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1966-03-18 第51回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十八日(金曜日)    午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 壽原 正一君 理事 堀川 恭平君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 山田 長司君       福永 健司君    神近 市子君       栗原 俊夫君    中村 重光君       吉田 賢一君  出席政府委員         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君  委員外出席者         大蔵事務官         (国有財産局貴         金属処理課長) 上国料 巽君         会計検査院事務         官         (第一局長)  斉藤  実君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有財産増減及び現況に関する件(接収貴金  属等の問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  国有財産増減及び現況に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  3. 山田長司

    山田(長)委員 接収ダイヤ処理について、ことしの二月二十八日に、予算委員会の第二分科会におきまして、私が松永局長お尋ねをしたことがございますが、その記録がちょうどできておりますので、これによってさらにお尋ねを続けたいと思うのでございます。  第一に局長お尋ねしたいことは、九十二種類に分けているが、これを八種類に分けたのは、日本の現在の市場でプリベールしている種類よりも非常に多いので、もっと日本でプリベールする種類に分けたほうがよいというので八種類に分けたということが、十二ページの二段目に、記録として出ております。この分けたということは、これはおそらく松永局長個人のお考えでやったこととは思えません。これは大臣次官か、それとも両者か、この点まずはっきりしていただきたいと思います。それで、これは局長の権限で決裁をやったものかどうかという点がどうも私了解されませんので、決裁書があれば、その書類提出を願いたいと思うのです。
  4. 松永勇

    松永政府委員 九十二種類を八種類に分けたということは、先ほど速記録でお読みになったように、当時の日本としての、一般に上等のものか中等のものか下等のものかというような、比較的日本でプリベールしている種類に分け直したほうがよかろうということで、分けたということでございます。その分け直しは、この速記録にも述べておりますように、机の上で分け直したので、個々のダイヤを混淆するということはいたしておりません。それは米軍から日本政府返還になったときのままの袋の状態——袋というのは封筒でございますが、封筒に入っているその状態で置いてある、ただ、それを九十二種類でなしに、八種類分類別にして一覧表をつくりました、それは机の上でつくった一覧表でございます。ということは、しばしば山田先生の御質問についてお答えしているとおりでございます。このようにいたしましたことは、当時三十七年の鑑定をいたします際に、それのほうがよりいいであろうということで、いたしたと聞いております。その当時そういうことをするのは、もちろん接収貴金属処理課の起案によって、処理課長意見中心に論議して、そうきまったと聞いております。それが最終的な決裁書の形で、だれまで決裁したかということは、いまこの席上ではよくわかりません。あるいは、当時の局長課長と話し合って、そういうふうにしたかとも思いますが、いずれにしろ、そういうことでいたしたのでございます。  なお、そういう決裁書類がございましたら、お求めに応じて、提出いたしたいと思います。
  5. 山田長司

    山田(長)委員 本件を処理するにあたって、その決裁の衝にだれが当たられたかということは重大な影響があるものと私は思いますので、委員長から、大臣次官官房長決裁でやったのかあるいは局長だけでやったのか、この点を、資料として、当委員会提出していただきたいことをお願いいたします。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 松永国有財産局長、ただいまの山田委員の要請に対して、どのようにお答えになりますか。
  7. 松永勇

    松永政府委員 先ほど申し上げましたように、決裁書類決裁いたしておりましたら、その書類提出いたします。口頭処理しておりましたら、その旨をお答えいたしたいと思います。
  8. 山田長司

    山田(長)委員 こんな重大な問題を、口頭処理するということは理解できませんよ。これは必ずあるはずです。次官決裁であるか、大臣決裁であるか。種類別に分けたということにつきましては、かなり問題はあるのですから、この点は必ず書類上においてなされているものと思われますから、この点十分お取り調べを願います。その点、口頭処理するということは理解できませんよ。  委員長、この点はもう一ぺん局長にひとつお確めを願います。
  9. 松永勇

    松永政府委員 私も、いまそれを確認していないから、申し上げているので、これは事実でございますから、事実がそうでございましたら、そのようにいたしますということで、過去の書面が、そういう決裁があれば、そういうふうにいたします。いまからするということではなくて、過去の事実を申し上げたので、しかもそれは、確認してない事実として、申し上げたのであります。
  10. 山田長司

    山田(長)委員 なぜ私が、八種類に分けたことについてお尋ねをいたしますかというと、これにいろいろ疑問があるんですよ。大蔵省接収解除——ただいまも局長は言われましたが、二回にわたって分類をしておるということですが、この分類中心は、あなたもこの間の私の質問に対して言っておるように、前の調査というものは業者ばかりが中心になられた、だからその分類については問題があるということを私は聞くので、そのときの決裁大臣でやったのか、次官でやったのか、あるいは官房長でやったのか、ということを尋ねておるわけです。これは必ずあるのです。私は、あなたがその衝に当たっておるときでなかったので、わからないと言うなら許しますけれども、そんな大金なものの処理にあたって、口頭で八種類に分けたのだということを、しろうとの役所の人たちが言う筋合いのものじゃない。そこで、この点については、委員長から特にお取り計らいを願いたいと思います。  そこで、二回にわたってこれを分類した、これは業者が払い下げを受けるのに非常に都合のいいように分類をした、と世間ではいわれておるのです。そこで、しろうととして私が言いたいことは、科学的に専門家による意見ならば、これは了承しますけれども、まだこのダイヤは国内でとうてい処理できるものではないということが世間にいわれておるくらい、むずかしいものとされておる。それを何で、二種類分類してあるものを今回また分類するのですか。いままで何回もやられた分類表をひとつ出してください。一部はもらってありますけれども、前の分類表を出してみてください。
  11. 松永勇

    松永政府委員 山田先生にお断わり申し上げますが、連合軍から引き継ぎを受けた当時の分類連合軍分類した分類表は、当委員会に三十九年の二月十九日付で出された分類表書類がございます。これは米軍日本政府に引き継いだ当時の分類、と申しますのは、言いかえれば、米軍自身分類をしたいわゆる九十二種類分類でございます。それから次に、四十年の四月十三日に当委員会提出いたしました分類表、この表が、三十七年の日本政府調査の際に分類いたしました、いわゆる八分類といっておる表でございます。この資料は、それぞれによってこの委員会提出しております。
  12. 山田長司

    山田(長)委員 局長は、この三十九年二月十九日に当決算委員会に出した資料をいまだに固執しておるようでありますが、この資料は、あなた方何と言っても、だめなんですよ。この資料業者中心になってそろえた資料なんです。私は進駐軍日本政府に渡した当時の分類を持っているのですから、そういうでたらめなことを言ってはだめですよ。ここに問題があるのです。私は先ほど同僚の人たちにもそのことを話してあるのでありますけれども、出した書類がいいかげんであるから、その書類は違うじゃないかと言っておるわけです。進駐軍が引き渡した当時のほんとう書類を出しなさい、ほんとう書類を。だめですよ、そんなんじゃ。委員長、だめですよ、そんなんじゃ。どうして業者が出した書類というものを、当委員会に、木もののような形で出すのですか。どうしても私は理解できない。進駐軍が引き渡した当時の、ほんとう書類を出しなさい。私はほんとう書類を持っているのだから。この書類は、十五年前に、私は手に入れておるのですから。行監開設当時の書類ですよ。これは大蔵省になければならぬはずだ。
  13. 松永勇

    松永政府委員 ちょっと、私間違えておりました。おわび申し上げます。三十九年の二月の十九日に提出いたしました資料というのは、これは米軍調査、すなわち米軍から引き継いだときの、分類分類なんでございますが、個数その他が若干違っておるわけであります。それで、日本政府において引き継ぎを受けた時点において、すなわちこれは二十六年か七年だったと思いますが、調査いたしました。要するに政府確認した数量、それによってつくりましたものを、この三十九年の二月に当委員会に出しております。したがいまして、その数字と、米軍から引き継ぎを受けた数字とは違っております。違っておる表は、当委員会には提出いたしておりませんが……。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 何で出さないのですか。この違っておる書類というのは……。米軍が引き渡した資料をなぜ出さないのですか。
  15. 松永勇

    松永政府委員 この書類は、三十九年に出しましたのは、そういう書類、すなわち日本政府として確認しておる数字ということで出したのであろうと思います。当時、私担当でありませんので、その数字と違う、米軍そのもの数字というものを提出しろということでございますれば、提出いたします。  なお、この資料は、参議院決算委員会のほうには提出いたしております。
  16. 山田長司

    山田(長)委員 参議院のほうへ出したとか、衆議院のほうはあやまれば済むという、そんなことでは、この処理に当たれぬですよ。それは進駐軍が渡したときの資料というものは、なぜ当委員会にきょう出された資料と違ったものを出しているのですか。参議院ばかりではありませんよ。これは当委員会以前の、行政監察特別委員会に出した書類が私はあるのですから、だめですよ、そんなでたらめなことを言ったのでは。
  17. 松永勇

    松永政府委員 私、ことばが足らない点がございましたらおわびをいたします。この当委員会で求められた資料は、二十六、七年、すなわち政府引き継ぎを受けた後の、すなわち政府確認した数字のものを出すということで、出されたのであろうと思っております。もちろん米軍から引き継ぎを受けたときの数量と違うという事実はございましたが、当時この資料がいままでに当委員会に出ていなかったということは、おそらくこの数字提出を、もし過去に要求されたのであったら、前回三十九年に出したそのほうが、誤解によってこの数字を出したということになろうかと思いますが、いずれにしろ、そういう過去の、米軍がやったとき、米軍から引き継いだとき、それから日本政府引き継ぎ確認をしたとき、いろいろ調査の結果の表はございます。御要望があれば、そういうものを当然出しておったと思いますが、あるいは先生はそういうものを要望されておったのに、違った趣旨のものが三十九年に出ておるということでしたら、その点はおわびいたしたいと思います。
  18. 吉川久衛

    吉川委員長 松永局長、きょうの君の答弁の中で、二十六年であったか二十七年であったかというようなはっきりしない点があるので、質問者のほうで混乱が起きるように見えますので、日付等については、年月日等は明確にお答えをいただきたい。
  19. 松永勇

    松永政府委員 はい。
  20. 山田長司

    山田(長)委員 実は、大蔵当局がこういう答弁をするだろうと思って、予期しておったのです。それがために、理事会においては、つくってきた書類を配付してあるのです。おそらく大蔵当局は、いま局長が言った答弁をするだろう、こういう見通しをちゃんと持っておったわけです。はたせるかな、その答えである。ここへ出す以上は、当然持っている書類というものは全部提出すべきじゃないですか。どうなんです。その点。あなたは知らなかったので出さなかったのですか、それとも、知っていたけれども、どうせこの委員会には、最近の引き継ぎ以後の数字を渡せばいいのだろう、進駐軍書類を渡さなくてもいいのだろう、こうお考えになっておったのですか。
  21. 松永勇

    松永政府委員 私、三十九年の当時に、どういう当委員会要求があって、それに応じたどういう資料を出したかということは、その当時の委員会要求内容は、担当者でなかったので、よく知りません。ただ現実に委員会に出ておりましたのは、先ほど申しました、三十九年二月十九日に出しました書類が出ておる。なぜこの書類が出たのか、この書類要望でなかったのかということは、私、当時の委員会担当でありませんでしたので、よくわかりません。
  22. 山田長司

    山田(長)委員 世間では、業者中心になって出した書類、それをあなたは進駐軍が出した書類と言ったけれども、この書類業者中心になって調べたものではあるが、この書類といま日銀でやっている調査との結論は、そう違わないものが出るから見ていてごらんなさい、ということを言っているのですよ。だからこの調査というものは基本になるのですよ。この調査以前のものだから。この書類というものは、当然この委員会で問題にならなければならぬと思っていたのです。だから私は確かめたわけなんですが、ほんとうの意味の、進駐軍が引き渡した当時の原簿からとったもので、しかもそれは数的にも、日銀によこしたもののその数がはっきりしなくちゃならぬはずなんだ。その点、まず一応確かめておきます。
  23. 押谷富三

