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1966-04-20 第51回国会 衆議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 井原 岸高君 理事 松澤 雄藏君    理事 川村 継義君 理事 下平 正一君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       大石 八治君    大倉 三郎君       佐藤 孝行君    服部 安司君       福永 一臣君    藤尾 正行君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    稲富 稜人君       吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       鴨田 宗一君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  加納 治郎君         建設政務次官  谷垣 專一君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本道路公団         理事)     藤森 謙一君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 四月十九日  委員金丸徳重辞任につき、その補欠として片  島港君が議長指名委員選任された。 同日  委員片島港君辞任につき、その補欠として金丸  徳重君が議長指名委員選任された。 同月二十日  委員木部佳昭君、湊徹郎君及び山下榮二辞任  につき、その補欠として藤尾正行君、大石八治  君及び吉田賢一君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員大石八治君、藤尾正行君及び吉田賢一君辞  任につき、その補欠として湊徹郎君、木部佳昭  君及び山下榮二君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出第一二四号)  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法  の一部を改正する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  国土開発縦長自動車道建設法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため参考人として日本道路公団理事藤森謙一君が出席されております。同君の御意見質疑応答の形式で聴取いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  3. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま議題となりました法案関連いたしまして、瀬戸山建設大臣を中心に少し伺ってみたいと思います。  第一点は用地の問題でございます。瀬戸山建設大臣は特に土地地価等につきましては深い造詣と卓越した見識を持っておられるのでありますが、昨年の十一月でありましたか、閣議地価対策閣僚協議会結論が出たと伝えられております。そこで、その建設大臣意見は世上に流布されておりますが、これはわれわれとしましても非常に共感を覚える内容を持っておりまするので、きわめて重要な建設省主管大臣であり、閣僚の一人といたしまして、この国土開発縦貫自動車道建設事業並びに膨大な道路整備国策遂行に当たっておられるお立場から、その構想骨子をひとつ伺いたいと思うのです。  伝わるところによりますと、私が注目しました点は、瀬戸山建設大臣は、土地につきましては商品でないという考え方をおとりになっております。これは非常に注目すべき見解でございます。特にこれは一般の産業の生産貨物等とは違って、土地は地球の一角である、人間がつくったものでないということをお述べになり、しかも人間土地を離れては生活ができない、ゆえに土地はみんなのものである、土地社会公共のために用いらるべきものである、こういうような構想が述べられておるようでありまするが、これはきわめて注目すべき一つ進歩的傾向といたしまして、これを明らかにしていただくことは非常に重要なことと思います。ひとつこの点につきまして建設大臣の所信をはっきりとしてもらいたいと思います。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私が、表現のよしあしは別といたしまして、土地商品ではない、こういう表現を使っておるわけでありますが、厳密な意味において、あるいは商業取引あるいは経済学商品学というのがあるかどうか知りませんけれども、そういうもので商品とは何ぞや、こういう厳密な意味の定義的な意味土地商品ではない、こういうことを申し上げておるつもりではございません。ただそういう表現を使いましたのは、土地についていろいろ理論があると思いますが、そういう理論では、率直に言ってなかなか理解がむずかしかろう。土地商品でないというような端的な表現と申しますか、考え方で、各方面でこの土地人間との関係をもう少し真剣に考えていただく必要がありはしないか。こういう意味土地商品ではないという発言をしておるものであります。といいますのは、いまも引用なさったように、売買されたり、あるいは所有権を認め、売買によって移動するという意味においては、あるいは商品的取り扱いが行なわれておりますけれども、これはずっと突き詰めて考えますと、いまも引用されましたように人間のつくったものでもないし、またきわめて厳密な意味においては、これは増減のできないものである、移動もできない。いわゆる天然自然の、全くこれは過去から未来まで、私どもの認識では永遠のものである。しかもその土地に定着しなければ人間生活活動というものができない、こういうものでありますから、普通に人間がくふうし考え、必要によって生産し、あるいは移動し、移転する、あるいは増減ができる、しかも必ず消滅する、こういう品物と同じレベルで考えるということは、基本的にどこかに間違いがある。こういう趣旨のことを考えてもらいたいために、その点が違うのです。その意味において商品ではない、こういう表現をしておるのであります。  もちろん御承知のとおり、土地政策というものは、過去から、こまかく検討いたしておりませんけれども、いろいろな変革があります。そのときの状況によって、あるいは人口の多寡によって、またいわゆる限られた人間社会の諸制度の中で、限られた量である。その広さ狭さによっていろいろな取り扱いが違っておりますから、一定不変のものはないと思いますけれども、そういう状況に応じて、土地人間関係というものをそのつど判断をし、人間生活活動に適正な利用方法といいますか、活用ができるような考え方でこれを処理すべきである。簡単に申し上げるとこういうような考え方でこの土地制度、それに伴う地価の問題というものを考えることが、国民全体といいますか、人間生活全体上きわめて必要なことであって、重要であろう、こういう意味においては現在わが国における土地に関する観念、あるいは土地取り扱いについての習慣、あるいは法律上の解釈、この点については再考を要する、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはきわめて重要な問題を指摘されたのでありまして、土地につきましては、申し上げるまでもなく、憲法財産権の保証を約束いたしておりまするし、また同時に、私有財産公共のために用いるという、この責任憲法二十九条は明記いたしておりまするので、これらの関連におきまして、やはり土地なるものの社会経済ないしは国策対象として考えるときのつかみ方、考え方を根本的に明確にするということは、いろんな施策の根本の問題として非常に重要であろうと私も思っておるのであります。さりながら現実には地方経済社会におきましては、土地は最も有利なる投資対象である。土地を買っておけば下がることはない。株を買えば暴落もするけれども土地は絶対に下がらない。土地は一番安全だ。土地への投資は膨大な利益を生むんだということが現状は支配的であります。ことに私は兵庫県に住み、近畿地方宅地造成現状、山も川もすっかり変えつつあるような現状を見ますと、一そうその感が深いのであります。やはりこの点は根本的に考え方をただしておきませんと、将来五兆円の国費を使っても、二十兆円の国費を使いましても、そういったところに無限に吸収せられる危険があると私は思っております。こういうことでありますので、いまの点はきわめて重要な点で、お考え方もっともであると思うのです。  そこで、むしろ現状に批判的なそのような正しいお考え方、それが昨年の十一月九日の地価対策閣僚協議会におきまして、何か方針が確定され、了解事項になったとかいうふうに伝わっておりますのですが、これは道路にかかわらず、宅地対象になさったのかもしれませんけれども、いずれにいたしましてもその骨子、いまおっしゃるようなそのつかみ方、精神、考え方というものが出ておるのかどうか。