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1966-06-23 第51回国会 衆議院 決算委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 白浜 仁吉君 理事 壽原 正一君    理事 田中 彰治君 理事 堀川 恭平君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 山田 長司君       原 健三郎君    福永 健司君       中村 重光君    華山 親義君       吉田 賢一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君  委員外出席者         建設事務官         (道路局路政課         長)      国塚 武平君         会計検査院事務         官         (第五局長)  保川  遜君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     豊原廉次郎君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巌君         専  門  員 池田 孝道君     ――――――――――――― 六月二十三日  委員栗原俊夫辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として栗  原俊夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  (日本国有鉄道)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいまより会議を開きます。  昭和三十九年度決算を議題といたします。  本日は、日本国有鉄道につきまして、審査を行ないます。  まず、日本国有鉄道当局より、資金計画事業計画等について説明を求めます。石田日本国有鉄道総裁
  3. 石田禮助

    石田説明員 昭和三十九年度日本国有鉄道業務概要及び決算について簡単に御説明を申し上げます。  昭和三十九年度は、旅客の輸送需要は前年度に引き続きまして比較的順調な伸びに対しまして、貨物は経済界沈滞機運の浸透を反映いたしまして、前年度とほぼ同程度となりました。一方経費は、前年度に対しまして、仲裁裁定による人件費及び利子、減価償却費等資本経費の大幅な増加がありましたので、総計におきましては、三百億円の損失を計上せざるを得ないことになりました。  また昭和三十九年度の工事経費決算額は二千五百九十二億円でございます。  御承知のとおり、日本国有鉄道といたしましては、輸送力が限界に達しておる実情にかんがみまして、昭和三十六年度から東海道幹線増設工事をはじめとする輸送力増強中心に、第二次五カ年計画を策定いたしまして、その推進につとめてまいりました。この第二次五カ年計画に関する決算総額は九千四百九十八億円でありまして、全体計画に対しまして七十%の進捗率となり、また、東海道幹線増設工事につきましては、予定どおり完成を見まして、昭和三十九年十月一日開業の運びとなりました。  しかしながら、国鉄基本問題懇談会意見書に示されたとおり、輸送力増強輸送安全対策推進等をはかる必要が生じましたので、昭和四十年度から第三次長期計画に着手いたしまして、七カ年にわたり、総額約三兆円にのぼる投資を行なわざるを得ない事態になったのであります。  なお、昭和三十九年度の予算の執行につきましては、会計検査院から三件の不当事項と改善の意見表示三件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀の粛正と予算効率的運用に一段の努力をしたいと思っております。     ―――――――――――――
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まず総裁にお尋ねいたしますが、第三次七カ年計画の中で、いま山陽新幹線の問題につきましていろいろと出されておりますが、この山陽新幹線資金計画なりあるいはまた工事計画用地買収状態、あるいは停車駅その他、これらの計画についての大まかな御説明をひとつ伺いたいと思います。
  6. 石田禮助

    石田説明員 この問題は、常務理事から説明いたさせますので、どうぞ御了承願います。
  7. 仁杉巌

    仁杉説明員 お答えいたします。  山陽新幹線は、本年度を初年度といたしまして、開業予定を四十六年度一ぱい、四十七年三月に完成という予定でございます。  途中駅は、先般運輸大臣の御認可をいただきまして発表いたしましたが、新大阪を出まして、仮称でございますが新神戸、大体六甲の山ろくで布引ノ滝というところがございます。それから西明石、姫路、相生、それから岡山というような経過をたどることになりまして、総延長は約百六十キロ、総額工事予算は、現在のところ千七百億というふうに考えております。この資金計画は、この前の東海道新幹線とやや異なりまして、御承知国鉄第三次長期計画の中におきます二兆九千七百億の中に含まれております。したがって、第三次長期計画資金調達の中において調達をされるという形になっております。現在のところ、工程その他につきましては、先日御認可をいただきましたばかりで、まだはっきりいたしておりませんが、まず第一にやらなくてはなりませんのは、この間発表いたしましたルートは、幅二キロをもって二十万の図面に示してございます。したがいまして、この中におきまして一線にしぼる作業を、いま急いでおるわけでございます。これでいよいよセンターをきめまして、それから設計協議用地買収、それから着工ということになります。工事工程上一番急ぎます地点は、やはり大きいトンネルでございまして、兵庫県と岡山県の県境に帆坂トンネルというのがございます。延長約八キロくらいという予定でございます。これは横坑が入りにくい、立て坑も入りにくいということで、この八キロが一番ネックになるのではないかというふうに考えております。それから六甲山ろくを貫きますトンネルの中には十数キロにわたるものもございますが、これは横坑を入れることができますので、わりあいに工期は短くて済むのではないかというふうに考えております。それで着工としましては、帆坂トンネル並びに六甲山ろく長大トンネルを先にいたしたいというふうに考えております。用地買収はこれからでございますが、先ほど申しましたように、一線にセンターをしぼりまして、それから各種の道路都市計画、農道、河川等設計協議をいたしまして、それから用地買収ということでございます。用地買収はなかなかむずかしい問題でございますが、今度はトンネルが非常に多いようなことで、延長としては短うございますが、新幹線の場合には戦前買った用地がございまして、今度はございませんので、これが一番むずかしい問題であろうかと思います。しかし誠意を尽くしまして地元の方とお話し合いをいたしまして、スムーズに買収をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  8. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、大臣が見えましたから、特に私一点だけお伺いします。  まず、最近の航空機事故に伴う問題について、事務的な問題でありますから、最初航空局長からお答え願いたいと思いますが、全日空なりカナダ航空なりBOACと相次いで事故が起きまして、その事故のための対策本部もつくられたわけでありますが、最近解散された。しかしまだ残っている乗客遺族補償状態を見てみますと、相当深刻なものがあるようでありまして、特にBOACでは、アメリカ関係では訴訟にもなっているというような状態であります。特に私は、日本人乗客に対する遺族補償がどういう現状になっておるかという点。それからもう一つは、日本のこれらの航空会社につとめておった航空従業員に対する補償がどういうようになっているか、この二点についてお尋ねいたしたいと思います。
  9. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 全日空機に対する遺族補償につきましては、今日現在で十五名の方に対する補償が完了いたしております。お客さんは百二十六名乗っておられましたので、まだその一割程度状態でございます。  それからBOAC関係でありますが、BOAC関係につきましては、まずいかなる機関がこの問題を扱うかということでいろいろ問題があったわけでありますが、会社が直接遺族と接触してこの問題を処理するということにはっきりきまりまして、BOAC東京支社遺族に対して調査書類提出等を依頼して、五月十七日の遺族会の席上でそれを回収して、これに対するお話し合いを進めるという態勢でおるという報告を受けたわけであります。その後、先生指摘のように、弁護士を選任し、あるいはこの要求をいれさせるためには訴訟も辞さない、というような強い態度でおられるということもわれわれ伺っております。  乗り組み員に対する補償でありますが、これにつきましては、全日空関係につきましては、御承知のように、労災保険のほかに、特別厚生団体保険あるいは勤労保険というようなそれぞれの保険制度を設けておりまして、それぞれの保険から必要な処理がなされるという関係に相なるわけであります。BOACの乗り組み員の遺族に対しましては、やはりBOACの乗り組み員に対する契約条項がございまして、この契約条項は、先生承知かと思いますが、百五十万円の金額限度にして措置するということに相なっておるわけでございます。
  10. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それではこの乗務員関係だけで、全日空の場合は大体総金額は幾ら支払われるのか、BOAC関係は総金額幾ら支払われるのか、この点はいかがですか。
  11. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 全日空に対しましては、労災保険といたしまして最高限度百八十三日分、そのほかに特別厚生団体保険といたしまして、会社負担百万円のほかに傷害特約として百万円、それから勤労保険といたしまして、偶然急激な外来の原因による死亡について百万円が、それぞれ支払われることに相なっております。
  12. 勝澤芳雄

    勝澤委員 合計幾らになりますか。
  13. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 この労災保険関係はそれぞれ違いますので、一般的には申し上げられませんが、労災保険以外で約三百万円の支払いがなされるということでございます。
  14. 勝澤芳雄

    勝澤委員 BOACの場合は百五十万円で、労災保険はこれから差し引かれるわけですね。どういう計算になりますか。
  15. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 労災その他の措置を含めて、百五十万円を補償するという契約でございます。
  16. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、全日空乗員労災保険以外に三百万円の補償金が出されておるにもかかわらず、BOACにつとめておったために、労災を含めて百五十万円しか支払われておらない。これは労働条件日本よりもBOACのほうが悪い。こういう労働条件で使われておる日本乗員について、これで一体航空局としていいのか、こういうふうに私は思います。特にこの航空機事故によって死亡されて、それが会社会社によって違うことはしかたがないとしても、やはり国際的に見て、運輸省行政として、これは好ましくないのじゃないだろうか、こういうふうに私は思いますが、そういう点について、どういうふうにお考えになりますか。
  17. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、日本会社のこういう取り扱い外国航空会社取り扱いとが、概要申し上げた点につきましても相違があるということは、御指摘のとおりでございます。基本的には、具体的の雇用の条件でございますので、労使の双方の交渉によるべきものとわれわれは考えておりますが、将来各エアライン間の具体的の労働条件その他につきましても、われわれも十分調査をし、それが適正な状態であることが、乗務の安全を確保するという観点から、われわれとしても適正であることが望ましいわけでございますので、そういうような点について十分関係機関と連絡をとりながら、そういう状態にあるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  18. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、いまの乗務員の問題だけに限ってお尋ねいたしますが、いまお聞きのとおりなんですね。われわれ日本人からいいますと、全日空よりもBOACにつとめておったほうが待遇がいいだろう、こういうふうに思っておったわけです。しかしいまのこの乗務員に対する遺族補償状態を見てみますと、日本労災にプラス三百万というものが、いろいろ会社の名儀なりあるいは共済という形なりというような形で出される、こういうことがはっきりいたしました。BOACのほうは、百五十万を限度で、その中から労災を差し引くのだ、こういうことで、それしかないのだ。これでは労働条件が、ましてや航空関係は国際的に協定がなされておるわけでありますから、こういう中で私は不公平な一取り扱いだと思うのです。したがってこれはやはり日本政府としても、こういうBOAC取り扱いについては、私は善処を求めるべきだと思うのです。つり合いがとれない。そういう点について、特にまずこの乗務員の問題だけについては、いま局長も、これからの問題としてやはり検討さしてもらわなければいけない、こういうことを言われております。私は当然だと思うのです。やはり今度の取り扱いについても、私は何らかの政府としての要請をすべきだと思うのです。いかがですか。
  19. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、勝澤委員も言われますように、BOACの職員に対する弔慰金といいますか弔慰補償といいますか、そういうものがいま局長が言うようにきわめて少ないということは、それは正しい姿ではないと思います。いろいろ個人との労働条件等についての約束があるかもしれませんけれども、やはり政府としては、できるだけ手厚い処置をするようにという強い要請といいますか、そういうことを政府所管省を通じて相談をして、そうしてなくなった人の遺族補償というようなもの、弔慰補償といいますか、そういうものが十分になされるように、あらゆる努力をいたしたい、かように考えております。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、今度は乗客遺族の問題でありますが、いま全日空状態BOAC状態はお聞きいたしました。カナダ航空のほうはどういうふうになっておりますか。
  21. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 カナダ航空につきましても、東京支社が五月二十三日以降遺族と早急に具体的に話し合いに入る予定である、という報告を受けております。
  22. 勝澤芳雄

    勝澤委員 全日空は百二十六名で十五名補償が済んだ。BOAC日本人乗客は何名ですか。カナダ航空は何名になっておりますか。
  23. 佐藤光夫

    佐藤光夫 遭難されました方のうちで、BOAC日本人関係は十三名、そのうち乗員が一名おられます。それからカナダ太平洋関係は、日本人関係が六名でございます。そのうちやはり乗員一名を含んでおります。  以上でございます。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、全日空の問題は国内的な問題でありますから、運輸省としても相当行政指導といいますか、あるいはいろいろとお考えになっているようでありますが、BOACとかカナダ航空に対する問題でありますけれども、先ほどのお話ですと、会社が直接遺族との話し合いをする、こういうことになっておるようでありますけれども、遺族の方々に聞いてみますと、BOACは不誠意きわまりない、遭難当時は向こうから支配人まで来て、そうしてとにかく遺族の要望に沿ったできるだけのことはしたいということを言い、それからまた新聞にもそういう発表をしておる。その後の経過を見ると、幾ら交渉に行っても、東京支店長は、私は本国から指示があった範囲内でしか回答ができませんということで、五月十七日の遺族人たちの集まりも、遺族人たち要求によって、そうして支店長が来て、皆さんの要求を聞いて本国に伝えましょう――まさに私は、遺族に対する取り扱いというのは、日本国民感情から言いましたら、冷酷無残な取り扱いだと思うのです。これはやはり災害対策本部まで持って、とにかく災害事後処理をした、そうした一番最後は、やはり大臣の言明された、たとえば全日空の場合もいろいろな紆余曲折がありましたけれども、とにかくあらゆる努力をされて、そうして死体の収容まで行なった。とにかく世間からは、全日空運輸省政府も、この問題についてはよく努力をされたということが言われておるわけでありますけれども、今度は一転遺族補償の場合になってまいりますと、この取り扱いというのは、もうほったらかしになっておって、遺族にまかせきりになっておる。ましてや国内における全日空との問題ならともかくも、国際的にBOACやあるいはカナダ航空の問題を見てみますと、何ら誠意がうかがわれない。遺族はとにかくどこへ相談に行っていいかわからない。外務省に行って、あるいは運輸省に行って、あるいはまた総理府に行って、どこへ行って、日本人生命財産の失われたのに対し、一体だれが私たちを守ってくれるのかということで、遺族会を構成をしてやられておるようでありますが、これは私ははなはだ残念だと思うのです。しかしどこでやるとしても、やはりBOACが毎日、あるいはカナダ航空が毎日、羽田空港を使っているわけでありますから、運輸省としては監督上の責任からいって、これは十分遺族の話を聞き、できるだけBOACカナダ航空が、日本の国情に合った、国民感情に合った措置をすべきだと私は思うのです。法律の問題は私は別の問題といたしまして、やはり日本国民感情に合った処理を早急にせよ、そうしてもっと誠意ある交渉に応ぜよということを、私はこの際BOACなりカナダ航空なり、政府を通じてやるべきだと思うのですが、その点について、運輸大臣から一言ひとつお考えを聞き、ぜひひとつ運輸省中心になって、これらの遺族補償が円満に行なわれるように、また相手会社誠意を持ってこれに応ずるように、ひとつしていただきたいと思うのでありますが、その点についての御回答を願いたい。
  25. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 外国機による日本国民遭難に対する遺族補償等措置は、これはそれぞれ会社が、先ほど局長も言っておりますように、遺族と直接に話をしてきめたいと言っておるようでありますが、私はその成り行きの推移を見て、やはり遺族に対する処置が不十分であるという場合には、政府責任におきまして、できるだけの処置を強くとらせ、そして遺族が満足するような結果が得られるように、あらゆる努力をいたしたい、そういう気持ちを持っております。
  26. 壽原正一