    押谷委員 山田委員質問に関連いたしまして、資料要求をいたします。  それは、当該ダイヤについて、昭和二十六年六月二十一日にアメリカ軍から日本政府に解除されて、このダイヤ日本政府に引き渡された。その後におきまして、昭和二十七年十月十日から昭和二十八年二月二日の間に、政府において、久米武夫松井英一巽忠春古川伊三郎金子政治の五氏に依嘱して、これを鑑定していらっしゃるのであります。その政府連合軍から引き継ぎを受けたというのと、それから、政府の責任においてただいま申し上げた五氏に鑑定をさせたその際におけるダイヤモンド個数が、たいへん違っているのです。私の持っているのも、これも政府から提出された資料なのですが、この資料によりますと、個数において米軍から引き継いだときには十五万六千個なんです。これが日本政府鑑定をされたときには百五十万になっている。十五万のものが百五十万。十倍の個数にふえているということに疑問があるのでありまして、重量においても多少減っております。袋の数においても多少減っております。ただ、ふえているのは個数だけがふえている。ダイヤ個数が十倍にふえている。数量は減っている。こうなると、ここにちょっと割り切れない感じがいたしますから、その間の関係を明らかにする資料がありましたら、お見せをいただきたい。これだけを要求しておきます。
  24. 松永勇

    松永政府委員 その資料はございますので、後ほど提出いたしたいと思います。  私、手元に一部持っておりまして、一応いま大ざっぱな御説明を申し上げたいと思います。  米軍日本政府に引き渡す際には、いわゆるIBMという米軍の記帳いたしました帳簿現物と、両方を引き継ぎを受けております。そのIBMの、すなわち帳面の数字によりますと、それがカラット数で十六万一千三百二十二・二二カラットということになっております。そのときの個数が、先ほど先生のおっしゃるように、十五万六千何がしの個数になっております。ところが、日本側現物調査いたしましたところ、その十五万六千個という個数の個という中には、状袋一つを個というふうに米軍は数えておったようでございます。と申しますのは、その袋の中に、実際問題としてなかなか数えられないほどの小さなものがございます。そういうものを、米軍は一個というふうに数えまして、袋の一個を使ったわけでございます。日本側返還を受けましてから、そういう小さなものであっても、数えられるものはこれを数えたわけでございます。ペン先をもって、こうやって一つ一つ数えたわけでございます。そういうので、非常に個数がふえた。なお、日本側におきましてもさらに数えられないような、非常に小さなものがございます。そういうものにつきましては、一応推定して個数を出しております。
  25. 吉川久衛

    吉川委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時四分休憩      ————◇—————    午後三時四十六分開議
  26. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田長司君。
  27. 山田長司

    山田(長)委員 先ほど押谷委員から局長質問があった場合に、押谷委員質問に対して、袋のことで答弁をいたしましたが、これは第三者が聞いた場合に、いかにももっともらしく聞こえますが、これは答弁では、私に言わせれば、たいへん間違いだと思うのです。なぜ私そういうことを言うかというと、第四番目のADの数は、前の数よりあとの数のほうが減っているのです。こういう点は、これはもし袋に入れてあるものとするならば、前の数からあとの数が減るなんという筋合いのものじゃないのです。私は、このことは、いずれあとで機会を見て聞きますから、先ほどの押谷委員質問に対する答え相違だけをちょっといま申し上げました。  次に、この間の私の質問に対して、速記録で、局長答えられております内容を見ますと、前回業者ばかり多かったので、今度は学識経験者等、知識のある人も入れて鑑定をするのだということでありました。ところが、今回の鑑定者を見ますと、御承知のように、菅原さんは売春問題では大家かもしれないけれども、ダイヤのことについては、随筆のようなものを出版されておるということは知っておりますけれども、鑑定についてどういう見識をお持ちになっているかということを、私は聞いていない。そういう点で、売春問題以外にダイヤモンド鑑定のできる鑑定者として選んだ理由、この点はどういうことなんです。
  28. 松永勇

    松永政府委員 ダイヤ鑑定をするということは、ダイヤ品質等鑑定は、菅原先生とか、一般にそういう方は相当おられるようでございますが、今度私たちがやっております鑑定は、そういう品質と同時に、入札の前提となります予定価格をつくる鑑定でございますので、そういう点では、そういう専門家というものは、選ぶのになかなか少のうございます。菅原先生は、その本の中にも書いておられますように、コンゴに出ていかれまして、そういうダイヤの仕事をなさったという経歴もお持ちでございます。それから、私たち個人的にいろいろお話を聞いて、鑑定について適当な人というふうに考えて、今回委嘱をした次第でございます。
  29. 山田長司

    山田(長)委員 どうもその点も、私納得できません。  それから、ヘンダーソンは、これは外務省を通じて委嘱したのか、あるいはまた米国から派遣されたのか、こういう点で個人的に雇った者なのか、その点も、実は、この方に依頼をしたとアメリカに連絡してあるんだということが、この間の予算分科会の席上では局長から答えられたのですが、この経費はどこが持つのですか。
  30. 松永勇

    松永政府委員 ヘンダーソン氏を依頼しましたのは、大蔵省から依頼いたしましたが、ワシントンにある日本大使館を通じて依頼したものであります。アメリカ政府を通じてということより、ヘンダーソン個人でございます。なお、経費は、日本政府大蔵省が負担するわけでございます。
  31. 山田長司

    山田(長)委員 この間の私の質問に対しましては、ヘンダーソン機械を非常に重視される方であるということを言われておりますが、これらの機械を貸してもらったのか、それとも日本政府機械を買ったのか、この点について、ヘンダーソンのいまの鑑定やり方等、わかったらお知らせ願います。
  32. 松永勇

    松永政府委員 ワシントンにある大使館を通じて、いろいろヘンダーソン氏にお願いをしていました際に、こういう機械はそちらで貸してもらえるか等の、いろいろなこまかい打ち合わせがございました。向こうの要望する機械につきましては、私のほうで借り上げて提供するということを申しました。現に、そのようにしてやっておると思います。
  33. 山田長司

    山田(長)委員 この間の質問のときに、米軍から引き継がれたリストは出してもらいたいということを言ったときに、局長は、「十一冊かどうか正確に知りませんが、米軍からの資料はすべて引き継いでおります。」こういう答弁が、私の質問に対して出ています。一体このとき十一冊の書類があるということを知っていたのか知らなかったのか、局長に伺います。
  34. 松永勇

    松永政府委員 私、そのとき存じませんでした。十一冊という数字は知りませんでした。
  35. 山田長司

    山田(長)委員 国有財産局長が知らなかったということは、実に私は意外です。  会計検査院にちょっと伺います。会計検査院来ておりますね。国有財産局長がこの書類を知らなかったということは、実に私は意外です。会計検査院は、国有財産増減について、この十五冊の金の延べ棒白金、十一冊のダイヤモンド、こういうものの検査をしていると思いますが、会計検査院当局は、これの増減等がわかったら、ひとつ明らかにしてください。
  36. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 国有財産増減については、もとより検査をいたしておりますが、ダイヤモンドにつきましては、三十四年に処理法ができまして、その翌年・三十五年に検査指定をいたして、やっておるような次第でございます。
  37. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、昨日、日本銀行とそれから大阪造幣局東京の板橋の造幣局支局にある貴金属延べ棒、そのほかいろいろな白金、金、銀、貨幣等につきまして、この三カ所に分散されているほかに、先ほどの理事会に出された書類によりますと、三カ所以外のところにもあるということが明らかになった。一体何のために——これはあとで聞きますけれども、そうすると大蔵当局国有財産局長も知らないような状態なんですから、おそらく会計検査院だって知らないでいたのに相違ないと思う。会計検査院当局は、七十四冊の貴金属延べ棒貨幣、それらについては検査をしておりますか。
  38. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 現在までのところ、検査いたしましたところでは、日銀とそれから大阪造幣局東京支局以外については、やっておりません。そこの法定帳簿現物との確認をしておるところでございます。
  39. 山田長司

    山田(長)委員 それは大問題ですよ。終戦後二十年の歳月が経過しておりますのに、会計検査院当局が、これらの国有財産増減について調査をせずにおった。一体どういうわけで調査をせずにおったのです。その調査をせずにおった理由を明らかにしてください。
  40. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 三十四年に処理法ができまして、三十五年に指定をして検査をする以前のことにつきましては、従来、これは院内のことでございますが、国有財産検査課でもって検査をしておりまして、処理法ができましたあとに、大蔵検査課に、そういう貴金属検査をすることを所管がえをしたわけでございます。そこで、大蔵検査課に移管をします前、国有財産検査課でやっておりました時分には、非常に国有財産の移動がたくさんございまして、国有財産検査課としては人手の不足があったり、またいろいろな事情がございましたことと、かたがたダイヤ貴金属というものが、日本銀行から造幣局等、比較的はっきりした場所に所蔵されておるということでもって、検査しなかったものと考えます。
  41. 山田長司

    山田(長)委員 あなたは、はっきりしたところだということを言っておるが、けさ理事会の席上で、この三カ所以外にあるということが明らかになったのですよ。そういうことが明らかになってきておる。置いてある場所がはっきりしておるからそれでいいのだ、そんなことで会計検査院の仕事がつとまりますか。少なくとも、大蔵当局の言う三カ所のほかにあるかないかくらいのことは確かめて、しかる後に会計検査院は年次報告をすべきじゃないですか。なぜ年次報告をしないのですか。
  42. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 いまのお話でございますと、三カ所以外にもあるということでございますが、私のほうで検査した限りにおきましては、三カ所以外にはないということになっております。
  43. 山田長司

    山田(長)委員 大蔵省答弁
  44. 松永勇

    松永政府委員 私たちも、いまの三カ所以外にはございません。
  45. 山田長司

    山田(長)委員 それでは、けさの書類は何ですか。委員長、何のために、けさの理事会書類を出したのです。その点は、どこから委員長聞いてきて、けさの理事会に三カ所以外のところの問題について、処理を求めたのですか。
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。山田長司君。
  48. 山田長司

    山田(長)委員 先ほど理事会に出された保管場所、それは日数がかかるから台帳で、こう書いてある。私は了解した。日時がかかるから台帳で、と書いてある。こう言うので、私は了解したのです。それじゃ何で日時がかかるのですか。
  49. 上国料巽

    上国料説明員 私どもは台帳の写しというふうに了解いたしました。非常に膨大な資料でございますので、それの作成にはかなりの日数を要しますので、できましたならば、原簿でごらんいただきたいというふうに委員部のほうに申し上げましたら、それでけっこうだということでございましたので……。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 議事進行。この点は、あなたのほうの御説明が尽くさぬから紛糾するおそれがある。何々のものは、数量は、どこにあるということは、よく調べなければかわらぬかもしれぬが、しかし究極、一切のものは、どことどことどこにあるということを、住所、保管者等を明確になさったら、それでいいと思う。その内容の、数量、それからまた種類、カラット、そういうことはまた別問題です。要するに全体がどことどことどことにあるということ、それを明らかになさったら、あなたのほうの答弁は済むわけです。もっとほかにあるということであるなら、御主張になりますから、それに対してひとつ十分問答してもらいたい。
  51. 松永勇

    松永政府委員 説明員のほうがあまりよく理解していないために、混乱をいたしたようでございます。申しわけございません。  先ほどのお話のように、保管場所等を別に書面で早急に出したいと思います。
  52. 山田長司

    山田(長)委員 書面の必要はない。口頭で言ったらいい。
  53. 松永勇

    松永政府委員 申し上げます。三カ所に保管いたしております。一つは日本銀行の本店。保管を依頼しておりますのは、日本銀行の地下金庫に保管を依頼いたしております。法律的性格から言えば、日本銀行の総裁だと思います。次は造幣局の本局、大阪にございます。造幣局長に保管を依頼いたしてあります。それからもう一つは、造幣局東京支局に保管を依頼いたしております。これは支局長に保管を依頼いたしております。以上でございます。
  54. 山田長司

    山田(長)委員 それはダイヤの保管ですか。
  55. 松永勇

    松永政府委員 接収貴金属等全部でございます。ダイヤは、日本銀行の本店だけでございます。
  56. 山田長司

    山田(長)委員 この間の予算委員会答弁で、日本銀行の五つの金庫にダイヤが保管されているということを松永局長は言いましたが、間違いありませんか。
  57. 松永勇

    松永政府委員 五つと申しましたのは、地下金庫の大きな金庫は一つでございますが、その中にロッカーが五つございます。そういう意味で、五つと申し上げました。
  58. 山田長司

    山田(長)委員 ロッカーというものはどのくらいの大きさのもので、どんなかっこうをしておるのですか。この五つというのは。
  59. 松永勇

    松永政府委員 ちょうど書類を入れます。ああいうロッカーでございます。それが五個でございます。
  60. 山田長司

    山田(長)委員 私は写真をとってきてあります。それはどういう形で五個というのか。かっこうは……。そういうふうなものが五個あるという意味ですか。
  61. 松永勇

