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1966-06-08 第51回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月八日(水曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 井手 以誠君    理事 小山 省二君 理事 丹羽 兵助君    理事 保科善四郎君 理事 中井徳次郎君       宇野 宗佑君    熊谷 義雄君       野原 正勝君    堀川 恭平君       山本 幸雄君    和爾俊二郎君       肥田 次郎君    吉川 兼光君  出席政府委員         法務事務官         (人権擁護局         長)      堀内 恒雄君         厚生政務次官  佐々木義武君         厚生技官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 爲次君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   雨森 和雄君         警  視  長         (警察庁交通局         交通指導課長) 広山 紫朗君         厚 生 技 官         (環境衛生局公         害課長)    橋本 道夫君         農 林 技 官         (農林水産技術         会議事務局研究         調査官)    仮谷  桂君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部産業公害課         長)      西山敬次郎君         通商産業技官         (工業技術院総         務部産業公害研         究調整官)   高瀬 光弥君         建設事務官         (都市局参事官)小林 忠雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(騒音対策等)      ――――◇―――――
  2. 井手以誠

    井手委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策について調査を進めます。  騒音対策などについて質疑の通告がありますので、これを許します。丹羽兵助君。
  3. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 本委員会におきましては、相当時間をかけて産業公害公害と称するものについての審議が進められてまいりまして、公害と定義づけられるものの範囲が鮮明になってまいりましたことはたいへん前進であったと考えておりますが、そうした明らかになったことから申しますと、第一、大気汚染関係、においによるとか、ばい煙によるとか、あるいは空気それ自体汚染されるというような大気汚染関係、また海水の汚濁ですか、こうした水質の汚濁による公害、河川、海岸等、これについても相当審議が進められております。また、政府においてもその対策が立てられるように前向きに処置されてまいりました。ただ、今日幅広い国民の層に非常な迷惑をかけておりながら、しかも公害として定義づけられておるものの中で、騒音というものは一向に政府としての考えが明らかになっていない。私は、先日来騒音関係について政府当局考え方をただしてきたのでありますけれども騒音関係公害、これについて承りたいのであります。また、御答弁のいかんによりましては私自身の意見も申し上げてみたい、こう思って質問をいたすのであります。  先回、当特別委員会におきまして鈴木厚生大臣が、公害基本法なるものをつくりたい、こういうことを言われ、また、その基本法の中に騒音というものを含めて考えるか、特に騒音というものは国民に大きな関係もあることだから、これを別個に考えた法律をつくるかは別として、できるだけ早く進めたい、こういう御発言がございました。その発言があると同時に、ただいまの理事会でも委員長から御発言がございましたように、直ちにまた自治省のほうから、私のほうもやはり騒音に対することをも含めた基本法というもの、公害基本法というものを考えていきたい、こういうことを言って新聞にも発表されておる。厚生省大臣が、それはもちろん国民生活保健の上から考えておっしゃるのは当然でしょうが、それを発表すると、すぐにこれをまた自治省が受けて立つというのは私どもとしては全く理解に苦しむ。なおまた一般国民にしてみれば、こういうようなことに対しては非常な不快を持つのは当然だと私は思うのです。一刻も早く何とか公害というものをひっくるめた対策基本法というものをつくるべきだ。どこかが窓口になってやらなくてはならぬと思う。  そこで厚生省政務次官厚生大臣が言うと、自治大臣がまた言うという、こういうような不統制なことでは困るのですが、一体あなたのほうでは、各省の連絡をとって、一刻も早く大臣の御趣旨のようなそうした基本法というものをまとめていく努力をせられるかどうかということをひとつ政務次官からお考えのほどを承っておきたい。まずこれから入っていきたいと思います。
  4. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 ただいま政府のほうでは総理府中心になりまして、各省集めましてこの問題を検討中でございますことは御承知のとおりであると思います。まだその結論等はついておりませんけれども、しかしお話のように、公害問題は新しい産業革命と申しますか、こういうものに付帯したもので、その壁を突き破りませんと、今後の科学の進歩と申しますか、それができかねる状況にもなっておりますし、また一般住民その他から考えましてたいへんな問題でございますし、また範囲が広うございますから、何とかしてこれをまとめました基本法のようなものをつくりたいということで、厚生省といたしましてはいろいろ研究はいたしておりますけれども、しかし、先ほど申しましたように、総理府自体がまだまとめておる次第でございますので、いずれの省がこれを主管してどうという問題になりますと、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、そういうことを中心にいま努力を重ねておるというふうな段階であります。
  5. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいま佐々木政務次官お話を聞くともっともだと思うのです。非常に範囲が広いし、間口が広いのですから、行政のたてまえからいって、総理府がまとめられるその努力をしておられることはもっともだと思うのです。しかし、こういうような対策を立てるということは、もちろん産業のためにやるわけでもなければ、犬、ネコ、動物のためにやるのではない。生きる国民のためにこれはやっていただくことであって、国民生命財産というもののうちでも、生命はあなたのところにお預かりしているわけですから、やはり行政のたてまえから考えれば総理府でしょうが、もっと国民生命というものを守っていく、保健というものを守っていくという立場からいけば、これは厚生省だ。先回大臣がおっしゃいましたように、厚生省がもっと積極的によそのほうに働きかける努力をしていただかなければならぬと私は思います。これは国民要請しておることだと思うのです。金をくれだとか補償してくれというその前のものです。でありますから、総理府が事務的に事を進める前の手段としてあなたに承っておきたいのは政策の問題だと思うのです。  そこで、いつかできるだけ早い機会に、政務次官会議であなたがこれを取り上げて、政府として積極的に、しかも厚生省がその先頭に立ってやらせるように促進方次官会議でやっていただくことを望むものでありますが、あなたの決意のほどはいかがですか。
  6. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 まことにきびしいおことばで恐縮でございますが、政務次官会議では、御承知のようにいままでガンの問題とか、いろいろ各省にまたがるような問題は取り上げております。しかし、仰せのように、確かに言われてみますと、政務次官会議に取り上げなければ困るという問題のようにも考えますので、今週の木曜日にも提案してみたいと思います。
  7. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は、ただいま厚生政務次官のお考え決意のほどを承りまして、非常に意を強うするものですが、どうかひとつできるだけ早い機会次官会議において、政策的にこれを進めるというような強い姿勢、態度というものを御決定いただいて、国民の前に示し、また国民に大きな喜びをお与え下さいますように、あなたの努力期待して、あなたに対する、質問はこれで終わっておきたいと思います。私は心からあなたのそうした努力ほんとうに大きな期待をかけておるのですから、もう一ぺんお答えを願いたい。
  8. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 私自体といたしましては、提案いたすのにやぶさかではございません。ただ、ほとんど全省にわたる問題でございますので、各省政務次官がどういう読み方をするか、一ぺんはかってみてからでありませんと、行く末のことははっきりここで言えませんけれども、できるだけこの際は何か小委員会でもつくってやるように取り計らってみたいと思っております。
  9. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 先ほどあなたのことばで、私は非常に大きな喜び期待を持ったのですが、いまの御発言でちょっと後退した。それでは期待はずれで、そういうお考えだからなかなか事務当局は進めたがらないということですよ。ばらばらになって、総理府は一日もおそくなればいいということになってしまう。私は、何もあなたに責任を持ってこの基本法をすぐ出すように、これをやれというわけではない。それを要求したり、要請しておるものではない。とにかく国民生命というか、保健というのですか、これは何といっても厚生省国民はすべてをかけておるのですから、あなたが政務次官会議で、こういう問題は一日も早く、ただ水の汚染だとか、あるいは大気汚染だとか、騒音対策考えるとかいうばらばらではなくして、厚生大臣がおっしゃたように、全体の産業公害基本対策という基本的なものを考えるのだ、こういうことですから、それの推進を政策的に、やはり国民の気持ちが一番わかる次官会議において取り上げていただいて、積極的に進めるようにしてほしい。これを私は期待しておるので、ただちに基本法を出してくれとか、ああこうということは、これはなかなか支障もあることでしょうし、問題もあることでしょうから、それを要求するものではない。そういう空気になっていくように努力をひとつあなたに期待をしておる。こういうことですから、もう一ぺん御答弁願いたい。
  10. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 私、できる限りの努力をしてみたいと思います。
  11. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 次に、私は運輸省とか建設省その他にお尋ねしたいのですし、またおいでをいただいておりますから、それぞれの方々からお考えを承ることにいたしますが、その前に、先回法務省人権擁護局の方においでをいただきまして、飛行場騒音で非常に困り果てておる、こういう諸君こそ人権が侵害されておるじゃないか、飛行機のためにいろいろの支障があって非常に迷惑しておるが、こういう点をひとつ何とか国立場に立って、人権を擁護していただく立場に立って、そうしたものの立場考えて御判定を願いたいということが全国からも数カ所出ておるわけです。私のほうからも、小牧飛行場関係からも出ておるが、ナシのつぶてで、出して二年も三年も一向どうだともこうだとも返事がない。しかし毎日毎日迷惑は受けておる。ぼちぼちわかりそうなものだが、御返事願えないか、どうなっておるかということをお尋ねしたのです。できるだけ早く、もしおくれておるなら調査を願いたいし、あるいはまた相手が主として国であるから、その結論は大きく影響するのでちゅうちょしていらっしゃるのではないか、もしそうであったらそれはけっこうであります、相手が国のことだから、いろいろな立場考えての結論を出していただくことも必要であろうから、もしそうならそれでけっこうであるという意見をも含めて私はお尋ねしたのです。ところが、そのときにいらしていただいた課長さんは、相手が国であろうが地方団体であろうが、あくまで人権というものの立場に立ってやるのだから、国であろうが何であろうが私はちゅうちょしておるものではない、こういうことでございました。それならば、私は、相手が主として国であるからちゅうちょしていらっしゃると思って、いろいろの関係が出るからと思ってお尋ねしたのだが、そういう決心、決意のほどならば、至急ひとつ結論を出していただくように願いたい。だれが考えたって、だれが見たって、だれがあの飛行場の下に住んだって、大きく人権が侵害されておることはばかでもわかることであるが、それでは人権を守っていただくお役所として、できるだけ早く結論を出していただけないかということを要請しました。そうしましたら、あなたから要請を受けるまでもなく、こちらからもうすでにやっておることだ、こういうようなきわめてきつい御答弁でございました。私が要請をしたから早く出していただくというのなら、これは相当期間のかかることは当然だと思いますけれども要請を受けぬでももうすでにやっておるのだ、要請によって私ども返事を出すのではないということでありまするから、それでは、こうした飛行場の下に住まいしておる者が人権を侵されていないかどうかということは、これは明らかになるのだから、次の委員会までに返事をしてもらいたい。こう言って課長さんにお引き受け願ってお帰りいただいたわけである。だから、もうこれは人権擁護局で十分御調査いただいておるはずだと思いまするし、そういう御答弁がございましたので、飛行場の下に住んでおり、どんな苦しみを受けても、これは人権が侵害されないものか、これで人権が侵害されぬとするならば、どこに人権の侵害される例があるか、私は聞きたいと思いますので、お答えを願えたらいただきたいと思います。
  12. 堀内恒雄

    堀内政府委員 ただいま御質問のありました小牧小松飛行場騒音によります人権問題でありますが、現在のところ、私ども調査はおおむね終わっておりまして、その事実に基づきまして、人権擁護という観点から検討をいたしております段階でございます。調査の結果によりますと、ほぼ両飛行場とも、飛行機によります騒音などのために、基地周辺、それから飛行機進入路の下の地域におきまして、相当多数の住民日常生活におきまして精神的あるいは物質的にある程度被害を受けておるということが認められるようであります。もっとも、この両飛行場とも滑走路などは民間飛行機と共同で使用しておりますために、右の被害のある部分民間飛行機に基づくものとも考えられますが、一般に、自衛隊飛行機に比べまして民間飛行機のほうが騒音が少なく、したがいまして、その被害は比較的少ないと考えられるのであります。騒音によります人体に及ぼす響影などは個人差が多くありまして、医学的な因果関係などというものもまだ明らかにされていない部分が多くありますので、この被害を直ちに人権侵害と結びつけていきますことができますかどうか、非常にむずかしい問題があるわけであります。しかしながら、憲法の理念としております基本的人権の尊重という立場から考えますときに、このままで放置することがどうかと思われる部分があると考えておるわけであります。そこで、この現地の航空自衛隊防衛施設庁におきまして、この本件に関しまして多大の関心を持っておりまして、飛行機機数や回数、飛行の時刻などの規制につきましても考慮を払いまして、また消音器サイレンサーといわれるものでありますとか、あるいは防音へいを設置したり、防音のための植林をいたしましたり、防音の施設の工事をいたしまして、なお飛行場の拡張に伴います移転の補償などにつきましても、ある程度措置を講じておられるということが明らかに認められたのであります。なお、この自衛隊あるいは防衛施設庁のとりました措置あるいは補償が十分かどうか、なおさらに考慮する面があろうかと思いますが、その点は、なお私どもといたしましても慎重に検討いたしたいと思っておるわけであります。  ただいま、相手が国であるからその処置をちゅうちょしているのではないかというようなお話がありましたが、相手が国でありましても、そのためにちゅうちょいたすということはないことは前に御答弁申し上げたとおりでございます。最終的な処理を急いでおりますが、若干調査をいたしたい点もなおございますので、補充的に調査をいたしました結果を待ちまして、慎重に検討いたして処理をいたしたいと考えております。
  13. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいま局長さんからいろいろと御調査いただいておる結果、また将来なお調査を進めていこうという御誠意のほどは承りまして、これ以上私は――先回のときの御答弁とはだいぶ違うのですから、きょうの御答弁で了承したい、こう思うのです。しかし、その中で私がちょっと疑問を抱きますのは、なるほど航空自衛隊飛行機は数は多いです。民間飛行機は数は逆に少ないですね。あなたのおっしゃいますのは、民間飛行機による被害というものはきわめて軽少のような表現をなさいましたが、いま申し上げたように、この数というのですか、数度においては、それは自衛隊のほうが多くっても、実際下に住んでおる者が感ずる脅威感だとか、あるいはまたからだにこたえる――まあしろうとのあれで、からだにこたえる影響というのは、民間の大きな飛行機のほうが小牧なんかでは痛切に感ずるわけなのです。それは片一方戦闘機である。片一方は大きな大型飛行機がおりるのですね。いままでほとんど自衛隊飛行機ばかりでありまして、一般民間航空のはそう考えていなかったのが、ああした国際線になりまして大きな飛行機が来るようになってからその点がはっきりしておるのです。御承知だと思いますけれどもジェット機が飛ぶ瞬間的なものは、あなたのほうで調べてみたらいいのですが、その音はやかましいし、相当なショックを受けるのですけれども大型ジェット機が飛ぶときは、昔アメリカ空軍のものでしょう、これがときどき来たときには、からだの中にだだだだっと圧力を感じ、からだの中に響きを感ずるような、五臟六腑がぐうっと押えられるような感じを飛行場の下におる者は受けるのです。それがいまの羽田なんかと違いまして、名古屋周辺の人家の密集したところを大きな飛行機が低空で飛ぶのですから、これはなるほど地域差というものがあるかもしれません、人間差というものもあるかもしれませんけれども、どう考えたって大きな被害をその下は受ける。それから、そのもっと目に見えた例を申しますと、かわらをふいてあっても、その飛行機のためにいざってしまうのです。建物のかわらが全部いざって落ちるということからして、その下に住んでおる人間被害がないとはだれしも考えられないことなんです。その点については、いま、国であろうが民間航空であろうが差別なく、憲法によって示された点に立って国民人権を擁護してやろうという御努力を願っておる局長さんの御努力もわかるのですけれども、いま申し上げた点はだいぶ注意が要る。答弁のつかみ方が私の聞き違いかと思いますけれども、もう一ぺんその点は明らかにしていただきたい。私は、大げさに人権が侵害されているとかなんとかということは遠慮してもいいのですよ。そこまで言いませんが、明らかに大きな損害を受けていること、迷惑を受けていることは、千人が千人、万人が万人認めるでしょう。だから損害をだれかが補償しなくちゃならない。あとで引っ越してきた人が好きこのんで飛行場滑走路のそばとか下に住むということなら、これは好きで行ったんですからやむを得ないことなんですが、従来から住んでおる者が住めぬようになったり、従来から住んでおる者が勉強できぬようになったならば、これは当然一種の人権が侵されたと私どもは解釈する。それはどういう表現がいいか知りませんけれども、大げさに憲法に示された人権侵害だとは言えぬにしても、それは明らかに小さい人権、小さいそれぞれの者が持つ権利が侵されている、こう思うのですが、その点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  14. 堀内恒雄