骨子は採用されておるのかどうか。その方向閣議は進みつつあったのかどうか。その辺をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 土地政策と申しますか、特に重点地価対策、こういう問題につきまして国として根本的に考える必要がある、こういう意味閣僚協議会というものをつくりまして、現在もそれは続いておるわけでありますが、基本的な考え方は、いま私が申し述べましたような考え方に基づいて、土地政策あるいは地価対策を立つべきである、こういうことから、結論を出して、方向を示して文書にいたしております。いまここに文書を持っておりませんから、字句そのものは違っておるかもしれませんが、二つに分けまして、現下における緊急対策事項、こういうことと、あるいは恒久対策の問題、この二つに分けております。  緊急対策事項としては、これは住宅が非常に表面にあらわれておりますけれども住宅だけでなく土地一般であります。こまかく申し上げませんが、住宅建設を早急に、しかも大量にしなければならない。あるいは、いまお説のとおり、道路その他公共事業は、ますます国民経済基盤整備のために増大していかなければならない。すべてこれは土地前提といたしております。そういうことでありますから、あえて宅地問題だけではございません。そこで緊急対策事項といたしましては、現下の情勢から考えまして、住宅問題が大きく取り上げられておりますから、とにかく住宅問題については大量に、公的機関による宅地供給をはからなければいかぬ。近路関係等においては、直接関係ないといえば関係ありませんけれども住宅地については大量に公的機関あるいは国——国といいましても現在は住宅公団等でありますが、あるいは地方公共団体、そういう公の機関においてできるだけ大量の、しかも低廉な宅地供給をはからなければいかぬ、これが第一でございます。  それから第二は、都市地域内における土地高度利用をはかっていく、これが間接には地価対策になる。これがもう一つであります。それに関連していろいろな法律を今度お願いしておるわけであります。  そのほかに用地取得対策一般地価対策の大きなねらいでありますが、用地取得対策として土地収用法改正をはかる。これは御承知のとおりに、現行収用法、いろいろ今日まで御研究願っているわけでありますけれども事業計画評価時点のズレによって地価が、公共事業あるいは住宅大量供給等の仕草を進めますと、それに応じてどんどん上がっていくという、この現象をチェックする必要がある、こういう意味で今度土地収用法改正をいたしたい。結論としては、その当時は事業認定時等の時価によってきめる。現在、御承知のとおりに裁決——実際、所有権を取得するときこういうふうな法律になっておりますのは、非常な誤解を伴っておるということで、事業認定特等時価による方針土地収用法改正をする、こういうことをきめておるわけでありますが、今回は結論として事業認定時の時価によるという法案を今明日中に国会に提案することになっております。  それから収用法適用公共事業以外の一般土地地価の問題がありますから、これは税制で不当なと思われる利益をチェックする、税制改正をする、こういうことであります。その基本的な考えは、さっき申し上げましたように、土地の性格というものを前提といたしまして、土地そのもので、その土地所有者努力によらない——道路をつくったり、あるいは市街地をつくったり、いわゆる社会公共と申しますか、一般国民努力によって土地利用度が高くなっておる。したがって、たまたま土地を持っておった人のみが地価の高騰によって利益を得るという、私どもから申し上げると、社会正義と申しますか、一般国民観念からいって釈然たらざるものをチェックする、その基本的な考えに立って税制土地収用法改正によってチェックする、この方針であります。  それからまだほかにあったと思いますが、書いたものを持っておりませんから、こまかいことは落ちておると思います。  恒久対策といたしましては、土地利用計画をすみやかに立てる。これは早いほうがいいのでありますけれども、御承知のような事情で、農業政策その他と非常な関連がありますから、急速に今日ただいまというわけにはまいりませんので、恒久対策として土地利用計画をすみやかに立てる。これは目下専門家に委嘱と申しますか、宅地審議会等において検討願っております。  それから地価評価鑑定制度を確立する。これも今日ただいまというわけにまいりません。鑑定士がなかなかそれに応ずる体制ができておりません。これが恒久対策として掲げてあるわけであります。  ほかにもこまかい点があると思いますけれども、そういう方針をきめまして、税制の問題なり収用法の問題なり、あるいは高度利用の問題なり、大量、これはいろいろ議論があると思いますけれども宅地供給方針現実政策あるいは予算措置として出しておる。こういう状況で、おおむね閣僚協議会できめました方針は、緊急対策はすべて理想どおりにいっておるかおらないかということについてはやや議論がありますけれども、実現をするという段階にきておる、こういうことであります。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 第二の前提事項でありますが、大臣法曹出身でありますので特にお伺いしておきたいと思うのですが、やはり問題を突き詰めていきますと、地価対策土地財産権所有権にぶつかっていくと思うのです。それと憲法公共福祉関連になると思います。そこで、これは学者の議論はどうなっておるか、ともかくといたしまして、憲法十二条、十三条並びに財産権の二十九条、これをあれこれ比較検討いたしますと、一体財産権内容としての、私有財産としての土地所有権と、それから国民として責任を負わねばならぬと規定しておる公共福祉のための利用、すなわち公共福祉のための利用と、それから財産権の保護と、これは一体どういうふうに両方をとらえたらいいのであるか、公共福祉の前には財産権は影を薄くすべきであるか、財産権というのは公共福祉に適合する範囲内において法律をつくるというとこを憲法は明示しておりますから、そこでどちらに重点を置いたらいいのであるか、一方のみということはできませんが、その辺についての根本的な考え方、とらえ方、これがやはり非常に重要になって、あらゆる具体的施策の策定に影響する問題であろう、こう思うのですが、大臣といたしましては、公共福祉が優先すべきとお思いになるのか、財産所有権が優先すべきとお思いになるのか、両君の一極の混合的な状態が憲法趣旨であるというふうに御解釈になるのだろうか、この辺は一体どういうふうにお考え方としてなるのでございましょうか、これもひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私の憲法解釈というよりも、憲法が明定しておるところが——個人の権利というのは公共のために使うということを憲法は明記しておると思います。したがってそういうお問いをなさると、これはもちろん公共優先である。憲法はそのことを明らかに規定しておる。いまおっしゃった憲法十二条、十三条、二十九条、全部現行憲法はその思想を貫いておる。かように解釈いたします。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで事務当局に伺いますが、道路建設事業費、国と地方合わせて、一般道路有料道路を合わせて、並びに国の負担地方負担を分けて、まず四十一年度における道路事業費総計以下数字を時間の関係でひとつ要点だけ説明していただきたい。
  10. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 四十一年度の道路事業予算でございますが、国で持ちます分でございます。この総額が三千六百二十一億でございます。それから地方で持つ分でございますが、それの国の分に対する地方負担が千三百九十一億、このほかに地方単独で行ないます事業が千五百八十億、合わせまして地方の全体の負担分は二千九百七十一億ということになっておりまして、なおこのほかに各道路公団あるいは首都公団阪神公団等が借り入れいたします分、その額があるわけでございまして、たとえば道路公団で申しますと、その金額は四十一年度は千百十三億、首都公団が二百八十八億、阪神公団が二百十四億、こういう金額が、以上申しました国並びに地方負担のほかに借り入れ金としてあるわけでございます。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからついでに、道路整備計画といたしまして策定されておりまするのは総計どのくらいになるのでありましょうか。これは概算でよろしいのですけれども……。
  12. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路計画という意味長期計画という意味だと解釈いたしますが、これについて申し上げますと、五カ年間に国が持ちます全体分が一兆七千四百七十八億、それから先ほど申しました意味におきます地方負担額並びに単独事業を合わせまして、地方の全体の負担額が一兆四千四百六億ございます。そのほかに先ほど言いました公団関係借り入れ金が、日本道路公団におきまして六千二百五十億、首都公団におきまして千七百六十六億、阪神公団におきまして千百億、こういう数字になっております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのうちで土地買収ですね、用地価格、これはどのくらいの割合になるのでしょう。
