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1966-04-06 第51回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月六日(水曜日)    午後一時三十三分開議  出席委員   委員長 井手 以誠君    理事 奥野 誠亮君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 保科善四郎君    理事 南  好雄君 理事 重盛 寿治君    理事 中井徳次郎君 理事 野間千代三君       川野 芳滿君    熊谷 義雄君       山本 幸雄君    和爾俊二郎君       吉川 兼光君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         外務政務次官  正示啓次郎君         農林政務次官  仮谷 忠男君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (重工業局次長赤澤 璋一君         運輸政務次官  福井  勇君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   荒巻与四郎君         厚 生 技 官         (環境衛生局公         害課長)    橋本 道夫君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部長)    中川理一郎君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業公害対策に関する件(ばい煙自動車排気  ガス及び水質汚濁対策)  油による海水汚濁防止対策に関する件      ————◇—————
  2. 井手以誠

    井手委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  公害対策推進連絡会議における自動車排気ガス対策及びばい煙対策について、総理府から説明を聴取いたします。安井総理府総務長官
  3. 安井謙

    安井国務大臣 大気汚染の問題につきまして、かねがね政府としても積極的な対策を立てなければいかぬということで、それぞれの部門でやっておったわけでございます。それの全体の総合調整をやるという意味におきまして、政府に置いております公害対策推進連絡会議というのを去る三月二十四日に開きました。この会議は、関係各省の事務次官をもって構成されておりまして、総務長官がその会長ということに相なっております。やりました題目のおもなものは、今後における公害対策推進連絡会議運営について、という問題が一つ。それから大気汚染中心にしましたばい煙及び自動車排気ガス対策について、この二つをとりあえずの議題にいたしておるわけでございます。  連絡会議運営につきましては、従来連絡会議は、いままで法律あるいは条例等規制がすでに行なわれておりますものについてはあまりタッチしない、それぞれの分野でやってもらうということでございますが、いままで条例あるいは法律を出して規制等をやっておりましても、それがまだ非常に不十分だというものにつきまして、これはいろいろ問題もあるようなので、今後はひとつ、そういう規制がもうすでに行なわれておる部分についても、その実施等がどういう程度であるかというような点について、総合的な検討推進をやるということを一つきめたわけでございます。さらに各省間の連絡を密にして、お互いにすき間のないような対策を総合的に進めていくということをきめました。  それから大気汚染の問題につきましては、最近特にやかましいというので、この問題にしぼりましていろいろ検討いたしたわけでございますが、大気汚染の直接原因になりますのは、御承知のとおり一つ工場ばい煙、いま一つ自動車排気ガス、この二つがおもなものでございます。工場ばい煙につきましては、ばい煙規制法というのがございまして、この大気中にある粉じんであるとか、あるいはそういった微細物のごみについては、この規制を十分できるような相当な装置もできるし、また、ある程度まで所期の目的が進んでやっておりまするが、煙突から出る煙の中で亜硫酸ガスを含んでおる部分、この問題についてはなかなか十分な規制がない。ばい煙規制法におきましても、一定量以上の亜硫酸ガスを放出する場合には、これを規制することに相なっております。これが全体にはたして徹底しておるかどうかという点を検討いたしましたが、この亜硫酸ガスの問題につきましては、実は技術的な観点から世界各国でも非常に弱っておる。と申しますのは、いま燃料に使っております重油の中に硫黄分を含んでおる。その硫黄分を燃焼した煙からいかにして排除するかという技術的な研究というものは、完全なものはまだ世界中にもございません。そこで、これはこの手でいけば完全になるというだけの自信のある技術的な対策がまだないが、それをしかしできるだけ規制をしていく。もう一つは、重油そのものから硫黄分を除くことによって亜硫酸ガス発生を防ぐという方法、これもアメリカでは技術的に相当程度進められて検討はしておりますが、これをいま日本の各工場にその形で使おうとするとコストが三割くらい高くなるというようなことから、いま直ちに実用に供し得ない。しかし、いま通産省中心にしまして、その技術的な問題につきましては鋭意検討中で、でき得る限り早く結論を出して、そういった技術的な解決を進めたい、こういうようなことでございます。  それから自動車のほうの排気ガスにつきましては、いわゆる一酸化炭素排気をいかにしてやるか、これも実は世界各国とも完全な装置技術的にはまだ発見されていない。しかし、それぞれの部門車体検査を厳重にやる、点検を十分にやるといったような方法によりまして、相当排気量を制限できる。それからさらに補助燃料装置というようなものをつけることによって、また排気ガス排出量規制できる。しかし、一番大事なことは、エンジンそのものを、完全に燃焼させるというような新しい方向エンジンの改良をやることが第一であるというようなことから、これは相当技術的には進んでおります。まだ完全ではむろんありませんが、今後大都会なんかでは、車の半数近いものが二年以下の寿命で、使用年限であるから、新しい車を規制していくことが一番早道であろうというので、順次新しい車については、ひとつ根本的なエンジン部門に対する燃料完全燃焼という技術を進めるようにしていく。運輸省のほうからは、この秋から新型車については、さらに非常に高度の技術の進んだ、排気ガスをなるべく出さないようなエンジンでなければ認めないといったような対策もとっていく。こういうふうなことをきめたわけであります。  そのほかに水質汚濁の問題あるいは騒音防止の問題、そういうものも順次これから取り上げていこう。そういうことで、かねて政府各部門におきまして、各省でそれぞれこの問題は専門化しておりますので、鋭意進めておられますが、それをときどき持ち寄りまして、この総合的な調整をやっていこう。こういう趣旨でただいま申し上げましたような会議を進めたわけでございます。
  4. 井手以誠

    井手委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。中井徳次郎君。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 油による海水汚濁防止対策に関するこの決議の問題は、いま自民党丹羽理事自民党の政審のほうに交渉中のようでございますので、社会党といたしましては異議はございませんが、時間がありませんから、ただいま御説明を受けました公害対策推進連絡会議ですか、これに関連をいたしまして、安井総務長官に一、二お尋ねをいたしたいと思います。  公害の問題は、ここ数年来ずいぶんやかましくいわれておりまして、特に新聞、雑誌、テレビその他に盛んに出るのでございますが、どうもばく然として取りまとめがない。したがいまして、政府におかれても協議会とかそういうものでお茶を濁しておられるようでございますけれども、どうですか、ひとつ主務官庁というものを決定をして、それではっきりやる時期に来ておるのじゃないか。わからぬから、あなたは総務長官でよろず屋というわけでやっているわけですが、それに対する政府の見解を——これはひとつそういうものをつくって強力に推進をしなければならぬ、こういうふうに考えますが、これが一点。  それからあなたのお話があったが、ばい煙規制法等がございますが、いずれもざる法でございます。ざるなら、ざるで大きなざるならまだいいのですが、非常にこまかいものに入っていって、ざるというのがいまの法の体系でありますが、ほんとうはやはり公害対策基本法というふうなものをもうこの際つくって、大上段に振りかぶって、それから下へおりていかなければならぬ、こういうふうに私どもは考えておりますが、この二つの点について、現在の政府の実情あるいはこの法案についての進捗模様、意見等伺ってみたい。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 公害問題に対しまして、どこかまとめた主務官庁で強力に施策をやるべきではないかというお話でありまして、私どももこれは非常にごもっともお話だと思います。ただ、現在における問題は、御承知のとおりに公害と申しましても非常に種類がいろいろございます。ばい煙あるいは大気汚染騒音水質地盤沈下、それぞれの部門担当すべき個所がみな違っております。それから公害発生する原因の科学的な追及の場におきましても、これがそれぞれ専門の個所を持っておるというようなことに相なりますので、それぞれの現在の主務官庁がある程度までそれを専門的に追及をしていき、また対策を立てていく。それを全体にそごのないように連絡調整推進をやるという機関を設けてやっていきますのが、当面の問題としては必要じゃないかというふうに実は考えておるわけでございまして、被害者のほうの側といいますと、これは厚生省が一番これを代表される側でございますが、その他今度は発生原因、あるいはやはり保護するというような面からいきましても、各省それぞれを集めた一つ主管官庁に直ちにするというのはいろいろ問題も多いかと思います。いまお話のような問題につきましても、今後十分に検討はさせていただきたいと思いますが、ただいまのところ、この連絡会議中心推進をしていきたい、こういうふうに考えております。  それから、いろいろな法律が出ておるが、これは非常なざる法であるという御批判、これも当たっておる点が多々あるということは、私どもも残念ながら認めざるを得ないのでありまして、ばい煙規制法にいたしましても、あるいは工場排水等規制法法律関係にしましても、それぞれ適用の範囲あるいはその実施内容等につきましてまだ不十分な面はあろうと思います。ことにばい煙規制法等につきましては、これは法律を出しまして二年間は経営側に、実施しておる工場等にあまり急激な影響を与えるのもいかがかというようなことで、二年間の猶余を置いておった。それが昨年の秋に期限が来て、いよいよ全面的に実施というような段階になりまして、最近はだいぶ状況が変わってまいりましたが、いずれにしろ御指摘されるようにまだ欠陥は相当多いと思います。そこで、私どものところで各国の例もいま集めておりまして、そういうものから比較もし、検討もし、できれば基本法的なものをぜひひとつ考えるという線で、これも検討を始めておりますが、まだどういう形で出すかという成案を得るとか、あるいは素案を得るというところまではまいっておりません。
  7. 中井徳次郎