    堀内政府委員 大型ジェット機騒音が非常に大きいということはただいまお話しのとおりでございます。そこで、小松飛行場におきましては、一昨年の暮れごろからF104が二十五機配置されておって、昨年の三月三十一日には第八飛行隊にかわりまして第二〇五飛行隊の編成が完結いたしまして、そのころFの86ジェット機二十五機で編成される第四飛行隊と右の二〇五飛行隊で第六航空団が構成されております。そういうことで、Fの104は二〇五飛行隊の結成前に多少飛んでおりましたが、年間の訓練の基準などにも基づきまして、本格的な訓練は昨年の四月ごろから開始されておったようです。  騒音程度でございますが、F104のジェット機の離陸のときの音というものが、ただいま丹羽委員のおっしゃいましたようにバリバリと腹にこたえるような地響きを伴うというものであるそうであります。なお、F86ジェット機のやわらかい音に比べまして、キィーンという金属性の鋭い音が出まして、その音はF86ジェット機の二割ほど高いものに相当するということが報告されております。なおジェット機大型機民間機であるかどうかの点につきましては、私どもまだ報告を受けておりませんので、その他の点につきまして、なお調べてみたいと思います。  第二の問題であります損害の点でありますが、人権侵害ということがいえるかどうか、これはむずかしい問題でありますことは先ほど申しましたとおりでありますが、損害がありますことは前にもお答えしましたとおりでありまして、これらに対する対策というものを何らか政府考えられなければならないのだろうという考えです。
  15. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 きわめて具体的なことで恐縮なんですが、いまもお答えの中にちょっと出ましたように、この飛行機か飛ぶ前――私は保守党の自局党に所属しておるのですから、基地だとか飛行場のあることは、あくまでこれは必要であろう、これは国防の意味から私は肯定もし、それを認めておるわけです。しかし、特定な地域の者だけが、この飛行機が飛ぶ前、あるいは試運転のとき、もう始終やられるんですよ。だから、病気したってそこで静養するわけにはいかない。話をしたって、その周囲では全然話もできない。電話をかけても通じない。これじゃ私は、とうてい一般国民が当然受けておる静けさというものも、また会話の自由というものもできぬというのは、いま大げさな言い方じゃ、人権侵害だというのですけれども、これは認められておるように被害というものは大きいのです。損害は大きいのです。  それでもう一つ申し上げておきたいのは、朝早く、まだ一般では寝ておるときに、早くわっとやられるのですが、あれはほんとう安眠妨害というのですか、夜おそく、あるいは朝早く連続的に何回かやられるのですが、ああいうのは、調査の過程においてでも、とめるとかなんか、御指示になったことがあるでありましょうか。それからいま局長さんのお話を聞いておりまして、全く私どもが遺憾に思いますのは、どうもそうらしいというようなことですが、一体これだけ人権擁護局にお願いしておるときに、一体申し立てがどの程度のものだということを、お守りくださるあなた方が飛行場の下でたとえ一週間にしろ寝暮らして、国民訴えほんとうであるかどうか御調査なさった個所があるのか。あるいはまた、あったならば、何回それをやり、どこで幾日くらいそういうことの寝泊まりをして、彼らと生活をともにして、なるほどこれではこういう訴えが出るのももっともだとか、これは無理だというようなことをなさった例というのがもしありましたらお聞かせを願いたい。
  16. 堀内恒雄

    堀内政府委員 ただいま早朝の飛行につきまして、人権擁護局として何か中間的にでも措置をしたことがあるかというお話でありますが、これは人権擁護局におきまして、小牧あるいは小松飛行場に実際に調査におもむきまして、自衛隊のほうでも騒音の減少につきまして非常に考慮されておるのであります。そして夜間の飛行など時間を減少したというような点がございます。早朝の点は、ただいま正確に申し上げられませんが、とにかく飛行の時間につきましても相当の考慮が私ども調査の結果でも払われておる祝状でございます。  それからなお、私ども調査が、みずから飛行場の下で寝泊まりしたかどうかというお尋ねでありますが、直接私ども飛行場滑走路の下で寝泊まりいたしたことはございませんが、調査は、小牧などにつきましては、愛知県の騒音調査委員会などの調査の結果なども取り入れまして先ほどお答えしたような次第であります。なお、小牧飛行場につきましては、早朝の飛行の規制ということも相当自粛的にされておるように聞いております。  それから、いまの質問を間違えました。調査の点ですが、小松飛行場につきまして、金沢地方法務局の職員が滑走路の下に現実におもむきまして調査いたしております。
  17. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 あなたのところの方が小松飛行場へ行かれて、生活をともにせぬにしても、行かれて調査をせられた結果といいますか、意見といいますか、行ってみてなるほどと思われたのか、これは気の毒だと思われたのか、どういうことが書いてありますか。
  18. 堀内恒雄

    堀内政府委員 先ほど申しましたように、非常に鋭い金属音のキィーンという腹にこたえるような、地響きをあげるようなことを感じるというような報告がきております。
  19. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 その報告は、調査せられて現実をとらえて受けられた感じといいますか、調査のことは現実問題として報告があったのですか。そのそばへ行って、なるほどこれらは、大きく人権侵害とまで言わぬにしても、これは気の毒であって何とか措置を講じてやらなくてはと、将来とも考えているというお話ですが、そのときのその人の意見も、気の毒だけれどもほっておけばいいというような意見が出てきているか、何とか政府としてあるいはあなたのほうとしても考えなくてはならぬという意見になっているかどうですか。
  20. 堀内恒雄

    堀内政府委員 直接調査に当たりました金沢地方法務局からの処理につきましての意見というものは、まだ上がってきておりません。
  21. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 その調査せられた意見というものはいつごろまでにまいりますか。
  22. 井手以誠

    井手委員長 丹羽委員人権擁護局長の意見を聞いておられますから、さように御答弁願いたいと思います。
  23. 堀内恒雄

    堀内政府委員 先ほどの金沢からの報告と申しますのは、昭和四十年六月十五日付のものがまいっておるわけであります。金沢のほうにおきまして特に意見をつけてまいりませんのは、これは法務省の人権擁護局のほうで最終的な処理をするということで、調査だけを命じてありますので、特に意見をつけてこなかったものと考えます。
  24. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、これは飛行場関係だけではなくして、いろいろと人権擁護局のほうへそういう申し出ですか、お願いしたときに、調査だけで、現地を調査した人の意見というものはいつでも取らない方針ですか。
  25. 堀内恒雄

    堀内政府委員 実際に調査した者の意見を聞かないわけではございません。
  26. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしたら、金沢の事件はいつ意見を聴取せられたわけですか。
  27. 井手以誠

    井手委員長 堀内さん、金沢の意見はともかくとして、丹羽さんは法務省の見解をお聞きになつているはずでございますから、そのおつもりでお答え願います。
  28. 堀内恒雄

    堀内政府委員 金沢のほうからの意見は、特に記録を見ても見当たりませんが、今後金沢のほうの意見を徴しまして、なお私どものほうの最終的な処理を急ぎたいと思います。
  29. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 いま私がくどいように、調査意見はいつ出るか、その意見をあなたのほうでとって結論づけられる参考にせられるかどうかというようなことをお尋ねしたのは、これはこういうことですよ。私は正直に申しますけれども、いまいろいろなものを人権擁護局のほうへ頼んで助けてほしいという国民訴えは、せめてここへ頼めば人権は擁護せられるだろうと思って出すのです。その出たものを一々調査なすって、その調査を願った意見がおそらくあなたのほうへ出て、そのとおり上司のほうで御決裁になるかならぬかは別として、調査員という権限を持って調査した者の意見のある程度のものはあなたのほうに行っているはずです。それがいま調査してお気の毒であるということがわかった。事実は、行ったけれども意見はまだ出ていない、その意見を取り上げて結論を出そうとしておる、それはいつになるかわからないけれども、そういう御答弁であった。何で私がこういうくどいようなことを申しますかというと、飛行場に限ってそういうやり方をしておられる。現地では、これはとても気の毒だ、これではこの下には住めないし、こうした者に対しては何か考えてあげなければかわいそうだということはわかっておるが、相手が国であるから軽率に返答を出すことはとめられている。上のほうでこれは政治的に判断していただくことであって、飛行場に関する申し立てについてはとめられておる。加害者といいますか、音を出すものが国でなかったらすぐ出せることであるけれども、大きく政治的に影響するから、これについては意見を出すことも、あるいはまた考えを出すこともとめられておるということを現地では言っておるのですよ。それで私はくどいようなことを言っている。いろいろな事件を全部あなたのほうが出向いて調査をするわけでもない。やはり地方の法務局なら法務局で御調査になって、これはこうである、ああであるという意見調査に基づいて出てこなければならぬ。そうでなかったら調査する必要はない。どうしてあなたのほうはその他の人権問題に結論をお出しになるか。いままで憲法で認められた人権護というものは、これは人権が侵害されているとかいないとかいう結論が一つも出ていないですか。あるものについては出ているはずですよ。これは人権が侵害されているという結論の出ているものがないならば、あっても何にもならぬ。憲法は無視されているということになる。飛行場に関しては意見をつけるな、これはこちらでいろいろと相談をしなければならぬから出すなということで調査をしていらっしゃるから、一カ年たったって結論は出ないということになるのですよ。いかがですか。
  30. 堀内恒雄

    堀内政府委員 現地の地方法務局に対しまして意見を出すなと言っているわけではなくて、最終的な処理を本省のほうでするということで、調査のみ指示をしているということによりまして、そういうことになったのだろうと思います。私のほうで相手が国であるからということで処理をおくらせているということのないことは、先ほどお答えしましたとおりであります。なお、現地のほうからの報告で、住民が苦しんでおるんだという趣旨の報告はございます。
  31. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それについては、何度も言いますように、そこは基本的な人権が侵されるとかいう根本的なことではなくして、これは何とか考えてやらねばかわいそうだという意見は出てきておりませんか。その意見もつけないのですか。
  32. 堀内恒雄

    堀内政府委員 そのことは先ほど私が最初の答弁で申し上げましたとおりで、何らかの措置をとらなければならないということを考えております。
  33. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 あまり一つの問題で時間をかけておってもどうかと思いますので、私は法務省、特に局長に対する質問はこの程度で終わりたいと思いますが、世間では、国だからちゅうちょしているとか、国だから結論が出しにくいとかいうものではないと言われましても、ほんとうに困り果てておる、これは何とかしてやるべきだと、関係のない者すら同情しておるのが現実なんです。それがただ意見が出てきているというだけで、あなたのほうとして、これは何とかしなければならないという程度結論が出ないことは、何といってもいま申し上げたように、飛行場の下に住んでいる者としては、相手が国であるからということでちゅうちょしていると判断する以外にないのです。だから、もしそうでなかったならば、一日も早く――私は、人権か侵害されているとか、じゅうりんされておるとかいう、大げさなことを言うものではない。こういうものはできるだけ人権擁護局として救う道というのですか、被害補償する道を考えるべきだというくらいのやわらかいことを結論づける。それは必要がないとおっしゃるかもしれませんが、もし必要があるとするならば、その結論づけることが国民憲法で保障されておるいわゆる人権の擁護に筋が通ることになると私は思うものですから、くどいようでありますけれども、むちゃくちゃなことは言いませんが、ひとつできるだけ早くこうしたものに対する方法を考えていただきたい。こう思うので、もう一ぺん局長としての御決心のほどを承って、あなたに対する質問を終わりたいと思います。
  34. 堀内恒雄

