいりたい。で、小売り業者のためになるチェーンを助成していく、そうでないものは一切助成をしないという点は割り切って運用いたしてまいりたいと思います。  なお最後に価格の問題でございますが、今回のボランタリーチェーンによりまして、コストの引き下げが行なわれ、小売り業者の販売価格が下がることを期待しておるのでございますけれども、価格について直接政府条件としてつけて強制的に下げさせる、こういうようなことは考えておりません。これはあくまでも業者の自主的な経済活動にまかせたい、このように考えておる次第でございます。
  197. 中村重光

    中村(重)委員 まあ業者の考え方にまかせると言うのだが、あなた、物価対策というようなことをボランタリーチェーンの中では構想として考えている、それはその積極的な一面です。そうすると、せっかく政府資金というものを投入していくのですよ。価格面に対してこれが引き下げられる、サービスもよくなる、そういうような効果をねらわずして、何のためにこれをやるのかということになる。だからして、その業者にまかせるのだ——それはあなたのほうですべてを統制をせよと私は言わない、やはりその政府の目標というものが到達されるようなそういう形の指導というものがなされなければならないのです。だからしてあなたのほうとしては具体的な問題として出てくる点は何かという点をちゃんと考えておられると私は思う。メーカーにもできるだけ安くこれをおろさせるというかあるいは製造させるということを要求されるでありましょうし、さらに小売り販売店の方面におきましても現在の販売価格を引き下げていくというようなそういう効果というものを当然あなたはねらっておるだろう。サービスもよくなるようにしなければならぬということをお考えになっておられるだろう。そういうことがねらいであるならば、もっとこの問題に対しては一つの立てた柱というものがそのとおりに実現をされるように、ふらふらして変なところに倒れないように、そういう対策がなければいかぬ。少なくとも投資育成会社みたいな政府答弁と逆な方向に実際は運営されるというようなことがないようにされなければならぬと私は思うのです。ですからこの法律案内容あるいはあなたの答弁というものは非常な矛盾もある。疑問も感じられる。納得がいかないような点もまだ多々あります。しかしこの後の質疑を通じてそういう点の解明をしてまいりたい、このように私は考えております。だから十分今度は——あなた個人は私は信用しています。信用していますけれども、あなた個人の力をもってしては、そういういわゆる好ましい望ましい方向、あなたが構想した方向へとこれが進まないということも私はないとは言えない。だから中小企業庁あげてこの問題に対してはいわゆる全力投球をやって、そして少なくともあなたのいま答弁された方向にこの制度が運用されるように対処してもらわなければ私はならぬと思います。最後にあなたのお答えをいただいて質問を打ち切ります。
  198. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま先生から力強い御激励をいただきまして、私もそういう精神を体しまして全力をあげて本来の制度目的を達成するように努力いたしたいと思います。
  199. 中村重光

    中村(重)委員 長時間にわたりましてたいへんどうも——…。
  200. 天野公義

    天野委員長 午後三時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後三時六分休憩      ————◇—————    午後三時三十九分開議
  201. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、同じく中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案及び同じく中小企業近代化資金助成法の一部を成正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。栗山礼行君。
  202. 栗山礼行

    栗山委員 三法案の問題点と改正点の問題等に若干の意見を加えつつ質問をいたしたいと思っておりますが、理事会の決定は金曜日の質問の御決定をいただいたのでありまして、十分資料を集めまして近時時問題の多い中小企業対策の一環としての近代化の問題を質疑いたしたい、こういう考え方でおったのでありますが、諸般の事情がございまして、何か突然不十分な姿勢において質問を行なう、こういう役割りを与えられました。したがって、私の本意であらざるきょうの質問なんでございますが、寸足らずの内容の質問に立ち至ると承知をいたしておりますが、中小企業庁の前向きの施策の御推進をいただくという立場において、協力申し上げる立場で特にきょうは質問をさしていただきたい。ちょっと一石だけ打っておかなくちゃならないのじゃないかと思うのであります。しかもおしかりを受けないような短い時間に集約いたしまして質問をいたしたいと考えておりますが、そういう意味で、できるだけ簡潔要を尽くしまして、懇切な前向きの御答弁をいただきたいことをまず前提に申し上げておきたいと思います。  近促法の問題からお尋ねをいたしてまいりたいと思いますが、今度の一部改正によりますと、企業組合の割り増し償却の対象にこれが加えられておると承知をいたしておるのでありますが、企業組合がその対象に加えられました基本的態度といいますか、基本認識及び具体的な説明をいただきたい、こう考えております。
  203. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回お願いいたしております近代化促進法の一部改正によりまして中小企業者定義企業組合を加える、また合併等の場合の課税の特例の対象として企業組合を追加することがその内容に入っておるのでございます。企業組合は比較的零細な事業者組合をつくることによりまして、ある意味から言いますと、組合に没入をして、独立した事業者というよりは、組合そのものが一つの事業体になって組織化、共同化の実をあげるという形式でございます。今回の近代化促進法の改正にあたりましては、従来この促進法の対象といたしまして、中企小業者として会社及び個人を考えておったのでございますが、いま申し上げましたような企業組合制度の本旨から言いまして、企業組合もこれに加えるということが必要である、こういう判断で今回の改正をお願いいたしておる次第でございます。
  204. 栗山礼行

    栗山委員 いまの企業組合の性格、とらえ方というものは、企業組合は営業行為即組合という不可分の性格を持っておる——こういうような団体という理解のもとにおいてこれを加えた、こういう説明でございますね。そのように理解してよろしゅうございますね。——そういたしますと、この中に商業及びサービス業が加えられなかったその理由をひとつ伺いたい。
  205. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 近促法の対象といたしましては、商業サービス業も特に除外をしてはおりませんので、対象となし得るようになっております。ただ、近代化計画を作成して、それを実行していく、こういう意欲と、一つの計画の実行性を持っておる業種を逐次優先的に指定をしてまいっておる次第でございまして、その結果として、いままでのところ製造業が中心になっておる、こういうことでございますので、適当な業種が御指摘の商業サービス業にございますれば、これは対象として取り上げていくことにやぶさかではない、こういう考え方でございます。
  206. 栗山礼行

    栗山委員 私は、商業、サービス部門という複雑多岐にわたります特質を持っておるものについては、計画策定にあたっては非常に困難な内容を持とうかと思います。しかし、近代化それ自身の促進の方向づけをするということについて、一番低位にあり、複雑多岐にわたっておりますそれらの商業や特にサービス部門というものについてこそ、指定の範囲内においてこれの計画策定の方向に取り組んでまいる、こういうのがものの理念としての方向づけではなかろうか、こういう見解を持っておるのでありますが、ただいまは入れるにやぶさかではないけれども、非常に複雑と困難性等もあって特に今回対象に入れなかった、こういうふうな御答弁のように伺うのでありますが、重ねて私は基本的な一つの見方から御意見を伺いたい。
  207. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 従来近代化促進法に基づく業種指定は逐年行なってまいっておりますが、現在までに六十八業種指定いたしております。その大部分は、先ほど申し上げましたようないきさつから製造業でございますけれども、ごく一部には広い意味のサービス業、たとえば港湾運送業、普通倉庫業、陸上貨物運送またはその取り扱い業、さらには自動車分解整備業等がその対象になっております。またクリーニングもことし指定をする予定になっておるような次第でございまして、お説のようにサービス業あるいは商業における近代化合理化も非常に重要になってまいっておりますので、その重要性を十分にわきまえまして、できるだけ前向きで取り上げてまいりたいと考えます。
  208. 栗山礼行

