○松野
国務大臣 昭和三十九
年度における
防衛庁関係歳出の
決算につきまして、その概要を御
説明申し上げます。
まず、
昭和三十九
年度防衛木庁の
経費について御
説明申し上げます。
当初の歳出
予算額は、二千六百十二億五千九百十三万二千円でありまして、これに
昭和三十九年九月以降
政府職員の給与を改善するための
予算補正追加額七十八億一千二百四十一万二千円及び高空における放射能塵の研究等のため科学技術庁から移しがえを受けた額六百六十八万二千円、代替庁舎の取得のため
大蔵省から移しがえを受けた額三億五千七百九十七万二千円、オリンピック東京大会実施準備並びに南極地域観測再開準備のため文部省から移しがえを受けた額八億五千六百五十八万円、前
年度からの繰り越し額五十四億一千四百六十四万一千百三十六円を加え、既定
予算の節約による
予算補正減少額二十一億七百四十万七千円を差し引きますと、歳出
予算現額は二千七百三十六億一万二千百三十六円となります。
この歳出
予算現額のうち、支出済み歳出額は二千六百七十一億七千六百八十二万六百三十六円でありまして、これを歳出
予算現額に比較いたしますと六十四億二千三百十九万一千五百円の差額を生じます。この差額は、繰り越し額と不用額でありまして、繰り越し額は四十九億六千六百九万三千八百四十五円、不用額は十四億五千七百九万七千六百五十五円であります。
昭和三十九
年度の
予算の執行につきましては、
昭和三十六年七月に国防
会議で
決定された第二次防衛力整備計画の第三
年度として、
昭和三十八
年度に引き続き、この計画に準拠して、実質的な防衛力の整備向上をはかることを主眼といたしました。
そのおもなものは次のとおりであります。陸上自衛隊につきましては、ホーク一個大隊の編成を完結し、また駐とん地業務隊等の改編により、中部
方面通信隊を改編し、野外における通信能力の充実をはかる等、支援能力の強化及び合理化をはかりましたほか、前
年度に引き続き、装備品の計画的更新により、装備の近代化と充実改善をはかりました。
また、
昭和三十八
年度に臨時に編成されました東京オリンピック支援集団の廃止作業は、オリンピック終了後の
昭和三十九年十月十九日から逐次実施し、同年十一月二十日集団司令部の廃止をもって完結いたしました。
航空機につきましては、連絡用ヘリコプター五機、偵察、連絡、輸送用ヘリコプター八機を購入いたしました。
海上自衛隊につきましては、
昭和三十五
年度に着工しました護衛艦「あまつかぜ」の就航により、これを第一護衛隊群へ編入し、また、
昭和三十六
年度に着工しました潜水艦「おおしお」の就航により第二潜水隊を新編し、第一、第二潜水隊及び潜水艦
関係陸上部隊を改編いたしまして第一潜水隊群を新たに編成し、自衛艦隊の編成に加えましたほか、甲型警備艦一隻、甲II型警備艦一隻、潜水艦一隻、甲型駆潜艇一隻、中型掃海艇二隻、支援船六隻、計十二隻、八千七百三十一トンの建造に着手しました。航空機につきましては、練習機三機、及び対潜攻撃用ヘリコプター四機を購入いたしました。
航空自衛隊につきましては、
昭和三十八
年度に防衛二法案が不成立となりましたため、
昭和三十九
年度に持ち越されましたF104飛行隊二個隊及び第八十一航空隊の編成をいたしましたほか、
昭和三十九
年度F104戦闘機が配備されましたことにより、新たに二個飛行隊を編成し、第五航空団、第六航空団にそれぞれ
配置するとともに、F104飛行部隊の編成に関連いたしまして、F86飛行隊二個隊をもって第八航空団を、F86飛行隊一個隊をもって第八十二航空隊を、それぞれ新編いたしました。
また、既存部隊の改編によりまして、第一次ナイキ大隊及び同支援隊を編成するとともに、第二次ナイキ部隊
建設のための諸準備を推進するほか、自動警戒管制組織に関連する諸施策の推進をはかりました。航空機につきましては、
昭和三十五
年度に契約いたしましたF104J百八十機、F104DJ二十機、計二百機の生産を完結いたしました。このほか、新たに輸送機二機及び救難用ヘリコプター二機を購入いたしました。
また、定員につきましては、
昭和三十八
年度に防衛二法案が不成立となりましたため、
昭和三十九
年度に持ち越されました自衛官千二百五十八人、自衛官以外の
職員五百五十七人、計千八百十五人及び
昭和三十九
年度に新たに増員されました自衛官九百十三人、自衛官以外の
職員二百四人、計千百十七人、合計、自衛官二千七十一人、自衛官以外の
職員七百六十一人を増員いたしました結果、
昭和三十九
年度末防衛本庁の定員は二十七万三千百二十三人となります。
繰り越し額四十九億六千六百九万三千八百四十五円のうちおもなものは、器材費等九億九千二百三十九万三千円、研究開発費一億四千五百二十八万円、航空機購入費一億五千九百六十五万九千円、航空機騒音
対策費四億七千三百四十四万九千円、施設整備費十四億九千二十万七千円、艦船建造費十三億三百五十五万四千円、庁舎等特別取得費三億五千七百九十七万二千円などでありますが、この繰り越しを生じました理由の概要を申し上げますと、器材費等及び航空機購入費につきましては、有償供与、