    壽原委員 関連して。YS11のエンジンはどこのエンジンを便っているのですか。
  27. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 YS11は、イギリスのロールスロイスエンジンであります。
  28. 壽原正一

    壽原委員 この間、私がちょっと聞いたところによると、日本へきたロールスロイスエンジンは、だいぶひびが入って危険な状態だ、ただほかの国にいったエンジンについてはちっともそういうことがないのだ、日本きた分だけが危険だ、こういう話だが、そういう話を承っておりませんか。
  29. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ちょっといま手元資料がございませんが、日本で現用のYS11について、検査中にクラックを発見したという報告を受けております。その後実情をよく調査いたしまして、その整備のつど、十分注意、点検するということで、その後はそういう問題を特に生じておらないような状況のようでございます。
  30. 壽原正一

    壽原委員 それはそれでけっこうですが、実は昨日私は函館に行ってきたのです。函館に行って帰りに、飛行場の待合室で佐藤孝行代議士と私と田澤君と三人待っている間に、佐藤代議士が、壽原君だいぶこの飛行機は危険らしいぞということを言うておった。なぜそういうことを言うたかというと、きのう最終便函館からこちらに来る飛行機が、何の故障か知らぬが、行きは六十人ほどであったが、帰りはその半分であった、たいしたことはないだろうと思いますけれども、十分気をつけて帰ります。こういう電話をしておったそうです。これは何かの故障があるらしいふうだが、だいじょうぶなのだろうかというような話をしておったのだが、何の故障かということは、電話であったからよく聞き取れなかったそうですが、函館全日空の出張所と本社との話し合い電話で、何かが故障になっておったということを言うておったそうです。そういう危険な状態のまま、昨日は無事に帰らしていただいたが、どういう状態であったか、あとでよく調べて、そしてそういうことのないようによく御注意を願いたい。何の故障でもたいへんなことですから。  それからいま一つ、国産機としてはまことに優秀な飛行機と私は解釈しておったのだが、まことにびろうな話で申しわけないが、御不浄に入った。ところが、私はどの飛行機も乗ってみたが、いまだかつてあのくらい不潔な設備の整っておらない飛行機はないというふうに感じた。まことにびろうな話なのだが、便がすぐ見えて浮いておる。そして御不浄に入ると非常に悪臭を放っておる。こういうような状態では、非常に不快を感ずるのじゃないかというふうに考えられますので、製造のほうはあなたの係じゃないだろうけれども、そういう点もよく気をつけて製作するようにしていただかぬと、せっかくの国産機が、諸外国の人が乗ってもあまりいい感じを受けないだろうと思うので、この点ひとつ注意しておきたい。  その故障の問題については、消火器か何かというように聞いておったと言っておりましたけれども、同僚代議士諸君が非常に心配して、乗って帰ろうか、あすにしようかということを心配しておったようですから、昨日の最終便函館発東京着ですが、それをよく調べた上で、あとで私のところまでお電話でもいいから、返事してもらいたい。
  31. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ちょっといまの壽原君の質問に答えさせていただきます。  いま日本航空機安全度は一〇〇%確保するように、あらゆる努力をいたしておりますので、いま壽原委員が心配なさるような、人命に危険を生ずるような事故の場合は絶対に飛ばないということを、私はっきり申し上げ得ると思います。いま何の事故であったのかということが明確でないようなお話でございますが、さっそく十二分に調査いたしまして、あと報告させます。
  32. 壽原正一

    壽原委員 電話の内容をちょっと……。パイロットがこういう電話をかけておった。今後のこともあるので、一応お知らせしておこうと思ってかけました。きょうは、行き定員の六十名近く乗っておりましたが、帰り定員の三分の一程度ですからだいじょうぶと思いますが――私は帰り関係と思いましたがと、これは佐藤君が聞いた電話ですが、そういうことを言うておったそうです。それで、佐藤君がYS11のパイロットに、YS11は危険だから乗って帰らぬかなと言うたところが、パイロットが、いやもうだいじょうぶと思いますから、どうぞひとつ心配なさらぬで乗って帰ってくれ、こういうやりとりをしていたそうです。この点よく注意してください。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは先ほどに引き続きまして、山陽新幹線工事予算千七百億円の内訳はどういう計画になっておりますか。用地あるいは工事あるいは車両、そういう関係は……。
  34. 仁杉巌

    仁杉説明員 きょうは手元にこまかい資料を持ってまいりませんでしたが、車両費はこの中には入っておりません。用地費は、これはなかなかむずかしゅうございますけれども、大体二百億前後というふうに考えます。  きょう、ちょっとこまかい資料手元に持ってまいりませんでしたから、またあとでお答えいたします。
  35. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それじゃ、工事費千七百億円の内訳について、あと資料をお出し願いたいと存じます。  それから次の問題ですが、第三次七カ年計画資金確保として指摘されているのは、自己資金確保、財投あるいは借り入れ金あるいは政府出資あるいは市町村納付金の減免、こういうような点が、国鉄の監査報告書によりますと指摘をされておるわけであります。その指摘に基づきまして、先ごろ運賃の値上げが大幅に行なわれたと思います。あるいはこれに基づいて財投、借り入れ金も行なわれているわけでありますが、政府の出資なり市町村納付金の減免、こういうものは、実は監査報告には指摘をされておりますけれども、今日なおかつ実施をされていないわけでありますが、これについて、総裁はどういうふうにお考えになられておりますか。
  36. 石田禮助

    石田説明員 一番問題になるのは、運賃の値上げの問題だと思いますが、御承知のとおり、今度の第三次計画のうちでもってわれわれが最も力を入れる一つは通勤、通学の問題であります。これは御承知のとおり、東京、大阪を中心といたしますので、いかにも建設費がかかる。たとえば土地にしましても四〇%から五〇%くらいまでかかる。それで、それによって得られる収入というものは、通勤、通学が主であります。しかもそれも一日に三時間か四時間の運行にすぎない。あとの二十時間とか二十一時間というものは、車を遊ばしておかなければならぬというようなことで、これはもう借金をもってしては、とても利息の支払い、元金の償還というものはできない、これはどうしても自己資金をもってやらなければならぬ、こういうことで、運賃の値上げをしたわけでございます。その点はどうぞ御了承願いたいと思います。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まあ運賃の値上げも、総裁おやりになったからですけれども、やはりそれ以外に特に指摘されているのは、計画の緊急性と国家的な必要性からいって、政府の出資なり市町村納付金の免税等、国についての財政措置を強力に行なわせるべきである、こういうことが指摘されているわけです。実はこの点が、何らこの間の第三次七カ年計画の中ではまだ解決されていないわけであります。自己資金調達という形で運賃値上げだけはやられたわけでありますけれども、これはやはり政府の出資なりあるいは市町村納付金の減免、こういうようなものについての努力がこれからなされなければならないのじゃないだろうか、こう思うのですが、その点についてどうお考えですか。
  38. 石田禮助

    石田説明員 御承知のとおり、国鉄がこれまで政府の政策のために犠牲になっていることは、三十九年度までに約五千二百億、四十年度においては約八百億の犠牲をしなければならぬ。しかも国鉄はするだけのことをしてそういうことをやっておるかというと、そうじゃない。するだけのこともしないのに、政府にそれだけの犠牲をしている。ちょうど貧乏人が、金もないくせに身分不相応の寄付金をする、そのために税金が払えない、こういう調子なので、この公共負担の是正というものはどうしてもやってもらわなければならぬ。その一つとして、ことしわれわれがやったことは、例の通勤の問題であります。通勤の問題は、これは諸外国の例に見ましても、割引はするが、しかし政府がそれに対しては補償をしておる。補償しないのは日本だけなんです。といって、通勤、通学の問題もあり、公共負担の中には、農産物に対する非常な割引がある。いわく何、いわく何、たくさんありまするが、われわれが国会で皆さんの御協賛を得るためには、多方面作戦をやった日には、あっちからこっちからつっつかれて、とても目的を達することはできぬ。最も弱い通勤、通学の問題をわれわれがアタックしようということは、通勤の問題というものは、御承知のとおり、雇い主がまず通勤者の八割五分を払う、あとの一割五分に対してははなはだお気の毒でありまするが、八割五分というものは雇い主なりあるいは政府が払っておる。それでつまり雇い主からいえば……。
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁、そのことを聞いているんじゃないのです。そのことじゃなくて、政府の出資とそれから市町村の納付金の減免と、これについて、国鉄はどういう努力をしたか。
  40. 石田禮助

    石田説明員 つまりいまのように借金をもって支出できないものに対しては、これまでも約五千二百億も政府に献金をしておるわけなので、政府に出資してもらいたい、こういうことをお願いしたわけなのでありまするが、大蔵省はがんとして言うことを聞かぬということで、やむを得ず、われわれは涙をふるってしんぼうした。そこで公共負担の是正の一番たやすい、アタックしやすい通勤、通学の問題にほこ先を向けた、こういう次第であります。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この第三次七カ年計画を進める上において、財源的には四つのことがいわれておるわけです。自己資金確保せよということで、運賃値上げが行なわれたと思うのです。その運賃値上げの中には、総裁は、公共負担を減らすために、通勤、通学の割引率を低くしたのだ、こう言われております。それは議論がありますけれども、その議論は運賃値上げのときにやりましたから、やめましょう。それから財政投融資なりあるいは借り入れ金をめんどう見なければならぬ、これは政府も見ておるでしょう。しかしそれ以外に最も大事なことは、政府から出資をすべきだ、利子のかからない金を国鉄に出すべきだ、こういうことと、それから市町村納付金の減免ということを考えるべきだ、こういう二つの点がいわれておるわけでありますが、この二つの点が、実は何もされていないわけであります。そのことが、今後も運賃の値上げになるのか、あるいはまた国鉄の借金になるのか。言うならば、国鉄経営というものがそれでまた悪くなっていくということなんです。このことに関連して、実は私、最近電電公社の料金がいつから上がるであろうということで――電電公社も調査会をつくられまして、ことしの十月から電話料金を上げなければいけない、こういう答申が出されたわけであります。しかし電電公社の経営の実態は、営業収支は、いつも収入の二割の利益をあげなければいかぬ、営業収支の中では、収入金の二割というものがいつも利益としてあがっておる。利益としてあがっておるということはどういうことかというと、二割の利益をあげて、そのあげた二割というものが工事費に回されておるわけであります。そのことは、新しく電話かどんどんできていくことは、古い電話を持っている人でも新しい建設工事の二割程度は負担すべき義務がある。なぜならば、即時通話になり便利になるからだ、こういう理論づけをして、いつも二割というものは増収になるような予算計画になっておるわけであります。ですから、今度の計画で電電公社はどうかといったら、いま別に赤字じゃないわけです。黒字です。ただ利益率が二割から一割五分になってきた、あるいは八分になってきた、だから上げなければならないということ。ですから、同じ公共料金のたてまえでも、ものの考え方が違っておるわけであります。ですから、これは国鉄を責めてもしかたがありません。政府全体の公共料金のものの考え方が、国鉄の運賃に対する考え方と電話料金に対する考え方が食い違っておるわけであります。あるいは逆に言うと、国鉄の運賃の基本問題を審査する人たちのメンバーと電話の料金を審査するメンバーの食い違いが、あるいは国鉄の基本的に持っておるものの考え方と電電公社の持っておるものの考え方の違いがあるのかもしれませんが、同じ公共企業体でも、料金に対するものの考え方が違っておるわけであります。そういう意味から、言うならば、国鉄の場合は、あまりにも自己資金確保するということで、運賃値上げというものだけが取り上げられて、いま国鉄がこうしたいと思っておるいろいろな問題について、もう少し国鉄として、国、政府に向かって、そういう措置を強くまだまだ言わなければならぬことがあるのではないだろうか。それがいま第三次七カ年計画を進めるにあたって、一応運賃の問題は片づいたけれども、いまの第三次七カ年計画があのままの資金計画でやられるとは、だれも思っておりません。総裁も思っておりません。どこかでまた改定をする。どこかでまた是正をしなければならぬ。是正をするものは何かといえば、第三次七カ年計画の中で運賃の値上げというものは極力押えていかなければならぬということになるならば、どうしても政府の出資なり、あるいは国鉄から支出している固定資産税なり、そういうものに対する政府措置を仰ぐということをいまからやっていかなければならぬ。やがて二、三年たってまた運賃値上げだといって、運賃値上げの口実として、いまと同じような口実をつくろうといっても、われわれはそうは許すわけにはいきませんので、その覚悟をいまから聞いておかなければならぬ。
  42. 石田禮助

    石田説明員 勝澤さんのおっしゃるように、第三次計画を遂行するについては、政府の出資の問題、それから固定資産税あるいは地方の交付金の問題、それから運賃の値上げ問題と、まず三つに分かれるわけでありますが、第一の運賃の値上げの問題につきましては、今日までの運賃というものは世界で一番安い。国鉄に対しては、政府は、あとにも先にも昭和二十四年にたった四十億の出資しかしていない。つまり国鉄の財産というものは、これを使用した利用者が払った運賃のもうけの蓄積が今日の約三兆円の国鉄の財産をなしたのにかかわらず、国鉄国鉄という、つまり名前に隠れたというと変ですが、運賃をあまりに安く押え過ぎておる。世界でこんなに運賃の安いところはないのです。ところが、今度の運賃の値上げということは、言ってみれば、運賃の是正ということに私は考えてほしいと思う。まず第一に運賃の是正をやる。それからその次には、政府の出資なんです。国鉄は今日まで公共負担ということで三十九年までに五千二百億も政府に金を出しておるのですから、せめて三千億か四千億ぐらいの出資をしてくれたらどうだということを政府に申し入れたのでありますが、大蔵省はなかなか御承知くださらぬ。御承知くださらぬのなら手をねじるというわけにもいきませんから、これはもうしかたがない。われわれはしんぼうしたのです。その次の固定資産税の問題、それから交付金の問題、これは私はことしにおいてでも国会に問題を出して、ぜひひとつ是正をしていただきたいと思う。たとえば国鉄の今日のマイル数は二兆六百以上ありますが、そのうちで約八〇%というのはこれは赤字線である。つまり国の開発のために国鉄が犠牲になって、鉄道を敷いたところなんです。犠牲になって鉄道を敷いたところに対して税金をかけるということは、私はちょっと不合理じゃないかと思う。これはぜひひとつ是正をしてもらいたいと思う。たとえば地方の税金の中には、固定資産税というものと交付金というものとありますが、たとえば国鉄の宿舎だとかなんとかいうようなものに対しては、これはその裏で道路を引いてくれたり、あるいは水道を引いてくれたりして相当に金がかかっておりますので、これに対して税金を納めるということは、私はこれは当然のことだと思う。しかしその土地の開発のために引いておる線路だとかいうものに対して交付金を出させるということは、どう考えても私は不合理だと思う。これはひとつあなた方の御尽力で何とかやってもらいたい。すでに今日においても百億の固定資産税と交付金――大部分は交付金なんです。これは年々歳々――あと六、七年もたつとまた二百億くらいの金額になってくる。これはひとつぜひ御尽力を願わなければならぬ、こういうように考えております。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この第三次七カ年計画を進めていく上に、これから出てくる問題というものは、どうしても資金の不足というものが出てくると思うのです。いま計画どおり仕事ができるかどうかです。大体いまの自民党政府のもとで計画が満足にいったことはないわけでありますから、自由放任だと言いながら、片一方ではカルテル行為を認めて、統制経済をやっているわけでありますので、七カ年計画というのは大体満足にいって三カ年いって、あとは改定するというのがいままでの例ですから、そういう意味でいくならば、国鉄のこの第三次七カ年計画の中だって、どこかで修正されなければならなくなるわけです。修正されるときにまた同じような運賃値上げをしなくても、やはり自己資金あるいは国鉄内部のやり方でできるようなことを考えていかなければならぬということになれば、やはり政府としていまの段階から、運賃が値上げになったからといってほっとしておらずに、やはりまだやり足りない、言い足りない、政府からの出資を求めるなり、あるいはまた市町村の納付金の問題に手をつけるなり、あるいはまた預託金の運営の問題についても、ちょっと直しただけで十億、二十億利益になったというようなこともあるわけであります。あるいは石炭運賃を中心としたいろいろの特殊的な問題もあるわけでありますから、これらをやはり、この次の運賃値上げのときに改定するんだということでなく、これをいまからなしくずし的に解決していかなければ、途中からまた変更せざるを得ないということを特に総裁に申し上げても、どうも総裁、運賃の値上げばかり頭のほうにきちゃって、是正だ是正だということですから、この辺でその問題はやめておきますけれども、ひとつそういう意味で、国鉄でも運賃が値上げになって、一応三次計画が進められたけれども、資金の需要からいって、まだまだこれからたいへんだということをよくお考えになっていただきたいと思う。それから、公共料金のあり方として、同じ公共料金の場合でも、電話料金の場合と国鉄運賃の場合の相違点というのを私は最近感ずるわけでありますから、そういう点についても、よく御検討いただきたいと思います。  それから次の問題に移りますけれども、国鉄の部外に対する投資でありますが、いろいろターミナルとか、あるいは帝都高速度交通とか、こういうところに投資をされておるようであります。そこで、この投資の状態につきましては、資料が出ておりますので、わかりますが、投資について、どういう方針に基づいて、こういういろいろな会社に投資が行なわれているかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
  44. 石田禮助

