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1966-03-11 第51回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十一日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 板川 正吾君      稻村左近四郎君    内田 常雄君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       海部 俊樹君    黒金 泰美君       田中 六助君    竹山祐太郎君       中村 幸八君    二階堂 進君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       大村 邦夫君    沢田 政治君       實川 清之君    島口重次郎君       田中 武夫君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (繊維局長)  乙竹 虔三君         中小企業庁長官 山本 重信君     ————————————— 三月十日  中小企業者事業分野確保に関する法律案(  加賀田進君外十八名提出衆法第二一号)  官公需中小企業者に対する発注の確保に関す  る法律案板川正吾君外十八名提出衆法第二  二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三二  号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。栗山礼行君。
  3. 栗山礼行

    栗山委員 与えられました時間内で要約いたしましてお尋ねを申し上げたいと思いますが、私は独禁法制定精神でございますいわゆる私的独占禁止いたしまして公正かつ自由な競争による日本経済発展のために、政府はいかなる具体的処置をとろうとしておられるのであるか、また公取委員会はこのためいかなる役割を現在果たしておられるか、またいかなる役割を果たすべきであるかという問題について若干具体的にお尋ねを申し上げたいのであります。  第一に、公取委員長お尋ねを申し上げます。独禁法の第一条でございますが、「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者利益確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達促進することを目的とする。」これは明記をいたしておるのでありますが、原理原則的な立場から、公取委員長はこの「公正且つ自由な競争」について基本的にどのように御認識をされておるかということをまずお尋ね申し上げたいと思います。
  4. 北島武雄

    北島政府委員 これは独占禁止法の根本に関する問題でございまして、ただいまお読みになりましたように、しかもまことに的確におつかまえいただきましたように、独禁法精神は「公正且つ自由な競争促進」することによって、究極的には「一般消費者利益確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達促進することを目的とする。」そこにあるわけでございます。結局「公正且つ自由な競争」というのが中心点でございまして、このために、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法禁止という三つの柱が出てくるわけでございます。考え方といたしましては、有効な競争原理を生かすことによって経済発展促進されるという考え方に立つものでございまして、不当な取引制限独占やあるいは不公正な取引方法によっては経済の健全な、しかも民主的な発達が期せられない、こういう考え方から出ておるものでございます。もちろん自由競争と申しましても、無差別な、乱雑な何らの秩序のない自由競争ということではなくて、その上に公正というしっかりしたかんぬきがございまして、「公正且つ自由な競争」によって、究極においてはそれが「一般消費者利益確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達促進する」ということになるわけでございます。これはアメリカ独占禁止法の当初の考え方におきましては、あるいは単に、当時急ピッチで進められておりましたアメリカ経済トラスト化に対する農民とか一般民衆の不満を緩和するために、いわば資本主義弊害の除去というような感じの法制でございましたが、アメリカにおきましても一九三〇年代の不況あとに、不況克服手段といたしましてニューディール政策をとりまして、このニューディール政策は、結局当初のシャーマン法によるところの考え方カルテルの絶対禁止ということに対しまして大きな穴をあけて、一方においては政府TVAその他によって公共投資をする。他方においては業界の協調によって産業経済の復興をはかろうということでございましたが、それが結局失敗に終わりまして、ルーズベルト大統領もこれに対する深刻なる反省を加えて、それ以後ニラ——これは最高裁違憲とされたものでありますが、最高裁違憲とされましたために、ニラを廃止いたしまして、またもとの自由競争に戻った。結局自由なる競争によって、その競争原理を生かすことによって、国民経済発達が期せられた、こういう考えに立ち返っているわけでございます。欧州におきましても大部分は戦後に独占禁止法をつくったわけでございますが、英国におきましても、ドイツにおきましても、フランスにおきましても、その考え方は、自由な競争促進することが結局戦後の経済発達に役立つものだ、こういう考えによって独占禁止法ができたものであります。わが国独占禁止法は全くそれと同じ観点に立つものであります。
  5. 栗山礼行

    栗山委員 私はもう少し自由にして公正な競争基本的認識というもののとらえ方を主として伺いたかったのでありますが、これは原則論になりますし、基本的な一つの問題になろうかと思いますので、具体的な問題等に入ってまいりまして、その中で公取のとらえ方を理解をさしていただく、こういうことで進めてまいりたいと思います。  二月一日の公取の資料を拝見いたしますと、現在の不況カルテルは十七でありまして、中小企業協同組合、さらにまた環境衛生法等問題等を入れますと千五十二にのぼると報告をされておるのであります。これを年度的にながめてみますと、だんだん年次別に足取りが高まってまいっておるという数字を示されておるのであります。私の不況カルテル理解は、公正かつ自由な競争確保するための一時的な待避手段といいますか、あるいは調整手段ということでありまして、時間的に申し上げましても短いことがよろしいということと、必要悪の事実としてこれを認めて進んでまいる、こういうところに私はその本質があるのじゃなかろうかと理解をいたしておるのでありますが、日本のこういうような一つ年次別増加傾向、しかも日本経済特質カルテルであり、カルテル日本経済の特性という一つの観を示しておることは公取委員長承知のとおりでありますが、これは一体どこに原因が所在するのであるか、言うなれば日本経済の施策の方向の貧困からくるのであるか、あるいはまた日本経済の宿命的な二重構造一つ弊害からよってもってこれが起きてまいるのであるか、こういうことについて、委員長の含蓄の深い御意見けっこうでありますけれども、ひとつ要約いただきまして端的にお答えを願いたい。
  6. 北島武雄

    北島政府委員 独禁法は「公正且つ自由な競争」を原則といたしますが、例外的に他の産業政策目的達成のために必要やむを得ないカルテルは認める、こういうたてまえに立っておりまして、現在の千五十二を分析いたしますと、そのうちの中小企業対策関係、これが七四%でございましょう。それから貿易関係が二一%、合わせて九五%が中小企業対策貿易関係、こういうことでございまして、ことに中小企業対策関係は、お話しのようなわが国中小企業特質に基づくものだと私は了解いたしております。
  7. 栗山礼行

    栗山委員 日本経済特質の二重構造からくる問題に基因するものが多いというお考えの上に御答弁をいただいた、こう理解するのでありますが、そういたしますと公取は、こういう経済の基本的な体質からくる問題として政府にこれを明確にお答えになり、またお答えになった結果というものがどのようにあらわれてまいっておるか、こういう事実論をお聞かせをいただきたいと思うのです。
  8. 北島武雄

    北島政府委員 中小企業関係カルテルが多いことは、確かにわが国の大きな経済構造特質考えておりますが、ただし、中小企業関係カルテルといえども、あまりに長期にわたることはかえって中小企業体質改善合理化を阻害する、こういう感じがいたします。こういう点に対しましては私どものほうも通産省から御協議をいただく際に、そのつどできるだけ短期間に終わらせていただくように常に要請はいたしております。こういうことでございますが、実行問題といたしますと、ただいまの中小企業関係カルテルの四割が繊維関係ということでございます。十年以上ありますカルテルが、中小企業関係の六百二十四件に対して約二割。その二割のうちのほぼ九割というものが繊維関係、こんなことになっております。これも非常に大きな問題点があるのではなかろうか、この点については、繊維関係について日本経済として大いに考えなければならぬところがあるのではないか、こういうふうに考えておりますが、これは私どもの直接の仕事ではございませんので、産業官庁においてぜひひとつそういう方面についてお考えをいただきたい、こう考えております。
  9. 栗山礼行

    栗山委員 私がお尋ね申し上げておるのは、いまカルテル必要悪として、そして次の対処する待避としての扱いの問題でなければならぬ、こういうことでございますが、いまの中小企業団体法等によります多くの案件はそういうことじゃなくて、いわゆる法律精神から解釈いたしまして、そして継続的にそれ自体一つ特質になっておる、こういうことの上に立って御答弁をいただいておるのであります。私もその見解にはまさに同意見なのであります。そういたしますと、政府にその実態の御報告をつど申し上げて善処を要望いたしておるという委員長お話でございましたが、ここまではけっこうなんであります。つど御報告を真摯にされておる、こういうことでありますが、公取のそういう御報告について、今日まで改善の具体的事実がそれによってございますかということをお尋ねいたしておるのです。
  10. 北島武雄

    北島政府委員 中小企業団体関係調整規程は大体一年の期限が多い。その一年が終わりますと引き続き継続ということで、公正取引委員会通産省から御協議なり、あるいは同意を求められております。そのつど事務当局といたしましても、私どもといたしましても、その必要性について十分ひとつ——必要性はわかるとしても、それが不当に長引くときに、先ほど申しましたような弊害も起こりますので、できるだけ短時日に終わらせるように折衝いたしまして、その結果、必ずしもずっと長続きしないで、途中で切れておるものも相当ございます。
  11. 栗山礼行

    栗山委員 次に進めてまいりませんと、これだけで時間が終わるのでありますが、ただ私の理解としては、結局抽象的に幾分かそういう指摘をされて、改善あとが見えておる、こういうことで、もう少し具体的に内容伺いませんと、今日これだけの大きな案件をかかえておることそれ自身が、その実態をあらわしておるということから、必ずしも委員長から適切な、懇切なお答えをいただいておるとは感じないわけでありますけれども、時間がございませんから進めてまいることにいたしたい。私はずばり申し上げまして、何ら改善の策がとられておらない日本経済特質の結果として、これが放任されておるというところに大きな問題の所在を指摘せざるを得ないのではないか、こう考えるのでございますが、これに引き続きまして、ことしは何と申し上げましても、こういう不況克服方向の路線として、中小企業にしわ寄せされまして、おそらく中小企業整備及び統合、及び共同化という一つ方向を持たなければならないのでありますけれども、その過程におきまして、中小企業カルテルがやはり不況カルテルとして増加するということを、これを避けていくということの至難な内容を持つ経済動向であろうか、私はそういう認識をいたしておるのでありますが、もししかりといたしますなれば、これに対して公取としていかなる対処をされるかということについてのお考え伺いたい。
  12. 北島武雄

