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1966-06-03 第51回国会 衆議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月三日(金曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 堀川 恭平君 理事 勝澤 芳雄君    理事 山田 長司君       根本龍太郎君    原 健三郎君       山手 滿男君    神近 市子君       栗原 俊夫君    華山 親義君       森本  靖君  出席政府委員         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君         建設政務次官  谷垣 專一君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     多治見高雄君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君         建 設 技 官         (営繕局長)  小場 晴夫君  委員外出席者         建設事務官         (計画局参事         官)      大津留 温君         建設事務官         (道路局次長) 吉兼 三郎君         建 設 技 官         (道路局国道第         一課長)    蓑輪健二郎君         会計検査院事務         官         (第三局長)  佐藤 三郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 五月十三日  委員華山親義辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員吉田賢一辞任につき、その補欠として本  島百合子君が議長指名委員に選任された。 同日  委員本島百合子辞任につき、その補欠として  吉田賢一君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員神近市子君、華山親義君及び森本靖辞任  につき、その補欠として佐野憲治君、原茂君及  び三木喜夫君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員佐野憲治君、原茂君及び三木喜夫辞任に  つき、その補欠として神近市子君、華山親義君  及び森本靖君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十六日  委員森本靖辞任につき、その補欠として久保  田鶴松君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久保田鶴松辞任にっき、その補欠として  森本靖君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員栗原俊夫君及び森本靖辞任につき、その  補欠として稻村隆一君及び久保田鶴松君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員稻村隆一君及び久保田鶴松辞任につき、  その補欠として栗原俊夫君及び森本靖君が議長  の指名委員に選任された。 六月一日  委員栗原俊夫君、華山親義君及び森本靖辞任  につき、その補欠として井谷正吉君、森義視君  及び石田宥全君議長指名委員に選任され  た。 同日  委員井谷正吉君、石田宥全君及び森義視辞任  につき、その補欠として栗原俊夫君、森本靖君  及び華山親義君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (建設省所管)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、建設省所管決算について審査を行ないます。  まず、建設政務次官より、概要説明を求めまます。谷垣政務次官
  3. 谷垣專一

    谷垣政府委員 建設省所管昭和三十九年度歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳入につきましては、一般会計歳入予算額十五億四千五百余万円に対し、収納済み歳入額は二十七億二千九百余万円となっております。  道路整備特別会計は、歳入予算額三千四十三億七千四百余万円に対し、収納済み歳入額は二千九百八十八億一千六百余万円、また、治水特別会計治水勘定は、歳入予算額八百三十八億六千百余万円に対し、収納済み歳入額は、八百二億五千五百余万円、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定では、歳入予算額百七十九億五千百余万円に対し、収納済み歳入額は、百七十六億二千百余万円となっております。  次に、歳出でありますが、一般会計支出済み歳出額は、四千百五十一億五千九百余万円、道路整備特別会計支出済み歳出額は、二千九百六十二億八千余万円、治水特別会計治水勘定支出済み歳出額は、七百九十一億二千二百余万円、特定多目的ダム建設工事勘定支出済み歳出額は、百六十六億三千七百余万円でございます。  これらの各会計支出済み歳出額は、治水関係事業災害復旧関係事業道路整備事業都市計画事業住宅対策事業官庁営繕その他の事業実施するために支出したものであります。  次に、これらの事業執行の結果について、概要を御説明申し上げますと、まず、治水事業につきましては、昭和三十五年度を初年度とする治水長期計画に基づき、河川ダム砂防の各事業施行いたしました。その結果、河川事業につきましては、直轄河川改修事業として、北海道を含め百十七河川改修工事実施補助事業におきましては、中小河川改修事業等八百五河川改修工事施行し、二十一河川を完成いたしております。  特定多目的ダム建設事業につきましては、和賀川湯田ダムほか十五ダムについて建設工事及び実施計画調査実施し、このうち淀川天ケ瀬ダムを完成いたしました。このほか、補助事業として三十六ダムについて建設工事及び実施計画調査実施し、六ダムを完成いたしました。  砂防事業につきましては、直轄事業として利根川ほか二十五水系について百五十六カ所の砂防工事実施し、うち五十九カ所を完成し、また、補助事業として二千百五十一カ所の堰堤工流路工等実施し、うち九百九十九カ所を完成いたしました。  海岸事業につきましては、直轄事業として十海岸実施し、補助事業として百三十四カ所を実施し、うち二十七カ所を完成いたしました。  次に、災害復旧関係事業につきましては、河川等災害復旧事業として、直轄関係では、三十七年発生災害は完成し、三十八年発生災害は九四%、三十九年発生災害につきましては、補正予算及び予備費を使用して、全体の四七%の復旧を完了いたしました。また、地方公共団体施行いたしまする災害復旧事業につきましては、三十六年災は完了し、三十七年災は八七%、三十八年災は六八%、三十九年発生災害につきましては、三〇%の復旧事業を完了いたしております。  次に、道路整備事業について御説明申し上げます。  昭和三十九年度は、改定いたしました新五カ年計画初年度事業として、一級国道等改良及び舗装等実施いたしましたが、その結果、改良において二千四百十一キロメートル、舗装において三千百六十七キロメートルを完成し、全体計画に対し、一三%の進捗状況となっております。  また、五カ年計画の一環として、一級国道直轄維持管理を行なっておりますが、昭和三十九年度は延長五千七百十五キロメートルの区間を指定し、その維持修繕実施いたしました。  以上のほか、有料道路事業実施している日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対し、それぞれ国の出資を行ない、有料道路建設実施させております。  次に、都市計画事業につきまして申し上げます。  下水道関係といたしましては、五百三十カ所の公共下水道等施設整備実施し、このうち五百二十七カ所を完了いたしましたほか、国営公園都市公園及び墓園整備を行ない、その大部分を完了いたしました。  次に、住宅対策事業について申し上げます。  公営住宅建設といたしましては、五万八千九百二十六戸の建設実施いたしました。また、不良住宅地区改良事業といたしましては、改良住宅四千三百八十二戸の建設を行なうとともに、不良住宅地区整備実施いたしました。  以上のほか、政府施策住宅として、住宅金融公庫及び日本住宅公団において、十六万五千九十八戸の住宅建設いたしております。  次に、官庁営繕について申し上げます。  建設省に計上されました営繕事業予算及び他省庁所管に計上された営繕事業予算支出委任等により、国立劇場新営工事ほか五百五十九件の工事を施工し、三百三十六件の工事を竣工いたしました。  以上が、昭和三十九年度における建設省所管決算概要でございます。  次に、昭和三十九年度決算検査に関する建設省所管事項概要について御説明申し上げます。  所管事業を遂行するための予算執行にあたっては、常に厳正な執行をはかるため、内部監査等により万全を期してまいったのでありますが、決算検査におきまして、相当数指摘を受けましたことは、まことに遺憾でございます。  これら指摘を受けました事項に対する措置としては、まず、工事計画が適正でなかったなどのため不経済となった件につきましては、今後このような工事施工にあたり不経済が生じないように十分検討し、万全の措置をとる所存であります。  また、井筒工工事費積算が高価であった件につきましては、当省としても、最近における事業量の増大に対処し、技術改善、職員の研修等に意を尽くしているところでありますが、この種工事積算には特に配慮するよう、適切な指導を行なう所存であります。  次に、直轄関係施行不良工事につきましては、関係者に対し厳重に注意いたしましたが、今後は、工事施行にあたって、さらに監督及び検査の強化につとめ、適正な予算執行をはかってまいりたいと考えております。  次に、地方公共団体施行する国庫補助事業につきましては、設計に対し工事の出来高が不足しておるもの、または工事施行が不良なため工事効果を達成していないものについては、手直しまたは補強を命じ、事業の所期の目的を達するよう措置し、国庫負担対象とならないものについては、国庫負担金相当額国庫に返還させる措置を講じ、積算の過大については積算の適正を期する所存であります。  今後は、さらに事業執行改善について指導を強化するとともに、その責任体制を確立せしめることとし、このような事態の発生を未然に防止するよう指導を徹底する所存でございます  また、災害復旧事業費査定額の減額につきましては、被害の実情を十分に把握し、さらに厳格な査定に万全を期するよう努力いたしたいと考えております。  以上が、昭和三十九年度におきます建設省所管決算概要及び決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、会計検査院当局より、検査概要説明を求めます。佐藤会計検査院第三局長
  5. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 昭和三十九年度決算建設省所管についての検査概要説明申し上げます。  昭和三十九年度決算検査報告不当事項として掲記いたしましたものは、直轄工事にかかるもの八件、補助事業にかかるもの五十八件、計六十六件でございます。以下、これらを順を追って説明いたします。  五九二号は、直轄工事施行にあたり計画が当を得なかったと認められたものでございまして、分水路新設工事を請負施行するにあたり、堤防敷盛り土土量配分計画が適切でなかったため、掘さく個所盛り土個所が相互に交錯して、掘さく土運搬距離が過大となっていたり、運搬土の敷きならし作業の段取りが適切でなかったため、ブルドーザーの押し土距離が過大となっておりまして、工事費が不経済となっていると認められたものでございます。  五九三号は、桟道工事予定価格積算にあたりまして、井筒工法施行いたします橋脚の井筒沈下費用計算の際に、井筒底面積計算を誤って、正当な底面積の二倍程度のものとしたなどのため、予定価格が過大となり、ひいて工事費が高価となっているものでございます。  それから、五九四号から五九九号までの六件は、いずれも地方建設局施行いたしました道路改良工事または河川改修工事等におきまして、監督及び検収が適切に行なわれなかったため、施行設計と相違していて、工事効果が低下していると認めたものでございます。なお、これらにつきましては、その後当局においてそれぞれ是正措置を講じております。  次は補助事業にかかるものでございますが、六〇〇号から六五六号までの五十七件は、地方公共団体実施いたしました公共土木施設建設改良及び災害復旧等工事におきまして、工事施行が不良なもの、工事費積算が過大なものなどを指摘したものであります。  また、六五七号は、三十九年災害復旧事業工事査定額について検査し、当局に注意いたしました結果、補助対象工事費を減額是正したものでございます。  以上のほか、補助工事施行及び災害復旧事業費査定適正処理について、及び道路と鉄道との立体交差化工事等実施の促進について、改善の意見を表示いたしましたので、これを掲記いたしてございます。  以上、簡単ではございますが、説明を終わります。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 吉川久衛

    吉川委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  8. 山田長司

    山田(長)委員 いろいろ伺うのでありますが、まず最初に伺っておきたいことは、昭和三十四年十月に皇居造営審議会によりまして、本丸、二の丸、三の丸の整備、約三十四・五ヘクタール、皇居に付属する庭園の整備について、北の丸はなるべくすみやかに公園化するということで、これが実施をはかろうとしておったのでありますが、これが実現に至るまでに、その目的がかなえられないでおられるのじゃないか。三十五年一月二十九日の閣議において決定されたことが、これが決定どおりに進んでいないのではないかと思われるのでありますが、これについて、ひとつ詳細御説明を願いたいと思います。
  9. 竹内藤男

    竹内政府委員 北の丸公園建設の問題でございますが、ただいま御指摘のとおり、皇居造営審議会の答申がございまして、その後、三十八年五月、閣議決定によりまして、北の丸地区皇居外苑の一部として、森林公園として整備するということになっておりました。三十六年から都市計画事業決定をいたしまして、東京都知事執行しておったわけでございますが、三十八年五月閣議決定がございまして、森林公園として整備することになったわけでございます。その後、三十九年四月に、北の丸地区において施設建設についての閣議了解がございまして、北の丸地区においては、日本武道館科学技術館及び国立公文書館以外の施設は設けないものとするという閣議了解がございます。  その後、昨年の暮れから、国立近代美術館を建てるという話が出てまいりまして、国立近代美術館北の丸地区に建てさしてくれというような申し入れがございまして、いろいろ折衝の結果、国立公文書館として認めてあります建物面積近代美術館に割愛いたしまして、つまり、国立公文書館で認められている建物を、国立公文書館近代美術館が使うという形にいたしまして、近代美術館北の丸地区建設することを認めたわけでございます。そのとき、つまり四十一年一月に閣議了解変更をいたしておりまして、既存の科学技術館日本武道館のほか、今後は国立公文書館及び近代美術館以外の建築物建設は一切認めない、というような閣議了解がなされているわけであります。  この経緯でもおわかりのように、近代美術館は、国立公文書館建坪面積を割愛してできたものでございますので、三十九年の閣議了解には、実質的には建物をふやしたというようなかっこうで、修正がなされたものではないというふうに考えているわけであります。
  10. 山田長司

    山田(長)委員 三十五年の七月に、東京都は入ってないと思いますが、建設省、厚生省、大蔵省首都圏整備委等は、東京都の緑が少ないというふうなことから、森林公園にするという整備計画があったと思うのです。それで前にも、いま申し上げたように三十五年の一月に閣議決定したのがまた、ただいま御説明のありますように、閣議の了承を得たのだということで、国立公文書館とかあるいは近代美術館とかいうふうなものが新たに計画されているようであります。一体閣議決定というものは、決定してすぐに短かい歳月の間に変えられていいほど権威のないものなのかどうなのか。実はきょうは大臣に質問したいと思ったのです、係の方じゃなくて。一体閣議決定を発表しておいて、ちょくちょくすぐに変えるというならば、閣議決定というものは、そんなに強い強制力があるものと考えられないわけです。  さらに聞くところによると、昔の近衛師団あと建物を残すという話がある。そうすると、今度の森林公園というものは、これらをみんな片づけて、きれいな森林公園にするものと思っておったが、それが全然、あちこち建物が残ってしまって、あるいは新しいものがっくられてしまって、最初閣議決定というのは完全に踏みにじられてしまい、閣議決定がまた新しく生まれるということで、まことにわれわれとしては、閣議決定というものはさっぱり力がないものなのかという印象を持つのですが、こんなに簡単に変えてしまって差しつかえないものですか。
  11. 谷垣專一