    中井委員 いまの御答弁でさらにお尋ねしたいが、担当大臣というようなものはおきめになっておられるのか。あなたは担当大臣として公害担当なんですか。その辺のところはどうなんですか。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 排気ガスそのものを直接に規制をいたすというようなことに相なりますと、これは運輸省通産省が直接にやる仕事に相なります。また、場合によっては警察の手をかりるというような場合もあろうかと思います。それからばい煙等につきましては主として通産省、それから被害を受ける側からは厚生省というふうな、それぞれの協力体制で進められておるわけでございます。しかし、各省それぞれが独立しておる形だけでは不十分だということで、関係ある各省次官をもって構成をしておるこの推進連絡会議というものが政府部内にできておりまして、それの会長総務長官が仰せつかって全体の取りまとめをやっておるという形でございまして、個々の問題についての一々の責任と申しますか、指示権というような形になりますと、これはそれぞれ担当大臣になろうかと思います。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 それがいけないと思うのだね。もういいかげんに、公害問題については厚生大臣なら厚生大臣総務長官なら総務長官と、こうきめておきませんと、この間からこの特別委員会ができて、私どもしろうとながらいろいろ聞いておりますが、実に複雑ですね。しかも事態は一つなのです。これは非常に重要だと思うのですね。  それから、いろいろ研究をしてみると、たとえば公害というのは、不特定多数の人が不特定多数のみんなに迷惑を及ぼすんだ、こういう定義のように一般的になっているが、ちっとも不特定じゃないんだな。多数であるかもしれぬが、公害を与えるグループは特定しているんだ。これは私は政府をもちろん攻撃もしたいが、その前に、今度は逆に、機構の複雑さからくる自然現象的なものとしての対策の落ち、怠慢というものが非常に多いということを実は発見をしておる。これは首脳部におきまして縦の線をかなり深く入れていただく。一番いい例が海水汚濁の問題でございましょう。みんなその話をするともっともだと思いながら、さてどこでどうしたという方法に少しずつ差しつかえがあるような、ちょっとやってもらってはぐあいが悪いなというようなものがありまして、それも決して決定的じゃないんですね。それをやられると会社がつぶれるとか、それがやられるとたいへんな、黒字が赤字になりますというような形じゃないんだな。実際を調べてみるとたいしたことじゃないんだな。もうほんとう地方税の何分の一かというふうなことなんだ。それで問題はこじれてしまう。これはもうこの時期に至りますと、少なくとも最高の責任大臣をきめておかなければいかぬ、それはそうだと言ってしまえばそれまでですよ。それがいけないと思うので私は申し上げておる。いまの自民党内閣でどちらにおきめになるか議論をしてもらいたいが、われわれとしては、全くこういうことでいたずらに時日を経過をいたしておるということについては非常なふんまんを感じます。あなたは東京都の選出ですが、たとえば隅田川の問題をとりましても、東京都に関係がある、通産省だ、何だかだと言っておりますが、川は一本なんですね。実際何でもないんです。昔の日本のさむらい的感覚をもってすれば、もうこれは一ぺんにやられますよ。いまは近代的だからというので機構が複雑になった。それに籍口して今度はできないという。こういうばかばかしいことはないと私は思うのですがね。これこそ日本人的な政治に対する洞察力の不足といいますか、いいかげんなところまではいくが、それ以上、新聞には毎日書くけれども、それじゃどうすればいいんだということはどこにもはっきり書いてない。お涙ちょうだいばかりですね。新聞記事には、あそこでどういうこと、こっちでどういうこと、こういうこと、集団移住をしたいそうだというのが、せめてちょっと大きなものです。ちっとも深くいってない。しかもそれは、安井先生、あなたに申し上げておくが、決してお金を要することでもない、大事業でもないんですよ。そのことで非常に困るらしく説明をするけれども、それはうそ、あなたはいま、ちょっと説明の中であったが、重油そのものから亜硫酸ガスを取る、硫黄を取る。経費は大体三割高くかかるですよ、ああそうかね。ところが、データをだんだんとっていきますと、重油を含んでおる原油が、含んでいないものと比べると非常に安いんだね。だから安いものを依然として買うわけだな、そういう収支計算。それから硫黄分がずいびんできるんだな。そうすると、硫黄の値が非常に下がる上がるというふうなことをかってに考えて計算をしておる。第一、日本において発表されておりますのは、アメリカデータで、ドルで書いてあるものを日本が円に換算しただけであります。一トン当たり千五百円くらいと書いてありました。四百六十円ですか、それが三倍で千五百円くらいかかりますというふうな——一%取るのに四百六十円だなんという数字でございましたが、その四百六十円がほんとうに正しいのかどうか、一企業当たり二・八%のものをゼロにする必要があるとは限りません。そういう問題について、たとえば二%少なくするならば千円以内でできるとか、いろいろな数字が出てきますし、大体また日本において、それじゃそういうことを研究してみようか、大いに通産省工業技術院あたりでやっているのです。やっておられることはあなたは知らない。通産大臣も知らない。私は調べたのですが、いま東京電力と日立製作がやっておりますよ。政府から少し金が出ているようだ。東電や中部電力はそれについて一銭も金を出しておらぬ。あれだけ迷惑をかけておいて、政府の予算が出るまではやらぬというふうな形です。調べてみるとこうだ。これはおそらく自民党閣僚諸君政務次官諸君は知らないと思う。そういう具体的なことはなぜ知らぬかといえば、組織が複雑で、そういう公害を何とかしたいと思っている厚生大臣のところとずっと離れたところにあるということであります、率直に言って。でございますから、これはぜひとも担当大臣保守党内閣といえどもさっそくきめるべきであるし、昨年は、本会議で当時の大蔵大臣田中角榮君が、公害責任企業にありますということをはっきり言っている。通産大臣もはっきり言っている。全部はっきり言った。これまではそこまでもきていなかったが、これは言いました。いまの内閣でも、きっと公害責任企業にもあると言うでしょう。昔は、だれかわかりません。それは国か地方団体などが民衆を守るためにやるべきだなんて言っていましたが、それは払拭されました。そこまできたら、さらに突っ込んでやってもらいたいし、しかもそのことが企業の存廃を左右するなどということはうそです。これを深く掘り下げてもらいたい。それは多少の赤字になるかもしれません。九電力会社がたく火力を全部重油でやれば、そういう人たちのいう原価計算でそのままとって一年の欠損は約百六十億という数字でございました。私はこれを見て、九電力会社の一年分の所得はおそらく数千億だと思いますが、これはやれるなというすなおな感じを持つ。それは全く裸の数字でそうなのですから、概算百六十億ぐらいです。今日日本全国火力発電を方々置こうというので、この間も舞鶴に置こうとしたら大反対で、関西電力は弱っておるだろうと思うのですが、百六十億というのをそのまま受け取りましても、九電力会社に分散しますと、もっとずっとずっと下の金です。しかもそれを研究をし、節約をして合理化をはかれば、おそらく半分や三分の一になるでしょう。私はなると思います。あの数字を見まして、そこから対策を積極的に出してもらいたい。これは世界日本が最も追い込まれているんじゃないかと思うんだ。地勢的に、人口稠密でありますし、アメリカやソ連の資料も私はずいぶん調べましたが、それはぼうばくたる大平原の中へ、五十キロ周辺ほとんど何もないというところに電力会社発電所をつくるのとまるで違いますから、そういうものはあまり参考になりません。そこで最も日本に合ったものということになりますと、いま申し上げたような、そういうものをやるためにもまず担当大臣と、その次は公害対策のやはり基本法を、公害に対する憲法をぜひ政府として出すべきである。私どもは去年出しました。出したら、まことにざるざるであるというので一笑に付されました。まことにざるざるであるかもしれません。しかし、それは大まかなものですから、それから入っていかないことには、だんだん網の目をこまかくしていくという考え方でないことにはこの問題は片づかない。私は二年来研究しているのだが、そういうふうな結論を得たのです。  そこで、この主務官庁の問題と公害対策基本法の問題は、安井さんはいつまでにつくるというふうな御回答はなかったが、この基本法の問題ばぜひ政府として急いでもらいたい。そうして社会党、また民社党も出しておられますが、この三つの案を比較されて、いいところを国会がとって持っていく。こういう形でこの公害問題は前進すべきものだと私は考えておりますが、この点について重ねて心境を伺っておきたいと思います。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 数々御指摘ございました。お話のような点を私ども残念ながら全面的に否定するわけにもいかない、非常に貴重な問題があったと思っております。ただ、公害対策が全然進んでいないのじゃないのでありまして、たとえば水質汚濁にしましても、ここ一両年隅田川の水は相当浄化されてきた。これはやはり工場排水についての規制が相当きいてきたということも原因の大きな一つであろうかと思います。それから騒音等につきましても、これもまだ充分とはいえませんし、新しい分野でまだこれから進めなければならぬものはありますが、騒音防止条例といったようなものが都会でできておる府県がかなりある。そこではかなり効果をあげておるものもございます。地盤沈下のようなものも、工業用水の施設をすることによって、相当程度いま片づきつつあるようなものもありますが、同時に、いまお話しのようにまだまだやらなければならぬ問題がたくさんございます。  そこで、いまの基本法でございますが、これは私もたいへんごもっともお話だと思いますので、かねてからそれぞれ事務当局と相談いたしまして、検討を進めさせておるような事情でございまして、御趣旨の線に沿ってなるべく早くそういう方向でできるだけ具体化したいと思っております。  主務官庁責任制につきましても、これは現実の行政運営から申しますと、ごもっともではございますが、なかなか一がいにいえない面もかなりございます。しかし同時に、もう少し責任体制を明らかにして、突っ込んだ進め方をすべきじゃないかというお話はごもっともでございまして、この点もあわせて十分前向きで検討させていただきたいと思っております。
  11. 中井徳次郎

    中井委員 丹羽さんが見えましたからこれでやめますが、きょうかきのうの新聞を見ますと、閣議の席上で総理が、公害の問題について、四日市住居移転の問題なんかで発言があったようであります。たまたま私の選挙区でもありますので、どんな内容であるか。と申しますのは、これは亜硫酸ガスによる被害なんですが、数年前からやかましくいわれておりますけれども、ちっとも決定的な対策がない。どうも騒ぎだけで何もないじゃないか。そして現地から一年に二回か三回、それこそ各市会議員、それから町内会などというのが集まりまして、そういう人たちが陳情に来る。帰ってしまって、ああそうかというふうなことでおさまっている。どうも何かにぎわしておるだけでちっとも前進がない。ようやく最近緑地帯をつくるという話が出まして、建設省あたりで取り上げてやっておる。そういうふうに聞いておりますが、まだ計画の途中である。こういうことなんですが、具体的にどういうことであるか、ちょっと伺っておきます。
  12. 安井謙

    安井国務大臣 昨日の閣議でそういう問題が出ましたことは事実でございますが、実はきのうに限りませんで、総理は昨年の秋あたりからも、公害対策については総合調整的な推進をやるようにという指示をたびたびいたしております。きのうもたまたま四日市というものが何かのはずみで特にクローズアップされて耳に入ったものでありまして、特にひどいそうじゃないか、これは集団的な移転という問題も考えられておるようだが、どうだ。さらに積極的に政府各部連絡調整しながらあらためて特に推進するようにという指示もあったわけでございます。その集団移転につきましては、いま地元でそういうお話が起こっておるので、これは建設省と自治省が中心になって、いまその段取りを進めております程度で、非常に具体的な内容にまでは触れていなかったのが実情でございます。      ————◇—————
  13. 井手以誠

