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1966-03-17 第51回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十七日(木曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 壽原 正一君 理事 堀川 恭平君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 山田 長司君       神近 市子君    栗原 俊夫君       中村 重光君    華山 親義君       吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房副長官 竹下  登君         内閣参事官兼総         理府事務官         (内閣総理大臣         官房会計課長) 高橋 弘篤君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房広報室長) 三井 芳文君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      赤石 清悦君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁皇室経         済主管)    並木 四郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (国有財産局貴         金属処理課長) 上国料 巽君         会計検査院事務         官         (第一局長)  斉藤  実君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  皇室費内閣所管総理府所管総理府本府、  公正取引委員会土地調整委員会首都圏整備  委員会及び宮内庁関係)  国有財産増減及び現況に関する件(接収貴金  属等の問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件について、おはかりいたします。  すなわち、国有財産増減及び現況に関して、双ケ岡問題調査のため、本委員会に、参考人として関係者出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次に、政府関係機関の経費に関して、国際観光会館問題調査のため、本委員会に、参考人として関係者出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  ただいま決定いたしましたそれぞれの参考人出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、先ほどの理事会協議に従い、国有財産増減及び現況に関する件につき、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  7. 山田長司

    山田(長)委員 日本銀行地下室にありますダイヤの問題につきまして、十四日から調査が進められておるようでありますが、実は、十二日に、私の部屋決算池田室長に来ていただきまして、大蔵省課長課長補佐の二名にお越しを願いました。それで、私は、ダイヤの問題につきましては、行監以来実は十五年にわたりましてこの問題を追及しておる一人として、まことにふに落ちませんので、そのときに、ダイヤ鑑定者についてはいっきまりますかという御質問をしましたときに、まだきまっておりません、こういうお話でした。それで、ヘンダーソンという人だけはさまったというお話でした。ところが十三日、一日おきまして、十四日からこれが調査にかかった。一体そんなに、十三日、一日間をおいたくらいで鑑定者というものが決定をするのかどうか。私は実にふかしぎでしかたがないわけです。それで、おととい緊急理事会を開いていただきまして、事態の変わったことにつきまして、おとといの二時半から進められた会議の席上でも、何としてもこれは理解ができないということで、そのときの理事会では、いずれ調査を進めるということで話がついたように記憶しております。そこで、なおそのときに、上国料貴金属処理課長と、それからそのときの課長補佐人たちの話によりますと、実は私は過去三回にわたって、予算委員会におきましても、決算委員会におきましても、二、三年おきに、原簿があるはずであるという質問をいたしました。そのつど、原簿はないというお答えでありました。十二日に持ってこられた原簿と称されるものは、写真の写しであります。その資料でよいから十枚ほど出してもらいたいということを、池田室長とともにお願いをいたしました。何のためにこういう事態なのか、私には理解ができませんが、私もこの資料につきましては、ダイヤモンド資料が十一冊あるはずであるという質問をしましたところが、いや、十一冊ではなくて、十一冊目ですというお答えであったので、私はこれを了解いたしました。私の情報を収集した違いであったと思って、十一冊目であるということの了解をしました。それでは十一冊目とするならばその前はどうなんだ。こういう質問をしましたところが、その前も、貴金属のことについての原簿であるという話であった。さらにきのう、国有財産局長課長が私の部屋に来まして、いろいろそのときの前後の事情を訴えながら、局長は、どうも申しわけなかったという話だった。これは課長も聞いておると思うのです。そこで国有財産局長に、このほかにまだ原簿があるはずであるという質問をしましたところが、そのときには答えなかった。お帰りになられてから、部屋——これはおそらく大蔵省に帰られてからだろうと思いますが、二、三十分あとに、私のところに電話がありまして、申しわけなかった、十一冊以後十五冊までありますという話だ。それは内容は何だと言ったら、全部貴金属に関するものだという話だ。私は、いまこれからまず最初に、何のために隠しておかなければならぬかということと、もう一つ、さらに問題は、七十余冊にわたる、まだこのほかに書類があるという話だ、一体これは何だ、やっぱりこの際明らかにしなくちゃいかぬですよ。私はこの問題について、十数年来、実は行監から、決算にわたり、予算に行き、このことについて質問をしてきているのでありますから、それがたまたま——私のいわば執念とでも一言えましょう、私は確実な情報を得てから、こうして追及してきているのですから。この間の予算委員会におきましても、国有財産局長は、ヘンダーソンしかきまってないと言ったばかりだった。これはまあ、それからもう二十日過ぎていることでありますから、そのときはさまってなかったのかもしれない。しかし十二日に私の部屋へ来て質問したときには、まだきまってないという話だった。十三日一日おいて、十四日に全部きまっちゃったというのは、何としても私は、ばかにするもはなはだしいと思うのです。おそらくこれは室長が立ち会っているからわかると思うのですが、こんなばかげたことが一体私はあっていいものかと思うのだ。決算委をこれは愚弄していると思うのですよ。そこで私は、十五冊の書類を何のために秘密にしなければならなかったのか、それから七十冊の、そのあとにある書類につきましては、一体何が書いてあるのか、まず最初にこのことを明らかにしてもらいたい。
  8. 上国料巽

    上国料説明員 連合軍から引き継ぎました原簿内容を申し上げますと、CPC記録と申しておるわけでありますが、CPC記録のうちIBMと称しておるものが十五冊ございます。これの、先ほどおっしゃいました十一冊目が、ダイヤモンドに関する原簿でございます。あとの第一冊から十冊目、さらに十二冊目から十五冊目までは、ほかの貴金属——金白金、銀、そういったようなものに関する記録になっております。それからほかに四つほど種類がございまして、一番目はレシート記録というふうに申しておりますが、これが九冊ございます。これはどういうものかと申し上げますと、連合軍接収いたしました際に、金庫管理官——もちろんこれも連合軍の方でございますが、金庫管理官のところに持ってまいりまして、そこで発行しました受領証、これのつづりがこのレシート記録と称しておるものでございます。これが九冊ございます。それから次は、リワース記録と称しておるものでございますが、これが十八冊ございます。これは連合軍管理しております際に、産業界の要請に応じまして、一部解除したものがございます。そういったようなものが大体記録されておるものでございます。次がトランスファー記録と称しておるものでございますが、これが三十四冊ございます。これはやはり連合軍管理しております際に溶解したとか、あるいは場所を移動したとか、あるいは重量を調整したとかというものに関する記録でございます。次に、第八軍のレポートと称するものが一冊ございます。これはCPCI民間財産管理局と申しておりますが、この民間財産管理局接収事務管理します以前は、第八軍が管理しておりましたので、第八軍下において接収しましたものについてのレポートが、この一冊に記録されておるものでございます。それで、ただいま申し上げました五種類のもので、合計しまして七十七冊ということになるわけでございます。  このうちの、一番最初に申し上げましたCPC記録IBMというのが、連合軍から政府が引き継ぎました貴金属の一切でございますので、その詳細を記載してございますIBM十五冊を本日お持ちしたわけでございます。これが原簿でございます。
  9. 山田長司

    山田(長)委員 一冊から十冊までと、十二冊から十五冊までの、一冊別内容を明らかにしてもらいたい。
  10. 上国料巽

    上国料説明員 第一冊目は銀でございます。数量にいたしますと約五十五トンの記録がこれにしてございます。銀と、それから一部金がまじっております。  第二冊目が銀でございます。  第三冊も銀でございますが、金もまじっております。  第四冊目は銀でございます。  第五冊目は銀でございます。  第六冊目は金と銀でございます。それから合金が若干入っております。  第七冊は、銀でございますが、一部金の貨幣が入っております。  第八冊目は銀でございます。  第九冊目は銀と金でございます。  第十冊目は、金と合金と銀でございます。  第十一冊目は全部ダイヤでございます。  第十二冊目は、白金製品その他の貴石類でございます。  第十三冊目は、貨幣その他いろいろなものが含まれております。(山田(長)委員「それは何の貨幣か、はっきりしてください」と呼ぶ)銀の貨幣その他雑多なものが入っております。  第十四冊目は、やはり銀の貨幣、そういったようなものが含まれております。  第十五冊目は、やはりいろいろなものでございますが、貴石とか、そういったようなものが書かれております。  以上でございます。
  11. 山田長司

    山田(長)委員 この資料は、当決算委員会あとで出してもらいたい、いいですね。  次に、この原簿に従って、品物のある所在地、これを明らかにしてください。ついでに、ある場所を明らかにすると同時に、私の得ている情報では、百七十八カ所のしまってある個所があると言われているが、これもわかったらついでに言ってください。
  12. 上国料巽

    上国料説明員 政府側連合軍側から引き継ぎました接収貴金属は、日本銀行、それから造幣局大阪本局東京支局、この三カ所に保管しておるわけでございまして、ただいま御質問のございました、その百七十八カ所という点につきましては、私たちとしては、全然わからないのでございます。
  13. 山田長司

    山田(長)委員 日本銀行と、造幣局のどこですって。
  14. 上国料巽

    上国料説明員 造幣局の、大阪本局東京支局でございます。
  15. 山田長司

    山田(長)委員 そうすると、二カ所という意味ですね。この隠退蔵されている個所について、あなたに質問してもしかたがないから、これはいずれ責任ある大臣国有財産局長に伺います。  そこで日本銀行造幣局にいま置かれている品物別、これを明らかにしてください。それで、これはあなた方言いにくいものがたくさんあることを私は承知しております。なぜかというと、外地の貨幣です。これらのことについていろいろ言いにくい個所があったらば、いま言わなくてもいいです。それはあと原簿を出してください。
  16. 上国料巽

    上国料説明員 別に隠さなければならないというようなものは全然ございません。
  17. 山田長司

    山田(長)委員 そんなことがあるか。いままで私たち——私は記録をきょう持ってきていないけれども、過去において三回も、この原簿についての質問をしているのですよ。そのつど、ないと言っておった。この間、十二日も、写真だけ持ってきておって、原簿を持ってきていない。ないはずはないと言ったら、きょうは原簿を持ってきたじゃないですか。ないことはない。そういうことを、いままであなたは言わずにおったのですよ。初めてでしょう、国会にこの原簿を持ってきたのは。だから、きょうははっきり言ってもらわなければ困る。
  18. 上国料巽

    上国料説明員 ただいま御質問のございました、所在場所ごと貴金属台帳は、ちょうどここに持ってきておりませんが、これは三カ所それぞれございます分は、明細は全部備えております。後日提出したいと思います。
  19. 山田長司

    山田(長)委員 いま言っておる中の十二冊目の、白金製品という問題があるが、これが一番大きな問題で、進駐軍に持って行かれた白金の問題については、いま言っていない。その白金も、この際、何トンあったのか、アメリカに持って行かれた日付、そういうものを明らかにしてもらいたい。これは何で私はこういうことを言うかというと、接収されて、日本原簿を渡されたのが終戦後の二十六年じゃないですか。戦争が終わってから持って行ったのは、これはどろぼうですよ。ですから、これは明確にしなければならぬと思うから、私は追求しているのです。アメリカ当局へも、やはり終戦後に持って行かれたものについては、請求すべき筋合いのものがたくさんあると思うのだ。ダイヤの問題については、マレー大佐の問題は、戻してきたと言っているけれども、戻してきたものはこの数字の中に入っているかどうかはっきりしないですよ、これは二十六年といういきさつから考えてみて。
  20. 上国料巽

    上国料説明員 いまの御質問の、アメリカに持って行きました白金につきましては、昨年の八月二十三日付で資料を御提出申し上げておりまして、その中に書いておりまするが、米国に送られて処分された白金数量は、これはトロイオンスにしまして、十万九千九百四十八・七トロイオンス、これはキロに換算しますと、約三トン四百十九キロでございます。
  21. 山田長司

    山田(長)委員 それから、みんな当時日本国民は、貧富の差はあったにしても、戦争に勝つためという意味で、いろいろなものの供出をした。その中にダイヤの問題もむろんあるわけでありますが、昭和二十六年の報告で十六万一千カラットの報告がなされた直後、幾ら見返り品物としてあったにしても、返されたものがある。いま私は、貴金属処理するにあたって、返されたもののダイヤの問題を言う。これは返されている以上は、当然返された人の住所はわかっているはずですから、これは資料要求として、委員長、出してもらいたい。一千万円以上のダイヤを一個返している、この人の名前。それから五百万円以上のダイヤ三個返している。これは当時の時価ですから、いまで言ったならば、もっともっと価格の高いものだ。百万円以上のものを三十八個返している。五十万円以上のものを六十七個返している。十万円以上のものを五百五十六個返している。十万円以下のものは一千三十個返している。合計千六百九十五個返している。一体なべだの、かまだの、金のバックルとか、かんざしとか、あるいはネクタイピン、金の指輪というものを出した人たちには何も返ってきていないのに、ダイヤモンド等を持っていた金持ち階級人たちに返した理由、同時に、この人たち住所を明らかにしてもらいたい。これは資料として出してもらいたい。
  22. 上国料巽

    上国料説明員 ちょっと御説明させていただきますが、ただいまおっしゃいました点は、おそらく連合軍管理中か……。
  23. 山田長司

    山田(長)委員 ちょっと待ってください。私はこの問題を十五年かかって調べているのですから、いま私が資料要求をしたのは、三十二年の四月二十日に、あなた方が私のところに、これだけ返しました、ということを言ってきている書類です。そのときに私は、その人たち住所名前を明らかにされずにあったのですから、きょうは明らかにしなければ、これは承知できないのです。明らかにしてもらいたい。秘密文書として私によこしたのですから、当時、昭和三十二年の四月二十日の日に。
  24. 上国料巽

    上国料説明員 二十六年か二十七年ごろ、期日ははっきりいたしませんですが、交易営団ダイヤモンドを返したことはあるわけなんでございますが、国会のおしかりを受けまして、全部回収しております。その後、処理法規定に基づきまして返還いたしましたものは、四十八カラット四五だけでございます。
  25. 吉川久衛