    石田説明員 あと常務理事から詳しいことは申し上げますが、国鉄がこれまでにやった計画の中でもって予算どおりにいったことがない、まことにしかり。これはつまり天下の大勢がここにきた。要するに物価が上がり、また人件費が上がる、こういうことで、初めつくった予算どおりいかなかったということは、どうもまことにやむを得ないことで、これは勝澤さんも御了承くださると思いますが、今度もまた、いままでのように物価が上がり、人件費が上がるということになると、はなはだ遺憾であるが、政府の出資金や、あるいはいま言ったような交付金の問題、あるいは固定資産税の問題、また運賃の値上げというようなものが相当出てきて、また国会でいじめられなければならぬようなことになると思いますが、国鉄の社外に対する出資の問題につきましては、詳しいことは常務理事から説明いたさせます。
  45. 今村義夫

    ○今村説明員 国鉄の部外投資につきましては、法律に基づきます鉄道建設公団なり、あるいは営団の問題なりがございますが、それに国有鉄道法の六条に基づきます出資があります。私ども、六条に基づきます出資につきましては、これは国鉄の営業増進に寄与するという方向で考えておりますが、御承知のとおり、出資のできる対象の事業といたしましては、臨海鉄道、あるいはバスターミナル、それから倉庫、乗車券の委託販売というようなものがありまして、こういうことを通じまして、部外の資金を活用しながら、あわせて国鉄の営業増進に寄与するという方向で考えておるわけであります。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私はいま言われた国鉄の営業の増進に寄与するというたてまえから見てみますと、この前、運輸大臣にも大蔵大臣にも申し上げたわけでありますけれども、ほかのものはともかくとして、鉄道建設公団に対する国鉄の出資というものは、いかんせん、私は納得できないわけであります。国鉄の資本金が八十九億、これらの部外に対する投資が約三百億ぐらい投資されているわけですね。国鉄の資本金が八十九億、外に向かっては二百億も投資をしている。その一番大きなものは何かといえば、鉄道建設公団だ。鉄道建設公団に投資をすることは、逆にいうならば、国鉄の経営がますます悪くなるということだと思うのです。これは国家的要請によってやっておるわけでありますから、新線を建設しなければならぬことは、私は当然だと思うわけであります。ですから、鉄道建設公団がつくられるあの法律が論議されたときに、国鉄でやるのか建設公団でやるのかという論議が行なわれました。国鉄にやらしておくと、国鉄資金事情が悪いから、建設がどうしてもうまく進まない、だから建設公団をつくるんだ、総裁も、ほんとうは国鉄でやりたいんだけれども、向こうでやればもっとたくさん鉄道をつくる、そのほうがいいだろうと、これは苦しい答弁をされておりました。総裁としては、国鉄でやりたいのを建設公団でやられるということは、これは苦しいことだと思う。しかし、建設公団がつくられたけれども、政府はこれに対して何もいたしておりません。依然として国鉄におんぶして、国鉄を重要なファクターにして、投資が行なわれております。ですから、行政管理庁におきましても、国鉄の出資というものは二重投資になっているんじゃないかという指摘をされております。ですからこの問題については、ことしはもう予算を組んであるからしかたがないですけれども、せめて来年度から、予算を組むときには、国鉄からこういう不健全な鉄道建設公団なんかに出資するようなことはやめるべきだと思う。鉄道建設公団に出資をすることをやめれば、それだけ国鉄の経営がよくなるわけでありますから、ほかにもっと使えるということになるわけでありますから、三石二鳥、三鳥になる。総裁いかがですか。
  47. 石田禮助

    石田説明員 新線建設公団に対する出資の問題でありますが、もしも新線建設公団というものがなければ、これはやはり国鉄がやらにやならぬということになる。国鉄は、御承知のとおり、公共企業体でありまするがゆえに、地方開発のための鉄道の新設というものは、これは国鉄の使命としてやはりやらにやならぬ。ただ国鉄というものは、方々にたくさんやっておりますので、これを一緒にやるということになると、新線の建設がおくれる、それにはやはり別のものをつくってやったほうが能率があがり、そして建設の速度が早まる、こういうことで新線建設公団ができたのでありますが、これは諸先生方の御要望によって、鉄道審議会というものが決定して、国鉄としてはやらざるを得ない、また私はやるべきものである。こう思いまして、それに必要な出資というものは、やる以上は当然に出資はせにやならぬ、こういうことで、好むと好まざるとにかかわらず、やはりやらにやならぬ、こういうことに考えております。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたの言っていることは、行政管理庁の勧告とまっこうから対立する意見なんです。行政管理庁の勧告によれば、運輸大臣と大蔵大臣に勧告をしているわけですが、あなたとは正反対だ。国鉄がこういうところに出資をしたりすることは、国鉄の経営がよければともかくも、国鉄の経営が悪いので、そういう点からいけばおかしいじゃないかと言われているわけです。そういう新線を建設することが全国の乗客に直接的に利益があるならば、これは電電公社の料金と同じです。自動化することは利益があるのだから、いま使っている人が二割ぐらい余分に料金を払ってもいいじゃないか、こういう考え方をしております。ですから、これからいっても、私は相矛盾すると思う。  次の問題に入ります。次は、新幹線の高架下の管理の状態であります。新幹線の高架下は、審議会の答申に基づきまして、弘済会を中心として、この高架下株式会社ができて、そこで設備をして貸せという貸し方になっているわけであります。しかしいまの状態を見てみますと、東京中心としたところはともかくとして、いなかのほうではまだあいているわけです。ペンペン草が生えて、あのままほっておけばまた不法占拠されるのではないか、こう思うわけです。いろいろ様子を聞いてみると、いや高くて借りられない。国鉄は高利貸しみたいなものだ、こういう話をされているわけです。いろいろ聞いてみますと、建設のときの用地から何から計算をしてみますと、それだけの金額になるそうですが、遊ばしておいても収入にならぬわけです。ですから、商業ベースあるいは採算ベースを考えながら、まわりのことをも考えながら、その場所場所によって料金を策定をして貸していくほうが、国鉄は利益だと思います。ほっておくよりもいい、そういうふうに思うわけです。そういう点で、私はひとつ再検討をしなければいかぬと思うのですが、その点いかがですか。
  49. 石田禮助

    石田説明員 この高架下の問題につきましては、かつては、国鉄は非常に高い、利用者がないということで、議会で盛んにいじめられたものなんです。その反動で今度は安くなった。それで、その反動というと変ですが、要するに今度はこれを第三者にまかせて、よく地元のレートを勘案して、適当なレートで貸してやろう、こういうことで、第三者の会社をつくりましてやった次第でありまして、いまのところでは高くて借り手がないということでありますが、これは勝澤さんが御心配にならぬように、いまに借り手がだんだんについてくると思います。決してその点は御心配はない。
  50. 田原春次

    ○田原委員 議事進行。先ほどから聞いていると、石田総裁は、二度にわたって、議会がいじめていると言っているけれども、不謹慎なことばはやめてもらいたい。われわれは事実を追及するということで、ある個人をいじめているわけではないから、そういうことばはやめてもらいたい。
  51. 吉川久衛

    吉川委員長 田原君の御発言に対して、石田総裁、お答え願います。
  52. 石田禮助

    石田説明員 これは私の生まれつきですね、粗にして野なんで、どうも言うことが少し粗なんです。これは決して議会が国鉄をいじめておるというような、そういうふらちな考えは持っておりませんので、その点はどうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  53. 田原春次

    ○田原委員 それなら聞きますが、国鉄のサービス、国鉄が使用する食堂等のサービスは、なってないところがたくさんある。そういう問題についてはちっとも触れていずに、議会で、国鉄の鉄道行政予算構成等に関していろいろ質問すると、いじめていると言っている。これはもってのほかで、ことばは粗野であっても、慎むべきところは慎まなければ。速記録に載るのだから。  私はいま一つ質問しますが、一般国民として一番関心を持っているのは、乗客のサービスの問題です。直営であろうと、間接であろうと、サービスの問題です。特に、最近、気をつけて調べておりますが、食堂のサービスが最もよくない。これは上り下りの、「ひかり」「こだま」にしても、月に四回平均乗って、実際に知っております。また、上り、下りの特急の食堂もそうであります。「ひかり」及び「こだま」の朝食では、メニューには朝食二百円というのが書いてあるけれども、ただの一回も出したことはありません。午前六時、上りの京都発の「ひかり」で何回もありますが、売り切れました、売らない。それで、自分のほうで出しておるコーヒーとか一品を出すだけで、定食の二百円のはただの一回もありません。こういうことについて、もう少し調べなければいかぬ。それから今度は、上り下りの特急です。東海道線でいいますと、「あさかぜ」「ふじ」、これらについては、朝食の和食はほとんどないのです。朝食開始の六時、六時半に行っても、もう売り切れましたといって、売らない。洋食は売ります。おそらく洋食はもうかるのだろうと思う。しかし、明らかに定食の和食の時間があるにかかわらず、ほとんど売らない。これは全線ほとんどそうです。私は月に平均四回往復して、経験を持っております。どの会社、どの請負会社と言いませんが、全体に関して、そういうふうになっておる。あなたは国会議員がいじめると言うけれども、われわれは国鉄にいじめられているかっこうになっている。独占価格であって、そうして売り切れましたというのだから、だめだ。だから、これは、石田さんに聞くか、常務理事にするか、列車課長か、知らぬけれども、厳重に戒告しておきます。これはいじめるのではありません。事実を追及するのです。これに対する態度を聞かしてもらいたい。
  54. 石田禮助

    石田説明員 国鉄のサービスの改善につきましては、できるだけこれを改善するということにつとめておるのでありまするが、個々にわたってはお気に召さない点もあると思いますので、こまかい点につきましては常務理事から説明いたさせます。
  55. 今村義夫

    ○今村説明員 列車内の朝食につきましては、これはもちろん私どもとして重大な関心を持って指導しているわけでございますが、御指摘のような点もあろうかと思います。私ども、実は新幹線の定食態勢につきましては、いろいろ内部でも、いまのような態勢がいいかどうかということにつきましても検討をいたしておりますが、現在の設備におきましても、はっきりメニューに書いてあるものは絶対出すということで、やかましく言っておるところでございますが、ただいま御指摘ございました点は、また後ほど食堂業者に当たって、十分検討につとめたいと思います。  御承知のように、私ども運賃値上げをしていただきまして、国鉄のサービスはもとより、そういう朝食その他、あるいは売店のサービスということにつきましても、ぜひともいままでよりもよくするということが当然のことだ、それがむしろ運賃値上げに対する国民の皆さまへのお返しだというふうな気持ちで指導しておるわけでございまして、一挙にはまいらないかもしれませんけれども、そういう気持ちで指導しておることだけを申し上げさせていただきます。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと関連しまして、総裁に一点。いまの問題ですけれども、実は食堂とか食堂車の問題、これは非常に重要なことでございます。まあ総裁はこまかいことのようにお考えになっておるかわからぬが、総裁みずからやはり乗って、食堂で食事をして、一番安いものから一番高いものまで、事実上やはり体験なさることが必要でございます。私は、昔、宝塚-大阪間の私鉄を始めた小林一三さん、あの方が、最初に大阪から宝塚までの小さな電車を走らしたときに、絶えず自分は立って、そうして運転手、車掌のサービスぶりを見て、それから会社に出勤して、きょうの様子についていろいろと批判をしたという話を聞いている。やはり総裁は、そのような点については、こまかい行き渡った監督、監視は、必要だろうと思う。あなたは御承知じゃないかもしれませんけれども、たとえば一本の牛乳を食堂で飲めば五十円こえるのです。小さな、二百CCですか、牛乳一合ビンですね。あれは、御承知だと思うのだが、百姓は七円で出しておるのですよ。格別に加工しないのです。持ってきて、あたためて売っているだけなんですよ。それは車両の借り賃だとか、サービスについてのいろいろな経費は織り込んでいるとは思いますけれども、いずれにしても、経済主義とか合理主義とかいうことに徹しようというあなたの立場としては、そういう点は、安く一番よいサービスをするということを具体的に実行しなければいけません。これはやはり営業主任、常務理事にどうとかいう問題ではなしに、国会で問題になった以上は、あなた自身が乗って体験せられて、改善せられるところがあれば具体的に措置をする、そういうふうにせられることを、特に御希望申し上げておきます。
  57. 吉川久衛

