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鈴木国務大臣 ただいま議題となりました
性病予防法の一部を
改正する
法律案についてその
提案の理由を御説明申し上げます。
近年各地において早期顕症梅毒の増加が報告され、特に若年層に多発の傾向が見られ、性病の流行は新たな様相を示しつつあります。
従来この疾病の特殊性から予防
対策の推進は困難な面がありましたが、このような趨勢にかんがみまして性病予防
対策の改善強化をはかるため
性病予防法の一部を
改正し、性病撲滅の推進を期そうとするものであります。
改正の第一点は、医師が性病にかかっていると診断したときの都道府県知事に対する届け出
制度を合理化し、医師の協力により重点的に患者を把握する等
制度の実効を期することとしたことであります。
改正の第二点は、婚姻をしようとする者に梅毒血清反応についての医師の検査を受けることを義務づけたことであります。
現行規定上、婚姻をしようとする者は、あらかじめ、相互に、性病にかかっているかどうかに関する医師の診断書を交換するようにつとめなければならないこととされておりますが、性病のうち、梅毒は子孫にまで害を及ぼすものでありますので、義務として梅毒血清反応についての医師の検査を受けることを特に規定したものであります。
なお、婚姻をしようとする者及び妊娠した者が性病病院等において梅毒血清反応についての検査を受けた場合の費用は、本年十月一日から公費負担することといたしております。
改正の第三点は、法第十一条の売いん常習容疑者に対する健康診断命令等の権限は、
現行法上都道府県知事が行なうこととされておりますが、保健所を設置する市にあってはその市の長が行なうこととし、より迅速かつ適切な運用を期したことであります。
以上がこの
法律案を
提出いたしました理由でございます。何とぞ慎重に御
審議の上すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
こどもの国協会法案につきまして、その
提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年における人口構造の少産少死型への転換と、科学の著しい進歩に伴う技術革新は、幼少人口の資質向上に対する社会的期待を大きくしております。しかしながら、
経済の高度成長によってもたらされた人口の都市集中、農村における生活の都市化等の社会情勢の変化は、
児童を取り巻く社会環境を悪化させて、
児童非行の増加、不慮の事故死の増加など
児童を健全に育成する上に憂慮すべき問題を種々惹起しておりますことは、あらためて申し上げるまでもありません。
本来、
児童にとりまして、遊びは教育、栄養とともにその心身の発達に欠くべからざるもので、このような事態に対処するため、
政府といたしましては、
児童館、
児童遊園など
児童の健全な遊び場を
全国に普及整備してまいりましたが、一方、皇太子殿下御成婚記念事業の一つとして、
昭和三十六年より、東京都と神奈川県にまたがる約九十二万平方メートルの国有地に、
児童の健全な遊び場のモデルともいうべき、「こ
どもの国」の建設を進めてまいりましたことは、すでに御
承知のとおりであります。この「こ
どもの国」は、昨年五月一部施設が完成した機会に仮開園をいたしましたが、その設置運営の基盤を
確立するため、特殊法人こ
どもの国協会を設立し、これに国有財産を出資して、その適切な運営に当たせらたいと思うのであります。
この
法律案は、特殊法人としてこ
どもの国協会を設立してその目的を定めるとともに、この特殊法人の資本金、組織、業務、会計、監督等に関し、所要の規定を設けたものであります。すなわち、第一に、こ
どもの国協会は、
児童の健康を増進し、かつ、その情操を豊かにするための施設を設置してこれを適切に運営し、もって心身ともにすこやかな
児童の育成に寄与することを目的とするものであります。
なお、こ
どもの国協会は法人とし、その設立の際の資本金は、
政府が全額出資することといたしております。
第二に、この法人の業務についてでありますが、第一に掲げました目的を達成するため、
児童のための遊戯施設、教養施設、生活訓練施設等の諸施設が総合的に整備された集団施設を設置、運営することとし、この集団施設を「こ
どもの国」と称することといたしております。なお、このほか、この法人は、目的達成に支障のない限り、その設置する施設を一般の利用に供することができることといたしております。
第三に、この法人の役員として、
理事長一人、
理事三人以内及び監事一人を置き、
理事長、監事は
厚生大臣が、
理事は
理事長がそれぞれ任命することとし、その任期は、
理事長及び
理事は四年、監事は二年といたしております。
最後に、この法人は
厚生大臣の監督を受けるのでありますが、その業務の公共性にかんがみ、業務方法書、事業計画、予算、財務諸表等については、
厚生大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしたのであります。
以上がこの
法律案を
提出いたしました理由及び内容の概略でありますが、何とぞ、慎重に御
審議の上、すみやかに、御可決あらんことを
お願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました臨時医療保険
審議法案について、その
提案理由を御説明申し上げます。
医療保険各
制度は、
政府管掌健康保険をはじめとして財政収支が悪化しており、また、各
制度の給付水準の格差是正、負担の均衡等の
国民皆保険
実施後における諸問題が山積しておりますが、それらの諸問題に対し、根本的な
検討を早急に行なう必要があることは、すでに
関係各
審議会や
関係者からも強く
指摘されているところであります。
政府は、さきに健康保険及び船員保険の疾病部門に関する当面の財政
対策を講じたのでありますが、これはあくまで応急的な措置にとどまるものでありまして、国会における御
審議に際しても明らかにいたしましたように、医療保険
制度の将来にわたる安定と健全な発展を期するため医療保険
制度の全般にわたる基本的な諸問題について総合的、かつ、抜本的な
検討を進め、早急にその具体策を樹立いたしたいと考えるものであります。しかるに現状においては、医療保険
制度の全般にわたり、これを
審議し、早急に結論をまとめていくための適当な総合的かつ専門的な
審議機関がないのでありまして、この問題が
国民の健康及び
国民生活に関するところきわめて大きいものがあることにかんがみ、広く
国民的な立場に立って識者の御意見を十分お聞きしたく、この際
厚生省に臨時の機関として臨時医療保険
審議会を設置することといたした次第であります。
以上が、この
法律案を
提出いたしました理由でありますが、次にこの
法律案の概要を御説明いたします。
まず、
審議会の所掌事務は、
厚生大臣の諮問に応じて、医療保険
制度の改善に関する基本的事項について
調査審議し、またはみずから
調査審議して
関係各
大臣に意見を申し出ることといたしております。
次に、組織につきましては、
委員を十二人以内とし、この方面に学識経験のある方々の中から、
厚生大臣が任命することといたしました。
さらに、本
審議会の
調査審議に関し、
関係行政機関、地方公共団体及び
関係団体からの資料の
提出等の協力を求めることができる旨を規定いたしております。
最後に、この
審議会の庶務は、
厚生省の保険局において行なうことといたしております。
なお、附則で、
厚生大臣は、この
審議会で
調査審議する事項については、健康保険法等の規定にかかわらず、社会保険
審議会に諮問することを要しないものとし、さらにこの
審議会の設置期間を
昭和四十二年三月三十一日までとしておりますが、その
趣旨は、
審議の重復を避けつつ、医療保険
制度につき総合的かつ抜本的に
検討を進めていただき、かつ、できる限り早期に結論を出していただくことを期待している次第であります。
以上が、この
法律案を
提案いたしました理由及び
法律案の要旨であります。何とぞ慎重に御
審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。