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1966-05-12 第51回国会 衆議院 決算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 壽原 正一君 理事 勝澤 芳雄君       石田 博英君    根本龍太郎君       原 健三郎君    福永 健司君       神近 市子君    坂本 泰良君       中村 重光君    森本  靖君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     佐々木 学君         通商産業事務官         (貿易振興局         長)      今村  昇君         通商産業事務官         (化学工業局         長)      吉光  久君         通商産業事務官         (繊維雑貨局         長)      乙竹 虔三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      安達 次郎君         特許庁長官   川出 千速君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         通商産業事務官         (化学工業局保         安課長)    矢野俊比古君         通商産業事務官         (特許庁総務部         長)      佐々木 宏君         会計検査院事務         官         (第四局長)  小熊 秀次君         会計検査院事務         官         (第五局長)  保川  遜君         中小企業金融公         庫総裁     舟山 正吉君         中小企業信用保         険公庫総裁   山本  茂君         中小企業信用保         険公庫理事   川戸 定吉君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 五月十二日  委員華山親義辞任につき、その補欠として坂  本泰良君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行ないます。  まず、通産大臣より、概要説明を求めます。三木通産大臣
  3. 三木武夫

    三木国務大臣 ただいま議題となっております通商産業省所管昭和三十九年度経費の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算につきまして、御説明いたします。  昭和三十九年度歳出予算現額は五百四十六億九千八百万円でありまして、これを歳出予算額五百十億四百万円と比較いたしますと三十六億九千四百万円の増加となっておりますが、これは総理府所管から移しかえを受けた額三億四千八百万円、大蔵省所管から移しかえを受けた額四千百万円、前年度よりの繰り越し額三十二億六百万円、予備費使用額九千七百万円による増加であります。  歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は四百九十五億四千五百万円でありまして、翌年度へ繰り越しました金額は二十六億三千六百万円、不用となりました金額は二十五億一千六百万円となっております。  次に、当省所管の各特別会計決算について御説明いたします。  第一に、アルコール専売事業特別会計でございます。三十九年度収納済み歳入額は六十億八千百万円であります。支出済み歳出額は五十二億八千二百万円であります。  第二に、輸出保険特別会計でございます。  三十九年度収納済み歳入額は百五十億七千五百万円、支出済み歳出額は十三億八千三百万円であります。  第三に、機械類賦払信用保険特別会計でございます。  三十九年度収納済み歳入額は十億九千百万円、支出済歳出額は五億五千五百万円であります。  第四に、中小企業高度化資金融通特別会計でございます。  三十九年度収納済み歳入額は二十八億三千四百万円、支出済み歳出額は二十三億二千七百万円であります。  以上が決算の大要でございまして、このうち特に重要な事項につきまして、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。  最後に、三十九年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院より、不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。今後、この種の事例発生を未然に防止するため、より一そうの指導監督を行ない、かかる事例の絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わりますが、なお、御質問に応じまして、詳細に御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、会計検査院当局より、検査概要説明を求めます。小熊会計検査院第四局長
  5. 小熊秀次

    小熊会計検査院説明員 昭和三十九年度決算検査報告通商産業省所管の分につきまして、簡単に御説明申し上げます。  五七〇号から五七二号までの案件は、補助金関係のものでございまして、五七〇号は、鉱害復旧事業費の精算にあたりまして、無償で譲渡を受けた山土を購入したこととして処理していたため、国庫補助金過大交付となっていたものでございます。  次の五七一号及び五七二号は、国から支出いたしました中小企業近代化促進費補助金財源といたしまして、都道府県中小企業者に対して行ないますところの貸し付け金運営につきましてのものでございまして、貸し付け対象とならない者に貸し付けるなど、資金使用が当を得ないと認められるものでございます。しかしながら、指摘事案は、前年度七件に比べまして、本年度は二件にとどまっております。  それから、次の五七三号から五七七号までの案件は、国から支出しました高度化資金貸し付け金財源としまして、都道府県が行ないますところの貸し付け金運営につきまして検査をいたしましたところ、貸し付けにあたりまして、事前調査が十分でなかったため、貸し付け対象とならないものに貸し付けたり、事業効果を期待することができないものとなったりしている事例がございまして、ひいては国の貸し付け金が所期の目的を達していないと認められるものでございます。  次に、昭和三十八年度決算検査報告に掲記いたしました、改善の意見を表示した事項に対する処理状況でございますが、中小企業近代化促進費補助金財源とする設備近代化資金運営について、及びはきものにかかる普通輸出保険包括保険運営について、並びに機械類賦払信用保険運営についての処理状況につきましては、検査報告の一四六ページから一四八ページに掲記してございます。  簡単でございますが、以上をもちまして、概要の御説明を終わります。     —————————————
  6. 吉川久衛

  7. 舟山正吉

    舟山説明員 昭和三十九年度におきます中小企業金融公庫業務概要について御説明申し上げます。  昭和三十九年度経済情勢は、上期は金融引き締めにもかかわらず、前年度来の基調を受け継ぎ、比較的順調に推移しましたが、下期には引き締めの影響が広範に浸透し始め、景気は沈滞化するに至りました。かかる情勢下におきまして、中小企業設備投資は、近代化合理化の意欲はなお根強いものがありましたものの、投資態度に慎重さを加えてまいりましたため、当公庫に対する設備資金需要は、下期に入り鈍化するに至りました。反面、経営安定をはかるための長期運転資金需要増加いたしまして、総じて資金需要は前年に比べて旺盛となりました。  当公庫は、昭和三十九年度の当初貸し付け規模を千三百七十五億円と定められましたが、その後新潟地震災害復旧及び年末金融対策として、昭和三十九年十月に百五十億円の追加借り入れが認められましたので、これにより前年度実績に比較して二三・一%増の千六百二十六億円の貸し付けを実行いたしました。  このうち、設備資金は総貸し付けの七六%、千二百三十六億円、運転資金は二四%、三百九十億円であります。  承継貸し付けを含めた年度貸し付け残高は二千九百九十六億円で、前年度に比較いたしますと五百十二億円二〇・六%の増加となっております。  次に、昭和三十九年度中の直接貸し付けにつきましては、宇都宮、長崎に新支店を、山形、鹿児島、富山、福井に新出張所を設置いたしまして、総貸し付けの三五・二%に相当する三千二百三十三件五百七十二億円の貸し付けを実行いたしました。また、代理貸し付けにつきましては、二万九千九百三十三件千五十四億円の貸し付けを実行いたしました。  最後に、損益計算について申し上げますと、昭和三十九年度におきましては、二十四億余円の償却利益をあげましたが、固定資産減価償却引き当て金繰り入れ額三千七百余万円を差し引きました残額二十三億六千二百余万円は、大蔵大臣が定めた滞り貸し償却引き当て金への繰り入れ額及び積み立て額限度内でありましたので、その全額を滞り貸し償却引き当て金に繰り入れました結果、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。  以上、簡単でございますが、中小企業金融公庫昭和三十九年度業務概況の御説明を終わります。
  8. 吉川久衛

  9. 川戸定吉

    川戸説明員 中小企業信用保険公庫昭和三十九年度業務概況について御説明申し上げます。  初めに事業概況について申し上げます。  まず、保険事業についてみますと、公庫保険引き受けをいたしましたのは、件数で六十六万一千件余、金額で五千二百二十二億円余の実績となっております。これを前年度実績三千七百三十七億円余と比較いたしますと、一三九%と、大幅な増加となっております。これは当金庫を通ずる逐年の国家資金の投入、地方公共団体出捐等によって信用保証協会経営基盤が漸次充実され、中小企業者資金需要に呼応して保証額が大幅に増加したことと、保証の増大、大口化等に対処するため、中小企業信用保険法及び政令の一部改正が行なわれ、保険限度額の引き上げ、保険料率引き下げ等改善措置が講じられたこと等に起因するものであります。  次に、融資事業におきましては、昭和三十九年度において政府一般会計から新たに出資されました四十五億円と、既貸し付け金にかかわる回収金等九十億六千六百万円との合計額百三十五億六千六百万円を原資といたしまして、百十六億五千六百万円の長期貸し付けと、十七億七千万円の短期貸し付けを行ないました。この結果、昭和三十九年度末における貸し付け残高は百八十六億六千万円となっております。  次に、収支及び損益概況について申し上げます。  まず収支について見ますと、収入済み額は四十二億六千九百万円余であり、支出済み額は四十一二億七千二百万円余でありまして、差し引き九千七百万円余の収入超過となっております。  次に、損益計算について申し上げますと、総利益及び総損失は同額の六十億九千二百万円余でありまして、損益を生じませんでした。  以上、簡単でございますが、昭和三十九年度業務概況を御説明申し上げた次第でございます。
  10. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  11. 吉川久衛

    吉川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 高圧ガス保安関係特許庁の問題についてお尋ねしますが、簡単に、いま会計検査院からの指摘がありましたことに対してお尋ねをしますが、高度化資金とか近代化資金貸し付けについて、不当事項としての指摘があったのですが、その中で、事業効果があがらないものに貸し付けが行なわれておるという指摘がありました。このことは、実質的には都道府県が、通産局も当たるわけでありますけれども、主として当たっている。   〔委員長退席押谷委員長代理着席〕  そこで、計画が出て、その計画に基づいて貸し付けを行なう、こういうことになろうと思うのですが、計画そのものが書類上整備されておるということであると、事前貸し付けですから、それを、申請を信用して貸し付けを行なう。ところが実行した結果においては、それが適当でなかったというような会計検査院指摘も、それらの点にもあるのでありましょうし、あるいは調査そのものがきわめてずさんであった、当初もっと慎重に調査に当たっておったならば、そのような貸し付けは行なわずに済んだのだというような点もあるのではないかと思いますが、これらの調査というものがどういう方法で行なわれておるのか、その点を一応伺ってみたいと思います。
  13. 金井多喜男

    金井政府委員 御承知のように、高度化資金近代化資金につきましては、通産省から、前者につきましては高度化資金特別会計から、府県のほうに貸し付けを行ないます。それから近代化資金につきましては、同じく国のほうから府県補助を行なっております。そういった関係で、府県のほうが、これを特別会計といたしまして、綿密な調査をいたしまして、貸し付けを行なっている、こういう実情でございます。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 いま会計検査院から指摘があったわけだが、事業効果があがらないものに貸し付けが行なわれておる、それから対象になっていないものにも貸し付けが行なわれておる、ということなんですね。ですから、綿密調査が行なわれておるならば、いま会計検査院からの指摘があったような貸し付けというものは行なわれないはずです。だから、そういう指摘が行なわれたということは、綿密調査が行なわれていなかったということに私はなると思うのです。ですから、いま会計検査院指摘に対して、大臣は、総括的には十分今後注意していきたいということであったのだけれども、あなたのほうは、具体的に、これはこういうことで起こったんだから、これは今後具体的にこのように是正をしていきたいといったようなお答えがなければならぬと私は思うのです。それらの点に対してお答えを願えばいいのです。
  15. 金井多喜男

