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1965-12-24 第51回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十四日(金曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 始関 伊平君 理事 田中 榮一君    理事 中川 俊思君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    黒金 泰美君      小宮山重四郎君    佐々木秀世君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       大村 邦夫君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       田中 武夫君    楯 兼次郎君       麻生 良方君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         中小企業庁長官 山本 重信君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    青山  俊君         国民金融公庫理         事       油谷 精夫君         中小企業信用保         険公庫理事   菅 博太郎君         参  考  人         (全国信用保証         協会連合会常務         理事)     河村 篤信君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九号)  中小企業信用保険臨時措置法案内閣提出第一  〇号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険臨時措置法案を議題といたします。  本日は、両法案審査のため、参考人として、全国信用保証協会連合会常務理事河村篤信君が出席されております。  政府当局並びに参考人に対して質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 二十二日の二十二時三十分のNHKテレビを実は見ておりました。ところが、通理大臣が登場されて、中小企業対策についていろいろと考え方を述べておられたし、さらに北九州であるとか、あるいはそうした方々の深刻な実情大臣は十分に認識されたと思いますが、私も、相当長い時間でございましたが、テレビを見ておりまして、かつまた大臣考え方テレビを通じて知ることができたわけです。私が一番心を打たれたのは、こういう訴え方があったようでした。去年のほうがよかった、ことしはにっちもさっちもいかないんだ、来年のえびすさんは泣いた顔が出るかもしれないということを言っておりましたが、お互いに誠心政治に携わる者といたしまして、ほんとうに心から胸を打たれて、責任を感じさせられたわけであります。大臣も同じような気持ちであったと思うのであります。下請関連倒産連鎖倒産がある。新聞紙上で報道されておりますように、社長一家が心中するとか、あるいは行くえ不明になるとかいう状態でありますし、また倒産をしていない企業にいたしましても操短をやっておる。そういうことで、労働者に対しましては指名解雇をやるというような実情であります。中小企業に働く労働者というのは、賃金もまともにもらえない、何カ月かおくれて分割払いを受けておるという状態であります。さらにまた、あのテレビ労働者が深刻な訴えをいたしておりました。年の瀬になったけれども、ボーナスも出ないのだ、出かせぎに行っておった人たち仕事がなくなって帰ってくる、何年かぶりで一家そろって正月を迎えることができるということにはなりますけれどもお先まつ暗、年が明けたらこの仕事生活をささえていくということもできない、全く暗い正月を迎えなければならぬということが切々として訴えられておったわけであります。そうした深刻な状態に対しましては、大臣も真剣な顔をし、また北九州あるいは大阪のそうした訴えに対しましても大臣なりの考え方を表明しておられたわけでありますが、この委員会を通じまして、これから先の中小企業対策大臣の御意見のように当面の対策、全体を強めていくための、経済政策根本政策というものを打ち立てていかなければならぬということは、そのとおりであると思うのでありますが、この機会に大臣からひとつはっきりした取り組み方についての決意を明らかにしていただきたい。
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 私も、あのNHKテレビで、北九州大阪、東京、各地の模様、実情というものが出て、非常な印象を受けたわけであります。ただ、ああいう中に、投げやりにならないで、生活を切り詰めてまでこの苦境を抜け出さなければならぬという、こういう中小企業自体の真剣な姿というものには胸を打たれて、これに対して政府ができるだけのことをして、これから立ち上がろうとする中小企業者に対して手助けをしなければならぬという感を一そう深くいたしたのでございます。これについては、当面、去年よりも悪かったという実感は、経済のいろんな指標から見てもそのとおりである。去年よりも悪い。したがって、年末、景気が上向いてくるまでの間は、金融の面あるいは御審議を願っておる信用補完制度の拡充、こういうものを通じて、何とかして犠牲者を少なくするような努力を懸命にやらなければならぬ。これはしかし当面の対策であり、大きくいえば、日本経済全体がもう少し経済活動が活発になって、景気も上向いてくるということでなければ、そういう大きな、ゆとりのある日本経済の中で中小企業考えなければ、みなが悪い中に中小企業だけを取り出して、これに対して中小企業が非常に仕事もふえていくということはなかなかむずかしい。だから政府は、財政金融あらゆる面を通じて、やはり一日も早く日本景気を回復さすことが根底になる。そのために、今年もいろいろなことをやっておりますが、来年度予算編成ども、一面からいえば公債発行などをして立ちおくれておる公共事業などを積極的に推進するという意味もあるが、同時に不況克服という面も来年度財政政策の中には含まれておる。こういうことでことしは悪かったけれども、来年の年末は本年のような暗いものであってはいけない、そういうことで全力を尽くしたい。そういう心持ちで、来年度昭和四十一年度予算も編成したい。そしてその中における中小企業の問題でありますが、結局は中小企業のこれからの問題としては、やはり中小企業生産性を高めなければならぬわけです。いままでのような大企業に比べて非常に安い労働賃金で人を使えるという時代は過ぎた。人が余っておった時代から人手不足経済になったわけですから、中小企業も大企業と同じような労働条件で人を使うという時代に入ってきたのですから、したがって今後は、生産性を高めるために、設備の問題あるいは技術の問題あるいは経営の管理の問題、いろいろな面で中小企業のおくれておる面を一日も早く取り戻して、大企業に匹敵できる生産性を持つことだと思う。政府は、その間にやはり何としても設備近代化といいますか、そういう面において今後力を入れていかなければならぬ。また一面において、中小企業は非常に零細な企業経営の母体、経営の単位が非常に零細ですから、だからこれの協業化といいますか、あるいは協同組合という方式もあろうし、合併という方式もあろうし、こういうことで一つの適正な経営規模になっていくという面もあるし、高度化資金などは、そういう面から力を入れていかなければならぬ。したがって、やはり設備近代化あるいは高度化、こういう中小企業の持っておる非常な弱いところ、これが改革されなければならぬ。  もう一つは、中小企業が、これは大きな経済の転換期ですから、いまのような状態ではなかなかもつていけない中小企業もあろうし、転換も必要でしょうし、あるいはまた経営技術の面などにおいて改革をする必要もあろうから、そういうことに対して中小企業に懇切な指導という面が要る。相談相手になってあげるという機構がもっと整備されて、そこへ行って相談すれば、工場も診断してくれるし、いろんな将来の見通しについてもいろんな意見も聞ける、そういう中小企業における指導、こういう面の機能、機構というものも強化しなければならぬ。これは大事な一面だと思います。  さらに、中小企業金利の面、これは三金融機関ども九月一日から金利を下げたですけれども、もっとやはり金利は下げていかなければならぬ。あるいは中小企業税負担も軽減していかなければならぬ。中小企業自身がやはり税制上何か蓄積が持てるようなくふうが要るのではないだろうか。こういう点で構造改善に対する準備金というようなものを租税の面から免税にするというようなことなども考えられていいのではないか。金融税制、そういう面から中小企業自身負担を軽減して、企業蓄積ができるようにしていく、いま言ったようなことを今後強力に推進して、相当時間をかけて日本中小企業のおくれを取り戻すよりほかにはないのではないか、こういうふうに考えておるものでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 大臣考え方というのはよくわかるわけです。またそうでなければならぬと思います。多少のニュアンスの違いはありますが、いままで歴代の通産大臣が大体同じような方針を明らかにしてきた。またそうしたつもりで取り組んでこられたと思うのですが、なかなか成果があがらない。そこにも問題があると思うわけです。ただいまの御意見の中にございました、たとえば減税の問題にいたしましても、やはり中小企業というものの特異性を考慮に入れた減税政策というものを打ち立てていかなければならないのではなかろうか。いつも私どもが、大企業の利益を守るために特別な減税措置として考えている租税特別措置法、こういうものは廃止すべきだというのに対しては、政府与党は、これは必ずしも大企業だけではないのであって、中小企業も当然租税特別措置法対象になるんだという答弁をしてこられた。確かに法律そのものは大企業だけが対象になるのではないわけです。しかし、実際問題としては、中小企業は、租税特別措置法減税恩典に浴するには、なかなかむずかしい制約を受けておるということであります。経理にいたしましても、租税特別措置法は非常にむずかしいいろんな繁雑な事務手続が要る。そのためには専門の経理屋というものを何名も入れておかなければできない。それを完全にすることにおいて、なるほど減税恩典には浴するかもしれないけれども、今度はその経理担当人件費によって、それが非常に大きいために、減税してもらったほうがいいのか、あるいは人件費のほうがむしろ高くなるのではないかということとか、あるいは経営者にいたしましても、非常に零細でございますだけに、みずから勤労をもって事業に取っ組んでいかなければならぬというような関係上、そういったところにみずから取っ組んでいくわけにもいかない、こういうことで、現実にはこの恩典には浴さないという形になっておる。だから、中小企業に対する減税というのは、これら事業者がいつも要求しておる、たとえば事業税を撤廃をしてやるとか、あるいは所得税率というものをぐっと引き下げてやるとかという、そうみずからうるさい事務手続をしなくとも、減税というものが行なわれ得るような対策を、減税政策というものを打ち立てていかなければならないのではないか。それから減税に対してもいろいろな基準がある。たとえば織機なんかにしても、幅によってこれ以上は減税する、それ以下はだめなんだということで、実際は零細な企業減税対象からはずされるものに大多数の人たちが依存をして生活をしておる。事業を営んでおる。ところがそれは減税基準からはずれてしまう。比較的担税力のあるそうした企業減税恩典に浴する対象になる。こういったような現実と遊離した政策が行なわれておるところに問題があると思います。そこらにほんとうに根本的にメスを入れていかなければ、ただいま大臣お答えになったようなことはこれは実現をしない、かように私は考えておるのでありますが、そうしたそのような点に対して、大臣としてどうこれから対処していこうとしておられるのか、まず伺ってみたいと思います。
  6. 三木武夫

    三木国務大臣 これから来年度予算編成を通じて税の問題というものが結論を出さなければならぬ。中小企業に対する減税は、大企業に比べて税率をできるだけ下げるために努力をしてみたい。まだ結論は、これから予算編成に多少の時間がありますが、折衝をやってみなければわかりませんが、何とかしてこういう中小企業は非常な不況のもとでしわ寄せを受けておるわけですから、他の大企業などに比べてみて、できるだけ中小企業税負担を軽減するために、今後の予算編成努力をしたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど大臣お答えになりましたように、当面の金融対策であるとか、その他当面の対策があるわけですね。そしてより根本的な中小企業そのものを強くしていくための経済政策中小企業近代化合理化対策というものがなければいけない。ですから来年度予算では相当——実力大臣三木さんが通産大臣になられた。私ども期待を持っておる。また中小企業、なかんずく零細企業人たち大臣に対する期待は非常に大きいと思う。ところが、今度補正予算が出てまいりましたから、私ども補正予算を見てみると、中小企業関係の当初予算というものが修正をされた。数字にいたしまして二十八億七千百四十二万円の減額になっておる。その中身は、大臣が先ほど来強調された高度化資金、それから小規模企業振興関係、あるいは中小企業指導事業費補助、そういったもろもろの予算というものが減額をされておるという意外な事実を、補正予算内容を見て実は驚いておるわけです。どうしてそういったような、前向きではなくて、うしろ向き大臣がいまお答えになったこととは逆な方向をたどるような措置大臣が同意をされたのか、全く意外でございますが、その点に対しての経過というものをひとつお聞かせ願いたい。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 保険公庫の十億円、これを回しまして、そういうことで一般の事務費一割削減ということで、この問題が中小企業の中においても削減になった部分があるわけでありますが、は、削減内容について次長から御説明申し上げます。
  9. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業庁関係昭和四十年度成立予算額は、純粋事務費を除きまして、中小企業対策費が百四十八億五千二百万円でございます。ところが、その中で諸謝金とか職員旅費というような事務費的なものを節約いたしました額が約一億三千九百万円程度でございまして、そのほか中小企業高度化資金関係が十億ほど減少になっておるわけでございます。この十億につきましては、高度化資金関係は、御承知のように工場等集団化あるいは商業団地化あるいは小売商関係共同店舗というような共同協業化資金が重きをなしておるわけでございますが、最近の御承知のような不況の状況によりまして協業化が意外に進みませんで、予定どおり昭和四十年度において予定をいたしておりました件数が達成せられないという見通しが強くなったわけでございます。そのうち十億程度不用額に立てる方針を立てたわけでありまして、それをこのたび保険公庫融資基金のほうに回したということになるわけでございます。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お聞のとおりです。私は、この信用保険公庫関係に十億回したのだ、それでは納得いかないのです。少なくとも私どもが強く反対をする公債政策、税の収入が二千六百億減収になった、それから補正財源が原資がない、こういうことで赤字公債を発行するというようなことをおやりになっておられる。これは不況対策として政府与党としては何が何でも補正予算並びに財政特例法成立をさしたい、そうした強い態度を持って取り組んでおられる。もちろん十億の信用保険関係というものも、これは不況対策としてお考えになっておられるわけです。そこでその十億あるいはそれ以上というものは、不況対策の中の大きな柱として、新たな財源というものを求めて対策をお立てにならなければならぬと私は思う。ただいまお答えになった高度化資金いわゆる協業化といったようなもの、それがこの不況状態の中において思うように進まない。そこで、不用財源がここへ出たので、これを回したんだということでありますが、おそらく大臣もお聞きになって、それでは納得いかないと思う。ことしだけのことではないのです。いつも進まない進まないというので、不用財源というものがそこへ出てきております。それでよろしいのかということです。大臣の本委員会を通じてのお答えの中、またただいまの私の質問に対しての御答弁、あるいはテレビ懇談会におきましての大臣の率直な考え方の表明ということからいたしましても、近代化合理化というものは積極的に取り組んでいかなければならない。不況であればあるように、中小企業大臣の言うように十人以下というものが八五%ある、これは弱いんだから、これを強めていかなければならないん、だという考え方の上に立つならば、通産局におきましても、人が不足しておるならば人をふやしていく、本庁におきましても、それぞれの担当人たちをふやしていく、真剣に積極的にこれに取り組んでいくという態度でなければ、協業化近代化合理化といったようなものは進んでこない。そして大臣がいま御答えになった中小企業生産性というものが、大企業と変わらないような形で高まっていくという期待を私は持てないと思う。だから、そうした点に対して、大臣はどのようにお考えになるのか。いま私の質問に対してお答えになった、信用保険公庫の十億というものをこれから回したんだという御答弁でみずから満足されるのか、またそうした態度、そうした答弁というものによって、中小企業方々が納得するとお考えになられるのか、まずその点に対して率直な大臣考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  11. 三木武夫

    三木国務大臣 高度化資金あるいは特別小口保険にしましても、条件というものがやはり中小企業に対して少しきびし過ぎる面がある。それでまあ今度も条件緩和をしたのですが、高度化資金ども、こういう資金が節約の対象になるということは好ましいことじゃない。これからふやさなければならぬ。しかし、考えようによると、やはり高度化資金ども条件が少しきびしい面がある。今回償還期限も延ばしたい、七年を十年にする、それから対象も広げたい、こういうことでせっかく高度化資金を用意しながら、まあ不況という影響根底にはあるけれども、それが消化し切れないという姿はいい姿ではない。やはり条件緩和して、この資金というものが利用されるように明年度からはいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 いい姿じゃない。これは全く悪い姿です。いつもこうしたことは議論されているけれども、一歩も進まないんですね。いろいろなアイデアは出るのです。ところが、成果が実はあがらないということは、熱意不足という点もあるかもしれない。また人をふやすということについて大蔵省は盛んにきびしい態度で臨んでおられる。まあそういったような問題点もある。さらにまた、これも大蔵省が相当やかましいんだと思うのでありますが、いま大臣が言われた、条件が非常にきびしいです。大体考えてごらんなさい。工場団地で、前の国会で五年が七年になる、こういう形で延びた。私どもは、どんなに短くとも十年以下ということは、これはもう、実情にそぐわないんだ、こういう強い要求を主張をしてまいりましたが、結局これはまあ七年、しかも全部七年になっておるんじゃない。そのまま据え置きで四年、五年というのがあるのです。工場団地をつくって、あれだけ大きな設備をして、非常にきびしい条件の中にあるところの下請企業というものはどうして償還することができますか。金利も高い、税金も高い。かりに七年ということにいたしましても、必要な資金を全部出してやるのなら話は別ですが、実際問題としましては三分の一に満たないような程度です、それでもって七年で償還をしろといっても、これはもうどうにもなりません。ですから、具体的に来年度予算でどのように緩和されたのか。すでに予算要求をしておることでございますから、大蔵省と折衝しておることでございますから、そうした高度化資金について条件をどのように緩和されたか。また予算をどの程度要求し、また実現がどの程度可能であると考えておられるのか。この点に対しましては、大蔵省もきょうは財務調査官がお見えのようでございますから、ただいま議論されておる問題等に対しましても、大蔵省考え方通産大臣に続いてお答えを願いたいと思います。
  13. 山本重信

    山本(重)政府委員 高度化資金の運用につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように、不況影響等もございまして、四十年の当初計画を立てます段階で各県を通じて計画を集めましたときには、一応あげた、ところが、その後経済情勢の変化に伴いまして、この際は計画を見送りたい、こういう申し出が出てまいりました。その結果、十億を若干こえる程度の不用かどうしても立つことは避けられないという状態になった次第であります。そこで、ちょうど片方に保険公庫のほうの基金をふやさなければいけないという必要が出てまいりまして、この際、そのどうしても使えないものをそのままにしておくよりは、ひとつそちらのより緊要なほうに回して使おうということで、流用をすることにいたした次第でございます。  ただいま、来年度計画といたしましては、高度化資金は今年度の六十六億円に対しまして七十四億円の要求を出しております。全体として計画がふえますことと、それから貸し付け条件緩和したいということで、特にその貸し付け条件緩和につきましてはできるだけ大幅にこの際実施をしたいと思っております。その内容は、一つ償還期限の延長でございまして、工場団地商業団地は現在七年でございますが、これを十年にいたします。また組合共同施設等につきましては、現在五年のものを七年にいたしたいと思っております。それから貸し付け対象の追加であります.が、工場団地はただいま共同施設等だけが対象になっておりますが、この際団地に入ります個々の企業機械設備等貸し付け対象にいたしたい。それから組合共同施設のほうは逆に、土地が現在対象になっておりませんが、土地を追加することを考えております。それからもう一つ非常に重要な点は、貸し付け金額を決定します場合の単価でありますが、土地、建物それぞれ現在の基準実情に合わない点がございますので、実情に合うようにそれぞれ引き上げをいたしまして運営に支障のないようにいたしたい、このように考えております。貸し付け規模といたしましては、本年度の当初計画が百四十三億円、これは国の予算とそれから県の予算と、この両方が合わさって所要額の半分を貸し付けることになっております。その貸し付け金額規模でございますが、これを来年度は百六十億程度に拡大をいたしたい、かように考えております。
  14. 青山俊

