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1966-03-23 第51回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午後一時四十七分開議  出席委員   委員長 井手 以誠君    理事 奥野 誠亮君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 保科善四郎君    理事 南  好雄君 理事 中井徳次郎君    理事 野間千代三君       宇野 宗佑君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    野原 正勝君       久保 三郎君    吉川 兼光君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         運輸政務次官  福井  勇君  委員外出席者         外務事務官         (国際連合局専         門機関課長)  伊藤 政雄君         厚 生 技 官         (環境衛生局公         害課長)    橋本 道夫君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部長)    中川理一郎君         通商産業事務官         (鉱山局石油業         務課長)    小幡 八郎君         運輸事務官         (大臣官房審議         官)      中野  大君         運輸事務官         (大臣官房開発         課長)     原田昇左右君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         参  考  人         (漁業協同組合         整備基金参事) 佐藤 一郎君         参  考  人         (汚水対策全国         漁業者協議会) 牧原 犬治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業公害対策に関する件(水質汚濁対策)      ――――◇―――――
  2. 井手以誠

    井手委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  産業公害対策に関する件について、本日、参考人として、汚水対策全国漁業者協議会牧原犬治君及び漁業協同組合整備基金佐藤一郎君から意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井手以誠

    井手委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 井手以誠

    井手委員長 それでは、まず牧原参考人から、最近の油による漁業被害状況等について説明を聴取いたします。牧原参考人
  5. 牧原犬治

    牧原参考人 私は汚水対策全国漁業者協議会牧原でございます。  船舶廃油によります漁業被害というものは、だいぶ昔から被害を及ぼしておるものでございますが、最近特に九州地区で非常な損害が出まして、それで急遽われわれのほうでは船舶廃油被害防除並びにその対策国会並びに政府諸官庁にお願いするようにしたわけでございます。と申しますのは、陳情書には、昭和三十五年までの漁業被害事例を出しておりますが、きわめて古い資料でございましたので、急遽われわれ独自で調査いたしましたのが、本日お配りいたしました最近の重油によります漁業被害状況でございます。  まず大分県は、ここにございますように、一昨年の十一月二十五日から本年の一月二日までのこの合計被害額が大体一億二千万くらいになっているような状況でございます。これは主としてコールタール状重油による被害で、明らかに船舶から流された油だということがはっきりしておりまして、目下海上保安部を通じまして被害損害賠償要求しているわけでございますが、なかなか原因がつかみにくいために結論を出すまでに至っていないというような状況でございます。  次に、熊本県でございますが、これは昭和四十年の十月九日に起こった問題でございまして、リベリアの船が三池港に入りました際にノリ網相当被害が出まして、漁連の推定しますところによりますと、七百五十万の被害が出た。それで、これも海上保安部を通じまして補償の要求をしておるような状況でございますけれども、相手が外国船でございますために、折衝の経過を聞いてみますと、おまえの国はこの油の条約批准していないじゃないか、入っていないじゃないか、何を言うかということで一蹴されるような状況だという話を聞いて、非常に残念に考えている次第でございます。  それから、次に起こりました新しい被害と申しますのは、四十年の十一月九日、これは佐世保の相の浦のノリ漁場被害が出たわけでございますが、これは被害そのものはきわめて微小のようでございますけれども国立公園内の地区でこういった事態が起きておる。  次に愛知県でございますが、これはちょっと古くなりますけれども陳情書にございました以降の三十六年から四十年の十一月二十三日までの分でございますが、およそ一億円というような被害が出ております。私、現場に参りまして、直接被害を受けました漁師その他の方々に話を聞いてみますと、これくらいの小さい被害じゃない、もっと大きいんだ、倍くらいは考えてもらわぬと困る、われわれは再三県や国のほうに陳情をしておるけれども、さっぱり効果がない。したがって、最近は報告はやらないような状況になっておると言って、県庁だとか政府機関のやり方に非常に憤慨しているような状況でございます。  それから次に三重県のほうを調べてみましたところ、伊勢湾のほうは、関係の府県、それから選出の代議士諸先生のおかげをもちまして、石油ターミナルのほうは被害があまり見えませんでしたけれども、最近できました尾鷲東邦石油、それから尾鷲火力、こういった関係で、つい最近できたために、非常に被害が集中的に出ておりまして、書いておりますように、四十年の三月、四十年の六月、八月、それから四十一年の二月、こういったところで、特に四十年の八月のノルウェーのタンカー、これは六万トンでございますが、この場合も、先ほど申しました熊本事例と同じように外国船でございまして、折衝しましても、てんで問題にされないというような状況でございます。  次に和歌山県でございますが、これは下津東亜燃料、それから丸善という二つ精製工場がございます。それから海面にも精製工場の富士興産というのがありまして、そういったところから相当の油が出てきている。ただし、この場合は、地元の下津周辺の漁協が、見舞い金と称するもので一応黙っているようなことを聞きましたけれども、そのまわりのところが最近相当不平が出て、目下被害額その他を調査中だというようなことです。  私が参りました東海、近畿地区だけでもこういった状況でございます。したがいまして、最近の被害事例から調査してみますと、漁村自体は、何ぼ陳情その他やりましても、めんどうを見てもらえない、泣き寝入りだということになっておりますし、一方、昨年起こりました湘南地区での海水浴客流油被害、こういったことを考えましても、被害を受ける者は、個人ないしは個人に似たような零細漁家でございまして、言うならば、いわゆる国民声なき声をひとつ国会で取り上げてもらいまして、国内法制定並びに条約批准を早急に実施してもらいたい、かように考える次第でございます。     ―――――――――――――
  6. 井手以誠

    井手委員長 油による海水汚濁防止に関し質疑の通告がありますので、これを許します。丹羽兵助君。
  7. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいま参考人としての御意見を承りましたが、その御意見が出る前に、私の手元に、最近の流油による漁業被害についての陳情書をいただいておるのです。それを見ております私どもとして、ただいまの参考人意見は、御用意もなかったせいか、陳情内容についての説明のようなことでございますが、あなたがこうした陳情書並び参考人としてお述べになるについて、各地方を御調査になった、特にこの陳情書に書きあらわされた地域を見て歩いたということでありますが、そこでお尋ねしたいのは、浅海漁業的なノリを中心としての流油被害というものをお述べになりましたね。もちろん、ノリ被害はあると私は思うのですよ。しかし、これは上のほうがおかされれば、当然貝類被害もあるし、あるいはまた、魚には回遊性のものもあれば、そこに始終定置しておる魚類もあるから、この流油による被害というものは、広く回遊性の魚にまで――調査はむずかしいかもしれませんが、ここに一部三重県側の養殖ハマチが出ておるのですが、これだって養殖定置魚と見なければならぬ。しかし、回遊性の魚も、こういうようにどんどんと火力発電所ができるとか、あるいは条約がないからといってどんどんと船が廃油沿岸に流すということになれば、この近くに来ておる回遊性の魚にも大きな被害があると思うのです。だから、こういう陳情書を出されて、ただノリというだけの立場に立って、あるいは一部の養殖ということに立たれて陳情なさっても、私はきわめて規模が小さいと思います。国民の受ける感じは、わずかな感じしか受けない。しかし、これはいま申し上げたように氷山の一角であって、この被害というものは、私がいま申し上げたように、魚類にもあれば貝類にもある、あるいは定置的な魚にもあれば、回遊的な性格を持った回遊性魚類にも非常に大きな被害があるのですよ。だから、あなたがおっしゃるように、条約批准をしてもらわなかったら、近海には魚がゼロになってしまうのだ、あるいはまた国内法整備していただかなかったならば、湾というものは全部だめになってしまうのだ、こういうことについての御意見があったのですが、少なくとも全漁連立場に立って、あるいは油によるところの被害汚水によるところの漁業被害というものを真剣に考えていらっしゃったら、ぼくはこの陳情書なんというものはばかげたものだと思うのです。もっと充実した、もっと国民になるほどと思われるような陳情書を出してもらわなければならぬ。一部のノリのようなものを出して、これで被害がありますと言ったって、問題にならない。私はこういうことについて非常に理解しているから、参考意見として申し上げるのですが、あなたはどうお思いになりますか。いまあなたが用意がないのにここで述べさせることはお気の毒だと思いますけれども、失礼な言い方かもしれませんが、出された陳情書を見て、こういう油を放出するからこれだけの被害があるからこうだということで、これが全漁連として漁業者を代表して参考人として出すべき陳情書かどうかと思うのです。もう少し真剣に考える必要があると思うのですが、いかがですか。これで、浅海漁業とかあるいはノリだけで済むとお思いになるのか。回遊性の魚にまで影響して日本沿岸には魚がおらぬようになるのだが、そういう点から、批准をしようとか国内法を改正しようというお考えを持っていらっしゃるのか、参考人の御意見を聞いておきたい。
  8. 牧原犬治