    栗山委員 次に、商工組合事業協同組合をこれにお入れにならなかったその理由といいますか、あるいは経過といいますか、さらにまたその基本的な認識、こういう点でお示しをいただきたい。
  209. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 従来近代化促進法の対象といたしましては、会社及び個人がその対象となっておったのでございますが、今回企業組合を追加することにいたしまして、その際御指摘の協同組合対象にしてはどうかという意見もあったのでございます。一つには、税の関係協同組合は従来から対象となっております会社、個人あるいは企業組合等に比べますと税率が軽減されて恩典を受けております。そのバランスの問題が一つございますことと、それからもう一つは、協同組合の中にも最近いろいろ新しい実体を持ったものが出てまいっておりまして、いわゆる協業化法人という形のものが出てまいっております。実質はいわゆる企業組合とだいぶ似たような形のものもございますので、現在組合制度全般について根本的な再検討をいたしておる段階でございますので、そちらのほうの結論をまった上で、この近促法にどういうふうに組合制度を取り入れるかということを結論したほうがよかろうというので、今回は見送ったような次第でございます。
  210. 栗山礼行

    栗山委員 商工組合をどう見るか、事業協同組合のその性格及び企業組合との相違点をどう理解するかというところに、やはり大きな問題点があろうかと思うのであります。端的に申し上げて、企業組合が近促法の対象になるという形においては、先ほどの御説明のとおりでありまして、私は、やはり商工組合及び事業協同組合というものをどう認識するかということによって、これが対象になるべき内容のものである。特に、多岐にわたります協同組合等について、異なった目的と運用のいささかはずれた内容を持つ協同組合というものは例外的な問題でありまして、それが主たる内容ではないと感じるのでありますが、私の理解によりますと、商工組合事業協同組合というものがやはり協業化の方向の一つであります。そして共同行為によりまして仕入れを行ないますとか、あるいは販売を行ないますという事業を行なってまいって、そして共同の利益行為とそして民主的な企業の安定性の方向とに取り組んでまいろう、こういうところに組合の運用があろうかと思うのでありますが、ただ、企業組合と違います点は、どの程度の商工組合事業協同組合事業規模、事業のパーセンテージと、企業組合と対比いたしましたときにおいてどう見るか、こういう点にあろうかと思うのでありますけれども、私は、元来は、企業組合というものは、事業協同組合商工組合のやはり一番ピークに存在する、事業組合という方向への一番高度な内容を持っておるものだ、こういうふうに解釈をいたしておるのでありますが、しかりといたしますならば、協同組合や商工会というものについては、その事業の質的内容を高めてまいって、共同化による、協業化によります企業組合実績をあげてまいるという方向に持ってまいるということが組合の精神だ。だといたしますなれば、これをいまのお説のように除外するというところに何か論理の矛盾があるのではなかろうか、こういう考え方を持っておるのでありますが、長官の所見をお伺いをいたしたい。
  211. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 事業協同組合につきましては、これは原則として、共同施設を持つとか、あるいは共同事業を営むというようなことで経済活動を共同にするという、これが程度がいろいろございますけれども、部分的な共同化がその内容であろうかと思います。したがいまして、企業組合と比べました場合に、そこに一つの共通の性格がございまして、ただ、程度が御説のように、企業組合の場合は、それが非常に高度化してある極限にまでいっている。事業協同組合の場合は、それがいろいろな程度があって、中にはさしたる共同事業もしていないようなものから相当進んだものまで分布しておるというのが実情かと思います。それから、商工組合は、これは先生御存じのように、どっちかというと調整活動を主体としておりますので、その辺は性格が非常に違いまして、いわゆる近代化促進法でいろいろな助成策を講じて合理近代化をしていこうという対象からは、これは私は性格的にははずれるのがあたりまえではないか。組合で申し合わせをしまして生産調整をするとかあるいは価格協定をするとかいうことが主眼でございまして、共同事業そのものをするのが目的ではございませんから、そこには一つの線が引けるかと思います。そういうようなことから、企業組合事業協同組合との間には一つの共通的なものがある、これは程度の差だけである、こういうふうに思います。したがいまして、基本的な考え方としては、できるだけ協同組合もこの近代化対象として考えていく、こういう姿勢で、それをただ、法制化していく場合にどういう性格つけをしていったらいいかということは、いま検討してもらっております組織委員会のほうの結論をまって処理をいたしたい、かように考える次第でございます。
  212. 栗山礼行

    栗山委員 私は、申し上げましたように、一束からげでひとつ問題は同列に扱うべきだということじゃなくて、やはり考え方の精神も、実態に即しつつ認識を持ってまいらなくちゃならぬ、こういう前提を踏まえていろいろ進めてまいっているつもりであります。ただ、協同組合が、やはり中身をできるだけ協業化、共同化、共同行為という内容を高めてまいるということが望ましいいい点としての組合の性格ではないか。もしそれが行なわれておらぬということなら、そういう方向に持っていくべきだという、やはり行政指導の方向がある。こういう点からながめて、これをひとつ格差をつけて除外したというところに、どういう原因の存在する事柄があるのかということを明確に承っておきたいというのが私の主眼でありまして、御答弁を受けた面において理解もいたしますけれども、やはり将来はこの問題の重要性というものと、それから組合の方向づけ、そこからくる近代化促進内容というものが重要な役割りを占めてまいるのではないか、かように考えておりますので、そういう点を御検討の上、これをひとつ対処される、こういうような御意見をお持ちであるかどうかということを、重ねて所見を承っておきたい。
  213. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 お説のように、共同化を進めるということは中小企業対策の一つの眼目でございますので、事業協同組合を今後ますます協業化を程度を高めていく、こういう方向で推進をいたしてまいりたいと思います。そうしてその場合に、法律の上での取り扱いもそうした実態にふさわしいものにしてまいりたい、その点では先生の御説のとおりでございまして、そういう方向で今後努力してまいりたいと思います。
  214. 栗山礼行

    栗山委員 次に、指定業種の問題について、先ほど長官は六十八業種というお話がございました。私もかように数字を把握いたしておるのでありますが、その中に基本計画の策定をされておりますのが三十四の業種と数字を示されておると思うのでありますが、これは間違いございませんか。
  215. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 指定業種は六十八でございますが、その中で計画ができておりますのが三十九業種でございます。
  216. 栗山礼行