    青山説明員 中小企業庁のほうから来年度予算につきまして種々御要求が出ておるわけでございますが、現在まだ予算が査定の段階でございまして、いろいろ通産省のほうからの御要望をもとにいたしまして検討いたしておる段階でございます。したがいまして、まだ今日のところ結論が出ておりませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、いまお聞きのとおり、大臣が最も強調しておられる中小企業近代化合理化のための高度化資金ですね。これを八億昨年度よりも伸ばそうというわけです。ことしは思うように伸びなかったと思う。そうでしょう。六十六億が七十四億というのですから、八億の伸びですね。それはことしは不用額が十億出たんだ、来年度は積極的にやるんだ、こういうようなことであると、不用額を合わせて十八億ということになるかもしれない。来年はことしよりも十八億程度伸ばして積極的な取り組みを実はやっていきたい、こういうことでございましょうけれども、私はこういう程度ではどうにもならないと思うのです。また償還期限にいたしましても、七年を十年に延ばした、三年延ばしたんだから、こういうことでございましょうが、こういう小刻みなことでは、根本的な中小企業を強める対策にはならぬ。少なくとも大臣、事務的にこれと取り組むのではなくて、実際中小企業が置かれておる実態というものを把握されなければならぬと私は思う。私どもは、いつも国会が終わりますと現地に参りまして率直にそうした業者の声を聞くのです。何ぼ短いといっても十五年、二十年程度にはしてもらわなければ、これだけの大きな設備をするのだから、償還というものはできるものではありません。また貸し付けにいたしましても、政府関係金融機関からも貸してもらえますけれども、それとてもなかなかきびしくて思うように貸してもらえないのです。そこで銀行の窓口を叩きますが、銀行もなかなかシビアです。そこで高利貸しの窓口に行って借り入れをしなければならぬという実情です。こういうことではお先まつ暗な状態だと切実に訴えられることを実は聞くのですが、大臣は、中小企業者努力せよ、ただ政府に依存をするという態度ではいけないんだ、こうおっしゃる。少なくとも今日の中小企業者で自己努力をしていない中小企業者はないと私は思う。ほんとうに真剣に取り組んでおると思うのです。しかし、それでもどうにもならないということが現実の姿だと思うのです。ですから、この償還期限にしましても、もっと大幅に延ばしていくようにしなければならない。貸し付け額にいたしましても、あるいは補助金にいたしましても、もっと大幅に伸ばしていくのでなければならない。従来がこうであったからこの程度ふやすんだ、この程度期間を延ばすんだということでなくて、実際の実情を把握して、どの程度ほんとうに適切であるかという取り組みを少なくとも三木通産大臣にはやってもらいたいと思うのです。ともかく従来の慣習をここで叩き破っていく、そうした態度でなければ、大胆が強調しておられる中小企業ほんとうに強めていくということについての成果を期することはできない、このように思うのでありますが、その点に対しての大臣の率直な見解をひとつここで明らかにしていただきたいと思います。
  16. 三木武夫

    三木国務大臣 この中小企業自体でも、私はやはり非常に問題と思うのは、日本の場合はあまり中小企業協業化を好まないのですね、みな一城のあるじで。みなで協同してやるという風潮をもう少し助長しないと、みなで協同してやるという点については、日本中小企業はなかなか協調しにくい点がある。これはやはり直してもらわないと、とにかくみな規模が小さいわけですから、われわれが中小企業政策を推進する場合においても、中小企業者協業化というようなものが進んでいくことによって、中小企業政策もいろいろ実施しやすいし、また合理化近代化の面においても大きな役割りがある。だから、今後こういう条件、十年では少な過ぎるのではないかという、一つ考え方としてはそうかもしれませんが、まあ一応十年という期間はそこで目鼻がつかなければならぬわけでありますので、十年程度、今後の大蔵省の折衝においてもぜひこういうふうにしたいと思っております。そういうことで、もしこういう面で高度化資金というものの需要が、こういう条件緩和などによって非常にふえてきたということならば、これに対して予算を追加するようなことは、当然政府としても中小企業政策というものは重点に置かざるを得ないわけですから、そういう場合には考えたいと思うのでございます。ただ、今度新しい機械貸与制度とか、工場アパートというようなものを貸与するということは、この高度化資金以外の施策として考えておる次第でございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 大臣がおっしゃったように、牛のしっぽよりは鶏の頭というようなことで、なかなか一緒にやるということをきらうという習性が確かに日本人にはあると思う。しかし、これは日本だけでなくて、大体人間としての共通性でもあろうと思うのですが、しかし私はビジョンを与えてやる必要があると思うのです。工業なんかでもそうでございますけれども商業の場合、あるいはサービス業の場合、確かに一緒になったほうがいい、一緒になろう、一緒になるのだけれども、そうするとまた個人営業というものが自由営業であるからとめられてない、またそのそばで個人の営業を開始してきたということになってくると、へたをやると太刀打ちできないようになる。どうにもならないのだというようなことですね。やはり協業をしたならば、そこで安定をするということですね。そうして前進というものがそこで確保される。自分もしっかり努力する。政府もそれだけバックアップしてくれる。そういう確信を持たせないところに協業化共同化というものが進まない原因がある。ですから根本的にメスを入れなければいけないと思うのですよ。大臣がおっしゃることはそういう点であろうと思うのですよ。これを糊塗していくということですね。そういうテクニック的なことではもう間に合わない。日本の特異の経済の実態である二重構造、大企業中小企業の格差というようなものはならぬ。いつも私どもが強調している中小企業の分野をどうするか、官公需の確保をどうするか、大臣が、仕事がいまなくなったのが根本だから、ともかく仕事をつくらなければならぬ、とにかく仕事を与えなければならないというようなこと等も、私は経済全体を強めるというようなことが一番大切であると思いますけれども、やはり日本のそうした特殊な経済構造というものは、これにメスを入れて直していくというようなことと並行していかなければならないと思うのです。ですから、いま大臣お答えになった、日本人というのはそういう習性があるんだということだけでは片づかない。やはりその実態をほんとうに把握して、そしてこれを直していくという態度でなければならぬと思います。その点に対しての大臣の具体的な考え方をひとつもう一度聞かしていただきたい。
  18. 三木武夫

    三木国務大臣 そういう習性があるのですが、しかし、その習性があるからといって協業化が進まないということは、中小企業政策を推進する上において、非常なこれは障害になってまいりますから、あるいは税制の面とか、あるいは金融の面とか、そういう点でこれを助長するような政策政府はとっていくことによって、そういう日本人の持っておる協業化に向かない性格が、政府の助長策と相まって是正されていくことが、非常にこれからの中小企業政策の上においては大事だという点は、お話しのとおりに考えておるのであります。今後、そういう方向において助長策を講じてまいりたいと思います。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係もありますので、あらためて休会明けの国会におきまして種々考え方を聞かしていただきましょうし、私ども考え方も率直に開陳をしたいと思います。  予算編成等の関係もありますので、もう一点だけ大臣に、産炭地振興の問題について、考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。  産炭地振興については、産炭地振興事業団というのがある。この事業団の事業ワクというものを拡大をしろということを私は強く主張しておる。それから産炭地振興事業団が土地の造成をやっている。土地造成をやっておるが、産炭地振興事業団の土地造成は独立採算になっておる。そして、この経常費というものも、土地造成の費用に全部ふっかけて造成をして、これを売却をする。だからものすごく高くなる。企業が行こうとしてもうまみがない。非常に土地が高い。さらにまた、産炭地振興というので、産炭地に進出をいたします場合には、この前は離職者対策というものが一つあったわけですね。ですから、離職者がいるだろう、比較的労働賃金が安い労働者を採用して操業することができるという一つの魅力というものが一応は考えられたが、現実はなかなかそうはいかなかった。ですから、産炭地振興をやろうとすれば、そうした土地造成というものに対して盲点がある。だから、そういうものを直していかなければならない。同時に、産炭地振興事業団に対して、この対象事業を拡大しろということは、先行投資というものが伴ってこなければならぬということです。ところが、たとえば、ダムの建設にいたしましても、あるいは道路等にいたしましても、なかなか建設省その他の関係、各省との関係があって思うようにいかない。それらいろいろ問題点があるわけですから、今度の予算折衝にあたりましては、そういう根本的な問題というものに触れて、そしてこれを改革していく、こういうことでなければ産炭地振興というものはできない。同時に、やはりこの基幹的な産業というものを政府が起こしていくというのでなければ、なかなか関連産業というようなものはそこで振興されない。こういうことになってこようかと思うのでありますが、その点に対して、石炭問題に対して、大臣は非常に真剣に取り組んでおられるようでありますから、ひとつ大臣考え方を聞かしていただきたいと思います。
  20. 三木武夫

    三木国務大臣 私も産炭地へ一回参りまして、そうして産炭地に進出しておる企業実情というものを聞いて、事業団の者もそこへ呼んで、運用の面で改革のできる点は直ちに指示をいたしました。そうして、たとえば償還年限の点などでも、いまお話しのような年限が一ぱいあっても、それを非常に短期間にやっている。それは年限一ぱいにやったらいい。そういう点であるとか、運転資金の問題なども、やはり一ぱい一ぱい自分の資本金を使って運転資金に困っているような例があるが、これに対する対策などを、その場で、運用の面でいろいろ改革のできる点は指示を与えたのですが、根本的には、こういう不況ですから、必ずしも産炭地の立地的な条件というものはよくもないわけですから、どうもあまり企業の進出がはかばかしくない。だから、政府事業などで、たとえば専売局なんかの仕事でわりあい安定していけるような事業があれば、そういう事業の立地というようなことも積極的に考えていかなければならぬし、景気の回復を待ってもう少し根本的に産炭地振興というものに対しては検討しなければならぬ。このままでは中堅企業といわれるようなものが進出があまりはかばかしくなくて、この企業、産炭地振興についてはやはり検討しなければならぬ問題の一つだというふうに考えておる次第でございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 この産炭地振興の問題、あるいは国内の地下資源の開発、そのたびにいつも隘路になっているのはこの炭鉱ですね。これに対して非常に助成が少ない。これはもう企業者の手ではどうすることもできないという実態にありますから、むしろ炭鉱というものに対しては、石炭にしても、石油にしても、あるいは鉱物にしてもそうなんですが、国がみずからの責任においてやり、そうして事業を起こさしたならば、それに対して償還をさせる。こういうようなかまえでなければならぬと思いますから、ひとつ予算の折衝に当たっては、こういう問題に対しても、国内の産業を十分振興する、地下資源を十分尊重する、するという点から取り組んでもらいたいと思う。  そこで、具体的な問題に触れてまいりますが、中小企業に対する融資条件並びに年末融資に対してそれぞれの措置をいたしておるようでありますけれども、深刻な状態というものはなかなか改善されない、こういう状態でございますが、この中小企業に対する融資状況をどう把握しておられるか、年末融資は大体これでいけるという考え方の上に立っておられるのか、まずその点に対してお聞かせ願いたいと思います。
  22. 三木武夫

    三木国務大臣 政府関係の三金融機関八百二十億、市中ばかりでなしに、全国の金融機関に、これは強制できませんけれども、七千八百億程度のワクを中小企業のために要請いたしたわけであります。これで年末金融の手配としてはわれわれはやっていける金額である、むしろ中小企業が担保力が非常に弱いわけでございますから、こういうことで、いま御審議を願っておる二法案なども、非常に早く、一日も早く国会で成立をさして年末に間に合わしたいということでございましたが、まあ今回いろいろな理由があっておくれたのですが、社会党の各位も賛成であることを予見いたしまして、そうして大体通るつもりであるから、したがってこれは——しかもさかのぼってこの法律は効力を発生するようにする予定であるから、そのつもりで年末の金融をやってもらいたいという通牒を、あらかじめ信用保証協会等にも出しまして、法律が通っていないわけですから、通った場合とは違うけれども、多少取り扱いについても、取り扱いのやり方が違うだろうということで、そういう手配もいたしましたので、年末の金融はこれで支障がないものと考えておるわけでございます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 年末の金融対策というのか、下半期に八百二十億措置した、こういうことです。ところが昨年は八百億なんですね。ことしは二十億伸びて八百二十億です。しかも財政投融資は五百二十億でしょう。そして自己調達が三百億、昨年は自己調達は二百八十億であったと私は記憶する。いま大臣は年末の金融はまずだいじょうぶだとこうおっしゃった。大臣ほんとうにそう思っておられるのか。まあこうした席上においての答弁としては、これはどうにもなりませんという答弁はしにくいかもしれない。しかし、少なくとも大臣の腹の中では、これでは無理だとお考えになっておられるのではなかろうか。昨年も非常に深刻だった。八百億措置したけれども、実際は年末は借りたい人は三分の一も借りられなかったという事実を私どもは把握しておるのですよ。さらに深刻になっておる。いま昨年より二十億を増額して八百二十億の手当て、しかも自己調達三百億というところに、大臣問題がある。自己調達するということになってくると、貸し付けておるところの金を回収しなければならない。きびしくこれを回収していくという形になる。これはどうしてもドライブがかかるわけですよ。だからそこらあたりも相当無理があると思うのですが、大臣ほんとうに年末融資というものは事足れりとお考えになっておられるか。
  24. 三木武夫

    三木国務大臣 年末金融は現在のところで支障はないとは思いますけれども、三金融機関に対しても、もし年末金融が逼迫したような場合には、一−三を繰り上げてよろしい、そういうことで資金の年末金融に遺憾なきを期するように、三金融機関ともそういう覚悟であります。そういうことでそういう場合には処置していきたいと考えております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 大臣は繰り上げてやりなさいと言うけれども、そんな器用なことはなかなかできるものじゃありませんよ。第一自己調達を三百億なんというような、そういう無理をしているところに問題があるわけですから、さらに繰り上げてやれということになってくると、どうしてもいま貸し付けておるところの金額なんというようなものも、やはり実際問題としては矢の催促をしてこなければならぬという形になってくるのです。それは計画的な融資をしておるのだから、それを繰り上げてやるという。なるほど自主的にはそういう形でできるかもしれぬけれども現実の問題としては、やはり自己調達というものには相当無理があるということは否定できないと思う。商工中金にいたしましても、昨年とことしとを比較して大臣どうですか。十七億の伸びですよ。十七億昨年よりも商工中金をふやしておるのにすぎないじゃありませんか。そして三機関に対して繰り上げてうまくやりなさい。こうおっしゃっても、なかなかそう大臣が言われるように簡単にいくものじゃないのです。やはり独立採算の中において、それぞれ国民金融公庫にしても、商工中金にしても、中小企業金融公庫にしても運営をやっておるのです。その責任を負わされているのです。だから年末に対してこういう融資申し込みがあった。それじゃこれを繰り上てげてやれといわれているのだから、どんどん応じよう、そんなことは、一つのワクの中にはめられておりますと、どうしてもできるわけのものじゃないわけです。大体ことばのとおり、窓口の第一線が動くというような、そういう安易な考え方を持っておるところに、私はたいへんな間違いが起こってくる、こう思うのです。さらに、民間の金融機関に対しましても、大臣は七千億から八千億くらい何とかしてもらいたいということを言っておるのだ、こう言っておられる。ほんとうに民間の金融機関が、大臣期待しているような中小企業に対する年末融資を行なうとお考えになっておられるのでしょうか。ことしはまあ買いオペなんかもやっておられる。例年買いオペというものはやってきた。しかしながらいま金融機関には金がダブついておる。相互銀行あるいは信用金庫等についても金はダブついておるけれども、借りたい人は選別融資でもって金はなかなか借りることができないという実態にある。そういったようなもろもろの点をお考えになって、買いオペなんかの必要もないということでございましょうけれども、実際はほんとうに金に困っておる。そうした中小企業零細企業に対しましては、民間の金融機関というものは相手になってくれないということが現実だろうと私は思うのですが、そういったような点に大臣はどのように対処しようとしておられるのか、また対処してこられたのか。ただ要請をしておる、何とかしてくれるだろうという期待だけでは、どうにもならぬと私は思うのですが、具体的にどう手をお打ちになったのか、お聞かせ願いたい。
  26. 三木武夫

    三木国務大臣 全国の金融機関の要請は、金融事情も、一応金融緩慢な状態ですし、信用補完制度というものがやはり民間の金融機関に対しては非常な役目を果たすと思います。したがって、一日も早くこの法案が成立することを望んでおるわけでございます。これで民間も、現在の金融事情と、こういう補完制度もできるということで、いつもとは違ったような民間金融機関状態になるということを期待しておる。  それから、年末の金融については、われわれも、絶えず三金融機関の貸し出し状況などもわれわれとして連絡をとりながら市場をながめて、年末金融にはいま言ったような一−三を繰り上げてやれというけれども政府としては中小企業の年末金融には支障なからしめるべきであるというのがわれわれの願いでありますから、年末金融には、そういう場合には、われわれ自身が貸し出し状況などとにらみ合わして、年末金融に事欠かさない処置を、三金融機関等とも連絡をとりながらやりたい、こう考えております。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣中小企業金融緩和措置としては、いま大臣からお話がございましたように、民間金融機関というものを中小企業になめらかに資金を流していくということについては、信用補完制度というものは私はほんとうに必要であると思う。そういう点について大臣がこの信用補完制度を強化拡充していこうという取り組みをされたことに対しては、私は当を得ておる、こう思う。同時に、この政府関係金融機関というものに対して資金量を相当ふやしていくということでなければならぬ。ところが、政府金融機関中小企業に対する金融の依存度というのはどうか。二、三年前は八%、九%程度であったのです。いまは絶対量はふえているけれども、比率は八・五%に下がっているのです。それから相互銀行、信用金庫等で三八・九%、中小企業専門金融機関でもって約五〇%程度、正確には八月現在で五二・三%ということになっているわけです。こういうことではいけないのであって、どうしても政府金融機関というものに対して大幅な資金を投入していかなければならない。特に、大臣、この政府金融機関に対しては、政府の出資の方向から、財政投融資という形で貸し付けという方向で進んでいる。これでは資金コストというものは非常に上がってまいりますから、なかな中小企業に対するところの金利を下げていくということに対する圧力というか、抵抗という形になってまいります。ですから、政府金融機関資金量をもっとふやしていく、同時に一般会計から出資をしていくというようなことでなければならぬと私は考えるのでございますが、通産大臣としてはその点これからどうしていこうとお考えになっておられますか。
  28. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、中小企業関係金融機関金利も下げていきたい、これはぜひ四月からはもう少し下げたいという考えを持っております。そのためにはやはり出資をふやしていくよりほかにない。そういう点で、予算編成を通じて——ことに商工中金などは出資をふやしてやらなければ金利を下げるわけにはいかないわけですから、今後これは予算折衝において特に力を入れていきたい、政府の出資をふやしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 具体的にひとつ考え方を聞かしていただきたい。基本的な考え方はわかる。それでなければならぬ。しかし今後、来年度予算を年内編成は大体あきらめたようでありますけれども、年明け早々編成をやるわけでありますから、その際には金利というものもはっきり出るわけです。ですから、いまは三厘下げて八・七%、ですから今度はどの程度下げようとお考えになっておられるか。それから融資よりも出資というような形でなければならぬと思いますから、大臣は具体的に、金利の問題、それから資金ワクの問題、どの程度これを拡充し、また金利は下げようとしておられるか、お聞かせ願いたい。
  30. 三木武夫

    三木国務大臣 私の考えで、これは今後の折衝にまたなければならぬわけです。出資金とも関連するわけですが、基準金利を三厘くらい下げたいという意向です。それから商工中金に対してもあるいは国民金融公庫に対しても、百五十億円の出資要求をいたしておる次第でございます。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、大臣が先ほど来お話しになりました信用補完制度を拡充をするということについて、私はいつも主張しておるのですが、なかなか実現をしない。いま信用保険公庫に対しましても、融資基金というものは大体順調といっていいのか、ある程度年々ふやしていく。今度の予算を見ましても三十億ふやす。これは信用補完制度を拡充していくのですから、ふやすのはあたりまえです。ところが準備基金というものはふやさないですね。昭和三十五年が七十九億だったですよ、大臣。ところがいま八十一億四千万円です。この準備基金をふやさないから——独立採算の中におきましては、なかなか焦げつきというものを警戒をする。したがって、信用補完というものが形の上では拡充されたようでも、実態としてはなかなかうまくいかない。この点は大蔵省がなかなか渋いようでありますから、この準備基金をふやすということに対して、大蔵省はどのようにお考えになっておられるか。昭和三十五年が七十九億であったのが今日八十一億四千万円、準備基金というものは必要がないとお考えなんですか。まず先に通産大臣から……。
  32. 三木武夫

    三木国務大臣 今度は信用保険公庫の融資の基金として九十億、それから準備基金として十億要求をしておるわけであります。ですから、八十九億に準備基金はなります。
  33. 青山俊