    牧原参考人 ただいま先生から御指摘がありましたように、私の調査が不十分で、先生方にはノリ被害だけのように思えたかもしれませんけれども、私が取り急ぎ調査しましただけでも、三重県では回遊魚のサンマなんかの被害も出ておりますし、先生のおっしゃるように、これはノリとか海草、貝類だけでなくて、今後回遊魚、それから定置網漁業といったものにも重大な影響を及ぼすものではないかと考えております。御指摘のように、今後極力そういった部門も調査いたしたいと思います。
  9. 井手以誠

    井手委員長 牧原参考人に申し上げますが、あなたのほうで従来調査なさった結果の被害総額はどのぐらいになっておるか、わかりませんか。
  10. 牧原犬治

    牧原参考人 私のほうで調べましたのは、ここに出しました取り急ぎ調査しましたこれだけでありまして、三十五年までの水産庁資料をお借りして陳情書につけましたのは、大体千葉県で二億近く、それから全国相当な額になっておるように思います。  特に私ら最近この問題を取り上げねばならぬと考えましたのは、工場排水によります水質汚濁の問題は、すでに水質二法がございますが、油によります海水汚濁というものは港則法のみでございまして、なお水産資源保護法もございますけれども、ほとんどよりどころになるような法律がないというようなことで、ぜひともこの問題を早く片づけねばならぬということで、先ほど御指摘のありましたように、調査不十分のままで各方面にお願いしたような次第でございまして、この点は深くおわびしたいと考えております。
  11. 井手以誠

  12. 中井徳次郎

    中井委員 先ほどから参考人お話を伺って、それに対する同僚丹羽委員の御質問なり御意見なり等もあり、私も、早々の間で、二、三時間前に、参考人としてお呼びしようじゃないかということがきまりましたので、御準備になっていなかったと思うのです。おそらくは、おっしゃられた金額の十倍や二十倍程度被害日本全国にある。一々計算する煩にたえない零細な沿岸漁業のことでありまするから、そういうことであろうと思うのであります。きょうは、この問題につきまして、実は前々回でございましたか、運輸省中野審議官等にお越しをいただいて一応の意見を徴したのでありますが、中村運輸大臣お見えでございまするから、主管の大臣としてもう少し詰めてお尋ねをいたしまして、政府見解をできればはっきりとさしていきたいと思います。  この問題は、いまから二月ほど前でございましたか、一月ほど前でしたか、私は、当委員会ではございませんが、衆議院の予算のたしか第三分科会であったと記憶をいたしますが、これに関連をいたしまして、厚生大臣鈴木善幸君に、油による海水汚濁防止条約批准について、これまでどうしてほっておいたのか、今後どうするつもりであるかという二点にしぼってお尋ねをいたしましたところが、厚生省のことでありまするから、これまでどうして批准がおくれておったかという事情については、いま初めて伺うので、よく知りませんけれども、伺ったことはよくわかりましたから、そこで公害対策担当大臣として、さっそく、油による海水汚濁防止条約批准について政府内でも極力これを主張しまして、早急批准をはかるようにいたします、こういう明快な答弁がございました。つきましては、運輸大臣お尋ねをいたしたいのでございまするが、閣議経済閣僚協議会その他の席におきまして、これに関して鈴木厚生大臣から何らかのお話がございましたか、その辺のところをまず承っておきたいと思います。
  13. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 経済閣僚協議会の場合は厚生大臣は入っておらぬのじゃないかと思いますから、その際には発言はなかったと思うのですが、鈴木厚生大臣から運輸大臣に対してそういう話がありました。閣議の席でなくて、こういう問題があるがということで、速急に何か対策を考える必要がありはせぬかということの忠告はお受けいたしました。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 ありましたのですか。
  15. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 個人的に、閣議の席でなくてですね。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 そのことにつきまして先般来あなたの部下にお尋ねをいたしましたところが、運輸省としては積極的に前向きにやりたいと考えておる。しかしながら、国内法整備とも関連があって今日まで延び延びになっていた、早急にいたしたいと思う、そういう回答がありましたが、大臣とされましてはいかがでございますか。
  17. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、このいわゆる油の海水汚濁による漁業被害が大きいということは、私は大臣になる前から、いろいろこの問題はたいへんな問題であると考えておったのでありますが、この公害に対する日本国民の考え方というものが何だか非常に手ぬるいと申しますか、この問題に対する取り組み方も、これは全体的に見てやはり手ぬるい。これは国民もそうでございますが、政府としても率直に私はそういうことは認められると思いますので、今後は、この公害防止の中における一つの油による海水汚濁の問題は、先ほど丹羽委員も仰せられるように、これは日本沿岸漁業の致命的な大きな課題であると私は思いますので、この点からも、この条約批准は急ぐべきであるという見解に立ちます。批准いたしますにつきましては、陸上廃油受け入れ施設整備するとか、あるいは船舶内に油と水の分離器等の装備を整えるとか、あるいは規制法制定をするとか、いろいろ関係するところがかなり多いような複雑性を帯びておるようでございますが、そういうことで今日まで批准をする措置をとることがおくれておるのだ、私はかように考えます。この問題には非常に困難性がありますが、今日全国沿岸漁業実態から考えますときに、こういう公害による被害がなくても、沿岸漁業というものは非常にむずかしい立場に立っておる。先ほどの協議会の方の報告を見ましても、これだけの局部的な報告でございますけれども、その局地的な沿岸漁業人たちに対してはこれは致命的な打撃を与えておるといえると思いますので、そういう観点から、ひとつ真剣に取り組みまして、できるだけ早い機会に、この公害による国民全体の被害を防ぐという措置に踏み切っていきたい。特に、この条約批准いたすことによって、沿岸漁業等に対して被害をできるだけ少なくするというような措置を前向きの姿勢で進めてまいりたい、かように考えております。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 あなたは、取り組み方がむしろ国民としても政府としても手ぬるかった、特に沿岸漁業実態を考えた場合に、早急にやるべきであるとおっしゃるが、そのお気持ちのほどはわかりましたけれども政府としましては、これもずいぶん前からの問題なんですから、今日この段階で、できるだけ早くやりますという程度ではだめです。たとえば、ことし批准するように国会に出すか、あるいは、ことしの暮れの国会あるいは臨時国会の場合に、批准するよう国会の承認を求める、やはりそこまでの熱意と準備があってしかるべきではないか、こういうふうに思うのであります。その点について私はもう少し突っ込んだ政府見解を伺いたい。国内法整備するなどといいましても、もうだいぶんこれはいろいろな関係でもって――先ほどあなたがお話になりましたように、船舶につけなければならぬとかなんとかいうお話もありますが、大型船舶はみんなついております。それから、港々に施設をするというが、施設のあるところもたくさんあるのです。足りないところが何カ所かあるというふうな状態のようでありますが、特に、もう二十九カ国で批准をされているとか、さらにまだもっと多いのだ、何か二つに分かれて改正案もあるそうでございますが、四十数カ国だとか、そういうことを聞きますると、海国日本とか、海運界では世界の何番目とか、造船は世界一の形でずっときておりますが、海と日本との関係を考えますると、どうしてこういうものを今日まで政府がずるけたことをやってきたか、ほんとうに私ども野党としては政府の怠慢を鋭く責めねばならぬというところにきておると私は思うのでありますが、大臣のせっかくのお気持ちは私は大いに尊重いたします。そのお気持ちでもって、どうですか、ことし一ぱいくらいに国内法整備をして、やると、はっきり答弁をいただきたいと私は思いますが、その辺のところはいかがですか。
  19. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いままでの経過等を私は詳細に承知いたしておりませんので、一応政府委員から経過を答えさせたいと思います。
  20. 中野大