    金井政府委員 お尋ねの件につきましては、会計検査院指摘されましたとおり、はなはだ遺憾の点があったのでございます。そういった点で、たとえば岩手県の熊谷印刷に関する件につきましては、既往年度に設置したものは貸し付け対象になりませんので、昨年の五月二十七日に、不当金額を県の特別会計に出納いたしました。以下、徳島の件につきましては、四十一年の三月三十一日、それから岩手県の件につきましては四十年の六月十六日、愛知県の件につきましては、まことに遺憾に存じますけれども、債権債務整理がまだつきませんので、国のほうとしては、県の行政指導と相まちまして、問題の土地につきまして、適当なる買い入れ先を早急にさがしまして、大体具体的な計画もほぼ進んでおりますけれども、できるだけ早い機会に処置いたしたいと考えております。大阪の件につきましては、企業を交代させまして、貸し付け条件に合致いたすように処理いたしました。それから新潟の件につきましては、四十年の九月二十日に、全額を県の特別会計に返還いたさせました。  最後に、熊本の問題の件につきましては、やはり昨年の七月二十二日に、全金額の金を特別会計に回収いたしました。  以上のように、処置だけは済みましたけれども、なお今後とも一そうよく注意していきたい、このように思っております。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 この近代化資金にしても高度化資金にしても、府県に国が貸し付けるという形式をとる。そこで、これは府県がやるのだからというので、信頼感も私はあると思う。あると思うのだけれども、これは効率的な貸し付けというものが行なわれてこなければならない。だから、そういう形式は別として、実質的な取り組みがなければならぬと思う。だから、会計検査院指摘があったということは、的確に不当であるということのみが取り上げられて、その効果というものは、その指摘以外に、ほんとうに高度化資金近代化資金が有効に運用されておるのかという問題は、この指摘の問題を離れて、やはり慎重に、真剣に、あなたのほうも取り組んでいく、調査もやる、あるいは指導もする、こういうことでなければならぬと私は思います。この点は、もちろん大臣も異論のないところでございましょうから、それは、時間もございませんから、また当該委員会においていろいろお尋ねいたすことにいたしまして、この程度に一応とどめておきたいと思います。  それから、アジア経済研究所の問題もここへ出ておったのです。ジェトロの問題はないようでありますが、これに出向する者が非常に多いというので、商工委員会でもそれが問題となって、私もこの点に対しては強く指摘をし、また附帯決議等も行なわれたのでありますが、最近、このジェトロあるいはアジア経済研究所等に対する、通産省あるいは外務省、その他の関係各省からの出向の状況というものがどういうふうになっているのか、それをひとつ……。——来ていませんか。いなければいいです。  それから、舟山総裁お尋ねをしますが、特定の支所に対しての代理貸しあるいは直貸しについての御説明があったのですが、全体的に、直貸し代理貸し比率はどうなって、それから、申し込みから貸し付け実行までの日数はどの程度かかっているのか、過去二、三年の比率でけっこうでございますから、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  17. 舟山正吉

    舟山説明員 昭和四十年度におきましては、直貸しは大体全体の四二%ぐらいに持っていきたいという計画でございましたが、金融情勢からいたしまして、設備資金需要よりも、長期運転資金安定資金需要が多かったために、これは代理店を活用するほうが最も効果的であるということになりますので——と申しますのは、企業者が新しく公庫にお見えになって、運転資金借り入れを要請されましても、その審査等に手間をとる、若干の時日を要するというようなことでありますと、緊急運転資金の供給の目的を達しませんので、これは平素企業者と連絡のある代理店を活用するということにいたしておりましたので、当初直接貸し付けは四二%ぐらいに持っていきたいということでございましたが、大体前年度を通じまして二五%から三〇%ぐらいにとどまりました。あとは代理貸しでやったということでございます。それで、運転資金設備資金の割合も、大体設備資金は全体の六〇%ぐらいでございます。こういったような状況で、情勢に応じて運用いたしておるというようなことでございます。今年度計画は、直貸しをできるだけふやして、企業者の御便宜をはかりたいということではございますけれども、また設備資金需要が多くなってまいりますれば、もとの状態に還元していく、こういうようなことで御了承願いたいと思います。  まあ、支店出張所も非常に整備されまして、今年度は本店を合わしまして四十店舗ということに相なっておるような状況でございます。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 たてまえは直貸しがたてまえですから、できるだけ直貸し比率をふやしていく。それから、あなたのお答えのように、金融というのは非常にむずかしいということから、そういった人手の問題というものもあって、代理貸しを活用しなければならぬという点もあるということはわかります。わかりますけれども、代理貸しをするということになってまいりますと、それだけの手数料というものも必要になってくるわけであります。それから、やはりあなたのほうでも厳重に注意をしておるところではありますけれども、代理貸しをします場合、どうしても歩積み、両建てというものが要求されておる。それは、あなたが金融懇談会のときにも率直にお認めになったもろもろの弊害が、この代理貸しの場合はあるわけです。だから、最大限度努力をして、直貸しをやるということに取り組んでやっていただかなければならないと私は思います。私は、きょうはそういった要望の程度にとどめておきたいと思います。  それから、信用保険公庫のことについて、いま御説明の中で、保証協会保証料というものが引き下げられてきた、こういうことでございますが、確かに、あなたのほうから出ている資料を見ましても、これは相当程度引き下げられたということは認めます。認めますけれども、まだ相当保証料が高い、しかもアンバランスなんですね。だからこれは、なかなか統一した形はできない、こう思いますけれども、やはりそういう方向に積極的に進めていかなければならぬと私は思います。同時に、どうしてこう保証料が高いのかということになってまいりますと、それは、府県中小企業金融というものに対する熱意の差というものもありましょう。その熱意の差が具体的な形であらわれてくるのは、出捐金というものが少ない、したがってどうしても保証料引き下げられないというような点も私はあると思う。いま一つは、金融機関から出捐金というものがある、その出捐金に対して税金が賦課される、いわゆる課税対象になる、これは大きな障害であろうと私は思う。いつもこの点については指摘をするのでございますけれども、これは大蔵省関係がありましょうが、依然として改善されない。だから中小企業金融信用補完制度を強化するという立場の上に立ちますと、これは私は公共的な性格が非常に強いと思う。したがって、銀行と金融機関出捐金に対しましては、これは金融機関だけじゃなくて、いろいろ事業団体等も同じでありますけれども、税金対象にしない、こういうことが必要であろうと私は思う。大臣、御承知であったかどうか知りませんが、そういう現状であろうと思いますが、この点に対してはどのようにお考えになりますか。
  19. 山本茂

    山本説明員 お答えいたします。  各保証協会保証料がまちまちであり、また高過ぎるというような御指摘でございます。これは五十一協会現在ございますが、それが発生の沿革からいいましても、中の経理状態からいいましても、まちまちでありますので、保証料というものが従前非常にまちまちでありましたが、だんだん引き下げ傾向にありまするし、われわれのほうから貸しまする融資基金の差益というようなものがありまして、それと、保証協会経理が楽になる、楽になれば自然保証料が下がるというような傾向にありますが、現在といえども同一でありませんから、これは低いほうに統一するように、われわれのほうもできるだけの努力をしますし、大蔵省中小企業庁のほうでもそういう方面に力を使ってくださっておりまするので、大体において、低いほうへ統一される傾向にあるわけであります。これは先生御承知のとおりでございます。  それから、各金融機関からの保証協会に対する出捐金、これが課税対象にならないようにということ、まことにごもっともな御指摘でございまするし、われわれとしてもできるだけ努力しておりまするが、いろいろ財政当局の御都合もあって、現在それに至っておりませんが、去年の暮れあたりから、そういったものを課税対象からはずすようにといったようなムードが起こっておりまするので、いま一息でそれが実現しやしないかと、私個人は考えておるのでありますが、なお一そう、そういうムードが一般に行き渡って、すみやかに実現されるようになることを衷心より祈っておるわけであります。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 出捐金に対して——大臣、どうですか、保証協会に対する出捐金があるのです。それに税金がかかる。だから、金融機関がなかなか出さないのです。
  21. 三木武夫

    三木国務大臣 いま山本氏からもお話があったように、われわれとしては、これについては税金がかからないような努力をすることにいたします。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、高圧ガス保安関係についてお尋ねします。高圧ガスの事故というものが非常に多いわけですが、それらの内容について、いろいろと私のほうから意見、考え方を申し上げて、お尋ねをしていきたいと思いますが、時間がございませんので、そのままずばりお尋ねをします。  最近のLPガスによる事故の概要、それから具体的な原因について、お答えを願いたいと思います。
  23. 吉光久

    ○吉光政府委員 LPガスの事故が、LPガスの需要量の伸びに応じまして、だんだんとふえてまいっておるわけでございますけれども、昭和三十年度から四十年度までの十一年度間にわたりまして起こりました発生件数は、全部で四百十九件でございまして、これを三十年ないし三十九年の十年間だけにつきまして、具体的な原因、場所別等についてながめてまいりますと、まず、三十年から三十九年までの十年間に、三百五十五件の事故が発生いたしておりますけれども、場所的に申し上げますと、まず消費先で起こりましたもの、たとえば家庭でございますとか、飲食店でございますとか、旅館あるいは工場等で——工場等はほんのわずかで、その中の〇・八%程度でございますけれども、起こりました事故が全部で三百二件ございます。全部の約九〇%を占めております。それから事業所内、たとえば充てん所でございますとか、容器の修理工場等、そういう事業所で起こりました事故が四十一件ございます。それから運搬中に起こりました事故が十二件ございます。  それをさらに原因別に考えてみますると、先ほど申し上げました、一番大きい九〇%を占めております消費先の事故の関係でございますけれども、そのうちの約九〇%というのは、人的な原因によっておるようでございまして、たとえて申し上げますと、粗暴な取り扱いをするとか、あるいはバルブコック等を締めなければならないときに締め忘れたとかというふうな、そういう取り扱いの不良に基づくもの、あるいはまた、調整器の取りつけあるいは配管の取りつけ等の作業が不良であるというふうな、工事の不良に原因するもの、そういう注意すればできることをやらないために起こりました事故というのが九〇%以上を占めております。それから物的な原因によりますものがあと一〇%程度ございますけれども、これはたとえば安全弁でございますとかあるいはゴムホースの不良品等を使っておるというふうな、そういう物的な原因によるものが一〇%程度ございます。いま申し上げましたのは、全体の九〇%程度の事故が起こっておりますところの消費先での原因別に見ましたもので、そういうふうなことに相なっております。それから、先ほど申し上げました、充てん所とかあるいは容器の修理工場だとかいうふうな事業所に起こりました事故につきましては、やはり取り扱いの不良によるもの、これはたとえば一定の圧力以上の圧力で詰めてはならない、こうなっておりますものを、無理をしてそれ以上のものを詰め込んでおるもの、あるいは器具だとか配管等の取りつけ不良、これは工事のほうでございますけれども、そういうものの不良に原因するもの、あるいはまた残ガスを確認する取り扱い上の義務があるわけでございますけれども、ボンベの中の残ガスの確認を怠りまして、そのために残ガスから引火してまいる、こういうふうな例もございます。大体事業所の事故の大きな原因はそういうふうなことに相なっております。それから第三の運搬中の事故でございますけれども、先ほど申し上げました十年間に十二件ございます。その運搬中の事故というのは、いずれかと申しますと、粗暴な運転に基づくもの、あるいは運転中に喫煙をするもの、こういうふうな例が多いようでございます。  以上、簡単でございますが、原因別に見ますと、大体そういうふうな事態になっております。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたのお答えを聞いてみますと、全く保安思想というものは徹底していない、保安責任というものを感じていないんだというように思われます。だから、これらの点に対して、あなたのほうの指導監督がどのように行なわれておるのかということを伺いたい。それから、それら関係の第一種、第二種の製造業であるとか、あるいは販売業者、あるいは輸入業とか容器製造業、それぞれに対しては、保安要員というものがあると思うのですが、それがどういうような配置で行なわれておるのか、府県別の、保安係員というのがいるわけですけれども、それはどういう状況になっておるのか、まずその点を御説明願いたいのです。
  25. 吉光久