    栗山委員 指定業種が六十八で、基本計画の策定されておりますのが三十九である、こういうことで、約六割に満たない策定であろうか、こう思いますが、これについて、どうしてこういう内容を持つのかということについての理由をお聞かせ願いたいと思うのです。
  217. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 この促進法の近代化計画作成の事務の進め方でございますが、まず、年度の初めに業種指定をいたしまして、引き続いてその業界の実態調査を相当綿密にいたします。そうしてその上でその実態に基づきまして五年後の目標を策定して計画をつくるわけでございますが、その間に業界の関係者の意見を十分に聴取をいたしますとともに、また学識経験者の意見も徴しまして、そうして五年後の目標を含んだ近代化計画を作成するのでございます。業種指定のときにはごく簡単な事前調査しかいたしませんので、実は調査に相当時間がかかります。そういう関係で数字が食い違っておるのが実情でございますが、ただいま残っております分につきましては、大体今後二、三カ月の間に計画は全部出そろうという段階でございます。そういたしますとさらに今後また新しい業種指定をいたしますので、その分については実態調査をまた始めるという段取りにいたしております。できるだけ事務の遅延を防ぎまして能率をあげたいと思っております。
  218. 栗山礼行

    栗山委員 これは近促法のたてまえからいたしまして、できるだけ指定業種の拡大の方向が望ましいという一点であろうかと思います。  二番目には、すみやかに具体性のある計画策定を示して、そうして近代化促進の実をあげていく行政方向に取り組んでまいっていただかなくちゃならぬ、こういうことに尽きると思うのでありまして、いまお説のように相当急ピッチをあげてその策定の方向に前進をされておる、こういうことでございますから、現下の中小企業近代化促進という重要性にかんがみまして、ひとつ効率的、能率的な方向で努力をいただく、こういうことでこの問題は終わりたいと考えております。  次にお聞かせをいただきたいのでありますが、四十年度の中小企業金融公庫近代化特別融資ワクは五十億だと私の資料で承知をいたしておるのでありますが、それの消化の具体的金額内容をお示しをいただきたい。
  219. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 昭和四十年度の近促法の特ワクは、お示しのように五十億でございます。最近までの状況では、もう年度内も余日わずかでございますが、支払いベースで四十億弱くらいでございます。計画ベースで見ますと大体五十億見当ということでございますので、一部のものは次年度支払いにはなりますけれども、おおむね計画どおりというふうに御了承いただけるかと思います。
  220. 栗山礼行

    栗山委員 いまのお話によりますと、大体五十億の資金量の消化に近いような中身を持っておる、こういう御説明でございますね。長官それに間違いございませんか。
  221. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 そうです。
  222. 栗山礼行

    栗山委員 私の持っている資料については若干ズレがあるようでありますから、長官の資料が正しい、こう信用いたしまして、進めてまいりたいと思うのであります。  次にお尋ねを申し上げるのは、近代化促進の方向として非常に金利が高いという声があるわけでありますが、市中で借り入れますと、大体七分から七分五厘程度に終わるのじゃないかと思うのでありますが、公庫のものは大体八分五厘程度に相なるのではないかと思うのです。もっともこの四月一日から公定歩合が三厘引き下げになりますれば、八分二厘ということに相なってまいろうかと思うのであります。これが非常に元利勘定が高いという声が上がっておる事実の問題であろうかと思うのでありますが、これは近代化促進する、その可能性を促進するという立場において、もっと安い金利の方向に持ってまいらなければならないと思うのでありますが、そういうことについて長官に具体的な御所見がございましたら承りたいと思います。
  223. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 最近の中小企業の経理の状況を見ますと、金利負担の圧迫ということが御説のように相当大きくなってまいっております。したがって私たちといたしましては、できるだけ中小企業向けの金利を引き下げたい、こういう考え方で政府系の金融機関に対しましても金利の引き下げを要請してまいっておるのであります。幸いにして三中小企業金融機関につきましては、昨年の九月に三厘の引き下げをいたしまして、また四月一日から続いて三厘の引き下げをすることになっておる次第でございます。近代化促進法の関係の特別融資のワクにつきましては、従来八分五厘でございましたが、今年の一月一日から八分二厘に下がりました。さらに四月一日からもう三厘下げまして七分九厘にすることになっております。これでも決して十分な満足すべきものではございませんけれども、比較的短期間の間に続いて二回、会計六厘の引き下げをいたしたわけでありますが、今後も中小企業の金利の引き下げには努力をしてまいりたいと考えております。
  224. 栗山礼行

    栗山委員 金利の問題は、たいへんやかましい当面取り上げる問題の一つであろうかと思いますから、せっかくひとつ低利資金の運用ということが基本にならなければならないというたてまえでお進めをお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つこれに関連いたしまして、公庫の金の借り入れの手続の複雑さが、一般的な市中銀行よりも特にむずかしい、こういうような運び、また中身が考えられるわけですが、これを簡素化して利用者の便に供する、こういう方向で臨んでまいらなくちゃならぬと思うのでありますけれども、具体的に指示をされる内容がございますかどうか、ございましたらひとつ……。
  225. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 中小企業関係政府金融機関に対しましては、できるだけ迅速な積極的な貸し出し態度を要望してまいっておりまして、三公庫ともにたいへんに努力をしていただいておるのでございます。ただいまお話しの中小企業金融公庫はあえて申し上げますと、その三金融機関の中では比較的審査に手間どるという評判がございまして、なお強くその迅速化について要望いたしておるような実情でございます。公庫のほうの話を附いてみますと、できるだけ努力はしている、ただ若干ほかの金融機関と性格が違いまして、設備資金、長期の資金が中心でございますので、どうしても短期の資金に比べますと、より念入りな審査をしなければならないということと、それから多くの場合に新しい貸し出し先になるために、イロハから調べなければならないようなケースが多い、こういう説明を聞いております。そういうことはそういうことといたしまして、お説のようにもっともっと手続も簡素化するし、迅速化することが必要であるということは痛感をいたしておりますので、今後も強くそういう方向に進んでもらうように要望をいたしてまいりたいと考えます。
  226. 栗山礼行

    栗山委員 近促法の問題は、いまだに指定業種が六十八社ということでありまして、四十一年度にいかほどの指定業種を加えられるか、あるいは事業計画の策定の中身の問題がどのようなものであるかということについては、せっかく検討してすみやかに方向づけをしたい、こういうことでございますから、いま具体的にお示しをいただくということは困難であろうかと思いますからそれをお求めをしないのでありますけれども、一言申し上げてお願いをいたすわけであります。  やはり近代化の問題というものが日本の中小企業の大きなネックになっております。どのように近代化促進を中身を味つけをして行なうかということに、重大なわが国中小企業問題の運命的方向も定まってまいる問題であろうかと思いまして、そういう面からいわゆる特定の、ごく一部のモデルケース的近代化ということじゃなくて、日本の経済活動の一つの体質改善、近代化、こういう立場に立って広く推し進めていただかなくてはならぬ、こういうふうに思うのですが、そういう意味において、私は今後施策の方向を強く推進をしていただきたい、こういう意見を持っておりますが、重ねて私の意見について所見を伺っておけばけっこうでございます。
  227. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 先生の御趣旨に私ども全く同感でございます。近代化促進法の指定をますます拡大をいたしまして、そうしてこれをてことして中小企業近代化合理化を進めてまいりたい、このように考えております。四十一年度の業種につきましては、ただいま審査の途中の段階でございますので、具体的な業種についてはまだ申し上げるところまでまいっておりませんが、おおむね二十業種から二十五業種の間くらいに落ち着くかと思います。希望としてはもうちょっとたくさん出ておったのでございますけれども、なおいろいろ業界の事情等を調べてみますと、いまここで指定をしましても近代化計画が立ちにくいとか、あるいは基本的に今後の近代化を進める余地があまりないような業種であるとかいうような問題等もございまして、ただいま申し上げた程度の業種になろうかと思います。できるだけこの近代化促進法の指定業種の幅を広げまして、中小企業近代化が広範囲に行なわれるように今後ますます努力をいたしたい、かように考えております。
  228. 栗山礼行

