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1966-06-25 第51回国会 衆議院 決算委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十五日(土曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長代理理事 押谷 富三君    理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 山田 長司君       根本龍太郎君    原 健三郎君       福永 健司君    山手 滿男君       栗原 俊夫君    中村 重光君       長谷川 保君  出席政府委員         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君  委員外出席者         検     事         (民事局第三課         長)      住吉 君彦君         大蔵事務官         (国有財産局国         有財産第一課         長)      塚本孝次郎君         厚 生 技 官         (環境衛生局水         道課長)    大橋 文雄君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         会計検査院事務         官         (第三局長)  佐藤 三郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 六月二十四日  委員中村重光君及び森本靖辞任につき、その  補欠として稻村隆一君及び中村高一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員稻村隆一君及び中村高一君辞任につき、そ  の補欠として中村重光君及び森本靖君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  (厚生省所管)  国有財産増減及び現況に関する件(羽田空港  敷地問題)      ————◇—————
  2. 押谷富三

    押谷委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため欠席いたしますので、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。  国有財産増減及び現況に関する件について調査を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。田中彰治君。
  3. 田中彰治

    田中(彰)委員 航空局長にお尋ねするのですが、この前、あなたのほうから、国の予算決算面における本件用地約十六万坪の取得の事実を証明する書類というのが資料として出たのです。この資料のどこを見ても、どうも買ったというのは出ない。これを反駁しますと、東京飛行場設備費昭和年度において初めて計上せられたものであって、昭和年度昭和年度予算ではこれはないのです。すなわち第五十六帝国議会において、衆議院予算委員会の第六分科会において、久原国務大臣が次のように説明しているのです。あんたは何回聞いてもおわかりにならないようですけれども、こういう説明をしていますね。「次ニ航空路設置ニスル経費——本邦航空事業ノ發達ヲ促進シ且ツ外國航空機飛來二備フル爲メ昭和年度及三年度ニ於テ一部飛行場設備致シマシタガ、尚ホ航空路施設ノ完成ヲ計ル爲メ東京飛行場ノ本設備長崎縣對馬及び五島方面ニ航空用無線電信所ノ新設、有線電話連絡施設等爲サントスル次第デゴザイマス、仍テ之ニ要スル経費總額三百八十四萬五千二百九十二圓ヲ昭和年度以降三箇年度繼續費トナシ其本年度年割額百二十四萬八千百三十五圓ヲ計上シタ次第デアリマス、」すなわち、右のうち、工事費百十八万八千四百三円を初年度に計上したものであることは、当時の会議録昭和四年二月八日及び予算要求明細書によって明らかとなっておるのであります。しかして昭和年度における支出済み額は八十万九千七百八十八円八十一銭であって、翌年度繰り越しが一万九千四百七十五円七十四銭、不用額として四十六万八千六百八十四円二十六銭を出しています。もし飛島文吉に二百一万円を支払うならば当然不足するにかかわらず、何ゆえに翌年度へ繰り越すほか、不用額を四十六万余円を出しておるか。さらに、この工事費の中には、久原大臣説明しているとおり、五島対馬経費も支出してあるはずである。これは一体どのようになっているのか、まずこれをお聞きしたいと思う。  なお、決算報告説明によると、不用額を生ぜしめしは、節約をなしたると、予定した費用額を要せなかった、こういうことであるのですから、これもちょっと違っておる。  航空局提出資料七によると、昭和年度予算現額、工事費百二十五万四千四百七十五円七十四銭となっているが、明細書によると、既定総費額三百八十四万五千二百九十二円、昭和年度より昭和年度にわたる継続費なるも、うち十一万一千五百六十一円を節減し、かつ事業繰り延べを行なうため既定年限を延長し、昭和年度以降の総額及び支十年度割りを左のごとくに改定することを要するとあって、既定額百二十三万五千円、節減額五万九百七十五円、繰り延べ減額四十五万七千二十円、組みかえ減額千八百五十七円、改定額が七十二万五千百四十八円となっておるのであります。航空局提出資料七によると、この経費は、昭和年度から六年度までの継続事業費のように思われるが、久原大臣説明のとおり、昭和年度から三カ年の継続費であり、さらに五年度において一年延長せられて、七年度までの継続事業費となったのであります。しかるに航空局資料七によると、昭和年度限りとなっているか、この資料によっても、各年度繰り越し金不用額が認められ、昭和四、五、六年度予算総計三百三十二万二千五百三円四十六銭となっているのでありますが、支出済み額は二百三十一万六千三百十一円八十銭であって、これは単に東京航空路設置費のみならず、対馬五島等における各施設費を含み、ことに昭和年度においては、翌五年度に一万九千四百七十五円七十四銭を繰り越し、四十六万八千六百八十四円二十六銭の不用額を生じ、五年度においても五十一万六千二百三十一円六十六銭の不用額、六年度においては一万八千円を繰り越しているのであって、かく予算決算の上から見ると、このあなたのほうの出された資料によって、これを買ったという証拠はどこからも出てこないのです。これに対してどんなお考えですか。
  4. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先般お手元提出申し上げました資料七についての御質疑でございますが、資料七は、国の予算決算面における本件用地約十六万坪の取得事実を証明する書類について提出せよという御命令であったわけでございます。したがいまして、関係がございます逓信所所管航空路設置費年度別決算額資料を、これは大蔵省に保管しておるものをお借りをいたしまして、作成いたしましたものをお手元に実はお届けしたわけでございますが、この資料に書いてございますとおり、資料の一には、先生が御指摘になりました昭和年度から六年度までの逓信省所管航空路設置費年度別決算額、もちろん予算現額、支出済み額繰り越し不用等の内容でございますが、これはお手元数字と、いま先生が御指摘のものと大体符合しておるものと思います。ただ御指摘のように、これでは一体昭和四、五年に、二百一万円の本件土地を、ここに書いてある予算面だけから、購入したという事実が証明できるかということになりますと、はなはだ残念ながら、これはトータルの数字でございまして、その内訳等の明細でございませんし、また航空路設置費と申しますと、先生指摘のように、必ずしも一カ所だけではございませんで、他の個所も理論的に当然含まれるわけでございますので、この数字によりまして、いかにして二百二万円が支出されたかということは、実は明瞭でないわけでございます。  そこで、二番目に参りまして、われわれがいままで本件の問題に関しまして、土地を収得した事実を証明する書類といたしまして用いてございますのは、お手元資料の第五にございますように、国有財産台帳土地台帳謄本土地登記簿謄本昭和年度国有財産増減報告書逓信省経理局営繕秘経理係保管東京飛行場関係文書というものであるわけでございます。
  5. 田中彰治

    田中(彰)委員 しかしおかしいじゃないですか。どの予算からどうしようが、土地を買ったということが、国会予算にも決算にも、日本銀行の会計からも、昭和二年から昭和四、五、六年にかけて買ったというその数字証拠が出てこないのに、買ったと言うことはおかしいじゃないですか。そうでしょう。私は、実はあのうちを買ったんだ、お前どこから金を出して買ったか、いや、それはよくわからない、それは家内がほまちの金でも持っていて買ったんだろう、ところが奥さんのほうを調べてみると、そんな金は持っておらぬ。もう一つは、飛島組とそれだけの大きな契約を当時したのに、飛島組との契約書もない。それも焼いちまったんだ。まるで、あなた方の答弁を聞いておると、あなた方役人としての答弁だからそれは通るでしょうが、おそらくはかの人がこれを聞いたら、何を言っているんだ、こう思われてもしかたがないと私は思う。  それからもう一つ、この間あなたのほうの私の質疑に対する答弁に対してあれしますが、四月二十日に航空局長は、当委員会、この委員会において、質疑に対する御答弁がありましたが、その速記録をここへ持ってきておりますから、これについてお尋ねいたします。  第一に、局長は、二百一万円が、この予算とどういう関連に相なっているかについて、それは内容的に説明することは、この間非常に困難のようでしたが、この説明をぜひひとつあなたのほうから述べてもらいたい。それから、飛行場用地買収費のすべてが、逓信省所管航空路施設費だけに積算されているかどうかというようなことについて、これは明瞭でございませんと答弁されたが、これをひとつ明瞭にあなたのほうから答弁してもらいたい。このことについて、私が当日述べたように、三ページ二段、第五十六帝国議会において久原国務大臣は、航空路設置に要する経費として東京飛行場の本設備と、大臣委員会において明確に説明をされているのであります。ところが、局長大臣のこの説明を否定されておる。この金は東京飛行場のこういうものに使うのだということを説明して予算を取っておるやつを、いまあなたの話を聞くと、この説明は無視されておる。このとおりされておれば、どこかから金が出ておることはちゃんとわかっておるはずです。あるいは、大臣説明以外にこの費用がどこかに隠されていたとでもということであるなら、それを出してもらいたい。これはまことに重大な問題であります。国務大臣国会に対する説明に対してこれを否定するがごとき、あるいは、明瞭でないなどと、一局長のあなたが言われるということは、私は、国会では非常に重大なことだと思うのです。ここに会議録となっておりますが、ともに文書として残っておる以上は、是が非でも明確にしておかねばならぬと私は思います。私が同ページの二段、久原国務大臣説明語を引用した。これは、明らかに当時の速記録からそのままの説明であります。これに対して局長は、大臣説明外にこの経費があるかもわからないという根拠を示すようなことを言っておられますが、根拠を示されるのですかどうか。また、大臣説明を否定するからには、この点を大臣はこういう説明をしたけれども、こうであるというふうに明瞭にし、もし大臣説明に間違いがあったなら間違いがある、間違いがないなら、ここで四月二十日の局長発言を取り消してもらわなければならぬ。  第二に、局長は、この経費について、継続費のようなもので支出済みとなったのか、十分に明らかにし得ないという意味の発言をせられておりますが、三ページ四段、これは、久原大臣説明のとおり、明らかに継続費であり、昭和年度から三カ年間に継続して三百八十四万五千二百九十二円を計上して、昭和年度において百二十四万八千百三十五円を計上した、こういう次第でありますと説明されておるのであって、これは明瞭であるのですから、もしあなたのほうで、これに対する、何か、これは違っておるのだというものがあったら、これをひとつ出して説明してもらいたい。  それから、局長は、飛鳥組から買ったりなんかした書類、これは火災で焼けたとか、資料がないと言われておりますが、速記録のごときは何万枚も印刷されているので、航空局になければ国会図書館に行って見れば一時間でわかります。これをごらんになったらいいと思う。国会へ来て答弁することは、局長の重要な役目ではないかと私は思うのです。何ゆえにかかる簡単な準備をしないのか、この点について、私は非常にふかしぎな気持ちを抱くのであります。委員会ではその場のがれの答弁では許しません。この継続費についても、局長は、大臣説明を否定せられるかどうか、それをまず承りたい。どうなんですか。
  6. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、わがほうが本件用地取得の事実を証明する手段として、すでに裁判所等提出をいたしましたのが、先ほど私が申し上げた資料でございまして、いま田中委員のおっしゃいます決算関係数字からは、明瞭にこれを説明することは、われわれとして、種々調査をいたしましたが、不可能であるわけでございます。  そこで、前会のお尋ねに対しまして私がお答え申し上げた中で、大臣国会報告の、航空路施設費性格あるいは継続費性格について、これを否定するような説明をしたというお話でございますが、われわれが、従来この問題につきまして、従来のいろいろな決算資料等に当たりましたところでは、どうも明快に数字的に説明することはできないということを申し上げたわけでございまして、大臣国会説明しておられる継続費の性質あるいは航空路施設費の科目としての性格について、私は、これを否定するようなことを申し上げたつもりではございませんので、もしその点が非常に不明瞭あるいは私の前会の答弁が間違っておりましたならば、その点は訂正さしていただきたいと思います。  要するに、先ほども申し上げましたように、昭和四、五年両年度で、二百一万円の、本件の問題の土地購入についての書類は、はなはだ残念ながら、その後の火災その他によりまして焼失をいたしておりましてございませんので、われわれとしては、これについて明快な御説明ができないわけでございます。
  7. 田中彰治