    吉川委員長 上国料課長、いま山田委員要求資料要求ですから、資料として提出してください。
  26. 山田長司

    山田(長)委員 出せるか、出せないか、それをはっきりしてください。
  27. 上国料巽

    上国料説明員 調査いたしまして、後日御提出申し上げます。
  28. 山田長司

    山田(長)委員 今度は、交易営団のことをあなたが言ったから、言うけれども、この間、私、予算委員会分科会で、国有財産局長質問しましたところが、交易営団財団法人なのだということを言った。いまだに交易営団というものはつぶさずに置いてある。そこへ何のためにダイヤを持っていかなければならないか。こんなものを二十年もたって存在させておくところに問題があるのです。まだここヘダイヤを持っていったり、持ってきたりしているのだ。いまここへ持っていったという話でありますので、私の要求する資料というのは、持っていったか持ってこないかわからないけれども、いままで私は何べんも質問しているけれども、そこへ持っていったというのはきょう初めて聞いた。何のために持っていったのです。
  29. 上国料巽

    上国料説明員 二十六年か七年かに、交易営団を通じて返したという点は、これは資料があるかないか、ちょっといま私わかりませんので、調べまして御提出申し上げるわけでございますが、その後につきましては、別に交易営団に返したというようなことは全然ございませんでして、これは接収貴金属処理に関する法律規定から見ますと、交易営団のものは国庫に帰属するということになっておるわけでございまして、そのかわりに、交易営団戦時中に取得しましたときの代金あるいはその他の手数料といったようなものを、交付金の形で交付するということになっておるわけでございまして、その事務をいままで進めてきたわけでございますが、まだ交易営団の清算が完了していないというようなことで、現在まだ残っているというような状況に相なっております。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 私は資料要求ですから、そのつもりでひとつお聞き願いたいのです。いまあなたは、二十六年までは持っていたと言うけれども、私が言っているのは、返したのは三十二年の四月なんですよ。これはあなたのほうで出した資料なんです。これは私が執念深く持っているからあれかもしれないけれども、資料を見せるから、ちょっと来て見てごらんなさい。これは大蔵省が出したのです。この時分といまは、価額が違うのですよ。その返した人たち住所録を出せと言っているのだ。
  31. 上国料巽

    上国料説明員 ただいまお見せいただきました資料につきまして御説明申し上げますと、これは、日本銀行戦時中に、買い戻し条件付国民から金製品を買い上げたことがあったわけでございますが、それの原所有者についての金額別件数調べでございます。これにつきましては、接収されまして返還になりました分は、すべて日本銀行返還いたしておりまするので、その後は、大蔵省としましては、これには関係していないのでございます。
  32. 山田長司

    山田(長)委員 買い戻し条件付にしても、千六百九十五人の住所を出してもらいたい。非常に多額にのぼるものが——同じようなダイヤで、十万円以下のダイヤというのは、いま日銀地下室にある十六万何千種類の種別の中から見まして、そんな簡単にわかるはずがないのです。いま日銀にありますダイヤの袋の数は二千九百何袋もある。はっきりこの際、記録に残すために、二千九百何袋あるか明らかにしてもらいたい。二千九百六十八袋あるはずだから、その袋の数を明らかにしてもらいたい。そしてその袋の中から、この十万未満のものを千三十戻しているのだけれども、その戻し方に問題があるのだ。中の、よさそうなものを、あっちからこっちから引き抜いて返したとすれば大問題ですよ。これは悪いものを出して詐取しているんだ、そういう印象を持つんですよ。ですから、この返し方に問題があるんですよ。だから、私はその名前を明らかにしろと言っているのだ。だれがそれを返す衝に当たったのか。国民財産がそんな簡単に取り扱われていいものじゃないですよ。まずその袋の数を……。
  33. 上国料巽

    上国料説明員 袋の数はただいまおっしゃったように二千九百六十八袋でございます。  それから、ダイヤモンド返還したということについての御質問がございましたが、先ほど申し上げましたとおり、政府が引き継ぎまして以来、接収貴金属処理に関する法律に基づきまして、返還請求者に対して返還しましたのは四十八カラット四五でございまして、そのほかに、日銀戦時中に買い戻し条件付で買い上げました金製品の中に、ダイヤの入っているもので、そのままの形で返還になりましたものは、日銀返還いたしております。それで、先ほどその返還者の氏名についての資料の御要求がございましたが、これは日銀のほうの関係でございますので、日銀のほうにその旨を申しておきたいと思います。直接私どもの所管でございませんので……。
  34. 山田長司

    山田(長)委員 ことダイヤにつきましては、大蔵省所管になっているはずで、日銀が管轄しているはずはないと私は記憶していますが、その点はあとでまた聞きますからいいです。  そこで、今度は、連合軍管理下当時から引き継いだ七十七冊の書類を、さっき言われたものよりももう少し明らかなものを、これも資料として出してもらわなければいかぬと思うのですが、委員長どうでしょう。これは引き継いだものであるだけに、資料を出してもらいたい。簡潔にしたレポートでいいと思うのですが……。
  35. 吉川久衛

    吉川委員長 上國料課長に申し上げますが、山田委員要求資料は提出できますか。
  36. 上国料巽

    上国料説明員 何ぶん膨大な資料でございまして、それを簡潔にすると申しますと、先ほど御説明をいたしましたような、レシート記録はどういうものであるとか、リリース記録はどういうものであるとかいうような、抽象的な説明になると思うのでございますが…。
  37. 山田長司

    山田(長)委員 抽象的なものでいいです。
  38. 上国料巽

    上国料説明員 そういう形の、抽象的な説明を書いた資料になりますけれども…。
  39. 吉川久衛

    吉川委員長 七十七冊の冊別に概要をしるしたものでけっこうですから、本委員会に提出してください。
  40. 山田長司

    山田(長)委員 私は、昭和二十六年当時駐留軍から引き継いだダイヤ原簿を持っております。しかしほかの委員諸君が持っていないと思いますから、大蔵当局で引き継いだ当時の原簿を、ほかの委員人たちに配ってください。これも資料要求です。
  41. 上国料巽

    上国料説明員 資料として提出いたします。
  42. 吉川久衛

    吉川委員長 山田委員に申し上げますが、理事会できめました時間が参りましたので、資料要求だけにとどめて、日を改めて、本問題について御審議を願うことにしたいと思いますから……。
  43. 山田長司

    山田(長)委員 日を改めてというと、さっきの理事会できめられた線でいきますと、明日ですね。——ではいいです。もう少し資料要求をした  かったのですが、あとからにします。——私は持っておるのですけれども、大蔵当局で持っていると思いますが、ダイヤの世界の価格水準の表、これをほかの委員に配ってください。私は持っておりますが、ほかの人たちは持っておりません。大蔵省では、価格表に従って、世界のダイヤの水準というものがわかっているはずですから、最も新しいものが出せればいいと思います。それはダイヤ処理する以上は、少なくともそれくらいの表はお持ちにならなければならないはずです。ですから、その最も新しい表を取り寄せて、ほかの委員人たちに配ってください。それも資料要求いたします。
  44. 上国料巽

    上国料説明員 調査しまして、提出いたします。
  45. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連して質問いたしますけれども、いま山田委員から要求をされた資料というのは、できるならばあすの朝までに出していただきたいわけです。それは先ほどの理事会で、明日ダイヤモンド質問を続けよう、こういうことになっておるわけでありますが、いまの資料要求の状態ですと、そう時日のかかる資料ではないように私は思います。ですから、あすの朝までに出していただけるように、ある程度のお約束を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。あるいは困難なものがありましたら、困難な資料はどういうものか、ちょっと説明していただきたいと思います。
  46. 上国料巽

    上国料説明員 なるべく御提出申し上げます。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それからもう一つ、いま質問の中で出てきた大蔵省日銀との関係、先ほどちょっと言っておりましたけれども、もしダイヤモンド質問を続けていくとするならば、日銀との関係であなたのほうにわからない点があるとするならば、日銀参考人として呼ばなければならないわけですけれども、その点は、どこの点で、あなたのほうと日銀との関連になっているのですか。先ほどのあなたの御答弁では、それはよくわからないわけです。
  48. 上国料巽

    上国料説明員 戦時中、日本銀行が買い戻し条件つきでもって買い上げました金製品接収されまして、それが返還されてきておるわけでございますが、それを、被接収者でございます日本銀行からの返還請求によりまして、日本銀行に返しておるわけでございます。そこの数字はわかるわけでございますが、さらに日銀から、その条件つきでもって売り払いをしました人たちへの売り戻しでございますとか、それに関する資料は、私たちのほうではわかりませんので、その点を御説明申し上げたわけでございます。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その件数は、先ほど山田委員があなたにお見せした資料になるのですか。
  50. 上国料巽

    上国料説明員 そうでございます。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、こういうことなんですね。接収された個人にかわって、大蔵省日銀に払い下げた、それから日銀が個人にやった、この関係がわからない、こういうことですね。
  52. 上国料巽

    上国料説明員 いまの点につきましては、これは日本銀行が買い上げたわけでございますので、日本銀行が持っておりましたところを、接収されたわけでございます。したがいまして、この処理法によりますと、接収された人に返還するというたてまえになっておりますので、政府としましては日本銀行返還するわけでございますが、あとは、日本銀行がその条件を履行するということになるかと思います。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは金額だけになっておりますけれども、品目その他は大蔵省でおわかりになるのですか。
  54. 上国料巽

    上国料説明員 わかります。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、いまの表は金額だけの表になっておりますから、もう少し詳細にわかる資料を、あす御提出願いたいと思います。それから人の問題につきましては、また別のところで考えることにいたしまして、大蔵省でわかる範囲の資料を、ひとつ出していただきたいと思います。
  56. 上国料巽

    上国料説明員 ただいまの細目につきましての資料は、ちょっと明日までには間に合いかねるかと思いますが、できるだけ調べてみます。
  57. 山田長司

    山田(長)委員 もう一点だけ資料要求をしておきます。私は持っておるのですけれども、ほか  の委員人たちのために配ってもらいたいから申し上げます。  ダイヤは、昭和二十六年の六月に日本政府に移管をされて、昭和二十六年六月以降は、日本のあなた方が監査していることになっているが、その前に、昭和二十一年の五月に、臨時貴金属数量報告令を公布した。それ以後、接収されるまでの間に、その布告でそのときに集められているわけですから、これは政府の人が知らぬはずはないです。そうしますと、この昭和二十一年五月から昭和二十六年六月までの間にいろいろ会合等を持たれておりますが、この報告令公布直後に集められた数量、それから二十六年の引き継がれたときの数量、これはわかっておりますけれども、その一年間において集められた数量等について、資料を出してもらいたい。一年間に集められた数量、これはわからなくちゃならぬはずです。
  58. 上国料巽

    上国料説明員 ただいまおっしゃいましたような二十一年五月の法令の施行によりまして、そういった貴金属を所持しておる人たちからの報告をとりまして、それを連合軍に提供したというような経緯のようでございますが、その辺の数量について、現在資料があるかどうか、ちょっとここで申し上げかねますが、一応調べてみます。
  59. 山田長司

    山田(長)委員 こんな重大な報告をして、そのあと二十六年六月までの一年間の事態はわからないというようなことでは、何のために布令を出して集めて、進駐軍に報告しておるのかわからぬ。報告しておる以上は、控えがなければならぬはずですよ。その控えでもいいです。
  60. 上国料巽

    上国料説明員 調査して、提出いたします。
  61. 吉川久衛

    吉川委員長 上国料課長、いままでの本委員会における、貴金属、ことにダイヤモンドの質疑については、非常に不明瞭な点がありますので、この点は、本委員会において、あくまでもはっきりさして、国民の納得のいくようにしなければなりませんから、単なる調査というのではなくて、要求どおりの資料を整えて提出してください。  もう大蔵省のほうはよろしゅうございます。      ————◇—————
  62. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、昭和三十九年度決算ほか二件を一括して議題といたします。  本日は、皇室費決算内閣所管決算並びに総理府所管中、総理府、本府、公正取引委員会土地調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁、各関係決算について審査を行ないます。  各当局より、順次概要説明を求めます。  まず、皇室費決算について、瓜生宮内庁次長
  63. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 昭和三十九年度における皇室費の歳出決算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和三十九年度歳出予算現額は、二十四億四千七百八十九万四千円でありまして、支出済み歳出額は、二十一億六千八百十三万円であります。この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、二億七千九百七十六万四千円の差額を生じます。右差額のうち翌年度へ繰り越した額は、二億七千八百八万八千円であり、不用となった領は、百六十七万六千円であります。  以上申し上げました皇室費は、内廷費、宮廷費及び皇族費に関するものであります。  次に、翌年度繰り越し額は、宮殿新営、皇居階下御還暦記念ホール新営等に必要な経費における二億七千八百八万八千円でありまして、宮殿新営の実施設計において、不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものの繰り越しであります。  また、不用額のおもなものは、宮廷費に必要な経費における百六十七万六千円でありまして、これは、光熱及び水料を、当初の予定より要することが少なかったこと等のため不用額となったものであります。  以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  64. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、内閣所管決算について、竹下内閣官房副長官。
  65. 竹下登

    ○竹下(登)政府委員 昭和三十九年度内閣所管歳出決算説明を申し上げます。  昭和三十九年度における内閣所管の歳出決算について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和三十九年度歳出予算現額は、十七億八千五百三十五万八千円でありまして、支出済み歳出額は、十七億五千二百八十万八千円であります。  この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、三千二百五十五万円の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  内閣所管の支出済み歳出額は、内閣官房、内閣法制局、人事院、憲法調査会、国防会議及び臨時司法制度調査会に関するものであります。  不用額は、人事院における退官退職手当及び職員俸給等がそのおもなるものであります。  以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  66. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、総理府所管決算について、安井総理府総称長官。
  67. 安井謙