    ○吉光政府委員 御質問の内容は三点あったと思いますので、頂を追ってお答え申し上げます。最初に、事業所の数は全国でどのくらいあるか、事業所別の数でございますけれども、まずいわゆるLP関係で第一種製造所と申しております。ガス処理量が一日に三十立米以上のもの、この数がLP関係だけで三千二百五十六事業所ございます。それから第二種、これは冷凍でございまして、LPには関係ないわけでございますが、これは非常に数が多うございまして、六万一千三百六十三という非常に大きな数に相なっております。それから販売店でございますけれども、約五万、四万九千八百八十八という数字に相なっております。それから輸入業者は現在で五社ございます。それから容器製造業者は現在三十八ございます。  それに対応いたしまして、先ほど御質問ございました、都道府県の取り締まり管理員等がどの程度いるか、こういう御質問でございます。昭和四十年、昨年でございますけれども、都道府県からの報告を受けております高圧ガス関係の定員でございますが、全国で二百三十二人。ちょっと端数がつきますが、火薬との関係で兼務いたしておる者を〇・五で計算いたしておりますので、ちょっと端数がつきますけれども、厳密に計算いたしますと二百三十二・四、これは火薬との兼務関係の人を〇・五で計算いたしました関係上、端数がついておるわけでございます。約二百三十二人というものが、都道府県高圧ガス関係の担当職員としております。いわゆる法で申しておりますところの保安管理員、立ち入り検査権をもって検査に出かけていく、その人間が大体このうちの大半でございまして、厳密な報告が出ていないのでございますけれども、大体二百三十二人中百九十人から二百人近い数字が、保安管理員としての資格を持っているのじゃないだろうかというふうに考えております。  それから国のほうの関係でございますけれども、国のほうは、本省はことし二名増員いたしまして、高圧ガス関係だけで約八人の人間を擁しております。それから地方通産局でございますが、これも本年から増員をいたしまして、従来七名でございましたけれども、十名にまで増員をいたしております。通産局関係高圧ガス関係だけで、保安管理職員が十名、本省で八名でございます。こういうふうな状況に相なっております。先ほど申し上げました事業所の数が非常に多うございますので、いまの保安管理員的な資格を持っている者で割り算いたしますと、大体一人あたり五百数十軒の事業所を担当するというふうな、数字から見ますと非常に大きな数字を担当するような姿に相なっておるのが現状でございます。年間の検査、これは完成検査なり、立ち入り検査等を含めまして、大体年間、全戸数の二ないし三割程度というのをやっておるというのが現況でございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、年間、全体の何割くらいの検査ができますか。立ち入り検査権を持つのが大体平均五名程度ということになりますと、何割くらいになりますか。
  27. 吉光久

    ○吉光政府委員 年間検査は、ただいま申し上げました二ないし三割程度でございます。これは完成検査と立ち入り検査、いわゆる法に基づきますこの二つの検査につきまして、その程度ということで、非常に割り合として少ないと考えております。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが御説明になった状況、そのとおり検査が行なわれておる。二百三十二名ですから、それが県別平均では約五名になる。その五人が火薬あるいは電気、プロパン、全部含めてということになるわけでございますけれども、全員が専任でやっておるということになってまいりましても、二割かそこらということです。ところが実際は、専任でやっておる者は、二百三十二・四名の半分もいないのではないかと思います。そうなってくると、年間二、三割の検査、いわゆる立ち入り検査権を持っているその立ち入り検査なんというものは、ほとんど行なわれていないという状況だろうと思うのです。消費需用が伸びるとともに事故はどんどん激増している。これに対してあなたのほうは——これは私のほうの手元にもいただいているのでございますけれども、これはどういうことで御調査になったのか知りませんが、長崎県の例を私自身が調べてみたのですが、プロパン販売業者が七百五十軒ある、充てん所が五十二カ所、火薬販売所が二十六カ所、それから塩化工場が一カ所、消費場所が一千カ所、冷凍冷房の事業所が七十カ所、それから一般ガス、塩素、アセチレン等をつくるところが十二カ所。これに対して保安責任者は係長一名、それから火薬、電気、プロパン、一切を含めて二名。しかもこれは最近人事異動が行なわれておりますが、全部何の経験もない者ばかり、こういう状況です。私は、これは長崎県の例を申しましたが、ほとんどこういう状況ではないかと思います。これでどんどん事故が発生をしておる。この状況に対して、あなたのほうはどうお考えになるか。この後どんどん事故が発生をしておることに対して、指導監督を強化していくということをいつも言っておられるのだけれども、現実はいま私が申し上げたとおりですが、これをどうお考えになりますか。
  29. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほど私お答え申し上げました定員は、実は県のほうから取りました数字でございまして、先生のように実際に現地の人に直接会って、話をして聞いた数字でございませんので、あるいは一部食い違いはあろうかと思います。ただ全体として申し上げられますことは、いまのようなプロパンの需用がどんどん伸びておりますときに、また災害件数もどんどんと数が多くなってまいるときに、全体としてまだ保安行政の中心になって働いてもらっておりますのは、都道府県の職員の方でございます。やはり都道府県のほうでさらにそういう保安行政の重要性をもっと認識していただきまして、そこらについてさらに配慮してもらいたいというふうな気持ちを多分に持っておるわけであります。実はこの前の高圧ガス取締法の改正にあたって、特に商工委員会のほうでも決議をいただいております。特に残念に存じますのは、保安関係の手数料の収入、これが都道府県関係で見てまいりますと、たとえば昭和三十九年度で約四億八千万円というものが都道府県の収入として入っております。ところが実際に都道府県のほうで保安関係で使っております支出、これは全体の集計でございますけれども、四十年度で約二億八千万円、約二億というものが、実は都道府県の収入としまして、全国で見たときには、収入の増加というふうな感じのものになっておるわけであります。   〔押谷委員長代理退席、委員長着席〕 都道府県といたしましても、実はその前の年に比べますと、約二億の支出がございましたものが、二億八千万というふうに、八千万円くらいのものが、四十年度一年間で増加いたしております。しかしそれではなお足りないというふうな感じがいたしておるわけでございまして、昨年中も数回にわたりまして、個別的に都道府県の知事のほうに、あるいはまた本年に入りましてからは、知事会のほうにも、特に保安関係について拡充強化していただきたいという意味の要望をいたしておるわけであります。四十一年度予算におきまして、どの程度の手が打ってもらえたかという点について、現在数字を集めておるところでございまして、できるだけ、今後ともこういう保安関係の確保につきまして、各都道府県のほうの御協力をお願いいたしたいというふうに考えております。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 結局、都道府県に対しては、あなたのほうの、政府指導監督というものは直接的には行なわれない。だから、お答えのように、要請ということ以外にないのですね。ところが現実には、いま申されたように、報告をはるかに下回った保安管理係員の配置が行なわれておるにすぎない。だから指導監督というか、保安を強化していくということになってまいりますと、どうしてもその裏づけとなる政府からの補助金というようなものが、大幅に交付されていかなければならぬだろうと私は思う。そして初めて、府県に対しても専任の保安係員というものを十分配置するということにならなければならぬ。その点に対してのあなたのほうの熱意が大体ないんじゃありませんか。どうお考えになりますか。
  31. 吉光久

    ○吉光政府委員 保安行政について、通産省熱意がないんじゃないかという御指摘でございます。実はすでに御承知済みでございますように、本年度から通産省の中に保安課というものを、独立して、化学工業局の中に、機構改革と同時につくることにいたしました。要するに、生産行政と保安行政を切り離すという意味で、化学工業保安につきまして、一元的にこれを処理するという意味で、保安課というものを今度編成していただいたわけでございます。そしてまた、同時に、先ほど申し上げましたように、人間も増強していただく。そこで、保安体制そのものをもっと強力に推し進めていく必要があるというふうな、そういう発想法から、本年度化学工業局の中に保安課というものを新設した、こういうことに相なっておりまして、従来足りない点は深くおわび申し上げますけれども、今後一そう保安関係の強化に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。と同時に、もう一つ、三年前でございますか、高圧ガス取締法の改正によりまして、自主保安体制と申しますか、それを強化するという意味で、特殊法人として、保安協会というものをお認めいただいたわけでございますけれども、この保安協会に対しましても、本年度は約一千万円、厳密に申しますと、一千八十万円でございますけれども、これに委託費をつけました。先ほど先生からも御指摘がございましたように、保安関係について、一般消費者あるいはそれを使用する人間についての啓蒙という問題は、まだまだ欠けておるというふうな観点から、特に重点的に点検指導を保安協会でやってもらうという意味で、約一千万円の委託費を保安協会のほうに出すということに、本年度からやらしていただくことに相なったわけでございまして、ここらで相当分をカバーいたしまして、その保安協会のやります点検指導——これはあくまでも検査そのものではございません。検査そのものじゃなくて、むしろ協会自身が、現場で、各工場、これは年間、事業所の五割程度のところを、ことしのうちに全部指導点検してまいるというふうな計画にいたしておるわけでございますけれども、要するに、現場の工場なりあるいは販売店なり充てん所等に参りまして、そこで現実にそれぞれの設備なり扱い方について指導点検をしてまいるということで、啓蒙運動を大いにやろうという趣旨から生まれておるわけでございまして、そういう意味で、保安の点、特に高圧ガス等から起こってまいります保安事故の防止という点につきましては、最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 それは機構を強化するということも必要です。それから、保安協会に対して四十一年度予算で一千八十万の補助金というのか、助成をするということになった。これは、私どもが、自主保安だとか何だとかいって、どんどん保安手数料ばかりあなたのほうでは吸い上げて、そして取り締まりにはその一割の金も使っておらぬという、そういうでたらめなことじゃだめじゃないか。自主保安といって、そういう保安協会をつくらして、そしてそれに依存をしておるようだけれども、もっと保安協会というものを指導監督するというような立場に立たなければ、その保安協会というものは、自分たちの業界を擁護するということだけで、零細なプロパン関係の業者を押えていくというような、保安ということよりも、自己防衛という形になってくる。そういうことじゃだめだから、助成金も出しなさい。そしてもっと政府が積極的に保安責任を負って、そして監督指導が行なわれるようにしなさいと強く要求をして、そこで一千八十万という予算を今度おつけになった。私は、それはそれなりによろしいと思う。ところが、あなたが、この保安協会に、五割程度の一斉検査が行なわれるなんという甘いお考え方を持っておる。そういうことができると思いますか。大体保安協会というものは手足がありますか。ないでしょう。現実にどうしておると思いますか。一千八十万円という予算をおつけになったんだから、十分調査しておられると思う。保安協会運営というものはどのように行なわれておると思いますか。どの程度の要員があると思いますか。五割というあなたの期待は、具体的にどういうところからそういう期待が持てたのですか。
  33. 吉光久