  14. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは各事業ごとにいろいろその用地も……。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではいまのを取り消しまして、具体的に四十一年度に限定しましょう。四十一年度に限定いたしまして、用地取得に要する総経費はどのくらいになるのですか。
  16. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 街路事業並びに各公団ごとに、首都公団阪神公団におきますものは用地取得は非常に多うございますが、一般道路につきましては大体パーセントといたしまして一六、七%その程度用地並びに補償費の概略の数字であります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでこの用地取得の問題でありまするが、具体的にいま上程になっておりまする国土開発縦貫自動車道建設事業につきまして言うならば、これは用地価格はどのくらいになるのですか。
  18. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 大体今後やりますもの並びに現在やっておりますものもそうたいした違いはないと思いますが、自動車道路建設に要します用地費並び補償費程度はおおむね二〇%でございます。建設費に対しまして二〇%を用地費補償費に要するものと思います。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この二〇%といい一七%というのは、これは全体、総数の割合思いますので、したがいまして都市近郊であるとか山間僻陬土地であるとかではよほど違うと思うのですが、この辺はこまかい積算単価があっての結論なんでしょうか。とするならば、一体一キロどのくらいの割合、もしくは面積によってどのくらいの割合単価積算せられたのか、それをひとつはっきりしてもらいたい。
  20. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 用地費補償費は御承知のように場所によって非常に変動いたしております。したがいましてただいま申しましたパーセントは、私どもがここ数年いろいろ統計をとりまして毎年度それに充てられております実績、それを申し上げておるわけでございます。したがいまして国道なら国道、あるいは地方道なら地方道、あるいは自動車道路なら自動車道路、こういうところによりまして、特にまたどこを通るか、どこを採択するかによりまして非常に変動いたしております。ただそれらを全国的に大数的に言いますと、ただいま申し上げるような数字になるのでありまして、これは個々に採択いたしております個所を個別に申し上げる以外に、どこが幾らということはちょっと一般的には申し上げられない。要すれば国道でなお平均どのくらいである、別に地方道平均どのくらいであるというようなことまではわかりますが、それ以上のことになりますと、何県のどの地区では幾らということになりますので、ただいまちょっとそういう資料は持ち合わせておりませんので……。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 道路建設事業費予算、たとえば財源といたしまして揮発油税あるいは一般財源その他等々いろいろあるようでありますが、たとえば道路整備特別会計等を通じて見ましても、その積算基礎になるべき予算土地取得単価が出てこないとああいう数字が出ないのじゃないかというようなことを考えるのです。これはまあちょっと私自身しろうとですからどうかと思うのですが、一体どこをどういうふうに押えて——たとえば建設自身用地を除いたものならば、これは資材が幾らかかる、セメント幾ら鉄幾ら、あるいは労力幾ら運賃幾ら等々、これはすぐにはじいたら出るでありましょう。土地については出ないのだろうと思うのですね。山の中であるのかあるいは都会付近であるのかどこやらわからぬという場合は、これはたとえば建物等建設物港湾等建造物などでしたら比較的はっきりしますけれども、延々何千キロまた数百キロのものを、ことしやるというときに、予算単価は、用地についてはどうして勘定するんだろう、その辺が私にははっきりしないのです。そこで一体それはどこをつかんでおっしゃるのか、たとえば大阪市の付近土地と岡山、鳥取の境の土地は、価格はこんなに違うことは、これはもちろんであるというようなこともありまするので、そこは具体的にはっきりしておるのであろうかどうであろうか、はっきりしないでは予算積算ができないのではないだろうか。ところが国民がはっきりわからぬということになるのです。その辺は具体的にどういうことになっておるのでしょうね。つかんでおられるのかつかんでおられないのか。そうでなしに何もかも従来の実績等によって大体このくらいだろうということで一応出しておられるのであろうかどうか。大蔵省と折衝なさったりするときは単価問題は相当私は論議したのだろうと思うのです。その辺は一体積み重ねてきたのかどうか、その辺をちょっとはっきりしてもらいたいのですがね。
  22. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど来申し上げておりますのはもちろん全体の平均を申し上げておるわけですが、個々には県道でも一本ごとにどこからどこの区間ということで積み上げております。これはもちろん当該年度をやる前に、前年の六月、七月ころから、いろいろ資料を整えまして、八月、予算要求時期に、各路線ごと個所ごとに、積算をしております。それを翌年度実施する。さらに、事前設計審査をいたします、その際に、詳細に、いまお話しのような、用地費幾ら補償費幾らという、全部基礎を持っておりますので、個々には全部違うわけでございます。その基礎は、もちろん、その周辺でこれまでやりました道路事業あるいは道路事業がなければ他の公共事業というようなものを参考にいたしまして、出したものです。すなわち、すべて積み上げに基づくものである、こういうことでございます。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは建設省で明らかになっておるのですか。たとえばこの場合ならば道路公団で明らかになっておるのだろうか。予算積算基礎がすでに積み上げになっておるということであれば、建設省調査段階あるいは予算をつけるときにはすでに具体化しておるように思うのですが、そうすると建設省でこまかい数字は全部出ておるわけですか。
  24. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路公団でやります有料道路事業は、もちろん道路公団でそういう積み上げをいたしております。それから補助事業につきましては、県でそういう資料を整えまして、設計審査を受けるわけでございます。それから国の直轄事業につきましては、建設省がみずからそういう調査をいたしまして、そういう資料をもって中央で再案認可をしておる、こういうことでございます。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしましたら、これは地価対象をしぼってみますと、土地価格というものは場所によって違います。根本にはさっきの問題のように売り手、買い手でありますし、また、付近の取引価格、売買価格ということであるならば、これはもう相当な資料がなければわかりません。そういったようなことは綿密に一々御調査になっておらぬのではないのですか。
  26. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 建設省本省で実際問題としては審査の限度がございます。これはやはりその設計の認可を受ける、実際に仕事をやります者が、現地におきまして、最も妥当と思われる数字を出してくるわけでございます。それを中央で、それがほんとうに妥当であるかどうかということまでは実際問題として審査能力がないということになろうと思います。そういう前後の説明をいろいろ十分聞きました上で一応設計を認可いたしまして、あとは工事を進めました上で、それが若干変動することもありましょうし、あるいはそんなに要らなかったということもあろうと思います。そういう結果につきましては、建設省における中間検査あるいは竣工検査、そういうような形におきまして現地について確定する、こういう手続になるのでございまして、中央で一々この土地価格が商過ぎる、安過ぎるということは、よほどの例外がない限りは、実際問題としてはできかねる、これが実情でございます。      ————◇—————
  27. 田村元

