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1966-04-28 第51回国会 衆議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十八日(木曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 壽原 正一君 理事 堀川 恭平君    理事 勝澤 芳雄君       石田 博英君    小渕 恵三君       田村 良平君    原 健三郎君       渡辺 栄一君    石野 久男君       森本  靖君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         防衛政務次官  井村 重雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  島田  豊君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  國井  眞君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会課長) 大浜 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         防衛庁書記官         (経理局監査課         長)      井上 更明君         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         大蔵事務官         (銀行局中小金         融課長)    塚本石五郎君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部組織課長) 泉  長嘉君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山ただ夫君     ————————————— 四月二十八日  委員萬田尚登君、根本龍太郎君、山手滿男君  及び華山親義辞任につき、その補欠として小  渕恵三君、田村良平君、渡辺栄一君及び石野久  男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小渕恵三君、田村良平君、渡辺栄一君及び  石野久男辞任につき、その補欠として一萬田  尚登君、根本龍太郎君、山手滿男君及び華山親  義君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書   〔総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中、防衛庁について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最初に、第二次防衛計画の今日までの状況と、それから第三次防衛計画内容について、御説明願いたいと思います。
  4. 松野頼三

    松野国務大臣 第二次防衛計画は、第一次防衛計画に続きまして五カ年計画をいたしまして、四十一年度最終年度に当たります。計画の総額は、当初は一兆二千億の予定で施行いたしましたが、四十一年度予算を含めまして大体一兆二千億で、金額においてはそう相違はございません。  内容については、陸上部隊人員十七万一千五百、海上部隊艦船十四万トン、この二つにつきましては、ほぼその計画目標は達成できたと思います。ただ足らないのは、十七万一千五百の陸上部隊人員において補充状況が八八%から八九%程度で、約一〇%前後の補充不足ができております。艦船における十四万一千トンは、大体四十一年の予算の施行によって、これは完了できる見込みであります。航空部隊におきましては、当初計画どおり、ほぼ実施いたしてまいりました。一つ残りましたのが、決算でも申しましたように、自動警戒管制装置バッジ装置が来年度の四十二年度末に完成するということで、当初よりも約一年ちょっとばかり計画の実施がずれております。しかし予定としては、第二次防の中において、この計画の手はずは完全に整いまして、ただ装備が多少時間的にずれておるというのが二次防における概略であります。  これにつながる第三次防といたしましては、今日までの防衛力充当状況が、第一次、第二次というのは、ある意味においては数量をそろえるということに重点が置かれてまいりましたが、第三次防からは、時世の変転あるいは科学兵器の諸外国の開発の進歩に伴いまして、量と同時に質的向上——陸上部隊においても質的向上ということで、機動力を充実させ、海上部隊においては艦船の増強ばかりにあらずして、艦船警戒能力海上部隊における活動能力を付与し、航空部隊においても同様に今日までのパイロットの技術向上とか、あるいは飛行機性能——同じ飛行機におきましても稼働力をあげる、性能をよくする、整備を完備するという質の向上重点を置きたいというのが、第三次防の目標であります。したがって、その総予算も、国民所得に応じて二%程度までは、最終年次において国民の負担も耐え得られるのじゃなかろうか、あるいは逆に言うならば、国民から納得してもらえるのじゃなかろうかというので、一応今日の目標を、概略第三次防の最終年次において、国民所得の二%程度のものを目標に、今日概算的な作業を進めております。しかしまだ各省打ち合わせておりませんし、国防会議にもはかっておりませんので、これは一つの第一原案という程度でお考えいただけばいいかと思います。その内容はいろいろございますけれども、大体そういう方向と目的のために、今日総予算というものをこの程度目標に置いて、そうして進んでいきたい。ただここに二%と申しましても、国民所得が幾らになるかという基準がまだ政府部内ではできておりません。したがって、概算数字が二兆七千億という数字が一応新聞紙面にも出ましたけれども、この二兆七千億は非常に変動の多い数でございます。これは国民所得そのものがまだ確定しておりませんために、ただわれわれが想定すれば、国民所得の二%、二兆七千億になるという、一つの非常にばく然たるものでございまして、これ以上正確なものは、今日まだ政府部内においても積算、推算はできておりません。したがって、これは非常に変動の多い数ということの前提の上に、この数字を読んでいただきたい。またそういう意味概算だけはしなければ、これは進みませんので、そういうふうに外側と内側から進めてまいりたい。これが第二次防における今日までの経過、第三次防における、大まかですけれども基本的な数字を申し上げて、御参考に供したいと思います。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、二次防から三次防までの経過あるいは計画がわかったようですが、大体その三次防が最終的に確定をする時期はいつごろまでに、あるいは国防会議が開かれてきまるものでしょうか。
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 いつまでときめなければならないこともありませんが、いままでは、四十二年予算からこれを出発させる、こういたしますと、四十二年予算概算要求の時期、おそらくことしの秋ごろまでには確定しなければならないと思います。四十二年から発足するとしますと、ある意味においては、四十一年のうちに開発準備態勢を整えなければなりませんので、なるべく早い、春のうち、五、六月、国会終了ごろまでには、各省との打ち合わせも済みましょうから、国会中ではなかなか各省打ち合わせが実は済みません。したがって、防衛庁だけならば五月中にでもと思っておりますけれども各省は、国会関係で、予算及び各法案に没頭しておりますので、実は国会中なので、打ち合わせがおくれております。したがって、なるべく国会終了くらいのころに国防会議を開いて、防衛庁原案というものをはかって、そしてできれば早い六月の当初、五月の末期くらいまでにはきめたいと思っておりますけれども、御承知のように、国会の模様というものが今日想定できません。したがって、各省打ち合わせが事務的に進んでおりませんので、多少この時期はずれるかもしれません。したがって、なるべく四十一年度の上期に問題をきめる。開発計画——やはり長期のものが非常に多いのです。決算委員会でも御報告しましたように、ある兵器一つきめましても、それが装備されるのは五年くらいかかります。また艦艇にいたしましても四、五年かかる。そういう非常に特殊なものがありますので、計画開発、新たに国産開発などといいますと、航空機あたりですと七年かかります。そういうものは、一年も早く開発を進めるためには、四十一年、本年から、開発の一部は第三次防に着工させたいというので、四十一年からあるものは三次防として着工したい。そういう意味で、四十一年は二次防の末期であると同時に、三次防の初年度という考えも今日浮かんでおりますので、なるべく早い時期、と思っております。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、三次防の計画の中で、兵器国内開発とかあるいは国産化ということがいわれておるようでありますが、こういう点については、どのようにお考えですか。
  8. 松野頼三

    松野国務大臣 ぜひ国産化で進みたいと、基本的に私は考えております。できるならば全部国産化でいきたいと考えております。したがって基本は全部国産、その中でできないものを拾い上げて、これは輸入をもって充てるというので、基本は全部国産という前提のもとに、国産ができるかできないか、できないものを輸入する、そういう計算を今日いたしております。どの程度ができて、どの程度ができないかということは、まだ多少研究の余地がありますが、基本的には全部国産、できないものだけを輸入するという考えでやっております。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで二次防の計画の中で、バッジシステムについて入札経過にはいろいろのうわさがあるわけでありますが、経過についておわかりになりましたら、御説明願いたいと思います。
  10. 松野頼三

    松野国務大臣 バッジシステム計画契約昭和三十九年十二月に正式に契約をいたしました。契約の相手方はアメリカヒューズ社というものと契約いたしました。当時は、もちろんこれは未知数でございます。したがって、私が過去を振り返ってみても、これをきめるには、当時の閣僚、大臣、防衛庁のスタッフは苦労しただろう、私は今日でさえ想定されるようなものであります。何と申しましても、当時は世界一つしかなかったかもしれません。今日でも二つか三つありますけれども、おそらく当時バッジシステムというのはアメリカだけであって、ヨーロッパがどうやらその装備に入る、それに合わせて日本がこれに入るというと、おそらく日本世界で第三番目の制度をつくるという時期、したがって選定する会社GE、リットン、ヒューズという三つのものがあったと記憶します。それが当時名のりをあげた。しかしいずれにいたしましても、どれもこれも、現物を見るという品物でもなければ、そこまでの製品がまだ世界じゅうできておりません。したがって、仕様書を見ながら研究しながら、現実にどれがいいかということは、おそらく当時の者は非常に苦労しただろうと思います。したがって、それがある意味においてはいろいろな紛糾があったことは、私も当時議員をしておりましたから考えました。私が長官になって、逆に当時をひるがえってみると、なるほどむずかしいものをよく先任者がきめたと私は思います。ただ今日振り返ってみると、ただいまもうある程度できております。またアメリカで試作も、日本の注文したものがだんだんできております。今日見れば比較的先進的な、進んだものがいま装備されて、いずれこれは日本に運んでこられます。一部はもう日本に到着する時期にあります。今日見ると、日本が注文した品物は、世界の中でも改良された進歩的なものである、現在アメリカ装備されておるものよりも進んだものが、おそらく日本には装備されると私は思います。そういう組み立て、テスト、部品の運搬の時期に今日なりましたから、先任者が選んだものはそう間違いはなかったのではなかろうか、私は今日すなおに考えて、世界の中でも、これは一番改良されたバッジシステムになるのじゃないかと、実は期待するようになっておりますが、過去のいろいろなことは、当時のことですから、お互いに推定的議論が多かったが、もう今日は現実になっております。現実を見れば、間違っていなかったと思います。ただ予算の配分とか年度がおくれたとかいう決定は、これは私はすなおに認めます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、このバッジシステムは、どこを採用するかという点について、この委員会で前の長官にお聞きしたことがあるわけであります。お聞きした結果は、いろいろ話はありましたけれども、一応常識的なものをお選びになったと思うのです。しかし今度は、結果的に言うと、実はどちらが技術的にいいのかという判断をする資料というものが、そう確定的なものがなくて、その時点で与えられた資料によって判断する以外にない。まあこういうことで、ヒューズ社になったのではないかと思うのです。いまの二次防、三次防、これらの計画の中でも、そういうものがだいぶ多いと思うのです。そこで私はやはり、こういうものの購入について、知識がこれだけしかないのだからというだけでいいかどうか、という点について疑問があるのです。  それで、会計検査院のほうにお尋ねいたしますが、いま二次防から三次防に移ろうとしているわけであります。いま防衛庁長官から、開発についての国産化をしたい、こう言われているわけです。あなたのほうも、この防衛庁関係の、特に新しい兵器の問題について、会計検査院として、一体どの程度まで検査が行なわれているのか、あるいはそれは技術的にどういう技術を持っているのか、こういう点について御説明願いたいと思います。
  12. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 ただいまバッジお話がございましたが、バッジは、先ほど御説明いたしましたように、三十九年度契約いたしまして、四十二年度に完成することに相なっております。いろいろと、とかくのうわさもありますので、それが経理関係する事項につきましては、私どもといたしましても十分に調査するつもりであるわけです。御承知のように、MAP、これが打ち切られまして、兵器国産化が非常にふえてきたことはおっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましても、そういった技術面検査という点について十分留意いたしておりまして、検査を担当しております防衛検査課にも、技術職員相当数のものを配置いたしております。兵器がいろいろことに進歩してきておりますので、おっしゃるとおり非常にむずかしい点はございますが、私ども、研修とかあるいは職員の採用について、今後とも努力をいたしまして、経理的には十分な検査をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 防衛庁でも、買うときには半分ぐらい自信を持って買った、いまになって七割ぐらいわかった、こういうようなのを会計検査院検査しなければならぬわけです。会計検査院防衛庁検査結果を見てみますと、あまり専門的な立場検査結果というものが実は出ていないわけです。たとえばトーラスカバーの問題にいたしましても、ブルドーザーの部品購入にいたしましても、これは言うならば、そう専門的なものでないような気がするわけです。もうこれだけ膨大な国費を使って、むずかしい兵器が買われているのですから、もう少し専門的の立場で、防衛庁についての会計検査院考え方といいますか、態度といいますか、これは昔からメスの入らない部類へ、会計検査院メスを入れるようになったわけでありますから、たいへんむずかしいことだと思いますけれども、一番関心を持っている、またやり方によってはいろいろ一番問題があるとされておるし、あるいはそれは専門的なことでなかなか困難だといわれるかもしれませんけれども、そういう点で、防衛庁決算についての会計検査院のあり方というものについて、ここ数年来の指摘の結果を私は見てみますと、本質的のものについては何らタッチをされずに、部分的なものを取り上げているように思うのですが、どうでしょうか。防衛庁決算をあなたのほうはどういうふうに見ているか、というような基本的な問題、もう少し大きな問題もあるわけですから、そういう点いかがでしょう。
  14. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 検査報告に掲記してあります事項、おっしゃるとおり、こまかい事項だというふうなお話、確かに、私どもわかるのでございますが、私ども検査重点は、主として装備品調達について重点を置いて、検査をいたしております。たとえば104が三十九年度に二百機の生産が完了いたしましたが、これは三十五年度から契約されまして、三十九年度に全機生産完了したわけでありますが、これにつきましても、私ども非常に重点を置いて検査をいたしたわけでございまして、その結果、若干の点について御注意申し上げる点はございますが、全体としては特に問題がなかったということで、検査報告には掲記いたしておらないわけでございます。したがって、ここにあげたものだけを検査しておるというような事態でございませんで、そういった航空機武器関係の大きな調達については、私ども全力をあげて検査をいたしておるつもりでございます。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 契約需品調達の状態でありますけれども契約の形式としては、一般入札なりあるいは指名入札なり、随意契約が行なわれているわけでありますが、競争入札は必ずしも公正でないと私は判断しておりますけれども、おおむね約八八%ぐらいは、総括的に言うならば、随意契約である。そうすると、やはり適正な価格算定というものについて、相当確信を持った算定というものがなされなければならぬと思うのですが、こういう点について、たとえば航空機の問題あるいは艦船の問題、こういうものについて、適正な価格算定というものはどういう形で行なわれておりますか。
  16. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 航空機は、御承知のように、当初概算契約でございまして、生産が相当進んだときにおきまして、中途確定をして契約確定するという、中途確定方式をとっております。これは新しい飛行機でありますために、当初から契約確定することがむずかしいということで、こういう方式をとっておるわけでございますが、私ども実際に生産をしております会社に臨みまして、会社原価計算、そういうものについて、駐在官事務所を通じまして、毎年検査をいたしまして、その原価の把握が十分なされているかどうかについて、検査をいたしておるわけであります。艦船お話がございましたが、艦船につきましても、艦船はちょっと契約方法が違いますが、同様に会社経理も可能な限り見せていただきまして、妥当な価格かどうかという点について、検討いたしておる次第でございます。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 検査院法による特別な取り扱いができることになっておりますね。その取り扱いはいたしていないのですか。
  18. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 御承知のように、契約製造請負につきましては、指定をすれば、業者自体検査できるということに相なっておりますが、私どもその必要があるかどうかという点につきまして一応検討いたしましたが、現在までのところ、防衛庁の駐在官を通じて検査するということで、大体十分ではなかろうかということできておる次第でございます。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 院法に従ってその会社指定しなくてもいいと判断したのは、いかなる理由なんですか。
  20. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 契約によりまして、防衛庁会社についていろいろな資料を出させることができることになっております。私どもは、駐在官事務所検査に参りまして、駐在官を通じまして、会社からいろいろな資料を出していただきます。そういった点で大体目的が達せられるのではなかろうかということで、今日まできておる次第でございます。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その駐在官といっても、それは防衛庁職員なわけですね。そうしますと、それでは、院法によって特別、検査院として行なう方法があるにかかわらず、それを放棄しているということに、私はなると思います。それでは、私は検査院としての立場の答弁にならないと思うのです。いかがでしょう。
  22. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 形の上で、駐在官を通ずるということでございまして、私ども、実際は運用上、直接会社の人と、会社のいろいろの原始記録とか、そういったいろいろな帳簿を出していただきまして、その上で検査をいたしておる次第でございまして、おっしゃるとおりの御心配もごもっともかと存じますが、いろいろ今後とも兵器生産が行なわれるであろうと思いますが、必要があれば、院法の規定によって指定をするということに相なろうかと思います。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長、おっしゃるとおりの御心配じゃないのですよ。御心配じゃなくて、新しい憲法のもとにおいて、今日の、あるいは会計検査院法の上において、新しい立場から、その防衛庁軍需産業なりあるいは兵器の問題について、会計検査院検査する権能があるわけですね。それを今日の段階で、どこまで会計検査院としてタッチするのが妥当かということを、いまもう、ぽつぽつ考えておいてもらわないと、二次防から三次防に移るわけでありますから、いま防衛庁長官の言われましたように、バッジの問題についても、どの会社を選ぶかというのを、技術的にあるいは科学的に、これは間違いないものだというのは、その時点で与えられた材料しかないというのです。それが半年たち一年たってみるとまあ裏づけができてくるものだ、こういう判断にしか実はならないわけですね。ですから、それについて、やはりあなたのほうも研究する、防衛庁のほうも研究することによって、そういう問題についての浪費というものがなくなっていくと私は思う。  そこで、これは防衛産業のいまの現状からいえば、それは防衛庁に依存している企業の依存度というのは、まだほんのわずかです。しかし、たとえば電電公社のような場合は、電電公社に依存しているのが九〇%以上の会社があるわけですね。言うならば、九〇%以上もある会社の場合においては、当然生産管理をやって、生産原価について、もう少し緻密な検査会計検査院はやらなければ——できないわけではないです、会計検査院法に、やることができることになっているわけでありますから、それをやらないというならば、一体やらない理由は何なんだということを明確にしないと、会計検査院が、その電電公社なら電電公社監督官を通じてやっております。いや会社から資料を出しております。だけでは、会計検査院の任務が、私は果たせないのではないだろうかと思うわけであります。そういう意味で言っておるわけでありますから、別にいまの時点心配しているわけではないわけです。やはり会計検査院としても、この特殊なものの検査をしなければならぬわけでありますから、特殊なものを検査する場合の検査をする人たちの養成、こういうものをやはり十分やっておかなければ、飛行機のことはおれたちにまかせておけ、検査院に何がわかるか、艦船のことはおれたちにまかせておけ、何がわかるか、こういうことにだんだんなってしまったら、一体、会計検査院というのは、防衛庁のある特定の部分だけはもう検査ができない、検査能力がないということになってしまっては、これはたいへんなことになるわけです。  それから、その中で、それでは需品調達の場合に、いま大まかなことでやられておると言いますが、支払い関係はどういうようにされておるのですか。お金を払う支払いのほうは、前払いで払うのですか、あるいは概算払いでやるのですか、そういう点はどうなさるのですか。
  24. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 先ほど申し上げましたような航空機の場合は、当初概算契約でございますので、概算払いをいたしてまいりまして、最後に、生産完了した場合に精算をして、その結末をつけるということに相なっておる次第でございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 防衛庁にお尋ねするが、その場合、概算払いをするのには、どういうふうな概算払いのしかたをするのですか。
  26. 大村筆雄