    堀内政府委員 御質問のように、私どもといたしましてもできるだけ早く処理を急ぎたいと思います。
  35. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいま人権擁護局長に、飛行場の下におる者の立場を私が代表してお尋ねをしたのですが、人権擁護局でも、これがはたして人権侵害になるかどうかは別として、とにかく飛行場の下に住んでおる者は非常な迷惑を受けておるということだけはお認めいただけたかのように私は解釈しておるのです。  そこで運輸省にひとつお尋ねしたいのですが、いままでは飛行場といえば自衛隊ことばかりが論議をされてきて、そうしてまた自衛隊では、なるたけ個人の補償、個人に対することまでいかぬにしても、何か特損法だとかその他の方法で、損害を少しでもやわらげる方法を講じてきた。なおまた地方公共団体に対しては、基地交付金のようなものでやってきておる。しかし、これだけ民間航空なんか盛んになってまいりますと、ただ自衛隊飛行機だけが飛行場周辺の者に迷惑をかけるわけではなく、運輸省の民間航空だって大きな迷惑をかけておるのですけれども、どういうぐあいに運輸省は民間航空による被害を一体いままでカバーしてこられたのか。自衛隊と同じような方法はなかったかと思いますけれども、少なくともどういうことによって飛行場周辺の者に対する迷惑な向きを補ってこられたか、その点もしやってこられたことがありましたら、お聞かせを願いたい、こう思います。
  36. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 航空機の騒音に対する対策として、従来われわれのほうでとってきました点の御質疑でございますが、まず、具体的に空港周辺飛行の方式によって、いかに騒音を軽減することができるかという問題がございますので、そういう飛行方式等を検討するという点を考えながら、従来騒音の実態を調査してきておりまして、これをなお続けまして、現実にどういう地点でどういう飛行方式をとった場合には、騒音がどの程度の影響をもたらすものであるかという基本的な調査を従来もやってまいっておりますし、今後も継続をしていきたいと考えておる次第でございます。それから、先ほどちょっとお話が出ましたが、深夜におけるジェット機の発着という点が非常に問題でございますので、具体的には東京と大阪でございますが、午後十一時から翌朝の六時まではジェット機の発着を禁止いたしております。これは東京につきましては、昭和三十七年の十二月二十一日の閣議で了解を得て、実施をいたしておりますし、大阪につきましては、昭和四十年十一月二十四日の閣議了解によって実施をいたしておる次第でございます。なお具体的には、個々の空港につきまして、それぞれ関係の方々の御意向を十分聴取をいたしまして、具体的な対策考えていく必要がございますから、東京につきましては、昭和三十五年以来空港付近の居住者、関係地方公共団体、航空会社、航空局の代表者による対策委員会を設けまして、騒音対策検討、推進をはかっておりますし、大阪につきましては、昭和四十年十二月に同様な委員会を設置をしていただいた次第でございます。  なお、若干こまかい具体的の措置でございますが、たとえば東京におきます滑走路の形態を若干海側に延長することを考えるとか、あるいは進入路指示灯を設置するというような具体的なもの、あるいは先ほど申し上げました騒音測定の方法といたしまして、騒音測定塔を東京に設置をするというようなことをいたした次第でございます。
  37. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 航空自衛隊のほうは、同じ飛行場を使っておっても、非常な特殊な関係もありましょうから、いろいろな努力をして、付近の騒音に悩まされる者のことを国と一体になってやっておるのですが、いま聞いておりますと、民間航空、運輸省関係飛行場については、一向いままでこうしたああしたということをやったことはないわけなんですね。もしあったら、その点お聞かせ願いたいということを私は言っておるのですがね。ないんですか。なければないでいいんですよ。それは今後またやっていただきたいということであって、あえてなかったことを私は責めたり云々意見を吐くわけではない。なければないでけっこうです。いまありましたように、個々の飛行場対策委員会をつくって、騒音対策等いろいろ広い立場対策検討していくというお話なんですが、そういうものから、こうしたら騒音対策になるだろうとか、騒音対策としてこうやらなくちゃならぬ、あるいはもっと施設の上におきましても、あるいは付近住民に対する迷惑をこうやつてひとつカバーしようというような具体的なものがもう出ておるでしょうか。まだ一向それは議論ばかりしておって何もやっていないのか、具体的に、こうしたらいいとかああしたらいいとかいうことが出てまいったか、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  38. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 羽田におきまして具体的な一つの例を申し上げますと、ジェット機が海側から離陸をいたします場合に、上昇後直ちに右旋回をするというような飛行の型をきめまして、これによりまして直ちに海上に出ますために、付近の騒音被害を直接軽減することができる、こういうような、当該地域の地形その他にもよりますけれども、具体的な飛行方法を定めるというようなことはいたしております。ただ、先生がおっしゃいますように、具体的にたとえば個々のものについて補償するというようなところまでは、現在の段階ではまいっておりません。
  39. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、すでに御承知のように、政府では、どこの役所というわけではありませんが、特に防衛庁が中心となって、飛行場周辺の整備促進法というもの、飛行場ばかりじゃなくして基地を含めた周辺の整備促進法というものが出ておるのですが、これともひとつ関係を持って、局長さんのおっしゃいますように、飛行機がどっちを回ったら音が一番少ないか、あるいはこう回ったら一番被害が少なくて済むということも大事なことでしょうし、夜飛ばせないような制限をしていただくことも大切なことでありますが、といって、それで全部ゼロになるわけではないのですから、飛行場があることによって付近の住民がたいへん――具体的には私は申しませんけれども、いろいろの面で不自由をしておる。こういうのを今度周辺整備法で補っていこうとしているのですが、こういう関係は、自衛隊のほうはそっちでやりなさい、民間航空のほうは全然そういうことには関係しない、こういうことか。あるいはいまできるそういうものともひとつ関連を持って、同じ騒音だから一緒にやっていこうというように考えていらっしゃるのか、その点伺っておきたいと思います。
  40. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 騒音対策につきましては、われわれは先ほども申し上げました程度で必ずしも十分だというふうには考えておりません。したがいまして、将来具体的な対策措置を十分に考えなければいかぬということで、実は本年度対策に対する調査費というものを予算に計上してお認めをいただいておりますので、そういうようなことで具体的な対策に対する調査を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。  なお、自衛隊との共同の飛行場その他につきましても、重要な御指摘でございますので、防衛庁とも十分に連絡をとりまして、その間が抜けることのないように措置をとりながら考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 騒音というものから考えますると、特に騒音によって被害を受けておる者は、自衛隊飛行機であろうが、民間航空機であろうが、事は同じなんですよ。どちらにしても同じなんですから、人権擁護局長もおいでいただいておりますけれども、これは救ってやっていただきたい。救うことができなかったら、できるだけ損害補償は何かひとつ考えてやっていただかなくちゃ、おさまっていかないと私は思うのです。そういう意味から申し上げるのですが、なお法案は通過せずに参議院で審議中でありますから、これ以上あまりぐんぐん私が深入りすれば、せっかく参議院の審議のあれにもなると思いますから申しませんが、一つの飛行場自衛隊民間が共用しているという点はそれでかりにいけるとして、それなら大阪のように、あるいは羽田のように、全然自衛隊との関係のないところは、このまま関係がない、関連がないといっておけるものではない。だから私は、せっかくそういうものができるならば、こういうものが、そういう法律ができたならば、少なくとも民間専用の飛行場でもそういう方向に持っていく努力というか、そういうことを検討せられるかどうか、私自身きわめて穏健な尋ね方だと思うのです。いかがですか、局長
  42. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 航空機によって発する騒音対策につきましては、われわれのいままでの対策が必ずしも十分だとは考えませんので、防衛庁の措置その他も十分参酌しながら、われわれの民間航空についても検討を進めてまいらなければならぬと考えております。その一環といたしまして、先ほど申し述べましたような本年度の対策調査というような予算措置もいたしておりますので、これによりまして対策の具体化についてなおわれわれも努力を重ねてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  43. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それでけっこうですけれども、参考までに伺っておきたいのですけれども、どこの国、ここの国全部というわけでなく、一、二の国でけっこうですけれども、よその国にしても、外国ではあまり都市近郷には大きな飛行場はないのです。国際線なんというものは相当遠くにあるのですね。たとえば日本でも考えていらっしゃるようですけれども、外国にある都市近郷の飛行場、こういうものでもやはり悩んでおると思う。そういうところは一体迷惑をかけっぱなしというか、それで済んでおるものか、何か方法を講じておる国が例があるか、もし御存じでございましたら、何もいまでなくともいいのですが、もし御記憶があったならば伺いたい。
  44. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 たとえばワシントンの空港をつくります場合には、できるだけ滑走路周辺に広い地域をとりまして、それによって直接の騒音被害を防止するというような措置をとった。なお、その他につきまして、何らかの補償その他の措置について、わがほうの参考にすべきものがないかということで、実は調査をいたしておりますけれども、まだこれは非常に直接具体的参考になるというような資料を実は手元にいたしておりません。ただ、外国においても騒音をどういうふうにするかという問題はあるわけでございまして、国際会議その他の際に、われわれもなお必要な資料を収集して、この対策の万全を期するように努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  45. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 公害関係で、大気汚染だとか水質だというのは、役所も相当前向きにあれをとっておるのです。私は、おそらく将来騒音公害というか、騒音対策というものが大きな政治問題になってくると思う。またなるだろうと思うのです。でありまするから、あなたのほうでも個々の飛行場で何とか手を打とうと思って対策委員会をつくって研究していらっしゃるのですが、どうでしょう、すぐは無理かもしれませんが、この飛行場騒音というものは、軍の基地であろうが、あるいはあなたのほうの民間航空基地であろうが、必ず問題になってくると思うので、何度も言うようですけれども、そう簡単には資料の取り寄せばできぬでしょうが、諸外国の特に都市近郊の飛行場に対しては、住民にどのような手当てをしておるのか、騒音対策補償等をしておるのか。してないところもあるでしょうが、しておるところもあるでしょう。この資料を私どもで取り寄せるわけにいきませんから、あなたのほうで取り寄せていただきたい。これは必ず将来問題になると思いますから、ほしいと思いますが、寄せていただくことができますか、いかがでしょう。
  46. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 その努力をいたしたいと思います。実は国際的な取り扱いがこの問題については具体的問題になりますので、われわれとして大いに努力して資料の収集をし、検討の参考にいたしたいと考えておりますので、そういうふうに努力をいたしたいと考えます。
  47. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ちょっともとへ戻りますけれども、ただいま個々の飛行場関係対策を立てていきたいというので、対策調査費を予算として計上しておいでになる。それは今後どうしようとする計画を立てるための調査費ですか。あるいはそこのうちから一部を具体的に対策費として、たとえていえば見舞い金なら見舞い金とか何かにして出すことができる金か、いま言ったようにただ計画を立てる調査のための金か、いかがですか。先ほどすでに予算を組んでおるとおっしゃいました金、これは金額にして幾らくらいですか。
  48. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 四十一年度に成立しました騒音対策の予算でございますが、一般的な調査費といたしまして百五万一千円でございます。そのほかに具体的な対策を立てる調査費といたしまして百四十三万六千円別に成立したわけでございます。これで具体的にどういう対策を立てたらいいかという方法その他について調査をするという経費でございます。
  49. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それはよくわかりましたが、それで、航空局のほうから海外に駐在しておらぬでも、運輸省として行っていらっしゃる人がたくさんあると思う。そういう方に御依頼願えば外国の例というものは私はすぐに寄ると思いますが、どのくらいかかるでしょうか。隠しておる筋合いのものでもないし、調べればすぐわかると思いますが、どのくらいかかりますか、調査してその資料をまとめていただくのには。
  50. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 これは国の事情によってだいぶ違うと思うわけでございます。一例を申し上げますと、フランスにおきまして、今度パリの北にパリ・ノールという新空港を計画しておりますが、この敷地には建物は一軒しかないというような状態で、そういうような敷地を選定できるというようなことができますので、事情はだいぶ違うと思いますが、いま何日までというようなことを先生にここでお約束申し上げることができないのはまことに残念でございますが、御指摘のように国際民間航空機構というようなものがございまして、そこに派遣されておる職員がございますので、早急に連絡をとりまして資料を整備いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  51. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 これは委員長、ひとつあなたにお願いしておきたいのですが、いまいつまでにという日にちを切るわけにいかぬと言われるのですが、これはもっともだと思うのです。しかし、騒音問題というのはやかましくなってくるのですよ。だから、外国の民間航空ではそういう補償問題あるいは対策をどうしておるかというくらいのことは、政府として知っておくべきだ。私どもも今後いろいろのことを考えていくのに必要だと思うのです。だから、出せないとは言ってない、相当期間がかかる、これもいいのですが、できるだけ早い機会に、委員会の名において、その調査資料を本委員会に提出してくれるように、あなたの名でひとつ政府に要求していただきたいと思いますが、いかがですか。
  52. 井手以誠

    井手委員長 丹羽委員の御要望については、明日理事会でいろいろ御相談したいと思っておりますが、なお明日も騒音について引き続き審査を進めたいと存じておりますので、さらに関係当局を呼んで、あなたの趣旨を徹底したいと考えております。
  53. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 いや、委員長が聞いておられて、これは必要じゃないですか。理事会へかけるまでの問題じゃないと思うのですよ。いま航空局長は、すぐは出せないけれども、海外に出張しておるので、こうした者から取り寄せができる、こう言っておると思うのです。だから、私がただ一委員として航空局長にその資料の提出を要求するよりは、委員長の名において、そういう資料を今後のために取っておきたい、また取っておくことがいろいろ対策を立てる上からも必要である。私はこう思いますので、これは理事会で相談をなさらなくても、この資料くらいあなたの名前で役所へ要求してください。
  54. 井手以誠

    井手委員長 その点は承知いたしました。  私が申し上げたのは、先刻来、丹羽委員の御熱心な御質問にもかかわらず、人件擁護局並びに航空局の答弁が私は不十分であると存じましたので、ジェット機に対する騒音、この全般についてもっと審査を進めたいと思いましたので、その点について理事会に御相談したいという考えを申し上げた次第でございます。申し出の点については、私から御要望のとおり取り計らいいたします。
  55. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私の要求しておる資料というのは、委員長の名において役所へ要求していただける、こういうことですね。
  56. 井手以誠

    井手委員長 承知いたしました。
  57. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 では、それをお願いして、次に質問を進めてまいりたいと思います。  あとは他の委員からお尋ねになることになっておりますので、詳しいことはお尋ねしませんが、もう一点だけ、きわめて地域的なことで航空局長に――御存じないかと思いまするから、もしなければあとで教えていただけばけっこうでございますけれども小牧飛行場に航空保安事務所ですか、これが飛行場の中に移転したのです。その保安事務所が知らぬうちに職員の住宅というか寮になっておるのです。これは私ども全く不可解だと思うのです。保安事務所というものは航空の安全のための事務所である。それか他のほうに――飛行場の中に大きな予算をかけてつくるならば、それは廃止すべきである。それが知らないうちにそこの要員の特定の者の住宅になっておる。宿舎になっておる。こういうことを御存じか、御存じないのか。もし知っておられるとすれば、ひとつ論議を進めたいと思いますが、お知りにならねば、また私はいずれお尋ねしてもけっこうです。
  58. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 詳しい事情は承知しておりませんので、調べまして、また別の機会お答えさせていただきます。
  59. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 これはつまらぬことのようでございますけれども、非常に重要なことにいろいろ関係してくると私は思うのです。だからこれを聞いたのですが、よく事情をお知りにならぬようですね。突然のことですから御用意がなかったので、これは尋ねるほうがはなはだ礼を失すると思いますから、その御答弁でけっこうでありますが、いずれかの機会にというのではなくて、私のほうから承りに行きますから、お答えができるように調査をしておいていただきたい、こう思います。  運輸省に対してはそれできょうは一応終わらせていただいて、次に警察庁に一点だけ承りたいと思います。  これは建設省の関係かもしれませんし、警察庁のほうの関係かもしれませんが、自動車のマフラーというのですか、ばあっという音、これは都会の中なんかでは相当制限されて、クラクションを鳴らしてもいけない。もちろん大きな音を立てる自動車はいけないというのですが、これは取り締まってみえる。しかし、カミナリ族というやつは依然としてこれからもまたますます盛んになってくるでしょう。例のオートバイですね。これが通ってばあっと夜中なんかに走られたら、みんな子供なんか虫を起こすくらい大きな音で驚いているのです。これなんかはどういう法律で取り締まるか。警察庁の雨森さんのほうで指導しておられるのか広山さんのほうか知りませんが、どういうぐあいに指導してみえるか、全然絶えぬじゃないかということ。  それから、お約束の時間がきますから、ついでに、冒頭申し上げた建設省の関係かどうかということですが、夕方になっても、朝早くても、町のまん中で工事をやるときに何かスチールハンマーのようなものでとんとんとんとんとえらくやるのですね。みんな迷惑する。ああいうのをカミナリ族と同じように取り締まるところは一体建設省ですか、警察庁ですか、どこなんですか。  この二つを、お答えによって質問を続けたい。
  60. 広山紫朗

    ○広山説明員 マフラーの取り締まりについてお答えいたします。  これにつきましては、道交法に装置不良車の取り締まりというのがありまして、その騒音防止装置等、その装置が不十分であるために他の人たちに著しく迷惑を与える、こういったものについては運転してはならぬ、こういう規定がございます。これによって取り締まりを実施いたしております。その実際のどういうものが騒音であるかという規定につきましては、運輸省令の保安基準というものの中にきめてあるわけであります。この保安基準によりますと、運輸省のほうの御説明があろうかと思うのですけれども、いろいろこまかい規定はございますが、自動車を現実に走らせてみまして、そのマフラーの後方二十メートル、そこではかった音が、エンジンの最高回転速度に対して六〇%、そのときの騒音が八十五ホン以上であってはならないというような規定がございます。これによりまして私どものほうは取り締まりを実施いたしております。
  61. 雨森和雄

    ○雨森説明員 工事建設現場等のいわゆる雑騒音と申しますか、こういう音につきましては、たしか東京都はじめ三十余の地方公共団体に騒音防止条例というのがございます。これによりまして取り締まりをいたしておるわけでございます。大体警察にはこうした音につきまして苦情がまいるわけであります。その苦情は、たとえば四十年中のそうした苦情を見てみますと、やはり一番多いのは一般騒音という音でございますが、こうした建設の騒音というものもかなりの数が苦情として出てきているわけでございます。これにつきまして、警察といたしましては警告をして、そういう音がしないように、迷惑のかからぬようにやってもらうというように取り計らっておるのもございますが、あるいはそうしたものが非常に大規模に一般的ということでございますれば、他の機関にそれを移牒いたしまして、これを解決するというような方向に持っていっております。東京都の条例に例をとってみますと、作業者というものを規制の対象にいたしておりまして、夜間の静穏を保持するために、午後十一時から翌日午前六時の間においては、こういう音を発してはならないとかいう規定を設けております。いずれにいたしましても、警察といたしましては、そうした条例の規定によりまして取り締まる一方、また、そうした苦情を持ち込まれたものにつきましては、その間の解決を円満にはかるように取り計らっております。
  62. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 取り締まる取り締まり方、あるいはまた、取り締まるいろいろの法あるいは条例等の何によっておるかということのお話はわかりましたが、しかし、そういう取り締まる条例、法律じゃなくしても条例をつくるにしても、当然警視庁あるいは警察庁は、条例をつくるについての御相談といいますか、それに乗ってみえると思うのです。あまりにも夜中に、あるいはこれから勉強しなければならぬときに、夜おそくまでカンカンやって、もちろん大都会ですから、夜、仕事をしなければならぬという事情もわかるのですが、これも連続的に毎晩毎晩一つでも二つでもやられたら、学生なんか困ってしまうし、病人なんか困ってしまうんですね。そういう点もよく考えて条例ができておると思うのです。あるいはまた、指導課長さんからお話のありましたように、ある程度音の高い自動車、オートバイは飛ばせないという、この基準をつくるときだって、運輸省だけでなく、当然あなたのほうは御相談に乗っていらっしゃると思いますが、自動車は、町のまん中でクラクションを鳴らしても罰金を取るんですよ。片一方のほうでは、むちゃくちゃやらして全然取り締まっておられない。条例なりそういうことによって、罪になったとか罰金を出したとかいうことは別にして、一体一年間にどのくらい起訴したのですか。全国的によほどの件数があるんでしょう。建物を夜間にカンカン、カンカンやって、あるいはスチームハンマーでタンタン、タンタンやって、相当広い範囲に迷惑をかけておるから、たくさんの条例があったり、取り締まりの規則があるならば、去年一年に相当起訴されておると思うのです。それは裁判所で罪になったかならぬかは、事情があって、判決までは聞こうとするものではないが、一体全国的にどのくらい起訴しておるのですか。
  63. 広山紫朗

    ○広山説明員 お答えいたします。自動車の騒音の取り締まりの件数でございますが、全国的には統計をとっていないわけでございます。まことに申しわけないことですが、とっていない。それでことしの四月に項目別の調査をやりました。この一カ月でございますけれども、これによりますと、検挙いたしまして送致いたしましたのは、騒音とばい煙と両方一緒になっておるわけでございますけれども、千五百七十四件という数字があるわけでございます。この全体の数は、年間に伸ばしますと、十二倍ですか、それが四月ですから、大体平均しますと十三倍、そのくらいになろうかと思うわけであります。そのような推定はされると思います。
  64. 雨森和雄

    ○雨森説明員 私のほうで主として苦情を受け付けたものを処理しました結果でございますけれども、昨年じゅうで音に関します苦情は九千八百六十二件という苦情の受け付けをいたしております。そのうち、警告等いたしましてその音をやめさせたというのが八千三百五件ございます。この苦情の中で一番多いのは一般騒音でございますが、それと関連しまして、いまの建設現場等の騒音は、建設現場だけということに一応分類いたしますと三百七十八件ということで、三%程度でございます。これらは大体において、警告制止、あるいは調停により和解いたしましたり、あるいは他機関に移牒いたしました。こういう結果になっております。
  65. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 指導課長さんのほうに、ちょっとこれもお願いしたいのですが、次回にまた審議させていただくために必要であると私は思いますので、お調べを願いたいのですが、去年一年に全国的に、ばい煙じゃなくて音のほうで、書類送致というんですか、あなたらが警察として罰金なり何か罪にしようと思ってやられたのは一体何件あって、それでまだ裁判中のものもありましょうが、決定した判決のどれだけが有罪になってということの資料を一ぺんお知らせいただけませんか。そうでなかったら、あっても何もならぬ。よほどの罰金を取って、よほどこれは制裁を加えなければだめですから、去年どれくらいあったかお知らせ願いたい。これは一月くらいあれば調査できるでしょう、いかがですか。
  66. 広山紫朗