    中野説明員 事務処理上の経過につきまして、私からかわって御説明申し上げたいと思います。  詳細な点は省きまして、運輸省としましていままでとってまいりました経過でございますが、おもな点を申し上げますと、実は昭和三十七年のときに、条約批准を推進するために、船舶の排棄する油による海水等汚濁防止に関する施策要綱というものを省内に作成いたしまして、この要綱に基づきまして、一方、日本船主協会ほか関係事業者海水汚濁防止についての指導をいたしますと同町に、他方、この要綱に基づきまして船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案を作成いたしまして、準備をいたしたこともございます。ただ、実はこの法律案国会に御審議願うように提出を準備いたしておったわけでございますが、先ほど大臣からのお話にもございましたように、陸上におきます廃油受け入れ処理施設の問題、あるいは船舶の漏油防止装置を装備する問題等がございまして、関係方面との話も十分取りつかないまま見送るような経過になった次第でございます。  ただしかし、その後におきましても順次準備を進めておりまして、たとえばいまの油水分離器にいたしましても、日本造船研究協会あるいは日本造船関連工業会、こういったところに補助金を出しまして、油水分離器開発のためにこういったものを実施してもらっておったわけでございます。また、港湾関係におきましても、海水汚濁防止施設の一部としまして、たとえば横浜港、川崎港にオイル・バージ用の船だまりを三十九年度あたりから整備するように決定いたしまして、その段取りで進んでもらっておりますし、また、先ほどの処理施設用地計画検討も進めていただいておるというようなことで、事実上いろいろな準備段階を進めていたわけでございます。また、本年度の予算にあたりましても、海水汚濁汚濁状況なり被害状況なり、あるいは規制手段とか規制基準処理方法、こういったものをいろいろ専門家の方に御審議願おうというようなことで、専門家の方を入れた審議会のような調査会の案も実は考えたわけでございましたけれども、先ほどのように、規制をしてそれから処理施設をするか、あるいは処理施設を設けてそういった国内法整備をするかといった、いろいろな意見のなかなか調整がつかない点もございまして、結局そういった予算の実現も見ないままに至りましたが、さらにまた先ほど大臣の御指示もございましたので、これからできるだけ早くこういった点の関係の向きとの調整をとりながら準備を進めてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  21. 中井徳次郎

    中井委員 いろいろ話を伺いますと、三十七年というと、いまから四年前に法律案ができておるのですね。船舶の油による海水等汚濁防止に関する法律案、そういうものが一応できたのにあとずさりをしたということについては、私は、やはり通産省なり外務省なり、そういう関係各省で何かそういうことについて異議が出たのじゃないかと思うのだが、きょうは通産省小幡君は来ておりますか。――小幡君から、三十七年当時の事情がわかったら説明してください。なぜ君たちは反対したのか。
  22. 小幡八郎

    小幡説明員 三十八年に運輸省から、船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案につきまして通産省に照会がございました。その内容検討いたしましたところ、本法律案では、船舶廃油処理施設設置については、届け出によってこれを設置するということでございまして、設置者がはたしてだれになるのかということか明確に把握されていないという点が第一点でございます。それから、これを企業として設置する者がはたしてあるかどうかということを考えますと、これは企業として設置する者はおそらくないであろうというふうに考えられたわけでございます。そういうことでございまして、この法律案が施行された場合に、油性混合物の廃棄が禁止されるということになりまして、その段階におきまして油性混合物受け入れ態勢整備されておりませんので、そのために船舶の運航に支障を来たすことになるのではないかというおそれがあったわけでございます。そういうことでございましたので、これらの問題を解決しないままに法律を施行いたしますと、石油製品の円滑な供給に支障を来たすおそれがあるのではないかということから、なおそういった点の検討をする必要がある、こういうふうに回答を申し上げてあるはずでございます。
  23. 中井徳次郎

    中井委員 いまの返事を聞きますと、全くのんきなもので、届け出制というか、その届け出をするかせぬかとか、あるいは企業ほんとうにやるだろうかとか、人ごとのようなことを言っておりますが、これを義務づけるとか義務づけないとか、もっと熱心にその場合に討議さるべきであったと私は思うし、そしてそのためには政府が要すれば助成金を出すとか出さないとかいうことに問題かしぼられていかなければならぬ、こういうふうに思います。  大臣、私はあとこの関係で外務省の人にも聞いてみようと思ったが、外務省は、国内体制がきまればおそらく批准には全然異議はないと思う。これは二十九カ国、世界の一流国が全部入っているのですから。いまの通産省のようなのんきなことで、結局これは外交に対する認識の問題、国民がどれくらい困っておるか、沿岸の住民がどれくらい困っておるかということに対する認識の問題、政治の問題だろうと私は思いますし、さらに、通産省立場をよく考えて、ごもっともだという立場から考えていっても、四年前と今日とでは、油の輸入業者その他も企業のスケールがすっかり変わっております。そうして非常に安定的な立場になってきておりますし、公害に対する企業の認識がまたすっかり変わった。たとえば亜硫酸ガスをどうして減らすようにすべきかなんという研究も各企業で自主的に始めておる。そうして今日日本全国各地でコンビナートを置くとか、あるいは火力発電所設置するとかいう場合に、一番心すべきことはこの問題である。三島の問題、沼津の問題などが排斥されました根本は公害の問題でありますから、今日、さっき通産省の某君が言われたようなことはもう片づいておると思いますので──そうういうことが原因の一割か二割程度かもしれません。ほかに穏されたものがあるかもしれぬが、私は隠されたものがあるとは思えない。したがいまして、これは早急に積極的に政府としてやられても全然差しつかえない、こういうふうに判断するのですが、いかがですか。特に中野君の説明を聞きますと、要するに、あなたが冒頭言われたように、取り組み方が手ぬるかったというにすぎないのじゃないかとさえ考えられます。過ぎ去ったことについて私はあえて責任を追及するわけではありませんが、私はこれは一つの何か盲点になっておったのじゃないかと思う。全国的に油が流れたりなんかすると大いに騒ぐけれども、どこをとめればいいのかというそのきめ手の一つとしてこの問題が何か見のがされておったというような感じさえするのでございますが、どうですか。いまのお話では、大いに積極的にやるということですが、私は、こんなものは、極端に言えば、一月もあればはっきりした結論が出ると思う。法律案があるのですからね。でございますから、早急にことし中ならことし中に批准を終わる、それくらいの意気込みでやるというような政府の意気込みを私は期待したいのですが、最後に、ひとつそういう意味において大臣意見を伺いたい。
  24. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、こういう法律は、やはり準備を整えて、やるか、あるいは規制法律を通しておいてそうしてその間に準備を整える、半年で整えられぬものは一年猶予期間を置くとか二年置くとか、そういう実情に合う措置をとるべきじゃないか、かように考えます。ひとつそういう方向ですみやかに規制法律をつくって、そしてその法に従うように準備を進めていくということで、最も近い機会に法律を整えて提出するというような形にいきたい。ただここで、半年とか、この次の国会でどうするということを言われますと、私も、この問題について各省と折衝しておりませんので――いま言いますような方向でこういう問題は取り組まなければ、準備ができてからというようなことでは、やはりずるずる時間がたっていくということになると私は考えますので、そういうこと等を考えまして、今後はこの問題を早急に解決する、そういう方向でひとつ検討を続けてまいりたい、かように考えるのでございます。
  25. 中井徳次郎

    中井委員 この点、いま大臣が言われたように国内体制を整備する、それが一〇〇%整備するのを待っておれば、こういう問題はできません。ですから、まず国内法を――もうつくられておるのですから、これを四年たって新しい観点でさらにもう一度見直されて、早急にお出しになって、たとえば船舶施設をするというその施設の期間をつけて、一年とか二年以内とかいうことでやるべきものだと思います。その点は中村大臣と私は全く同感でありますから、これはあなたとしては期限を切られると困るという大臣立場もありましょうけれども、私どもとしては、これは少なくともことし中ぐらいには片をつけてもらいたい、これは大体了承してもらいたいと思います。あなたはうなずいておられるから、大体そういうふうに了解をいたします。  最後に、外務省の伊藤君にちょっと聞くが、先ほどからの問答のようであるから、これはもう国内体制がきまれば外務省としてはただ手続をやる、こういうことでしょうか。
  26. 伊藤政雄

    ○伊藤説明員 専門機関課長の伊藤でございます。  外務省は、御指摘のございましたように、主要の海運国を先生は二十九とおっしゃいましたが、実は三十一にふえておりまして、国際協力、国際信義の上からも早急に批准すべき条約であると考えております。国内官庁のほうで準備が整い次第、批准の手続をいつでもしたいと考えております。
  27. 中井徳次郎

    中井委員 それじゃ、最後に、農林省から山中漁政部長は見えておりますか。――あなた方はどうしてこんなものを今日までほうっておいたんですか。あなた方はどうして怠慢であったか。それが一つ。  それから、さっきも参考人から説明を聞いたけれども、あんなものはごく一部でございます。大体年額どれくらい油による被害があるか、概算でけっこうですから、御説明してもらいたい。
  28. 山中義一