    松永政府委員 ああいうロッカーが五個でございます。
  62. 山田長司

    山田(長)委員 ちょっとこれを見てください。六個並べて積んであります。   〔山田(長)委員政府委員に写真を示す〕
  63. 山田長司

    山田(長)委員 これですか。間違いありませんか、そのロッカーは……。
  64. 松永勇

    松永政府委員 現在保管しておりますのは、そういうのではなくて、ああいうロッカーでございます。これではございません。私も現物確認しております。
  65. 山田長司

    山田(長)委員 ダイヤは、この六つの箱にいつ入れかえをしたのです。
  66. 松永勇

    松永政府委員 いまの私が申します。現在あるロッカーに入れかえたというのは、二十七年の鑑定の際だそうでございます。
  67. 山田長司

    山田(長)委員 それでは、その鑑定のロッカーには、どういう封印がしてありますか。
  68. 松永勇

    松永政府委員 説明員をして説明させます。
  69. 上国料巽

    上国料説明員 ちょうどロッカーの上のほうでございますが、そこに封印をする個所がございますので、そこに封印をいたしております。
  70. 山田長司

    山田(長)委員 その封印は、どんな形の封印をしてありますか。
  71. 上国料巽

    上国料説明員 こよりの形にしまして、両方を結び合わしておるわけでございます。
  72. 山田長司

    山田(長)委員 接収ダイヤの箱の封印は、大蔵省の係員のしたものでありますが、その封印には、むろんかんじんよりで巻いてしてあるが、一つの紙には一人の人の判しか押してない。これは知っていますね。係なんですから、あなた知っていますね。
  73. 上国料巽

    上国料説明員 初期の、二十七年のころは、当時は一人の印鑑でしておりましたが、現在は二人にいたしております。
  74. 山田長司

    山田(長)委員 私はなぜこんなことを聞くかというと、一人の封印のときにもいろいろ風説が立っておる。この間、局長は、職員は一人で絶対に入ったことがないという答弁をされておる。この記録の十三ページ、見てください。ところが、この十三ページの四段目には、一人で入ったことがないと言っておるけれども、ちゃんと一人で入っておる人があるのだ。速記録を見てください。私の質問に対して、局長答えておるのです。一人で入ったことがない、十三ページ四段目、そういう答弁をされておる。ところが記録を見ますと、一人で入っておることがあるからふしぎなんです。その記録を見ればわかる。それで日銀の人が立ち会っていることになっている。なっていても、実際は日銀の人には何の権限もないのですから、だから問題が起きるわけですよ。この点はどうです。
  75. 松永勇

    松永政府委員 この委員会の席上、予算委員会分科会の席上でも、山田先生お答えいたしましたように、たしか二十六年に一人で入ったという記録がございますということを申し上げたと思います。そのことについて、一人で入ったかということを調べましたところ、日本銀行の係官と一緒に入ったということだということも、その当時申し上げたと記憶いたしております。
  76. 山田長司

    山田(長)委員 ところが、箱の中身については、日銀の職員は、一緒ではあるけれども、全然何の責任もないのです。たとえば十人の日銀職員が一緒に入ったとしても、箱の中のダイヤについては無関係なんですよ。これはあなた方もよく知っていると思うんだ。そこに問題があるのですよ。だから、あるいはそんなことはないと思うけれども、ガラス玉とかえられたってわからないような事態なんです。何で私はこんなことを言うかというと、私が日銀の地下室へ入ったときに、あそこには百万円の束が、みんなたなの上にずっと並べてあったじゃないですか。だから、日銀の地下室から盗み出された百万円の束が銀座に落っこちていた、それだって、犯人がいまだにわからないのです。こんなことでは、日銀の信用というのはがた落ちだと思いますよ。いまだに百万円の犯人はあがらないじゃないですか。あんなような形で置かれているから、こういうような間違いが起こったんだと思いますが、とにかく、この鑑定をめぐりまして、いろいろ風説が流布されるだけに、やはり、これは当局といたしましても、こういう事態があったということを心にとめ置きながら、鑑定者の選定というものをやらなければならなかったはずです。私はもう一ぺんここで局長に、この間、課長に言ったけれども、きょうは局長、あなたに耳に入れておかなくちゃならぬと思うのは、十二日の日に、課長課長補佐が私の部屋に来たときに、この鑑定者を選ぶにあたって、一体鑑定者はいつきまるんだと言ったときに、まだきまっていません——局長、こういう答えを十二日の日に、課長がしているのですよ。十三日一日おいて十四日の日には、もう鑑定者が集まっているのです。打ち合わせ会議が、十四日の一時から日銀で開かれている。十五日から調査にかかった。十五日のうちに、二時間半で十五袋の検定が終わった。それはなかなかスピードをかけなければ、二千九百六十八袋の検定はできないのかもしれませんけれども、とにかく二時間半で十五袋の調査が終わっている。一体このいきさつは一あらためて伺っておきますけれども、どうしてこんなスピーディーに鑑定する人がきまったのですか。十二日に聞いて、そのときにはまだきまっていませんと言っておきながら、十四日の日に決定をして、調査にかかったのですか。
  77. 松永勇

    松永政府委員 この鑑定は、公正にやるということを念願といたしまして、いろいろと検討いたしておったわけでございます。予算分科会のときにも申し上げましたように、ヘンダーソン氏を入れるということにしまして、これは昨年の秋から、そういうことでヘンダーソン氏と交渉いたしております。日本人の鑑定人につきましては、種々検討いたしておりまして、正式に依頼をいたしましたのは二月の七日でございます。その個々の依頼をした方々から、十二日ごろまでにその承諾書が参っております。   〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕 そういうことで、もし、課長先生に対して、全然きまっていないということを申し上げたならば、それは、あるいはまだ課長自身が正確なる受諾書を承知していないという、非常に厳格な意味に解して、そういうことを申し上げたのかもわかりませんが、実際は、いま申し上げましたように、七日に、こちらとしては決意をいたしまして、依頼書を出したということで、おおむね進行状況はそういうことにあったわけでございます。そういう点、課長説明等が十分でなかった、あるいははっきり申さなかったというような点がございましたら、これはおそらく課長として、責任者である私に断わってなかったために、そういう結果になったのじゃないかと思います。責任者として、私からおわびいたしたいと思います。
  78. 山田長司

    山田(長)委員 それで、これは局長に申し上げておきますが、私と決算の池田室長と、私の部屋で、そのことを確かめております。いつきまるのかということについて、きまらないという答えのことも聞いております。  それからダイヤモンド及び貴金属処理につきまして、私は十一冊といったことについて、課長は、いや十一冊目なんだということで、内容がわかったのですが、それじゃ一冊から十冊までのものは何かということになったわけです。それでそのままお帰りになった。それはいずれ御報告しますということで帰った。あのときに言わなかったけれども、あと十五冊あるんだ、そのほか七十余冊のものがあるのだということを、何のために、私が聞いたときに言わなかったのです。池田室長も私の部屋におるのですから……。それを言わなかった。私は、池田さんが部屋に帰られてしまったから、これは私だけじゃなくて、池田室長にも話してくれということで——あとあと書類が発見されたわけですけれども、これは何のために言わなかったのです。帰ってから会議でも開いて報告する、という形をとったものなんですか。
  79. 上国料巽

    上国料説明員 その点は、私、不勉強のために十一冊かと思っておって、そう申し上げたのでありますが、確認しましたところ、十五冊ということで、間違いでございましたので、さっそく御訂正申し上げたわけなのでございます。
  80. 山田長司

    山田(長)委員 あなたは、それが専門の貴金属課長ですよ。その課長が、しかも日本の何百億あるいは何千億になるかもしれない貴金属の原簿を十一冊で、十五冊と知らずにいた、こんなことは聞こえませんよ。これはあまりにも課長としての責任がなさ過ぎますよ。そこへもってきて、局長だってそうじゃないか。局長だって、それをいままで知らずにいた。十一冊しか知らずにいた。これでは日本の財産というものを監督する会計検査だって、できっこありゃしない。会計検査の衝に当たる人たちは、おそらくこれでは帳簿の調べようがなかったということはわかるが、この点について、会計検査の衝に当たる人たちは、一応疑問を持たなかったのですか、いままで二十年の歳月。どうなんですか。
  81. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 貴金属処理法ができましたときに、国の財産になったわけでございますので、そのときには、付属の省令でもって、個数とカラットを表示した台帳ができまして、それと現品との照合はずっといたしてきておるわけであります。
  82. 山田長司

    山田(長)委員 カラットとか現品とかじゃなくて、一冊から十五冊まで、金、銀、プラチナ、金の延べ棒、それからさらに今度は金貨類がたくさん出てきているというのだ。それじゃ、会計検査もこれはやらなかったのですね。ダイヤだけやったけれども、一体どうしてこれはやらなかったのですか。
  83. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 この台帳に基づきまして、ダイヤ以外の貴金属についても、現物確認をいたしております。
  84. 山田長司

    山田(長)委員 ダイヤ以外の現物確認をしておるのですか。
  85. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 帳簿と現品とを照合いたしております。
  86. 山田長司

    山田(長)委員 聞えなかった、もう一ぺん言ってください。
  87. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 帳簿と現品の確認はいたしております。
  88. 山田長司

    山田(長)委員 大蔵省国有財産局長が知らなかったというのに、もし会計検査院当局が知っておったとするならば、これは称賛に値すると私は思います。  そこで、それじゃ会計検査院当局に聞きますが、現品の照合、それからダイヤモンドの照合等について、間違いがあったかなかったか。これはあなたで無理ならば、会計検査院長にいずれ答弁を願うことにします。照合してみて、間違いがないとするならば、これはいずれ新しく伺うことにしますけれども、ほんとうに照合に間違いがなかったですか。
  89. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 省令に基づきます法定の帳簿と現品とは、たとえばその袋の中にどれだけ入っておったか、というようなこまかいことはいたしておらないと聞いておりますが、袋そのものを勘定いたしまして、それから、個々に見分けられるものはそれを見まして、照合いたしております。ただ、この三十四年の処理法以前のものについては、やっておりません。
  90. 山田長司

    山田(長)委員 それはダイヤ以外のものはやってないのじゃないですか。何で正直に言わないのですか、会計検査院は。
  91. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 私の聞いた限りにおきましては、たとえば銀なら銀のインゴットでもってその秤量をいたしまして、台帳と照合しておるということになっております。
  92. 山田長司

    山田(長)委員 いずれこのことにつきましては、またあらためて伺うことにしますが、この世の中で何よりも価値のあると称されるダイヤモンドを、袋のままの検査で、あなた方はそれでダイヤモンド検査はできたと思いますか、会計検査院当局
  93. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 もちろん、その袋の中の品物を一々検査すべきであったと思いますが、非常にこまかいもので、その中にはちょっと選別もできかねるほどこまかい、ということで、袋だけでもって検査いたしておるような状況でございます。
  94. 山田長司

    山田(長)委員 幾ら小さくても、そこらの川原の石とは違いますよ。国民が聞いて、そんなことで納得するものはいないと私は思うのだ。どんな小さいダイヤでも、一つが何万と金額がするものを、小さいものだから袋のままで数えた。これで会計検査ができると思うのですか。こんなことで会計検査ができるなら、苦労は要らないですよ。私は、会計検査の衝に当たる人たちは、国民の一銭一厘たりともこれがむだにならぬように努力をするのが、会計検査の掌じゃないですか。袋で検査して、それでいいんだ。この袋の数量に違いがあり、品質に違いがあった場合には、会計検査はこれで完全なものと思いますか。
  95. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 袋を全部検査はいたしませんでしたが、二、三袋を抽出的に調べてはおります。全部はやっておりません。
  96. 山田長司