    北島政府委員 公正取引委員会中小企業に対しまして、産業政策を実行いたしておる官庁ではございませんので、通商産業省からこういうカルテルについて、公正取引委員会はどう考えるかという御協議がありましたときに、その御協議に応じて意見を述べるだけでありまして、残念ながら直接中小企業に対してこういう政策を実行するところではございませんので、そういう点はひとつ通商産業省のほうに御質問願いたいと思います。
  13. 栗山礼行

    栗山委員 私の質問を的確に把握を願えないのでありまして、産業政策論を伺うということでなくて、だんだん中小企業困難化の中において、不況カルテル増加する傾向を見るのではないか、こういう私の経済動向把握からいたしまして、もしかりに中小企業不況カルテルの件数がふえるということになると、公取はこれについてどういう処置をもって臨まんとされるのであるか。こういう公取としての姿勢、態度というものをお伺いしたい、こういうことであります。
  14. 北島武雄

    北島政府委員 私、実は御質問趣旨がはっきりつかめませんので、的確なお答えをいたしていないかと心配いたすのでございますが、ただいま申し上げましたように、通商産業省なり、その他の官庁からの御協議に対しましては、できるだけ先ほど申しましたような趣旨で、短期間にこれを終わらせる。いたずらにこれを長引かせることは業者のためにもならぬ。こういうことで私どもは常に発言をいたしておるわけでありまして、そのように各省の御協力をいただいておるつもりでございます。まだ微力にして、必ずしも十全の力を発揮しておらないことはたいへんお恥ずかしく存じます。
  15. 栗山礼行

    栗山委員 もう一ぺん重ねて申し上げますが、基本的に不況カルテル役割りというものについては、私と委員長とはその見解を同じくいたしておるわけです。必要悪であり、きわめて短い期間でこれをひとつ待避する調整策としてのみ役割りがあるんだ、こういうとらえ方で質問いたしておりますが、中小企業等の置かれた実態等から見て、長きにわたる不況カルテルが永続化されておるということが、無数に、今日六百二十何件という事実がある。これについてはいろいろ検討を加えられるということでありますが、これは私は日本経済の、中小企業の置かれた実態からくる一つ宿命的要素等もあって、なかなかこの問題について具体的な方向を見出すとか、あるいは公取がこれに対してどう対処するかという至難な要素を認めつつ、さらにことしの中小企業の置かれた実態から見て、こういう問題が累積増加傾向としてあらわれてくる、こういうことを私は考えざるを得ない経済一つの見方を持っておる。もしそうなら、ふえてきてもそのままでお手なしだ、こういうことになるか、あるいはふえてまいったことについては、それに公取が具体的にどう対処して、公取としての役割りを果たしてまいるかという考え方を持っておるかということを、やはり明確にお答えをいただきたい、こういうことであります。
  16. 北島武雄

    北島政府委員 御協議がございました場合には私どものほうといたしましても、中小企業団体法要件に当てはまらないと当方で考えました場合には御協議に応じない、こういうことをいたすのはもちろんでございます。それとともに、一応当てはまりましても、いたずらに長引くときには、中小企業体質改善をかえって阻害するということで、当該担当官庁に私どもが申し入れております。先ほど中小企業団体法関係カルテルは年々ふえていくのではなかろうか、こういうお話でございますが、数字的に申しますと、三十九年度中に中小企業団体法に基づくカルテルで廃止されたのが二十四ございます。一方また三十九年度中に新設されたものが二十九ございますので、差し引き三十九年度中には五つふえたことにはなりますが、必ずしもふえているばかりではございません。ただいまのように要件に当てはまらなくなったものとか、いたずらに長期になりますものについては、できるだけやめていただいているというようなことは実績にもあらわれております。ただ何ぶんにも繊維関係が全体の四割を占めているということに大きな問題がございます。
  17. 栗山礼行

    栗山委員 その問題はその程度のお伺いをするということにとどめておきたいと思います。  次に、公取委員長にちょっと所見を伺ってまいりたいのですが、ここ数年来大手企業のいわゆる合理化による合併傾向というものが、非常に高まってまいっておるということは御承知のとおりであります。これの中身をながめてまいりますと、やはり金融機関系列融資というような形にこれがささえられまして、しかもこれは政府体制誘導政策と申しますか、そういった一つ方向的な誘導政策によって促進をされておる、こういう感があるのでありますが、融資系列企業集団内部編成整備によってコンツェルンとしての方向へ進んでまいっているということについては、これはいなみがたい事実であろうかと私は考えておるのであります。これを具体的に言えば、三菱三重工の合併あるいは三井系の三井造船、日本製鋼三井三池製作所昭和飛行機三井精機などの糾合によります三井重工業構想あるいは三井化学、東洋高圧などの合併機運住友機械中心とする住友系機械メーカー統合によります住友重工業への動きなど、これはことごとく融資系列企業集団化内部整備と申しますか、着々とこういう方向に進んでまいっておる、こういうふうに考えておるのであります。また個々の巨大企業傘下企業整理統合をながめましても、八幡製鉄系東都製鋼グループ四社の合併富士鉄川鉄系合併繊維、自動車、電気メーカー合併系列化等が、しかも顕著にそういう方向で再編成が進んでおるのでありますが、これらの合併企業合理化を意図いたしまして行なわれていると考えられる面、この事柄につきましては会社自主性ということよりもむしろ金融機関企業支配的傾向という方向によって取り組まれておる、こういうような考えを持っておるのであります。こういうことについて公取委員会は現在の独禁法の第十一条の規定いたします金融会社株式保有制限、こういうふうな規定内容から見ますと、これにおいて対処するという方向がないと思うのでありますけれども、このような金融系列融資方向の事実にかんがみて何か特別な一つの規制をする、こういうような方向を進めてまいらなくちゃならないのではないかと私は考えるのでありますが、公取委員長としてはこういう傾向についてどのような御意見をお持ちになっていらっしゃるかということをお伺い申し上げたい。
  18. 北島武雄

    北島政府委員 合併につきましては、お話しのように金融系列による合併も相当多いのでございますが、最近は融資系列を越えた大きな会社合併も出てきております。私どもといたしましては、金融系列によるものなりや何によるものなりやということに関係なく、結局判断いたす場合におきましては独占禁止法第十五条の規定によって、その合併によって、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなるかどうか。それから当該合併が不公正な取引方法によるものであるかどうか、こういう点に判断の基準を置きまして、合併についての是非を決定いたしておるわけでございます。
  19. 栗山礼行

    栗山委員 これに関連いたしまして、通産省の最近の行政指導の面で、企業合併を推進する行政的指導をされまして、その一環として日本開発銀行体制融資、こういう金融面からも支援をされておるのであります。これは企業合理化傾向強化の一策といたしまして進めてまいられておるのでありますけれども、この事柄はやはり強いものは幾らでも強く強化をされていく。弱いものはやはり見落とされまして、あるいはそれが踏みにじられまして、やがて消えていく、こういうような弱肉強食の一つ原理そのままを進んでまいる結果に相なってまいると思うのでありますが、そういたしますと、こういう傾向から見て、日本経済の重要な役割りを果たしておりまする中小企業が、この運命から没しなくてはならぬ、こういうふうなことに相なっていると思うのでありますが、これらについてどのように、対処いたしてまいるかということについては、これまた通産省行政指導一つ方向の問題でありますけれども、こういう一つの推移をながめて公取委員会の使命とする観点から、どのようにこれの見解をお持ちになっていらっしゃるかということをお伺いをいたしたい。
  20. 北島武雄

    北島政府委員 合併に対しましては、先ほど申し上げましたように、その合併一定取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合の合併禁止されております。これともう一つ合併が不公正な取引方法によるものであるかどうか、この二つの基準によって合併是非を判断いたしておるわけでございますが、かりにこの基準によりまして、合併されても漸次寡占化いたしてまいりますと、お話のような、それによって中小企業が不当に圧迫を受けることもございます。こういう観点におきましては、私どもは絶えず監視の目を怠らないようにいたしてまいりたいと思います。たとえば寡占状態になることによって、中小企業に対して大企業取引上の優越的地位を乱用して不公正な取引方法を用いることはないかどうか、こういう点については特に注意いたしてまいりたいと思います。
  21. 栗山礼行

    栗山委員 これに関連いたしましてもう一点御見解を承っておきたいのでありますが、かかる一つ傾向からながめまして、私は大企業についてその社会性及び日本国家産業の大きな責任的見地に立ちまして取り組んでいただくために、今日のような無秩序傾向においてこれを進められるということについてはよろしくないという立場に立って、わが党はいわゆる日本産業に、大企業について秩序ある一つ方向づけをいたしまして、わが国経済国民経済繁栄に資するという大きな社会的役割りをひとつ分担していただきたい。これが一点でありまして、そういうためには重要産業基本法等制定を強く政府に求めておりますことは、委員長も御承知いただいておることであろうかと思うのであります。  もう一点は、今日の銀行のあり方につきましてもやはり銀行の大きな国家的な経済金融適正秩序というものの確保、それを通じて日本経済繁栄国民福祉方向を推進していただくということから銀行法改正等問題点を国会に指摘をいたしておりますことも、何らかで御承知をいただいておろうかと思うのでありますが、私どもはここで十分これを提起して御見解を承ることにはまいらないと思うのでありますけれども、もしわが党の重要産業基本法の問題あるいは銀行法改正問題等について、委員長としてどのように御理解をいただいて御認識をいただいておるかということを伺っておきたいと思います。
  22. 北島武雄