    井手委員長 この際、丹羽兵助君から、油による海水汚濁防止対策に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。丹羽兵助君。
  14. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、油による海水汚濁防止対策に関する件について決議をされたいとの動議を提出いたします。  まず案文を朗読します。    油による海水汚濁防止対策に関する件(案)   政府は、一九五四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約及び一九六二年の同条約の改正並びに関係国内法案を次の通常国会に提出するよう特段の努力をすべきである。   右決議する。  次に、その趣旨について申し上げます。  最近、船舶の廃油等、油による海水の汚濁によりノリ漁場、定置漁場などの沿岸漁場が被害を受け、また漁獲物の異臭化による価格暴落等、漁民の被害が甚大となっているばかりでなく、その被害は海水浴客に至るまでに及んでおります。加うるに、海上航行船舶の大型化、増大化に伴い、被害はますます広がるおそれがあると思われます。なおまた、船舶の廃油による海水の汚濁防止については、公共用水域の水質の保全に関する法律の制定にあたり、国会においては、船舶の廃油等による水質汚濁についてその防止に遺憾なきを期すること、このような附帯決議がなされております。  また一方国際的には、一九五四年に、油による海水汚濁防止のための国際条約が締結され、さらに一九六二年には、前記条約の改正につきロンドンにおいて国際会議が開催され、政府もこの会議に、私の記憶では、当時の英国大使が全権として出席しております。このように、その会議政府も代表を派遣いたしました。  たまたま一九五二年でございますが、東京湾において船舶の廃液によりノリ養殖場に著しい被害があり、国会においても数回にわたり審議がなされました。なおまた先日来、本件に関しましては各省責任者の御出席をいただいて、それぞれこれが対策、その意見等を徴したのであります。いずれの役所におきましても、海水汚濁についての対策は非常に緊急を要する、なおまた批准等についても一刻も早くしたい、そのためには国内法の整備等も急がねばならぬという意味の御発言を私どもは承っておるような次第であります。  このような現状にかんがみまして、政府に対し、一九五四年の油による海水汚濁防止条約及び一九六二年の同条約改正、並びにこれに伴うところの関係国内法案を次の通常国会に提出するよう特段の努力をされたいというのがその趣旨でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。(拍手)
  15. 井手以誠

    井手委員長 ただいまの丹羽兵助君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 井手以誠

    井手委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議は可決され、油による海水汚濁防止対策に関する件は、本委員会の決議とすることに決しました。  ただいまの決議に対し福井運輸政務次官、進藤通商産業政務次官、仮谷農林政務次官、正示外務政務次官、大蔵省荒巻主計官及び安井総務長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。福井運輸政務次官
  17. 福井勇

    ○福井政府委員 油による海水汚濁防止対策に関しまして、ただいま決議がございましたが、運輸省といたしましては、公害の防止及び国際協調等の観点から、決議の御趣旨に沿って努力してまいりたいと存じます。
  18. 井手以誠

    井手委員長 進藤通産政務次官。
  19. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 ただいまの御決議に対しまして、通商産業省といたしましては鋭意努力し、熱意をもってこの実現を期したいという決意でございます。
  20. 井手以誠

  21. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 農林省としましても、ただいまの御決議の御趣旨に沿いまして、特段の努力をいたしてまいりたいと存じます。
  22. 井手以誠

  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 外務省は、条約を締結いたしました責任の省といたしまして、ただいまの御決議の趣旨に沿うて万全の努力をいたしたいと存じます。
  24. 井手以誠

    井手委員長 大蔵省荒巻主計官
  25. 荒巻与四郎

    ○荒巻説明員 大蔵省といたしましても、関係各省と協議いたしまして、十分本件を検討いたしたいと考えております。
  26. 井手以誠

  27. 安井謙

    安井国務大臣 御決議の御趣旨はまことにごもっともと存じますので、閣議等にもこの御意向はよく伝えまして実現を期したいと思います。
  28. 井手以誠

    井手委員長 なお、本決議の参考送付等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 井手以誠

    井手委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————
  30. 井手以誠

    井手委員長 引き続いて、自動車排気ガス対策について審議を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。野間千代三君。
  31. 野間千代三

    ○野間委員 自動車排気ガス対策について、二、三質問をいたしたいと思います。  初めに、道路運送車両法の関係で少し質問をしたいのです。同法の四十一条の十二号、それから保安基準の三十一条一項などによって、自動車の悪臭あるいは有毒ガスばい煙、そういうものを、国で整備不良車についてはチェックをするということになっておるわけですね。このチェックをする体制はどうなっておりますか、これが一つ。  それからチェックをした結果排除をした車両があれば、それの三十九年ですか、四十年になりますか、最近の資料でその実情を……。  それから、車両のそういう不良部分をチェックすると同時に、これは厚生省関係になるのでしょうか、自動車排気ガスによって起きてくる都市などの排気ガスによる影響、そういうものはどういうふうに調査をされているのか。  以上について最初にお答えをいただきたい。
  32. 宮田康久

    ○宮田説明員 ただいまのお尋ねの中で、お話のとおり、道路運送車両法で抽象的な規定ではございますけれども、に基づく保安基準で、多量の有害なガスを出してはいけないという規制をしておりますが、これに関連いたしまして、たとえば御承知のとおりディーゼルの自動車の黒煙というものにつきましては、昭和三十二年から基準をきめまして、新型車が出ますときに運輸省であらかじめ事前審査をしておりますけれども、その際に、一定の基準以上の黒煙を出してはいけないということでチェックをしております。  さらに、私どもの検査場に参ります定期検査の場合にも、ディーゼル自動車の黒煙につきましてはやはりチェックをしております。  さらに、道路交通法に基づきまして、街頭で里煙を出しておりますディーゼル自動車につきまして、相当の件数を警察当局の側でチェックしておりまして、整備の命令をいたしております。数字を申し上げますと、三十九年では、東京都だけで千六百件の街頭取り締まりの件数でございます。  そのほか、いま問題になっておりますガソリン自動車につきましては、目に見えないガスでありますために、いままで取り締まりのほうは進んでおりませんけれども、これにつきましては、ここ数年来私どものほう、あるいは関係官庁ともども、それぞれの研究所を動員いたしましていろいろの研究をいたしまして、あるいは実態調査をいたし、あるいは自動車の製造業者のほうも技術開発をいたしまして、すでにこの点では先輩でございますアメリカの情報等も、昨年来日米会議をいたしておりますが、それによりましても十分の情報を得まして、いませっかく努力をしておる最中であります。
  33. 野間千代三

    ○野間委員 いま御答弁あったのですが、実際に黒煙などを発散しておる自動車をわれわれ相当見受けるのですが、これは交通の警官が取り締まるのですか。——そうすると、われわれが見かけたところでは相当ひどい黒煙が出ておるものでも、運転事故については相当きつく、スピード違反あるいは右折禁止などを取り締まるけれども、こういう方面についての取り締まりを実際に体験をしたことはないのですけれども、その辺はどうなっているのですか。
  34. 宮田康久

    ○宮田説明員 お話のとおり、このディーゼルの黒煙にいたしましても、これを検査いたします場合、街頭で取り締まりをいたします場合にも技術的な要素が要りますので、街頭取り締まりの場合に、私どものほうの専門職員も派遣をいたしまして、警察のほうと共同で街頭の取り締まりをしている例が非常に多いわけでございますが、先ほど申しましたように、ディーゼルの黒煙につきましては、新車につきましての規制を厳重にいたしましたことと、やはりこれは整備のいかんによりまして非常に違うのでございまして、燃料装置関係の整備を十分いたしますことによって、ほとんどこの煙は排除できるわけでございまして、先ほど申しました時点からいろいろとその点の規制をいたしてまいっておりますけれども、昨年の調査によりましても、五年前に比べましてほぼ三分の一程度の黒煙に減っておりますということを御報告いたしておきます。
  35. 野間千代三

    ○野間委員 車両法によって、いま問題になっている有毒ガスなどの規制はできない。目に見える黒煙をある程度規制をする、整備を通じて多少の有毒ガス規制するという程度の問題では済みませんから、そう多くは期待できないと思います。やはり当面は新車を対象にするというふうになるような気がいたします。したがって、現行車両法によって整備を通じ、あるいは取り締まりといいますか、監視を通じ、そういう方面から相当多くの効果を得なければ早急な改善はむずかしいと思う。したがって、運輸省の要員などの事情を私も多少承知しておりますが、なかなかそう簡単ではないと思いますが、自動車排気ガスの排除ということを考えてまいりますと、そういう方面の体制ももっと強化する必要がありはしないかというふうに思いますが、運輸省の方針はどうなんですか。
  36. 宮田康久

    ○宮田説明員 いま先生からお話のありました問題でございますが、先ほど申しましたディーゼル自動車は、黒煙こそ出しますけれども、実際の有害性につきましては、一酸化炭素等は非常に微量でございまして、それから御承知のとおり、いま東京でLPGを使いましたいわゆるプロパンタクシーが走っておりますけれども、これもガソリン自動車に比べますと二分の一程度一酸化炭素の量でございまして、その点で有害性も非常に少ないわけであります。一番問題になりますのは、いまお話しになりましたとおりガソリン自動車でございます。このガソリン自動車一酸化炭素等の有毒ガスをいかにして減らすかという問題でございますが、これにつきましては、先ほど総務長官からも御報告がありましたけれども、本年秋からの新型車につきまして、一定の基準を設けまして排気ガス規制をいたしたいと思っております。これは実は先般私どものほうの研究所の部長からも御報告申し上げましたことでございますけれども、一昨年私ども研究所に基礎的な連続ガス分析装置が入りました。その後昨年までに国産化をいろいろやっておりまして、昨年その基礎的な測定装置の国産品もできてまいりました。これをいま自動車製造業者がそれぞれ買い求めている最中でございまして、本年のなるべく早い機会に各自動車メーカーにそれを備えつけさせようといたしております。またその見通しも得ております。それを前提にいたしまして、先ほどお話がありましたように、自動車排気ガス対策を進めますためには新車からいたしますことが非常に大切でございまして、と申しますのは、これも先ほど総務長官からお話しありましたが、東京、大阪、名古屋のような大都市の排気ガス対策自動車については問題なわけでございますけれども、車齢二年未満の車がほほ五割近くございまして、したがって、新車から対策を進めますれば急速に排気ガス対策が進むわけであります。いずれにいたしましても新車から対策を進めなければならない。本年秋から一定の基準をもちまして新型車に対しましての対策をいま進めようとしております。さらに技術的な開発がそれぞれ自動車メーカーでも進んでまいります。また、私ども督促してまいらなければいけないわけでありますが、通産省ともこの点は督促してまいりまして、その技術開発の段階に合わせまして私ども規制も段階的に強化をしていきたいと考えております。
  37. 野間千代三

