○
石野委員 親
会社が
下請に
仕事のめんどうを見てやるために専属の
下請をなるべく持ちたいというのが、親
会社みんなの気持ちなんです。したがって、やはりほかから注文を持ってくるとあまりいい顔をしないわけです。そういうことから親
工場と
下請工場との悪縁が続いていくのですが、最近は大きな
会社で注文がないからということで、
下請工場を自動的に親
会社から切り離していこうという、非常に陰険な
考え方が出てきておると思います。たとえば
中小企業等協同組合を
下請工場でつくらせます。
下請工場の
中小企業が協同
組合をつくっております中で、四、五年前の人員が非常に不足しておるときには、
下請協同
組合というような形になりますというと、なかなか人が来てくれないから、その
下請をはずして、何々
会社下請工場、こういうふうに一応切りかえた時期がございました。これは数年前各所で行なわれたわけです。ところが最近になりますと、
下請工場に対して
仕事がない、注文が出ていかない、親
工場はその小さい
会社を切り離してしまいたい、こういうことから定款変更の要求を親
工場がしてきている事例がたくさん出てきております。こういうような事例を巧みに
下請工場の
組合の幹事
工場を通じてやらす、こういうやり方をしているわけです。私はどこの
工場がどうしているということは言いませんけれども、たとえば例を
一つとりますと、定款変更の中で
——現在の定款の中に
組合員の資格というものがあります。その資格は、何々
会社または何々
会社の系列
会社と取引を行なっている
事業者であることという
規定がいまあるわけです。その
規定を今度は新しいなにでは工業を営む何々
会社または何々
会社の系列
会社という、その系列を抜いてしまう。一応抜きます。
下請発注の範囲を狭めていくわけです。継続して取引をし、なお行なっている
事業者であることということで、まずそこで
一つ制約を加えます。それから新たに今度は、こういうような条項を入れてくるわけです。何々
会社または何々
工場と継続して取引を行なっている期間が六カ月以上中断されたときは当該取引関係がなくなったものとする、こういう定款変更を要求してくるわけです。これは一見あたりまえのように見えますけれども、その及ぼす影響は非常に大きいわけです。しかもこういうような状態が
組合の中に出てまいりますと、
組合としてはこれはたいへんなことですから、その定款変更を食いとめようとする。ところが親
工場が
組合に来て、
組合の幹部をがちっと押えて、それから総会を招集させる。総会招集をして、無記名投票じゃなくて記名投票でやってくれ、こう言うわけです。そうして親
工場の関係の部課長ががちっとすわっておって、絶対に無記名投票をさせない。記名投票でやらす、こういうやり方で定款変更をさせるというようなやり方が行なわれているのです。こういう場合通産当局としてはこれを認めるのかどうか、こういうことを許しておいていいかどうか、私たちの
考え方では、ある地域において
一つの
会社があって、それの
下請工場というものがありますると、大きい
会社の
下請工場というのはそれ自体が
一つのクレジットになっておると思います。そういうことからもしその協同
組合から離れていけば、
金融の面がそれ自体でとまっちゃうんですね。ところが私が、こういう問題について
中小企業庁指導課の諸君に聞きますと、そういう
提案が出ても、この協同
組合から受ける
組合員の利益というものは、大体手形の割引と
技術の訓練がこの
組合で得られるところの利益なんです。しかしもう発注も何もなくて、
仕事がなければ手形の割引もなくなる、あるいは
技術訓練も行なわれませんから、大して不利益が出てきませんので、どうにもなりませんという御意向を承った。そういうことであるとするなら、私は
通産省の
指導方針としては非常に無定見だと思う。無定見どころか、むしろ親
会社と結託をして、こういうことを行政上黙認するということになるのではないだろうか、こういうふうに私は思いますので、こういう問題については明確なひとつ通産当局の御意見を承っておきたいと思います。これはおそらく全国的に出てくる、しかも非常に広範に多地域にわたって出てくる問題だと思いますので、この際明確に御所見を承りたいと思います。