○
八木(一)
委員 非常に熱心に御
答弁なさる気持ちはわかりますけれ
ども、
予算の編成上の進め方がまずかった、それによって
厚生省が
国民のために進めなければならないものがとまったということについて、やはり率直に認められた
立場で御
答弁を願いたいと要望いたしておきます。それは
立場が違うから、そう思わないと言われればそれまでです。それだったらまた
政府の、あるいは
厚生省の
国民の
立場の政策に対する考え方の信念を伺わなければならないと思います。そこにいかなくていいようになさろうとお思いになるのでしたら、いまのところに非常に不十分な点がある、ひずみがある、
予算の編成上悪いところがあるということをはっきり認めた
立場でひとつ御
答弁を願いたい。どちらでもけっこうです。絶対にそれはいいのだ、正しいのだとおっしゃるならば、その点国政のためにまた論議を展開いたします。
それから、こういうことです。
大蔵省ではそういうように比率
——これは計算してみなければわかりませんが、概算で二千八十八億の
最初の
予算が三千三百二十九億、そうすると、差額が千二百億になるから六〇%前後、少しオーバーすると思いますが、そういう
予算要求をしておられる。これは予備費もありますし、賠償もありますし、国債のなにもあるという話、そのくらいのことはわかっておる。だから、今度
大蔵省がよけい金が要る、そういう
内容はわかっているのですが、それと同じことが、
大蔵省は
自分のほうで
財政の編成をなさるから、これは大事なんだといって、それで一般のところに三〇%とかぶせられたところを、
自分のところは六〇%かぶせてもあたりまえだとお思いになるかもしれない。しかし、ほかの省にしてみれば、
鈴木さん、こういういろいろなものが出た
——今度
予算全部調べて続けて
質問しますけれ
ども、どこが伸びたけれ
どもどこはあまり伸び率がよくなかった。これは一々調べればわかりますが、ところが、伸び率があまりよくなかったものだって、
厚生省の仕事はみな
国民の
立場のものだから、これは一般の
予算の伸び率よりも少なくとも下回ってはいけないというものばかりです。ところが、三割の総ワクをかぶせられて、その時点で一番問題になっているところを引き上げようとしたら、どうしてもほかをつづめなければならない。これは官庁の中の操作ですよ。そのために、その比率をつづめられたその対象者は一体どうなるかということになるでしょう。
国民に対して、それだけのしなければならない行政を伸ばせなかったということになる。それがつまらぬ技術的なことから始まっているわけです。三割かぶせなければ
予算編成ができないわけじゃない。
厚生省が二十割の要求をすべきなら、二十割要求したらいい。あるいは要求する必要がないと思う省は、前年度よりも二割減で要求したっていいんだ。三割なんといったら、どこでも三割要求する。必要がないところでも三割まで要求します。十割、二十割必要のあるところも三割にとどめなければならない。それでは、
ほんとうに必要なところに必要なものを出すということがうまくいかなくなる。そうお尋ねすると、
鈴木さんは、おそらく
政府のお
立場で、
予算編成は三割でも
ほんとうの決定のときにはアクセントを出します。出させますと言われると思う。
大蔵大臣もそんなことを分科会で言いました。時間がなかったので、これは続けて
大蔵大臣にその問題をみっちりと、納得のいくまで、二十時間かかっても五十時間かかっても、来年の
予算をよくするために私は論議をしたいと思いますが、
予算の査定でちゃんとやりますと言う。それでも中小企業が何とかというので、それだけ特別に運動して、三〇%を〇・二%オーバーして三〇・二%上がっていますけれ
ども、元来三〇%が、二〇とか一五とか一四とかの増にとどまっているわけだ。そうしたら、
厚生省が
ほんとうは八割ふやさなければならないと思っても、どんなにがんばっても、一番うまくいったところで三割でとまるじゃないですか。
厚生省は、それでもほかの省よりよかったと自己満足していられるかもしれないけれ
ども、身体障害者なりガン対策が早く進んで、ガンの脅威がなくなってほしいと思う人なり、公害がなくなってほしいと思う人なり、年金が早くよくなってほしいと思う人なり、企業者の
負担で全部十割
給付になってほしいと思う人なり、そういう人たちの要望がとまってしまうわけだ。なぜこんなばかなことをするのか。なぜこんなばかなことについてもっと強い抵抗をしないのか。二十割でも五十割でも要求したらいいのだ。それを国家の
財政のワクで
——インフレを起こさないように
財政ワクはどのくらいにとどめるべきかということは、これは
大蔵省が
責任を持って対処しなければならない。とどめたときに、各省の
ほんとうに国政に対する要求はこうだ、そこでこのワクにおさめなければならないという
努力は、その時点でしたらいい。
最初からそんなワクをかぶせるというようなことは、
政治のアクセントを、事務的に便利にするためにつぶすことになるわけだ、
大蔵省には有能な高級公務員の人がたくさんおる。一番頭のいい、それをする人がたくさんおる。
厚生省にもたくさんおられるわけだ。第一次
予算要求にもう
一つのワクをかぶせなければ、最終的な縛りができないというようなことはないはずだ。できないといったら無能です。無能ではない、有能なはずの人がたくさんそろっている。第一次
予算にワクをかぶせなくても、その年として当然の
財政ワクの中に、重点に従って
予算をおさめ得ることがなければいけない。それをするのが
大蔵省の仕事です。これをできる能力を持っておられる。しかし、それをただお役人の仕事の能率化のためにだけそういうワクをかぶせられる。かぶせるほうの
大蔵省は、
自分の省だけの
立場からすれば、それはいいかもしれない。
厚生省はそれだけ
国民のために
責任あるものが伸びない。なぜそれを強く抵抗されないか。抵抗されるように、五年も六年も声をからして私は申し上げておる。それに対して
厚生大臣は反対だとは言われない、そのとおりだと言っておられる。ところが、それを実行していない。
鈴木さんが相当主張されたことは、私も傍受いたしております。しかし、その結果はどうですか。やはりこういうことになっておるでしょう。このような間違った、
予算の
最初の要求を縛る方針、それから査定の順序、それを根本的に変えないと、
厚生行政だけではない、いろいろな、国政上
ほんとうに大事な問題が、その省内で固められるときには一部分がとまる、大事でもない問題が伸びる。
国民の大切な税金がそういうように
ほんとうに大切なところに早く使われないで、不必要なところに使われていくということになる。そのもとをつくっておる
一つの
原因がこれだと思う。それを
指摘していないのならいいですが、いままでさんざん
指摘をしているのに、一向なされない。このくらいの勢いで
厚生大臣は
総理大臣に言われたのか。
大蔵大臣に言われたのか。熱心な
厚生大臣ですから、その三倍ぐらい言われたのか、あるいは三分の一しか言われなかったのか。どんなに言っても相手がいろいろな
理屈を言って抵抗したのか、それともそんなことは慣例だからだめだというように、あっさり多数で押し切った形で、ほかの
閣僚がぼんやりしていてそういうことになったのか。そういう
経過を、一人一人の
閣僚がどういう態度をとったか、腰抜けだったか、どういうぐあいにまっすぐ進んでいったか、ちょっと伺っておきたい。