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竹中(喜)
政府委員 協同組合の問題は
独占禁止法上非常にむずかしい問題でございまして、
独占禁止法が協同組合を適用除外いたしましたのは、
先ほどお話がありましたように、
中小企業が単独では大
企業に対抗できない。これが協同組合をつくりまして大
企業に対抗する。これを適用除外したわけです。ですから、
独占禁止法が初めにねらっておりました協同組合というのは、原材料の共同購入とかあるいは共同加工とか、共同
販売を行ないますところのいわゆる共同経済事業を行なうところの協同組合を頭に置いて適用除外したわけです。そういう事業をせずに、単に
価格協定だけをやる協同組合、こういうものは考えていなかったわけです。それがその後、協同組合であれば
独占禁止法の適用除外になるということで、そういうことだけをやる協同組合が出てきたわけなんです。それで、
先ほどお話がありましたように、これが協同組合の事業の一体どこで読むのだという問題が出まして、これは「共同施設」で読むのだ、こういうことになったわけです。ところが、
中小企業団体法あるいは環衛法を見ますと、こういう事業につきましてはわざわざ
法律で共同施設と別に
調整事業と
書き分けているわけです。ですから、その「共同施設」で読むということは非常に無理なんですけれ
ども、従来
一般の行政官庁の指導も、協同組合ならできるのだということできておりますものですから、いまの段階になってこれをどうするかが非常にむずかしい問題になっているわけです。それでただし
書きの場合は適用除外になる。それから適用除外法の二条で八条を落としておる。この八条は昔の事業者団体法の中にあった
規定なんです。事業者団体法も
独禁法と同じような趣旨で協同組合を適用除外していたわけです。ですからそれをそのまま
独禁法の中に入れまして、適用除外法の二条で適用除外にしたわけなんです。
それでは協同組合がこのただし
書きに該当する場合に、
独禁法の適用はどうなるかという問題が出てくるわけなんですけれ
ども、不公正な
取引方法を用いる場合は、これは当然
独占禁止法の違反になる。ただ、そのとき
独占禁止法の十九条は「事業者は、不公正な
取引方法を用いてはならない。」こう書いてあるわけです。ところが
価格協定だけをやって事業をやっていない協同組合に対して、十九条を適用するということは非常にむずかしくなってくるわけです。それから
先ほどお話がありました一定の
取引分野の
競争を実質的に
制限して、不当に対価を引き上げるという問題もございます。これは一体どの条項を適用するかという問題が出てきます。
私的独占か不当な
取引制限か。ところが
私的独占につきましては、構成要件として他の事業者の支配排除という問題がある。共同
行為は、事業者の共同
行為で、協同組合がその執行機関で意思決定したものを共同
行為と見ることができ得るかという
法律論もあります。ですから、協同組合は現在適用除外になっておる八条の
価格カルテルになっておりますれば全然問題にはならないのでありますが、
最初予定しておらなかったような協同組合が出てきた。
法律の
規定がそういうものを頭に置かないで書かれておりますので、そこにいま適用について非常にむずかしい問題があるのです。ですから
公取が文句なしに適用しておりますのは、二十四条の各号の要件を備えてなくて、大規模事業者が入っておるような協同組合につきましては、これはずばり
独禁法を適用しておるわけです。そのようないきさつで今日までまいっております。