    青山説明員 企業庁のほうから御要請がありまして、いわゆる準備基金と融資基金と二つのものがあるわけでございますが、公庫の採算というものもやはり考えていかなければならない。この両方二つのものが相まって公庫の採算に関連するわけでございます。したがいまして、われわれといたしまして、私自身が銀行局担当でございますが、その立場から申しますと、公庫の基礎を固めて安定した経営ができるということが必要でございますので、この出資につきましては、われわれといたしましても、極力財政の許す限りふやしてまいりたいという気持らで、主計局と折衝いたしたいと思います。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 できるだけふやしていきたい。しかし考え方を変えなければだめですよ。いままでその点は三十五年に七十九億だったのですよ。それがいま八十一億四千万。これをふやしていこうという考え方がない。第一これはどう運用しておるのですか。準備基金というものは運用益をかせがせる、こういうために準備基金というものを考えているのではありませんか。そういったことではこれはだめなんです。やはり信用補完制度を強化拡充をするということになってくると、ある程度の焦げつきというものが出てくるのはあたりまえなんです。だから、そういうたてまえで準備基金というものはふやしていく。信用補完制度を強化していくということと並行して、準備基金をふやしていくということでなければなりません。ですから、いま言う財政の続く限りできるだけ主計局と折衝してふやしていこうということでなくて、いままでが、私が申し上げたことが実績ですから、まずあなた方の考え方を変える、その上で主計局と折衝するということでなければならぬと私は思う。はっきりひとつお答え願いたい。
  35. 青山俊

    青山説明員 いまの先生の御指摘のとおりだと思います。したがいまして、私が申しましたのは決して先生と違った趣旨で申し上げたのではございませんで、もちろん準備基金はいま運用部に預託いたしまして、それの運用益というものはやはり公庫の経理の基礎になっておりますが、しかし同時に、基金自体の内部留保と申しますか、危険負担と申しますか、そういう点を十分考えていかなければいけないわけであります。そういう点を十分考えて折衝してまいりたいと思います。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 予算折衝の関係で重要な関連性がありますから、通産大臣にひとつ見解を伺っておきたいと思います。同時に銀行局もいまこの点についてずいぶん関心を持っておるようでありますから……。  ひとつ環衛公庫の新設の問題、厚生省が最重点施策としていま大蔵省と折衝しておる段階、漏れ承るところによりますと、銀行局は強い抵抗をしておる、こういうことでございますが、環衛公庫の新設ということに対して通産大臣はどのようにお考えになっているのか。環衛業者というものも、これは当然中小企業関係金融に依存をしてきている。ところが、実績を調べてみると、一兆円の融資に対して比率としては二百億程度の環衛業者に対する融資である。しかもその中でほとんどは旅館業者に対する融資だ。浴場であるとか、あるいは理容であるとか、美容であるとか、あるいはクリーニングであるとか、そういう大多数の環衛業者に対しては、いろいろな制約があって、なかなか資金が回ってこない。こういうことで、環衛業者は、この際ひとつ環衛公庫をつくってもらいたいという熾烈な運動を展開してこられた。その強い要望に沿って、今度は環衛公庫を新設しようとしておられるようでありまして、いま折衝しておるが、なかなか難航しておると伺っておりますが、通産大臣はこの点に対してどうお考えになっておられるか。
  37. 三木武夫

    三木国務大臣 通産省としては、中小企業金融公庫などが、できる限りそういうふうな金融もカバーできるようにすることは理想的だと思いますが、これはまだ、厚生省と通産省との間に、正直に申すと調整がついてないのです。これはいずれ予算折衝の段階になれば話をつけなければならぬ。われわれとしては、そういう中小企業者金融ができるだけ広くカバーできるということならば、それはあえて反対というわけでもないのですが、せっかく中小企業金融公庫などかあるのですから、これがいままでいろいろな業種の対象の点で金融の面に支障を来たすならば、その機能を強化するということも考えていいのではないかという考えもあるわけで、これは今後の話し合いにまたなければならぬと思います。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業庁と申し上げるとどうも長官はいやな気持ちだろうと思うのですが、環衛関係業者に対して少し冷淡であったと思うのです。いろいろな制約があってなかなか金が貸してもらえない。ましてや直貸しはこの制約の中においてはできない。ほとんどが代理貸しになる。そうした、しいたげられたという感じを持っております。だから、特に零細であるから、われわれ零細な環衛業者に対しては別に公庫をつくってもらいたいのだ、こういう強い要望が生まれてきたというのは当然だ。さらに大臣考えにならなければならぬことは、風俗賞美という許可営業になっておると、制約があってなかなか貸し付けができない。ところが、開銀から金が借りられるような、非常に大きい高級な旅館などになってくると、率直にいって芸者なども入る。ところが、小料理店などというのは、風俗営業なるがゆえにというので制約を受けて、金を貸し付けてやれない。そこいらに問題があるわけです。だから、そうした業者の主張には耳を十分かして、できるだけ実態に即した取り扱いをしていくということでなければならぬと私は思う。大臣は、いま折価の段階である、こういうことでございますが、おそらく中小企業庁としては屋上屋だから、これは好ましくないという態度でしょう。またおそらく、大蔵省としても、公債時代が来たのだから、いまさら政策金融じゃないのだ、公社、公団、公庫などというのはなるべく新設したくはない、こういう態度だろうと私は思う。だがそういう態度だけではだめなのです。ほんとうにこの問題そのものを解決をしていくということでなければ、ただ政府方針によって、そうした国民の熾烈な要望を押えていくという態度であってはならぬ。問題そのものを解決していくということでなければならぬ。形式ではない、実体が大事だ、こう思うのです。その点に対して大臣の率直な考え、さらに銀行局のほうからは、経過がいろいろございましょうから、現在までの経過をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  39. 三木武夫

    三木国務大臣 実体が大事だというお話、そのとおりで、中小企業金融公庫がそういう業者に対しての金融にいままでどうも冷淡であったということであるならば、それは今後改革をいたして、中小企業金融公庫がそういうふうな業者の金融に対しても今後親切な取り扱いをするような金融をいたしたいと思っております。
  40. 青山俊

    青山説明員 ただいま御指摘のございました点でございますが、環境衛生金融公庫の新設の話がございました。それに関連いたしまして、従来中小公庫あるいは国民公庫等の政府関係金融機関から、どういうふうな融資条件になっておるかというふうな、問題をいろいろ調査をいたしております。問題は、もちろん機構の新設という問題もございますけれども、いかにしたならばそういう方々金融がうまくいくかということをやはり考える必要がございまして、その辺の長所、短所というふうな点をいまいろいろ検討いたしております。  もう一つの、例の風俗営業のほうでございますが、これにつきましては、われわれのほうもいろいろ調べましたところ、風俗営業であるがために金が出ない、逆に風俗営業でないけれども、同じようなことをしておっても金が出るというふうな不公平な面がございます。これにつきましては、現在厚生省、それから中小企業庁と相談をいたしておりまして、これの改善につきまして現在折衝いたしておりまして、できるだけ早い機会に結論を得まして、前向きの方向でただいま話し合いをしておるという段階でございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 関連。大臣の時間があるそうですから、関連して大臣に簡単に御質問して、あとは政府委員質問したいと思います。  実は、中小企業信用保険臨時措置法案ですが、これをなぜ臨時措置として出されたか。すなわち、昭和四十二年の三月三十一日限りの時限立法になっております。ということは、これは今日のような中小企業倒産、今日のような状態の中における特別な問題であって、中小企業関連倒産ということは恒久的なものではない、したがって、いまあまりにも多く倒産件数が出たから、この期間だけ、二年ほどの間だけをめんどうを見よう、そういうお考えのように思うのですが、中小企業の依存の問題、親企業によって下請企業が生殺与奪の権を持たれておるというような問題、そういう中小企業本来の体質といいますか、こういうものは私は永久的じゃないかと思う。いわゆる二重構造が解消されるまでは、半永久的な存在ではなかろうかと思うのです。したがって、政府がここまでお考えになるならば、なぜこれを恒久的な立法にせられなかったのかということをお伺いしたいのです。これは予算関係があったからですか、それとも経済界の見通しを、四十二年三月までくればよくなるのだ、こういう上に立ってお考えになっての時限立法なのか、この点だけをお伺いいたしておきます。
  42. 三木武夫

    三木国務大臣 いま経済界がこういうふうな状態で、不況対策として一応政府もいろんな施策を進めておりますから、昭和四十二年三月になれば一応経済界の見通しもつくのでないか。そこで、もしそのときにまだこういう特別措置を必要とするならば、期限を延ばすことは当然にいたします。一応不況対策として期限を切ったということで、それが必要ならば、中小企業対策ということはわれわれとしても考えていかなければならぬ政策の重点ですから、これは期限を延ばすことはその前に考えたいと思います。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣が、そのように期限が来たからといって直ちに廃止するのではなくて、それ以前に検討して、必要があれば延ばす、こういうことだから一応いいと思いますが、私が言いたいのは、中小企業不況というのは、現在のところ半永久なんです。したがって、政府がここまでお考えになるならば、恒久的にやってもらいたかった。そのことだけを要望します。したがって、期限が来てからということでなく、期限前、すなわち四十二年三月以前にも常に検討して、私はこれを本法に繰り入れて恒久立法化せられんことを希望したいと思います。
  44. 三木武夫

    三木国務大臣 期限の切れる前に検討を加えて、必要があれば御趣旨のようにする場合も考えてよろしいと思います。
  45. 山下榮二

    ○山下委員 関連して。大臣がお急ぎのようですから、具体的なことは他の方にお願いするとして、大臣一つだけ伺っておきたいと思うのであります。  今日の企業の行き詰まり、あるいは中小企業倒産、破産、これのよって来たるところの原因を、一体大垣はどういうところにあるとお考えになっておられるか。私は前池田内閣当時の所得倍増あるいは高度成長経済政策等のひずみであるということではもうおさまらない、こう思うのであります。同じ自民党内閣の継続である佐藤内閣は、このひずみを是正するという看板を持って誕生した内閣であります。ことに私が考えるのは、この所得倍増あるいは高度成長というものに対する裏打ちが行なわれていなかった。たとえば年産と消費のバランスを考えていない。あるいは設備とこれまた生産あるいは市場その他のバランスが考えられていない。こういうこと等が大体の原因であるということの予想であります。しかし、いやしくも一国の政治担当する内閣としては、さような点も詳細検討した上に立って施策を立てられるのが当然ではないか、こう思うのでありますが、三木通産大臣は一体このよってきたるところの原因についてどう分析されておるか、あるいはその分析の上に立って今後どう対処しようとしているのか。いまここに出ている二法案も、倒産その他に対する一つの方法であると思う。しかし経済界は、あるいは産業界は想像以上の不況であると私は思うのであります。これらの恩典にまだ浴しない以前に非常に苦しんでいる産業界に対して、一体どう今後対処し、どういう処置をとっていこうというお考えを持っておられるか、その辺のことを伺っておきたいと思うのであります。
  46. 三木武夫

    三木国務大臣 生産と需要というもののバランスをもっととるべきではないかというお話でありますが、なかなかこの点は、たとえば輸出の面、これは総需要の大きな要素ですが、海外の市況などにも影響があって、正確に輸出というものがどれだけ伸びるだろうという想定は、日本ばかりの計画でもいかない面もある。また国内における需要の面も、これは正確には予測しにくい点があって、自由経済という原則のもとにおける生産と需要との均衡をとるということは、なかなかむずかしい面もあります。しかしながら今日の不況というものは、いろいろ構造上の問題もありますよ。中小企業の中でも生産性の高いものに対しては——なかなかうまくやっておる企業もあるわけです。ただ、しかし、そういう点で生産性が立ちおくれておる企業、しかも需要の沈滞というような面で——輸出産業なんかに関連をしておるもので中小企業でいいものもたくさんありますよ。そういうもので、輸出が沈滞しておるもので、しかも中小企業の年産性の面において非常に立ちおくれておるような企業が一番打撃を受けておるわけです。したがって、今後の対策としてはまず第一番に仕事をふやしてもらいたいということが、中小企業の一番の大きな要望であります。これには全体としての日本景気回復をはかるということが根本でしょうね。そうでなければ、縮小経済のような形では、これだけの膨大な生産設備を持っておる中小企業仕事をみなが得るということはなかなかむずかしい。したがって全体としての景気の回復をはかりながら、どうしても中小企業の持っておる構造上の弱点、これを改革するという点で、今後政府がそれを助長する。中小企業が体質を改善しないと、このままで、困ってきたからやれ年末金融だ、救済融資だということことだけでは、これは同じことを繰り返すわけですから、今後政府の施策としては、中小企業の持っておる体質的な弱さ、これに対して政府ができるだけその構造を改善して、大企業に、スケールは小さくても生産性の面においてはおくれをとらないような状態にするために、中小企業政策の焦点をここに合わしていかなければ、ただ救済というようなことだけでは、もう百年河清を待つがごときものである。こういう点で今後も中小企業政策というものが構造上の弱点を直していくために重点を置いていきたいと考えておる次第でございます。
  47. 山下榮二

    ○山下委員 いま大臣は構造上の欠陥ということを言われたのですが、中小企業設備近代化企業の合同、これは長年唱えられてきている問題であると私は思うのであります。世界じゅうでおそらく日本ほど中小企業の多い国はなかろうと想像いたすわけです。その中小企業ほんとうの育成強化というのは、口には近代化あるいは企業合同と言いますけれども、これをもっと具体的に、たとえば大企業に対する系列化については、企業が専門化した企業になるように、何とかその中小企業がもって立つことのできる制度をわれわれは考うべきである、こういうことも考えるのです。その構造上の改革、改善というものに対して、どこへポイントを置いておられるか、その辺を伺いたい。
  48. 三木武夫

    三木国務大臣 一つには設備近代化という問題があるのです。これに対しては今度新しい試みとして設備の貸与、機械の貸与制度など、こういう制度は、これも設備を更新していくということに対して助長策になるでしょうね。近代化資金ども、これは相当今後ふやしていく必要がある。設備をできるだけ老朽設備から近代的な設備にかえていく。それから技術の面についても、大企業技術革新の波に乗って必要なものは外国から技術も輸入するし、これは世界的な競争力を持っておると思う。中小企業ではこの点に対するくふうも要るでしょうね。設備技術近代化。それからもう一つは、組織といいますか、中小企業のいまお話しのあった下請とか、何かもっと組織化することが中小企業は必要なんじゃないでしょうか。そういう点で大企業との関係下請との関係ども、今後中小企業の組織化というものには通産省としても力を入れていきたい、そうしてがっちりとした下請なんかの組織をつくって、いろいろな大企業との関連が、対立的な関係でなしに、仕事が安定してやれるような行き方をする、そういう縦の系列、また横には協同組合のような組織化、そういう点がもう少しいろいろな税制金融の面で先ほどもお話があったように優遇して、横の組織というものもやはりもっと強化していく必要があるのではないか、設備技術近代化中小企業集団化協業化、こういう面の組織の強化、もう一つはやはり中小企業の一人一人というものが、一体日本経済がどうなっていくんだというようなことについて的確な見通しをみな持っておるわけではないのですから、中小企業に対する指導、こういう面もやはり通産行政としては強化していかなければならぬ面ではないか。私は、中小企業の構造を近代的なものに改善していかなければならぬと言う目標として、こういう点が大事ではないかということを考えて、今後の通産行政の施策をそういうところに焦点を向けていきたいと考えておる次第でございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 大臣に一点だけ。  いま大臣が、中小企業政策が非常に重要なので、今後ひとつ通産大臣として大いに強力に中小企業の振興政策をとっていく、そういう趣旨のお話であります。しかし、通産省、中小企業庁から出てくる法案なんというのは、ほんとう中小企業の要望するところをうたわずに、官僚の責任のがれというようなところにどうも重点があるんじゃないか。たとえば前回の国会で、御承知のように特別小口保険制度三十万というのを認めた、無担保無保証で。このときに所得制限や居住制限なんかは、これはきびし過ぎるとわれわれが盛んに主張したんですね。しかし原案の基準でやった。やってみたら一年間に百四十億の予想がわずか七億しかない。そして今度まあ条件緩和するような形になった。今度中小企業倒産が、昨年の四千二百件に対して六千件をこえ、五割近く伸びておる。こういう状況の中で、中小企業倒産対策一つとして出された中小企業信用保険臨時措置法案、この法案の中で、倒産関連中小企業者を救おう、こういう趣旨で法案を出された。しかし、審議していろいろ中小企業庁考えておる基準を伺っておると、私は、特別小口保険制度と同じように、これで救済されるのはごくわずかであって、羊頭を掲げて狗肉を売るような法律案じゃないかという感じがする。一体大臣は、この法案で倒産関連中小企業者がどういう程度救われ、どの範囲で救われるような気持ちでこの法案を出されたか。たとえば一年間にどの程度の件数、どの程度の融資総額が想定されておるのか、そういう想定に基づいて債権五十万以上、依存度二〇%とか、あるいは負債十億円以上とか、こういう制限をしておるのですが、一体これでどのくらいの関連中小企業者が救済されるのか。ひとつその構想を、大まかなところを伺っておきたい。これは一年たてばすぐわかることです、実績が示すことですから。責任のがれで、ほんとう中小企業者の救済のためじゃなくて、何か救済らしき法案を出しておけば、中小企業庁として責任がのがれられるという感じでいままで出しておる。一体どのくらいこれで関連中小企業者が救済されると思うのか。その点をひとつ大臣答弁をお願いします。
  50. 三木武夫

    三木国務大臣 板川君の御質問、非常にむずかしい。それはなぜかというと、倒産の実態というものがいろいろな場合があるだろうし、これで幾ら連鎖倒産が救われるか言ってみろということは、なかなか申しにくいのであります。しかし中小企業対策で反省しなければならぬのはやはりいろいろな条件のきびしさというもので、どうも手がたく手がたくやって条件をきびしくするという点は実際反省しなければならぬ点があると思います。これもわれわれとしては、ある程度連鎖倒産というものに対して、それならこういういろいろな連鎖倒産阻止に対する対策というものが、実際問題としてこれが適用になってどの程度ということは申し上げにくいのですが、相当な効果を持つのではないか。そこで、これはただ出したということだけでは意味がないので、これをやってみてもしいろいろな障害が実際に小口保険のような問題で出てくれば、これは直ちに改正をいたしまして、実際に適応できるようなことにいたしたいと思います。これは連鎖倒産を防止するということがやはり目的なんですから、こういうことを出したということだけでは意味がないのですから、そういうことでどれだけということは申しにくいけれども、これが実際に連鎖倒産を防げるようなものに、欠陥があれば直し直しして持っていきたいと願っておる次第であります。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 いまそういう質問をされると、中小企業庁長宮と相談した結果もなかなか的確な予想がつかない、これは結局中小企業庁というのが私は弱体だからだろうと思うのですね。大体、倒産の実態すら中小企業庁では調査してないのです。倒産した実態というのは、これは東京商工興信所の資料によるほかはないのですね。大体、倒産の大半が中小企業です。その中小企業のためにつくられている中小企業庁ですら倒産の実態把握してない。だから的確な対策というものが立たないのです。だからこれはやはり社会党が年来主張しておるように、中小企業省でもつくって本格的な対策を立てるような充実をはからなければ、いかに政府中小企業のためやるとかいったって、実際はやらない。大体、私は政府方針は、選挙のときのことをおもんぱかって、中小企業のためにやるかのごときかっBこうだけしておけば、あとは中小企業ほんとうはつぶれたほうがいいんじゃないか、こういうふうに考えておって、体裁だけ整えて、ほんとうのねらいは中小企業をつぶしていくような方向に政府の基本的な方向があるんじゃないかと思っているのですが、この点どうですか。
  52. 三木武夫