    ○山中説明員 この油の条約について何もしないでおったではないかという御注意を承ったわけでございますが、農林省としては三十七年、その前の一九五四年ですか、そのときの条約の場合も、それぞれ運輸省にもぜひ早く批准していただきたいというようなことはお願いはしてあります。ただし、いまの施設の問題その他の準備の点でむずかしいということで、比較的簡単に引き下がった、こういう点はなはだ遺憾に存じますが、こういうことでございます。  それからいまの被害状況でございますが、いま私が手元に持っております資料では、過去五カ年くらいのものにつきましても、関係漁業協同組合は三百六十、四百六十五、五百一、だんだんふえてまいりまして、三十八年には七百九十七に達しております。それで、金額で、これは若干推定でございますけれども、最近の数字で申し上げますと、五十八億六千九百万円、三十七年に五十八億、それから三十九年、これらでも六十億近いと推定しております。  以上でございます。
  29. 中井徳次郎

    中井委員 私はこれで終わりますが、大臣お聞きのとおりでありまして、しかも、先ほど通産省小幡君が簡単に回答しておりましたけれども中野審議官の説によりますと、全国に港々で油の装置をするという、それを考えましても、大体いまの日本においてはさしあたり十カ所、一カ所二億程度、土地を合わせて三億程度、こういうことであります。それが全部政府の負担になるかならないか、これはこれからの皆さんの御研究に待たなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、概算六十億、五十八億の被害、しかもその人たちの生活権の問題でございますから、これはもうぜひとも早急に批准をされるよう最後に重ねてお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  30. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この問題と必ずしも直接関連があるわけじゃございませんが、私は各港をほとんど船で回ってみた。もう港からその周辺の相当の区域まで、日本の近海というものはほとんど海の色をしておらぬのですね。これは私はたいへんなことだと思うのです。そういう状態であるということは、これは先ほど通産省の方も言われましたが、油送船とかなんとか、そういう問題もあるかもしれぬが、やはりすみやかにこの問題は解決しなければならぬ課題である。それで、この問題につきましては、特に沿岸漁業なんかは致命的な打撃を受けておる実態であり、これをこのままに放置しておくということは私は政治的にも許されないと思いますので、大体これを防止する方向で関係各省と緊密な連携を早急にとりまして、できるだけ早期にこの問題が解決するように努力をいたしてまいりたいと思います。
  31. 井手以誠

    井手委員長 次に、小山省二君。
  32. 小山省二

    ○小山(省)委員 大臣たいへんお忙しいようでございますから、簡単にお尋ねをしたいと思います。ダンプカー、すなわち大型トラック等による公害規制について、この際大臣の御所見を承りたいと思います。  御存じのとおり、数年前に重要河川の砂利の採取を禁ぜられました結果、最近、それらの業者はかなり奥深い山村の岩山を求めまして、これを砕石して都内へ出しておるわけです。したがって、そういう個所でありますから、いずれも国道からかなり離れております。言うならば、完全舗装をしていない地方道の上を走っておるわけであります。したがって、黄塵万丈といいますか、その付近の民家というものは非常な被害を受けておる。もちろん洗たくものなどは表へ出せません。住民の陳情によると、最近は戸を締めておるのですが、寒いうちは戸を締めてもいいのです。やがて暑くなるといやおうなしにあけなければならぬ。もう砂ぼこりで家の中がかさかさするような状態です。しかし、何らこれに対して規制がされておらない関係もあって、だんだん最近はそういう岩山を求めて奥へ奥へと行きます。ことに私どものほうはいま中央道がつくられるというので、砂利の膨大な需要がある。そんな関係で最近は国有林の払い下げを相当はやく出願いたしまして、そうして砕石をして出すという願いが各所に出ておるわけです。各地ともそのための村民大会を開いて、砕石禁止はもちろんのこと、ダンプカーによる被害について補償をしてほしい。これはもちろん交通上の事故は相当ふえております。ふえておりますが、同時に、いま申しますとおり、舗装をしていない道路をダンプカーが五台、十台と列をなして走るということで、沿道の住民はもうほとんどお手あげというような状態を呈しておる。いまのうちに何らかの規制をいたしませんと、現在岩山の砕石について何にも規制措置というか法的な取り締まりがありませんから、もう自由に岩石を砕いておるというような実情でありますので、もちろんその方面大臣の所管ではありませんが、そういう舗装がない道路を大量のダンプカーが通るというようなことについて何らか規制措置を、たとえば、そういう場合においては何メートル以上の道路でなければいかぬ、あるいはその道路に対する完全な舗装を業者の義務として義務づける。専用道路のようなものであります。間断なく何十台のダンプカーが走っているのですから、そういうものに対して舗装の義務づけをするような、何らかひとつ法的な規制を加えるように御考慮いただきたいと思うのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  33. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 地方の舗装をしていない道路等の横のほうにあるような住宅で、天気のいい日はほこりを浴びる、雨の降る日はどろ水を浴びるというようなことで、ほんとうに外から見たら気の毒なような住宅がかなりあることは、これはやはり何らかの処置をしなければならない問題であると考えておりますが、やはりいろいろ建設省とか警察とかその他それぞれの関係省と連絡をとってやらないと、これはなかなか運輸省だけで処理できるものでもございませんが、交通規制というもの、道路を通ってはならぬというような一つの規制をしようとすることは、いろいろむずかしさがあろうと思うのです。これは総理府が中心になりまして、いろいろ交通被害等に対して対策本部というものをつくってやっておりますが、いまおっしゃるようなそういう点について取り上げております。やはりこれは何らか積極的な対策を考えないと、ほんとうにその辺に住んでおる人は気の毒ということば以外にないような状態であるということは私もよく了承しております。この対策本部でもっと積極的に取り上げて何らかの処置を考えるように検討してまいりたいと思います。
  34. 小山省二

    ○小山(省)委員 もちろん、大臣の御所管だけでこの問題が解決つくとはわれわれも考えておらないのですが、いずれにいたしましても、従来、自動車が走る道路というものはおおむね舗装されておるわけです。ところが、いま言うように、特殊な例として、非常な山奥の岩山へ砕石工場ができるわけです。そしてそこから当然相当遠距離の都内へその砂利を運ぶわけですから、相当の車の台数が走る。それから中央道の関係、しかも比較的人口が稠密でございませんから、勢い、舗装をかりにした道路があったとしても、それはきわめて簡易舗装の程度であります。もう一月もダンプが走るとがたがたに道が悪くなってしまう。しかし、地方財政の現状では、そういう大型の車が走るほどの完全舗装をするといっても、予算上そういうことは言うべくして実際にはなかなか行なわれないということであります。したがって、荒れるにまかした道路を遠慮会釈なく走っておるということで、住民から連日苦情を受けておるわけです。これは特殊な例ではありますが、狭い道路を大型のバスなど走って、ほとんどその間はからだをよけていなければならぬというようなことを随所で見受けるのです。したがって、道路の幅員と車の種類によってある程度規制をするということは、公害ばかりでなく、交通事故を防止する上からもかなり必要のように考えておるのですが、内閣にそういう制度がありましたら私も実情をよく話すつもりでありますが、できるだけそういう面に早く法的な規制が行なわれるように大臣の一そうの御尽力をお願いしたいと思います。
  35. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいまの御意見に伴いまして、私も交通対策本部でできるだけそういうことを努力してみたいと思います。私らが地方で農業をしていた若いころは、たとえば大きな山を一つ売る、昔ですからいまのような大きな金じゃないのですが、その売り上げの何%かは道路の補償にちゃんと払うというようなことが昔は慣習でできておった。これは昔の一つの長い間の生活の経験からきたいい慣習だと思うのです。このごろはそういうことは全然考えられないが、そういう農村の中のほうで、一方は鉱物資源等を大きなトラックによってどんどん出して、それが一つの大きな営業をしておるというような場合は、地元の足元を踏み荒らすというものに対する何らかの補償をすることもあるいは考えられるのじゃないか。さらに、そういうところの道路等については、先ほどおっしゃるように、自動車の幅あるいは積載量というようなものにも一定の何か関連を持って検討して、道がこわれようがどうなろうがかまわぬという形での傍若無人な交通というものは、私は、何か規制する必要がある、かように考えますが、そういうことを考えるといろいろ法律的な問題点もからんできますので、対策本部で御意見を十分尊重いたしまして早急に検討してみたいと考えます。
  36. 井手以誠