    吉川委員長 白浜君、関連を許します。
  58. 白浜仁吉

    ○白浜委員 それでは、御指名がありましたので、私は逆な立場で、国鉄に、サービスの点についてお考えになったらどうかということを、実は提案したいと思います。  これは、私は実際に経験をしたわけではございませんが、最近、私の非常に信頼する友人が諸外国を回って帰ってまいりました。そこで、日本のいわゆる独占企業といわれる国鉄のサービス問題、地下鉄その他のサービス問題について、非常に示唆に富んだ意見を、私の友人から承る機会がありました。そこで、じっとその話を承って、私が考えましたのは、あまりにもサービスということを取り違えて、サービス過剰になっておるのじゃないかという気が実はいたすわけでございます。いまの食堂問題にしましても、利用する人は少数でございます。私に言わせますならば、三時間か四時間というところは、水を飲むところを十分あんなに用意しておるのでございますから、私はむしろ食堂車は廃止されたらどうかという意見でございます。私どもは、たまたまビュッフェなどに参りますと、相当酒を飲んだりなどしておりまして、食事をしようとしても、立つ関係でなかなか食べられません。そういうようなことをやるくらいならば、むしろ三、四時間はがまんしていただいて、水でも飲んでいただいて、そうして旅行していただく。むしろ長距離の鈍行なり一般急行なりというものについては、昔式の食堂を用意して、そうして乗客の便利をはかってやるというふうなことが徹底していいのじゃないか。  一つの例を申し上げますと、最近フランスの地下鉄その他を見て帰った私の友人のことばでございますが、一万円札を出して百円とか二百円とかいうふうな切符を買うような者には、初めから売らないのだそうでございます。ことにフランスあたりの一般のバスなんかでも、おばあさんみたいな非常に太った豪傑がでんと入り口に一人すわっておりまして、ただつり銭の十円とか二十円とかいうものだけで間に合うものだけを用意しておりまして、千円札を出して二十円ぐらいの切符をくれといった者は、初めから乗せないのだそうでございます。やはり国の企業でございますから、十分節約できる面は節約して、お互いに自分たちの鉄道だ、特定の利用者だけが利益を得る、いばるという、そういうふうな考え方を、この際国民全体でやはり反省して、そしてほんとうに利用者の利便になるようなこと、お互い利用する者が自主的に、そういうような点は協力するというようなサービスのしかたもあっていいのじゃないかと私は考えておる一人でございます。したがいまして、従来サービスといえば何でもかでも丁寧にして、人を何十人でも何百人でも集めて、口に入れるようにして食べさせる、そういうふうなサービスだけがサービスじゃないと私は思うのでありまして、先ほどからほかの委員の諸君も言っているように、冗費の節約は節約で、利益をあげるところは思い切って利益をあげて、困っている地域の路線の敷設というか、新線の敷設ということによって、前向きに地方の開発をやってもらうというようなことで、サービスというものを一度考えてみられる御意思はないかどうか、私はこの際、総裁にお尋ねしたいと思います。
  59. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  たとえばビュッフェの問題でありますが、はたして東京-大阪間にビュッフェを置く必要があるかどうか、あれはやめてしまって、むしろ乗客の乗る場所をふやしたらどうかというような議論もあります。それからまた最近は、「こだま」のほうに対して、一等車を二両もつけるなんということは最も不経済なことだ。現に一等車にはろくすっぽ乗っていないじゃないか、それなら一等車は一両にしてしまって二等車をつけたらどうだ――ただそれについては、急にやるということになると、車がありませんからやれませんが、そういうぐあいに、私どもはどこまでも低姿勢な気持ちを持って、お客さんの申されることをほんとうにまじめに考えて、サービスを向上するということを考えておるのでありまして、決してあなた方のおっしゃることを馬耳東風にやっておるわけじゃないのであります。こういうことはぜひひとつ御了承願いたいと思います。  それから、さっきの質問者のお話でございますが、あなたのおっしゃることはまことにごもっともであります。われわれはどこまでも、やはり国鉄は国民の国鉄、それからして、できるだけサービスを改善するということについては最大の努力をしておるつもりであります。しかし注文があまりに多くて意見が一致しないものですから、その点について、ある人には満足を与え、ある人には不満足を与えるというようなことがありますが、これはひとつ、われわれが最も中庸と思われるサービスの改善ということにできるだけの努力をいたしたい、こういうことで考えておりますので、どうぞ御了承願います。
  60. 吉川久衛

    吉川委員長 総裁、時間がありませんから、簡明にお答えをお願いします。
  61. 田原春次

    ○田原委員 関連して。  私は白浜君の御意見に賛成です。したがって「ひかり」「こだま」のビュッフェを廃止することに賛成いたします。それから長距離特急車の食堂も、いまのように八種類も九種類もの種類を用意せぬで、一品料理でいいと思うのです。なお、酒を売らぬことも賛成です。車内で酒やビールを売らぬようにしてもらいたい。そういう簡素化はけっこうです。そして書いてあるものだけは必ず用意するというようにしてもらいたいと思います。
  62. 白浜仁吉

    ○白浜委員 さっき私が申し上げたことを、総裁は少しお取り違えになっている点があるのじゃないかと思いますので、あらためて御質問申し上げますが、私はあまりに国鉄が親切にしよう、しようとして、そういうことが非常にたくさんの人を要する。こういうような時代でございますので、国民お互いの国鉄だ、しかもたまたま利用する者は一億の全部ではないわけでございますから、一日の乗客の数も限られております。したがいまして、これは皆さん方が一生懸命努力してつくった鉄道でございますから、それを利用するのはやはり国民全体の鉄道を利用さしてもらうのだから、利用する者も、その恩恵を感じて協力しようじゃないかという気持ちで、サービスというものも、国鉄側が国民全体を代表して、その限度で押えるべきものは押えるべきじゃないか、勇敢にやるべき点があるのじゃないかということを、私はざっくばらんに申し上げたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げたように、短距離の食堂車などはあんなにりっぱな水を飲むところも用意してくだすっておるのですから、水でがまんしてください、どうしても要るものなら自分で持ってきてくださいということくらいに徹しても、りっぱなサービスじゃないかということを、私は意見として申し上げたわけでございますから、どうか、総裁はじめ皆さんが非常に苦労しているということを、私は高く評価していないというわけでは決してないのでございますので、そういう意味で再検討を願うようなことがあれば幸いであると、私の意見を申し上げたわけでございます。
  63. 石田禮助

    石田説明員 了承いたしました。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連がだいぶ多く出たわけであります。それで、いま食堂車の話も出ておりますけれども、これは私はこう思うのであります。国鉄の担当者、責任者というものの、業者の実情を無視した指示、指令というものがかち合っている部面がときどきあるわけです。それは私は新幹線にしょっちゅう乗っておりますからわかりますけれども、たとえば静岡-東京間で、お客が五人か十人しかないようなのが食堂車がついておる。あるいは弁当が二つか三つしか売れないことがわかっておるのに、弁当屋が朝、超過勤務手当を払って二人でも三人でも従業員を出さなければならぬ、そういう点がからみ合っておるわけです。ですから、それがたまたま二百円の定食を売るよりも三百円、四百円になるようなものを売ろうじゃないかというような形になるわけです。それから汽車に乗っておっても、弁当は売るが、お茶は、あとで売りに来ますといって、あとで売りに来ない。それは弁当のほうが率がいいでしょう。お茶のほうが率が悪いでしょう。ですから、そういう点で、業者から見た営業政策と国鉄監督するものと食い違っておるわけです。国鉄のほうが言ったことを聞かないで反対意見を言うと、なかなか国鉄はうるさくて官僚的ですから、業者はなかなか言わずに泣き寝入りをしておる。そのしわ寄せが、弁当を売ってお茶を売らないようになってみたり、あるいは定食を売らずにもっと高いものを売ってみたり、実はこういう形になっておるわけです。結局、それはどこにしわが寄っていくかというと、従業員の労働条件というものが一体どういうようになっているか、ここに問題が出てくるわけです。ですから、それを総合的に、たとえば鉄道弘済会のように、こっちのほうで利益をあげましょう、あげた利益はこっちのほうで使いましょう、こういう調整になっておれば、こっちで利益があがるからおまえのほうはいいのだ、おまえは収入をあげなくても、月給はきまったとおりやるのだ、昇給もきまったとおりやるのだ、そうすれば一生懸命やります。売り上げによって自分の月給がきまってくるということになれば、お茶を売るより弁当を売ったほうがいいということになるのです。  それから、御案内のように、新幹線ができたおかげで、もう車外で物を販売するということは不可能になっておるわけです。それを、依然として同じようなものの考え方で、国鉄自体がローカル車をなるべくなくして、新幹線に乗るように乗るようにダイヤを組みながら、今度片方のほうで、売店のほう、業者のほうは、長距離列車がなくなったからもうけが少なくなったということで、いろいろな問題が起きておるわけです。国鉄は自分のことは考えるけれども、自分を取り巻いているそういう人たちのことを考えなさ過ぎるから、それがサービスの低下となっている。国鉄の職員が直接やっておるものについてはサービスがいいわけですが、それを請け負わしている第三者のものはサービスが悪い、こういうふうに言われておるわけです。ですから、問題が出てくるのは、やれ食堂が悪いじゃないか、やれ売店が悪いじゃないか、売り子が悪いじゃないか、こういうことに実は出てくるわけです。ですから、そういう点は、もう少しその実情――働いている人に聞けば一番よくわかる。私はしょっちゅう――向こうもひまで、静岡から、何も売れないのが行ったり来たりしているわけですから、だれかいいお客を取っつかまえてというので、来たたびに買いながら話を聞いておるわけですから、不満がわかるわけです。そういう点で、国鉄自体も、ものの考え方が、新幹線ができたおかげで変わっておるわけです。静岡の旅館なんかは、国鉄のおかげでもってこのごろは減収だ、新幹線なんかできたおかげで損をした。こういうお客の流れが変わっておるわけですね。流れが変わったのに従って、国鉄自体は列車のダイヤもいろいろ変えているわけでありますけれども、そのまわりが実は変わっていないわけでありますから、やはりまわりについての変わり方も、国鉄自体が考えなければいかぬ。私はいつかビュッフェ、食堂車の採算を持ってこいと言って、持ってきましたけれども、あの食堂車、ビュッフェで、もうけているのは一つもないわけです。全部損をしている。欠損でもこれはやらなければならぬ。こっちをやらなければ、こっちのほうでやらしてもらえないから、有名税だけ払っているのだというのもあるわけであります。ひとつそういう点までも十分お考えをいただかないと、部分的に、ものをこうせよといっただけでは直らぬわけでありますから、その点はよく御検討いただきたいと存じます。総裁、答弁が長くなるから、けっこうです。
  65. 石田禮助

    石田説明員 ちょっと私から……。勝澤さんのおっしゃるようなことは、始終お客さんから申してくるわけなのでありまして、私どものほうとしては、そのつど関係者に注意をし、またわれわれとしても、是正することはいたしておりまするが、注文があまりに多いので、一体どの注文を受けたらいいか、これはなかなかむずかしい問題です。しかし、これはよくあなたのおっしゃることを考えまして、御指摘のサービスの改善ということに対しては最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、さっきの続きで、今村常務にお尋ねいたしますけれども、新幹線の高架下の問題です。いま総裁が言っているような形じゃ解決しないのです。総裁実情をあまり知らないのですよ。私のほうがよく知っているわけです。私自体が、新幹線の高架下を一体どういう計算をするのだと言ったら、実情に合わないのです。合わないからほったらかしになっておるわけです。ほったらかしになっているから、鉄道はそれほど余裕があるのかなと言われるわけです。もう少し有効に利用しなければならぬ。それを安く貸したためにそれが永久になるかといえば、いまの貸し付けの形で別に差しつかえないわけでありますから、それは、適当な料金の値上げというものは可能になっているわけでありますから、そういう点は私は十分検討しなければならぬと思う。常務、どうですか。
  67. 今村義夫

    ○今村説明員 先生お話のように、高いという話はだいぶ私どもも聞いております。ただ御承知のように、私ども、特に新幹線につきましては、あれだけの高速列車で走って、多くの人命を預かっておるわけでありますから、運転保安の問題を一番重要視しておるわけであります。したがって、その造作につきましても運転保安に危険のない造作をしなければならぬということで、普通のさら地に建てるよりも高くなるということは当然のことでございます。それからあと用地の問題なんかにつきましても、付近の近傍類地の価格ということで、土地評価委員会にも出しておるわけでありますが、こういう問題、いろいろ問題はあるけれども、適正なる値段ということで努力しておるわけでございますけれども、若干実情に合わない点があろうかと思いますので、そういう点につきましては今後再検討する、ただ私ども一番問題は、運転保安の問題でございますから、安く貸して、運転保安に支障のあるような入居者が入ってこられると困るので、むしろそういうものを厳格に選定いたしまして、そういう危険がないように、もしそれによってかりに若干のあき地ができましても、その点はやむを得ない。むしろその点は不法占拠がないように監視するということのほうが重点ではないかというふうに考えております。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次に、電気あるいは施設関係工事の入札は、原則として競争入札という制度が行なわれておると思うのでありますが、競争入札なり随意契約の比率といいますか、状況、それから特に車両等特殊なものの購入が行なわれておるわけでありますが、こういう物品購入の契約はどういうふうに行なわれておりますか。担当者から……。
  69. 仁杉巌