    ○大村政府委員 概算払いいたします場合に、大蔵省と協議いたしまして、大体、契約時に何割払うかという協議をやります。たとえば、航空機で申しますと、契約時におきまして四割以内の前金払いをやります。そこで、納入になりますときに残りを払いまして、精算をするということになるわけであります。原則として、大体航空機の場合は四割以内ということで、ただ相当長期の大量に及ぶものでありますと、多少例外的のものもありますが、原則として、航空機の場合四割以内、そのほか、ものによりまして、概算払いの割合は、そのつどそのつど大蔵省と協議して定める、そういうことになっております。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、未確認の事項でありますけれども、これは三十九年度決算検査報告書の中でも、防衛庁の未確認額は、昭和四十年十一月三十日現在、昭和三十三年度以降未確認残額四百九十三億五千六十五万三千二百八十九円となっておるわけでありまして、この未確認による艦艇、航空機、こういうものは、防衛庁にもう引き渡しを受けられておるかどうかということ。それから、未確認事項支払い関係を見てみますと、前払い金と概算払いに区分されておるようでありますが、両者はどういう相違になっておるのか。それから調達物品が納期限におくれている場合、契約上に違約事項があるのかどうか、こういう点についてお答え願いたい。
  28. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お答えいたします。  未確認事項が毎年相当多額のものが検査院から報告されておる関係で、何かいかにも相当おかしい点があるのではないかという御印象をお持ちかと思いますが、実は防衛庁予算の大きな特色は、調達いたしますものが、相当長期間を要するものが相当ございます。たとえば、飛行機にいたしましても艦船にいたしましても、あるいは戦車等にいたしましても、納入まで相当長期の期間を要するものがございますものですから、国庫債務負担——御承知のとおり、二カ年から五年にわたる場合の国庫負担行為、あるいは艦艇にやっております継続費、こういうような調達契約方式を活用しておるわけでございます。その場合に、前金払いあるいは概算払いをいたしますが、前金払いと申しますのは、契約の際、全体の契約金額が確定しております場合に、その納入前、たとえば契約時等におきまして一部の金を前払いする、これが前払いでございます。全体の契約金額が確定いたしませんで、概算契約をやっております場合に、納入前に一部の金を支払う、これを概算払いと称しておりますが、そういうふうに、納入前に一部の金を前金払いいたします、あるいは概算払いいたします。そうした場合に、その支払った金の精算は、ものが納入になりまして、それから精算が結了する、その上で検査院検査が終わるということになるわけでありまして、納入するまではその支払いました前金払い、概算払いにつきましては、検査院はこれを未確認額として、国会に御報告されるわけでございまして、当然の事理といたしまして、そういう金額が実は出てくるという筋合いでございます。  ただ、ただいま先生御指摘のように、一部納入期までにものが納まらない点は、これは実を言うと、中にはございます。そういう場合につきましては、契約に違約金、遅滞金を徴する規定がございますので、そのつど、しかるべく契約上に基づく遅滞金を徴することにいたしております。以上のとおりでございます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それから、この中で、たとえば昭和三十五年度の潜水艦の建造費の五十五万二千百九十三円については、三十六年十一月三十日現在で、救難器具の購入代価として前金払いをしたものが精算手続中であるという理由で未確認となって、四年目の昭和四十年十一月三十日現在も同一理由で未確認となっておりますし、それから三十五年度の潜水艦建造費の十三万七千七百十四円、三十六年度の施設整備等付帯事務費三十六万九千四百五十円についても、二年間未確認となっているようでありますが、これは会計検査院のほうはむろん確認されたと思うのでありますが、この経過についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  30. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ただいま先生御指摘の三十五年、あるいはまたそれ以前に三十三年、三十四年と、相当昔のものがあるわけでございます。検査院の御報告によりますと、三十三年が千三百万円、三十四年が六億一千万円、三十五年が約五十五億というふうに、相当の金額が未確認として残っているわけでございます。実は、この金額は全部がアメリカから有償援助物資として購入したものでございます。これがなぜおくれているかと申しますと、実は、物は、その金額のうち九九%と申しますものはすでに入っているわけでございます。ただその後、精算書がおくれていますとか、あるいは精算書は到着しておりましても、精算手続がまだ済まないとかいう関係で、事務的な手続が非常におくれている。三十三年、三十五年に当たるものの九九%がそういう関係でおくれているのでございまして、これは御承知のとおり、アメリカは相当多額の有償援助というものを世界各国に行なっております。そういう機構の膨大な関係もございまして、専務手続が非常におくれておるのであります。ただそういう非常に古いものが精算がおくれておるということは申しわけないことでございますので、外交ルートを通ずることはもとよりでございますが、実は現地に常時二名の長期の出張者も派遣して、これが促進をやっておりますが、それでもなおかつ十分でないと考えまして、二年に一回は調達実施本部から係官をアメリカにやりまして、促進をやっておりますが、たとえば本年の一月に係官を派遣いたしまして、その際約七十億の精算が終わる見込みでございます。それにいたしましても、いずれにしても、相当古いものがそういうふうに、米軍の関係とはいいながら、たいへんおくれて、精算がまだ終わっていないということは、非常に申しわけないというふうに考えております。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 防衛庁の性格からいいまして、この未確認があることも当然なことだと私は思うのです。しかし、四年間も同じものがそのまま放任されておる、あるいは二年間もそのままになっていることを見てみますと、金の扱い方について、防衛庁は真剣さが足りないのじゃないかという感じも実はするわけです。御説明を受ければ私もよくわかりますけれども、受けた感じというのは、やはりそれが払拭されないわけでありますから、それはやはり納入を受けて、精算をなるべく早くしなければならぬ。それは相手もあることでありますから、ぜひ私は、今年度あたりは解消するように、古いものはしていただきたいと存じます。  次に、軍事顧問団の支出でありますが、これは先ごろアメリカの会計検査当局から指摘をされまして、アメリカ日本側とのいろいろな論議が行なわれたようでありますが、その軍事顧問団の経費についてはどう解釈を持たれておりますか。
  32. 小幡久男

    ○小幡政府委員 軍事顧問団の経費は、相互防衛援助協定の第七条第二項の「日本国政府は、この協定の実施に関連するアメリカ合衆国政府の行政事務費及びこれに関連がある経費として、アメリカ合衆国政府に随時円資金を提供するものとする。」という約束によりまして、毎年所要額を計上しております。最近顧問団の年々の縮小に伴いまして、大体漸減の方向にございます。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、この軍事顧問団は現在どういうように配置されて、どれぐらいおるのですか。そしてこの経費が三十八年度決算で二億五千万円、三十九年度決算で三億五千万円と増加をしておるようでありますが、その点についての御説明を願いたいと思います。
  34. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現在、軍事顧問団は、陸上自衛隊市谷の駐とん地内に駐在しております。昭和四十一年度におきましては、定員は、軍人が九十六名、軍属が三十一名、計百二十七名でございます。それから、先ほど御指摘の、三十八年に若干この経費が増したではないかという御質問でございますが、この年だけで若干増しておりますのは、軍人におきまして三十七年度に三名人員が増加いたしまして、労務者につきまして約七名増加いたしました。以後漸減しておりますが、三十八年度だけは人員は増加いたしております。この当時は、実は大蔵省の所管に属しておりましたものですから、詳しい内容は私も存じませんが、人員の面から見ましてこの年だけ増加いたしまして、あとは漸減しております。したがいまして、先ほどの経費増もこれに伴うものである、こういうふうに考えております。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この三十九年度決算を見ますと、防衛施設庁の相互防衛援助協定交付金の項のうちで、合衆国軍事援助顧問団の交付金三億五千五百四十万円の支出がなされておるわけでございますが、この積算根拠について御説明願いたいと思います。
  36. 大浜用正

    ○大浜政府委員 三十九年度予算額は四億一千五百万でございますが、支出額が四億二千二百万、うち、顧問団の交付金といたしましては、予算額が三億五千五百万でございました。それから前年の繰り越しが二千九百万ございまして、支出額が三億六千二百万、こうなっております。それで交付金の内容は、そのほか住宅公団の交付金があり、予算額が六千万、支出額が六千万でございまして、両方で、予算額四億一千五百万に対して四億二千二百万の支出となっております。また前年の支出は四億五千百万となっておりまして、三十九年から四十年にかけても減っております。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三億五千五百四十万をいま説明されたようですが、ひとつ交付金の積算をもうちょっと詳しくしていただきたいのですが……。
  38. 大浜用正

    ○大浜政府委員 三十九年度の内訳はただいま手元にございませんが、四十年度、四十一年度に例をとって申し上げますと、四億一千五百万のうち、三億三千百万というのが軍事援助顧問団に対する交付金でございまして、内容は、日本人労務者に対する一億七千万、それから旅費とか輸送費とか、あるいは電話料あるいは通信費、光熱水料、そういう事務費でございます。それからあと、住宅公団に対する分は、住宅公団から顧問団に対しまして住宅を供給しておりまして、それに対して不足額を、昨年は六千五百万でございましたが、ことしは八千四百万。これは増加いたしましたのは、住宅公団が、いわゆる減価償却にも相当しないような積算がされておりまして、それを直しまして八千四百万、こういうふうな数字でございます。
  39. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それじゃ顧問団の経費の、三十九、四十、四十一年度の交付金の積算の明細については、ひとつあとで資料で御説明願いたいと思います。よろしゅうございますね。  それでは、大臣が来るまで、少し聞いてみましよう。−次に、会計検査院から指摘をされております戦車用トーラスカバーの購入についての経過は、これに出ておるわけでありまして、それから防衛庁としての答弁書も出ておりますが、ひとつ経過について、防衛庁のほうから御説明願いたいと思います。
  40. 大村筆雄