    田村委員長 この際、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案に対し吉田賢一君の質疑中でありまが、都合により、吉田君の質疑を保留し、先刻の理事会の協議によりまして、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件につき議事を進めます。  本件につきましては、各党間において協議いたしました結果、お手元に配付しましたとおり、その案文が整いましたので、この際、草案の趣旨説明を求めます。井原岸高君。     —————————————     —————————————
  28. 井原岸高

    ○井原委員 委員長の御指名によりまして、ただいま議題となりました特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案の草案の趣旨について、簡単に御説明を申し上げます。  特殊土壌地帯は九州、四国、中国から中部地方にまたがり、シラス、ボラ、コラ、赤ホヤ、花崗岩風化土、富士マサ等の特に侵食を受けやすい性状の土壌でおおわれ、その風土的悪条件から、台風、豪雨等による被害が特に著しく、またその農業生産力もきわめて低位なる状況であります。  かかる実情に対処するため、さきに昭和二十七年四月議員立法として、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法が制定され、さらに昭和三十一年三月及び昭和三十六年四月の二回にわたり期限延長を内容とする一部改正をいたし、かくて同法に基づきまして、治山、砂防、河川改修、農地保全、耕地整備などの対策事業が実施されてまいりました。  今日まで十四年間にわたるこれら対策事業実績は、相当の効果をあげてきており、同法の目的とする災害防除と農業振興の両面にわたって著しい進歩改善がなされ、地域住民の福祉向上に多大の貢献をなし、大きく感謝されておりますが、しかしながら、シラス対策、ボラ、コラ、富士マサ排除等の特別な補助による農地保全事業を見ましても、十四年間に二万六百ヘクタールが実施されたにすぎなく、さらに今後農業構造改善事業等も積極的に進めなければならないので、これら特殊土壌対策の実施は緊急を要する次第であります。  また、本法の主旨と表裏の関係にある後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律及び地方交付税法における特別な財政措置は、本法の重要性を裏打ちするものでありまして、本法の期限延長によって、今後もこのような特別な措置をあわせ継続していく必要があります。  この際、新たなる地域開発の構想に立った事業計画を策定し、より効果的な対策を強力に推進することこそ、国土保全、民生安定のみならず、わが国施策の命題である社会開発、所得格差の縮小の見地からも、その重要性はまことに大きいものであると信じます。よって、本法は来たる昭和四十二年三月を最終期限とする時限法でありますので、ここに同法の一部を改正し、昭和四十七年三月三十一日までその有効期限を延長して、所期の目的を完全に遂行してまいりたいと存ずるものであります。  以上、草案趣旨について簡単に御説明を申し上げましたが、何とぞ本案を成案とされ、委員会提出の法律案として御採択あらんことをお願い申す次第でございます。
  29. 田村元