    ○広山説明員 先ほど申し上げましたように、立件の体制がそのようにやっておりせまんので、ちょっとむずかしかろうかと思われます。その抜き取りのなになら検討させていただきたいと思います。昨年一年間のものだったら、送致いたしましたので大体五百万件、これを一々分類してやるということはちょっと技術的にはむずかしい、御要望に応じかねるように存じます。そういう意味がございまして、ことしの四月に全国調査いたしましたこれの調査の結果はそれぞれの数字が出ております。これについては、後ほど御要望がございましたらお届けいたしたいと思います。
  67. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 五百万件あなた一人に調べろと言ったら無理かもしれませんが、こんなもの、各地方の県に言えば、県は警察署へ言うでしょうし、その事件がみそもくそも書類に入れているわけじゃない。一年間にどういう事件で起訴されたかくらいのことはちゃんとわかるでしょう。選挙違反は何件だ、どろぼうは何件だというようなことはすぐわかりますよ。警察庁はこのくらいの統制がとれておりませんか。どういう騒音で起訴したものは何件あって、何件は判決があった、何件はまだ未判決だというようなことが、一カ月あってできなかったら、盗人もつかまりませんよ。過去の統計をあなた一人で五百万件一カ月にやれというのではない。各県に電話一本で調べられるじゃないですか。
  68. 広山紫朗

    ○広山説明員 各署のほうは、この取り締まりのことだけでなしに、それぞれ事故の捜査その他をやっておりまして、昨年一年間の資料をいまやろうといたしましても、それぞれ資料を検察庁のほうに送っているとか、あるいは行政処分のほうで保管するとかいうことで、実際問題としては、とても御要望に応じかねると思います。
  69. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ぼくは事件の内容を一々知らせてくれと言っているのではない。課長さん、そうじゃなくて、音で、ああいうオートバイのようなもの、あるいは自動車が大きな音を立てて、警察で書類送致したものが全国で一年間にどれだけあったのか。そうして、どれだけが有罪になって、どれだけがまだ裁判中であるかというようなことが、日本の警察の力で一カ月たってできぬということはない、やらぬだけじゃないですか。
  70. 広山紫朗

    ○広山説明員 御要望の件について、それぞれ聞いてはみますけれども、私のこの場の感じといたしましては、非常に無理であろう、こう思います。
  71. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 きのうまでのものをというのではないのですよ。去年の年度のものをというのだから、もうできておるでしょう。あなたのほうがあまりにも検挙を大目に見たり、取り締まりをやっていないだけのことで、実際は、出せばかっこうが悪いから出せないというのじゃないですか。三月三十一日までの昨年度に、事件別にいたして、警察というところは、窃盗なら窃盗がどれだけ、詐欺はどれだけ、横領はどれだけとか、あるいは選挙違反はどれだけとかいうことの大別くらいはあると思うのです。しかも、去年の過ぎた一年間のものが一カ月たってもあなたのところで出せぬというなら、これから人をつかまえるといったって、盗人もつかまりませんよ。過ぎた一年のことが一カ月かかってできないなんということは、私はどうもふに落ちないのですが、どこにできない理由があるのですか、一番迅速にやらなければならぬ役所が、過ぎた一年の統計を出せといって、出せませんなんていうのは、警察以外にありませんよ。
  72. 広山紫朗

    ○広山説明員 統計のとり方が、現在のところ遺憾ながら手集計をやっておるわけであります。そういうことを一応のこれからの問題といたしまして、電子計算機あたりを採用しようかということを検討いたしておる段階でございます。そういうことで、何ぶん五百万件からの毎日の切符その他を出しておるわけでございますから、犯罪の捜査その他につきましては、これはそれぞれ資料がございます。しかし、交通違反につきまして、スピード違反だとか駐車違反、あるいは先ほども質問のございましたクラクションの違反、こういったことにつきましては、件数が非常に多いということで、事務量の点その他から、まことになんでございますけれども、資料がとれないわけでございます。そういうことでございまして、繰り返すようでございますけれども、大体の傾向を知るということで、一カ月のサンプリング調査をやらしていただいております。
  73. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は、基準なんというものは必要ないのです。そんなものを要求しておるわけじゃない。一カ月にできぬとおっしゃるならば、二カ月でもやむを得ません、待ちましょう。委員長にお願いして待っております。私は一カ月にできないはずはないと思うのです。罰金を取ったり、あるいはオートバイに乗ることを禁止したりするような、法に基づいて、あるいは条例に基づいて制裁を加えるのでしょう。制裁を加えぬ限りは、百円にしろ、千円にしろ、五千円にしろ、罰金は取れぬでしょう。罰金というか過料、それを取る限りは何か資料があるはずでしょう。取ったらあなたは紙筒に入れて、知りません。どういう者から取ったやら、何回取ったやら、どういうところでつかまえたのやら、検察庁に行かなければわからぬというような無責任な仕事をしておるのですか。地方の警察はそんなものじゃない。三年前にやったって、ある一定の期間には、どういう事件でこれはつかまえたんだ、そしてどういう処分をしたということは、私はちゃんとあると思うのですよ、その統計を寄せるだけですからね。標準じゃなくして、ほんとうのものが一体何カ月くらいたったらできますか。
  74. 広山紫朗

    ○広山説明員 交通違反取り締まり状況につきまして、大きな分類なら現在わかります。たとえば無免許や酒酔いの取り締まり、最高速度の取り締まり、これなんか全部とれます。いま先生のおっしゃいます騒音の問題につきましては、その他の一括の統計はいまでも出るのでございますが、細部について罰条ごとにやるとなりますと、先ほど申し上げたように非常に困難なのでございます。
  75. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 数多いスピード違反とかそういうものはいまでも出せる、その他の一山幾らの中に入れてあるものを分類するのは時間がかかるとおっしゃいますが、それを分類するのにどれくらいかかりますか。これはどうやってでも出していただきますよ。カミナリ族を取り締まる、取り締まるといっても、全国でどれだけ書類送致され、制裁を受けたか、犯した罪の反省を裁判所で求め、判決を受けたかということが明らかにならぬ限りは何にもならぬことになる。だから私は、どの程度一年間に取り締まりになったか、それを知りたいから粘るのですよ。その他の中から拾い出すのにどれくらいかかりますか。
  76. 広山紫朗

    ○広山説明員 何ぶんその他の欄といいましても、それぞれ分類ごとに書類を整理しておるわけではございませんし、それぞれ検察庁のほうに記録がいきますので、統計の表からは四十年度のものは出てこないことになるわけであります。なお、四十一年度につきまして調査いたしました数につきましても、そういう事情でそういう欠陥を補うためにやったということであります。
  77. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうすると、あなたのほうは検察庁のほうに書類を送っておるから何にもない。検察庁に聞けばわかるのですか。検察庁へはどれだけの書類がきて、どういう事件で処理したか、略式でやったとか、正式な裁判をしたとか、検察庁のほうは事件を処理したから出せる、あなたのほうでは出せない、そういうことですか。
  78. 広山紫朗

    ○広山説明員 最後の罰金までいきましたものについては資料があろうかと思いますけれども、それがどの程度こまかく出るかということについては、私、ちょっと検察関係のことをよく存じませんので、わかりません。
  79. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 くどいようですが、あなたは人をつかまえてきて、書類を送ってしまった、だから資料はわからない、検察庁へ行ったらそれはあるかもしれない。人を罪に落としたり、人から罰金を取るのに、そんな簡単なやり方をしておるのですか。一つの事件でも、これは何々の法に照らして書類を送致するとか、あるいはこれは何々の条例に照らして起訴するとかいうことは、ちゃんとおやりになるについての控えがあるはずでしょう。警察にはその控えは何もないのですか。その控えがないような、そんな簡単なものですかね。書類をつくってぱあっと送っちゃって――大きな罪のものはある。強盗、殺人のようなものはあるけれども、自動車の罰金を取ったようなものは書類がない。罪を受けた者は、千円の罰金を取られても、死刑に処せられたって、罪には変わりはないのですよ。同じことなのです。その金額によって違うものじゃないのですからね。それではなぜ出ないのですか。騒音によって書類を送致した、起訴の意思で送ったというものは一年間に何件であったかというようなことは、一年間のものが出せないということはないじゃないですか。私の言うのは無理ですかね。
  80. 井手以誠

    井手委員長 ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  81. 井手以誠

    井手委員長 速記を始めて。
  82. 広山紫朗

    ○広山説明員 帰りまして、どの程度出るか、よく検討いたしまして、それでお返事をいたしたいと思います。
  83. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 どの程度出るかじゃなくて、一年間にどの程度取り締まり、どの程度処分を要求したか、処分するのはあなたのところの権限じゃない、検察庁がやるのですが、処分の要求をどれだけしたかという統計を出さぬことには、一年間どれだけ取り締まってきたのか、放任してあったのかわからぬじゃないですか。委員長、ぼくはそれを言っているのですよ。そんな数が多い少ないという問題じゃなくして、せっかくこういうような条例まであるのだから、カミナリ族のようなものをなくそうと、どれだけ取り締まって、どれだけ処分の要求をして努力しておられるのか、それを知りたいし、また今後それを要求したいから、お願いしたいから聞いているのです。それが出るか出ないかじゃないのです。結論を拾ってくるだけじゃないですか。拾うだけです。一山幾らの中に入っておるものを拾うだけですから、それがなぜ拾えぬのですかね。それはあくまでも出してください。
  84. 井手以誠

    井手委員長 丹羽さんに御相談しますが、広山交通指導課長としては、できるだけあなたの御要望に沿うために、一応帰って、検察庁によく相談をして、明日お返事をしよう、こういう答弁のようですから、御趣旨の点は十分わかっておると思います。わかっておると思いますから、明日あなたに対するお答えをしてもらう、こういうふうにお願いできませんか。
  85. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 委員長のとりなしですから、そうしたい。しかし、検察庁に相談しなかったら出せぬということはないでしょう。警察が検察庁へ処分を要求した件数は一年にどれだけあるか、それを拾い出せというのに、なぜ検察庁に相談しなきゃならぬのですか。それがわからぬのです。拾い出すのに時間がかかるとおっしゃるならば、どれだけの時間がかかるか。これは秘密にすべき筋合いのものじゃないでしょう。国家の機密に関係するということだったら別だが、いま拾い出すことがやっかいだ、めんどうだ、手数だというように軽く考えられるから、こういうような騒音というものはいつまでたっても解決できない。これが将来問題になるぐらいのことはわかっていらっしゃるから、言われなくたって、一年間にこれだけ送致しました、一年間にこれだけの起訴をしたことがあります、取り締まりはこれだけである、処分はこれだけいたしましたぐらいのことは、いまだって言えるじゃありませんか。それが言えぬということは、これを軽く見ておることです。それではいつまでたったってこういうものは解決できない。だから、委員長のおとりなしですから、私はあしたでもけっこうですけれども、どうでも静かな町をつくっていくように、夜は静かに寝れるように、片方では耳をつんざくようなクラクションを取り締まっているのに、片方ではガンガンというようなめちゃくちゃな、法があってないようなことですから、その秩序を保っていく上においてひとつお願いしたい。こういうことですから、ついでに、それならばあしたまで待ちますけれども、広山さんではなくて保安課長のほうにもひとつお願いしておきたいのです。去年一年間にあの工事現場でたんたんたんたんやったのにはみな困っている。あれを何件起訴されたのか。その条例はあるのですが、わかっておりましたら、その条例によって何件去年は起訴されて、何件は起訴猶予になったとか、あるいは何件はまだ審理中であるとか、何件は刑の確定があったというようなことを――もっとも去年のやつですからはっきり刑の確定までいっていないかもしれませんけれども、何件だけが起訴されたのかということを、あしたでけっこうですから出せますか。あなたのところは数が少ないので出せるでしょう。
  86. 雨森和雄

    ○雨森説明員 ただいまの先生の御質問の建設現場等の関係につきましては、大部分が苦情によるものでございます。文句を警察へ言ってきたので取り締まったというのがほとんどでございます。ですから、その苦情数は、いま申し上げましたように音に関する苦情数の約三%でございます。これらは正確に申し上げますと、昨年一年じゅうで、一月から十二月までで三百七十八件の建設現場等に関する音の苦情数がございました。これにつきまして、警告をしたり、あるいはいろいろ話してやめさしたというようなものが二百八十二件でございまして、調停等によって解決いたしましたものが三十九件、それからほかの機関に移牒いたしましたのが四十五件でございます。いまここに持っております資料におきましては、三百七十八件という苦情数は大体そういうことで片づいておりまして、立件送致いたしました件数はゼロ、こういうことになっております。
  87. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、この条例は、私は今度また都のほうからもらうなり、あなたのほうからいただきまするが、条例の中に、申告というか苦情というか、それを持ち込まなければ起訴することも取り締まることもできないという条例になっているのですか、黙っていればいいのですか。
  88. 雨森和雄

    ○雨森説明員 それはそのようにはなっておりません。苦情がなくても、警察官はこれを発見して取り締まるべきものとなっております。
  89. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、これは国民のためにならぬと思って起訴された苦情は三百七十八件で、解決できたというのですが、警察官自身が起訴して、これじゃいかぬと思ってやったやつは何件あるのですか。警察官が、これだけやかましくて、これだけ迷惑をかけておればやろうということでやったのが何件ぐらいあるのですか。
  90. 雨森和雄

    ○雨森説明員 それは、いまここに数字は持っておりませんが、この種の事件の大多数は周囲の方方からの苦情によって取り締まりをした、こういうことでございます。
  91. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それじゃ明日でけっこうですが、苦情のことで解決したのはわかりますけれども、今度つくった条例、法律に次ぐ条例で、警察官が、これだけ夜中にかんかんかんかんやっているのを、よもやつんぼの警察官ばかりじゃないと思うのです。あれだけの警視庁の巡査だって、つんぼばかりおるわけじゃないでしょう。これは条例に違反していると思われる。自動車のスピード違反だって、あれはよく走っているからつかまえてくれといって申告する者はいない。あなたのほうが進んでひっとらまえて、罰金を出させる、これと同じことでしょう。だから何件、何十件あるか知りませんが、去年警視庁はどれくらい検挙して、事件にして処分を検察庁に要求したのか、ひとつお知らせ願いたい。そうでなかったらこの条例があったって何にもならぬじゃないですか。去年の事件、警察自身が摘発して、それを送致したのが何件あるかということを、ひとつお知らせ願いたい。
  92. 雨森和雄

    ○雨森説明員 よく調査いたしてまいります。
  93. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 いつごろまでに出せますか。
  94. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これはよく検討をいたして御報告いたしたいと思いますが、大体におきましては、やはりこの種の問題はいろいろ周囲の方々の文句から始まることが多いわけでございます。もちろん警察官は、そういう事態があれば、これは積極的に取り締まらなければならぬと思いますが、一応われわれのほうでは苦情があって、いろいろ訴えがあって、あそこの音が非常にやかましくて眠られないとか、うるさいとか、そういうことから始まっておりますので、一応こういう統計にいたしておりますが、先生の御指摘のような件も当然あり得ることでございますから、よく調べまして御報告いたします。
  95. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 主客転倒しちゃいかぬですよ。条例をつくったり、法律をつくったり、世間の者さえ黙っていればまあ見のがしておこうというような警察官ではだめなんですよ。条例があったり、法律があれは――私はいま選挙の例をとりましたけれども、選挙だって、相手方から頼んで行くのもあろうけれども、あんたのほうが積極的にあばいてやっているんじゃないですか。そうしてぼくらだって長い間留置場にぶち込まれた。だれも密告した者はいない。あなたのほうが進んで探し出してやったんでしょう。こういう事件だって、あれだけわあわあ騒いでおるのに、警察は一つも知らぬ。警視庁の巡査はみんなつんぼばかりか、めくらばかりしかおらぬですよ。一年に十件や二十件、私はそんなはずはないと思うんですよ。一年に十件や二十件のことならば、何も条例、法律までつくる必要はない。非常に迷惑したから、東京都の議会だって、これは耐えられぬと思って承認しただろうし、当局もそれでお出しになったと思うんですよ。だから、申告がなければやらないというような、そんな受け身の警察ではいけません。なかなかもって警察は、頼まないのでももの好きに出かけていくときがあるじゃないですか。頼まれなければやらないとか、そういう話がなければ飛び出しませんというのでは――デモでは、だれが頼みに行かなくても取り締まっているじゃないか。警察庁はちゃんと出てくるじゃありませんか。みなの迷惑になれば、鉄かぶとまでかぶって出てくるでしょう。それと同じじゃないですか。ぼくは何も社会党に味方するわけじゃないですけれども、ああいうものだけ取り締まって、そういうときはだれも頼まぬのにだあっとやって来ておいて、それでああいう建設業者なんかが、眠れぬようにかんかんかんかんやっているのを黙って見ているのか、こういうやつはどんどんやればいいのですよ。それが何件あるかということなんです。私の言うのは理屈が立たぬですか。私は法律とか条例というものはそういうものだと思うのですがね。そういう意味からひとつ早いところ調べてください、早いところ、できたらあした。その御返答によっては、私はまた条例の意味、法律の意味をひとつここでよく論議してみたいと思うのです。
  96. 雨森和雄