    ○大村政府委員 「戦車用部品トーラスカバーの購入にあたり価格の調査が十分でなかったため購入価額が高価と認められるもの」という御指摘をいただいておるわけでございますが、実は御承知のとおり、私どもいま持っております戦車は、大部分がアメリカから供与を受けました、もう製造いたしまして二十年余を経過いたしました、アメリカでも当然、生産はもとより使用もストップになっておるような古い戦車を使っております。ただ、それの補給の部品でございますが、そういう特殊な戦車の部品でございますので、国内での調達がなかなか困難でございます。たまたまアメリカの国内におきまして、同じような戦車につきまして、世界各国に供与しております関係で、これの補給用の部品を、アメリカ国内で取り扱っておる業者がございますものですから、それから輸入して取得するのが、補給用部品の取得に最も好適ではないかということで、昭和三十七年、三十八年にかけまして、丸紅飯田を通じまして、丸紅飯田から、トーラスカバーをはじめ戦車等のいわゆるキャタピラで走る装軌車の部品を、約六千万円にのぼる契約を、十八件にわたって行ないまして、購入をいたしておるのでございます。ただその場合に、その購入部品が新たに生産されてくるようなものではございませんで、相当、米国内で放出されたもの等をかき集めて供給しております関係で、部品ごとの価格というものが、アメリカの米軍の補給品価格表に載っておるものとも相当違いますし、また一部国内で調達実績あるもの——国内で調達実績あるものと申しますのは、国内でアメリカ側が放出したものを取得した場合、あるいはアメリカ国内で一部生産したもの等の実績とも相当違いますものですから、それを一体どの程度の値段で押えたらよろしいかという基準を求めるために、米軍の補給品価格表——これは米軍が、世界各国にわたっております各部隊に、補給処からそういう補給品を交付します場合に、予算のつけかえを行なう場合に基準となる価格表でございますが、その価格表を基準といたしまして、全体の価格を大体この程度で押えたらどうだろうということで、実は算定したわけでございますが、そういう算定方式を、実は十八件の契約のうち個々の品目にまでとっておるというようなことをやっておりました関係で、実際に業者が仕入れた価格に比べまして、契約した価格というものが相当、御指摘のような高いものが出てくる場合、あるいはまたそれより安いものが出てきた場合もございます。そういう関係で、予定価格の作成がきわめて拙劣であったというふうに考えるのであります。ただ、全体の契約金額と申しますものは五千九百万円にのぼっておりますが、全体にいたしてみますれば、そういうことで、全体の総額を押えておりますから、輸入価格に比べて高く買っているということもないのでありますけれども、そういう予定価格の作成がきわめて拙劣である、そういう関係で、トーラスカバーの契約につきましては、検査院の御指摘のような、きわめて遺憾な結果に相なっておる次第でございます。
  41. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それから次に、ブルドーザー用部品購入にあたって指摘されておるわけでありますが、これについて、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  42. 大村筆雄

    ○大村政府委員 「ブルドーザー用部品購入にあたり処置当を得ないもの」ということで、検査院より——実は航空自衛隊の第一補給処の東京支処というのがありますが、この東京支処におきま  して、大倉商事からブルドーザー用の輸入部品——このブルドーザーと申しますのは、これも米軍から供与を受けました相当古いブルドーザーでございますが、それの補給用部品を、大倉商事を通じまして、約百六十四品目を五百九十八万円で購入しておるのでございますが、検査院の御調査の結果では、そういう部品のうち相当部分を、陸上自衛隊では国産品を購入して使っておるではないか、しかも、使っていて特に支障は生じていないじゃないか、それならば、航空自衛隊でも同じように国産部品購入すれば、約二百四十万円の経費を節減できたのじゃないかという御指摘でございます。私どももごもっともな御指摘だと思うのでございますが、ただ、航空自衛隊で使用しておりますアメリカから供与を受けましたブルドーザーは、実はその使用場所が、主として山の上等にございます僻地のレーダーサイトで使っておるのでございます。したがいまして、人員も少のうございますし、整備能力が実は十分でございません。そういう点から、できるだけ当該ブルドーザーを製作いたしました、これはアメリカのキャタピラー社でございますが、このキャタピラー社でつくっております純正部品を使うほうが、整備が比較的楽でございますし、また故障することも少ない、そういう判断から、実は従来キャタピラー社の製作の純正部品を輸入して使っておったわけでございます。ただ検査院御指摘のように、最近は国産部品でも相当良質のものが出てまいっております。また陸上自衛隊は整備能力が格段にすぐれておりますから、そういうものを航空自衛隊よりいち早く採用いたしまして、できるだけ国産品の愛用あるいは経費の節減につとめておるのでありますが、そういう点勘案いたしまして、国産部品でも、品質性能が純正部品とほぼ同等であれば、できるだけそういうものを使ったらどうかということで、検査院御指摘の趣旨に沿って、そういうふうに措置するように、部内に指導しておる次第でございます。
  43. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは、最後の問題として、検査院からお尋ねしますが、三十九年度防衛庁の需品の状態について資科をいただいたわけでありますが、契約方式別金額別契約実績表というものをいただきました。これによりますと、一般競争が百八十二件で八億六千五百万円、それから指名競争が三千七百七十六件で二百三十五億六千八百万円、それから随意契約が二千九百七十件で六百十八億七千七百万円、合計六千八百六十五件で八百六十三億一千一百万円、こういうことになっておるわけでございます。これを指名競争入札をやったけれども不調になって随意契約に移行したもの、こういうものを含めてみますと、六千八百六十五件のうち五千八十五件で、七三%が随意契約で行なわれている。金額にして八百六十三億一千一百万のうち七百六十三億三千三百万、八八%。件数において七三%、金額において八八%が随意契約と同様な取り扱いになっておる。この状態について会計検査院はどういうふうにお考えになりますか。
  44. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 防衛庁調達いたしまするものは、大体特殊なものが多いことは御承知のとおりであります。たとえば戦車にいたしましても、航空機にいたしましても、特定の会社でなければ生産できないというようなものが相当多数ございます。そのようなものは競争に適さないもので、やむを得ないと考えておりますが、そのほかの一般の被服あるいは糧食、燃料等につきましては、一般市場で多数生産されておるものも相当あるわけでございます。こういうものは競争させて有利な契約をする必要があろうかと考えております。私どもそういう観点で検査はいたしておりますが、もう少し努力すべき点があろうかと思いますけれども、現在の大体の傾向といたしましては、やむを得ないところがあるのではなかろうかというふうに考えております。
  45. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、会計検査院は、現実においておやりになっておるからわかるわけでありますけれども競争入札の現況からいって、ほんとうの意味競争入札が行なわれておるかどうか、というのは、現在の常識からいって、競争入札必ずしも最低価格になるとは限らない、私はこう思うわけです。ですから随意契約が多過ぎる、パーセンテージとして高過ぎる、不当だということも、私は言えないと思うのです。ですから、次の段階として、それであるならば、予定価格というものを防衛庁が積算をするときに、やはり真に予定価格にふさわしい計算をした上でなければいけない。ですから、予定価格の適否という問題が、私は何といっても大事であると思う。そこで問題になりますのは、たとえばグラマン、ロッキードというような大きな金額、あるいはバッジシステムというような大きな金額、こういうときには、必ずといっていいほど、何か問題点が世間に提起をされるわけであります。ですから、防衛庁のこれからの予算、いままでの予算の中の使い方というのは、なかなか慎重にやらなければならぬと同時に、競争が激しいということが言えると思うのです。  そこで、今度は官僚機構の中の問題を見てみればおわかりになるように、防衛庁で仕事をされておった人が民間会社に行く、そのことのよしあしは、これは別に悪いとは言わないのです。ですから、先輩の行った会社に後輩が仕事を発注しなければならぬ、随意契約をやらなければならぬという場面は幾らでもあるわけであります。ましてや、今日の軍需産業の状態を見てみますと、やはり幾つものグループの中で激しい競争がこれから続けられていくと思う。ですから、そういう点ではなおさら競争が激化する、それから忌まわしいような汚職のおそれのあるようなことが起きやすいわけでありますから、そういう中では当然、会計検査院という立場で、予定価格なり取引なりについて注意をしてやらなければいけないと思う。しかし先ほどからのお話を聞いておりますと、会計検査院がそれに対応するだけの用意をされておるのか、準備をされておるのか、あるいは強化をされておるのかという点を見ると、少し私は疑問に思うわけでありますけれども、新しい二次防から三次防に移るような段階において、会計検査院として、特に国の予算の中の大きな部分を占める防衛庁検査についての強化というものは、どういうふうになされておりますか。
  46. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 物品の購入につきまして、予定価格の積算が最も大事であるというお話は、まことにおっしゃるとおりでございまして、私ども防衛庁調達につきまして、そういう点について、担当をあげて努力をいたしておるつもりでございます。  なお、人員の点でございますが、ここ数年来、若干ずつ防衛担当の職員を増加いたしております。四十年度には、さらに防衛庁を専務する参事官の一名の設置が認められて、強化いたしたわけでございますが、なお技術的な問題等も非常に多くなってまいりますので、技術面職員の増加ということにも十分心がけて、今後ともやってまいりたいと考えております。
  47. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院として、三十八年、三十九年、四十年ころまで、どういうふうに防衛庁決算について検査をしてきたのか、そしてそういうスタッフはどういうふうに配置をされているのか、そしていままで検査院として、不十分だけれどもやってきた経過というものについて、ひとつできるだけわれわれを——納得させるというのは無理かもしれませんけれども会計検査院としていままで確信を持ってやってきた経過について、ひとつ納得のいくような資料を出してもらいたいと思います。これは局長だけでは問題解決になりませんから、またいずれ総括質問をやるときに、検査院長に来ていただきまして、やはり特殊な問題として、ものの考え方をお伺いしたいと思いますので、ひとつこの関係資料を御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  48. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 ただいまの資料につきましては、早急に提出いたします。
  49. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 せっかくですから、政務次官、最後に、先ほどからいろいろ質問しておるわけでありますけれども、この防衛庁の会計経理のあり方について、かつては中古エンジンのようなことがありましたけれども、最近はそういうことがなくなりました。なくなったからないのかというと、これは会計検査院のほうで、この飛行機はむだじゃないか、この兵器は時代おくれじゃないか、こういうところまで会計検査院が指摘したらちょっと問題ですから、指摘できないと思うのです。あるいは指摘する科学的な判断があるかないかということも問題があると思うのです。たとえばバッジの問題でも、さっき防衛庁長官からもお聞きしたわけでありますけれども、三十九年末のときに与えられた資料の中で最高だということで、業者をきめたわけでありますから、いまになってみて、結局過去の判断になると思うのです。ですから、そういう点で特に随意契約が多いわけであります。また、この随意契約の多いのもやむを得ないところだと私は思うわけであります。ですから随意契約であると同時に、予算の見積もりをする人、それから仕事をもらう業界、業界の中にはむろん防衛庁をおやめになった人たちもおるわけですから、これはもうしょうがないと思うのです、専門家がないわけでありますから。ですから、そういう点でなおさら問題が起きないように、私は、防衛庁としてはぜひ十分な注意を払っていただきたいと思うわけであります。その点について、一言、政務次官からお答え願いたいと思います。
  50. 井村重雄

    ○井村政府委員 防衛庁の退職職員あるいは隊員の民間会社就職ということについては、とにかく厳重に行き先をわれわれが調査をいたしているわけでありまして、これがもしも公共の利益に反する、いま勝澤委員の言われたような危険性を生ずるような場面に対しては、できるだけわれわれがこれをチェックしてまいりたい、そういう場合を除いて、もしもそういうことがある場合には、つまり離職後二年以内は離職前にそういう事業に関係しておった部門の者はその職場にはつかせない、許可をしないというふうに、厳重に注意をしているわけであります。特に防衛庁関係の備品、用品その他のものは非常に特殊なものでありまして、いろいろ御指摘のような随意契約をやらなければならぬ場面が非常に多い。またこれを製造する、あるいは供給する会社等も非常に限定をされるわけでありますから、そういう点には今後非常に注意をしてやりたいと存じております。また、防衛庁がこれを契約する場面において、できるだけそういうふうな職員が前面へ出ないように十分な考慮を払わなければならぬと考えております。
  51. 吉川久衛

  52. 石野久男

    石野委員 防衛庁長官がおいでになりませんが、きょう私の質問するのは、防衛庁予算の支出に関して、その内容が非常にずさんであるということについて聞きたいわけです。  会計検査院の三十九年度検査報告書を見ますと、防衛庁の補助金の使用について、教育施設等騒音防止対策事業費補助金の経理当を得ないものが三件ほどあげられております。しかし、ちょうど三十九年の年度内に支出された額の中に、茨城県勝田市の中根小学校の騒音防止の工事契約があるはずでございます。その問題について、会計検査院内容等御存じでありましたら、この際、ひとつ報告していただきたい。
  53. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 茨城県の勝田市の中根小学校の防音装置でございますが、これは予定価格を四千三百十九万円として入札に付したのでございます。その点につきまして、私ども昨年の八月に実地検査をいたしましたが、その予定価格の積算は大体妥当であるということで、よもや入札書が書きかえられているというような事態があるとは承知いたしませんで帰ったわけでございますが、その後、昨年の十月に本院あて投書が参りまして、入札書の書きかえた事実があるというようなことでございましたので、直ちに防衛施設庁に調査を依頼いたしまして、そのような事実があったということを承知いたしたわけでございます。
  54. 石野久男