    栗山委員 次に、近代化資金助成法の特に工場団地の問題について若干のお尋ねを申し上げてみたいと思います。  三年の期間の経過をながめてみまして、工場団地というものについて、日本の将来の企業の体系の最も注目すべき花形の要素になるのではないかということで相当高く評価され、これを見られたのでありますけれども、今日ながめてみますと、必ずしもその内容において成果の実態を示しておらないのではないか、こう言う論者も、そういう認識も強く行なわれておる。言うならば一つの転機に差しかかってきておるのではないか、こういわれておるのでありますが、そこで私は、四十年度の団地の目標が三十一団地の目標設定であったと思いますけれども、実際実現いたしましたのは十四団地と承知をいたしておりますが、目標設定に、どこにそういう計画上の狂いがあるのか、あるいは経済上の諸原因がこういう結果をもたらしたのであるかどうか、こういう点が一つであります。端的にこれを示しておりますのは、四十一年度の工場等の集団化資金の中に二十三億四千二百万円も入れられておりますが、四十年と対比をいたしまして、五億一千万円を下回る予算を示されております。この事実は何を物語っておるか、どう評価すべきか、こういう点にあろうと思いますが、少なくとも工場団地というものがだんだん低位にある、こういう事実を示しておる、いわゆる鈍化の傾向というか、推進の方向が低下をいたしておるという見方ができると思います。この二つ内容をながめてみまして、一体中小企業庁としては、工場団地化についての現状におけるどのような基本的な認識と問題の把握、あるいはこういう実態に到達する行政の施策の上における反省点というものがあれば、あわせてお聞かせいただきたい。
  229. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 四十年度の工場団地は当初三十一団地を計画をいたしました。実現は十四団地にとどまった点は御指摘のとおりであります。その経緯を申し上げますと、予算作成当時、各県を通じまして新規計画を募集しました際は、三十五団地の計画の申し出があったのでございます。予算関係でそれを三十一団地に集約いたしまして発足したのでございますが、その後御存じのような経済界の不況等もありまして、計画実施を延期するものが続出してまいりました。いよいよ正式の申請をする段階になりまして十六団地に減ったのであります。さらにその後、一団地は自己資金実施することになりました。またもう一団地は、当方の貸し付け基準に該当しないという計画でありましたので、これもオミットいたしまして、結局十四団地に相なったような次第であります。この経緯は私たちとしても十分に反省しなければならないと考えておるのでございますが、一つにはこの経済界の予想以上の不況、またその不況の長引いたということがあろうかと思いますが、同時にもう一つは、団地を計画する人たちが若干当初甘い考えといいますか、十分に練り尽くされた結果の計画でないものをもって発足しようとされた点があるのではないかというふうに考える次第であります。今後の工場団地の新設につきましては、こうした経験をもとにいたしましてできるだけ計画の段階で十分に練って、そうして実行確実なものを取り上げていくという態度でまいりたいと思っております。それからこうした経緯等もございまして、一部には工場団地の政策は方向が誤っていたのではないかというような批判さえ出ているようでありますが、私はその点は基本的にはやはり工揚団地というのは今後の中小企業近代化にとってきわめて有効適切な方針であって、今後とも強力に進めるべきであるという確信を抱いておる次第であります。それから予算の額でございますが、新年度はそうした経験にもかんがみまして、各県から出ましたものについてかなり入念な検討を加えております。四十一年度としては二十一団地を計画しておるのでありますが、これはまずまず実現間違いないというふうにいまの段階で考えておる次第でございます。
  230. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろ団地の計画からずれてまいります内容について御説を承ったのでありますが、その中心をなすものは今日の不況要因というものが大きな停滞原因である。例外的には自己資金というような恵まれた条件において団地構成をされるというような例外もあるわけでありますが、私はもっと団地構成の施策の推進の中身の問題に大きな欠点が存するのではないかということが私の抱いておる中心なんでありますが、その一、二を申し上げて所見を伺いたいと思うのでありますが、三十一団地の目標で予算はたしか二十八億二千五百万円を計上されたのではないか。私のいただきました資料をながめておるのでありますが、それが十四団地実現を見ておるということで、別途十六だということで、二つは特殊な立場においてつくられたということの説明でございます。これが一つですね。そういたしますと、相当計上されました予算がどのように他に高度化資金に転用されたのか、こういう問題が出てまいろうかと思うのです。それから私のいただきました資料を検討いたしますと、三十八年度の先ほどのお話もあったのでありますけれども実績残高が二億円余っておるということになろうかと思うのでありまして、三十九年度は七億が剰余残高である。四十年度のことについてつまびらかでないのでありますが、大体予算化されました四八%の消化率でしかない、こういうふうな数字を示しておると思うのであります。私はやはり団地化いたします上において計画上及び経済情勢の分析の問題あるいは当初の計画から、これはずれてまいり、困難な諸問題というとらえ方をいたしまして、その理由をいろいろあげられることができると思うのでありますけれども、結局は団地化の施策について不十分な内容、たとえば環境整備の問題にいたしましても、共同施設の問題にいたしましても、あるいは団地の土地の基準あるいは建物の基準価格の問題あるいは融資対象の問題、こういったものが、最初は笛や太鼓でわれこそこれに参上してという意欲を持ったものが、だんだん取り組んでまいりますと、なかなか笛や太鼓の宣伝どおりのものでなくて、これはひとつ別な角度からながめて経過を待たなければ取り組めない、こういう実態の認識をもたらしたということが言えるのではないか、こう考えるのでありますが、私はそういうふうに経過をながめてまいると、策定の中における実現よりされておらないということであれば、その剰余予算のそれの転用の問題も、やはり団地化の構造上の欠点も、それを補完するという立場においでとらえるということの適切を欠いたのではないか。そういうふうに今日単に経済不況が要因として団地構造が思わしい方向づけをされておらないというような答弁だけじゃなくて、もっとこまかい具体的事実を反省し問題点を剔決して、そうして団地構成のあり方を明確に進めてまいる、こういう態度が必要であろうかと思うのでありますけれども、以上の所見を申し上げまして長官の御意見を伺いたい。
  231. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 団地の運営につきましては、当初工場団地ブームとでもいうような空気が出まして、非常に計画する者がたくさんに出ました。そしてわれわれもできるだけそれを実現するようにということで規模の大きな予算を組んだのでございますが、実現の途中で経済界の不況になる。そしてまた運営内容自体についても、御指摘のようにいろいろ改善を要する点が出てまいりまして、中には計画どおりの実現がむずかしく、期限が延びるとか、ごくわずかではありますが一部の団地は計画の根本的立て直しをせざるを得ないというような状況に至ったものもございます。その点はわれわれも十分に反省をして今後の施策に反映をさせたいと考えておる次第であります。  まずいろいろな条件でございますが、これは非常に重要な点を御指摘いただいたのでありますが、工場団地の経験者にいろいろ意見を聞いてみますと、どうも条件にきびしいところがある、実情に合わないところがあるというような話であります。たとえば土地とか建物の基準価格がどうも実情に合ってないということで、今回はたとえば卸売り団地につきましては従来の基準単価、これは最高額ですが、これは坪七千円でありましたのを今回ば一万円に引き上げる。それから特にその場合でもなおかついわゆる最高限という考えじゃなしに、そこは弾力的に一つの基準価格として考えていくというような運用を今回新しく打ち出すことにいたした次第でございまして、そういう面で制度自体にもかなりいろいろな面の改善を加えることにいたした次第でございます。  それから当初予算が不用に立つことが明らかになりましたので、昭和四十年度につきましては工場団地資金のうちの不用見込み額約九億円、これに商業団地のほうでも若干の間不用見込み額が出ますので、合わせまして十億円というものを中小企業信用保険公庫のほうへの出資に振りかえをいたした次第でございます。これは先生御存じのように昨年の暮れに保険法の改正をいたしまして、年末の倒産防止対策に使用した次第でございます。
  232. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろ経過の中身をお伺いをいたしてまいったのでありますが、私は一番大きな問題は、裏づけと具体性のないものを何だかいち早くりっぱなものであるかのことく認識をせしめ、またそういう行政啓蒙をするというところにその原因の一点があるということであります。これから申し上げましても、国と府県によって五〇%ということでありますが、自己負担が業者が五〇%、これについては大きな将来の期待と、それから所要の借り入れ資金というものをその計画の策定の中に入れて、早く走らなくちゃ損だと、こういうふうなかっこうで取り組んでまいった中へ入ってみますと、これはよくわかりませんけれども、ほんとうは建物、土地の一つの基準額にいたしましても、実態との大きなズレがあることは御承知のとおりでありまして、実質的には国と府県が寄せて一七%及び一八%といわれておりますが、これは新聞の報道されておる数字の問題でありますが、政府が示されておりますところによっても、実質三二%という数字を占めておる。いかにこれが大きな負担的内容のものであるかということを、この資金の面でも物語っておる。あげて中身をながめてみれば、いろいろ環境上の整備の問題や、走ってまいったのであるけれども、水を飲み、さて落ちついていい中身の問題に前進しょうというときにはお手あげである。これについて国がそういう施策の方向としてやったのでありますから、できるだけ金融機関助成の方向がまた裏打ちされておらなくちゃならないのでありますけれども、全くこれについては裏打ちされておらない。こういうような諸原因が大きくこれを退歩させた。こういうところに問題の指摘をして、今後の団地構造のあるべき方向づけをするということでなければ、羊頭狗肉の結果に終わるのではないかということを私は憂うるものであります。特に団地化の問題としても、いまわずかな途上で件数がきわめてりょうりょうたるものである。その実績と評価と、経済的及び日本の産業的寄与をする評価をどこに見るかということであれば、マンマンデーである。それはあまり高い評価もできぬ、こういう過程にあるのではないか、こういうところに私は明確な問題点を指摘して今後の施策の方向を明らかにするということでなければ、中小企業庁のいわゆる近代化及び中小企業の打開の方向という施策が生まれてこない、こういう愚見を持つわけであります。非常にこまかいことを申し上げるようでありますけれども、そういった見解に、私が長官と異なった意見であるか、あるいは私の意見というものについて御同意をいただけるか、お伺いしたい。
  233. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 工場団地も発足しましてから四年になりますか、私は先生がお話しになりますように、ある意味で実績を十分に検討し、反省をして、そして今後の新しい政策を打ち出すべき段階にきているというふうに考えておる次第であります。そういう意味で、工場団地につきましては、新しいものを生むことだけにあまり熱心になり過ぎないで、やはりアフターケアを十分にしていこう、こういう心がまえにまずなっておるのでございます。そしてその場合に、一部には非常に否定的な消極的な批判もあるのでありますけれども、私どもは、基本的にはこの方針は間違ってない、こういう考えを一応再確認すると同時に、具体的なやり方については、どしどし改善すべき点は改善していこう、ただいまお話しになりました自己負担の問題、あるいは自己調達に依存する場合に、金融面の裏打ちが十分でない、こういう点につきましては、確かにかなりの団地でそういう声を開くのでありまして、従来もわれわれが知った範囲におきましては、これはできるだけ中小企業金融公庫とか、商工組合中央金庫等にも積極的な融資をするように協力を依頼しているような次第でございますが、そういった点につきましては、今後さらに積極的なくふうが必要であるというふうに考えております。  それから団地をつくる業者自身のほうに対しましても、また私たちは気のついたところを率直に申し上げております。中には非常にうまくいっているところがございます。そういうところは、聞いてみますと、やはり指導者にいい人がありまして、全体のためをまず考える、自分の利益だけでない、そうした人を得たこととか、あるいは組合員の間の協調性が非常にいいとか、また計画実施する前に十分に検討をし尽くして計画を立てている、こういうような条件の整ったところは非常にうまくいっているようであります。そういうことも十分に参考に入れまして、今後改善すべきところはどしどし改善をして、そうして本来の目的を達成できるようにいたしたいと考えている次第でございます。
  234. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん重ねてのようでございまして、御意見の方向というものを理解をいたすのでありますけれども、今度の改正の中身を見ましてもわずか二、三点だと思います。土地の問題が基準の一千円の引き上げ、それから償却年度の七年を十年にいたしてまいる、こういうことで多く問題を摘出すべき中身を持っているものについて、その施策の方向というものが実際はない、こういうところに、なおその御意見と今度の中身をながめてみた場合について、あまりにもいわゆる政府答弁的内容に堕するのではないかと、私は若干長官は苦言を申さざるを得ないのであります。重ねて私が先ほど指摘いたしましたように、償還年限の延長の問題もございましょう、補助率の単価を上げていくという問題もございましょう。せっかくできたものであり、あるいは将来これを育ててまいるという大きな役割りからまいりまして、ひとつ問題の指摘をみずからしていただいて、これの拡充、そうして強化、団地のりっぱな地域、団地構成の方向を推進していくという高い役割りと責務を持って、この問題に取り組んでいただかなくちゃならぬ。私ば改善、改良の積み重ねという、そういうプロセスを経てだんだんよくなってまいるものだ、こういうことを理解しつつ、しかし三年の経過でだんだん退歩する。いいビフテキを食わすのだということでありながら、それがビフテキに至らず、野菜一切れだという、こういうことでは前向きの施策の方向でない、こういうことを私は強く指摘をいたしまして、今後の施策のよろしき卸建在を御期待を申し上げたい、かように思うわけであります。何かそういうことについて重ねて所信がございましたら承ってけっこうだと思います。
  235. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 御趣旨の線に沿いまして今後とも着実にその改善をはかりまして、この重要な工場団地造成の目的を達成するようにいたしたいと考えますので、よろしく御教導をお願い申し上げます。
  236. 栗山礼行