    ○雨森説明員 先生の御忠告のありましたようなことはよくわかりました。決してそういう態度で取り締まっておるわけではございません。苦情を受けたもの以外の取り締まり件数につきましては、一応集計したものがございますから、あすお持ちいたします。
  97. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 あなたのおっしゃるような趣旨のものじゃないと言われたって、三百七十八件から苦情が出ておる。あるいは文句を言っておるものは九千八百六十二件、一万件からある。こういうものが周囲から警察に、ひとつお願いしたいとか、何とかこういう音の出ないようにあなたのほうで指導していただきたいといって、困り果てて言っている。こんなものは氷山の一角ですよ。これだけ苦情、文句が出てきておるにかかわらず、警察自身がどれだけみずからの手によって摘発されたかということを私は知りたい。でなかったら、こんなものは何にもならぬことになるのです。これだけ苦情の出るものを、警察がよほどの加害者を摘発しておられると私は思うので、そういう点を知りたいから、無理な要求かもしれませんがお願いをしておる。  最後にもう一点お尋ねしておきたいのですが、いまは建設業者か何かを例にとりましたが、ホテルなんか、これから夏になりますると、広いところで野外の食堂をやって、音楽をかけて夜おそくまで騒ぐのですが、ああいうものを取り締まる法律というか条例はありませんか。ホテルの庭で、それは自分のうちの庭でやるのですから、どんな音を立てたって、どんなにおいをさせたってしまうがないかもしれませんけれども、夜おそくまでじゃんじゃんジャズのようなものをやられては、近所迷惑この上もない。例を言いましょうか。品川の議員宿舎で何度申し込んだって、あの隣の堤さんのやっていらっしゃるプリンスホテル、これは全然きかない。言えば五分か十分やめますけれども、みな困っているのです。すぐそばに品川警察がある。これすら警察の連中は耳が遠いかもしれませんけれども、そこを宿舎に持っている私たちは耐えられぬのですが、ああいうのはやりっぱなしでいいのですか。これはもしあったらことしからちゃんと取り締まっていただきたいと思うのです。
  98. 雨森和雄

    ○雨森説明員 これは軽犯罪法及び東京都の騒音防止条例にそういう風俗営業者等につきましての取り締まり事項もございますので、ひとつ十分注意をいたして取り締まるようにいたしたいと思います。
  99. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 これもやっぱり私どもが警察に頼みに行かなければだめなのですか。
  100. 雨森和雄

    ○雨森説明員 いや、そういうことはございません。
  101. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしましたら、ここではっきり私から申し上げておく。そういう条例か法律か知りませんが、もしそういうものがありましたら、あの周辺のためにひとつ私からお願いしておきますから、ことしはきちんと徹底的に取り締まってください。もしもこれが行なわれぬとするならば、警察御当局の怠慢だと私どもは解釈する以外にないですよ。そういうことをお約束を願えますか。法を守れ、条例を守れと言うのですよ。それを特別に取り扱います、大目に見ますということは課長さん、言えぬでしょう。これはあそこに何十人かおる代議士みな困り果てておる。また、あの辺の者は毎年困っておると言ったって警察は知らぬ顔。何度言ったってやらぬから、ぼくらは困るので、国会で言っておけば幾らかは効果があるだろうと思って申し上げたのですが、いかがですか。
  102. 雨森和雄

    ○雨森説明員 善処するようにいたします。
  103. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 善処、やらぬことを取り締まるのじゃないんですよ。もしやったときには善処じゃないでしょう。善処ということは考えるということでしょう。いままでやったけれども、あなたのほうでは全然取り締まってくれなかったのですから、もしことしもやるなら、そういう取り締まり条例でそれを取り締まるか取り締まらないかというのに、善処するという答弁は一体どこの世の中にあるのですか。それをはっきり……。
  104. 雨森和雄

    ○雨森説明員 私の答弁が不十分であったかと思いますが、違反事実があれば、はっきり取り締まるように指示いたしたいと思います。
  105. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 きょうは具体的の例まであげていろいろお尋ねしたのですが、資料等は要求してなかったので無理だと思いますから、また後日資料を御提出願ってから、この点についてはもっと私は質問を続けてまいりたい、こう思いますので、一応打ち切らずに保留にして、きょうの私の質問を終わっておきたいと思います。
  106. 井手以誠

    井手委員長 広山交通指導課長に申し上げますが、先刻来丹羽委員の熱心な御要望に対しましては、御趣旨については十分御承知のことと思いますので、統計の見通しについて明日ここでお答えをしていただきますように頼んでおきます。  次に、肥田次郎君。
  107. 肥田次郎

    ○肥田委員 私も騒音の問題で若干質問を続けたいと思ったのですが、特にいま丹羽先生の質問に対する警察庁の答えを聞いておりまして、これはどうもふに落ちないので、これは資料が出てからということにせざるを得ないと思うのですが、ただ一つ、私はここで言っておきたいのは、雨森さんの答弁を聞いておると、要するに騒音という問題は、すべて苦情処理事項だというふうな印象を受けてしかたがないのです。そこで丹羽さんのおっしゃるように、そうじゃない、本来これの取り締まり規則があるじゃないか、その取り締まり規則があるのに、規則をたな上げしておいて、苦情が出たときに初めてそれを取り上げるというやり方はけしからぬじゃないか、こうおっしゃっているのです。そこのところはおわかりでしょうね。それで私は、そうなると、それがわかっていて、苦情が出てからでなければ取り締まらないということになれば、たとえば赤坂の議員の宿舎がありますね。あの溜池の通りの六本木に通ずる道路に道路建設をいまやっていますね。私は、こっちに来て、夏が来ましたら戸をあけて寝られないと思っているのです。夜中にエアハンマーのような音がする。これは時間的に十分か十五分のうちに、今度はスウーッとものすごい空気を抜くような音がする。それからまた鉄材の組み立てに、まるでゆうべの雷よりもでっかいような音がするのですよ。それが一年も二年も続いておる。ところが、これはおそらく私は一言も文句を言っているためしはないと思う。警察の取り締まりは、これは取り締まるのじゃなくて、こういうことについては、これは工事を認可しておるのだからこの程度のものはしかたがないといって、これは見のがしておるのでしょう。私はそうだと思う。それに違いないと思うのですよ。だからひとつ、そういう関係の苦情の処理のしかたというものはどういうふうになっておるかということを、これを聞かしてもらいたいのです。これは当然丹羽先生に対する資料が出るでしょうから、その案件の取り締まりの中の分類の中で、同時にその点をひとつ明らかにしてもらいたい。いまのように、本来取り締まる条例があるのに、その条例に基づいて取り締まらないで、苦情が出てから取り締まるというやり方は、どうも私は聞いておって、警察も忙しいことだからと思ってひいき目に聞いておっても、私はこのままに聞きのがすわけにはいかない問題だと思う。だから、これは資料を出されるときに、分類の中で私もあらためて伺いたいと思います。このことだけ、ひとつ申し添えておきます。  それから今度はまた別の面で、具体的な取り締まりでひとつお聞きしたいのですが、これは交通指導課長範囲になりますか、雨森さんのほうと両面になると思うのですが、これも具体的なことを言わないと、抽象的なことではどうも答えがいただけませんから、具体的なことで言うのですが、赤坂の議員宿舎の隣に帝産の観光バスの営業所があります。ここには四、五十台車を置いていますが、これは拡声機の騒音と、それからエンジンの騒音と二つあります。エンジンの騒音については、朝は早朝の四時ごろからエンジンをかけて、そしていわゆる始動テストをやって、冬の場合には部屋をぬくめるためにどんどんエンジンをかけっぱなし、地震がひびくような音を出しておる。そして帰ってくるのは、おそいやつは十一時、十二時に帰ってくる。この点について近所からずいぶん苦情が出ているようです。それは朝の四時半ごろの拡声機の放送を聞いておると、これがまたでかい声で「運転手さん、運転手さん、出るときは近所から苦情が出ておりますからエンジンの音を静かにして出てください」とやっているのです。だから直接営業所に対して苦情が絶えずきておるに違いないのですが、その、エンジンの音を静かにして出てくださいという拡声機の音がまた騒々しいのです。こういう矛盾がずっと繰り返されておる。私は赤坂宿舎に行って六年になりますが、六年間ずっと繰り返されておる。この点について私は具体的なことで話を進めていきたいのですが、たとえば拡声機ですが、これは改良しないで、経費を節減してそのままやっているから、一個のでかい拡声機で呼び立てているのですが、これを、運転手のたまりはたまりできまっている、車掌のたまりもきまっている、だからその部屋へ小さい拡声機をつければ十分事足りる。そういう面の改良手段を講じようとしないで、事務所の窓のところに、あるいはまん中あたりにでっかい拡声機をつけて、それでそのあたりじゅう響き聞こえるようにどなり立てておる。こういうことが私は苦情に出ていないはずはないと思っておる。だから、苦情が出なければ取り締まらないということならば、あらためて私のほうから苦情は出します。宿舎の宿舎長に言うと、なかなかこの観光バスの会社がいうことを聞いてくれないのですよ、こう言うのです。こういう具体的な例があるのです。  それから、忙しいようですから私も話を詰めて続けて聞きますが、自動車局長が来ておるから自動車局長にお伺いするのですが、この赤坂の例の帝産観光の営業所ですか、これは初めからここにあったものじゃありませんね。終戦後の適当な時期に、帝産観光は相当早くから東京では地盤をつくりましたから、あの辺の敷地を買収して、そしてあそこにやってきたんだと思う。従来からいえばこのあたりはいわゆる住宅地域で、もうほんとうに静かな理想的な住宅地域なんです。そのところに持っていって観光バス――観光に限りませんが、バスを置いて、そして四、五十台も終日出し入れをするエンジンの騒音、こういう問題があるわけです。これはトラック、観光バスあるいは一般の乗り合いバスの営業所が従来から既設されておる周囲に人家が密集してきたという場合と異なる条件の中に、そういうものが至るところにあるのです。したがって、こういうものに対する取り締まりというものは私は二つあると思うのです。騒音上の取り締まりが一つであります。それからもう一つは、後者の場合に、その地域を自分が買収をして、そして家を取り払ってそこにトラックの営業所をつくる、観光バスの営業所をつくる、こういう場合には、立地条件を考慮して免許をしないという行政措置をとれば問題の解決ができることなんです。トラックの事業についても同じことが言えます。  こういう三つの問題について私は具体的に、騒音取り締まりの立場から、自動車運輸の行政上の免許基準についての今後の考え方をひとつ自動車局長からお伺いしたい。  それから交通指導課長保安課長のほうから、先ほどの拡声機の騒音の所管は保安課長になりますか、あなたのほうになりますか、ひとつこういうものについて手がつけられないのかどうか聞かしていただきたい。それからエンジンの騒音については、運輸省で処置する以前の問題として、騒音についての取り締まりは、やはり広山さんのほうだろうと思うのです。これらについて取り締まりができるかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  108. 坪井爲次

    ○坪井政府委員 自動車運送事業の営業所あるいは車庫の認可の基準でございますが、これにつきましては、たとえば車庫につきましては収容能力が十分であるとか、あるいは雨天の場合の有蓋施設があるかどうかとか、いろいろございますが、特に騒音関係しまして都市計画法、建築基準法、あるいは関係都県条例、農地法等の関係法令に抵触しないかどうか、こういうことが審査の基準の内容になっております。したがいまして、建築基準法によって、たとえば住居地区については五十平米以下については制限がありませんが、これ以上になりますと特別な許可が必要になる。あるいはまた商業地区、工業地区、準工業地区、こういったところについては別に制限がございませんが、住居専用地区あるいは文教地区、こういったところについては車庫の設置は認められない。こういったような制限がございますので、これらについて関係責任者の証明書によって認められるものについてだけ認可する。そういう方針でやっておりますが、赤坂の帝産観光ですか、それの営業所につきましては、現在この法令に違反しているかどうか、あるいは商業地区になっておりますか、住居地区になっておりますか、その辺も調査してみたいと思います。
  109. 雨森和雄

    ○雨森説明員 お答えいたします。私たちの取り締まりの態度といたしましては、苦情が出なければ取り締まらないということは決してございません。われわれといたしましては、警察官が認知し、当然取り締まるべきものは、苦情があろうとなかろうと積極的に取り締まっていく、こういう態度で臨んでおります。  それから、いまの御指摘の件につきましては、軽犯罪法なりあるいは東京都の騒音防止条例に触れるおそれがあると思いますので、その点はよく調べるように下命をいたしたいと思います。
  110. 広山紫朗

    ○広山説明員 道交法のたてまえから申しますと、お話のとおり騒音防止装置その他装置が不良であるために、そういう大きな音を出しまして著しい迷惑を与えている、こういう場合には当然取り締まることができるわけでございます。ただ、これらの保安基準の関係がございまして、装置が整っておれば取り締まりができない、こういうわけです。
  111. 肥田次郎

    ○肥田委員 問題はやはりそこになると思うのです。先ほど丹羽先生も、それから私もいまここで論議の中心になっておる目標というのは、これはあくまで騒音という立場で議論を進めておるわけです。あなたのほうでは、条件が整っておればそれでどうにもならないのだ、こういうように突っぱねられてしまうわけですね。そうすると、条件が整っていない、いわゆる条例その他に違反するようなことがあっても、これは苦情その他の問題が起きてこなければ、できるだけこれはもうそのまま済まされてしまう。できるだけというのは変な言い方ですが、そのままうやむやに済んでしまう、こういうのが実情だとするならば、これはたいへんなことですよ。たとえば具体的にどういうところでどんな音を出してはいけないというような、そういうことまで規制した法律をつくらなければ、条例をつくらなければ、これは防げないということになる。ですから、結果はこういうことになります。国が一つの行政上の取りきめに基づいて認めておることについて、それによっていま言ったような騒音その他の公害が生じるということは、国がそういう公害を起こしたということになります。そのとおりでしょう。国が直接その下手人だ、犯罪者ということになる。これは法律とは関係ありませんよ。もちろん現実に起こってくるところの公害その他のいわゆる問題についての結果的なものについての責任を国が負わなければならない、こういうことになるわけです。  そこで先ほどから人権擁護局長の答弁が、これは丹羽先生もはなはだもの足らないと思い、私もそう思って聞いておりました。そういう場合に、あなたはどういうふうにお考えになりますか。国の法律というものが唯一無上のものであって、人権擁護というものは法律の次にくるものだ、こういうふうにお考えになりますか。たとえば一つの例を航空にとりますと、航空局長は用事があるということで、きょうは帰ってもらいましたが、たとえば飛行機騒音です。飛行機騒音は、特に最近はジェット化が進んでおって、不必要なところまでジェットを使っておる。東京-大阪間のような短距離で、一万メートル上がって、十五分か二十分も水平飛行をやればもうすぐ着陸姿勢に入らなければならない。こういうような地域でもジェット機を使う雰囲気が出てきた。これは私は航空政策上適当ではないと思っておる。けれども、業者はどんどん遠慮なしにそれを進めておる。その結果、ジェット騒音というものが、今日では飛行場の近くでないところでも問題になってきました。  飛行機に一体何人乗っておるかというと、これは延べ人員で大体年間四百万人くらいです。二回、三回、あるいはもっと汽車、電車と同じように乗る人がおります。そういうものを私は大体五〇%程度と踏んでおる。外国人もその中に入っておる。そうすると、四百万のうちの百五十万か精一ぱい二百万くらいの人しかたまに飛行機を利用していない。飛行機を常時利用しておる人がほとんどその半数ということになると、二百万ということになる。その二百万の人のために九千八百万人の人が騒音でしんぼうしなければならないのかということになってくる。空を飛んでおる騒音は防ぎようがないのです。そういう問題も、これはやはり法で認められておる行為をしておるのだから人権以外のものだというふうになるのかどうか。  ここにこういうことを書いた本があります。これははなはだ皮肉なんですが、おもしろいことを書いておりますよ。これは人権擁護局長もお読みになっておると思うのですが、人権擁護局長のはらの中は私はよくわかりますよ。しかし、あなたが口に出して言われることには承服できかねるので、たとえば今日空気汚染、水の汚濁、こういういわゆる大気空気、それから騒音、こういうものについては、みんなが公害性を認めておる。そこで業者がどんどんその公害対策の機械を売り出した。その機械を売り出した宣伝文は、こういうふうに書かれておる。「空気汚染がのどをいため、食慾を減退させぬように、各家庭に空気清浄器を一台」つけましょうと書いてある。それから「台所が、ゴミやちゅうかいの山になり、悪臭と伝染病の発生をまねかぬように、各家庭に焼却炉を」、それから「騒音地獄です。睡眠や勉強不足を防ぐには、遮音ボードと防音ガラスで家庭を武装しよう」「水不足のなやみの解消、電気揚水器」、こういうふうに国の政治というものは何の保障もない。みんなあんたら自衛手段をとりなさいよというキャッチフレーズで、どんどんこれらの機械を製造して、売りさばこうという業者が今日成り立っておるのです。  こういう問題が今日起きておるのに、飛行機騒音は、これはどうにもしかたないものだとか、あるいは自動車の騒音、こういうものはどうにもしかたない、こういうことだけでは済まされないような状態になってきておると思うのですが、この点について、ひとつ人権擁護局長の、法律と、それから人権擁護というたてまえに立っての偽らない気持ちを聞かしてもらいたいと思うのです。
  112. 堀内恒雄