    ○吉光政府委員 保安協会自身は、すでに先生御承知のように、自分自身の直接の職員というものはほとんど持っておりません。現在の構成からいたしましても、職員数は三十名足らずでございまして、非常に少ない、微々たる職員しか擁していないわけでございますけれども、実際にこれが活動いたします場合には、やはり現在、各県別にプロパン関係のそれぞれの団体があるわけでございますが、そこらの協力を仰がなければならぬだろうというふうに考えるわけでございますが、ただ、これはだれにでも指導点検できるという筋のものじゃございませんので、やはりそうなりますと、そういう保安について相当の知識経験を持っておられる方という方の御協力を仰がざるを得ないのじゃないかというふうなことで、そういう意味で、いま現在そこらの具体的なというか、どなたにどういうふうにお願いしたらいいかという点につきましては、現在具体的に構想を練っているところでございますけれども、少なくとも、そういう地方のそれぞれの協会の会員になっていられる方で、それぞれエキスパートの方というふうな方に相当程度応援をいただかないと、この事業はできないんじゃないだろうかという感じでございまして、先生御指摘のように、そう簡単にいくもんじゃないと思っております。相当苦しい問題も多かろうと思いますけれども、つとめてできるだけ広範囲に、より多くの人にお願いいたしまして、広範囲な点検ができるようにということを、現在の段階では期待いたしているわけでございます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 簡単にできないということはわかりますよ。しかし人の生命というものは簡単に奪われていいものじゃないのです。だから、一千八十万という予算をおつけになったんだから、現実をもっとしっかり踏まえて、そうして保安対策を強化していくということでなければならぬ。おっしゃるように、府県にはプロパン協会というものがある。そうしてこの保安協会は一切そのプロパン協会に依存しているのです。一千八十万円の資金の配分が、高圧ガスの取り締まり協会の中央の人件費であるとか、そういったような諸雑費に払われたのでは、肝心かなめの保安協会に対する配分はありませんよ。保安協会自体は、それは業者も自己努力というか、保安責任を業者自体が持たなければならぬ。おっしゃるとおり、政府と一体となって、府県も業者もやっていくという、それはすべての人が保安の責任を負うということ、また、あなたのほうで求めるということは私はよろしいと思う。その点は正しい。正しいけれども、そうした現実の状態というものをあなたのほうではしっかり踏まえていくということでなければ、なかなか困難だ、むずかしいんだ、そうふてくされたように、簡単にいくものじゃないということで片づけられたのでは、これはどうにもなりません。私は、先ほど長崎県の例を申し上げたのでございますけれども、県の係員というのが足りないのです。いま申し上げたように、二人か三人、それだからどうにもならないということになって、プロパン協会から、何というのか、女の事務員を県庁の中に入れて、その事務を手伝わしておるという現状なんですよ。そうしてあなたのほうとしては、長崎県の場合にも、三人いるんだということをここへ書いてある。この三人というものは、先ほど私が申し上げましたからもう重ねて申し上げませんけれども、ともかく、府県のほうからこの報告が出てきている。この報告のとおりであるというようにあなたのほうも安易に考えられ、そうして今度一千八十万という予算をつけたから、予算をつけるということについて、いろいろと保安協会のほうに注文をおつけになったでしょう。保安協会もいろいろと計画をお出しになったかもしれません。それがそのように進むというようにお考えになるということは、これはたいへん甘いと思う。だからして、激増するこの事故というものに対して、もっとあなたのほうでも保安責任というものを持って、そして現実の実態を十分踏まえて、保安の完ぺきを期していくということでなければならぬ、私はこう思うのです。同時に、府県に対して、人をふやせ、監督を強化しろ、こう言っても、貧弱な府県の財政の中におきましては、なかなかそうもいかぬということだろうと思う。大体、府県においても、保安責任というものがあれば、何をおいても人の生命を守るということに最も大きな負担というものをかけなければならぬと私は思うのです。府県の取り組みが、やむを得ないのだというようには、私は決して申し上げません。熱意不足ということを指摘したいと思う。ですけれども、国としても、やはり府県に対して予算の裏づけをしていく、そして十分指導監督をする、こういうことでなければならぬと私は思うのです。だからして、私どもの指摘が、そう簡単にいかないのだというようなことで片づけられるのではなくて、もっと積極的な態度というものが出てこなければならぬと思うのです。まず、この点について、大臣お答えをお願いいたします。
  35. 三木武夫

    三木国務大臣 プロパンガスが家庭に急速に普及しておるというのですから、そういうことで、これの保安体制の整備ということは、いままでのやり方ではいかぬと私は思っております。それで、最近、必要に即して、省令で取り締まりの規則を全面的に改正する等の処置も講じたいと思っておりますが、いずれにしても、一般に消費者がこんなに、このプロパンの利用者が広範にふえると、単に役所だけというわけにもいかない。官民一致して、このことが人命をそこなうことのないような努力をしなければいけませんので、いままでのやり方に対して、これは再検討を加えます。こんなに急激な燃料革命のような、この変化に対応した保安体制のあり方は、やはりあると思います。再検討いたします。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 この立ち入り検査をやっておられますが、その結果、法令等の違反ということで処分をした状況ですね、件数等を含めてお答えを願いたい。
  37. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、従来の事故の圧倒的多数が消費者のほうで起こっておりました関係上、少なくとも過去十年間、この法令に基づく処分というふうなものにつきまして、処分をしたという報告は受けていないわけでございますけれども、ただ最近こういうふうな事故が頻発いたしておりますので、ことしの四月、本年度に入ってからでございますけれども、神奈川県で、事業所のほうで、プロパンガスの放出事故が起こっております。これは作業主任者自身の責任の問題であるという意味から、神奈川県で起こりましたプロパン放出の事故につきましては、作業主任者二名に対しまして、五月の六日に聴聞会を開き、免状の返納を命じました。これは本年度に入ってからでございまして、事故自身はこの四月でございます。それで、五月の初めに公聴会を開きまして、現在返納命令を出させております。これはごく最近において、そういう返納の措置をとったというケースでございます。今後は、これを前例にいたしまして、この法令関係の許認可の取り消し、あるいは返納命令等についても厳重に注意をいたしたい、こういうふうに考えております。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうは、機構も強化するとか、保安責任というものは十分感じてやっていくのだというのだけれども、いまのあなたのお答えを聞きましても、きわめて取り組みが弱いということが感じられます。しかし、先ほど大臣が強い決意でもって、こんなやり方ではだめだから、とにかく人命尊重という立場で再検討するということを、明確にお答えになりましたから、いろいろまだお尋ねしなければならぬことがたくさんございますけれども、大臣の時間の都合があるそうでございますから、一応勝澤委員に、大臣に対する質問をやっていただきまして、続いて私がお尋ねしたいと思います。
  39. 吉川久衛

    吉川委員長 勝澤芳雄君。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間もないようでありますから、大臣に、おもな二、三の点についてお尋ねいたします。  まず、いま一番私たちがこれから問題にしなければならぬのは、総合エネルギーの問題でありまして、石炭なり石油なり、あるいは水力なり原子力、これをどういう立場でこれから進めていくか、たいへん大事な問題だと存じます。しかしながら、石炭の政策と石油の政策を比較をいたしてみますと、石炭に対する石油というものの国の政策がまだまだ不十分でありますし、やや水力はこれは独自の方向で進んでおります。原子力にまいりますと、いままだ戦国時代といいますか、群雄割拠、またこれは経済コストの問題もあろうかと思います。こういう観点から、総合エネルギーに対する対策というものも、いろいろお進めになっておるようであります。いずれこれはまた機会を改めて聞くことにいたしまして、きょうは石油と電力、こういう関係で、最初に電力の問題で、最近、北陸電力の値上げの問題が出されておるようでありますが、これについて、まず最初に大臣のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  41. 三木武夫

    三木国務大臣 三月十八日に、北陸電力から電灯七・五四%、電力八・六七%の値上げを内容とする料金改定の申請が行なわれたのでございます。この申請の内容について、いま詳細に検討中であります。しかしながら、最近の北陸電力の経営内容の悪化等から考えて、ある程度の値上げはやむを得ないという考えでございます。ただしかし、その値上げの幅によって、需用家に対する影響が非常に多いわけでありますから、同社に対してもきびしい合理化の要請をすると同時に、広域運営の強化によって、他の電力会社の協力も得て、できる限り値上げの幅を押えたいという方針で、検討を加えておるのでございます。まだ、検討が終わるまでには多少の時間がかかる予定でございます。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この値上げの申請の理由でありますけれども、この北陸電力は、ほかの電力会社に比べますと、今度で三回目の料金値上げの申請になっておるわけであります。値上げの中心的なものは、料金の構成といいますか、対象というものにあるのではないだろうかと私は思うのです。そこで私は、一体いまの大口料金なり、あるいは家庭の電灯料金なりというもののあり方、それから発電コストの関係、あるいは諸外国におけるところの産業電力料金と家庭電力料金の格差、こういうものもやはり検討しなければならぬときではないだろうか、こういうふうに思うのですが、そういう点いかがでしょう。
  43. 三木武夫

    三木国務大臣 申請の内容を検討する場合には、いま言ったような、ほかの各電力会社との料金の関係、あるいはまた電灯と電力との関係、いろいろな点を勘案しなければならないことはお説のとおりだと思います。外国という、これはまあその国の事情があって、諸外国の事情そのものが日本の実情に適応するかどうか、それは疑問でありますが、日本の国内における電力の他社の関係等も勘案しなければならぬことは、御指摘のとおりだと考えております。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あとで、大臣お帰りになってから、もう少し詰めて御質問することにいたしまして、次に、中国電力の値下げの問題がいま出ているようでありますが、この経過はどういうようになっていますか。
  45. 三木武夫

    三木国務大臣 まだ申請は出ておりませんが、そういう意思を持っているようで、われわれも、歓迎すべきことだと思っておりますので、これはぜひ実現するように指導をしていきたい。ただ最近いろいろな経済界の不況等の影響を受けて、一体どの程度の幅になるか。いままで過去において考えていたような幅になるかどうかという点については、多少事情の変化はございますけれども、しかし中国電力は、ほかの電力料金に比べて割り高な面もございますし、また償却などもきちんきちんとやっておるというような事情から考えて、ぜひ値下げを実現してもらいたい。実現するために、われわれも強力に指導していきたい。これはむろん今年中の課題であります。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、中国電力の料金の値下げの理由なんですが、いまの大臣の御答弁ですと、まだ申請が出ていない段階ですから、内容については十分おわかりになっているかどうかわかりませんけれども、一応この中国電力の料金値下げというものは、自家発電が多くなった、これとの競合ということから考えて、やはり料金値下げを考えざるを得なくなってきたのだろう、こういうことが言われておるわけでありますが、そういう点はどうですか。局長でもけっこうですから、どちらでも……。
  47. 三木武夫

    三木国務大臣 そのとおりだというふうに、われわれも聞いております。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、片方で料金の値上げをしなければならぬ、片方で料金の値下げをしなければならぬ。片方の料金値上げの理由というのは、私は、北陸電力の場合には、料金構成の上にある、大口電力が多くて電灯が少ないという点にあると思いますし、中国の場合においては、他の自営電力との競合という点から起きてきておると思う。そういう点から考えてみますと、最近、御案内のように、たとえば地方税でも、東京都についている地方税と平塚におる人と税金が違うじゃないか。工場のない土地に住んでいると市民税が高い、工場のあるところはちょっと安いということで、調整しようじゃないか、こういう形が起きておるわけです。当然、電力の広域運営という問題につい  ても、これはなかなかやりにくい問題だと思いますけれども、やはり大臣として相当これは決意を持って——広域運営については長いこと言われておるわけでありますから、こういう点についても、相当御決意を持っておやりにならなければならぬだろう、こう思うのですが、そういう点いかがでしょう。
  49. 三木武夫