    仁杉説明員 契約は、原則は公開入札ということでございますが、いろいろ技術的の問題もございまして、指名入札並びに随契というものもかなり行なわれております。それで、請負契約金額が二百万円以下のものは随意契約ということになります。それ以外は指名または公開入札ということに、工事関係ではいたしております。
  70. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 資材の購入につきましても、一応原則は公開競争入札ということが法律にあるわけでございます。しかし政令その他で、それの例外が認められております。私どものほうとして、金額のこまかい数字は持っておりませんが、金額で申しますと相当大きな部分、むしろ先ほど先生のおっしゃいました車両をはじめといたしまして、非常に金額の張るものについては、現在随意契約ないしは指名競争ということをやっておりますので、金額的に申しますと、むしろ法律上の例外に当たるものが多い。件数で申しますと、こまかいものは公開でやっております。件数において相当ございますが、そういうかっこうになっております。  実は、公開競争入札というものが、理論的には非常に公正であるということがいわれるわけでございますが、実際にやってみますと、必ずしも理論どおりにはいかない、また買う側と売る側とのどちらに主導権ができるか、また高度の技術を要するものについて、長い間にいい品質のものを確保していく場合にはどちらがいいかというような点から考えますと、いろいろ問題があるわけでございます。御指摘のような、車両につきまして随意契約をやっておるというのは、いま私が申し上げましたような随意契約のほうの利点が多い、随意契約と申しましても、それに伴う弊害を除去する手を十分に考えれば、そのほうが効果があがるのじゃないかという考え方から、そういう形をとっておるわけであります。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、この入札の形式ですが、いま豊原常務が言われましたけれども、公開競争入札、理論的には正しいけれども、必ずしも現実に合わないということ、私もそういうふうに思います。むしろ私の経験から言うならば、適正な原価計算ができるならば、随意契約のほうがよりいいものができる、私はこういうふうに思っております。そこで、適正な原価を求める作業というものは、よほど厳格にやらなければならぬと思う。その点は、私は電電公社にも申し上げておいたわけでありますけれども、電電公社の購入物品は、約九割、あるいは多いものは九割五分以上、随意契約がなされておるわけであります。これを公開入札にせよとは私は言いませんけれども、その場合に原価計算というものをよほど――机の上だけでなくて、現地まで行って管理監督するということも、私は指摘をしておるわけでありますが、また会計検査院にも、私は特に、たとえば防衛庁関係飛行機あるいは艦船については、やはり防衛庁の監督官だけでなく、会計検査院としても特別の監査をすべきではないだろうかと指摘をいたしておりますが、法制の関係でいろいろ問題があるようであります。今度は、その会社自体が国鉄に依存度がどのくらいあるのかという点も一つの問題になると思います。たとえば、それは工事関係でも同じです。電気関係業者でも同じです。電電公社でも約八割から九割くらい電電公社に依存をしておる業者があるわけなのです。ですから、その依存をしておる業者の特殊技能というものもあると思うわけであります。またそういう点にはなおさら、入札のあり方、原価計算のあり方というものについては、厳重な監視をお願いしたいと思います。特に会計検査院から指摘をされた事項を一つ一つ見てみましても、その業者というのは国鉄に関連度がかりに高いということになると、その部分だけでなくて、相当ほかのものについても疑惑を実は持たざるを得ないわけであります。かりにそれが随意契約で行なわれたとすると、なおさらです。あるいは競争入札で行なわれたとしても、今日の事態からいえば、それが随意契約と同じような状態にあったのかもしれないわけですから、そういう点で、物品の購入なり、あるいは電気あるいは施設工事その他の関係のものについては、これから山陽新幹線が出るわけでありますから、山陽新幹線工事の中では特殊的なものが多いわけでありますので、特に注意をしていただきたいと思うのであります。  それと、もう一つ申し上げておきたいことは、国鉄のいままでの東海道新幹線の経過を見てみますと、モデル設計から設計変更というのが相当あるわけであります。ちょっと忘れましたが、たしか横浜を中心としたところで調べたところによりますと、十数回設計変更をしたのがあるわけであります。この間、東京の首都高速道路公団の設計変更の状態を調べてみましたけれども、オリンピックでこまかく分けましたから設計変更は少なかったので、あれはせいぜい五回程度だったと言われております。事実かどうか、私もよく聞いておりませんけれども、出てきた資料には、そういわれております。ですから、私は国鉄の場合の設計変更というのは、ある限度の設計変更はいいとしても、あまりにも多過ぎる設計変更というのはよほど研究しなければならぬ問題だと思います。佐久間ダムをつくった間組ですか、最初の入札は勝ったけれども、あとの設計変更によって元が取れたという話まで出るわけであります。ですから、そういう点で、やはりモデル設計を出す段階で、設計変更というのはできるだけ少なくしていくということを、むろん考えておると思いますけれども、工事を早くやらなければならぬということからいって、やはりものごとがおくれるとどうしてもそうなりやすいわけでありますから、私は特に、この契約関係につきましては慎重な考慮を払っていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つの点を申し上げておきますけれども、これは建設省でもあるいは農林省でも、ほかも全部同じなのですけれども、一体どこまで国鉄として下請を許すべきか。いま大手が引き受けます。必ずそれが下請へ出ております。子請、孫請、その下まで受けておりますけれども、やはりこれはある限界まででとめるべきじゃないかと思うのです。一つの工事が何々建設へ出る、その建設が今度は下請へ出す、その下請が資格があればいいですけれども、またその下へ出す。極端なのはその下まで出している、こういう例があるわけであります。これは私は具体的に申し上げませんけれども、やはり国鉄としては特に、建築でも工事でも、あるいは電気の工事でも、せめて国鉄が発注をしたその下あたりで工事が行なわれる程度にしないといけないのじゃないだろうかと思うのです。こういう点は特に国鉄中心に行なっている業者については、やはり国鉄として十分お気をつけて、せめて子請くらいですか、その孫ではちょっと無理ではないだろうかと思うのです。そういう点についても、ひとつ御検討を願いたいと思うのです。
  72. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいま勝澤先生からいろいろ御指摘がございましたが、積算の方法その他につきましては、いろいろ会計検査院等からの御批難を受けないようにということで、かなり意を用いまして、実は昨年から、積算関係に特別なる室を設けまして、そこを中心にいたしまして、いろいろ検討をいたしております。これは、一方におきましては、工事量が非常に増大するということによります積算業務の簡素化ということもあるわけでございますが、簡素化するために楽になって、皆さん非常にむだな金を使っておるということはもちろんあってはならないということで、二つの面からいまいろいろ検討させておる。大体昨年度であらましのものができました。今年度一ぱいで大体かっこうができると思います。なおよく会計検査院その他にもいろいろ御意見を伺いまして、むだな金を使うということのないように、万全を期してまいりたいと思っております。  それから、設計変更のお話がございましたが、これは建築その他におきましては、わりあい状態が確定いたしておりますために少ないのであります。土木工事は、御承知のとおり、トンネルあるいは基礎あるいはこまかい設計等に基づきまして、どうしても標準のかっこうではできないというところが多々出ますので、設計変更が非常に多くなっておるということであります。先生から御指摘がございましたのは、一つには新幹線の場合など工事を急いだということで、かなり当初の工事の出し方が荒かったという点もございますが、これはいろいろの点から反省をいたしておりまして、できるだけそういうことのないように、やむを得ざるもの以外はなるべく契約を変えないというような方法で指導しております。また今後も注意してまいりたいと思っております。  次に下請の問題でございますが、先生指摘のような事態が全くないということではございません。過去において幾らかそういう面もございましたが、少なくとも大業者なり、あるいは国鉄中心の業者というものが、上前をはねてどんどんまる下にあげるということは絶対に許さないということで、現地指導いたしております。まる下というふうな事態は現在ほとんどないと考えております。ただ部分下請というのは、これは電気あるいは土木建築の建設業というものの特殊性からいきまして、どうしてもある程度はやむを得ないと思います。それが、先ほど申しました一括まる下が何段にもなっておるというようなかっこうは絶対に許すことができないというので、現地に対しまして十分に監督を厳重にするように、現在もいたしております。先生から御指摘がございましたが、今後も、この点につきましても十分監督してまいりたいと思っております。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最後に、構内営業といういまの扱いですね。こういうあり方が一体どうだろうかというふうに思うわけであります。いまの構内常業のやり方というのは、御案内のように、民衆駅というような形で建設をさせて、そこで構内営業をさせる。これと似たような形が国際観光会館というような点にあらわれて、いま国際観光会館が、家賃ですか構内料金の値上げですか、これで、訴訟を起こしておるわけでありまして、いまの見通しを私自体が考えても、民事ですから相当かかるというふうに考えてみて、そういうたてまえから、たとえば今度の高架下の貸し付けのやり方などについても、検討を加えるべきではないだろうかと思うわけでありますけれども、やはりこの際構内営業というものの貸し方、ああいう貸し方でいいのかどうなのか、これは検討しなければならぬのではないだろうかと思う。それと比べて、民衆駅というような取り扱いもどうだろうか、こういうふうに思うのですが、そういう点についてのお考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  74. 今村義夫

    ○今村説明員 お話のとおりに、現在の構内営業というものは、あらゆるものを一本でやっておりますために、若干ケース、ケースによって問題がある点はあると思います。しかし、私どもいまのところでは、民衆駅方式を高架下の問題にすぐ結びつけられるかどうかについては、若干疑問がございますので、その点につきましては、今後また検討をいたしたいと思います。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、最近民衆駅をつくりたいという動きがあるわけであります。いまのところ、やはり国鉄はいままでと同じような形で民衆駅方式というものを進めていくのですか、あるいはまた、国鉄独自でこういう問題については考えていくのですか、そういう点については、いまどういうふうにお考えになっておりますか。
  76. 今村義夫

    ○今村説明員 民衆駅方式は、御承知のとおりに、国鉄資金事情からいきまして、独自で改築ができないので、便法として最初採用されたと思うのでございますが、その後、地元のいろいろな要望からいたしまして、最近では、あの駅が民衆駅としてできたから、うちも民衆駅でやってくれというような、安易な気持ちに流れているのではないかというふうに考えられます。したがいまして、民衆駅方式自体を、私どもこの際再検討すべきじゃないかという点と、それからもう一つは、たとえば東京だとか上野だとか大阪とかいうような大きな駅につきましては、民衆駅方式でなくて、やはり国鉄独自でやるべきではないかという考え方もございまして、いろいろいま、そういう問題については再検討をしている段階でございます。
  77. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大阪だとかあるいは上野だとか、私たち考えなければならぬこと、あるいは国鉄自体としても考えなければならぬことがいろいろあると思いますが、私はやはりいまの八重洲口の状態を見てみますと、ああいう方式よりも、国鉄自体が中心になってものを考えていかないといけないんじゃないかという気がするわけです。駅があるのかデパートがあるのかわからない。駅の中へ入ればなかなか不便で、とにかくいなかの者ではわからない。もう少しすっきりした駅で、そして駅以外のものがあるとするならば、やはり国鉄中心になってものを考えられるシステムにしないと、いつの間にか、国鉄なのかデパートなのか、あるいは売店なのかわからなくなってしまう。そして国際観光会館と同じような形にでもなってしまったら、これはたいへんなことだと思うのです。ああいう形で、訴訟がこれからかりに続出するということになったら、これは国鉄としても相当考えなければならぬし、われわれ国会としても、ああいうやり方については禁止をしなければならぬと思うのです。そうしなければ、払わないで何年たつかわからないわけでありますから、そういう点は、先般ここへ国際観光会館の小川社長に来ていただいて、お話をした経過がありますので、これ以上あの問題は申し上げません。しかし、いまのままで推移するとするならば、私はもう一度この問題を取り上げてやらなければならぬ。裁判の見通しを待つなんというようなことで、あの問題は片づけられないのではないか。そういう点は、国際観光会館にも言わなければならないし、国鉄考えてもらわなければならぬ。会計検査院のほうにも、私は、この問題については検討していただこうということで、お願いをしているわけでありますから、ひとつこの問題を契機に、特に構内営業のあり方という点、民衆駅問題というものについては、新しい時点に立ったお考えを要望いたしておきまして、私の質問を終わります。
  78. 吉川久衛

    吉川委員長 中村重光君。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 今村さんにお尋ねしますけれども、さっきサービスの問題が取り上げられた。その際、あなたが、国鉄の運賃の値上げに対して、食堂の例を引かれて、サービスをよくすることが乗客にお返しすることになるのだ、そういう答弁をなさった。今度大きく国鉄運賃の値上げをされたわけです。それに対して、特に国鉄として、サービスの改善に留意されて、具体的に何か実施された事例があるのか。船賃の場合にしてもあるいはバスその他、もちろん値上げをやって、直ちに目につくようなサービスの改善がすべて行なわれたということはなかった。特に私企業の場合は、そういう点に留意をしているということがうかがわれるわけですが、国鉄としては、特に独占企業であるという点から、特別な配慮がなされなければならない、私はそう思うのですが、その点はどのようなことを実施されたか、具体的な事実があればお答え願いたい。
  80. 石田禮助

    石田説明員 今度の国鉄の運賃値上げというものは、もともと国鉄の運賃は、いままで押えに押えられた結果、非常に安過ぎる、世界で一番安い運賃だ、それで一方にしかも通勤通学の問題を見ると、御承知のとおり、ある場所においてはこれはもう全く交通地獄のような状態になっている。こういうことはぜひとも改善せにゃいかぬ、改善するについては、借金をもってしては利息の金は払えぬ、それで元金の償還もできない、自己資金をもってやらにゃいかぬ。自己資金をもってやるにはどうしてやるかというと、政府の出資かあるいは公共負担の是正か、あるいは運賃の値上げかということになってくるわけでありまして、そのうちでもってまずやるべきものは、合理的な運賃の値上げ――運賃の値上げじゃなくて、運賃が安過ぎるからその是正をするのだということで、この前の国会でも申し上げた次第でありまして、国鉄がいまのように、終戦後一向みんなにかわいがられないで、出資を非常に少なくしたために輸送力も一向ふえぬ、輸送需要に対して合わぬ、しかも過密ダイヤでもって非常な危険がある、そういうようなことで、ひとつこれは輸送力をふやし、また輸送の安全をはからねばならぬぞというようなことで、そのうちでどうしてやるかということになると、自己資金をもってする、やはり運賃値上げということにしなければならぬ、こういうことにしたわけであります。別にこれがために――サービスをよくするということは当然のことでありますが、まず第一番の大きな問題は、輸送力増強、そうして輸送の安全をはかる、こういうことなんであります。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 運賃の値上げについては、いま総裁からお答えがあったように、また当該の運輸委員会で、あなたのほうでもその問題をめぐって議論をされた。きょうは時間がないので、そのことに対しては私は多くは申し上げない。いまあなたのお答えになったようなことで、世界一国鉄の運賃が安過ぎるのだ、それに対して、どうして安いのかということ等について、いろいろ私なりの考え方を言って議論をしたいと思いますけれども、きょうは省略をします。ただ私は、先ほど来各委員の質問に対して、サービスのことについて、相当あなたのほうでも留意していきたい、なかんずく今村常務理事は、運賃の値上げをした、だからサービスによってこれをお返ししたいのだということを、はっきり答弁された、だからそういう点について了解されておるであろう、また具体的にかねての計画を実施したという事実もあるのではないか、そういう点をお尋ねをしたのだから、それについてのお答えを願えればよろしいわけです。しかしきょうは時間がありませんから、進めてまいりますが、先ほど食堂の食事が高いといったような話もあった。このことは、私は弁当なんかの場合にも言えると思うのです。ぼくは食堂よりも弁当を食べる。ところが、同じ中身で百五十円の弁当と二百円の弁当がある。これは私は適当でないと思う。今村さんはそういう点については十分監督もし指導もしておられると思う。また、お茶もこれは非常に高いのですね。だから食堂の定食ということについて、あるいはその他一品料理というものの価格についても、これは請負業者がやるのだということでそれを放任するということはよろしくないので、やはり乗客は、これは国鉄が経営していると思っているし、また直接経営でなくて請負であったにしても、当然それが妥当であるかどうかということについては、私は是正させる点は十分是正させていく国鉄の義務があると思う。だから、そのことはそれなりに必要なんだけれども、弁当の場合も同じようなことが言える。むしろ私は、弁当というものは特に二等の乗客が多くこれを利用しておられるので、特に配慮していかなければならない。私がいま申し上げたように、同じ中身、あるいは若干違っているかもしれぬけれども、これが百五十円と二百円というように、五十円違うということは適当じゃない。どうしてそういうことになっているのか。あなたのほうの承認というものがなされておるだろうと私は思う。だから、それらの点について、私が指摘したような事実を御存じになっておられるのか。また、お茶が非常に高いと私は申し上げた。おそらく大量生産ですから、あの容器というのは、これは何円かかるか、ほんとうは安いと思う。それが十円とっている。これは勝澤委員から言ったように、弁当とお茶とどちらが利潤があるのかしらぬけれども、いずれにしても高いですね。そういう点はどう調査なさっておるのか。これは適当であるとお考えになっていらっしゃるのか、そこらはどうなんですか。
  82. 今村義夫