    石野委員 中根小学校の騒音防止のための工事の入札にあたっては、すでに先般予算審議の過程で防衛庁長官その他自治省、法務省関係の御意見も承っておりますが、これは入札金額の概算を、ただ一つの業者だけじゃなしに、三つの業者の入札の値段を全部書きかえて、工事の落札を決定したものでした。そこで問題になったのは、そういう仕事が全部終わったあとで、市会でこのことが問題になり、市ではその事実が明確になり、先般の予算委員会の席上で、防衛庁長官の、請負業者から市が不正金額については返納を受けて、その返納されたものを防衛庁は受け取るようにする、こういう答弁を私はいただいておりますが、その後、防衛庁がこの不正入札にからむ金額についての建設業者からの返金を受けておるのであろうかどうか、その点ひとつ防衛庁の……。
  55. 大浜用正

    ○大浜政府委員 ただいま先生の御質問の勝田市中根小学校の問題でございますが、四十年二月二十八日付の文書をもちまして、本件工事の契約執行にあたりまして、その措置が間違っていたので、当初値段が三千六百万だったのを、四千百四十万というふうな報告をしまして工事を執行したわけでございますが、当初の三千六百万が正しい、この差額五百四十万については国に返納したい、こういう趣旨の文書が参りまして、さっそく三月一日に、当庁は係官を派遣いたしまして、直ちに入札状況等を調査いたしました結果、それが事実であったということになりまして、東京防衛施設局長に対しまして返納措置を指示しまして、三月三日付で補助金額の一部取り消しをいたし、三月五日、勝田市から国庫へ五百四十万が納入されております。以上でございます。
  56. 石野久男

    石野委員 どうもこの間の事情を非常につじつまを合わしているようでございますが、それでは、防衛庁はその入札当時の事情を正確に検査いたしましたか。入札の当時、その三千六百万円が四千百四十万円というものになったときの事情はわかっているのですか。
  57. 大浜用正

    ○大浜政府委員 当初の三千六百万の入札を四千百四十万にしたというのは、当庁の監察官が出まして、当時の書類はなかったようでございますが、おのおの当該の人間に聞きまして、それが確認されたという報告を受けておりますので、それに基づいて、五百四十万は、その差額は当然返すべきじゃないかということで、こういう措置を講じたのでございます。
  58. 石野久男

    石野委員 この問題は、あとで刑事局、法務省関係の問題にもなろうかと思いますが、監察官がそういうふうに出向いて、間違いであったから受け取ります、というような事情で済まされる問題じゃないと思っているのです。明確に申しますと、最低値段を入れたのが横須賀建設が三千六百万、その次が白土建設が三千七百七十九万、黒沢工務店というのが三千九百万、その上が日立土木の四千百五十万、防衛庁から示された予算額というのは、四千三百十九万円だったと思います。それらのものに対して、一応大体この値段に引き合うような形で予算額の決定をしていきたいということだったようでございます。しかし、その間、市としても、それからまた防衛庁としても、どういうふうな折衝があったか知りませんけれども、この金額も、前段の形で、四千百五十万円程度のところで落札の値段をきめようというような話し合いがあったようでございます。ところが、この市長から業者に対する話し合いがあり、日立土木の四千百五十万円の金の十万円下がったところ、四千百四十万円に落札させるというような、談合ですか、話し合いがあったかに見受けられます。横須賀建設の三千六百万円は四千百四十万円にこれを書きかえた。それから白土建設の三千七百七十九万は四千百四十五万に書きかえている。黒沢工務店の三千九百万というものは四千百四十八万、そして日立土木四千百五十万円、こういうふうにこま切れの書類改ざんが行なわれているわけです。監察官が向こうへ参りましたときに、資料調査をなさるときに、最初に市からこういう工事人明細書というものが出ているはずです。これはごらんになりましたか。
  59. 大浜用正

    ○大浜政府委員 その点は、当時いらっしゃった監察官に聞かないとわかりませんけれども、ただいまお話がございました当初入札は、たしか先生がおっしゃるように、最低が三千六百万円でございますし、最高が四千三百五十万、われわれの想定しました予定価格は四千三百十九万でございます。正式な手続によりますと、たしか四千三百十九万円の範囲内であれば、四千百五十万という数字があるいは適当であった、あるいは市長がこれではできないということであれば、さらにその次の最低価格入札をするのが筋であったというような感じがいたしますけれども、われわれに正式に通知してまいったのは、四千百四十万が最低入札であり、四千三百五十万が最高であった。三の会社が参加しておりますが、そういう入札によって、工事の予定価格が四千三百十九万円、そうして落札したのが四千百四十万、国庫残が百七十九万円というようなことで、確定をしております。その後、先ほど申しました二月二十八日付で、その入札の手続において間違いがあったということを言ってきて、五百四十万を返すということで、調査の結果、そういう事実があったという確認がされたものですから、五百四十万は返しなさい、こういうことで処理したのでございます。
  60. 石野久男

    石野委員 防衛庁は、入札内容の問題について自後どういうふうに判断するのかということで、そうやかましくする必要はないかもしれない。これはあるいは法務省関係の仕事であるかもしれませんが、私は、契約の当時それがやはり契約上の法規等に相反するような形で行なわれる、そういうことを許してはいけない、こう思うのです。  そこで問題になるのは、工事がもうすでに昨年の四月には終わっているわけですね。手続上のあやまちがあったということは、これが出てきたのが二月十八日の書類通知だ、こういうわけですね。問題は、その間工事資金はみな支払いを済ましているわけです。だから、私は、その刑事上の問題をどうこうということを、いまここで防衛庁にはすぐ申しませんが、防衛庁としては、こういうような問題の金の使い方などを許してはいけない、こう思います。私は、予算の分科会のときにも申しましたし、またきょうも、あとでこの騒音防止のための工事入札での誤りの問題とからんで、同じ前渡飛行場の下草補償の問題の金があなたのところから出ている、それの配分の問題も、同じような形で問題として出てくるわけですから、皆さんのほうから出される金が市民のところにいったときに、そこで非常に筋を間違えた形で、しかもその地域におけるところの、市長だとかあるいはその地域のボスが、自分たちの権限を拡大するとか、たくみに権限拡大のために利用するような形であるとするなら、国庫資金の活用といいますか、利用のしかたに非常に大きな疑義が生じてくる、それは許してはいけない、こう思うのです。私は、この監察官が出向いていって調査して、ただ節穴のように、向こうに行ってごまかされてくる。そこで、防衛庁がここで、市のほうから入札のときの手続上のあやまちがあったからということで受け取りました、ということになりますと、防衛庁にしてはもう問題がないのだ、国の損が全然ないからそれでいいのだ、こういうことになってしまうと思うのです。この際私は、あとでまた大臣に聞きますけれども、政務次官にお尋ねしておきますが、国の金は不正に使われたけれども、事件が発覚して戻りさえすればいいのだ、どろぼうしたけれども、見つかったらその金を返せば何もないのだというような考え方で、防衛庁は補助金を出したりなにかするのかどうか、そしてまた、こういう問題が今後出る場合にはどうするのか、今度の場合なんかでは、こういう問題について防衛庁としては責任をどういうように感じておるのか、ここらのところを、ひとつはっきり所信のほどを聞かしてもらいたいと思います。
  61. 井村重雄

    ○井村政府委員 大体、防音工事は補助事業でありまして、おおむね九〇%程度の補助を出しておりまして、入札その他の工事の主宰者は地方公共団体またはそれを所管しておるものがなっておるわけであります。したがいまして、予算が決定いたしまして、防音工事の施行にあたりましては、ある程度の基準設計とか、あるいは単価見積もり等においては、出先においてそれぞれの指導をいたしますけれども、とにかく工事の入札、請負等については、直接これに関与することは避けておるわけでございます。そういうところで、事業主体者の出した契約文書その他について、やはりわれわれは信用せざるを得ない、あくまで最初からこれを疑って、こまかくこれの契約内容にまで関与するとか、あるいは工事請負者の能力等についても、これに著しく関与することは、ある程度許されないのじゃないか。地方自治体から出てきたものは、正しいものとしてやらなければならない。しかし実際にその補助の支払い段階において、それが正しいものであるかないかということは、一々これは確認すべき必要がある。補助といえども、これは国民の税金であるから、十分注意しなければならぬというふうに存じます。今回の事件も、きわめて申しわけない事件でありますけれども、そういう補助事業である点において、やはり非常にむずかしさがある。たとえば災害復旧においても、その設計等に関しては、やはりある程度の指導はやるけれども、でき上がったものについていろいろ間違いが起きる、補助の支払いが済んでしまって、これを払い戻さなければならぬという事情があります。こういう点については、将来、今回の事件を契機にいたしまして、とにかく地方自治体の権力に干渉しないような立場において、十分注意をしてまいりたいと存じます。
  62. 石野久男

    石野委員 この場合、金額は幾ら返ったのでしょうか、そして返ったときの市からの申し立てはどういうふうになっておったかということを、まず防衛庁のほうから御答弁をいただきたい。
  63. 大浜用正

    ○大浜政府委員 昭和四十一年二月二十八日に、三千六百万と四千百四十万であったその差額五百四十万は、国に返納したいという申し出をやっておりますが、これにつきまして、先ほど申し上げましたように、当庁としましては確認をいたしまして、その確認の結果、五百四十万を三月の五日に納入させた、こういう次第であります。
  64. 石野久男

    石野委員 会計検査院にお尋ねしますが、会計検査院は、こういう事実の究明はされましたか。
  65. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 実際の入札額は三千六百万円であったのでございますから、それに基づきまして、もう一ぺん計算をし直しますと、やはりちょうど五百四十万円の差額が生ずるわけであります。返納額としては妥当であると考えております。
  66. 石野久男

    石野委員 会計検査院は、実際にこの事件について当たってみたのですか、どうなのですか。その点を、ひとつはっきりしていただきたい。
  67. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 実際に現地に行きまして、入札状況とかそういうものについては、まだ調査をいたしておりません。
  68. 石野久男

    石野委員 検査院は、おそらくこの問題については調べてなかったのだろうと思うのです。当時の事情はあとでまた刑事局長などからも聞きますが、この問題は、大体防衛庁のほうから入札に対する基準設定というものが行なわれて、その基準設定との間の差額が非常に大きいものだから、市のほうでは、その基準設定に近づけるように、やはり落札者をきめたかった。しかし、その業者間の話し合いになったか、あるいは市長と最低入札者である横須賀建設との間の話し合いを中心として、他の業者への働きかけがあるかどうかして、実際にこの入札の価額の改ざんをしております。その改ざんは、市長を取り巻くごく一部の人々でやっているわけです。したがって開票結果については、最初の段階では三千六百万円というのが出ていないわけです。だからこれは二度入札したとかなんとかいうことじゃないわけです。しかもその改ざんは、ただ一件だけじゃなくて、三件にわたってやっているわけです。これはもう非常に白昼公然と入札についての規制というものを無視したやり方をしている。こういう事実がもう明確に出ており、しかもそれを市長が中心になってやっている。市会でこれが大きな問題になり、市の特別委員会ができるという段階を経て、本年二月になってから、そういう上申書ですか、差額があるということで、ただ手続上の間違いなんだということで、来ておるけれども、実質的には、こういう意図的な形での法を無視したやり方が行なわれていると思います。会計検査院はそういう事実について調査してないから、それに対する報告も何もしていないわけですが、しかしもう現実には、地域の市会議員の諸君がこれを刑事問題として提訴している、これが現状だと思います。われわれの手に入っているもので、工事費入札明細書というものが出ております。これにはもうはっきりと横須賀建設三千六百万円というのが出ておりまするし、当初市役所から値段が全部出たものがあるわけです。これらのものは、おそらく検察庁のほうでも当然入手していると思いますし、防衛庁関係もこういうものは大体おわかりなのだろうと思うのです。しかしこういう内容についてあまりとがめようともしないで、まあ国益を害してないから、金さえ返ればいいやというような形で、もしこれが済まされるとしますると、今後国庫の資金運用にあたって非常に大きな混乱が来るし、不正が相次いで出てくるだろうと思いまするので、この点はささいなことでありますけれども、厳格に事の理非を明らかにしておかなければいけない、こういうふうに私は思っております。事態は、もうすでに国には実損がなかったことですから、私はその点はよかったと思いますけれども、しかしここへ来るまでの過程の中には、地域の権力者が、一般の市民を非常に愚弄し、あるいはそのことを明確にしようとする人々を疎外するという行為をしてまいっております。これでは正しい者がだんだん沈んでしまいまして、不正を働いた者が浮き上がってくることが公然となっていくことになって、世の中の乱れる根本はこういうところにあると思うので、これはやはり徹底的に究明しなければいけない問題だと思います。そういうような私の考え方は間違っているかどうか、この際、政務次官から聞かしてもらいたい。
  69. 井村重雄

    ○井村政府委員 実はこの問題は、御指摘のように、横須賀建設がこの工事を非常なダンピング的少額で落札をいたしておる。これではたしてりっぱな妥当な工事ができるかどうかということで、勝田市の建設部長、建築課長がこれに対して照会をしてまいっておるわけでございます。であるから、これに対しては、こういうことを防ぐために、最低の制限価格を設ける必要がありはしないかどうだろうかというようなことであったのでありまして、やはり市当局自体も、最低落札の三千六百万円ですか、これが非常に安過ぎる、したがってこの間に不正な工事が行なわれはしないかということを心配しておった、良心的なものがあったということだけは事実だと思うのであります。そういう際のわれわれの出先の機関の指導が、あるいは多少適切を欠いたのではないか、したがって、これがそういうふうな紛争を起こしたというふうなことも、われわれ心配をしておるわけでございまして、御指摘のように、今後こういうことを繰り返さないように、単に防衛庁の請負工事のみならず、全般的に国家の仕事を受け持ってやる、あるいは地方公共団体の請負工事においても、工事者間にいろいろなうわさをわれわれ耳にするわけでありますが、こういうことのないように、今後とも十分指導を重ねていきたいと思います。
  70. 石野久男