    ○野間委員 新型車のほうはまたあとでお伺いしますが、いま整備部長の言われるように、新型車を改造することによって対策が進むと思いますが、確かに二年か三年くらいで大きく前進すると思いますけれども、先ほども中井先生が言われるように、現在相当な問題になっておって、たしか東京都の調べが新聞に報じられておりました。その辺の街頭の住民が昏酔状態になるくらいの有毒ガスがあったというようなことをちょっと見たことがありますが、それで見ると、やはり中古車といいますか、古いほうの車の対策も必要じゃないかと思います。いまのお話でまいりますと、将来二年か先には相当大きな効果が出てくるからというお話でしたが、中古車のほうの対策はどういうふうにお考えですか。
  38. 宮田康久

    ○宮田説明員 御説明が足りませんでしたが、現在走っております自動車につきまして、お話のとおり整備のよし悪しによって非常に一酸化炭素の量が変わってまいります。いままでいろいろとテストをしてみました結果によりましても、五割から六割は、エンジンの整備を完全にいたしますことによって一酸化炭素の量は減るわけであります。その点で私どももまず最初の対策といたしまして、昭和三十八年に道路運送車両法を改正いたしまして、エンジンの燃焼状態を常に良好に維持いたしますように定期点検整備の実施を義務づけをいたしました。それに応じまして定期点検整備の実施が確実に行なわれますように、いま大いに行政指導をしている際でございますが、さらにこれを完全にいたしますためには、やはり何と申しましても簡便に整備工場で測定のできるような装置が必要なわけでございまして、それにつきましては、整備工場の負担できます金額から考えましてなかなか困難な面がございますけれども、昨年簡易分析計も一応試作もできまして、これを進めまして早く実際に現場で使えますような測定装置の開発をいま急いでおる次第でございます。それの備えつけによりまして、さらに一酸化炭素の量を減らすような措置が整備の段階で現在走っております車につきましては進められると考えます。
  39. 野間千代三

    ○野間委員 構造を全く変えないで、現在の機関の状況のままでそれを整備をするということで考えているわけですね。そうすると、新車のほうを構造を変えて排除をしていく。中古のほうは前の構造のままですから、整備によって多少の排除はできるにしても、やはり現在、機関の構造そのものにあるわけですから、それ以上には当然よくならぬわけです。そこで中古車に何か技術的に取りつけることによって排除するというようなことの技術的な検討といいますか、そういう点は全然ないのでしょうか。
  40. 宮田康久

    ○宮田説明員 実は、これにつきましては、一番自動車排気ガス問題が問題に取り上げられましたのは、御承知のとおりアメリカのロスアンゼルスでの問題でございますけれども、その点につきまして、実はカリフォルニア州がアメリカでも、あるいは世界でも最初にこの問題を取り上げまして規制実施しておりますが、その際に、実際にいま走っております車につきましての対策といたしまして、いまお話のとおり、エンジンの本体を改造することが実際問題としては不可能でございますので、エンジンから出ましたあとに浄化装置をつけまして、それによって一酸化炭素の量を減らすという方法を実は考えまして、したがって、それに対しましていろいろの試作品等も、商品も出てきているわけでありますが、その際に条件といたしましたことは、実際にそういう装置を取りつけましても、使用者の手に渡ってから維持が困難ではいけない、また値段の問題もございます。そこでカリフォルニア州といたしましては、一万二千マイル寿命を保証することというようなことで、しかもそれが独占になっても困りますので、二型式以上のその条件に当てはまる浄化装置ができること、それを州で型式承認をいたしまして、それで初めて今度は中古車に規制をしよう、そういう段取りでまいっておりましたが、ただいまのところ、まだ中古車用につけられます浄化装置は一型式、その条件に当てはまるのが一型式しかできませんで、しかもその後、実は一万二千マイルでは寿命が少ないというので、条件をさらに五万マイルまで上げました。これは実はアメリカが連邦法としまして来年の秋から全アメリカ規制をしようとしておりますときの基準もその五万マイルをとっておりますけれども、この五万マイルの寿命に当てはまるような浄化装置はまだいまアメリカでも開発されておりません。日本におきましても、通産省運輸省、それぞれ応援をいたしまして浄化装置の開発等の促進をしてまいりましたけれども、残念ながら、まだ寿命も数千キロというような程度でございます。あるいは値段も相当高いというようなことでございまして、中古車に対していまお話のように浄化装置をつけるということはなかなか困難でございます。アメリカにおきましても、口来年の秋から全米で規制いたします内容も、新車から規制する。新車につきましては、浄化装置よりも、むしろエンジンそれ自体改造することのほうが安価であり、しかも先ほど申しましたような五万マイルというような基準にも十分当てはまるということでございまして、すでにそれぞれのアメリカの各社とも技術開発はほぼ終わっている状態でございまして、あるいはその一部のものが日本に入ってまいりまして、いま試験もしております。
  41. 野間千代三

    ○野間委員 そうしますと、新車の問題はまたあとでお伺いしますが、新車の場合でも、アメリカの例でいくと六八年型からというようになっておりますが、それに関連をして日本のほうでもそういう方向で進むのじゃないかと思いますけれども、そうなってまいりますと、新車ですらあと二年かかる、その間古い車になっていくわけですが、そうしますと、あと四、五年は現在の状況とそう変わらないんじゃないかというふうな気がするわけです。そうすると、これは運輸省ばかりでなく、厚生省なりあるいは通産省なり、そういう関係の方面で——この間、これはいつの新聞でしたか、厚生省で大原交差点ですかどっかで調査をされた記事が出ておりますが、これでまいりますと、相当人体に影響を与えているのが調査にあらわれておりますが、こういうものを見ますと、これは東京都内あるいは多くの大きな都市で、何時間もそういう排気ガスが充満しているということでなくても、相当多くの個所にこういう状況があらわれておると思うのです。そうなってまいりますと、あと四、五年の対策としてどうしなければならぬかということも一つの問題じゃないか。公害の問題は、もちろん将来にかけての問題もありますけれども、現在起きている問題を解決することも必要なわけで、そういう方面についてはどう考えていらっしゃるか。これは二、三年たてば何とかなるからということでは対策としてはまずいと思うのです。したがって、新車対策とあわせて現状の対策はやはり立てるべきではないかと思うのですが、これは三十七年でしたかに現在の、中井先生のことばを借りればざる法といわれるばい煙規制法ができたときに、たしか衆議院の附帯決議がついておったと思います。将来自動車排気ガスについても十分な対策を確立すべきであるという意味の附帯決議がついておったと思いますが、すでに三十七年の論議の際にそのように論議されておるとすれば、いまごろは——なかなか技術上はむずかしいと思う、むずかしいとは思いますけれども、何らかの方策が立てられてしかるべきだと思うのですが、この点についていかがでしょうか。
  42. 福井勇

    ○福井政府委員 この件は、野間委員御指摘の内容につきまして、大綱としまして、私の感じでございますが、中井委員も前回にも強く御指摘になったとおり、実際各省——これは役所側として答える答弁としては非常に私は拙劣だということを知りながら申し上げておるのでございますが、非常にテンポがおそくて積極的な努力が払われていなかったということを私はよく感じておったわけです。現在運輸省が特にこの点につきまして、世間はもろん、また各省もあわせまして重要な問題になりましたので、あわせたというのではなくて、本気でこれに取り組んで解決していかなくちゃならぬというふうになっておるのが私たちのほうの実情でございますが、この公害対策については、経過は十分野間先生も御存じだとは思いますが、三十九年の公害対策推進連絡会議、それから科学技術庁の大気汚染防止研究合同推進連絡会議などにおきましても、これは運輸省だけではとてもできることではございませんために、関係各省と緊密な連絡をとりまして、行政面にしても、また技術的な研究面の対策についても推進をしてもらっておるわけでございまして、当省としましては、宮田君からも一部触れたと存じますが、現に走行しておる自動車に対する対策として、昭和三十八年、道路運送車両法を改正したりして、本問題と真剣に取り組んでいくという段階になっておりますし、また定期的の検査とか、いろいろ細部にわたっての実施についても義務づけられておるわけでございます。少し脱線いたしまするけれども、私は、先回の中井委員の非常に御研究になった御質問に対して強く感銘しておりまするので、当時お約束しましたとおり、これは運輸省だけではもちろんございませんが、運輸省としては特段の対策に立ち向かわなければならぬということを、私は遅滞なく大臣に報告し、その方向に持っていくように協議しておる段階でございます。
  43. 野間千代三

    ○野間委員 たいへん正直といってはおかしいのですが、真情を吐露した答えだから、ちょっと質問しにくいのですが、そうも言ってられませんから……。  実際に現在自動車が非常にふえておって、街頭で、黒煙の問題ばかりでなくて、現在の車両の欠陥からくるばい煙によって、自動車排気ガスによって周囲の住民が非常な影響を受けている。これは実情ですね。そういうことが推定されますから、三十七年の衆議院の附帯決議なり、あるいはいま政務次官の言われた政府の考えなり、そういうもので何とかして対策を立てなければならぬということになっておったのだろうと思うのです。ですから、その考えは正鵠を得ておったわけなのですけれども、これは部長技術的に新車のほうのは、製造する段階からつくれるから機関の改造ができるというふうになるわけですけれども、これは経済なりそういうものは一応度外視して、技術上、中古車にそういうものを取りつけてやるということは不可能なのですか。技術上開発はできているのですか。いかがです。
  44. 宮田康久

    ○宮田説明員 ちょっと先ほど御説明が少し足らなかった点を先に御説明申し上げますけれども、  いま申しました自動車それ自体の改造、それから実際の整備を確実にやる、大気汚染上の問題で有害ガスを減らす手段としてはいろいろあるわけでございますが、さらに先ほど申しました使用燃料によって非常に違います。それから、先ほど御指摘のありました大原の交差点も、あれを立体交差にいたしますと、車が非常にスムーズに流れます。実際に加速であるとか減速のときに問題があるわけでありまして、特に加速のときに問題があるわけでありまして、立体交差等、道路施設によっても非常に変わってまいる。それから、運転自体を非常にじょうずにやるか、円滑にやるかどうかという問題によっても変わります。また交通信号を最近電子機械等を入れました。そういうような信号機をつけ出しておりますけれども、いずれにしても、そういう円滑なる交通の流れを確保するというのも問題になります。いろいろの問題点があるわけでございますけれども、それぞれの各省で進めておられますし、また関係各省連絡をとりながら全体の対策を進めているわけであります。  そこでいまのお尋ねの点でございますけれども、現在商品としてすでに出ておるのも、あるいは御承知かも知れませんが、東京都が自分のところの車にいま数台つけて試験をしております。これは先般新聞にも出ておりました。値段の問題は別にしてというお話でございますけれども、白金触媒のものでございまして、フランスからの技術でやっておるわけでございますが、これは非常に高価なものでございまして、一般の自動車に負担をさせるには非常にむずかしい。実際に現在使っておりますのは、たとえばトンネルの工事に使います自動車につけますとか、倉庫内で使います自動車に、フォークリフト等につけますとか、特殊の用途にいま使っているような段階でございます。
  45. 野間千代三