    田村委員長 ただいまの井原岸高君の説明につきまして御発言はありませんか。——別に発言の申し出もありませんので、この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、政府に意見があればこれを許します。経済企画庁長官藤山愛一郎君。
  30. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 ただいま御提案の本法の趣旨につきましては、政府としても異存はございません。  なお、できましたら企画庁としては最大の努力をいたしまして善処いたす方針でございます。     —————————————
  31. 田村元

    田村委員長 おはかりいたします。  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案の草案を、本委員会の成案とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続きおはかりいたします。国会法第五十条の二の規定により、本案を本委員会提出の法律案とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本法律案の提出手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。      ————◇—————
  35. 田村元

    田村委員長 再び国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。吉田賢一君。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、地価の問題をめぐりまして用地取得が難航したり、もしくはいろんな思惑が加わったり、あるいはそのために事業の設計あるいは施行、進捗がかなり影響を受けておるということは申すまでもないのであります。  そこで、いまの道路局長の御説明によると、たてまえとしては、形としましては従来の実績によって地価単価をきめ、積算をし、こまかいことは本省で調査はできておらぬけれども地方からの答申等いろいろとそのような調査が前提となって予算が組まれていっておるのですね。これは無理からぬと思うのですが、ただ私が疑問としますることは、地価問題に対する政府のかまえがしゃんとして、そして利害関係のある地方公共団体がこれに協力する、そういうことができるのとできないのとで、道路計画は進行の上にも計画の上にも、また予算の効果の上にも重大な影響が生じてくると思うのです。そこで、実はいまの尾之内局長の御説明は、わかったようで結局わからぬのです。私をして言わすならもっとオープンに、たとえば国民に公開して、道路計画内容をすぱっと明らかにして、そして地方公共団体に積極的に協力させ、憲法の基本原理に基づいて公共性を尊重さすことに国民はみんな協力する、こういうことに持っていくことが一つの政治力であり、行政のあり方だ、こう思うのです。早い話が、どこへ道ができるのか地方の人はわからぬのです。このあたりを通るのだということは聞いていましても、そこにいろんな思惑があります。あるいはまた揣摩憶測もあります。地方におきましても、御承知のとおり都市計画もあるし地域開発もあるし、あるいは農業計画もあるし山林計画もあるしないしは道路計画もあるし、いろんな計画をみんな持っておるわけです。しかしずっと国の施策として、たとえば自動車縦貫道路ができるというような場合でもはっきりしないのです。しませんので、これがやはり問題がもつれていく一つのもとになるのじゃないだろうか。  そこで私は、問題を解明して解決するための有力な一助として、この際やはり方針として、道路計画というものはかなり詳細なものを政府で策定して、策定したものは公にして協力を求める、こういうふうに持っていけぬものだろうか。最後の最後まではっきりしません。建設省においても、たとえば道路公団の扱うものは道路公団に行かなければはっきりしないし、こういうことになりますので、利害もありますし弊害も伴うだろうけれども、ともかく用地問題というものをもっと大胆に明らかにするという態勢をとる、そういうようになっていくのでないと、私は地価問題はいよいよむずかしくなると思うのです。地方土地屋がどれだけ暗躍するかわからぬのです。どれだけこれが弊害をもたらすかわかりませんので、これに巻き添えを食うとはいいませんけれども、私はやはりもとがしゃんとしないとこのようなことが一そう激しくなるのじゃないかということを憂えておりますので、結論的にお尋ねしたいことは、計画の内容国民の前にオープンにできないものか、してはどうか。たとえば、こまかい詳細な法律案が国会に出されるがごとくに、この道路計画内容を明らかにして、各公共団体に協力をさす、求める、みんなする、こういう態勢に持っていくことが非常に重大な施策であろう、私はこう思うのですが、どういうものでございましょうかね。
  37. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまのお話は、お気持ちと申しますか、趣旨としてはよくわかるのであります。けれども実際御存じのように、非常に長い延長のあります道路等について、これを一挙に計画を明らかにし、しかもこまかい通過地点あるいはもう少し細部にわたった、どこそこの土地を必要とする、こういうところまでいきますのには、御承知のとおり一応この地帯に道路をつくる必要がある、それから調査をして、どこの何番地を通って、こういうふうな線形でいくのだというようなことに相当の時間がかかるわけであります。それがきまりましたときには、もちろん公に告示をして、これは街路計画にいたしましても、国道地方道にいたしましても、その告示をして仕事をやっておるのでありますから、非公開でやっておるわけじゃございません。ただこれを全国のものをいま一ぺんにそういうことをするということは、事実上不可能と言うとおかしゅうございますが、不可能と言っていいくらいでございます。ただ、いまのお考えの中に、今度御審議を願っております国土開発に関する高速自動車道路網、こういうものはまさにいまおっしゃった趣旨の一端を示すものである。しかしこれとても、何番地の何番地先を通るのだということは、これはこまかく調査をいたしまして設計いたしませんと、いよいよここですよということは、そう早くから示すわけにいかない、これは御理解願えると思います。今度の高速道路網にいたしましても、この地帯を通る、こういうことを国民の皆さんに法律をもって示して、そしてこれに御協力願う、この程度はできますけれども、その段階で何番地のどの地域を通るんだ、ここの土地を要するというようなことは、精査をいたしまして、詳細な計画を立てて、その段階で告示をする、これがいわゆる今度土地収用法で御審議を願いたいと思っております事業認定の告示をしたときにそれが明らかになる、こういうよりほかないと思っておるわけであります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣がかなり進歩的な土地に対する考え方を持っておるから、私は実はお尋ねするわけでありまして、やはり従来と同じように成り行きでやって、たとえば一兆円の予算を組んで家を何ぼ建てる、道路をどんな延長のものをつくるといっても、実は経費がかかって実績があがらぬということを繰り返すならば、こんな質問は要らぬことなんです。しかしでき得べくんば地価というものがどれだけ社会政策経済施策等にいま悪影響を与えつつあるかわからぬというような現段階におきましては、やはりそれらの点についてどうすれば抜本的にその弊害を少なくすることができるかということを、これは大臣のような方において打ち出して、よしんばこの内閣がそれをやり遂げ得なくても、一つ方針として出されていくことが、私は必要だろうと思うのです。たとえばいま伺ってみましても、これは要するに机の上の数字です。絶対にそうです。でありますので、何ぼ要るやらわかりません。相手次第、状況次第、場所次第、条件はなかなか簡単じゃありません。ましてや中央はつかんでおられないということになりますので、やはりこのところは安上がりで造成ができるということにしなければ、親方日の丸だから何ぼなりと国民の税金を食え、一千三百億円の公債発行をしたが、なければまた一兆円でも二兆円でもよろしい。借金借金で土地の取得をしていくというような政策を繰り返していきましたら破産しますよ。これは基本的な問題だからお尋ねしたいのだが、一体今日の問題は、全体的な縦貫自動車道路も重要であります。けれども地方道、市町村道というもののでこぼこで荒廃しきった姿というものは、どれだけ住民のために大きな、言うなれば不便を感じ、切歯扼腕せんばかりにこの問題について嘆いておるのです。一億円を地方の小さい道路に振り向けてごらんなさい。住民は手を合わせて喜びますよ。ここに私は、この重大な問題と取り組んで、膨大な予算を使っていこう、投資をしていこうという、社会投資一つのあり方としまして、その根本はもっと何とか対策を立てて——いま私が提言しましたことは必ずしも全体の解決をするのではありません。ありませんが、もっと明らかにしないから協力しないのです。お互いが探り合うからよけいいかぬのです。公共団体等の財政はいまどうにもならぬのです。ほんとうにどこもかも行き詰まりです。これは御承知のとおりであります。この公共団体自身にしましても、それぞれ負担していくのでありますから、国は国としまして範を示して、できるだけ安上がりという地価対策に踏み切る以外に手はないだろうと思うのです。そう思いますので、いまのようなことも一種の方法ですけれども、申し上げた次第なんです。だから国のなすべき道路施策道路の整備事業、それから末端の市町村の道路の整備問題というものも均斉のとれた発展をしていくという姿があるべきことじゃないか。大きなやつを整備したら、小さなやつは自然に便利になるという考え方ではなしに、ほんとうに地方開発、社会資本の投資というものは、そういう点にもっと重点を置いてほしいと思うのです。大きなところでちょっと節約できたら、小さいところはずっと充実していきますから、こういう意味でお尋ねするのです。だから今度の場合におきましても一段と市町村道路なんかについても、これは国の施策の一環として、できるだけ充実整備していくようにしてもらいたい。若干の予算を組んであるのも存じておりますけれども、これは足りません。足りませんので伸びも少ないです。本年度の予算におきましては、山の植樹なんかの予算を相当切ったりしておるような、そんな状態にもあるのであります。少しのことで非常に助かる面があるのに切ってまで、そうして大きな金が要るところはたいへん野方図。必ずしもこの場合野方図とは申しませんけれども、この辺が大賢な点ではないかと思いますので、一段とここはくふうをしてもらわなければいくまい。御意見を承りたい。
  39. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 後段でお話しになりました地方道の整備は、御承知のとおりに今後力を入れていかなければならぬと思います。  それから用地の問題、地価の問題、これは先ほど申し上げましたような方式で地価対策を強力に進めるべき段階だと思っております。したがって土地収用法等の御審議を願って、ぜひこれは成立をさしていただきたいと思いますが、問題は法律ばかりできましても、その趣旨を生かすという行政が行なわれなければ実効があがりませんので、率直に言って、いままでのこの問題に対する行政というものは必ずしも十分でなかった。そういう意味で、私どもはこの地価対策というものを真剣に取り上げておるのでありますから、それが実効が伴うような行政のあり方をやっていかなければならぬ。これは建設省だけでなしに、政府全般の姿勢でなければならない、かように考えておるわけであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これで終わります。
  41. 田村元

