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足鹿委員 私は休憩前に引き続いて、税金の問題、出かせぎ者の健康の問題、出かせぎ者の留守家族援護対策の問題等について具体的に
お尋ねいたしたいと思っておりましたが、
労働大臣が重要な所用のためにぜひ中座をしたいと言われますので、結論を先にして、ちょっと私の気持ちでは気合いがかからぬのですけれども、御都合があるそうですから先に御
質問申し上げて、逆に今度具体的に入らしていただきたいと思います。
要するに、労政と農政とでも申しますか、その上さらにいろいろな
関係省に
関連をする、きわめて複雑なこの出かせぎ問題というものは、方々に政策の盲点といいますか、断層といいますか、そういうものを含んでおるように私は考えるのであります。そこでこれは
労働、農林両
大臣に御要望申し上げるとともに、御
所見を聞く所存でございましたが、とりあえず
労働大臣に結論を申し上げて御所信のほどを承りたいと思います。
労働省が三十九年に
全国で開いた農村婦人問題懇談会では、出かせぎによる夫婦間の
生活感情のずれがひどくなったという
報告が多く、具体例として主婦のノイローゼ、自殺、これは三重、和歌山、夫に出かせぎ現地で愛人ができて離婚した例、これは東北、北陸、山陰、四国、九州、逆に妻の出かせぎで愛人ができた例、また
石川では夫婦の出かせぎですれ違いになり、夫は出かせぎ先に愛人、妻は夫の不在のときに愛人を家に入れるといったような事例があげられたと伝えられております。まことに深刻な問題でありまして、これはあとで触れますが、出かせぎが生む農村婦人、農業経営と主婦といった問題で、非常に考えさせられる点が多いと思うのであります。さらに
労働省が農家婦人
生活に関する意識調査をいつかおやりになったと伝えられておりますが、この統計によりますと、産前産後の休養状態は次のようであると
報告しております。産前農作業を休んだかに対し、前日まで仕事をしたのが六九%もあり、何日か休んだは二二%にすぎない。床についた日数では十日未満が四五%、十日ないし二十日が三三%、産後農作業を休んだ日数は、三十日以上が六二%、二十日ないし三十日が二〇%ということになっておるようであります。このような非人間的な、動物的な生存のもとにある農村婦人のために、新しい角度から母子
福祉のあり方が当然私は問題にならざるを得ないと思うのであります。しかるに現在、文部省にも総理府にも農林省にもそれぞれの機構があり、それぞれの
法律に基づいて対策を講じておられることは私も認めておりますが、激しく流動するこの実態に備えた対策というものはばらばらであり、一種の官庁のセクショナリズムも手伝って、総合性を欠いておると思うのであります。こういう点から私はこの際、
労働省は出先の
労働問題が主である、農林省は帰ってきたときの農業経営を自分たちは担当するのである、また文部省は青少年の教育問題を別個に考えるのである、こういうようなことでは、この出かせぎ問題に端を発した農村地域社会の変貌に備えて行政の総合
効果をあげることは不可能に近いのではないか、かように憂えておるものでありますが、この点について先日私は農林
大臣に、この出かせぎ問題を
中心に取り組んで
関係省と緊密なる連絡体制をとるためには、
関係閣僚協議会のようなものが必要ではないかということを申し上げましたところが、何か意外にからだをかたくしてほとんど期待した答辞もなさらなかった。そんなにからだをかたくしないで、もっと柔軟な弾力的な態度をもって対処される必要があると私は思いますが、特に先日来の
質疑を通じてこのむずかしい問題ととにかく懸命に取り組んでおられる
労働省の努力を私は多としたい。したがって、この問題について少なくとも
労働、農林、厚生、文部、言うならば自治も
関係するでありましょうが、これらの点については
質問が進んでおりませんので、結論だけで御納得しにくいと思いますけれども、総合的なひとつ出かせぎ対策というものを打ち立てていただきたい。それはやはり現地でこの出かせぎ問題と取り組んでおられる
労働省のいわゆる今日までの姿勢、具体的な
施策ということについて、私は
質疑を通じて理解ができましたので、特にこの点について、
労働大臣であり、かつ国務
大臣の立場から総合的なこの問題との取り組みを御努力願いたいと思うのです。たとえて申しますと、これはいろいろな問題がありますが、農村では、文部省が所管しておるでありましょうが、幼稚園なんというものは、これはもう考えてみるだにやぼったいことなんです。幼稚園どころか託児所もない、
保育所も、あってもなかなか都会のように九千円も月に出して、共かせぎをやっておる家庭のようなわけにまいりません。それどころか、もうろくしたような年寄りが幼い子供の守をして、そして上の中学校あるいは高等学校に手が届くか届かぬ娘が家畜の世話をし、そして子供たちのめんどうを見、年寄りのめんどうを見ながらまた自分もみずから農業をやっておる。おとうさんもおかあさんもおらない。またおとうさんがおらなくて母が
中心となっておれば、勢い子供の教育ということについては身が入らない、こういう状態になっておるわけでありまして、こういう場合には少なくともこれに対応するためには、やはり私は
保育所、託児所、少なくとも農繁期ぐらいにおいては総合的な立場から各省が協力して託児所くらいは設けてしかるべきなんです。にもかかわらず、何らそういう動きはないのです。あとで農林省にお目にかけますが、あなた方のやったことがいかに冷淡しごくであるかということは申し上げますが、とにかく調査、調査に日が暮れて、具体的な
施策というものが伴っておらぬ。これに対して、ただ一人
大臣として御出席を願っておりますので、ひとつ国務
大臣という高い角度から総合的な対策について今後どう取り組まれるか、その姿勢について御所信をこの際承っておきたいと存じます。