    谷垣政府委員 建設大臣が参りましてお答えすべき問題かと思いますが、ほかの委員会でどうしても出られませんので、私からかわってお答えさしていただきます。  閣議決定がしばしば変更するということは、まことに好ましいこととは考えておりません。まあしかし、国会で認められました法律等によるようなかたい基準と比べて、若干、行政の問題といたしましてはやわらかみがある措置になるようでございますが、とにかく、この北の丸公園が、東京都の中心にあって、しかも非常に緑が少ないということで、森林公園にする、しかも国が直接公園としてやれという趣旨は、これは当然尊重されなければならぬ原則であろうと思います。先ほど担当局長のほうから申し上げましたように、累次閣議で、その中に入ります公園施設の問題につきましては変更がございました。しかしその間におきまして、いわゆる森林公園として保持すべき緑地建物比率と申しますか、その問題の原則はずっと貫いてまいっておるわけでございます。先ほど来お答えいたしましたように、出初の閣議から始まりまして、公文書館あるいは武道館、科学技術館等建物をあの公園の中に置くことはきめられておった、予定されておった。その後、近代美術館の問題が昨年来起きまして、いろいろ議論をいたしたのでございますが、緑地建物施設関係の問題だけは堅持をいたしておりまして、公文書館の当初予定されておりました面積の中に、近代美術館公文書館ともともに入り得るような、そういうふうに近代美術館のほうの要求面積等ももちろん削減いたしました。公文書館のほうのやり方につきましても検討を加えまして、そして、当初の公文書館の予定されておりました面積の中に近代美術館建物が入り得るような形で、先般の閣議決定がなされたわけでございます。当初考えておりましたような、いわゆる公園施設の内容とは若干変わっておりますけれども、森林公園といたしまして保持すべき緑地建物比率というものは、堅持をいたしておるわけでございます。したがいまして、いろいろと先ほど御指摘になりましたような御要望が出ております。しかしこれは今後いろいろ議論のされることだとは思いますけれども、私たちといたしましては、当然森林公園として予定されました、いわゆる緑地の確保という問題のこの原則は貫いていくべきものである、こういうふうに考えておりますので、このほかにさらに公園施設が増加されるということは、この比率を守っていきます上から申しますと、きわめて困難なことであるというふうに私たちは考えております。あの北の丸公園森林公園としての本来の趣旨を生かしますためには、現在の施設以外に公園施設を認めることはできにくいものである、こういうふうに考えておりますし、先般の閣議了解事項にも、そういう趣旨のことをうたっておるわけであります。その趣旨でひとつ進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 山田長司

    山田(長)委員 閣議決定というものが、法律のように規制力を持たないことはわかっているのですが、やはりお歴々が集まって、そうして森林公園として残そうとしたものが次々変更されるということは、閣議の威信にかかわると思うのです。きょうは大臣でなくて政務次官ですから、どうも文句は言いにくいけれども、その点はやはり大臣にお言づて願いたいと思うのです。  それから、この間、三月九日に防衛庁から元近衛師団司令部あとを、またそこへ残そうという申請がなされておるやに伺うのですけれども、この点、これはまた閣議決定というものをくつがえすことになると思うのですが、この点はどういうことになるのですか。
  13. 谷垣專一

    谷垣政府委員 いま御指摘ございましたような、旧近衛師団司令部建物を残すという御要望が出ております。ただ、この問題に関しましては、いまだ結論を出しておるわけではございません。御要望が出ておるわけでございますが、北の丸公園のあの地区森林公園として、都心の緑地を確保するという趣旨から申しますと、今日あそこの予定されております公園地区内に、さらに大きな公園施設を持ち込むということは、非常に困難な問題であろうと私たちは考えております。御要望趣旨は御要望趣旨といたしまして、森林公園を維持する上から申しますと、この比率変更することは困難である、こういうふうに現在考えておる次第でございます。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 都民のオアシスが新たに生まれると思って、心ひそかに緑のりっぱなものができることを楽しみにしておったのに、それが次々に減ってしまう計画というものは、まことにこれはさびしいと思うのです。その点は十分、これから先の計画上においては、緑の減少しないような努力を、建設当局に私は要望したいと思います。  それから、あの北の丸公園内に大蔵省所管普通財産が、一部貸し与えられておって、その貸し付けられている物件の移転に対してかなりの補償要求されておるやに伺うのでありますが、この補償について御存じの方がありましたら、どういう個人が、どれだけの補償要求をしてきているか、これを明らかにしてむらいたいと思います。
  15. 竹内藤男

    竹内政府委員 ただいま具体的な数字につきまして、手元に持ち合わせがございませんので、数字は後ほど御連絡いたしたいと思います。  大蔵省の土地であり建物であるものを借りておるわけでございますが、移転補償は当然出さなければいけないという考え方で、移転補償につきまして、予算の中に計上いたしまして、必要なものは支払うというようなたてまえで予算化をはかっておるわけでございます。
  16. 山田長司

    山田(長)委員 この公園の中に個人普通財産として借り受けたものに対して、一体いかなる契約最初貸し付けるときにしてあったのか、これが明らかにならなければ、移転補償に対する支払いについて、どうも私たちは理解できないわけです。そんな簡単に大蔵省普通財産というものを貸し与えて、しかる後に移転補償まで取られるというようなことになりますと、これはたいへんな問題だと思いますけれども、一体どんな契約をしておったのですか。
  17. 竹内藤男

    竹内政府委員 大蔵省国有財産局のほうで管理いたしておりますが、国有財産を賃貸借する契約になっておるというふうに聞いております。
  18. 山田長司

    山田(長)委員 いや、国有財産を賃貸借するというのはわかるのです。移転するときに移転補償まで出さなければならない契約内容であったのかどうか。一体普通財産というものを貸し与える場合に、そんな契約をするはずがないと思うのですが、その契約内容です。その内容がわからなければ、幾ら森林公園計画を立てたって、訴訟になっちゃったらば、とても公園計画は進まないと思うのです。その内容を明らかにしてもらいたい。
  19. 竹内藤男

    竹内政府委員 賃貸借契約の中には、移転の際に補償を出さないという旨の条項は入っていないというふうに聞いております。
  20. 山田長司

    山田(長)委員 補償を出さないということは書いてないという意味ですか、補償を出さないという意味ですか。
  21. 竹内藤男

    竹内政府委員 補償を出さないということを特記してはいない、こういう意味でございます。
  22. 山田長司

    山田(長)委員 ずいぶんおかしな話ですね。それでは、貸し与えたときの金額はどのくらいですか。それが少し高かったので移転補償でも出すというなら話がわかるのです。貸したときの料金はべらぼうに安くて、その上にもってきて補償を出すというのであれば、これはちょっと問題だと思うのです。ですから、この点もう少し明らかにしてもらいたい。
  23. 竹内藤男

    竹内政府委員 いま資料を取り寄せておりますので、ちょっとお待ち願いたいと思います。
  24. 山田長司

    山田(長)委員 いま資料を取り寄せているというのは、このことになったので、資料を取り寄せるのですか。
  25. 竹内藤男

    竹内政府委員 はい。
  26. 山田長司

    山田(長)委員 一応どんな個人に貸し与えたものか。もちろんこの団体は、いまの御答弁のようでありますと、移転する補償というものを相当要求してくるだろうと思うのです。そうしますと、閣議決定をして、公園をつくるということで、東京都民に森林公園ができるんだと喜ばしておいて、この事態が訴訟で長引いて、その次にまた閣議決定で何の建物を建てるのだということになりますと、これは決定した閣議決定というものはまるで無視されたというようになる。最初決定したことはでたらめで、またその次の決定もでたらめだということになっちゃう。こんなばかばかしいことを一般国民に発表して、森林の公園ができ上がるなどと言っておきながら、何のために国民を喜ばして、公園ができるできると言っておるのか、全く理解に苦しみますよ。個人の人に貸し与えたということの内容が明らかにならなければ、幾ら森林公園にすると言ったって、この決定は進みませんよ。書類を至急に持ってきて、このことについての御説明を願います。それから大蔵当局も、この点については、契約書の内容を明らかにしてもらいたい。
  27. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御指摘の問題につきましては、御存じのとおり、あそこは森林公園にいたします決定以前に軍の施設その他がございました。それがこの決定以前に、賃貸借と申しますか、民間のほうで使われておる、こういう事情があるわけであります。もちろん森林公園決定をいたしましてやっていきます場合には、それらの建物整備していく、このやり方をまず先行しなければなりません。現在こういう段階に来ておるわけでございます。したがって、問題はそのおります諸君と、貸し与えております国との間のいわゆる契約条件と申しますか、とにかくそれをきれいなものにしなければならない。その手続を現在さしておるわけでありますが、それがいろいろな事情でおくれておる点は率直に認めざるを得ぬと思いますが、ただ契約内容その他によりまして、それに対する移転料等の問題につきましては、個々の契約の内容をよく検討いたしていかなければならぬ問題でございます。その資料が来ますまで、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  28. 山田長司

    山田(長)委員 会計検査院当局に伺います。ただいまお聞きのとおり、森林公園というものが北の丸公園地帯にできるということになっていたが、相当な面積個人に貸し与えているわけです。しかもその中には、昭和二十四年ころ貸したものもあれば、それ以後貸したものもあるわけです。いまのお話ですと、移転費については出すとも出さないとも言っていないと言っておるが、こういう場合、会計検査院当局は、いままで移転補償を払った事例、そういうものにぶつかったことはありますか。
  29. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 国有財産の普通財産の問題でございまして、私、ちょっと所管を離れておりますので、具体的な事例についてはちょっと御返答できませんけれども、普通に考えますのに、普通財産で、しかも普通の賃貸借契約でやっておる、そうしてその賃貸借期限が切れる前において移すということになりますと、やはり普通の民家を立ちのかせる場合と同じような取り扱いになってくるのじゃないかというふうに思われるのですが、これはなお契約内容をもう少しよく検討させていただきませんと、はっきりしたことは申し上げかねます。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 いまの問題につきましては、いずれ資料を見た上でまた伺うことにします。  次に、私は都市計画について建設当局に伺いたいと思います。これは大都市周辺のことだけではなくて、最近の自動車の激増によりまして、全国の各都市におきまして、道路整備という問題が当然緊急の急務として問題になってきていると思うのです。そこで、地方自治体の場合におきましてもそうでありますが、道路計画を進める場合に、ちょうど住宅難、住宅払底のために、虫が食ったように建物が次から次へと建ってしまつて、道路をつくる場合にまことに支障を来たしておるという事例がたくさんあるのです。このたくさんある事例に対しまして、これはよほど五十年、百年の先までも見通しをつけた形の道路計画というものが進められなければならぬと思うのです。縦貫道の場合はその一つの例だと思うのでありますけれども、縦貫道以外に、各都市において、そういう都市計画が進められなければならぬと思うのですが、全国の都市に向けても、何か一つの大きな指針を与えることを建設省としてしていますか、していませんか。
  31. 竹内藤男

    竹内政府委員 都市計画区域の中におきまして街路網計画をいたします場合には、通常の場合、都市計画決定というものをいたします。それは大体二十年ないしは三十年ぐらい先を見通しまして、将来の交通量あるいは交通量の地域的な配分というものを考えまして、街路綱計画というものにつきまして、都市計画決定をするわけです。都市計画決定をいたしますと、建築制限がありまして、まあ平たく申し上げますと、木造二階建てぐらいの建物以外の建物は建てられないという制限を受けるわけです。さらにいよいよ事業実施しようということになりまして、事業実施の段階に入りますと、事業決定というものをやります。大体通常五年ぐらいの期間をとりまして事業決定をいたしますが、その段階になりますと、一切の建築行為並びにその他の開発行為等につきまして、許可が要るという形になりまして、原則として許可されないというような制度になっております。
  32. 山田長司

    山田(長)委員 ただいま全国への指針の一端をうかがい知ることができましたが、これはよほどの抜本的な力で都市計画についての道路計画というものを進めなければならぬ段階に、現在来ておるのではないかと私は思うのです。それが思ったようになかなか進み得ない隘路はあると思うのですけれども、このことのために、道路計画だけじゃなくて、都市計画の遅延のためにも起こると思うのでありますが、道路ができたり、あるいは都市計画が進められたりする個所を知らないで、土地の売買等が行なわれて、ようやくなけなしの金で土地を手に入れた勤労者が、あとで都市計画のあることを知ったり道路計画のあることを知ったりして、どうにもならなくなってしまって、訴訟を起こしているという事例がたくさん見受けられるのです。やはりこういう場合に、都市計画なり、あるいは道路計画なりが進められていたならば、これはすみやかに一般の人たらにも何らかの形で知らすための徹底を期さなければならないと思うのですね。これらについて、どんなことが現在計画上においてなされておるのですか。
  33. 竹内藤男

