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瀬戸山国務大臣 いま農村の
住宅のことでいろいろ御
意見等承りました。私は実は感謝をしておるのです。といいますのは、
住宅政策というと、これは現実がそういう
不足という
状態があるからやむを得ないのでありますけれ
ども、
住宅問題というと町のことだけを考えるというのがいままでの例であります。これは家が足らぬからということもありましょう。けれ
ども、私は
建設大臣に就任いたしましたときに、日本の大部分を占めておる農村の
住宅というものを考えないということは、
住宅政策上非常に大きな欠陥である、そこで農林省とも直ちに連絡をいたしまして、農林省にもその
意見を申し出て、最近の
人口移動あるいは
都市集中、あるいは青少年という特に若い人々が農村にとどまらない、この
理由にはいろいろありますけれ
ども、ほんとうに農村の生活環境がよければこういう事態は非常に違ってくる。農業政策は、生産だけが農業政策じゃないのであります。従来は主として生産一点ばりで、農村の生活あるいは生活環境というものをほとんど考えなかった
わが国の農業政策が多い。最近は数年前から、かまどの
改善であるとか、いろいろそういう点について尽力されていることもわかりますけれ
ども、最近の非常に近代化されつつある
わが国の状況と農村の住まいの状況を考えますと、かりに非常に自然的な環境がよくても、あの生活環境で農村にとどまれというのは、率直に言って全く残酷な感じがする。この点を考えない農業政策というのはおかしいじゃないか、また
住宅政策というのはおかしいじゃないか、こういうことで、実はいろいろ相談をしたわけであります。農林省もとにかく農林省として
計画を立ててもらいたい、
建設省も町の家だけという考え方だけでなしにやってもらいたいということでいろいろ相談して、さっき申し上げたような協議会な
ども実はつくるようになりました。
少し長くなって恐縮でありますけれ
ども、その際に私が相談いたしましたのは、最近、全国農業団体の資金が非常にだぶついておる、信連にいたしましても共済にいたしましても、それをいろいろなほうに回しておったからよかったけれ
ども、最近回らない。コールに回らない、持ちあぐねておるという状況です。そういう代表者もお集まり願って、ひとつ農村の象の問題を考えてもらいたいとやったのですけれ
ども、実は御承知のとおり、これは金利が高くてとても農村の
住宅に回らないということであります。大蔵大臣といろいろ相談したこともあります。そういう意味で、農林省もまた詳細に
計画するひまがなかったわけでありますけれ
ども、どのくらいの
計画をするかというと、百万戸ぐらいということであります。一挙に百万戸といってもなかなかできないということで、これをもっと詰めて
計画をしなければならないと私は思っておるのですが、そこで昨年はさっき御
説明いたしました六千戸でありましたけれ
ども、一万二千戸ぐらいということであったのが一万戸に、ことしは微々たるものでありますけれ
ども増加いたしておる、こういう事情であります。
御承知のとおりに、農村の家屋は町の家屋とまた構造その他違っておる。かといって、農村の生活環境を、従来のあのいわゆる収納小屋と住居と一緒にするようなものが、必ずしも日本の農村でなければならぬということはなかろう、これは専門家に農村の
住宅と収穫との
関係の合うような設計をしてもらわなければならない、こういうこともいろいろ検討を願っておる状況であります。
これ以上申し上げませんけれ
ども、農村の
住宅環境というものをできるだけ近代化すると申しますか、これをしないと、このいわゆる農村
人口の問題というものは根本的な解決にならない、農村の
振興のささえにはならないということを強く信じておりますので、今後ともひとつ御
意見等も承って進めたい、かように考えております。