    ○今村説明員 最初の弁当の件でございますが、弁当に二百円と百五十円のがあるということは、よく存じております。これは実は、いろいろほかの物価も上がっておりますし、まず第一にお客さんへのサービスということで、安ければ安いにこしたことはないわけでございますけれども、しかし一面その業者の経営ということも考えなければなりませんので、私どもとしては、業者の届け出によって、中身を審査して値段をきめておるわけでございますが、百五十円と二百円のお弁当の中身は確かに違う。いま先生はほとんど同じとおっしゃいましたけれども、多少はそれだけの価値はあるというふうに考えております。大体、年に数回は、私ども各弁当を取り寄せて検討いたしておりますので、そういう点は十分実地に即したやり方をやっております。お茶の問題につきましても、これも高いというお話でございますが、もちろん私どもも、お茶は実は日本人としては、私は相当潤沢に弁当時期には回さなければだめだと思うのですけれども、いままで需要が非常に少なくて、お茶を売るよりジュースを売るというような傾きがございました。その辺を、絶対お茶を売れということで値上げをしたわけでございまして、私ども今後とも十分その点は業者を指導して、どこでお客さまの御要望と業者の経営とのバランスをとるかということは、非常にむずかしいと思いますけれども、できるだけお客さまの御要望も聞きまして、指導してまいりたいというふうに考えております。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 汽車弁ですね。それから売店というのは、これはホーム、駅の構内を問わず、施設利用だと思うのですよ。あれはどうなんですか。請負でやっている。請負というのか、施設を利用させているのだろうと思うのですけれども、業者はあまり変わっていないですね。車内の場合も、日本食堂とそれから都食堂、これは年じゅうこの二つの業者に限っている。それから汽車弁の場合も、ほとんど同じ業者であろうと思うのですが、あれは入札か何かという形で、サービスがよくないようなそういう業者というものを締め出すというような、サービスを向上させるという立場から、そういう配慮というものがなされているのではないですか、どうですか。
  84. 今村義夫

    ○今村説明員 業者の数は複数制をとりまして、お互いに競争しながらやっていく、これによって品質の向上をはかり、サービスの向上をはかっていこうということで、複数制にしておるわけでございます。ただ列車ごとに考えてみますと、その列車に、たとえば日食なら日食ということになりますと、それをほかの業者に変えるということは、これはなかなか実際運用かききませんので――列車を固定しているわけです。ですから、この列車にはこの食堂業者、AならAという食堂業者ということになりますけれども、各列車によってそれぞれ競争ができるように、ABCの、たとえば新幹線なら三業者がございますし、その他の線区でございますと、まだ数業者ございます。それから弁当業者は各地の弁当業者を入れておりますけれども、ただ競争入札ということになりますと、これはもちろん衛生上の問題もございますし、私どもとしては、やはり信頼のおける人でないと相手にできない。それとお客さんに対するサービスの面からいきましても、やはりある程度の資力信用のある人ということになりますので、いままでのようなかっこうで契約をしているわけでございます。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 時間がないから先に進みます。  そこで、石田総裁に伺うのですが、会計検査院から不正事項の指摘がなされている。一兆予算国鉄は目ざしておる大世帯です。件数、金額等において、指摘事項は必ずしも私は多いとは言わない。だけれども、こうした指摘事項というものがなされておるということは、これは好ましいことではない。金額の面においても、相当高額の金額が不当に使用されておるというような指摘もあるわけですが、この点に対して、総裁はどのようにお考えになっておられるのか、ひとつお伺いいたします。
  86. 石田禮助

    石田説明員 会計検査院から三件の注意事項を受けたということは、国鉄といたしましては、実に申しわけない次第でありまして、今後善処したいと思いますが、この詳しいことにつきましては、常務理事から説明いたしたいと思います。
  87. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 いま総裁から申し上げましたように、会計検査院から不当事項として御指摘をいただきましたものが、土木工事、電気工事等についてあるわけでございます。それらの点につきましては、私ども中央で、制度として考えるべきものもございますし、一つ一つの工事につきまして、現地において今後注意すべき点もあるわけでございます。それらの点につきましては、私ども、従来も、一つの不当事項もないようにつとめてきたつもりでございますけれども、まだこういう指摘事項があとを断たないというのは、いま総裁から申し上げましたように、まことに遺憾に考えておることでございますので、今後十分注意いたしたいと思います。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 答弁は、当然そうあるべきでしょう。しかし私はこれを見て、監督指導というものはどうしておるのだろうかと思うのです。購買関係にしても、その品物が違っておって適当でないとか、あるいは品質が非常に悪い、そういうことは目で見ればわかる。だからこの不当事項、いわゆる会計検査院からの指摘を受けたあとで、こうした指摘を受けるような常識で判断してわかるようなものがそのまま納入されておったということに対して、あなたのほうでは係員に対してどのように措置されたか、また業者に対してはどう扱ったのか。
  89. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 いまの御魔間は、車両用信号炎骨の点火装置についてのものであろうかと思うわけでございますが、この点につきましては、ただいま仰せのように、ある車両用信号炎管の部分が、仕様書には青銅鋳物というように書いてあるにもかかわらず、それよりも品質の落ちる黄銅鋳物及び一部可鍛鋳鉄というようなことになっておったわけでございまして、その点まことに申しわけないわけでございますが、これは一見してそういう品質がわかる――非常に専門家ならわかると思いますが、その点を見のがしたということは、御指摘のとおりでございます。ただ、国鉄が購入いたします万般の物について、全部すみずみまで一つ一つについて検査をいたすということになりますと、これはばく大な費用と人手を要するということになりますので、検査の方法はいろんな専門的な研究がございますし、私どもの長い間の経験もございますので、検査のしかたといたしましてはなるべくならば、今後は各メーカーにおきましても品質管理をやり、自社の中で検査もやりますので、それらの点を助長いたしまして、こちらに検査の手がかからないようにというたてまえは、今後ともやっていきたいと思うわけでございます。  本件につきましては、こういう不始末ができましたので、業者からはその差額の金を徴収いたし、またさらにそれに伴う契約違反の損害賠償を取っております。これに当たりました職員につきましては、事情をいろいろ調査いたしましたが、私どもの方針としての検査のあり方、また現にそのものが目で見てわかるわからぬというようなことをいろいろ考えましたことと、将来に対する検査のあり方というものを考えまして、この際は処罰というところまではいたさないで、処置をいたしました。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁を一つ一つ取り上げていくと、いろいろ問題がありますが、時間もありませんから触れませんけれども、いまあなたの答弁で、差額金に対して徴収した、それから契約違反の違約金を取ったということですが、その違約金はどのくらいですか。
  91. 豊原廉次郎

    ○豊原説明員 材質相違に対するもの二百三十九万余円、それから違約金といたしまして千七百四十三万円、合計約千九百八十二万円ばかりを取っております。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 この物品の納入だけでなくて、請負工事の場合なんかも同じだろうと思うのですが、そうした手抜き工事をやったというような場合、当然手直しをさせる、納入業者に対しては、今度の事件で取り扱いをされたような、そういう差額を負担させる、こういうことがあると思うのですが、建設工事の請負なんかの場合も、違約金を取っておるのですか。そういう契約国鉄はなっておるのですか。
  93. 仁杉巌

    仁杉説明員 建設工事の場合には、契約書によりまして、工事工程契約の日時にでき上がらないというような場合には、かなり厳重に違約金を徴収いたしております。  それから、今度の場合、会計検査院からの御指摘がございました防露工事につきましては、業者に厳重に注意をいたしますとともに、違約金と申しまするか、出来形不足と申しまするか、そういうものに対する金といたしまして、総合計で百四十万を徴収いたしております。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 私は、どうしてこういった不正納入業者が出る、あるいは不正工事が行われるのかという、その原因をまず追及される必要があると思うのです。不正業者であるとして、一年であるとか二年であるとか三年であるとか、出入りを差しとめられるというような処置もあると思うのですが、それは業者にとってたいへんな痛手であるわけです。だから問題は、こうした不正業者というものが出ないという予防策というものに、より重点が置かれなければならないのじゃないかと思うのです。そのためには、やはり公正ないわゆる自由指名競争入札といったようなものが行なわれなければならない。そういうことになってまいりますと、業者の数というものも問題になりますね。ところが、国鉄の場合は比較的に業者の数が限られておる。非常に専門的な工事であるというような点もあるだろうと思います。その点はこれは否定できません。だがしかし、限られた業者、しかもAあるいはBといったように、それぞれの業者がランクされておる。国鉄の場合は業者が非常に少ない。したがって、請負業者も国鉄一家的な形があるのではないかと私は思います。そのことはよくない。専門的な技術が必要である工事の施行方法であるといたしましても、やはり業者が国鉄工事をやりたい、指名を受けたいという場合、できるだけ門戸を開放していく。そうして、過当競争という実態におちいることはこれはよくありませんが、しかしそれは予定価格ということがありますから、そういう過当競争というものは行なわれない。しかし国鉄一家的なきわめて限られた業者ということになってまいりますと、どうしても談合というものが中心になっていく。そこに不正が発生していく可能性が私はあると思う。だから、業者に競争意欲というものを強く持たせていくというようなこと等の配慮もなければならないのではないかと思います。仁杉常務が担当であろうと思いますが、その点の配慮はされておると思うのでありますけれども、特にこれらの点に対しての扱い方、考え方というようなものを、この際明らかにしていただければけっこうであると思います。どうなんですか。
  95. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいま御指摘がございました、建設業等におきまして、業者の数がわりあいに限られているのじゃないかというような点でございます。これは中村先生も御承知のとおり、国鉄工事のうち、かなりの部分のものが、現在線に近接して行なわれるというような点がございまして、資格審査上でも特にマル特というようなしるしをつけてございますが、そういう現在近接が可能である業者というようなものの資格を一つ入れまして、指名を出しております。しかし、歴史的に見まして、終戦後は大体全国的な復興ブームに乗りまして、わりあいに国鉄の出入り業者が少なかったのでございます。それがだんだんと世相が回復してまいりますとともに、最近では国鉄工事がふえたというようなこともございまして、各地で参加したいという御希望が強いことは、私もよく承知しております。そこで、私どもといたしましては、各現地の工事局であるとか、あるいは管理局であるとかいうような、計画を直接担当いたします部局に対しまして、いやしくも特殊な意図をもって業者を締め出したというようなことのないように、ということを厳重に注意いたしております。また私も統計的にそれを見まして、必要なつど注意をいたすような処置も講じております。ただ、申し上げましたように、特殊な工事もございますので、なかなかそれが一般の強い熱望にこたえるほどにいっていないのではないかという点はございます。これはひとつ、特殊な工事もあるということをお考えいただきまして、御理解願いたい、こういうふうに思います。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど私も申し上げましたように、特殊な工事がある。したがって、そうした専門的な技術を持つ業者、それは数多くない。そういった業者がどうしても固定されてくるということは、私はやはりこれは否定しないのです。ですけれども、非常に業者の数が限られている。それから一度AクラスならAクラスにランクされると、これはなかなか動かない。ところが、そのことは、BなりCなりにランクされた者も動かない。それで国鉄ではCクラスの人はなかなかBにはならないのだという、あきらめるという気持ちがある。これは私は適当ではないと思うのです。だから、やはり業者には意欲を持たせる。より優秀な技術、それから経営もできるだけ近代化していく。そうしてCよりもBあるいはA、こういう形で、業者が十分充実した形の経営をやっていくということになってまいりますと、どうしてもこうしたいわゆる不正といったようなことには発展をしていかない、こういうことになってまいります。なかんずく、御承知のとおりに、今度中小企業者等に対する官公需の機会を与える法律も衆参両院を通りまして、今度成立をしたわけであります。そのためには、いわゆる一億五千万以下というものは中小企業に発注しなければならぬ、という義務を国鉄も持たなければならないということになりますし、それから、部分発注というようなこともできるだけやっていかなければならないということになってきたわけですから、それらの点についての、ひとつ十分な配慮をしてもらいたい。そうして業者に十分な意欲を持たせて、りっぱな工事施行というものが行なわれるように配慮してもらいたい、こう思います。  そこでお尋ねするのですが、名古屋の、新幹線の盛り土路盤補強工事の問題のくいの手抜き工事、これはたいへんな事件だったろうと思うのですが、私はあれを新聞報道で知りまして、監督なんというものはどうしていたんだろうと思っておったのです。くいが短い、二千六百本のくいを打ち直ししなければならぬ、そのことは、それだけの手抜き工事が行なわれてきたという事実ですよ。先ほどお答えがありましたように一個一個の品物に目が届かないということはあり得るかもしれぬ。しかし、この名古屋のくいの手抜き工事なんということを、どういうことで見のがされたのであろうか。そこいらのいきさつというものもひとつ伺ってみたいと思うのですが、その後、この点については手直し工事をおやりになった。それによって国鉄が直接間接負担された費用というものも相当大きいのではないかと思うのです。業者が手直し工事をやったのだから、直接、工事というものは業者の負担においてされたでございましょうけれども、しかし人的、物的に国鉄自体がやはり相当な費用を使い、非常に大きな犠牲を受けたのではないかと思います。この事件はどういうことで起こってきたか、また監督、指導というものはどうしておられたか。  時間の関係から、私は続けてお尋ねいたしますが、これは指名競争入札であったのか、随意契約であったのか。それから、予定価格と落札価格との間には相当な差額があったのか。業者が、引き合わない、赤字になってしまう、これではたいへんだというので、どうしても手抜きをしなければならぬような状態に追い込まれておったという客観的な事情があったのか。そこいらはどうなんですか。総裁、これは具体的な事例ですから、担当の常務からでけっこうですが、この事件に対して、いろいろ反省された点もあったろうと思うのです。また、その後あなたのほうで反省の上に立って、指示されたこともあったのだろうと思いますから、あなたからもひとつお答えを願いたい。
  97. 石田禮助