    山田(長)委員 ただいま聞いたような答えで、とにかく二千九百六十八袋のうち、摘出して適当に袋の検査をやったということでございますが、常識的に考えてみて、十や二十の袋のダイヤを開いて見て——それしかないもので、そのうちの半分くらい開いて見たというなら話はわかるのですよ。非常に数量の多いもので、これは会計検査が、自分のところでできなければ、私がいつも話をするように、今日の会計検査では、実際においてできないものがありつつあるのです。原子炉の検査会計検査院にしろといった場合に、なかなか今日の会計検査院の機構をもってしてはできないのだ。それから二マッハの飛行機の速度の問題、飛行技術の機械状態について調べろということは、なかなかこれはできっこないのです。だから、決算のために、いつか佐藤総理に来てもらって、決算にも、自分でできないようなものについては、委嘱してでも検査しなくちゃならぬということを言ったことがある。その予算は組むことになっておる。だから、あなた方にできなければ、一個、一個が何万円とする価値のあるものだ。中には、何百万円もするものがあるのですから、当然これは委嘱してやるべき筋合いのものだと思うのですよ。これはあなたにはなかなか答えられないと思うのですけれども、これは今度の場合には事後検査はできないと思うのですよ。大蔵省が売っ飛ばしたら、事後検査なんてできやしないですよ。これは当然大蔵省と並行して検査をやるべき筋合いのものですよ。あとになったら検査したくたって検査できないですよ。道路や橋なら、これは検査はできるかもしれないけれども、これは売っ飛ばされたあと検査しろといったって、幾らりっぱな検査官に検査しろといったって、数が多いのですから、検査できないですよ。どうお考えですか、会計検査院はこのことについて。
  97. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 お説のとおり、売却が済みましたあとには、相手方のところにまでトレースしていって検査することは、権限上できません。また、おっしゃるように、技術的にも、その表示といたしましてもこれはカラットと個数だけが書いてございまして、品質は書いてございませんし、われわれとしましても、これを見まして検査するということは不可能だと思っております。ですから、もう少し十分に検査をいたすといたしますれば、やはり特別の機関に委嘱をいたしましてやるべきであったと考えられます。このダイヤについては、こういうことをいたしておりませんけれども、その他いろいろのものについて検査をいたします場合に、自分のほうに能力がない場合は、たとえば工業技術院でありますとか、あるいは不動産の鑑定士とか、いろいろな人に委嘱して検査をいたしておる実情でございますが、ダイヤについてはいま申し上げましたように、別にそういうことをいたしておりません。完全にやるとすれば、そういったこともしなければならないかと思いますけれども、いずれにいたしましても、まだ売却されていない以前のことでございますので、会計検査院といたしましては、行為がなされた以後に検査するということが、一般的にはたてまえとなっておるわけでございます。
  98. 山田長司

    山田(長)委員 一般的にそういうたてまえになっている以上は、それをこの際やらなければいけません。これは国民の財産であります以上、当然やるべき筋合いのものです。袋のまま数えて、袋のまま摘出して検査した。とにかく二千九百六十八袋あるのですよ。そういう数の多いものの中から摘出して、これでいいんだ。品質も色彩も何もわかっていません。これじゃ納得しませんよ。いまやっている検査だって、ちっとも科学的な検査じゃないじゃないですか。このダイヤには執念がこもっている。なぜかというと、これはあとで言おうと思っていた。このダイヤについて、奇怪なダイヤということで、こんなにでかでかと扱った新聞がある。このことについては、これは神近委員も、同僚坂本議員も、私も大阪へ当時調査に行ったことがございます。何としてもこれは理解ができないことだ。関係検事にも会った。病院の診察した医者にも会った。全くの変死体です。三日前に健康でぴんぴんしていた人が、からだに斑点を残して死んでいった、家族が着くまでの間に焼かれてしまった、こういう事件もあるのですよ。   〔押谷委員長代理退席、委員長着席〕 それだけに、このことの処理は、会計検査院当局も、袋のままの検査だなんていう、そういうことじゃなくて、一個何万円もするものがあるんですから、これは当然念入りな検査が行なわれて、しかる後に了解点に達したということになったならば——大蔵当局がいま、肉眼で、老人連中が一生懸命やっている。いま機械があって、機械の価格なんというのは、宝石学会から出しているものを見ればわかるのですが、一万二千九百円で買える機械がある。そのほか顕微鏡も、価格にしてみれば高いものじゃない。三万三千円くらいで買える。こういう機械を使わないで、古時計に油を注ぐときに使うような機械を目にくっつけてやっているのが、この間新聞に出ていた。何で機械鑑定をやらずに、ああいう、でっち小僧上がりか何かの人——ヘンダーソンは技術屋でりっぱな人かもわかりませんが、私はいまの鑑定人に対して尊敬している人は一、二しかない。何でああいう商売人を頼まなければ鑑定ができないのですか。
  99. 松永勇

    松永政府委員 ダイヤ鑑定というのは、私もよくは存じませんが、非常にむずかしい。特に私たちは入札価格、入札の予定価格をつくります。すなわち価格にこれを表現しなければならない。その価格を鑑定していただくということは、やはり学者だけではなかなかむずかしい。しかも現在の取引価格ということでございますと、そういう専門家を入れなければなかなかわからないというのが実情のようでございます。いろいろ検討いたしました結果、そういう人も入れる、学識経験者として砂川先生、崎川先生あるいはヘンダーソン先生、それから菅原先生のような方にも入っていただいて、従来ただ業者だけで価格をつけたという点をチェックするという考え方で、今回は鑑定人も十一人に増員いたしました。そういう方々にも入っていただくということで、現在鑑定をいたしておるところでございます。
  100. 山田長司

    山田(長)委員 大蔵当局が、あるいはまたこの鑑定者人たちが、この世界水準の価格表によって——実はこの書類要求したのですが、きょうは大蔵当局からは出ませんでしたけれども、実は国際価格のダイヤモンドの価格表というものを持っております。この価格表に従いまして、この学会の、東大の博士なども入っている人たちによると、この書類に従って、傷のあるもの傷のないもの、このダイヤはこのうちのどれかに当てはまるという。そんなに局長が言うようにむずかしい問題ではないんだ。女の事務員でも、このどれに当てはまるのかということは、めがねで見さえすれば、色彩の検査をするとかで、このうちのどれかに当てはまるという。そして、この価格表に当てはめればいい。どうしてそんなにむずかしく考えなければならないのですか。私は専門家に聞いてきて、なるほどこの二十年の歳月というものは、りっぱな鑑定方法ができたものだと、実は私は非常に喜んで、こういうものを、今度は大蔵省が使った形で鑑定がされるものだと思った。こういうりっぱなものがあるんじゃないか。それを、時計の油でもさすような機械で、こんなことをして、のぞいているじゃないですか。新聞に出ているのを見ますと、そんなことでのぞいて調べているようです。一体、こんなことで国民の財産が簡単に処理されていいとは、私はどう考えてみても思いませんよ。それで、このダイヤの問題につきましては、いまから十五年前に、行政監察特別委員会があったときに、その特別委員のメンバーになって、自乗それから先検討してきたのですが、政府ではいつでも、六十八億から七十二億くらいなものだと国会に答弁している。具体的に六十八億とか七十二億くらいだというその根拠は、どこから出して、いままで新聞に発表したのですか。六十八億か七十二億くらいの価格のものだという発表のしかたは、何を根拠にしてやったのですか。
  101. 松永勇

    松永政府委員 七十二億というのは、この委員会でも御説明しましたように、米軍の管理下に評価した金額、それから六十八億は、三十七年日本政府の手で鑑定人に鑑定させた金額の集計をいたしました結果の数字でございます。
  102. 山田長司

    山田(長)委員 国がこのダイヤを買い上げた当時の価格を知っております。当時の物価に対照しますと、世の中の一般通念上における物の価格というものは、私は数百倍の価格になっておると思いますよ。ダイヤだけがなぜ上らないのですか。ダイヤだけをなぜ二十年前の鑑定のしかたをするのですか。この根拠を伺いましょう。
  103. 松永勇

    松永政府委員 先ほどの数字は、この前鑑定したものの数字でございます。今回は、いま鑑定をやっておりまして、その結果が幾らになるかということはまだわかりません。いずれにしろ、それは予定価格、すなわち公入礼をいたします場合の予定価格をつくる作業でございます。実際に売り上げの結果は幾らになるか、これは入札をやってみた結果になります。なお、一般の物価に比べて、その値上がりが安いじゃないかというような御質問と思われます。ダイヤの価格の推移が、他の不動産に比べてそれほど高くないじゃないかという点を御指摘になっておるのだろうと思います。従来の価格が幾らであるかということも、接収の解除を受けた、返還を受けたものに相当する部分が幾らであるかということも、正確にわかっておりません、考え方としては、現在の適正な時価を算定し、それを予定価格として公入札にするという考え方であります。
  104. 山田長司

    山田(長)委員 しからば参考までに申し上げておきましょう。大蔵当局では、当時の買い上げ価格については全部国債で、一億六千四百五十五万七百六十八円出したことは御記憶でしょう。当時の物価に対照して、かりに物価が六百倍としたならば、九百八十七億三千万円と評価することができますよ。七十二億、七十二億と言っておるけれども、何のために七十二億と言わなければならぬのか。発表するつど言われるのでふしぎに思っておる。当時進駐軍はこれを世界的な評価にして、当時のニューヨークの大口卸売り相場として現地でこれを評価したときに、一カラット四百五十ドルと発表した。一九四六年六月です。一九四九年の七月に再評価をしたときに幾らと発表したかというと、十六万一千カラットが七千二百四十五万ドルと査定した。当時日本円にいたしまして二百六十八億八千二百万円に査定しておるのですよ。これを今日の米国の物価に対照して、三倍として見るならば、七百八十二億四千六百万円、こう見ておる人もおるわけですよ。それがいま局長答弁で、これは七十二億、あるいは六十八億——多少これに色がつくものだと思われますけれども、国会で何がゆえに、常に七十二億と評価して、これを評価額のような形で——あなたが発表しておると言っておるのではない、どこで発表しておるか知らぬけれども、七十二億、七十二億ということを発表するのですか。これはあなた方に質問するのは無理かもしらぬが、どこがこういうことを一番最初言ったのですか。
  105. 松永勇

    松永政府委員 私の承知しておるところでは、この評価額は国会で最初に申し上げました。自後、新聞記者等の発表の際に、その数字は申し上げた。それが一般に七十二億あるいは六十八億と比較的よく知れわたったのだと思います。
  106. 山田長司

    山田(長)委員 ダイヤモンドの価格につきましては、当時行監に私はいて、各地を歩かされたので、千葉へ行き、北海道に行き、このことのために各地を走り回ったのも、このダイヤが出ることによって、日本の貧しい人たちがどれくらい救済されるかという、そういう情熱で私は動きました。残念でございますが、ばかやろう解散で、それらの法案ができたのがついに流れてしまいました。私はいまでもこのことについて情熱を持っておりますのは、これが正当に評価されて、そうして国民のものにこれが還元される日を夢見て、実はこのことの調査に情熱を打ち込んできたわけでございます。ところが、この調査にかかった人たち——これは行監の局長の死であります。これは必ずしもこの怪死は、変死ではあったけれども、どういう原因の死に方であったか、私はいまでも疑問に思っておる。当時青木さんの死についても、いまだにこの死の原因は明らかでない。おそらくこのことについては、私と一緒に神近委員が現地へ行きまして調べておりますが、これはどうしても信じられないのです。そういう幾多の問題が、このダイヤの問題につきましては、不明確なものがあるのであります。それで、この間、週刊雑誌にも青木さんの奥さんがいまだにあきらめ切れず、うちの主人は殺されたと絶叫しております。これは、たびたび神近委員が青木さんの奥さんに会っておりますから、私よりも神近委員のほうがこのことは詳しく知っております。進駐軍から引き継がれたダイヤは十六万一千カラットのダイヤでありますが、このダイヤ以外にも、私はダイヤモンドがどこかにあるのではないか、こういう疑念を持ちながら、この質問をしているわけでございますけれども、一体、この不可解な事件のあとに、私はさらに局長に開かなければならぬのは、この間の質問に対して「交易営団は財団法人であった」と言った。この速記録の一五ページの三段を見てください。あなたは財団法人と言った。これはりっぱな公益法人であって、財団法人とは違った公法人です。これはその存在を、何がゆえにその交易営団というものをいまだに解散をさせずに、今日存在をさしているのですか。どうも私には理解ができない。何のために、二十年たった今日、いまだに残しておくのか。この法人の構成、予算、決算・清算の状況、これらについて、委員長から資料大蔵当局から出させてもらいたい。  そしてなお、なぜこの間の私の質問に対して、財団法人と言ったのか、この点も局長からこの機会に明らかにしておいてもらいたいと思います。
  107. 松永勇

    松永政府委員 私は実は交易営団のことは、戦前の法人であったし、監督官庁はこれはたしか通産者であったと思います。そういうことで、その点はよく知らないで、要するに政府とは別の人格の法人であったはずだ。それは性格からいって公益法人ではないかと思って、御答弁したわけですが、先生がおっしゃるとおり、その後調べましたら特殊法人ということであったので、おわび申し上げます。それから交易営団は現在閉鎖機関として序続いたしておりますが、清算中でございます。閉鎖機関令により指定されました閉鎖機関、当然これは早く清算を了して解散するという性質のものでございますが、先ほどからお話のございますダイヤモンドの供出を担当した特殊法人として、この所有権は、民法上から見て、一応公益法人の所有権になります。それを、この接収貴金属等の処理に関する法律によりまして、国庫に帰属するということにいたしました関係上、この交易営団には、その法律にございますように、交付金を交付するということになっております。この処理が進むに従いまして、交付金を交付してまいったわけでございます。しかし認定返還の事務もほとんど終わってまいっておりまして、その交付金も間もなく終わるだろうと思います。したがいまして、国からの交付金を受け取って、それによって最終的な清算が行なわれるということで、そう遠くない時期に、解散する事態になろうかと考えております。
  108. 山田長司