    竹内政府委員 ただいま申し上げました都市計画決定、これは街路に限りませんけれども、あるいは住居地区とか商業地区とか工業地区とかいうようなところでは、いろいろな形で建築の規制が行なわれています。そういうような都市計画決定につきましては、単に官報に公示するというだけではなくて、その図面等の関係図書は都道府県と市町村役場に備えておいて、常時公衆の縦覧に供することができるという形にいたしております。したがいまして、現在土地を買うとか住宅を建てようという場合には、市町村役場に照会して、その都市計画の図面を見せてもらうということが通例になっているわけでございますけれども、間々そういうことを知らないで土地を買う方もあると思われますので、さらに市町村等が住民に配布いたしております広報、パンフレット等によりまして、市町村に照会すればそういう図面がそこにあって、よくわかるんだということのPRの指導はいたしたいというふうに考えるわけであります。
  34. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの問題につきまして、土地ブローカーの暗躍等のこともありまして、甘言に乗って土地を手に入れた事例で、困っている人がたくさんあると思うので、計画が進められた場合には、さらに何らかの方法で、これが周知徹底をはかるようなくふうをひとつ御検討願いたいと思います。  次に伺いたいことは、これは一関東地方に限ったことではなくて、都市周辺に起こっておる全国的な問題だと思うのでありますが、都会の道路計画とか、あるいは地下鉄の計画とか、あるいは高層建築物建設等のために、砂利や砂の運搬が、都市に向けてかなり大量に行なわれていると思うのです。私は栃木県の一事例を申し上げるのでありますが、一日に千数百台の大型トラックが東京に向けて来ております。それがいずれも積載量の何倍かのものを積んでこなければならない実態です。道路は御承知のようにたくさんの国費を費やしてつくられておりますが、その上りの道路はまたたく間にいたむ。下りのほうはからっぽの車が通る関係で、比較的いたむことは少ないのですけれども、この砂利の運搬等につきましては、かなり検問所があって、積載量以上に持って.こないように途中で目方をはかっているようであります。ところがなかなかそうばかりいかないで、その検間所のある地点というものをちゃんと見抜いておりまして、検間所を通らない車等の悪質なものも出てきているようであります。そこでいろいろ調べてみますると、単価を都会の業者に徹底的にたたかれてしまうために、その車を個人で所有している者は日当に合わないような事態が起こってきておる。そのためにどうしても東京を二往復しなければならない。体力的な疲労はさることながら、道路のいたむ状態というものは想像以上です。そこで根本をただしてみると、やはり何といっても単価の安いということから、余分なものを積んで行かなければならない事態だということを警察当局の人たちが言っております。これはやはり関係のあります建設省としては、私は砂利の単価というものを当然指示をしなくちゃならない筋合いだと思うのです。労働者が身を犠牲にして夜も寝ずに運搬してきて、事故を起こさなければならないようなぎりぎりの線まで努力をしているわけですが、こういうものの指導については、建設当局は砂利業者に対していかなる指導をしているのですか。一トンの砂利なり砂なりというものはどのくらいの価格で運搬していくべきだという、そういうマージンの合う価格の指示ということをやるところまでいってしかるべきだと私は思うのですけれども、この点はどうなんですか。
  35. 大津留温

    ○大津留説明員 建設業者が資材を買います場合に、骨材類につきまして非常に買いたたいておるという現象が見られることは、御指摘のとおりでございます。この原因の一つは、零細企業が過当競争をしておるという実態に根本の原因があると思うのです。そういう零細業者が大きな資本に牛耳られまして、価格をたたかれる。したがいまして、これは基本的にさかのぼって、そういう中小企業対策、あるいは特に砂利業者につきましては、今日砂利資源の枯渇の状態に対して、そういう業者の転換というようなことを指導してやる必要があろうかと思いますが、おっしゃるような現象に対しまして、直ちに建設省が価格を指示するというようなことは、実は現在そういう方法はとっておりません。ただいま申しましたように、基本的には、砂利業者の転換対策あるいは中小企業、零細業者の保護策というようなことで対処していかねばならない問題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  36. 山田長司

    山田(長)委員 建設省にこういう問題についての方針を緊急に打ち出していただきたいと思うのです。それは、せっかく何十億、何百億もの金をかけて国道をこしらえておきながら、その国道を積載量以上の何倍ものものを積んで通って、それを警察当局で取り締まるのは限られた日時である。さらにこれらの人たち、いわば仲間とでもいいますか、取り締まりが厳重になされているというときには、暗黙のうちに手をあげるなり、あるいはどなり合うなりして、積載量以上を満載した砂利のトラックはとたんに運搬がなされなくなってしまう。こういうことでは、おそらく都会における建設の仕事にも大きな障害が起こるだろうと私は思うのです、ですから、働く人たちの最小限度の収入は幾らあればいいんだという目安までも指示してやるところに、建設省の大きな建設のねらいがあるものだと私は思うのですよ。これはすみやかにやっていただきたい。というのは、県道も村道も町道も、あるいはまた国道も、毎日のごとく何千台という、目方以上のトラックが通るのですから、そういうことについての計画建設省当局でなされてしかるべきだと私は思うのです。これは一関東地方に起こっている現象ではなくて、全国的に起こっていることだと私は思うのです。そういう点で、抜本的な対策をひとつすみやかにお立て願いたいと思います。  次に、河川の問題につきまして、大きな河川あるいは中小河川は、いろいろ建設省指導されておることはわかりますが、末端の小さな河川になりますと、建設省会計検査院当局もちょっと調査には行かないだろうと思います。実はこの間、私、岐阜市から乗りものに約三時間半ほど乗りまして、山の中に行ってみました。それは根尾村というところの谷川の工事です。これは小河川でありますから、もちろん県の指導によるものです。それで、このダム工事といいますか、谷川の河川工事の状態を見ましたところが——これは四年ほど前にやられたものですが、たまたま発見されて、もちろんこれは会計検査院当局が調べる対象のものじゃないけれども、決算としてはゆゆしい問題だと思いましたから、行ったのであります。その川をせきとめてある谷川ダム工事は、小さな工事で、一千万か二千万の工事でありますが、そこを三カ所ばかり見てまいりました。ところが、そのダム工事は不正工事で、ボーリングをしてみたところ、中に入れる石は玉石を入れなければならないものを、全部谷川の岩を砕いて入れた関係もあるのでしょうが、ボーリングの個所はまことに悪い。両側のある地点を棒で突っついてみたところが、コンクリートの厚みは約四尺ほどあるのでありますが、ざらざらと棒でくずれてしまうような工事場所です。それで、何で要請によってそこに調べに行ったかと申し上げますと、この根尾村の隣の村が、昨年の秋の台風のときに、そういう谷川の一個所個所工事現場が全部くずれ出して、それで一村が水浸しになってしまって、さらに大きな河川がはんらんしてしまったという事例がありますので、この県の監督下に属します川といえども、これらの不正工事がなされておるとするならば、それが及ぼす影響というものは大きな河川にみんな響いてくるわけでありますから、そういう小さな河川であるからといって、おろそかにすることはできないと思います。たまたま建設省からも一人、そのときには行っていただきました。不正工事であるということを、建設省の方は認めましたけれども、これは会計検査院も、調べる対象にはなっていないのですが、たまには県の河川であっても、やはり人里離れた谷間にあるところの工事場というものは、それが即大河川にまで及んでくることでございますから、調べる必要があると思います。こういう場合に、会計検査院当局は、そういう河川の調査というものを今日までやったことがあるのかないのか、参考にひとつ伺っておきます。
  37. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 いまお話のあったダム工事のような、一千万か二千万のものですと、あるいは国の補助金が出ていた工事じゃないかと思いますが、この程度のものですと、大体、検査院で、災害復旧検査対象の中に通常入れているはずであります。全然国の補助金も何もついていないというようなところにつきましては、御説のとおり、いままでは検査に行っておりません。しかし国の河川管理という問題から、検査院が何を検査するかという検査院の本来の目的、これが管理だけでございますと、あるいは行政だけしか関係ないということになりますと、検査院として検査するのが若干行き過ぎになるという点がございまして、ケースバイケースじゃないかと思うのです。
  38. 谷垣專一

    谷垣政府委員 いまお話のございました岐阜のダムの問題は、これは国の補助工事のようでございます。御指摘の問題の案件につきましては、建設省のほうでも現地へ調査員を出しまして、調査をさせております。まだその結果が明瞭に報告が参っておりませんけれども、そういう状況でございますので、善処をいたしたいと思います。  それから、前にお話がございました砂利の問題は、これはいま非常に砂利資源の枯渇の問題、さらに河川の河床を非常に低くするというような乱掘等の問題もありまして、河川の砂利全体の問題として、非常に大きな問題でございます。山田委員の御指摘になりました問題も含めまして、非常に大きな問題でございますので、それに対する対策に、実は苦慮いたしておる次第でございます。いまのところ砂利の単価の問題と申します点よりも、だんだん少なくなってまいります砂利資源を使う工事をいわば規制いたしまして、そのほかは山の砕石であるとか、そういうものを使えとかいうような形で、いわば資源の効用の高い使い方をやりたいという形のところに重点を置いておりますけれども、また非常な超過荷重のトラック等の問題は、これは必ずしも建設省だけの問題とは言いかねる問題でございますが、とにもかくにも、砂利対策全体としての対策を、建設省といたしましては急いでおりますので、山田委員の御意見のことも十分にひとつ考えてやってまいりたい、かように考えております。
  39. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの政務次官の答弁で了解するのですが、一応、最近は、砂利の枯渇の状態はわかってきたんですけれども、山の岩石から粉砕した石を運ぶような段階にまでなっているわけですから、それが目方が三倍ないし四倍の積載量のものを積んでくるということになれば、地方自治体の道路のいたみが想像以上であるために、これはもうつくってもすぐこわれてしまうということで、その自動車の通る地点の県道というものは全く惨たんたるものですよ。おまけにこれに関連して、やはり国道だって同じようにいたんでいるはずなんです。それが根本をただしますと、取り締まり当局の警察官もそれは厳重な取り締まりをしておりますけれども、しかし規定どおりのものを積んできたんでは、せっかく東京まで持ってきていながら、日当にならないというような労働者の姿なんです。実態なんです。ですから、当然二倍も三倍ものものを積んでこなければならない事態なんです。それは当然、私は建設省で企画を立てて指導すべき筋合いのものだと思うのです。トラック一台の積載量——砕石にも砂利にも種類があると思うのでありますけれども、その砂利の大きさ等、種類もちゃんと区別をつけて、これはどのくらいの料金であるべきだという、そういう指示までしてやらなければ、これに働いている労働者というものの生活は立たなくなるのですから、何としても、その指示までも、建設省当局が取り締まり当局と打ち合わせをして、この指導をしてもらわなければ困ると思うのです。これは私、砂利採取や岩石の採取個所だけを申し上げるのではなくて、全国にやはりこういうことに関連のある産業をやっている地域はたくさんあると思うのでありますから、すみやかにこれが対策を立てて、指示を与えてやらなければならぬ筋だと思うのですよ。これはぜひひとつすみやかに対策を立てていただきますことを私は要望いたします。  それから、大蔵省から国有財産局長がお見えになりましたので、国有財産局長にひとつ御答弁願いたいと思います。それはこういうことです。国の普通財産を貸し与えてある北の丸公園のことですが、北の丸公園というのが都民のオアシスとして森林公園になる計画閣議決定しているのです。ところがこれがなかなか進まない理由の中に、この森林公園の中に個人に貸し与えてあるところがある。そのためになかなか森林公園計画が進まない。聞くところによると、この人たち移転補償費を払うのではないかということが言われております。契約のことについて伺いますと、払うとも払わぬとも書いてないというのです。内容はまだ知りませんけれども、一体契約は、この北の丸公園を国が貸すときにどういう契約内容であったのか、このことが知りたいわけです。
  40. 松永勇

    ○松永政府委員 私、突然のお呼び出しだったので、契約書の中身はまだ承知いたしておりません。ただ、一般的に国有財産の貸し付け契約をいたします際に、契約書も古い時代に契約したものと新しい時代に契約したもので、契約書の中身、たとえば補償条項等において若干変わってきている点がございます。明らかに、こういう場合には補償するとかいうことを規定したもの、逆にまた、こういう場合には損害賠償をとるとかいうことを規定したものもございますが、そういう条項の書いてない契約書の時代もございます。本件が、そういう契約書でどういう契約をしているか、まだ実は契約書の中身を見ていないので、正確には申し上げかねますが、通常こういう契約を解除して、要するに取り上げるという必要がある場合に、それに補償をするとかしないとかいうことが書かれてなくても、それによって通常生ずる損害というものは補償すべきではないかと思います。  なお、国有財産法の二十四条に「貸付契約の解除」という規定がございまして、本件はこの条項を適用したのかどうかはちょっと正確には存じませんが、要するに国が国のため必要があって契約を解除する場合には、その解除をすることができる、解除した場合には、これによって生じた損失につき補償をするのだということが書いてございます。契約書にそれをうたっている場合には、契約書によって行なうし、契約書にうたってなくても、そういう契約の解除が相手方に損害を与えた場合には、通常生ずべき損失補償はなすべきではないかというふうに考えます。
  41. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、貸すときにどういう契約で貸し与えたのか、個人が借りる場合において、当然何に使用するかということについて用途指定は、契約を結ばれるときに、私はされたものと思うのです。ただいま問題になっております北の丸公園の中にあって、補償要求しているだろうと目されるものには、自動車の修理工場があるわけです。だれも昔の近衛師団の中に自動車の修理工場ができているなんということは、私は予期していなかったと思うのです。その契約はしかも戦後の二十四年に結ばれておる。それで再契約がさらに三十八年の十一月十九日に結ばれている。そういうものを個人に貸し与えている場合には、当然用途については大蔵当局で調べた上で、貸し与えたものと私は思うのです。ただ目的なしに土地を借りるはずがないです。そうすると、使用するときに初めて自動車工場にするのだということであったのか、この修理工場に必要とされるものについての移転費は払うというお考えなんですか。
  42. 松永勇