    ○野間委員 これはもちろん一自動車機構を変えるだけでは済まないことなのですが、一番有効なのはやはり自動車の機関を変える、構造を変えるということだと思うのです。私も東京都の話は聞いたことがあるのですが、これはここばかり、この問題ばかりではいけませんで、ぜひ中古車の問題を早急に、これは次官、経済の問題も考えますけれども、早急に何とか開発をして、せめて特に著しい排気ガスが出る車両であるとか、そういう問題などは早急のうちに解決をして、取りつけを義務づけるということにしていかないと、いまのような状況を解消するわけにはいかないのじゃないかと思うのですが、その程度はできるのじゃないでしょうか。いかがでしょう。これは法律によって規制をする問題よりも、具体的に装置をすることによって解決をしていく以外にはないと思うのです。そういう意味で中古車のほうの対策について、もう少し早急に解決がつくような方法検討していただくというふうにしてもらいたいと思うのですが、これはいかがでしょう。
  46. 福井勇

    ○福井政府委員 宮田君が答弁したいと言っておりますけれども、私、航空発動機や自動車エンジンを、かつてずっと通産省技術屋として長年担当をしておりましたので、いまの野間委員の御指摘について、科学技術的なほんとうにそのエンジンにマッチした対策というようなことについては、おそらく現場で相当運輸省、国鉄が、技術のほうについては自信があるようでございますのでやっておると思いますけれども、私としては、技術者的心理から申しまして、対策技術的にどういうふうにする、あるいはその費用というようなものをすぐあわせて申し上げなければ、実効の点についてあいまいなことになりますので、もう少々私の立場としては研究の余地を与えていただきたい、こう思います。まだ宮田君が答弁すると思いますが、御了承願います。
  47. 宮田康久

    ○宮田説明員 いま政務次官から御説明いたしたとおりでございまして、実際に車につけまして、寿命の点からいいましても、価格の点からいいましても、経済的に十分実用性のある浄化装置ができますれば、もちろんそれを使ってやることはけっこうなわけでございます。ただ、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、排気ガス対策は、日本におきましてはここ二、三年の技術開発でございまして、そこまで十分いっておりませんけれども、先輩国でありますアメリカにおきましても、先ほど御説明したような次第でございまして、中古車につける浄化装置の実用性、経済性からいいまして十分なものがまだ開発されていないような段階でございます。したがって、いまの問題といたしましては、先ほど申しましたように、新車についての規制アメリカにおいても進めておりますし、日本においても、実はアメリカは来年の秋からいたしますのでございますけれども日本におきましては一歩早く、ことしの秋から新型車については規制をしたいという方針でいま進めておるわけでございます。
  48. 重盛壽治

    ○重盛委員 野間委員から質問したことに関連して……。あなた方を責めつけるわけじゃないが、私は率直にいって、自動車ばい煙公害に及ぼす影響というものは、先ほどあげられたような、中古車以下と見ていいですね。非常に性能の悪い車が、しかも悪質なガソリンを使い、悪質なモビールを使っておるところにああいう事態が生まれてくるわけであって、私はそういうものを廃車せよとまで極論は言わないけれども、まず自動車排気ガス問題をどうするかというときに、将来やはりエンジンの中にこういうものを取りつけていくのだ、このことは一応基本的にはけっこうです。しかし、それは米国でやったとかやらぬとかということは一回聞けばけっこうであって、問題は国内における自動車排気ガスをどう処理していくかということになれば、将来の荒木的な問題と、当面何をしなければならぬか、ということにやはり重点を置くべきである。その場合に、警察庁関係が来ておられるかどうか知らぬが、野間委員が言われたように、ちょっとそこらに車を置いておくと、道路事情も何もわからずに、あるいは町には立て札もないようなところに貫けば、すぐに引っぱり出されて駐車違反をやられる。あるいは横断歩道をちょっと一尺越したといってすぐ違反に扱う。しかし、私は取り締まりでこういうものをなくせよと言うのじゃないのですよ。ほんとうに目をつけるなら、まっ黒い排気ガスをぶあっと出していっておるあれを何件ぐらい処分し、何件ぐらい処理したことがあるのか、それをひとつ取り締まりのほうがおったら一応聞かせてもらいたい。その問題がお互いに運輸省、警察庁、通産省とが話し合いがつき、きまりがつかなければ、当面する自動車排気ガスの問題は解決できません。  もう一つ、妙な言い方で悪いが、米国がどう進めていようと、米国が先進国であるから米国にならってやったのだというようなことを何べんか口ばしっておるが、これはまことにまずい答弁であって、日本自体は自動車工業においてはかなり米国を凌駕するところまで進んでおる。その国がやろうがやるまいが、みずからの力において、みずからの指導力においてやっていくのだというやり方に当然立っていかなければならぬ。いま問題になるのは、だれもが一般的に取り上げるのは、道路をお互いが歩いておって、ぶあっとうしろから黒い排気を出す。その排気量が何%で、どういう毒素を含んでおるかということまで私は研究をいたしておりません。おりませんけれども、当面まずこれをなくしよう。これに対しては古い車にこれの装置をつける余地はないし、余力はない。おっしゃるとおりです。そうだったらば、それをたとえば使用禁止なんていうようなことは少し無理な言い方かもしれません。最も経済力のない人たちがこれを使っておるという状態もあるわけです。そういうことを考えれば、いますぐこれにつけろということは困難かもしれないが、かなり自動車も安くなり、通産省では製造だけは規制を加えておらない。だから車は一そうはんらんするばかりです。そこへもってきて、性能の悪い車が、またオイルもガソリンもしたがって二流品を使うというように、悪いところへ悪いものを使うというようになるのです。たとえばハイオクタンを使う車と普通のガソリンを使う車の排気関係をお調べになったことと存じますが、いま日本の工業水準からいっても、ニューカーでハイオクタンを使い、高価なオイルを使っておるということにな
  49. 野間千代三

    ○野間委員 大体わかりましたが、いま通産省でお答えになったような状況で、次にもう一点、八百CC以下の非常に小型の問題がまだ残っておるようですが、そうしますと、これはいまの御答弁でまいりますと、大体アメリカの連邦の法律が施行をされるころまでには日本のほうの技術開発も一それから日本のほうでも法制上の問題があると思うのです。その法制上の問題も大体間に合う、間に合わせるという態勢で進んでおるというに考えてよろしいのですか。
  50. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 国内法のほうの問題は運輸省の所管でありまするので、そちらから御答弁があろうかと思いますが、アメリカのほうは現に八〇〇CC程度、それ以上の車については一九六八年型から規制をするということで、先般それにつきましてのレギュレーションが出たようであります。先日もアメリカ大使館のほうから連絡がございまして、いずれそれについての全文が到着すれば通産省その他関係省に示していただくということに連絡をとっております。  いまお話しの点でございますが、やはりアメリカにいま輸出をいたしております車、日産、トヨタの二社でございますけれども、今後そのほかの社も出てまいりますし、八〇〇CC以下、さらにいえば三六〇CC以下の軽四輪車、こういったものはアメリカに輸出しておりません。やはり一〇〇〇CCとか一五〇〇CC、八〇〇CCから二〇〇〇CCまでの車が一番多いわけであります。そういう点につきましては、アメリカのレギュレーションに適合をする車でなければいけない、こういうことになりますので、私どもとしては、何が何でもとは申しませんが、とにかく昭和四十二年度末までには間に合わせて、アメリカの基準には完全に合格する車をつくる。同時にそれは相当日本国内でも出回ってくることになりますので、それに向かって努力をいたしておる状況でございます。
  51. 野間千代三

    ○野間委員 アメリカのほうの輸出の必要から、輸出をする日産、トヨタですか、その二社の問題としてでなくて、国内の自動車工業全体として取り組むわけでしょう。したがって、アメリカに引きずられておると言っては悪いのでありますが、それは別にして、とにかくいまの御説明で、国内車の八〇〇CC以下の国内で使っている新車全体について、ブローバイガスばかりでなくて、その他のガス装置、機関全体を取りかえる、改造するという点についても、国内全体として取り組んでいるというように考えてよろしいですか。
  52. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまお話しのとおりでございまして、現在アメリカに輸出しておりますのは二社でございます。しかし、これが完成をいたしまして、アメリカの基準で合格をする、——日本の場合には、アメリカと道路事情あるいは交通事情が違いますから、運輸省のほうでおきめになるレギュレーションの規制につきましても、おそらくアメリカと同じものであろうとは思いません。ただ各社が一生懸命やっておりますのは、これは営業政策の問題と申しまするか、こういったような有毒ガスが非常に軽微な、あるいは全く出ないといったような車がかりにある社で売り出されるといたします。これは非常に大きな宣伝の材料になると思います。したがいまして、各社とも、かりに一社がそれができれば、自分の社にはそれがまだできてないということでございますと、やはり車の売れ行き等にも非常に大きな影響がある。そういう意味から、対米輸出という問題だけではなしに、やはり公害対策、また各社の営業政策の上からも、これはもう対米輸出をやっております会社に限らず、全社がこれに取り組んでおるという状況でございます。
  53. 野間千代三

    ○野間委員 いまの御答弁は、ちょっと問題があるのですよ。その辺はまだ私心配なんですが、営業政策なりあるいは対米輸出上から、自動車排気ガスについては日本技術が開発をされつつあるわけですね。  そこで、あとは運輸省の問題になると思うのですが、日本の国内で新しく製造をする自動車全体について、対米輸出と同じような機関をつけなければならない、そうでなければアメリカのように走ってはならないし、あるいは販売をしてはならないということにしなければ、これはいま赤澤さんの言うように、そのほうがいいからというふうにはなかなかいかぬと思うのです。それはそれだけの経費がかかるでしょうし、コストの問題もあるでしょししますから、したがって、その辺は法的規制なり何かをしないと、国内全体の新車がそうなっていくというふうにはなっていかないんじゃないかというふうに考えるのですが、その辺は運輸省担当ですね。
  54. 井手以誠