    石野委員 刑事局長さんがお急ぎのようでございまするので、考え方だけをひとつ聞かしていってもらいたいと思うのです。  本件は、いま水戸の地検に問題となって、いろいろ審理されているわけですが、新聞などの報道によりますとこの問題の扱い方について、市長のやったやり方というのは「悪意は考えられず、あくまで市のためを思ってやった苦肉の策だとする常識的な見解が支配的となっており、この段階での市に対する任務違背は薄く、背任罪の構成要件を満たされていないものとみられている。」云々というようなことが書かれております。これは一つの新聞情報ですから、検察庁のあり方をそのまま見ているものとは思いませんけれども、およそ検察庁の考え方では、そういうことで、事なく金も返ったことだから、というようなことでおさまりそうな新聞報道が行なわれているわけです。私は、こういう問題については検察庁は厳粛でなければならぬと思いまするし、事の理非を歪曲するようなことがあってはならぬと思いますので、当然そうなさっておると思いますが、われわれがいろいろ新聞やなんかで見ると、市長問題大したことなかろうじゃないかというふうに聞き及ぶので、そういう問題はどういうふうに調査が進んでおるか、またこういう問題に対して、上司としての刑事局長はどういうふうに指導をなさっておるか、そういうところをちょっと聞かしていってもらいたい。
  71. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまお尋ねの問題は、先般も当委員会でお尋ねがありましたときにお答えいたしましたが、本件は、御承知のとおり、昨年の十二月ないし本年の一月に、勝田市の市会議員から告発のあった事件でありまして、その事件は、大体において、市長ほか一名の背任等の問題ということでございます。これにつきましては、現在までのところ、捜査は九分どおり終わっております。捜査の内容でありまするから、具体的に申し上げることは差し控えさしていただきたいのでありますが、現段階におきましては、告発の事実よりも、むしろ本件は、御承知の補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反の問題であろうかということが事実的には考えられる。そこで、その面につきましての捜査をいたしておりますので、まあその間に若干日時を経過いたしておりますが、ただいま九分どおり終わっておりまして、東京高等検察庁において協議中であります。したがいまして、遠からずこれについての処分はきまるものと思いますけれども、補助金適正化法ができました経緯にかんがみますと、むしろ当時ありました刑法によって律せられない部面についてやはり正さなければならぬものがあるというのが、補助金適正化法の趣旨であるということにかんがみますときに、かりにその問題に当たるとすれば、それにやはり相当の措置が必要であるというふうに、私どもは現在考えておる次第でございます。
  72. 石野久男

    石野委員 背任とかいろいろ事件の調査内容のことは、多くをここで言えないのだろうと思いますが、お聞きしておきたいのは、不正談合の定義というようなものですね。これは、安値で入札をしなければ不正談合にならないのだというふうに解釈されるのかどうか。本件の場合は、三千六百万円というものを四千百四十万に上げておるわけですね。そのために、市長が入札書を書きかえさしたわけです。こういう場合に、書きかえたということは、もう大体公然としておりますし、しかもそれは一件だけじゃない、三件もあり、その間いろいろな談合が行なわれているわけですから、こういう場合のあり方として、不正談合の定義というものは大体どういうようなものなのか、この際ちょっと局長に聞いておきたいと思います。
  73. 津田實

    ○津田政府委員 御承知の刑法九十六条ノ三の二項の問題でございますが、これは本件の事実につきましては捜査中でございますので、その検察庁の判断がいかようなものになっておるかということを、ちょっと申し上げかねる次第でありますけれども、かりにこのやり方が入札者相互の関係による話し合いということによって、本来あるべき価格を上げたということになれば、明らかに談合罪になるわけであります。しかしながら、これに入札施行者が介入して、施行者と共謀して、さような入札の形式を変えた場合に、いかなる犯罪が成立するかというと、少くともこの談合罪にはならないということは言えると思います。そこで、その意味におきまして、別個の犯罪が成立するということが考えられる場合に、いまの補助金事件については、補助金の問題というようなことになろうと思いますが、そうでない一般の場合においては、必ずしもその場合に犯罪が、入札施行者が介在している場合に、なるかならぬかということは非常に問題で、むしろならないというふうに考えております。
  74. 石野久男

    石野委員 そうすると、その場合、その入札施行者が介入している場合は、業者の談合にはならないかもしれないけれども、施行者が、そういう形で、自分が自分の金を出すんじゃなくて、国の金を使うわけですね。施行者といえども、補助金ですから……。その場合に、その施行者なるものは何の責任もないわけですか。法的な責任は出てこないのですか。
  75. 津田實

    ○津田政府委員 その場合に、施行者が、たとえば国の関係ということになりますと、その施行者自身に背任が起こるということはあり得るわけです。しかしながら、そういうふうにすることが、何と申しますか、一つのポリシーとしてやるということになれば、これはまた別問題ですね。その内容自体が、あるいは不当に価格が低かったためにやるとかいうようなことになれば、また別問題でございますけれども、そうじゃなくてやる場合には、施行を担当したものに背任罪が成立するという場合は、当然あり得ると思います。
  76. 石野久男

    石野委員 もう一つ聞いておきたいのですが、この工事は昨年の三月末で終わっており、計算がそのときできておるわけです。その後事件がいろいろと明るみに出てまいりました、問題が大きく展開されました。その展開される中で、本件に関する議会当局におけるところの調査も進んだし、それから市長自身がその問題についての釈明もしております。釈明の過程の中では、残金などあるということを言っていないで、むしろそれだけの金がこの工事を完全にするために必要であったということを言っておるわけです。二月十八日現在で、防衛庁に対して、残金がありますということで届け出はありましたけれども、一月十日付の勝田市報に、市長の市民に対する一つの釈明が出ております。この市報の中では「このような各種の事情から、横建に請負わせることも止むなしと考えましたが、前述の理由から、横建の入札価格三千六百万円では、立派な校舎の完成も期しがたいので、四千百四十万円に価格を上げて、請負わせることとした次第であります。」こういうふうにいっておるわけです。ここでは残額はないはずですよ。しかしこれは一月十日付のなにで、市長の署名入りで、市民に対して言っておることばです。それがあと二月十八日には、今度は残額がありましたということになりますと、ここには作為がある。こういう件については、これは放置できないと私は思います。検察当局がこういう問題をどういうふうにお扱いになっておるか知りませんけれども、私はこういう問題などは、刑事上の事件構成といいますか、そういうふうなものの内容として、きわめて重大な問題だと思う。同時にまた、私どもやはり政治的な立場から見ましても、こういうことで行政的ないろいろな施策が行なわれるとしますならば、これは行政面における紊乱がここから始まってくるだろう、こういうふうにも私は思うのです。このような市長の市民に対する事件釈明というものが行なわれておる事実などは、当然やはり検察の現場ではわかっておるだろうと思いますが、いま私が申し上げたのは、これは市報へ署名入りのものがこう出ておるので、こういう書き方をしておるときに、局長のこれに対する明確な意見というものを出すのはいろいろ差しさわりがあるかもしれませんけれども、ただ、私この段階で言えることは、この段階では、市長は横須賀建設におけるところの工事の中に残額があるとは見ていなかったということだけは、私ははっきりしておるだろうと思うのです。おそらく刑事局長も、こういう市長の——これはあとでごらんになっていただいてよろしゅうございますが、こういうことを言ってきておる事実から見て、私の判断は大体間違っていないように受け取って、そういうふうに局長もお考えになるだろうと思いますけれども局長の意見はどうでしょう。
  77. 津田實

    ○津田政府委員 本件、問題になっております五百四十万円という問題になるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、補助金適正化法の問題があるとすれば、それはやはり不正の手段によって、それだけの補助金をたくさんとったということにならざるを得ませんから、それは、今日返されておるという事実をどのように見るか、ということも一つの問題がございますけれども、それが返されておるということをそのままの形にすなおに見れば、これは当然とり過ぎであった、そこに作為なり悪意があったかどうかということは別といたしまして、そういう問題になると私は思うので、あと、ほかの、ただいまそこにお読み上げになったような事柄であれば、そういう事態にはならないはずであるということになろうかと思うのです。
  78. 石野久男

    石野委員 私は、刑事事件の裁判上での結論というものは、他日出されるものと思いますけれども、こういうような事態が明確であるということになりますと、防衛庁にしましても、それから自治省の段階でも、これはほうっておいてはいけない問題であると思うのです。  自治省、おいでになっていますね。——自治省では、今度の五百四十万円という金がどういうふうにして返済されておるかということについて、十分お調べになっておるだろうと思いますが、実情は、横須賀建設から、市に対する寄付金として、それだけ金が入っておるわけです。そしてその寄付金として入った金が、防衛庁に対して、今度は工事残額ということで返っておるわけなんです。こういう事情はよくおわかりでございますか。
  79. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 県に照会いたしまして、ただいま先生のおっしゃったような事情であるということを、承知いたしております。
  80. 石野久男

    石野委員 自治省にお尋ねしておきますが、市に五百万円も六百万円もの寄付があったときには、これは市としては、一応やはり寄付をした寄付者に対して感謝の意をあらわす、常識的にはそうすべきだろうと思いますが、そうでしょうね。
  81. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは寄付の内容にもよることかと存じます。
  82. 石野久男

    石野委員 一般的には、内容にもよりましょうけれども、五百万、六百万という金を、どういう理由があるか知りませんけれども、市に対して寄付か出てくれば、市長はじめ市民は——一万円の税金を取られてもたいへんなときに、五百万、六百万の寄付が出てくれば、これはたいへんなことなんですよ。だから、市会で、この金は市に対する寄付金だということが明言されておるとしますと、これは市民と市行政との融和ということなどを考えましても、自治省などは、こういうときには、その人を表彰するとかなんとかいう基準の中に当然入ってくることになりはせぬかと、私は思われますが、そういう点はどうですか。
  83. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 本件の場合には、先ほど来御質問なさっておられますように、いろいろな背景の事情がございますので、これは別といたしまして、一般に五百万、六百万も市の公共のために寄付がなされました場合におきましては、これは市当局としては、感謝の意を表するだろうと思いますし、国の褒章制度といたしましても、紺綬褒章でございましたか、そういう制度もございますので、私どもの扱っておる場合におきましても、地方公共団体から申請がございまして、賞勲局のほうに連絡をして、そういう手続をとるという例は、他にもございます。
  84. 石野久男

    石野委員 国の金を不正に利用して、いろいろ問題が出てきたからというので、普通のことばで言えばもみ消すために、原資をどういうふうにするかということをいろいろ考えて、不正な入札をし不正な工事金を手にしておる業者が、市に対して寄付をする、市は多額の寄付を受けたからこれに対して感謝をし、また自治省はそれに対して、国に対する褒章の手続までもするというようなことがかりに出るとしますと、これは、どろぼうをした者がかえって表彰される結果が出てくるのですよ。とんでもないことになってくるんですね。私は、こういうことを考えますと、国の金を使うにあたっての当事者の責任は非常に重要だと思います。防衛庁長官、今度の場合、もしわれわれがこういうことを問題にしないとすると、五百万、六百万の寄付をした当事者は必ず表彰されることになると思います。ですから、このことは、もう済んだことだからほうっておいていいということではないと私は思うのですよ。当然、この問題についての防衛庁の権限もありましょうけれども、やはり行政指導における出先官憲なりあるいは当局の態度は、はっきりしておいてもらわなければいけないと思いますから、その点はひとつ十分注意していただきたいと思います。  刑事課長さんにお聞きしますが、私は、本件の進んでいく過程の中で、いま現実に検察庁はどういう調査をしておるか知りませんし、また、そして調査の中身にこういう問題をどういうふうにつかんできておるか知りませんけれども、事実はこういう形で進んできておるわけです、率直に言って。そして防衛庁自身は、この問題を、市当局から残があったから返しますということで、受け取りました、これで一応ピリオドを打たれておるわけです。しかし、中身はこういう形でたいへん渦巻いておるわけです。こういうことは法務当局も無関心であってはいけないと思います。当然、検察当局の出先官憲は、この問題は十分注意しておると思いますけれども、場合によると、こういうことをわからないままで判断が進んでいくかもしれないと思いますので、この点は、出先官憲等についても注意を喚起していただきたいと思っておりますが、いかがでございましょう。
  85. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 ただいま御指摘のような御心配は、現在の検察庁の捜査の内容を聞いておりますと、全くないように存じます。先ほど局長が申し上げましたように、捜査中の事件でございますから、詳細についてここで申し述べるわけにはまいりませんけれども、本日御指摘のような事項は、いずれも検察庁は承知して、捜査を進めておる次第でございます。
  86. 石野久男

    石野委員 検察庁当局は、やはりそういう点に手抜かりのないようにお願いしておきたいと思います。  なお、この際私は、大蔵省からおいでになっておるから、お聞きしますが、この五百四十万円という金は、私が三月の二日に、実は議会で質問しまして、先ほど刑事局長さんからの御答弁もあり、あるいは防衛庁長官、自治省の御答弁もいただいておりましたが、五日の日に返還されております。五日の日に返還された金が、今度どういう形で出てきているかというと、勝田に勝田信用組合というのがございます。この勝田信用組合から、五百四十万円という金を、市長が保証人になって、これを借り出しをして、その金を市に寄付金として出されておる、私どもの聞き及んでおるところでは、大体そういうことなんですが、信用組合に対する業務管理の立場から、横須賀さんの信用組合における預金がどの程度あったかということも、実は私は調べておりません。けれども、聞き及ぶところによれば、この五百四十万円という金を信用組合から引き出すにあたっては、理事長さんもあまり御承知でなかったようでございます。ただ専務理事さんが簡単にきめて、それで出してきているというふうに見られております。私は罪人をつくったりなんかすることはいやですから、なるべくうまく円満におさまるならけっこうでございますけれども、事件の内容が、非常に疑義を含んでおるものを糊塗するためにとる手段として、やはり罪もない人々をみんなその中へ巻き込んでいくというようなことが出てくることは、非常に悲しむべきことだと私は思います。たまたま勝田信用組合から出ておるこの金が、もし横須賀建設さんの預金等がないままに、あまり大きな預金もないままに、こういうことが出ておるとすると、これは業務管理上からもあまりおもしろくないことだと思いますが、大蔵省では、こういう問題についてどういうふうにお考えになっておられますか。ひとつ御所見を聞かしていただきたいと思います。
  87. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 お答えいたします。  本件につきましては、私内容をつまびらかにいたしておりませんで、また信用組合の所轄行政というものが、都道府県知事になっておりますので、中身はよく存じておりませんが、一般的な問題といたしましては、信用組合が融資するにあたりましては、やはり資金の返済が確実である、そういうことが見きわめられるということがまず第一前提だと思います。その際に、たとえば物的担保を徴するなり、あるいは確実な保証人を立てるなりして、あるいは担保もない、保証人もないけれども、事業の性質上必ずこれは返済は大丈夫である、そういうふうな確信がある、いやしくも資金の返済についてはまず間違いない、そういうふうな前提に立って金を貸す、それが本筋でございますので、したがって、一般的には、物的担保を徴するあるいは万全な保証人を立てるというのが通常のケースでありますが、本件の場合には、市長が保証人になっておるというようなお話でございますから、信用組合としては、いやしくも地方団体の長である市長が保証人になっておる、そういう点で返済は間違いないという前提で、融資をしたのではなかろうかと存ずる次第でございます。
  88. 石野久男