    山田(長)委員 戦後二十年たった今日、いまだに交付金をこの交易営団に与えているというところに、やっぱり問題があるのですよ。そこで、この間もお話ししましたように、ダイヤ返還をこの交易営団を通じてやったという。それで住所、氏名——個人の問題は秘密だといって、理事会にその名簿を出すということで、けさ話が理事会ではついたけれども、一体こんな存在を二十年たった今日なお許しておくというところに、私は問題があると思うのです。委員長、この資料要求してください。予算、決算、それから清算状況、構成メンバー、この資料要求してください。
  109. 吉川久衛

    吉川委員長 松永局長、ただいまお聞きの資料についての提出を、委員長から要請をいたします。
  110. 神近市子

    ○神近委員 関連して。この交易営団に、いま歩合がまだいっているということを伺ったので、私も希望が持てるような気がいたしました。それは、おそらくいま日銀にある十六万一千カラットの全量じゃないかと思われるのですけれども、これを摘発した人が消された、こう一般に言われているのですけれども、その青木斌という人の問題なんです。私はこれは裁判のあり方について、尋問のあり方について、法務委員会で一度扱ったことがあるので、あまり詳しいことは申し上げませんが、この人が、つまらないことで、全員無罪になった事件で大阪に連れていかれて、そして別所在太郎という検事の取り調べを受けて、五日目になくなっています。だから私はこの事実は法務関係だろうと思うのですけれども、その遺族の人に、大阪に連れていかれる前の日に、この隠退蔵物資摘発報奨法によって請求書を書いている。それが幾らかというと、二十一億千二百五十万円なんです。そうしますと、いま山田委員が七十二億と踏んでいらっしゃるということが、この数字の面からも、私はなるほど変だなということが考えられる。おそらくそのときは最低の価格を推定していた。それで二十一億千二百五十万円となれば、これは隠退蔵物資摘発報奨法によると一割でしょう。一割だと、この十倍が価格だと見ていたのですね。そうですね。それをたった七十億に評価して、それをお変えにならない。これはずいぶんおかしな話だ。山田委員質問ももっともだと考えておるのですけれども、これはここへもうちゃんと証拠があるのです。私が幾らか希望を持ったということは、この人が現物を摘発したのに、この人を——おそらくまあこれはあなた方には責任がないかもしれないけれども、前後の事情を考えると、どうも消されたということは、これはその時代のことを書いた人はみな書いています。それで、消されたと思われる遺族の人にこの報奨が一部でも渡るようにというのが、山田委員のこのダイヤモンドについてのいろいろ熱心な調査です。私どももそれに参加したということなんですけれども、この点、あなた方に私どもは御意見を伺いたいのは、交易営団に歩合がいまもいっているならば、この十六万一千カラットの摘発をしたこの青木斌の遺族に、この報奨金というものが行くべきじゃないか。これが私どもの考え方なんですけれども、交易営団にはいきますけれども、これを摘発した者はもう死んだから何ともならないとおっしゃるのか。あるいは隠退蔵物資摘発報奨法がもう廃案になったから、これは効力がないのだとおっしゃるのか。どういうお考えか。ごらんなさい。いま戦死者の遺族あるいは従軍した人に恩給がいくというような時代。それなのに国家のためにこのくらい命をかけて働いた人が殺されて、そしてその遺族は、この仕事のために全財産を失われて、やっと生活できるような非常にみじめな生活をしていらっしゃる。そこへ私は当然のこととして、何らかの形で報奨が与えられなければならない、それに対する報酬が与えられなければならない、こう考えるのですけれども、それはあなた方の頭にはちっとも浮かばないですか、いかがですか。それをちょっと伺っておきます。
  111. 松永勇

    松永政府委員 交易営団に対する交付金は、接収貴金属等の処理に関する法律の第二十一条第一項及び第三項によって、交付することになっております。これは先ほどちょっと触れましたように、民法上から申しますれば、所有権は交易営団にある。したがって、通常の状態で言えば、その所有権のある交易営団に全部返すということになるわけでございます。しかし当時供出ということを担当したこの交易営団は、そういう自主的なものではなくて、本来供出というのは国に対する供出ということが実体的な状態であったということから、それは国庫に帰属するということに、この処理の法律できめられたわけでございます。ただしこの交易営団は、供出を受けた際に、交易営団の資金をもってこれを買い上げています。資金は交易営団から出ております。したがいまして、その買い上げた当時の価格を中心といたしまして、それに若干の金利等諸経費を加えましたものを交付するというのが、法律のたてまえになっております。そういうことで、この交易営団に金を交付するということになっておるわけであります。  なお、先生のおっしゃいます青木氏の問題につきましては、週刊誌等でも私も承知いたしております。そういう方に、いわゆる報奨費を出すかどうか、これは不当物資の摘発を行なっておった当時、それを所管いたしておりました経済安定本部が行なっておったと聞いております。私のほうでは所管外でございまして、私のほうで、これについてとやかく申し上げる立場ではない、というふうに考えております。
  112. 神近市子

    ○神近委員 はっきりあなたのおっしゃったのがいまわからなかったのですけれども、この隠退蔵物資摘発の報奨金は、どこから出るといまおっししゃったのですか。
  113. 松永勇

    松永政府委員 当時は、経済安定本部が行なっておったものでございます。
  114. 神近市子

    ○神近委員 それは二年か三年かでなくなったのでしょう。
  115. 松永勇

    松永政府委員 御承知のように、経済安定本部は、実質上経済企画庁になっております。それから、その当時は、そういう予算が計上されておったと聞いておりますが、その後は、そういう予算は計上されてないというふうに聞いております。
  116. 神近市子

    ○神近委員 あなたは、摘発されたその物資は交易営団のものだと、いまおっしゃったのですね。そうですね、交易営団の設立法ですか、それをお読みになって。それで、その元金とそれに対する利息ということで、そのお金が営団にいくのだというふうにおっしゃった。そうなれば、その摘発した書の権利はそれについていくと思うのですよ。その財産をつくったところにいくと思うのです。だから、交易営団が——この間、私は現物を預かっていたのです。この報奨法の委員会提出するために。それを民事訴訟をするからといって、とりに来て持って帰ったのです。そうすると、もし民事訴訟をやるとすれば、交易営団を相手にしたほうが当然のように私には考えられる。いま交易営団の団長はだれがつとめているのですか。
  117. 松永勇

    松永政府委員 当時、経済安定本部から報奨金を出すというのは、これは国が出しておったわけであります。予算に計上して、報奨金を出しておった国が、そういう制度を現在予算に計上してないということは、これは、私担当ではございませんけれども、要するに、そういう制度をやめたということになったと解せられます。そこで、当時の青木氏が、そういう請求権があったのかなかったのか。あったとすれば、国はそれを支払わなければならなかったわけであります。いずれにしろ、国がそういう義務を持っておるかどうかということは、経済安定本部の後身である経済企画庁の所管の問題であろうと、私は考えます。私の所管外で、正確でないことを答弁いたしまして、間違いがあってはなんでございますから、詳しくは存じません。  なお、交易営団の清算人がだれであるか、ちょっと手元でわかりかねます。
  118. 山田長司

    山田(長)委員 先ほどダイヤの売り上げについては、今度の鑑定でなければ結論が出ないのだという局長のお話でございますが、大体大蔵当局では、今度の鑑定は、前回鑑定による書類に従った形のものの考え方をしているのではないかという気がするのです。なぜかというと、四十一年度において、十四億を、ダイヤの売り上げの中から一般会計の収入に予定されている。次年度は会計収入累計六十八億を繰り入れる予定としているように見受けられるのです。この点、私は鑑定が正しく行なわれれば、おそらく全く違った形が出るだろう、こういう考え方をしているのです。それで、かつて両院で社会福祉のために使おうということを、一ぺん決議して、法案をつくったくらいのことなんでありますから、これは大蔵当局考えているような形ではなくて、まるで違った金額が私は出ると見ているのです。この点、一般会計に十四億入れて、あと一般会計のほうへ六十八億入れるのだ、こういうふうなことで、ことしの予算の編成にあたって、大蔵当局はそういうものの考え方をしているのですか。
  119. 松永勇

    松永政府委員 この四十一年度に、本件の一部を処理するということにいたしましたのでございますが、当然、処分をすれば歳入の見込みを立てるわけでございます。約十四億円の歳入を計上いたしておりますが、その歳入の見方の際には、現在進行いたしております鑑定というものをまだやっておりませんので、一応の見通しとして、見込みといたしまして、従来の鑑定のものを基礎に、収入の見込みを立てたわけでございますけれども、しかし、これは御承知のように、歳入予算は見込みでございまして、歳出予算とは違います。実際に処分いたしました結果がこれより相当大きくなる、あるいは本件の——一般的に申しましては、それよりも減るというようなこともあり得るわけでございます。来年度以降に残りの六十何億をというような考えではございません。歳入の一応の見込みとして掲げているものでございます。かりに予定価格が幾らになるか、これも鑑定の結果でございますが、さらに入札をした結果、予定価格より上でないと落札はいたしませんので、それよりも、落札の結果、収入はさらにふえるであろうというように思われます。しかし歳入予算に計上いたしましたのは、そういうことで、一応の見込みとして計上した次第でございます。
  120. 山田長司

    山田(長)委員 最後に、いろいろこれはまだ聞きたいことがあるのでございますが、大蔵当局に伺いますが、会計検査院には、またあとで、会計検査のあるとき伺います。  十六日の午後四時ごろと記憶しておりますが、局長課長が私の部屋へ参りました。そのとき、私はあなたに、地下に埋蔵する品物について、これが拾得物に属するのか、あるいは隠退蔵物資としてこれを掘り出した場合にどうするのだということで、昨日あるいはきょうでもけっこうですが、おととい、あなたは、法務省当局に、このことについての見解をただしてくるとおっしゃいましたが、その見解はただしてまいりましたか。
  121. 松永勇

    松永政府委員 目下、課長をして研究し、現在法制局とやっておりますが、早く法務局ともいろいろ打ち合わせをいたしたいと思っております。現在まだその結論は出ておりませんので、もうしばらくお待ち願いたいと思います。
  122. 山田長司

    山田(長)委員 これは、あのときに私が申し上げましたように、重大な問題を含んでおりますので、あなたは法制的な結論が出なければ困るという話でありました。これはやはり最もまじめに、隠退蔵物資であるかあるいは拾得物であるか、地下に埋蔵しておるものであるか知らないが、とにかくそれを掘り出そうとする熱意のある人に対して、国の財産の形を一応なしておるものでありますから、やはり法的な見解を私はすみやかにしてもらいたいと思うのです。その法的な見解がすみやかに出てから、いろいろ当局に、これは国のものであるのか個人のものであるか、これらのことについての結論を出したいと思いますから、この点はすみやかにひとつお出し願いたいと思うのです。もう一ぺん局長答弁を願います。
  123. 松永勇

    松永政府委員 早急に努力いたしたいと思います。
  124. 山田長司

    山田(長)委員 会計検査院に伺います。  先ほどあなたの答弁で、私は先を急いだので、そのときに質問をやめたのですけれども、いま質問が終わるにあたりまして、一言あなたに伺っておきますが、国有財産増減報告書の中には、全然このダイヤの問題も、それから十五冊及び七十四冊の国有財産の金、銀、ダイヤモンド白金、プラチナあるいは貴金属、こういう問題については出ていないのです。なぜこれは決算に、国有財産増減報告書というものをお出しにならなかったのか、増減がなかったのか。
  125. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 これは国有財産増減報告書に掲載すべきものではございませんで、物品増減報告書に、本来は計上すべきものですけれども、これは法律でもって、それから除くということになっておりますので、計上されてございません。
  126. 山田長司

    山田(長)委員 それはおかしいじゃないですか。物品とは一体何です。日本における一番価値の高いものを、物品と称して報告しなくてもいいという理屈はどこにありますか。これはもしそんな考え方なら、これは決算委員長の名において、決算委員会の決議において——この物品の報告書という、その内容が私には不可解です。国有財産ですから。この増減についての報告は、当然決算委員会にすべき性質のものでしょう。物品だなんて、そんな簡単なことで扱われては困りますよ。これは私は問題だと思うのです。
  127. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 現在のところ、そういう取り扱いになっております。
  128. 山田長司