    石田説明員 実は、私はあまり詳しいことは存じませんので、これは常務から説明さしたほうがよく御了解になると思いますので、どうぞ御了承願います。
  98. 仁杉巌

    仁杉説明員 昨年十月だったと思いますが、名古屋の小森工務店というのが手抜き工事をしたということで、たいへん皆さま方に御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げる次第でございます。ただいま先生から、どういう事情であれが起こったかということでございます。実は、御承知のとおり、新幹線の路盤が、ことに名古屋付近は砂質の土を使っておりましたので、かなりくずれまして、台風のあと復旧工事がなされたわけでありますが、そのときに、いろいろな業者にその復旧を指名入札で出しております。それで、その落札価格と予定価格との差は、いま手元にこまかい資料がございませんが、たいした金額ではございません。非常に開いて、たたいて取ったというような形のものではございません。九十何%というような形で、かなり予定価格に近いところで落札をしております。  それで、まず第一に、監督はどうしておったかという問題でございますが、御承知のとおり、新幹線の保守というのは、現地の名古屋にも保線所がございまして、そこが全部工事を出したわけでございます。人が少ない、しかも台風で軌道の整備もまだ十分でなかったということで、原則といたしまして、責任施工というかっこうをとりまして、一日に一回ぐらい担当の監督が回るという程度監督であったわけでございます。そこで、まずわれわれとして考えなければなりませんのは、責任施工をさせる以上は、その指名をする業者は、われわれの期待にこたえるような業者を指名するということが原則なわけです。それで、当時、名古屋の保線所長は、小森工務店をそういう適当なる業者であるというふうに考えて、指名をしたわけでございます。小森工務店は、実は年間六、七億をやる業者でございまして、営業年数も非常に長く、名古屋におきましては、地方業者としましてはかなり信用の高い業者でございました。ただ土木工事は比較的少なくて、年間三、四千万円のようでございました。その業者が信用があるということで、地元の中小企業者活用というような意味もございまして、保線所長は期待にこたえてくれるものと信じて指名をいたし、それがとったわけでございますが、当時出されました応急復旧の金額は、いま手元にこまかい資料がございませんが、大体二千万近いものをとったようでございます。そのために、小森の施工能力としては、ちょっとあとから反省しまして、大き過ぎたというふうに私は判断しております。そこで多少無理な下請と申しますか、労務者を急拠集めた、みずからがいつも使っております気心の知れた労務者でないグループを、急拠集めたというような事情があったようでございます。そのために、小森の仕事の中で、それらのたちの悪い労務者のグループが不正工事を行なったということでございます。その間におきまして、労務者と小森の監督者もおったわけでございますが、これも役所と請負というような関係ではございませんで、かなりルーズなところがあったと思いますが、監督者はしょっちゅうはついておらなかったようでございます。ついているときはちゃんと打っているが、ちょっとほかのほうを見ているときには、短く切ってしまうというようなことが行なわれたようでございます。実情はそういうことのようですが、国鉄といたしまして、まことに申しわけなかったと思うのは、小森工務店という業者を非常に信用して、長い出入りの業者であったので、これならだいじょうぶであろうというふうに判断したところに、事故の起こった原因があったようでございます。監督が十分できなかったというのは、台風の直後でございましたので、管内が、土木工事のほか軌道の整正修理というようなことがございまして、監督が十分できなかったという点が実情であるわけでございます。  以上のようなことでございます。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 この事件の上に立って、いまのあなたの答弁は、いろいろ問題点をあげて反省しておられる。その反省の上に立って、監督の面、指導の面、あるいは業者の選定の上に、いろいろと方針を改めるというようなこともされたんだろうと思いますが、そういうことも伺ってみたいということ。  それから、いまのあなたのお答えを伺ってみまして、台風のあとであったという特殊事情で、人手が足りなくて、技術者が足りなくて、十分目が届かなかったということですが、しかし私が申し上げたいのは、こうした、程度の大きい事業ということになりますと、一人の監督が幾つもの現場を持つのは適当でない。やはり一人の監督が必ず工事現場についておらなければならない。そして補助員というものも当然なければならない。小さい地方自治体ですら、それはあるわけです。だから、その点は台風であったからということでは、やはり監督上やむを得なかったということにならないのではないか。特に監督はきちっとそこにつくようになっているのだけれども、そのときはこういう事情でこうであったというなら別ですけれども、どうもその点が、あなたのいまのお答えの中では、はっきりしなかった。それから、見ていないときにはくいを短く切ったんだというように、私はあなたのお答えから受け取ったのですけれども、どうしてそういうことになるのか。あなたの答弁が、私が受け取ったとおりであるとすれば、どうしてそうなるのか。やはりくいというものはちゃんときまっておるから、それをまず現場に持ち込むときには、監督はそれを検査する。そして合格、不合格ということをきめなければならぬ。そうすると、短く切ってもこれは役に立たない。ですから、くいの長さによってもきまりましょうけれども、まず見ていないときに短く切ったということでなくて、くいそのものを検査するということでなければならないのじゃないか。こういう場合のくいの果たす役割りが、施工上非常に重要でありますだけに、そういうことが私はなければならないと思います。そこらはどういうことになっておったのか。反省の上に立って、この後どうしようとお考えになっておるのかということについて、それらの点もいろいろ検討され、新しい考え方というものも実施の上に生かしていかれるであろうと思いますから、その点も含めて、ひとつお答え願いたい。
  100. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいま御指摘がございました、監督がつかなかったのはおかしいというような御趣旨でございました。この点につきましては、現在の国鉄の施設建設の工事等のために、かなり業者に、先ほど申しました責任施工という体制をとらせるような形をとっております。もちろん、これには、ただ何もしないということではございませんで、写真をとる、あるいはあとで非破壊試験を行なって、コンクリートの強度をはかる。あるいはどうしても立ち会わなければならないときには立ち会わせるというような、こまかい規定を設けております。ただこの小森工務店の場合には、私どもも先生指摘のように反省をいたしておりますのは、この保線所というものは、多少工事に暗い連中が多いということもございまして、当時、もう少し近傍の管理局なりあるいは工事局なりから、応援体制を出すべきであったのではないかという反省をいたしております。今後はこういう指導をいたしまして、万遺漏なきを期してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、くいを切ったと申し上げましたが、くいを見ていないときに打つというのはおかしいという御指摘、これもごもっともでございますが、実は実情を見ますと、くいは所定の本数、所定の長さ、これは約二メートル六、七十であったと思いますが、そのものが入ってきておりまして、これは検査をいたしております。ところが、打ちます段階におきまして、一メートルくらい打ちますとぱっと切ってしまう。打ちながら切ってしまう。これは極端な表現をいたしますと、労務者に言わせますと、くいは打つものじゃない、切るものだ、というようなことを、その労務者は言っておる。そういうような実情で、そしてすぐそのくいをどこかにかくしてしまうというようなかっこうです。請負の監督のほうも、私どもいま考えますと、まことにルーズであったという点で、小森工務店はまことにけしからぬとは思いますが、実はそういうことでございまして、監督者が見ておりませんと打ちかけていって一メートルくらい入れて、ぐらぐらしないと、ぱっとそこで切ってしまって、残った切くずは急いで持っていってしまうというようなことで、不正を行なったようでございます。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 くいを切ったという事情はわかったのですが、全くでたらめなやり方ということですね。この後は十分ひとつ注意をして、業者の選定、工事の施行、監督に配慮していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  次に、踏切改良五カ年計画を実施しておられる。これも検査院の指摘事項の中に入っておると思いますが、私はこれを読みまして、どうも常識はずれのような感じを受けるのです。建設省との話し合い、協議が成立をして、初めてこれが実施されるということになるようですが、どうして建設省と国鉄との間の話し合いがこんなに長くかかるのだろう。協議が成立したもののうち、九十八カ所については二十六カ月を要しておる。目下話し合いをしておるもの、未協定になっておるものの中には、三年有余を経過しておるものもある、こういうのです。建設省は道路計画というものがあるわけですから、国鉄計画をしておる立体交差の踏切の工事との間には違いはあるでしょう。しかし、それであるにしても、交通上どうしても立体交差にしなければならないという指定がある。この会計検査院指摘の中にもあるわけですが、中でも交通量が多いものとして指定された百八カ所については、八カ所が竣工しておるにすぎない、そういう現状であるということになっております。それぞれ建設省にしても道路計画というものがあるにいたしましても、人命尊重という立場から、どうしてもこれは立体交差にしなければならないのだという指示がなされておる以上は、両者の間の話し合いが二年も三年もかかるということは、私どもとしては常識的にどうもわからないのです。判断できない。だから、この点に対してどのように考えておられるのか。また二年、三年と長期間をかけなければ話がまとまらないというのはどういう事情であるのか。きょうは建設省からもお見えだろうと思いますから、これは国鉄、建設省両者からお答えを願いたいと思います。
  102. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいまの会計検査院報告中の、立体交差の問題についてでございますが、これは一つは、いなかのほうにおきましては、道路の新線をつくる。あるいは国鉄が新線をつくるというような場合には、まわりの状況がわりあいに簡単でございますので、比較的早く進むわけでございますが、都内とかあるいは大都市付近におきましては、その設計がなかなかまとまらないということが一つの大きな原因でございます。そこで立体交差をするということになりましても、設計ができないと日にちがかかるというようなことがございますが、いままでの実績を見ておりますと、われわれも非常に反省をしておるのでございますが、どうも建設省とわれわれとの間の話が軌道に乗りがたい。基本のルールの考え方はきまっておるのでございますが、こまかい点につきましていろいろ議論がございまして、どうもうまくまとまらないというような場合もございます。それから一方、相当巨額な金がかかる場合には、双方の予算事情ということがいろいろからみ合う場合もございまして、現状では、ここに御指摘を受けたような形で、非常におくれておるということでございます。これらにつきましては、実は踏切道改良促進法等もできまして、いろいろ計画の実施ということにつきましても、法的な規定もございますので、われわれといたしましても、今後におきましては、できるだけ早くお互いに歩み寄りまして、設計をまとめ、費用の分担をきめて、実施に移すということで努力をしていきたいと思います。
  103. 国塚武平

    国塚説明員 建設省の路政課長でありますが、ただいま御指摘の点でありますが、現行の道路整備五カ年計画で、踏切道の改良をいたします個所は、五カ年間で千八十六件でございます。三十九年に完成いたしましたのが百十一件、四十年度に着工中のものが五百三十七件、四十一年度の新規着手は百七十三件と予定しておりまして、本年度の事業を終わりますと、おおむね八〇%程度の進捗になるわけであります。個々のケースをとってみますと、ただいま御指摘のような点があるわけでありまして、私どもが最近調査したところによりますと、やはり立体交差工事の進捗のよくない踏切道の大部分は、実は市街地でございまして、工事規模が大きくなりますと、それに従いまして用地買収あるいは損失補償あるいは工事中の迂回路の建設というような問題がからんでまいりまして、利害関係者が多いために、その利害の調整をはかるという道路側の問題もあるわけであります。したがいまして、これらの点につきましては、それらのことが原因になっておると思いますので、国鉄側とよく協議いたしまして、現在でも、御承知のとおり、建設省と国鉄との協定に基づいて、細目協定等こまかいルールの確立はできておりますが、これを具体のケースに適用いたします場合には、なるべく早く迅速に片づけるように、現在協議会も設置されて開催いたしておりますが、これをさらに強化して、問題を早く片づけるようにするということ、それから、地方にも連絡協議会をつくるということにつきまして、国鉄側と相談をいたしておるわけでございます。今後は事業計画、実施計画予算措置等を考えまして、国鉄と十分連絡調整をはかって促進してまいりたい、かように考えております。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 建設省の説明だと、相当進捗率が高くなったのだ、こういうことです。会計検査院から指摘されたときには、全体計画の三四%、それから予算額の六三%、しかしこれは昭和三十九年度までの五カ年計画の状況である。その次の年度にまた出てくるわけですね。ですから、これはずっとまたおくれてくるわけです。だから、いまあなたが言われたように、いろいろ協議会もあるし、またいろいろ促進するための話し合いも進められておるだろうと思う。思うけれども、現実は会計検査院指摘のとおりです。だからどうしてもこれではいけないのだ。先ほど仁杉常務理事のほうから、いろいろこれが促進についてのお答えがあったが、しかしあなたのほうとしても、これじゃいけないのだとお考えになっていらっしゃると思います。だから、特にこの点は建設省で反省をしてもらわなければならないと思います。やはり人命尊重ということが何よりも優先してこなければならないのじゃないか。あなたのほうで立てた計画というものは、簡単に変更できるものでもないでしょう。しかし、やはり人命尊重という立場からは、その計画も変更していくという積極的な態度というものがなければならぬ。仁杉常務理事は、軌道に乗らないとおっしゃったが、軌道の上を走る列車が、軌道に乗らないのではどうにもならない。だから、軌道を走るのだからどこでもというわけにはいかない。これは一般道路だってそうだろうと思います。思いますが、協議会をつくって話し合いもしておる、しておるけれども進まない。だからこれではいけないのだから、この後は、こういう会計検査院から指摘されておるようなことが解消されるのでなければならぬという、その上に立った何か前進した形のものがなければならない。私はそのことを伺いたいわけです。これではいけないのだから、この後はどうしようとするのか、また、いままでに話し合いがどのように進められてきたのか、そういう前向きの積極的なお答えをひとつ願いたいわけです。
  105. 国塚武平

    国塚説明員 ただいまの点でございますが、やはり鉄道との交差、これは道路と鉄道との両面から考えなければならぬわけでございますので、その計画協議と申しますか、計画を当初立てます場合に、私どものほうの道路整備計画との調整をはかっていくというのがまず第一点だろうと思います。それから、鉄道側のほうからは、それぞれ鉄道の改良計画等の通知も受けておりますので、それらとにらみ合わせながら、実は道路のほうの計画のタイミングと、鉄道のほうの増改築と申しますか、そのタイミングが合わないというところに問題があったように思いますので、そういう計画の調整を相互にし合うという点が第二点と、それから、私が最近調べたところによりますと、やはり地形上の制約がございまして、鉄道のほうを連続立体交差で上げるのがいいか、道路が単独で上げるのがいいか、やはり地形的に判断をしなければならぬ相当むずかしいケースもあるわけでございますので、これは都市計画等の面を考え合わせまして、総合的な方針を早く立てる必要がある、こういうふうに考えられるわけでございます。なお用地取得の困難あるいは沿道住民の説得というような問題につきましても、十分地方公共団体等を指導いたしまして、事業が促進されますように、先生がいま仰せになりましたような交通事故防止対策の重要な一環でございますので、そういう御趣旨に沿いますように、極力努力するよう指導したいと考えております。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 では、時間がありませんから、次に貨物小口輸送のことでお尋ねをするのですが、今度貨物小口輸送をできるだけ早く合理的に輸送していかなければならぬということで、機構を変えられたと思うのですが、この実績はどういうことになっておるのか、私が伺ったところによると、せっかく合理化する、できるだけこれを早期輸送をやるということでやった制度が、結果は逆になってしまった。いままで三日で着いたものが一週間もかかる。一週間が十日もかかるというので、かえってこの制度は大きなマイナスになった、というようなことも伺っております。そういうような非難が非常に高いようでありますが、この点はどういうことになっておるのか。
  107. 今村義夫

    ○今村説明員 御承知のように、小口輸送の改善は、昨年の十月一日から実施したわけでございます。改善直後におきましては、御指摘のとおり、作業取り扱いのふなれとかいうようなことで、かなり混乱したわけでございます。この点は私ども率直に認めざるを得ませんので、この点おわびを申し上げておきたいと思うのでございますが、その後鋭意改善につとめまして、年末輸送は、これは非常にはる時期でございますけれども、これはいろいろな手当をいたしまして、乗り切ったわけでございます。現在におきましては、大体安定をいたしておりまして、従来の小口扱いでございますと、たとえて申し上げますと、汐留―久留米間で五日目の午前に着いておりましたものが、最近では三日目の午後に着いておるというような事例もありまして、大体におきまして、レールの上の輸送は、私はほぼ計画どおりに乗ってきておると思います。問題は、着駅に着きましてからの配達が若干おくれておる面がございますので、この点は通運業者等を督励いたしまして、できるだけ集配能力を強化いたしまして、この改善にあたりたいと考えております。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 この機構を改める前と改めた後との関係は、どういうことになっておりますか。  それから、到着してから、それからがまだうまくいってない、こういうお答えなんです。このことは、今度制度を改めたこととの関係というようなものがあるのかないのか。ふなれであるというような形だけではないのではないかというように思うわけです。私は、これはしろうとだからわからない。わからないからお尋ねをしておるのだから。やはり何というか、朝令暮改というようなわけにはいかないかもしれない。しかし、やったことにどうも間違いがあった、適当でなかったということになると、改めることにやぶさかであってはならないと思う。だから、これは非常な非難があるということは事実です。最近はそういう非難というものは解消したとお考えになっておられるか。それから、改められたこうした制度というものが万全であった、再度これを変更する必要はない、あるいは、変更というともとに戻るというような受け取り方でなくて、これをさらに改善していく必要があるというようにお考えになっておられるか。
  109. 今村義夫