    石野委員 私は、信用組合がやはりなるべく加盟員に対して便宜をはかる、業務上の事業資金としての便宜をはかることは非常にけっこうなことだと思います。しかし今度の場合のようなのは、むしろ業務上の資金というよりも、政治的な含みが多分にあるような場合は、これは慎まなければならぬと思うのです。そういう点は、今後管理監督が必要であろうと思うわけであります。問題は、そういうような点についてほうっておいちゃいけないということが一つあると思います。その点をひとり大蔵省から聞かしてもらいますが、もう一つ会計検査院にお聞きしたいのですが、今度の事件は、いま申しましたように、入札の不正を中心として出てきたことです。この金は当然工事人から返済されるべきものであって、工事人が返済をしないのに、市が防衛庁に返済するというようなことがあったのでは、その経緯が非常におかしくなってくるのではなかろうかと思いますが、こういうときには、会計検査院はどういうふうに指導なさいますか。もっと端的に申しまするならば、工事人からは市に対して寄付金が出ておる。残額資金として出ていないのですよ。寄付金ですよ。ところが市は、工事残額金を防衛庁に納めておる。おかしなことになっているのですよ。ですから、こういうときにはどういう指導をなさるのか。それからまた、自治省も、こういう問題についてはどういう処置をなさるのか、この点、ひとつ説明していただきたい。まず大蔵省から……。
  89. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 先生のおっしゃいましたとおり、信用協同組合は、組合員に対する融資である。だから、組合員が事業に必要な資金を融資する、それがたてまえでございますので、組合員として事業に必要なものであったかどうか、この辺の判断の問題になると思います。従来とも、組合員の健全な発展のために必要な資金を融資する、そういう方法では指導してまいっております。今後ともそうしたいと思っております。
  90. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 ただいまのお話、一応ごもっともでございますが、私どもといたしましては、事業主体と国との関係、つまり事業主体が補助条件に違反して、ために返納額を生じたということでございまして、この事業主体と業者との関係はどのようになったかということまでは、私どもはあまり重要視していないわけでございます。
  91. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまのお尋ねの件でございまするが、会計検査院のほうからお答えがございましたように、市に対する国の補助金の関係でございまするから、もしそれが返還を要するものでございますれば、市が国に対して返還をするということが筋であろうと思います。  なお、本件につきましては、市と業者との間の問題があるわけでございますが、市のとりました手続におきましては、過日先生からお尋ねのございましたときにお答え申し上げましたように、入札手続において違法な点が、私どもも認められると考えておるわけでございますが、本件その後の経過におきましては、関係者別段異議なく工事も終わり、さらにまた会計検査院検査も終わったような状況に伺っておりまするから、そこで、そういう時点における、かつまた防衛庁のほうから返還命令も出たという時点における現実の問題の解決といたしましては、先ほどおかしいじゃないかという御指摘もございましたけれども、業者のほうからその額を市当局に返還させる——寄付金という名目が適当かどうかは別といたしまして、返還をさせるということで、市の損害も防護するということは、現実のこの時点における解決としては一応の解決ではなかろうか、かような印象を持っておる次第でございます。
  92. 石野久男

    石野委員 佐久間行政局長にもう一ぺんちょっと聞いておきますが、結局こういうような事件であれば、やはり一応建設業者から市に、それだけの問題になっている金額だけは返済させるというのがまず出発点であろう、こういうようにいまおっしゃったのだと聞いたのですが、そうですね。
  93. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 大体さようでございますが、結局、市が市民に対して損害をこうむるということに相なってはいけませんので、この場合、業者が当初三千六百万円でそれを入札しようとしたわけでございますから、業者としては三千六百万であるということでもともとやるつもりでおったわけでございますから、この差額は業者のほうから返還をするということになれば、市民としては損失が補てんされた、かように見ていいわけじゃないかと思います。ただ、三千六百万、四千万の問題につきましては、なおこれは法律的に突き詰めてみますといろいろ問題があろうと思います。現実の工事自体も、四千何百万ということで大体妥当な額であろうというようなこともいわれておるようでございます。その辺はいろいろ問題もあろうかと思いますが、現在の時点においては、とにかく損害もこうむらずに済んだということでありますれば、そのような解決も一つ方法じゃなかろうかということでございます。
  94. 石野久男

    石野委員 樺山第二局長にお尋ねしますが、局長は先ほど、金の問題については、国と市との間に、補助金は市に対して与えたものだ、だから今度は市から業者に行く問題についてはあまり触れないというような御答弁だったように、聞き間違いかどうか知りませんが、私はそういうように聞き及びましたのですが、会計検査院は、事業計画などが国の金で行なわれたときに、補助金などが市に出て、市が工事を業者に渡す場合、その市と工事業者との間に金の授受がどういうようになっているかということは全然触れないのですか。
  95. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 そういう意味ではございませんで、実際の工事が幾らでできたかという点は確かに検査の対象でございます。ただしかし、お話のように、たとえば先ほどの御質問は、返還をさせた五百四十万円の問題でございますが、事業主体が、国との関係において、補助条件違反ということで返還をするものでございまして、少なくとも会計検査院立場におきましては、その点が問題でございまして、その五百四十万円の財源を、事業主体である市がどこから得たかという点については、検査上それほどの問題ではないという点を申し上げたわけでございます。
  96. 石野久男

    石野委員 市が返還する金がどういうふうに——市が返還するというのは、先ほど言ったように、事故があった金について補助金が国から出て、その補助金を使って工事を行なった業者がいる、その中間に市がおるわけですが、市が事故のあった金を、国から返還命令があって返還するにあたって、その金はどこから得られたものであってもかまわないというような会計検査院立場であるとすると、これは非常にゆゆしい問題が出てくると思うのです。国民の金を使って仕事をして、仕事をしたのは一億国民が全部でかかってやったのではない。これはいわゆる登録された業者が、営業行為としてやったのだ。その営業行為としてやったものの中に、契約時における不正があったり、あるいは工事上の、中間における不正があったりする、それを明確にし、そして国民に対する損失が出てこないようにする、そういう立場会計検査院は仕事をしておると私は思います。今度の場合のように、明らかに契約時におけるところの問題もあり、現実には、工事はもう当初の三千六百万円でやりましたということになってきているのですよ。その差額というものは、それじゃいままで防衛庁から行った金が市にとまっておって、三千六百万円だけ横須賀建設に渡しておったのならば、その残りの金を市が返すのはいいと思います。だけれども現実には、市から横須賀建設に入札金額というものは渡しておったのでしょう。それをやはり会計検査院は確認しておるわけなんでしょう。その確認があるのに、いま差額が出てきた。それを業者から取り上げることについて、無関心であっていいはずはないのですよ。そういうような、無関心であってもいいというような御意見であったとするならば、これはたいへん、私は局長の答弁は誤りがあるのではないかと思いますが、私の聞き違いかどうか知りませんけれども、その点ははっきりしておいてもらいたいと思います。
  97. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 私の御説明不十分であったと思いますが、先生お話しのように、市と業者との関係、つまりどういうふうにして調達したかという点につきまして、あるいは地方自治法とか、そういう問題は確かにあろうと思います。ただその点は、会計検査院立場としては、それほどの重要な問題ではなかろう、ということをお話し申し上げたわけであります。
  98. 石野久男

    石野委員 それほど重要な問題ではなかろうと思うというのはおかしい。重要なんです、これは。国が、業者と市長との間の談合だか何か、話し合いによって、だまされてきたのでしょう。しかもこのことは、事件を摘発する者がなければ、そのままネコババをきめてしまった事情の中にあった。そのことは、先ほど私が申しましたように、一月一日付で、事件が出たときに、市長は市民に対して、何も問題はありませんと書いている。しかも三千六百万円では十分な仕事はできない、四千百四十万円でなければ十分な仕事ができないということを、一月一日の現時点でも言っているわけでしょう、工事が終わってすでに一年近くなってきておるときでも。そういうように、自分でちゃんと市民各位にこういう市報を一軒一軒配っている。したがって、この事件を摘発して問題にした市会議員の諸君やなんかは、これを見ると、市長さんのことばを見ると、おかしなことをやっている、市長を傷つけるために作為をしておるのだ、というふうにしかとられていないわけだ。これは、市が出している公的な広報ですからね。そういう問題であったものを、二月十八日になると、市から、間違いがありましたから返しますというようなことの上申があって、その上、三月五日には現金が返っている。だから、こういうようなことが出ておるのに、会計検査院は、この金を横須賀建設いわゆる工事当事者から取り上げるべきである、返済させるべきであるというような糊塗的な会計検査院だったら、どこを見ておるのですか。会計検査院としては、その金は当然工事人から取れということを明確に指示を与えなければいけないのじゃないですか。どうでもいい問題じゃないでしょう。これは答弁の行きがかりになるからというので、変につじつまを合わせるようにしないで、間違いがあったら、間違いだと言って前言を取り消される、そしてこの際、会計検査院としてどうあるべきかを明確にしてほしいということの答弁を、私は求めておるのです。
  99. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 事実三千六百万円で工事が完成しまして、四千百四十万円をもらっておるということでありますれば、当然市といたしましては、五百四十万円を業者から取り上げるということが、もちろん妥当であると考えます。
  100. 石野久男

    石野委員 局長、妥当であるではなくて、そうしなければいけないのでしょう。そこをはっきり言ってください。妥当であるとかなんとかいうなら、もう推測じゃないですか。事実が終わってしまった、既定の事実になっておる。それを今後再びこういうことがあってはいけないから、ここではっきりしておかなければいけないという意味で私は聞いておるのだから、はっきりしたことを言ってもらわなければいけない。あなたの御判断にまかせます、そんな答弁を私は聞きたくない。私はこう思っておるけれどもどうなんですか、ということを聞いておるのだから、それに対して、会計検査院立場としてどうあるべきだということを、はっきり言ってほしい。
  101. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 補助金の交付という立場から見ますと、事業主体である市から、国は返還してもらうということが一番重要なことであります。が、それに付随しまして、先生のおっしゃるような点は、確かにそのとおりであろうと思います。
  102. 石野久男

    石野委員 局長ははっきりしたことを言えないようですから、私はこういうふうに理解しますが、間違っておったら間違っておると言ってください。確かに補助金は国から市に対して出ておるものだ、その出た補助金の使い方の中で、当初の補助金を出したときと現実は違っておる、差額が出てきた、その差額は、国は確かに市から取らなければならないけれども、しかし私が聞いているのは、会計検査院というものの立場を聞いているんですよ。ただ国から市に対して金がどういうふうに動いたかということだけ見るなら、会計検査院は何も必要ないんです。会計検査院のやらねばならぬ仕事は、その出た金がどういうふうに適正に使われたかということを見るんでしょう。そうでしょう。そうじゃないんですか。そこのところをまず聞いておきたい。
  103. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 補助金の適正に行なわれているかどうかという点については、おっしゃるとおりだと思います。
  104. 石野久男

    石野委員 そういうような仕事が、あなた方の任務としてあるわけなんだから、その任務に従って、今度の場合のような事件が出ておれば、会計検査院は、——不幸にして、この問題は調査の対象には、いままでなっていなかったのだと思うんです。そこでこれは調査してもらわなければいかぬ。事実はもうこういうふうになっていて、防衛庁長官はいまいませんが、次官も経理局長も、それぞれの担当の方々も、事実を確認していらっしゃるわけです。したがって、会計検査院がその調査をしなくても、大体の筋はわかっていると思うんですよ。現実に、防衛庁はその金をもう返還させているわけなんですよ。だから、私が聞いているのは、返還している金は、もう返還しているけれども、しかしその金は、市が業者に渡した金を取らなければ出てこない金ではございませんかと、私はそれを聞いているわけなんですから、市が業者に渡した金を取らないで、市がどこかで調達してきて、それを返すということになれば、業者は依然として、四千百四十万円の国からもらった金を持っているんですよ。そういうことを、会計検査院が許しておいていいのかどうかということを私は聞いている。よくないでしょう。
  105. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 ただ、事業主体としましては、条件違反になった場合に、国に返還する義務があるのでございまして、市がどういうふうにしてそれを調達したかということは、少なくとも補助金の立場においては、あまり関係がないことではないかと考えております。
  106. 石野久男

    石野委員 そうすると、補助金というのは、国から市が取れば、どういう形に使ってもいいということなんですか。目的に沿わない形で使ってもいいということなんですか。
  107. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 そういう意味ではございませんで、補助金の目的とした事業は完全に施行したことを条件として、補助金が交付されるということでございます。
  108. 石野久男

    石野委員 会計検査院は、今度の四千百四十万円の金が、国から勝田市に出た、この金を会計検査院立場検査するときは、どういうことを検査されるんですか。
  109. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 まず、防衛庁関係の防音工事でございますと、いろいろの計算方式がございます。それが適正であるかどうかということ、それから実際に施行されました工事の出来形、これが設計どおり施行されているかどうか、もう一つは、先ほど申し上げましたように、実際の事業費がそれだけかかったかどうかという点が、検査の対象になります。
  110. 石野久男