    田中(彰)委員 委員長弁護士さんで、この事件をちょっと知っておられますが、この判決が勝ったという原因は、どこから金が出たかわかりませんけれども、国は、何かの国会その他の委員会等においてこれを出すことを認めて、そうして金が出ているんだろう、さもなければ、国のどこかから金が出ている、それで買ったものと認めるという、このことが原因となって、判決が勝っているのです。ところが、いまあなたの言うとおり、これは何も焼いてわからない、説明しても説明できない、私が説明しているんですから、私の説明のできる——ちゃんと図書館にある速記録説明しているんです。説明することが、もしあなたのほうでわからぬとなれば、権利書を認めるよりしかたがない。  委員長、ちょっと見せていいですか。(書類を示す)こうやってちゃんと権利書になっている。内務省から買って、りっぱな、当時の権利書になっている。これはにせものでも何でもない。あなたのほうでそういうものを認められなければ、この権利書野本治平のものであるから、野本治平のものとして認めるよりしょうがない。こういうのはあなたのほうは出ないのですか。あるはずですがね。契約した契約書をなくしてしまった、金はどこから出たかわからぬ、説明つかぬ、説明つかぬならぼくのほうも説明つかぬのがあたりまえなんです。そうでしょう、委員長。私のほうは説明つくのだから、いまこれから読み上げて、あなたに説明してあげましょう。説明つくの、だから、私のほうは。それはこの前台帳を出したときに、民事局長がこの台帳を否定したから、私のほうは本物をとってきたんだ。本物でしょう。これをよく調べてください。本物ですから。にせものは偽造しない。そうしないとおかしいじゃないですか。買ったのはどこから買ったのか。飛鳥契約したけれども契約書がない。金はどこから出たか。金の出場所がわからない。土地は国のものだ、こんなばかな、説明つかないじゃないですか。あなたが説明つかなければ、私のほうでこの説明をあなたに申し上げる。これはこの前申し上げた。運輸省は、羽田空港江戸見町千五百九十二番地の一に十六万坪の土地を二百一万六千円で購入したことになっているが、これは何年度予算から支出したか。この予算の款、項、目はあなたのほうから出てこない。  第四目、工事費予算額はいくらか。これもあなたのほうでは出しておらない。継続事業費となっているとすれば、各年度ごと予算額は一体幾らなのか。この十六万坪に対する購入費二百一万六千円は何年度で支出したのか。昭和年度のみの予算では不足しているが、買い上げた者に対する支払は四カ年にわたってしていたのか。各年度支払い金幾らくらい出していたか。  昭和年度長崎衆対馬航空用無線電信所、及び五局に有線電話連絡施設をしたか。これらの施設に対する費用はこの費目から支出されているかいないか。これはいない、わからない。当時土地買収金額現金で支払ったか、日銀小切手で支払ったか。日銀小切手を切って支払ったというならば、その証拠というものがなければならない。日銀からは金が出ておらなければならぬ。あなたのほうではそういうものがない、とこうおっしゃるけれども、私のほうは、日銀からも、そういう金を出した覚えはございませんということを、ちゃんと明細に、これは何年度にもわたって、こうやってとってきておる。これから出ておらないのだから、金が出ておらぬじゃないですか。とってきているのです。昭和年度からずっと。日銀から金が出ておらないで、買うはずはないでしょう。まさか個人の小切手現金で買えないでしょう。これは出ておらないのです。昭和の御代にこんなばかなことはないじゃないですか。民間の土地を十六万坪も取り上げて、それを黙って使って、これはおれの土地だ。おまえどこから買った、それはわからない。どこから金を出した、それはわからない。しかも国家だ。金がどこから出たか、それもわからない。一方にすれば、内務省から買ったといって、ちゃんと登記公簿がある。内務省自体から貰った公簿がはっきりしている。野本治平のものだという謄本がちゃんとある。登記謄本を信じないで——しかも内務省といえば、いまの警視庁と建設省を一緒にしたようなところなんです。そこから買っているのです。内務省から貰ったものをもしうそだというなら——これよりしかたがないじゃないですか。飛鳥文吉から買ったことを本気にするのか内務省から買ったことを本気にするのかといえば、当時地方の一業者の飛鳥から買ったということより、内務省という日本のりっぱな官庁から貰った登記本気にするよりしかたがないでしょう。私はおかしいと思う。そんなことでここで通るか、通りませんよ。あなたのほうでももう少しこれやってもらわないと通らない。どういう言いわけをするんです。これだけ一つ教えてあげましょう。調べていらっしゃい。いまの飛行場のところには、飛行場に対する昔からのいろいろな経歴がある。その経歴でみんな土地を、おれが幾ら持っていたというような一つ経歴がある。それをこの戦争で負けて、二十四時間内にこれをならしてしまった、ざあっと。あれもこれもない。それで飛行場をつくってしまった。そこで、あとでこれが問題になって、地主が七十人、これを集めたら六十八人がそこへ来ています。そこで地主が立ち会って、おれのはここ、おまえのはここ、だれのがここというふうに、そういうことできめたわけです。それで野本もちゃんと登記してあるわけです。ただ昔  一番地違ったところに、飛島が持っておったかだれが持っておったかわからぬけれども、十万二、三千坪の土地がつながっておるのだね。われわれの住んでおるところだと、一番地違うと百坪か二百坪しか違わないけれども、あそこは一番地違うと十万坪以上違うでしょう。もしもあなたのほうが事実飛鳥から買ったのだと言って押しつけるとしても、それは違った土地野本土地でない、違った、野本の隣の土地を占有しているのであって、野本土地を買ったという証拠は出ないじゃないですか。それからこの登記なんかも——これはあと法務課長に聞きますが、登記なんかも全部でたらめだ。そうしてそれをごまかしている。日本法務省だ、間違えば人でも何でも縛らなければならぬ機関を持っているのが、これが公文書を偽造している。いま私見せてあげる。きょうはこれだけにして、この次あなたももっと資料を持ってきて答弁なさい。そんなことで許しませんよ。  それじゃ委員長、今度は法務課長をひとつ出してください。
  8. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御指摘の点、もう少しわれわれもよく調べたいと思います。前会も御指摘がありましたので、種々調査いたしましたけれども、はなはだ残念ながら、当時のそういうような明瞭な資料が、相当期間も経過しておりますために、手元にございませんわけでございますが、なおいろいろ御注意もございましたので、いろいろの資料を今後とも収集に努力いたして、明快な御答弁ができるように努力いたしたいと思います。
  9. 押谷富三

    押谷委員長代理 法務課長は来ております。
  10. 田中彰治

    田中(彰)委員 この前の委員会に、法務課長おいでになっていましたか。
  11. 住吉君彦

    住吉説明員 はい。
  12. 田中彰治

    田中(彰)委員 それじゃわかるでしょうが、四月二十日、私が当委員会においてお尋ねした速記録があるのですが、局長は、不動産登記形式的審査主義である、だから形式が整っておれば、登記所はこれを受け付けて登記することになっておる、こういう答弁をされておるのです。四ページの三段にある。ところが、昭和二十八年九月九日、航空局長が申請した登記嘱託書によると、不動産登記法による法第百五条により登記嘱託するとあるが、現物写しを示してもよろしゅうございますが、現物写しと、不動産登記法、これは当時は昭和二十七年に改正せられ、三十四年に改正せられるまでの当時の法律第百十条によると、「官廳又ハ公署カ登記不動産所有權登記登記所ニ嘱託スル場合ニ於テハ第百五條又ハ第百六條ノ規定ニ依リテ證明爲スコトヲ要セス」とありますが、これは、百五条によって航空局長登記嘱託したことは、形式的審査主義から言えば間違いではないか。このことについては、昭和三十五年十一月五日付、東京弁護士会会長金原氏が法務省民事局長に対して照会したことに対して、平賀民事局長は、昭和三十六年五月三十日付法務省民事甲第一二六一号をもって、不動産登記法第百五条第一号の規定は国有地については適用されないと回答されているが、これはどうなんですか。
  13. 住吉君彦

    住吉説明員 百五条といいますと、それは旧法でしょうか、現行法でございましょうか。
  14. 田中彰治

    田中(彰)委員 この当時やったことですから、旧法でけっこうです。
  15. 住吉君彦

    住吉説明員 実は、いま先生がお読み上げになりました通達を、ちょっと具体的な例は記憶がございませんけれども、一般的に言いまして、官公署——いわゆる嘱託登記は、通例は権利者義務者の双方の申請によってなされるわけでございますけれども、一方が国であるとかあるいは市町村、都道府県といったような場合には、嘱託でなされております。それで百五条について国有地に適用はないという趣旨の回答が民事局長から出されているということでございますが、ちょっと私その記憶がございませんので、それはどうなんだとおっしゃられましても、しばらく研究さしていただきたいと思います。
  16. 田中彰治

    田中(彰)委員 この百五条を読んでください。   〔田中(彰)委員住吉説明員に六法全書を示す〕
  17. 住吉君彦

    住吉説明員 それは、いま先生指摘のとおりでございます。
  18. 田中彰治

    田中(彰)委員 だから、この当時登記したときは、図面をつけるとか書数を添付しなければいかぬ。それを何もしないで登記してあるのです。これは違法なんです。この登記を取り扱った人は、いまほかへつとめておりまして、これも証人で今度は出しますが、非常に違法な登記をしているわけですね。図面をつけないで、そういう登記をしたものだから、一番地違っても十万坪違うでしょう。だから、野本治平内務省から買った歴然としたものがある。この古い登記法からいくと、図面をつけなければならぬ。いまの文句からいえば、図面をつけなくてもいいのだ、要らないのだと民事局長は言いましたけれども、古いのでいけば、つけなければならぬ。だからこれは登記所も誤っている。野本もこれに対して誤っておる。あなたのほうにもそういう登記の誤りがある。片方、どこから予算を出したかわからない、どこから金を出してやったかわからぬということになれば、内務省から貰った、それを信じて、そうしてやはり野本治平のものと認めるよりしょうがない、日本銀行から出ておらないのですから。見てください。全部調べてきたんですから、私のほうでもこれにはばく大な調査費をかけて調べているのです。だから、あなたのおっしゃることはどうもおかしいのですよ。  それから、ここにも、当時の登記法第四十九条によると、登記官吏が申請書を却下する場合十一項を掲げ、その第八項においては、「申請書ニ必要ナル書面又ハ周面ヲ添附セサルトキ」この書類を却下する。そのときはいま言うとおり、図面がついておらぬときは登記できないのだということがちゃんと六法全書にある。それをあなたのほうでしないでやっておる。大きな間違いだと私は思いますね。そうでしょう。そうすると、この間法務局長が来たときに、私もよく調べておかなかったから、この新法でぺらぺらと逃げてしまったものだから、これは私もどうかと思ったが、やはり古いものを出さなければならぬ。それであなたのほうの登記は間違っておる。これはあなたのほうに、もう一ぺん言っておきます。あなたのほうでもこれを片づけないと——これを登記したときの当時の人が生きていて、ほかにつとめているわけです。私のほうは、これが刑事問題にでもなれば、そのとき頼まれたことを全部言うと言っております。これは公文書を偽造して、それを登記して、これを取り上げたということになる。そうすると、その台帳をあなたのほうからどうしても認めてもらうか、図面の測量をし直しをしてもらうか、それよりしようがないでしょう。登記するときに、すでにつけなければならぬ図面がついてない。ついておればこれは間違いないのですが、つけないで登記したということは違法登記です。きょうはほかの人も質問があるでしょうから、あなたのほうも、これをいま裁判で勝ったからといって、裁判の判決文を読んでごらんなさい。   〔押谷委員長代理退席、勝澤委員長代理着席〕  これは確かに国のものではあるだろう、国が買ったんだろう。しかし金の出場所はわからぬ。しかし国が買ったというのだから、どこかから金を出しておるに違いないと思う……。ところが、これから見ると、図面をつけないで違法登記、それから金の出た根拠もない。予算決算どこを見ても、どこからも金が出ていない。しかも大臣説明ははっきりして、そのとおりに言っている。それで国は飛島から買ったのだ。飛島組は当時どれだけ信用があったか知らぬが、飛島組が信用があるのか、わが国の当時の内務省が信用があるのか、これは問題になるのです。内務省から買ったそのままなんですから、それでもいいですよ。これは飛島から買ったのですという誤数が出てくれば、これはうそであった、本気であったという一つの争いの根拠になる。この書類がないのです。私のほうも調べているのです。そうすれば、これは野本のものだということがわかるじゃないですか。私も足を病めていまして、いままで休んでおったから、あまり立って長くやるのもなんですから、きょうはこれでやめておきますが、あなたのほうもひとつよく考えてやってくださいよ。
  19. 押谷富三