    ○松永政府委員 契約を結んだのが、先生のお話によりますと二十四年、当時こういうものを貸したということを私知らなかったわけでございますが、私がいまそのお話を聞いて感じますことは、一時使用認可ということで当時やっておった時代、これは国有財産が連合国軍の管理下にあったために、一時使用の認可ということで占領軍の承認も得て、一時使用を認可したということだろうと思います。もちろんその認可をする際には、どういう目的に使うので使用認可をされたいということで、承認も得て、認可をしたということだろうと思います。それが結局、平和条約発効後は、これを貸し付け契約変更してまいっております。いまの契約でそれを貸すということをきめ、相手方がそれで使うという権利を持って使ってまいっておる関係が、これは民法上の通常の契約でございます。それによって、相手方の契約を解除することによって、相手方に通常生ずる損害というものは、契約に別段の定めがなければ、補償すべきことが当然じゃないかというふうに考えております。
  43. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、別段の契約がなくて、たとえばこの中に、現在あるかないかわからないような国際文化協会なんというものが、個人名義の契約の中にあるわけです。こういうものができたかできないかわからないのに、それが今度返還するという場合には、補償金を払わなければならないわけですか。
  44. 松永勇

    ○松永政府委員 通常の民法の場合の処理としても、それは通常民間でも、そのような状態のときには、通常生ずべき補償というものが行なわれていると思いますが、特に国有財産につきましては、その当然のことであると思われることが、二十四条の規定に掲げられております。この二十四条の意味は、民法の契約解除ということは、契約解除の効力を生ずるかどうかという点、すなわち、合意の解除ができれば問題ないわけですが、いわゆる解除権として行使できる、すなわち、契約違反があった場合にそれに伴って契約解除ができるということは、これは民法上当然でございます。しかしそういう契約上向こうが、相手方が債務の不履行がないにかかわらず、契約解除ができるかどうかという点は、これは民法上問題があるわけでございます。国有財産法二十四条は、そういう状態であっても、すなわち相手方に契約条項の遅滞等がなくても、国は国の目的があって、必要があるときには契約解除ができるという、民法に対する特例法的な契約解除権を認めたのが、この二十四条の規定でございます。その二十四条の契約解除権を行使する場合に、そういう特別の解除権を国有財産については与えておるけれども、それによって生じた損害はこれは補償するのだということが、その第二項に書いてございます。これは当然のことでございますが、第一項の、要するに特別の解除権を与えたことにあわせて、民法上通常行なわれるところの、通常生ずべき補償を行なうということを規定したことでございます。いまの場合に、そういう通常生ずべき損害があるならば、補償すべきことが当然ではないかというふうに考えております。  なお、ただいま私が申し上げましたことは、契約書の具体的な条項を実は承知しないで、一般論として申し上げておりますので、契約に特別の定めをして、そういう場合の補償は行なわないとか等の条項があれば、またそれは契約としての効力を持とうかと思います。
  45. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。  その契約の条項をひとつ示してくれませんか。
  47. 松永勇

    ○松永政府委員 ただいま契約書が手元に届きましたので、契約書の条項を見ますと、「契約の解除」というのが第十九条にございまして、契約解除できる条項がそこに規定されております。その中に、「甲において」——この甲というのは国でございます。「甲において公共用、公用、公益事業又は甲の企業の用に供するため貸付物件を必要とするとき」という規定がございます。これによって契約解除ができるようになっております。本件の事案はまさにこれに該当するのではないかと思いますが、それに伴うところの補償の規定は、二十一条に「損害賠償」という規定がございまして、「甲が、第十九条第一項第二号」のただいま申し上げました規定でございます。その「規定により本契約を解除した場合において、乙に損害が生じたときは、乙は、甲にその補償を請求できるものとする。」という規定がございます。いまのこの規定は、まさに、いま法律で私二十四条の規定を読み上げましたが、それと同趣旨のものが契約書にも入っておるようでございます。本件の補償の請求というのは、そういう性質のものではないかと思っております。
  48. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと委員長から伺いますが、いま局長説明を聞いておりますと、損害賠償だとか、あるいは補償だとか、国がその責めに任じなければならないような場合を説明されましたが、その金額とか、それから期限とか、そういう具体的なものによって、損害賠償とかあるいは補償とかいう問題は考えなくてもいい場合も出てくるのではないかと思うので、その具体的な期限とか、それからどういう理由で国有財産を貸さなければならなかったのか、それから金額、そういう具体的なものを説明してもらいたい。
  49. 松永勇

    ○松永政府委員 契約をいたしましたのは、現在手元にございます契約書は、三十四年十一月十九日付の契約書でございますが、先ほど山田先生のお話によると、二十四年か五年から開始をしたというのは、おそらくそのときが、当初一時使用認可から始まったということだろうと思いますが、その後この期限を更新して現在まで至っておる。たまたま手元にございます契約書は、三十四年十一月十九日付の契約書になっております。  それから期間は、通常契約書は三年で契約をし、それを更新するということでまいっております。いま建設省のほうから聞きますと、現在その補償実施するまで、この契約は継続しておるというふうにおっしゃっております。そういう事態であるわけであります。  それから第二点の補償の金額というものは、通常生ずべき損害というものは、その補償をする際に、甲乙協議して、その通常生ずべき損害というものをきめる。これは国としては、すなわち本件の場合は建設省が、通常これによって生じたであろうという金額を推定し決定している、こういう事態でございます。
  50. 山田長司

    山田(長)委員 これは森林公園をつくり上げるからといって閣議決定までしているが、実際は、補償のことでこの中には争いが起こっておるところがある。とてもそれは閣議決定したって、公園ができる筋合いのものじゃない、いまのところの段階は。一応決算委員会としては、この貸借関係の書類を全部取り寄せてもらいたい。中には、補償要求で一億八千何百万何がし、まだそのほかに一億何百万とありますが、そういう国の土地を大体幾らで貸したのか、金額もわかっていない。これを幾らで貸したのか、貸した金額等も調べて、この書類の提出も私は要求したい。コピーか何かとって、この委員会に出してもらいたい。それでなければ、閣議決定した公園なんというものはできっこないのです。おそらくはかの人たちも、これに対して訴訟を起こすにきまっているのです。あれだけの場所を、国が貸した金額もあまり明確でない。契約も明確でない。それで裁判をやっているというような事態では、国民のために森林公園をつくってやるなどというのはお題目だけで、とてもそんななまやさしいことではできないと思うのです。  どうか、委員長におきましては、この資料を要求していただきたい。ほんとうに森林公園ができるということが可能かどうか、それからまた、これから先、閣議決定しさえすればどんどん何でも建ちだすのか。一体森林公園ができるなどといって国民を喜ばしておいて、ひど過ぎますよ。ひとつ資料要求いたしますから、この点、資料を出してもらいたい。
  51. 吉川久衛

    吉川委員長 出田君の資料要求とあわせて、いかなる人物に、いかなる理由で貸し付けたかということも、あわせて資料として、委員長に提出を願います。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ちょっと関連してお尋ねしておきたいのですが、ここに説明資料としていただいておる北の丸公園の概況というのは、建設省から出ているわけですね。——そうですね。  そこで、この資料を見ますと、北の丸公園の開放といいますか、ここを森林公園にするというのは、三十五年の一月二十九日に閣議決定された、こう言われておるわけです。それから八月以降、東京都が森林公園として整備計画を進め、三十八年五月二十一日に、建設省で直轄してやるということがきまっているわけですね。  これは建設省にお尋ねいたしますが、三十八年五月二十一日に建設省にきまっておる。実際は、三十五年の一月二十九日に閣議決定しておる。こういう森林公園にするのだという閣議決定をして、整備計画を進めておるのにかかわらず、一体いかなる理由で、先ほど問題になりました自動車の修理工場の経営者、これには、三十八年十一月十九日に再契約をしておるのか。相当以前に閣議決定で、ここは森林公園にするということをいたしておきながら、どういうわけでこうして再契約をして、なおかつ補償をしなければならないようにいたしておるのですか。その点、理解に苦しむのですが、御説明を願いたいと思うのです。
  53. 竹内藤男

    竹内政府委員 貸し付けのほうは、国有財産局のほうでやっておるわけでありますので……。
  54. 松永勇

    ○松永政府委員 いま建設省のほうでちょっと聞いておりましたのですが、契約の更新が契約書として行なわれたかどうかという、事実行為があったかどうかの確認をいたしておりませんので、契約書の更新について、期日の更新をしたかどうかという点は、後ほど取り調べたいと思います。ただ一般的に申しまして、こういう補償をいたします際に、国有財産の貸し付け期間というものを、三カ年で契約更新いたしております。これはまさに三カ年だけ貸したのかというところが問題になるわけであります。通常このところにつきましては、事柄の性質にもよりますが、堅固な建物をつくる、工場をつくるというような場合、従前はこれは一カ年でいたしておりました。相当前でございます。最近は三カ年にいたしております。この一カ年だけ貸すということが、一カ年でその貸借関係を終了するという目的契約であるかどうかということは、裁判上問題になるわけでございます。通常一カ年の契約というのは、一カ年間の使用料を幾らとするという、すなわち使用料計算の一単位としての期間であって、一年たったら建てた工場を取りこわして撤去するということを趣旨とした契約ではないというふうに、通常裁判では解釈されております。私たちも、社会の実情から見て、そういうものであろうというふうに思っております。かりにいまの状態で契約の解除、契約の更新ができてない事態のもとであっても、その場合に、契約がそこで解除され、相手方が当然立ちのき、工場を撤去していく性質のものであるかという点については、その契約の実態を見て、その意思の合致を見て契約を解除する、期限の終了と見るべきかどうかというふうに見なければならないのではないか。すなわち、借地借家法上、期限の定めのない貸借契約、賃貸契約であるというふうに解すべき場合が多かろうというふうに存じております。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 契約書を取りかわして、一年なり三年、こうやっておるわけですね。しかしその上に一年後回収することが不可能ならば、あるいは三年の期間を限って、三年たってそれを回収するに不可能ならば、そのときの貸し付けで、いまあなたが読んだ条文ですね、国が必要によって取り上げることができるというのは、結局何といいますか、一時的に貸して、そこに物を建てさせて、安い賃貸料を取って、実際には、それを解除するときには賃貸料以上のものを補償しなければならぬということになって、結局貸すこと自体が、私は、国損になる、国の不利益になると思うのです。そういう貸し付けをするということは、国民の立場から言うならば、国民の税金のむだ使いをしておる。私はその貸し付けが、またかりにこれは別ですが、その貸しけが政治的にあるいは利権的に行なわれるとするならば、これは明らかに汚職以上の重大な問題だと私は思うのです。しかしこれは古いものです。経過を見てみましても、ここに出されておる書類だけを見ても、昭和二十四年のころですから、昭和二十四年のころの財産管理の状態を見て、いまここでどうこう言うことは困難かと思いますけれども、やはり閣議決定をし、それから建設省がこういう事業をやるのだという段階になるならば、そのとき当然、契約を解除すべきかどうかという議論があって、そしてきっちりしておくべきなんです。それをきっちりしないで契約をしておったということになれば、これは私はたいへんな問題だと思う。  それともう一つこれにからんでいるのは、首都高速道路公団が道路を通したために、借地権の補償をしているわけです。借地権の補償と、ここに書いてあるわけですから。国が取り上げる場合はいいけれども、これは多摩川のゴルフ場と同じことです。あの場合は、御承知のとおり、建設省河川管理をしておるけれども、実際には神奈川県なり東京都が貸している。だから、それを道路公団や国鉄がやる場合においては、国鉄と道路公団が貸してある多摩川のゴルフ場と具体的に相談をして、補償をして、そしてあのピアをかけているわけです。それが、かりに国がやる場合は、公団の場合と少し問題が変わってくると思うのです。そのことは、この前多摩川のゴルフ場の移転補償の問題を論議したときに、結局、神奈川県とか東京都と国がやる場合は違う、なぜならば、東京都の副知事がこの委員会に来て、東京都でやったときには補償しませんでした、と言った実例があったわけです。東京都でやれば補償しなくてもいいけれども、道路公団でやったから補償したのだ、それがまたこれに同じようにからんでいるわけです。首都高速道路公団が道路を通したのだからこれを補償している。今度は国がこれを取り上げるということになれば、いまあなたは、ある程度の補償をしなければならぬような考え方に立っておるようでありますけれども、これは論争が残っているけれども、そういう点からいきますと、私はこの問題はそう簡単な問題として見過ごすわけにいかない。これは本質的な問題になるわけです。そういう点から、先ほどから資料の要求もされておるようでありますから、もう少し当時のことを見直していただいて、次の機会に十分資料も出され、当時の状態がわかり、そして解明できるように、御準備をしておいていただきたいと思います。むろん建設省との関連においてもそうでございます。ひとつこれも資料を出していただいて、御答弁のできるように要望いたしておきます。
  56. 松永勇