    ○今村説明員 御指摘のとおりに、私が先ほど申し上げましたのはそれでございますが、中には、御指摘のように、まだかなりおくれておるものもございます。したがいまして、この点についての改善をはからなければならぬ点は当然でございます。実はことしになりましてから、実際の動きがどうなったか、改善の前とあとでどう変わったかという実態をつかむ必要がございますので、二月と三月に、長野、仙台発の貨物につきまして、一個一個のあれを実は実態調査をいたしまして、それは大体集計ができ上っておりますので、その具体的な実例をもとに、今後の改善策を考えていきたい。私どもいまの体制だけで十分であるとは決して思っておりません。今後やはりまだ改善を要する点はございますけれども、それかといって、前に返すということは、もう実は不可能でございます。と申しますのは、私ども実はこの点は、サービースのアップと同時に合理化ということもねらったわけでございまして、すでに要員的には配置転換も完了いたしておりますので、前に返すというわけにはまいりませんが、この問題自体の改善ということにつきましては、今後とも努力を続けなければならぬということで、先ほど申しました実態調査もいたしましたし、これの指導にあたっております混載協会その他にも、いろいろ研究をしてもらっております。国鉄と一体となってやっていくという方向で、進んでまいりたいと思っております。
  110. 中村重光

    中村(重)委員 この農産物等の、これは果実なんかも入るのですが、これの輸送について、新たに改善される必要があることを、私は一度進言をした記憶がある。私どもの常識からいいますと、たとえば、果実にいたしますと、鮮度が非常に落ちやすいものがある。それで、その果実の価格というものが、実際は商いのだけれども、鮮度が落ちて、そのために平均をするとむしろ安くなる。ところが、その果実が非常に高いからといって、その価格によって運賃がきめられておるという点があるように私は伺っている。それではいけないのではないか。やはり生産をした、直ちにそれを市場に出荷したというような場合は、当初は高いけれども、鮮度が非常に落ちるものだから、これはもう実際は生産者にとっては実入りがあまりない。ましてや、これが汽車で遠隔地に輸送するというような場合には、輸送期間というものがありますから、鮮度が落ちるわけですね。ですから、生産したその価格、出荷価格というものが高いから、したがってこの輸送賃が高いのがあたりまえだというような、そういう機械的なことで運賃計算をされることは適当ではないのではないか、それらの点を配慮して、運賃というものはきめられていくということでなければならないのではないか。具体的に、私が自分の経験から申し上げますと、ミカンとビワがある。これは私のところでは特産物になっている。ビワは非常に高い。特に出回り期は高いんですね。ところが、これはすぐ鮮度が落ちるんです。これを大阪、東京に送る。そうなってくると、鮮度の落ちるのが非常に早い。だから、これはもう使いものにならないんだというので、買いたたきされるんです。ですから、生産者あるいは出荷した業者が受ける利益は非常に少なくなる。しかしそういうことは全然考慮に置かれないで、運賃は非常に高い、そういうことになっておると思います。だから、どういうことでこの運賃がきめられたか、私がいま申し上げたような点は全然配慮されていないのか。これらの点を十分勘案して、輸送の改善をもちろん考えるべきでありましょうし、この運賃の改定もするという用意が、あなたのほうであるかどうか、ひとつその点について伺っておきたい。
  111. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいま先生お話の第一点は、運賃の等級のきめ方によって、同じくだものでも、ミカンとビワは差があるのではないか、こういうことでございましたが、この前の等級で、ミカンとビワは等級が違います。実は国鉄の貨物輸送にかかりますものは非常にたくさんございますが、それをどういう格づけで運賃をいただくかということに対しましては、いろいろ非常に議論があったところでございますが、とにかく形式的なきめ方でございませんと、はっきりしためどをつけませんと、非常に複雑になって、しかもいろいろ品物間でアンバランスが出てくるということで、これは等級委員会というものをつくりまして、着の値段で等級をきめる、幾ら以上は何等級、幾ら以上は何等級ということで、物の着の値段できめるかっこうにしたわけでございます。その際、ミカンとビワとでは着の値段に開きが出たために、そこに等級上の差異が出たわけでございます。これを今度の改正では、いままで普通等級十等級と、特別等級四等級がございましたが、これを四等級にしたわけでございまして、これは今回の改正では、従来の等級をそのまま、従来の一、二が一等級、三以下が二等級というふうな機械的な移動のしかたをいたしましたために、いままでの品物間のアンバランスというものは考慮に入っておりません。したがって今回の改正では、いろいろそういう問題点があることは、私どもも承知いたしておりますけれども、そのまま移行したわけでございます。したがって今回は改善をされておりませんが、将来この等級というものをどう持っていくかということが一つの問題でございます。私ども実はコスト主義の立場をとりますと、いままでの従価主義といいますか、その物の値段によっての運賃をいただくというやり方がいいのかどうか、今度は非常に圧縮をしたわけでございますけれども、さらにそれを圧縮をしていただかなくちゃならぬのじゃないかという考え方もいたしております。本来ならば、将来は大体どの品物も重さによっていただくというかっこうにすべきじゃないかというふうにも考えておりますが、これは、一挙に経済界に大きな影響を与えるわけにもまいりませんので、今後の問題として、この問題は考えていきたい。これは非常に大きな一ただ一つ先生のおっしゃるような問題だけを解決するということはできません。全部複雑にからみ合った問題でございますので、全体として等級をどう考えていくかということで、解決をはかっていきたい。  それから、第二点の輸送問題につきましては、私どもも生鮮食料品の輸送については、いままでもいろいろほかのものよりも、むしろ殿様扱いと申しますか、急行列車なり特急列車なりというものでやっておりましたが、今度はさらにこういう生鮮食料品につきましては、主として鮮魚でございますけれども、百十キロの特急貨物列車をつくる計画をしております。したがって、こういう列車を御利用願えば、時間が早くて鮮度を保持できるということも可能かと思っております。
  112. 吉川久衛

    吉川委員長 時間がありませんから、答弁を簡略に願います。
  113. 中村重光

    中村(重)委員 これ一問で終わりますが、運賃の値上げというものが行なわれてきた、それと同町に不合理なことを是正するということは積極的でなければならぬと私は思う。その点は、いまあなたのお答えの中から、そういう考え方があるということはわかったのですが、できるだけ早くおやりになることです。答申を求めたりいろいろ手続もあるだろう。ですけれども、こういう考え方を持っているということだけで、いつまでもそれが実行されなければどうにもならない、そういう点はひとつ積極的にやってもらいたいということです。  最後に、仁杉常務に一点お伺いするのですが、この東海道新幹線の延長計画、それから鹿児島線、長崎線等の電化、複線化、そういうことについての計画を、簡単にお答え願って、終わります。
  114. 仁杉巌

    仁杉説明員 山陽新幹線は、大体現在の計画では、岡山までを確定しております。これは四十六年度末、四十七年の三月に完成をするという予定でございます。その後の計画は、第四次の計画に入りますので、まだ確定とは申し上げかねるのでございますが、考えております予定といたしましては、広島までを四十八年度末、福岡までを五十年度末ということに、一応考えております。  それから、鹿児島線並びに長崎線の複線化につきましては、長崎線については肥前山口まで現在やっております。それから喜々津から先は、浦上線と現在線との併用ということで解決をしていく、その後に肥前山口-喜々津間の開通ということになります。鹿児島線につきましては、現在熊本から八代までを進めております。それから先は現在非常な輸送の隘路区間でありますところを二カ所、並びに鹿児島付近につきまして、進めていきたいということで、現在計画を進めております。  電化の問題は、非常にむずかしい問題でございますが、鹿児島線、長崎線ともに、第三次計画末すなわち四十六年度末までには完成するということでございますが、その順序その他につきましては、ただいま社内におきまして討議をしている段階でございますので、確定したことはもうしばらくお待ちを願いたいというふうに考えております。
  115. 吉川久衛

    吉川委員長 吉田賢一君。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本会が始まりますので、総裁に、できるだけ簡明に問答させていただきたいと思うのであります。  国鉄のこの第三次長期計画をめぐりまして、相当重要な問題が山積しております。実を申しますと、たとえば経済の中期計画も廃棄され、そうして新たに長期計画の策定に入っております。八月に策定を大体終え、十一月にこれを報告されるという段階に来ております。そういう影響もございますし、それからまた新たに新計画を進める上において、土地の収用問題が非常に重要であろうと私は考えております。それでまた、内部的には、国鉄の経営というものはこれでいいのだろうか、私もあなたが長く監査委員会でしたか、それを主宰されておって、若干その治績も存じておりますが、さらに一そう経済性、合理性を取り入れるという面が多分にあるのではないか、あるいはまたこの資産の管理の面におきましても、特に固定資産の管理につきまして、一そう適切な改善方策を講ずる面があるのではないか。あるいは他の公団に対する投資の問題につきまして、これは勝澤委員もお触れになっておりましたが、これも非常に重大なことでございます。  そこで、こういうように各般の問題もあるのでありますけれども、きょうは一応保留いたしまして、用地買収だけについて、ひとつ簡明にお伺いしておきたいと思うのでございます。この第三次計画によりますと、二次計画に比較しまして、用地買収費がずっと率が高くなっております。三次計画によりますと、用地買収は大体線路の増設というのが該当するのではないかと思うのですが、七千七百億円、二五・九%であります。二次のときには四千七百二十二億、三五%でございます。しかし、ほかの費目と比べますと、一番数が大きい。私がいつも疑問にしておりますのは、建設省の大きな全日本道路計画にしても、あなたのほうの長期計画にいたしましても、用地問題につきまして一体どのような数字的な予定をされているのか。これはばく然と予算が組まれているのか、かなり精密な検討をせられて数字がはじき出されたのかどうか。一体土地価格というものは、御承知のとおり、いまはないのであります。相手次第で上がっていくのであります。事実、鑑定士などございますけれども、実際問題としましては、ごね屋がごね得しておるのは御承知のとおりであります。したがいまして、膨大な予算が策定、執行される前に、土地の価格がおどり上がっているということが現状でございますので、この土地価格につきまして、一体どのような根本的な手を打とうとしておられるのか。これは瀬戸山建設相ではありませんけれども、土地は商品にあらず、こういうような考え方で、国鉄長期計画策定に協力するという体制が少なくとも公共団体にあるということになりましたならば、よほど変わってくる。その辺が、経費の面、建設費の面もしくは合理的な建設計画を実現し得る面について、非常に明るくなってくると思うのです。しかし、その辺はいまのところは、端的に申しましたならば、あまりはっきりしたものなしに予算が組まれておるのではないか、こう思いますので、私は、予鈴が鳴りましたから一点だけにとどめますけれども、新たに延長計画の山陽線もございます。四次計画もやがてあるのでしょう。あるのでしょうけれども、中身を割って言うならば、路線獲得の用地買収費というものにつきましては、かなりむずかしい問題を持ったままにいかれておるのではないか、こう思います。ですから、ここはやはり徹底的に、あなたのほうで国鉄の公共性を明らかにせられて、公共性に協力さすということで、極的な手を打っていくということをせられない限りは、極端に言うならばもみくちゃにされて、予算は膨張していくことは必至だ、こういうように考えております。  そこで私は、これはほんの一つの提案にすぎませんけれども、またおりがあったら申しますけれども、でき得ることならば、公共性に重点を置きまして、たとえば知事なら知事、その他の市長なら市長、あるいはその他の公共を代表する者との間に、できるだけ安く入手できるような方法、手を考えて、そのかわり、そのサービスの提供に対しましては、たとえばすばらしい国鉄はできましたけれども、しかし市町村なんかへ参りますと、インド並みの舗装しかできていないことは御承知のとおりなんです。それほど貧弱な路面を持ったままに、地方はあえいでおりますので、これは国鉄法の規制もありますけれども、運輸大臣と適当に御相談になって、その方面につきまして、ある種の寄与ができるようなことをおやりになってはどうだろうか。そういうふうにして、要するに新しい計画を進める上において、用地買収の問題については、これは独立して、あなたとして最も経済人にふさわしいような新しい手を打つような案をお立てになってはどうだろうか。これが十分に策定されない限りは、全体の予算は次第に膨張することは必至だと見ております。したがいまして、これは財投資金あり自己資金あり政府出資ありということは、三次計画の財政計画の内容に出ておりますけれども、しかしいたずらに財投に依頼することはできませんし、国の予算に依頼することもできません。赤字公債が累積してきたらえらいことになりますので、したがって長期計画の観点に立ちましても、よほどこの点は引き締めました見地に立って、用地買収計画を進めなさるということが、三次計画を遂行せられる上において一番重要なかなめだと考えております。これだけ一つ申し上げまして、しかるべき御答弁を願い、自余一切はまたの機会にさしていただきたいと思います。
  117. 石田禮助

    石田説明員 吉田さんのおっしゃるとおり、今回第三次計画を実行する面におきまして、一番むずかしい問題の一つは、この用地買収の問題であります。現に総武線のごときは、用地で全体の線路増強の四割から五割かかる。これはもうたいへんなことなんです。そしてこれは私鉄と違って、私どもは先に土地を買って、そうしてその値上がりでもって用地買収の償いをしようということは、法律で許されておりませんので、ここに国鉄は実に悩みが多いわけなんです。しかしこの問題は、私が幾ら経済人といたしましても――経済人であれば、いわゆる私鉄がやるように、土地を買っておいて、そうして鉄道を敷いて、余った土地を売ってもうけて、それでその償いをつけていくということはできるのですが、幸か不幸か、国鉄としてはできないのです。それで、ある場所、たとえば神戸の駅をつくる場合においては、その駅の近所の土地については、神戸の市あるいは商工会議所あたりで適当な方法を講じてくれる。また西明石あたりでもそういうことをやるということで、いま許されておる法律の範囲内で、できるだけのことをやっています。これはどうも国鉄の力ではできぬ。法律の力でなければできない。これはひとつ国会議員といたされまして、何とかうまく方法を講じてくださるということを、私は特にお願いした次第でございまして、国鉄としてはいかんともできないということを、この際申し上げておく次第であります。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは時間がございませんので、この程度で、自余の問題については、またの機会にさしていただきます。      ――――◇―――――
  119. 吉川久衛

    吉川委員長 閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算    昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算    昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和三十九年度政府関係機関決算書  二、昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産の増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、公団等国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しまたは貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件  以上八件について、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  121. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が本委員会に付託になり、調査のため、現地に委員を派遣する必要が生じました際には、議長に対し、委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時一分散会