    押谷委員 ただいまの問題に関連をいたしまして一、二点だけお尋ねをしたいと思います。  大体、この問題につきましては、回を重ねて、田中委員より熱心な御質疑があるのであります。しかし、いまだはっきりした解明がされるまでに至っておりません。そこで、航空局長にお尋ねをしたいと思いますが、この問題の土地については、基本的に、国の登記がある、野本登記がある、二つの保存登記のあることは明瞭でありますが、その二つの保存登記土地は、同一土地であるかあるいは別個の土地登記であるか、この点について、基本的に伺っておきたいと思います。
  20. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御指摘のように、現在登記が二重になっておる、その具体的の土地のあり方について争いがありまして、現在裁判所で双方が主張をして、その具体的の土地について争っておるような状態であるわけでございます。
  21. 押谷富三

    押谷委員 いま二重の登記ということばがあったのですが、別個の土地であれば、二重の登記ということばは出てこないはずでありまして、同一土地について、番地の表示等はあるいは変わって甘いるかもわからぬが、同一土地に二重の保存登記がされている、こう伺って、二重ということばから受ける感じは、そう受け取れるのですが、同一土地野本と国との登記があるのだ、こう承っていいのですか。
  22. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 現在裁判上の争われておる点は、御存じかと思いますが、野本氏のほうの主張しておられる千六百八及び千六百九番の土地二十万坪と、国の主張する千五百九十二番地の十六万坪の差の四万坪がどういうふうになっておるかというところが、争いの焦点であるわけでございます。控訴審におきまして野本氏側が主張している約四万坪の地域は、運輸省が昭和三十五年以来埋め立てた、もと公有水面であり、また本件十六万坪の北西側には海老取川があり、また南東側は右の埋め立てと同時期に行なわれた埋め立て工事によって陸地になったものでありまして、それ以前は公有水面であったため、右各登記の存し得る土地といたしましては、十六万坪の土地しか考えられないというのが国の主張でございます。したがって、千六百八番及び千六百九番の各六の登記は、本件十六万坪の土地の上に、もし——この登記が二重と申しましたのは、十六万坪の土地の上にあると考えざるを得ないというのが、国の主張であるわけでございます。
  23. 押谷富三

    押谷委員 問題の焦点四万坪と言われたのですが、四万坪は——私とも詳しいことは知らないのです。判決の内容も存じませんが、四万坪は、判決から除かれて、むしろ大きい十六万坪のほうに、いま問題は焦点があるのです。もちろん四万坪も問題はありましょうが、いまおっしゃった十六万坪は、そうすると、野本と国とが同じ土地、十六万坪のこの同じ土地について、二重の登記をし、争うていると承っていいわけですね。
  24. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 本件十六万坪につきましては、御承知かと思いますが、第一審で、国に所有権ありという判決をいただきましたが、野本氏側が控訴をされておりまして、現在係争中でございまして、当方の主張は、本件土地について、登記が重複しておるということは御指摘のとおりであります。
  25. 押谷富三

    押谷委員 法務省の第三課長にお尋ねいたしますが、一つ土地に二重の保存登記がされているのが本件の問題なんです。かような場合において、これも私ははっきりしたことは承知をいたしておりませんが、この幸いには、もちろん不動産の所有権の主張でありますから、第三者に対抗するのには、登記が要件であることは申すまでもないことであります。ところで、二つの保存登記がなされておって、相争われている場合において、その所有権を主張する保存登記あとからなされている——これは釈迦に説法ですが、不動産は一筆一用紙の主義をいま堅持しているのでありますから、一筆について一用紙の登記用紙が開始された以上は、その土地について、他の二重の登記簿の用紙を開始することは、これは許されないはずだと思うのです。そうすると、かりに野本登記が先にできて、国の所有権保存登記あとからできているならば、その保存登記は、すでにその土地について登記用紙が開始されているのですから、もう許されない登記だと思う。そうすると、あと登記は違法の登記ということになるのではないか。違法の登記であれば、その登記をもって第三者に対抗できないのじゃないかという感じがいたしますが、これは法律的な問題ですから、恐縮ですけれども、ひとつ御意見を伺いたい。
  26. 住吉君彦

    住吉説明員 おっしゃいますように、同一地番の土地というものは、これは一個でございまして、御指摘のとおり、一不動産一登記用紙でございますから、まず、同一地番の土地についてAという人から——土地の保存登記というのは、通例はなかなかないと思うわけでありますけれども、たとえば、公有水面を埋め立てて新しく土地が生じたという場合に、同一のある地番の土地について、Aという人がまず保存登記をいたします。ところが、後刻Bという人が同一地番の同一地積の土地につきまして、再度保存登記の申請があるといたしますと、これは、本来登記官は却下すべきでございますから、本来はそういう登記はないのがたてまえでございます。ただしかし、何らかの手違いで、それがなされる危険があります。最近は、そういうことをできるだけ防止するために、税務署から移管を受けました台帳と、田中先生のおっしゃいますように、その付属図面その他によりまして、厳密にやっておりますから、最近は二重登記というものはございませんが、以前は、確かにおっしゃるように、理屈の上では、法律の解釈の上では、そういうことはあり得ないはずでございますが、何らかの手違いで、たとえば地番を変えてくるとか、地積を若干いじってくる、地目を変えてくるというような場合、別個の土地のように、登記官が誤解をいたしまして、それを受け付けるということがございます。そう数あるものではございませんが……。それで、現在問題になっております本件土地につきまして、私ども実態をよく存じておりませんので、どちらさまのほうの保存登記が先で、どちらがあとであるかということについてはよく存じませんが、戦前のそういう状態におきましてありました二重登記を、後刻登記官が発見した場合、たとえば同一地番について二個の所有権の登記がある。それを何らかの機会で登記官が発見した場合に、しからば登記官は、後日出された登記を職権でもって抹消して閉鎖してしまう、なくしてしまうことができるかといいますと、それはちょっといたしかねる。そういう場合は、あらためて、やはり裁判で一方の登記を抹消しろ、こういう確定判決をいただいてきていただく、こういうことを指示しております。
  27. 押谷富三

    押谷委員 いまの同一土地について二重登記ということの御説明に、同一番地というおことばがありましたが、同一番地でなくても、そのものが同じもので番地を変えた場合においても、やはり登記の一筆一用紙という原則は適用されると思いますが、さように承っていいですか。
  28. 住吉君彦

    住吉説明員 先ほどちょっと御質疑の中に出ました、登記官の形式審査ということでございますが、本来、土地が新たにできるとか、あるいは土地を分割する、こういう場合に、地番を振るのは登記所が振るわけであります。登記官が、何番地の何番あるいは何番地という土地の番号をつけていきますが、それが変わって、たとえば一番の土地を二番とされて申請がございます。そうした場合に保存登記ならば通例はございませんけれども、所有権移転というような形で参っておりますと、最初に間違っておりますと、移転登記はずっと気がつかないでなされてくるということがございます。したがいまして、実体的には同一の土地であるのにかかわらず、登記簿上は地番を変えて書いてあるものだから、形式的には別個の土地のように理解されているという場合には、それが連綿と移転登記で代々つながってくるという危険はございます。
  29. 押谷富三

    押谷委員 前の御説明ですが、先に登記されて、また同一のものに登記のされたあとのものは無効であるが、これは裁判によってその登記を閉鎖するよりほかにない、こういうお話だったと思うのです。これはあと先で登記用紙の閉鎖ということをいま御説明になったと思うのですが、先の登記が所有権に争いがあって、あと登記が所有権が正しければ、あと登記をもって第三者に対抗しようと思うならば、あと登記を有効にしなければならぬから、その場合においては、あと登記権利者は、先の登記の閉鎖をしてから後に所有権を主張するというのがどうも順序のように考えられるのですが、その点はどうですか。
  30. 住吉君彦

    住吉説明員 仰せのとおりでございます。あと登記したほうが実体上の権利者である、先に登記した人がたまたま自分が所有者と仮称して登記をしたというような場合には、後に登記をされた方が前に登記をした人を相手どってその登記を抹消する、こういうふうにしていただくわけでございます。
  31. 押谷富三

    押谷委員 終わります。
  32. 田中彰治

    田中(彰)委員 先ほど航空局長が、四万何ぼの土地は、埋め立てして国のものだとおっしゃいましたが、これは野木治平が土地をそのうしろに持っておって、土地を持っておった者に埋め立ての権利があるわけなのだ。   〔勝澤委員長代理退席、押谷委員長代理着席〕  だから、航空局からそれを埋め立てしたいといって、東京都知事に書類を出したときに、都知事は、この土地の周囲は野本治平の所有であるから許可できないといって、却下書を出しておるわけです。それをあなたのほうでは無理に埋め立てたわけです。民間の人がやったなら、これは刑法上の問題で、刑務所に入るのだけれども、あなたのほうでそれをかってにやられておる。だから東京都から返した書類、それからあなたのほうから埋め立てするがどうかといって向こうへ伺った書類、東京都からそれに対して却下した書類、それであなたのほうが黙って埋められたのだから、それをひとつ出してもらって、それからいまの四万坪の所有権の争いをしたい。これは民事局長もその辺をよう覚えておいてもらいたい。いま四万何千坪ありますね。あれを埋め立てするために、航空局から出してあるのです。ところが、これは野本土地だからだめだというので、却下された。それをそのまま埋めてしまった。その往復の文書があるのです。  もう一つ民事局にお尋ねしておくのは、当時の土地台帳法、昭和二十七年七月改正、この四十四条によると、この土地台帳法は「国有地には、これを適用しない。」旨が定められているのでありますが、もし国が土地台帳に国の土地なりとして登録しても、これは有効なのでしょうか、どうでしょうか。
  33. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 いま御指摘の、公有水面埋め立ての東京都との関係でございますが、これは決算委員会よりの追加御要求の資料で、四月十九日に御提出申し上げました中の四に、実は私のほうで書きましてお届けを申し上げたわけでございます。「公有水面埋立については昭和三十五年八月二十五日東京都知事あて協議を行い、同知事は同年十二月十四日都議会に諮問案を提出して都議会の意見の答申をもとめた。同会は同月二十五日本件に異議ない旨の答申を議決した。なお一部に東京都が埋立をする権利を有する区域が存在したので国は都にに対する埋立免許取消による損害金九、八七三、九四八円の金額を支払った。東京都からの正式な埋立の承認書はないが、都とは十分了解の上埋立を実施した。」という趣旨の書面を、追加資料としてお出ししておるわけでございます。
  34. 住吉君彦

    住吉説明員 国有地について台帳登録が許されるかという御質問でございますが、本来台帳は、御存じのように、税務署が地租を国税として徴収していた当時に、税務署において管理されておった帳簿でございます。したがいまして、本来便宜的に国有地のものは台帳に登録されていないというのが原則でございます。ただしかし、それが民有地であったものを国が取得したとかいうような場合、これは台帳にそのままの姿で登録されている実例が多々ございます。
  35. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと話が違うんです。私がお聞きしているのは、昭和二十七年七月改正の土地台帳法四十四条によると、土地台帳法は「国有地には、これを適用しない。」という旨が定められておる。それでありますから、もし国がこの土地台帳にあるものを国の土地にするには、図面をつけないものは無効である、こうとっていいですか。
  36. 住吉君彦

    住吉説明員 台帳法が国有地に適用しないということは、原始的に国有地であるものについて、台帳の登録は必要としないという趣旨でございまして、いま申しますように、最初は民有地であった、それを国が買収あるいは交換その他の方法によって取得したという場合には、国名義で、各省庁名義あるいは大蔵省名義で、登録されている実例がございます。
  37. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたはそうおっしゃいますけれども、当時の土地台帳——いまの改正したのは別ですよ。これには、国が自分の土地として登記するには、とにかく図面をつけて、そうしてその他の書類をちゃんとつけなければ登記することができないと書いてあるのです。いまあなたが幾ら何とおっしゃっても、まさか当時の六法全書を否定されるようなことはないでしょう。これは否定されたらたいへんなことですよ。どうなんです。
  38. 住吉君彦

    住吉説明員 その図面をつけてこいというのは、不動産登記の面でございます。したがいまして、国有地について、たとえば新しく土地が生じて、それを国として対抗要件を具備しておく必要があるという場合には、おっしゃるとおり、図面をつけてくるべきものでございます。
  39. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは違うのじゃないですか。国が民間の土地を買う、たとえば飛島から民間の土地を買う。そのそばにみんな土地があるのだ。それだから、間違いを起こしてはいけないから、特に国は、その土地を民間から買って国のものにするときは、図面をつけて、その他の書類をつけろと、ちゃんと書いてあるのだから、これを否定できないのじゃないですか。どうなんです。
  40. 住吉君彦