    ○安井国務大臣 昭和三十九年度総理府所管歳出決算説明。  昭和三十九年度における総理府所管の歳出決算について、その概要を御説明いたします。  総理府所管昭和三十九年度歳出予算現額は、五千五百四十二億三千八百八十三万一千円でありまして、支出済み歳出額は、五千四百四十億八千七百四十万一千円であります。  この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、百一億五千百四十三万円の差額を生じます。  右差額のうち翌年度へ繰り越した額は、八十二億九千三百五十一万三千円であり、不用となった額は、十八億五千七百九十一万八千円であります。  右の総理府所管の支出済み歳出額は、総理本府のほかに、公正取引委員会、国家公安委員会土地調整委員会及び首都圏整備委員会の四つの委員会と、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁の六庁の外局に関するものでありますが、国家公安委員会、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁につきましては、各担当の大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局につき申し述べますと、歳出予算現額は、一千五百九十二億五千二百八万六千円でありまして、支出済み歳出額は、一千五百七十八億四千四十八万七千円であります。  この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、十四億一千百五十九万九千円の差額を生じます。右差額のうち翌年度へ繰り越した額は、十二億七千八百三十九万九千円であり、不用となった額は、一億三千三百二十万円であります。  以上申し上げました経費のうち、大部分は恩給費でありますので、恩給関係経費についてさらに御説明しますと、その総額は、一千五百八億六千百三十一万九千円であり、そのおもなるものは、文官等に対する恩給費二百一億一千九百十九万五千円、旧軍人遺族等に対する恩給費一千二百九十億九百六十五万六千円でありまして、これに対する支出済み歳出額は、総額一千五百五億二千二百九十二万三千円であります。  このうち、文官等に対する恩給支給における支出済み歳出額は、百九十九億六千四百八十六万円でありまして、この経費は恩給法等に基づいて、退職した文官またはその遺族に対し支給した年金及び恩給、並びに国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員またはその遺族に対し支給した互助年金に要したものであり、旧軍人遺族等に対する恩給支給における支出済み歳出額は、一千二百八十八億三千六十五万五千円でありまして、この経費は恩給法等に基づいて、旧軍人またはその遺族に対し支給した恩給に要したものであります。  次に、翌年度繰り越し額は、恩給及び沖繩援助に必要な経費における十二億七千八百三十九万九千円でありまして、沖繩に対する土地改良事業援助金等の財政援助において、相手側との実施細目協定に不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものの繰り越しであります。  また、不用額のおもなるものは、総理本府に必要な経費における一億一千四百四十九万四千円でありまして、これは人件費関係の不用額のほか、放送等実施委託費、統計関係経費等において、当初の計画を変更したので、予定より要することが少なかったこと等のため、不用額となったものであります。  以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  68. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、会計検査院当局より、以上の各決算について、検査の概要説明を求めます。斉藤会計検査院第一局長
  69. 斉藤実

    ○斉藤会計検査院説明員 皇室費関係、総理府等に関しまする三十九年度の決算につきまして、書面及び実地について検査をいたしましたが、その結果につきましては、特に違法または不当として指摘した事項はございませんでした。  そのことを御報告申し上げます。
  70. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて説明聴取は終わりました。
  71. 吉川久衛

    吉川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、総理府関係について、勝澤芳雄君。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 長官は予定はどうなっていますか、時間は。
  73. 安井謙

    ○安井国務大臣 一時に、内閣のほうに呼ばれております。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、こまかい問題は、総まとめにやりますから、長官以外の方で、簡単に御説明願ってけっこうですが、まず長官にお尋ねいたしたいのは、青少年の問題でありますけれども、これは、昭和二十四年の第五回国会で、衆議院、参議院で青少年の犯罪、不良化防止についての決議がなされまして、それに基づいて総合的な施策というものが行なわれ、また、今日、青少年問題協議会が設置されておるわけでありまして、今日ほどこの青少年対策について重要視されておるときはないと思うのでありますが、ひとつこの問題についての長官のお考え方を最初お尋ねしたいと思います。
  75. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のございましたとおり、この青少年問題というものは非常に大事な問題だと思います。第五回国会における決議等も、私どもいま御指摘のとおり拝承いたしております。最近におきまして、特に一昨年佐藤内閣出発以来、人間尊重のたてまえからも、この青少年問題を特に重点的に取り上げるという方向でまいっておりまして、昨年一ぱいにおきましても、この青少年の対策には特に意を注いでまいりました。特に、役所だけの仕事でなくて、民間各種マスコミ等々との関係の調整等につきましても、相当意を尽くしてまいったつもりでありますが、さらに、青少年問題は、御承知のとおり、各省と非常に関係の深い、各分野にわたっております。学生生徒につきましては文部省、さらに身体不自由者その他につきましての福祉関係につきましては厚生省、あるいは勤労青少年については労働省、またいろいろな施設につきましては建設省、あるいは非行青少年対策については警察、検察あるいは裁判所と、あらゆる分野にわたっておりますので、どうしてもこれを総合的に調整する必要があるというようなことから、四十一年度におきまして、これはかねていわれておったことでございますが、全体の調整をやりますと同時に、青少年問題に対する基本的な施策を立案検討する、及び各省にまたがる全体の青少年対策を調整する、また各省に属さないような事項で必要な事項を取り上げるという意味におきまして、総理府の中に今回青少年局を設置することに相なりまして、この案を、現在予算で御審議を願っておるような次第でございます。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、決算の中についての質問でありますが、総理府において、青少年問題に対して、地方公共団体の補助金が三十九年度千六百六十万七千円支出されておるようでありますが、この内容についてお聞きしたいわけであります。  それから第二は、特別地区の協議促進委託費が出されておるわけでありますが、この指定状況、地区内の活動状態。  第三の問題は、研究調査委託費が出されておるわけでありますが、委託先、研究成果の活用。  それから四番目が、青少年問題についての総理府の活動として、特に少年補導センターの補助金が出されておりますが、このセンターの運営、設置場所、少年センター運営の結果、青少年の実態がどのような傾向になってきておるか。  第五番目が、世界青少年キャンプ開設費並びに補助金が支出されておりますが、このキャンプ設置の目的、青少年団体の数、組織、今後の計画等について。  以上、五点について、時間もありませんので、できるならば概略説明、あるいは、説明困難でしたら、あとで詳細について資料をお出し願いたい、こう思うのであります。
  77. 安井謙

    ○安井国務大臣 御質問、第一点の、地方公共団体青少年問題協議会の補助金につきましては、地方青少年問題協議会というのを、各都道府県に設置されておりますので、それの活動費として、活動費の二分の一の補助を、大蔵省協議の上、四十六の都道府県それから六大市、合わせまして五十二カ所に、この補助金を支給いたしておるような次第でございます。  青少年問題特別地区協議促進委託費につきましては、これは人口の非常に小さい、二万ないし十万ぐらいな小都市につきまして、その小地域における青少年問題の保護育成というものに対しまして、特別の協議会を開いておる都市百市をモデル地区として選定いたしまして、これに対して九万五千円程度の委託費をもって事業委託をいたしておる次第でございます。  第三番目にお尋ねの、青少年問題研究調査委託費につきましては、青少年問題に関する研究調査の委託、これが九件ございまして、それぞれ中央青少年問協議会の中におきまして、いろいろ問題テーマをきめまして、そうしてその決定に従ってそれぞれの学者の方九名の方に研究委託をいたしております。そのほかに一件、青少年のマスコミ接触状態を調査するための調査委託費を中央調査社へ一件出しておるのが、この五百一万六千円の内訳でございます。  それから、第四番目の少年補導センターにつきましては、これは人口十万人以上の各都市に対しまして、全体で九十四カ所に補助金を出しております。これは大体定額五十万円程度のものでございまして、警察、教育、児童福祉の関係機関、団体及び民間有識者の合同活動により、繁華街等における問題少年及び非行集団を早期の段階において発見し、関係機関の連絡提携により適切な補導を行ない、もって少年の健全な育成を期するということで、全国九十四カ所の都市を指定いたして出しておるわけでございます。  世界青少年キャンプの開設補助金につきましては、オリンピック東京大会が開かれました際に、世界の青少年代表が集まり開催をされた世界青少年キャンプの運営費の一部費用として、打ち切り千六百万円の補助金を出しておる都合でございまして、そのキャンプは、その後も組織委員会は残っておりまして、今後開かれます次のメキシコオリンピック大会等へも、今度は、同じような形で、日本側から派遣する計画もその後引き続いて進められておるやに伺っております。  以上、簡単でございますが、もしこまかいものは、政府委員からでもまた……。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 詳細な点については、あと資料をいただくことにいたしまして、特に青少年問題につきましては、吉田委員が熱心ですから、吉田委員に譲りまして、私は、宮内庁のことを、あとで御質問することにいたします。
  79. 吉川久衛

    吉川委員長 吉田賢一君。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長官にまず伺いたいのです。  近時、青少年問題が非常に重大な社会問題になっておりますし、全国のおかあさんの一番心を痛める問題ではないかと思っております。特に、青少年問題というものを、一体長官はどういうふうに把握なさっておられるのか。各省庁にわたりまして、ずいぶんいろんな施策が立案されて実施せられる。また膨大な予算がついておることももちろんでありますが、一体青少年問題のつかみ方を率直に、端的に申しますと、どういうふうに把握なさるのか、ひとつ所見を明らかにしておいていただきたいと思います。
  81. 安井謙

    ○安井国務大臣 青少年問題というのは、全体として日本の将来をになう青少年の対策でございますので、大事なことは申すまでもございませんが、このわたっておる範囲というものは非常に広範でございまして、先ほども申し上げましたように、それぞれの社会の各職業部門あるいは学校、学校にもいろいろ態様がございます。また地域的にもそれぞれ取り上げる対象、取り上げ方が変わってくると思います。そういう意味におきまして、青少年問題を進めてまいりますのには、まず政府としては、各省がそれぞれの担当部門について十分な配慮をしてもらう。教育の徹底、家庭教育のあり方、家庭福祉の振興、勤労青少年の福祉充実、あるいは非行青少年対策といったようなそれぞれの部門で、それぞれの機能を発揮していくことが大事であります。と同時に、これらの問題を総合的に調整いたしまして、全体がむらなく効果を上げるような調整をする機能をもって、政府は当たらなければなるまい、こういうふうに考えて、いままでも鋭意やってまいった次第でございまして、今回、そういう意味での調整をする機構、並びに青少年問題を専門的に基本的に検討していく機構、あるいはいままで各省でやっておりましただけでは不足な部分に対する補充的な青少年対策の施策の実行、こういうようなものを、総理府の青少年局で今後は取り上げてまいりますと同時に、青少年問題に関する審議会を置きまして、また基本的な長期的な視野のもとに、各種の基本的な問題を御調査、御検討あるいは御建策を願うという体制で進めております。しかし、こういった政府あるいは地方公共団体の各種の部門だけで、決して青少年を補導育成するということも不可能だと思います。これはやはり家庭の問題、あるいはそれぞれの社会において、おとなの方が十分な関心を持って、また青少年問題を心がけていただくということも非常に大事だと思いますので、そういう意味では、私ども、民間の有識者からなる一つの青少年問題の対策の国民協議会のような形のものも、ぜひできることを期待しておりまして、そういったことも、近くでき上がるような機運にあるような事情でございます。また同時に、青少年自身につきまして、自分がやはりこの民族的な誇りと同時に自覚、責任を持って常に伸び伸びと活動していく。またそれにふさわしいような環境、指導をするということに心がけなくちゃなるまいと思います。また普通の青少年だけでなく、非常にゆがめられた環境、不幸な環境にある青少年に対する対策、あるいは特別に非行をやっておるような、そういった者に対する対策、それはまたそれなりに別途に対策を考えなければならぬと思います。結局、青少年問題というのは、ここを押せばこれで問題が解決するといったように簡単にまいりません。あらゆる万般にわたりまして、きめのこまかい施策をこれからもやっていかなければなるまいと思っておる次第でございます。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 青少年局設置について、いろいろな理由が述べられておるようでありまするが、−いまの青少年問題の取り上げ方、ひいては対策の基本構想の具体的なものということになると思いますが、青少年対策の具体的な構想とか、あるいは総合的な施策というものは、これは青少年問題協議会設置法の当初におきましてもうたわれたことであり、毎年また言われることでありますが、どうも毎年そういったことの繰り返しに終わり、なかなか基本構想がまとまりにくく、百花繚乱のようなことになるのではないだろうかと心配するのですが、この際端的に、基本構想はどこに重点を置いて、核心はどこをねらってというふうな、そういうふうな構想のしかたは、政府としては用意はないのであろうかどうか、その辺について、ひとつ明らかにできればしておいてもらいたいのです。私は、各省にわたって伺わねばならぬ問題でありますので、全体の構想として、結論的に、内閣は、しからば何を核心とねらって、何を最も基本構想の実体にするかということを明らかにしてみたいと思うのですが、この際、端的におっしゃることができるなら、ひとつ明らかにしてほしいのですが……。
  83. 安井謙