一般輸入にかかる調達品について引き渡しがおくれたこと、または輸送、輸入手続等にやむを得ない日数を要したこと等のために、納入が遅延したこと等に基づくものであり、研究開発費につきましては、試作品の製造途中製造
会社が台風による災害を受けたため工程が遅延したこと等、試作品の製造に不測の日数を要したことに基づくものであります。
航空機騒音
対策費につきましては、用地の選定及び設計の作成等に不測の日数を要したこと等に基づくものであり、施設整備費、庁舎等特別取得費につきましては、用地の取得に際し所有者の納得を得ることが困難であり、補償の折衝に意外の日数を要したこと等により
工事が遅延したことに基づくものであり、また、艦船建造費につきましては、要求性能の
決定及び設計に長期の日数を要したこと等に基づくものであります。
また、不用額十四億五千七百九万七千六百五十五円のおもなものは、航空機修理用部品の購入価格が予定価格より低かったこと、油の値下がりにより油購入費を要することが少なかったこと、
昭和三十五
年度に契約をしたF104J、DJ二百機の生産が完結し、精算の結果、予定価格を下回ったこと、航空機騒音
対策費を要することが少なかったこと、及び土地の購入費等が当初の予定額を下回ったこと等によるものであります。
次に
昭和三十九
年度防衛施設庁の
経費について御
説明申し上げます。
当初の歳出
予算額は百三十三億九千九十六万円でありまして、これに
昭和三十九年九月以降
政府職員の給与を改善するための
予算補正追加額二億四百三十六万九千円、
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正により、
大蔵省が所掌しておりました合衆国軍事援助顧問団交付金に関する業務を、
昭和三十九年十二月二十八日より防衛施設庁が所掌することになったため、
大蔵省から移しかえを受けた額四億一千五百四十万円、駐留米軍の航空機墜落
事故が相次いで発生し、人身及び家屋等に損害を与え、その損害賠償を行なうため既定
予算に不足を生じ、
予備費を
使用した額三千五百六万四千円、また、
昭和三十九年一月以降、駐留軍労務者の離職者に支払う特別給付金の増額、及び駐留軍の縮小等により駐留軍労務者の大量解雇が行なわれたことのため、既定の
予算に不足を生じ
予備費を
使用した額九千三百万円、前
年度からの繰り越し額六億三千七十七万五千三百七十八円を加え、既定
予算の節約による
予算補正減少額二億二千四百四十八万円、提供施設周辺土地等改修
事業等に要する
経費として移しかえをした額、農林省所管農林本省へ七億六千五百四十八万円、
建設省所管
建設本省へ二億二千二百七十八万六千円を差し引きますと、歳出
予算現額は百三十五億五千六百八十二万二千三百七十八円となります。
この歳出
予算現額のうち、支出済み歳出額は、百二十六億四千五百五十万七千八百七十円でありまして、これを歳出
予算現額に比較いたしますと、九億一千百三十一万四千五百八円の差額を生じます。この差額は繰り越し額と不用額でありまして、繰り越し額は七億九千九十一万五千百六円、不用額は一億二千三十九万九千四百二円であります。
翌
年度繰り越し額七億九千九十一万五千百六円のおもなものは、施設提供等諸費でありますが、これは補助金
工事等において、アメリカ合衆国軍の事情または気象、用地の
関係、資材の入手難等により
工事等が遅延したことによるものであります。
不用額一億二千三十九万九千四百二円のおもなものは、施設提供等諸費でありますが、これは補助金の精算の結果によるもの、また、建物移転の補償において相手方と協議がととのわなかったもの等によるものであります。
予算の執行につきましては、
国民一般から多大の関心を寄せられておりますので、諸法規を順守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また、綱紀の粛正にも留意し、
国民の信頼にこたえるよう
努力してまいったところでありますが、
会計検査院の
昭和三十九
年度の
決算検査報告におきまして、不当事項として
指摘を受けたものが、防衛本庁二件防衛施設庁三件、計五件ありましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。
指摘事項の内訳は、物件二件、補助金三件についてでありますが、これにつきましては、よく部内に徹底させ、将来再びこのような過誤を繰り返すことのないよう、万全の措置を講ずるとともに、改善または検討を要するものにつきましては、すみやかに改善検討のための諸施策を推進する
考えであります。
また、繰り越し額が五十七億円になったことにつきましては、前に述べましたような特殊事情があったとはいえ、まことに遺憾に存ずる次第でありますが、今後は
予算の
年度内消化につきまして、格段の
努力をいたす所存でございます。
以上をもちまして
説明を終わります。何とぞ、よろしく御審議のほど、お願いいたします。