    三木国務大臣 それは自民党に対しての考え方が非常に誤っておる。というのは、どの政党でも、これはもう自民党でも、おそらく自民党の経済政策の重点というものは農業、中小企業というものでしょうね。ただ、これがむずかしさがある。中小企業政策が、農業政策に比べると、いろいろな商業があり、工業があり、規模は非常な零細なものから相当大きなものといろいろあって、なかなか中小企業政策というものが大きな一本の線で推進できないところに悩みがあるが、自民党は、中小企業政策というものは常に党の政策の最重点の一つである。みな選挙区の関係考えたところで、なお農業、中小企業というのは今後の政党としてやはり無視することはできない大きな勢力でありますから、中小企業に対して、自民党は、つぶれたらいいというような考え方はもってのほかの考えで、何とかして中小企業が安定してやっていけるようにしなければいかぬということが、自民党の政策の中ではきわめて重要な最重点の政策一つである、こう考えております。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 通産大臣、重点政策ならひとつ通産大臣在任中にしっかりした中小企業に対する——基本法ができておるのですから、基本法に立脚した具体的な政策をひとつ出してください。せっかく久しぶりに大もの通産大臣がでたのですから、われわれもそれを期待します。協力すべきものは協力しますから、りっぱなものを出してくださいということを要望しておきます。
  54. 中川俊思

    ○中川(俊)委員 関連して。ちょっと大臣にお願いしておきたいのです。先ほど来から聞いていて感じたのですが、確かに社会党の諸君がおっしゃるように、中小企業対策にしても何にしても、ちょっと手ぬるいですよ。しかし私は、中小企業でも農村対策でも同じですけれども、ただ政府が助ける助けるというだけじゃだめだと思うのです。指導しなければいかぬ。それは中小企業の実態を見ますと、中小企業でも農村でも、滅びゆくものはやはり研究もしないし、人がやったやつをすぐまねをしてやることばかり考えて(「その余裕がない。」と呼ぶ者あり)余裕がないと言いますれども、余裕はあるけれどもやらない、やろうとしない。政府もまた悪い。滅びゆくやつを助けることばかり考えて、そんなばかなことをしておったら滅びるぞ、こうしなければいけないんだという指導が足りないと思うのです。中小企業庁でも何かそういう点にやはりただ助けるだけでは——子供でもかわいがるだけではいい子供はできません。やはりしかるときにはしかる。指導をしていくということが一番大事だと思いますから、中小企業庁あたりはそういう点にもっと重点を置いてもらいたい。それで指導するのには予算がこれだけ必要だというなら、われわれ審議して、その予算も通産省と一緒になって確保することに努力する。いまのままでは予算が足りない、人が足りない、できるものかという顔をしていないで、これはこういうふうにして指導していくんだという一つの具体案を示す、やはりそういうことが一番大事なことだと思うのですよ。農業でも同じです。農業で協業をやれといっても、協業はやりはしないです。たとえば農村の農業協同組合が町村合併によって三つも四つもできる。一つになれば構造改善の費用でもずいぶん捻出する方法があるのに、ならない。ならないのはなぜかというと、三つ、四つある農協を一つにすると、今度はおれが農協長になれない、専務理事になれない、こういう人の問題にひっかかってきます。そういうケースが中小企業にもたくさんあると思いますから、そういう点にもっと重点を置いてもらいたい、それを希望しておきます。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 全く同感です。ですから、今度の場合でもいろいろあるものを指導センターというもので一本にして、そしてもっと相談相手になって、実際は中小企業だってやっていける、転換するものもあるのですから。相談相手中小企業の行政の中では非常に大事だと思う。そういうふうに考えておる次第であります。
  56. 大村邦夫

    ○大村委員 関連して大臣にお伺いします。  私も本会議でいろいろ御質問申し上げたが、その御質問の中で抜けた点があるのです。この点についてちょっと大事な点がありますからお尋ねいたします。  それは、今度は臨時措置法が設けられました。そしてその関連倒産についてはある一定の基準のもとに救済をする、こういうことになりました。その救済のしかたも親企業は負債額十億以上、それから第一次の下請が五十万円以上、こういうことで、それ以下連なる面については救済措置がないわけです。ところがここで問題になるのは、東発とか山陽特殊鋼とかいわゆる計画倒産のにおいが強いとして国会で毒なり論じられた点ですが、そのときに会社更正法について徹底的にメスを入れたい、こういうことを政府答弁されたはずです。ああいう山陽特殊鋼とか東発のような、どちらかといえば悪質な計画倒産のにおいの強いところが、こういう臨時措置法を設けて第一次の下請企業もある程度救済をするということになりますと、債務のたな上げをやりたいですから、いわゆる食い逃げをするといいますか、そういう危険があるわけです。そこで歯どめをしておかなければならない。その歯どめは、会社更生法にいま一度徹底的にメスを入れるべきだ。もうすでに東発が倒産になってから相当日数がたっておりまして、企業庁長官は、これは私のほうの関係ではございません、しかし中小企業は現にもうけつに火がついて不況で困っておるから、あるいは倒産が出るから緊急的な措置としてこれをやりました、こういうことでしたが、それだけでま満足できないので、いま申し上げました会社更生法等の徹底的な検討、こういう点についてどうお考えであるかお尋ねしたいのです。
  57. 三木武夫

    三木国務大臣 会社更生法に対しては欠陥がある。これは法務省がやっておるのですけれども、こういう点はやはり改正の必要があるということで、通産省においても協力してやっておるのですが、私どもの希望としては通常国会には会社更正法をやはり出してもらいだい、それくらいの予定で法務省が窓口でやって努力しております。
  58. 大村邦夫

    ○大村委員 それからもう一つございます。今度臨時措置法の中で二百万円の無担保、無保証の制度が新設されましたが、これと他の保険との併用が可能なのかどうなのか。結局その新設のほうに寄りかかって、それで融資を受ける。他のほうが制約をされる。特に小口保険等についてはその可能性が強い。その辺は別口である、別ワクである、併用は可能であるかどうか、その点について明らかにしてもらいたい。
  59. 三木武夫

    三木国務大臣 今度の二百万円の無担保融資については、併用可能です。別口でやる方針です。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃ長官に質問しますが、四十八国会で特別小口保険制度がつくられた。私はこの前の参議院選挙で、立ち会い演説会に行って自民党の候補の演説を聞いておった。ところが、自民党の候補はこういう演説をした。池田内閣の高度経済成長政策は失敗をした。さらに中小企業と大企業との格差があって、実に悲惨な状態に置かれている。ところが、皆さん、これから御安心ください、もうお金を借りたければ担保も要りません、保証人も要らない、どんどん貸しますから遠慮なくどうかひとつ窓口に行ってください。私が傍聴していたのだから間違いない。まあ商工委員の白母堂の皆さん方は十分良識を持っておられる。なんぼ宣伝でも、そういう自分の良心に恥ずるような演説なんかなさらぬだろうと思う。そういう演説を聞いて実は驚きいった。私は政府から法律案の提案がなされて、非常に不完全であるというので、これを修正をする。修正可能でない場合もできるだけ早い機会に改正をするように、附帯条件等をつけていままで取り組んできた。そのことは、何といっても自民党の政権下であり、政府与党には中小企業者から、よりよい法律ができると感謝感激をされる。自民党に対する中小企業の抵抗を弱めることにわれわれは大い協力しておるかっこうなんです。しかし、それはいろいろ問いません。ところがこの小口保険制度は——当時、山本さんは中小企業庁長官ではなかった、中野さんが長官だったが、これはプラスアルファである、前向きな政策であるということに対して、そうではない、これはうしろ向きだ、これはほとんど利用されないだろう、こういうものを出して、中小企業に対する抜本的な施策を講じたというようなことで宣伝をしても、むしろそれは反発を受ける結果になる、こういうことで修正をわれわれは強く主張した。しかし、次の機会には御意見を尊重して必ず改めるという、当時の櫻内通産大臣答弁期待をして、当時、省令である程度改めるところは改めてもらった点もあるのでありますけれども、われわれとしましては、不満足でありましたが、政府の次の機会におけるわれわれの要望を入れるという点に期待をして、賛成をして、これを通した。ところが結果は、実績でもってあなたが十分御承知のとおり、かつまた今度改正案が出まして、本委員会におきましていろいろと質疑をかわされた、その中におきましても、問題点はさらに明瞭になってきたのであります。百四十億の予算に対して、十一月まで約十億の消化ということになっておるようであります。これはPRが足りなかった。さらにまた、条件が非常にきびしかったというような点がこういうことになったというので長官としても反省をしておられる、こういうことでございます。したがいまして、私はその責任を追及しようという考え方はありませんが、しかし、今度の改正案をお出しになるについて、私どもがこの四十八国会において附帯決議をつけておったのでありますが、この附帯決議をほんとうに尊重しようというような考え方を持って、お取り組みになり、この改正案をお出しになったのか。三十万が五十万に付保限度額を引き上げた。これも要求中でありましたから、それを尊重しておられる、私はそう思います。だがしかし、今日の経済界の実態というものは、なかんずく中小企業の置かれておる深刻な状態というものは、短い期間でありましたけれども、さらにその深刻さを急速に増してきた、このように私どもは判断をいたしておる。また、長官としてもそのとおりに理解をしておられる、だろう、こう思うが、それならば、この五十万というものも、そうではなくて、実際、現実に即して大幅な付保限度額を引き上げていくという態度をおとりになる必要があったのではないか。さらにまた、この附帯決議の末尾に書いてあります「諸税の免税点以下の所得者及び居住要件についても適切な配慮をするよう努めること。」という、このことは、この附帯決議そのものは抽象的でございますけれども、これにあわせて趣旨説明をいたしておりますから、それはお読みになっただろうと思う。また、議事録もあなたはお読みになったと思うのでありますが、率直に住民税をこれに加えなさい、こういうことであった。なるほど形式的には住民税をお加えになっておるが、それには所得割りというのがくっついておるということで、私どもはこの附帯決議が尊重されたとは理解をしていないわけです。先日来の同僚議員の質問に対しましてもお答えになりましたし、時間の関係もありますので、重複することを避けまして、あらためて私は、この百四十億が十一月まで十億消化されたにすぎないということに対しまして、答弁を求めようとはいたしません。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕 ですけれども、やはり長官としては反省するところは反省をして、実際の実情に即した取り組みというものをやっていくようになさらなければならぬと思うしだから、私どもがいろいろと問題点を指摘するということに対しましては、十分その点を耳を傾けてお聞きになって次に備えるというような態度が望ましいと私は思います。  そこで、私はもう単刀直入にお尋ねをいたします。住民税を要件の中に加えられて、この前は所得税あるいは法人税という形になっておったのだけれども、今度はそのいずれかということになってまいりますから、要件はよほど緩和されたと私も率直に思っております。ですけれども、この住民税というものに対して、所得割りを納めている者というふうにここに一つの制約というものがある。これは私は適当ではないと思う。もう所得割りなんというのは除いて、住民税ということでこれを加えていく、こういうことをなぜになさらかったか、その点を、私も率直にお尋ねしましたから、あなたのほうも明快にひとつお答えを願いたいと思う。
  61. 山本重信

    山本(重)政府委員 特別小口保険の活用につきましては特に附帯決議がついておりましたので、私たちといたしましても、極力附帯決議の御趣旨を尊重して、その実現努力してまいったつもりでございます。限度の引き上げにつきましては、今回三十万から五十万に引き上げるということで、附帯決議の御要望に沿うことができたのであります。  問題は次の納税要件でございます。従来の要件が「所得税および事業税」ということで、非常に厳格であったという点にかんがみまして、今回は十月の二十日の省令改正によりまして、所得税または事業税、または所得割り住民税というふうにいたした次第でございます。ただいま中村委員の御指摘の、住民税につきまして所得割りというのがついている点でございますが、かりにこの条件を非常に緩和をいたしますと、他方におきましてそれだけリスクがどうしても多くなってまいりまして、実際に仕事を扱っております保証協会のほうの見解等を徴してみますと、かりにこの納税要件を極度に緩和をいたしまして、事実上ないに等しいといいますか、人頭割りでもいいということになれば、実質はもう居住要件だけと同じようなことになるわけであります。そうなりますと、実務の立場からは、個々のケースについて実質審査をどうしてもしなければいけないようになるという問題が出てまいります。一方においてはできるだけ緩和したいという要望と、他方において、その緩和は、ある限度までいきますと、逆に今度は実質審査ということになりまして、いまのように形式審査で簡単に処理することができないというようなことになると、またその逆の面も出てまいりますので、その辺を勘案いたしまして、今回は所得税または事業税または所得割り住民税というふうにいたした次第であります。  それから、附帯決議の最後にございます諸税の免税点以下の所得者の問題でございますが、実は率直に申し上げまして、いろいろ知恵をみんなで出し合って検討してみたのですが、なかなか名案が出てまいりませんので、実はこれは宿題のままになっておりまして、今回はこの点は見送らしていただいて、なお続けて検討をさしていただきたい、かように考える次第でございます。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 この免税点以下というのは、あなたはこの附帯決議をよくお読みになればわかるのです。これは「所得税(法人の場合は法人税)及び事業税の納税に関する要件を厳格に過ぎないようにするとともに、こんごこれら諸税の免税点」これは住民税を入れろということです。ですから私は、これを譲歩なさって、住民税をお加えになった、ただ所得割りをつけた、こう理解をしている。そうじゃないですか。免税点以下ということについでは、検討していないのだが、これから検討する、結論は出なかったとおっしゃるのだけれども、これは実際、結論を出して、ただ所得割り、ということに、いろいろあなたが前段お答えになったように、問題点があるので、これだけはやっぱり所得割りだけはつけておかなければいかぬ、こういうことではないんですか。
  63. 山本重信

    山本(重)政府委員 お説のとおりでございまして、炭質的には所得割り住民税というところまで範囲を広げたのでございますけれども、それも納めていない人で、結局人頭割りの住民税というところが残っておる、こういう次第でございます。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたがお答えになったのは、私はおかしいと思います。いわゆる所得割りというものをはずしたら、実質審査をしなければならない。いずれにしても所得税、法人税あるいは事業税あるいは住民税、納税証明をおとりになる。そうしないと、納めておるかおらないか、わからぬではありませんか。そうでしょう。だから所得割りをとったところで、きのうあなたが海部君の質問に対して、お答えになった、これからはずされるものはどの程度かと言ったら、十五万程度だということになりましたね。これは数字は違っておるかもしれませんが、そういう意図はわかります。しかしこの所得割りをくっつけておる程度のものは、所得割りをはずしてみたところで実質審査は要らない。だからこのままであれば、所得割りを納めていない人たちだけは、この特別小口保険対象にならない。それから漏れる人を救済しろと私は言うんですよ。だから、その人たちに対して実質調査の必要があればおやりになっていいでしょう。全部をおやりにならなければならぬということにはならぬじゃないですか。だから、所得割りというような割りがどの程度であるか。これは所得税よりも住民税等のほうが若干低いですね。低いけれども、標準世帯の、専従者が一人もいない事業者の場合におきましては、二十六万円からこの税率で除して税金をかけることになるわけですね。専従者一人の場合は、三十二万円、これを月に直しますと、専従者がいない生業者、そういう人は月に四万円の収入、専従者一人の人は月に五万円の収入ですね。こういう人ははずされるのです。五万五千円か六万円の所得になりますと、この対象になるけれども、月に五万円あるいは四万円というような所得の人たちは、小口保険の対象から所得割りをつけることにおいてはずされる、私は、そういう人たちを所得割りを納めていないからといってむげに断わるということは、この対象からはずすことは非常に冷酷であると言うのです。しかも、居住要件だけだとあなたはおっしゃった。居住要件というものは一年間あるわけですが、所得割りを納めておるとおらないとにかかわらず、一年間この事業をやっておったということがこの要件になっておるのです。そうでしょう。ならば、その人は要するに一年以上ずっと経営をし、それによって一家が生活をしておるという、この実績はあるわけです。ただ所得割りからはずされておる、所得割りを納めていないということだけをもって、最もこの信用補完制度の徹底した一つ政策であると考えられる小口保険——大蔵省はこれをもって特殊部落と言っておるそうでありますが、その特殊部落からまではずしてしまったら、どこの部落へ行けばよろしいのでしょう。気の毒だとは思いませんか。保証協会のリスクがどうだの、実質審査をしなければならぬようになるだの——必要があればおやりなさい。いろいろ手数がかかったり何かする、そのことを解決しなさい。この人たちを救済することが、それよりもまず大事だと思います。だからそれをやりなさいというのです。どうですか。
  65. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまご指摘の点につきましては、率直に申し上げまして問題が残っていると先ほど申し上げた次第でございまして、実は前回の省令改正のときまでには、どういう方法がいいかということについて結論を得ることができませんでした。かりにそういう範囲まで拡大することによって実質審査という方式が入ってくると、その場合に保証協会自体の事務がそのために非常に渋滞をして、ほかの部分にまで影響がくるのではないかというような協会側のほうからの見解もございまして、なかなか名案といいますか、こうしたらいいという結論が出ませんでしたので、実はこれは懸案事項としてなお引き続き検討することにした次第でございまして、いま先生がお話のように、この階層に対してわれわれは何もしないでいいという結論を出したわけでは毛頭ございません。なお続けてひとつ検討させていただきたいと思います。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 続けて検討することはよろしいのですけれども、いま現実にこの法律案が出ておるわけでありまして、これは省令ですから時間が若干あります。ですから、省令を出す前に——その省令を改正しなければならないでしょう。だから省令を改正するときには何とか結論を出して、できるだけそれを尊重して、特にそれが十分期待が持てるようであればいいけれども、その点が明確でないということ、それから実質審査をしなければならぬというようにきめつけてしまうことはどうかと思う。私は、やむを得なければ実質審査もいいではありませんか、全然締め出すよりもよほどいい、こう申し上げたのです。実質審査をどうしても必要とするものもあるかもしれないが、しかし実質審査をする必要のないものもあるわけで、いずれにしても、あなた方がいまここで御答弁なさっておられること、あるいはあなた方がここで考えられておることと窓口とはよほど違うのです。窓口は、やはりいろいろな書類を具備させるのです。それを見れば専門家だからわかるのです。かりにその中に実質審査をするのが幾らかあったという場合、いろいろそこで手数がかかってもいいではありませんか。人を一名ふやすか、二名ふやすのか知りませんが、ふやしてみたところで事務ですよ。それよりも、こういう気の毒な人たちを保証協会が締め出したら、銀行はだれが貸しますか。相手にしないですよ。いいですか。その人たちをどうしようというのですか。その点が明らかにならなければ納得しないのです。
  67. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまの仰せにつきましては、十月の二十日に一応省令の改正をいたしましたが、引き続きいまの点は検討させていただきたいと思います。先生の強い御要望の趣旨をよく体しまして検討していきたいと思います。  それから具体的な案件につきましては、今回の臨時措置法によりまして、新しい無担保保証の制度ができるわけでございます。いま御議論いただいております点は特別小口で無担保、無保証人でございますけれども、新しくできます無担保のほうは、担保は要らない、保証人を出す。保証人は身内保証でもいいというので、場合によれば、緊急の場合に活用し得るようになっておりますので、いまの先生のお話しのような案件については、無担保保険のほうの活用も考えてまいりたいというふうに考えます。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは中小企業のことを御存じないから、そういうむちゃというか、かってな、無責任な答弁をなさる。特別小口保険対象にすらならない者が、どうして二百万円の無担保保険の対象になりますか。そういう無責任な答弁をなさっちゃだめだ。これは特殊部落として考えているのでしょう。この特別小口保険という、それすら漏れる人ですから、それが二百万円の無担保保険で救済されるからそのほうを利用しろなんて、そんな無責任な答弁をなさらないでください。あなたの答弁は責任があるのですよ。それじゃ特別小口保険から所得割りがないということではずされた人が、長官はこう答弁したからこの保証で救済しなさいと言ったら、保証協会はそれで受け付けなければならない。菅さんお見えでしょう、聞いておられる。慎重に、もっとお考えになって御答弁になってほしい。  それからいま省令の改正をしたと言うが、改正案をいまお出しになった。そこでわれわれはこの改正案に基づいて議論をしている。そして結論を出すのです。まあものの順序としては、その後に省令の改正をなさることがほんとうじゃございませんか。それは省令はあなた方の権限でおやりになる。だからわれわれはそれは議論する必要はないかもしれない。ないかもしれないけれども、いまこの本体がここで議論されているのだから、それを待って省令の改正をするというのが筋だと思うのです。しかしあなたは正直に御答弁になったのだから、せっかく正直に答弁したのをあまり言うと秘密主義になるからあまり言いませんけれども、筋じゃありませんよ。しかもあなたは議論を聞いて、そして改正すべきものは改正すると正直に御答弁になったのですから、あまり追及すると、正直な頭に神宿ると言うけれども、かえってそれが災いになるということになりますから、あまり言いませんけれども、あとで続いてやります。田中さんが時間の関係があるそうですから……。
  69. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 田中武夫君。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 中村委員の了解を得まして、私は中村質問の中にはさんでいただいて、特に条文にしぼって若干の質問をいたします。  先ほど来中村委員がいろいろと申し上げていることとも関連があるのですが、大体今日では、福祉国家という名のもとに行政が行き過ぎておる。行政権が本来の立法のワクに入り過ぎておる、こういう感じを持っております。私はあえて委任立法というものを否定はいたしません。委任立法を否定する学説もありますが、私は否定いたしません。しかしあまりにも委任立法とか行政裁断ということが多過ぎる。そういう点を中心に二、三の質問をいたします。  まず第二条の定義の問題ですが、二項の倒産関連中小企業者、これをきめるのにどれだけ行政上ないしそれに類するといいますか、自治行政といいますか、それらの裁断が入ってくるかという点を申し上げると、まず「市町村長又は特別区長の認定」ということが出てきます。一号に「通商産業大臣が定める事由」というのが出てきます。そして次に同じ一号で「通商産業省令で定める債権」というものが出てきます。二号で「通商産業大臣が指定する」というのが出てきます。そして同じく「通商産業大臣が定める事由」というのが出てきます。これだけを見ますと、先ほど来各委員が申しておりましたように、いかにいい法律をつくり、中小企業者、ことに零細企業が、政府がいいことをしてくれた、こう思って実際窓口に行ってみたら、あなたは適用ありません、こういうことで、いわゆる羊頭狗肉といいますか、こういうような政策であると言われるわけであります。  そこで二、三この点について……。まず市町村長または特別区長の認定を受けるといっても、この問題で、実は前に立法せられました産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律、この第六条で、市町村長等が認定するにあたって、商工会議所あるいは商工会等々の、中小企業者の団体の意見を聞く、あるいはそれから資料を出さしめる、こういうようなことが前にはありました。なぜ産炭地の場合はそういたして、今度の場合は市町村長がかってに認定するような——もちろん基準はあるでしょう。それが一号及び二号なのです。しかもその基準のもとはというと、通産大臣の指定とか、通産省令で定める、こういうことなのです。なぜ産炭地の場合の立法例とこれと違う例をとられましたか。特別な理由があればお伺いいたします。
  71. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、今回の法律の運用につきましては、市町村長等に対しまして通産省から、認定をする場合の基準をあらかじめよく徹底をいたしておきまして、そしてできるだけ簡素な手続でこの手続が進められるようにいたしたいと考えております。産炭地の場合に、関係行政機関の長、商工会議所等に対する資料の提供の協力の依頼の規定がございます。今回は実はこれは事実行為でもございますので、特にこういう規定を入れませんでしたが、もし必要があれば事実問題として実施をいたしたいというふうに考えております。   〔小川(平)委員長代理退席、田中(栄)委員長代理着席〕
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業地域団体等の意見等を聞くということによって迅速なる処理ができない、こういうことであるならば、またそれだけの理由があると思います。しかし、私が申し上げておる根本は、最近ことに委任立法といいますか、法律はできたが、行政裁量というものが多過ぎる。それが先ほど来の中村質問でもあったと思うのです。そのことを中心に申し上げておる。したがって、できるだけ民主的な運用をするとするならば、ことに中小企業庁中小企業団体の育成指導ということを考えるならば、市町村長とかあるいはいわゆる役人が考える範囲よりか、そういった団体の発言権を取り上げていく、あるいは諮問して意見を求める、そういった団体の意見というもの、ことにその一つの地域に、たとえば山陽特殊鋼の場合は姫路地域、東発の場合は練馬地区、板橋地区といったところに大きく倒産関連中小企業者が出るわけです。そういうときに、地域的な中小企業団体の意見を吸い上げていく、むしろ、その意見に基づいてきめていくというくらいでもいいんじゃないかと思うのです。こういう法律の立て方は、あなた方が中小企業庁として、中小企業団体の育成だとか、指導権の強化だとかいっておりながら、事法律をつくるにあたっては官僚独善に走る、民主的なことを考えていないという一つの証拠として指摘だけいたしておきます。  次に第二条二項一号の破産、和議開始等々ときまして、「その他通商産業大臣が定める事由」とはどういうことですか。どういうものを考えておりますか。
  73. 山本重信