    ○安井国務大臣 ただいま申し上げましたように、青少年の問題は、社会の各層あるいは各階級にわたっておりますので、こうすればこれで片づくというような片づけ方はなかなか困難だと存じますが、しかしいま何を目標に政府はやるのだ、こういうお尋ねに対しましては、やはり一般の青少年に対しましては、民族の誇りと自覚、自信を持ってもらうような青少年になってもらいたい。そういうものに必要な、先ほど申し上げましたような諸般の施設の拡充や指導について、十分につとめてまいりたい、これが一つの主眼でございます。もう一つは、一般の家庭の青少年でなくて、出かせぎの青少年、あるいは非常にゆがめられた環境に育っておる青少年に対する対策、また非行青少年に対する対策、こういうようなものにつきましても、あたたかい思いやりと適切な指導とをもってこれにあたりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、各省各庁また地方あるいは民間等におきましていろいろな施策が行なわれ、いろいろな運動が行なわれておるが、おのおのそれぞれねらうところもあり長所もありすると思う。それはそれなりに、できるだけやってもらう、こういうような構想なのでございましょうか。私の総理府に対する質疑といたしまして、そういうふうな責任もしくは任務もしくは新しくできるところの青少年局の任務におきまして、総合調整とか、基本的構想とか、そこが非常に大事じゃないかと思いますので、いまのようなお説であるならば、格別に一これはあとで聞きたいと思ったのですが、青少年局を、いまさら小さなものをつくるような必要もないような感じもいたします。昨年は、愛知文部大臣にもこれらの点についていろいろ伺ってみたのですが、ぐっと強力な青少年対策を、施策として打ち出したいのだというようなことのお話もあったのですが、ぐっと強力なということは、これは半面から見ると、総理府といたしましては、できるだけ総合調整に重点を置いた、効率的な、全体の成果があがるような、十分に実績をうたい得るような、いまのような暗い趨勢がだんだん明るくなるような、そういうふうな総合調整的な点にやはり重点が置かれるということが——少なくとも総理府の意見としては、文部省は何をやっているとか、あるいは法務省が何をやっているとか、そういう個々の問題は、総理府としてあまり力を入れてこの際御説明いただくよりも、総理府自身の御任務といたしまして、総合調整の基本的な全体の扱い方をどうするかという、そこの重点を私は伺ってみたかったのであります。
  85. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは御説のとおりでございまして、私、青少年問題を扱う全体の立場からの御答弁をいま申し上げました。しかし、総理府としては一体何をやるのだ、こういうお尋ね、非常にごもっともでございまして、この点は、先ほどもあげましたが、第一には青少年の行政に対する基本的かつ総合的な施策を長期的に立てていかなければならない。その次には青少年の各種行政を、いまお話しのとおりの総合調整をして、いかに効果あらしめるか。もう一つは、他省に属しない青少年関係の施策をやるというのが総理府の当面の仕事であろうと存じておりまして、そういう意味から、御承知のとおり、従来ございました中央青少年問協議会、これは半分審議会であり半分連絡調整のための機関であるというような性格で、強力な青少年行政の総合調整をやるというのには、行政能力として少し弱いのではないか。少しじゃない、だいぶ弱いのじゃないかというような趣旨から、これを解体いたしまして、この総理府の内部局である青少年局というものを一つ設けて、強力な総合調整をやっていこうというふうに直したわけでございます。そうして、中青協にありましたいわゆる審議的な部門につきましては、これはあくまで、従来も貴重なものでございますので、今後審議会としてこれを残して、そうして有識者のいろいろな長期的な献策、御検討、調査を願うという機関として残したいという構想にいたしております。  それからなお、他省に属しない青少年問題が相当残っておると思います。これは一つ例をあげますと、たとえば、国民全体が青少年問題に対して関心を持ってもらう、あるいは全体の環境浄化をどういうふうにしてやっていくかというようなことで、たとえば映画館その他における悪質の俗悪な広告類といったようなものを排撃して、もっと浄化するために、いわゆるマスコミヘの対策、こういうものにつきましては、昨年来もやっておりますが、広告あるいは映画、出版、放送、そういった各部門のそれぞれの業界代表者とも懇談をいたしまして、そういった環境の浄化といったものにつとめてまいりますと同時に、一般の国民の有識者に、ひとつこの青少年問題に対する今後の関心と指導を求めますために、いわゆる青少年育成に関する国民会議といったような、全民間の有識者を網羅したものを結成をしていただく、それに対しまして、総理府としてはでき得る限りの御援助とお世話を申し上げる、こういうふうな形で、いままでの機構、あるいはいままでの仕事で足りない面を中心的に補っていきたい、こういうふうなつもりでやっております。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総理府の青少年局設置の件に、ちょっとこの際、返って伺ってみますと、大体、臨調の答申等によって明らかでありまするとおりに、政府のあらゆる局その他審議会等々は新規に設けないというようなことが明らかになって、大体そのような方針を内閣は踏襲しておったと思います。例外に青少年局を総理府に設けるということになる以上は、かなり重大な使命がなければなるまいとも思います。いま伺っておりますると、非常に援助するとか、お世話するとか、連絡するとかいうふうなことをおっしゃっておりまするけれども、やはり青少年問題の緊要性と重大性にかんがみまして、せっかくの青少年局をつくる以上は、期待に沿うような積極的な、たとえばもっと総合調整について欠くるところはないか。あるいは明らかになっておりまするいろいろな例をあげましても、文部省と厚生省、運輸省、建設省あたりのいろいろな施策が重複したものがかなりあるのではないであろうか。同じ対象の、たとえば厚生省の児童遊園、建設省の児童公園、あるいは厚生省の子供会あるいは文部省のボーイスカウトとか、あるいはユースホステルとか青年の家とか、これはそれぞれの特徴は持っております。特徴は持っておりますけれども、いずれにしてもばらばらで、思い思いにやっておるというようなことで、核心を見失っておるのではないかという批評が、臨時行政調査会におきましても、指摘されておるのでありまして、この辺のこともあれこれ考えますと、成績が上がってこない、業績が上がってこない。われわれの決算の角度から言うならば、せっかく膨大な予算を使用をしながら、十分効率的に使われていないのではないか、こう思います。どうすれば一体調整の機能を十分に発揮し得るかということが、総理府に課せられたいまの青少年局設置の一つの課題になって、任務を帯びて出てきたのであろう、こう思うのです。だから、これは相当な強い決意のもとに、その使命を果たし得るような体制ができぬと意味がないと思うのです。ほんの断わりにやったにすぎないと思う。こんなことを繰り返しておったら、新聞の社会面は非行少年、毎日でも、殺人、凶悪犯というたら少年ばかりのような印象を受けます。どれだけ大きな弊害か知りません。だからわれわれ政治に参与しております者よりも、ちまたの被害、ちまたの恐怖というものは大きいのですから、やはり思い切った相当な積極的な態度が望まれるのではないかと思うのですが、それについての長官のいまの御説明は、もう一つ私にはぴんとこない、あるいはピンぼけがしてぼんやりしたような、同じようなことの繰り返しになるのではないかということをおそれるのですが、それ以上御説明ができなければしようがないのですけれども、少なくとも調整機能は重大な使命と思うのだが、この点について、もっと積極的な希望——こうせねばならぬと思っておる、この点に弊害がある、重複があり、煩瑣に過ぎる、何かその辺はもっと直截簡明に言えないものだろうか、こう思うのです。
  87. 安井謙

    ○安井国務大臣 御指摘のような点は確かにあると思うのでございます。しかしこれは一朝一夕に、ずばりときめ手というのはなかなかなかろうと思いますが、たとえば各省でダブっておる問題を、今後青少年局で調整をいたしまして、より有効な働きをするような仕組みに持っていく、これも今度の新しい局の出発で、相当効果を上げ得ると思いますし、また従来考えていられなかった国民との結びつき、これは相当大きな国内運動になると私は思います。また青少年そのものをあらゆる階層から集めて、そうしてそれを鼓舞激励するというような仕事は、いままで比較的取り上げる部署がなかったものでありまするから、そういった問題もなかった。ただ、どうも食い足らぬじゃないかと言われるお気持の一つには、同じつくるなら青少年局をもっと強力なものにして、ある程度各省のやっておる仕事も、その中で総合的に強力に合理的にやったほうがいいんじゃないかというお気持ちもあろうかと思いまして、私はその御意見も非常にごもっともだと思いますが、現在の状況では、各省がそれぞれやっております持ち場については、その省でそれをさらに有効に生かすような作業、作用を、一応青少年局は受け持って、他省の仕事あるいは機構をこちらへ持ってきてやるという意味じゃなくて、それぞれの各省がやっております機能を有効に動かす調整役を強力にやっていこうということで、いわゆる強力さというものから見ますと、今度でき上がろうとして御審議願っております青少年局の機構というものは、まだまだ弱小なものかもしれません。しかしいままでできておりますものよりか数歩前進した施策は、今度のかまえで相当でき上がるものだと私どもは確信をいたしております。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国民運動は毎年あらゆる形で行なわれております。今度は画期的な構想で進んでくるようでありますが、しかし、こういう点はどうなんでしょうね。私どもおとなが青少年に向かってものを説くときには、いつも抽象的な、概念的なスローガンのようなものを押しつける感じがどうもせぬではありません。したがいまして、誇りを持てとか責任を持てとかいうような、国民として誇りと責任を持っていくような青少年をつくりたいというようなことのその前に、やはり青少年自身の悩みをともに悩んでやるとか、あるいは小さな子供が、戦後の混乱の中に生まれて、人生観もはっきりしないというような、そういう子供が、何が善やら悪やらわからぬというような中にさまよって、悪に取りつかれていくというような、そういったときに、そういうスローガンの前に、ともに悩んでやるとか、あるいはその心に溶け込んでやって実行してやる。幾多の対策が立てられておりまするけれども、実行してやるとかいう、そういうことにむしろ重点を置くということが欠けておるのではないだろうか。だからたとえば、少年あたりでも、少年院を出る子供は、夏入ってくるときに一人で来て、冬出るときに着物がない。ない着物を一体どうするかといったようなときに、いろんな係の人が心配してやったということも、実際の話として私は聞いたことがあるのです。そういうように、いろいろな抽象的スローガンだけで、もう解決できる段階じゃございません。ことばも大事です。ことばというものも非常に大事なことですけれども、その辺が、実践を主としていかねば、大まかに灰をまき散らしたようなことになっちゃ、これはいくまい。この点、さっき、きめのこまかい施策とおっしゃったが、そのとおりだと私は思うのです。荒筋じゃなしに、ほんとうにきめのこまかいことでいかなければ、この種の問題の解決は容易でありませんので、私はこれらの問題について、実践を主とする——スローガン、対策はもう山のようにあります。協議会におきましてお出しになっております御意見もよくわかります。しばしば意見も出ておりますし、また協議会の関係資料を一覧してみましても、何回か出されております。何回かいろいろな対策が出されながら、なおかつ減らない。三十九年はいろんな数字はずっと急増していっておるという実績も報告されましたので、その辺が実行的な施策——実行こそ一番大事だというふうに思いますので、そこらについて欠くるところはないかということについての御所見をひとつ聞いておきたい。
  89. 安井謙

    ○安井国務大臣 いま御指摘のような、実際問題についての十分な配慮が、すみずみまでできておるかどうか、これには欠けておるところがまだまだ私どもたくさんあろうと思います。これを一挙に解決はできませんが、たとえば家庭裁判所のいまのあり方にいたしましても、あのままでは不十分だということは、もうすでに指摘されつつあるような状況でございまして、さらにそれじゃどうすればいいのだという問題を取り上げて、今後も、これは裁判所の所管に相なりますが、裁判所とも十分な相談をして、その拡充をやっていきます。あるいはその他の非行青少年に対する対策としましても、それぞれ鑑別所のいまのあり方がそのままでいいかどうかといったような問題を、今後はできるだけ広くそうしてこまかく具体的に取り上げて、その責任個所との折衝を通じて、実をあげていきたいと思っておる次第でございます。まだこれで十分な陣容とも申せませんし、また今度できればこれですべてが解決する、というふうなうぬぼれを持つわけにもまいりませんが、いま御指摘のようなことが方向として非常に大事であるということは、私どもも今後も十分認識を持ってやっていきたいと思います。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 児童対策にいたしましても、いろんな対策の方法があるようでございますが、特に児童福祉の問題とかぎっ子の問題、これは次第にどうも渦が大きくなっていくのじゃないかと心配いたしておりますが、抜本的に、かぎっ子対策というものをもっと強力に推進するということをせねばならぬのではないであろうか。これもそれぞれと手は尽くしておられることを存じております。しかし、いまの実情から見ますれば、小学生がうちに帰る、中学生がうちに帰って父母がおらぬという家庭に対して、どうもかゆいところに手が届いておりません。これは全国的に強力に、早急に、ひとつ解決の大方針を打ち立てられねばならぬ基本施策の一つでないだろうか。児童福祉の対策のうちの最も重要な基本問題のようにも考えるのですが、御所見はどうでしょう。
  91. 安井謙

    ○安井国務大臣 これも、御説のとおり非常に大事な問題の一つであろうと思いまして、四十一年度の予算におきましては、これは生徒、児童を対象にしておるものでありますから、文部省でもある程度の予算をとりまして、これに対する対策を立てつつあるということでございます。また私どものほうでも、これは非常に大事だということで、家庭生活問題審議会というものを起こしまして、いま、それによってそういった実態をつかみ、さらにどういう具体的な対策が必要であるかも、せっかく御検討願っておる最中であります。右から左へ、この問題が解決する名案を、いま持ち合わせてお出しすることができないのはいささか残念でございますが、そういう方向で、いま御指摘のような問題は、これからも十分力を入れて解決をはかっていく問題として、いま扱いつつあるわけでございます。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 文部省あるいは厚生省あるいは労働省、つまり教育の面、家庭対策の面、働く婦人の対策の面等、それぞれ分掌していくようでありますが、この問題の解決は、地域的な協力はもちろん必要でありますが、大体全国で、数字は、厚生省あたりで発表したところによりましても、明らかになっておるのでございますから、この全体の数字を把握いたしまして、そして留守家庭の児童対策というものを一本に強化していく、ばらばらにやらさない、「政府の窓」の二月一日のあなたのお話によってみましても、ことしは青少年の年にしたいというような意気込みでおいでになる。だからこの場合に、この留守家庭の児童対策といたしましては、強力な一本体制の施策にまで総合調整していく、こういうふうになされれば、私は効果はてきめんにあらわれてくる、こう思うのであります。協議会、審議会もけっこうですけれども、審議の段階ではないのでありまして、問題はもう明らかです。三歳ぐらいで、おかあさん、おとうさんのおらぬところで、キスごっこをして遊んでいるということもお聞き及びと思います。中学生のきょうだいが子をはらんでいるということも、実はあるのであります。というようなことを思いましたら、これは焦眉の急であります。そうしてこれは、回りくどいいろいろなことを考えなくても、対策はもう常識的に立ちますので、守る方法、指導する方法はどうでもあります。何しろこれは明らかになっておる問題であります。だから、こういうものは各省にお呼びかけになって、総合調整の実をあげていく、こういうふうになさるべき案件でないか、こう思うのであります。  これはひとつ、各省にも、御相談的に、提案的に、御質疑をなさねばならぬと思いますけれども、可能な問題なんですから、いまさらあっちこっちにやって、まかしておくべき案件でないと思うのでありますが、簡単でよろしゅうございますから、ひとつ伺ってみたいと思います。
  93. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは全く御説のとおりでございまして、かぎっ子の問題というのは、いま非常に大きな、青少年問題の中でも具体的解決を辿られておる問題だと思います。やるべき事柄の目標は、お説のとおり、いまさら審議会や協議会で検討するまでもなく、大体やらなければならぬことはさまっておるわけでありますから、私どものほうから、それぞれの関係の向きへ強力な働きかけをいたしまして、そしてその対策が実効があがるように、今後つとめたいと思っております。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この数字は、厚生省の発表によると三百六十万といっておりますが、大体このくらいになると思いますので、これは泣く御要望申し上げまして、すみやかに統一的対策実施の段階に進めていただくように、御希望申し上げておきたいと思います。  それから、次は非行少年対策の問題であります。非行少年問題は、一そう憂うべき傾向になってきたことは申すまでもございません。あなたのほうの白書によって見ましても、あるいは法務省、最高裁あたりの資料によって見ましても、次第に低年齢化するような現象や、生徒の犯罪が増加しておる傾向や、中流家庭の青少年犯罪がふえてきたこと、集団非行の傾向あるいは都市に集中してきた少年の非行、こういった傾向はこれまた全く大事な問題であり、青少年問題は、第五国会の決議以来、歴史的に考えてみましても、むしろ非行少年がきっかけになったのじゃないかと思いますので、青少年問題即非行少年問題と言ってもいいのではないかと思います。それほど非行少年問題は、今日世を戦慄せしめておるのでありますが、その少年犯罪の傾向と対策につきまして、考慮すべき二、三の点について、ひとつお尋ねをしてみたいと思うのであります。  一体、非行対策として何を一番重点にお置きになるのであろうか、こういう点から発展して、少年法の改正で、法務省、最高裁の意見の食い違いみたいなものが出ておるようでありますが、何を目標にして、非行少年への対策の基本的構想としていくのであろうか、非常に大事なことでありまして、この点において、これは政府の手の及ばぬ家庭問題が最重点ではないかとさえ、結論的に考えるのでありますが、まずどういうような構想で、非行少年対策に基本的なものを打ち立てようとなさるのか、その点をひとつはっきりしておいてもらいたいと思います。
  95. 安井謙