    三木国務大臣 これはやはり発電のコストなども違って、全国一律というわけにはいかない。やはりコストというものが、料金の決定には重要な要素であることは間違いないけれども、しかし広域運営によって、たとえば北陸電力のような場合には、相当他社の協力を得て値上げの幅を押えたいということで、これはやはり広域運営というような面から、できる限り電力料金というものが非常なでこぼこのないようにすることは、私は理想だと思う。一ぺんにそこまではいかないけれども、広域運営という見地から、できる限り電力料金の非常な極端な差を縮めていく努力はしなければならぬと考えております。しかし全国一律というようなことは、なかなか経済の原則に反するところもあって不可能でありましょうけれども、差を縮めていく努力を、広域運営という見地から、すべきであろうと考えております。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私も、あまり全国一律なんということを、いまの段階で言うべきときじゃないと思います。そこで、やはり発電コストの問題ということが問題になると思います。発電コストの問題を、たとえば石炭なりあるいは石油なり水力というものをまあひとつ考えてみる。それから、最近原子力という問題が起きているわけです。いま原子力は発電コストの上からいって、まだ経済的に無理だということを言われておるわけです。しかし、一方やはり原子力発電の投資も、ばらばらではありますけれども、やられておるわけです。ですから発電コストというものを重要なファクターとして考えるならば、原子力に対するそういう研究といいますか、あるいはまた投資といいますか、こういう点についてもやはり総合的な調整というものが必要ではないだろうか。まだ、東海村の発電所の工事を見てみましても、相当当初計画より——三円か四円くらいでやれるのだと言われたより、いやもっとかかるのだ、こういうふうに上がっておるわけですから、そういう点から考えてみますと、ああいうものについても、監督官庁として、原子力発電はまだこれから十年二十年先のことでしょうけれども、そのもの自体も、今日の電気料金の発電コストの中に一応投資として入ってくるわけでありますから、そういう点も方針をきめてやらないと、ばらばらなものになっていくのではないだろうか、こう思うのですが、そういう点についての指導も、私は十分やっていただきたいと思うのです。いかがですか。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 お話のとおりだと思います。日本のこういうエネルギー源というものは、いままで予期しないような急速な変化がきておって、どうも総合エネルギー対策というものが、日本の政治の中で、客観情勢も急激な変化をしたために、欠けている点があることは、率直に反省せざるを得ない。そういう点で、いま御承知のように、国会の御承認も得て、総合エネルギー調査会もできまして、これはやっぱり総合的に、エネルギーの長期的な計画を立てる必要があるわけであります。ことに原子力というものは、日本は他国に比して、原子力発電の速度は私は早いと見ておる。これはもう原油の輸入でも、こんなに急激にふえて、しかもこれは長距離の輸送であるというところに、燃料確保についていろいろな問題がある。原子力依存度は、諸外国よりも非常に速度が早いのではないか。しかし、七〇年代はあるいは原子力の時代に移るかもしれない。ただまあ、いま資源開発というような域をまだ脱し切れないものがある。コストも、諸外国で見ればキロ当たり三円をもう割っておるというような例ですけれども、日本は五円程度で、まだ経済ベースとは言えないけれども、やがてこれはそのコストも下がっていくでしょうから、そういう原子力の将来というものも考えながら、総合的なエネルギー対策を立てなければならぬ。総合的エネルギー対策の樹立ということは、これからの通産行政の重要な柱だというように考えております。これは今後努力をして、総合的に原子力も含めて、電力の問題も考えてまいりたいという所存であります。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 経済の動きにつれて政治がおくれているというのは、交通を見ればおわかりと思うのですが、それと同じように、今度は逆に、エネルギー政策の中で石油を見てみますと、まさにこれは自主性のない状態になっている。こういう観点から、最近大臣のほうでも、石油部会に対しまして、海外原油の民族資本による開発というものをお考えになっているようでありまして、たいへんけっこうなことだと思いますが、これもやはり相当な決意を持って、そして実際に原油がいま開発されておるのにかかわらず、なかなか国内に入る段階でうまくいっていないという問題などもあるわけでありますから、やはりそれらも、総合的なエネルギー対策というものをなるべく早いうちに立てていかなければ、また立ちおくれになって、あとで整理するようなことになると私は思うのです。たとえば、最近の飛行機の問題なんです。あれが事故があったから問題になったと思うのですけれども、政治の中で、国会の中で議論されたのは、私が三十三年に国会に出てきた時分にも議論されておるのです。一社でいいのか、二社でいいのか、あんなにばらばらでいいのか、国際線は一本で、国内線は一本か二本でいいじゃないか、という議論がなされておったにかかわらず、その当時の政治の現実の政策を動かす実力が実はなかったわけなんです。石油の問題も、いま大臣のような実力者が来たから、おれは何とかしなければならぬというたいへんいいあれが出てきておるわけでありますけれども、こいつはやはり早くやらないと、おくれればおくれるほど、外資に依存した自主性のないエネルギー源になってしまうわけでありますから、これはやはり、ひとつ大臣の決意もお聞かせ願いたいと思います。
  53. 三木武夫

    三木国務大臣 やはり石油が外資に首根っこを握られておるものですから、こういう状態というものは、これはいろいろの経緯があるわけでありますけれども、ある程度の民族資本による原油の確保ということは必要であり、そのためには、海外の開発——低廉で安定的な供給というものを確保するために、積極的に海外の油田開発というものをやらなければいかぬ。従来は、昨年度も七億くらいであったのを、石油資源開発会社に対して二十億の出資をしたわけであります。これはもし必要があったならば、これに対して追加するという、予算折衝のときに約束もあるわけでありますので、今後、これを、有効に海外の油田開発をするためにはどう進めていくか、いろいろな話がいまあるわけでありますから、この方法等も検討を加えつつ、積極的に海外の油田開発というものについては取り組みたいという決意でございます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、その海外油田に対する開発というものについての力が入れられているというのは一つわかるわけですが、今度はもう一つ逆に、最近の情報によりますと、出光とアメリカのスタンダードが提携をして、日本海の大陸だなの石油の探鉱をやる、こういうことが出されておるわけですが、この辺は、御案内のように石油資源が相当——探鉱船というのですか、白竜号なとを使ってやられておるわけでありますが、結局中途はんぱなことをやられておるからこういうことになるのですから、そういう点はどういうふうに理解したらいいのですか。あるいは、これについて大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 日本海沿岸に対しては、いろいろ鉱業権を持っているから、簡単にはまいらないと思いますけれども、でき得べくんば、民族資本というか、せっかく石油資源の開発会社などもあるわけでありますから、これがやはり積極的にそういう開発をやるということが好ましい姿でしょうが、これはしかし、資源の開発を日本の近海においてやるということは、埋もれた資源を開発するわけでありますから、一がいにこれは廃止すべきではない、そういうことで、今後、いままでの鉱業権との関係もありますから、これは検討を加えてみたいと思っております。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 積極的に海外に日本が原油の開発をしていこう、しかし国内のほうには、出光と外資が提携してやられる。一方では民族資本による石油開発、自主開発をしていこう、こういう点と実は相矛盾するような気がするわけです。私たちしろうとが見ますと。専門屋はいろいろ意見があるようですし、専門屋の意見も聞いてみると、なるほど、こう思われます。そういう点で、石油に対する国の投資ですね、こういうものが、石炭に比べて、あるいは水力に比べてやはりおくれている、こういう点があると思うのです。ですからよほど大幅な投資と、技術は、いろいろ聞いてみると、日本にはあるわけですから、石油資源開発株式会社は相当りっぱな技術を持っていると言われているわけでありますから、結局投資と、それから外資が入らなくてもいい金利ですね、こういうものをやはり考える。それが民族資本を守って、エネルギーを民族資本でやっていく中心になると思うのです。そういう点で、相当これはしっかりした政策というものを、もう事実立ちおくれているわけですから、早い時点に確立して、それをせめて来年の予算くらいの中では、大きな方向として向けていかなければたいへんなことになる、私はこう思うのですが、ひとつそこらの決意をお聞かせ願いたいと思います。
  57. 三木武夫

    三木国務大臣 今年度の、昭和四十一年度の予算などでも、相当これは思い切った増額をしたわけでありますから、その中にも政府の決意の片りんは御理解を願えると思いますが、私も同様に考えておりますので、今後、海外の油田開発に対しては、さらに積極的な態度で取り組みたいという所存でございます。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従来に比べて、三木通産大臣はなかなか積極的な意欲を持って、むずかしい石油業界の中に入って、そうして民族資本の立場から、何とかエネルギーというものを国内資本で確保していかなければならぬという決意のほどはわかるわけであります。ひとつ大いに、これからの問題としては十分御検討いただくことといたします。  それからもう一つ、最後に、中小企業高度化資金というのが、決算面から見ますと、三十九年度だけで二十億不用額になっているわけですね。三十九年度四十三億の予算に対して二十億不用だ、それから四十年度の予算ですと、六十七億に対して二十二億不用だ、こういう決算が出ているわけです。これほど不用が出るのだったならば、この金をもっとほかのほうに重点的に使えばいいということになると思うのです。そういう大きな見通しの違ったのも、よくわかります。あるわけでありますから、これはやはりあり方といいますか、この金の出し方、使い方、計画の段階、こういう点で、むだとは言いませんけれども、やはり予算を効率的に使う、そしていまおくれている石油資源の海外油田投資にことし二十億やったのだ、まだこっちのほうに二十億もそれが中小企業に余るのですから、そういうのを入れることによって、もっと重点が置けるわけであります。これはその手続の問題あるいはいろいろあったでしょう。ですから、そういう点で予算全般についても、今度は決算というものの立場から、通産省内部で予算をやりくりする分については、予算はわりあいとりやすいものだと私は聞いておりますので、そういう点などについても、ひとつ重点施策について十分お考えいただきたいと思います。
  59. 三木武夫

    三木国務大臣 勝澤さんの言われるように、高度化資金を余すようなことはよくないと思います。そういう意味で、これはやはり経済界の不況の余波を受けたことと、計画についても考えなければならぬ面があるでしょう。それは計画の面、経済界の不況の影響等で、今後は私は、こういうことはない、またあるべきものじゃない、高度化資金のようなものが何十億も余るというようなことはふていさいなことであって、今後はないと思います。経済界のこういう不況の影響ということで、これは異例のことであると考えますが、今後計画を立てる場合に、こういう点では、せっかくの予算でありますから、予算が効率的に運用されるような配慮を加えたいと考えております。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣も時間ですから、いま大臣に御質問をいたしましたが、あと、こまかい問題につきましては、お帰りになってから、局長お尋ねいたしますので、ひとつ十分御検討をしていただきたいと思います。大臣けっこうです。  それでは、中小企業を続けてやってしまいます。いま大臣高度化資金状態についてお聞きいたしましたので、もう少し詰めて、不用額が出てきた原因についてお尋ねいたしたいと思います。  結局私たちから考えてみますと、申請をする、それに基づいて審査が行なわれる、そして裏づけも十分行なわれて、最終的に決定が出る。だからこれほど膨大な不用額が出るというのは、やはりどこかに欠陥がある。ただそれが単なる経済の不況というだけで理由づけられるだろうかどうだろうかという点について、実は疑問があるわけです。たとえば三十八年度を見てみますと、企業合同資金計画の二十件が全部だめになった。それから三十九年度は、工場等団地で八団地、商業団地で四団地、商店街近代化で四団地、企業合同資金で二十四件、小売り商業店舗共同化で百十一件、四十年度でも工場等集団化で十八団地、商業団地で四団地、商店街近代化で八団地、企業合同資金で二十六件、小売り商業店舗共同化で八十四件、こういうものが、計画があったけれどもだめになった。こういうものが集積して、不用額になってきたのじゃないだろうかと思うのです。そういう点で、私は貸し付け審査というものが慎重に行なわれていながら、時点に合っていないからこういうことになるのだと思うのですが、そういう点の指導について、私は少し疑問を持つのです。少し納得のいく説明といいますか、ひとつわかりやすい説明を賜わりたいと思います。
  61. 金井多喜男