    北島政府委員 たいへんむずかしい大きな問題でございますので、私、直ちにいま御意見を申し上げる余裕はないのでございますが、考え方といたしましては、独禁法精神である公正かつ自由な競争促進する方法産業体制というものは考えられなければならないじゃないか。民間がそう考えるとともに、政府のほうもそういう公正かつ自由な競争促進するというふうな方面から政策を立てていただく必要があるんじゃないか、こう考えております。
  23. 栗山礼行

    栗山委員 日本の紡績協会が、去る九日でございますか、三月末で期限が切れます不況カルテルに対しまして、四月一日から向こう一カ年間一割の操短を継続することのカルテル実施を申し合わせた、こういうことが伝えられておるのでありますが、これを公取に申請するということを発表されておりますけれども公取はお受けになりましたのですか。
  24. 北島武雄

    北島政府委員 まだ正式な認可申請は出ておりません。
  25. 栗山礼行

    栗山委員 新聞で伝えられますところによりますと、その内容は、綿紡工業の構造改善促進するために市販糸の販売制限もこれを含んでおりましての操短と聞いておるのでありますが、これはどのようにながめていらっしゃいますか。
  26. 北島武雄

    北島政府委員 実はカルテル側からまだ正式に話も出ておりません。ただ、事務局としては多少なアプローチを受けておるようでありますが、詳細な点につきましては私どもまだ存じておりませんので、認可申請が参りましたら、そこでよく慎重に調査、研究をいたしたいと思います。
  27. 栗山礼行

    栗山委員 産経新聞の十日をちょっと拝見いたしますと、北島委員長は、政府がこの秋に景気が回復するといっているのだから、常識的に見て一年間は長過ぎるとの意見を発表されておると思うのでありますが、これは間違いございませんか。
  28. 北島武雄

    北島政府委員 紡績の不況カルテルにつきましては、当初は新聞では六カ月、これが九カ月になったと伝えられ、さらにまた一年ときまったというふうに伝えられておりますので、私といたしましてはこれはまことに意外なことだと思っております。一年なんというものはたいへん長過ぎるというふうに考えております。実は、昨日紡績協会の幹部の方々が夕方私のところにお見えになりまして、一年ということで申請するがというお話でしたが、一年というようなことはとても考えられません。私どもとして、今度不況カルテルの認可要求にはたして合うかどうかということについてはお話をよく承って、慎重に関連需要者などの意見も徴してきめなければなりませんが、少なくとも一年などという認可申請というものはとうてい考えられませんということを強く申しております。
  29. 栗山礼行

    栗山委員 紡績協会は第二次操短の決議をいたしまして申請をし、その前提として北島委員長にも面接をいたしておるという、こういう事実の経過であろうと思うのでありますが、第一次の三月までの不況カルテルの実績といいますか、あるいは経過から見て、これをどのように公取委員長は評価をなさっておるか。
  30. 北島武雄

    北島政府委員 当初、カルテル側の予想では格納率一〇%で実質減産が八%くらいになるであろう、こう見込まれておりましたが、実際におきましては、紡機のスピードを上げる等によりまして減産が予定のとおり行なわれておりません。したがって、綿糸の市況の回復もはかばかしくない、こういう状態になっております。
  31. 栗山礼行

    栗山委員 私ども特に全繊産業の労組関係の組織を大きくとらえておる関係等もございまして、カルテルの昨年の実施を見ましたときに、これはやはり抜本的な構造改革の方向を進めてまいるということにあらずんば、今日の繊維産業が回復して健全な発展をしてまいらない、こういう観点から政府にもいろいろ要請いたしてまいったのであります。もしかりに今度の第二次の申請を受理されるといたしますなれば、どういう条件をおつけになってこれを認めんとすると考えていらっしゃるか。想定の問題でございますけれども、協会の要請ありという一つの前提に立っていきますなれば、第一次のカルテルの実施の評価の点にかんがみ、そして紡績の構造改善方向の一環としてこれをどう条件をつけていかれるか。不況カルテルと見るか合理化カルテルと見るか、もしくは不況カルテル合理化カルテルの併用的な観点からこれをとらえるということについてはいろいろ大きな問題があろうかと思うのでありますが、私は、もしお認めになるとするならばどういう条件をおつけになるかということの基本の考え方お答えいただきたいと思います。
  32. 北島武雄

    北島政府委員 これはこれから認可の申請を受け付けまして私ども調査するのでございまして、認可する場合にどういう条件をつけるかということをただいま申し上げる段階ではないと思います。これははたして関連需要者の利益を不当に害することがないかという点には特に注意をいたしまして、慎重に研究いたしたいと思います。
  33. 栗山礼行

    栗山委員 繊維新法の経過から早くも第一次不況カルテルの問題に発展いたしまして、さらにまた第二次の長期的なカルテルをはかっていこうというような傾向が進んでおりますことは御承知のとおりであります。こういうふうな観点からながめてまいって、私は、公取としてはどう見るべきか、所要の条件を付してどう扱うべきかということについては確たる基本の姿勢がなければならぬと思うのでありますが、ただ中身を見てみなければということは——紡績協会の決議と申し出というものは一本でありまして明らかにされておる、こういうことであろうと思うのでありまして、もう少し、あけてみなければわからぬということではなくて、基本的な態度を明確にお示しをいただきたいと思うのです。
  34. 北島武雄

    北島政府委員 基本的な態度といたしましては、これはあくまでも緊急避難でありますので、不当に長引かない、いたずらに長期にわたらない、できるだけ短期に終わらせる、これが特に私は条件であろうと思います。それと、将来の構造改善との問題はどうか、こういう点についての関連を十分見きわめたいと思います。
  35. 栗山礼行

    栗山委員 そこで問題は、第二次の申請が不況カルテルという認識でこれをながめられるか、あるいは構造改善の一環としての合理化カルテルとしてこれをとらえていかれるかという問題等にも私は所見を求めたいということを申し上げたのでありますが、ちょっと抽象的な態度でお話を承るのでありますが、もう少し厳たる態度ということで、重ねてでありますがお答えをいただけませんでしょうか。
  36. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま申しましたように、まだ十分内容を聞いておりませんので、内容を聞きましてそれからのことでございます。ただ、不況カルテルなりや合理化カルテルなりやということでそれぞれ法律要件がはっきりしておりますから、そのいずれかの要件に当てはまらなければだめだということは、はっきりしております。
  37. 栗山礼行

    栗山委員 政務次官にちょっとお尋ねいたします。  いまお聞きのとおりの綿紡の第二次カルテルの問題についてでありますが、通産省は、この第二次カルテルの申請についてむしろ業者間の意見調整の立場をおとりになってまいった、こういうふうに理解をいたしておるものであります。いわゆる意見聴取をいたしましてカルテルの延長の推進の役割りをお進めになってまいったのではないか、こういう理解をいたしておるのでありますが、この二日の閣議でありますか、佐藤総理が、特に繊維産業の重要性にかんがみて善処を求められた、こういうように新聞では伝えられておるのでありますが、佐藤総理は通産省にどのような具体的な繊維産業方向づけとしての御指示をされたのか、ひとつ明確にお答えをいただきたい。
  38. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 私は新聞をまだよく読んでおりませんが、構造問題をしっかりやれというようなお話があったということを聞いております。
  39. 栗山礼行

    栗山委員 もう一つ政務次官にお尋ねします。  いわゆる繊維産業体質改善構造改善方向として、通産省に強く要望されたと、こういうふうに御答弁をいただいたと理解して間違いございませんか。
  40. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 さよう御了解願ってけっこうです。
  41. 栗山礼行

    栗山委員 明年度の予算を拝見いたしますと、繊維産業整備促進協会設置関係に五億五千万の予算が計上されておるのでございます。協会事業を中心といたします繊維産業構造改善対策は、いわゆる四十一年が序の口でありまして、いよいよもって構造改善の推進を強化するということで、引き続いて昭和四十二年度にわたって進んでまいるという考えなのかどうか、あるいは四十一年度だけの問題であるかどうかということを承りたい。
  42. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 おことばのように、そのとおりそういうふうに進んでおるのでございます。
  43. 栗山礼行

    栗山委員 繊維局長にちょっとお尋ねします。  いま伺いますと、いよいよもってひとつ繊維産業構造改善対策としての実施を強く進めてまいらなくちゃならぬ、こういうことで通産省の基本的な方向をお示しいただいたのでありますが、繊維局長繊維産業整備促進協会の事業の種目はおよそどれとどれとどういうものであるか、お考えになっておる範囲で、あるいはまたこの協会の発足の時期、それから構造改善のための調査は当然といたしましても、過剰設備の買い上げやあるいはまた、私は当然と思うのでありますけれども、近代化資金の融資あっせんを強力に進めてまいるというお考えのもとにおいてお進め願っておるかどうか、これを具体的にひとつ承りたい。
  44. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御承知のとおりこの協会は業界の御発意によりまして、おそらくでき上がるであろう公益法人でございまして、それに対しまして、政府の意図しております方向である場合には、これは御援助申し上げるということで、予算面で三千万円の運営費補助、五億円の買い上げ費補助をお願いしておるわけでございます。  まず事業内容でございますが、さしあたり来年度といたしましては、まず構造調査、それから第二には買い上げを来年度予定をいたしております。それから発足時期でございますが、予算発足し次第、業界のお話し合いが早くまとまられて、この方向で法人ができ上がることを期待いたしますし、業界のお話がまとまって法人ができれば、直ちに政府は補助、援助に乗り出したいというふうに考えております。  さらに近代化融資あっせん、これについていかがかという御質問でございますが、この協会はおそらく今後構造対策をやります場合の業界、政府をつなぐかけ橋であり、かつまた中核実施団体というふうになっていくであろうと思うわけでございますが、そういうふうになりますと、構造改革の主たる手段は、これはおそらく近代化融資ないし利子に対しますてこ入れ、こういうふうなことではなかろうか、もしそういうことでございますならば、当然この面に対しまして、協会の活動が期待されるわけでございます。
  45. 栗山礼行