    ○安井国務大臣 非行少年問題に対しましては、全般的には、何と申しましても、やはり社会環境の浄化と家庭の環境の浄化と申しますか、これが全般的には一番大事であろうと思っております。  その次に、いまの青少年の犯罪の傾向としましては、こまかい数字は別にしまして、最近の傾向で、人口増に比例しまして特別ふえるというような状況にはございません。全体から見れば、若干減っておるかなというようなことも言えるかと思いますが、それにしましても、ほっておいていいというような状況じゃございません。ことに、青少年の犯罪の分野からいいますと、強盗、殺人といったようなものは、新聞では非常に出ておりますが、全体の比率からいうと、若干は減少傾向にあるというようなことが言えるようであります。しかし同時に、窃盗であるとかその他の刑事犯というものは、全体からいうと、決して減っていないというの、が今日の動向のようでございます。そういうものをつかみまして、これをどういうふうにするかというと、何といっても、家庭、社会の環境浄化が第一でございます。しかし、起こした人をどういうように処理するかという問題になりますと、やはり家庭裁判所あるいは保護観察所といったようなものでの処理、ということも非常に大事になってこようかと思っておるわけでございまして、いまの家庭裁判所の陣容、設備では、とてもそういう人をさばき切れるものではない。また観察所におきましての扱いにつきましても、これはまだ非常に不十分でございます。そういうような点をまず充実をしていくこと、それにはもっといい人に、できるだけの待遇でつとめてもらうことも必要であろうかと思っております。  それから年齢層がだんだんと低下をしていく傾向、これはやはり年とともにその傾向が強いように思います。これに対しましては、御承知のとおり、いま法務省側、裁判所側で、いろいろ両者の立場から検討が行なわれておりますが、やはり刑罰をただ科するというだけでは、この傾向をそうためられるものじゃあるまいというような一般的な意見も強く出ておりまして、むしろいわゆる家庭裁判所あるいは保護司といったような陣容を充実することによって、それらの対策をさらに強化をしていきたい、こういうふうに思っております。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 非行少年の数が必ずしもふえておらぬ、また新聞に大きく報道される凶悪犯の少年といったようなものも数がふえておらぬ、こういうような見方が一部にあるのでありまするが、しかし三十九年度中におきまして、非行少年として検挙された者が、家庭裁判所に受理された事件は百四万人にのぼっております。したがって、これは戦後最高の数ということになります。凶悪犯でなくて、交通違反が多いという注釈もつくのでございますけれども、いずれにしても最近の、特に少年、低年齢層の凶悪犯、こういったものが相当社会を戦慄せしめておるということは事実でございまするので、これにつきまして、一体どこをねらって対策の重点を置くかということは、まことに重大なことでなければなるまいと思います。やはりこれはあらゆる施策を総合的にやる以外には方法がないと思うのでありますけれども、政府といたしましては、少年の非行傾向について、たとえば、さかのぼって母性から、あるいは胎児から、あるいは乳幼児から、児童全体の保護から、そういった面から、ずっと縦の対策を立てる心要はないだろうか。そうして少年の教育、あるいは十七、八歳の青年前後の思春期における、いろいろなそれに対する処遇、あるいは考え方というようなものを指導する必要が、縦の面であるのではないだろうか。そういう点につきまして、この非行少年の対策の一つの重点といたしまして、母性にさかのぼってまで総合的な施策が必要ではないだろうか、こういうふうに思われるのですが、その点はいかがですか。
  97. 安井謙

    ○安井国務大臣 これもたいへんごもっともだと思います。いま私申し上げましたのは、青少年の犯罪が必ずしも激増してないというのは、必ずし一も激増してないという程度でございまして、やはり傾向からいえば、ふえてきておることは事実でございまして、そういう意味で、決して、これだから効果があがっていていいのだというふうなつもりは毛頭ございません。ことに、その少年を幼児のときからはぐくむという、これは非常に大事だろうと思いまして、今後結婚する際には、両者で健康診断をして、十分相互に健康な身体であるといったような証明をする、あるいは妊産婦等に対しまして、十分な身体状況調査をしますとか、あるいはそういう人が生んで働くまでの期間の預かる場所なり何なりを、十分にこれからもできるだけ施設を充実していくとか、そういう対策は今後とも十分にとられていかなければなるまいと思っております。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、少年の非行のうちで、売春の問題が非常に重要でございます。鑑別所あたりへ参りますと、十三、四歳くらいで、売春婦になって、利用せられておるというような、いたいけな少女の姿を見るのでございますが、これは同時にまた、性病の問題ともつながってまいりますが、現在の売春防止法の改正の機運というものも、国会におきまして、動きがないとは言えないのであります。あらゆる手段をもって、脱法的に売春をしつつあるということは顕著な事実であります。トルコぶろもございましょうし、深夜喫茶もございましょうし、いろいろな名前のものが行なわれておるのでありますが、こういう性病蔓延の角度から見ましても、また人権を保護する立場から見ましても、少年を保護する立場から見ましても、売春の角度からまた取り上げまして非行をなくするということも、おとなが協力しなければできませんですが、その面も、積極的な対策として打ち出していかねばならぬのではないであろうか。これはいたずらに取り締まりの方面にまかすべき案件では絶対にない。国民みずからの手でこれは守っていかねばならぬことではないかと思います。それならば一体ねらいはどこに置くべきか、その重点はどこに置くべきかというふうにも考えるのですが、その点、長官いかように考えておりましょうか。
  99. 安井謙

    ○安井国務大臣 これも、もう全くお話しのとおりでありまして、私ども頭の痛いところでございまして、売春禁止法をやったから、隠れた性病あるいは性行為がふえるのじゃないかというような俗説も、一部にあることは事実でございます。しかしながら、性病の傾向を統計的に見ますと、売春禁止法をやったがために性病がふえたという実績は出ておりません。したがって、売春禁止法というものは、合理的な方法のもとにさらに十分考えられて、りっぱに運用されるべき性質のものであろうと思います。売春禁止法は、従来どちらかといいますと、人権のほうに重点を置いたいままでの取り締まりである。したがいまして、今後はそういったもの以外にも、行為そのものについても、十分今後検討していく必要があるんじゃなかろうかというふうに、私どもは考えております。  それから、これは余談でございますが、先般ある週刊誌か何かで——週刊誌であったかどうか、はっきり私は見たわけじゃございませんが、高等学校の女子生徒に、一割とか二割に近い性病者があったというような統計数字が出ておったようでございます。これはあわてて調べてみましたところが、完全に報道の誤りである。大体これを調べるのには、それぞれ人権の問題がございまして、強制的な調査はできませんが、いろいろな方法によって調べました結果、宵少年一般については〇・二ないし〇・三%の性病にかかっておる率があるんじゃないか、というのが大まかな最近の調査で出ておるような次第でございます。これが必ずしもふえておるとは思いませんが、しかしこれを全体の人口数に換算して直しますと、非常に大きい数字でございます。また接客業あるいは非行青少年というものを対象にした場合には、何といってもその率がふえております。そういう点について、今後私ども重点的に対策を考えたいと思います。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 売春対策につきましては、これはまたいずれ権威者の神近先生もおりますので、また別の機会に何かあろうと思いますが、私は、非行少年対策といたしまして、もっと総国民的な手で、政府はもちろんのこと、国民全体が協力いたしまして、家庭対策というものに大きな柱を立てるということが非常に大事ではないか、こう思っております。それにつきまして、政府は十分に手が届くまいと思いますけれども、やはりさっきの総合施策と同じように、家庭対策というものに、集中的な、各行政機関の総動員的な横の連絡協議、そしてまた地域、国民の協力というので、どの地域におきましても、家庭は非行少年を出さないということで、確固とした一つの体制が立てられつつある。施策はもちろんのこと、みんな地域も協力する、こういうふうに家庭対策というものに重大眼目を置いて、非行少年対策を立てるということ、これをもっと積極的にやるべきではないかと思うのですが、この点はどうでございますか。
  101. 安井謙

    ○安井国務大臣 これも非常に必要だと思いまして、実は家庭生活問題審議会というものを昨年六月に起こしました。秋から出発をいたしまして、現在家庭生活のあり方、社会生活の一環としてのこのあり方について、いま各専門家の先生方にお願いしまして、検討中でございます。近く答申も出てまいることであろうと思いますが、そういうものも十分参考にいたしまして、今後対策を立てていきたいと思っております。
  102. 神近市子

    ○神近委員 関連。いま性病の話が出ましたので、一、二問、ちょっと御質疑したいと思います。  最近の性病は非常に悪質なもので、早期顕症梅毒と申しまして、いままで日本にあった梅毒よりは非常に害毒がひどい子供が生まれる。梅毒の人が妊娠しますと、それは大体知能の低い子供になる。いろいろ考えますと、私、売春防止法の問題でも、いま社会党で改正案を作成しておりますけれども、それよりも性病対策−最近の世界の情勢で、自由性交というような傾向が非常にふえているということで、私はこの間婦人団体での相談会でも、その点をちょっと申したのですけれども、性病退治というものにやはり集中すべきではないかというふうに考えるのです。それはいまの厚生省の性病についての届け出制度というものが、非常に不完全なものじゃないかと思うのです。ここに神奈川県の例が出ておりますけれども、神奈川県で届け出を簡易にした。お医者さまが患者に相談されて、届け出を怠るというよりは、隠すという程度のことが多いのでしょうけれども、性病の届け出をもっと強固にするということ、これは行為そのものにも非常に反映してくると思うのです。乱婚時代が来るというふうなことが書いてあるマスコミのものがありましたけれども、それともう一つ、届け出制度で、お医者さまがなかなか言うことを聞かない。そういう場合に、やはりスカンジナビアあたりのやり方——まあ相当自由性交が行なわれている。だけれども性病は皆無だということを考えれば、この間なくなった松原売春対策委員が視察してきて、その報告を詳しくなさったことがあったけれども、もし自由な性交がとめられないとすれば一これはいろいろな理由があると思うのです。ここでそんなことを逐一申し上げる時間はないのですけれども、その取り締まりのほうの、性病についての非常に強い規制ということが必要じゃないかと思うのですけれども、松原さんはこの間なくなりましたが、これはいろいろな方が調べておりますから、ひとつやり方を考えていただくということはできないでしょうか。
  103. 安井謙

    ○安井国務大臣 御説のとおりでございまして、いま厚生省に出ております届け出の数は、およそ社会の実相からいえば低いものであろう一これは何人も想定をしておるわけでありまして、厚生省でもいろいろお考えになりまして、最近は、結婚するについても、両方の血液検査をやるとか、あるいは妊産婦については強制的に検査をやるとかいったようなことも、だんだん始めておられるようでございます。ただ強制的な検査になりますと、いろいろ支障があって、全体を一斉に検査するということがいまでもなかなかできないような環境にあると思いますが、できるだけ手を尽くして、いまお話しのような予防措置の第一段階としての検査を十分にしていく、そして正確な数字を出していくことは非常に大事じゃないかと思います。これは私ども直接の管掌じゃございませんが、厚生省の話を聞いておりますと、非常にこの方面には最近力を入れてきておるというように伺っております。
  104. 神近市子

    ○神近委員 私は、厚生省がある程度力をお入れになることはわかるのですけれども、開業医というものは自由営業でしょう。だから患者さんが減るということがおそろしいものですから、これはよほど厳罰でも規定しなければ、なかなか——届け出というものが簡易にして、ふえたんですけれども、それでもまだ開業医の人たちが、それは良心的な人とそうでない人とがあるのでしょうけれども、いまそこの白浜委員がお医者さまでいらっしゃいますけれども、ともかくいまのような状態でいけば、日本民族は一世紀か二世紀のうちに相当の弱小民族になるだろうというような意見を持っていらっしゃるくらいですから、これは白浜委員でなく、ほかのお医者さまでも、いやもっと、二世紀なんか言えないぞ、一世紀くらいで、というお医者さまもあるくらいで、やはり道徳という面からではなく、もっと広い視野で、あるいは私どもいろいろ考えてみると、なるほど青少年たちが乱婚というような、それが現実に出ているのです。これは一つの傾向として、あるいは人類が一度通ってみる道かもしれません。そうすれば、やはり性病に力点を置いてやるべきだ。スカンジナビアの人たちが、その点で性病だけを追求しているということは、私は見習うべきだと思うのですけれども、長官のお考えはいかがでしょうか。
  105. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは御卓見と申しますか、非常に大事なことだと思いまして、私、厚生省とも十分相談いたしまして、性病専門に対策を考えるという方向を、ぜひ具体化するように努力したいと思います。
  106. 神近市子