    金井政府委員 高度化資金が、当初の予算に比べまして、使い方が、三十九年度において非常に少なかったという点につきましては、御指摘のとおりでございまして、私どものほうといたしましても、いろいろとその理由を調べてみたわけでございます。根本的には、ただいま大臣が答弁申し上げましたように、経済の不況という点が、大きな、すべての資金に通ずる根本的な原因でございますけれども、それをもう少し具体的に詳しく御説明申し上げますと、まず工場等の団地の資金につきましては、経済不況のほかに、台風による災害というようなものもございまして、そのために事業を縮小するとか、あるいは繰り延べを行なうというようなケースが出ております。数字的な点につきましては、ただいま勝澤先生から御指摘のとおりでございます。新規について四団地、継続について四団地減っております。  それから商業の集団化資金につきましても、同様にして計画よりも少ないわけでございますけれども、これも一般的には経済の不況でございますが、特に土地造成の点がうまくいかなかったということが大きな原因になっております。  それから商工業の協業化関係につきましては、件数も先ほど御指摘のとおりでございますが、この共同施設資金につきましては、やはり経済の不況ということのほかに、組合員の経済難から、組合事業を繰り延べまたは中止するというようなことのために、不用額が生じてきたというケースがあるわけでございます。  また企業の合同資金及び小売り店舗の共同化資金につきましては、金融引き締めの影響によりまして合併の計画が進まなかったとか、あるいは高度化資金につきまして、こういった共同化資金の趣旨がまだ中小企業によく徹底していないということのために、多少甘い判断がございまして、調整の結果、貸し付け条件に該当しないというようなケースが原因ではなかったろうか、このように考えられる次第でございます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、たとえば個々の状態を見てみますと、工場等団地の場合は、九十四団地が着工したけれども、うち十一団地がまだ計画した期間に完成していない、こういう状態も出ているわけであります。ですから、事業計画と実際の行なった状態を見てみますと、相当計画のおくれもあるわけでありますから、こういう点などについての指導監督といいますか、そういう点が、私は相当不十分じゃないだろうかと思うのです。  それと同時に、都道府県における貸し付け事務の遅延なのです。これはほかの役所のこういう近代化資金でも言われておるわけでありますが、第一・四半期、第二・四半期の貸し付け状態などは、全然貸し付けがゼロだ、第三・四半期あるいは第四・四半期に集中している、こういう点が実際に合っていない、実情に合わないから、計画したときから実際に金が出るまでに待ち切れない。これは農協なんかでも同じことです。その間につなぎ資金なり、あるいはつなぎの銀行融資でやるところもあるわけでありますけれども、こういう点などから考えてみても、やはりこの貸し付けのやり方あるいは審査のやり方について、もう少し実情に合った検討をすべきじゃないだろうかと私は思うのです。これは会計検査院もこういう点を指摘されておるだろうと思うのですが、そういう点の是正というものはやられておるのですか。もしできるならば、具体的に、四十年度はどういうふうに出されているかというような点がおわかりになれば、御答弁願いたいと思います。
  63. 金井多喜男

    金井政府委員 高度化資金を余さないように、府県のほうとしては十分注意していただくように、年度初頭から、その実施の機関においてよく徹底しておるつもりでございますけれども、なお今後ともその点はよく気をつけてまいりたい、このように思っております。  それから第二の、この高度化資金の出し方がおそいという点につきましては、御指摘のように、たとえば三十八年度あたりにおきましては、中小企業関係法律等の改正がございまして、それが間に合わなかったというようなことのために、実際の窓口における支払いが、第三・四半期以降になるというようなまずい結果にもなったことは事実でございます。その点、私どものほうも気をつけまして、三十九年度から四十年度にかけましては、補助金の配分を第二・四半期から必ず実行できるようにするということにいたしましたし、また配分を二回に分けて行なうというような措置も講じました。なお四十一年度につきましても、こういった四十年度と同じようなふうにいけるように、目下関係省と緊密に連絡をとって、早期貸し付け開始を急いでいるわけであります。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それではもう一つ。この設備近代化の金ですが、この貸し付け状態を見てみましても、これはたしか会計検査院の調べだと存じますけれども、三十八年度状態を見てみますと、第一・四半期がゼロ、第二・四半期がゼロ、第三が三四%、第四が六四%、これが三十八年度です。三十九年度を見てみますと、第一・四半期がゼロ、第二・四半期が八%、第三が四一%、第四・四半期が五一%、こういう形になっているわけであります。会計検査院からも指摘をされながらも、実はまだまだ不十分だという気がしてしょうがないわけです。それから、これほど貸し付け事務について、府県でも審査をする、あるいは通産局でも指導をしている、にもかかわらず、不当事項が起きてくるということで、私は、やはりそれについての指導も少し不十分じゃないだろうか、こう思うわけでありますが、この近代化資金の問題についても御答弁願いたいと思います。
  65. 金井多喜男

    金井政府委員 近代化資金につきましても、高度化資金と同様、貸し付け年度の相当後半になって行なわれるということでは、非常に趣旨に沿えませんし、予算の残額等も生じますので、この点、高度化資金と同様な意味におきまして、なるべく早期に府県に渡るように努力したいと考えております。  それからその次に、府県貸し出し事務の促進につきましては、貸し出しの前提として、これは当然、無利子の金でございますので、特に慎重を期する必要もありまするので、診断、指導等十分にその段階において調査をする必要があるわけでございますけれども、この点につきましても、府県の診断員の増加とかあるいは強化というようなことにつきまして、明年度予算等についても十分、再び遅延したりあるいは実効があがらないことのないように注意したい、このようにいまから心組んでおる次第でございます。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどお尋ねしたのですが、一千八十万の配分ですがね。これは具体的にどのようにお考えになっておられますか。
  67. 吉光久

    ○吉光政府委員 いま一千八十万でございますが、これを大きく分けまして、点検指導関係とそれから保安関係の講習会の関係、この二つに分けまして、点検指導に七百九十五万六千円、それから講習会関係に二百八十四万四千円というふうに——この講習会と申しますのは、充てん所の作業員でございますとか、あるいはタンクローリーの運転手でございますとか、そういうふうな人に対する保安教育の徹底と申しますか、そういう意味での講習会でございまして、大きく分けまして点検指導関係で七百九十五万六千円、それから講習会関係で二百八十四万四千円、こういうふうに計上いたしております。その七百九十五万六千円のうち一番大きな内容を占めておりますものは、例の点検指導するための指導員の謝金でございまして、これが一番大きなウエートを占めておりまして、七百九十五万円のうち五百八十万円というものをこれに充てたいというふうに考えております。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、先ほどあなたがお答えになったように、高圧ガス協会に対して一応は形式的には交付することになるんですね。そこで具体的には、この都道府県に任意の組織としてプロパン協会ができております。それが実際は委託を受けてやっておるのです。実際の実務は。だからその一千八十万というものがこのプロパン協会に交付されなければ、実際の保安に対する効果というものはあがってこないというふうに判断されるんですね。ところがいまお答えの、指導員に対してということになってくると、これはおそらくプロパン協会に対する配分という形にならないのじゃないか。講習というのはわかりますけれども、しかし指導員に対してもそれなりに必要であるわけです。非常に重要なんですね。その点が私にはわかりにくいのですけれども、どうでしょうか。
  69. 吉光久

    ○吉光政府委員 予算の費目の上から、指導員の謝金ということに相なっておりますけれども、これはそれぞれ各地方の協会の御協力を得た上で、指導員を推薦していただくということになりますので、事実問題として、金のルートといたしましては、地方協会というものが当然に——その地方協会のほうへいまから計画を御相談申し上げるところでございますけれども、それぞれの地方協会のほうと御相談申し上げた上で、それぞれの地区について、何人程度指導員で何回程度やっていただければいいかというふうな、具体的な計画が、ある程度——これはぴちっときまったというものにならないかもしれませんけれども、そこらを頭に入れながら、それぞれの地区に対する分配というふうなことに相なろうかと思います。これは事実上の分配のほうの問題でございます。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 それと、この都道府県に対する予算措置ですが、この三十九年度実績で見ますと、歳入が四億八千三百万円、歳出は四十年度で見て二億八千四百万円、約二億円の歳入超過というわけです。ところが、この二億八千四百万円のこの支出というのは、あなたのほうに報告があっておるこの府県の、それぞれの立ち入り検査ができるところの保安係員の人件費というものも入っているだろうと思います。ところが、それは実際は専任でない。専任の者はおそらくこれの半分程度だろうと思われる。だと、この二億八千万でなくて、実質的には一億かそこら、一億五千万程度しか使われていないのだ。事故はどんどん激増する、しかも死亡事故というのが最近非常にふえておるわけです。だから国も、先ほど私が申し上げたようなことで、予算の裏づけをしていかなければなりませんが、府県にももっと責任を持たせて、少なくとも人命を守るための保安に対して、もっと予算もどんどん出して、積極的な対策を立てていくということでなければならぬと思うのですが、これに対して、あなたのほうでは府県に対してどのような要請をしておりますか。具体的に四十一年度においては、どういうように改善されるのですか。
  71. 吉光久

    ○吉光政府委員 実は非常に手ぬるいとおしかりを受けるのじゃないかと思いますけれども、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、府県のほうの保安に関しますところの経費が非常に少ない。年々ふえてはおりますものの、いま御指摘のように、手数料収入との見合いにおきましても、まだまだもう少し事業量をふやしてもらえぬだろうかという感じがいたしておるわけでございますが、昨年二回にわたりまして、これは各知事のほうに御要請申し上げたわけでありますが、同時に、また本年に入りましても、知事会のほうにそういう保安関係の予算確保と人員の確保につきまして、お願いを申し上げておるわけでございます。理想的に申しますと、販売所の数あるいは充てん所の数、そういうふうな数について、その何らかの基準を作成いたしまして、それにつき一名というふうな基準ができれば一番いいのでございますけれども、何ぶんにも地域的に分散しておるか、あるいは集中しておるかというふうな問題もございまして、そこらの基準を現在詰めて、さらに次年度以降の保安体制の強化というふうな意味で、これは都道府県それぞれにもお願いいたしますが、同時に、自治省のほうにも、そこらの保安点検の基準というふうなものにつきまして、細目を自治省のほうと相談をいたしました上で、さらにこの拡充につとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 時間の制約を受けておりますから、あらためてまたお尋ねしますけれども、一、二点だけお尋ねしておきます。  私、商工委員会に所属していますから、したがってこの当該委員会になるわけです。特に関心を持って、実は私自身いろいろ調査をしてみたのです。その中で、プロパンの家庭の事故が非常に起こる可能性があるのだということを感じております。それから充てん所に行ってみたのです。容器の検査その他いろいろな状態を見てまいりました。それで調査もしたのです。ところが容器の検査というのは、全くあいまいですね。おそらくあなたのほうもどの程度までそれを把握しておられるのかわかりませんが、この容器の爆発というか、容器の故障から起こってくる事故というものはどの程度あるのか、わかっておればお聞かせ願いたいのですが、その点どうでしょう。あなたのほうで確認をしておられる容器というものは、全国でどの程度あるのか。それから検査所というのは何カ所くらいあるのか。この容器の検査というものにそれぞれの基準はあります。基準はありますけれども、その基準に基づいた検査というものが私は行なわれておるとは思いません。これはあなたのほうにはいろいろな報告が来ておると思う。私は現場に行って、相当な日数をかけて調査をしておりますから、ある程度正確なものをつかんでおるわけです。ですから、きょうは時間の関係がありますから、一つ一つその問題を取り上げてお尋ねをすることは省略いたしまして、また他の機会にお尋ねをしますけれども、いま私がお尋ねをした点に対して、一応お答えを願いたい。
  73. 吉光久