    住吉説明員 図面をつけることを、当時強制しておりますのは、新しく土地を生じた場合、それから土地を分割する場合、たとえば、壱番の土地を壱番ノ壱と壱番とに分けるというような場合は、土地の図面をつけさせるということでございまして、所有権移転登記をする場合、そういう場合は、あえて図面は必要でございません。
  41. 田中彰治

    田中(彰)委員 飛島の持っていたものを全部買ったのじゃないのです。一部の分側である。それから飛島の持っておった土地を、買ったのか盗んだのか知らないけれども、とにかく国の土地に初めて登記するのだから、その場合は四十六条によるのだということを示してあるのだから、そうあなた、あっちへ寄っかかりこっちへ寄っかかりやらなくても、われわれは、野本土地を盗んで飛島土地だと言っているのだと思っている。どこから買ったか、契約井も何にもないけれども、あれはおれの土地なんだ、こう言っているのだ。まるで三つの赤子がだだをこねているようなものですよ。その土地を分割したのです。飛鳥が持っていたものを全部買ったのじゃないのです。あなたのおっしゃるとおり分割なんです。そうして今度国の土地に初めてそれをやるわけだ。だから四十六条によらなければいけないのだというのだが、どうなんです。
  42. 住吉君彦

    住吉説明員 御指摘のとおり、十地を分割して、その分割した部分を国が買ったという場合には、図面をつけさせるわけでございます。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうとっていいですね。
  44. 住吉君彦

    住吉説明員 はい。
  45. 田中彰治

    田中(彰)委員 きょうはこのくらいにしておきます。
  46. 押谷富三

    押谷委員長代理 山田長司君。
  47. 山田長司

    ○山田(長)委員 会計検査院にお尋ねいたします。  国有財産増減に関しまして、物件と帳簿上の対照についてでありますが、実は私、当委員会でダイヤモンドの問題につきまして質問をいたしました。そのときに驚いた答弁は、五袋か六袋調べたということでありましたが、ダイヤモンドの入っている袋の数というのは二千九百六十八袋あって、その袋の中から五袋か六袋調べて、それで十六万一千カラットの検査が確認されたという答弁が当委員会であったのです。それで、ちょうどこれは、いま問題になっております国有地の問題と、私はよく似ていると思うのです。一々確認したとは考えられません。そこで、国有財産増減報告については、現在の状態では、再検討する段階に私は来ているのじゃないかと思うのです。何で私はこんなことを申し上げるかというと、いま那須野ケ原へ行ってみるとわかりますが、訴訟になっている裁判所の看板、立ち入り禁止の看板がちょっと歩いてみただけでも数カ所、目に触れるところにあります。一体それはどうしてそんなことになっているのかと思って聞きますと、全部が全部じゃないのですけれども、とにかく国有地というものが、ブルドーザーかなんか持っていって、ざあっと押していってしまって、そこへくいを立てられると、そこへブルドーザーを持っていって押していったほうの土地になってしまっているようです。現在の那須は。そういう点で、国有地という問題につきまして、増減の報告を会計検査院みずからすみやかにやって出さなければならぬ段階にあるのじゃないかという気がしますが、ただいまのダイヤモンドの問題と関連して、同時にいまの国有地増減の問題についても、お答えを願いたいと思います。
  48. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 国有財産増減現況確認の問題の御質問かと思いますが、現況確認の問題につきましては、私所管ではございません。これは一局長の所管でございますけれども、間々そういう問題は聞いておりますし、管理の問題として、国有財産局のほうも督励して、現況調査をやらしておりますし、検査院もそういう目で現況を調べるということで、いま鋭意やっております。  それから、増減の問題でございますが、国有財産増減計算書は毎年国会に出ておりまして、それに対する意見書も、計算書にくっつけるということになっておるわけです。増減計算書の内容の確認につきましては、これはこまがいものを一々私のほうで見るわけにもまいりませんが、相当大きなものにつきましては、これは買ったものについては、支出計算書のほうに出てまいります。それで、支出計算書と合わせまして、国有財産増減計算書にちゃんと載っておるかどうか、そういうことを調べておりますし、それから交換のものにつきましては、国有財産増減計算書の計算証明書類として、交換に関する書類が私のほうに出てまいります。それによって国有財産増減の状況を確認する、こういうふうな手段をとっております。
  49. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの答弁で私は納得できないのです。それはどうしてかというと、それならば、そんな争いができないほど現地が確認されていなければならぬはずなんです。これは、会計検査院当局としてはやはり現地の確認はしてないのだと思うのです。そういうことから、次々問題が起こってきていると思うのです。大蔵当局も、たとえば那須の問題なんかにつきましても、私は御存じだと思うのでありますけれでも、これはまるで無政府状態のような状態があるようです。それはブルドーザーで押しまくったほうが、とにかく自分の土地にして、そこのところを買った面積を、これだけだと言っておられるというような状態で、これは何としても、国有財産増減という問題につきましては、やはり大蔵当局としても、もっと真剣にやらなければならぬ段階に来ているのじゃないかと私は思うのですけれども、大蔵省はどう考えますか。
  50. 塚本孝次郎

    ○塚本説明員 ただいま御指摘のありました点は、いわゆる国有財産増減の問題と、それから国有財産の管理、言うなれば現在額の把握の問題と、両方あろうと思います。ただいま検査院のほうから御答弁がありましたように、増減の問題は、各省の長から、台帳によりまして、国有財産増減について大蔵省に報告がございまして、これを集計いたしまして、検査院に送付をして検査を受けて、それで国会に報告をするということになっております。いま先生から御指摘がありました那須の問題は、私は具体的にちょっと知らないわけでございますが、国有林なのか、一般会計の普通財産であるのか、ちょっとわかりませんが、言うならば、管理がはっきりしていない場合に、ブルドーザーでならしますと、だれの土地かわからなくなるということが考えられるわけであります。たとえば普通財産で申し上げますと、二線引き畦畔という場合に、そこに宅地造成をいたしますと、中にあります畦畔というものが形が変わってしまうということはございます。ただ、その場合には、いわゆる土地台帳並びに不動産登記薄の上におきまして、民有地の表示はございませんから、当該ブルドーザーでならした業者が登記をしようと思っても、登記ができないという問題はあるわけであります。ただ事前にそれを国有財産局が把握しておかなければいけないのじゃないかという御指摘だろうかと思いますが、これにつきましては、三十二年から、国会のほうからも御指摘がございまして、実態調査をいたしております。現在はなお約十万件程度の実態が不明確な財産がございますので、今後、鋭意計画的にその調査を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  51. 山田長司

    ○山田(長)委員 飛行場の問題について、ちょっとお尋ねいたします。  松本や新潟県の佐渡に飛行場ができておるのですが、この飛行場は、つくられても全然飛行場として使用されておらない。それから三宅島の飛行場なども、山があって飛べないというような状態のようです。一体これは、航空当局はいかなる所存でつくられた飛行場なのか、会計検査院当局は、一体これらの飛行場の検査をしたのかしないのか。この点をひとつ。
  52. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 わが国の国内のローカル空港の整備につきましては、現在においては、既設空港を改良するという点を重点に置いておるわけでございます。ただ御指摘の、すでに建設した飛行場のうちで、三宅島でございますが、これは建設当時障害物件があるということで、新聞等にもこれが記載をされ、あるいは国会の御審議もいただいたわけでございますが、その後、東京都の単独工事といたしまして、障害物件の除去ができましたので、現在全日本空輸によりまして、週二便の運航を実施いたしております。  それから佐渡でございますが、佐渡につきましては、従来ヘロンという航空機を使用しておりましたが、この航空機がすでに耐用年数が参りましたので、これを退役させまして、次いでノールという新しい航空機を飛ばすべく、いま飛行場の障害物の除去について、鋭意管理者において努力をいたしていただいておる次第でございます。  松本の空港でございますが、松本の空港は、整備を見て、現在、使用事業等には使用されておるわけでございますが、まだ定期便の就航を見ていないわけでございまして、関係の航空会社に、その就航につきまして、現在、地元等において鋭意折衝されておる状況でございます。
  53. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 会計検査院といたしましても、最近、航空路設置、整備諸費に相当使われておりますので、相当力を入れて検査してやっております。三宅島それから佐渡、松本も検査に行っております。そういう事態がございましたので、照会を発して、注意を喚起してございます。航空局のほうで、善後策を寄り寄り講じておる、こういう段階でございます。
  54. 山田長司

    ○山田(長)委員 巨額な経費を要して、いまの答弁ですと、いつ飛ぶのか見当もつかぬような御答弁でございますけれども、これは全く承服できない。大体、松本のような近距離のところに、いまのように急行列車ができて短時間に行ける状態のときに、飛行機の性能、種類によって飛ばずにおるような話を伺ったのですが、大体最初の計画に少し無理があったのではないかという気もするのです。その点は、そういうことはないのですか。
  55. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 私、当時直接関係いたしておりませんので、詳細な状態は承知しておりませんが、最初十分調査をして、計画をした、しかし現実にはいま御説明申し上げておるように、定期便の就航を見ないという状態でございまして、こういう状態を一日も早く改善するように、今後とも努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  56. 山田長司

    ○山田(長)委員 佐藤第三局長に答えられるのかどうかわかりませんが、ダイヤモンドの二千九百六十八袋の中から、五袋か六袋の抜き取り検査をやったことによって、全体の品質がわかるということは、われわれとしては神がかり的な答弁だったとしか考えられないわけです。この点について、検査院当局は、大蔵省がいま売りに出そうというやさきに、これは事後検査はできない性質のものです。売って、一般国民に渡ったとしたならば、あとで検査するといったってできる筋合いのものではないのです。この二千九百六十八袋について、いかなる検査の方法をとるつもりですか。
  57. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 先生も御承知のとおり、第一局長の所管でございまして、第一局長から答弁させたいと思います。よろしくお願いします。私じゃ答弁いたしかねます。
  58. 山田長司

    ○山田(長)委員 きょうは見えていないのですね。
  59. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 きょうは見えておりません。
  60. 山田長司

    ○山田(長)委員 これは、いずれ休み中の調査のときに答弁願うことにして、次会に譲りたいと思います。質問を終わります。      ————————
  61. 押谷富三

    押谷委員長代理 昭和三十九年度決算を議題といたします。  厚生省所管について審査を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、厚生省の舘林環境衛生局長並びに自治省にお尋ねします。きょうは地方公営企業、特に上水道の問題に対して、いわゆる資金区分の問題、それから特別交付金の交付に対して、どうも明瞭でないという点があります。それらの問題と、さらに長崎で起こっておるくさい水の問題、これはたいへん社会問題に発展をいたしております。それに対して厚生当局がどのような措置をおとりになったのか。それらの問題を中心にして、お尋ねをしてまいりたいと思います。  まず厚生省にお尋ねをしますが、今度地方公営企業法の改正案が、わが党の修正を、与党も相当程度受け入れをいたしまして、いま参議院にあるわけですが、衆議院を修正可決、通過したことは御承知のとおりであります。  そこで、私どもは、やはり地方公営企業というものは独立採算——その企業によっては、独立採算でやりましてもそう大きな弊害がないものもあるかもしれませんけれども、地方公営企業が独立採算制を貫いておるということに対しては、これはたいへん問題であると考えております。なかんずく上水道の事業を独立採算でやるということは、母法である水道法との矛盾というものも出てくるのではないかということを私は強く感じておるわけです。水道法には、御承知のとおり豊富にして低廉な水を供給するとある。そうなってまいりますと、独立採算制を貫いてまいりますと、豊富にして低廉な水を供給するということにならないことが多く起こってくるのではないか、こうなってまいりますと、これは母法である水道法そのものとの矛盾点をどう解決をしていこう。調整をしていこうとお考えになっておられるのか。矛盾はないのだという認識の上に立っていらっしゃるのか。まず、今回の地方公営企業法の改正と関連いたしまして、お答えを願いたいと思います。
  63. 舘林宣夫