    山本(重)政府委員 「その他通商産業大臣が定める事由」ということはを入れましたのは、そこにいわゆる俗に言います倒産という事態に該当する事柄を列挙いたしたのでございますけれども、なお、そのほかにも実際のケースによりましては、そこに列挙してあるものと同じように対策を講じる必要が出てくることがあるのではないかということで入れたのでありまして、たとえば、山陽特殊鋼が倒産をしました場合に、そのトンネル会社といいますか、実体は同一であります国際運輸倉庫が別にありました。そして、被害を受けます点においては、山陽特殊鋼の直接の関連企業者と国際運輸の関連企業者とが同じである、こういう場合に、その救済をする必要がありますので、そうした場合に、特別な指定をすることが必要じゃないか、また、破産以下、書いてあります事柄について、手形交換所で取引停止処分を受けた、そして、どう考えてももはや近いうちに破産必至ということが予想されますような場合には、これによって指定をして、そして最悪の事態が起こる前でも処置ができるようにする必要がある場合もあろうかというようなことで入れた次第でございます。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、この破産、和議に至る一つ一つについて、ひとつ検討していきたい、こう思っておりましたが、時間もないようだし、破産とは何ぞや、破産法から入っていくと一日で済みませんのでやめますが、いま一番はやりの会社更生法でいきましよう。いまあなたがおっしゃったように、手形交換所で不渡りを出した。それから会社更生手続開始申請を出して、裁判所が手続開始を決定する。大体こういう順序が多いのですね。そうすると、あなたのいまの答弁によると、会社更生手続開始以前でもいいわけですね。手形交換所において不渡りを出した、近くあの会社は会社更生手続開始申請をなすのではなかろうか、こういう段階において一号は動きますね。
  75. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまの点は、手形交換所の取引停止処分があれは必ず自動的に発動するという意味ではもちろんございませんで、ケースによってはそういうことも可能であるという意味で、先生のおっしゃるとおりであります。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ確認します。破産、和議開始、更生手続開始、整理開始等々に至る以前においてもうそのことかはっきりした場合——一番はっきりしておるのは、手形交換所における不渡りあるいは大きな信金によって大きな差し押えを受ける、こういうような場合もあると思いますが、その場合も一号が動き得る、もちろん認定とかなんとかいうことがありますが、動き得るということはあるわけてすね。
  77. 山本重信

    山本(重)政府委員 そのとおりであります。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 次に「売掛金債権その他通商産業省令で定める債権」とはどんなことですか。
  79. 山本重信

    山本(重)政府委員 前渡金とか手付金、保証金、賃貸料というようなものがいわゆる売り掛け金債権以外にございますので、そういうものを省令で定めるつもりでおります。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 それは省令で一々列挙するわけですね、いま申しました前渡金だとか保証金だとかいうのは。
  81. 山本重信

    山本(重)政府委員 さようでございます。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 そこでこの通産大臣の指定の基準なんですが、聞くところによると、金融機関借り入れを除く債務総額が十億円以上のもの、こういうことなんですが、そうなんですか。
  83. 山本重信

    山本(重)政府委員 指定基準としてただいま考えておりますのは、負債総額、ただし金融機関からの借り入れを除きまして十億円以上の企業倒産でありまして、関連中小企業者経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるもの、こういうふうに考えております。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、いわゆる中小企業下請は、その中小企業金融機関以外の債務十億以上なければ本条の適用はない、したがってここで救わんとするのは大企業に隷属する中小企業下請企業のみだと断定してよろしいか。
  85. 山本重信

    山本(重)政府委員 今回のこの関連倒産防止の趣旨は、発想の出発といたしまして、激甚災害のようにある程度かなり多くのものが影響を受ける、場合によれば地域的に多発するというようなものをひとつ非常措置対策を講じようというところから出たのでございまして、したがって関連業者の数がある程度多いということをねらっております関係上、その倒産する企業規模としては、一応この金融機関借り入れ金を除きまして十億という規模考えた次第であります。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 金融機関以外の債務が十億というたら、どのくらいの規模の会社と思いますか。いろいろ債務の内容によって違うと思いますが、相当なものですよ。そうするなら、いわゆる巨大産業とまでいかなくても、まず山陽特殊鋼あるいはサンウェーブ、資本金は少なくとも十億以上のところだと思います。資本金がその程度、じゃそれ以下のところの下請はどうなるか、そういうのは切り捨てごめんなんですか。なぜ十億というようなことでやるのか。かりに、もしも十億というようなことでやるたらば、なせこの法案に——もちろん法律に具体的な数字をあげることはあまり好まないと思います。しかしながら、これが五億なのか、十億なのか、一億なのかによって適用の範囲がうんと違うのです。この法律を見た場合に、やれうれしやと思っていたところが違っておったということになる。なぜ法律に明確なる基準を示さないのか。これがいわゆる行政権の立法に対する範疇を侵しているということになるのですよ。明記しなさい。十億なら十億と明記しなさい。そうでなかったらこの基準を下げなさい。この法律を読む限りにおいては、自分の親企業がもしかの場合は、おれは助かる、こう思っている。みな思いますよ。ところがあにはからんや、自分の親企業が倒れて、行ってみたら、あなたのところのやつはこれは適用できませんということになる。そうでしょう。あまりにも法律はりっぱなようなことを書いておりながら、いざ適用になっては、全然窓口で断わられるというのは、こういうところにも出てきておるのだ。あるいはまた市町村長の認定の場合、認定の基準は債権五十万円以上とはどういうわけだ。五十万円以下のものならほっておいてもいいのか。あるいは取引依存度が二〇%以上。すなわちこの五十万円以上と二〇%以上はどれか一つであれば基準になるのか、二つとも対象になるのか、こういう点も明確にしてもらわぬと困る。二〇%とか五十万円とかいうようなことは、私はあえて法律に書けとは申しません。しかし最初の十億というのは、この法律の大前提でしょう。違いますか。大前提でしょう。大前提となるようなものを、なぜ本文条項に書かないのか。時間がないから、私は答弁なしに続けて疑問点を言います。  次に二号にいっても、いまさっき指摘したように、二つの行政裁量が入るわけですよ。そこで数量の減少その他となっているこの数量の減少の理由はどういうことなんです。たとえば不況カルテル、あるいは減産カルテル、このようなことによる減産の場合も入るのか、ここには減産、制限となっておる。しからば転廃業のときにはどうなるのか。それが明確でない。そうでしょう。時間の関係上、一問一答でざっとやってしまおうと思っておったが、あまり一ぺんにたくさん言うと、あなた忘れるから、この辺で答弁してもらおうか。
  87. 山本重信

    山本(重)政府委員 関連倒産規模でございますが、十億円という限度は、御指摘のようにきわめてこの法律の運用上は重要な問題でございますので、これは法律を施行します際にできるだけ明らかにして徹底をはかりたいと思います。それからもう一つは、実は倒産とかいう事態は今後どういう形であらわれてくるかまことに予測がむずかしい点がございますので、一応十億で出発をいたしますが、そのときの情勢に応じまして、必要に応じて比較的簡素な手続で変え得るようにいたしたいという趣旨もございまして、実は法律に明記をいたさなかった次第であります。したがいまして、もしこれが十億であるために非常に運用上支障があるという場合には、十分に弾力的に考えて、変更も考慮いたしたい、かように存じます。  それから次に認定の基準といたしまして五十万円という条件と、取引依存度の二〇%というのがありますが、これはいずれかに該当しておればいい、こういう運用でございます。  次に、事業活動の制限、数量の減少ということでございますが、これは今回のこの制度は、結果として親企業といいますか、関連企業が減産をして、そのあおりを食って仕事が減ってきたというものを救う趣旨でございますので、その減産の原因は法的なカルテルに基づくものであるといなとを一切開いませんで、結果を見ていたしたいと思っております。したがいまして、ただいま私たちが考えておりますのは、その親会社の減産が六カ月以上にわたりまして一年前の実績に比べて一割以上減る、こういう場合、そしてそのために関連中小企業者のうちの相当数のものの受注量が二割以上減る、こういう場合を現在考えております。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 転廃業の場合は……。
  89. 山本重信

    山本(重)政府委員 この事業活動の制限の中には、転廃業は特に考えておりません。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 法制局、私は基準の何か数字を一々本文条項に書き入れをせよとは言っておりません。しかし少なくともこの法律の中心は、いま問題になっておる親企業というか、それが破産、倒産の場合、これがこの法律の中心ですよ。そういうような場合は条文に明記すべきである。あなたの考え方はどうです。
  91. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま先生がお述べになりましたように、その法律の扇のかなめのような部分について、それがたとえ権利を制限するようなものではないにしても、こういう特別の立法については、扇のかなめになるような部分については法律で書くべきであるという御意見につきましては、私どももそう思っております。ただそういう一方の要請と、もう一つの行政運用がそれによって拘束されていいかどうかという別の観点もまた考慮いたさなければならないと思いますので、今回は、いまの十億円というものは、行政運用の問題と思いますが、将来常にそれに固着するのであれば、当然十億というふうに書くべきであると思いますが、行政運用その他を考えまして、一応その部面につきましては手を入れなかった、かようなことであります。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 直ちに権利義務の発生の条文じゃありません。しかしながら、政府の施策の恩典とでもいいますか、政府が好むようなことばでいえば福祉国家の行政、この恩典に浴するか浴さないかの決定ですよ。言うならばこの法律のかなめです。そこを行政裁量にまかすというような立法がありますか。法律の中心であり、かなめであるものを行政権に委任するというような立法は、立法の精神からいって私は間違いである、言いかえるならば、行政権が立法権の範疇を侵しておる、こう断冒しますが、どうですか。
  93. 田中康民

    田中(康)政府委員 私申しましたのは、ことばが足りませんでしたが、扇のかなめのようなものは必ず書くべきである。しかし、ただいまの十億円につきましては、扇のかなめに非常に近いとは思いますが、そこまでいってないというように実は考えたわけであります。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 これは修正やるんだから、入れようと思ったら入れられるわけだ。しかし、十億円があるいは五億円になるかもわからない。しかし、一々それを法改正手続によらなければならぬというならば繁雑だと思いますが、私は先ほど来言っておるように、あまりにも行政の裁量を広げることが最近の傾向としては多い、これは法制局は心すべきだと思います。でなければ、このたびのこの法律は一応がまんをするとしても、今後からはそういうような考え方から出たやつは一切審議を拒否しますよ。私は立法の委任というものはできるだけ制限すべきである、あえて違法だとは言いません。憲法でも認められているから、もちろん学説では御承知のように、それはいかぬという意見もあります。しかし、私はそんな小さな考えはとりませんが、あまりにも行政裁量をふやすということ、このことがいつも言われている。法律はつくるけれども中身がなかったということになるのです。だからこの十億円というのは検討してください。長官よろしいか、十億円を検討し直す。それからこの一項の市町村の認定基準の五十万円ということも再度検討、二〇%も再検討。だんだんと下へ行くほどこの恩典を受けられなくなるのですよ。巨大産業とまではいかなくても、金融機関から借りた金以外——金融機関以外のという金融機関とは何を言うか、町の金融業者が入るのか入らぬのか、これも聞きますが、金融機関以外の債務というのは一体何を言うのか、それの十億というのは相当なものでしょう。それに直接つながっておる下請企業は適用がある。それからもう一つの第二次、第三次の孫、曾孫に至っては適用はない。あえて二項で読もうとして、取引の相手方とでもいうならば、いま申しました転廃業が入っていない。一年間の実績を六カ月以上の間にわたって一〇%と計算した。それに対して今度は受注が二〇%以上減ったというのでしょう。何で相手が一〇%で、それの影響を受けておる中小企業の最も弱いものが何で二〇%にしなければいかぬのだ、このこと自体が政府中小企業政策考え方を物語っておると思うのです。先ほど来、中村君等も言っておりましたが、いいことは言っておるが、いざ窓口へ行くと全部キャンセルを食うということは、行政権があまりにも出過ぎておる、役人の裁量が多過ぎる、そこにあるのですよ。わかりますか。その点をはっきりしない限り、きょうの約束の採決はできませんよ。こんないいことばかり書いて、中身と言えば、二次、三次はどうなるのか、政治で一番考えねばならないのは最低の底辺ですよ。底辺をほっておるじゃないですか。そのことについて、いま具体的に二〇%を一五%にせよとか、五十万円を三十万円にせいとか言わないが、しかし実際にあたって、いまこのままでやるなら、私は次の機会において——そのころはあなたはもうかわっておるかもしれないが、中小企業庁の法案に対しては全部けちをつけると断言します。再検討しますかどうですか。
  95. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまお尋ねの点ですが、十億円という基準、それからそれに関連いたしました取引依存度とか金額につきましては、一応そういうことで出発をいたしたいと思いますけれども、先生の強い御要望の線に沿いまして、実情を見て必ずこれは検討して、実際に役に立つ法律にいたしたい、かように考えます。  それから二次、三次の問題でございますが、当面私たちは、大企業倒産をして、そしてそれに直接つながっている第一次の下請をまず救う、それがしっかりしておれば、その第一次の下請についておる第二次のほうは債権の回収が可能でございますから、そこまで直ちに発効する必要はないというように考えております。しかし実は昨日も質問がございまして、万が一この第一次の下請が、関連して倒産をどうしても防げなくて倒産してしまった。しかもそれがたとえば十億円という基準には合致しない、こういう場合にどうするかという御質問がございました。私はその際にはやはり特別な措置考えて、そうしてその場合には、それにつながっている第二次に対しては適用できるような方法を考えなければいけない、こういうふうに思っておりまして、これも具体的な運用基準の運用として至急に検討いたしたいと思います。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 はからずも基本法以来といいますか、結党以来といってもいい、われわれと政府自民党との中小企業政策に対する根本の違いが出てきたわけです。政府中小企業基本法、これに関連するいろいろの法案、これらはすべて大企業中心に考えて、大企業に隷属するところのあるいは大企業に系列せられるところのものだけを育成していこう、そういう考えであるということを指摘したわけなんです。この法律もそうであることだけを申し上げておきます。そうして政府の打ち出した臨時措置法は、いかにも中小企業対策として大きく振りかざしてござるが、実際は、中堅企業以上のところに隷属し、そこに系列化せられた中小企業にのみ恩典を与えるという考え方のもとに出発したものであって、一般中小企業零細企業に対しては何ら考慮が払われていない、かく断言いたして次に入ります。断言していけなければ反論を受けます。いかがでしょう。
  97. 山本重信