    堀内政府委員 先ほど、騒音その他公害につきましてすべての責任を国が負うべきじゃないかという御質問のようでありますが、非常にむずかしい問題でありまして、すべての公害につきまして国が責任を負うということにつきましては、やや疑問があるのではなかろうかと考えております。また、ジェット機騒音などで、不必要にジェット機が飛んでいるのではないかというお話がありましたが、これもまた非常にむずかしい問題で、結局ジェット機を飛ばすことによる利益と、それによって音などの被害をこうむる人々の利益と、利益と利益あるいは人権人権とが衝突する非常にむずかしい分野でありまして、この限界というものがはなはだむずかしくなるだろうと思います。ですから、非常にむずかしい問題であるというふうに考えられます。  人権擁護と法律との関係につきましてですが、ちょうどこの人権擁護の問題は、法律で違法というところまでいかなくても、違法であるのかどうかというところが非常にむずかしい問題で、私ども、まだ違法といかなくても救済の策のとれるものの分野では救済の道をはかりたいという態度で臨んでおりますが、違法となりますと、そういう行為が許されないということになるわけであります。ですから、たとえば飛行機を飛ばすことが違法であるということはちょっと言えないのです。ですから、正当行為と人権との衝突ということになりますので、非常にむずかしい問題になるというふうに考えております。
  113. 肥田次郎

    ○肥田委員 ことばにすればそういうことになると思うのです。ところが現実には、いわゆる表面的には合法的な体制の中でこれをどうすることもできない事態というものが生まれてきておるでしょう。そういう問題は一体だれが始末をしてくれるんですか。そうすると、あなたの言われるように、やはり自衛手段で自分で解決をしなければならぬ、こういうことになるんですか。私はそうは思わないのですよ。そういうことを相談に乗ってくれるのが人権擁護局だ。法律で始末をしてくれるものは裁判所へ持っていけばいいんです。ところがそういうことのできない階層がありますね。それから、法ではもうどうにも欠点はない、法に違反をしておるようなことはない、しかし、これは法に違反をしていなくてもおかしいじゃないかというような問題が、今日出てきておるところの公害問題だと私は思っておる。そういう問題について相談を持ちかけるのは、あなたのほう以外にないじゃないですか。
  114. 堀内恒雄

    堀内政府委員 おっしゃるとおり、公害の問題は、産業の発達に伴いまして新しく起こりました問題でありまして、その解決を求める窓口といたしまて、ただいまおっしゃるように、私ども法務省の中で人権擁護の機構がありまして、これが一般国民のそういう侵害された人権の擁護という窓口を開いておりますので、私ども当然それに関係いたすわけであります。実際問題といたしまして、法務省の人権機構の中で公害は相当多数解決されております。たとえて申しますれば、小さな町の工場などで音が高くて困るというような場合に苦情がありまして、それを私ども関係いたしまして、へいを高くするとか、あるいは機械を改良するとか、あるいは窓を締めるとかいうような、きわめて身近な対策考えまして解決をはかったという例が非常に多いのであります。だた、いま私どもの分野で解決できないで非常に困っておりますのは、非常に大きな公害になりまして、町ぐるみで被害を受けているというような大きなものが、私どもとしても解決が非常に困難な事情に至っている、そういう段階でございます。
  115. 肥田次郎

    ○肥田委員 私はやはり問題点はそこだろうと思うのです。要するに、昔から大の虫、小の虫ということばがありますが、結局小さい問題は何とか片づけられる。これは大の虫というものが片一方にあって、そうして大の虫の問題はもう手がつけられないが、小の虫の問題なら片づけられるという、こういう範疇に属すると思うのです。そこで私は、先ほど言ったように、公害の責任は本来国が負わなければならぬということを言うわけです。国の一つの制約のもとに、国の指導のもとに、大きな公害というものが必ず出てきているでしょう。これは個人でそんな大規模な公害を発生させるような施設はできるものではない。これは国の一つの体制の中でできておる。結果的に公害だというふうにものごとを考えると、これはあやまちをおかすと思うのです。たとえば警察で取り締まる問題で過失致死という名前がありますね。故意の殺傷ではなしに、誤って人を殺した、誤って人を殺してもこれは犯罪になる。これはもう助かることはないのです。犯罪をのがれることはできません。そこで、大企業が出すところのいわゆる公害というものが、結果的に公害になるかということになると、この考え方というものは、結果的に公害が起こってきたというのではなしに、明らかにこれは加害者の立場でものを見るべきだ。加害者の立場でものを見るということは、これは法律以前の問題として、人権擁護局あたりでこれを取り締まる――取り締まるというよりも、これを論議の対象にのぼせるべき性格のものではないか、そういうふうに私たちは考えておるのです。ですから、そういう性質のものだから国が責任を負わなければならぬ。国が責任を負うべきものを、何とかかんとか現地解決というようなもので済ませるべき性質のものではなくて、十分にこの公害の源泉をなくすということについて、国そのものが政治の手段の中からこれを実現していかなければならぬだろう、こういうことをわれわれは議論しておるわけなんです。ですから、あなた方が今日までいろいろと実現せられた問題についての功績をわれわれは否定するわけではありません。むしろこれを大いに認めて、そうして認めるがゆえに、人権擁護局というものが唯一のわれわれの今日のよりどころだ、こういうふうに思っておるんですから、そこらに幻滅を与えるようなことのないように、ひとつもう少し気持ちを聞かせてもらいたいと思う。
  116. 堀内恒雄

    堀内政府委員 公害をどのように解決するか、私ども人権擁護局立場といたしましては、仰せのとおり、人権を擁護するという立場から、あくまで被害者の救済に当たりたいと考えておるわけでありますが、何ぶんにも産業の発展その他とのいろいろな調和の問題がありますので、問題が非常に大きくなっておるわけでございます。そのために、ただいま仰せられましたように、広い意味で、国全体としての責任であるという、そういうような空気が最近だんだん醸成されておりまして、そのために総理府公害対策推進連絡会議というようなものができたものと思われます。今後それらの面で公害対策が進められると思うのでありますが、私どもといたしましても、将来そういう対策がどんどん立てられていくことを望んでおるわけであります。
  117. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連。いまお話を伺っておりまして、きわめて重要な問題に差しかかってきたのではないかと思うのです。人権擁護局ができましてから十数年たちますが、非常に小さな問題につきましては、お世話をして効果があがった。それはけっこうでございますが、大きな問題になると、率直に言うと、ちょっと手が出ない。そこに私は問題があるのではないかと思うのですが、人権擁護局の方が、個々の人権はもとよりでありますけれども、そういうものの集約されたものにつきましても、やはり大胆率直に擁護局としての見解を披瀝されて、たとえば他の通産省であるとか、厚生省であるとか、そういう官庁にもどしどし国民立場に立って、人権を擁護する立場に立って指令を出されるなり、勧告を出されるなり、なさるべきだと私は思いますが、そういうことは具体的にやられておるのですか。それをまず伺ってみたいと思います。  それから、人権擁護なんという問題は、やはり社会通念として、世の中の進展とともに法の解釈でも変わってこようと思います。したがいまして、ただ出された法の範囲内においてやるというのは、皆さんのたてまえではありましょうけれども、しかしながら、新しい科学技術の発達によってあなた方の立場もやはり進めていかないことには、それは国民としてははなはだ迷惑だと私は思うのです。  そこで、一つの例をあげて、皆さんも十分御案内のとおりだと思いまするけれども、申し上げてみたいと思うのですが、先般来私はある大きな団体の公害対策に対する集会に出席をいたしました。そういたしましたところが、東京都の西多摩ですか、南多摩ですか、三多摩地方の昭島市というところがあります。そこの市会議員の報告でありましたけれども、横田基地ですか、あの辺の基地のことで、もうとうてい住むに耐えない。これはきょう小山さんがお見えになっているが、小山さんの選挙区でもあろうと思いまするが、そういうことについて集団移転の問題が起こる。それで防衛庁はそれを取り上げる。しかし、さあということになると、何か一戸平均六十七万円でもってかわっていけというふうなことになりまして、六十七万円ではもうかわるところがない。幾ら西の端だといいながら、東京都でもかわろうと思えば、どんなに安いところでも、少なくとも一坪三万円しますから、二十坪土地を買えばそんなものはなくなるのだ。かわれというのはけっこうだけれども、現実には、はなはだひどいではないかというふうな報告をしておりまするのを私は聞きましたが、おそらくこういう問題等についても、人権擁護局あるいは防衛施設庁ですか、そういうところとのお話し合いもあっただろうし、やかましい連中でありましたから、おそらくたびたび中央にも陳情もあったと思うのですが、そういう問題の解決の場合に、あまり事態が大き過ぎるからちょっと手がつかぬというかまえは、これはいただけない。それこそ法務大臣とても最大の権限として、堂々とやはりそういうものは被害者の側に立ってやってもらわなければならぬ。小さい問題の解決、けっこうでございます。同時に、大きな問題についても、それ以上の力で、訴える人は代表者とかなんとかいう形でありましょうけれども、やってもらいませんことには、先ほども丹羽さんからもお話があったが、実際いま日本全国の航空基地周辺の住宅というものはひどいものです。これは原因がたくさんあるが、アメリカやソ連のことは参考にならぬと思うのです。まるで土地が広大ですし、ふるさとというか、自分の住んでいる土地に対するものの考え方が日本人とだいぶ違います。非常に広大であるし、それからかわっていくなんということをそう苦にしないところがあります。日本人はそうではありません。  それから、大体日本の住宅の構造がヨーロッパの住宅とまるで違う。ベルリンあたりでは、テンペルホーフ飛行場周辺はすぐに住宅も建っておりますけれども、建物が昔から防寒の関係で二重ガラスになっております。いろいろな状態で羽田なんかとまるで違うというふうな点から、私は、この公害に対する面でも、もっと日本的な、日本の実情に合ったものをもっと堂々とどうしてお出しにならぬのか。外国のデータもけっこうだけれども、日本のそういう木と紙とどろでできた家と悪口を言われておる――いまこれはだいぶよくなりましたけれども、そういう環境の中における防音の問題。それからさらに、特にヨーロッパ人はこういうことが非常にやかましいですから、初めからもうわんさわんさと文句を言います。日本人はしんぼう、しんぼう。まあ地下鉄ができるのだから半年しんぼうだというふうなこと。これが因となり果となってやるというふうなことでありまして、それは人権擁護局の人数や予算の関係があろうと思いますが、私はむしろ十年たってそういう個々の問題をお片づけになったことに敬意を表するが、今回の事態においては、もうここまできましたときには、擁護局として大きくひとつ打ち出す段階にきているのではないか、こういうふうに思います。われわれが公害対策基本法を早く制定しろなどということの中にもそういう気持ちがあるわけです。皆さんにたよっておっては、失礼ながらもうとても手が回らぬし、これはだめだ。個個のことはやる。あたかもおまわりさんが個々の経済事犯を取り扱うのはやる。しかし、人権擁護局としてもっと大きく、法務省としてもっと大きく取り上げるということはあまりやられておらぬし、やっても効果がないとお考えになっているそこがいけない。私は、効果がなくてもよろしい、大いに出して、そうして新聞発表でもしてPRをされて、そうして世論を喚起されるというふうなことまで積極的な施策をどうしてなさらぬかと思うのですが、この点いかがですか。
  118. 堀内恒雄

    堀内政府委員 先ほど申しましたように、大きな公害につきまして、私ども法務省の持っています人権擁護機構でなかなか解決をはかれないのが、私ども自身の悩みであると申しましたが、その理由は、ただいま仰せられましたように、私どもの持っています機構組織の大きさとか、あるいは予算の制約とか、その他によりましてそのような状態になっておるのでありまして、私ども人権擁護機構の拡充あるいは予算の獲得につきましても、今後とも努力いたしたいと思うのでございます。  なお、そのほか、与えられました現在の機構あるいは予算のもとでも、大きな公害につきましてもできるだけ積極的に参与していきたい、こう私自身は考えておる次第でございます。  なお、法務省の措置としまして、他の省に勧告をした例などがあるかというお話でありますが、これは厚木の飛行場の場合の騒音につきまして、調査の結果を自衛隊にお知らせしまして、対策を講じてほしいということをお願いをしたという例がございます。そのほか、法務省の内部の組織であります全国人権擁護委員連合会というのが決議をいたしまして、公害基本法というものができることが望ましいということを総理府あてに上申書を出しておるという例もございます。  おっしゃいますように、私どものほうも、将来この問題の解決のために公害基本法というものができますことは、私ども立場としましては望ましいことでありますので、それにつきましての検討も加えてまいりたいと思います。
  119. 肥田次郎

    ○肥田委員 人権擁護局長に最後に私は申し上げておきたいのですが、先ほども私がちょっと読み上げたように、公害が激しくなってきて、そうしてそのために自分で自衛手段をとらなければならぬ。そのためにいわゆる集じん装置だとか、防音装置だとか、そういう機具あるいは施設、こういうものが業者によってつくられて、そうしてこれによって自衛をしろ、こういうのです。一定の法に定めるところの税金を納めているのに、これらに対する国の保護というものはますます希薄になってきて、そうして住民は、その生活環境がいよいよ侵されてくる。生活環境が侵されれば自衛手段を講じなさい、こういう一つの雰囲気というものが日本の体制の中から生まれてくるというようなことになってくると、これはとうてい個人の力で解決できる問題じゃないのです。いま言っておるような、一戸には必ず集じんと防音と遮音というような、いろいろな施設をつくらなければならぬような、そういう生活状態になってくるというような場合に、はたして国民の何人がそういう生活状態に耐え得るか、こういうことになるだろうと思う。明らかにこのことは、所定の税金を納めながら、いわゆる政治の保護というものは何もない、こういう結果が生まれてきます。私は、いま直ちにそういう問題が全般に起こっているということを言うわけじゃありませんが、部分的には起こりつつある。しかもそれは拡大されつつある。そういう中で、そういう本質的な問題についても、人権擁護局あたりで、先ほどおっしゃったように、公害基本法というようなものについて早急にこれが設けられるように意見具申をしたとおっしゃいますが、もっと積極的なそういう立場からの行動というものをとっていただかなければ、公害というものに対する実際の防ぎようはないのじゃないか。われわれはいまこの場を中心にして公害論争をやっておりますけれども、しかし反面には、これは極端な言い方ですが、通産省は商売人根性、それで一生懸命に企業の生産というものに対してどんどん突き進んでおる。この力は絶対的なものなんです。だから、これに対して対抗できるというようなものは容易なものではないと私は思っておるのですよ。ですから、そういう点について将来もひとつさらに深い関心を払っていただきたい、こう思います。  そこで、あとは別な角度で御質問いたしますから航空、それから自動車、それから保安課長、こうしたところにはもう私の質問はございません。  そこで、時間もだいぶ過ぎましたから簡単に質問をいたしたいと思いますが、これは問題点を夜間における照明などの光の公害性、こういうことで質問を行ないたいと思います。  たまたま問題の焦点にしておりますのは、愛知県の西春日井郡、この付近の名岐バイパスが通っておるところの道路の照明が稲作に被害を与えておる、そして穂が出ない、そのために当該自治団体では、いわゆる春日村の役場ですが、これは公共物が起こしたところの被害だからというので、これを補償する、そうしてことしの四月に十四世帯に対して六万七千余円の見舞い金を払った。こういうふうにいわれておるのであります。これは表向きの表現は見舞い金でありますけれども、内容は明らかにこれは損害賠償的な性格のものであります。したがいまして、照明が稲作に被害を与えたということで、地方自治団体がこれの損害賠償を――これは災害ではなくして、明らかに公害的な性格のものであるという見地から、私は若干の質問を続けていきたいと思いますが、まず、こういう事態があったかどうか、これは新聞記事でありますから、あるかどうかということ、それからこれに類似するような事項が他にもあったかどうか、この点について、わかっておったらお答えをいただきたいと思います。
  120. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいま御指摘の国道二十二号線の名岐バイパスのことにつきましては、過日の新聞に出ておりましたような事実がございました。昨年の稲の生育期におきまして、照明による被害ということで、そういう要求があったことは事実でございます。  それから、過去に照明によるこういうような稲作等の被害があったかということでございますが、これまであまり道路照明については一般的に行なわれておりません。最近非常に交通安全あるいは被害予防というようなことから、照明を積極的にやるようになりました。これまでのところ、私ども、照明による農作物の被害という報告を受けておりません。いまお話の名岐バイパスの照明が実は初めてでございます。ただ類似をしいて申せば、浜名湖の付近で橋の照明をいたしております。この照明のためにエビの漁をするのにしにくいというようなことで、満潮時でございましょうか、海岸側のエビをとる漁師が明る過ぎてとれない、そういうようなお話がありまして、照明に遮蔽をいたしまして、その防止をはかった、そういうような例が一件ございます。他に類似の例はございません。
  121. 肥田次郎