    山田(長)委員 物品として扱っているにしても、これは国有財産の、今日ある日本における財産の中でも一番大きな金目のものです。この物を物品と扱って国会に報告しないということは、これは許せないと思うのです。私は決算委員長の名において、これが物品であっても、この増減の報告はしていただきたい。
  129. 松永勇

    松永政府委員 この国有財産現在額報告書は、国有財産法に規定する国有財産を御報告申し上げておるわけでありまして、これに載らないから非常に粗末に扱うとか、価格が安いとか、そういう問題ではございません。国の物品、国の財産という点では、すべて国有財産でございます。ただ、従来国会に御報告申し上げております国有財産というのは、国有財産法に基づく国有財産を申し上げておる点、御了承をいただきたいと思います。
  130. 山田長司

    山田(長)委員 このことは当局の答弁だけでは私は満足しませんから、国有財産増減報告書というものをやはり提出してもらうために、あと理事会を開いて、その結論を出してもらいたい。  さらに、この間の要求による七十四冊の中身の発表については、いろいろ問題もあることでございますけれども、この十五冊のほかに、七十四冊の内容の支障のない分——私は支障のあるのもあることを知っておりますから、これは支障のある部分を除いてもいいです。それで、支障のない部分の一応提出を、やはり決算委員会としてはしてもらいたいと思います。このことの結論を、やはり委員長から要求していただきたい。
  131. 吉川久衛

    吉川委員長 国有財産局長に申し上げますが、ただいまの山田委員資料要求について、委員長からもこれを要請いたします。ただ、山田委員の言われましたところで、差しつかえないものだけ、というように受け取れましたけれども、委員長としては、秘密会を持ちましても、委員にだけは全部のものをお示しするように要請をいたします。
  132. 松永勇

    松永政府委員 実は、七十七冊の書類帳簿、そういうものがどういうものであるか、それは本日お手元にお配りしてございます資料に、五つの種類がそこにございます。それぞれの五つの種類が、どういうものを内容とするものであるかということを、簡単にわかりやすく説明したものを御提出いたしております。この中身を、七十七冊の全部にわたって、すなわちページ数で申しますと、そこにございますように、一万五千七百七十七ページにのぼります。これを全部写しを出すということは、事務としては非常にたいへんでございますので、本日すでにここに、委員会としてごらんいただくというつもりで、その原本を一部持ってまいっております。一部ではなしに全部を持ってこいということになりますと、七十七冊ございますが、中身といたしましては、その一部をごらんになれば、大体どういうものであるか、性質としては、ここに説明が書いてございます。それから現物としては持ってきておりますので、御参考に見ていただけば、大体の情勢がおわかりになるのではないかと思っております。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまの資料の取り扱い方は、理事会でやることにしたらいかがですか。大まかに出ておるようですから……。
  134. 吉川久衛

    吉川委員長 台帳等の資料については、理事会で見せていただくことにいたしましょう。
  135. 神近市子

    ○神近委員 関連してちょっと伺います。  この問題が私どもに関心が強いのは、これによって利得をする人が出るのじゃないかというようなこと、それからその売り払われたお金がどういうように使われるがということが、私の憶測では、大きな関心だろうと思うのです。それで、ちょっとそれに関連して伺いたいのは、いま鑑定をやっている人たちは何人ですか。その中には宝石商も入っているのですね。それでしたら、これは菅原通済先生なんかは別だと思いますけれども、この中に貴金属商が入っているとすれば、今度入札の場合に、その人たちには入札を制限するのか。自分がつけておいたところの価格で、自分が入れるというふうなことになる。その点、何か規制をされるおつもりですか。
  136. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ちょっと関連して、一緒にまとめて御説明願いたいと思うのですが、鑑定人をどういう形で人選をしたか。そして人選した結果、いま神近先生が言われたように、宝石商がいるのかどうかということ、それからあなたのほうで、これを処理するにあたって、委託をされて、ロンドンで、どういう方法がいいかといういろいろな調査をされているようでありますが、そういう点とあわせて、価格の鑑定をどういう形でやっているのか、言うならば、一人でやるのか、あるいは十一人合議できめていくのか、あるいは入札のやり方がどうなのか、あるいは鑑定人には入札の権利はないのか、そういう点で、全体的な関係をひとつ説明していただきたいと思います。
  137. 松永勇

    松永政府委員 ダイヤモンドは国民から供出されたという特殊なものでございます。したがいまして、国民みんなが関心を持っている。したがいまして、この処分は公正に行なうということを第一義に考えまして、従来いろいろな検討をいたしてまいったわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、来年からその一部、約五分の一の量を処分しょう。それを、考え方といたしましては、一般競争入札を原則とする。ただし、そのうちの四分の一程度は直接政府が国民に販売をするということで、委託販売——これは法律的には政府が直接国民に売り渡すという形になるわけですが、そういう国民の要望等もございましょうし、国民の供出された方々に、結果としてお返しする形になる点を考慮いたしまして、四分の一を直接委託で販売する、こういうことにいたしたわけでございます。その場合に、入札が大宗をなすわけでございますが、入札のものにつきまして、予定価格をつくる鑑定をする鑑定人としましては、先ほど申しましたように、十一人のうち四人はいわゆる学識経験者と申しますか、そういう方になっておりますが、残りの七人につきましては、いわゆる専門業者と申しますか、こういう価格について非常に詳しい、しかもプリベールする価格に詳しい方々ということになっております。どういう方々を選んだらいいかということは種々検討いたしたわけでございますが、いろいろな角度から検討した結果、やはり実際問題として、そういう専門家を入れないと、実際の価格というものがなかなか出てこない。しかしそういう方々だけにまかすということは、できるだけこれをガラス張りの中で鑑定をしてもらいたいという私たちの気持ちにもそぐわないしということで、結果的にいまのようなことになったわけでございます。  なお、この鑑定を現在やっていただいておりますが、過去三回行ないました鑑定は合議制でございます。合議制と申しますのは、鑑定人五人がそこに集まって、その席上に鑑定するダイヤを出しまして、そしてみなが、このくらいの価格はどうか、だれかが一人発言する、あとの人が、そのくらいであろう、よかろうということで、いわば合議によってその価格をきめてまいったのであります。今回は、そういう点もできるだけフェアにやっていただきたいということを考えまして、合議制ではなしに、個々の鑑定人が、自分で妥当だと思う価格を入札していただく。だから、それは、そこにおります鑑定人は互いにわからない、個人個人の価格を政府に出していただくという形になっております。その十一枚の鑑定の、入札価格と申しますか、その価格を集めまして、それを統計的に処理いたしまして、政府予定価格とする考えでございます。したがいまして、個々の鑑定人は、最終的に政府の価格が幾らになるかということはわからない仕組みにいたしております。なおこの鑑定人を依頼いたします際に、鑑定人には、この鑑定をしたダイヤの入札は遠慮していただきたいという条件をつけて依頼いたしましたところ、現在受諾された方々は、その条件を了解されて、その条件のもとで受諾していただいた方々でございます。
  138. 神近市子

    ○神近委員 もう一つ。たとえば四分の一量だけは直接政府で売るというようなことをおっしゃったですね。これはたしか新聞では、デパートや何かに委託して販売なさるというふうなことが出ていました。で、ここに私は、ダイヤモンドの売り渡しをした人の七枚の売り渡しの受け取りを持っているのです。よく焼かないで持っていらっしゃったと思うのですけれども、この人は、ニューヨークでおとうさんが貴金属商をやっていて、このダイヤはなかなか手に入らないから、おまえのものにしておけというので、十五、六の娘さんに、一生の財産だよと言って渡された。この七枚の中には、いま考えれば、AAで何カラットぐらいあったのか私にはわかりませんが、とにかくそういうものを供出していらっしゃる。ここで一番高いのは九千何百円ですから、おそらくその一番高いのがそれかなと思って、私は見ているのですけれども、こういう相当の犠牲を払っている人に優先的に売るということを、菅原通濟氏はしきりに「ダイヤモンド天国日本」ですか、あれで書いていらっしゃるのです。その点は、せめてこういう受け取りを持っている人には、これは七通か八通あります。こういう人には、せめて希望のダイヤ石を売るというようなことは、皆さんの頭には一ぺんも出たことはないのですか、それを聞かしていただきたいと思います。
  139. 松永勇

    松永政府委員 実は昨年の夏以来、この販売方法については種々検討いたしました。いま神近先生がおっしゃるような点、十分検討いたしたわけでございます。特に私どものほうには、この供出した方々から直接いろんな書面をいただいております。そういう点を考慮いたしまして、優先的にこういう方々に売り払うのはどうかという点も、種々検討いたしました結果、これはいまの直接委託販売の制度を開くことによって、その中でそういう御希望の石を買っていただく。もちろんこの入札の結果、日本の国内の業者が相当落札することを、これは予想いたしております。その落札した業者ダイヤも、一般の小売市場にあらわれてくることは、当然予想されるわけでございますけれども、そういうルートのほかに、直接委託販売の方法を採用することにいたしましたのは、そういう方々のいろんな御意見等も考慮いたしました結果、四分の一に相当する数量でございますけれども、委託をするということにしたわけでございます。いま先生がおっしゃった、領収書を持っている方だけを何か特に優先させられないか、という御意見につきましては、これも検討いたしましたが、事実、供出をされた方々の中に、その領収書を持っていられる方というのは非常に少のうございまして、供出した人で領収書を持っている人だけを優先するのは非常に困る、という意見も多数出てまいっております。また価格の面については、特に安くしてもらいたいとか、いろいろな要望も出てまいっております。いろいろな点を考慮いたしました結果、いま申し上げましたような販売方法と申しますか、売り出しの方法を考えたのが一番妥当であろうと決意して、決定した次第でございます。
  140. 山田長司

    山田(長)委員 これで最後です。いろいろ資料要求等いたしてあります。なお法律の研究等いたしてもらうお願い等をいたしましたが、ふに落ちない点が二、三ございますので、いずれこれらのことを加味いたしました質問をさしていただきたいと思いますから、どうかすみやかに本案の結論を、局長お出し願いたいと思います。それからさらに、会計検査院当局にお願いいたしました資料もひとつすみやかにお願いしたいと思います。  なお前に、接収貴金属等の処理に関する法律案というのをつくったことがあるのです。とうとうこの法案は日の目を見ずに、ばかやろう解散で、世の中に出ずにしまっておるわけですが、過去におきまして、先輩諸氏等努力をしまして、この法案作成までかなりの日数等も費やしておるわけですから、どうかこれらのことも十分加味した形で、ひとつ委員長におかれましては、当委員会で、このダイヤ処理の結論を出すように要望いたします。  いずれまた、あらためて御質問をさしていただきますが、本日は、これで私は終わります。
  141. 吉川久衛

    吉川委員長 吉田賢一君。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 だんだんといろいろな角度から御質疑がありましたので、あるいは私の質疑は重複するかわかりませんけれども、私なりに問題の取りまとめをして、この重要な課題についての国民の疑惑を解き、あるいはまた今後の処置の誤りなきを期していきたい、こう思いまするので、簡単でよろしゅうございますから、順を追って御答弁願いたい、こういうふうにお願いします。  そうしますと、二十六年の六月に、占領軍から政府引き継ぎましたという数量は、御説によりますと、十六万一千三百二十二カラットということですが、それは確認された数量になるわけなんですか。             。
  143. 松永勇

    松永政府委員 これは確認数字ではございませんで、IBMの総括表の合計額でございます。それだけでは説明が少しわかりにくければ、ちょっと追加して申し上げますが、IBMの総括表とその内訳書がございます。その内訳書を合計いたしますといまの数字と違いまして、それより九・九七カラット増加いたしております。実質的には、その内訳書のほうが正しいわけでございます。先ほど申しました総括表の集計額である十六万一千三百二十二・二二カラットに、九・九七カラットを加えまして、十六万一千三百三十二・一九カラットというのが、IBM数字というか、帳面の上の数字になっております。現物はこれとはまた違っております。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、IBM数字の結論が、いまおっしゃったように、九・九七増量する。それならば、政府が占領軍から引き継いだダイヤモンドについて確認をいたしました時期と、確認した重量、これは幾らということになるのですか。
  145. 松永勇