    舘林政府委員 最近の水道は、国民の七割近い普及率になっております。したがいまして、水道に対しまして考える考え方も、従来のように、ごく一部の受益者が利用しておるという考え方を、そのまま貫くわけにまいらない情勢になっておるわけであります。現在の水道法の基本的な考え方の、豊富、低廉という考え方の底に流れておるものは、直ちにこれが独立採算制ということに関連した書き方を示しておるわけではございませんけれども、しかし本来、市町村が経営する公営企業としての水道は、低廉な水を十分供給することをたてまえに経営せられなければならない、という基本精神があるわけでございまして、その低廉な水道水を供給するためには、これが独立採算だけではどうにもならない事態が、漸次起こってきておるわけであります。それは、ことに最近の都市の膨張が非常に急速でありますために、水の供給を怠っておりますと、たちまち水不足を招来するということから、かなり前途を予測した大きな計画で進める必要がある。このような場合に、これがすべて、その時点において利用しておる受益者の水道料金に負担がかかってくるということでは、ばく大な水道料金にもなるという先行投資の分野もございますし、また、水道の受益者が必ずしも負担しなければならないという筋合いでない消防用の水というような公共用水の問題もございますので、これらは、すべて独立採算制で受益者の料金によってまかなうというような末木的な考え方で、すべてを貴くというわけにはまいらない。もちろん、基本的には水道の大部分の収入源は、水道料金によってまかなわれるたてまえで従来からきておりますし、今回の改正によりましても、基本的にはそのような線でございますけれども、しかしながら、一般会計からなお必要な部分の補助を行なうという条文は残されておりますし、国としても、今後ともに、国の一般予算の中から、水道関係に対しまして補助の道を講じていくような措置を考えていく必要がある、かような考えで、目下検討をいたしておるところでございまして、そのほかにも、水道料金の大きな根源をなしております水道の施設のための起債の償還、あるいはその利子というものを低減するためにも、国は力をかさなければならぬ、かような考えで進めておる次第でございます。
  64. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 水道事業につきましては、基本的には、公営企業でございますから、いわゆる独立採算ということは当然の要請であると、私ども理解をいたしておるわけでございます。ただ独立採算ということばは、これは何と申しますか、非常に誤解を生じやすい表現でございますので、今度の公営企業法の改正におきましては、経費負担の原則、こういうことで表現をいたしておるわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、上水道事業を行なっております場合に、その事業の中には、事柄の性質上、一般会計が当然負担をしてまいらなければならないもの、ただいま厚生省のほうからもお話がございました消火せんの建設維持に要する経費でございますとか、あるいはまた公共用の水、こういったものにつきましては、それをしも独立採算ということで、水道事業会計に負わせるということは、これは筋が通らないわけでございますので、そういったいわゆる負担の区分ということをはっきりいたしまして、企業会計の負担に帰せられるべきものにつきましては、これは料金をもってまかなってまいる、こういう基本的な立て方を、今度の公営企業法の改正の大きな特徴として、持っておるわけでございます。  それから、非常に膨大な建設投資に伴いまして、水道の原価というものは非常に高くなる。これについて、いわば低料金というものを維持する、住民の負担能力その他を考えまして、できるだけ安い料金で抑えるということにつきましては、これはやはり国自身におきましても、そういった料金負担が非常に高い水道については、財政的な援助措置というものを考えてまいる必要があるのではないか、それがまた衆議院におきまして、地方公営企業法が通過をいたしました際に、附帯決議を三党共同修正のあとにつけられた趣旨でもあろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういったことから、水道法と公営企業法との間に矛盾打格はない。水道法なり、あるいは地方鉄道法なり、軌道法なり、それはそれぞれの事業についての規制法でございます公営企業法は、いわばそれを横断いたしまして、公営企業としての組織、財務、こういったものについて統一的な規定をいたしておる、こういうふうに、いわば横糸と縦糸の関係にあるのだ、こういうように理解をいたしておる次第でございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは、いまのお答えを中心にして、いろいろ議論をしていく時間的余裕がないわけです。いま鎌田参事官がお答えになった、いわゆる水道法と公営企業法の矛盾はない——私は今度の改正点から見ても、私が言う矛盾というものは解消されていない。   〔柳谷委員長代理退席、勝澤委員長代理着席〕  なるほど、昭和四十年までの赤字というものは、これは再建債をもって四分五厘までの利子補給というものは行なうことができる、そういうことに修正をされたわけですね。そこで矛盾点というのか問題点が出てくるわけです。私は、この上水道そのものが、いわゆる独立採算制をたてまえとする公営企業ということは適当でない。それは、先ほど舘林局長からお答えがありました点からでも言えると思う。単にこれは受益者だけであるという、そういう観念の上に立つべきものではない。本質的に、太陽と空気と水というものがなければ、人間の生存はできないということです。その本質的な点に立脚をいたしましても、さらにまた、もうすでに七〇%以上の普及がされておるというこの事実の上に立っても、当然この上水道事業というものは、これは独立採算制をたてまえとして運営すべきではないということは、これはもう議論の余地はない、非常に無理に押しつけられておる、私はこう思う。それから、この原案を修正いたしましても、なおかつ矛盾が解消していないと私が言うのは、水道料金を高くするということになってくると、赤字は出ないということです。だから、赤字に対して再建債を認めていく、それに利子補給をするということになってまいりますと、どういうことになるか。できるだけ、これは昭和四十年度で押えてきたのですから、四十年度までの問題点として考えてみますと、料金値上げ反対がある、だから、その反対に押されて値上げをしないという自治体もあるでしょう。あるいは、そうでなくて、地方自治体の長が、あるいは議会が、値上げすべきでない、こういうことで押えてきた。それが一般会計では、なかなか自治省のほうでこれはやかましいから認めてくれない。いわゆる基準財政需要額というような形においてこれを認めていかぬということになってくると、非常に不健全な状態になるというようなことでもって、押えたいと思っても押え切らないという点もありましょうけれども、押えてきておるという自治体も私はあるだろう。しかしそうでなくて、どうしてもこれは独立採算制にしていかなければならない、一般会計から支出することもできない。災害でない以上は、いわゆる特別交付税の対象にもならないのだというような、非常に、何というのか、純粋に考えて、値上げをしてきたという事例があるのではないか。そういうことで、赤字が出ていない企業に対しては、交付税の対象にもなっていないし、また、財政措置というものもできないし、いわゆる赤字が出ないということが今度の再建債というものも認められていかない。したがって、利子補給もないということになる。この矛盾をどうそれでは解決していこうとするのか。その典型的な例が、私は、長崎の場合にそのまま当てはまると考えておる。  御承知のとおりに、昨年の長崎の渇水というのは、もう、水の一滴は血の一滴というところまでなった。その一滴は非常にとうとういものであったのです。それは御承知だろうと私は思う。私は、四月二十二日であったと思うのですが、地方行政委員会において、舘林局長も御出席を願ったし、柴田財政局長も御出席願って、この問題を取り上げた。その際に、柴田財政局長——ここに議事録の拔粋があるのですが、ともかく長崎の渇水は異常の渇水である。したがって、これに対しては財政措置を講じていかなければならない。具体的には交付税の交付、というような答弁がなされておる。ところが、現実にはこれがどう措置されたのかということに対しては、あとでお答えを願いたいと思うのです。  時間の関係から、私は続いて問題点をあげてお答えを願うのですが、長崎の場合、先ほど申し上げましたようなことで、どうしても水道料金を値上げしなければならない。そこで、拡張工事をさらに強力に進めていく。その拡張工事に伴って、長崎のような地形のところでありますれば、非常に坂のところでございますから、非常に高いところに住家があるわけですね。そこで、供給をしていくためには、水槽もつくらなければならぬ。ポンプの設備もしなければならぬ。しかしそれは起債の対象にならない。こういうことから、渇水対策として出ました赤字の処理のために、それから拡張工事の起債償還のために、さらにまた起債の対象にならないこれらもろもろの設備を行なうために、どういう措置を長崎市当局はとったのかといいますと、要するに、水道料金の値上げということの安易な道を選んだ。水を供給されない、飲まされない。水道料金を払わされる。かてて加えて、ただいま私が申し上げましたようなことにおいて、水道料金をさらに引き上げてこなければならぬということで、料金値上げの措置をとろうといたしましたから、市民は市議会に押しかけて、傍聴席を占拠するというような事態が起こった。議長は、警察官を導入してこれを排除する。そうして高料金の水道料金を押しつけるということになった。ところが自治省はどういういうことをおっしゃったか。一億五千万円の赤字が出たんだから、したがって、これは当然特別交付税を大幅に交付してもらいたいという要求に対しては、水道料金の値上げが行なわれた、水道会計は非常に健全になった、だからして、交付税を大幅に交付する必要はないというたてまえの上に立って、ほんのわずかの交付税の交付になったのではないか、私はこう思っております。その点は数字をあげてお答えを願いたいと思うわけです。私が矛盾があるということをあげて、具体的な例としてここに長崎市の例を申し上げたのですが、これらの点に対して、舘林局長並びに鎌田参事官はどのようにお考えになるのか、まずその点を伺って、さらに質問したいと思います。
  66. 舘林宣夫

