○板川
委員 再販売制度というのは、考えてみると、これは重要な
独禁法とはまっこうから相反する
規定だろうと私は思うのですね。たとえば本来取引の
相手方、小売り
業者なら小売り
業者が値段をきめるべきものを、これを小売り
業者の値段をメーカーがきめて売るのでしょう。ということは、ある意味では
独禁法の相手の事業活動を拘束するという、不当なる取引制限の事項に該当する。
独禁法的に言えば、この行為はいけないことですね。いま
独禁法で許されていますが、
独禁法の基本的な流れから言えば好ましい
方向じゃない。不当な取引制限に当たる性質のものですね。
それから第二は、
販売価格を守らない者にはあなたのところへ売らないのだ、百円なら百円でこの薬を買わない限り売らないのだという、商品の供給を停止することは、これは一種のボイコットになる。これまた
独禁法にいう不
公正取引の項目に該当する行為ですね。
第三として、取引の
相手方に価格を守らせることは、取引上の相手が、小売り
業者がもうかっているから、実は値引きして売りたいのだけれ
ども、しかしこれこれで売らなくちゃならないのだということで価格を守らせることは、優越したところの、経済行為の乱用ということにもなる。これも不
公正取引という項目に該当する。再
販売価格は、結果においては
競争を排除している、事
業者の利益を
確保する道に通じているのじゃないか。そういう商品があっても、実際他に似たような商品があるから、たとえば薬の場合にいたしましても、あるかぜ薬を再
販売価格に乗せた一これは
競争があるからいいじゃないか、しかしほかの会社も全部同じように、最低百円なら百円、二百円なら二百円できめてしまえば、自由な
競争がなくなるということも考えられる。ですから、この再販売制度というのは
独禁法の中心的な
規定とまっこうから相反するものだ、こういう性質を持っている、
傾向を持っている。ところがこの再
販売価格を指定する
規定というのはまことに不十分じゃないか、こう思うのですね。いま
委員長言われましたように、これを指定する場合には、二十四条の二にありますが、「当該商品が一般消費者により日常使用されるものであること。」一般に使われているものであること。それから「当該商品について自由な
競争が行われていること。」要するに自由な
競争で、同じようなものが他で売られていればいい。一般に知られていて同じようなものが他にも売られているのだということであればいいという
要件ですね。こういう
要件があれば届け出をすれば商品を指定せざるを得ないでしょう。いまの
公取の運用から言うと、その場合には
公取の再
販売価格維持契約の届け出に関する規則というのがあって、この規則でどういうふうな
規定になっているかというと、これはメーカーと小売り
業者が契約を結んだら契約書の写しを出しなさい、契約書がなかった場合、口頭で契約した場合にはその口頭の契約を文書にして出しなさいという
程度のことで簡単に認められる制度を現在はとっておるのですね。こういう法の不備をついて実質的にはその
競争がなくなる、あるいは消費者の利益を害してメーカーの利益に奉仕するという制度になってしまったのじゃないかと思うのです。だから現在の再
販売価格制度というものは問題があるから検討するということにはなっておりますが、本来的に言うと、
独禁法とまっこうから相反する性質のものですから、これを指定するにしても、あるいは指定されたものに対しても、指定する場合にはもっと
要件をきびしくして、指定された後の監視を当然やってよいのじゃないですか。
独禁法に定められた
競争をしなくて済むのですから、そういう恩典を受けるのですから、書籍とか新聞とかは問題はございませんが、そうじゃなくていま一般にいわれておる化粧品とか薬とかをこの再販に乗せる場合には、もっと
要件をきびしくし、そうして指定した場合には、これに対する報告なりを十分とって、そうしてもし消費者の利益を害するようなことがあれば、さっそくそれを取り消すなり勧告するなり、こういう制度に持っていくべきだと思いますが、いかがですか。