  37. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は参考人と、運輸省の参事官にお尋ねしたいのですが、まず先の牧原参考人からはいろいろ承りました。きょうは佐藤参考人においでいただいておりますので、同じ責任において、同じ立場において陳情書意見書等も出ておりまして、内容は同じことだと思いますから、それについては申しませんが、佐藤参考人お尋ねしたいのは、現在こういうような被害の調書をお出しになりまして、油を流すことによってノリ等に被害があるんだ、これはそのとおりでしょう。現在受けつつある被害というものの、補償をされればいいのか、また、補償というものの責任が明らかになっていないので、今後そういう点を明らかにしつつ補償をしていけばいいのか、そうお考えになっていらっしゃるのか。少なくとも、今日問題になっておりますように、油を流すことを規制する条約というものを批准せねば、沿岸漁業というものは成り立っていかない、あくまで沿岸漁業というものを続けていくためには、こういうものをつくってほしいということが含まれておるのか、その点を佐藤さんから私は承っておきたいのであります。
  38. 佐藤一郎

    佐藤参考人 ただいま丹羽先生からたいへんありがたい御質問がありましたが、私どもだけでなく、最近の全国の漁民は、補償金あるいは損害賠償金をいただくというようなことでこの問題を皆さま方にお願いしておるわけではございません。あくまでもやはり海をきれいにしていただく、魚が住めるようにしていただく、それから、魚が住んでおりましても、その魚が異臭魚になって、人間が食べることができない、売れないというような魚では困るということで皆さま方にお願いしておることは、すでに御案内のとおりでございます。私たちもその立場でこの問題を国会のほうにお願いしておる次第でございます。よろしくお願いいたします。  なお、実はこの問題に関連をいたしました一例をお話し申し上げますが、これはNHKのラジオ、テレビでもとらえられた問題でございます。今日のように油の被害が激化する以前の、三、四年前の話でございます。三重県におきまして、ある石油工場がその陸上施設不完全のため油を海にしばしば流すのでございます。それで漁民一揆が工場に殺到いたしましてこのことの改善を要求いたしました。ところが、改善するという約束をしたので、安心しておりましたところ、やはりその油がときたま出てきたわけでございます。そこで、そのくさい魚を持って工場に再びその交渉に参りました。ところが、会社側は、そのくさい魚は売れないだろうから、それではかわいそうだから、その魚を町のくさくない魚と同じ値段で買うということを約束して、そしてその金を払おうとしたわけであります。そうしますと、あのあわれなあわれなというと少し誇大になりまするが、あの知識のないおかあさんたちが何と言いましたでしょうか。私どもはこの魚を買ってもらいに来たのではない。私どもは、こういうくさい魚を生産しないようにするということをこの前約束した、それを果たしてもらえないから来たのだ、こう言って訴えたのであります。  こういうことを国会の席で申し上げて恐縮でありますが、NHKから放送されたことでございますので申し上げますが、もちろん、私は、そういう損害を与えたのだから、そういう約束を履行しなかった人から金はいただかなければならないと思います。しかし、金は幾らもらいましても、東京湾の埋め立ての一例を見ても、あのたくさんのお金をもらいました漁民たちがはたして救われたかどうかということになりますと、決して救われないで、路頭に迷っておるという事例が多いのでございます。かような意味合いからいたしましても、私たちは、この条約によりまして海がよごされないように、先ほど中村運輸大臣お話しなされたように、もういまの海というものは海の色をしていない、全く死の海といいますか、そういう状態になっておりまして、先ほどの先生の御質問にはずれて申しわけございませんが、私ども調査が足りないで一例しか申し上げられませんが、その損害額は五十億や六十億ではないのでございまして、ちょうど道路における大気汚染の事例が金額で算定できないように、これはいかなる調査官をもちましても、この異臭魚とかあるいは人命に関する損害額というものは、厳格に計算できないようなおそるべき金額に最近はなっておる、こういうことをぜひとも御検討願いまして、よろしくお願い申し上げたいと思うわけでございます。どうかよろしくお願いいたします。
  39. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 なお、私は佐藤さんに引き続いてお尋ねしたいのですが、私がお尋ねしたこと以外でも、こうすることが、いまお話にありましたようにきれいな海に戻され、そうしてまた魚もとれ、漁民がそれによって引き続いて生計を営んでいく、またわが国の沿岸漁業というものがそれによって保たれていくというような――油を流すとか、あるいは海が荒されるとか、港湾がよごされるという点についてのあなたの御意見はひとつお述べいただいて、その辺もあわせてお聞かせ願いたいと思います。  そこで、そうしたことからもう一点私はお尋ねいたします。先ほどあなたはおいでにならなかったのですが、参考人の御説明の中で、熊本県で発生した被害に関して、これはリベリアの船が原因であることは明らかであるが、しかし、これだけ大きな損害を与えておりながらも、条約批准していない関係で、せっかく海上保安庁あるいは警察を通じて要求しておっても、問題にしてくれない、こういうことなんですが、一体、油を流したのに、条約批准していないから、損害は漁民である、こういうことは私どもとしては理解しかねる-理解しかねるというか、承服できないことなんですが、その後いまの交渉は一体どうなっておるのだろうか、お聞かせ願いたいと思います。
  40. 佐藤一郎

    佐藤参考人 ただいま丹羽先生からたいへんいい機会を与えてもらいまして、感謝にたえません。  まず、第一の問題につきまして、油以外のことはさておきまして、いまの油の海水汚濁防止に関する条約のことに中心を置きましてお願い申し上げますれば、三年前の三十七年に運輸省でいろいろ準備をされて御研究された事項がございまして、専門官の方々でやられているのでございますが、私どもこの油それ自身の防除装置につきましてはむしろ専門外でございまして、被害者側の立場でお願いしておるので、専門でございませんが、この機会にぜひ皆さま方に御検討を願いたいことは、この条約が、先ほど中井先生からもお話がありましたように、国際海事協議機関におきまして審議されまして改定が行なわれているわけです。日本が署名した条約は、二十年近く前に研究されたもう過去の遺物であります。それに署名しているわけでありますが、批准さえも履行していないのですから、この面で国際的おくれがあらわれたわけでございますが、四、五年前にこの条約が改定されまして、新しい条約批准せざるを得ないような国際間の事情に立ち至ったということは、それだけやはり油に対する防除施設が進んできた、そういうものに基づいて、一流国がそれぞれ新しい条約批准し、そうして新しい国内法制定された。アメリカにおきまして、あるいは西ドイツにおいて、それから先ほど問題になりましたリベリアといったような国においてさえも、この改定条約批准されているわけでございます。私がお願いしたいことは、したがいまして、旧条約ではなく、改定された条約において批准をお願いし、かつ、あわせて、世界の各国に恥じないような、造船技術におきましても、それから海運のことにおきましても一流国としてのそういう状態においての国内法制定願いたい。非常に抽象的なお願いでまことに恐縮でございますが、このことをまず第一にお願い申し上げておきます。  それから第二点の、熊本県の荒尾の場合の被害は、これはリベリアの船が三池炭鉱にコークスを積みにまいりまして、帰りの燃油をタンカー船から貰ったわけであります。そのタンカー船は三菱系統の石油でございまして、そのタンカー船が、ちょうどわれわれが自動車を持ちましてガソリンスタンドに行って、満タン積んでくれ、こういうふうに頼んだ場合に、満タンになってあふれたように、それがドラムかんにして二十何本分もあふれたわけであります。その場合に、リベリアの方がオーライ、オーライと言ったか、あるいはそのオーライがわからないでリベリア語で話したか何かわかりませんが、日本のタンカー船が引き続いてどしどし油を甲板の上に流したか、その辺の事情は、地元の弁護士先生をお願いいたしまして、海上保安庁並びに警察に告訴並びに告発の手続がしてございます。告訴、告発の手続をいたしてみましても、先ほど丹羽先生お話にありましたように、お金をもらいたくてやっているのではなくて、これは三池炭鉱に入った船がこういう事故は始終あるわけでございます。これは三池炭鉱に限らず、大分県におきましても、あるいは佐賀県の有明海のほうにいたしましても、玄界灘においても、始終問題が出ております。ことに瀬戸内海方面は激甚でありまして、コールタール状のものが始終流れてきております。大分県の場合には、佐賀関といって二十里ぐらい離れた港まで、九州石油の陸上施設の不完備によるものがあすこまで流れてくるわけでございます。ごく近くの例で、神奈川県におきましては枚挙にいとまがない事例がございます。この事例は、外国船が、日本条約がないからといって、沖のほうで船の中を洗ってくるのだそうです。それが子安とか、あの辺に常時流れてくるわけでございます。こういうものが佐賀県におきましてもたくさんあるわけでございますし、熊本県にもあるわけでございます。そういうわけで、この問題につきましては地元の人は告訴とか告発とか、あるいは民事訴訟とか起こしておるのでございますが、これは二の次でございまして、この間も荒尾の総合長さんが私のところに来て言っておりましたが、私は日本全国の海に油が流されないようになることが願いでこの問題をやっているのであるということを申しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  41. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 同僚の委員の皆さん方にも、また役所の方にも御迷惑をかけますので、まだ数点承りたいが、二点だけきわめて簡単に質問をすることをお許し願いたいと思います。  そのお尋ねしたい二点は、いまもお話のありましたように、石油コンビナートとか、あるいは船からの廃油あるいは陸上施設の不完全ということで、海洋というか、湾はもちろんのこと、沿岸はすっかり荒らされていくのですね。これでは、生きるためではありましょうが、それと同時に、長年漁師が海に対する愛情、魚の住む海、それから、そこで働きたい、そこで魚をとって生活していきたいという者も、このままでいけば、海を再び漁師のものに、また国民のものに取り戻すことはできないようになってしまう。これは一日も早く、もとのものにならなくとも、これ以上にはよごれないような海にして守っていかなければならぬ、こう希望するのです。そこでお尋ねしたいのは、先ほど運輸省の参事官からの御答弁によりますと、これを批准するについて、まず規制をしていくのか、それとも国内体制の整備か、とにかく処理施設をしてから税制をしていくのかという、こういう鶏が先か卵が先かといったようなばく然たるお話しで、結果的には、処理の施設のほうが完全にできないから今日までおくれておる、こういうふうにおっしゃいました。これは事務的な考え方から事務当局はそういう考えかもしれませんが、先ほど運輸大臣はこれに対してはっきりとお答えがあった。これはもうそういう姿勢ではならない、あくまで規制を先にして、そうして時間はかかるかもしれないけれども、国内体制といいますか、処理施設というものを整備していくのだ、このほうが現実的であり、このほうが国民にこたえることだという、そういう方式論をお示しになったのですが、事務当局もこうして示されたことについて間違いないでしょう。大臣がその姿勢を示し、やり方を示して、いままであなたのほうでは判断がつかなかった、どっちを先にやるかということでもやもやしておったけれども、これで方針は示されたので、ここでおそらく大臣の言うことが違うとはおっしゃらないでしょうが、事務当局も、大臣が言ったその方針、そうした考え、この姿勢には間違いないですか。これに協力していかれるのかどうかということをを念のために――先ほどはもやもやしておった。私は、なるほど、どちらが先か、そういうこともあり得るなと思っておったのですが、大臣がああした点をはっきり言われた以上は、事務当局もこれに合わしていかなければならぬ、こう思うのです。その点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  42. 中野大