    舘林政府委員 長崎市の水道料金は、四十年の十月一日に、八立方メートル二百八十円という料金に改訂されておるわけであります。これは、普通の都市は十立方メートル単位で料金がきめられておりまして、換算は必ずしも適当ではないと思いますけれども、かりにこの数値に八分の十をかけて計算いたしてみますと、三百五十円という数字が出ます。この三百五十円という数字は、もちろん日本各地には、これ以上高い料金のものはございますが、一般的に申しまして、都市の水道といたしましては最も高い部類に属しまして、この長崎市近辺の佐世保、福岡、北九州、大牟田、佐賀、鹿児島等に比べて、最も高い料金であるわけであります。  お尋ねのごとく、水道会計に赤字を生ずるか生じないかということは、もちろん赤字を生じないためには、大幅に料金を値上げすれば収支は償うわけでありまして、どこの都市におきましても、その値上げが非常に困難であるという実際上の事態がありますために値上げがおくれがちになる、あるいは値上げ幅が予期以上の幅にならないということから、会計上赤字を生ずるという実態があるわけでございます。
  67. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 水道事業につきまして、空気、太陽、水というのは、人間の生存にとって必要欠くべからざるものであるからというお話があったわけでございますが、太陽なり空気なりというのは、御存じのとおり、いわゆる自由財というものでございまして、何ら人工を加えないでそのまま利用できるわけでございますが、水道の場合でございますと、御案内のとおり、建設投資というものを要するわけでございます。かつまた、その水の利用者というものは、これは普及率がかなり高くなったと申しましても、なおかつ、地域住民の全体に及んでおらないわけでございます。したがいまして、水道料金を、ただあるいはそれに近い水準に維持するために、一般会計から繰り入れをするということに相なりますと、結局税金をどういう使い方をしたらいいか、税金の使途の配分の問題に帰するのであろう、こういうように考える次第でございます。やはり水道事業のように、その事業の効果というか、個々の人間に分割して帰属できるような性質のものは、当然その使用料をもってまかなってまいるということが、基本的には正しい原則ではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ、そういう原則を通してまいります場合に、立地条件が非常に悪いために、高いものが出てまいる、こういうものにつきましては、私先ほどもふえんいたしたわけでございますけれども、水道事業というものに対する国の財政政策のあり方、あるいは地方団体におきましては、その団体の財政政策のあり方ということの関連で考えられてしかるべき問題ではないだろうか。しかし、やはり基本としては、あくまでも水道事業の負担に帰せられるべきものについては、その事業からあがる収入をもってまかなってまいるということが基本的な原則ではないだろうか、というふうに考えておる次第でございます。  以上が一般的な考え方でございますが、長崎市の上水道につきましては、昨年の異常渇水という事態に対応いたしまして、特別交付税で措置をいたしたわけでございますが、御案内のとおり、特別交付税と申しますのは、原則として一般会計の財政事情ということが基本に相なるわけでございます。公営企業において生じました特殊事情というものは、やはり第一段としては、その公営企業のそろばんでまかなってもらう。それでしょい切れないようなもの、あるいはまた長崎市のような異常海水の場合に、たとえば給水車を買うとか、あるいは緊急に井戸を掘るとか、こういったようなものにつきまして、公営企業において、急場をしのぐための負担の能力がない、こういったようなものにつきまして、あくまでもこれは特別交付税でございますので、特別の事情というものを参酌をして、かなりの額を配分いたしておると、私どもは考えておる次第でございます。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 基本的な点をあげてお尋ねをしたのですから、これから具体的にひとつお尋ねをしていくことにします。  いまあなたの言われた、太陽や空気というものは、なければ人間は生きていけないが、これは加工を加えないのだ、しかし水道は当然それだけの施設、加工をしなければならないのだから金がかかる、ということは答弁にならない。国の一般会計から支出をしていくべき性質のものと、そうでないものとある。上水道事業というようなものは、独立採算制をたてまえとしていくべきものではないのだということを、水と人間の生存という関連から申し上げました。だからそうした点にわたってお答えを願わなければならないと思います。  いまあなたのおっしゃった、長崎の異常渇水に対しては相当額の交付税が支給されておるであろう、これは水道会計そのものに交付税は支給するのではないのだ、それは私はわかっている。しかし後段にあなたがお答えになった、いわゆる異常渇水に対する対策——あなたもいろいろ具体的な例をおあげになりましたが、時間の関係から、私はあえてここで、どういうことが行なわれたかということについては触れませんが、かりに一般会計から水道会計に支出した額がどうであろうとも、長崎の場合は、一億程度は、一般会計から水道会計に支出されているということを私は伺っている。実際は一億五千万円の赤字だそうです。ところが、あなたのほうでは、それでは幾ら——相当額というのでなくて、どの程度、いわゆる渇水対策のための措置として特別交付税を支給されたのか、まずその点をひとつ伺っておきたい。
  69. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 これもすでに御案内のことと思うわけでございますが、特別交付税と申しますのは、これはいわゆる何に幾ら何に幾らというひもつきではない。計算の根拠は違いますが、ひもつきのものとして交付するという性質のものではないことは、先生御案内のところだと思うのであります。そういう前提で申し上げるわけでありますが、長崎市の場合、四十年度の特別交付税の交付額は三千二百万円でございます。その中で、ルール計算、準ルール計算、あるいは調整項目、いろいろあるわけでありますが、その積算の根拠の中に、渇水対策費として入れておりますのは、二千七百万円であります。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、三十八年、三十九年の長崎市に対する特別交付税額はどの程度になっておりますか。
  71. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 三十八年度が二千三百九十九万円、三十九年度が二千五百三十万円であります。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、いまあなたのお答えになった数字によっても明らかなように、四十年が三千二百万円その中で、渇水対策としては二千七百万円、そうすると前年度の三十九年が二千五百三十万円、三十八年が二千三百九十九万円ですから、ほとんど差はありませんね。そうすると、あれほどの異常渇水に、どの程度の渇水対策費が支出されたかということについては、あなたのほう自身でも御調査になっただろうし、厚生省も現地に乗り込んで指導され、また調査されておるであろうと思います。民間のいろいろな団体あるいは会社ならば、ごまかしということもあるかもしれません。しかし公の団体ではそういうこともできないだろう。一億ないし一億五千万、少なくともあなたのほうの和算の対象となる、きびしくおやりになったものでも一億程度にはなるであろうと思う。そうして柴田財政局長が私の質問に対してお答えになっておるものも、あなたのほうでは議事録をお読みになっただろうと思いますが、そういう点から推して考えてみますと、二千七百万円の渇水対策というものはあまりにも少額に失する。だからして、先ほど舘林局長の申されたように、そのほかにも長崎よりも水道料金の高いものもあるようだが、主要な都市を調べてみると、長崎は最高に高い。私はいま五十調べておりますが、長崎が最高です。簡易水道なら相当高いのもありましょうが、それ以外では、長崎より高いのはもうないでしょう。九州では、言うまでもなく長崎が最高です。福岡が二百三十五円、北九州が二百四十円、佐世保が二百円、熊本が二百四十円、大分が百七十円、鹿児島が百五十円、長崎が三百五十円、東京が百四十円、これは四月一日の調査ですから、その後若干上げたのもあります。ありますけれども、長崎と比較すると、長崎が最高に高いのです。こういうように、水も飲ませないで、高料金を押しつけて、さらにあなた方の言う、いわゆる受益者というものを一方的に犠牲にしておるこの実態ということをお考えになるならば、特別交付税の交付ということについては、それこそあまり値切らないで、特別の措置を講じていくというようなことになってこなければならぬのではないか。そういうことをしないから一あとでお尋ねいたしますが、くさい水の問題等にまで発展する原因というものが、ここらあたりにあるのではないかと私は思う。それらの点に対して、あなたはどうお考えですか。
  73. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 非常にこまかい話にわたって恐縮でございますが、特別交付税の計算で、渇水対策分以外は、該当項目として出ておりますものが、実は長崎市は、御案内のとおり、プール計算で、あまりなかったわけでございます。したがいまして、この渇水対策の二千七百万というものを加えて三千二百万、こういう数字に相なっておるという計算の根拠からいたしまして、私は、特別交付税というものの、さっき申しました考え方といいますか、機能というものからいいまして、相当のものを考えておるのではないか、こういう評価をいたしたわけでございます。なお、特別交付税だけではございませんで、長崎市の上水道事業といたしましては、現在第五次の拡張計画をお立てになっておられるわけでございまして、これにつきまして、四十年度におきましては、御要望の数字にほぼ見合う六億九千万円を起債としてつけている。そういうものによりまして、根本的にその水源の確保といいますか、水道の水の供給の確保に支障のないように、起債措置の面においても考えておるということを、あわせてお考えいただきたいと思う次第でございます。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 起債のワクの問題、あるいは政府債あるいは公営企業債ですね。いろいろ区分についても、あとでお尋ねするのですが、この交付税の問題に対して、湯水対策という関係が、まだ完全に解消しているというようにはお考えになっておられないのでしょう。このことも、さらに続いて、長崎からいろいろな資料が出てまいりましょうから、さらにそれも検討して、来年一月ということになりますか、その際に配慮する、こういうことになるのですか。
  75. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 特別交付税の配分にあたりましては、繰り返して申し上げておりますように、その年において普通交付税の算定に織り込めなかった、災害その他の特殊事情を、いわば補正するという意味での特別交付税でございますので、現在の段階におきまして、特別交付税の配分をどうするということは、ちょっと時期的に申し上げかねる状況にあるわけでございますが、水道事業におきまして——水道事業だけではございません、いわゆる公営企業の分野に属します事業についての資金不足、財源不足というものを特別交付税で見てまいるということは、やはり基本的にはおかしいのではないか。その企業自身で措置をするということが第一段でありまして、その企業でどうしても措置ができないような異常突発的なものについて、企業会計で持ち切れないというものについて、特別交付税で措置をするということは、まさに例外的な特別措置であるというように考えておる次第でございます。したがいまして、長崎市の渇水対策といたしましては、私どもは四十年度のものはこれで措置が済んでおる、こういうように理解をいたしておるわけでございます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 あなたはそうお答えになるのだけれども、長崎市からあなたのほうに、渇水対策のためにいろいろなことをやったのですね。その具体的な資料も出ておるだろう、申請もあると私は思う。おそらく一億を下らないと私は思っておる。それを、あなたのほうで、二千七百万という形で査定をされてしまった。そして、水道料金は日本一高い料金が決定されて、そして水も飲まされなかった貧民に対して——これは受益者ということばを使うのは当てはまらないとさえ私は思うのです。押しつけられたのですよ。そういう点は少しも配慮しないのですか。
  77. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 何べんも申し上げておることの繰り返しになって恐縮でありますが、水道事業といたしまして、住民に対するサービスが足りなかった、それに対する応急の手当というのは、やはり企業会計の第一次的負担において行なうべきものである。こういう観点で、特別交付税の整理をいたしておるわけでございます。なお、この渇水対策として長崎市がおやりになられましたものについての資料も、私どもいただいております。それに基づきまして、特別交付税の配分にあたりましては、最も市町村に身近なところにあります県の意見というものも聴取しながら、配分をきめておるわけでございますが、その県の要望いたしておりまする数字も参考にいたしまして、私どもこの二千七百万という数字を決定いたしておるという事情にございます。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 舘林局長にお尋ねしますが、あなたのほうも、この水道事業というものの所管省、特にあなたは担当局長である、やはり水道事業のあり方に対しては、あなたは重大なる関心を持って見守っておられると私は思う。そうすると、第一次的には企業自体の責任でもってこれを処理しろ、こう言うのだけれども、しかし水道料金の引き上げというのは、物価対策という立場からだけでなくて、水道法の基本精神からいっても、そうむやみに上げさせるということは、私は当を得ないと思う。したがって、こういう長崎市の場合のように、日本一高い水道料金に値上げをしていくというやり方、それと、いま言う特別交付税という財政措置の問題と関連をして、あなたのほうも自治省に対し、あるいは大蔵省に対し、あるいは当の自治体に対して、いろいろと折衝するとか、あるいは当該の自治体に対しては指導していくとかいったようなこと、そういうようなことについての配慮はないのですか。
  79. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今日の水道の実態から考えて、水道料金を、国民の基本的物資に対する配慮という考え方で国が全国的に考えるという事態は、もはや数年前からきておって、ややおそきに失する、かように思っておるわけでございます。電気あるいは交通、そういうものに比較して、より以上国民の基本的な物資であるということから、これらに対する料金が大幅に地域によって違うということは、これは何としても是正する必要があろうと思う。そのような場合に、おおむねどのような基準でこれを考えていくかという点が、必ずしも今日確立されておるわけではございませんけれども、全国平均から比べてはるかに遠いというような高いものに対しては、当然何らかの一般会計のほうからの援助、つまり税金による援助というような形が必要であろうか、そのような考え方に漸次固まりつつあるわけであります。最近では、全国平均が二百五十円前後でございますが、それに比べて五割以上も高い、あるいは倍にもなるというようなものに対しましては、何らか国も考えていく必要があるということで、本年度予算の要求に対しまして、自治省におかれては、そういう特に高い水道に対して、財政援助の特別予算を組むという努力をされたわけでありますが、必ずしもそれは成功したとはいえないわけであります。私どもといたしましても、今後そのようなものに対してどういう形で国が援助していくか、ということを目下検討中でございまして、その方式はいろいろあると思います。建設に対しまして国が財政援助していく、あるいは経営費に対して何らかの措置を講じていく、従来は、御承知のように、建設の資金の長期低利という形のみでやっておったわけでございます。それ以外に、もう少し直接的な援助をする必要がありはしないかということで、目下根本的な検討を加えておるところでございます。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 鎌田参事官、ひとつあなたも特に認識してもらわなければならぬと私は思うのですが、これは長崎市の水道の場合、十立方当たりで計算すると、三百五十円程度になる。ところが、水を飲まされないでその料金を払わされた、という事実をあなたは十分御認識にならなければなりませんよ。半分だけしか飲まされなかったとしたならば、三百五十円は七百円になるのですよ。三分の一だとどうなりますか。こういうことが、受益者といわれるところの供給を受ける側に対して、あるというこの事実、そしてこの拡張工事にどんどんそれらの人たちが、受益者でないのにかかわらず、負担だけいわゆる強制されているというこの事実ですよ。そういう現実のなまなましい深刻な状態というのを、あなたのほうは十分踏まえて対処していかれる必要が私はあるだろうと思う。あまり形式的にしゃくし定木的にこれらの問題に対処するということは、私はほんとうに正しい意味の政治、行政のあり方ではないと思います。だからその点についての配慮というものを十分していかなければならないのじゃないか。紋切り型の答弁ではなくて、取り組みではなくて、ひとつこれから先のあなたのほうのかまえとして、一応考え方を聞かしてもらいたい。
  81. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 いま、紋切り型というおしかりをいただいたわけでございます。私どもの率直な気持ちを申し上げますと、公営企業法の今度の改正にあたりましての、私どもの基本的な考え方にも通ずる基礎になっておるわけでございますけれども、公営企業というものにつきまして、どうしても親方日の丸主義というものがつきまといがちである。これはだれでも、水道にいたしましても、交通にいたしましても、安いにこしたことはないわけでございますし、できればただが一番ありがたい、こういうことになるわけでございましょうけれども、そういったことに伴いまする親方日の丸的な考え方というものが、企業の管理から財務から全部にびまんをしてまいる、こういうことになりますと、その最後のしりは結局住民の税金に向かってまいるわけでございますので、この際、やはり公営企業のまず内部管理の体制として、管理、財務というものについてしゃんとした筋を一本通すべきである、こういう基本的な考え方が一つあるわけでございます。やはり、それと同時に、企業を取り巻く環境の変化というものについても目を失ってはならないというところから、これはそれぞれの主管の法律は、それぞれの役所が所管をしておられるわけでございます。あえて、自治省としては出過ぎた感もあるわけでございますけれども、たとえば水道事業につきましては、全国平均の給水原価の五割をこえるようなものについて、利子補給というものを考えてみたらどうであろうか。あるいはまた、大都市交通につきましては、特に地下鉄の場合でございますが、やはり財政援助というものを国としてやられるべきではないか、こういうことを、自治省といたしましても、関係各省と十分連絡をとりながら、あるいはまたそれを応援するという意味で、やっておる次第でございます。まあことしの成果といたしましては、実はあまり目ぼしい成果がございませんで、この水道につきましては、公営企業金融公庫の融資の利率を七分三厘を七分に下げたということでいたしておるわけでございますけれども、将来とも、やはり長期低利の良質の資金というものを水道事業に与えてまいる、こういう形で、やはり基本的な考え方といたしましては、水道財政の健全化をはかりながら、できるだけ安い料金で国N大衆が飲めるように、こういうことは私どもも考えておるわけでございます。ただ、前段のほうに非常にアクセントをつけて申し上げましたために、おしかりをいただくような結果になったのだろうと思う次第でございまして、この点はひとつ御了承いただきたいと思う次第でございます。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 いまのあなたの答弁は、誠意をもって現実を踏まえて対処していこうという気持ちのあらわれである、というように理解をします。そういうことで対処していかれる必要があると思う。親方日の丸ということをあえて言うが、私が具体的な例として取り上げた長崎市の場合など、そういうことは全く当てはまらないということになるわけですね。信賞必罰ということばが、よしあしは別として、言われるが、こういう点については、長崎市は全くあなたが期待するような、典型的に協力をしている水道事業である、こう思うのです。そういうことについての配属は十分なさらなければならない。でなければ、あなたのほうで考えておられるような方向に進まない。いわゆる親方日の丸を奨励するという方向にすら進む危険性が私はあると思う。  そこで、先ほど、渇水対策、そういうものの一環として、起債のワクの問題等についての配慮もあるのだ、こういうことでした。四十年度、四十一年度と進んで、四十一年度は申請額が七億一千八百四十万、起債は六億九千六百万ということでしたね、先ほどのお答えは。これに対して、決定をされたのもあるだろうし、あるいは検討しておるのもあるだろうと思うのですが、それはどうなっておりますか。
  83. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 前後しますが、先ほど申しました数字は四十年度の決定でございます。四十一年度も、ほほ同額程度の起債の申請が出ておるわけでございます。現在査定中でございますが、いわゆる計画年次割りによります。いわば機械的に出る額というものは、これはあるわけでございますが、市のほうで計画変更せられまして、この額を増額をして、追加申請という形で持ってきておられるようでございまして、この点につきましては、市の計画を十分伺いながら、できるだけ要望に沿うような努力を続けてまいりたい。現在の段階では、そういうことで、それ以上のことを申し上げられないということを、御了承いただきたいと思います。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 六億九千六百万円の中で、すでに決定した額があるのでしょう。
  85. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 二億六千万でございます。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、二億六千万は決定していると、差額は四億三千六百万円、こういうことになりますね。この四億三千六百万円は、いつごろ決定をすることになりますか。
  87. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 先ほども申し上げたわけでございますが、この市の追加要求にかかわります内容というものにつきましては、よく当方で精査検討させていただきまして、決定をいたしたい。したがいまして、その時期等については、ちょっといまのところお答え申しかねる状況でございます。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 しかし、考えとしては、そうした渇水対策——非常にこれは無理をしてきた、企業の第一次責任ということで、日本一高い水道料金さえ押しつけているというこの事実の上に立って、この起債のワクの配分に対して、あなたのほうで検討しておられる。さらにまたこの起債の区分ですね。政府債があるわけですし、それから企業債がある。具体的にいえば、縁故債というものは条件が非常に悪いわけだから、できるだけ悪い条件を押しつけないように、いい条件でもって措置していこう、そういう考え方をあなたのほうでは持っておる、こういうことに理解してよろしいですか。
  89. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 資金区分につきましては、御案内のとおり、政府資金があり、あるいは公営企業金融公庫の資金があり、あるいは縁故資金あり、その他、こういうことになっておるわけでございますが、いわゆる長崎市の上水道を含む中小規模の上水道事業につきましては、政府資金、それから補完的に公庫資金、こういった資金をもって充ててまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。公庫資金につきましては、先ほど申しましたように、四十一年度におきましては、従来七分三厘を七分に引き下げた、こういう形になっておるわけでございまして、政府資金と合わせまして、資金条件というのは改善をされておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 いや、改善されているとか改善をされていないとかいうんじゃなくて、いわゆる資金区分ということでも改善されているけれども、同一ではないわけだから、やはり資金運用部資金というものが一番条件はいいわけですね。償還期限にしても、あるいは利率にしても、そうなんです。したがって、それらの点についても十分その配慮をしていく、具体的には、長崎の水道事業のような場合、それから申請されておる起債のワクの問題に対しても、十分経過を踏まえて、これに協力をするという考え方の上に立って措置していこうとお考えになっておるのかどうか。
  91. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 経過というものは、十分に私ども尊重いたしてまいりたい、したがいまして、この市の計画につきまして、私ども十分に精査検討をさしていただきまして、御要望の線に沿うように努力をしてまいりたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 舘林局長、いかがですか、あなたのほうとしては。
  93. 舘林宣夫