    ○神近委員 その点で、もし本気でやるというお考えでしたら、スカンジナビアがどうやっているか、これは学者の方たちがよく知っていらっしゃいますから、現地を見せてもいいと思います。ぜひそういう御調査を願って、その上で立案をしていただきたい。これを要望します。
  107. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連して、総務長官に伺いますが、性病の感染が青少年に多いわけです。そこで、この青少年対策としての性病問題を、特に何か検討しておりますか。その点どうですか。
  108. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは総理府の審議会の所管に相なりまするが、売春対策審議会で、例の菅原通済先生が会長でおやり願っておるのですが、そういう方からいろいろな御献策を願って、それぞれの部門と連絡しながら、これは進めていくというふうにいたしております。
  109. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど吉田委員が、青少年問題、なかんずく非行少年の問題を取り上げました。青少年問題が非常に重要である、なかんずく非行少年の問題は申し上げるまでもない。これに対して総理府としても、積極的な対策を今日まで講じてこられたと思う。しかしなおかつそれで足りない、こういうことで、青少年局をつくって、総合的な施策を講じていこう、こういうことだと思う。いままで総理府自体が取り組んできた青少年対策、各省ばらばらにやっておる、そういうことによる欠陥、その点は十分問題を把握して、その上に立って具体的な対策をこれから講じていかれるという御方針だろうと思う。それでいろいろ問題はあると思うのですが、そこで象徴的に出ておる産炭地の非行青少年の問題、私、端的に言うと、産炭地においては青少年のスクラップ化が進んでおると申し上げたいわけです。産炭地における非行青少年の問題を、総務長官としてはどのように認識をしておられ、また文部省なり労働省なりその他の関係省は、この産炭地の青少年が非行化の方向へどんどんと進んでおることに対して、どういう対策を具体的に立てておられるか。その点に対する、あなたのいままで考えてこられた、さらにまた、これから産炭地の青少年問題を積極的に、重点的に取り上げていこうとするお考えがあるならば、その点に対する考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  110. 安井謙

    ○安井国務大臣 産炭地、あるいはもう少し同じようなことで、形は違いますが、東北地方における農閑期における農村の青少年、そういうような人の生活環境、雇用環境、そういったものをこれから新しく取り上げていかなくてはなるまいと思っておりまして、第一には、産炭地につきましても、まず生活環境そのもの、あるいは父母、本人の雇用関係、そういったものをまずよくしていくという方向でやらなければならぬと思いますが、特に産炭地だけを調べて、いまこれの対策があるかという点につきましては、正直に申しまして、まだ具体的に資料を持っておりません。いま御指摘の問題につきましては、早急にひとつ数字も調べて、対策を立てていきたいと思います。
  111. 中村重光

    ○中村(重)委員 産炭地の問題というものは象徴的に出ておるわけです。それで、閣議の中でも、産炭地の問題は十分検討されてきておられると思う。したがって、産炭地におけるところの非行青少年の問題に対しても、閣議の中において、相当私は検討されてきておるだろうと思う。したがっていままでの欠陥がどういうところにあるということも、あなた方はおわかりになっておられるだろうと思う。青少年問題、非行青少年の問題を取り上げる場合に、象徴的に出てきておることについては、十分な認識というものが私はあってしかるべきだと思うのです。具体的な数字等を私は聞こうとは思わない。いままで産炭地の教育の問題に対しても、たとえば学級編制等も四十五人とか五十人というのではなくて、まあ三十人というようにこれを減らしていくとか、補導の教員というものを特別に割り当てていくというようなことでなければならないとかいったようなことは、産炭地の教育問題、非行青少年対策として、今日までいろいろ議論されてきている。だからして、あなたとしても、そういったことについては認識もおありであろう。またこの質問に対しましても、確かに産炭地の問題はこういう点が欠陥なんだから、これはこう直していかなければならないんだということを、ある程度納得がいくような御答弁ができるのではないか、そういうことでお尋ねをしておるわけですが、この点どうなんですか。
  112. 安井謙

    ○安井国務大臣 やはり、産炭地を全体としまして、その環境の浄化あるいは生活条件の向上、これをまず第一に考えなければなりませんし、そういう問題について、政府もいままで全体として考えておったわけでございます。その中の一環として、今後、指導のあり方あるいは指導の方法につきましては、さらにもっとこまかいきめで、これは学校の教室の定員の数であるとかその他になりますと、やはりこれは文部省と相談しなければなりませんので、いま私がここで何人にするとか、どういう方法でというわけにも直ちにはまいりませんが、いま御指摘の点はつかまえまして、文部省の注意もよく喚起し、その対策につきましても、今後立てるように、これからも連絡をつけていきたいと思っております。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 だんだん時間が迫りましたので、なるべく簡潔に終わりたいと思います。  次はマスコミの問題でありますが、これはすでにもう中央青少年問協議会にあっては、十年も前から、不良映画に対するいろいろな御意見を出しておいでになります。一向に、はんらんしてあとを絶ちませんです。これは憲法の表現の自由の問題等もからんでくるかと思いますが、いろいろ映倫などにおいてもやっておると思いますが、効果がない。きのうも鍛冶橋のところを車で通りまして、そこでちょっと待っておりますと、「多情」とか、あるいは「歪んだ関係」とか、「合鍵の女」とか、でかでかと、交番の前に、このような大きな看板を出しております。そこいらにまた、裸の女性がかいてあるということで、これはいたずらに少年なり男性の性欲を挑発するようなことがはんらんしておるような感じがどうもいたします。これはもっと何か抜本的に、一種の不良映画といたしますか、あるいは、法律、制度だけじゃなしに、これに対する強力な施策でもできぬだろうか。ただいたずらに自粛を求めるというだけでは、利害関係で、容易になくならぬということは現状のとおりでありますが、この点につきましては、文部省におきましても、優良映画について千万円の賞金を出すという新しい政策をつくって、これも出ておりますが、こんなことぐらいではどうにもならぬ。悪貨は良貨を駆逐していきますから、悪貨のほうがきつい刺激で、少年は求めます。必ず行動に走っていくものですから……。これにつきましてはどうでございましょうね。   〔委員長退席、白浜委員長代理着席〕
  114. 安井謙

    ○安井国務大臣 これも、御指摘のとおり非常に大事な問題の一つでございまして、昨年も、そういう意味で、この映画と広告、放送、出版、この四つの部門のそれぞれの各界の協会の代表者に、四つの部門別に分けまして、お集まりを願いまして、この問題の検討も進めておる最中でございます。いまの映画につきましても、お話のとおりでございまして、私も、この映画の内容もさることながら、あの映画館のスチールあるいは広告、看板類、これがあまりにも目に余るじゃないかということで、これなんかも強く指摘して、協議を昨年来続けておるわけでありますが、いまの業者の言い分によりますと、映画館にしても、協会に入っておる映画館はそれほどひどくない。それから映画にしても、映倫でほんとうに十分検討されておるというような、ちゃんとした組合へ加盟しておる映画製作者は、そういかがわしいものをつくっておらぬ、こういう言い分でございますが、問題はやはりアウトサイダーにある。たとえば映画の広告にしましても、今度映倫を強化しまして、映倫によって、映画館側の広告、チラシの類までについても、全部検閲制にするというふうなたてまえにいまなりつつありますが、やはりアウトサイダーでやっておるところまでなかなか手が届かない、といったような悩みもございます。しかしこれを、そうかといって一方的に条例とかなんとかで非常に強い取り締まりをやろうといたしますと、また今度は、言論の自由云々というようなことで、かなり強い抵抗も受けますので、そこらのかね合いをどういうふうに持っていくか、いま苦心の最中でございますが、第一義的には、ひとつ業者の自主的な自粛というもの、それからさら・に、その影響力をアウトサイダーにも及ぼしてもらう、それでもまだ効果があがらない場合には、一定の条例なり法律なり規則というものもつくって、これを取り上げていく、そういうような方向でこれからも進めていかなければなるまいと思っております。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一つの結論の方向でありますが、たとえば今年度予算にあらわれました新規予算というものも、青少年対策といたしまして、相当あるようであります。いまの優良映画の普及対策にも新しい予算が出ておるようでありますし、その他幾つかあるようでありますが、この際、総理府等のお立場からいたしまして、青少年対策全体として、予算的な角度から見ましたときに、重点をどう置いたか、もしくは、新たに求めようとする方向は、ある重点があって、それに従って各省ともそれに向かって予算要求していった、こういうふうな重点施策、新規施策というような角度と今年度の予算の性格を結びつけまして、どういうふうな観察をすることが適当であろうか、こういうふうに思うのですが、その点についての御所見はいかがですか。
  116. 安井謙

    ○安井国務大臣 従来やっておりました、きょうも初め御説明をいたしました、各地方のそれ、それの協議会あるいは補導センター、そういうものに対しましての施策は、そのままより強化をしていくという方針でやっております。それからまた、国際的な文化交流といいますか、青少年の会議あるいは青少年のつどいといったようなものに対して、これを相当活発にやっていくような予算を予定しております。一番大事なことは、青少年局ができまして、全体の総合調整をやっていきますために必要な経費、その中で特に具体的に大事で要る金というのは、民間のいわゆる有識者の手による青少年補導のための国民会議、こういうものを中央にいま設けられるような機運になって、これは東大の名誉教授をやっておられます茅誠司先生がその発起人の代表で、いまこの準備が進んでおりますが、これをさらに、各都道府県に国民協議会というものを植えつけていく。そうしてそれによって、民間と地方団体あるいは政府との緊密な結びつきによる青少年対策というものをひとつ充実していこう、そういったような予算の立て方を考えておるわけでございます。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これできようのところは終わりたいと思いますが、最初に伺っておりました、例のあなたのほうの新しい青少年局ですね。この青少年局は、いまの定員が、中央青少年問協議会の職員が二十一名ですか、それに合わせて五、六名ですかふえて、総計二十六名ぐらいの定員になるらしいんですね。これは私は何としても寸足らずのもののような気がしてしようがないので、どこから考えましてもそう思うのですが、これはやはり抜本的に再検討せられて、そうして新しい任務を背負って出発するというふうにしなければなるまいじゃないかと思いまするので、そういうようなお考えでもあろうか、きょうは芽を出した、しかし次はこれをさらに充実拡大していく、そうしてその任務を全うする、こういうような辺について、何か、この場合はそうだが、将来を期しておるというふうになっておるのかどうか。これだけをひとつ最後に伺っておきたいと思います。
  118. 安井謙

    ○安井国務大臣 御指摘のとおりでございまして、青少年関係の職員二十名が二十六名になったという程度では、決して十分とは申せません。これは将来もっと拡充をしていきたいと思っております。同時に、青少年局自身は、いろいろな仕事を直接やるということより、いまいろいろ御注意のあったような点を取り上げて、総合的に各省と協議をして、その各省で能率をあげてもらうということが大事だと思いますので、現在も関係各省の次官をもって、青少年問題の協議会をつくりまして、これが青少年と一体となって、その効果をあげるようにやりたい、さらに将来できるだけこの機構の拡充をはかっていきたいと思っております。
  119. 中村重光

    ○中村(重)委員 資料要求したいと思いますが、さっき総務長官は、鑑別所の問題に対して非常に見識を持って、吉田委員質問に答えておられた。私もこの鑑別所の問題に対しては非常な関心を実は持っておる。そこで、鑑別所に収容された非行少年が一定の期間を経て鑑別所を出る、再度また鑑別所に入るというような、いわゆる犯罪を重ねていくというような件数が非常に多いでありましょう。だからそれがどういったようなことになっているのか、まずその資料をいただきたい。  私が特にこの資料を求める理由は、鑑別所に収容するという目的は大体何なのか。それは私は私なりにわかっている。わかっているのだけれども、鑑別所に入る、先ほど総務長官が、刑罰を行なうということのみが青少年をいわゆる矯正することではないのだと、こうおっしゃる。私もそのとおりだと思うのです。ところが、鑑別所に収容する。この鑑別所に入れまして、あらゆる角度から、その非行少年の性格なり犯罪を犯した動機について検討するのです。ところが鑑別所に入ったら、いかにも刑務所に入ったというふうに、父兄はまあ世間体をはばかるといったようなことで、いろいろといわゆる顔役なるものを使って、そして一日も早く出してもらいたい、こういう運動を起こす、陳情をやる。そうすれば、あの人がせっかく頼みに来たんだからといって、出してしまう。そういうふうな関係のない、手づるのない者は、最後まで一定の期間、二十五日なら二十五日、あるいは二カ月なら二カ月といったような期間、鑑別所で指導もある程度行なわれるでありましょうし、あるいはその性格なり犯罪の動機なりというものを十分調査が行なわれる。私は、鑑別所に入れて、そしてあらゆる角度から検討を加えていくということについては、どんな手づるがあろうとも、その目的を達するためには、これを出すということは適当ではない、出してもよろしいというようなことであればよろしいのですよ、そうでなくて、ただ、だれだれが頼みに来たんだからといったようなことで、鑑別所から、まだ不完全な調査であるにかかわらず、これを家庭に帰すといったようなやり方は、その目的を達成できない、こういうことになろうかと思うわけです。したがいまして、この点は総務長官も十分な見識を持っておったようでございますから、十分関心を持って、これらの点については、取り組んでいただきたいということと、それから、私のただいま申し上げましたことに関係をいたしますから、その鑑別所に収容されたものが一応出てまた鑑別所に入ったような、いわゆるたび重なるそういう犯罪を起こしておるという事実があるのではないかと思いますから、その資料をひとつお願いしたいと思います。
  120. 安井謙

