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瀬戸山国務大臣 まず第一に、今度の
改正案が
建設省が
考えておりました当初の案から後退しているのではないか、こういうふうな御意見のようでありますが、私
どもの
考え方では少しも後退しておらない。これは最初の案を出しますときには簡単に申し上げておりますから、あるいは後退しているような印象を受けておられるかもしれませんが、問題は、現行の
裁決時というのでは、御
承知のとおりに途中において不当な
値上がりを呼び起こす、こういう
状態が
一つの弊害とされておりますので、これを押えるといいますかチェックする、これが
一つの基本的な
考え方でありまして、その点については少しも変わっておらないわけであります。あるいは今度
事業認定時の
価格で算定する、こういうことにしております中に、
物価変動の
標準率をかける、この点が後退のようにあるいは誤解されておると思いますが、
一定時点において
観念的に
価格をこの
時点だということにいたしましても、支払いをするまであるいは
法律上からいいますと
裁決をする段階になったときに、
裁決時までの、厳密な
意味におきますと貨幣の価値の
変動というものを認めないということは、
憲法二十九条の正当な
補償、この面から不適当である、こういうことから、
物価変動率をかける。これは政令で
基準をきめますが、そういうことをしておる点であろうと思いますが、これは、
裁決時というのを
事業認定時ということに改めました当初の
考え方と基本的に少しも変わっておらないわけであります。
憲法にいう正当な
補償の
観念を明確にした、こういうことだけでありますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。
それから、
地価の安定ということについて、この
法律がどのくらい
効果があるか。これはしばしば当
委員会等においても御議論があったところでありまして、これだけで問題が解決するとは思っておりません。これは
一つの大きな抵抗である、かようには
考えますが、これだけでこの複雑な
土地政策あるいは
地価政策が解決するものとは思っておりません。しばしば申し上げまして、また、御
承知のように、
公共事業等をいたします場合に、どうしても、従来の
土地収用法の運用も適切でなかった。先ほど数字的にも御報告いたしましたが、適切でなかった。したがって、
話し合いという形において
土地所有者に不当な
利益を与えるということがおよそ行なわれておった。それがひいては
地価上昇の大きな
原因になっておる。そういう問題をチェックするという
一つの
作用をする。
公共事業の膨大な
施行によって
地価がどんどん結果的にはつり上げられる
状態が起こっておる。これをチェックするという
作用は、今後の運用適切でなければこれはなりませんけれ
ども、運用適切であれば
相当の
効果がある、かように私
どもは期待しておるわけでございます。
なお、従来、
政府の怠慢というおことばはなかったのでありますが、
政策よろしきを得ないために
地価が今日の
状態になったのではないかとおっしゃるわけでありますが、あえて私はこれは否定いたしません。もっと適切な
措置があれば、今日の混乱はある
程度防げたと思います。前にも申し上げておりますように、やや手おくれであったことは事実であります。しかし非常に困難な問題でありますから、事は
社会観念、
経済、すべてに及ぼす大きな問題でありますから、そう簡単でないことで、今日までもいろいろ
政府といえ
どもこれに苦慮して、いろいろな手を施したわけでありますが、限られた
土地の中に急激な
土地需要——あるいは
産業、あるいは
住宅あるいは
公共事業の拡大、限られた
土地に急激な
土地の
需要というものが、他の
物価の
上昇と非常に違った形で出てきている、こういう状況でありますから、これは言いわけじゃなくて、必ずしも
政府だけの責任というわけにはいかない、
日本の
経済の
あり方等、全般にわたる問題であります。やや手おくれでありますけれ
ども、しかしこの際、われわれはこの問題に
政府といわず、
国会といわず、
国民全部で立ち向かうべき時代になっておる、こういうことで、その一環としてこの問題をお願いしておる。税制の問題、あるいは常に問題になっております。根本的には
土地の
利用計画を厳密なものを立てて、それによって
土地利用の、また
土地使用の
規制をしていく、これが根本問題であろうと思います。そのことが、わが国の
国民生活、
経済といわず、すべての面にきわめて必要であるし、それが
国民のしあわせをはかる基本的な問題である、かように
考えておるわけでございます。