    山本(重)政府委員 今回の法律は、一方におきましてこういう倒産関連の対策考えますと同時に、また他方において無担保の二百万というような制度も考えておるのでありまして、私たちとしましては、決して中小企業の中の粒の大きなもの、あるいは大企業に隷属しているものだけを対象にしているという考え方は毛頭ないのでございます。しかし、いろいろな点につきまして先生から御指摘いただき、また実際の運用を見まして、直すべきところは直していくことにやぶさかでないという考え方を申し上げておきます。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 政治論争は大臣としかるべき場所でやります。ただし、あなたはほかの手段によって考えているというけれども、いま中小企業倒産問題が一番重要である。こういうことで特別措置法案を出してこられたんでしょう。ならば、なぜそこまでの配慮をしなかったか、これだけを指摘しておきます。  次に、法律の遡及の間頭です。法律は原則として遡及すべきでない、不遡及の原則ということばがあることは御存じのとおりです。しかし、私どもはただそれだけを金科玉条とは考えておりません。一定の条件のもとに遡及する。ことに刑法においては厳密にやるべきであるけれども経済法、行政法におきましては、ある程度の例外を認めていいということは私ども考えております。しかしそれにはそれだけの理由がなくてはならない、根拠がなくてはならない。でなければこれも行政が立法を侵すということになる。ならば、この法律によって遡及をもたらすところの付則第一項の十二月十七日から適用するという、十七日の根拠は何ですか。
  99. 山本重信

    山本(重)政府委員 本法案は先般の臨時国会に御審議をお願いしたのでございまして、一日も早く御審議いただいて十二月一日から施行いたしたいと念願いたしておったのでありますが、ついに十二月十三日の臨時国会の終了時に審議未了ということが確定をいたしまして、私たちたいへんに実は残念に思った次第であります。片方中小企業の実態はなかなかきびしい事態で、年末対策として、何とかしてせっかくこの考えた法案が適用できるようにいたしたいということで、窮余の策ではございますが、十三日の翌日の十四日から至急に政府内部で相談をいたしまして、そうして十七日の閣議で通常国会に再提出する法案の決定をするという予定になりましたので、その決定をする十七日というものを適用日にいたした次第でございます。経緯は以上のとおりであります。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 もうやめてしまったけれども、十年間にわたって内閣法制局長官をやっておった林君が、著書で遡及の項について触れておるのです。そしてみだりに行なうべきでない、こういうように言っておるので、私もその意見をとります。原則としては不遡及であるべきで、遡及すべきではないけれども、国民に対して、あるいはこの法の適用を受ける者に対していいことであるならば遡及さしてもいい、そういう意見をとっておりますから、あえて遡及はできないとは言わぬ。しかし、それにはそれだけの根拠がなくてはいかぬです。あなた方が十二月一日からこの法律を施行したい、こういうことで国会へ提出した。ところが、国会の状態によって審議未了になった。ならば、遡及さすのであるなら、なぜ十二月一日にしなかったか。十二月の十七日というような中途はんぱな日は納得がいかない。閣議決定の日のつもりであったが、これも一日ずれました。   〔田中(栄)委員長代理退席、小川(平)委員長代理着席〕 だから根拠を持たなければいけない。かりにこの法律ができ上がったときに、遡及ということについては、前に激甚地の問題があったが、そう例がないのです。法解釈学者がいろいろと検討するときに、なぜ十七日にしたかということが問題になろうと思うのです。最初の政府の意思が十二月一日であるならば、なぜ十二月一日にしなかったのかということ。さらに遡及をさす場合には、関係者にあまねくその意思を知らす必要がある。したがって、あなた方は通達か何か出されたかと思うのです。それが関係者全体に周知徹底してない。一部の者はそのことを知っておったからやった、一部の者は知らないということならば、国民の中にといいますか、適用せられる人たちの中に不公平が起こる。遡及の場合に不公平を起こさしめてはいけないのですよ。そのことについてどれだけの配慮をなされたのか。おそらく積極的な聞き合わせがある場合には返事した、あるいは全般的に通牒あるいは通達をなされたか知らぬが、そういうような一般的に行き渡る方法をとらねばならぬ。同町にそのことは行政権がなしたわけです。しかし、国会の意思は、その遡及を認めるか認めぬかわからない。しかるに大臣か長官か知らぬが、行政通達によって、この法律は遡及して十二月十七日から実施されますよということ自体が、先ほど来言っておる行政の行き過ぎである、立法権を侵すものである、もっと言うならば、国会軽視である、こう言いたいのです。したがって、国会軽視でなく、国会に頼みますということならば、最初政府がお願いしますと言った十二月一日にすべきだ。もう時間がないので、中村君のほうもお待ちですから、またあらためて法律論は別にやりましょう。しかし、意見だけ申し上げておきましょう。こんなことは筋が通らぬ。それだけは言うておきます。
  101. 板川正吾

    ○板川委員 ちょっと関連して。二条の二項について、こういう解釈が当然ありますか。たとえば大臣が認定する基準等は、政府がいま考えておるものをそのまま前提に置いて、たとえば百億以上の負債で倒産をした、その下請業者がいま考えておった十億以上の負債を持ってこれまた倒産をした、こういう場合には、その十億以上の負債を持って倒産した下請中小企業者倒産関連中小企業者として認定をされますか。それは第一次、二次、三次の形になりますか。二次が実質的にこの基準に合った場合には指定されるかどうかという問題ですね。
  102. 山本重信

    山本(重)政府委員 いまの御役例の場合は、適用の対象になります。
  103. 板川正吾

    ○板川委員 なりますね。じゃ、その二項の二号のほうですが、今度は「取引の相手方たる事業者事業活動の制限であって」、その制限というものは、一年以内の実績に対して六カ月以上一〇%の減少をしているものを指定するのだという基準がある。そしてその終わりに「当該中小企業者経営の安定に支障を生じている」という認定基準は、過去一年間の実績に対して六カ月以上受注が二〇%以上減少をしているものを認定するのだ、こういう基準でおりますね。この場合は、この条文からいうと、その基準に当たっているものは、二次でも三次でも四次でもずっと対象になり得ますか。たとえば一次の親企業者が事業活動の制限があり、そのために二次の下請業者が同様なパーセンテージの減少があった場合、三次がこの二項の二号に該当する場合があり得ますか。
  104. 山本重信

    山本(重)政府委員 この規定におきましては「取引の相手方たる事業者」ということになっておりますので、直接その事業者と取引関係にあるところを考えております。したがいまして、通産大臣が指定する事業者と直接取引関係があるものに限定されるようになっております。
  105. 板川正吾

    ○板川委員 第一次の親会社が減産をした、そしてその減産が通産大臣が指定する基準に合っておる、そしてそれが中小企業経営の安定に支障を生じている。そうしますと、いま言ったように、たとえば大きい会社、第一次が通産大臣が指定する基準に合うのは当然ですが、これと取引しておるものがさらにこの基準に合ったような場合には、ないのかな。大きい会社の第一次に対する二次、二次に対する三次——二次に対する三次というのは、この二号では読めないのですか。とにかく親会社の減産、カルテル、勧告等、それによる事業活動の制限を大臣が指定するものですが、この二次、三次というのは、この法文では読めないのかな。その点を……。
  106. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、たとえば鉄鋼の減産をいたしますと、それについて通産大臣が指定いたしますのは、何々会社の鉄鋼の中でもたとえば鋼材だとか粗鉱とか、その具体的な品目、業種を指定しまして、その減産の事実をここで指定するわけでございます。その指定された事業者と直接取引関係のあるものをこれによって対象にするという考えでございます。
  107. 板川正吾

    ○板川委員 それは、われわれもう少し実情を研究して……。
  108. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 中村重光君。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 さっき所得割りをはずす問題について私はその必要性を主張したのです。一応あなたの考え方を聞いたのだけれども、私はそれじゃ納得いかない。銀行局の青山財務調査官、先ほど来所得割りの問題についていろいろ議論されたことお聞きのとおりです。あなたはどうお考えになりますか。
  110. 青山俊

    青山説明員 先ほど先生から所得割り、住民税に関連いたしましてお話がありました。これにつきましては、最初の規定が非常に厳格過ぎる。そこでなかなか実績があがらない、いろいろ再検討すべきじゃないか。もちろん附帯決議がございましたのでそれを尊重いたしまして、通産省の企業庁のほうとわれわれのほうとその内容について……。
  111. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  112. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 速記を始めて。
  113. 青山俊

    青山説明員 そこで条件緩和につきましては先般省令改正をいたしたわけでございますが、これをさらにいま先生のお話で、もっと零細なところまで適用できるように考えるべきではないかというお話でございますが、これにつきましては、保証協会のいろいろの事情等も、またわれわれも勉強しなければなりませんが、企業庁のほうのお考えもまたまとめていただきまして、そこで相談してまいりたい、こういうふうに考えております。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 菅さんお見えでしたね。あなたは保険公庫として直接こうした実務に携わっておられるわけです。あなたの率直な考え方をひとつ聞かしていただきたいと思う。  言うまでもないことでしょうけれども、役所側の立場ということでなくて、われわれも納得すれば別に省令をあらためて改正しろとは言わない。ですけれども、私どももこの現場の実情を知っています。だから実際の姿というものを頭に置いて議論しているわけです。あなたの考え方をひとつお聞きしたい。
  115. 菅博太郎

    ○菅説明員 いまの免税点以下を対象にするというお考え、たいへんけっこうだと思います。これを御決定いただくのは政府の御方針だと思いますが、保証協会としましては、従来非常に納税条件が厳格であったために、実際の実績は先生御指摘のとおりあがっておりません。しかしながら十二月一日から納税条件緩和されましたことによって、相当数の業界においては非常にお客さんがふえております。特に大阪、名古屋等におきましても臨時相談所等を設けまして大ぜいの対象業者が来ておられまして、そういう方々に積極的に御相談に応じて、実績も十二月などは相当あがっておると思いますので、政府の御方針によりまして、しばらくこの拡大された条件緩和でやらしていただいた上でまた考えてまいってはどうかと思う次第でございます。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁は、何というのか緩和したから非常に実績があがってきた。そのとおりです。私が言っているのは、それではなおかつ対象からはずされるものがあるんだ。そういう人は特に深刻な状態に置かれているんだから、それをはずしてはいけない。あなたもそれはけっこうなことだとおっしゃったので、賛成であるということはわかるのです。それで長官のお答え並びに青山財務調査官お答えを伺ってみても、私の主張が間違っているというお考え方ではないようです。ただ保証協会が繁雑になってくるそのことが全般的な影響というものが出てくるのではないかという主として事務上の繁雑さにあるようです。私はそれよりも、先ほど来何回か申し上げたように、この法律案にしてもあるいは省令にしても朝令暮改でその改正ばかりできるものではないわけです。この機会に悔いを残さないように、通産大臣もおかわりになってこれからさらに積極的に取り組みをしていかなければならぬときですから、零細な企業ということよりも生業者に対してあたたかい手を差し伸べていくことが大切だろうと思うのです。だからそういう事務的な問題というものは、人をふやすとかいろいろなことにおいて克服できることです。だから対象から除外される人たちをこの際救い上げて網の中に入れる、こういうやり方でなければならぬと思うのです。だから省令の再改正をやるという決意があるかどうか。まだ法律案の問題について私序の口です、これからやらなければならぬ。ですからその点、率直にお答えください。
  117. 山本重信

    山本(重)政府委員 中村先生の保険についてのお熱意のほどは十分に私拝聴もいたしました。対策を講じなければいけないということについて私も考えを同じくするものでございますが、具体的にどういう方法をしたらいいかということについて、これはひとつ十分に検討さしていただきたい、このように思います。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 私の主張については同感である、その線に沿うて方法について検討するというお考えと理解してもよろしいのですか。私は、方法は何もむずかしくない、所得割りというのが入っているのをはずしさえすればいい。実務は保険公庫あるいは保証協会、そういうところでやっている。私どもも選挙区に戻りますと、保証協会も十日に一回ぐらいのぞくのです。よく行っていますよ。それと先ほど来言うように、全般的に何の影響も起こらないのですから、いままであなた方としてはこの所得割りをつけている。所得割りがついているということに対しては一体実務の調査はやらない考え方でしょう。その点どうですか、どういうような方法でやるのか具体的にお答え願いたい。
  119. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいま改正されました新しい基準で運用しておりますやり方は、いわゆる実質審査はしない、形式審査でございますから、所定の納税についての証明書と居住証明書があればそれによって自動的に出す、こういう運用をいたしております。  それからいまの免税点以下のものについての措置につきましては、私の個人的な所見でございますけれども、何とかしたいという気持ちは持っております。しかし、その具体的ないい方法がなかなか見つからないということと、また、やはり実際に第一線で実務に当たっております保証協会の方の意見もこれまた十分に尊重していきませんと、つくったけれどもまた動かないとか非常にぐあいの悪いことになってもいけませんので、その辺は保証協会の意見もよく聞きまして、また政府部内の関係もございますので、検討さしていただきたいと思います。
  120. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁期待が持てないですよ。何もそうむずかしいことじゃないのです。原案のとおりであれば、いま言う居住証明であるとか、それから納税の証明であるとか、その他の証明を提出すれば実質審査はやらないで保証してやろうということです。ですから、所得割りがはずされてもその分に限っては実質調査の関係は起こってこない。私は均等割りだけを納めておる人たち、こういう人も実質審査の必要というものはないというように思いますけれども、なかにはあるかもしれない。だが、その分だけを調査するということであってもいいわけです、どうしてもこれは調査しなければいかぬと思われれば。そこは保証協会というのは専門家ですから、所得割りははずされている、ただ均等割りだけであるというような形の証明がありましても、これは実質審査をしなければならぬな、する必要はないなという判断はつくはずですよ。   〔小川(平)委員長代理退席、委員長着席〕 先ほど私が数字をあげて申し上げましたように、住民税の場合におきましては、所得割りは標準世帯で全然専従者がいなかった場合二十六万円以上が課税の対象になるわけです。いわゆる所得割りの対象になる。一人の専従者として奥さんなら奥さんがその商売を手伝っておる場合は三十一万円以上が所得割りの対象になるわけです。月に直してみるとこの場合は月収五万円。それから専従者がいない場合に四万円。それにちょっと上回る人は対象からはずされる。こういうことになるから、東京都はよほど事情が違ってまいりますけれども、地方の零細企業という人たちは、三年も五年も十年も商売をしておって、月に五万円の所得あるいは四万円の所得というようなことで生活を余儀なくされている人が大多数なんです。金を借りに行っても金を貸してくれない、国民金融公庫に行っても相手にしてくれない、だからせめてこういう信用補完制度どいうものによって救われたい、これがほんとうの願いなんですよ。だから、そういう人たちのこの願いを、事務的な関係とかいろいろなことにおいて冷酷無情にも対象からはずしてしまうということはいけないのだと私は思う。それに重点を置いて事務的な関係というものは何とか克服することにつとめてくださいと、こう私は言っている。いろいろな方法を考えるとあなたは言うけれども、ほかにどういう方法がありますか。私がいま申し上げたような、法令の改正としてはとにかく所得割りというのをはずす。実際の実務は保険協会あるいは保証協会等と話し合いをやって、そういう人に限って実質審査が必要である者はしましょうし、する必要のない者はしない、こういう弾力的な運営をおやりになればよろしいと思う。とにかく居住要件というものは満たされなければならないのです。どこから飛び込んできたかわけがわからぬような者に保証しろと言っておるのではない。何年間か、少なくとも最低一年以上は商売をしてそれで生計を立てておる人たち、ただ納税要件だけが問題なんです。だから私は無理なことを言っておるつもりはない。実情を踏まえて申し上げておるわけです。だから省令の再改正をこの際やるというようにきっぱりお答えになれませんか、どうです。
  121. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまの御意見でございます。私は非常に有益な御意見であろうと思います。実は率直に申し上げまして、一ころ私たちの内部でいろいろいい方法はないかというので相当具体的な案につきまして、検討したことがあるのであります。前回の十月の改正のときですね。先先の御意見におおむね似たような案件もそのとき一つございました。それにつきまして実際に数カ所の信用保証協会の幹部の人たらの意見もいろいろ聞いたのでありますが、いろいろ問題があるようでありまして、どうも必ずしも全面的な賛成を得るような空気に実はなかったようなことが実情であります。ただ当時十二分にとことんまで議論をし尽くしてやったかというと、まだまだいろいろと問題があって簡単にいかないというような感じはありましたけれども、これはとてもだめだということであきらめてしまうという段階まできてない、なお続けて検討させていただきたいと思います。若干内幕話を申し上げましたけれども、実は具体的に大体それに似たような案も一案としてありまして、内々検討した段階がございます。
  122. 中村重光

    中村(重)委員 時間もありませんから、この点は保留して、あとであなた方ともまた話し合いをします。与党の理事諸君ともあとで相談をしてみたいと思います。  先に質問を続けます。実質審査はしない、こういうことですが、申し込みを受けて執行するまで大体どのくらいの期間を予想しておりますか。こういう零細な人たちは非常に急いでおるのです。この前の審議の際も申し上げたのですが、手形をもらう、そしてその手形をすぐ現金にかえて材料を買いにいかなければならないというようなこと、これはほんとうに、金利がそこで若干高くてもいますぐ金がほしいという人たち、飛び込んで金を貸してもらいたいというような人たちなんです。だから、銀行なんかなかなかうるさいものですから高利貸しのところに飛び込んで、そしてとえらい手数料だとか金利を取られて換金しておる人たちですから、非常に早くしてやらなければならないのですね。どの程度実質的に考えておるのですか。
  123. 山本重信

    山本(重)政府委員 できるだけ早く積極的に処理するということは非常に重要でありまして、そういう方針努力をしていただいております。これはケース・バイ・ケースでいろいろ事情があると思いますけれども、私のほうで担当官が承知しておりますところでは、早ければ大体三日くらい、平均して一週間くらいで処理をしておるように聞いております。
  124. 中村重光

    中村(重)委員 これも私は事情を知っておりますから申し上げてもよろしいのですが、それは触れません。けれども、だいぶ時間がかかるのです。だから私は即決主義というのです。たてまえとしては実質審査をしないということは即決するということ、だからそういうかまえで取り組まなければならぬ、こう思います。大阪市で即決主義ということをたてまえにして、市独自の保証業務をやっているのですが、これで大体何日くらいかかっておると承知しておられますか。御承知でございますか。管さんからでもけっこうです。
  125. 菅博太郎

    ○菅説明員 私、聞いておりますのは、名古屋、大阪等では、相談室を設けまして、業者の方が見えましたら、いまの資格要件だけ審査をして、それできめていく。それからまた、借り入れ金でございますから、返済の必要上、扱い高はどのくらいかという程度のことをお伺いして、現地調査等は省略して、なるべくその場でイエス、ノーをきめておるというふうに聞いております。それから、早いところは次をやっておるところもあるようであります。
  126. 中村重光

    中村(重)委員 お聞きのとおりですから、即決主義でやっている。それで、大阪はそういう即決主義をやって、焦げつきがどの程度あると調査をしておられますか。  それと、長官にお伺いしたいのですが、きのうたしか海部君からも質問しておったように思いますが、聞き取れなかったのでお尋ねしますが、この特別小口保険制度で、その他の第一種あるいは前の小規模の保険がありましたね。そういうものと比較して、焦げつきの比率というものはどの程度になっておるのか。
  127. 菅博太郎

    ○菅説明員 無担保、無保証の事故は、まだほとんど出ていないように記憶しております。
  128. 山本重信

    山本(重)政府委員 従来の保証制度によります事故率は、大体二%ぐらいかと思います。今度特別小口は、まだ制度が始まりましてから日が浅いものですから、期限が来ていませんから、事故はまだ出ておらぬ状況でありますが、おそらく事故率は若干高いんじゃないかというので、一応五割増しくらいは出る覚悟で計算しています。
  129. 中村重光