    井手委員長 運輸省から御答弁願いますが、先刻の質問にもあったように、法制化の必要があるかという問題や、小型車の問題などもございますから、その点も含めて御説明を願いたいと思いますが、その前に通産省赤澤次長。
  55. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私のことばが少し飛躍をいたしておりまして、誤解があるといけませんので一言釈明させていただきますが、いまの自動車メーカーのエンジン排気ガス研究につきましては、輸出の問題、あるいはこれが一つの契機になっておることは事実でございます。それを正直に申し上、げたわけでございますが、もちろん各メーカーとも、こういったような公害の問題につきましては非常に頭を痛めております。ことに今後モータリゼーションと申しますか、そういうものがどんどん進んでいかなければならない状況でございまして、一方でそういうものが進めば進むほど、公害問題というものは一般大衆の関心の的になる。こういうことでございまするので、当然公害防止という観点からこの問題にはすでにここ一両年取り組んでおるわけでございます。たまたまこういった期限を切りましたり、とにかくここで非常に強力にアクセルを踏んでおる契機としてアメリカの問題が出てきた、こういうふうに御了解をいただきたいと存じます。
  56. 宮田康久

    ○宮田説明員 規制方法でございますけれども、まず先ほど申しましたように、新型車についての審査を基準を設けましていま運輸省でやっております。これはブレーキの問題でありますとか、操縦性の問題でありますとか、保安上の問題につきまして、あらかじめ国内で売られます前に運輸省で審査をしております。その際の基準に、一酸化炭素等の排気ガスの量も、排出基準を設けまして、それによってチェックをいたしたいといま考えております。また、技術的にあるいは実用上の問題等を考えまして、可能な限り私どもといたしましては範囲を広く、基準としてもできるだけ厳重な線で規制すべき性質のものと考えております。
  57. 野間千代三

    ○野間委員 いまの部長のお答えは、その基準を設定する基礎は何なんですか。
  58. 宮田康久

    ○宮田説明員 先ほどお話のございましたように、道路運送車両法に基づきます保安上、技術上の問題についてきめております保安基準と通称申しております運輸省令がございます。それには、お話のとおり非常に抽象的な規定をしておりますが、新車につきましては、実際に審査のときに、その抽象的なものにつきましても、ほかにもいろいろ例はございますけれども、基準を設けまして厳重なる審査をしている例がたくさんございますが、その線でまずやりたいと思います。
  59. 野間千代三

    ○野間委員 いまのお答えですと、九月からやるという新車の場合に、通産省のお答えのように機関そのものの改造によってやっていくというふうにしなければならぬぐらいの基準にしないと合わぬわけですね。そこで私は、そういうふうなことでやるよりも、たとえばアメリカで六八年からのために法律をつくっておるそうでありますが、そういうふうにやはり新しい法律そのものによって規制をするというふうにしないと、機関そのものも改造するのですから問題がないと思いますけれども、それに即応した新しい法体系をつくって、それによって規制をしていくというふうにしたほうがはっきりするんじゃないかというふうに思うのですが、これはどうでしょう。
  60. 宮田康久

    ○宮田説明員 ちょっと説明が足らなかったと思いますが、すべて国内で使います車につきましての走行状態、たとえば東京の新宿から東京駅まで走っておる状態というような実態調査をいろいろいたしまして、その場合に、加速はどの程度、正常運行はどの程度、減速はどの程度あるいはアイドルをしておる間がどの程度というような、いろいろな実態調査をいたしまして、それによりまして、実は運輸省としては、私ども研究所でいま一案をつくっております。大体都内の走行速度は四十キロ制限でございますから、ほぼ四十キロまで加速をいたしまして、四十キロの定時走行をいたしまして、減速をしていき、そうしてアイドルになるというような繰り返しのサイクルを考えまして、それによりまして、またそれぞれの何と申しますか、ウエートをどれくらい持たせるかということが実は問題点であります。その二点につきまして、私どものほうもいろいろ研究測定をいたしておりますけれども、最終的にきめますのは、やはり関係各省並びに民間側の学識経験者、その他の意見を聞きまして最終的な詰めをいたしたい。一応運輸省としては案を持っておりますので、この案によって昨年来いろいろ各型式の自動車についての測定はいたしております。したがって、メーカーのほうも、その運輸省の案についての測定値はそれぞれみな知っておるわけでありますので、技術開発の面では差しつかえございませんけれども、最終的に規制値をきめるということは、もうしばらく待たなければならないということであります。
  61. 井手以誠

    井手委員長 この際、通産省から先般業界に協力を求められたその結果について御説明を求めます。赤澤重工業局次長
  62. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先般、この自動車排気ガスにつきまして閣議等で問題になりまして、この件に関しまして通産大臣から、私ども事務当局に対しまして、現在各自動車メーカーがそれぞれ問題をかかえて研究しておるようだけれども通産省所管の研究所とも一体になって、さらにこの研究を促進するように各メーカーに要請をするようにという指示をいただきました。そこで二十八日に、各自動車メーカーの技術担当常務に集合していただきまして、その席上で、私ども重工業局からの要請をいたしたわけであります。  現状のところで申し上げますと、御存じのように、自動車排気ガスと申しましても、現在対象になっておりますガスには二種類あるわけであります。クランクケースから発生いたしますブローバイガスは、特に人体に有害というわけではございませんが、いわゆるスモッグの原因になるガスであります。もう一種類は、エンジンから出ますところの排出ガス、これには有害な一酸化炭素が含まれておるガスであります。この二種類のガスは、それぞれ違った原因で出ておるわけでございまして、自動車工業会の技術委員会におきましては、すでに昨年以来、この両者のガスをいかにすれば排除できるか、また、最終的な目標年次をどこに置くかということで検討を加えてまいっております。その結果、昨年の十二月に一応、クランクケースから出ますブローバイガスの排除装置につきましては四十一年度末、また、一酸化炭素を多量に含んでおりますエンジンの排出ガスにつきましては一年おくれました四十二年度末までに、そういったような装置を完成をしたいという目標を定めまして、それぞれ各社におきまして鋭意検討を加えておるところでございます。  この点につきまして、先ほど申し上げましたような大臣の御指示等もございましたので、私どもの機械試験所並びに資源技術試験所、両試験所の担当部長等も帯同いたしましてその会議に臨んだわけでございます。この会議では、現在通産省の試験所で開発研究をいたしております現状につきまして、その後の状況を詳しく説明をいたしますと同時に、各社からの要望事項、また各社の研究状況等の意見交換をいたしました。その結果、いまにわかにこの目標でありますところの今年度末ないし来年度末を繰り上げるというところまでの結論には到達いたしませんでしたが、何ぶん問題が非常に重要な問題でございますので、今後基礎研究の面につきましては、通産省におきましてなお  一そうの進展をはかるとともに、各社におきましてもその研究の促進をしたい。なお、こういったような技術の情報交換の会議をひんぱんに持つというふうな決議をいたした次第でございます。  簡単でございますが、先般の会議につきまして御説明を申し上げた次第でございます。
  63. 野間千代三

    ○野間委員 運輸省のほうの説明と、いまの通産省のほうの説明で、業界のほうでは、いま運輸省なりあるいは通産省がやられている日限では少し早過ぎるというような意見があったというふうに聞いておるのですが、いまの御説明でまいりますと、ブローバイガスのほうは四十一年度末、COなどは四十二年度末というように提案をされておったのですが、この状況では業界のほうは進むのですか、進まないのですか。
  64. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 何ぶんにも現在アメリカ等で開発されております技術は、実は大型エンジン技術でございます。それをそのまま私どものほうが非常にたくさん使っております小型自動車にすぐ適用するというわけにはまいりません。そういう意味で、単純に技術導入をいたすとか、そういうことにも実は実用上困難があるわけでございます。そういう意味合いから業界内部でも、この問題につきましてはまだ完全に自信があるという状態ではございませんが、先ほど申し上げましたような特に通産大臣からの指示等もあり、この四十一年度末、また四十二年度末を目標にした根本的なエンジンの改造、あるいは新しくこれに付加いたします防止装置等につきましては、とにかくこの目標を変更することなく、できれば一日でも早くやりたいというふうに決意をいたしておる次第でございます。
  65. 野間千代三

    ○野間委員 そうしますと小型車のほうが——アメリカのほうでは六八年から大型車がおもですね。大型がおもで全国的にやられますけれども日本のほうで輸出している場合には中・小型が多いわけです。そうなってまいりますと、大型でいま開発をされている技術日本に適合する場合には非常に問題があるというのはわかりますけれども、しかし、日本の特殊性として中・小型が多いわけですね。したがって、中・小型の技術を開発することは、貿易上ばかりでなくて、日本の国内車の体制としても当然重要なはずなんでありますが、そういう意味でまいりますと、いまの研究段階で、あるいは検討段階で、四十二年末に期待をされている状況に、技術上ではどうなんですか、到達しそうなんですか。いかがでしょう。
  66. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これは各社の技術内容を私も一々承知をいたしておるわけではございませんが、先般の報告の状況でありますと、結局エンジン排気ガス防止の技術といいますのは、先ほどもちょっと出ておりましたが、大ざっぱにいって三つあるわけです。一つは、エンジンにアフターバーナーをつけまして、そこでもう一回燃やして有害分を除去する。もう一つは、触媒を入れたカタライザーで有害分を除去する。もう一つは、エンジンそのものを良好な形に直しまして、そうして有毒ガスがないような、要するに不完全燃焼を起こさないようなエンジンをつくる。こういう三つのやり方があるわけです。  現在、日本の場合一番ねらっておりますのは、エンジンの根本的な改造によって完全燃焼エンジンをつくろう、これにねらいをつけてここ数年来ずっと研究を続けてきております。非常に困難な問題ではございますけれども、現在の日本自動車エンジン技術水準をもってすれば必ずしも不可能ではない。のみならず、御承知のように日本の乗用車の輸出の売り先は、欧州もございますけれどもアメリカ市場が何といいましても一番有望な市場でございます。このアメリカ市場が、六八年型から一定の基準以下でなければ輸出ができない。これは非常に実利的な面でも制約を受けております。各社も必死になって努力もいたしておりますし、またそういう技術の開発をすればいいというだけでなくて、営業政策の上に非常に大きな問題でございますので、必死になって開発をいたしておる状況だと存じております。
  67. 野間千代三