    松永政府委員 いま申し上げましたのは、要するに、引き継いだ際の記録の上の数字でございます。現物を調べましたところ、いま申し上げました十六万一千三百三十二・一九カラットから四十八・四四カラット少なくなっております。その結果、現物は十六万一千二百八十三・七五カラットになっております。この四十八・四四、帳簿数字より減っておるというのは、当時、この調査記録によりますと、その中に、ダイヤではなくてジルコンがまじっておったというのが、一・八三カラット、それから、従来ここの委員会でも問題になりました、砂が入っておったというのが三十九・五〇カラット、そのほか、政府が実際にはかってみた秤量誤差、これが七・一一カラットございます。合わせて四十八・四四カラット帳簿のものと現物とが違っておったという結果になっております。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは年月日はいつなんですか。
  147. 松永勇

    松永政府委員 これは、二十七年の十月から二十八年の二月にかけての鑑定の際に、正確になったわけでございます。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、一つは、占領軍から引き継いだダイヤと称するもののうちには、砂があり、それ以外の混合物があったのが四十八・四四カラット、それが減じておるということになる。  それから、鑑定の結果というのは、鑑定はさっきお述べになっておりました五名、久米武夫外四名のそのことなんですか。それはすべて業者でございましたですかね。そういうふうな説明を聞いたように思うのですが……。
  149. 松永勇

    松永政府委員 この二十七年の鑑定の際は、鑑定人は五人でございました。五人の鑑定人は、これは評価の鑑定でございます。数量等の確認とか秤量等は、国有財産局担当者でやったわけでございます。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、その数量、重量、ダイヤモンドの混合物をのけるというのは、鑑定ではなくして、管財局が大蔵省において確認をした、第三者を入れた鑑定にあらずして、確認をしたという数字である、こういうふうに了承したらいいのですね。
  151. 松永勇

    松永政府委員 この砂とかジルコンとかは、鑑定の際に、鑑定の席上で、こちらの職員も一緒に立ち会っております。その席上でこれを確認し、鑑定人が、これはダイヤではなくてジルコンであるという確認をし、私たちもそのようにして、これを出したわけであります。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二十六年の六月に大蔵省が占領軍から引き継ぎを受ける以前に、占領軍自体が管理し、占領軍自体が接収を継続しておった事実があったようでありますが、その間におきまして、いまのヘンダーソンなどが来て、やはりこれを鑑定をし、あるいは確認をするという手続が進められておったようでありますね。それはいつのことなんですか。
  153. 松永勇

    松永政府委員 この当時は米軍が管理し、米軍が行なったのでございますが、この鑑定をしたのは、二十五年の八月というふうに聞いております。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その米軍が管理し、米軍鑑定を委嘱した鑑定人というのは、日本人も入っておったのですか。
  155. 松永勇

    松永政府委員 このときは、米国人が二人と日本人が四人、合わせて六人でやったようでございます。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 名前はわかりますか。
  157. 松永勇

    松永政府委員 その当時は、ミスター・ヘンダーソン、それからホーシャング博士——ホーシャング博士は当時、現在のヘンダーソン氏が占めておるポストの前任者と申しますか、ヘンダーソン氏はその下におられた方だそうでございます。すなわち、ワシントンの科学博物館の宝石部長。あと日本側鑑定人といたしましては、久米武夫松井英一巽忠春、城谷四郎という方々でございますが、このうちホーシャング博士と久米武夫さんはすでになくなられた方でございます。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいま鑑定を委嘱しておる人の中には、当時鑑定を委嘱した人はだれか入っておりますか。
  159. 松永勇

    松永政府委員 先ほど宝石部長と申し上げましたが、地質部長の誤りであります。  それから、第一回の鑑定の際に入った方で現在の鑑定に入られている方は、ヘンダーソン氏と松井英一氏、その二人でございます。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、米軍が管理中におきまして、いろいろ処分をしたダイヤが相当あったかのように聞くのですが、その点はあるいは御答弁になったと思いますけれども、もしそうでありましたらもう要りませんが、その趣旨、内容、時期、大体の分量でよろしゅうございますので、それはどういうことになっておるのか、またそれは処分をしっぱなしになっておるのか、もしくは処分というのは、代金あるいはまた交換その他の代償があって処分をしたのかどうか、処分されたのは民間かあるいは外人か、アメリカ日本か、その辺について、要点だけでよろしゅうございますから、説明してください。
  161. 松永勇

    松永政府委員 米軍が管理中に、その管理しておったダイヤモンドの中から、一つは被略奪国への略奪物資としての返還をいたしております。これは当時のスキャッピンによりまして、連合軍自体が略奪物資と認めて、連合国に返還いたしているものがございます。それからもう一つは、日本の国内産業の産業用に使用するということで、中間解除されたものがございます。これは、そういう接収を受けた方々が、産業用に使いたいということを司令部に申請し、司令部がそれを相当と認めたときには、代替のもの、すなわち多くは金であったと思いますが、この解除に見合う金を提出させて、ダイヤモンドを解除するという措置がとられております。しかしその際は、それに身がわりの金が米軍に渡された。そしていまの解除になった金の中に、それが入っておるということになっております。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その被奪略国に返還したというのは、これはどこですか。何か国際的に問題になる可能性があるなら、言わなくてもいいのですが……。
  163. 松永勇

    松永政府委員 この略奪物というものの認定は、当時の司令部がいたしましたようでございまして、それを略奪という一般のことば、日本のことばで略奪というにはふさわしくないようなものも、略奪というふうに認定をされているように伺っておりますが、これは大体連合国でございまして、当時の連合国の多くのものを含んでおると聞いております。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、そういう被略奪国に返還したものとか、国内産業用に、申請があって、金と交換して、それに接収解除したものを差し引いたのを、二十六年の六月に連合軍から政府に引き継いだ、そしてさっきもおっしゃった、数字が多少の狂いが生じましたけれども、そういう次第なんですか。
  165. 松永勇

    松永政府委員 そのとおりでございます。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、だんだん山田委員からも御質問がございましたけれども、行政監察委員会に、二十七年ですか六年かに、資料として提出せられたものが、かなり現在の資料と違っておる。数量等においても違っておるということが問題の一つのようでありますが、どうもこの辺が、私も御答弁を伺っておっても、もう一つはっきりしないのだが、これは政府が出したのだから、政府が引き継いだ後に出した。二十七年ということであるなら、すでに二十七年の十月以降、政府自身が最終的に重量を確認したときでありますので、何かその辺の食い違いが生ずべき相当な理由でもあるのだろうか、どうもはっきりしないのですが、それはどういうものですか。
  167. 松永勇

    松永政府委員 これは、口でしゃべりますとかえって込み入って、誤解されやすいので、先ほど押谷先生から資料として要求がございましたので、後ほど資料として、どういうように食い違って、ふえたのかとか減ったのかということの内訳書を御説明申し上げたいと思います。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、その資料を出してもらうならけっこうですが、前提として、行政監察委員会に出した資料は、重量もしくは数量あるいは種類などが相当違っているわけですね。これは事実なんですね。違ったものを出したことも事実なんですね。
  169. 松永勇

    松永政府委員 それは相当違っております。この大きな違いは個数でございまして、全体のカラット数は同じでございます。個数が、先ほどちょっと触れましたように、行政監察委員会でございますか、そこに出ましたのが十五万六千個余りになっておるわけです。それが当委員会に出しましたものは百四十九万八千個という、約十倍にふえております。大きな違いはその個数でございまして、カラット数は変わりないのです。その個数がなぜ十倍にもふえたかということは、先ほどちょっと御説明いたしましたように、米軍は非常にこまかいものは計算しないで、袋に入れて、それを一個ということで個数を計算した。ところがその一個とあった袋を引き継いで開いてみますと、その中に何百という個数が入っておる。それを日本側で今度記帳いたします際には、米軍の記帳を改めて、実際の個数をそこに計上したのでございます。しかしなお日本側でも数えられないような非常にこまかいものがございました。これは実際人力をもってしては数えられないものが非常に多うございましたので、ある一定のサンプル調査をいたしまして、そのサンプルによって、何カラットの中には何個入っておるということで、その割合でもって、全体のカラット数にかけて何個ということで、個数を出したのがございます。したがいまして、いまそういう正確な個数、すなわち百四十九万という個数には、そういう一部の推定のものが含まれた個数になっておる、ということを申し上げたわけであります。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、個数が違っておったのであって、重量、カラットには相違ないこういうことなんですか。
  171. 松永勇

    松永政府委員 そのとおりでございます。
  172. 山田長司

    山田(長)委員 関連。またさっきの押谷委員のときと同じことで、私黙っていようと思ったけれども、言いますが、ダイヤは、私の聞き及んだ範囲におきましては、大きなもの一個の価値のほうが、同じ目方の小さなものを集めたものよりも何倍もの価値があるわけだ。だから、表を見てごらんなさい。あなたのところに表がないけれども、この表の五種類目の一番悪い品物でも、二カラットになると五十五万円するのだ。一番優秀なものでも、小さなもののカラット数の金額というのは〇・一カラットでも五万五千円、〇・〇一五でも五万二千円というようなぐあいに、一番優秀な製品でさえも、小さなものと大きなものでは価値が違ってくるわけです。だから、どうしても大きなものが価値があるわけです。小さなものをたくさん集めてきて、あなた方の報告書、業者が出した報告書では、第二位に、ABの範囲に入ってきておる。最初進駐軍がよこしたものは五百一個だった。それが、大蔵省で出したものという業者が出したのは、五千百九十六個になっておるじゃありませんか。これは小さな数をここへ持っていったのですよ。それからいま袋、袋というけれども、最初によこした進駐軍の袋が四百八十二袋と仮定したならば、それがなぜ今度出てきたものの中に四百七十六と数が減るのですか。根本的に、この数量は原簿によって確かめなければだめなんですよ。これをただ、いま吉田委員質問やら、それから押谷委員質問やらだけでは処理できないのです。これは、このことだけの委員会を一応開かなければだめなんです。これはごまかされてしまう。私も最初はわからなかったから、数がふえて、いいのがふえていいなと思ったが、いいのがふえてもだめなんです。目方がふえておる、一粒の目方がふえておるダイヤでなければ価値がないのですよ。何のために数をふやしたか、疑問があるのです。どうか、このことだけでやってください。
  173. 松永勇

    松永政府委員 確かに山田先生のおっしゃるように、大きなものと小さなものとでは、価格はえらい違いであります。だから、数がふえたというのは、そういう意味では、いいことではございません。しかし数がふえたというのは、そういうように大きなのと小さなのと、だれかが取りかえたんだろうということになれば、これは重大な問題でございます。そうではございませんで、私が申し上げているのは、事実として、袋をそうしてあった、ところが引き継ぎを受けて開いてみれば、一袋を一としてIBMに書いてあった。これは中を開いてみたら、そういう個数があったという事実を申し上げておるのでございます。
  174. 山田長司

    山田(長)委員 それではAAの一番優秀なもの、ABの二番目に優秀なものとされているものが、進駐軍がよこした当初においては、それが五百一だ。それがどうして、あなた方が三十九年の三月に報告したのは、十倍の数になったのですか。九千百九十六になっておる。これが問題なんです。どうしてふえたんですか。
  175. 松永勇

    松永政府委員 先ほど申しましたように、袋を一と数えて——袋以外にダイヤ個数があるわけです。合わせて五百幾つというのが米軍記録です。袋一というのは、米軍はそういうこまかいやつを一々計算するのは省いて、それで袋一、それを合わせて五百幾つ、袋全体が一つの計算。ところが、その中にダイヤが千も二千も入っておったというので、私のほうでこれを引き継いで調査したときには、二千幾つあったから、それは二千幾つということで数えたということでありまして、この関係はことばで申しましても、先ほど申し上げましたように、非常にわかりにくい点があろうかと思います。対照表を後ほどつくりまして提出して、対照表によって御説明申し上げたいと思います。
  176. 山田長司

    山田(長)委員 そうしてください。そうして、第四番目の進駐軍がよこしたのは四百八十二だった。それが今度は、この書類によると、四百七十六になっておる。袋の数からいって、袋数で計算していくなら、これの少なくなった理由はどうなんです。少なくなった理由というものは。
  177. 松永勇

    松永政府委員 いまはごく簡単なことだけ申し上げておりますが、一番大きな個数が十倍にもふえたという最大の理由は、こういうことでございます。そのほかに、二十七年の鑑定の際に、米軍鑑定で、たとえば種別ABというふうにしておりました鑑定を、これはACが妥当である、あるいはABが妥当である、あるいは逆に今度は、ABからACに格を落とすべきが妥当であるというような点で、若干の個数——そう大きな個数ではございませんが、若干の数が動いております。その結果、いま言ったような袋の数と、それと、両方の要素でいま言ったようになっておりますから、その関係のも、後ほど出します一覧表に、出し入れよくわかるようにして、説明いたします。
  178. 山田長司