    舘林政府委員 自治省の従来の政府債と公募債の配分は、できるだけ水道の実際に困っておる状況等を考慮して、配分をしていただいておるわけでございまして、厚生省といたしましても、料金の高い、今後工事をたくさん進めなければならないというようなところに対しましては、なるべく政府債を多くするという方針でやっていただいておりますし、私どもとしても、長崎市のような料金の高いところに対しましては、なるべく政府債を多くしていただくようにお願いいたしてまいりたい、かように思っております。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく、先ほど私が申し上げたように、市民の不安感というか不信感というものは、非常にものすごいものがあるんですね。また夏場になってくると水を飲まされないんではないか、夏から冬にかけて、これは一番条件の悪い時期になるわけですから・そういうことで、第五回拡張工事、第六回拡張工事、こういうことで、最も関心を持って、市民はいろいろと要求をしている。そういうことから、第六回の拡張工事の調査をしていかなければならぬというので、調査費の要求等もしておる、こういうようなことを伺っている。額にして二千六百万円かの調査費も要求しているんだということでもあるんですが、そうした従来の経過の上に立って、これらの点に対してはどのようにお考えになっておるのか、ひとつ伺っておきたい。
  95. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 第五画、第六回でありますか、この事業計画につきまして、御案内のとおり、市町村のおつくりになられる計画を、そのまま、私どもいわばうのみにするような形になればいいわけでございますけれども、やはり片一方におきまして、限られた資金事情がございますし、片一方におきまして、違った見方からの計画に対する評価というものもあるわけでございますので、そこのところは、ここに私どものほうの主管の公営企業課長も出席いたしておりますが、経過をよく伺っておりますので、計画の査定を、ひとつ実情に即した形でやるように指導してまいりたい、そういうことを考えておる次第でございます。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、きょうのお尋ねしようとする中心点の、くさい水の問題、この点についてお伺いしますが、どうですか、舘林局長、この長崎のくさい水のことについて、御承知になっておられますか。私は、先日あなたにお電話をしたことがあります。御存じですかと聞いたところ、それは知りません、初めて聞きました——これはプライベートなことですが、おそらくそのときまで、あなたは御存じなかったんだろう。ところがテレビを見られたでしょう。いまから一週間ぐらい前です。全国放送ですから、いまは御承知になっておられるでしょうから、このことについてひとつ御調査になられた内容について承ってみたいと思います。
  97. 舘林宣夫

    舘林政府委員 六月十日ごろから、長崎市の浦上貯水池から出てまいります水が、給水せんで非常に異様な臭気があるということが生じまして、約一週間ほど続いて、その後はどうやら少しにおいが少なくなっている、こういうように聞いているわけであります。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 たいへんな事実との違いですよ。三年前からくさみは出てきたのですよ。そして最もひどくなったのはいまから三、四カ月前です。三十六万人の給水人口中四〇%の十五万の市民に供給している浦上水源池です。これは前の渇水のときにからからになった水源池ですから、それとの関連が出てくると思う。鎌田さんもよく聞いておってもらいたいと思うのですが、浅いところに発生するのですよ。それはしゅんせつをしなければならないのです。それを金がかかるからやっていないのですね。起債の対象にならないというようなことも言われているが、ほんとうにそうなのかどうか。それから、これは災害ということにはならないのかどうか。なったら、当然これは財政措置の対象になってくると思うのです。だから、一週間というような——舘林局長、あなたに対する報告はだれがしたのか知りませんけれども、これはたいへんな間違った報告をしています。だからこの点は、あなたもうそを言っていらっしゃるのではなく、率直にお答えになったのだろうと思いますが、よくお調べにならなければなりません。国民の保健上、私は非常に心配している。私もその水を飲むのですからね。私自身、ときたま帰りましてその水を飲むのに、ほんとうにもう何とも言えない。この前帰ったときに、私は汽車に乗ってから、しまったと思った。一升びんに水を入れて持ってきて、厚生省と自治省にあまりありがたくない贈りものだろうけれども、贈って飲んでもらおうと思っておったが、しまったと思ったときには、汽車は特急で走っているものだから、これはどうすることもできないということで、そのまま私は帰ってきた。鼻をつまんで飲めというけれども、ともかく、鼻をつまんでも、どうすることもできない。たいた御飯がくさいのですよ。この間テレビに出ていた。おすし屋さんが、おすしが握れませんと言っているのですよ。それでどうしておりますかというと、車を雇って、そして浦上水系以外のところの水をもらいに行くのですよ。家庭の主婦は、この水を飲むわけにいかないというので、これまたバスや車に乗って、水をもらいに行くのですよ。そういう深刻な問題なんです。それは一週間前からということではなくて、もう少し調べているのではありませんか。それと、人畜に対する被害というのがあるのかないのか、その点どうですか。
  99. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この異臭の原因は、この貯水池にわいたプランクトンによるものであると、私どもは推定いたしております。この事例は、必ずしも浦上水道に限ったことではなくて、ほかの地区でもある事例でございます。それはプランクトンそのもののにおいというよりも、そのプランクトンがわきました場合に、消毒をするわけであります。多くの場合、硫酸銅で殺すわけでありますが、その殺した場合に、プランクトンの死骸から流れてくる油が、その異臭を生ずるおもな原因ということに大体考えられておるわけでありまして、これが人体に対する影響はないということになっております。ただ、お話のように、非常に異臭がございまして、飲料水はもとより、米にも入るということで、非常に迷惑をするという事例があるわけでございます。その原因は、貯水池の構造そのもの、立地条件等もあるかと推定できますし、いま一つは、原水の水質に、このプランクトンがわきやすいという問題があるやに思われるわけであります。ただ、これを直すのに貯水池そのものの構造を直す、あるいは地底にたまったどろをかき出すというような、かなり大がかりな措置を講ずる前に、維持管理を厳重にするという方法が一つあるわけであります。すなわち、このプランクトンがわいてしまってから、硫酸銅を加えてこれを殺すというようなことをいたしますと、その場合にかなり大量な油が出てまいるということで、常時注意をしておりまして、少しわきそうであればすぐ消毒措置を講じていくというようなことによりまして、かなり避けられるものであるわけであります。したがいまして、今後長崎の水道に対して、そのような注意を十分行なって、なおかつどうにもならないという事態でありますれば、やはり貯水池そのものの構造を変えなければならない、かような順序になるわけでありまして、お話のように、一昨年にもこのような事例があったことは、私どもも聞いておるわけであります。この原因が、あの浦上の貯水池が非常に浅いということによるか、あるいは底にたまったどろ、あの地帯はもとどろ田であったそうでございますが、そういうものがたまっておって原因になっておるか、とにかくこれらの点は今後調査をしてまいる必要はある、かように考えておるわけでございます。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係があるそうですから、鎌田さんにお尋ねしますが、いま舘林局長がお答えになった点でも、相当な規模の改修、構造上の問題、その他、土が非常にたまっていますから、それを排除していくというような点があると思う。相当な予算を必要とする。それからあとで尋ねていくのですが、あなたの時間の関係で、私が調べたことで申し上げますと、いま草魚を五万匹程度飼っていますね。それから対策としては、防臭に活性炭を投入しなければならぬ。さらには硫酸銅とか、そういうもので殺す。これは非常に高い薬だということです。だから、わかっておるけれども、非常に多額の費用を要するから、手がつかない。ただ、いまやっているのは五万匹の草魚を飼っているにすぎない。これは草魚がプランクトン——いま局長がお答えのとおり、そういうものが死んで死骸から油が出ている。そこで、においが発散するわけですから、ともかくこれから先、いま言う深いところにモは発生しない、浅いところに発生しているということですから、どうしてもこれを深くしていかなければならぬ。それから、水が交流する。交流したならば、発生を防止することができる。もしそれができないということであるならば、そこに井戸を掘る。そしてこれを電力か何かで供給するという措置等も考えられないか、というようないろいろなことを、これから先、おそらく厚生省としても調査をして、何とか対策を講じていかなければならぬだろうと思う。そのためには、先ほども申し上げたように、相当の費用を必要とするのですが、これらの点に対して財政的な、端的に言って、渇水対策と同じように、これは非常に異常な災害というのが問題でありますから、だから財政援助あるいは起債というものは当然考えられるわけでございましょうが、これらの点に対しては、あなたとして、いまお聞きになった範囲でも、どのようにお考えになりますか。
  101. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 いまお話を伺っておりまして、なかなか原因するところも深く、調査の範囲もいろいろあるようでございます。一体どういうことでこういうことになって、そのためにはどうすればいいのか。この過程自身が、おそらくかなり時日を要するのではないかという感じを持ちながら、いまお話を伺っておった次第でございます。それに伴いまして、どういう財政措置をとってまいるかという点につきましては、やはり渇水対策のときの例も一つあるわけでございますので、それとの異同を考えながら検討さしていただきたい、というふうに考える次第でございます。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、その渇水対策というようなことは、当然これは交付税の対象になるわけですから、そういうものと関連をさして、今後これもまた、何というか、受益者負担ということになったらたいへんなことなんだから、財政援助という方向で、できるだけ進めていこう、配慮していこう、という考え方であると理解してよろしいですね。
  103. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 実態が現在明らかでございませんので、非常に回りくどい表現をただいま申し上げておるわけでございます。渇水対策との異同を検討しながらと申し上げておりますのも、そういう趣旨でございまして、議論にわたるのかもしれませんけれども、当然良質の水を提供しなければならないという前提で水を供給しておりながら、その保管、保守というものに瑕疵があったために、予定されたとおりのサービスができない、こういう形になってまいりました場合、やはり第一次的には企業会計の問題ではないか。企業自身のサービスが足りなかった点についての、何と申しますか、措置というものは、企業自身の負担において行なうべきものではないだろうか。それに対して一般会計で措置がとられる。その一般会計でとられた措置の内容というものを、その段階で、渇水対策との異同というものを考えながら検討してまいりたい、こういうことで申し上げておる次第でございます。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、あなた、これでお帰り願ってけっこうですが、ともかく企業努力の限界を越えておると私は思う。端的に言って、いわゆる災害というものの範疇に入るものだ、こう私は考えるのです。だから、あとでまた舘林局長からいろいろ伺うのですが、厚生省とも十分連絡をとりながら、財政援助をする、こういうことで進んでもらわなければならない、こういうことをあなたに強く要請をしておきたいと思います。お帰り願ってけっこうです。  先ほど舘林局長、私は時間に協力する意味で、自分でいろいろと調査したことを申し上げたのですが、私の申し上げたことが、あなたのほうの調査をしておられることと合致するかどうか。発生の状況、それから対策、この点についてひとつお答えを願いたいと思う。
  105. 舘林宣夫