    栗山委員 順次的な計画の方向の構想を承りまして、それなりに理解できるのでありますが、ただ何と申し上げましても、繊維産業の置かれておる条件は、いまや構造改善なくして繊維産業の健全な安定策はない、こういう一つの見通し、あるいは状況に置かれておることは御承知のとおりでありまして、業者の自主性もさることながら、やはり強い行政指導をして、可及的すみやかにわが国の古い歴史を持ちます斜陽産業繊維産業が、りっぱに日本繊維産業役割りを担当されるという方向行政指導を強力に展開すべきであるという考え方を持っておるのでありますが、この点について、通産省の政務次官と、直接担当されております局長の所信ということでひとつお尋ねを申し上げたい。
  46. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 非常に困難な立場にありますが、何とか行政指導をやりまして円滑な発展ができるように心がけていきたいと思っております。
  47. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 何しろ日本経済のかつては中核でございますし、現在も中核、将来も中核産業でなければならない繊維産業構造問題でございますので、必死に通産省繊維局としては取っ組んでまいるつもりでございますが、現在のところ、これは通産省だけで取っ組んでもどうにもなりませんので、繊維工業審議会と産業構造審議会の両方の合同部会を設けまして、学識経験者、業界代表、労働代表、各方面の衆知を集めていただきまして、目下鋭意審議会で根本的な構造問題の御審議を賜わっている次第でございます。この審議会をてこにいたしまして、通産省としては一生懸命取っ組んでまいりたいというふうに考えております。
  48. 栗山礼行

    栗山委員 今度のカルテルは、先ほど申し上げましたように、市販糸の制限を含む申請をいたしていると承っているのでありまして、伝えられるところによりますと、局長もまたこれ賛成なりという立場においてこれとお取り組みになっている、こういうことで理解をいたしておるのでありますが、市販糸の部分というものは新紡及び新々紡がたいへん大きなウエートを占めていると思います。新紡、新々紡、これらの販売制限というものが操短以上にやはり業者を圧迫する面が非常に強いのではないか、こういう考え方をいたすのでありますが、これについての御見解はいかがでしょう。
  49. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 これは先ほど公取委員長もちょっとお答えになったかと思いますが、新紡及び新々紡の不当な制限にならないように、これは通産当局としても十分監視をいたしたいというふうに考える次第でございますけれども、実は先生も御高承のように、この繊維、特に綿糸不況は由来するところが非常に深いものがあるわけでございますが、その一つの大きな原因と申しますか、要因といたしましては、売り手が買い手を考えずして綿糸の生産に専念をする。すなわち取引所というものがありますために、取引所に売りつなげばよろしいというようなことで、実需筋を考えずして生産に専念をする、これはもちろん一面で考えますと、社会の分業の成果でございまして、非常に能率的な綿糸生産が行なわれたわけでございますが、しかしまた一面、市況を大きく荒らすゆえんにもなったわけでございます。そういう点から市況を落ちつけてまいりますためには、やはりこれは相当程度次第次第に、もちろんこれはあまりフリクションのないようにやっていかなければならないと思うのでありますが、相当程度実需を見合いにして生産をしていくという体制に持っていくことが必要かと存ずる次第でございます。
  50. 栗山礼行

    栗山委員 繊維局長に御説明を受けましたように、今度の操短プラス市販制限、こういうふうな内容を持っているのでありますから、これは労働条件に大きな一つの影響を持つものなりと考えているのでありますが、局長の御見解はいかがです。
  51. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 生産が制限されますと、その分だけもちろん労働力は浮いてくるわけでございますが、今回のカルテル、ちょうど四月から延長機運に業界がなっておるわけでございますけれども、ちょうど四月は求人充足の時期でもあるわけでございますが、その点業界としてはなるべくトラブルのないように考えて処しておられるというふうに承知しております。
  52. 栗山礼行

    栗山委員 重ねて繊維局長お尋ね申し上げます。  いまの問題と別に、最近東洋紡と呉羽紡の合併及び鐘紡と東邦レーヨンの合併など、業界再編成というものが、先ほど申し上げましたように、呉羽紡では希望退職を非常に募ってまいっていらっしゃいます。東洋紡の場合においては、名目は希望退職でありますけれども、実は強制退職にひとしいのでありまして、その中にはやはり女子と十年以上つとめられた男子の方々の強制退職の内容に推移すると思うのでありますが、こういうように考えてまいりますと、繊維業界の内容からまいりまして、これは完全失業の方向に進んでまいるということに相なろうかと考えられるのであります。御承知のとおり、現在の繊維産業というものが、やはり繊維新法を土台にいたしまして進んでおる限りにおきましては、繊維新法の第十八条の「当該共同行為の指示を受けた者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。」という共同行為の制限条件が適用されると私は思うのでありますが、これについての御見解を明確に承りたいと思います。
  53. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先ほどのお話にございました佐藤総理からの御指示にもございますように、現在の繊維産業はどうしても非常に大きな決心を持って脱皮をしていかなければならないというふうに思うわけでございますが、その脱皮の方向は、いわゆる労働集約産業から資本集約産業へ出ていくという以外に手はないというふうに思うわけでございます。したがいまして、繊維構造問題を進めていきますポイントは、労使が協調して、いかにこの難問題を乗り切っていくかというところであり、労働者の利益を不当に害さないように、経営者としては十二分に配意されることが必要であろうと思いますし、われわれ通産省といたしましても、その辺の指導は十二分にいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。ただ、いま先生のおっしゃいましたようなことが新聞紙上で伝えられまして、われわれも直ちに事実を確認したのでございますが、東洋紡及び呉羽紡の例におきまして、両方の会社から希望退職を中心にいたします人員の縮減案を労働組合側に提示をしたということは事実のようでございます。われわれとしては、労働者に対して不当な影響が及ばないように十二分に考えてまいりたいと思いますが、特に関係官庁、労働省とも緊密に連絡をとりまして、離職者が出るというふうな場合には極力就職のあっせん、それから職業指導等について万全の準備をしていかなければならないというふうに考えております。
  54. 栗山礼行

    栗山委員 時間がございませんから、公取委員長にひとつ重ねてこれに関連いたしましてお尋ね申し上げますが、第二次の不況カルテルを認可をされるという前提に私は立つのであります。すべからずという論点で考えておるものではございません。ただ、それの認可の中身、及び付帯条件というものについて、私は第二次認可の特質にかんがみてどうあるべきか、こういうことについていろいろお尋ねを申し上げておったのでありますが、そういう観点から申し上げまして、繊維新法の十八条の、いま申し上げております従業員の地位を不当に害しないことを許可条件とすべきではないか、繊維新法の上に立ってこのカルテルが認められておる。そういたしますと、繊維新法の第十八条で規定いたしておりまする、労働者の不当な諸条件を圧迫するということの排除を条件としなくちゃならぬという考え方に論理、事実は私は明確になってまいると思うのでありますが、この点について、そういうような認可の付帯条件に、私がお尋ね申し上げているような中身をひとつおつけいただける用意があるかどうかということの所信をお伺いいたしたい。
  55. 北島武雄

    北島政府委員 御質問は、認可すべしという御前提のもとに立っていらっしゃる、私のほうはまだ認可すべしということも考えておりませんので、その認可する場合の条件についてはただいまは申し上げるわけにはまいりませんけれども、かりに認可いたす場合におきまして、そういう条件が公正取引委員会としてつけられるかどうか、独占禁止法上つけられるかどうかについては、ちょっと考慮の余地があろうかと考えます。この点は直接繊維新法を御担当なさっている通産省のほうで御指導なさるのが適当でなかろうか、こう考えます。
  56. 栗山礼行

    栗山委員 私はさっそく公取がこの種のひとつ条件を加味いたしまして、認可をされるものならされるという、構造改善事業の一環としての方向でありまするから、それが中小企業やあるいは直接労働者あるいは消費者に大きな負担や犠牲がかかってまいるという方向で、これをすべからず、こういう論点に立っておるのでありますから、特にその点を公取委員会にひとつ要望申し上げたい、こういうことで申し上げましたことをひとつ御銘記をいただきまして、十分な御検討をいただきたいと思います。  結局先ほどからいろいろ論点をかわさしていただいておるのでありますが、第一次のカルテルの実効があがらなかったという一つの事実が歴然といたしまして、第二次の申請に発展いたしてまいった、こういうことであろうかと思います。しかも公取委員長お話しになりましたように、一割操短が結局七%ないし八%も事実上の一つの操短の実績よりあげるに至らなかった、その要因ということにつきましては、いろいろ抜けがけがありあるいは機械稼働の回転数を高めてまいる、あるいは時間の延長等をはかってまいりまして、違法的行為に出るというようなことも中身の原因の一つになりまして、実際の効果があがらなかった、こういうようなこまかい分析等もできると思うのでありますが、繊維局長はこういう実績のあがらなかったことと、業者のそういう事実をもって、これの回避的態度をされた業界の内容に偽りありという事実を御存じかあるいはお認めになるか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  57. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いま先生御分析のとおりでございまして、第一次のカルテルの実効のあがらなかったことは、しかしそのほかに一、二の理由があるかと思います。つまり一般市況、日本の景気が直らなかったということ、これが一つのやはり大きなもの。それからもう一つ、特に綿糸について特異な事情として、いわゆるインドネシアの輸出、これを期待しておったところができなかったという点があったということは事実でございまするが、しかしおおむね先生のおっしゃいましたようなことで、業界としてはこれは一生懸命やったのだと思います。一生懸命やりましたけれども、客観的な情勢なりないしは思いがけざる不測の事態なりが起こって、第一次のカルテルが必ずしも所期の目的を達成しなかったというふうなことであろうと思います。
  58. 栗山礼行

