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茜ケ久保委員 実は先般水資源公団の当事者にお聞きしたのでございますが、
首都圏ということで
発言されたので
首都圏整備委員会だと思うのでありますが、依頼されて、ある技術者が
沼田ダムについての
計画を志向した事実がある。これは百十二メートル、五億五千万トンの貯水量を持った
ダム、これは
一つのペーパープランとしてそれをつくっておられる事実がある。こうなりますと、これは
首都圏がどういうことで依頼されたか知りませんが、これははっきりしているわけです。現に事実があるのです。こうなりますと、
沼田ダムはどう
建設省で言われましても、これは松永さんじゃありませんけれ
ども、これをおいてほかに
日本には
ダムらしき
ダムはない。これがまあ史上最高の
ダムだし、
日本では最後の
ダムだとおっしゃる。その上にいろいろと批評されておる。と同時に、最近私が
ダムの権威者にお伺いしたところによりますと、
治水の面だけでしたら、いわゆる
洪水調節の面あるいはその他の面だけでしたら、
沼田ダムをつくらなくとも
利根川の上流その他に分散して
ダムをつくることによって
沼田ダムをつくったと同様に
効果があるということをおっしゃっている。これは時期がきたら名前を申し上げてもいいのですが、いまは保留しますけれ
ども、
日本における
ダムのかなりの権威者ですが、よく聞いたら、いわゆる
沼田ダムはつくらぬでも、
治水の面だけならば、これは
利根川の上流なりその他に分散
ダムをつくればできる。それから
利水ということになると、
沼田ダムに匹敵するものはない。
利水の面からすれば沼田はどうしてもつくらなければならぬということをおっしゃっている。これは私
どももそう思うのですが、先ほど来これはもう何べん言っても、
建設大臣とは意見が違ってきますから何ともはや申上げませんが、そういういわゆる
治水という立場からならば
沼田ダムをつくらぬでもという専門家の意見がある。それから
地元の知事がこれに反対をしておる。それから私は先般来、何回か水没地域に行って
座談会を開きましたが、非常に反対が強いのです。これはおそらく大臣は富里の空港のことを御存じだと思いますが、私も空港に参りましたが、空港も反対が非常に強いのです。これは悲壮な気持ちです。それからこれは
建設省の案じゃありませんが、産業経済
会議の案に従って地図に線を引いてみました。最高
水位三百七十何メートルですか、線を引いてみましたら、これは驚くなかれ
最初の予定では水没個所は二千数百戸と思っておりましたが、この地図に三百七十五メートルの線を引いてみますと、現在の密集地帯ではこれは水没個所がおそらく五千戸を上回ります。そうしますと、沼田市の約半分近いものが水没する。それから、国鉄の駅が三つ沈みます。このように非常に広範囲に水がたまりますので、利根沼田というのは経済的存立ができなくなる。沼田市の繁華街であるところは完全に水に囲まれまして一方しか出口がない。そして利根郡といういわゆる消費者の住んでる地域と完全に遮断されますから、これはもう消費都市としての意味はなくなります。いわゆる観光施設なり何なりをつくるとおっしゃっても、この五千戸に達する水没者と三千町歩以上に達する水没農地、それから残った地域のほうがむしろ被害が大きいというこの
ダムの
状態等、いろいろな観点から考えてまいりますと、私はせっかく
佐藤総理はじめ
瀬戸山建設大臣が
沼田ダムをつくりたいというお気持ちはわからぬでもございませんけれ
ども、この際むしろ
調査等はおやめになって、私は先ほど
建設大臣にいつ
地元とお会いになるかということを聞きましたけれ
ども、もうお会いになる前にこのことはひとつぜひこの際あきらめて、
沼田ダムはもうつくらぬというお気持ちになって、これはむしろあなたが
佐藤総理に進言されて、あれはせっかく
計画を始めたけれ
ども、確かに
ダムとしてはまことに史上最大の、しかも最優秀の
ダムだけれ
ども、五千戸に達する水没者、三千何百町歩という水没農地、しかも利根沼田という
一つの地域を経済的に成立し得ないような
状態におとしいれることは、いかに
ダムがいま指摘されるようにいろいろな観点から重要視されても、いわゆる
治水の点だけならば他に
幾らでも方法があるのでありますから、この際むしろ端的に
政府はこの
沼田ダムの
建設をひとつこの辺で中止することのほうが妥当である、これはまた責任ある政治家としては当然そうあるべきであると思うのであります。
建設大臣は、いまさら反対の強い現地に行って御了解を得る努力をされるよりも、むしろこの際そういう
見地から断然この
ダムの
建設は中止するということのほうが、政治的にもいろいろな意味においても数等まさっていると思うのです。ひとつ大臣、はっきりここで
沼田ダムはそういう観点ならやらない、心配するなという御言明をなさってはいかがでしょう。