    中野説明員 先ほど、私がどちらが先かというふうに申し上げましたのは、昭和三十七年に法律案をつくりまして、関係の向きといろいろ打ち合わせをいたしておりましたときに、そういった問題が一応議論の対象になったわけでございます。また、その後も検討しておりましたが、そういった点についていろいろ検討を加えるべき問題点がございますけれども、しかし、やはり一応規制すると同時に、受け入れ施設整備も伴ってこれに対処していかなければならぬというふうには私ども思っております。したがいまして、先ほど大臣答弁なさいましたように、大臣の趣旨に従いまして、私どものほうもそれに準じて、整備をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  43. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ぼくは参事官と思っていたが、審議官ですから、責任があるのですね。もう一ぺん念のためにお尋ねしておきまきすが、なおあなたがそういう言い方をなさるならば、私は与党であっても、もう一ぺん大臣にここに戻ってきていただいて、この点ははっきりしておかなければならない。あわせてということばがあった。大臣のほうは、この規制のほうを先にやっていかなければ――大臣からああいう話が出ない最初は、いまのあなたのように三十八年の当時はそういう考え方できた。そういう考えであったから、今日まで大事なことはほったらかされて海は荒らされてきているんでしょう。世界がやっておることを日本だけがやってない。あなた方の考え方がそういうふうであったからおくれてきておる。そこで大臣ははっきりと、そうではいけないから、規制のほうを先にやって、国内のほうを追いかけてやっていくようにしよう、こういうことで方針はちゃんときまったのじゃないですか。これは一緒にいくんだ、一緒にいかなければ足踏みをすることになる、大臣は政治家として示された指導方針で進んでいく。あなた方はその命に従ってついていけばいい。それができないならば、役所は審議官のほうが命令を出されるのか。わけがわからぬ。あなたは一緒においでになったでしょう。もしあなたがここにおいでになったならば、そこで大臣に、そういうことはできませんと注意すべきでしょう。黙って聞いておって、大臣が行ってしまってから、そんな話は聞き捨てならない。その点はっきりしてしてもらいたい。
  44. 中野大

    中野説明員 私も大臣の話されましたのを聞いておりましたが、一応国内法準備をしまして批准の方向に持ってきたい、こういうふうにお話しになったものと思います。
  45. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 あなた一緒に聞いておった。速記録をよくごらんなさい。そんなことは言ってない。すぐ前のことですよ。一日もたったというならそれは間違いということもある。二回目の答弁のときにちゃんとはっきりしている。質問者もそう言った。私もそれを聞いている。一時間も前にならないでしょう。大臣は、国内法整備してと言っておられない、規制のほうを先に進めて、そうしてあとでできるだけ早くそれを合わせていくように努力する、こう言っておられる。それが、そういう考えだから、いつまでたっても日本の海は荒らされるんですよ。一体なぜこんなことができないのですか。たとえば農林省でいう五十八億、六十億、被害からいえば数十億、陳情者はこんな金額ではないと言っておる。金額ははっきりしたものではないにしても、きれいな海に戻そう、この海を守っていこうと、これだけ涙をもって訴えておられる。これを荒らされつつある。金額はたとえ六十億にしても、この六十億は、ほんとうに何千何万、何十万という零細な企業者、漁民が受ける被害なんです。同じ金額でも、この六十億というものは、数知れない大ぜいの方々の涙というか、ほんとうにかわいそうな六十億の被害なんです。大企業が二億や三億、五億、十億の被害を受ける、その施設をするために出さなければならぬその考え方というか、そうしたものの受ける感じと、何十万という海を守ろうとする一般国民、漁民の気持ちというものとは比較にならぬでしょう。こちらのほうで何十万という人を泣かしておいて、海がよごされてそのままにしておく。それというのは、こちらのほうの施設に金がかかるから政府が出すことはいやだ、これでは大衆の政治にならないのです。私は与党であるけれども、それは承知できない。しかも、そういう考えに立っておられる政府が、こちらが進まなければ批准のほうもやりません、そちらが一緒にいくようにします、そんなことを言っておったら、いつまでたってもできぬでしょう。私は、さすが大臣の考えはりっぱだと思うのです。それを事務当局がとめておる。あなた方はいまのような大臣意見が違うとおっしゃるなら、もう一ぺんあなた方は大臣に言い直させなくてはならぬでしょう。しかも、あなたはうしろにおって、大臣に堂々と言わせておいて、今度は、一緒にいきますなんということは、一体あなたが大臣に命令しておるのか、大臣があなたに命令して仕事をやらせておるのか、私どもはわからぬですよ。何十年も長い間代議士をやっておったって、こんな話は聞いたことがない。こんなばかな答弁はない。はっきりしなさい。
  46. 中野大

    中野説明員 国内法整備といいます中には、規制と、それから処理施設のいろいろな準備段階、両方含んで国内法整備というわけでございます。したがいまして、国内受け入れ体制の整備というものは、実質的にその整備ができるかどうかという点を、私、事務当局として考えておるわけでございますので、大臣からお話がございましたように、できるだけ早くそういう規制もあわせて国内法整備するというお話の趣旨のとおりに私は処理するつもりでございます。
  47. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ここの委員会を通じて大臣のしゃべったことは、聞いておる者はわずかでしょうけれども、行政の最高の責任者が国会を通じて国民に約束したことなんです。だから、その方針のとおりにあなた方は進めていかれるかどうかということなんです。一々こまかいことまで私は聞いているわけじゃないのです。大臣国民に対して約束したとおりに事務当局は――いままで大臣の考え方と事務当局の考え方とが違っておったから今日までおくれてきたと思うのです。その点をはっきり打ち出しなさったのだから、あれがまだそろわぬとか、これがそろわぬという話ではなくして、事務当局も大臣の指示のとおりに事を進めていかれるかどうか、この考えが一体かということを私は聞いておる。その点をもう一ぺんはっきりしてください。
  48. 中野大