    栗山委員 御指摘のように、私は一々基本的な実績のあがらなかった問題点指摘いたしまして、いろいろお伺いするということが本来でありますけれども、時間が制限されておる。どうも大臣の顔を見て、何とかひとつ早く不十分ながらの答弁で終わりたい、こういうふうな気持ち等も持っておるのでありますから、いろいろなにしなかったのでありますが、いま指摘しましたような実績のあがらない一つの理由として、精紡機の回転度数を早められるとかあるいは時間の延長をはかって操短の事実をパーにする、こういうような内容のあったことをお認めになるか、あるいは御存じか、それだけを中心に論じない、こういうことになるのか、その点を明らかにしてもらいたい、こういうことであります。
  59. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 第二の点は非常に専門的でございますが、そういうことがあり得たということを聞いております。ただ、これは、回転数を早めたのは、一つは細ものより太ものを引いたという問題もあるかと聞いております。  それから、第二の、いわゆる労働時間を延ばしたのではないかということでございますが、この点は、つまびらかにいたしておりません。
  60. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、私から、その点を御存じだという前提に立ってものを進めてまいりたかったのであります。そうでなければ、繊維局長がどういう行政の指導と責めを負うて把握されておったか、こういうふうな大きな問題点もここにやはり指摘をせざるを得ない、こういうことになってまいろうかと思うのでありますが、それを一歩進めまして、私は、いまの操短の実のあがらない理由につきまして、私が指摘いたしましたような内容等もございますので、もっと、操短をお認めになるとするなれば、操短の実施の方法の中身においてこれに検討を加えていくという必要がなかろうか、こういう立場に立つのであります。たとえばそれは完全休日制を一つ設ける、こういうことによって操短の実をあげていく。全部稼働を停止するわけでありますから、完全操短の実をあげてまいるということにつきましては、これは論をまたないのでありますが、ただしその事柄については、操短の実のあがらない事実にかんがみまして、その従業員の有給による休日制の操短実施という条件でなければならぬということを私は不変の態度として持っておるのでありますが、完全に操短実施をいたします場合におきましては、むしろそれが経済合理性の方向を持ち、カルテルの操短の効果を高めていく方法なりと考えておるのでありますが、これについての所見をひとつ的確にお聞かせをいただきたい。
  61. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いま先生御指摘方法は、非常に有力な方法かと存じます。ただし、これは念のため申し上げるわけでございますが、カルテルは、これは業界のお約束でございます。それは操短率についてのお約束ももちろんでありますが、操短方法についても業界のお約束ということでございます。そのお約束を本来業界はお守りになることが利益になるということでカルテルをお結びになっているにかかわらず、そのお約束を御自分でお破りになるということがかりにあるとすれば、これは非常に業界がおかしなことであるというふうに思うわけでございます。
  62. 栗山礼行

    栗山委員 この問題について公取委員長意見を重ねて伺っておきたいのでありますが、お認めになるとすれば、いま私は、一つ付帯的条件といいますか、条件をいろいろ検討していただかなければ、これはほんとうの繊維産業構造改善対策の方向としての実があがらないから、今回のカルテルは認めることのやむを得ざる必要悪として理解をいたす前提に立つのであるけれども、その中身の付帯的条件というものについて、十分そういう前向きの態勢においてこれを御検討願いたい、こういうことを先ほど申し上げておったのでありますが、おそらく公取委員長の頭の中に、耳の中にも、これを理解していただいておると思うのでありますが、休日制によります操短実施ということについて何か御検討いただいておりますかどうか。御検討をいただいておりましたら、その見解を承っておきたいと思います。
  63. 北島武雄

    北島政府委員 まだ検討いたしておりません。
  64. 栗山礼行

    栗山委員 繊維局長伺います。時間が参りましたので、結論に進んでまいりたいと思いますが、こういうような市販糸及び第二次のカルテル、こういうような一つの進行の中から、労働諸条件問題及び中小企業の及ぼす影響等にも論点を進めてまいったのであります。  いろいろ要点を尽くすことができない時間の制約がございましたけれども、御承知のとおり、織布関係について、一番ぴんとこれが影響を及ぼすものだ、数字的にもそういう中身の問題を持っておるのでありますが、これらに対しまして通産省といたしまして、大きな犠牲を受けて取り組んでまいらなくちゃならぬ中小企業織布業者についての救済処置、あるいはそれは税制の問題もございましょう、あるいは緊急金融処置問題等もあろうかと思うのでありますが、それらについての一つの具体的な構想をお持ちであれば承りたいと思うのです。
  65. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 税制金融措置につきましては、これは一般の中小企業対策の中核、つまり繊維中小企業というのは中小企業の中で中核になっておるわけでございます。中小企業対策は、私繊維局長としては、むしろ繊維中小企業中心にお進めいただいておるというふうに思うわけでございますので、一般的なものは省くといたしまして、さしあたり、カルテルで綿糸価格が紡績業界の期待するように回復するという場合に、これは御指摘のように、機屋さんなりメリヤス屋さんなり、非常に大きな影響を受けるわけでございます。この影響をどういうふうに緩和し、スムーズにやっていくかという点は、実は第一次のときにも非常に苦慮いたした点でございまして、その一つ方法といたしまして紡績業者代表と織布業者代表の懇談会を設けさせまして、そこでいろいろ協議をさせる。なおその際には、従来懸案であったことも協議をさせるというふうなことで、たとえば木管の代金の問題等も話がついたというふうなことでございますので、今後もそういうふうな懇談会で、極力その辺のフリクションのないように、スムーズに運ばせたいというふうに思っております。
  66. 栗山礼行

    栗山委員 業界の指導行政の方向として、問題点指摘されて、かくかくの条件の方向でということもけっこうですが、私がお伺いいたしておりますのは、国の責任として、あるいはここから大きな犠牲を受ける織布業者の緊急救済の処置としての対策いかん、こういうことが私のお尋ねしている要点であります。例を申し上げますと、環境衛生のごときにおきましても、最初は公庫の設置の問題があったのでありますが、国民金融公庫のワクの中に金融処置としての三百億のワクを認める、こういうふうな処置をとられてまいったことも、通過いたしますかいたさないかということは別にいたしまして、これは事実であります。たとえば、それを引用いたしますならば、よって来たる繊維構造改善の過程における、そういう一つの被害と犠牲と困難を伴なう内容について、そういうような考え方で対処するという用意ありゃいなやということをお伺いいたしておるのでありまして、これはむしろ通産省の問題でありますから、政務次官、ひとつ責任を持ってお答えをいただきたい。
  67. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 御意見の点は十分検討いたしたいと思います。
  68. 栗山礼行

    栗山委員 ちょっと軽く逃げられたのでありまして、きのうの田中委員の点については責任を持って善処するということで回答がありましたが、私の場合においてはひとつ検討するということであります。検討もいろいろ、前向きのものと答弁要素のものとがございますから、そういう実態把握されますなれば、中小関連業者についてのあるべき起死回生の前向きの政策方向として検討し実現に努力する、こういうような中身でなければならないと思うのでありますが、重ねてもう一ぺんひとつ……。
  69. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 現在審議会のほうで検討いたしておりますが、ただいまのおことばのように、前向きの態度で十分に検討していきたいと思っております。
  70. 栗山礼行

    栗山委員 最後に私、公取委員長お尋ね申し上げておきたいと思います。実は今度の機構の拡充強化、それに伴う人員増加、こういうふうなことでありまして、この限りにおける理解としてわれわれはこれを認めていくのにやぶさかでない、こういう観点から取り組んでおるのでありますが、さらに申し上げますなれば、今年度はこういう時点で終わったのでありますけれども日本経済産業実態等にかんがみて、公取委員会としての機能の強化、こういうような昭和四十二年度以降における取り組み方といいますか構想というものをお持ちであれば端的に承りたい。
  71. 北島武雄

    北島政府委員 本年度はいままでに例なく三十名の増員と一地方事務所の設置が認められましたが、まだまだこれでは私ども不十分と考えられますので、今後逐年公取の機能強化拡充のために努力してまいりたいと思います。
  72. 栗山礼行