    栗山委員 十分勉強ができておらないのでありますが、いわゆるボランタリーチェーンの問題について、一、二点お伺いをいたしてまいりたいと思います。  全くこれもまた小売り商業の置かれた位置づけを、将来の目標を定めてその一環として連鎖化のシステムの方向をお打ち出しになった、こういうふうに理解をいたすのでありますけれども、もとよりこの目的は流通機構の合理化の問題であり、仕入れ事務及び各般の適正な合理化をはかって経営基盤を確立する。そして消費者物価の安定と国民への奉仕に商業を通じておこたえしたい、こういうところに大義名分が存するように承知をいたすのでありますが、資料によりますと四十一年度の計画は二十五チェーンを策定されておる。そうして十年計画の目標といたしまして十三万軒という目標を押えておるように見るのでありますが、これについて間違いございませんか。
  237. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 御指摘のように四十一年度の予算では、とりあえず二十五チェーンの結成を目標といたしております。その後の計画につきましてはいろいろ内部で議論はいたしておりますけれども、まだまだ長期的な見通しを立てる段階に行っておりませんので、今後引き続いて検討をいたしました上で目標をさらに検討してみたいと思っております。ただいまお話しの十年計画あるいは組織化率目標一割というような点も、ある段階でそういう説もあったのかもしれませんけれども、まだ検討の段階でありますし、特に第一年度新しい試みとして実施をしてみまして、その実績も見た上で長期的な見通しを立てるほうが適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  238. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、とりあえず四十一年度の策定は二十五チェーンということで予算化した。十年の目標の十三万軒につきましては、これはそういう議論があったけれども、まだ煮詰まった内容でない。一年の実績の経過等にかんがみて将来の長期的な目標なり策定を樹立すべきであるという見解にお立ちになっておる。そういたしますと、これをパーにするということで理解してよろしゅうございますか。
  239. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 現段階におきましては、そういう特に固まった数字を考えていないのでございます。今後の問題として検討いたしたいと思います。
  240. 栗山礼行

