○板川
委員 ちょっと関連して伺いますが、この問題の経緯を
考えてみますと、まず沢田君からいろいろ事実
関係が言われたのですが、経緯を
考えてみると、こういうことになるのじゃないかと思うのです。それはアンホという新爆薬が開発された。そうして外国でそれを使い始めた。値段が三分の一とかあるいは五分の一とか非常に安い。危険性も少ない。だからこれは非常に需要
業界とすれば好ましい開発である、こういうふうに
一つの前提があると思うのです。ところが一方火薬
業界は、大体火薬の需要というのは、年間コンスタントにあって変動はしない。ところでその火薬
業界では、値段が三分の一か四分の一というような安く、しかも危険性の少ないものが開発されたのでは、非常に
業界としては困る。だからこういう便利なものはなるべく
業界としては歓迎しない、こういう観点に立っただろう、こう思われるのです。そこで火薬
業界としては、なるべくこのアンホなんというものは普及しないで、国民も、需要者もあまり知らないほうがいいと思っていた。ところが鉱山
業界では、国際
競争力等の
関係もあって、
合理化しなくちゃいけないからということで、いろいろ調査をしてみたところが、安いものがあるからぜひつくってほしいという希望を持った。しかし希望を持ったが、火薬
業界としては困るということでいた。しかし火薬
業界があまりその問題と取り組んでくれないから、需要者である鉱山
関係者は、せめて自家消費の工場をつくろうじゃないか、自家消費の工場をつくって、せめて
自分のものだけでもつくろうじゃないかという気持ちで、自家生産をしよう、こういうふうに
考えた。ところが自家生産をされたのでは困るので、まあ火薬
業界としては何とかそれをじゃまをしようというので、これは火薬と同じように危険物として扱うべきだということを
通産省に働きかけた。
通産省も、なるほどカナダとかあるいはアメリカですか、こういう非常に土地が広くて人口の少ないところでは危険物扱いでもいいが、ヨーロッパなりという人口の多いところは、これは危険物じゃなくて、火薬扱いにしているから、日本の条件からいうと、これはヨーロッパ並みに火薬扱いにして、あぶないものだというふうにしたほうがいいだろうということで火薬扱いにするという方針をきめた。これは火薬
業界としても新しい開発をする鉱山
業者に対して
一つのワクをはめるのですから希望しておった。そこでそういうことになった。そしてそれでもいい、しかし生産をするのだということになったら、今度はそれはよそへ売らない、一般販売しないのだという条件をつけた。しかし火薬類取締法は保安法であって、業法じゃない。よそへ売っちゃ悪いとかなんとかという
法律はない。しかし、そこで
通産省が、よそへ売らないことにするなら許可をしてもいいというような方針を仲へ入ってやった。片方もそれはそれでいいというような気持ちで始めた。ところが実際このアンホが開発されて自家消費され、さらにそれが非常に便利で安くていいということになると困るので、そこで火薬
業界としてはいろいろこれに対してじゃまを始めた。それはどういうじゃまを始めたかというと、いま沢田君も言いましたように、大体三つに分けられると思うのです。これは
公取、ひとつ聞いてください。
一つはアンホを買った山に火薬を売らないという——売らないといってはあるいは語弊がありますから、火薬の納入を辞退をするというこういう方法で火薬
業界が圧力を加えておる。そうして第二は、アンホを買った山にはリベートを出さない。第三は、アンホを買って使う山のある地域には自家消費を
中心に生産した新会社よりも安い値段でやる、いわゆるダンピングで、差別的な
価格で
競争をいどんでおる。こういうようなことで自家消費を
中心として始めた会社に
競争なり圧力をかけてこれをつぶそうとしておる、こういうふうな
現状ではないか、こう思うのです。
通産省としても何とか仲へ入ってひとつ
調整をしようという気持ちだったらしいのですが、なかなか
調整ができない。そのできない原因はどこにあるのかというと、私は、先ほ
どもいわれておりまするように、四社で九三%も圧倒的なシェアを占めておる、これがものをいっておるのだと思うのです。今度は火薬の問題ですが、私も火薬の流通については一定の秩序を持つべきだと思うのです。冗談に言うのですが、青森のリンゴのように、ことしは大量にできたから大売りいたします、安売りしますという
性質のものじゃない。それから需要も年間大体コンスタントなものを持っておる、こういう場合には私は一定の流通秩序を持たせる必要がある、といって急に減ったり急に多くなったりしても困る、大体同じような需要がその地域にあるならば、これはたとえば再販売
価格制度、こういうものに乗せて流通を秋序化する必要があるんじゃないか。ある山には高く売り、ある山には安く売るというようなことはできないような再販売
価格的なものをやったらどうか。しかし、これは再販売の
法律の条件に——寡占
状態ですから、
競争力を失うことになりますから問題だと思うのですが、再販売
価格制度に乗せるべきでなければ、
通産省がこれこそは
行政指導でもっと明朗な流通秩序をまず第一にやるべきではないか、私はこう思うのです。
そこで
公取にお伺いしたいのですが、
質問の整理上、先ほど一点、二点、三点に対して私が申し上げたものは、これは
独禁法の不
公正取引に該当すると思いますが、その根拠を説明していただきたいと思います。