    ○松永政府委員 先ほど勝澤先生から、貸し付けというものが、貸し付けを行なってそれを解除すれば補償を免ずる、国損になるのじゃないかというお話がございました。まさに現時点において見ますれば、そういうことになろうかと思います。これはこの前の決算委員会で、勝澤先生からの御質問に対し私がお答えしましたように、こういう貸し付けが始まりましたのは、戦後旧軍の膨大な財産が返ってきて、しかも経済復興というものが全然行なわれてえらない、混乱した状態のもとで、遊休化したこの国有財産をすみやかに民化安定、経済の復興に役立てたいということで、当博、貸し付け、一時使用をし、そこに工場を建てさせて経済の復興をはかりたいということで、貸し付けを始めたわけでございます。現在の貸し付け関係で続いておりますのは、ほとんどそういう戦後の状態のもとでの貸し付けが継続してまいったわけであります。その後、三十三年から、新規の貸し付けというものは原則として行なわないということを申し上げました。売り払いがもう確定しておって、売り払い評価を行なう期間すみやかに工場建設に着手したいというような特殊な事例の場合に、特に一時貸し付けて、売り払いまでの期間をつなぐというようなことはいたしておりますけれども、原則として新規の貸し付けはいたさないというふうに方針を変えてまいっておりますということを申し上げたのは、まさにいまのこういう事態で貸し付けをいたしますと、これは普通財産でございますので、当然民法上借地権あるいは借家権、そういうものを生ずるわけでございます。現時点においては、借家権とか借地権とかいうものが非常に価値が高くなり、それだけ所有権の価値が落ちる、いわゆる国損を生ずるというのが現状でございますので、そういう運営をいたしております。  なお、先ほど多摩川のゴルフ場のことにお触れになりましたが、多摩川のゴルフ場とこういう普通財産とは、基本的な違いがあるというふうに私たちは了解しております。それは普通財産というのは、普通財産の賃貸あるいは売買は、これは民法によるものでございますが、多摩川というのは、これは行政財産でございます。国有財産法上、私権の設定を認めない行政財産というので、通常民法の賃貸とは違う性格のものでございます。多摩川の場合とは違って、普通財産を貸し付ければ借地権を生じ、あるいは借家権を生じるということは、これは民法上の当然のことになる状態でございます。なおその他の点につきましては、次会までに資料等を整えて御提出いたします。
  57. 竹内藤男

    竹内政府委員 お手元の資料は、まことに申しわけございませんが間違っておりまして、三十五年一月二十九日閣議において決定されたというのは、削除していただきたいと思います。   〔勝澤委員「もう一回、この次までに資料を出   してくれ」と呼ぶ〕
  58. 山田長司

    山田(長)委員 ずいぶん失敬な話だよ。その資料に従って一生懸命やっているのに、それが間違っているなんて、何ですか、一体。  それから、国有財産局長にちょっと伺いますが、国有財産法の第二十四条の場合には「貸付期間中」とあり、その貸し付け期間、契約期間が満了したときにすみやかに解除する場合には、私は補償しなくてもよいと読めるのですけれども、この点、法的解釈を次の機会にとくと解明したいと思うのです。  それから、大体補償額が何億と要求されるだろうと目されておるのに、この貸し付けた額は一体幾らなのか、その額がちっともさっきから言われていない。これらについても、群類を提出されるときに明確に、やはりその資料の中にうたわれておると思いますけれども、ひとつ間違いなく出してもらいたい。  それから、いまのように日が間違っておるというようなことでは、これは資料要求として出した意味がなくなっちゃう。この次までにもう一ぺん出し直しなさい。
  59. 吉川久衛

    吉川委員長 答弁は要りません。建設省大蔵省とでよく打ち合わせて、資料を再提出してください。  勝澤委員
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、いまの問題はまた資料が出てからお尋ねするといたしまして、会計検査院からも指摘されておるようでありますが、立体交差の工事の状態でございます。鉄道と道路との立体交差の状態が、一カ所二十六カ月も協議にかかっている。そして実際には協議をされても、国鉄のほうができても、それの取り入れ道路ができていないというような形で、会計検査院の御説明によると、約十二億くらいちぐはぐな状態の中で不経済になっている、こういうことがいわれておるわけであり冒すが、一体この現状とこれに対する対策はどういうふうに行なわれておりますか。
  61. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま御指摘道路と鉄道の立体交差の問題につきましては、検査院から改善の御指摘がございます。この道路と鉄道の立体化につきましては、私どものほうは、鉄道関係者と、個々の立体個所につきまして、それぞれの地形なり周辺の市街地の状況なり、そういったようなもの等勘案しながら、交差方式等について協議をいたしまして、それで工事実施いたすわけでございます。ところが交差の個所によりましては、単に技術上の問題だけじゃなく、交差場所のございますところの土地の状況等からいきまして、非常にむずかしい問題がある個所がかなりあるわけでございます。そういったところにつきましては、計画の調整を遂げるまでにかなりの時間を要している場所があると思います。事柄が事柄でございますので、これは極力関係者の努力によりまして、少しでも早くこの事業が促進されるように努力をいたしておりますので、ひとつさように御了承いただきたいと思います。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまのようなことが、この検査報告に対する説明書の回答としてあなたのほうから出されておるわけでありますが、一体どういうわけでそういうことになるのか。たとえば、ここに一つ例が出ておりますが、検査報告書の中で、関東地建の場合の新宿の跨道橋、一級国道六号線と国鉄金町貨物線とが平面交差している地帯でありますが、三十七年四月に国鉄と協議に入って、そして三十九年五月に計画書が提出されて、四十年十月現在まだ設計協議も未了のまま未着工になっている。三十七年の四日ですから、三十八年、三十九年、四十年の三年もたってまだ設計協議が未了、未着工だ、こういうのは一体どちらが——国鉄側に責任があるのですか、建設省側に責任があるのですか。あるいは国の予算の立て方の問題になっているのですか。あるいはいま技術的な問題と言いましたが、これはどういうところにあるのですか。そういう点……。
  63. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 具体的な新宿の御指摘の点でございますが、担当の国道第一課長が参っておりますので、課長からお答えいたします。
  64. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 お答えいたします。  ただいまの新宿の問題でございますが、実はあそこは地盤が悪いために、道路を上げる場合道路を上げまして国鉄をそのままで立体交差をつくる場合、それから国鉄を上げまして道路をそのままで立体交差する場合、そういう二つのケースについて、初め道路を上げるという考えでかなり進んだのでございますが、非常に地盤の悪いところでございまして、鉄道を上げられないというようなことでもございましたが、だんだんやってみますと、やはり鉄道を上げるというのが道路としても使い方がいいというようなことになりまして、その辺の検討のためにかなり時間がかかったと承知しております。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 建設省としても、片っ方跨道橋ができたけれども道路ができていない、こういう個所が相当あることは御存じなんですね。たとえば、最近私たちが京都の双ケ岡に行ったとき、あれは山陰線ですか、山陰線の工事のほうの跨道橋はもうできておりますけれども、それの取り入れの道路というものはそのままほったらかしになっている。こういうのを見てみると、跨道橋をつくりながら道路のほうがくっついていない。そんなに一緒にならないなら、もっと一緒になるところを能率的にやって、両方できてどんどん完成していくというほうが、予算を使う場合に一番効率的じゃないかと思うのです。片一方ができたが片一方が使えない、片一方ができたけれども片一方が使えない、こういう金の使い方というものは、これは言うならば大きな国損だと思うのです。国のことだからそうやっていてもいいが、個人が自分でうちを建てたりなんかする場合だったらたいへんなことだと思うのです。その点、私は建設省、国鉄の担当しておる人たちの心がまえというものが重大な問題だと思いますが、そういう点いかがですか。
  66. 谷垣專一

    谷垣政府委員 いま勝澤先生の御指摘の問題は、実は私もそういう関係を見てまいりまして、痛感をいたす点がはなはだ多いのであります。国鉄との交差の問題、あるいは他の電電公社等のいわゆる地下埋設物の関係の問題、同じ政府部内ではございますけれども、それぞれの仕事を持っております場合の交渉、それから具体的な計画決定、これは実は建設省に入りましていろいろ見ておりますと、非常に問題が多いようであります。極力これを進めなければなりませんが、ことにせっかくまとまりました問題に対して、具体的に先ほどお話がございましたが、跨道橋ができておって、それに接続いたします道路ができていない、こういうような問題は、これはほんとうに御指摘のように注意せねばならぬと思います。一つ一つ具体的な個所につきまして問題があるようでございますので、それらの点は担当のほうからも御説明いたすと思いますが、全体的にはやはりこれが非常に問題点であることは事実でございます。今後その問題につきましてとにかく努力せねばならぬということは、私、国会議員で政務次官をいたしておりますけれども、特に痛感いたしております。努力いたしたいと考えておりますが、具体的問題につきましてはまた……。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは建設省もそうですけれども、国鉄も同じ立場で一度——せっかく会計検査院も取り組んでおるし、われわれが国会議員という立場で現地へ行ってみると、そのこと自体だけで、国民に申しわけないと実は思うわけです。一年も、極端には二年もほったらかしになっておるわけですから……。ですから、そういう点は、設計して着工するときには、両方の予算を見合わせながらやっていくということをしなければいけないと思いますから、この具体的な問題につきまして、次の機会に、国鉄と建設省両方の立場から、これは説明を聞いても、具体的な事実については説明はわかるわけですから、やはり心がまえをしっかりしてもらって、そういうちぐはぐなことができるのは、仕事をやっていく上からいって失敗ですから、責任を感ずるというものの考え方をしないといけないのじゃないだろうかと思います。そのときにもう一回やることにして、その問題は終わります。  次の問題ですが、これも先ほどの住宅道路関係ですが、山田委員が質問をいたしておりましたけれども、最近新聞の投書でもたくさん出ておるわけでありますが、いま東京の外郭環状道路建設についての審議が進められているが、どうしても割り切れないものがある。それは政府の住宅政策に呼応して大手の私鉄会社が造成をして、いま住宅建設されつつある土地の一画が道路になろうとしておる。大手の私鉄会社がどんどん土地造成しておる。土地造成して、そしてそれを一区画五百万円くらいで買って、一年以内にそこへ住宅を建てようということで、住宅が建ち始めて、やれやれと思った。ことしの三月になってやっと建てて、住んで、四日目に、あなたのうちの六畳間はこわされることになった、こういう通知がきた。そして土地の買い入れの中止を私鉄会社に申し入れても、金は戻らない。道路の政策と住宅の政策というものがちぐはぐなんですね。この中に入って、住宅会社が住宅地でもって土地造成をすれば、一般の普通の善良な市民は、これはいいだろうと思って、みなそこへ土地を買って建てているわけです。建ってしまってから、区画整理だとか、都市計画だとか、道路計画、こうなっておるわけです。  私のほうの清水市に有度というところがあるわけでありますけれども、そこなんかも、日本平の山にかけて無計画にどんどんうちが建っているわけです。土地ブローカーは、土地を造成してはどんどん土地を売っているわけです。しかも県も市もだれもほったらかしてしまっている。十年、二十年、三十年もつとめて、ようやく退職して、そのなけなしの退職金で家を建てて、住まい始めたら、あなたのところは何坪減らしてくれ、どう減らしてくれ、こうやられているわけです。これは私は、住宅をやっている局長道路局長のまわりにも、現実にそういう被害者がたくさんおると思うのです。私のまわりにもおりますし、やはりそういう被害者があふれておるわけですから、こういう点はやはり国として何とかしなければ、国民の立場からいえば、一体これはどこに恨みを持っていけばいいかということになると思う。  最近、私も国有財産の関係でたくさん投書をもらっているわけです。たとえば農地です。これは自作農創設特別会計のあの農地ですけれども、その農地にどんどん無断でうちを建てている。建築許可も何も出ているからだいじょうぶだと思って買ってみた。買ってみると農地だった。いや昔のお寺の土地で、それはお寺に返さなければならぬ。お寺から、買い戻してくれというようなことで、まことにむずかしい話を聞かされて驚いたのですけれども、これは権限がどこにあるかということは別問題として、何とかして——建設省として、住宅をやっている、道路をやっている、その辺で何とかしなければ、いやそんなものは市役所へ行って都市計画を見てくれればいいのだと言っても、実際には大手の私鉄会社あるいは土地会社が、そういうりっぱなものを建てているのだから、みなだいじょうぶだと思うなと言うことは、私は無理だと思うのです。そういうものについて、やはりこの際少しメスを入れて住民の生活を守ってやる、住宅建設を守ってやるということを私は考えるべきだと思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。
  68. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御指摘のような問題が最近ことに多くなっておりますのは、はなはだ残念なことでございます。御存じのように、都市計画あるいは区画整理というようなものが先行すべき問題でございます。あるいはもっと大きく、ことに問題になっておりますような大都市間を貫く問題、あるいは最近問題になっておりますような東京都周辺の外郭環状道路、いわゆる環状線の問題、こういうようなものが先行すべきであることは理論的には当然でございますが、ものによりますと、都市集中のスピードに合いかねておる、こういうことがありまして、いまのような問題があるわけでございます。あるいはまた区画整理、都市計画ができていなくても、あるいはできておりましても、宅地造成をいたしますやり方が非常に不親切、あるいはまたせっかく基準をきめた法律がございますけれども、そのとおり行なわれていない。いわば行政上の監督その他がなかなか手が届きかねておって、不正な業者等がはびこっておる、こういうような事例があるわけでございます。したがいまして、どうしても計画が先に行かなければならぬのでございますけれども、現実に非常な大都市ができておる。それに対する都市の再開発という問題が、あとになりますけれども、起きてきておるのも、これまた現状としてはある程度おそかったけれども、やらなければならぬという問題も起きてきておるわけでございまして、外郭環状線の問題は、まさにそういう問題であろうと思います。東京へ入ります、いわゆる通過をいたしますような交通を、どこかでそらしていかなければならないというような問題がございますわけで、いろいろとその決定をいたしますが、決定をいたしました場所が、従来予想しなかった、たとえば住宅地域として予想してやっておったのだけれども、そういうような区域になって困るんだという御要望の問題がございまして、これは計画あとになって起きましたために起きてきた問題であろうと思います。したがいまして、できるだけ計画を先にいたしまして、それを住民の皆さんによく知っていただくということが必要になります。あるいは大都市が非常に広がっておって、このままではとても都市機能ができないということになりますれば、おくればせではありますが、計画をとにかくきめてやっていかざるを得ない、こういうようなことで、実は進めておるわけでございますが、その問いろいろとそごがございまして、御迷惑をかけている向きが多いように思いますのは残念であります。  それからなお、先ほど来話がございましたが、すでに都市計画ができておる。しかしそれは県庁なりあるいは市町村の窓口へ備えてあって、それを見ればわかるんだが、ということになっておるわけであります。しかしこれも実際の土地を買いあるいは借りまして、家を建てるという庶民の立場から申しますと、それだけのやり方では、現在のような非常に住宅の払底いたしております場合には不十分であろうと思います。住民の立場から見れば、なかなかそこまで手が届きかねるというのが真実であろうと思います。したがいまして、それをどういう形で、それならば周知徹底できるかという問題が起きてくるわけでございますが、PRの方法をどうするか、あるいはもっとそういうものの掲示その他を違う広い場所にやっていいものかどうか、そこらが実はむずかしい問題がございまして、苦慮いたしております。しかし、いままでのように、県庁なりあるいは村にあるからというだけでいいかと申しますと、これはもう少し考えなければならぬということを痛感いたしております。  以上のようなことで苦慮いたしておるのが現状でございます。十分努力いたしたいと思いますが、個々の問題につきましては、担当官から御答弁させていただきます。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたや私が被害者の立場で、いまの政務次官の答弁で、一体これはどこに苦情を持っていったらいいかということを考えると、ほんとうに気の毒な問題だと思うのです。この話によりますと、大手の私鉄が政府の政策に応じて住宅建設のために土地造成をした。りっぱな区画になっているわけですから、その現地を見ればだれでも問題ないだろうということで、まあ五百万円も出して買う。住宅が建てられるとみな思うでしょう。それが建って一週間もたたぬうちに、道路計画ですから、あなたの家がこうだとやられたら、これはたいへんなことだ。そこで、守ってやる方法というものを何か考えなければいかぬと私は思うのです。わからないですから……。あなたの家をお建てになるときもそうだと思うのですよ。私も実は土地を買おうと思って——ブローカーが、この土地がいいですよ。登記もちゃんとなっていますよ。しかしそれが一年後二年後になったら、都市計画でこうなるのだということは、大衆はみなあまり知らないわけですから……。そして半年なり一年たって、これはたいへんな土地を買っちゃったという被害者はたくさんあるわけですから、そのときに何とか救ってやろうと考えなければ、いまの話のように、いや道路計画住宅計画と総合してやりますと言うだけでは、その被害者は救われないと思う。これでは、一体国は何をしているのかと、買った者は、おれをペテンにかけたじゃないかという恨みが残るだけです。結論は、建て直しをしたり、引っ越しをしなければならぬということは、大きな国家的損失だと思うのです。それを繰り返さないようにしなければならないためにはどうしたらいいかというのは、これは何回も何回も、住宅審議会あるいは道路でやっているのですから、やはりもっと親切なやり方というものを考えなければ気の毒じゃないかと私は思うのです。そういう点で、いまあなたのお話ししただけでは、被害者は、政務次官の言うことはよくわかりました、私が悪うございました、都市計画を見なかったために私がだまされたのですと、泣き寝入りするというのは、あまりにも国家は不親切だと思うのです。ですから、そういう点も私はもう少し目の届いた仕事をすることが国の政治のあり方じゃないだろうかと思うのですが、どうなのでしょう。何かうまい方法、あるいはそういうことになったときには、やはり売ったほうの側が補償するとか、そういうものの考え方というものは何とかならぬものでしょうか。
  70. 竹内藤男