    ○野間委員 大体わかりましたが、いま通産省でお答えになったような状況で、次にもう一点、八百CC以下の非常に小型の問題がまだ残っておるようですが、そうしますと、これはいまの御答弁でまいりますと、大体アメリカの連邦の法律が施行をされるころまでには日本のほうの技術開発も一それから日本のほうでも法制上の問題があると思うのです。その法制上の問題も大体間に合う、間に合わせるという態勢で進んでおるというに考えてよろしいのですか。
  68. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 国内法のほうの問題は運輸省の所管でありまするので、そちらから御答弁があろうかと思いますが、アメリカのほうは現に八〇〇CC程度、それ以上の車については一九六八年型から規制をするということで、先般それにつきましてのレギュレーションが出たようであります。先日もアメリカ大使館のほうから連絡がございまして、いずれそれについての全文が到着すれば通産省その他関係省に示していただくということに連絡をとっております。  いまお話しの点でございますが、やはりアメリカにいま輸出をいたしております車、日産、トヨタの二社でございますけれども、今後そのほかの社も出てまいりますし、八〇〇CC以下、さらにいえば三六OCC以下の軽四輪車、こういったものはアメリカに輸出しておりません。やはり一〇〇OCCとか一五〇OCC、八〇OCCから二〇〇OCCまでの車が一番多いわけであります。そういう点につきましては、アメリカのレギュレーションに適合をする車でなければいけない、こういうことになりますので、私どもとしては、何が何でもとは申しませんが、とにかく昭和四十二年度末までには間に合わせて、アメリカの基準には完全に合格する車をつくる。同時にそれは相当日本国内でも出回ってくることになりますので、それに向かって努力をいたしておる状況でございます。
  69. 野間千代三

    ○野間委員 アメリカのほうの輸出の必要から、輸出をする日産、トヨタですか、その二社の問題としてでなくて、国内の自動車工業全体として取り組むわけでしょう。したがって、アメリカに引きずられておると言っては悪いのでありますが、それは別にして、とにかくいまの御説明で、国内車の八〇OCC以下の国内で使っている新車全体について、ブローバイガスばかりでなくて、その他のガス装置、機関全体を取りかえる、改造するという点についても、国内全体として取り組んでいるというように考えてよろしいですか。
  70. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまお話しのとおりでございまして、現在アメリカに輸出しておりますのは二社でございます。しかし、これが完成をいたしまして、アメリカの基準で合格をする、  日本の場合には、アメリカ鮮道路事情あるいは交通事情が違いますから、運輸省のほうでおきめになるレギュレーションの規制につきましても、おそらくアメリカと同じものであろうとは思いません。ただ各社が一生懸命やっておりますのは、これは営業政策の問題と申しまするか、こういったような有毒ガスが非常に軽微な、あるいは全く出ないといったような車がかりにある社で売り出されるといたします。これは非常に大きな宣伝の材料になると思います。したがいまして、各社とも、かりに一社がそれができれば、自分の社にはそれがまだできてないということでございますと、やはり車の売れ行き等にも非常に大きな影響がある。そういう意味から、対米輸出という問題だけではなしに、やはり公害対策、また各社の営業政策の上からも、これはもう対米輸出をやっております会社に限らず、全社がこれに取り組んでおるという状況でございます。
  71. 野間千代三

    ○野間委員 いまの御答弁は、ちょっと問題があるのですよ。その辺はまだ私心配なんですが、営業政策なりあるいは対米輸出上から、自動車排気ガスについては日本技術が開発をされつつあるわけですね。  そこで、あとは運輸省の問題になると思うのですが、日本の国内で新しく製造をする自動車全体について、対米輸出と同じような機関をつけなければならない、そうでなければアメリカのように走ってはならないし、あるいは販売をしてはならないということにしなければ、これはいま赤澤さんの言うように、そのほうがいいからというふうにはなかなかいかぬと思うのです。それはそれだけの経費がかかるでしょうし、コストの問題もあるでしょししますから、したがって、その辺は法的規制なり何かをしないと、国内全体の新車がそうなっていくというふうにはなっていかないんじゃないかというふうに考えるのですが、その辺は運輸省担当ですね。
  72. 井手以誠

    井手委員長 運輸省から御答弁願いますが、先刻の質問にもあったように、法制化の必要があるかという問題や、小型車の問題などもございますから、その点も含めて御説明を願いたいと思いますが、その前に通産省赤澤次長。
  73. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私のことばが少し飛躍をいたしておりまして、誤解があるといけませんので一言釈明させていただきますが、いまの自動車メーカーのエンジン排気ガス研究につきましては、輸出の問題、あるいはこれが一つの契機になっておることは事実でございます。それを正直に申し上、げたわけでございますが、もちろん各メーカーとも、こういったような公害の問題につきましては非常に頭を痛めております。ことに今後モータリゼーションと申しますか、そういうものがどんどん進んでいかなければならない状況でございまして、一方でそういうものが進めば進むほど、公害問題というものは一般大衆の関心の的になる。こういうことでございまするので、当然公害防止という観点からこの問題にはすでにここ一両年取り組んでおるわけでございます。たまたまこういった期限を切りましたり、とにかくここで非常に強力にアクセルを踏んでおる契機としてアメリカの問題が出てきた、こういうふうに御了解をいただきたいと存じます。
  74. 宮田康久

    ○宮田説明員 規制方法でございますけれども、まず先ほど申しましたように、新型車についての審査を基準を設けましていま運輸省でやっております。これはブレーキの問題でありますとか、操縦性の問題でありますとか、保安上の問題につきまして、あらかじめ国内で売られます前に運輸省で審査をしております。その際の基準に、一酸化炭素等の排気ガスの量も、排出基準を設けまして、それによってチェックをいたしたいといま考えております。また、技術的にあるいは実用上の問題等を考えまして、可能な限り私どもといたしましては範囲を広く、基準としてもできるだけ厳重な線で規制すべき性質のものと考えております。
  75. 野間千代三

    ○野間委員 いまの部長のお答えは、その基準を設定する基礎は何なんですか。
  76. 宮田康久

    ○宮田説明員 先ほどお話のございましたように、道路運送車両法に基づきます保安上、技術上の問題についてきめております保安基準と通称申しております運輸省令がございます。それには、お話のとおり非常に抽象的な規定をしておりますが、新車につきましては、実際に審査のときに、その抽象的なものにつきましても、ほかにもいろいろ例はございますけれども、基準を設けまして厳重なる審査をしている例がたくさんございますが、その線でまずやりたいと思います。
  77. 野間千代三

    ○野間委員 いまのお答えですと、九月からやるという新車の場合に、通産省のお答えのように機関そのものの改造によってやっていくというふうにしなければならぬぐらいの基準にしないと合わぬわけですね。そこで私は、そういうふうなことでやるよりも、たとえばアメリカで六八年からのために法律をつくっておるそうでありますが、そういうふうにやはり新しい法律そのものによって規制をするというふうにしないと、機関そのものも改造するのですから問題がないと思いますけれども、それに即応した新しい法体系をつくって、それによって規制をしていくというふうにしたほうがはっきりするんじゃないかというふうに思うのですが、これはどうでしょう。
  78. 宮田康久

    ○宮田説明員 ちょっと説明が足らなかったと思いますが、すべて国内で使います車につきましては、道路運送車両法の保安基準に適合しない車は運行できないのであります。したがって、自動車製造業者が新車をつくりまして売ります場合に、その保安基準に適合していない車は販売できないわけであります。新規検査に通らないわけでありまして、その新型車を出しますときに、保安基準に適合するかどうかの事前審査をいたしておりまして、その審査に合格したものを初めて国内で販売するというような体制にしておりますので、そのときに厳重なる審査をいたしまして、保安基準に適合しているかどうかをチェックいたしますれば、新車につきましてはすべてその基準は守られておるわけでございまして、規制としてはこれで十分だと思います。
  79. 野間千代三

    ○野間委員 そうしますと、この九月から新しくつくるものについては、いま開発をされる最高の技術で機関の改造をする、こういうことになるわけですね。そうしますと、何か運輸省のほうの提示をされた内容でいくと、何年には何%、何年には何%というように提示をされておったようですけれども、そういうふうにするのではなくて、相当きつい規制を最初にして、それに適合をする機関の改造をする。先ほど三つ言われましたあの方法があるようですが、一番最後の機関そのものを改造するということが一番完全じゃないかというふうに思うのですが、そういうことをするための基準をきちっとするというふうにしていかないと、やや安易な方法で新車をやっていくというふうになりはしないかという心配があるのですが、それはいかがでしょうか。
  80. 宮田康久

    ○宮田説明員 実際に実行不可能のことをしいてもいけませんが、私どもとしては、技術的に私ども研究所のほうでもいろいろの検討をしておりますし、その技術的な良心から判断をして、この程度なら十分やれるという線では、ぜひ新型車に対しての規制は進めたい、そう考えております。
  81. 野間千代三

    ○野間委員 ただ、新型車の場合には、先ほどの中古車とは違って漸進的にということでは、経済的にも技術上の問題があると思うのです。ですから、せっかく新型車規制をする場合には、それはもちろん直ちに最高の技術、最高の機関の改造といいますか、それはなかなかむずかしいでしょうけれども、期待し得る最高のものというふうにすべきだと思うのです。そういう意味で、いまの運輸省が言っておられる六六年から期待をしておる内容でいくと、たとえば先ほどお話の、アメリカとの通商の関係の問題もありますが、アメリカが期待をしておる規制内容との関連はどうなんですか。大体同じような程度なんですか。
  82. 宮田康久

    ○宮田説明員 来年になりますと国内の体制もさらに整うと思いますので、私どもといたしましては、測定方法自体が、アメリカ日本の車の使い方が若干違いますので、その意味で測定方法は若干の基準は変えなくちゃいけないと思っておりますけれども、ほぼ同程度のものにはぜひいたしたいと思っております。
  83. 小山省二

    ○小山(省)委員 関連して。ちょうど政務次官お見えになっているようですから、この機会にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、公害規制する基準というものが、各都道府県で取り締まっておる条例から見て、その条件が非常に緩和されておるという、甘いという、そういうかっこうで、従来都道府県では国の規制が定まった結果、いずれも条件を緩和して、従来あった条例を改正しておるわけです。したがって、その各都道府県の関係者からわれわれに陳情される面からいくと、この程度ではほとんど規制は困難ではないかというふうな苦情を聞いておるわけです。従来いろいろの公害防止に関する立法をする場合に、そういうふうに国のほうで法令が定まらない以前に、それぞれ都道府県はその実情に応じてそれらの公害を防止するために条例をつくっておる。そういう基準について打ち合わせるとか、問い合わせるとか、話し合ったとか、そういう実例があるのかどうか、その点をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  84. 福井勇

