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滝井委員 どれもこれもみんな根本的な検討のときに一緒にやろうとするとできないのですよ。みんな役人はそう言う。厚生省の役人も健康保険を言うと、いやまさに御意見はごもっともですけれ
ども、根本的な
改定のときにやりますと言う。じゃ根本的な
改定はいつできるのかと言うと、それはいつの日になるかわからないのです。それと同じで、やはり何もかも根本的なものを一ぺんにやろうとしたってできないのです。だから、
一つ一つやっていかなければならないのです。各個撃破ということばが昔からある。孫子の兵法のいろはです。だから
一つ一つやらなければ、二つ、三つ欲ばって一ぺんにやろうとすれば——そのうちあなたも
労政局長でなくなっちゃうのだから、あなたが
労政局長のときは、何かひとつやる。あなた、汽車に乗ってごらんなさい。さすが国鉄の施設局長というのか何か知らぬが、えらいと思う。汽車の窓がみんな違うのです。だからあの国鉄の人たちは、この窓はおれが局長のときつくったのだということで窓をひとつやるわけです。その式ですよ。
三治さんが局長のときには
地方労働委員会の職員の身分をきちっとした能率的な
改定をやってくれた、こういうようにやはり残るものを
一つ二つでいいですよ。二年か三年しか局長をやらないのですから、だんだんと次官になっていくでしょう。次官になったらまた次官になったときのものを残せばいいのですよ。だから、何もかにもよけいにやろうとしたっていかぬ。私たち
国会の中だって一週間か二週間に一回か二回質問をします、しかし質問のたびごとに偉大な言質をとろうとしたってだめですから、だからこれはとねらったときだけは
一ついただく、こういうことですよ。ですからお互いに以心伝心、あなたも
三治労政局長のときにはこれを
一つ残そうというものを答弁したらいいんですよ。それを
考えなければ——
法案出したらそのくらいの前進をはからなければ
意味がないですよ。これだけが通ればいいというものではない。出した中で前進への一歩をつくっておくということが、あなたのあとに続く
労政局長へのおみやげなんです。だからこの
法案を出したら、私は
委員の常勤制を言ったんだけれ
ども、これは
法律を
改正しなければだめだ、だから一歩下がって今度は職員のことを言っているわけだ。非常に段階的に調子を下げている。高い調子から低い調子で、だからそこをひとつ感じて、したがって、二オクターブくらい下げた職員のことを言っている。だからこれはまず第一に職員の人事権というものを——もちろん知事が持っているけれ
ども、やはり会長の同意をとるという習慣を全国的につけさせるということです。そしてその会長のもとにやってきた
事務局職員は、いたずらに本庁に帰らなければ立身出世ができないという幻想をたたき破るということです。それは労働問題というものが一年か二年でわかるようになればこれはたいしたものだけれ
ども、そんなことは無理なんです。一年か二年でわかるようにはならない。それは代議士でもわかるでしょうが、代議士でも一年生、二年生、三年生、こう言うんだ。五年か六年にならなければ
大臣にしないのだから、おのずからその道ができてきているのですよ。それは初めから道があったわけではない。多くの人がそこを通るから、そこにおのずから道が形成されるのと同じですよ。それと同じで、労働問題で少なくとも一番むずかしい
争議の中から出てくるあるいはいろいろな
労使関係の中から出てくる
不当労働行為その他を解決しようとするなら、一年か二年労働問題をやってそれが解決できれば何も専門家は要らぬ。だからあなたの言うようにこういうものに専門職を置こう、こうおっしゃるならば、年期を入れて労働問題を研究させる人を置かなければいかぬ。しかもそこへ行ったらそれをやるというつもりで行かせなければいかぬわけです。まずこれならできるでしょう、会長が少なくともある程度人事の配置をやるときには知事からちゃんと相談を受けるという習慣を全国的につけさせる。それから来た人はやはり四、五年くらいはおらせる。そして四、五年おらしたら、今度はなかなか本庁には帰れぬ場合が出てくるから、今度は
労働委員会同士の、九州なら九州ブロックの中の
事務的な人事交流をやるわけです。あるいはこれを
労働省が全部握って全国的な交流をやれば一番いいんです。しかしそれもなかなかできかねるでしょうから、まず九州なら九州、中国なら中国ブロックの交流というものをやってみる。こういうようにして労働問題のベテラン、年期の入った専門家というものをつくる意欲と方向とを
労働省が出さなければ、県にまかせっきりではやれないですよ。県は
労働行政までは手が回らぬですよ。なぜならば、御承知のとおり職安とかそういう労働
関係というのは県知事が全部握っていない、そういう部面があるわけです。したがって、こういうものは
労働省がそういう指導体制を確立しなければいかぬわけですよ、それがされていない。だからこの点、私は非常に高度なことも言いますけれ
ども、非常に低い実現可能なところを言う。社会党というものは何か夢みたいなことを言うというけれ
ども、そうではない。私
ども地に足のついた、保守党の政権のもとにおいてもすぐに実行できることしか言わないわけです。高いことを言うけれ
ども、そういうことも言っておるわけです。どうですか。