○佐野委員 私も
地域開発の審議会の委員をやっておりまして、よく存じておるのですが、ただ、これは私いつも審議会で指摘いたしておりますけれども、
各省の
予算を集めてきて、それで政策というものが
——経済企画庁の立場ではやむを得ないでしょう。その程度なんで、一体全国的に現況はどうなっておるのか。
保全区域は一体これでいいのかどうか。わが国における地理的条件なり
気象環境から見て非常に危険な状態の中にあるということは、いろいろな意味で
大臣も先ほどから指摘をしておられるわけですけれども、一体現況はどうなんだ、問題点はどこにあるのか、こういうことを明らかにして、今後の国土
保全計画がほとんどできていないのじゃないかということを非常に遺憾とするのですが、時間もありませんので、また別の機会にいろいろ
お尋ねしたいと思います。
ただ私は、
大臣もおいでになりますので、立法論の立場から
大臣の所見をただしておきたいと思いますが、先ほど来
大臣が国土
保全という立場から
海岸保全というものの重大性を非常に強調しておられる。しかしながら、また一方のことばで、従来の沿革あるいは立法成立過程における事情等を勘案するならば、従来まで軽視されてまいった、こういう二つの
——重大性を強調される半面に、軽視されてまいったが、これには軽視されるだけの沿革があるので、実はやむを得ないのだというため息を漏らしておられるわけですけれども、ここで私はやはり
海岸基本法という立場に立って、もう一度再
検討すべき時期にきているのではないか、こういう点を痛感するので、その意味から二、三
大臣の所見を伺っておきたいと思うのです。
申すまでもなく、現行
海岸法によりますならば、
海岸保全指定区域内における事務は国の事務だ、こう明確に規定して、それぞれの管理者が担当するけれども、これは国の機関としての委任事務を行なわせるものである、こういう形で一応明確になっておるわけです。ですから自治法によりましても、別表第三として、府県の固有事務ではなくて、国の機関としての事務を府県かあるいは市町村が預かるのだということも、自治法の別表第三においても明らかにいたしておるわけであります。といたしまするならば、もっと国の責任性を明らかにする必要があるのではないか。私が非常に不愉快に思いますのは、皆さんの
説明を聞いておりましても、
補助事業がどうだという。ただ国の機関として、府県知事が管理者として委任行為をやっておるのだ、これに
補助とは何ですか。国が当然の
仕事を自治体に委任しておるのですから、これは
負担率、こう言うべきものを、何か自治体が固有の事務をやるのに国が助成的な意味で
補助するのだ、
補助率がどうだ
——ある
説明書を見ますと、正直に
負担率と書いてあるのもありますけれども、先ほどからの
大臣の話を聞いておると、恩着せがましく
補助してやるのだと言う、こういう
考え方が出てきているところに問題があるのではないかと思います。と申し上げますのは、
大臣も御存じのとおりだと思いますが、
地方行政
委員会に
大臣がおられたときに御出席になっていたのでよく御
承知だと思いますが、国の機関の委任の事務に対しては、自治法上どういう地位が与えられているかということを
考えますと、いわゆる国の機関事務に対しては、
予算の減額、増額ができ得ないということで、いわゆる議会に対するところの
一つの拘束を与えているわけです。ところでこの執行に対しましては、監査委員は監査することができ得ない、こういう規定になっているわけですが、入札その他の行為に関しましても、自治法上におけるところの契約その他は適用されない。しかも監査委員は監査することができ得ない。もしその機関の長が国の指示に従わない場合においては、これを罷免することができる。場合によっては
大臣は代執行をすることができる、こういうきびしい規定の中で国の事務だということを明らかにしておるわけです。そういう意味におきまして、私はそれほどのきびしい立法論をとりながら、これらは国の
仕事じゃないのだという形で、
補助とかなんとかいうことばを口にされ、軽視されてまいったのだということからも出てきておるでしょうけれども、この点に対して、もう少しやはり慎重に
考えていただきたい。特に議会の場合においては、たとえば十億円の
仕事とするならば、議会は、単独
事業の場合におきましては、非常にきびしい条件の中で
仕事をしている。ところが国の機関の委任事務の
仕事は十億円であろうと、これはほとんど審議されない形になってきておるわけです。そういう意味におきまして、やはりもう少し明確に
地方の固有事務に渡すべきものは固有事務に渡す。国が責任を持ってやる
仕事は国がやるんだ、こういうことを立法上も明確に規定しなければ、非常に混乱が起きてくるのではないか。重要な場合には、
直轄事業の条件が四つか示されておりますけれども、これは国がやるんだという方針を明確にすることが、混乱を避ける
一つの問題点じゃないか、このことに対して一応お聞きしたい。
もう
一つ関連いたしまして、やはりお聞きしておきたいと思うのですが、
河川法なりいろいろな
法律等の均衡の問題がなります。特に、機関委任事務でありながら、四つかの
主務大臣を置いている。しかもそれは相互調整をしているのだ、一体どこで調整をしているのか、
法律的規定もない。これも立法上からおかしいのではないか。府県知事に機関を委任して、府県知事が
指定する。これに対して
主務大臣が認可を与える。しかも四つ、あるいは共管しておるやつもある。そういう場合にやはりいろいろ国の立法を見ましても、
経済企画庁が調整を担当する、あるいは総理府の中で総理
大臣がこの調整に当たる、こういうような立法がたくさんあると思うのです。
海岸法の場合はこれもない。国の事務ですよ。国の事務でありながら、監視者であり
地域を統括するところの県知事なり市町村長が
指定をする、
主務大臣にそれの了承を求める、総合的に
海岸保全というものはやらなくてはならないのに、しかも国の事務である、こう明確に立法上規定しながら、国が一体どこで責任をとっておるのだ。どこで調整しておるのだ。ですから、府県知事が
指定しようとすれば、総理
大臣にこれを申請する、総理
大臣は行政
大臣なり
主務大臣を通じて
意見を聴取してこれを決定する、こういうことが立法のたてまえじゃないか。それがいかにも何か恩恵的に取り上げられたような、立法上もおかしいような形で、何かというと府県知事なり市町村長の責任だかのごとき印象を与える。軽視されてきておると
大臣みずから言われる根源というものも、ここらあたりにあるのじゃないかという点を
考えるわけですけれども、立法論というこの二つの点に対して
大臣の所見を伺っておきたい。