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橋本政府委員 最初に、今朝といいますか、午前零時ですが、札幌が今度一九七二年の
冬季オリンピック場に決定いたしました。これは
建設委員会各位の非常な御協力を願ったことでありまして、心から御礼申し上げます。
いまの御
質問ですが、御
承知のように昔は衣食足って礼節を知る、そして衣食住というものが
国民生活安定の三
要素と、こういわれておりました。今日では逆に
住食衣という形だろうと思うのです。その
意味で
住宅政策、もちろんこれは
土地政策も含めての
住宅ですが、
住宅政策は今日の政治の段階では最も緊要欠くべかざる、しかも重点的な
施策であります。
一昨年
佐藤内閣ができまして、昨年に
社会開発懇談会というものを設けまして、いかにすれば
国民生活の安定といいますか、楽しい
国土を建設することができるか、その一面は要するに愛するに足る
国土をつくるとはどういうことかということで、
社会開発懇談会に諮問をいたしたわけであります。もちろん全体的には総合的に幾つかの項目がありますけれ
ども、まずとりあえずやらなければならぬことは、
住宅政策である、一日も早く多くの
住宅をつくることである、もちろんこれには
土地政策というものが関連を持つことであって、これらを
解決することがまず今日の
日本の
国民の最大多数が要望しておる点ではなかろうかという結論を得まして、そのような
答申をいただいたわけであります。その
答申に基づいてとりあえず
昭和四十一年度の
予算には、もちろんこれは十分完全とは言いませんが、
予算編成にあたっては
住宅に重点を置くという
方針を立てまして、そして四十一年度の
予算にもその点は他に比較いたしましては、われわれはかなり思い切ったことをやったつもりでおるわけであります。
と同時に、これはもちろん
建設大臣からも御
説明があったと思いますが、そのネックになる
土地問題の
解決をしなければ、
住宅計画を順調に進めることはなかなか困難であるということからして、
土地問題に関して先ほ
どもお話がありましたような
閣僚協議会というものをつくりまして、そこで万般の論議を尽くしてまいったわけであります。
〔
委員長退席、
服部委員長代理着席〕
お話がありましたように、
土地の問題については、
土地に限りませんけれ
ども、
私有権制度の問題が
一つはあるということと、
税制上の問題もあります。特に一番論議の中心になったのは、公共のためには私有権がある
程度制限せられることは
憲法の示す
ところではありますけれ
ども、そこのかね合いというものがなかなかむずかしいということではありますが、
考え方としては、いわゆる公共の
利益のためにはある
程度の私有権の制限と思われる——初めからするわけじゃありませんけれ
ども、そういう
一つの方向的な問題として取り扱わない限り、なかなか抜本策はできないであろうという
一つの基本的な
考え方に立って、近く皆さんの御
審議を仰ぐ
土地収用法の
改正というものが成案を得たわけであります。おっしゃるとおり、この
土地収用法の一部
改正につきましても、はたしてこれで抜本策ができるか、これで一切が
解決できるかと仰せられますと、そこまでの特効薬ではないかもしれませんが、ただ、いまの情勢から
考えれば、やはり
進歩の過程においては、ある
程度の困難があり、ある
程度のブレーキがありましても、とりあえずわれわれ政治をやる上においては一歩、二歩、三歩と前進していくというたてまえをとらざるを得ませんので、
建設大臣から見れば十分でないというお
考えもありましょうが、一応全体的なまとまった
ところのものが、今回提出しようという
土地収用法であります。その
方針に従ってやるわけでありまして、私たちは、この
法律案が皆さんの協賛を得て通過をし、これを
行政能力とあわせて行なえば、相当の効果をあげることができるんじゃないだろうか。ただ、私、
建設大臣をやりましたけれ
ども、短期間でありましたから、
住宅問題までは根本的に触れる機会はありませんでしたが、当時は
道路問題を基本的な新しい
制度に乗っけた。これは
住宅問題にしましても、やはり総合対策が一面においては必要でありまして、御
承知のように、たとえばアメリカあたりの例をとりますと、ロサンゼルスにしましても、サンフランシスコにしましても、ニューヨークにいたしましても、郊外に、はるかかなたまで高速
道路ができている。それがために
土地の
値上がりというものが広い範囲内において平均して漸進的な傾向で上がっている、あるいはブロードウエイという向こうのまん中でありますが、これなどは
東京でいう銀座の一角ですが、一坪当たりが大体百五十万円
程度である。
日本はあるいはその十倍に近い金額ではないかと思う。しかも郊外に参りましても、かなり
日本と比べて
土地の価格が安い。これは
一つは、相当期間かかったのでございましょうが、アメリカ
政府のいわゆる
道路政策、そういうものがあずかって力があったろうと思います。したがって、
土地問題を
土地収用法一本やりで
解決するといっても、なかなか
解決の道はむずかしい点があるかもしれませんが、少なくとも現在の問題としてはある
程度の効果をあげることができると同時に、いま申したような総合対策として、やはり
道路網の完成というものが
土地の平均化というものを来たす大きな原因にもなろうと
考えておりますので、
住宅政策とあわせて
道路計画というものも十分に
考えていきたいというのが
政府の
方針と御了承願いたいのであります。