    ○吉光政府委員 現在出回っております容器の数は、全部で約二千三百万個程度のものが出回っておりまして、年々ふえております。それから容器の検査所でございますが、現在全国で、法律の手続によりまして登録されたものが三百四十八事業所ございます。いままで容器から起こってまいりました事故でございますが、容器そのものから事故が起こったということは、実はこれは容器をどういうふうに観念するかということとからむ問題かと思いますけれども、容器そのものからの事故というものはないわけでございまして、容器についておりますところの安全弁、これは付属装置になっておりますけれども、安全弁とか調整器、この関係からの事故は相当数にのぼっております。したがいまして、この安全弁、調整器等を中心にいたしました立入検査をもう少し重点的に処理いたしてまいりたい、このように現在考えております。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、検査は六年ごとにやるわけですね。外観検査をやる、内部検査をやる、質量検査をやる、耐圧検査をやるわけですね。この検査方法に対して、これは私なりに意見があるのですが、あなたのほうとしては、この検査は改めなければならぬとお考えになっておる点はありますか。
  75. 吉光久

    ○吉光政府委員 非常に技術的な問題でございまして、あるいは御答弁にならないかと思いますけれども、現在、省令の技術上の基準につきまして、特にLPガスを中心にいたしました保安基準につきまして、全面的な再検討を加えております。この容器のほうの検査につきましても、一部強化する方向で改正をいたしたい、こういうふうに考え、現在検討を進めておるところでございます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、外部検査、内部検査、質量検査が行なわれた。それで耐圧検査というものはどの程度効果があるのですか。その必要性……。
  77. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 技術的なことで、御答弁をいたします。  容器検査の中では、私どもとしては圧力の試験が一番大きいウエートを持っております。それは常用の圧力が一・五倍以上という原則で試験をいたします関係で、これに合格をしておれば、ほとんどいままで容器自身の破裂がないという実績を持っております。ただ、容器検査の手抜きとか、そういう点でいろいろ御指摘がございますれば、容器再検査所に対する立ち入り検査を、今年度は重点的に取り行なっていきたい、こういうふうに考えております。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 専門的なことになりますから相当時間をとりますので、きょうはこの程度にとどめます。あらためてまた当該委員会お尋ねすることにいたします。  それでは、特許のことについてお尋ねいたします。川出長官は、いま新任早々ほやほやです。だから、あなたのことですから、相当研究もしておられるだろうということはよくわかります。わかりますけれども、きょうは、汚職の問題を中心にしてお尋ねしたいと思いますので、あなたにその点を追及するという立場で問題を指摘をし、お尋ねをすることは、どうも私は若干無理だろうと思っています。ですが、汚職が起こっておるということは事実でありますから、あなたが新任の長官におなりになって、あなたなりの心がまえというものも私はあろうと思います。それから、まず特許庁長官に就任をされて、六十二万件というこの膨大な未処理、いわゆる滞貨というものを一掃するためにはどうするのか、汚職が再び起こらないというためには、どのような措置を講じなければならないかという観点から、それなりの取り組みの検討を加えておられるだろうと思います。したがいまして、まず、これからというような形でお尋ねをしていくことにいたしたいと思いますが、まず、一方で滞貨が起こるわけですね。一方では汚職が起こっておる。だから、この関連性というものはないとはいえないですね。だから、この滞貨の内容は、いま私が申し上げましたようにいろいろあるのですが、未処理件数としては六十二万件ある。ですが、この内容はお答え願わなくともけっこうでございますが、どうしてこのように滞貨するのかということです。それから、汚職との関連というものは、この滞貨とは因果関係というものは全然考えられないのか。どうして汚職というものが起こってきたのか。それらの点に対して一応伺ってみたいと思います。
  79. 川出千速

    ○川出政府委員 最近、特に開放経済になりまして、貿易自由化が行なわれ、それから、技術がますます急速に進歩してまいりました関係もございまして、そのほかにもいろいろ原因があろうかと思いますが、出願が、特許、実用新案を通じまして、ここ数年間激増してきておるわけでございます。もちろん、これに対しましては、人員の増加、事務処理の合理化、機械化等、あるいは待遇改善等も含めまして、極力事務処理の能率化、能力の増強をはかりまして、この出願のふえてくるものあるいは過去の滞貨の処理に当たってまいりましたのですけれども、いずれにいたしましても、予想外に出願件数が多いものですから、しかも、その内容は、時代とともに、きわめて技術的に審査することのむずかしい高度の内容のものがふえてきておりますので、そういう関係で、年々予算その他の措置によって対策を講じておりますけれども、現実の問題としては、遺憾ながら滞貨がふえてきておる。先ほど御指摘になりましたように、その数は四十二万件にもなっておる。特許関係では平均して三年半もかかる。実用新案でも三年余りかかるというのが現実の姿でございまして、これを何とか処理しないことには、特許行政というものは、オーバーな表現をいたしますと、先が非常に暗いというような感じもしておるわけでございます。したがって、従来のとってきました方策はそのまま拡充強化していきますとともに、特許制度そのものに改善を加えるということで、長く特許法の改善の審議会を設けまして、その答申に基づきまして、特許出願の事務処理の簡素化、それから実用新案の制度の改善、この実用新案法の改正と特許法の改正の二つの改正法案を、実は現在国会に出して御審議をお願いしておる次第でございます。  それからなお、汚職の問題、これは私、特許庁始まって以来の不祥事件でございまして、たいへんに遺憾に思い、かつ、責任を痛感しておる次第でございます。今後このようなことが二度と起こらないように、あらゆる手段を講じていかなければならないと固く決意をしておる次第でございますが、先生の御指摘になりました、滞貨の累増、それに基づく出願の処理の遅延長期化と今回の問題との間に、何らかの因果関係はないだろうかという御指摘でございますけれども、これは直接の関係はないのかもわかりませんけれども、事務処理が非常に遅延いたしますと、出願人の利害関係はそれだけ非常に不利になることはございます。事務処理を早く促進してもらいたいというのは、これはもう各出願人の熱望でございますので、こういう点を勘案いたしますと、私は、全く無関係とは思っておりません。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 特許法の改正を行なってきておりますが、この特許法の改正をやる、要するに、制度改正をやるときに、この出願というのが非常に激増しておるというような統計が出ておるように私は思うのですが、このことはどうしてそういうことになるのかという点ですね。  それから、滞貨をなくするというために、いろいろな努力をしておるだろうと思う。思うのですけれども、ますます出願はふえてくる、滞貨は増加すると、こういうことになるのですね。だから、あなたのほうとしては、当然、この滞貨をなくするためのいろいろな措置が講ぜられなければならなかったのじゃないか。単に、今度滞貨をなくするために法律改正をやる、いわゆる制度を改める、こういうことによって滞貨をなくするということも、それはそれなりに必要であるかもしれません。ですけれども、そういうやり方には、ともすると無理が伴う。今度いわゆる公開審査をしようということなんですね。六カ月間公開審査をやって、異議なければ、今度はそれを直ちに登録するということになる。登録したのだけれども、その後、権利侵害を受けたというので異議を申し立ててくるものがないとは言えない。そうすると、そこに争いが生じてくるんですね。そういったように、制度改正には無理が伴ってくるのですよ。必要な制度の改正はしていかなければならぬということはわかります。今度の改正の内容のよしあしは別でございますよ。ですから、それはわかりますけれども、私は、そういう無理が伴わなくて滞貨をなくするということが当然なされなければならない。まあいろいろあるでしょう。ともかく、現在の審査、審判官に対してどの程度ノルマを与えているのかですね。欧米諸国の例もある。日本との比較というものが当然そこへ出てくる。だから、それらの点に対して無理があるのかないのか、ノルマは無理か無理でないのかということだって、あなたのほうではわかっておると思う。だから、そういったようなことは、制度改正でなくて、人をふやしていく、あるいはその他いろいろな措置を講ずることにおいて、無理なくして問題の解決というものがあり得ると私は思うわけです。それらの点に対して、努力のあとというものが遺憾ながら見受けられない。だから、その点に対しては、あなたは特許庁長官におなりになってどのように考えていらっしゃるか、ただ制度改正のみを待つというような、そういう安易な考え方であってはならぬと私は思うのです。ですから、汚職の問題についても、直接的な関係はないかもしれぬけれども、やはり滞貨がある、だからその決定がおくれる、早くしてもらいたいということから、もろもろの誘惑の手が差し伸べられてきたであろう、私もそのとおりだと思う。したがって、関連はそこにあるわけでございますから、再び今回のような不祥事件を起こしてはならないという強い決意の上に立って、制度改正のみでなくて、従来までのいろんな欠陥を補うための措置もあわせてあなたはお考えになっておられるだろうと思いますから、ひとつその点に対してのあなたの考え方を聞かしていただきたいと思います。
  81. 川出千速

    ○川出政府委員 先ほどごく簡単に触れたわけでございますけれども、従来、出願件数の増大、滞貨の累増に対処いたしまして、特許庁といたしましては、予算面、定員面におきまして、予算の増加、定員の増加、たとえば四十一年度は事務職員を含めまして百四十四名の増加をいたしております。四十年は九十九名、三十九年は百十名の定員の増加をとっておるわけでございます。それに伴いまして、予算も年々増加してきております。まず人をふやして、教育をし、事務処理能力を増大させるという点が基本でございますので、それに従来全力をあげてきたわけでございます。それから、事務のやり方の合理化につきましては、審査資料の整備、これは非常に時間がかかりますので、そういう整備でございますとか、あるいは事務の機械化によりまして事務能率を向上する、あるいは審査官、審判官の待遇を改善するという点について、あらゆる努力をしてきたわけでございます。しかしながら、そればかりでは、なおかつ累増していく出願件数に追いつけないというのが、これまた現実の問題でございまして、たとえば人員をふやす問題にいたしましても、これは高度の技術者を採用していかなければいけないわけでございます。こういうことになりますと、おのずから無限に人が採用されるわけではないわけでございます。今年度も八十名の大幅な、新しい人の採用は可能になりました。実際はもっと採用したかったのですけれども、内定はいたしましたけれども、最終的には人が採れなかったというような事情もございまして、おのずから限界もあります。あるいは事務所のスペースの問題もあるわけでございます。そういう点を勘案いたしますと、従来の方法、これは今後も拡充をしていくのでありますけれども、それのみでは、滞貨がさらにふえていくというのが現実の問題でございますので、先ほど申し上げましたように、制度改正の問題も、現在国会に提出をして、今後御批判を仰ぎたい、かように考えておるわけでございます。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 最大限の努力をしたとおっしゃる。ところが、あなたのほうから出ておる資料を見ましても、最大限の努力というものは行なわれていない。出願はどんどんふえる。だけれども、三十五年、三十六年、三十七年、三十八年、最も大切な審査官というものが採用ゼロだ。審査、審判官の採用をやると思うと、今度は事務職員を入れない。事務職員を入れないから、審査、審判官が、事務職員がやる事務までもしなければならぬというようなことで、その滞貨というものは一向減っていかないで、ますますふえていくというような形が行なわれてきておる。しかも三十六年の歳入九億九千三百万円に対して歳出は七億七千二百万円、三十七年は十一億九千二百万円の歳入に対して歳出は八億五千三百万円、三十八年は十四億九千一百万円の歳入に対して歳出は十億一千五百万円、こういうように、歳入と歳出を見ますと、絶えず歳入がずっと上回ってきておる。だから、技術革新をやらなければならない、科学の振興をはからなければならないといいながら、発明家の寄付によって今日技術革新をやろうというものの考え方というのはでたらめもきわまると私は思う。こういうことをやっておきながら、最大限の努力をいたしましたという答弁は、どこから引き出されてくるのですか。あなたには、新任の長官なんだから、あまり言わないと言いながら、ついあなたの答弁から問題を指摘することになってしまったのですが、前任者をかばうということはわかります。わかりますけれども、あなたに求めておるのは、そういうでたらめなやり方というものを、ともかくあなたによって大きく改善をしてもらいたいという期待があるのです。あなたが非常に人格の円満な人である、しかも非常に仕事に熱を持つ人であるということで、おそらく特許庁の職員もあなたに対する期待を持っておるであろうと思う。したがって、こうした質疑応答というものは、私は、特許庁職員の関心事である、国民の関心事であると思う。だから、私の問題を指摘しておるということに対しましては、肯定すべきものは率直に肯定をしていく、そしてこれを改善をしていくというような熱意がなければならないと私は思う。私もまた、そのつもりであなたに対してはお尋ねをしておるわけでございます。こういう事実は、あなたのほうで出しておる統計資料によって、私は問題を指摘しておるのですから、こういうことをどう改めていくかということに対してのあなたの考え方を、この際ひとつ明らかにしてもらわなければならぬわけです。
  83. 川出千速

