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河野(正)
委員 そこで、重ねてお
伺いをするわけですけれ
ども、たとえばニューギニアとかインパール、こういった特殊な地帯は御承知のような特殊
事情でございますから、こういう地帯は別といたしましても、例のガダルカナル、ガ島あたりは必ずしもそうじゃないといわれているわけです。ところが、このガ島は、御承知のように飢えのほうの餓島ともいわれるように、非常に激戦地でございましたことは御承知のとおりです。ところが、ニューギニアの奥地であるとか、あるいはインパールであるとか、こういう地帯は別として、このガ島なんかの、ごろごろころがっておるといわれておる遺骨とか遺品の
収集は可能じゃないか。
政府は慰霊団を派遣したりなんかしておるけれ
ども、
一つも成果はあげておらぬじゃないか、こういうふうな
国民のほうの批判もあることは、もう
政府も御承知だと思うのです。そこで、このできるところ、できぬところと、この辺は多少私
どもも
事情があると思いますから、了承するのにやぶさかではございませんけれ
ども、やはり今後力を入れるといっても、ひとつ可能なところは格段の力を入れて善処を願いたいというふうに考えます。
そこで、私ばかり時間をとってはいけませんから、はしょって申し上げたいと思いますが、特に
フィリピンのごときは六十三万人の将兵が投入された、そして四十七万人が死亡した、こういうふうにいわれているわけです。そこで、今度の戦争の中でも最も
犠牲者の多かったのは
フィリピンである。さらに、その
フィリピンの中でもルソン島が一番大きな犠牲の払われた
地域であって、大体二十万人が犠牲をこうむった、こういうようにいわれておるわけです。ところが、
昭和三十三年
政府が派遣いたしました遺骨
収集団も、現地に派遣されはいたしましたが、
収集してまいりました遺骨は二千五百六十一体というような非常にお粗末な
数字ですね。これは
遺家族に対しても非常に申しわけないというような
数字です。四十七万が死亡したといいながら、二千五百六十一体ではいかがなものであるか。そこで、先ほど御
指摘申し上げましたように、ガダルカナル島の問題もございます。それからいま申しましたように、非常に極端なルソン島の問題もございます。こういう点はひとつ十分念頭に置いて、すみやかに
措置が行なわれることを私は強く要望をしておきたいと考えます。
そこで、そういった
国民の批判があると思うのです。
政府は慰霊団を派遣するといったが、いまのように四十七万人から死没者がおる
フィリピンにおいて、
政府の派遣した慰霊団は二千五百六十一体しか遺骨を持ち帰らなかった、一体
政府のやっていることはお役所
仕事ではないか、こういうような批判があると思うのです。そこで、そういう批判から、もう
政府は頼むに足らぬということで、最近は民間で慰霊団を送る、あるいは遺骨
収集団を送る、こういう空気が非常に高まっていることは御承知のとおりだと思います。最近はどんどんルソン島へ行っていますよ。ところが、これらの問題は民間がやるべきではなくて、 これは、戦争をおっ始めましたのは
政府ですから、やはり
政府の責任において当然おやりになるべきだと私は思うのです。その際に、民間の
方々に対して、ある程度の助成をなさって参加を願うというようなことでもけっこうですけれ
ども、いまの
事態は、全部民間の人が
自分たちの金を出し合って、そして
政府でやるべきことを肩がわりをしてやっているわけです。こういうことでは、ほんとうに
終戦処理に対して
政府が熱意を持ってやっておるということにならぬと思うのです。ですから、そういう
政府に対する批判というものが、民間の慰霊団というかっこうになっているわけですからね。こういう点も
政府として大いに反省なさるべきだと思います。それはむろん
遺家族、遺児として現地に行って、そして
自分のむすこや
自分の父がなくなった地をねんごろに慰めてこようという心情は、私
ども了とするわけです。しかし、もともと慰霊団というものは
政府の責任でやるべきが筋である。民間側の乏しい金をはたき合ってやるべきものではない、こういうふうに考える。
そこで、いまの民間、特に
遺族会を通じてやっております慰霊団の問題については、特に
政府として反省していただきたいというふうに考えるわけですが、この点もひとつ厚生
大臣から御
見解を承りたいと思います。