    ○肥田委員 そこで農林省の関係の仮谷さんですか、お伺いいたしますが、この新聞の記事によると、農家の被害の言い分というのがここに出ております。「田んぼの半分ぐらいは、半作の出来だ。街路灯の真下など三百平方メートルは、稲の穂が全然出ないし、少し穂が出ても、いつまでたってもまっ青で実らない。以前は、よくとれたところだし、電柱の影の部分はよく実っているのだから、照明のためだということは間違いない」それから豆をまいても芽も出なかった、こういうふうに言われておるのです。それから名大教授の長戸さんの記事もここに出ておりますが、稲の発育と日照時間の問題について、「稲は、日照時間が短くなるにつれて穂を出し、実るものだ。明るい照明があれば全然穂が出ないこともある。豆電灯でも穂を出さないことがあるくらい、稲は光に敏感な植物なのだ。ただ、早生の品種のものには、日照時間の影響をあまり受けないものもあるから、こんな品種を植えたらいいのではないか」というふうに、一つの解決策、要するに個々の品種によって害があるのだろうから、じゃ、この品種を変えたらいいじゃないか、こういうことも書かれております。  私がここで問題にしたいのは、道路の照明というものが与えるところの植物に対する影響というもので、そうして現在のところ公害性という問題はさておいても、この稲作のような状態が起こるとすれば、これは公害と見るべきものなのか、あるいは公害範囲内には入るだろうけれども、しかし、いわゆる手段が――植物であるから、たとえば品種を変えれば、これによって問題の解決がはかれる、こういうふうに理解をしていいのか。その点について、ひとつ専門の立場で農林省の考え方をお伺いしたいと思います。
  122. 仮谷桂

    ○仮谷説明員 お答えします。  これは農業技術研究所の成績でございますが、稲の適日照限界というものが大体わかっております。つまり、一日の間の日の照っておる日照の限界でございます。この限界が大体わかっておりまして、日本の稲ではごく早いもので十四時間、ごくおそい品種で十二時間、こういうことになっております。それを過ぎてさらに日照が延びてまいりますと、生育日数はだんだん延びてまいりまして、ついに不出穂の状態に立ち至ります。ちょうど電灯の下にありました稲はこういう状態になっておるものと考えられます。したがって、これを逃げる方法といたしまして、いまお話のございました品種によって逃げる手はないか、こういうお話でございますが、実はいま申し上げましたように、日本の稲の一番鈍い品種でも十四時間くらいで、これを過ぎますとだんだん悪くなってくる。それからごく敏感な品種は、普通の自然条件のもとでも、少し天候がおかしいと動いてくる、こういうようなことになる。無理をすれば、一番早い稲を持ってまいりますと、出穂だけはせぬことはないと思いますが、非常にこれは困難なことであります。また、そういうものを導入することが、はたしてそこの農民に対しましてどういう影響を持つかということを考えますと、これは非常に疑問がございます。  それからもう一つの形といたしまして、現在われわれのところで、これは主とした研究じゃございませんが、若干稲の生育と、それから光線の種類との関係について研究を行なっております。この場合、やはり稲の出穂に影響いたします光線の質と、それから人間の目に感じます光線の質というものが同じようなところにあるというようなことで、これをまた逃げていくということも非常に困難でございます。しかしながら、これはさらに研究を積み重ねることによりまして、将来あるいは何かできてくるんじゃないか、こういうふうなわずかな期待を持っておりますが、これは非常に困難な問題だと思っております。  それから、先ほどちょっとお話がございました、豆が発芽しなかった、こういうお話でございましたが、これについては私、全然お答えいたしかねます。現在わかりません。  以上でございます。
  123. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、大体最近ずっと高速道路に相当高燭の照明灯がついてきて、そしてそれが将来そういった類似の、特に一番大切なのは稲作ですが、稲作に被害を与えるということは、いまの状態では起こり得るわけですね。
  124. 仮谷桂

    ○仮谷説明員 申し上げます。実はこの光線によりまして稲の生育阻害を起こしておりますのは、いまに始まったことじゃございません。古くメイ虫を誘殺いたしますために誘ガ灯というのが昔ございました。あの誘ガ灯も、少し光線が強いと、あの誘ガ灯のごく下のところ、まわり約一メートル平方くらいのところがよく青立ちになったことがございます。こういうふうに非常に敏感なのでございます。したがって、この光線の扱い方によりましては、今後やはりこういう問題は警戒しておかなければいけない問題じゃないか、こう考えております。
  125. 肥田次郎

    ○肥田委員 その誘ガ灯のことでちょっとお伺いしますが、こういう問題が起きてきませんか。結局、照明灯が誘ガ灯の役割りをして、そこにいろんな虫が集まってくる。そしてその集まってきた虫が、今度何かそれが虫の巣になるような種類の虫が集まってきて、害を及ぼすというようなことはありませんか。これは角度が違うのですが、新幹線の羽島の駅ですが、あれは周囲に家も何もないというので、あの駅の照明灯に対して無数の虫が集まってきて、そして列車がついて戸をあけたら、とたんに車の中に虫が飛び込んできて、大騒動をしたということがあります。それは別な話ですが、要するに、この誘ガ灯の役割りをしたために、そこにかえっていろんな害虫的要素をその周囲に残していく、こういうことはありませんか、簡単でいいですから。
  126. 仮谷桂

    ○仮谷説明員 若干虫がふえるということは当然想定されます。しかし、これに関しましての数字的なものは持っておりません。おわび申しげ上げます。しかし、そこに若干虫が集まってくるということは想像にかたくございません。
  127. 肥田次郎

    ○肥田委員 それじゃ次の質問。今度は建設省に主としてお伺いしたいのですが、結局これは新聞ですから、私、あまり当てにせぬということじゃないのですが、どこに間違いがあるかということの範囲で聞くのですが、こういうことがあったために、工事事務所ですかに対して、消灯方を申し入れて、そして路肩の面を一つだけ消した、こういうふうに出ておるのですね。ところが、この図面を見ると、どうもこれは理解できないのですが、T字型の照明灯が道路に並行してT字型になっているのですね。これは照明学上おかしいのじゃないですか。これは本来なら道路を照らすのですから、路肩や道の外を照らす必要はないわけですから、ガードロープやレールがついておるのですからね、この道路については。ですからそういう点について、この書いてある図面がおかしいのか、それともそういうような、いわばこれは簡単にいうと、もう照明を十分ということでこういう形になっておるのか、ていさいでなっておるのか、この点どうなんでしょうね。
  128. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 その図面が適切かどうかちょっとわかりませんが、私どもでつくりましたのは、あの道路は中央の高速車線と、それから両側に側道を設けております。そこでこの照明は、T字型に、ちょうど中央道と側道との間に設けてあります。したがいまして、そのランプによりまして、中央線の車線と、それから片側の側道のほうと両方照らすことになっておりまして、いまお話のように道路の路肩の側に設けておりません。それから設けておりますのは、他の道路との交差点に設けております。いま問題になっておりますのは交差点だけであります。交差点の四カ所にいま申し上げました位置に設けておりますから、照明効果上は一番道路に対してはいいということで設けたわけでございます。
  129. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは技術上の問題で私も詳しくはわかりませんが、道路の照明については、もちろん必要な光度というものの数値というものはきめておるのでしょうね。トンネルなんかの特殊な場合は別にして、そういうことは当然されると思うのです。  それから器具については、これは道路工事の担当者で設計をして器具をつくるのですか、それともこれは照明器具屋にまかしてつくらせるのですか、これはどういうことになっておりますか。
  130. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 照明の光度はもちろんJIS規格によりまして、トンネルの場合は何ルクス、あるいは他の場合は何ルクスということがきまっておりまして、私どもその基準によってやっております。  それから照明器具の設計につきましては、道路管理者が、工事をします場合に大体いまのような立てる位置あるいは必要の照度あるいはランプの性質といいますか、たとえば水銀灯であるとかあるいはナトリウム灯であるとかということを設計いたしまして、これを照明専門のメーカーにつくらせる、こういうことになっております。
  131. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、これは私は実はしろうと考えで言うのですが、交差点の部分だとか、あるいは特殊な道路の部分だとかいう面も、これはそれぞれ異なった設計になっておると思うのですが、しかし、総じて言えることは、何か照明灯の光量が必要以上に多いんじゃないかという気が私はするのです。たとえばこれも新聞に書いてあるのは、こういうように書いてありますよ。これは交差地点なので一基に二灯つけたT字型で七百ルクスだ、こう書いてあるのですね。交差点あるいはインターチェンジのような部分ですね、これはあちらこちらにあるので見てみても、ずいぶんりっぱなものです。これほど光量が必要なのかどうかという気が、けちくさい根性かもしれませんがするのです。もしこれがもっと必要の範囲内にとどめられるような光量というものをお考えになると、ものごとはだいぶ異なってくるのではないか、こういう気がします。これはただ単に虫害あるいは稲作に与える被害、こういうことではなしに、高速道路だからといって、たんぼの中や山の中を走っているとは限りません。東京都内のように縦横に走っているのはみな都心を走っているわけです。必要以上の明るさというものがどれだけ一般民家に影響を与えておるかということも、これはいろいろと御承知だろうと思うのですが、この点はどうでしょう。  それからもう一つ、いま使われておるのは大体ほとんど水銀灯ですか。それ以外の何か特殊な発光装置というものを使っているのですか。
  132. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 いまの照明の必要度合いでございますが、これは先ほど申しましたように、JIS規格で一応規定されておりますものを標準に私どもはやっております。ただお話のように、感じとしては従来の照明の場合に比べますと非常に明る過ぎるという感じは確かにあると思います。それは一般的に従来はほとんど照明しておりませんから、そういうのに比べますとかなり明るいということは事実でございます。この明るさを必要といたしますのは主として交通事故防止という観点であろうと思います。たとえば交差点でございますと、横断の歩行者がありますということで、歩行者をできるだけ運転者が事前にはっきり見得るようにするというようなこと、あるいはまたカーブその他の地点で、前後の状況を非常に明るいもとで知らせるというようなことから設けておるのでございまして、もしこれがもう少し少ないルクスで済むならばそれに越したことはございませんが、一応JISできめられているものを私どもは基準にしておるわけであります。  それから、ことに水銀灯のほかにあるかということでございますが、私どもは他の光の種類といたしましてはナトリウム灯、ダイダイ光のナトリウム、これを採用いたしております。これはどういうものかと申しますと、電気料金としてはナトリウム灯のほうが経常的にいいますと非常に安く済む。ただ施設費がそのかわり相当高価であるというようなことで、また場所によっては霧に対して非常に透視力が強いということで、そういう地点ではナトリウム灯を採用しておる。それぞれいろいろ違いがございまして、大体そういう二種類を多く採用いたしております。それからなお、従来御承知のように螢光灯をもちろん使っておる場合もあります。これは照度の点からいいますとやや落ちる、それから光源の寿命と申しますか、そういう点からいっても落ちるという欠点がございます。
  133. 肥田次郎

    ○肥田委員 ここでその前に私はお伺いしたいのは、愛知県警の交通部長の馬渡という人が、交通事故防止のためには、照明灯は一基でも多いほうがいいし、明るいほどいい。ところが、これを消さなければならぬということになったら、これは困ったものだと、こういうふうな言い方をしたんです。警察の言っておられるのは、とにかく明るいほうがいい、事故をなくするものだ、これはわかるのですが、こういうことと建設省との間のものの考え方について私はお伺いしたいのですが、いま言ったことをもっと裏を返していえば、警察の交通関係者からの意向というものが取り入れられて、そうしてこの道路の明るさというものが事故防止というたてまえからよくなっていくということもあるでしょうし、それからまた道路建設業者そのものの設計の上からそういうこともある。こう思うのですが、しかし、現実に道路の照明灯というものは、私は、ちょっとした印象でも少し明る過ぎるという印象を受けるのは、それは交差点なんかの場合には明るいほうがいいと思います。しかし、インターチェンジなんかの場合にはその必要はありません。大体局速を出す必要はありませんし、インターチェンジなんかの側線にそれようという場合には、これはスピードはうんと落ちるし、これはずいぶん明るい。これはだいぶ誇大に宣伝的な明るさだと思うのですが、もしほんとうに光線が必要なのなら、町の重要部分の交差点をもっと明るくして、そして人が歩いておってもよく見えるようにしなければならぬ。ところが、そのほうはさっぱり手が入れられないで、新しくできる道路だけがたいへんな明るさ、たいへんな金をかけたりっぱなものができる、こういうことになってきていると思うのです。ですから、そういう面で私は必要性は考えるけれども、どうも必要以上の明るさというものがあるんじゃないか。ことに自動車というものはみずから道を照らして走る機能を持っておるのですから、そうなってくると、道路というものが、高速道路については、もう明るくしろ明るくしろというようなことになってくると、結局めくらのちょうちんみたいに、自動車のヘッドライトというものはただちょうちんなんだ、道の明るさというものは、いわゆる街路灯がこれを照明してくれるんだ、こういうように設計者が錯覚を起こしておるんじゃないかという気がするのですが、私の言うことも極端ですけれども、設計者のほうも、えてして不必要にそういう考え方のほうへ走る場合がありますから、そこはどうなんでしょうか。
  134. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 一般的には、非常に人の多いところあるいは車の多いところの照明を完全にすべきであるという考え方に私ども立っております。したがいまして、道路におきましても、非常に交通量の多い幹線道路、あるいはいまお話しのような都市内街路、これの照明をやることが大事だと思います。そこでいままでの都市内は両側にビルディング、民家もございますし、何となく明るいからやられていない場合が多かったのでありますが、いまお話のように、東京あたりで街路灯をやるべきところがたくさんございます。積極的にやるべきものだと考えております。  それから高速道路につきましては、これはいま非常に高速で走っておる、それがインターチェンジに入るために必要な速度に落とすというのは、スピードが本線と側線と非常に違っておりますし、車線の幅もそれだけ狭くなるというようなことから、特に照明を完全にしておるというきらいもございます。きらいというか、そういうことにしておるわけであります。それはほかの国でもやっております。高速道路につきましても、インターチェンジ付近については明るくしておるという事実がございます。いままで幸いにして、そういう照明がなかったための不完全による事故はございませんが、特にスピードを出しております高速道路の安全を期するというつもりでやっておるわけであります。高速道路の途中におきましては、もちろんこれを全線照明するというようなことは私ども考えておりません。よほど交通量が多くて、やはり車が通行するために照明したほうが安全である、照明していないために事故が多いという事実がない限り、全線にわたって高速道路だから照明するというような考えもございません。大体そういうようなことで、いままでごらんいただきますと、なぜここにないだろうかという点が各所にあろうかと思いますが、警察庁のほうと私のほうと共同いたしまして、こういうところに必要であるという観点から照明につきまして積極的にやっていきたいということで、この通常国会でも交通安全施設の特別の立法をお願いしたわけでございます。なお、やり方につきましていろいろ御指導をいただくこともあるかと思いますが、私どもはそういうつもりでできるだけ整備を進めたいと考えておるわけでございます。
  135. 広山紫朗