    田村委員長 稲富君。
  42. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんので、一、二点大臣にお尋ねしたいと思います。  まず本法の第一条、ただいま御説明がございましたが、本法の目的は、末尾に「高速幹線自動車道を開設し、及びこれと関連して新都市及び新農村の建設等を促進することを目的とする。」とあります。本法でこの目的とされておる新農村の建設とはいかなる農村の建設をなさろうというお考えであるか承りたい。
  43. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ここで農業政策を論ずるだけの知識はございませんが、率直に申しまして、いま皆さんに御心配願っておりますように、いろいろな努力をしまして、農業政策の改革、あるいは農村振興策がとられておりますが、いろいろな諸条件はありますけれども道路交通輸送、この不整備によっていろいろな改革が進まない。ここに大きな欠点があると思っております。流通の問題とかいわれておりますけれども、新しい経営をやろう、あるいは農業構造改善事業を局地的にやりましても、問題はその成果を十分に活用するだけの道路輸送体系が整っておらない。こういうところに大きな基本的な欠陥があるんじゃないかと思います。しかも、日本は何といっても工業立国といいますけれども、農業に相当なウェートを置かなければならないことは、申し上げるまでもないことであります。しかし農村が、先ほども吉田さんが言われましたように、こういう交通輸送状況ではどんなにくふうしてもその成果があがらない。こういう趣旨で、その先の農業政策をどうするかということは、農林省にあるいは専門的に検討してもらわなければなりませんが、私はそういう基礎条件をつくることが新しい農村といいますか、進んだ農業経営のできる前提である、かようなことを申し上げておるわけでございます。
  44. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、この際農村問題を議論するわけではございませんが、この目的のところにある新農村の建設というもの、農村全体の政策というものは、それほどこの法律によってやろうというような計画じゃないんじゃないかと思います。道路をつくることによって新しい農村ができるのじゃないか、そうなると第六条の二に、「新都市又は新農村の整備又は建設」となっておる。この整備というのはどういう意味か。いま申されたように非常に大きな意味であるとこういうものが起こってくる。それでこの点もあわせて承りたいと思うのでございますが、私はここで大臣と農村問題を論議しようとするものではありませんが、この道路をつくることによって最初は中央道——山間部を道路が通る。そうするといままで未開発だったところに新しい農村ができるんだ、こういうような意味から、最初に新農村建設をするんだ、こういうような意味がうたわれたのじゃないか、こう私は思いますので、これを実施し、さらにそういう意味で新農村の整備または建設という問題を掲げてあるのじゃないか、こう私はまずお伺いしておるわけなんです。いま大臣の御説明になりましたのは、非常に広範な農村建設の一助としてやっていこうということになりますと、また大きな問題が起こってくるのでございますが、そういう点から私はお尋ねしている。私、時間がありませんので、なぜこういうことを聞くかと申し上げますと、最初に中央道ができますときには、この中央道を中心といたします未開発の農村ができるのじゃないかというねらいがあったのではないかと思います。今後こういう道路が各地にできますと、今度は逆に農耕地を通って道路ができるということになりますと、農村の建設どころか、逆に農村が破壊されるという問題が起こってくる。こういうことも考慮に入れなくちゃならないのじゃないかという問題がありますので、私はお尋ねしておるわけです。この点はどういうわけでございますか。
  45. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 新農村あるいは農村の建設ということでございますが、これは必ずしも何もなかったところに新しい農村をつくる、それだけではないと私は思います。しかしそれが非常に大きい部分もあると思います。私が前に申し上げておりますように、日本の道路網というものは人口三千万時代の道路網が現在の道路網ということになっております。したがって、この一億をこす人口が活動する舞台が狭い。これが今日の各種の弊害を来たしておる大きな基であろうと思います。そういう意味におきまして、まだまだ道路交通等の体系が整いますと、新しく利用すべき農村もできる、当然にそうだと思います。また既存の農村におきましても、農業政策の転換もありましょうし、あるいは文化交流の問題もありましょうし、必ずしも全然なかったところだけとは考えておりませんが、なかったところの開発が非常なウエートを持っておるということは、この道路網整備によって可能になる。しかもこの道路網を策定いたします以上は、現在、従来の道路交通状態を中心にいろいろなことが計画されておるわけでありますが、相当将来を見て、この道路網の整備に応じて、この道路網に沿って農村なり都市なりを総合的に計画すべき段階にくるのだろう、またこなければならない。そういう点は経済企画庁あたりとあわせて大きな問題として今後の国全体の、農村あるいは都市といわず整備計画をあわせてこれに沿って立てるべきである、かように考えておるわけでございます。
  46. 稲富稜人