    竹内政府委員 ただいまの問題は、二つ問題がございます。一つは、某私鉄会社が団地として売り出しました土地が、都市計画決定にかかるという問題、先ほど山田先生の御質問の際に、私は都市計画は二十年くらい先を見越して計画をするんだと申しましたけれども、やはり事情が変わってまいりますと、都市計画決定変更をしなければならない、あるいは追加をしなければならない。ただいまの東京の外郭環状線の問題は、まさにその問題でございまして、交通事情も、将来二十年くらいにわたりまして東京都の交通事情をさばくために、どうしても外側に外郭環状線をつくるといろことで、都市計画決定変更と申しますか、追加をしようという問題でございます。したがいまして、その方々が団地をつくられる段階あるいは団地の中で土地を買われる段階では、都市計画としてはきまっていなかったわけでございます。したがいまして、市町村に参りましても、都市計画がきまっていないからだいじょうぶだと思って、そこに団地をつくる、その方が買われたということだと思うのです。ただいまこの問題は、東京都の都市計画審議会におきまして都市計画決定をする際には、地方計画審議会にかけてきめることになっております。その審議会には、地元の市長さんあるいは市会議員の方というような人も入っておりますが、そこで六回くらいにわたりまして、現在審議中の問題でございます。  もう一つは、先ほど山田先生にお話ししましたように、都市計画決定がきまっているもののPRなのです。これにつきましてはわれわれもさらにくふうをこらしまして、十分PRできるような方策を考えてまいりたい、こういうことでございます。
  71. 大津留温

    ○大津留説明員 ただいまの問題に関しまして、宅地造成事業を行なう事業者を規制するという問題、それからなお、宅地の取引を行なう者を規制する方法、こういう方法を実は考えておるわけでございます。住宅地造成事業に関する法律というのが実は三十九年に制定せられまして、大都市近郊におきまして住宅地造成事業規制区域というものを定めまして、その区域内で住宅団地を造成いたします場合には知事の認可にかからせる、知事はそういった造成事業が都市計画に合致しているかどうか十分審査いたしますし、また事業を行なう者も、そういう都市計画に沿うような計画を立てなければならない、こういうことで、御指摘のような事態を避け得るような制度ができたのでございますが、実は三十九年に法律ができて、その地区の指定、知事の認可というのはその後行なわれるというようなことになりましたので、御指摘事業はおそらくその以前に行なわれたことじゃなかろうか。この法律をつくることがおそきに失したといううらみがございまして、申しわけないと思いますけれども、今後は、一応そういうことで手当てができるのじゃないかというふうに考えております。  それからもう一つの、宅地の売買を取り扱います宅地取引業者につきましては、宅地建物取引業法というので、そういうブローカーは、その都市の都市計画上あるいはその他の制限がある場合には、これを買う人にそういう大事な事項は十分説明しなければならないという義務を負わせております。また宅地建物の取引業に従事する者には試験を行ないまして、そういった基礎知識は十分持った者に限って行なわせる、またそういう真実を告げずにやった場合には、一年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金というような道もございますので、ただ現実にはそういうようなことを守らない悪徳業者がまだ残っておるという状況で、この監督も十分しないといけませんけれども、一応そういう手当てとしてはできておりまして、これらの監督を十分励行いたしたいというふうに考えます。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この宅地造成の問題などにつきまして、誇大広告などということでだいぶ騒がれて、いろいろ取り締まりはおやりになっておるようでありますが、二十年三十年、一生に一度のうちを建てる、そのうちが変な業者にかかったり、あるいはまたせっかくでき上がったのがまた動かなければならないとか、あるいはがけくずれのようなところを買わされたとか、いろいろあるわけです。その一番の根本はどうしたらいいかということになれば、もっとそういう土地の造成あるいは住宅建設というものについて、人と金を入れて、国も地方もいま少し親切な指導をすべきだと思うのです。そこに対するあたたかい政治というものが行き渡っていないのじゃないかと思うのです。われわれが町を歩いてみても、建てておるうちを見ても、ここにうちを建てるべきではないというのが、しろうとでもわかる場所がたくさんあるわけです。だからそういう点、国なり都なり市町村がほんとうに親切さを持って、あるいは宅地業者とか建設業者と関係のない、ほんとうに国民の立場を守るというような気持ちを持った人たらがたくさんおって、そういう人たちが町の中を歩いておれば、そこには住宅を建てても将来こうなりますよ、そこは宅地造成してもだめですよ、地盤が悪いですよ、こういうことをやるようなことをもう少しやるべきだと思うのです。そういう被害者がたくさんあるわけです。しかしまたたくさんあるとしても、それは一生の間に一度か二回しか機会がない人たちですから、そういう人たちをもっと国は親切に指導していく、被害者となって恨みを残すようなことのないようにしたいと思う。特に私は政務次官に、業者の取り締まりもさることながら、やはり国なり県なり地方自治体がそういうところに力を入れて、監督すべきものをきっちり監督しながら国民の利益を守ってやっていく、こういうことにもっと人を——これは人が足らないわけですから、誇大広告の問題でも同じです。人があればできることですから、結局それがなぜ今日問題になってきたかといえば、回数が多くなってきたこと、やはりマスコミの人たちが、見ておれないのではないか、国はもう少しここに重点を置くべきだという、われわれに対する警鐘だと思う。これにこたえるためには、もっとそこに対する力を入れる政治というものをやっていかない限り、これは問題だと思う。それから一人一人に対するPRも当然です。この間私のところに来た人は、高い月謝を払いました、差し押え物件で、できたばかりのものを買いました、知らなくて、下は農地でした、粒々辛苦してためた百万円の月謝を払って、一銭もとれません、何とかなりませんか。何ともならないわけです。裁判をやっても、何ともならないわけです。そういう人たちがたくさんある。私がこういう話をすると、実は私もそういう経験があったという人があるわけですから、そういう経験がみな埋もれて、いつまでもぐるぐる回っておるわけでありますから、やはりそれはどこかがやるということになれば、当面やはり建設省がそういうことについてもっと積極的に指導し、あるいは手の届かない点については、地方自治体について、何らかの施策をやらしていくというふうにしなければいかぬと私は思うのです。いま言いましたのは、二十年.後、三十年後の都市計画がどうなるかということを言っているわけではないのです。いま皆さんが町を歩いてみても、しろうとが歩いてみても——ここへ宅地をつくっている、これはけしからぬじゃないかということは、専門家が見ればわかるのです。あるいはうちを建てているのもそうなんです。そういう点は、火事があったときどうなるのか、ここは水がないじゃないかということを、やはり専門的立場で教えていかなければ、いつまでもごみごみしたうちばっかり建って、そしてそれを取り除くために国のお金がいつまでも使われていく、こういうことになるのでありますから、ひとつぜひ政務次官、この問題は重点的にお考えいただいて、やはり今日の国民の不安といいますか、期待にこたえるようにしていただきたい、いかがでしょう。
  73. 谷垣專一

