○肥田委員 そこで先般、四月十二日に各参考人が見えていろいろ公述をされた中で、三重県の特殊な事情にあることは私も肯定いたしますが、三重県立大学の吉田教授が話をされた中で、簡単に集約すると、こういうことが載っておるのです。これは確かにお医者さん、いわゆる学者は学者の立場、こういうことで言われたと思うのですが、「今日
産業公害の中心問題になっております亜硫酸ガスの問題は、すでに数年前われわれが石炭から石油へのいわゆるエネルギー転換を行なうときにある意味では予期されておった問題でございます。さらにもう
一つは、このような石油の大量使用ということは、効率の高い近代的な大容量
施設で行なわれる場合が多いので、したがってそういうような
施設では結局
一つの
施設から十数トンに及ぶ亜硫酸ガスを排出する、こういうことになります。現実に四日市市で昨年の一日の亜硫酸ガスの総排出量が約四百三十トン、年間にいたしますと実に十四万トンに及んでおります。これは卑近な例をとりますと、浅間山の亜硫酸ガスの排出量は年間約百トン
程度でございますから、結局約千四百個
程度の浅間山を集めて噴火さしたと同じ量だということになります。」こういうふうに書いてあるわけなんです。さらにずっとこの記録には、非常にわれわれが参考に値する各地域の問題も出ております。
そこで要するに、大量の亜硫酸ガスが近代
施設の中からは予想されるということを前提にして、私は先ほどゼネラル石油の製油能力というものもお聞きした。それから堺発電所の将来の
施設が二百万キロワットアワーになる。現在はもう間もなく百万キロ、こういうことになりまして、したがってこれを前提にして私はお伺いするのですが、たとえば堺の地勢というものを見てみますると、いわゆる堺の東部というのは、これは大体生駒山系です。これはあまり高くないのですが、六百から四百五十メートル
程度の山系がある。それから少し南に振ると、今度は金剛山系があります。この金剛山系はだいぶ高くなって、金剛山の一番高いところは千百二十メートル、葛城山は九百六十メートルくらい。それからずっと今度は南に走っておる和泉山脈、この壁はごく普通の低い山脈のように見えるけれ
ども、実際には大体八百から九百メートル近いところの山々がずっと続いている。この
一つの壁というものを考えてみれと、東からずっと南へこれが大体二十キロから二十五キロの範囲で大きな壁ができておるのですね。この壁を中心にしてどれだけの人が住んでおるかというと、大阪府の人口の大体六割、こういうことになります。たとえばこのひざ元の堺市は四十万ですから、この四十万というのはすべてこれは、山間部の特殊な部分は除いて全部十キロくらいなワクの中にすぽっと入ってしまう。大体この影響する範囲というものを二十キロの範囲の中で考えてみると、これは四百三十万
程度の人々がこの半径二十キロのワクの中に入ってしまう、こういうことになります。半分は大阪湾ですから問題ないわけなんです、これは海ですからね。いわゆる陸に面したところの方面、これだけで半径二十キロで四百三十万くらいの人が、大阪市それから堺市の亜硫酸ガスの被害をこうむる、こういうことになるわけです。簡単に私はいまこういうふうに申し上げましたが、大阪市の人口というもののこれまた約六割の二百五十万くらいな人、この範囲というのは大阪市の住吉、東住吉、阿倍野、生野、西成、天王寺、南、東、西、大正、浪速、この大体各区がみんなすぽっとこの中に入ってしまうわけですしそして生駒山を壁にして大阪市から排出されるところの亜硫酸ガスその他のばいじん、それから堺市の発電所それからゼネラル石油、こういうものからずっとこの地域にいわゆる亜硫酸ガスの滞留状態ができてくる。こういうことを考えると、私は、いままで
公害が出なかったけれ
ども、しかし堺発電所というものが百万キロかりにフルに運転したときの状態はどうなるだろうということを私は非常に心配しておる。そういうことから、私はまず当面の
対策として、結論的にお
答えをいただきたいことがあるんですが、たとえば
一つの例を堺発電所にまずしぼってみますと、現在は百五十メートル、これから五本目からできるのは百八十メートルになるかもしれないけれ
ども、こういうことに結論的になるわけですから、現在の四本の百五十メートルというこの単基の単独煙突、これを私は百八十メートルにしなければならぬだろう、こう思うのですが、この点について技術的なひとつ
検討をしてもらいたい。
それから今後の百万キロワットアワー以上については、先ほど御説明願ったように当面五十万キロワットこのあとふえてその四十五年目標
程度、それからそれ以後十年間くらいに二百万キロになるだろう。こういうことですから、これはわれわれが決議をしたところのいわゆる脱硫装置の問題もありますから、これはひとつ預けておくことにいたしましょう。しかし、当面この単独煙突の百五十メートルというのは、これは何らかの
検討の余地が私は必ず生じてくると思う。これは
公害が起こってこの問題を議論するというのは、私はきわめて無
責任に
感じるので、このことを皆さん方に申し上げているわけなんです。
それからもう
一つ、これは全般的な問題として、私は当面、いま
質問申し上げたところの半径二十キロあるいは二十五キロというこのワクの中に入っているところの大阪府の大体六割の人口、そしてそのうしろには金剛山脈あるいは和泉山脈という千メートル近い壁があるということ、こういうことを条件にすると、当然この地域に対して、これは地方の自治体に依存するのではなしに、国としてこれに対するいわゆる亜硫酸ガス測定の
施設というものをすみやかにつくる必要があるのではないか。これは同時に、私は地元の問題を問題にしておるのじゃなしに、全体的な問題として東京都あるいは大都市の周辺
においても、これらの測定
施設というものはすみやかに政府の手でつくる必要があるのではないか。とりあえず私は問題点をこの二点にしぼって、ここでひとつお
答えをいただきたいと思うのであります。このことについては、私はいやおうは実は言われないと思うのです。先ごろ決議をした際に通産
大臣が言われておりますこの中には、抽象的で幅は広いけれ
ども、私は当然この問題について
大臣は触れられていると思う。そういうことを前提にしてお
答えをいただきたいと思います。