    ○川出政府委員 私、特許に参りまして、目下勉強中でございますので、現在までやってきたこと、改善すべき点は多々あろうと思います。現在、具体的にそれをどういうふうに改善するかというところまで結論を出しておりませんけれども、よく勉強し、特許庁内の意見あるいはその業界の意見をよく聞きまして、改善すべき点は積極的に直していきたいという意欲を持っておる次第でございます。また、先ほど最大限の努力をしたと申しましたけれども、したであろうということでございますので、今後よく勉強いたしまして、足らないところはできるだけ努力をして直していく、さような方針でいきたいと思います。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、具体的なことですが、滞貨があるからノルマになっておると思う。このノルマには無理が必ず伴う。大体、大蔵省がはじいておるのは、二百六十何件が適当であろうということですね。実際は、一人の審査、審判官が三百九十件くらいやっておるでしょう。だから、こういうノルマをやると、そのノルマを果たすということになってくると、やり方に非常に無理があるな、多少でたらめなことがあるなと思っても、やはり無理が言えない、そういうことから、今度は規律というものが守られていかなくなる、弛緩していく。そこへやはり汚職の芽というものが出てくるんですよ。だから、いまやっておる無理なノルマ、これは改めなければならぬと思う。あなたはこの点どうお考えになりますか。
  85. 川出千速

    ○川出政府委員 具体的にどの程度のノルマを課しておりますか、私まだ勉強しておりません。たいへん申しわけなく思っておりますが、無理があれば直さなければならない、かように思っております。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 アメリカなんかは一人で百二十件ですよ。一人の人間の能力には限度がある。三百九十件というのは、あなたのほうから出ている統計ですよ。しかもこれは、大蔵省がその人員採用等において大体はじき出している数字を、百件以上上回っているんですよ。無理があればじゃない、無理があるんですよ。大ありですよ。だから、そういう無理なことは改めなければならぬ、こう言っているんです。あなたとしては、まずこの点にはまっ先に目をつけられたであろうと思っておるのでございますけれども、いまのお答えの中からは、どうもそういうものは引き出されてこない。だから、ひとつ十分勉強をされて、これは汚職との関係で、正直にいって、あるんだから、そういう点は改めてもらいたいと思います。いま申し上げたように、ノルマが無理だと、手抜きが起こるんですよ。手抜きが起こると、合格できないものでも、審査でパスするパスをするから、あの程度のものが登録されたんだから、われもおれもと、今度は出願がふえてくるんですよ。そうなってくると、どういう結果になりますか。滞貨がこんなに増加しているということも、そういう関連だってある。発明家の努力というものを引き出してくるということは、それなりに必要です。しかし、価値のないものが登録されてはならぬと、私は思うのです。むだがあってもならないでしょう。だから、ノルマの及ぼす影響というものがいかに大きいかということが十分考えられるわけなんです。滞貨というようなものは、制度改正ということだけで問題は解決しないのだということを私が指摘しておるのは、そういう点なんです。だから、ひとつ大いにやってもらいたいと思います。  そこで、いろいろあるんですが、も一つ汚職の関係で、私は今度の汚職に関係をした人たちを調べてみたんですが、高専卒が多いですね。ほとんど高専卒でしょう。違いますか。
  87. 川出千速

    ○川出政府委員 さようでございます。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 それに、何か感じるものはありませんか。高専卒というのは、なかなかこれは優秀ですけれども、官庁というものは、大学卒でなければなかなか道が開かれてこない。管理部門というのはほとんど大学卒。こういうところにはその高専卒というものがいる。そこで両者の間に壁ができるんですよ。なかなか前途というものが明るくない。暗い。そこいらにも、私は問題がないとは言えないと思う。非常に重要な仕事をしているけれども、その身分上の問題があるから、出張しても出張旅費も安い。旅館代なんというものも安い。ところが実際は、人が泊まるんだから、旅館代だって変わらないですよ。出す金は変わらない。いろいろな関係が出てくるんですね。収入も少い。ところが仕事は非常に重要な仕事をしておる。しかもその仕事は、審査、審判官であるから、秘密を守らなければならない。特別の刑罰というものがあるんです。秘密保持の立場から。そういう非常にきびしい規律の中に仕事をし、生活をしていかなければならない。にもかかわらず、所得というものは少ない。そして将来の出世というか、そういう希望というものは、事実上閉ざされるという形になってまいります。だから、あなたが今度長官におなりになって、そういう管理部門とそうした審査、審判官という人たちとの間というものをうまく調和していくというような形が、私は必要であると思う。同時に、どんどん登用する者は登用していくというような、希望を持たせるやり方というものがなされなければならぬと私は考える。それらの点に対してのあなたの心がまえを聞かせていただきたい。
  89. 川出千速

    ○川出政府委員 先生の御指摘になるとおりでございまして、職場が明るくかつ希望にもえている場合に、一番また能率もあがりますし、事務処理も合理的にいけると、私は端的に確信をしているわけでございますので、特許庁の事務も、そういう意味で、ただいま先生の御指摘になりましたように、そういう点があれば、今後改善をしていきたい、かように考えている次第でございます。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく、もっと待遇もよくしていくことが必要です。それと、希望が持てるようにすることも必要です。制度改正を今度おやりになるわけですけれども、先ほど言いましたように、いろいろ問題が出てくるのです。かりに百名、人を増員をするというような場合に、人件費がどの程度かかるのか、五万円の人件費の人、そういうものを百人ふやしても、数字はしれているのですね。ところが今度は、訴訟事件が起こってきたということになりますと、たいへんな費用がかかる。だからそういう点については、十分配慮されなければならぬと私は思います。  次にお尋ねをしたいのですが、電子計算機をお入れになりましたが、この電子計算機は、当初の計画のとおりに活用されておりますか。
  91. 佐々木学

    佐々木説明員 長官にかわって、お答えいたします。  電子計算機は、所期の期日よりは作動が若干おくれております。しかしながら、いまのところは順調に事務のほうは乗っかっていると思います。実際にまだ動いておりませんのは、登録関係でございまして、出願関係の事務は、ほとんど全部、新しいものは乗っけております。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 正直に答えてもらいたいですね。実際はそうじゃないでしょう。三十九年十月までに出願事務の機械化をし、それから四十年の四月に滞貨分の出願事務の機械化をやる、四十年七月に滞貨分の登録事務の機械化をやる、四十一年四月までに全面的機械化をやるというのが計画であった。当該委員会において、そういう説明がなされた。ところが、実際は四〇%程度計画が遂行されたにすぎないのですね。実際に当てはめてみたところが、なかなかうまくいかない。事実上これは失敗をしている。無理だったということがわかっているのでしょう。そうではありませんか。
  93. 佐々木学

    佐々木説明員 お答えいたします。  先ほど概略を御説明したのでございますが、出願の事務のうち、三十八年度以前の出願でございますが、これも全部蓄積するという予定でおりました。しかしながら、過去のデータを入れるということは、入れる間に誤りが起こるというような問題もありまして、それは外注をしなければなりませんので、外注をした場合には誤りが起こる。誤りが一万件に一件でも二件でも起こりますと、あとでその誤りを発見するのがたいへんでございますので、過去のデータの蓄積は、これは中止したほうがいいだろうということで、中止いたしました。しかしながら、三十九年以降の出願につきましては全部入っておりまして、順調に動いております。正確かつわりに迅速に動いております。登録関係につきましては、すでに意匠につきましては実験を終わりまして、ただ精度の問題について、一〇〇%いまのところは確実でございますけれども、もし誤りが起こると困るというような問題もございまして、いまだ乗っけておりません。そういう意味で、先生御指摘のとおり、おくれていることはおくれております。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうでは、庁舎の建設の問題であるとか、あるいは大型電子計算機の設置の計画であるとか、もろもろあるわけですけれども、ともかく実際にどういう形でこの電子計算機が活用されておるか、動いておるかというと、三十九年十二月に出願事務の機械化を開始した。四十年の一月には商標の一部を処理するという形にこれが変更された。そこで実際は七〇%は間違っておるというデータが出ておるのですね。そして四十一年の二月には意匠のみの登録事務を試験的に機械化するという形で、あとは一つも進展していない。だから、これは失敗だという答えが出ている。だからあなたのほうも、そういろ機械にたよっていけない、特許、実用新案なんというところですから、十分ひとつお考えになって、むだを重ねて繰り返すということがあってはならぬ。  それから、いま一つ、長官にこの際考え方を明らかにしておいていただきたいと思うのですが、人手が足りない、足りないからあなたのほうでは非常に無理している。借り上げをやっているでしょう。いろいろな外郭団体等から、借り上げが行なわれているのでしょう。どうですか。
  95. 佐々木学

    佐々木説明員 長官にかわりまして、お答えいたします。  人間を借りておりましたのは事実でございます。出願関係で二名、そして相談所に一名、それから公報の出納のほうに二、三名借りておりまして、これは本年度から返しまして、すっきり役所の人間でやるようにいたしております。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 すっきり役所の人間でやるという、それはあなたの考え方であって、現実にはなかなかそうは改められておるわけじゃないでしょう。その秘密を守らなければならぬ特許、実用新案というのは、ぽかぽか借り上げて、責任を持たないような人たちが入ってきて、重要書類を複写されたらどうなりますか。問題ですよ。だから必要な人はふやしなさいよ。収入はどんどんあるのだから。先ほど私が申し上げたように、ともかく発明家から寄付してもらって、こういう重要な業務を遠行していくなんというけちなやり方を改めなければいかぬ。大蔵省にはもっと強く当たらなければならぬですよ。この間、沢田君が本会議で質問をしました際に、歳入とこういう支出関係は因果関係はない、これは別だ——なるほど形は印紙収入として、大蔵省に入ってくるだろうと思うのです。しかし現実には、あなたのほうの統計資料で、あなたのほうがお出しになっているのだ。特許庁自体が、こういうことで、歳入は幾らでございます。歳出は幾らでございます。こういうことで、この点の関連のあることを、あなたのほうで明らかにしているのです。だから、こういうようなでたらめなことを改めて、そうしてまたいろいろ一元化しなければならぬところもあるでしょう。工業技術院の行なっている業務であるとか、科学技術庁の関係であるとか、それからこの特許庁関係、これは一元化する、総合的に、計画的にやっていく必要も、私は出てくると思う。むだをやらないというような形も必要になってくるでありましょう。だから、そういう点も十分——あなたが長官におなりになったのだから、今度は十分調査をして、検討して、実情に合うようにしていただきたい。いまの、人の借り上げなんという問題は、特許庁という特殊な重要業務という点から、好ましいことではないと私は思いますが、これをあなたはどう改められますか、この際きっぱりお答え願っておきたい。
  97. 川出千速

    ○川出政府委員 私は、先生の御指摘になりましたとおり、好ましくないと思います。したがって、今後こういうことはやめていかなければいけないと思っております。
  98. 吉川久衛

    吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時四分散会