    谷垣政府委員 勝澤先生からたいへん激励を受けまして感謝をいたします。住宅政策あるいは土地政策、あるいは現在の大都市集中に伴います都市計画の対策のこまかいいろいろの例は、申し上げるのを省略さしていただきますが、御指摘のございましたように、これは私たち自体もみな経験がある問題でございまして、庶民にとりましては、国民一人一人にとりましては、非常に大きな買いもの、自分の一生の間に一回という問題でございます。そのわりあいに、取捨選択をする、問題についての知識あるいはそれの案内というものが、いわばほかの商品に比べてずっと貧弱な状況にございますのは、御指摘のとおりであります。そういうような御指示をぜひひとつ今後ともにお願いいたしまして、努力さしていただきたいと思います。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次に、私はたいへん恐縮ですが、いま地元の問題で、東海道の国道一号線の実情についてひとつお聞き願いたいと思うのであります。最近の国道一号線の状態というのは、私はまことに重大な問題があると存じます。いま私たちの近所でも、もう隣の町に行くにも、国道で行くよりも鉄道で行くほかにない、予定がつかない、というくらいになっているわけでありまして、最近各新聞社が実情を調べてみますと、まず国道沿いのものは電話が聞こえない。親戚からお客さんが来ても、三日泊まろうと思っても、こんなところはやかましくて寝れないということで、もう一晩で帰ってしまう。静岡県の公害課で三十九年十一月に調査したのにおきましても、低いところで六十五ホン、高いところで九十二ホンというくらい騒音度が高いわけでありまして、最近十カ年間の自動車の増加状態は八・六倍だ。ですから、いままでまだそのままになっているわけであります。町内会も、国道をわたって隣組ができておりましたけれども、前へ渡るわけにいかないからといって、町内会も別々にしようじゃないかということまで起きておるわけであります。あるいはいま東名高速道路をやっておりますけれども、生コンを積んで運んでおる自動車が、ときどき渋滞のために生コンをとにかく捨ててしまわなければならぬ。あるいは市場へ持っていく間に合わないというような状態で、これではどうしようもない。これは毎日のように実は渋滞しているわけでありまして、時速十キロだ、東海道が十キロだ。交通事故があったらもう二キロや三キロ連なってしまう。雨が降って少しのろのろ運転をやる、信号にかかったら、信号から千メートルくらいは自動車がずらっと並ぶ。一体どこで事故が起きたか、結局事故ではなくて、信号と信号の間で連なってしまっているわけです。これがいま東海道の吉原から静岡、磐田、浜松の辺の実情なんです。東名高速道路の実情を聞いてみましても、東名高速道路は四十三年度末に部分開業という話を聞いておりますけれども、しかしいまの状態でいきますと、昭和五十五年には大体十五万台になるだろう、東名高速道路と国道一号線で七、八万台しか解消できない、ということがいわれておるわけでありまして、いま何といたしましても、この東海道にとってはバイパスをどうするのだということが一番問題なんです。バイパスをつくるにしても、なかなか地元は、ここじゃ困る、あっちは困るといって、また反対があって困る。道路はつくってくれ、といって、おれの土地は出すわけにいかぬ、まことに因った状態です。こういう点からいって、私はやはり当然、いま新長期経済計画もできる段階でありますから、東名高速道路ができても国道一号線は依然として同じ状態だという点から、バイパスの計画というものを早急に立てて、これはやはりもう建設に入っていかなければたいへんなことになると思うのです。御承知のように、由比で地すべりがあったときに、国道がとまって、そして東海道がとまって、実は駿河湾を船でとにかく何とか迂回輸送しようじゃないかという笑い話のような計画を持った。沼津港から清水港にという計画さえあったわけであります。いまの状態を見てみれば、まあ国鉄の新幹線がちょっと事故があると毎日のように新聞に出ますけれども、東海道の渋滞についてはあまり書かないじゃないかといって、地元の新聞記者諸君ももう少し——これはひどいじゃないか、火事があったらどうなるのだ、あるいは交通事故があったらどうなる、救急車も動かないような状態なんです。これは私は道路の全体的な計画の中からいきまして——それはほかの地域に比べれば進んでいるかもしれませんけれども、いまの交通量に合った道路状態になってないと思うのです。そういう点についてどういう対策をお考えになっているか、御説明を願いたいと思います。
  75. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいまの国道の、特に幹線国道の、現状とそれに対する対策という御質問でございますが、前会にもこれの御質問がありまして、私どもの担当課長からお答え申し上げたと思うのです。私どもは、過去十数年以来道路整備に全力を集中してまいり、なかんずく幹線道路に最重点を置きまして整備をしてまいったわけでございます。大体第一次改築と申しますか、国道につきましては、もとの一級国道は、四十三年ごろまでに第一次改築ができるというところまでこぎつけてまいったわけでありますが、しかしながらわが国の自動車輸送の現状等を考えまして、道路を上回る交通量が激増してまいっております。そういった点が特に幹線道路の各所にあらわれてまいりまして、特に幹線道路でも、都市の周辺におきましてそういう状態が顕著になっております。御指摘の国道一号は、わが国の最も代表的な国道でございます。ほとんど東京から大阪まで、連鎖状に都市がぶら下がっておるというような状況でございまして、全線にわたりまして、そういうふうな状態ができてまいっております。したがいまして、私どもは一次改築を待たずして、早急に、都市周辺のそういった地域に対する交通対策としまして、二次改築といいますか、バイパス計画を進めております。国道一号につきましても、超重点的に二次改築のバイパス計画を立て、すでに数カ所にわたりまして重点区間から工事に着手いたしておる状況でございます。しかしながら全国的に見ましても、さような個所はかなり多数もうすでにそういう状態になっておるのでございます。限られた道路予算の中で思うように手当できないことはまことに遺憾であります。私ども昭和四十二年度、来年度から、諸般の情勢を考慮いたしまして、五カ年計画の繰り上げ、改定、拡充というようなことを立案準備中でございます。新しい計画におきましては、そういう都市地域に対する手当てというものに特に考慮を払いまして、早急にこういうバイパス計画等の計画の策定、事業の着手という点に力点を置いて仕事をやってまいりたい、かように考えております。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は最近の実情を見ておりまして、運輸省に言っているのですが、もう東海道の長距離トラックは禁止せよとまで言っているわけです。そして鉄道に移せ。いま運賃の関係で、トラックの輸送免許がだいぶふえているわけです。そして鉄道からトラックにかわっている面があるわけです。これからはやはりトラックから鉄道にか、えなければ、もう東海道は詰まってしまうじゃないか。あの東海道の中で、一車線の個所が相当長い距離あるわけです。片方から三車線で来て二車線、一車線と、じょうごのようになってしまって、ある区間に詰まってしまっている。あるいは事故でもあったら、あるいは火事でもあったら、これは半日ぐらい交通が麻痺状態になってしまうわけです。ですから、そういう状態を見てみますと、これはやはり何としても、たとえば富士川の鉄橋を見てみましても、あるいは大井川を見てみましても、みな一つしかないわけですね。子供の通学も実は不可能なんですから、そういう状態を見てみると、まさに私は驚いた状態です。これはいまあなたが言いましたように、全部の道路予算の中のいろいろなことを考えながらやるわけでありますけれども、そのほかのことを言うと問題になりますから言いませんけれども、やはり交通量に応じたそのことをやっていかなければ、これは全体的に日本の経済自体が麻痺状態になってくるのじゃないかと私は思うのです。結局こういうふうになった原因は何かといえば、私は、静岡県というのは通り道だから、ほっておいても国がやってくれるということだから、道路についてはあまり県自体があるいは地元自体が、そんなに力を注がなかったということだと思うのです。あるいはまた、協力しようとすれば、当然それじゃ地元へ、土地買収なり何なり協力せよと逆に言われるから、国のほうは何とかしてくれるわということの結果だと思うのです。いまでも、私は、道路をつくってくれ、それじゃ協力するかと言うと、協力にはあまりいい返事をしなくて、道路のほうだけ早くつくってくれ、こういうことですから、たいへん困ったことだと思いますけれども、しかし困った、困ったと言っておると、いまの状態でしたら、私は長距離トラックを考慮しなければならぬ。あるいは国鉄はいまのような長距離電車じゃなくて、近距離電車をもう少し三十分おきぐらいに走らせなければ、輸送の確保はできないのじゃないだろうか。ことしの十一月のダイヤ改正では、私は、もう道路のふくそうに対応した列車ダイヤを組まなければだめだということを盛んに言っているわけであります。それと同時に、東名高速道路ができる、部分開業いたしますけれども、最近の例でも、名神がキロ九円五十銭ですから、あるいは五円ぐらいでなければ採算が合わぬというようなことが言われておるわけですね。東名ができた際に国道一号線の自動車がどういうふうに移るかといっても、私はそう期待は持てないし、またあなたのほうの計算でも、これは相当早く何とかしなければということになっていると思うのです。まああまり地元の問題でしつこくやるのはどうもあれですから、来年からまた新しい改定がされるわけでありますから、これは単に私たち地元という問題より以上に、東海道の輸送を確保するという問題、それから交通事故、いろいろな問題が起きておりますので、一番の動脈で、ほかにないわけでありますから、ひとつそういう点については、私特段の地元の要望を聞いた措置要望して、質問を終わっておきます。
  77. 谷垣專一

    谷垣政府委員 大体、先ほど道路局のほうからお答えをいたしたわけでございますが、勝澤先生の御指摘のように、ことに最近におきます東海道の非常な交通の増加を私たちもよく気がついております。東名の開通を一日も早くと願っておりますけれども、なかなかそれだけでは、いまの状況でも予測が、まだ混雑は十分に解消ができないような趣があるのじゃないかということで、全体の一次改築を待たずにいわゆるバイパスの計画を、ことに都市周辺あるいは東海道というようなものに進めなければならぬということで、現在事を進めておるわけであります。まだしかしそれに上回りまする交通量の増加が実は地域地域に出てきておりまして、これらのことは十分、このたび策定をいたそうといたしております第二次五カ年計画道路計画の中に組み込めるようにいたして、考えてまいりたいというふうに思っておりますので、一そう御協力をお願いいたしたいと思います。
  78. 吉川久衛

  79. 栗原俊夫

    栗原委員 だいぶ時間も経過しましたので、二、三十分間、ひとつおつき合いを願いたいと思います。  河川局長を中心に、河川問題でお聞きするわけですが、きょうは私の執念の河川敷ではありません。特定多目的ダム関係について少し、これは教えを請うという立場で、お尋ねをしてみたいと思うのです。  決算報告を見ましても、年々特定多目的ダム建設が進められておりますが、これは洪水調節を中心として、非常にけっこうなことだと思うのですが、問題は、これを建設する現地における土地の所有者あるいは住民等の協力があればこれは問題ないのですが、反対がある場合に、これは当然強制的にこれを執行していくという立場をとるわけだと思うのです。そこで問題は、多目的ダム法律を見ると、特に洪水調節とはうたっておりませんが、流水を貯蓄して、発電、水道または工業用水道の用に供する、こういうことが目的だ、こううたってあるわけです。そこで強制する根拠なんですが、もちろん公共の用に供するということが前提で、最も強い所有権を押えているわけなんです。私がここで特に聞きたいことは、具体的に言うと、たとえば利根川でいろいろ多目的ダムが問題になっておる沼田ダムの問題、あるいは支流の吾妻川の八ッ場ダムの問題、そこで計画流量の問題が八斗島でいくらをカットする、こういうことになっているわけですが、これが計画どおり一応工事が済んだのだ、計画流量の調節はできるのだという立場に立ったときに、洪水調節という理由で、さらに新しいダム建設する強制執行の理由があるかどうか、ここのところが一つ問題であります。たとえば二千三百トンやるとき、一応いままでのものでできる、こういう計画が完成したそのあとで、もちろんより以上洪水調節ができることは好ましいことは私もよくわかります。好ましいことはわかるけれども、これ以上さらに洪水調節のためのダムをつくるのだが、それを強制することのできる根拠があるのかないのか、この点はどうなんですか。
  80. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、正確な御答弁ができるかどうか、ちょっと疑問でございますけれども、利根川の流量計画は、先ほど先生がおっしゃいましたように、一万七千トンでございます。上流のダムで三千トンをカットする、それは三千トンの効果を有するように、八斗島で効果を有するようにカットするということでございまして、実際上流ではもっと多くカットしなければ、八斗島ではそれだけにはならないということでございます。したがいましてそれだけ三千トンを上流でカットした場合に、治水上の洪水調節という目的ダムが調整できるかというようなお話だと思います。利根川の流量は、先生は十分御承知だと思いますが、従来から利根川の流量はいろいろ変化してまいっております。過去、明治の初年から五千トンという時代もありましたし、それから一万トンという時代もございましたし、それからただいまは一万七千トンということになっております。かように、河川は、流域の発展に応じまして、あるいは降雨の状況の変化に応じまして、逐次増加をしてまいっておるわけです。それと同時に、流域の資産が非常に多くなっております。したがいまして、従来の河川の安全度というものは逐次増加されなければならぬということになります。したがいまして、従来利根川というのはどの程度の安全度であったか知りませんけれども、あるいは五千トンの場合には、従来の遊水地帯がある場合には、安全度が五十分の一だったかもしれません。五十年に一回の洪水で対処できたかもしれません。しかし逐次土地の資産が増してくると、どうしても安全度を上げていかなければならぬということになります。
  81. 栗原俊夫

    栗原委員 具体的な問題を出したものだから、具体的に答えられて時間がかかってしょうがありません。あまり長くやっておると、人権じゅうりんになるそうですから……。  ある地点を設定して洪水を調節すると、ここの流量はこれだけだ、これが上で一応カバーできるということになれば、それを越えてさらに洪水時の水を貯水することは絶対に必要だという立場に立って、公共性を主張しかつ私有権である所有権を制圧することができるものかどうか、この点を具体的な問題をつかずに、抽象的に理屈でひとつ御答弁を願います。
  82. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 河川法にも書いてありますように「流水の正常な機能が維持される」ということがうたってあります。治水上の目的は、従来から単に治水上の問題だけで処理されるいわゆる洪水容量の問題が大きなこれのファクターになっておりますが、将来流水の清潔度あるいは正常な機能を維持するためには、十分話し合ってダムをつくることが必要じゃないかと思います。
  83. 栗原俊夫

    栗原委員 どうも私の問いにすっぱり答えてもらえないで、なかなか警戒して答えているらしいのですが、いわゆる電力の発電のためのダムをつくるというときには、土地収用法の事業体になれる、こういうことになっておるわけですが、たとえば昨今のように重油を使う、さらには原子力発電ができるという時代になってくると、実際からいって少し様相が変わってくると思うのですよ。もちろん発電用のダムをつくる、異議がない、これなら問題はないですよ。しかし、そこにはこれに徹底的に反対する住民があって、住民の生活環境までも変えていくのだというような事態に当面したときに、いままでの観念で、水以外に発電の方法がないのだという時代には、それでやむを得なかったかもしれぬと思う。しかしそうではなくて、それほどのことをして住民を動かしたりなんかしなくても、重油発電所をつくればいいじゃないか、こういうことがここに対置的に出てきた場合に、重油の発電ができるのに、一方で水力発電を強行するために、住民まで追っ払ってやらなければならないような事態になっているかどうか。これはひとつ政治的に、政務次官から答えてもらいたい。
  84. 谷垣專一

    谷垣政府委員 たいへんに、将来起こるであろうという問題を現在の時点で予測してのお話でございますので、なかなかむずかしい問題があろうと思います。どれが一体公益上の問題で判定ができるか、土地の所有権等の私有の権限をどの程度で押え得るかという問題の提起でございますけれども、これはなかなかむずかしい問題だろうと思います。もちろん発電の問題もございましょうし、あるいは飲料水の問題もございましょう。洪水調節の問題は、おそらくそれの最大の問題であろうと思います。したがいまして、ごく抽象的に言えば、洪水調節あるいは飲料水等の問題が充足されるならば、それ以上のあれをやる必要はないという議論が一応立つと思う。しかし将来の産業の開発、あるいはそれが公益上に非常に大きな意味を持った開発のためにどうやるのだという問題の要点が、現在の時点ではなかなか確定でき得ないのじゃないかと思うのです。いまの計画洪水量の問題、あるいは現在の下流その他におきます必要な飲用水の問題、これらの測定一つにいたしましても、これはなかなか困難な問題であります。しかし、かりにそれが測定できて、しかもその測定がきわめて確実なものであるということになりますれば、いま先生のおっしゃるような問題は非常に現実性が出てきた問題であると思うのであります。それ以上には、これはなかなかむずかしい問題だと思います。
  85. 栗原俊夫