    山田(長)委員 それじゃ、九十二種類を八種類に分けたとするならば、分けた分量は、この九十二種類のどれとどれがどの袋、そういう数量が出るわけでしょう。袋の数が少なくなることによって、いいものが安くなってくるのですよ。ここに業者鑑定の、私は理解できない点があると思うのです。いいです。これは。資料を出してください。
  179. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの点は、資料をお出しになりますから、資料中心にして、若干触れることにいたしましょう。なお関連いたしまして、再分類をせられた経過もあるようでございますので、それもそのときに伺うことにしましょう。  飛ばしまして、私は、この問題は、神近委員もちょっとおっしゃいましたが、これからの処理問題、これは非常に重大だと思います。一歩誤りますと、大蔵省として重大な責任が生じます。そこで伺っておきたいのでありますが、つまり売り渡しの方法の問題ですが、競争入札、四分の一ですか、委託販売、そこで競争入札もわかりますけれども、たとえば予算書に計上されておるものは十七億六千万円ということに出ております。十七億六千万円相当になるのか、あるいは三十億円になるのか存じませんけれども、おそらくはこういうことはないと思います。ことに国際価格の関係等もあり、日本の今日の社会風潮が消費ブーム、もしくはこういったダイヤというものは、アフリカと違いまして、ほんとうに貴重中の貴重でありまして、ダイヤをはめておるというだけで何か誇りを感じるような風潮でありますから、この処分のしかたというものは、相当これは検討を要すると思うのであります。そこで聞くのでありますが、たとえば一括処分するのか、たとえば千万円くらい区切ってやるのか、あるいは談合というものがあるのは御存じのとおり。談合して、商売人が十人なら十人組んで、一億円なら一億円持って買い占めようじゃないか、三億円、五億円、それじゃひとつ融資を受けて十億円、こっちが買おうじゃないかというと、ずらっと談合して買い取るという方式もできるわけです。そこで、入札というけれども、これはたいへんなことです。一括入札するのか、あるいは区切って百万円ずつでも売るのか、どうもそんなようなことでは分類もしにくいから、個別にいたしまして、それのグループをつくって売るということにするのか。何かその辺は談合を排除して、少数者の独占におちいることのないように、ほんとうにおっしゃるようにガラス張りの中において、この国有財産の処分が公正に、国民全体に、力のある人、もしくはほしい人に公平に行きわたるというような手段を講じませんと、とんでもない誤りを生ずると思います。でありますから、競争入札というだけではまだ説明になっておりません。談合すればどうでもなります。談合すれば、競争入札といったって、結果は指名売却と同じになります。結局力ですから…。五億円、十億円ちゃんと用意して臨みますれば、何でもない。そうして買手があったら、買収しちゃったらいい。少々のやつは、よろしい、まかしておきなさい、ひとつ乗りなさい、乗ったらあなたに分けてあげる。そのときには何割か取る。あるいは何倍か取るという手もありますから、おそらくこれは、アリが砂糖にたかるがごとき観を呈する売却の場が展開するのじゃないかと心配するのです。ですから、これはきょうなお資料が出るのですから、いま片言隻語の問答だけでは尽きません。尽きませんから、競争入札するというだけでは解決案になりません。もっと、私が御注意的に提言するがごとく、いろいろな角度から御配慮になりまして、専門家もよけいおるのですから、どうすればそのような弊害が起こらないようにし得るかということを検討せられて、当委員会にお出し願いたい。絶対的に少数者の独占が入ったり、もしくは不当に持っていかれたりということのないように、ひとつ出してもらいたい。何割、何分の一かは百貨店に委託販売するといいましても、百貨店に委託販売といったって、それだけでは方法を尽くしたと言えません。ですから、それも精密に、具体的に検討せられて、一応この委員会におきまして方法を明示してもらいたい。そういうふうにぜひ希望したいのですが、これについて、きょうはどの程度おっしゃるかわかりませんけれども、ある程度根本的な構想だけははっきりしておいてもらいたい。
  180. 松永勇

    松永政府委員 まさに先生のおっしゃるとおり、これはいろいろな問題が含まれておると思います。私たちもそのためにいろいろ検討しております。実際に処分をいたしますのは、ことしの九月ごろということに予定いたしておりますので、それまでになお十分検討いたしたいと思います。しかし基本的には、こういうことを考えております。一般競争入札という性質から、これは当然外国人を拒否するということはできない。外国人も参加し得るというたてまえのもとで、入札が行なわれるわけでございます。しかしながら、私たちは外国の業者が、いろんな引き合いと申しますか、書面でもっていろんな聞き合わせをいたしてきております。そういう外国の業者は、十六万一千カラット全部一括自分が一人で買う、こういうことを申してまいっております。このダイヤが国民全体からの拠出を仰いだという性格から見ますと、もしこれ全部が外国に、公正な入札の結果とはいえ、行ってしまうということは、国民感情の面からも、いろんな問題があろうかと思います。また国のほうとしては、できるだけ国庫収入をあげたいという要素ももちろんあるわけでございます。そういう点を種々考えまして、やはり日本業者がこの入札に参加できるような体制でなければならないであろう、それがためには、巨大な資本を誇る外国の業者に対抗して日本業者も入札できるような単位で——いわゆる入札のロットと申しておりますが、入札のロットで考えなければならない。数多くですると、これはなかなか日本業者もそれに参加していくだけの資金的な力もございません。少ない状態では、相当高く落札に応ずるという力もあろうかと思います。そういう点を考えまして、私たちがいま一番苦心をいたしておりますのは、どの程度の入札のロットの単位にすることが望ましいか、それも、それを何回ぐらいに分かってやったらいいかというような点が、一番苦慮して検討しているところでございます。これは入札を行なう際の一番重要な点だと、私自身は考えております。したがいまして、事前に、どの程度のロットであるということは、実は発表は差し控えたいと思っております。ただ、そういうことについては、十分考慮をした上でやってみたいということであります。  それからなお、全体の売り払いの心がまえといたしましては、公正な処分ということを第一にいたしておりますので、これをいわゆる売り急ぐとか、そういうことのないように、売り払い処分の状況を見て、それを再び参考にしながら、今後の売り払いを進めていく。したがいまして、一応私たちは三カ年くらいということを考えておりますが、しかし状況によっては、五カ年になるということもあり得るであろうという考え方で、幅広い状況で、今後の——何ぶんにも初めてやることでございますし、こういうものをこういう形で売り出したということは、日本政府としても初めてでございます。慎重の上にも慎重に、処分を進めたいというふうに考えております。
  181. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 根本的に考えるならば、接収された人、供出した人は戦争の被害者です。戦後接収とはいえ、戦後処理の一つの行政業務として接収を命ぜられた、だからいわば戦争の被害者です。戦争の被害者には、当然人知の限りを尽くして被害者に返還するというのが、これは条理上一番正しい、一番望ましい姿でなければならぬと思う。この点は、その他の戦争によって被害を受けた者が、あらゆる方法で国家によって補償せられておるという、諸般の立法並びに財政措置の政策の実行から見ても、これは当然であろうと思うのです。  そこで、接収貴金属等の処理に関する法律が三十四年にできております。この法律の趣旨を読んでみましても、第一条は、やはり、占領軍から政府に引き渡しされた貴金属について、公平適正かつ迅速に、返還その他の処理をすることを目的とする、これが接収貴金属等の処理に関する法律の目的であるわけなんです。だから、公平に適正に迅速に、被接収者に返還するというのが本来の目的でなければならぬ。そういたしましたら、それの線に沿うということが一つの大きな使命でなければならぬと私は思う。十七億六千万円の金が入ったら一般歳入に繰り入れて、それを何かに使うんだというような、それはその後、第二、第三の問題であります。いかにするならば国民に対してその目的を果たし得るかということが、行政の当局としての最高の使命でなければならぬと私は思います。不幸にして、この法律によって、返還請求者があって、これに適当に返還し得ないで、今日の処理の段階に来ておるということは実に遺憾であります。でありますので、そういうふうな観点から見るならば、一体どこでそれをやるのか。たとえば東京だけでやるのか、大阪でもやるのか。あるいはまた百貨店といえども、百貨店というのは、東京の甲乙丙丁という百貨店だけでやるのか、あるいは長崎でもやるのか。長崎の人も供出をした、接収もせられた。北海道の人もしかり、町の人もそうであろうが、農村の人もそうであります。未亡人もそうであろうが、あるいはまた戦争の未亡人も出しておるかもわからぬというように、あらゆる地域にわたっていわゆる被害者があるわけなんだから、だからそれはやはり売却を実行する場所の問題も大事であります。外国人に取られるというようなことは、単に国民感情だけでなしに、それはとんでもないことになります。全くこの法律の趣旨を無視したところの政府のやり方ということになって、それはもうごうごうたる非難が集中するおそれがあると私は思います。ですから、その辺のことも考慮しなければいけませんので、単に財政の資金のためというのじゃなしに、また競争入札とかいう方法だけじゃなしに、場所のことも考えたその方法のこともあるし、いかにすればできるだけ公平にいき得るかという点から、あらゆる角度からこれは検討していただくべき筋ではないかと思います。ですから、その辺につきまして、九月ごろを目標とおっしゃっているのは、さらにこれが延びるとも可なり、というようないまの御意見らしい、しごくもっともなことであります。私はやはり政府は全力をあげて、この責任は、いまのような線に沿うて果たしてもらわなければいくまいと思います。でありまするから、方法につきまして、いろいろな角度から検討がされることを望みたいのであります。  それから、この法律の二十二条によりますると、接収貴金属についての処理の審議会というものができておりますね。これは返還等に際して、そういう場合の保管金属類の評価などの審議会のようでありまするが、この審議会の権限に所属するかどうか、この条文の全体を私はまだ十分につかんでおりませんので、はっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、これは単にあなたの局、あなたの課、少数の人だけでこの方法を御決定になるのではなくして、やはり広く衆知を集めて、そうしてこの物の由来から立法の趣旨から、また日本の今日の国民感情から、利害から、またこれがほんとうに後日問題を起こさないところのいろいろな念を入れた方法を講ずるという配慮等、幾多の面から検討して、方法を立案せられることが、私は絶対に必要だと思いますので、ぜひそういうふうにしてもらわねばいくまいと思います。これはやはりあなたの局だけの問題ではありませんから、現政府の問題であります。だから、これにつきましては、やはり省議としても御方針をきめて、十七億円のものだからたいしたものじゃないという頭は、とんでもない頭であります。これはぜひそういうような方向に推進していただきたい、こう思うのであります。いかがでしょう。
  182. 松永勇

    松永政府委員 先生のおっしゃること、ごもっともでございます。私たちもそういう観点から、本件の処理は、大臣以下、省議を開いて、慎重の上にも慎重を期してやっておるところでございます。いま申し上げましたのは大筋の点でございまして、なおこまかい点につきましても、そういう省議等にはかり、慎重の上にも慎重を期したい。  なお、先ほど先生の申されました接収貴金属処理審議会、実は審議会にも本件の処理案を諮問するかどうかということをいたしたわけですが、この審議会の権限として、どうしてもかけなければならないという案ではないと考えるので、審議会の各委員は、まあいわば非公式の意見を聞く懇談会にしていただきたいという御希望がございまして、実は懇談会の形で、自主的ないろいろの御意見を聞いて、それをしたい。また省議等を開いて、いまのような状況になっておるわけでございます。
  183. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に、委員長にお計らいについて御希望を申し上げておきたいのですが、省議で決定する、省議は私は適当だろうと思います。やはりこの種の問題は、疑惑を残さないようにすることが何よりでありますので、省議は十分に練っていただいて、具体的方法もひとつ十分に検討の上、御報告してもらいたいと思います。委員長のお計らいで、これは福田大蔵大臣に来ていただいて、最終的に、そういう方法について、こういうふうにしてやるのだということを明らかにしてもらう、これが国民のために非常に大事なことだろうと思います。いろいろな角度から、その必要が確かにあると思いますので、そのように、ひとつお計らいを願いたいと思います。
  184. 吉川久衛

    吉川委員長 吉田委員山田委員、神近委員押谷委員、おっしゃること非常にごもっともでございますし、先刻の本会議におきましても、押谷委員質問に対して、総理大臣も、大蔵大臣も同様の趣旨の答弁もいたしておりますが、吉田委員のおっしゃるように、大蔵大臣の出席を求めで、念を押しておきたいと思いますから、御了承願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十二分散会