    石野委員 事業費がどういうふうにかかったかということは調べるんでしょう。調べたときに、会計検査院は、この問題について、先ほど自治省の佐久間行政局長の話によると、会計検査院も通っていることですからと、こういうことであった。これは事実通ったんだから、問題なくずっときたわけなんですよ。ところがその後において、この金の使い方の中に、入札時における問題があるということが摘出され、その後、市からは残余金がありましたということが出てきた。会計検査院の調査のときに、残余金は出たんですか、どうですか。
  111. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 その点は、私ども現地に実際に行って調査いたしておりませんので、防衛施設庁の報告によって、承知しておるのであります。
  112. 石野久男

    石野委員 だから、樺山さん、あなたのほうは調査してなかったんですから、調査してなくて、こういう事件にぶつかったんだから、そこで、当然やはり差額金というものは国が返してもらわなければ、国損になる。国に損を出させないためには、市から返させなければならないけれども、しかし、出た金は、一応市から業者に出ていることも確認されているわけですから、その確認されている金の中で返済が出てくるということになれば、補助金については、市がどういうふうに調達したかどうかというようなことについては問題ではございません、ではないのだね。国から出た金はずっとストレートに業者まで行っているのでしょう。局長どうなんですか、そうではないですか。
  113. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 実質的には、さようなことになります。
  114. 石野久男

    石野委員 だから、そこまで行っている金を、今度は会計検査院立場で、国へ返すときには市がどこからとってきてもよろしいというような意見が出てくるのですか、どうですか。
  115. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 別に、取り上げる必要はないというふうに申し上げているわけではございませんので、私どもとしては、補助金の適正化法の立場から見てそれは問題でなくて、あるいは自治法とか、そういう問題であろうと思います。地方自治法とか、その他の一般的な法令制度の問題であろうと思います。
  116. 石野久男

    石野委員 法令がどうあろうと、こうあろうと、会計検査院は、金の動きというものから目を離して、仕事ができるのですか。
  117. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 検査の段階におきましては業者にどういう支払いをやったか、あるいはどういう工事費でやったかという点は、十分検査をいたします。そういう意味におきましては、先生おっしゃるように、そういう点は、確かに私どもも調査をいたさなければならぬ点だと考えております。
  118. 石野久男

    石野委員 なかなか答弁しにくいようですから、こういうふうに聞きましょう。今度の場合は、三千六百万円という金と四千百四十万円との差五百四十万円というものが、工事施行の中で、現実には出たのですよ。工事が終わったときには、そういうものは出てこなかったのですよ。しかも、市長は、この一月の段階においても、四千百四十万円でなければりっぱな仕事はできないので、そうしました、こう言い切っているわけです。ところが問題がごたごたしてきたので、特に、これは市の段階ではなくて、国の段階で、国会の段階で問題が出てきたものだから、処置されてきたと、私は見ていいと思っているのですが、ともかく市はこの五百四十万円という金を返すべきであるという判断に立ったと思います。そのときに、市がその五百四十万円というものを返すにあたって、資金調達をするということになりますが、その場合に、その返す金を業者から取り上げるということは当然なことだと私は思うのですよ。会計検査院としても、この金を、市の税金だとか予算の予備金の中で出させるというような指導はしないだろうと思うのです。その場合、会計検査院は、資金はどこから出てもいいからというので——本件についてですよ。本件について、その金は予備費から出しなさいとかなんとかいうことは指導なさらないだろうな、ということの質問を一つします。  それから、この場合は、当然会計検査院としては、横須賀建設からその金は一応市に返還さして、そうしてその金を、市が国に返すのが筋である、そういう指導をなさるだろうし、また現実にはそうしなければならないのではないかと私は思いますが、会計検査院はどういうふうになさいますか。この二つのことを伺います。
  119. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 実際の工事費が三千六百万円で完成したということでありますれば、先生おっしゃるように、業者から市が取り上げて国に返すのが、普通の筋であると考えられます。
  120. 石野久男

    石野委員 防衛政務次官にお聞きしますが、いまこの差額になっている金は、防衛庁のもとに戻っておるわけです。だから、その金額それ自体については問題はございませんが、しかしただいままでの話でもわかるように、国が出した金はその筋においては戻っていないのです。どこかで違った金が出てきているわけです。だから、これは額面そのものはつじつまは合っておりますけれども内容が違っておる。こういうことになりますと、世の中の人々は判断に苦しむわけです。私がここでお尋ねするのは、こういう事件があるときに、一般の善良な人が非常に誤った解釈をしてはいけない、こう思うので、だから横須賀さんのほうで、五百四十万円の寄付金を市に対してしているけれども、しかし金は防衛庁からいただいた中でもうけた金であるかもしらぬけれども、残額の金ではないと私は思います。だから、いまも、この金はだめだから返します、取り戻します、そういうやぼなことを私は言うのじゃないのです。ものごとの考え方の筋として、市は当然やはり横須賀建設から正確に、工事代金の中で違いのあった金は一応返還を求めて、そうして防衛庁に返す、こういう筋をとるのが一番正しいのじゃなかろうか、こう思うし、またそれをやらなければいけないのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点について、次官の考え方をひとつお聞きしたい。
  121. 井村重雄

    ○井村政府委員 補助金が適正に使われなければならぬことは、これは言うまでもございません。また、それが残額ができて残ればこれが返されなければならぬことも、これは事実でございます。また、いまあなたのおっしゃったように、三千六百万円ででき得たことを、四千百四十万円でできたかのごとくこれを擬装してあるとすれば、市当局が業者からその差額の五百四十万円を出させることも、これは理の当然でございます。しかしながら、返還を受けるわれわれといたしまして、たとえ予備金から出そうとあるいは借り入れ金から出そうと、また剰余金から出そうと、その金の性質について、刑事的な捜索の段階にまで立ち入るということは、現段階では、われわれは権限外ではないかと思うのであります。しかし望ましいことは、折り目を正して、業者から取り上げて返さすということは、これは理の当然であろう。ただし、こういうふうな非常な問題の場合に、そういうような非違的な疑惑を持っておられるときに、会計検査院——これは余分なことでありますけれども、またわれわれが何かそこに不正があるのではないかという立証できる段階にまで、その返済条件について立ち入るということはいささか権限外じゃないか、かように考えます。
  122. 石野久男

    石野委員 次官がいま言われた、刑事事件の内容にまで立ち入って云々というようなこと、そういうことを私はここではあまり問題にしない。それは検察庁の問題ですから、そこまでいかないが、しかし折り目正しく金が動くこと、これはやはり明確にしておかなくてはいけない。そういう意味で、非常に配慮なさった御答弁をなさっておりまして、その配慮なさった条件のほうが大きくアップしまして、事件の本質である筋道というものがぼやけてしまってはいけないので、私は防衛庁に、刑事事件の内容まであれこれ答弁せよというようなことは言わない。けれども、これから先もあることですし、やはり皆さんがわれわれの税金を、補助金とかいろいろな名目で出す場合に、それが途中で一部の業者なりあるいは行政官との間に話し合いができて、一般の人々が理解できないような使い方をする。それがあからさまに出てきたらば、何か返しさえすればいいのだろう、こういうような形でものごとの処理をされるということはよくない。だから私は、この段階では、どうしてもやはり権限はないだろうけれども、あなた方の出した金なんだから、あなた方の受けるのには、変なところの金じゃなくて、私のところが出した金が行ったところからとる、とれた、それが筋だということを、あなた方がはっきり言ってくれれば、それで私たちははっきりするわけです。そういうことを聞いているのです。それについてはどうですか。
  123. 井村重雄

    ○井村政府委員 理論としては、そのとおりでございます。
  124. 石野久男

    石野委員 私は、中根の小学校の問題は、いまのようなことで大体はっきりしてまいりました。ここでは、あと市がどういうふうに判断するかどうかわかりませんけれども、私の考え方では、やはり横須賀建設が明確に工事代金のうち、実質は、ないないと言っておったけれども、残額があるのだから、残額があるとするならば、その工事代金の残額だということで市に返還してやらなければいけない。寄付金などというようなことばを使って市民を欺瞞する、そのあげくのはては、藍綬褒章だか何だか知らぬけれども、褒章を受けるということになってきますと、とんでもないことになってしまうと思うのです。こういうように、一つの金の動きの過程で、悪人が表彰されるような結果が出るような仕組みがあってはいけないし、特に私は、法務省当局に、そういう問題は明確に、これは世間一般に及ぼす影響が大きいので、明確にしていただくような配慮を願いたいし、同時に会計検査院は、いろいろ任務分担はあるだろうけれども、金の筋道だけは明確にさせ、行きも帰りも金は正しく監視するようにしてもらわなければいけない。金でさえあればいいのだ、どこから持ってきた金でもいいのだということでありますと、弱い者はいつも泣かなければならぬ状態になる。何も知らない者はいつもごまかされて、その穴埋めの金を出すというような結果が出てくる。これをよほど注意してもらわなければならぬと思います。  同じような事件が、防衛庁から出ている問題で、あの前渡飛行場の周辺地の農民に対して、下草代金の補償の金が出ているはずでございます。那珂湊市の前渡部落の農民三百三十六名に対して、もうかれこれ十数年間にわたるところの補償金が出ておると思います。この金は、最近まで、防衛庁からはその金の払い出しが行なわれましたけれども、最初の一回だけの個人配分は行なわれたけれども、その後配分が行なわれないままに、本年一月ごろまで市長のもとにプールされておった、そういう事件がございます。この問題について私はお聞きしたいのです。  ただ、この問題について、特に私は注意を喚起したいことは、こういう補助金というのは、農民が飛行場、射爆場を取り上げられて、そこからのいわゆる採草ができない。農業経営上非常に現金支出が過大になってくるということに対して補償を行なったものです。だからこれはその時点で補償金が農民に行かないと、農民には何の役にも立たない。特にインフレが進んだりなんかして、物価がどんどん上がってきたりしますと、十年前にもらうべき金をいまごろもらっても、三分の一の値打ちもないというような事情もあるわけです。こういうことが今後も続きますと、せっかくの農民に対する補償というものが十分に行き渡りませんので、そういう観点から、私はこの質問をするわけなんです。前渡飛行場に渡しました金は、現在までどのくらいありましたか、一応年次別にひとつお話しいただきたいと思います。
  125. 大浜用正

    ○大浜政府委員 那珂湊の関係者は三百三十六人でございますが、昭和二十七年から昭和三十九年までに、那珂湊市に対しまして、林産物の補償費として、一千四百二十八万九千七百六十三円、こういう数字の金を渡しております。
  126. 石野久男

    石野委員 この金は大体農民に対してはどういう形で補償されているのか、個人配分なのか、それとも部落へやったものか、市に対して与えたものか、そこらのところはどういうような話し合いになっておりますか。
  127. 井村重雄

    ○井村政府委員 林野関係のこれらの雑産物に対する補償は、個人を対象とすることが原則であります。ただし、これらが個人別に損害を幾ら幾らと単価を出す、あるいは総額を出してくることが非常にめんどうな場合がありますので、おおむね受け取りを個人個人の自由意思によって、市長あるいは部落会長等に一任するという慣行が往々あるわけであります。そうしたことが、われわれのほうで正しくこれを調べて、ほんとうに自由意思で、金額の明細をして、署名捺印をしてこれを市長またはその他の代表に委任した場合には、われわれはやはりその支払いを、とにかく個人に支払うことを条件にして、一括支払うわけであります。そうした場合に、それが末端の農民あるいは個人の補償にすみやかに回る場合もあります。またある程度、事務費とかなんとかいうふうな名目で、多少これがピンはねされていくような場面もなきにしもあらずでありますが、そうしたことの場合において、われわれは常に、社会通念に基づくだれしもが納得する事務費的なものは、ある程度了承しなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、いまご指摘のように、二年分も三年分もそれが個人に渡っていないというふうな場合には、われわれはもう少し指導を厳重にやらなければならぬのではないか。特に先ほどの御質問の中に、部落会長等村のボス等の手に渡って、住民に行き渡らぬじゃないか、われわれもこういう事実を非常に残念に思います。これはひとつの封建的な遺産と申しますか、悪い慣行でありまして、できるだけ、個人の権利に基づくものはやはり個人にすみやかに渡るように、今後とも指導いたしたいと存じます。
  128. 石野久男