    栗山委員 ちょっとわかりにくいのですが固まっておらないということ、それから実績にかんがみて計画策定を取り組んでまいりたい。この御意見のほどをよく承知をするのでありますが、そこのところでもやもやいたしておりますことは、そういたしますと、ずばり申し上げまして、いろいろ十年策定という基本を一応立ててみたけれども、これは重ねて問題を検討する必要がある。新しい実績の経過にかんがみて十年策定をすべきであるということで、今日的には四十一年度に限りという形において、将来の長期的策定というものを取りやめる、こういうふうに長官が御説明になっているという理解をいたしたらいいかどうか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  241. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 そのとおりでございます。
  242. 栗山礼行

    栗山委員 私は非常に心配をいたしておったのであります。何でも一割施策、こういうことにまた出たな。もしやるとすれば、年度計画と長期計画の中に、ほんとうに大きな計画とビジョンを示して推進するということでなければ、今日政府施策についてうまいこと宣伝だけをされるけれども、これは全く信用相ならぬという、やはり政治不信の中身にも関連する、こういうふうに考えておったのでありまして、一割策定ということになりますととんだことになるのではないか。特に今度の問題からながめましても、時間がございませんから端的にお尋ねするのでありますけれども自己負担が五〇%でしょう。そして府県が五〇%、こういうことになってまいると、非常に限られた中身になってまいるということに落ちつくのではないか。だから長官がいま長期計画策定ということを否定されておりますけれども、このようなことで遠大な長期計画のビジョンが出てまいるかということについて、はなはだ心細くいろいろ感・ずるわけです。三十九年度の商業統計調査によりますと、小売り商が大体百三十万軒のうち四人以下というものが全体の九割を占めておる、こういう数字が出ております。したがって、零細企業と申しますか、企業にあらざる企業と申しますか、そういったものが百三十万軒の店舗の中において四人以下が九割を占めておる、こういうことでありますから、商業の連鎖化というものが、一割実現という方向じゃなくて、できるだけ五〇%とか六〇%というような規模を中心として計画策定する。自力でそういう中身を進めてまいられる業者がありとするなれば、これを助成推進するということに持っていかなくちゃならぬ。こういうふうに取り組んでまいらなければ、十年計画の策定を中心に考えてみますと、ちょうどこの統計に示されているような一割になると思うのです。そうすると四人以下というものについて負担限度内容等考えてみたときに、四人以下は適用をされざる条件に阻害されるということが、明らかに感覚としてとらえられるのではないか。そういたしますと一割はやはり中堅、その経済能力ありとするものの策定に終わる、こういうことでありまして、長期計画をこういう考え方でお立てになりましたら、十年計画、五年計画というものをどれだけお立てになりましても、実際はもっといまの経済単位の負担能力のないものを含めて、これの連鎖化方式をもってこれと取り組んでまいる、こういう考えの基調の転換をせなくちや、この問題の大きな成果もあらわれない。言うなればアドバルーンを上げて、一つの新しいアイデアということにおいて、今日の近代化や不況の方向というものについて、何らか煙幕を張っていこうといもような政治的要素があれば別でありますけれども、少なくとも今日置かれておる中小企業庁中小企業対策の役割りの一環にするとするなれば、非常に時間はかかりましても、着実に明日の光明と前進を生み出していくという内容をもって取り組んでいかなくちゃならぬ。こういう見解から端的に申し上げまして、私はおやめなさいということをむしろ申し上げたいのです。それはやらないよりか前進がいいじゃないか、こういうことの議論はわかるのでありますけれども、かえってこの事柄が、置かれた条件を前進せしめるという内容を持つかどうかということは、特定の人たちの特殊な条件に相反することを推進するということでありまして、かえって多くの反動と非近代性の持続の方向を一そう高まらしてくるというような内容に発展することを、私の推理でありますけれども、杞憂するのでありまして、これらから一ぺんこの問題について大胆率直にそれらの検討を加えて、なおかつ前進するという内容をお持ちであるのかどうか、こういうことをお伺いしたい。
  243. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話のございました一割施策と申しますか、全体の小売りの中から粒の大きいところがちょうど一割くらいになるので、それが対象になるのではないかというような趣旨のお話がございましたが、その点は先ほど申し上げましたように全くそういうことは考えておりませんことをはっきり申し上げます。  それから今後推進してまいります場合に、特に心がけてまいりたいと思っておりますのは小規模企業でございまして、今回の施策を推進します場合に優良な小売り商だけがボランタリーチェーンに組み入れられて、そして地位を向上する、そして小規模企業零細企業が見捨てられる、こういうことになりましては、全く私たちのねらいからはずれるわけでございますので、その点は運用上十分に戒心いたしまして、どちらかといいますと、私たちとしては比較的規模の小さいところをこういうチェーンをつくって団結をさせることによってその地位の向上をはかる、合理化をはかる、こういうふうに持っていくように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  244. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、長官、ちょっと具体的に——基本的な理念はよく了解ができます。そういう方向が望ましいと私も承知をいたしておりますが、中身についてお脅ねいたしますが、今度二十五のチェーンの目標を設定されておる中に、従業員四人以下というものをどの程度二十五の対象の中に想定といいますか、策定をされておるかということがお尋ね申し上げたい一点であります。  それからもう一つ、反駁するようでありますけれども、あなたの面からまいりますと、いまのような四人以下の自己資本がチェーン化による所要資金という適切な裏づけをされておるかどうか、どの程度のチェーン化による自己負担の所要資金が要るかということについてお示しをいただかないのでありますけれども、あれやこれやのケースをながめてみますと、四人以下の小業者がたえ得る資金ということの額にはやはりほど遠い、こういうことになるのでないかということを私は指摘をして心配をしておるわけです。したがっていま申し上げましたように、そういう零細といいますか、あるいは小規模のものをそういう連鎖化の方式に入れていこうということであれば、御承知のとおり自己負担率をもっと埋めてまいる、あるいは補助率を高めてまいる。そして所要資金が一部自己資金であるが、足らざるものは関連融資の道をつけておる。こういうことで前へ進めるという推進をせなければなかなか進んでまいらないということは、これは実際的に御理解をいただける私の論法ではないかと思うのですが、だんだん進めてまいると、お説と、それから計画の具体的策定というものについては相反する方向に前進しておるという感がいまなお深いのでありまして、具体論として申し上げましたような点についてひとつ御説明を私の得心のいくまでお伺いしなければならぬ、こういうことになると思います。もう少し中身をもって御答弁をわずらわしたい、こういうことでございます。
  245. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 新年度に計画予定をしております二十五チェーンにつきましては、今回新しい試みでもございますので、まだ工場団地のように、あらかじめ年度に入る前に具体的な案件を募集して審査をするというような段階まで入っていないのでございまして、これから具体的に申し込みを券集するということになるわけでございます。したがいまして現段階ではまだどういう業種のどういう業態のチェーンが、またどういう構成員のチェーンが計画されるかということは申し上げられる段階じゃないのであります。しかし私たちのねらい、心がまえといたしましては、できるだけいまお示しの四人以下というような小さい規模の小売り商の人が入るようなチェーンをつくっていきたい、こういう考え方でおります。それをどのくらいにするかということはまだ申し上げられませんけれども、できるだけそういうものをたくさん入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから自己負担の分の資金調達についてでございます。これは小規模の人がチェーンの構成員になりますと、そういう問題が必ず出てまいると思います。先生の御心配私も全くごもっともだと存じます。これは具体的な案件ごとにめんどうを見ていくことになるわけでありますけれども、ごく一般的な行き方としては、チェーンのための共同施設をつくります資金組合で調達します場合に、一部はどうしても組合員から若干は出資をとります。しかし所要資金の半分は、今度の制度によって国及び県から出るわけです。残りの半分につきましては、たとえば商工組合中央金庫から組合金融を受ける道もございますので、そういう面のあっせんをできるだけ積極的にやりまして、小規模の人たちのチェーンも資金の調達ができるような配慮をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  246. 栗山礼行