    ○安井国務大臣 まあ鑑別所は、家庭裁判所を通じて、あるいはその他から参ります。しかしまた、それを経た者で必要な者には、また少年院に入れるといったような手続もございまして、専門的な知識あるいは扱いにつきましては、これは法務省が適切かと存じますが、私のところで、いま御要望のような資料はできると存じますので、さらに詳しい御説明はひとつ法務省からお願いするとしまして、資料を御提出いたします。
  121. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 勝澤君。
  122. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、宮内庁にお尋ねいたします。  宮殿の新営についてであります。これは昭和三十四年設置の、皇居造営審議会の答申によりまして皇居の造営について、三十五年一月二十九日に閣議決定がなされ、三十九年度より三カ年計画で、経費約八十八億円で工事を開始いたしましたが、その後の設計変更等の理由で、四十一年度に、工期を四カ年、工事経費約百十八億円に改めるようになったのでありますが、この経過について、簡単に御説明願いたいと存じます。
  123. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 三十九年の夏に、宮殿の工事にかかりましたのですが、その後、工事を進めながら、工事に必要な実施設計をいたしながら進んでまいるわけでありますが、その実施設計をいたしまする際に、初めに予想いたしましたよりも、実施設計がひまどるというような事態があったわけであります。それは、この宮殿の建物は、普通にない、特別の新しい建物、柱と柱の間も相当普通より広いですし、天井もずっと高いですし、それから旧来の宮殿の伝統を基本として、建築は近代建築の様相であるというような点から、この基本設計を具体的に実現していく実施設計において、初めに考えましたよりもひまどったのであります。たとえば一々いろいろな模型もつくってみる。それに対してまた、大学の研究所でさらに調べてもらうとか、建設省の建築研究所でも調べてもらうとかしながら進んでまいりました。そういうことで幾らかおくれました。そういうことで、この宮殿のでき上がるのが最初に予想いたしましたよりも一年は延びざるを得ないというようなことになったわけであります。  なお、最初に予想したよりも全体の経費が幾らかふえてまいるという点でありまするが、この原因は、一つはこの基本設計の段階において大まかに考えられておったより、いよいよ実施設計の段階に入りまして、変更をしなければいけないということがございました。これは、一例を申しますと、基本設計の段階では、宮殿の柱とかそういうものは、アクリルとか塗料のようなものをコンクリートの上に塗るような考えでありましたが、いろいろ実験いたしますると、それはやはりひびが入ったり感心しないということで、やはりこれは銅板を張ることがよろしいというようなことになりました。そうなりますと、その点は相当経費が違ってまいるわけであります。一例を申しまするとそういうことで、設計をよりよくするというような意味で、変更された点で幾らかふえてきた。もう一つは、最近建築資材が相当上がってきております。なお労務賃も上がっておりまするが、そうした建築に関する物価の値上がりということが出てまいっておりまして、そういうようなことから、最初に予想いたしましたよりも約三十億も増加せざるを得ないということになったわけであります。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、完成の見通しと、総工費は大体どれくらいになるのですか。いま現在の見通しからいいまして……。
  125. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在の見通しで申しますると、完成は昭和四十三年の秋になるかと思います。昭和四十二年度で大体は仕上がりましょうが、こうした建物はあとを手直ししたりする期間が半年くらいなければいかぬと思いますので、そういたしますと、昭和四十三年にでき上がることになると思います。  それから、総経費でございますが、現在一応考えられていますのは、関連工事等全部含めてでございまするが、全体で百二十一億ぐらいになるかと思うのです。しかしこれもまた、物価の値上がりが最近ございます。たとえば、先ほど申しました銅の関係なんかも、国際的な不足、それから価格の値上がりがありまして、ちょうどこれから銅の御注文をして、柱には銅を張り、屋根には銅のかわらをふくという段階に入っているわけですが、これが値が上がってきているものですから、まだ契約が済んでいない部分が大部分ですけれども、そういう部分が幾らか上がらざるを得ないのではなかろうか。結局、物価の値上がりから考えますると、あるいはこれより少しくふえるのではなかろうかというふうな現状でございます。
  126. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、工事契約の状態を見てみますると、宮殿造営工事共同企業体が契約者になっているようでございますが、部分的に、第一回建築工事、第二回建築工事、第三回と、こういうふうに発注しているようでありますが、資材の値上がりといっても、あらかじめ予定されているものですから、契約のしかた、発注のしかたによれば、資材というものは、相当以前に業者が手持ちを持っているということで、資材の値上がりということはある程度防げたのではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点はどういうことになっておるのでしょうか。工事の契約、発注のしかたですね。
  127. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この発注のしかたは、実施設計のできた部分から、共同企業体と契約いたしてまいるわけでありまして、契約した以上は、よほどのことがない以上は、それで共同企業体は引き受けますから、たとえば鉄材の関係なんかは、比較的安いときに引き受けまして、幾らか値上がりしましたときもそれでやってもらったということはございますが、銅の関係なんかについては、これから実施設計ができた部分からやっていきますから、幾らか予算よりは多くの金が要るのではないかと考えております。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この新宮殿の建設は、建設計画というのは、二十八年から基礎調査が行なわれてきたようでありますが、基礎調査を行なって、一応造営ということがきまった。きまった段階で、一応実施設計というものがされておるようでありますけれども、当初の計画と比べて、実施設計というものは、予算的にだいぶ隔たりが多くなってきているという点を見まして、あるいは総工事の予算から見てみますと、発注のしかたをもう少し早くやれば、値上がりになっても、そんなにめんどうを見る必要はないのではないかという気がするわけですが、それで、値上がりになったというような、その契約は−たとえば労賃の問題もそうでしょう、いまの契約でも一年後の労賃に合わないかもしれません。あるいは資材も同じことですが、そういう点、どういうことになっているのでしょうか。
  129. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは先ほども申し上げましたように、建物全体を、最初に、これだけと契約をしてしまっているわけではないわけでございまして、やはり契約する以上は、実施設計ができて、仕様書とかなんとかいうこまかいものがないとできないわけでございます。この実施設計ができて、仕様書のようなものができた部分から、技術的に分ける。分けるのでも、技術的な常識があるそうですけれども、常識に沿って分けている。したがって、将来の部分については、またこれからその実施設計ができたものを出しながら、契約をしていくということになるわけでございます。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私もあまり建築のことはよくわかりませんが、たとえば最近やりました電源開発の九頭竜川のダムは、四十三億の予算を一括出しているわけですね。これも共同企業体になっているから、こうばらばらに発注をしているのではないかというような気がするわけですけれども、ある程度、できれば全部、基本設計で発注してしまう。そして修正部分は少しずつ修正していく。たとえば国鉄の新幹線あるいは道路公団の道路がそうですね。基本設計で発注してしまって、それで実際には、具体的にどうせ三回なり五回なり、国鉄の場合多いのは十二、三回、設計変更をしているのがあるのですけれども、そういうようなぐあいに修正をされるやり方もあるわけですが、これを見てみますと、部分的に、部分的に出ているわけです。そうしますと、総合的な基礎計画というものがまだ固まらないうちに、部分的な発注が出て、こう直そう、ああ直そうという部分的な発注が出ていってしまう。ですから、工事の発注のしかたというものを、十分基礎をやっておけば、そんなにふくらむようなことにならないのではないだろうか。一年、正確に言うと一年半ぐらい延びるわけですから、最初の計画からいうと。こういうこともないのではなかろうか、こう思うのですが、その点、もう少し御説明願いたいのです。
  131. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 基本設計は、ちょうど三十七年一ぱいでできておるわけでございます。それで、三十八年度にこれを具体化する実施設計に着手いたして、三十九年には注文をして、実施設計、そういうものを出したわけですが、基本設計全体の部分はわかっているのですが、具体的に工事化していく実施設計の部分は、工事を進めながらやっていくというような方法をとられたわけであります。小さな工事でありますと基本設計ができ、それから実施設計をやって、仕様書なんかもつけて、この建物というように、ぽっと請負に出すと  いうようなことでございますが、そういたしますると、この工費がかかりますけれども、相当おくれてまいりますし、この宮殿は早くできたほうがよろしいという御要望も、各方面に強いようにも察せられましたので、いま申しましたような方法で進めてきておるわけであります。
  132. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この工事契約の内容を見てみますと、たとえば、第一回の建築工事が、二億三千八百七十七万というのが第一期に出ているわけでありますね。第一回の設計変更があった。第二回が四億五千七百五十七万二千、こういう小刻みな建築費の出し万をしているわけですね。ですから、こういう出し方をすれば、予算がどんどん値上がりになるのは当然じゃないだろうかと思うのです。個々の発注のやり方というものについての研究が少し足りなかったのじゃないかと思うのです。どうも瓜生次長に聞いてもしろうとのようですし、私もしろうとですから、しろうと同士がやっても、あまりいい答弁が出てこないと思うのです。お隣が専門家ですから、もう少し説明してくれませんか。
  133. 並木四郎

    ○並木政府委員 私も、事務官でありまして、専門家ではありませんけれども、経理を担当しております関係で、知っておる点から申しますと、基本設計は、いま次長の申しましたとおり、三十七年度末にできたわけでございますが、それは工事の骨組みができたわけでありまして、こまかい実施につきましては、鉄骨等の組み合わせとか、柱に何を入れるとか、外の壁に網を張るとか、うるしを塗るとか、そういうデテールにつきましては、ラフなものしかできていなかったわけです。それと、普通の橋とか道路と違いまして、宮殿は、非常に複雑な部分がたくさんありまして、未確定な、設計がまだきまっていない部分がたくさんあるわけであります。ですから、基礎なら基礎から始めまして、床に上がってくるわけですけれども、実施設計を進めながら、できたものから企業体に注文をするというやり方を、いまとっているわけであります。だから、全体すぽっと一ぺんに注文してしまえばいいじゃないかというお説は、なるほど民間にはそういう建物はありますけれども、宮殿は非常に特殊な建物でございまして、屋根も違いますし、軒どいとか、あるいはいろいろな、普通の建築等と様相が違っておりますので、すみずみにまでこまかい設計ができていないわけでございます。だから、設計を急ぎまして、できたものから共同企業体に渡している、こういうやり方を現在とっているわけでございます。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたの言ったとおりにやられているわけですね。だけれども、百億円余の予算でやるわけですね。それ一つ見てみましても、一つの工事が二億三千万、一つの工事が四億五千万、こういうこま切れの工事の発注のしかたをしている。ですから、私は、こういうこま切れでなくて、もう少し大づかみのまとまったやり方をすれば、予算というものはそうオーバーしないのじゃないかと思うわけです。ましてや相手が共同企業体という形の契約者ですから、なおさら設計における見積もりというものが一番大事な積算になると思うのです。言うならば、随意契約と似たような形の請けになるわけであります。ですから、そういう観点からいきますと、なおさら私は、これに携わっている請負の人たちはみな一流の人たちでありますから、間違いはないと思いますけれども、発注のしかたにやはり少し検討すべき点があったのじゃないだろうか、こういうこま切れの発注のしかたというのは妥当であるかどうだろうかという点については、私は疑問があるわけであります。まあこれは専門家でありませんし、いまのお話を聞いておっても、こま切れに発注したという理由についてもわからないわけではないですけれども、やはりもう少しまとまったやり方があるのじゃないだろうかという気が実はするものですから、これは具体的な工事内容、工事契約の実情、こういうものを聞いてみない限り、私のほうの意見でいいのか、そちらのほうの言ったのがいいのかということがわかりませんから、これは会計検査院のほうでも当然この中身についてはいろいろ調査されるでありましょうが、その点で、そちらのほうから聞くことにいたします。  これは、会計検査院のほうでは、この宮殿造営工事費の検査はもう始まっているのですか。
  135. 斉藤実