    中野説明員 大臣のとおり私ども事務処理するつもりでございます。
  49. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は、早くそれを言っていただければ、何も汗を出してあなたと議論をしたり、ただす必要はない。そういう点が、大臣大臣でかってに言うのだ、事務当局は事務当局でまたかってな考え方だということで、いままででも国会答弁が無責任過ぎておった。また、大臣に無責任なことを言わせておったところに、いろいろと国民が迷惑を受けておったと思う。今後もひとつそういう点は十分運輸省等気をつけていただきたいと思うのです。  次にお尋ねいたしまするが、これは通産省も来ておられますが、どうも企業のやり方というものはずるい点がありまして、愛知県の武豊というところに中部電力が今度火力発電所をつくる。この地元に対しては、何と申しまするか、重油を使うことは必ずまた海が荒れ、漁師に迷惑をかけるので、漁師諸君は重油を使うということは決して賛成していない。そこで中部電力は、将来ともこの火力発電所は石炭による火力発電所だ、石炭を使っていくのだから、今後決して重油に切りかえませんと言っておりまするが、こういう点は通産省として、石炭を使って発電をする火力発電所として発足したものを、約束どおり、重油に切りかえるようなことはお認めにならぬかどうか、この点をひとつこの国会を通じて明らかにしていただきたい。これは許可なんか通産省がするのでしょう、私はよくわかりませんが。そうして申請するときは、海が荒らされぬような石炭を使うと言ってやっておいて、知らぬうちに重油に切りかえる。また知らぬうちに石油コンビナートに変わっていったのでは、これはたまったものじゃない。そういう含みがあるといけないので――私はこれは一つの例をあげたのですが、こういうことをすれば、もう国内法もなければ規制もできてない、しかも条約批准もない、それで海はめちゃくちゃになってしまうのですよ。その点をひとつはっきりしておいていただきたい。これもただ丹羽と一役人とのやりとりじゃない。国民に対して明らかにしておいていただきたい。
  50. 中川理一郎

    ○中川説明員 ただいまの御質問は、発電所のことでございますので、実は電気事業法によります関係の仕事は公益事業局が担当いたしておりますので、私から御答弁申し上げるのは不適当でございますけれども、先般当委員会で、来年の発電所の新設計画についての御質問がございまして、その資料をつくります段階で、公益事業局からもらった資料がございます。それに基づきましてただいまの丹羽先生の御質問にお答えいたしますと、この許認可済みの発電設備の一覧表の中に、ただいまおっしゃいました愛知県の武豊というのがございます。これによりますと、石炭と重油の両方を燃料として、四十一年八月に完成するということで認可が行なわれているようでございます。
  51. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 責任の持てない方から資料だけの御答弁をいただいても何にもならぬと思うのですよ。こういうごまかし仕事をしておるから海がめちゃくちゃになり、魚はいないようになり、そして零細なる漁民というものが路頭に迷ってしまうことになるのですよ。これらは全く大企業国民をだまして、国民をむさぼり食うやり方なんです。武豊に申請したときには、あくまでも石炭でいくと言っておる。そうしておいて、重油なんかやれば海が荒らされるので、そういうことは絶対にあり得ないとわれわれに言っておる。それが通産省の許可、認可済みの一覧表の中には、石炭とやがては重油、こういうばかなことでは、私どもは海を守る立場からいっても承服しかねる。一体こういう申請が最初からなされておったものか。こういう石炭から重油へ切りかえていくには、どういうような対策施設を持って切りかえて、海を荒らさず、地方住民にも不愉快な迷惑のかからないような対策を考えるのか。私は一つの例をあげたのですけれども、こういう点は少なくともみんな知らずにおったらだまされてしまうのですよ。だます張本人は通産省じゃないですか。こんなことは不都合きわまる。私はきょうはこの問題はこのままにしておくが、これを認可したよく検討なさる役所があるでしょうから、いずれ来ていただいて聞きますが、これは話が違う。こういうことをやられるから、何度も言うておるように、日本には海がなくなってしまう、魚がいなくなってしまう、漁師は殺されてしまう。そして残るのは、やれ中部電力とか大企業だけ残って、そうして金もうけをする。国民は全部こいつらに骨までしゃぶられてしまう。これでは私は選挙もやれぬ。選挙をやれぬということは、国民から支持を受けられないということになるでしょう。そういう政治をするということは国を滅ぼすことになる。石炭から重油に切りかえるとか、あるいは重油を一緒に使っていく発電所だということは、私はこの近くに住んでおりますから、こういうことのないということを理解しておるので、だから何度も言いますけれども、こういうごまかし仕事をやっていっては海は荒らされてしまう。だからきょうの両氏からの陳情のようなことになるのですよ。われわれはそのために海を守り水を守って、汚染されないように努力しなくてはならないから、こういう特別委員会ができている。そして注意をしないと、こんなことでやっていたら政府企業とぐるになって何をやるかわからぬことになってしまう。これは不都合きわまる。これは承知しかねるから、委員長に頼んでおきますが、この点明らかになるようにひとつ資料を──この次の委員会には必ずこれについてのしっかりした説明のできる人を出席させるように、あなたに責任を持っていただいて、質問を終わっておきます。
  52. 井手以誠

    井手委員長 ただいまの丹羽君の火力発電所の燃料に関する御質問については、次会の委員会で審議することにいたしまして、引き続き油による海水汚濁防止に関して審議を進めます。野間千代三君。
  53. 野間千代三

    ○野間委員 丹羽先生あるいは中井先生からすでに質疑が展開されていますので、簡単に質問いたします。  初めに、先ほどの運輸省のほうからの答弁で、三十七年に批准の推進を行なって、これに関する国内法要綱を作成をして、海水汚濁防止するための法律案を作成したというふうにお答えになっていらっしゃいますので、その法律案と、それからイギリスでは、一九五五年以来というから、ずいぶん早くから防止に関して国内法整備をしておったようですが、今日の英国の国内法を参考として、この二つをひとつ委員会資料として提出を願いたい。これは先ほどから大臣も、まず法律規制をしてそれから実態をそれに合わしていく、きわめて前向きな御答弁がありましたので、当委員会のわれわれとしても、そういう意味でまず国内法の問題をもう少し政府のほうとして推進をしてもらいたいという意味で要求したいのですが、よろしいですか。
  54. 中野大

    中野説明員 国内法は現在手元にございますので、御提出できると思います。それから英国の国内法は、現在英文しかございませんので、これが翻訳となりますと相当期間かかりますので、もしそういう期間がお許しいただければと思います。
  55. 野間千代三

    ○野間委員 それではとりあえず早急に国内法を出していただいて、それからやはり翻訳してもらわないとぐあいが悪いので、翻訳していただいて、全文を提出いただきたいと思います。  それから、きょう私が手元に持っておりますのは、実は一九六一年でしたか六二年でしたかに改正をする前の条約なんですが、第十五条をちょっとごらんをいただきたいのです。第一項で、効力が発生をすると書いてありますね。そうして第二項で、「この条約は、この条約が前項の規定に従って効力を生ずる日より前に受諾について留保を附さないでこれに署名し、又はこれを受諾する各政府については、その口に効力を生ずるものとする。」、こういうふうになっておるのです。この条文の解釈のことなんですが、日本政府は、たしか会議に松本大使でしたかが出席をして、署名をされておったと思うのです。そうすると、いままだ批准されてない、受諾してないとすると、この条文をそのまますなおに解釈すると、留保をするための条文か何かに署名か何かして署名をしたのか、あるいはそういうことがしてなかったのか。もししてなかったとするど、この条文でいうと効力を発生しておることになりはしないかという疑問を持つのですが、この件について外務省当局の御答弁をいただきたい。──いないですか、それでは運輸省のほうで……。
  56. 原田昇左右

    ○原田説明員 外務省から責任ある答弁があると思いますが、さしあたり私から申し上げますと、この第二項は、「受諾について留保を附さないでこれに署名し、」ということになっておりますので、わがほうは、十四条の第二項にございますが、「受諾を条件として署名し、後に受諾すること。」、つまり批准を終えてから受諾するのだということになっておるはずでございます。これは外務省にはっきり確認してございませんが、当然わが国の国内法体制から申しまして、署名はいたしましても、後に国会で承認していただきまして、批准をして、受諾するという手続をとるのがたてまえでございますから、当然そういうことになると思います。したがって、わが国としては署名だけで、いまだに受諾しておらない、こういう状況でございます。
  57. 野間千代三