    中村(重)委員 私の調査によりますと。事故率は若干高いようです。これはしかし当然ですよ。しかし、それは期限が来ておらぬとあなたはおっしゃった。ただ、代位弁済をしているという事実がある。しかし、それは代位弁済をしたからそれでおしまいじゃない。これはまた回収することは不可能ではないのですね。一応代位弁済をしたというだけです。回収はするのです。大阪の例で、事故率はゼロだというお話がありましたね。大阪市のをお答えになったのか、あるいは無担保、無保証をお答えになったのか、いまはっきりしなかったのですが、私がお尋ねしたのは、大阪市でやっているのを、そういう即決主義でやっているのをお尋ねしたのです。その点は明らかではございませんでしたが、これはあなた方が非常に警戒をしておられる事故率は高くはない。大体人間ですから、親切にされると感激して、最大限の努力をして迷惑をかけないようにしようという気持ちになるのですよ。あまりやかましく言うと、かえって反発して、どうせまた行っても貸してくれないのだからということになるのです。だからやはり誠意ですよ。相手に非常に感謝の気持ちを起こさせる、ほんとうのあたたかい政治をやってくれているのだという感激、そういうところに、またそうした零細業者の励みだって出てくるのですから、ともかく愛情を持って取り組んでやる。そうして、先ほど来私が申し上げたように、事故に対して警戒せんでもいいように準備金をふやして、いままでのような、運用益でもって幾らか保険公庫の運営に役立たせるというような筋違いなやり方ではなくして、ともかく零細な、そうした生業者を企業者に成長させ、さらにまた、企業はできるだけ大きくしていく。さらには政府もわれわれも期待をしているような、いわゆる企業合同という、そういう合理化近代化の方向へと前進をするというような、そういう、これを包んでやるというような気持ちでお取り組みになる必要があると私は思う。  政務次官、いまいろいろ議論されたことに対して、具体的なこと、あなたのいまお聞きになって感じたこと、通産省としてはこういう姿勢でいかなければならぬというふうにあなたがお感じになりましたならば、その感じたことをひとつお答え願いたい。
  130. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 通産省といたしまして、中小企業対策には非常な重点を置いてやっておりまして、特に零細企業者のこの不況下における対策に対しましては、先ほどからの中村委員のおことばのような、そういう、特に零細企業者を対象とすべきであろうと考えますが、とにかく、この年末のこの際、一刻も早く、幾らかでも救済の手を差し伸べて、この難局を打開していただきたいという気持ちであるのでありまして、先ほどからの御意見、十分に取り入れまして、将来の考えのもとにしていきたいと考えております。
  131. 中村重光

    中村(重)委員 この特別小口保険の併用の問題、これも四十八国会でこの制度を審議いたしました際に、これは併用せぬと、実際実務をやっている保証協会で困るだろう、こういうことを主張した、そのときに——いま影山さんどこかへおいでになったが、併用できるように、私はお答えの中から理解をしておったのですけれども、どうもそうでなかったようです。私の聞き違いであった。ところが、そのときに、これは杞憂だというようにお考えになった方もあったかも存じませんけれども、事実は、その際私が指摘したとおり、併用してやらなければ、保証協会も実は困っているのですよ。ほかは全部併用するのです。この特別小口だけが併用にならない。そこで、いままでは三十万が、今度は五十万になった。五十万までは——かりに五十万以上ということになってまいりますと、これを他の保険に切りかえなければならない。条件が変わってくるのですね。今度は、第一種を適用する場合は、臨時措置法によって、てん補率が八〇%ということになりましたから、てん補率は同じになる。これは私は意見があるわけです。その八〇%で特別小口を押えることに意見があるわけですが、それはさておきまして、一応てん補率は八〇%になっている。しかし、まだその他の条件が若干違うわけですね。制度が違うのですから、たとえ条件がぴったり同じであっても、切りかえということになっていかなければならない。いろいろ複雑なんですよ。だから、これは併用する、これだけは併用しないというのではなくて、併用する、そのように改められる必要があると思うのです。この点に対しては、長官並びに青山調査官のお考え方も聞かしていただきたい。
  132. 山本重信

    山本(重)政府委員 特別小口の制度は、発足のときからその点ちょっと違うたてまえになっておりまして、今回の臨時措置法の場合も、従来の制度を、実は特に急ぐ関係もありまして、そのまま踏襲いたした次第であります。実際の運用に当たりましては、今回てん補率も第一種のほうを変えましたし、なるべくその点は支障を来たさないように——種類が変わるといいますか、いわゆるお色直しということを言っておりますが、その場合に、前とあととで支障を来たさないような運用をするようにくふうをいたしたいと思います。制度自体に御指摘のような問題があることは、私も感じておるのでございますけれでも、体系全体の問題にも関連いたしますので、これはひとつ今後の問題として研究をいたしたいと思います。
  133. 青山俊

    青山説明員 ただいまお話しございました特別小口の制度でございますが、これはいま長官からお答えいたしましたように、特別の制度としてつくったわけでございまして、したがって従来のものは、そういう意味においては特別な性格を持っていたというふうに理解をいたしておるわけでございます。今度の法案を出すにあたりましても、実際お借りになる中小企業者方々負担が、それによって支障を来たさないというようなことに重点を置きまして、企業庁ともいろいろお話し合いを進めたわけでございます。まあ例にはならないかもしれませんが、ちょうど政府機関の国民公庫と中小公庫というような制度がございまして、やはり中小公庫でお借りになる方は、のっけから中小公庫でお借りになる、国民公庫はやはり国民公庫の対象というものがあるというふうな考え方もできるのではないかと思いますが、いろいろこれは制度をつくりましたときと基本的にまた考え直さなければならない問題でございますので、いま長官がお答えいたしましたように、企業庁の考え方等もわれわれ承り、われわれ自身としても、今後の問題として検討さしていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  134. 中村重光

    中村(重)委員 えてして国会の答弁になってしまう傾向がないとは言えない。今後の問題として検討する、この前も今後の問題として検討する——ういままで検討した、検討したところが、保証協会もそれこそ実務を行なう上において非常に障害になっている。それこそ先ほど申し上げたように煩雑になる。併用できるような道を開いておったっていいじゃありませんか。併用させるかさせないかということは、保証協会そのものがきめるんですから、道をふさぐ必要はない。手かせ足かせで、こういう零細な企業者に対しての扱いのみそうきびしくしないで、もう少し、何というか、弾力性をもって行なえるようにしてやりなさい。どうも気の毒な人たちに対してだけはきびしいんですね。もういままで検討なさったんだから、菅理事は、保証協会の苦情とかいうものをよくお聞きになっておられると思うのですが、ひとつ、あなたはそういう実務に携わっておられる人たちからいろいろな意見を聞いておられると思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  135. 菅博太郎

    ○菅説明員 併用問題は、保証協会連合会のほうでもかねて要望しておったわけでございます。しかし、御答弁にならぬかと思いますが、いまの併用ができません場合でも、中小企業の場合ですと、無担保無保証人の五十万の保証をしまして、さらに五十万するという場合に、これは全部包括一種になるわけですね。保険としては、現在は併用できませんから、無担保無保証人の五十万の保証をして、さらに五十万をやりますときには、包括一種になりまして、前の無担保無保証人も包括一種になるわけでございます。それは中小企業の方には、無担保無保証人の条件で保証をいたしておりますから、そこまで遡及して解約になるというわけではございませんので、いま早急には、私ども保険公庫と協会の間の事務上の問題はあろうかと思いますけれども中小企業者の受けられるメリットは変わらないというふうに考えております。
  136. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたの答弁はわからないですね。そういうものじゃないと思うのです。特別小口保険制度というものは、その名の示しているように小口なんだ。その制度を適用されて、そして貸し付け金の償還というようなものができないということになってくると、あなたが言われるように、ほかのやつを貸して、そして百万円なら百万円というものを半分にするには切りかえるわけですね。そういうように事務的ぱっぱと処理するようにできればいいわけです。ところが、なかなかそうではない。だから、併用するようにしておくと、五十万、あと二、三十万、金がほしい、そうすると、こういう計画ができるというようなことがあるのです。返済はできない。返済はできないが、何かそこで誠意を示して、何とか併用するという形で道を開いていただくということで、問題は解決するということがえてしてあるわけです。ところが、銀行の介在というものもありますから、保証協会と借り主だけの問題ならば、それは非常に処理もしやすいし、うまくなめらかにいくと思いますけれどもほんとうに金を貸す銀行が介在しておるという問題等も実はあるわけでありまして、現実は、いまあなたがお答えになったような、企業の事務処理というような形のものではないということが現実であろう。ただ、併用できないということだったら、これを切りかえていくときには、事務的に非常に複雑であるという事務上だけの問題ではないということですね。やはり金を貸す銀行なんかになってみますと、どうしても切りかえ切りかえというような形でいかないで、一度支払いをさせる、こういうことで信用程度をためしてみようということもありましょうし、見てみようということもある。したがって、私どもは、特別小口保険制度を適用して借りている銀行、それからその特別保険の金を借りる銀行というものは、必ずしも同一銀行ではない。そういうもろもろの問題等も出てまいりますから、これについて併用するということになってくると、そこらあたりが実になめらかにいくと思うのです。事務的に借りられないということは、先ほど何回も申しましたように、金を貸す肝心の銀行というものが介在するというところに、私はこの併用の意義が出てくるという考え方から申し上げておるわけです。この点も時間の関係もありますから、野党の理事もお聞きでありますし、あとで御相談をしてみたいので、質問を保留しておきます。  次にお尋ねいたしますのは、これもたしか同僚議員のだれかが質問しておったようでありますが、国民金融公庫は政府資金でありますから、国民金融公庫から金を借りる場合には、この特別小口保険制度を適用するわけにもまいりません。その他の第一種保険等ももちろん適用できませんし、今度の臨時措置法というものも、政府資金を借りるのに国民金融公庫等の借り入れ金は適用できないと私は理解いたしております。これはいろいろと問題があるわけであります。だがしかし、私は、一方政府資金でありますから、政府資金を借りるのに政府資金でもって保証するということはおかしなかっこうですから、それをそうするようにとは申しません。ですから、やはり国民金融公庫から金を借りるという場合に、何か無担保無保証人というようなことも考えてみる必要があるのではないか、考えることだけではなくして、これを実行しなければならないのではないか、そのように私は考えるわけであります。申し上げるまでもなく、国民金融公庫に融資を求める人は零細な企業者でありますから、せっかく借りようとしても、公庫のほうでも、やはり若干不安がある。信用保証協会の保証があれば貸したいけれども、どうしてもこれを貸せない。保証人といっても、そう、だれでも、国民金融公庫が求めるような保証人を、要求されるままにだれにでも頼むというわけにもまいりません。だから、この点が非常に問題になっているわけですが、この国民金融公庫に対して、信用保証制度の拡充と相まって、同じ政府資金でありますから、少なくともやはり何かの形で生かすというような制度が考えられないものであろうか。この点は、特に青山財務調査官は、銀行局担当の立場から、関心を特に深く持っていらっしゃると思いますので、お二人から、この点に対してはお答えを願いたい。
  137. 山本重信

    山本(重)政府委員 国民金融公庫の運用につきましては、従来、保証人は必要とする、担保につきましては原則として百万円までは取らないという運用の基準になっておったのでありますが、最近百万円をこえるものにつきましても、担保を取らなくて貸していいじゃないかというようなケースがありまして、これは例外だということで運用してきておりましたが、どうも実情に合わなくなったというので、つい最近でございますが、この際特に百万円という制限を取り払って、そして金額にかかわらず、できるだけ担保を取らないでやる、必要な場合は担保を取るというふうにたてまえを変える。百万円以上につきましても、ですから、必要と認めた場合だけ担保を取るというふうにたてまえを変えたわけでございます。その点で、おそらく実際面では相当な改善になろうかと思います。  それから、ただいま保証人についてのお話がございましたが、この点はある程度まとまった金ということになりますと、運用上保証人も要らないというかっこうにはなかなかしにくい点もあろうかと思います。お説のように、特別小口のほうの限度を上げてきておりますので、それに並行して、国民金融公庫の運用についても、ある程度そういうことも加味して考慮する必要がある、こういう御意見につきましては、私はその趣旨はまことにごもっともだと思いますが、なお、ひとつこれは今後、国民金融公庫自体でも研究してもらおうと思います。
  138. 青山俊

    青山説明員 国民金融公庫につきましては、いま長官からお答えいたしましたように、担保なしで保証人だけという制度がございます。たてまえからいいまして、国民金融公庫の貸し付けに対して、保証協会の保証を受けられないというたてまえではないわけであります。ただ実際問題といたしまして、先生が御指摘のように、政府が金を出すのだから、つけないで出せ、こういうやり方をやっているわけでございます。その点どういうふうに考えるか、いろいろ問題があると思いますけれども、ただいま御指摘受けました点について、国民金融公庫の金が順便に金融の道に流れるという方法をやはり考えていかなければいけませんので、保証をつけさせるかどうかという問題、保険公庫につながるわけでございます。その問題につきまして、今後どういうふうにしたら一番うまくいくのか、私もちょっと考えさせていただきたいと思います。ただ先生御指摘のように、どっちも政府資金ではないかという問題があるわけでございます。その辺をどう考えたらいいのか、ちょっといま確とした判断がつきかねるのでございます。ひとつ時間をかしていただきたいと思います。
  139. 中村重光

    中村(重)委員 国民金融公庫の信用保証協会の保証というものはしないということがたてまえではないと、青山財務調査官おっしゃった。そうはっきりした指示というものが行なわれておるかどうか知りません。現実にはなかなかやらないでしょう。どうしてやらないかというと、保証協会の専務理事の専決というものは、もちろんいま金額は若干上がっておりまして、五十万から百万になり二百万になるということで、ずっと上がってきておる。ですけれども、審議会があるわけです。審議会のメンバーは、民間金融機関の支店長等がずっと入っておる。保証協会の原資にも限度があります。だから、政府資金でほとんどやる保証協会が保証をするということは、矛盾をしているじゃないかという主張も出てくる。要するに資金に限度がありますから、そういう点もやはり足を引っぱることになってくる。それから純粋な立場から、政府資金に対して、政府資金をもって保証するのもおかしなものだという点もあるわけです。もろもろの点から例外として保証しておる程度です。それは保証協会によって違うかもしれませんが、むしろ保証は例外なんです。そういうことですから、この点は、やはり実際問題を踏まえて、検討してもらわなければならぬと思います。  そこで、油谷さんにお答えを願いますのは、いま申し上げたことと、それからいま一つは、保証協会の保証というものが、国民金融公庫の貸し付けに対してほとんど行なわれていないというこの事実の上に立って、信用補完制度というものが非常に強化拡充されておる現在、国民金融公庫の資金を借りる人は、零細な中小企業者であるから、こういう人に対してはやはり無担保、無保証というような、そういう形でもって貸し付けるということもされる必要があるのではないか。ところが、実際は窓口になってまいりますと、独立採算になっておる。焦げつきが出ると成績が悪いというので、出世の妨げになる。また独立採算になってくると責任があるから、あまり出ると責任も感ずるのでしょう、どうしてもきびしくなってくるわけです。ですから、そういったような点について、何か信用補完制度というものが拡充されておることと並行して、国民金融公庫自体にも、何らかの形においてそれを生かしていく道はないものかどうかというのが、先ほどの私の質問であったわけですから、いまの二点に対して、あなたのほうのお答えを願いたいと思うわけです。
  140. 油谷精夫

    ○油谷説明員 中村先生の御質問お答えをいたしますが、国民金融公庫の融資の場合に、保証協会の保証つきで貸し出すのが非常に少ないじゃないか、むしろ例外じゃないかというお話、御説のとおりでございまして、実績は三十九年度におきまして一%ぐらいになっております。それで、これは大体災害なんかで、特殊なケースで貸し出す場合に多いようであります。  これがなぜ少ないのか。あまりはっきりしたことを申し上げられないのですが、国民金融公庫の融資をする場合は、大体物的担保なし、保証人だけでやるのが実はみそでございまして、物的担保はなくても、保証人の資格があれば貸し出すというわけで、お客さんのほうも条件を満たしてもらって融資、したがって保証協会の保証というのは、物的担保のほうに入ることに私ども考えておりますが、そういう必要なしで、保証人だけおつけになっていただいて、私どものほうではお貸ししているものですから、結果的に少ないのではないか、そういう気がいたしておるわけです。もちろん、いま先生御指摘のように、理論的に政府資金を二重に使うようなことがあってはまずいのではないかという、そういう意見もございました。前に池田さんが通産大臣の三十四年でしたか、国会で御答弁になった議事録等拝見いたしましても、ちょっとそういう趣旨のことを述べられておる記憶もございますが、それは別としましても、現実問題は、そういうことで、保証人だけで融資できるというようなことで、少ないのだろう、こう思っております。  それから、しからばもう一歩進んで、無担保はもちろんですが、無保証人で公庫が貸し出したらどうか、こういうお話でございますが、先生御存じのように、独立採算で、金融機関という性格のものでございますから、そこまではようやらぬ。やはり回収というものを考えながらやるということで、少なくとも保証人はおつけいただくという取り扱いをいたしておるようなわけであります。
  141. 中村重光

    中村(重)委員 あなたがお答えになったことと現実は違う。現実は保証人をおとりになる。だから少ないのではないかということ、保証協会が保証するということになっておると、七〇ないし八〇%のてん補率がある。だから、貸すほうは貸しやすい。あなたのほうはそれがないから、申し込みの半分ぐらいしか貸さない。担保はとらない、保証人の制度であるけれども、そういうところでセーブする。だから、零細企業者に対しては思うように金が回らない。もちろん全体の、あなたのほうのその原資の関係もありましょう。ありましょうが、そういった現実があるということを見失ってはならないと思います。私は、その政府資金をもって保証するということがいけないのだということを強く言っておるのではないわけですが、まずそういう方向でやっておられるようである。ところがそのことが、現実には足を引っぱっておるという形になっておるのだから、まあそういう現実を踏まえて、信用補完制度が強化拡充されておる際だから、あなたのほうも何かその線に沿って考えてよろしいのではないか。信用補完制度の事故率というものも大してないようです。無担保無保証制度でも大した事故率もないようでありますから、あなたのほうもかりに保証人をおとりにならないというような貸付をおやりになりましても、私は事故率がそう高くなるとは思いません。ですから、やはりこう深刻な状態になればなるように、中小企業というものを非常に強めていかなければならぬというのが今日の要求でありますから、その要求に沿うた対策というものをこの際おとりになる必要がある。だから、あなたのほうから積極的に大蔵省に対しても要求するところは要求して、そういう零細企業者の期待にこたえるようなことをおやりになることが、第一線でその金融業務に携わっておるあなた方の責任ではないか、こういう考え方で申し上げておるのでありますから、十分ひとつ検討していただく。きょう結論を求めようとは申しません。前向きでひとつ大蔵省も、あなたのほうも、中小企業庁のほうも検討されて、いい結論をひとつ出していただくように、私は期待をいたしたいと思います。お答えありませんか。
  142. 山本重信

    山本(重)政府委員 御趣旨の線に沿いまして、検討いたしたいと思います。
  143. 中村重光

    中村(重)委員 てん補率の問題について御意見を伺ってみたいと思います。  先ほど同僚議員の質問に対しまして、てん補率をもっと引き上げる必要があるのではないか。災害に対しても、あるいは産炭地の中小企業の売り掛け金の問題に対しましても、てん補率というものはいま八〇%になっておる。そういった点から考えてみますと、今度のような倒産関係あるいは特殊部落と考えられておるこの特別小口保険というようなものも、これは同じ八〇%ということになっておる。ですからこのてん補率は、そういう特別なものに対してはこの際上げる必要があるのではないかという同僚議員の質問に対して、私ももっともだと思って伺っておりましたが、あなたの御答弁が、この保証協会の自主性を尊重する、こういう点から八〇%が限度だ、さらに九〇%というような、そういう現在の八〇%から上げるということになってくると、保険公庫自体が第一線に出てみずから保証業務をやる、アメリカ式の行き方になってくると思う、だからしてそれは適当ではないというようなお答えでありましたが、私は保証協会のいまの性格そのものに対しましても実は異論を持っておる。ほんとはこの組織も変えていく、こういうことが好ましいとすら私は考えておるのでありますから、そういった一元的な運営をするということも私は検討してもよろしいのではないかというようにすら考えておるわけです。保証料率にしても、全国ばらばらであるということは好ましいとは考えておりません。比較的財政の豊かな、ということにはなりますまいが、強い大都市等の保証協会と、あるいは貧弱な府県の保証協会というのは、おのずから力が違ってまいりますから、そのことは同じ国民に対して違った恩典を与えていく形になってきまずから、何かもう少し、こういうことはあまり差がつかないようなやり方が好ましいとすら考えておりますから、もっと前向きでこの点は検討してしかるべきではないか、こう考えるわけです。いま一度この保証料率の引き上げ、それから保証協会の性格という問題に対して、あなた方のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  144. 山本重信