    栗山委員 いま指摘をいたしましたように新しいシステムでありますから、多くの想定的議論と問題点を摘出してまいるということに相なろうかと思います。私自身もそういう立場にとらわれておると思いますが、ただ問題の勘どころというような面から考えますと、この問題の取り組みというものの至難性、よほど充実した裏打ちがなければ、ごまかしで済ますということで失望のみ与えるという観を呈する、こういうことになりますから、あえて私は出発の前夜に当たって心すべき問題の態勢ということで意見を申し上げておるわけでありますが、いま御指摘になりましたように、自己負担五〇%ということでありますけれども、過去の団地構成なんかをながめますと、結局七〇%か七五%ないし八〇%というものは自己負担という推移をたどらざるを得ないのじゃないか。いままで失敗しておるのだから、今度こそはそういうことのない策定をしていただく、それについての裏打ちがあるかということについても、これはないということでございまして、チェーンが構成いたしますなれば、チェーン自体の事業人格及び対外信用ということにおいて、融資あるいは事業の活用ということについてプラスをすることはわかるのでありますけれども、ただもっと冷厳に、事業は効果的に、そうしてギブ・アンド・テイクの明確なものを持つのでありますから、結局いま申し上げました設備や、あるいは運用の遺憾ない融資対象というものを裏打ちして取り組ますということが望ましい、こういうふうな諸点を指摘いたしまして、遺徳のない方向づけを願いたいということであります。  出発に当たって、私はけちをつけるということじゃなくて、これを前進し完成せしめる一歩としての問題点を十分に心し論議をすることが望ましい姿である、こういうことでいろいろ意見を申し上げたのでありますが、私どもの前向きの意見を十分参酌されまして、この運用に遺憾なきを期していただく、こういうことにお願いを申し上げたいと思います。  共同工場の貸与制度、今度これまた新しいものが出てまいっておるのでありますが、私は今度の内容をながめてみますと、国の四割、地方の四割と自己負担の二割、こういうふうな内容を示されておると思います。  そこで第一点は、地方財政の問題点があると思います。何でもかでも中央で構想を組みまして、そして地方財政のその可能性及び進んでそれと取り組むという意欲がない限り、これはマスタープランとして終わってしまうということでございます。それについて地方財政に与える影響から、どのように地方自治体に対する金融上の施策及び中央としての裏打ちの中身を持っていらっしゃるかということを一点伺いたいと思います。  それから自己資金の問題になるのでありますが、これもまた注意すべき点は、パーセンテージで二〇%でありますけれども、運用の実績にかんがみて必ずしも数字で二〇%というよりももっと多額の負担に進んでまいるという傾向は否定すべからざる内容として理解しなくちゃならぬと思うのでありまして、これらについて基本的には共同工場の貸与制度というものは零細企業ということが基本になっておる。こういうことになりますと、その責任は十分にとらせていかなければならぬのでありますけれども、進んでそういう零細企業の共同化、共同工場の参加の特典という条件を持ち、みずからの位置づけを進めてまいらなくちゃならない、こういうことでなければ何にもならないのじゃないか。これまた同様な感じがするのでありますが、地方団体に対する財政措置、及び個人の負担能力あらざる者に負担を加えるということについて、これの最低限度額とそれから所要の金融措置についての態度についてお答えをいただきたいということでございます。
  247. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回共同工場の制度を立案します段階で、先生御指摘の地方財政の負担の問題というのは、非常に大きな問題として私たちもまっ先に注目した次第であります。自治省のほうと屡次折衝を重ねました結果、幸いにして自治省のほうでもその必要性を認めまして、この県負担の分につきましては起債でめんどうを見るという結論が出ておりますので、その点は心配がないと存じます。  次に、入居者の自己負担の問題でございます。御指摘のように零細企業でございまして、なかなか自己調達の力もないのが普通だと思いますので、その点につきましては、具体的にこの事業を推進いたします県において十分にそのあっせんをするように、またもし要すれば何らかの特別の措置も考えたい、かように思っております。この点は実は実施いたします県においていろいろ事情も違いますので、県のほうでまず考えていただきまして、もし国のほうで処置することがあればそれを応援をする、こういう考えでおる次第でありまして、業者の自己負担分につきましては、御指摘のように最初表面は五〇%といっておるけれども、実際は七〇%が業者の負担になる、こういうようなことのないように、実績にかんがみまして十分に注意してまいりたいと存じます。
  248. 栗山礼行