    ○野間委員 まだ効力を発生してない、つまり批准をしてないのですから、そういうことになるのだろうと思うのですが、その辺少し正確にしておきたいと思うのですが、外務省がおりませんから、この次までにひとつその内容を正確にしていただきたいと思います。これが一つ。  もう一つ、これも外務省がいないのですが、ジュネーブで一九五八年に、公海に関する条約というのが採択されております。この公海に関する条約の第二十四条に、船からの油あるいはパイプによる油、あるいは海底の油田による油、そういうものが流れるようなことに関して規制をした条文がたしかあったと思う。この二十四条の中に、現在の規定を考慮してというのが入っている。これが海水汚濁というふうになっておると思うのですが、この公海に関する条約については、このときにはたしか日本では出席をして署名をしてなかったと思います。これは現在どうなっているのか。これは外務省でないとわからないですな。これはいまの海水汚濁の問題の批准関係してくると思うのです。──外務省の力が見えないようですから、事務局のほうで、いま私が質問した内容について外務省のほうに通告していただいて、次の機会にお答えをいただくことにして、その問題はその際にまた質疑をしたいと思います。  それは以上でよろしいのですが、それから先ほど丹羽委員から強く言われましたように、通産省お話ですと、石油業界の設備の関係その他の体制が整わないのでというふうにお答えになったのですけれども、その反面八十億、百何億なんというふうに漁民の方が生活を脅かされるという関係、これは費用なり負担能力なりを考えてみれば自明の理で、批准をおくらしている理由としては、いわゆる零細な国民大衆をきわめて無視した理由なんですね。したがって、そういう理由では、日本批准をしないということには理由としてはならぬと思うのです。三十一カ国すでに批准をされておるのでありますが、新しい条約まで批准をされておる国の中には、国の名前をあげては申しわけありませんから申し上げませんが、日本の石油業者よりも強い石油業者ばかりだというふうには言えない国がたくさんあるわけですね。ですから、そういう意味で先ほどの日本批准をおくらかしておる理由というのは成り立たないというふうに思います。ですから、先ほどできるだけ早く批准をするというふうに答弁がございましたけれども、ぜひこれはできればきちんと日限を切って、いついつまでに国会批准の提案をするという方針を政府として立てる必要がある、立てる義務があると思うのです。これは海洋国ばかりではない。批准をしておる国は、必ずしも日本のような四方海に取り囲まれた国ばかりではないのです。古い一九五四年ごろにすでに受諾をしている国の中でも、必ずしも日本ほどの海洋国じゃない国がやはりちゃんと受諾しております。これは当然国内船の問題でなくて、先ほどの参考人が言われたように、外国船によって日本の漁民が損害を受ける。その際には明らかに賠償を取ることがもちろん漁民の方の要求でもないし、目的でもありませんから、ないにしても、外国船から全然歯牙にもかけられないで油を流されたまま帰られてしまうという実態、これをやはり防止するのには、ちゃんと両締約国の権利義務になるのですから、批准をしておかなければならない。これはむしろ国内体制の問題以上の問題だと思うのです。ですから、そういう意味でぜひこれは政府のほうで、大臣がいらっしゃらないので残念なのですが、先ほど丹羽委員の質問の際にあったようなことのないようにしていただいて、そしてひとつもう一回閣議なりで――これはぜひ大臣にお伝え願いたいのですが、これはおそらくいま委員会で採決すれば私たちの言い方が通ると思うのですが、いついつまでに政府としては批准の手続をとる、そういう閣議の意志決定くらいはする必要がある問題だというふうにぼくは思います。この辺について大臣にぜひお伝えを願いたいのですが、よろしゅうございますか。ぜひこれは言明してもらいたいのです。通産省それから運輸省ですか、二つ来ておるわけですね。農林省も見えておりますか、それぞれ関係があるわけですね。ですから、それぞれのお役人の方が大臣に、委員会でそういうきつい意見があったということをお伝えいただいて、この次また私がこの海洋条約の問題と一緒に質問しますから、その際には出席した代表の大臣のほうから、閣議でそういうことを検討します、日にちをきめて批准の手続をしたい、その程度の答えはできると思う。そうしないと、これは批准ができませんよ。先ほどの大臣の答えでは、丹羽先生の言われたようなニュアンスと多少違う点もある。ですから、まず国会のほうでそういう意思をきちんとしなければ、これはおそらくいろいろなことから障害があると思うのです。政府に石油業界などのほうから強い圧力があると思う。ですから、そのくらいの決意でやらなければ、批准に対する政府のそのくらいの決意、当委員会のそのくらいの決意がなければ、批准という問題はまた延びていく。これはすでに延びる必要がないくらいの問題です。ですから内閣がそういう決意で取り組むべきだという意見が与野党からあったということはお伝え願えると思うのです。大臣がいないから皆さんにそう言うのです。
  58. 中川理一郎

    ○中川説明員 通産大臣には本日の委員会の御審議の内容、御意見を正確に伝えます。
  59. 中野大

    中野説明員 先生からただいまお話のありました空気は大臣に必ずお伝えいたします。  なお、先ほど資料の御要求がございました船舶の油による海水等汚濁防止に関する法律案、これは御提出申し上げます。  なお、英国の国内法は要約をさせていただきまして、約一カ月ばかりかかりますが、でき次第提出いたします。
  60. 野間千代三

    ○野間委員 イギリスのはたいへん整備をされた法律のようです。それは一カ月でもけっこうですからいただきますが、この委員会では、この次またこういう問題でやるので、どこかイギリス以外のもう少し簡単なのがあれば翻訳をしてくれませんか。二、三、外国でとういうふうにしているかということを勉強したいので、ひとつ調査してくれませんか。
  61. 中野大

    中野説明員 一応調査いたしまして、ございましたら用意いたします。
  62. 山中義一

    ○山中説明員 ただいまの先生の御質問の趣旨を大臣に伝えます。
  63. 久保三郎

    ○久保委員 関連。いろいろとお話がありまして、きょうの結論だと思うのですが、いま各省とも、野間委員の質問に対して大臣お話をするという約束はできた。しかし、話してもらうのが目的じゃないのです。中身をどうするかが問題なんで、これは国会議員が言っているのだから、子供の言っていることじゃないのだから、いまさら中身を一々ぼくから説明する必要はないと思う。私は言っても言わぬでもかまわぬ、野間委員と違う。だから、この汚濁防止条約批准するプログラムを、少なくともこれから二週間後において、素案でもいいからつくって出してもらいたい。私はそういう気持ちです。けれども、野間委員の言ったことを否定しているわけじゃないのですよ。私はそういうように要求する。これは委員長にも御了解をいただかなければいかぬと思うのですが、私は、具体的にプログラムをつくってこい、大体どういう手順でいっどういうようにする、この問題はそういう段階だと思うのです。そうでないと進まぬ。だから当然必要があれば、野間委員の言うとおり、それぞれの所管大臣閣議の中において発言をし決定してくれることも必要でしょう。そういう意味で野間委員からお話があったと思う。私は少なくとも二週間後――もっと早くてもいいのですよ、できればあしたでもいい。そう言ってもできないだろうから、少なくとも二週間後までに、どういうようにしてやるか、およそのプログラムを提出してほしい。大体先ほど来の関係の皆さんの御質疑を通して見ると、中村運輸大臣をはじめとして、これは前向きで考えなければいかぬということは、通産省を含めて同様かと思うので、特に私はそういうことを申し上げたいのです。
  64. 井手以誠

    井手委員長 この際、委員長からも一言申し上げておきたいと思います。  ただいままでの名委員の質問は、批准の見通しについて関係者省の方針を承りたいというわけでございまして、これは委員全体の強い要望でございますから、すでに御承知であろうと思いますが、次の委員会においてもこの問題を取り上げまして、できるだけ委員会としての結論を得たいと考えておりますので、次の委員会までに、各省のこの問題に関する批准の見通しについて御回答ができるように御用意をいただきたいと存じます。つきましでは、各省からその御返事ができるかどうか承ります。
  65. 中野大

    中野説明員 各省打ち合わせて出さなければならないわけでございますが、運輸省限りでプログラムというわけでございますれば、検討いたしまして、先ほど久保先生から二週間というお話でございましたので、その間に――次の委員会に私のほうだけの大体のプログラムを検討いたしまして、御審議を願いたいと存じます。
  66. 山中義一

    ○山中説明員 できるだけ御趣旨に沿うように長官、大臣とも相談いたしまして、プログラムを立てたいと思っております。
  67. 中川理一郎

    ○中川説明員 大臣以下幹部と御相談いたすことにいたします。
  68. 井手以誠

    井手委員長 中川産業立地部長、重ねて御回答願います。
  69. 中川理一郎

    ○中川説明員 大臣はもとよりのことでございますが、鉱山局その他の意見も聞きまして、かつ当委員会の御意見というものをはっきり伝えた上で、通産省意見を申し上げたいと思います。
  70. 井手以誠

    井手委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会