    栗原委員 むろんなかなかむずかしい問題なのですが、飲料水、工業用水の問題についてはあとでちょっと触れたいと思うのですが、そこで、洪水調節と発電ダムとの関係について、これもすぐどんぴしゃりと答えられないことをわかってお尋ねするのですが、計画流量というものがだんだん変わってくる。よりよけい調節しなければならぬという場合、すでにできておる多目的ダムの中で、発電のための貯水量と洪水調節のためのボリューム、こういうものはある程度仕分けてあると思うのです。そこで、洪水調節をするために新たにダムをつくるか、すでにできておるダムの中の発電用のボリュームを洪水調節に充てるかということも、率直に言うて、これは考えて考えられない問題ではないと、私はしろうと考えで思うわけです。そういうときに、もちろん電気事業自体は強制収用ができるような事業体であるから、その事業体の持っておる貯水ボリュームを、さらに洪水調節のためにいま一度奪い返すということについては、かなり問題点はあろうと思うけれども、一方において、もうあまりいい地点がない、民家も取り払わなければ洪水調節のダムができないのだという段階になったときに、電力会社には火力発電に移行してもらって、いままでの貯水量を洪水調節に開放してもらうんだという方向をとるべきではないかというような考え方を私いま持っておるわけなんです。現に火力発電ができ、原子力発電ができてきた今日、そういう方向によって、地元で全く反対しておるような、同意が得られないような事態というものは解消していくべきではないか。もちろん飲料水と工業用水はどうにもならぬと私も思っておりますから、これは別なんですけれども、洪水調節と発電のための貯水というものの関連性については、どんなぐあいに先を展望してお考えですか。
  86. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 発電専用ダムにつきましては、当然かなりの施設でございますので、河川の従来の機能を維持するための十分なる余裕が必要なわけです。これはやや技術的なことになりますけれども、ダムをつくりますと、洪水の伝播速度が早くなったり、あるいはそこにおけるいわゆる調節効果というのが、従来の地形のままだと若干あるわけでありますが、そういったものがなくなる。そういう従来の機能を維持するためには、どうしてもある程度の貯水容量をとらなければならぬ。たとえば天竜川の佐久間ダム等においは、約一千万トンか二千万トンくらいの貯水容量が要るとわれわれは判定しております。したがいまして、そういう従来の機能を維持する限度におきまして、われわれとしましては、電力会社と打ち合わせをしまして、貯水容量を夏季の台風どきには下げさせるということにいたしております。それから、なおその場合のほかに緊急時の問題がございます。これはわれわれとしましては、河川管理者として、台風の状況あるいは豪雨の状況を見まして、緊急に放流命令を出すとか、いろいろなことをしまして、具体的な措置を講じていきたいというふうにしておりますが、なおそのほかに、従来の発電所のいわゆる貯水位の関係からは、十分これは洪水調節容量をとってもだいじょうぶではないかというようなダムもあるわけであります。そう一つた個々のダムにつきまして、いま全国のダムにつきまして、そういったことをどうしたらいいか、緊急時の場合の処置をどうしたらいいかということと、それから常時そういった問題をとる場合にどういうような問題点があるかということにつきまして、ただいま検討中であります。十分治水目的に使うことを、われわれも考えていきたいというふうに考えております。
  87. 栗原俊夫

    栗原委員 大体私と同じような考え方は持っておられるらしいのだけれども、なかなかはっきり言い切れない立場にあることはよくわかります。しかし、これから多目的ダムという形で出てくれば、土地収用につきましてはもちろんのこと、公共用地取得特例法ですか、こういうものがずばり出てくる、こういうことに、想定されておるところの住民はおびえておるわけなんですよ。それで、おれたちは反対だ、ただ反対ではだめだということの中から、強制収用あるいは公共用土地取得の特例法の事業認定の時点における公共性、こういうものを徹底的に掘り下げなければいかぬ。したがって、先ほど来言っておりますとおり、一応これだけ水を管理してカットできる段取りが完成すれば、これ以上は公共性を主張して強制執行することは無理ではないかという限界がどこかになければならぬ。多目的ダムと名がつけばどんなことでもできるというものではあるまい。必ずどこかに一つの限界があるはずだ。それは計画容量というものを確保できる施設がかりにできれば、その地点は、それ以上はそういう理由で強行することは無理だ、しいて言うならば、やってはならないという一つの限界ではないか、こういうことが一つ。  いま一つは、なおかつ流量を調節するために、どうしても洪水時の貯水をする必要があるというときには、新たにダムをつくることも一つの方法だが、先ほど言う、今日までできた多目的ダムの中の発電用貯水部分を洪水調節のために開放することによって、洪水量を調節する、そのことによって当然、特権を持っておる発電事業は大きな打撃を受けますけれども、しかしそれが置きかえられないものであればやむを得ないけれども、今日は火力発電さらには原子力発電に置きかえられる方途がはっきりしてきたのだから、そのことと、新たにダム建設することによって住民を移住までさせるような強制とどっちがいいんだという問題点、ここにもおのずからつり合わせ点というものがあるのではないか、こういうものの考え方です。  もうそろそろいままでの——憲法が保障された私有権も公共のためなら法律によって制限されるとは書いてあるけれども、その法律について、新しい視野から、角度から考えてみるべき時期にあるのではないか、こういうものの考え方なんですが、もう一度ひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  88. 谷垣專一

    谷垣政府委員 非常に示唆の多い御意見を承りまして、十分に検討しなければならぬ問題点だと思います。自然条件あるいは予測し得ない自然条件の把握が完全であるかどうかという問題が一つ。それから先ほど御指摘がございましたが、たとえば原子力発電の問題、重油発電の問題、これらがはたして現在の常時必要とされておる電力需要に対して置きかわり得る時期、またその段階がいつ来るかという問題、こういう問題ももちろんあるわけでございます。これらのものがある程度確定したその上で、なおかついまの公益性の問題、これの判定度をどうするかという問題がございます。それらをすべて確定し得るものといたしますれば、いま栗原委員の御指摘になりました点は、私たち今後十分考えなければいけない、そういうふうに私はいま拝聴をいたしました。十分に勉強をさしていただきたいと思います。
  89. 栗原俊夫

    栗原委員 いま一つ、工業用水の問題なんですが、法律だけでいくと、これは工業用水道ですか、この多目的ダムの、ここに書いてある定義ということで、こういう事業をするものはどういうものだということがはっきり書いてない。これは法律の形は例示的なものなんですか、制限的なものなんですか、どうなんですか、これは。
  90. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 特定多目的ダム法におきましては、発電とそれから水道と工業用水道に限定しております。
  91. 栗原俊夫

    栗原委員 私は、これは法律を読んで初めて知ったんですが、工業用水道は単独法で工業用水道事業法という法律があるのです。この工業用水道事業法にのっとって、これを業とする者という事業主体というものは現在存在するのですか、あれば、どのくらい、どういうところに存在しているのですか。
  92. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 ちょっとその数まで把握いたしておりませんけれども、大体地方公共団体に所属する公営企業ですか、あるいは企業体、そういったものが、工業用水道の管理者となってやっているものが多うございます。
  93. 栗原俊夫

    栗原委員 わかりました。まあきょう私も勉強が足りません。ただ地元にいろいろと問題があるものですから、多目的ダムの問題について、あれやこれやとあらゆる角度から突っついてみて、理屈を言おうとしておるわけですが、しかし先ほど申し上げた、この時点において多目的ダムというものが、ダム建設地帯の地元民の意思に反して強行されるということについては、やはりいろいろな面から十分考慮されて、できるんだからやるということでなくて、他によりよい方法があれば、ということを十分ひとつ御研究を願いたい、このように思います。  最後に、これは戻るのですが、例の河川敷の問題で一、二点お聞きしておきたいのです。河川敷の私権排除の地帯について、昨年の四月一日から国有地にすると明定されたわけですが、この国有地になった河川敷地の公図というようなものはすでにできておるわけですか。
  94. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 公図は、完全にはまだできてないと思いますけれども、河川台帳を早急に整備する段階におきまして、逐次つくっていきたいというふうに考えております。
  95. 栗原俊夫

    栗原委員 公図ができていないというような地域についての河川管理、とりわけ砂利採取等については、具体的な行政は何に基づいて執行されておるのですか。
  96. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 ただいま公図がないと申し上げましたが、従来からの直轄管理区間におきましては——従来からの直轄河川区域ですね、そこにおきましては、おおむね二千五百分の一の計画図面がございます。その中で、民有地と官有地ということは、ある程度はっきり明確にわかる地点もございます。したがいまして、そういう明確にわかっているところでは、その図面によりまして処理していきたい。ところが実際それぞれ、御指摘のようにわからない点が多いわけでございまして、あるいは九条地の関係とかいろいろな問題もございまして、これらは私権を侵害する問題でございますので、今後十分研究してまいりたいと思っておるわけであります。
  97. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま最後に局長が言われた問題で、先般、私のところの関係で、いまは本省へ戻ってきた北島高崎工事事務所の河川管理課長さんに、ある裁判に証人に出てもらったわけです。これは例のくい打ち認定のところであって、しかもそのくいの位置等について縦覧の告示がなされていない。言うならば、私はこういうことを言って北島さんとも話したわけです。これは区域の認定はある。そのことは、裁判所で、この者を死刑に処すという判決を下したようなものだ。住所もなければ性別もなければ年齢もない。だからその場で執行すればできるけれども、その人間がどこかへ行ってしまって二十年もたってしまった。さて、執行しろと言っても執行できない。判決のあったことは私も認める。しかし、執行できるか。だれだかわらないというような形のこれは区域認定なんだ。くいは打ってあった。確かに打ってあった。しかし、これに関連した図面もなければ地番もない。しかもそのくいは流れてしまった。打ったときに直ちに線を入れ、これは何番地だ、こういうことを明定すれば、これはその場で執行できたけれども、いまではこの者を死刑に処するという、その者がわからなくなってしまった判決と同じような区域認定だ、これはなかなか問題だというようなことの中から、たまたま民地と官地はどこで分けるかということを立証しなければならない立場の証人に北島さんが立ったわけです。そこで北島さんはなかなかじょうずに答弁しております。県から来た関係図面は見ました。県では、くいを打って、そのくいを三角点から測定して図面をつくっております。こういうことを言っておるわけです。ところが現実にそのくいはどこへ打ったかというと、国土調査法によって白地図になったその白地図と地番のある境目へくいを打ったわけです。白地図になったところは河川状になっておりますから、そこの端へくいを打ったわけです。ところがそこは昭和二十二年、二十三年、二十四年のカザリン、アイオン、キティー台風で一ぺんに流れて、認定当時河川状態と田畑との境であったと思われるところから八十メートルから九十メートルも入ったところなんです。したがって、そういう図面を堂々とつくり、これによって行政することは、これをもし徹底的にやろうとするならば、これは公文書の偽造行使だと、私はこう言っておる。そういう問題の起こることをいまやっておるぞ、こういうことをあえて私は言っているわけですが、これらに対する河川局長の御所見をひとつ承りない。
  98. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 河川区域の認定は厳正でなければいけませんし、それから確実でなければいかぬということが第一条件だと思います。したがいまして、われわれとしましても、今後さような方向で検討いたしてまいるわけであります。整備を進めております。ただ前九条地の問題でございまして、区域認定と同時に国有地になるという土地のことでございますが、この点につきまして、従来からも縦覧告示等をやればはっきりしたわけでございます。それから図面を添えて縦覧告示をすればよかったのですが、図面は参考書として、あるいはくいをもって表示したという実例でございます。そのくいが河川の流水のために流れてしまいまして、なかなか現地の確認ができないということでございますが、これらにつきましても、再々栗原先生から御指摘を賜わっておりまして、こういう問題をどういうぐあいにやっていくか、十分検討をしてまいりたいと思っております。ただ、先ほど第一点に申し上げましたように、正確に確実に把握するということは、現段階で非常にむずかしい問題であるということも、私ら承知いたしておりますが、お話をしまして、十分進めていくように努力したいと思っております。
  99. 栗原俊夫

    栗原委員 事実問題としては、登記台帳によって土地の売買が行なわれた。売ったほうは土地売却代金について税金がかかる。これは当然です。また買ったほうは不動産取得の税金がかかってくる。こういう税を払う。そういうところが、これは官地だという形で、業者に次から次へと掘り取られていく。こういう事態になってくると、これはなかなかしんぼうできなくなってきますよ。したがって、そこには、一切の法律的な手段を援用して、法律的な事件が発生する危険が多分に迫ってきておる。こういうことでありますから、行政上そんなばかげたことに追い込まないように、それは十分研究した上で、善処をしていただきたい。だれに有利とか、だれに不利とか、そういうことじゃありません。事実に基づいて、これが正しいのだという方向を出してもらわぬと、ただ単におれのものだ、おまえのものだということではなくて、土地代金を払い、不動産取得に関する税金まで取られて、その土地はおまえのものではないというので、ほかの業者がどんどん掘っておるといえば、これはとてもしんぼうできませんよ。何らかの法律的な一切の方法、これを援用して事を始めますから、そういうことのないような事態を、十分至急調査しておくような方途をひとつ考えてやっていただきたい、このように思います。  以上希望だけ申し上げて、本日は私の質疑を終わります。
  100. 吉川久衛

    吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十七分散会