    栗山委員 最後に、これで終わることにいたします。公取委員長に最後の質問を申し上げたいと思います。  私は、公取委員会が認められております国会に対する意見提出権の活用であります。このことについてお尋ね申し上げるわけでありますが、いろいろ理由を申し上げますと私なりの理由を持っておりますけれども独禁法の第四十四条の二項に「公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律目的を達成するために必要な事項に関し、意見提出することができる。」こういう規定がございますことは、御案内のとおりでありますが、私はこれを中心といたしまして二十二年発足以来今日の日本経済産業特質は、不況カルテル自身が日本経済体質化しておる、カルテル日本経済産業の実体なんだ、こういうような今日の現象面があらわれておると思います。こういうような一つ観点からながめまして、私は、公取委員会としてこの国会に、ひとつ勇敢にいままでの経験と実体把握を生かして、日本産業経済構造改善はかくあるべきものでないかということを、英知と識見をまじえまして、内閣総理大臣を経て提出されるという大きな勇断と英知を求めたいのでありますが、この点についてどういうふうにやられますかどうか御意見を承りたい。  それから同時に、たいへん大臣の重要な時間を割愛いたしまして恐縮いたしておるのでありますけれども、私自身はいま申し上げましたように、カルテル自身というものが日本経済の実体であり、産業一つ特質としてこれはあらわれておる、こういうようなことでありまして、やはり独禁法それ自身をもっと根本的に現時点における日本経済体質改善方向から検討を加えるべき要ありと考えておるのでありますが、こういう点について大臣はどのような所見を持っていらっしゃるか。と同時に私はこの問題について、独禁法の運営の問題におきましても、もっと民主化した——単に私は公取におべんちゃら申し上げまして、どんどん機能を拡充して増員を認めるべきだという論点に立つのじゃないのでございまして、本来からもっとそれの関係者がカルテル別に、いわゆる民間の人材、たとえば一つの事業の関係者、あるいは労働者の理想と意見を代表する労働組合の代表、あるいは消費者代表等も加えまして、そうして民間の知能をひとつ総動員いたしましてこれを監視する、こういうかっこうで独禁法の定められた不況カルテルの完全な目的、効果というものに取り組んでまいらなければならぬということを当面の課題として考えておるのでありますが、この二点について大臣の御答弁を承りまして私の質問を終わりたい、こう考えておるわけであります。
  73. 安井謙

    ○安井国務大臣 しろうとでございまして、的確な御答弁になるかどうかと存じますが、先ほどからたいへん有益な御意見、御質疑、御問答を伺っておりまして、私はこの独禁法の施行の問題、中小企業あるいは企業体質改善とあるいは企業の存続を保持していく問題、このかね合いというのは非常にむずかしい問題だと思う。ことにいまの弱小の中小企業を守っていきますためにやむを得ずカルテル組織というものがかなり強い部分に出てきておるということも御指摘のとおりだろうと思う。しかし同時にそれに甘えていくのではなくして、やはり体質改善というものに向かうためのやむを得ざる方便といいますか措置としてこれが行なわれるのでなければ許されないことであろうと思いますので、いままでお話のような線に沿いまして、私どもできるだけ企業体質改善、それによって自由、公正な競争のもとにすべての産業が運営できるような方向へ大きな目を向けつつ、この独禁法の運営もやっていきたいと思う次第でございまして、いろいろ難問題はあろうと思いますが、いままでのお話趣旨を十分考えまして今後も善処いたしたいと思います。
  74. 栗山礼行

    栗山委員 公取委員長、先ほどの私の質問に対して御答弁をいただきたい。あなたが勇気を持って、日本経済産業方向をかくすべしという立場をおとりにならずして——私は経済の裁判所的機能、裁判官的機能、こう考えておるのでありまして、こういう観点からひとつ勇気ある答弁を願いたいと思うのです。
  75. 北島武雄

    北島政府委員 独禁法第四十四条第一項において、毎年法律の施行状況について国会に年次報告によりまして御報告を申し上げておりますし、第二項におきましては、意見提出権まであるわけであります。独禁法制定以来まだこれは実行されたことはございませんが、御趣意の点を十分勘案いたしまして、今後必要がある場合にはその方法もとりたいと存じております。
  76. 天野公義

  77. 板川正吾

    板川委員 時間がないようですから、簡単に総務長官と公取委員長伺います。  まず公取委員長にちょっと伺うのですが、前回の下請代金支払遅延等防止法の改正をしたときに、附帯決議がついております。その附帯決議の二項に「下請取引の範囲の拡張については、現在の製造委託、修理委託に限らず、運搬、土建等も、その実態に即して適用するよう速やかに検討すること。」こういう附帯決議がついております。御承知のように、いまの下請代金支払遅延等防止法というのは、製造委託、修理委託関係の下請関係者に適用されております。実際はこの運搬や土木建築、こういう関係の下請というのが経済取引の中で大きな分野を占めておると思うんですね。そこまで下請代金支払遅延等防止法の適用を拡大しなければ、ほんとうの下請代金支払い遅延を防止して公正な取引を確立するという意味からいって、これは半分にも達しないじゃないか、こう思うのです。この附帯決議に沿ってすみやかに検討したと思うのですが、その結果はどういう結論に達しておりますか。
  78. 北島武雄

    北島政府委員 運搬、土建等の関係取引は、現行法の製造委託、修理委託とかなり趣を異にいたしておりますので、その実態を十分に把握した上で所要の対策を検討する必要があろうかと考えておりますが、昨年の本委員会における附帯決議以後、このような考えからそれぞれの主務官庁、運輸省なり建設省なりに附帯決議の趣旨を体して注意を促すとともに、問題点の検討を願うことにいたしております。今後はこれらの主務官庁との連絡を密にいたしまして、問題点を十分に把握いたしました上で今後具体的な結論を出していきたい、こう考えております。
  79. 板川正吾

    板川委員 具体的な結論というのは、運搬、土建等に下請代金支払遅延等防止法を適用しようという意図のもとに検討しておるのでしょう。これは製造委託、修理委託ばかりじゃなくて、実際に非常に下請取引が多い土建、運搬、そういう問題に対して、一体いつごろまでに結論を出そうとされておりますか。これはいつまでもほうっておくべきじゃないと思うのです。
  80. 北島武雄

    北島政府委員 率直に申しまして、昨年改正されました下請法は非常に強化されたと考えております。私どももこの乏しい陣容をもちまして、さしあたりこの強化された下請法を十分にやっていくというのがまず第一の要務と考えまして、目下その関係におきまして張り切っておるわけでありますが、こういうものをだんだん詰めてまいりまして、その上でさらに他の方面の必要な部分についてはおいおい及ぼしてまいりたい、こう考えております。
  81. 板川正吾

    板川委員 おいおいといって、いつになって結論が出るかわからないのじゃ困るので、ひとつ今年じゅうにやり方をはっきりしてください。  総務長官に伺うのですが、この公取の所管事項の中で、いま言ったように、下請関係というのは非常に重要だと言っております。それを強化するという意味で、今度人員もふやすという提案がなされております。しかし下請関係のほんとうに多いのは運輸とか土建なんですね。それは一般の製造委託、修理委託もありますが、もう半分くらいは土木建築、運輸関係の事業だろう、こう思います。ここまで下請代金の支払いを適正化するための適用がなくちゃおかしいと私は思うのです。いまの法律ではそうじゃないのですから、将来その辺までにすみやかに範囲を拡大すべきだと思うのです。総務長官のお考え、いかがでしょうか。
  82. 安井謙

    ○安井国務大臣 法律をどう直すかという問題になりますと、これは多少技術的な問題もあろうかと思いますが、御趣旨の点は私どももしろうとなりに非常によくわかっておるわけであります。これは民間の協会等にも十分な協力を願いまして、支払い遅延といったような問題をなくすと同時に、必要に応じてはそういった法律についても今後は検討はいたさなければなるまいかと思っております。
  83. 板川正吾

    板川委員 できれば運搬や土木建築にも適用したいのだ、しかし、適用するについてはいろいろ問題のあることだろうから、すみやかに検討して問題点を解明し、解決をして適用範囲を広げていく、こういう気持ちですか。
  84. 安井謙

    ○安井国務大臣 できるだけ運営によってそういった事態をなくしたいということをまず心がけておるわけでございますが、同時にそういった問題でどうしてもこれは改正する必要があるとかないとかいう問題が起こってくると思いますし、それは十分検討さしていただきたいと思います。
  85. 板川正吾

    板川委員 運営ではできないのです。土木建築、運搬については、この法律の適用がないのですから。製造委託あるいは修理委託、こういう面だけに下請代金支払遅延等防止法の適用がある。ですから、その範囲を広げなさいということがこの前の附帯決議になっておるのです。その附帯決議は大いに尊重していくという総務長官の前のことばがあるわけであります。しかしこれは運搬、土木まで広げますと、いろいろ問題もあるし、広げた結果の法の運用というのに万全を期すために若干時間をおいてほしい、こういうことならわかるのですが、全くそういう方向には入る必要はないのだというのじゃこれはまた問題だと思うのです。その点をはっきりしておきたいのです。
  86. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは前の国会に附帯決議をいただいておるということも承知いたしております。前向きで十分検討を進めたいと思います。
  87. 板川正吾

    板川委員 そういうふうに下請法の適用範囲を拡大しますと、当然公正取引委員会の人員の増強、機構の拡充というものが考えられますから、そういう点もひとつ御考慮の上に早急に前進した具体案を出してもらいたい、こう思います。いつまでもうやむやにしておかないで、この趣旨はいいとしておるですから、ぜひ早急に対策を立ててもらいたい。  それから公正取引委員長に伺いますが、予算委員会あるいは金融問題懇談会等で、公正取引委員会としては歩積み、両建ての特殊指定に十分な準備が整ったという趣旨のことを発言されておるように新聞には伝えられておりますが、準備はもうすでに十分だという状況でありますかどうか。
  88. 北島武雄

    北島政府委員 昭和三十九年の衆議院の大蔵委員会の決議におきまして、公正取引委員会は不公正な取引方法に該当する歩積み、両建て預金の具体的基準をできるだけ早く検討するとともに、常時金融機関の執行状況を監視して、必要あらば遅滞なく特殊指定を行なうという御決議でございました。その趣旨に沿いまして、はたして独占禁止上の不公正な取引方法に該当する歩積み、両建て預金というものはどの程度か、どの範囲かということにつきまして何回も検討いたしまして、ほぼ成案を得ておる状況でございます。
  89. 板川正吾