    舘林政府委員 従来から、プランクトンの発生並びにそれによる異臭の発生の原因というのは、必ずしもすべてが明確であるわけではないわけでございまして、したがいまして、この長崎の事例が、的確に何が原因であるかということが必ずしも明確でないわけであります。ただいま先生お話しございましたように、その貯水池がかなり浅い部分がある、こういうことが非常に影響しておるように思われるわけであります。ただし、こういうところを直すとなりますと、今日の長崎の現状で、この大きな貯水池をからにするという事態はかなり危険でございまして、それだけの大きな工事を、いつどのような時期を選んでやるかというような問題も、これはあわせて考える必要があるということでございますし、また先ほど来私の申しておりますように、これは維持管理の督励によって、ただいま先生のお話のございましたように、硫酸銅で殺し、あわせて活性炭でにおいをとり死骸をとるというようなことで、これで改修工事をしないで押し切れるかどうか。そのようなことをした場合に、維持管理費はどのようなものに達するものであろうか。これは事例を申しますと、現に東京の多摩川の一番下流の水道は、トン当たり九円近い活性炭、硫酸銅、そういうような薬剤の金を使っております。したがいまして、これをそのまま料金にはね返らしますと、水道料金にしますと、月十トン九十円ぐらいの大きな額になるわけであります。したがって、そのような措置を継続的にした場合に、料金というか経費——こんな大きな工事をやらなくてもそのほうが安上がりなのか、そしてそれで永続的にいけるのかどうかということは、十分今後検討する必要のあるものでございますが、また継続的にそのようなことをするのは容易でないから、抜本的に工事して直してしまうという必要もあるいはあるかと思います。ただ、考えなければならないのは、大きな金をかけて工事をやってみたが、依然として出てきたというようなことがあってはならないわけでございますので、調査はかなり詳細にやる必要がある、かように考えております。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 発生状況は、大体どういうことから起こってくるのですか。
  107. 舘林宣夫

    舘林政府委員 先ほど申し上げましたように、水質と気温がかなり影響いたしておるということが言われるわけでございます。水質が影響しておるということでございますと、これはかなりむずかしい問題であるわけであります。水質と気温のほかに、この貯水池の構造、それはその池底にありますどろも含めて、その構造の問題もかなり影響するように思われるわけであります。そのほかにわからない要素、たとえばあの浦上貯水池のように、風のあまり来ないあの地帯そのものに問題がないとはあるいは言えないかもしれませんが、いままで言われているところによりますと、水質と気温が非常に影響がある。その影響があるからこそ、春から夏にかけて、あたたかい時期に兆生が多いということも言われておるわけであります。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 この構造をかえなければならぬ、あるいは上が停滞している、これをしゅんせつしなければならぬというようなのは、当然これは起債の対象になるだろう。その他いろいろな対策といったようなものは、これは当然財政援助の措置というものが行なわれてしかるべきものだ、その対象となり得べきものだ、というふうに判断をするのですが、あなたのお考え方はどうです。
  109. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この異臭をとるための経費が、それを特に取り出して特段の財政的な配慮をするということでなくて、そのようなものを経常費に組み込んで、特に水道料金が異常に高くなるという事態は、その他の水道の、水源を得るために非常に遠いところ、あるいはむずかしい工事で工事費がかかって、水道料金が高いというようなことに対して何らかの配慮をすると同じように包含して、このような原因のものについても配慮をするというようなことが適当ではなかろうか。こういう原因で、必ずしも明確でない原因によってモが発生して、それによって異臭があるから、そういうことはそもそも特段の財政援助の対象であるというようには、ちょっといまのところ考えておらぬわけでございます。
  110. 中村重光

    中村(重)委員 大体、あなたのほうでは、まだ調査に行っていないのですか。
  111. 舘林宣夫

    舘林政府委員 最近の事例でございますので、本年はまだ行っておりません。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 最近の事例と言うけれども、長崎市の助役が厚生省に報告に来たことは事実だろうと私は思います。それから、テレビ等で相当大きくこのことは報道されておる大きな社会問題であることは、私はもう十分認識しておられるだろうと思います。それならば、もっと積極的な態度というものがあなたのほうであってしかるべきだ。まだ調査にも行っていない。なかんずく前の渇水との関連というものもあるわけです。それならばもっとあなたのほうとしては、三年前からこれは問題になっておったことです。ほかの事例もあるということですから、いろいろ、いかにこのことが大きな不安を与え、また迷惑を与えておるかということだってわかると思うのです。だから、これに対していつごろ調査をしようとお考えになりますか。
  113. 舘林宣夫

    舘林政府委員 実は、私のほうの認識が不足でございまして、先ほど申しましたように、六月十日ごろから一週間ぐらいの間非常にひどいにおいが出て、それ以後はおおむねこの問題は解決したやに考えておりましたので、今後の維持管理を十分注意するようにということで、今年はあるいは解決するかという認識を持っておったわけでございまして、ただいま先生のお話で、なおそれが続いておるのであるし、ずっと長い、もはや六月十日などという時期よりははるかに前から、大きな問題になっておるということでございますので、あらためて私のほうで十分調査をいたしたい、できるだけ早急に調査をいたしたい、かように思います。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 調査ということは、現地に技術者等を派遣する、そうして災害の際に取り組まれたように、十分これに対する対策を立てていこう、そういうお考え方でありますか。
  115. 舘林宣夫

    舘林政府委員 国として、もちろん直ちに実態を、長崎県並びに長崎市から聴取をいたしまして、その内容に応じて、できるだけ早急に係官を派遣をいたしまして、長崎市並びに長崎県を督励して、援助して指導してまいりたい、かように思います。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 それで、あなたの時間がないようですから、これでやめたいと思いますが、ともかくあなたのほうとしても、先ほど私がいろいろ例をあげて申し上げたのですが、たとえば起債の対象の問題にしても、その地形というものによって、非常な不利の状態の中に置かれているということですね。たとえば、ポンプであるとかあるいは水槽をつくるというものは対象外である、そういうようなことは、これでいいのかよくないのかということも、積極的にひとつあなたのほうはこれに取り組まれて、そうしてやはり厚生省に対しても、あるいは大蔵省に対しても、これを是正をするところは是正をさせる。要するに、水道事業というものは最終的には国の責任である。したがって、冒頭にあなたが考え方をお述べになったように、ともかくこれを受益者にすべて負担をさせていくというような方向というものは好ましいことではないという、そういう基本的な考え方の上に立たれて、そうしていろいろ財政措置の問題、あるいは起債の配分の問題、あるいは起債の対象となるもの、あるいはならないものということについての不合理の是正の問題、それからただいまのくさい水の問題について、これは財政援助の対象になるかということに対しては、非常に消極的な答えである。またあなたのお答えの中身で、いろいろ特にこれが料金にはね返っていかないような、何か受け取り方によっては、一般会計の中から支出できるといったようなものもあるのではないかというように受け取られるような、含蓄のある答えでもあったわけですが、ともかくいろいろ方法はあるかもしれない。あるかもしれないけれども、もっと積極的に、ひとつこれらの点に対してはあなたのほうも取り組まれて、そうしてできるだけ水道料金というものにはね返ってこないような方法で、財政援助をさせていく、こういうかまえでいかなければ、私はあなたのほうの責任というものも十分果たすことにならないじゃないかと思うわけです。最後に、ひとつあなたの考え方をお聞かせ願って、私の質問を終わりたい。
  117. 舘林宣夫

    舘林政府委員 実は、正直申しまして、水道は従来から大部分市町村営、地方公営企業として運営されておりますが、そのほかに、専用水道といって、私設に近い水道が多々あるわけでございます。全国で一万数千の水道があるわけであります。これを国が直接指導監督するという形は、従来はあまりとらないで今日まで参ったわけでございまして、そのために、今日国としてもいま少し水道行政に熱意を傾け、直接タッチする必要を痛感するわけでございます。そうかといって、一万数千ことごとくこの内容を指導し、技術的にも指導してまいるわけにいきませんけれども、その中で特段に問題のある水道に対しましては、国はかなり直接的に、みずからの責任という意気込みでこれを指導するように、という方針を近来とってまいっておるわけでございまして、長崎の水道はその一つでございまして、私どもとしても、親身になって、この水道を今後いかに維持していくか、水質あるいは水量をどのように拡張し改善していくかということは、十分考えてまいりたいとかたく決心をしておる次第でございます。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 それから、自治省から御答弁を願った調査費の問題……。
  119. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この水道の大村水系から引いております水は、一応昭和四十五年までくらいはこれで間に合うかもしれませんが、急激な都市の膨張によりまして、間もなく水は足りないようになるということで、次の拡張工事計画があるわけでございます。これに対しては、当然精細な調査を必要とするわけでございまして、そのために、長崎市からは二千六百万円の調査費が必要であるという御要望が、私どものほうに参っております。その額の内容をいま検討いたしておるところでございまして、額がきまり次第、経済企画庁にその調整費の支出をお願いするという段取りで、考えておる次第でございます。
  120. 勝澤芳雄

    勝澤委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後一時十三分散会