    栗山委員 御見解はよく了解できますので、実を結ぶ御見解の裏づけ、こういうことで方向づけをいただきたいと思います。  時間がございませんので、その次に設備貸与制度の問題について一、二きわめて端的にお尋ねを申し上げておきたいのでありますが、私の理解では、設備貸与制度基本的な考え方というものは、設備近代化資金の補完的な施策の一環だ、こういうふうに理解をいたしたいと思うのでございますが、そのとおり理解してよろしゅうございましょうか。
  249. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 お説のとおりでございます。特に設備近代化資金の運用に際しまして、残りの五〇%の調達もなかなかむずかしいという人を特に考えまして、今回の制度を考えた次第でございます。
  250. 栗山礼行

    栗山委員 これまた運用の画に問題になってくると思いますが、手続とかそれから条件限度の問題とか、いろいろ具体的に運用の困難性が出てまいると思うのでありますが、いまお説のように、この近代化制度の補完的対策の一環として貸与制度をなされる、こういうことでございますから、これまたきわめて近代化の零細的要素を持つものなりという性格になってまいろうかと思いますから、弾力的な中身のある運用を期待をいたしたいのでありますが、そのような御理解をいただいておるかどうかということの見解を承ってまいりたいと思います。  もう一つ、数字を拝見いたしますと、設備貸与事業予算の問題でありますが、二億八千万円でございますか、事業規模が約十一億五千万円という策定をされておるのでありますが、これの実施をいたしますることについての見通しの問題をお伺いいたしたいと思います。どのような見通しを持って大体十一億五千万円という事業規模の策定をされておるかということであります・伝えられるところによりますと、受け入れる県と受け入れを拒否する県とが出ておる、こういうようなことが一部報道されておるのであります。私はこの種の問題につきましては、やはり全国的規模において適用、運営されるべきものなりという見解を持っておるのであります。一部のデマゴギーとして見たいのでありますが、そのような見解で全国的視野における取り上げ方として推進なさる意思ありゃいなや、こういうことについて承りたいと思います。
  251. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 まず第一に今回の制度は、御指摘のように小規模企業に重点を置いた運用を考えております。その運用にあたりましては、できるだけその目的達成が可能になるように弾力的な運用を心がけたいと存じます。  次に、実施の県でございますが、ただいま予定しておりますのは八つの県でございます。これは県によりまして特に強い希望を持っておったところを第一年度選んだのでございますが、今後さらに第二年度、第三年度でほかの県で希望するところには拡大してまいりたいと思います。  なお、一部の県でこれを拒否したかどうかというようなお話でございますが、実は県によりましては、ややこれに似た制度で若干今度の国の制度に振りかえがむずかしいような式のものを現在やっておるようなところもありまして、その切りかえがむずかしいので、とりあえず従来の制度をそのまま続けて運用してみたい、こういうような県も一、二ございます。そういうことがあるいは間違って拒否したというようなふうに伝わったのだろうと思いますが、この制度の精神自体について拒否したいというようなことは聞いておりません。
  252. 栗山礼行

    栗山委員 次に中小企業構造改善事業について準備金制度の新設を新たにされまして、積み立て金の経理勘定が所得税及び法人税の特別措置をされる、こういう中身のものであろうかと理解をいたすのでありますが、これの細目の作業の内容がもしお示しをいただけるならば、お示しをいただきたいというのが一点であります。  もう一点、この制度運用の面でございますが、この積み立て金を協同組合のみが資金利用できる、こういう規定のように解するのでありますが、単に協同組合の共同事業行為のみによってその資金が利用されるということじゃなくて、構成組合員も同列にこの資金の利用を行なってまいりたい、こういう要望が相当強いのでありますが、私どもいろいろ検討いたしてまいりますと、この資金の運用の面に、並列運用の方向づけをするということが最も妥当な考え方でなかろうか、こう考えておるのでありますが、この点についていかなる御意見をお持ちであるか、お伺いをいたしたい。二点であります。
  253. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 構造改善準備金制度は、組合が将来の共同施設の設置、あるいは自発的な転廃業のための見舞い金の積み立て、こういう積み立てをしやすくするための制度でございまして、その具体的な運用の方針につきましては、現在いろいろとなお検討を続けておる段階でございます。大きな線といたしましては、その参加する組合組合員が全部利益を均てんできるということ。ごく一部のものだけが使うような事業では困る。それから、将来たとえば共同施設をつくるために積み立てるというものも、五年以内にはそれが実施される、こういう見通しがはっきりついておること。それから、その組合の経理の内容が健全でありまして、その事業運営することが経理的に見ても心配がない。こういうような点を勘案いたしまして、構造改善事業として適当と思われるものを承認していく。承認をしたものは税法上特別な恩典を受ける、こういう仕組みにして運用してまいりたいと存じます。  それからこの場合に、特定組合というのでありますが、現在考えておりますのは、具体的には事業協同組合事業協同小組合商工組合、それから商店街振興組合、さらにはいま申し上げましたような組合の連合会がその対象になるわけでございます。そして本来この事業は、組合としてこの共同事業をするということが主体でございますので、いわゆる非出資組合、これはそういった共同事業をすることを目的としていないものでございますので、この対象にはなり得ないと思います。それから、この制度は、従来から行なわれておりますいろいろな近代化、あるいは高度化等々の制度と当然並行して行なわれ得るものでございますから、この事業をするということによって特にほかの事業ができなくなるというような性質のものではございません。  最後の御質問の点は、あるいは私、正確に把握していないかもしれませんので、その答弁で不十分でございましたら、またもう一回お聞かせいただきたいと思います。
  254. 栗山礼行

    栗山委員 基本的にその方向づけをお示しいただきましたのと、かなり細目の作業がまだ進んでない中に問題点としていろいろ御説明を伺ったと思います。細目の作業の中にこの内容のより前向き方向としての作業を御期待申し上げておきたいと思います。  私は、残されました投資育成会社の問題等についても一、二、意見をもちまして御質問申し上げるということになったのでありますが、いろいろ時間の関係がございますから、以上で質問を終わりたいのでありますが、先ほどから私の論点の中心は御理解いただいたと思うのであります。今日制度的に近代化の方針のみを進める、しかもその中身の今日の中小企業のとらえ方、あるいは日本の経済の特質、あるいは現状経済観から日本の中小企業対策の一環としてこれをどうとらえるかというような掘り下げた問題からではなくて、ただ部分としての制度上の近代化の方式、しかもそれがまだ序の口であって、その成果の内容が十分であらざるときに、これもこれもということで多目的にバラエティーに富んだ施策の変化が出てまいった、こういう事柄については私は、前向きの姿であり、これが中小企業の方向づけの適切な処置かどうかということについては多分に疑問を寄せておるのであります。ただ、議論の展開は簡単でありますけれども、これを改善、改良の積み重ねをいたしてまいるという点からまいりますと、低い次元から高い次元へ積み重ねていく、そういう観点から長期的な投資、長期的な規模、こういうふうなことでこの問題を理解いたしまして進んでまいるのでありますが、昨年よりも増して今日の日本経済中小企業の重要性ということについては、長官も御認識深いものであることを私は確信を持って評価をいたしておるのでありまして、どうかそういう立場から中小企業近代化促進の少しでも成果のあるような方向づけをしてお取り組みをいただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  255. 天野公義

    天野委員長 次会は明後二十五日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会