    ○福井政府委員 小山委員の御質問の内容につきましては、運輸省にももちろん重要な関連も持ちますが、主として通産省からお答えしたほうが妥当ではないかと存じますので、御了承を願いたいと思います。
  85. 中川理一郎

    ○中川説明員 条例の考え方につきましては、原則は、国が立法してないものにつきましては、たとえばこの公害のケースで申しますと、騒音とか振動とかというものにつきまして、いまだその規制内容についての意見が一定しておりませんために、必ずしも結論が出てないという状況で、法的規制をいたしておらぬわけでございます。これは少しこまかいことを申すようでございますが、騒音に例をとりましても、私どもの所管しております工場から出る騒音もございますし、それから建築現場で起こりますような建築騒音というものもございますし、あるいは街頭での広告騒音というようなものもございまして、それぞれまた違った事情がございますために、騒音問題全体としましては、これをどうやるかというようなことを実態調査をやっておるような状態でございまして、法律的には未規制でございます。そういう状態におきまして、地方公共団体がその地域内における統一の意思として、騒音についてかくかくの規制をしたいというお考えをお持ちになりました範囲におきまして、条例をおつくりになって、それで規制をなさるということは可能であるわけでございます。ただ、法律的に規制をいたしておりますものにつきましては、法律条例との抵触が起こらないように、原則としては国の法律にゆだねておるという状況でございます。  ただ、私ども関係いたしておりますばい煙防止にいたしましても、工場排水規制にいたしましても、これを一律的に新制をするということには、その土地土地の事情につきまして必ずしも当を得た結論にならないという状況がございますので、一般的には地域指定をいたしまして、水の場合は水系指定でございますが、ひどいところにはきつい規制をやる、軽微なところにはゆるい規制をするということでやっているのが一般的な状態でございます。そのために、きびしい規制をとられておる地域に対しまして、ゆるい規制のほうからもっとこれをきつくすべきであるというような意見がときどき出ておることは確かでございます。したがいまして、地方自治体の方々としては、自治体ごとに違った規制レベルになっておるということに、他との比較論からいたしましてお困りになる場合があろうかと思います。ただ私どもの考え方は、産業活動ということと、それから国民の健康ということとの調和を保つという意味合いで考えておりますために、画一的に、それだけの必要もないところにきびしい基準をつくって全国一律の規制をするということは、規制する効果と、規制によって受ける被害とのバランスがとれない、鶏をさくのに牛刀をもってするようなことは避けたいという考え方で、いままで政府部内の思想といたしましては、その地区地区に必要な規制をいたしておる、こういう状態でございます。
  86. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま通産省のほうから御説明のありましたことを若干補足いたしまして、現在実行いたしておりますばい煙規制等の場合について申し上げますと、地方自治体がと申しましたのは、国が規制を課した施設、これは一定の規模以上の施設に規制を課し、それ以下の施設をあとまた地方自治体で規制いたしております。それが法律を制定いたしました時点におきまして排除されるという問題が、昭和三十七年十二月の時点で発生いたしまして、非常に論議になったことがございます。その後、昭和三十八年七月に法律を改正いたしまして、国が規制した施設以下の小さな施設につきましても、自治体が必要ありと認めた場合においては、国がそれ以上の施設に対して課した基準をこえるようなきびしいものをすることは不当であると考えられるが、その地域に必要な程度の範囲内におきまして規制することはかまわないというような趣旨法律改正をいたしております。現在ばい煙規制法におきましては、そういう改正がなされまして行なわれておりますが、水質保全法においては、その法律上の根拠がございませんので、指定水域になれば、すべて国の基準による指定水域及び指定水域外においては、国が法律規制している基準以上のきびしいものを課することは、法律常識上不当であろうといったような解釈で現在に及んでおります。
  87. 小山省二

    ○小山(省)委員 大体当局の趣旨はわれわれによくわかるのですが、とにかく公害の問題というものは最近起こった問題でありますので、いろいろ古い記録であるとか、実績というものはなかなか判明しにくい関係がある。したがって、政府で立法された基準というものが、地方の直接被害を受けてそれをじかに苦情を処理しておる立場のほうから見ると、非常に条件が緩和されておる。したがって、その程度の基準では実際にはその効果というものはきわめてあいまいである。もちろん、そういう立法措置がなされないよりは、法的な規制を加えることによってはるかに改善はされますが、依然としてそれらの問題に対する根本的な解決にはなかなかなりにくい。いまなお相当そういう面の苦情がそういう地方の行政官庁の窓口にきておる。したがって、少なくとも、地方の直接そういうものを取り締まっている出先の機関であるとか、あるいは地方自治体の考え方というか、もう少しそういうものを尊重して立法に当たってもらいたいということを、われわれのほうにも常に要望されております。私も、かつて都議会にあったときに、たぶんいまのばい煙規制法のときに、従来東京都で取り締まった基準から見て非常に緩和されるということから、議会内においても、この程度の立法措置がなされても、条例より甘いようではとうてい所期の目的は達せられないというようなことで、かなり論議を呼んだことがあるわけです。したがって、最近ますますこうした公害問題というものが非常に世上の関心を集め、その法的規制を強く求めておる国民の考え方からいって、ひとつできるだけ実情に合うように、あえてそれが産業に大きな影響を与えて、事実上その企業の経営に大きな影響を与えるというような点まで規制をすることをわれわれ要望しないけれども、少なくとも許される範囲内においてこれを防止する立法措置というものを将来ひとつ考えていただきたい、こう要望しておきます。
  88. 野間千代三

    ○野間委員 大体お考えはわかったのですが、最後にひとつ要望をしておきたいのです。  一つは、最初の問題の中古車の問題ですが、どうもこのままでまいりますと、部長の言われる諸般の体制を強化をする、車自体については整備を一そう厳重にしたいということで、どうもこの二年なり三年なり済んでいきそうな気がするのです。これはやはり問題がある。新車によって浄化されるまでの間に起きてくる問題がありますから、これを何とかして解決をする方法自動車そのものについて解決をする方法を考えていかないと、実際に具体化をしないと、自動車排気ガスによる公害問題はここ当分続きそうな気がするわけであります。したがって、非常にむずかしい問題には違いないけれども、せっかくことしの秋から新車については取りかかっていこうということですから、すぐというわけにはまいらぬでしょうけれども、少なくとも新車が出回り始めるというころには、中古車のほうも、それの体制に従ってこれこれの手は打ちたい、打っていこうということになっていかないと、仏つくって魂入れずというふうになりそうな気がするわけです。したがって整備部長、これは非常にむずかしいでしょうけれども、早急なうちに、それぞれ関係の向き、研究等に携わっておられる関係の向きとも協議を深められて、こういう方法ならばということをひとつ発見されるように努力をしてもらって、少なくとも私が期待します新しい車が出回るころには中古車の体制も具体的に進んでいるという状況にしておきたいというふうに考えますので、どういう時期になりますか、委員長、これは委員長において考えていただいて、いついつの時期にこれについての具体的な御回答をいただきたいと一つは思います。  次に新車のほうの体制ですが、新車のほうの体制はことしの秋ごろからというふうにお答えになっていらっしゃいます。秋といってもいろいろありますが、いつの新車からというふうにお考えなんでしょうか。それをはっきりしてもらいたいのです。  以上二点だけ。
  89. 井手以誠

    井手委員長 通産、運輸両省から、ただいまの御質問に対して、第一点の中古車の問題、いつまでに回答ができるか。それから第二点の新車の改造エンジンは、この秋というのはいつか、二点についてお答えをいただきます。
  90. 宮田康久

    ○宮田説明員 現在走っております車についての排気ガスを減らす対策につきましては、先ほどお話いたしましたように、繰り返しになりますけれどもエンジンの整備を完全にいたしますことによって六割程度は減少するという実態を十分つかんでおりますので、やはり何といいましても定期点検整備をしっかりやるということが一番対策としては手っ取り早い対策でもある。ただ、その実効をあげますためには、先ほど申しましたように、整備工場で実際使います簡易な分析装置等も昨年試作品も完成しておりますので、至急これを実用的な装置をつくらせまして整備工場にみな備えつける。それによってエンジン調整もいたすということをいたしますことによって、急速に中古車といういまお話の実際走っております車の対策には効果があると考えております。定期点検整備の義務づけを三十八年以来いたしておりまして、最近特にその励行方を促進させておりますので、しばらくの間ひとつその効果を見ていただきたいと実は私ども思っておるわけでございます。さらに、先ほどお話がございましたように、浄化装置等が実用的なものがさらに開発できますれば、またそれも一つ方法でございます。これに対しましてのわれわれ政府側の援助も必要だろうと思いますし、大いに開発の速度も進めさせることも必要だろうと思いますが、先ほど御報告いたしましたように、現段階ではまだ実用的なものはできていないという現状でございますが、こちらのほうももちろん進めてまいりたいと考えております。  新型車の秋からの問題でございますが、新型車がほぼ出ますのがやはり九月の末から十月の初めごろでございますから、それにはちょうど間に合うように私どもの体制をきめたいと思います。
  91. 野間千代三

    ○野間委員 初めの中古車にこだわるわけじゃないのですが、厚生省でお調べになった、さっき触れました大原交差点のものは、三月の二十六日でしたか。
  92. 橋本道夫

    ○橋本説明員 大原交差点は秋でございます。
  93. 野間千代三

    ○野間委員 去年の秋でございますか、その結果が最近出たということですね。部長さんの言われることばじりをとらえるわけでないのですが、地方へ行けば、それを整備することによっていまごろすでに六割方は減っているわけですよ。そうして大原交差点のようなことが最近に出てくることはまずないというふうになっておれば、私もそう強くは言わないのですが、実際の問題として、三十八年以来運輸省でそういうふうに御苦労をされておるけれども、幾ら整備をされても、機関そのものの欠陥だと思うのです。そこにいまのような状態が出てきているというふうに言わざるを得ないのです。ですから、いま直ちにいついつまでに回答しろというのも、あるいは無理な注文かもしれません。ですから、この問題は委員長、また別の機会に、ぼくらのほうでも少し勉強して触れることにして、これは保留をしておきましょう。  二番目の新車のほうは、九月から十月にかけて新型が出る、それには必ず装置をするということですね。そう確認をしてよろしいですね。
  94. 宮田康久

    ○宮田説明員 そのとおりでございます。
  95. 野間千代三

    ○野間委員 以上で終わります。      ————◇—————
  96. 井手以誠

    井手委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  産業公害対策に関する件について、参考人の出頭を求め、その意見を聴取したいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 井手以誠

    井手委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 井手以誠

    井手委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は、明七日木曜日午後一時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会