    山本(重)政府委員 てん補率の引き上げの問題につきまして、現在の八〇%の残りの二〇%でございますが、先生御存じのように、保証協会の出指金といいますか、県、市、さらにその地元の金融機関等が出し合ってやっておるわけでございまして、保証協会自体としてはそれぞれの地方に応じた運用をしたいという気持ちも相当強いところもございます。また他方、立法論としましては、先生御指摘のように、保証料率その他がばらばらになっておるのはぐあいが悪いので、なるべく一元化していくべきだという御議論もあるようでございます。私は保証料率があまりに下がってばらばらになっていくことは確かにおもしろくない、こう思いまして、実は先般も保険料の引き下げをいたします際に、できるだけその格差をなくするように、ばらつきをなくすようにお願いいたしまして、内面的にその点の指導はいたした次第でございます。今後この保証協会を、御指摘のように一元的な方向に持っていくべきかどうかということにつきましては、これは基本的な立法論の問題でございますので、ひとつこれは長い目で検討さしていただきたい。当面は、現在の体制下におきましては、大体てん補率八〇%というところが一つの限界ではなかろうかというふうに考えております。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 きのう、あなたはこの問題について、穴があけば別途考える、こういうお答えになったが、どういう構想を持っておりますか。どういう方法がありますか。答弁のための答弁ではなかったのですか。構想をひとつこの際聞かせていただきたい。
  146. 山本重信

    山本(重)政府委員 今度かなりリスクの多い制度を始めるわけでございますので、これが実際に運用されてみまして、どの程度保証協会のほうに損が出るかというようなことはなかなか予測もしにくいのでございますから、その実績を見ました上で、私たちのいま考えております以上にその損が出て、保証協会の運営が困るということになりましてはたいへんでございますので、その実績を見ました上で、具体的にどういう方法がいいか、検討をいたしたいと思っております。現段階におきましては、具体的にこうしようというところまで、まだ考えが固まっておりません。
  147. 中村重光

    中村(重)委員 ひとつせっかく御答弁になったのだから、その御答弁に対しては責任をお持ちになって、そして何かひとつ期待にこたえるような構想を明らかにしていただきたいと思います。  そこで、昨日でしたか、菅理事からもお答えがございましたが、私どもも絶えず主張していることで、回収金の回収費用の一部を保証協会に還元する問題、これはぜひ実現なさらぬとだめだと私は思う。その代位弁済をやる、そこでこれはいろいろ回収をするわけですね。そうすると銀行も、これは七〇%の場合は三〇%の自己負担をやっているわけですね。そういうもろもろの問題等も出てまいりますから、いわゆる保証協会がそれだけ努力をする、努力をして回収成績があがるという場合、やはり費用がかかっておるわけですから、そうした回収費用というものに対してめんどうを見てやる必要が私はあると思う。そこに特に成績があがってくることにもなろうかと思う。これがぜひ実現をする必要があると思います。この回収費の還元に対して、これはひとつ即決でおやりになってけっこうだと思うので、お答えを願いたいと思います。
  148. 山本重信

    山本(重)政府委員 回収費用の還元につきましては、私も先生の御意見に全く賛成でございまして、来年度予算にはそれをぜひ実現いたしたいという要求をいたしております。
  149. 中村重光

    中村(重)委員 無担保保証の問題に触れてみたいと思うのですが、その前に、特別小口保険の限度額、これを今度三十万から五十万になさったが、この五十万を百万まで引き上げるということを、本会議でわが党の大村君からも質問をし、主張をしたわけです。私もそのとおりだと思っております。この際、五十万なんて、そうけちなことは言わないで、百万までひとつ引き上げる、こういうことが適当であると思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  150. 山本重信

    山本(重)政府委員 限度額につきましては、四十八国会におきまして、附帯決議において、特に五十万程度に引き上げるように、こういう御決定がございましたので、今回その趣旨を実現する運びになった次第でございます。これをまたさらに引き上げるということにつきましては、ただいま現段階では、にわかにちょっと何とも申し上げかねる次第でありまして、もし引き上げるとなりますと、それだけリスクがまた保証協会に大きくなりますし、それから全体の資金の運用の面についても検討を加えるという必要があろうかと思いますので、ただいまのところは、五十万円ということでお願いしたいと思います。
  151. 中村重光

    中村(重)委員 これもあとへ保留をしておきまして、折衝したいと思いますが、特に保険公庫から融資してやることにおいて、保証協会の負担というものはそう加重するわけではありません。だから五十万を百万に増額をする、こういうことにおいて、いまあなたがお答えになったことだけが問題点であるとするならば、それは私は、この際何らかの財政措置は講じてもらって解決をすべきではないか、こう思うのです。これはひとりあとでまた議論をいたします。  無担保保証のことについてお尋ねをいたしますが、これは各同僚委員から集中的に質問がありました。あなたのお答えの中に、無担保保険ではあるけれども、これが無担保という解釈が、担保がないから、担保を持たないから、無担保ということでこの制度を適用するのか、無担保という一つの制度、相手企業の担保の有無にかかわらず、この無担保保険というものを適用するということになるのか、そこいらが明確ではございません。さらに一昨日来のお答えの中で、ほかの問題と混同して私が聞いたのかしりませんけれども、担保があればこの制度は適用しないというふうに判断されるようなお答えもあったように思うのですが、その点ひとつ明確にお答え願っておきたいと思います。
  152. 山本重信

    山本(重)政府委員 今度の無担保保険の一番の特徴は、この名前の示しますように、担保がなくて保証ができるというところにあるわけであります。したがいまして、その適用を受けます本人が担保を出そうと思えば——担保があるとかないとかいうことに関係なしに、この対象として担保はとらないということがルールであります。
  153. 中村重光

    中村(重)委員 わかりました、その点はっきりしておかぬと、混乱をすることがあります。  そこで、この無担保保険に対しては、これは身内保証というように私は伺っておったのですけれども、これもあなたのお答えの中から、他人の保証を求めるというふうに受け取られるお答えがあったのです。具体的には、同じ町内の人に保証を求めるとか、あるいは同じような同業者の保証を求めるというようにするのだというようなお答えがありましたが、その点もひとつ明確にお答えを願っておきたいと思います。
  154. 山本重信

    山本(重)政府委員 本件の運用は、具体的にはそれぞれの保証協会の運用に一任されるわけでございますけれども、この制度のたてまえといたしまして、できるだけ有効に活用されることを私たち念願いたしておりまして、身内保証でももちろん差しつかえない、こういうふうに考えております。
  155. 中村重光

    中村(重)委員 それでいまちょっとはっきりしましたが、同じ町内だとか同一の業者だとか、ああいう弾力性のない窮屈なことを方針としてお示しになると、これはもう非常に混乱する。同じ町内の人には、保証なんて、求めやすいようであって求めにくい。同じ業者の人にも保証を求めやすいようであって求めにくい、身近な者には——親兄弟なんというものは秘密はないでしょうけれども、そういう比較的近い人たちにはむしろ秘密を守っていきたい、借金なんかあまり知られたくないというのが人情ですから、そういう点は弾力性のある運用をするように御指導を願いたいと思います。  それでは、先ほど幾つも私は保留いたしておきましたから、あらためてまたあなたのほうにお尋ねすることもありましょうし、あるいは与党の理事人たちと折衝することもあろうかと思いますので、一応私の質問を保留して、これで一応終わりたいと思います。
  156. 内田常雄

    内田委員長 山下君、やられますか。先ほど一応の打ち合わせでは、三時までということになっておりますが、しかし質問通告があるようですので、簡単にやってしまいますか。——山下榮二君。
  157. 山下榮二

    ○山下委員 それでは。時間も三時までという約束で、すでに三時が参っておりますから、要点だけ申し上げて、御答弁をいただきたいと思うのであります。  質問を申し上げたいと思うことについては、すでに田中君から質問もあった点もございますし、重なる点もございましょうから、その辺のことを御了承の上で、御答弁をいただきたいと思うのであります。  長官に先に伺っておきたいと思うことは、中小企業対策というものが、ただ単なる今度のこの法案を出しただけで事足れりというような安易なお考えをしておられたのでは、今後中小企業というものはますます倒産あるいは苦況におちいるばかりであると私は思うのであります。先ほど大臣にも申し上げましたとおり、もう少し国として、中小企業を救済するという面ではなくして、国の政策として、施策として、方針を定めて、中小企業指導育成していくというところにもつと重点がなければならぬ、こう考えておるのであります。さような点を、ひとつ今後長官として、中小企業に対してどう指導育成していくというお考えを持っておられるのか、その点を先に伺っておきたい、こう思うのであります。
  158. 山本重信

    山本(重)政府委員 中小企業対策の基本的な心がまえについての御質問でございます。私は、当面、中小企業が困っておりますこの不況克服の問題と、それからやや構造的、長期的に見た問題と、二つ中小企業はかかえておると思います。差し迫っての不況の乗り切りのために、ただいま金融の面でのいろいろの措置、さらにそれを補完しますための信用保険の拡充を考えておるのでございますけれども、率直に言いまして、私は、これはあくまでも不況乗り切りのつなぎの措置であって、決して、これで中小企業の問題が簡単に片づくというふうには考えておらないのでございます。やはり基本的には、いろいろ中小企業を取り巻く条件が変わってまいっております。新しい時代にふさわしいような、りっぱな中小企業の体質をつくっていくというところに、今後の中小企業対策の一番の眼目がなければならないと思っております。いろいろむずかしい問題でございますけれども近代化を進めますとか、あるいは組織化、協業化を進めますとか、さらに技術面、経営面の指導をいたしますとか、いろいろな面において強力な対策をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  159. 山下榮二

    ○山下委員 基本的な問題については、いずれ国会の会期中の間に、委員会その他の機会に、具体的にお伺いする機会を得たい、こう考えております。いま提出をされている二つの法律案について、二、三お伺いをしておきたいと思うものであります。  第一に伺いたいと思ますのは、この法律案で、倒産関連の中小企業者の適用範囲ということが、私は、一番重大な問題ではないか、こう思うのであります。先ほど、田中君の質問等も聞いておったんですが、直接の下請ということについては明確になっておりますが、日本一つの産業構造といいますか、中小企業の構成というものは、再下請、再々下請といろいろ分散しております。そういう場合に、一体これが再下請、再々下請等にも適用することのできる道をお考えになっておるのかどうか。あるいは、ないとするなら、将来それに対してどうされようとするのか、ただ下請だけを対象にしておくというのならば、先ほどのお話しのとおり、零細企業というのは見捨てられていくという姿にしかならない、こう思うのです。それに対して一体いかようにお考えになっておるのかということを伺いたいと思うのが一つ。  その次には、地方公共団体の協会に対する損失補償についての国の補償の問題であります。御承知のとおり、山陽特殊鋼の倒産の際には、地方公共団体から信用保証協会のほうに対して損失補償が行なわれたことは、御承知であろうと思うのであります。あるいは平時の場合でも、都道府県において、協会のほうに、それぞれ損失補償の契約の行なわれておるという例もたくさんあるのであります。ところが、これらに対しまして国の援助ということが何ら制度上も明確でない、また行なわれていない、こういうのが実情であると私は思っておるのであります。ひとり地方公共団体のみに責任を負わしている、こういう姿のように見えるのであります。たとえば農林漁業天災融資法等の例を見てみましても、この場合には、地方公共団体の協会に対する損失補償について国が補償する、こういう規定等があるようでございます。しかし、この中小企業倒産の場合についてはそれらの規定がないが、一体これらに対していかようにお考えになっておるか。もし考えてないとおっしゃるのなら、これは何とか考慮を願わなければならぬ問題である、こう考えておるのであります。  それから、今度は手続の問題であります。手続をできるだけ簡素化する、こういうことを言っておる。ひとりこの問題だけじゃございません。国民金融公庫にいたしましても、いろんな法律案等が出ますときには、手続を簡素化するということをそのつど言われますけれども、いざ窓口に行くということになりますと、なかなかそう簡単にはまいりません。これが、立法の当時の皆さん方の考え方が、下部の窓口行政というところまで行き届いていないという証拠であろう、こう思うのであります。今度の場合はやはり政府としても中小企業倒産に対する、何とかこれを更生さしていきたいという親心を持った法律案であるから、そういうことのないように、窓口の人に至るまで、皆さん方の考え方が浸透するような方策をとられるべきである。一体その用意があるのか、その方法、とられようとする準備があるのか、その辺のこともあわせて伺わしていただきたいと思うのであります。  その次に、時限立法、恒久立法のことについては、先ほど田中君の質問に対して、大臣お答えになりましたから、あえて申し上げませんけれども日本の産業構造、いわゆる中小企業中心の産業構造の上から考えまして、かかる法律は時限立法じゃなくて恒久立法とすることが当然のことじゃないか、こう私も考えておるのであります。  最後に、これも先ほど田中君が申し上げたのでありますが、この法律の実施を十二月十七日としたというところに疑問を持っております。先ほど長官の答弁で、なるほどということはわかりましたけれども、そういうような考え方で、こういう法律の施行期日をきめるというのは、私はもう一つ納得がいきがたい。たとえば法律が成立して直ちに実施する、あるいは十二月一日に実施する、もう少し区切りのいい、法律として体をなす姿をやはりとるべきじゃないか、こう考えるのであります。  以上、項目的に羅列して申し上げましたが、この点について、ひとつ長官の御答弁をわずらわしたいと思います。
  160. 山本重信

    山本(重)政府委員 倒産関連の保険につきまして、第二次、三次の下請についてどうかという御指摘でございます。ただいま私たち考えております方式によりますれば、倒産した企業と直接関係のある第一次下請対象考えておるのでございまして、その場合に、相手が倒産をして、そのためにその相手に対する債権が回収不能になるという場合を救済しようということでございます。したがって、かりに第一次の下にさらに第二次がある。ところが第二次はちゃんとやっていっているという場合ですと、その第二次の下請は、いわゆる債権回収不能という問題が一応起きないで済むと思うのであります。もし万が一、第一次の下請に対するこの措置が、必ずしもそれだけで十分の効果を発揮いたしませんで、第一次も倒産してしまった、こういう場合は、明らかにこれは第二次の下請が困ってまいります。そういう場合につきましては、この運用上、何とかそういう場合も適用できるようにいたしたい、かように考えております。  それから、第二の御質問は、県あるいは市独自の立場で損失補償をしておる、それに対する国の助成といいますか補償はどうかということでございます。幸いにして、各県ともことしの年末対策にはかなり心を使ってもらっておりまして、先生お話しのように、相当の県が、国の保険の裏打ちのない独自の保証制度をやっていただいております。そのうちのあるものは、この法律が通りますと、たとえば無担保の制度を現にやっているところは、これによって国の保険が裏打ちとしてつきますので、解決すると思います。  それからもう一つは、この制度全体を運用いたしますために、保険公庫に融資基金を相当額入れまして、保険公庫から、各地方の保証協会に、融資基金の配分をいたすことになっております。今年度は、年度が途中でもございまして、十億でございますが、来年度は相当な額をただいま要求をいたしておりますので、その配分にあたりまして、各県の保証業務の実情を十分に考慮に入れまして、必要なところにはそれだけ余分な基金を配分するというふうにいたしたいと思います。山陽特殊鋼の場合にも、特別に融資基金を三千万円ですか、プラスアルファして配分をいたしたような次第でございます。  それから、第三は、手続の簡素化あるいはその趣旨の徹底方についての御意見でございまして、私たちも、せっかくこういう制度をやります以上は、ぜひとも、なるべく大ぜいの人に有効に使っていただきたいということを念願いたしてりおますので、この周知徹底につきましては、格段の努力をいたしたいと思っております。実は先般も、少し早かったのですけれども、全国の信用保証協会の方にお集まりいただきまして、現在こういう法案を準備している、ついてはそのつもりであらかじめ用意をしてもらいたい、ということをお願をいたしたりしております。この法案通過次第、さらに格段の意を用いたいと思っております。  第四の問題は、恒久法にすべしという御意見の点でございます。先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、とりあえずは臨時措置法としてお願いいたしておるのでございますけれども、期限が来ます前に、事前にその当時の経済情勢、あるいは現在の保証制度全体のあり方等につきましてよく検討いたしまして、その場合に必要な措置をとるようにいたしたい、かように存じます。  最後に、適用期日を十二月十七日にいたした点でございます。これは臨時国会で通過さしていただいて、十二月一日から施行するつもりにしておりましたが、あてがはずれまして、実は窮余の一策でいたしたようなことでございますので、確かに御批判のように、何か中途はんぱの日だというような御意見も、まことにごもっともであろうかと思います。何とかして早く動けるようにして、この年末に間に合わせたいという念願からいたした次第でございますので、その辺はひとつ御了承をお願い申し上げたいと思います。
  161. 山下榮二

    ○山下委員 お急ぎのようですから、またあとで質問する機会がありましたらお許しいただくことにして、いまはこれで……。
  162. 内田常雄

    内田委員長 午後五時ごろまで、暫時休憩いたします。    午後三時二十四分休憩      ————◇—————    午後五時四十九分開議
  163. 内田常雄

    内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案並びに中小企業信用保険臨時措置法案を議題といたします。  おはかりいたします。両案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、両案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  165. 内田常雄

    内田委員長 この際、始関伊平君外二名から、両案に対しそれぞれ修正案が提出されております。
  166. 内田常雄

    内田委員長 まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。始関伊平君。
  167. 始関伊平

    始関委員 ただいま議題となりました、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提出にかかる中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案並びに中小企業信用保険臨時措置法案に対する修正案について、三党を代表してその趣旨を御説明いたします。  まず案文を朗読いたします。    中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則第三項中「昭和四十年十二月十七日」を「昭和四十年十二月一日」に改める。    中小企業信用保険臨時措置法案に対する修正案  中小企業信用保険臨時措置法案の一部を次のように修正する。  附則第一項中「昭和四十年十二月十七日」を「昭和四十年十二月一日」に改める。  附則第二項中「昭和四十年十二月十六日」を「昭和四十年十一月三十日」に改める。  両案は、昭和四十年十二月十七日から適用することになっておりますが、当初、第五十国会に提出された際は、十二月一日から適用する予定になっていたのであり、兵庫県などにおいては、独自の判断によって両案の制度を先行して実施しているケースもあるのであります。法律の遡及適用は、実施される以上、公平に、かつ明確な根拠をもって実施さるべきものであります。これらの点を考慮し、十二月十七日から適用するということがあまりにも行政の便宜によっており、公平性、根拠の明確性に欠けている点をあわせ考えれば、当然十二月一日から適用することに改めらるべきであると考えるものであります。  以上が両案に対する修正案提出の趣旨であります。各位の御賛同をお願いして説明を終わります。
  168. 内田常雄

    内田委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  169. 内田常雄

    内田委員長 本修正案の審査は次会に譲ります。  次会は、明二十五日午前十時十五分より理事会、十時三十分より委員会を開会することとして、本日はこれにて散会をいたします。    午後五時五十三分散会