○中井
委員 ちょっと関連。いま
お話を伺っておりまして、きわめて重要な問題に差しかかってきたのではないかと思うのです。
人権擁護局ができましてから十数年たちますが、非常に小さな問題につきましては、お世話をして効果があがった。それはけっこうでございますが、大きな問題になると、率直に言うと、ちょっと手が出ない。そこに私は問題があるのではないかと思うのですが、
人権擁護局の方が、個々の
人権はもとよりでありますけれ
ども、そういうものの集約されたものにつきましても、やはり大胆率直に擁護局としての見解を披瀝されて、たとえば他の通産省であるとか、
厚生省であるとか、そういう官庁にもどしどし
国民の
立場に立って、
人権を擁護する
立場に立って指令を出されるなり、勧告を出されるなり、なさるべきだと私は思いますが、そういうことは具体的にやられておるのですか。それをまず伺ってみたいと思います。
それから、
人権擁護なんという問題は、やはり社会通念として、世の中の進展とともに法の解釈でも変わってこようと思います。したがいまして、ただ出された法の
範囲内においてやるというのは、皆さんのたてまえではありましょうけれ
ども、しかしながら、新しい科学技術の発達によってあなた方の
立場もやはり進めていかないことには、それは
国民としてははなはだ迷惑だと私は思うのです。
そこで、一つの例をあげて、皆さんも十分御案内のとおりだと思いまするけれ
ども、申し上げてみたいと思うのですが、先般来私はある大きな団体の
公害対策に対する集会に出席をいたしました。そういたしましたところが、東京都の西多摩ですか、南多摩ですか、三多摩地方の昭島市というところがあります。そこの市
会議員の報告でありましたけれ
ども、横田
基地ですか、あの辺の
基地のことで、もうとうてい住むに耐えない。これはきょう小山さんがお見えになっているが、小山さんの選挙区でもあろうと思いまするが、そういうことについて集団移転の問題が起こる。それで防衛庁はそれを取り上げる。しかし、さあということになると、何か一戸平均六十七万円でもってかわっていけというふうなことになりまして、六十七万円ではもうかわるところがない。幾ら西の端だといいながら、東京都でもかわろうと思えば、どんなに安いところでも、少なくとも一坪三万円しますから、二十坪土地を買えばそんなものはなくなるのだ。かわれというのはけっこうだけれ
ども、現実には、はなはだひどいではないかというふうな報告をしておりまするのを私は聞きましたが、おそらくこういう問題等についても、
人権擁護局あるいは
防衛施設庁ですか、そういうところとの
お話し合いもあっただろうし、やかましい連中でありましたから、おそらくたびたび中央にも陳情もあったと思うのですが、そういう問題の解決の場合に、あまり事態が大き過ぎるからちょっと手がつかぬというかまえは、これはいただけない。それこそ法務
大臣とても最大の権限として、堂々とやはりそういうものは
被害者の側に立ってやってもらわなければならぬ。小さい問題の解決、けっこうでございます。同時に、大きな問題についても、それ以上の力で、
訴える人は代表者とかなんとかいう形でありましょうけれ
ども、やってもらいませんことには、先ほ
ども丹羽さんからも
お話があったが、実際いま日本全国の航空
基地の
周辺の住宅というものはひどいものです。これは原因がたくさんあるが、アメリカやソ連のことは参考にならぬと思うのです。まるで土地が広大ですし、ふるさとというか、自分の住んでいる土地に対するものの
考え方が日本人とだいぶ違います。非常に広大であるし、それからかわっていくなんということをそう苦にしないところがあります。日本人はそうではありません。
それから、大体日本の住宅の構造がヨーロッパの住宅とまるで違う。ベルリンあたりでは、テンペルホーフ
飛行場の
周辺はすぐに住宅も建っておりますけれ
ども、建物が昔から防寒の
関係で二重ガラスになっております。いろいろな状態で羽田なんかとまるで違うというふうな点から、私は、この
公害に対する面でも、もっと日本的な、日本の実情に合ったものをもっと堂々とどうしてお出しにならぬのか。外国のデータもけっこうだけれ
ども、日本のそういう木と紙とどろでできた家と悪口を言われておる――いまこれはだいぶよくなりましたけれ
ども、そういう環境の中における
防音の問題。それからさらに、特にヨーロッパ人はこういうことが非常にやかましいですから、初めからもうわんさわんさと文句を言います。日本人はしんぼう、しんぼう。まあ地下鉄ができるのだから半年しんぼうだというふうなこと。これが因となり果となってやるというふうなことでありまして、それは
人権擁護局の人数や予算の
関係があろうと思いますが、私はむしろ十年たってそういう個々の問題をお片づけになったことに敬意を表するが、今回の事態においては、もうここまできましたときには、擁護局として大きくひとつ打ち出す
段階にきているのではないか、こういうふうに思います。われわれが
公害対策基本法を早く制定しろなどということの中にもそういう気持ちがあるわけです。皆さんにたよっておっては、失礼ながらもうとても手が回らぬし、これはだめだ。個個のことはやる。あたかもおまわりさんが個々の経済事犯を取り扱うのはやる。しかし、
人権擁護局としてもっと大きく、法務省としてもっと大きく取り上げるということはあまりやられておらぬし、やっても効果がないとお
考えになっているそこがいけない。私は、効果がなくてもよろしい、大いに出して、そうして新聞発表でもしてPRをされて、そうして世論を喚起されるというふうなことまで積極的な施策をどうしてなさらぬかと思うのですが、この点いかがですか。