    板川委員 最近全銀協から下部に歩積み、両建てを自粛せよという通達を出した。おそらく毎年一回くらいずつ全銀協は下部の銀行に自粛せよ自粛せよということを通達する。確かに、国会のほうでうるさくなるとそういう通達も出すし、その通達の趣旨に沿って若干自粛の方向はあらわれる。しかし、やがて時期がたつと復元力旺盛でまた元へ戻ってしまうんですね。これは早急に特殊指定を断行して、不当な歩積み、両建てというものはいかぬ、こういうことをはっきりすべきではないか、こう思うのです。一体いつごろこれを特殊指定に踏み切るつもりであるか、所見を伺いたい。
  90. 北島武雄

    北島政府委員 常時金融機関の自粛状況を監視して、必要あらば遅滞なく特殊指定を行なうこと、こういう御決議の趣旨でございました。その御趣旨方向に従いまして、ただいままで四回にわたりまして借り入れ者につきまして歩積み、両建て預金の改善状況を見ておるわけでございます。少しずつでございますが、漸次改善はされつつある。もしこれが逆転するようなことがあれば直ちにしなければならぬ、こう思っております。漸次改善されつつあるが、なお状況を見守りたい、こう思っております。
  91. 板川正吾

    板川委員 若干改善方向の途中だからいま少し様子を見てみよう、しかし、これが逆にまた戻るようなことであれば直ちに特殊指定に踏み切る、こういうことですね。——わかりました。  時間の関係で次へいきますが、先ほどの質疑を聞いていますと、通産省繊維局長カルテルというのは業界のお約束です。こういうことを「お」をつけて業界の約束をたいへん重要な、また貴重なように考えておる。ですから、一生懸命業界を指導する通産省としては、業界のお約束を奨励して、そして何でもカルテルによって産業体制をつくろうというふうに考えられておるんですね。しかし、カルテルというのは業界がお約束して価格をつり上げる、あるいは下がるべきものを下げないというお約束は、外国ではこれは社会的犯罪行為になっておるんですね。どろぼうにおをつけるようなものの考え方ですよ。外国ではカルテルは社会的な犯罪として、アメリカあたりでは、それで告発になったりすることは事業者としても社会的に不名誉なことだ、こういう気持ちでおるんですね。ところがどうも日本ではカルテル王国といわれるほどあらゆるものにカルテルがあって、しかもカルテルが犯罪視されない、カルテルは社会的な悪だという思想がない、こういうところに私は問題があると思う。そこでその問題の一番端的な表現が罰則にあると思うのです。独禁法で見ると、独禁法の違反者に対する罰則は、三十万円から五十万円が限界です。ところが外国の例は、最近イギリスで、裁判の結果、カルテルによって社会に害悪を流したということで、一億円の罰金を業者が取られておるという例もあるそうであります。それからEECではカルテルの罰則の限度を百万ドルというふうにきめている。百万ドルというのは三億六千万円。三億六千万まで罰金を取ろということがEECの委員会における基準となっている。西ドイツでも九百万ほどが最高の罰金だそうであります。アメリカでは、最近ですが、七億円ほどの罰金を課せられ、しかも追徴金も取られる、こういうふうな、カルテルに対して社会的な悪として、それに対する罰則というものは非常にきびしいですね。ところが日本には、通産省の先ほどの答弁のように、「お」をつけて、カルテルを何かたいへんけっこうな貴重なような思想があるものですから、罰則というのもごくわずか——これは業界なり大事業、企業からいえば、独占企業体からいえば、三十万や五十万、たいした金額じゃない。こういうところに私は、最近、物価が下方硬直性を示している原因、不況下にかかわらず消費者物価がかくのごとく上がるような状況になっている一因だろうと思うのです。この罰則は現状のままでは、私はいかぬのじゃないかなと思うのです。これに対して公取はどういう見解を——私は早急に検討して、やはりこの点は将来改正する必要があるのじゃないかと思う。カルテルというのは、特にやみカルテルのごときは全く社会的な犯罪であって、これにはきびしい罰則を加える必要があるのじゃないか、こう思うのですが、公取委員長見解、いかがですか。
  92. 北島武雄

    北島政府委員 すべて罰則というものは社会感情に反してはならぬと私は考えております。現在の日本において、カルテルが即、悪というような感情にまでは、残念ながら一般にいっておりません。そういうもとにおきましては、やはりそういうことを頭に入れながら罰則というものをきめるべきだ、こう考えております。しかしただいまのような状況は、やはり他の各国に比べまして、日本が公正かつ自由な競争促進するといろ風土が比較的少ないという点に欠陥があると考えますので、こういう点につきましては、政府におかれましても、民間においても、どうかこの独禁法趣旨をますます発揮せられるような方向経済を運用していただいたらいいかと思います。そうなれば自然にやはり民衆のほうも、そういう違法なカルテル行為は重罰に処すべきだ、こういうことになってまいるわけでありまして、それを一歩、二歩先んじて罰則というものを強化するということは、私自身としては、これはなかなかむずかしい問題があるのじゃなかろうか、こう考えております。
  93. 板川正吾

    板川委員 問題提起として、ひとつその罰則の点も今後検討してもらいたいということだけ申し上げておきます。  総務長官に伺いますが、今度三十人、公取の人員が増加をされます。これは過去の例からいいますと、大体五人か六人くらいの増強率からいえば非常にふえたことになります。またふえたことに対して総務長官が大いにがんばってくれたということも伺っております。この点について敬意を表します。しかし私は、公取の機能を十分に発揮するためには、三十人程度ではいかぬじゃないか、こう思うのです。たとえば地方の事務所等は六人、大阪で十七人、六人くらいでその地方の膨大な事務を扱うといったって、実際できない。あるいは調査の下準備をするといったってできないですね。まああるというだけのもので、受付機関のようなものであって、国民にサービスする機関ではないと思うのです。そこで人数をふやすという点について、われわれちょっと検討してみましたが、少なくとも現在の倍くらいの六百人くらいの人数がなければ、能動的な活動というものはできないのじゃないか、店を広げているというだけで、積極的な役割りを果たせないのじゃないかと思うのです。その理由を申し上げてみますと、この下請代金支払等遅延防止法にしましても、一万二千軒ばかりある親会社のうち二千五百軒くらい手紙を出して、そうしてその回答を見て怪しいなというひっかかったものを、行って調査する、こういう程度ですね。ですから、一万二千軒の親企業を調査するのに、いままで四年も五年もかかる。今度幾らかふやすということで、三年か四年になるという程度です。ところが、親会社に照会を出して、私はこういう間違っていることをしていますということをすなおによこした人は調査の対象になるのでありますが、しかし、うまく逃げた人はその網から落ちてしまいます。それはほんとうは、この間のときにも言ったのですが、加害者に、どの程度損害を与えたかという調査を依頼して、そうして加害者の報告があってから行って、それはあなた方まずいから直しなさいというようなものであって、どうも被害者の立場から取り上げないのですね。それは被害者の立場は、中小企業庁がやるといっておりますが、中小企業庁はこれまたたいした陣容を持っていないし、大体そういうやる意思はあまりないようであります。そこで、これはやはり被害者の立場からも調査ができるように公取としてなすべきではないか、こう思うのですが、総務長官いかがでしょう。
  94. 安井謙

    ○安井国務大臣 仰せのように、支払い遅延といったような問題の調査がなかなか全部に行き渡らない実情にあるということは、御指摘のとおりだろうと思います。思いますが、これは今後もひとつできるだけ能率を上げて効果を期したいと思っております。いまの被害者の側にある下請業者に対して直接調査をしてはどうかという御提案でありますが、おそらく実際問題としてなかなかむずかしい問題がこれには含まれるのではなかろうか。現在やっておりますことは、私は詳しくは存じませんが、下請業者の協会のようなものを対象にして、全体の趨勢をつかみながらこれを適正にやっていく、あるいはまた特に申し立てがあればこれは必ず取り上げていく、こういう方向で効果をあげる。一軒一軒からこれを取り上げると、また別のほうの反応もあるんじゃなかろうかと思いまして、いまの御提案十分考えながらこれからもひとつ措置していきたいと思っております。
  95. 板川正吾

    板川委員 私は下請中小企業者が、それこそ何万——十万台だろうと思うのですが、それを全部調べろというのではないのです。これこそ抽出的に書面で出して、そうして問題のあるものを吸い上げて、どこが——ある一軒が申告したとか密告したとかいうのではなくて、それは傾向としてとらえて、そうして公取として指導に乗り出すということがあってもいいんじゃないか。親会社の加害者のほうの資料だけに基づいて指導するというのでは、これはほんとうに下請の擁護になりません。公正な取引を確立するというたてまえからいって、私は公取の任務からいえば、そういう点からもやるべきじゃないか、とう思うが公取委員長どうです。
  96. 北島武雄

    北島政府委員 全くお説のとおりでございまして、親事業者からだけ調べておるのでは的確なことはつかめません。そこで下請事業者からの申告はどしどし歓迎しておるわけですが、下請事業者といたしましても、これは親事業者との特殊な関係からなかなか申告しにくい、こういう関係がございます。そこで私どもといたしましては、個人としては申告しにくいけれども、団体を通じてはやりやすい場合もございますので、下請団体の協力団体を結成いたしております。当初は十五ございまして、現在十八に団体を拡充いたしておりまして、その団体を通じて申告をするということが非常に効果的なのでございます。こういう方法一つとっております。  もう一つは下請取引改善協力者の制度、これは昭和四十年度から予算上認められて現在五十人の下請取引改善協力者をお願いいたしております。下請取引者に精通しており、かつ下請取引改善に熱意のある方々を各地区で選定いたしまして、五十名をいまお願いいたしております。こういう方々の力によってできるだけ下請事業者のほうからの情報をキャッチしていきたい、こう考えております。
  97. 板川正吾