    ○広山説明員 愛知県の部長の話でございますが、これは聞きましたところ、暗いところの照明というものが事故防止上非常に必要だ、こういうことで、強調した、一般論として話した、こういうことでございます。私どものほうとしましては、照明の効果というもので、三十九年のときに全国で設置しました街路照明について、その付近で起こりました事故の前後六カ月を比較しました資料をとりましたところが、大体交通事故の件数において三割程度減少しておる、こういう数が出ております。こういう点もこの部長は知っておりまして、照明というものが交通事故防止上非常に効果があるものだ、こういう意味のことで話したようなわけでございます。
  136. 肥田次郎

    ○肥田委員 はしょって伺いますけれども、そうしたらこういうことは考慮の対象になりますか。これはたとえばの例ですが、いま直ちにこれがどうにもならない、いわゆるこれはあくまで街路照明灯のことですよ、街路照明灯がどうにもならない、いわゆる公害源だということには私はまだ断定いたしませんが、もしそういうふうな状態がひんぴんとして起きる、いわゆる街路照明というものが、今日の状態のままではおそらく私はまだまだ明るくなっていくと思うのです。そしてそれによっていろいろな農作物の被害が出てくる。そうすると、これは明らかに公害対策という問題に触れてくるでしょうし、そういうふうないわゆる照明の光度というものが、公害源だというふうなことがもし起こるような場合には、当然いわゆる照明基準というものについてはこれはもう再検討されますね。これはそうしなければ、いまの状態では、私はもうまことに単純なものだとは思いますよ。ただ地方自治体が道路の光によって受けたところの農民の被害だから見舞い金、これで解決しよう、そうして地方の役場が金を出した、こういうのです。ところが、こういうことがひとたび公になると、これは稲作に限らず、至るところで必ずこの問題が起こってきます。そうなってくると、建設省は全部地方まかせということでは済みませんから、したがって、これは多分に公害性を持つ懸念があるということできょう私は取り上げてみたのですが、そういうことが起こる可能性があると思うのですが、あなたのほうもそういうことを前提にして、いわゆるこの道路の照明光度基準というものについて再検討をしていただく時期がぼくは来ているんじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  137. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この農作物被害は実は初めてでございます。私どもも予想しなかったわけでございます。いまお話のようなことが一般的にあり得るとするならば、そういうことがないようにしなければならない。といって片方、道路の照明をやめるわけにもいきませんので、照度を下げるとかいう問題で解決すべきか、あるいは照明の方法の技術あるいはその管理の方法、たとえば交通量がある程度減ってまいりますれば照度を低くするというような管理、そういうこともありますでしょうし、先ほどちょっと例に引きましたエビの漁獲の際にとりました措置、そういうことによって解決したわけでございます。そういうような照明技術の方法によっても解決できると思います。したがいまして、これはまた専門の農林省のほうとも御相談しながら、どの程度まではやむを得ぬかということで、照明について十分研究したいと思っております。昨年の問題でございますが、今後、ことしの農作物に対しては少なくともそういう配慮をしていきたいというつもりでいろいろ研究したいと思います。
  138. 肥田次郎

    ○肥田委員 技術的にもずいぶんまだ改良の余地はありますから、研究といいますか、余地はありますから、そうすることによって当面私はこれを防ぐことが可能だと思います。いわゆる外側に向かっての遮蔽のような装置を施せばこれは可能だと思いますから、そういう点についてはひとつ御検討をいただきたいと思います。  そこでもう一つ、これは道路の照明でなしに、住居関係で、これは通産にお聞きしたらいいんですか、広告用の照明ですね。このことについていろいろ今日までも問題が起きておりまして、広告物の規制のほうを見ても、たいしてこれには具体的な面がないのです。きわめて抽象的なことなんですが、そこでこの都心におけるところの最近の光を対象にしたところのいわゆる公害的な性格のものを摘出しようとするなら、やはり広告塔というものが当然対象になってくる、こう思うのですが、これに対する規制というものはどういうふうにおやりになっておるか。たとえば広告塔のいわゆる明るさ、それからこれを夜になってスイッチを入れて、そして何時くらいまでならいいというような制限を設けておられるかどうか、この点ひとつ何か資料があったらお答えをいただきたいと思います。
  139. 小林忠雄

    ○小林説明員 それは通産省にお聞きでございますか。
  140. 肥田次郎

    ○肥田委員 いや、建設省でもどちらでも、あなたでもわかったら………。
  141. 西山敬次郎

    ○西山説明員 ただいま通産省という肥田先生の御質問でございましたが、たしか屋外広告物の取り扱いは建設省のほうになっていると思います。
  142. 小林忠雄

    ○小林説明員 屋外広告物を建設省の都市局で所管をいたしておりますが、現在の屋外広告物法は、ちょうど警察制度が変わりました際、各種の行政警察法規を各省にそれぞれ分解いたしました際に建設省のほうへまいった法規でございます。警察当時の広告物の取り締まり法というのは、安寧秩序を保つというようなもう少し広い意味があったわけでございますが、建設省のほうにまいりましたので、もっぱら美観風致の推持及び公衆に対する被害の防止という、わりあい狭い範囲内の法律になりまして、その内容はすべて都道府県の条例にゆだねられております。  それで、ただいま御質問のございましたネオンサイン塔の問題でございますが、これは二つありまして、一つは、屋上に装置したりしました装置等が何かの際に落下をするというような、構造設備が不十分なために民衆に危害を加えるというようなものにつきまして、これを禁止または制限をするということが都道府県の条例でできるようになっております。もう一つは、住居専用地区というような住民の安寧を保つ必要があるようなところにそういうようなものがありますと、美観風致を害する、あるいは住民の静穏を害するというような点がございますので、これも都道府県の条例で、住居専用地区とか風致地区というようなところにつきましては屋外広告物の掲出を禁止または制限できることになっております。
  143. 肥田次郎

    ○肥田委員 その辺のことは私も読んだのですが、私がいま問題にしているのは、構造というよりも最近の広告塔の明るさという問題です。最近の複雑な、しかも高度な位置に非常な強い明るさを持った広告塔、これはおそらく規制ができないからああいうふうに野放しのような傾向になっておるのじゃないか、こういうふうに私は考えるのですか、そういうものの構造については――いわゆる広告の構造ですよ、広告塔の構造ではなしに。そういうものについては何らの規制もいまはないわけですね。たとえば先ほど言ったように、明るさはこれ以上になってはいけないとか、あるいはまた、いわゆる広告塔があかりをつけておく時間は十二時なら十二時までというような制限を加えないで、業者がかってに、いわゆる経済的に見て夜通しつけておくときにはそれだけ広告価値が上がるというような場合には夜通しつけておくんだというような、こういう放置されたままのものかどうか、それを取り締まるような法規というものはないのか、こういうことをお聞きしたわけです。
  144. 小林忠雄

    ○小林説明員 構造物自体の問題につきましては、先ほど申しましたように公衆の危害防止のための制限がございますし、それからビルの屋上等にさらに大きな広告塔を載せるというような場合に、これが工作物と認められる程度のものにつきましては、建築基準法でその高さでありますとか、あるいはその強度というようなことをそれぞれ規制するようになっております。それから電気的な問題についての電圧とか、そういうようなものは通産省のほうで電気工作物の関係で取り締まりをしております。  それからネオン塔の色でありますとか、意匠でありますとか、光度でありますとか、そういうようなことも、美観風致の維持というような点から、そういう条例で規制をすることは可能でございますが、実はどういうようなものが美観風致に合っておるかということは非常に議論がございまして、パリのように、原色を禁止して全部中間色で統一しているようなところもございますし、あるいは東京のように、そういう非常に毒々しいのが非常にいいんだというような批判かありまして、そういうことについてなかなか取り締まれないところもございます。ただ、各都市によりまして条例がまちまちでございますので、条例では可能でございますけれども、現実にそういうことをやっておりますかどうか、これはちょっと調査しないと、ただいまのところはっきりお答えできない状態でございます。
  145. 肥田次郎

    ○肥田委員 きょう私が取り上げているのは、やはり光の度合いというものを中心にして取り上げておるわけです。ですから、広告塔の構造だとか高さだとかというものはさておいて、それから色合い、だとかいうようなものもさておいて、点滅式の光度の強い広告塔だとか、あるいは非常に強い明るさを持つものが終夜つけっぱなしになっておるとか、こういうものについての規制ということについて聞いたわけです。そこで私がこれを問題にしておるのは、実は先ほどの都心部を走っておる高速道路の照明、それから広告塔の非常に強い明るさを放つ光線、こういうものが一般民家に与える影響というようなものをお考えになったことがあるだろうか、こういうことです。これは建設省に対してもそうですし、厚生省に対してもそうですし、それからおそくなって恐縮ですが、人権擁護局長に残っていただいているのも、問題点を私はそこにしぼっていきたいと思います。ほかの面はあらためて申し上げるとして、私、いま問題にしておるのは、最近やたらにそういう夜の光というものがふえてきて、そしてちょっと簡単な表現を用いれば、薄暗い部屋なんかは夜のほうが明るいんですよ。いわゆる太陽の光線は上からだから届かない場合があるけれども、水平やあるいけ下部から発射されるところの光線は、夜のほうが普通の民家は明るいという現象が起こってきておる。したがって、こういうことが一般民家にどのくらいの影響を与えるだろうかということを、私もいろいろ体験をしてみました。たとえば冬は戸を締めて寝ますからそれほどじゃないのですが、夏なんかになってくると、暑いから窓もあける。そうすると外のけばけばしい明るい広告塔の光線あるいは道路の強い照明、こういうものが屋内に入ってきて、ほんとうに家で灯をつけなくても本が読める、こういう状態が今日出てきておる。これはどういう問題を起こすかといえば、いわゆる正常な睡眠をとれないという問題を必ず引き起こしてくると思うのです。結局、夜寝ようにも寝られない、こういう現象が至るところに起きてきておる。先ほど丹羽さんのお話にもあったように、子供が勉強するのに騒音でできない。今度は逆に、いよいよ勉強も済ませて寝ようと思っても寝つかれない。それは外の明るさというものが屋内に入ってきて寝つかれない、こういう問題が出てくる。これは当然だと思うのです。先ほど道路の照明は、インターチェンジの付近では七百ルクスかあるということですね。ところが、家の中の照度というものは精一ぱい五、六十ルクスです。百ルクスあるというところは、よほど考えた照明をやっておるところでないとないのです。みんないわゆる薄暗い。薄暗いということになると、四十ルクスから七十ルクスくらいまでの間だと思ってさしつかえない。そういうところで、電気をつけておってもつけてなくても同じような状態だという条件が、これは東京に限らず各地域中心にはたくさんあると思っているのです。ですから、広告塔なんかは時間的にこれを消させるとか、あるいは不必要な光線については制限を加えるとか、また都市におけるところの高速道路なんかの場合には、外に光を漏らす必要はないから、道路だけを照明するように遮蔽したところの、方向をきめたところの照明器具、こういうものを用うべき指導というものがなされなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えるのです。したがいまして、私は、こういう問題は、おそらく今日まで、建設省の話ではありませんが、苦情が出なければまあ取り上げられたためしはないのじゃないかと思います。したがって、今日こういう問題が起こってきたことのついでにというわけじゃありませんけれども、かねがね私は、光線というものが、不必要な明るさというものがいかに人間生活に悪影響を与えるかというようなことを考えておったので、結論を簡単に申し上げますと、通産あるいは厚生、それから建設省の道路の照明、こういうものについては十分な検討をいただきたいと思うし、それから人権擁護局長に残っていただいたのも、こういう新しい問題が今日起こりつつあるということで、こういう問題についても将来の検討の対象にぜひしていただきたい、こういうことを私は考えておるわけであります。したがいまして、ひとつそれぞれの関係から、こういう問題はもう現在の科学の進歩の上ではどうにもならない問題だというふうにお考えなら、そういう返事もいただいて、またあらためて議論をすることにいたしますし、そうではなしに、今日こういう問題もないがしろにできぬ問題だ、当然いわゆる検討の対象に値する問題だというふうにお考えなら、それをひとつ聞かしてもらって、きょうの質問は終わりたいと思います。
  146. 井手以誠

    井手委員長 順次各省からお答えをいただきたいと思います。
  147. 堀内恒雄

    堀内政府委員 光が明る過ぎるがどうかという問題でありますが、私ども人権擁護立場から申しますと、平和な市民生活が害される場合には、私ども人権擁護立場からこれを取り上げまして、何らかの救済策を考えるということをいたしておるわけであります。ですから明る過ぎて夜も眠れないというようなことが、申し出がありますれば、私ども人権問題としてやはりそれを取り上げまして、処置をすることになると存じます。実際に取り扱いの実例は、取り調べませんとわかりませんが、あまりいままでは例がなかったと思います。明る過ぎるという問題は、それが公害であるかどうかということは別といたしまして、とにかく平和な市民生活が害される場合には、広告塔などがありまして、相当多数の人がそれによって害をこうむるということになりますと、私ども公害として取り上げますし、また、そんなに大ぜいの人でなくても、お隣だけの生活が非常に支障を来たすというような場合であれば、やはり相隣関係公害問題として取り上げる、こういうことになると存じております。どの程度までの明るさになれば平和な市民生活を害するのかという基準の問題は、私ども、現在までまだ検討いたしたことはございませんが、将来の問題としましては、仰せられますとおり検討いたしたいと存じております。
  148. 小林忠雄

    ○小林説明員 屋外広告物法の現行法の範囲で申しますと、これは美観風致の維持と、公衆に対する危害防止と、二つ目的がありまして、美観風致の維持という点で、非常に明る過ぎるから美観風致を害するというような例は、いままであまり聞いたことはないわけでございます。問題は公衆に対する危害を防止するという範囲でございますが、これは、この法律ができまして以来、大体公衆の身体、生命に対する直接の危害、たとえば上から広告物が落ちてくるとか、あるいは交通信号のそばにネオンがあるために交通信号を見間違えて交通事故を起こすというような、きわめて直接的なものだけ考えておりますので、ただいまお話のような問題は、現行法の範囲内で読めるかどうか、これは新しい問題でございますので、研究をさせていただきたいと思いますが、これは実は条例にまかしておりますので、主要な都道府県でどのような問題が起きておりますか、こういう問題、御質問がございましたので、さらに調査をいたしたいと思います。
  149. 高瀬光弥

    ○高瀬説明員 お答えいたします。通産省で行なっておりますのは、電気の施設の電流に対する安全、そういう点が工作物規程と関係しておりまして、光度その他については、先ほどの広告物法をむしろ検討していただくのが妥当じゃないかと思ます。
  150. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路の照明につきましては、先ほど大体お答えいたしましたが、実は、いまのところ都市内については、どうしてもやってくれというような要望が非常に強うございまして、そこで、私どもは、いま御指摘のような問題があるというふうにいままで考えておりませんでしたが、少なくともイネについてはそういうような事実はございますので、積極的に対策を講じたいと思います。なお都市内の、先ほどお話のような明る過ぎてどうこうという問題につきましても、もしそのようなことがあれば対策を講じなければならぬと思っております。しかし、少なくとも舗道までは照らさなければならぬ、こういうふうに考えております。  照度につきましては、七百というのは、これは七百ワットでございまして、地面における照度というものは先ほどのJISにきめられておりますような大体七ないし十五ルクス、こういう照度でございます。七百というのはワットでございます。これは念のために申し上げておきます。
  151. 橋本道夫

    ○橋本説明員 光による公害という問題でございますが、実は審議会のときに未規制公害の小委員会で光の問題が出まして、そのときの光の問題の取り扱いは、昼間、従来受けていた太陽の光が横の建築物でさえぎられるといったことから出された問題でございまして、先生のおっしゃいましたような、夜非常に明るくなって困るというようなことは、私個人としても経験がございますが、その問題を学問的に取り上げたという事例は、昨日生理衛生の関係の人に二、三当たってみましたら、そういう形ではなかったように思います。ただ建築衛生上の問題として、住居の中の夜寝る場合の照度はどのくらいのものであろうかということは、一応住居基準として、建築衛生の専門家も公衆衛生院におりますので、そこに一応聞いてみたいと思います。生活妨害としては成り立つか知りませんが、生理衛生のほうの立場の人からいいますと、それは非常に問題として取り上げるほどとは思わないといったことが、昨日二、三照会をした範囲内での答弁でございました。私どもといたしましても、そういった観点で特殊な調査をするというところまでは、いまお約束いたしかねますが、建築衛生と生活妨害という問題で注意を払っていきたいと思っております。
  152. 肥田次郎

    ○肥田委員 いままたいろいろ聞きたいこともできてきましたけれども、もう五時を回りましたから、あらためてまた機会を見て質問することにいたします。きょうはこれで終わります。
  153. 井手以誠

    井手委員長 明九日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会