    ○稲富委員 この農村道路建設にあたりましても、いま申し上げましたように、この道路は新農村の建設をするということが一つの目的になっておりますので、あるいは道路の設定に対しましても優良なる農耕地等がこれによって破壊される、こういうことはよほど考えなければいけないので、こういうことに対しては考慮してあるのかどうか、こういうことを伺いたいと思うわけでございます。
  47. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その点は私どももそう思います。ただ日本の地形は御承知のとおりに非常に複雑でありますから、必ずしも農耕地を全然避けるということは不可能でありますけれども、できるだけ既耕地は避けられる可能性のあるところは何とか避ける。これが眼目であろうと思っております。
  48. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらにこの問題でお尋ねしたいと思いますのは、今日農村の現状というのは、御承知のとおり東北地方を主体といたしまして、農閑期その他においても農村に収入が少ないために出かせぎ労務者というのが非常に多いのでございます。おそらく今日農村の出かせぎ労務者というのは百万に近いだろうといわれております。しかもこの人たちは各地に出かせぎに出まして、就労しているところはほとんど建設事業に六〇%以上就労している。ところがこれが逆に今度は農村においては家庭悲劇を生んでいるというような事実も非常にあるのであります。そういう意味からこの道路建設が農村建設の目的を持っているという点から申しましても、できるだけこの事業に対しては、農村の出かせぎの人たちを多く使うようにする。そうして農村の現金収入等の道を開き、遠くに働きに行かないでも、その地元にいて就労ができるような方途を考える、こういうことの一環としてこれが実施に当たってもらいたい、こういうことをわれわれは考えておるわけでございますが、これに対して大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  49. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 全く同じ考えを持っております。御参考までに申し上げておきますが、一般道路の整備につきましても、私ども出かせぎ状況というのを調査いたしました。正確な統計はございませんが、実際は非常に多いと思います。その傾向はわかります。そういう意味で四十一年度の一般道路地方配付についても相当考慮している、こういうことでありますから、こういう大規模なものは当然に労務対策からいっても、あるいは出かせぎ対策からいってもやるべきである、かように考えております。
  50. 稲富稜人

    ○稲富委員 今日、本法によりまして別表に道路路線の予定というものが決定されておるのでございますが、これに対しましての必要度、緊急度というものはあると思うのでございますけれども、どこから工事を始めるかという緊急必要度はどういうことによって決定になるのか、この点承っておきたい。
  51. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 今度の案は全体で七千六百キロであります。これは一挙というわけにはもちろんまいりません。いま一番早くやりたいというのは、かねがね申し上げておりますように、青森から鹿児島までのいわゆる縦貫自動車道路、これは御承知のとおりある部分はもうできておりますが、これはどうしても早くやるべきである。といいますのは、それまで一般道路の整備がおおむね済みますから、これを結集して全部つなぐという意味でそれを考えているわけでございます。もちろんそれだけではございませんが、財政とのにらみ合わせであわせてやるところがあると思います。それは今度現状及び将来を見て順位をつけてやりたい。こまかい点は今後の検討にいたしたい。かように考えております。
  52. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、九州におきますかつての横断道路、大分−長崎間、これは私たちは中央道、関西とつながりが非常に矩距離になるという考えで、これの必要は非常に考えておるわけでありますが、これに対する私たちの期待というものは、長崎−大分、さらにこれに結びます四国の縦貫道路、大洲から徳島に行く線、さらにこれが関西に行く線に結びつく、こういうことにおいて非常に距離が短縮されることをわれわれは期待しているわけでございますが、これに対してお尋ねしたいのは、この予定線を見ますと、長崎−大分まではできております。大洲−徳島間は予定路線の中に入っております。この間の佐賀関−三崎まではフェリボートの計画があるということも承っておるのでございますが、そうしますと、佐賀関と大分間、三崎から大洲間、この間はこの予定路線の中に入っていないわけであります。私たちはこれが一貫して徳島までつながることによってこの九州横断線というものは非常に意義を持つものであると思いますが、何のために大分−佐賀関間、三崎−大洲間を路線の中に入れないのであるか、それとも別の何か計画があるということなのか、この点の計画をお示し願いたいと思います。
  53. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 今回提案いたしております道路網につきましては、他にもそういう個所があろうかと思います。たとえば空港へつなぐべきところ、あるいは港湾につなぐべきところがあろうかと思いますが、今回の七千六百キロはおおむね主要な地点を結ぶということでとどめたわけでございます。いまお話しの大分−大洲間についても、そういう議論があったのでございますが、これに類する問題が、たとえば本州と四国を横断する架橋問題と関連してもあるわけでございます。そういうようなことがほかにもございますが、先ほど申しましたように主要な地点を結ぶものを幹線道路考えておる。またそれに入りませんところは、他の方法によりまして自動車専用道路あるいは他の国道の整備等によって十分機能が達し得る、こういうような考えで選んだものでございまして、さよう御了承いただきたいと思います。
  54. 稲富稜人