    板川委員 下請協会ですか、団体を十五から十八にした。親会社が全国で一万二千からあるというのでしょう。そうしてその団体が十五から十八になった。この団体が何百とできて相当な影響力を持てるのならいいですよ。十五や十八ではここから問題を持ち込むというのはやはり数知れたものです。だからいまのこの下請協会なりこういう団体では十分期待することはできないだろうと思う。またなぜ十五か十八ぐらいしかできないかというと、そこで取り上げ方にも問題がある。へたに取り上げたら、そういう団体が親会社からボイコットを食うという心配もあるから結局できないのだろうと思うのです。日本全国のあらゆるところに、大きい工業地帯にあるのかと思えば日本全国で十五や十八じゃないですか。これから吸い上げるからだいじょうぶということは私はおざなりだと思うのです。だから法の厳正な適用をさらに強化していくというのならばやはり下請業者からも書面で取るような方法をしてやれば、もっと下請代金支払い遅延を防止することができると思うのです。だから公取委員長、いま言ったように、十五が十八になったからだいじょうぶだとか、あるいは何か五十人ほどにまかして何とかしようと言ったって、ここから吸い上げてくる問題というのは少ないですよ。だからこれではいかぬと思うから、私はこの際下請業者に——日本全国何百万も出せという意味じゃない。相当量を抽出してやって、あるいは地域的にやって、問題点を吸い上げて解決するような方法を講ずべきではないか。しかしそれには私はいまの人数じゃできないという結論になるだろうと思うのです。だからそういう意味で公取の機能を強化させつつ、そういう面で運用の万全を期するために人をふやすことをやるべきでないかな、こう思うのです。総務長官、どうでしょう。
  98. 安井謙

    ○安井国務大臣 いまの団体十八じゃとても九牛の一毛じゃないかというお話、それもごもっともだと思いますが、これはおそらく業種の団体だろうと思いますので、それはそれなりに相当効果をあげておるのではなかろうか。しかしいまのような地域的検査と機構を拡充して今後はそういう方向でやるべしという御意見はたいへんごもっともだと思いますので、今後そういう点は十分検討したいと思っております。
  99. 板川正吾

    板川委員 もう一つ、最後に、いまの公取の欠陥は、たとえば再販売価格維持制度にしましてもあるいはカルテルの問題にしましても、指定をしあるいは許可をしたら、そのカルテルの再販売が実際どういう運用をされておるかというのは全然野放しなんですね。ですから再販制度——九品目もあって、そのうち全然やらないような問題までここのところ十年間も放置しておいて、最近になって気がついて、四品目ばかり指定取り消しをいたしました。本来ならこれは申請しても動いてなければ早急にそういうのは取り消しをするなりすべきだと思うのです。カルテルの問題にしましても、カルテルの認可をしてこれを容認する場合、よろしいというそのときは、認可の要件にかなっておってもやがてそれが必要なくなるというような変化が起きても、依然として認可されたままでおるのですね。そういうところに、私はいままでの公取の機能というものは働いてない。許可したら野放しでもううしろのほうは見ない。前から申請のあるものだけ審議していく。それがどう運用されておるかということはもう見るひまもない、こういう状況にあるのじゃないか、こう思うのですが、公取委員長どうですか。  時間がないからなお続けて言いますが、外国では、たとえばアメリカが一番いい例ですが、不公正取引を取り締まる役所として連邦取引委員会があります。連邦取引委員会は約千二百名の陣容を持っておりますね。そのほか、司法省内に独占禁止局があって、これは約六百人の陣容を持ってカルテルなりを取り締まっております。そのほかFBI、連邦警察が——これは全部カルテルに力を入れておるわけじゃないのですが、しかしこれが一万三千人からの人員があるそうです。この間、ケネディ大統領が、鉄鋼業者が三・五%値上げをしたときに、もし政府のいうことを聞かなければこの連邦取引委員会なりあるいは司法省内の独占局なりに連絡をさせて、この値上げが価格協定によって値上げしたということの調査を開始するぞ、こういう圧力を加えて結局値上げを中止させたのですが、そういうように価格協定なりに対して非常に監視の目というのが強いのですね。ところがどうも、いまの日本公取の体制では、十分なそういう機能を人数が少ないから果たしていない、果たせない。これは過去からのいきさつがありますから、急に飛躍しろといってもなかなか困難かもしれません。しかし将来は、やはり日本経済秩序の公正化を期する意味においても、公取をもっと強化して、そして不当な価格つり上げや不公正取引を監視して、そして公正な経済秩序というものを確立すべきじゃないかな、こう思うのです。そういう意味で、公取の陣容について将来なお抜本的な対策を講じてもらいたい、こう思うのですが、総務長官、見解はいかがでしょう。
  100. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のとおりだと存じまして、今年もできるだけやりましたが、今後も大いに努力したいと思います。
  101. 板川正吾

    板川委員 もう一つ、三十人今度人員をふやします。ところがこの三十人の人員が早急に補充できるかどうか心配する向きもあるようであります。たとえば新規採用するばかりじゃないと思うのですが、よその役所から派遣を願うということもある。よその役所では人員不補充の原則があって、通産省あるいは大蔵省から公取に派遣したいが、あと補充してくれないということで、なかなか出したがらぬそうであります。それではどうも困るので、この際実質的には三十三人増員については心配がないかどうか、総務長官。
  102. 安井謙

    ○安井国務大臣 仰せのような点もあるやに聞いておりますが、私ども責任をもってこれを拡充していきたいと思います。
  103. 板川正吾

    板川委員 以上で質問を終わります。
  104. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  106. 天野公義

    天野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  107. 天野公義

    天野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  108. 天野公義

    天野委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して浦野幸男君外二名から本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず提案者から趣旨の説明を聴取いたします。板川省吾君。
  109. 板川正吾

    板川委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、ただいま議題となっております附帯決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、最近の経済情勢において、公正取引委員会が、物価対策としての違法な価格協定の取り締まり、下請事業者利益保護等、ますますその重要性を増している現状にかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、公正取引委員会事務局の機構について、引き続きなお一そうの拡充強化をはかり、特に地方事務所については現在きわめてわずかな陣容であり、十分な業務の遂行はとうてい期待できない実情にかんがみ、必要な人員を配置するよう努力すること。 二、カルテルについては、その及ぼす社会的、経済的影響にかんがみ、事後の監視を十分実施するとともに、中小企業等協同組合法による価格カルテルについては、独禁法との関係等早急に再検討すること。 三、下請代金支払い遅延の防止については、親事業者の調査を広範に実施するとともに、直接、下請事業者に対する調査をも実施し、取り締まりの万全を期するよう努力すること。  右決議する。 以上であります。  御承知のとおり、公正取引委員会事務局の機構の拡充については、すでに再三にわたり附帯決議を行ない、その結果逐年人員も増加され、地方事務所も増設されてまいりました。今回さらに三十人の増員、広島地方事務所の新設が行なわれるわけでありますが、公正取引委員会の任務の広範かつ重要なことを考えますと、まだまだまことに手薄な実情と言わなければならないのであります。  そこでまず第一に、公正取引委員会事務局の機構をさらに一段と拡充強化することが必要であります。特に地方事務所については四国地方にはまだ設置されておらず、既存の地方事務所も、多いところで大阪の十七人、仙台のごときはわずか六人という実情でありまして、これでは国民経済上重要な任務を果たす公正取引委員会の満足な業務の遂行は、とうてい期待できないのであります。したがって、地方事務所については特段の充実をはかり、必要な人員を十分配置するよう努力すべきであります。  次に、カルテルは社会的、経済的に影響するところも大きく、最近においては物価対策の観点からも論議されているところでありますので、違法な物価カルテルの取り締まりを十分実施することはもとよりのこと、適法に承認されたカルテルについても、その後の経過を十分看視し、必要に応じ適切な措置を機動的に講ずることが必要であります。また中小企業等協同組合法による価格カルテル独禁法の適用を除外され、何ら公正取引委員会の関与することなく認められておりますが、中小企業等協同組合法の解釈、独禁法との関係等必ずしも明確でない面もあり、中小企業団体法によるカルテルとの均衡上問題もあるので、これらの点について早急に再検討を加えるべきであります。  最後に、下請代金支払い遅延の防止については、現在公正取引委員会とともに中小企業庁においても調査を実施しているところであります。しかして公正取引委員会においては親事業者を対象として調査を行なっておりますが、調査の対象となる親事業者の数をさらに広範囲にすることが必要であります。また、公正取引委員会としても、親事業者の調査とともに直接下請事業者をも調査することにより、取り締まりの万全を期するように努力すべきであります。  以上が、附帯決議案の提案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  110. 天野公義

    天野委員長 以上で説明は終わりました。  直ちに採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  111. 天野公義

    天野委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。安井総理府総務長官。
  112. 安井謙

    ○安井国務大臣 ただいま御決定をいただきました附帯決議につきましては、非常に御趣旨ごもっともと存じます。特に御指摘の三点につきましては、その実現を期しまして今後も鋭意努力をいたしたいと存じます。
  113. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  115. 天野公義

    天野委員長 この際参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  先ほどの理事会において御協議を願いましたとおり、内閣提出、機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は来たる十五日火曜日、午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会