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足鹿委員 だいぶ時間も経過いたしたようでありますので、最後に
お尋ねをいたしたいと思います。
先ほどちょっと触れましたが、無医地区の問題とその他一点でありますが、
国民の健康を守るという
観点から、やはり僻地における無医村
対策ということはきわめて重要であろうと思うのです。いかに
健康保険制度の形式的な整備をはかっていったとしても、被
保険者である
国民が手軽く
医療機関を利用できないとしますならば、これは
国民の健康を守るという点からはきわめて不十分な結果に相なろうかと思います。先
日本委員会におきましても、無医地区の問題が吉村
委員から取り上げられたようでありますが、無医地区と呼ばれるものは、先ほどの御
答弁によりますと、解消に
努力し、その実績があがっているとおっしゃっておりますが、吉村
委員の調査によりますと、一種、二種、三種の無医地区の合計が三百五十地区、四十万五千人であるということになっているようでありますが、町村が合併をして、広域行政にだんだん進みつつある状態におきまして、形式の上においては、私は無医村なるものは減ったかのごとく一見見えると思います。しかし、行政区画が拡大いたしましても、住民の
実態というものは動かぬわけでありますから、そこに統計と
実態との食い違いが出ておるのではないか。首を振っておられるが、そうでないというならばそうでない例を示してもらえればけっこうです。要するに、いわゆる無医地区といわれるものは、人口何人に対して具体的に幾つあることが理想であるか、現状はどうであるかということを明らかにしてもらえれば私はいいと思うのでありますが、この
若月先生の報告を見ましても、無医村地区はふえておるということを専門の
立場から断定をしております。それが間違いであるとおっしゃるならば、その
実態について具体的に御説明を願いたいと思うのでありますが、
医療機関というものの地域的な分布が片寄っておるということは私は間違いないと思う。
国民皆
保険という
制度面で、形の上で幾ら整備を進めていきましても、
国民が
医療を受ける機会というものが公平であるとは、私は必ずしも言えないと思うのです。そこで、吉村
委員からも
質疑がなされた際に
政府も
所見を述べておられますが、いわゆる
医療機関の地域的偏在をどのような方策によって是正をなさる御所存であるか。これを大きく是正をされないと、
医療の機会均等の面からいって遺憾な事態が起きるのではないか。この点について、率直な
厚生大臣の御
所見を承りたい。
いま一つは、出かせぎ問題の際に触れようと思いましたが、あとで申し上げようと思って保留をしておりました点は、同一職場における
保険給付の格差とその処置の問題があろうかと思います。先般出かせぎ
農民大会を東と西とで開きまして、いろいろ出かせぎ者の
意見を聞きました。先日、当
委員会で
労働大臣に給料袋をお示ししましたが、健保にも労災にも失保にも入っていない。掛け金がない、労災は別だそうでありますが……。といたしますと、健保に入っておる
農民の出かせぎ者は、居住地の
農村においては国保に入っておる。しかもそれには格差がある。日雇
労働者
健康保険は二カ月以内の雇用契約となっておるそうでありますが、とにかく日々または季節的な業務に従事する者における
保険給付の格差の
対策はどういうふうに講じておいでになりますか。聞くところによりますと、同一職場において出かせぎ者が健保に適用を受けたといたしますと、地元の国保と二重負担になりまするので、その掛け金のその期間における払い戻し等の
措置は道が開けておると私は聞いておりますが、実際の適用は繁雑であり、もうそういうめんどうくさいことはごめんだというのでほとんど泣き寝入り、あるいはそのまま放任という結果になって、みすみす二重負担の実例が随所に起きておる。これらに対してどのように
措置されるか。出かせぎ者の健康問題とあわせて
お尋ねをしておきたい。要するに、都市といい
農村といい、高度成長
政策のひずみが大きく
国民の健康をむしばみ、そして生命を縮め、重要な問題をいろいろな形において提起しておると思います。この際、
政府は総合的な、これらの深刻な問題と取り組んで
国民の健康を守り、
人命を尊重し、ひいては国益を
増進していくことにちゅうちょがあってはならぬと思います。
佐藤内閣は
人間尊重をモットーとし、
社会開発を相次いでモットーとしておるのであります。本年度の予算大綱においても社会保障の充足ということは、その
政策の
中心をなす一つのものになっておるわけであります。しかるに、いままで
質疑を通じて明らかになりました点は、一々申し上げませんが、その予算編成大綱の内容にも、はたしてふさわしい具体的なものが盛られておるかどうか。
健康保険の問題につきましても、百五十億を投入したということで、定率化をしぶっておられるというようなことにつきましても、何か、閣内における総合的統一のとれた
施策として推進されるのではなくして、ばらばらで、むしろ事務
当局が、特に大蔵省を
中心にして、このような国策に対してブレーキをかけられるような傾向すらも、昨日の
質疑を通じて端的にあらわれておりました。まことに遺憾千万に存ずる次第でありまして、この際、無医村地区の解消の問題、
医療の機会均等の問題、あるいは高度成長が
農村に出かせぎを余儀なくせしめ、残る
農業労力は老齢化し、
婦人化して、過重
労働に悩んでおるという重大な人道問題を惹起し、都市の無制限な拡大による
産業公害あるいは公害等の激発によって、空気も安心して吸えない。水も十分飲めない。飲んでも不安な状態がある。食糧は二カ月分も外国輸入にまたねばならぬ。食糧も足らない。水も安心して飲めない。空気もきれいな空気が吸えない。都市においてはこういう状態が起きております。これをいかに処理するかということが
政治の課題だと私は思います。
多くは申し上げませんが、これらの点について
厚生大臣の率直な
対策の御決意を承りたいと存じます。いろいろとまだたくさんございますが、大体予定の時間を若干超過したようでありますので
厚生大臣の御
答弁を承りまして私の
質疑を終わりたいと思います。