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石野委員 採草の補償というのは、農民に対して与えられておるものですから、これが個人に配分されるのは当然です。しかし三百三十六名もという多数になっておりますから、それを一人一人個人別に
防衛庁から渡すことも非常に困難で、そこで市長なら市長が、それの総代という形で総額を受け取って、それを市で渡す、その
方法も私は了といたしますし、またその間若干の事務などがありますから、事務費として、ある部分をみんなで先に取りまして、その残額を分けるというやり方も、私はよろしいと思うのです。
那珂湊市における事情を見てみますると、実情はこういうことだったと私は思うのです。これは問題が出てきたのは、採草地の補償を受けるべき人がたくさんおったわけなのです。たまたま阿字ケ浦の諸君が手続をなさって、それに対しての補償が一応
確定した。ところが、まだ他の部落の方々があるのだけれ
ども、その諸君に対する補償というか、補償申請手続というものが行なわれなかった。そういう他の部落の人々が、
防衛庁なら
防衛庁に、そういう補償申請をすれば問題はなかったのだと思います。それをしないままに、阿字ケ浦の諸君が三百数十名でもらった分を、他の部落へ分けよう、こういうことを市長さんなりがやった、そのことのために、問題がこじれてきているのだと私は思うのです。だから、私は別に市長が悪意でどうこうしたということは言いませんけれ
ども、問題の本質は、やはり
防衛庁が、そういう当然補償を受けるべき人々が他におったのに、その補償申請を受けつけなかったところにあるのか、あるいは地域における人々がそれに怠慢であったのか、そのいずれかにかかっていると私は思うのです。この際、
内容から言いますと、こういうことなのです。補償金が市に出まして、阿字ケ浦の農民からすれば、出たのだから、事務費もけっこうです、取ってください、それから、もらった金の一部分は、やはり部落に対する、公共に対する寄付もしましょう、その残額を分けてください、という要求をずっとしてきておったわけです。ところが市当局のほうでは、それを他の部落へ分けてやらなくてはいけないから、金額の配分の中で差が出てくるわけです。その話し合いがつかないでごたごたして、もう七年も八年も、約一千万円ぐらいの金が全然行き渡らないままきた。最近それがどうにか解決したわけですけれ
ども、その間、個人配分を要求した人々が、逆に村八分を受けるという結果が出てきている。三百三十数名のうち、それを強く主張しても、もう最近まで残ったのが二十数名なんです。その二十数名の人が、市長の言うことを聞かないからというので、これはもうほんとうに村八分のような形になってきているわけです。こういうことになりますると、せっかくの補償というものが、かえって町の中でトラブルを起こして、しかも
考え方の戦では間違っていない人が、悪者扱いされるという結果が出てきているわけです。市長さんのお
考え方もけっこうだけれ
ども、しかし問題は、そういう当然やるべきことをやらないでいて、そうしてこの金は阿字ケ浦だけなんじゃない、そこには十三奉行というところもありますし、平磯、部田野というところもありますが、こういう三部落の諸君ももらうべき金としてもらってきたものだから、それにもやるのだという強引な市長のやり方があるわけです。ところが、受けるべき農民からすれば、これはおれ
たちがもらったのだということになる。私は、この事件の概要はあまりここではごたごた繰り返しませんが、この機会に、
防衛庁の意見をお聞きしておきたいのです。
阿字ケ浦の農民諸君がもらえるような条件と同じような形の諸君が、実際被害を受けているわけです。私の推測では大体百名近くだと思うのです。金額の配分やなんか市がやった
程度から見ますると、大体百名くらいだと思うのです。それらの諸君に対する金がないものだから、当然もらうべき金の何分の一かをとられている、こういう形になっているためにごたごたが出た、こういうことだと私は思いますので、この問題については、事実が私のいま申し上げたような事情であるということが確認されれば、
防衛庁としては、
予算を見ますると、いろいろ金の使い方の中には、補償で残っているところもあるわけです。ここに出ているのは
航空機の騒音対策装置なんというもので、採草地の問題は出ていませんけれ
ども、これは款項の融通をやっていただいて、あるいは
経過年度の処置をしてもらえばできることだと私は思うので、こういうようなしわ寄せを、既得権益を持っている者へ持っていかないで、権益を持っている者には、当然それだけの処置をしてやることが非常に大事なのじゃないだろうか、こういうように私は思うので、この点について、この際御所見を聞かせておいてもらいたい。