    石野委員 採草の補償というのは、農民に対して与えられておるものですから、これが個人に配分されるのは当然です。しかし三百三十六名もという多数になっておりますから、それを一人一人個人別に防衛庁から渡すことも非常に困難で、そこで市長なら市長が、それの総代という形で総額を受け取って、それを市で渡す、その方法も私は了といたしますし、またその間若干の事務などがありますから、事務費として、ある部分をみんなで先に取りまして、その残額を分けるというやり方も、私はよろしいと思うのです。  那珂湊市における事情を見てみますると、実情はこういうことだったと私は思うのです。これは問題が出てきたのは、採草地の補償を受けるべき人がたくさんおったわけなのです。たまたま阿字ケ浦の諸君が手続をなさって、それに対しての補償が一応確定した。ところが、まだ他の部落の方々があるのだけれども、その諸君に対する補償というか、補償申請手続というものが行なわれなかった。そういう他の部落の人々が、防衛庁なら防衛庁に、そういう補償申請をすれば問題はなかったのだと思います。それをしないままに、阿字ケ浦の諸君が三百数十名でもらった分を、他の部落へ分けよう、こういうことを市長さんなりがやった、そのことのために、問題がこじれてきているのだと私は思うのです。だから、私は別に市長が悪意でどうこうしたということは言いませんけれども、問題の本質は、やはり防衛庁が、そういう当然補償を受けるべき人々が他におったのに、その補償申請を受けつけなかったところにあるのか、あるいは地域における人々がそれに怠慢であったのか、そのいずれかにかかっていると私は思うのです。この際、内容から言いますと、こういうことなのです。補償金が市に出まして、阿字ケ浦の農民からすれば、出たのだから、事務費もけっこうです、取ってください、それから、もらった金の一部分は、やはり部落に対する、公共に対する寄付もしましょう、その残額を分けてください、という要求をずっとしてきておったわけです。ところが市当局のほうでは、それを他の部落へ分けてやらなくてはいけないから、金額の配分の中で差が出てくるわけです。その話し合いがつかないでごたごたして、もう七年も八年も、約一千万円ぐらいの金が全然行き渡らないままきた。最近それがどうにか解決したわけですけれども、その間、個人配分を要求した人々が、逆に村八分を受けるという結果が出てきている。三百三十数名のうち、それを強く主張しても、もう最近まで残ったのが二十数名なんです。その二十数名の人が、市長の言うことを聞かないからというので、これはもうほんとうに村八分のような形になってきているわけです。こういうことになりますると、せっかくの補償というものが、かえって町の中でトラブルを起こして、しかも考え方の戦では間違っていない人が、悪者扱いされるという結果が出てきているわけです。市長さんのお考え方もけっこうだけれども、しかし問題は、そういう当然やるべきことをやらないでいて、そうしてこの金は阿字ケ浦だけなんじゃない、そこには十三奉行というところもありますし、平磯、部田野というところもありますが、こういう三部落の諸君ももらうべき金としてもらってきたものだから、それにもやるのだという強引な市長のやり方があるわけです。ところが、受けるべき農民からすれば、これはおれたちがもらったのだということになる。私は、この事件の概要はあまりここではごたごた繰り返しませんが、この機会に、防衛庁の意見をお聞きしておきたいのです。  阿字ケ浦の農民諸君がもらえるような条件と同じような形の諸君が、実際被害を受けているわけです。私の推測では大体百名近くだと思うのです。金額の配分やなんか市がやった程度から見ますると、大体百名くらいだと思うのです。それらの諸君に対する金がないものだから、当然もらうべき金の何分の一かをとられている、こういう形になっているためにごたごたが出た、こういうことだと私は思いますので、この問題については、事実が私のいま申し上げたような事情であるということが確認されれば、防衛庁としては、予算を見ますると、いろいろ金の使い方の中には、補償で残っているところもあるわけです。ここに出ているのは航空機の騒音対策装置なんというもので、採草地の問題は出ていませんけれども、これは款項の融通をやっていただいて、あるいは経過年度の処置をしてもらえばできることだと私は思うので、こういうようなしわ寄せを、既得権益を持っている者へ持っていかないで、権益を持っている者には、当然それだけの処置をしてやることが非常に大事なのじゃないだろうか、こういうように私は思うので、この点について、この際御所見を聞かせておいてもらいたい。
  129. 井村重雄

    ○井村政府委員 予算の残額があるから、ある程度款項目を流用してもいいじゃないかということでございますが、予算の執行に対しては、われわれは常にきびしい態度で行かなければならぬと考えております。  なお、先ほど、申請を受けつけないからこういう問題が起きるじゃないかということでありますけれども、私どもは、もしこれによって損害を受け、あるいは既得権を侵されたようなものについては、厳重に調査いたしまして、不公平のないようにいたしたいと存じます。特に、こういうふうな予算の執行にあたって、すでに支払いをいたしておりながら、それが農民の手へ渡らないで、農民なりあるいは住民から不信を買うということは申しわけない。さようなことのないように、これはつとむべきものであろうと思います。ただこういうふうに一括申請され、あるいは場合によると一括支払いを受けておりながら、万一これらのものが、申請もせなかった、しかし君たちがもらえるならおれらももらえるであろうというふうな、あとからかけ込みをやろうとか、あるいは配分の際に、いろいろな政治的配慮をやるというふうなことに苦しんで、こういうふうなものの分配が遅延を受けておるということは、私はあってならないと思うのであります。もし申請がおくれたり、あるいはさような恩恵があるということを知らない者は、正しい手続によって正しく申請をしていただきたい。それを、三百三十六名に与うべきものを、さらに水増しをして、五百十何名に恩恵を与えたいために分配がおくれるというようなことは、私はあってはならないと思うのであります。今後さようなことに対する地域住民の損失あるいは既得権益の損傷というものに対しては、厳重にまた温情をもって、われわれは処理していきたい、またこれらの件についても、すみやかに調査をいたしまして、善処いたしたいと思います。
  130. 石野久男

    石野委員 次官がおっしゃるように、防衛庁から出た補償金額が、現実に、別に水増しするという意味じゃなくて、当然補償要求をすべき被害農民がいたわけです。しかし当時そのことをあまり知らなかったためにやらなかった。片方をやってしまって、今度やろうとしたところが、市長なり何なり、めんどくさいからということだったかどうか私はわかりませんが、あるいはまた、その人たちに手続上非常に不備があったということだったかもしれませんし、あるいは防衛庁としては、おまえらの言うことは聞かないんだというようなことで蹴ったのか、どっちか私は知りません。けれども現実には、その人たちはみんな水戸射爆場の周辺地で農耕しておった人たちであり、現実にそこで採草し、松葉を拾い、たばこの苗床をつくっておった、というような人たちであったことだけは間違いないわけです。そういう手続やなんかが煩瑣なものだから、もちろんこういうことをやるには、市やなんかがめんどうを見るわけですけれども、その市は、めんどうだからこっちでやってしまえというようなことで、三百名のものを、四百数十名なり五百名に、もらった金を分けてやるということをやった。これらは、私がもらうのが当然だという言い分の三百名の人たちを、よこしまなやつだ、ガリガリ亡者だというようなことできめつけて、かえってそれを悪者扱いにするということであってはいけないと思います。そこで、今度の前渡飛行場の周辺地における採草地の農民の諸君が、約十年近くもの間、防衛庁から出た金を全部プールされてしまったわけです。したがって、昭和三十一、二年のころの金を四十一年現在の時点でもらっても、率直に言って、この間の貨幣価値から見ても、何の役にも立たない。こういうようなことが、行政上の中で非常に誤って行なわれてきているという事実は確認されているわけです。これを改めさせる、あるいは市当局やなんかに注意を喚起すると同時に、一面においては、こういう補償申請の適格者というものは別にあるいう実情を、調査していただけばわかると思いますから、やはり見ていただいて、いずれこの人たちの申請を、遡及指定にするか、話し合いでどうなるかわかりませんが、やはり受け付けて審査して、調査してもらうことが大事じゃないか。そうでないと、地域におけるところの正邪理非が明確にならないで、かえって市長さんの言うことだけがいいんだというようなことで、会計法上からいっても間違った処理がされておるし、またものの考え方からいっても間違った処理がされてしまっておる、こういうことになっておりますから、この点あらためて申請なり何なりしなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに私は思っておるわけです。これはひとつあとで、防衛庁のほうでその問題について当たってくださるように、私のほうからも市当局に話しますから、そのときには、市としてはこれをむげに蹴らないようにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  131. 大浜用正

    ○大浜政府委員 ただいま先生がおっしゃったように、百人くらいの、いわゆる補償を受けるべき資格のある人が現実に向こうにいるということでございますので、十分調査をいたしまして、もし適格者でありますれば、直ちに措置を講じたい、こう思います。
  132. 石野久男

    石野委員 やはりここでも、私は会計検査院に聞いておきたいのですけれども会計検査院検査は、国の金がどういうふうに使われたかということを見るわけなんです。下草の補償の問題は、確かに市長さんが委任されて、代理者として金を受け取っております。その間、やはり市長さんが判を預かっておるのか、現実に皆さんが押したのかどっちかわかりませんけれども、受け取りはみんな一緒になっている。書類上はみんな配分されたことになっておりますけれども現実には、この何年間にわたり、昭和二十七年から今日までの間にもう十数年たっておりますが、その間一ぺんだけ配分された、そして今度残額の配分を今年の一月までにやったわけです。この間、国からは金は出ていない。全部それはプールされたわけです。配分をするときに、その利子の計算をどういうふうにしたか、これは私もまだそこまで聞いておりませんが、膨大な利子になっているのだろうと思います。そうすると、この間の預金利子はどういうふうになったかというような問題が現地にあるわけです。あるけれども、市長さんの権限が強いものだから、もうだれも問題にしないままになってしまっているんです。実際上、やはりこういう問題を会計検査院などが見ました場合に、もう少し適切な指導なり何なりをしなければいけないのじゃないか、こう思うのです。みなもう書類だけでやらずに、こういう具体的な問題がわかったときには、事後でもいいから、やはり明確に調査してもらわなければいけない、こういうふうに私は思いますけれども、どういうふうに会計検査院としてはお考えですか。
  133. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 基地関係の補償金につきまして、委任状をとりました代表者に出すという事態は相当あるわけでございまして、私ども検査におきましても、過去におきまして、いろいろそういった事態がございまして、これはやはり妥当でございませんので、検査の段階におきまして発見しましたものにつきましては、会計検査院といたしまして、債権者に早く払うように指導しろというように注意をいたしております。本件の問題は、私ただいまちょっと存じておりませんが、今後の検査におきましても、そういう点を十分注意してまいりたいと思います。
  134. 石野久男

    石野委員 一つだけまだ問題になりますのは、こういう点があるのです。補償は、個人配分であるはずなんですが、実は市の取りきめは、今後は個人配分はしないということをきめているわけです。それはただいま申しましたように、三百三十六名に対する配分であるにもかかわらず、それを大ぜいの人に分けてやらなければならないものだから、そこで、個人配分はしないというような、そういう決定を、今度は市で市会の方たちがしておるわけです。たとえば、これはこういうふうになっておるのです。ちょっと読んでおきます。「今後の補償交付金があった場合まずその一〇%を経費として差引き、残額を一〇〇として、その七〇%を阿字ケ浦地区に、残三〇%を市に、しかも市では、この三〇%のうち二五%を磯崎、平磯、部田野、十三奉行の四地区に配分することとなっているもようであるが、今後は各地区とも個人配分はやらないことに、各区民の了解も得ているようで」こういうふうにいっておるわけです。この了解も本意じゃないわけなんです。押しつけなんですよ。こういうやり方をするのは、結局、他の四地区で、三百三十六名の配分を再配分するということを市でやるために、こういう結果が出てきたわけです。こういうやり方では、これは皆さんのほうから出る補償金の使途が、何か的確じゃないのじゃないかと私は思います。ですから、こういう点について、これはそれでよろしいのかどうか、ひとつはっきりお聞かせ願いたい。
  135. 井村重雄

    ○井村政府委員 補償金はあくまで、個人の権益なり利益を侵された場合に、個人に支払うべきことが原則であります。ただし、それらがいろいろな問題がやはり地域ごとにあることも事実であります。非常に困難なる事情もあることも事実であります。また実際の上において、分配して、きわめて少額であって、あまり役立たないというふうな性質の場合もあることも事実であります。また漁業補償のように、協同組合の共同海域における漁獲の補償で、計算が非常に困難なる場面もあるかとも存じますが、しかしそれはそれといたしまして、あくまで原則は個人に支払うことである。しかしその地域開発のために、個人個人がほんとうに納得いたしまして、押しつけではなしに、納得いたして、たとえば公民館をつくるとか、保育所をつくるとか、あるいは農協であれば農業の共同施設等をつくるということが、ほんとうにその地域民に利益としてはね返ってくることが事実だ。平等にはね返ってくるもので、ほんとうに承諾した場合においては、それはある程度許されるべきではないかと思うのであります。ただし、いまあなたの御指摘のことははっきりわかりませんが、永久にこの補償金を、たとえば地方財源の一部にするとか、絶対に個人分配をしない、これを地方財源にするというがごときは、これは私はどうかと思われますが、そういう点については多少疑義があるのでありまして、研究をいたしてみたいと思います。
  136. 石野久男

    石野委員 もし次官のほうで誤解があるといけませんので、私はここで申し上げましたのは、地方財源ということよりも、むしろ平磯、磯崎、部田野、十三奉行という四地区の住民に、補償を受けるべき有資格者があるというなにに基づいて、市がこういう処置をしておるわけです。市が他のものに使う財源として使うという意味じゃないのですから、この発意はきわめて善意なものがあることはよくわかっておるのです。ただ問題は、四地区に対する当然受け入れるべきものをその手続やなんかしてないものだから、しわ寄せを全部阿字ケ浦の補償対象になっておる人々に持ってきておるために、無理がきておるのです。これは個人の問題でなしに、市当局もこのことを確認するほど、この地域の補償を受ける資格のあることは確認されておるのですから、だから問題は、これを解消すれば、個人配分とかなんか十分適切にできるようになりましょうし、それからすでに阿字ケ浦の住民諸君も、ある部分は、公民館を建てたり小学校のために寄付することはみんな認めておるわけです。そしてその残額部分ももらうということ、それももうちゃんとやっておるわけですから、やり方はちっとも間違いがないのですが、ただ問題は、四部落に当然とれるものがとれないので、それでこの阿字ケ浦にしわ寄せが来ておるというところに問題があります。だから、ここのところを解決してもらえば、この問題はきわめてスムーズに解決していくのだろうと思います。先ほど会計課長からのお話がありましたように、私は、この地域の人々が、従来やり得べき手続をやらないできておるということ、それに注意を喚起して、先ほどちょっと私が申しましたように、予算の残があるからとりなさいということを別に言うのじゃなくて、当然もらうべき資格のあるものがもらってないのだから、これをやはり追認するというようなことはしてもらわなければいけないのじゃないか、ということを申し上げておるのです。その点だけ、ひとつ御所見を承っておきたい。
  137. 井村重雄

    ○井村政府委員 重ねてお答えいたしますが、とにかく補償を受け得べき、また得べかりし人がまだ残されておる。それがいろいろ手続の事情を知らなかったとか、あるいは手続の煩瑣なるためにこれを怠っておった、しかしそういうものがあるならば当然受けたい、残されておるというなら、とにかくできるだけこちらで指導いたしまして、実情をよく調査いたしまして、それが正しければ、今後といえども、そういうふうな方に対して補償するにやぶさかでないということをお答え申し上げます。
  138. 吉川久衛

    吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十四分散会