    ○稲富委員 主要な都市をつなぐということになりますと、私先刻申し上げましたように、九州横断道というものは、この四国との横断があることによって非常に存在の意義があるので、主要であるというならば、やはり大洲−大分というのは非常に主要路線に入るわけであります。この間を開発幹線自動車道路網からのけてしまって、別個に計画を立てる、あるいは自動車専用道路をつくるというようなことは、ほんとうの幹線自動車路線だという、こういう意味から、非常に弱められているという感がするわけなんです。これは今後横断道路が進展するに従って追加して入れるというような計画があるのであるか、いまおっしゃったように、全然別個なものとして再考する、こういうことであるのか。この点は、われわれは必要上一貫しなければならない。両方をつなぐ道路の生命はここにあると思うのです。せっかく幹線道路があって、その中間で中断するということは幹線道路としての意味をなさないということになると思うのでありますが、これはどうですか。
  55. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 今回の考え方はそうしたということを申し上げておるのでございまして、今後将来にわたりまして全国的な自動車道路網がこれで十分であるかどうかということは、別個の問題であろうかと思います。私どもが今回提案いたしました七千六百キロはそういう考え方のもとにまとめた、もちろんそれに入っておりませんものは全然他の方法でもやらないのかということについては、国道の整備あるいは他の方法によりまして十分機能を達成するようにしたい、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  56. 稲富稜人

    ○稲富委員 局長は七千六百キロにこだわっていらっしょるようだけれども、今度の道路計画というのは七千六百キロを限度とする必要はないだろうと思う。必要ならば、七千八百キロになろうとも、いわゆる幹線道路としての使命を果たすということが目標でなければならないと思うのです。それならば、主要な道路としてつながれるところの中間をのける、しかもこれは非常に重要性があるために、フェリボートの計画もあるということを聞いておりますが、なぜこれをつながないのか、どういう意味があるのか、この点私たちの最もふに落ちないところなんです。なぜこれをつなごうとおっしゃらないのか、この点は総キロ数にこだわらないで、当然三崎までと、佐賀関、大分までというのはこの計画に入れても差しつかえない、また入れるべきである、こう考えるのでありますが、大臣いかがですか。
  57. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど道路局長からもお話しいたしましたように、今度の道路網は、おおむね現在及び将来重要な主線であると思われるようなところから高速自動車道に二時間以内に来れる、こういう想定で立てております。いまお話しのように、四国は島でありますから、その間がとぎれるということは意味がないのであります。この間も、これはちょっとこれとは話が違ってきますけれども、中国筋と四国とつなぐのになぜこれに線を入れないかというお話がございました。それは別途に措置をとりたい、そのほうが効果的であろう、こういうことを申し上げておりましたが、この路線の進行に応じてまた追加すべきところは追加する段階もあると思いますけれども、むしろそれよりも別途の方法を考えたほうが早くこの事態、この問題のところが解決するだろう、こういうことでございます。
  58. 稲富稜人

    ○稲富委員 船の場合は中断されてもいたし方がない。ところが船に行くまでのところが途中で切れてしまうということは、幹線道路から除外されるということです。どういうわけで除外されなければならないか、なぜ幹線道路を大洲から三崎まで、大分から佐賀関まで延ばさないか、そうすることによってこの道路というものが、フェリボートもその計画の中に入って、完全なる幹線道路とつなるのだが、この点をどういうふうにするか。それは将来その必要に迫られたら変更して追加する、こういうような御意思があるかどうか。
  59. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そういう場合もあり得ると思います。
  60. 稲富稜人

    ○稲富委員 それじゃ結論として、これに対しては、いま大臣の言われたように、十分幹線道路としての意義を持ちますような、そういう方途に将来進んでいくように十分なる配慮を願いたい、こういうことをお願い申し上げまして終わります。
  61. 田村元

    田村委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  63. 田村元

    田村委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  64. 田村元

    田村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  65. 田村元

    田村委員長 ただいま議決いたしました国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、井原岸高君外二名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。井原岸高君。
  66. 井原岸高

    ○井原委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、次の附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたしまして趣旨の説明にかえます。     国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、国土開発幹線自動車道網の整備を推進するに当つては、特に左の諸点に留意し、これが実施に遺憾なきを期すべきである。  1 道路整備費の主要財源たる揮発油税の収入には、今後、多くの期待をかけ得ないので、道路整備特別会計に十分なる一般財源の投入を図る等、強力なる財源措置を講ずること。  2 道路の無料公開の原則に基き、国土開発幹線自動車道に関しても、この際、料金体系、資金の投入並びに償還方法等、有料制度自体の内容について合理化を図ること。  3 七、六〇〇粁におよぶ国土開発幹線自動車道網の用地の取得、並びに工事の執行体制に万全を期するとともに、特に、路線の選定に当つては、極力、農耕地を避けるよう配慮すること。  4 取付道路等、国土開発幹線自動車道の建設に伴う関連公共事業については、窮乏せる地方財政の実情を勘案し、十分なる考慮をはらうこと。  5 今後、道路整備五筒年計画の改訂に当つては、国土開発幹線自動車道の整備事業が、一般道路事業(殊に地方事業)を圧迫せざるよう、特に配慮すること。    右決議する。 以上であります。  何とぞ御賛同のほどお願い申し上げます。
  67. 田村元

    田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  68. 田村元

    田村委員長 起立総員。本動議は可決いたしました。よって、井原岸高君外二名提出の動議のとおり本案に対して附帯決議を付することに決定いたしました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。瀬戸山建設大臣
  69. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨ごもっともでございますから、この御趣旨を尊重いたしまして十分留意したいと思います。     —————————————
  70. 田村元

    田村委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕
  72. 田村元

    田村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十二日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時十一分散会