    ○斉藤会計検査院説明員 この造営工事につきましては、検査院といたしましても検査をいたしております。ただいまのお話の件でございますが、通常の場合でございますと、ただいま勝澤先生のおっしゃったように、大体一括して契約をするのが例でございます。しかしいま宮内庁のほうからもおっしゃられましたように、たいへん工事が特殊の事例でございますので、こういったことをおやりになったと思うのでありますが、私のほうで検査いたしました限りにおきましては、こま切れにいたしましても、その当時の資材の状況あるいは労賃の状況にマッチした積算をされる契約をしておられれば、これは違法でもございませんし、また不当でもないというふうに考えておるわけであります。ただいまのところでは、別に不当として指摘すべきような事項はないと考えております。
  136. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そのときの時点において労賃や資材を見るというのは、不正や不当でないことは間違いございません。ですから、検査院でこれを、何といいますか、もう少し工事を大まかにまとめて発注したほうがいいのか、あるいはいまのような形でやったほうがいいのかという点について、どっちがいいかという意見を出すことについては、検査院もそこまではなかなか意見が出せないことは、私もよくわかっております。ただ、一つ言えることは、大まかに出した場合の経費の問題、特に総工費なんかの問題ですね。それからばらばらに出したというような場合がありますから、そういう点については!それから、ましてやこれは共同企業体でありますから、言うならば随意契約と同じでありますから、積算の問題については、これは私が言うまでもなく、よくおわかりになっていると思います。そういう意味で言っているのですから、あなたの御答弁も、私はそのとおり答弁されるものと思いますが、この点はもう少し状態をお聞きしてから、また続けたいと存じます。  それから、次の問題は、三十九年度の総理府所管の歳入決算の雑収入に、皇居造営の寄付金が千百六十四万六千二百八円受け入れ金があるようでありますが、この寄付金は現在までどれくらい集まっておるのか、そしてこの寄付金の取り扱いはどういうふうにされておるのか、この二点について、お伺いいたします。
  137. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この寄付金は、二月末現在で、総金額六千四百三十一万八千円というふうになっております。この寄付金はどういうふうに使うかということでございますが、これはやはり寄付金の、寄贈されたお金でこの部分ができたということがわかったほうが、寄付された人の気持ちも生きると思います。どこへまじって入ったかわからないでは、やはりいけないと思います。それで、いま考えられておりますのは、たとえば装飾の関係ですとか、あるいは装飾の、こういう燈明なんかもできまするし、そういうものにしようとか、これはまだきまっておりませんけれども、寄付の総額とも見合って、この部分が寄付でできておるというふうなことをやりたい、これは最終の年度で、この分をということがきまると思います。
  138. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは最終的な場面できまるでしょうが、だれがきめることになりますか。
  139. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは結局、宮内庁が実施いたしますので、宮内庁がそれをきめることになると思います。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、皇居の東側地区の整備でありますが、昭和三十六年度より、十万四千二百坪を皇居の付属庭園として整備し、宮中行事に支障のない限り、国民一般に公開しようとするもので、昭和三十九年度決算では、一億五千三百万円が支出されているようでありますが、この点について、まず第一に、当初昭和四十年度完成の予定であったのが、現在まで東側地区の、ほかに移転すべき建物等の整備状態、それから整備計画の事業予算、こういうものはどうなっておるのか、という点であります。
  141. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この東側地区の整備を終え、宮中行事に支障のない限り公開するというのは、最初できれば四十年度一ぱいたったらばというくらいの計画で進んできたのでありますが、これも延びざるを得ない事情が出ました点を申し上げますると、宮殿工事に三十九年からかかりましたが、宮殿工事にかかっているいろいろな建築の資材の置き場、これが東側地区を使わないと、遠いところに置いたのではどうも困る。東側地区をその建築資材の置き場に使っているわけであります。その置き場に使っている部分が、どうも整備ができない点があるわけであります。それで、これまでおくれましたこと、それからこの東側地区にありまする建物で、いわゆる皇居付属庭園のそこにあるのは適当でない建物については、外のほうへ出てもらうということが、皇居造営審議会の御答申でもありましたのですが、その中で、運輸省の関係の地震調査所の関係はすでに建物は出ております。ただしその機械だけは、目立たないものですから中に入っております。それから賞勲局の建物、これは大部分は総理府の本府庁舎ができた機会に移っておられますけれども、一部分は残っています。これらについても、なお総理府で検討しておられるようであります。それから恩給局がありますが、これは若松町に恩給局と統計局などを合わした合同庁舎ができる予定になっておりまして、それは四十年度予算が一億円、四十一年度は四億円ということで、総工費が二十一億円。それで現在の見通しでは、この宮殿の完成します時期くらいまでにはできていただきたいと、われわれは念願しておりますけれども、大体そういう見通しでやっていただいておるわけであります。それから内閣文庫、これもございますが、これは北の丸のほうに公文書館というのをつくられる予定で、そこへ移る。四十年度が一億円、四十一年度も一億円の予算でありますが、四十一年度の六月までには、全体計画をまとめて具体化した上でやられる。総工費はその具体計画ができないとはっきりしないが十七、八億円の予定であるということで、この完成もできるだけ四十二年度一ぱいにできるように努力はするがと言っておられますが、この点も将来の問題として残っております。なお、皇宮警察の本部もあの中にあるのですが、これは宮殿ができましてから後に、これを移してもいいというふうに考えております。これはもとの枢密院の事務局の建物でありますが、これの問題それからなお、東側地区に皇宮警察の警察学校があるのですけれども、これもわれわれのほうは、公園化され庭園化される部分でないところに早く移してもらいたいということをいろいろ要望して、大体の計画はあるのでございますが、財政の都合もあって、四十一年度にこれをやれば間に合うのではないかというようなことで、四十一年度には予算化するというふうに聞いております。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤委員 だいぶ前でしたが、いまの白浜先生が委員長のときに、見に参りまして、国民のために開放されると、たいへん喜んだわけであります。実は開放されておったのだろうと思っていたが、いやまだされなんだという実情を聞いて驚いたわけです。いまのお話を聞いておりましても、まだだいぶたつようでありますけれども、大体いつごろまでになるでしょうか。あるいは、その中に隘路となる部分は、宮内庁の気持ちと、そのほかの省との考え方とのおくれがあるでありましょうけれども、そういう点は、宮内庁にもがんばってもらって、われわれも国の方針として、特に皇居の問題でありまして、やはり国民に期待を持たしたわけでありますから、早くやることのほうが、国民と天皇家との密接な関係というものによけい親愛の情がわくわけでありますから、われわれとしても、やっぱり促進せにゃならぬと思うのです。大体見通しはどんなふうになりましょうか。
  143. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在の見通しといたしまして、東側地区全部がきれいに庭園化されて完成するというのは、宮殿の完成後、おくれると思います。他官庁との関係が非常にあるものでありますから。しかしながら、宮殿のでき上がるまでには、何とか早く大部分は庭園化の完成をして、国民にも公開をするというふうにしたいとわれわれは考えております。現在の大体の見込みでは、四十一年度で本丸の地区は大体整備されます。四十二年度で二の丸並びにその他のところが整備される。あと残るところは、建物のほかに移っていく問題でありますが、建物は主として三の丸の区域にありますので、もしも他の官庁の建物がなかなかうまく移れない場合は、三の丸だけは一部除いて、本丸、二の丸だけでも、宮殿の竣工までには一般公開できるようにしたいと思って、努力いたしております。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国民も期待していることでありまして、宮内庁も欲していることでありますから、努力してもらうと同時に、われわれも、その関係の各省については、別の機会に、協力をさせるようにしなければならぬ、こう思っております。  それから次の問題で、三十九年度の皇居費の歳入決算の中で、宮廷費、土地購入費で、各所の修繕費を流用して、一億六千六百三万二千円で、桂、修学院両離宮周辺の土地を購入しているようでありますが、この土地を購入した経過について、ちょっと御説明願いたいと思います。
  145. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この桂離宮も修学院離宮も、終戦のころには皇室の財産として、周辺の土地、あるいは中間にはさまれている土地と一体をなしておったわけであります。ところが終戦後、例の自作農創設特別措置法という法律の実施に伴いまして、たんぼになっている部分はそれを耕作している人に所有を移すようにということで、その部分が民間の方の所有になって、引き続いてたんぼとして耕作をされてきておったわけであります。この桂離宮、修学院離宮の景観上、引き続きたんぼとして耕作を続けてこられるならばこれを買い上げる必要はないわけでありますが、しかし京都もどんどん発展して、住宅地がその桂離宮あるいは修学院離宮の近くまでだんだんつくられていっております。そのたんぼのあったところへ建物ができるようなことになりますと、その離宮の景観が非常にこわれるわけであります。特にひどいのは修学院離宮でありますが、おいでになって御存じかと思いますが、上離宮、中離宮、下離宮と三つございますが、その中間にずっと道路があります。道路の片側にずっとたんぼがございますが、一体になったたんぼとお考えになっておられましょうが、そのたんぼになった部分が民有地のたんぼになっておる。そこへ普通の民家ができますと、修学院全体の景観がまるこわれになってしまうということで、だんだん近くまで宅地化されてきておりますので、これが宅地化されないうちに買い上げて、引き続きたんぼにしておこうということで、買い上げました。幸いその所有者は、以前の皇室の財産であったころから農業をしておられた方で、比較的理解を持たれまして、この買い上げに応じていただきました。それで、昭和三十九年の九月に、その買い上げができたわけでございまして、この買い上げをした理由の精神は、議員立法で古都保存法というのが出ましたけれども、あの古都保存法の精神と同じ精神によるものであります。
  146. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、買い上げた部分はいいわけでありますけれども、買い上げなかった部分があるわけでありますね。言うならば、これは桂離宮なりあるいは修学院離宮には直接は影響はないとしても、借景の重要部分の、農地の十四万平方メートルが、住宅会社に買われたということでありますけれども、その十四万、平方メートルの買収された部分の中に、宮内庁で調べたら、三千平米の国有地があった。言うならば農地のあぜ道ですね。これがあって、今度はここに土地交換をやって、植林をして目隠しをする、こういうことがいわれておるのでありますが、この辺の点はどうなんでしょう。
  147. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 ちょっとこまかい点、知らない点がありますが、この借景の関係、以前皇室用財産ではなかったのですけれども、その地域からずっと引き続いて農地があり、木がずっとあり、遠くには山々が見える、山々も含んで借景といわれておるわけでありますけれども、やはり最近、そういう面もだんだん、いろいろ建物ができるようになりまして、以前のこの借景の庭としての値打ちは幾らか下がらざるを得ない点はございますけれども、遠いところはなかなかこちらで自由になりませんので、これはやむを得ないとして、ごく近いところで、以前皇室の財産だった部分を買い上げたのであります。なお、いまその交換の云々というのは、ちょっと、私はっきり存じないのでありますが……。
  148. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ここに私の資料があるわけでありますが、この資料によると、十四万平米を住宅会社が買った、その住宅会社が買った中に、三千平米の国有地が含まれておった。言うならば、この辺はたんぼだったでしょう。あるいはそれが農地解放されたときに、そのままの形で原簿に残ったのじゃないかと思うのです。そうすると、京都というところはおかしなところで、私はこの間双ケ岡を見に行ったわけでありますけれども、わりあいと文化財については関心が深いわけでありますが、このような重要なところが農地転用されているわけであります。農地転用されるときに、もう少し真剣に考えられなかっただろうかどうだろうか、あるいは国有地に入っているのにかかわらずこれが買収されたのに、大蔵省、農林省が知らなかったという点で、たいへん残念だと思って、いまこの点を聞いたわけでありますが、宮内庁であまりおわかりでないようでしたら、ぜひひとつここの経過をお調べになっていただきたい。これはまたお聞きいたしたいと存じます。  それから、時間がありませんから、最後に一点だけお聞きいたしますが、ときどき国会でも質問され、また宮内庁としてのお考え方としても、天皇の警備についていろいろとお考えになっているようでありますけれども、宮内庁の意向があまり各地方に行き渡っておらずに、いろいろと行き過ぎておるではない、だろうか、もう少し天皇と国民の信頼の情を増すような警備の方法はないだろうかということがよくいわれるわけでありますが、こういう点などについて、最近いろいろとお考えが出されているようでありますので、いまどんなふうになっておるのか、あるいは、これからどういうふうにまたお考えになられるのか、そういう点について御質問したいと思います。
  149. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇室のお方が出られる場合、特に両陛下のお出かけになる場合の警備につきましては、常々陛下また皇室と国民の間の親愛感を阻害しないように、必要最小限度のことにしてもらいたいということを、警察当局には要望いたしております。警察としては、事故があってはいけないということ、事故というのは、お出かけの場合多数の方が奉迎に出られる、そういう方の整理を十分しないと、そういう方にけが人が出てもいけない、皇室の方に特別の事故があってもいけないというような両面があると思いますが、事故がないようにしなければいけないが、必要な最小限度でわれわれやりましょうということで、やっていただいておるわけでありますが、時によりますと、若干行き過ぎではないかなというような点がわれわれの目に触れる場合には、これはどうなんだろうということは、警察のほうへは申し上げて、それが行き過ぎである場合には、改めてもらっておるわけであります。しかしまた時によると、あまり公表していない裏面情報のようなものがありまして、実はこういうことでこうだ、なるほど、ということがある場合もございます。しかし根本としては、警備の関係は、親愛感を阻害しないように、必要最小限度ということで申しておりまして、この四月に、両陛下が、植樹祭で四国のほうにお出かけになりますけれども、そういう場合の警備の計画をつくられる際にも、従来よりは相当簡素化し、目立たないようにやるようなくふうを、警察庁のほうでもやってもらっております。そういう点で、警察のほうでも努力しておられますので、われわれのほうも、今後も引き続き、そうしたほうにいきまするように、警察と相談をしながら、努力したいと思っております。
  150. 勝澤芳雄

    勝澤委員 宮内庁として、こういうふうにしようじゃないかという、あるいはむろん警察庁とも打ち合わせしなければならないが、限度といいますか、そういう構想というものはあるのですか、あるいは積み重ねて、それが慣習としてやられておるのですか、あるいは具体的に、これからこうあるべきだ、こうしようという点はあるのですか。そういう点、いかがですか。
  151. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 抽象的には、先ほど申しましたような点はございますが、それでは具体的にどういう配置にして、どういう警備にするかということになりますと、これは警察のほうの専門のお仕事になるものですから、そこまで立ち入って、こうしなさいということはちょっと越権にもなりますので……。しかし、こういうふうにしますと、でき上がったものの連絡を受けますので、そういう場合に、時によって、意見を言うことはございます。
  152. 勝澤芳雄

    勝澤委員 だから、それをやはり宮内庁として、こういうふうにしたい、そしてこれが限度だ、こういうのをやはりある程度つくるときじゃないでしょうかね。下のほうで警察庁と相談すれば、万全を期することは当然なことです。あらゆるところを予想したら、いまよりもっと警備が強くなることは当然のことだと思うのです。ですから、それじゃもし事故があったときはだれが責任を負うのだ、こういうことになりますけれども、それはそれとして、宮内庁でも、いまの状態の中からどうしたらいいかという、ある程度のものをつくって、とにかくこれでやってくれということを示さない限り、やはり民主化というものは、私は進まないと思うのです。その民主化をする原動力になるものはどこか、それは宮内庁だと思うのです。地方に陛下が行くということになれば、向こうは、何か事故があったら、警察本部長は腹を切らなければならぬから、それはどこでも、落ち度がないようにすることはあたりまえのことです。ですから、これが限度です。極端に言えば、これ以上は必要はありません、あるいは、とにかくここまでやって事故があったときはどう、という話をするのがいいかどうかわかりませんけれども、やはりそれは宮内庁が主体的に考えない限り、こういう問題の民主化というのはできないと私は思います。宮内庁の責任でそれをつくることが困難とするならば、別のところで、多くの人たち意見を聞いてきめて、それを国民にこうなのだということを示すことが、私は民主化を進める第一歩だと思う。向こうから持ってきた案を、こちらでチェックしていれば一番楽ですけれども、私はそれは皆さんがぼさっとしておって、民主化を進める立場から言えば、ちょっと責任のがれじゃないだろうかという気がするわけですが、もし御意見があるならば、お聞かせを願いたいと思います。
  153. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 警察庁のほうでも、われわれの要望の線はもっともであるということで、特に幹部の人ほど、わかってもらっておるわけであります。現場へ行きますと、どうしても幾らかきびしくなり過ぎる点がある。それを直してもらうようにいまお願いをいたしておるわけですが、宮内庁で案をつくるといいましても、宮内庁が警察行政はやっているわけじゃないのですし、その専門でもございませんし、これはちょっと無理だと思います。しかし行幸啓の場合に、行幸主務官になる総務課長はよく下検分に参ります。そういう場合にも、よく警備の話も聞きまして、概して、ここはもっと簡単にしてもらうというように、打ち合わせをしている場合が多いのであります。そういう関係もあって、最近、総務課長は警察畑の人が入っておりますけれども、宮内庁へ入ってきて、ある程度警察のこともわかる、そして宮内庁の立場で警察の相談相手になって、直すべき点は直してもらうように、努力をいたしておるわけであります。それ以上出ますと、ちょっと権限が違うものですから……。
  154. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはやはり、宮内庁で、ここまででいいですということを言わぬ限り、どうしたって、下のほうへ行けば、警察署長は何か事故があったら腹を切らなければならぬわけですから、何か事故があったときに警察が腹を切らなくてもよければ、それは変わってまいりますけれども、そこの調整というのは、やはり宮内庁自体が民主化の腹をきめて、積極的に考えていかなければいかぬと思います。具体的な何かの事例があった機会に、一体どうなっているのか、それをまた、これは行き過ぎじゃないかという意見を言うのも、もし事故があったときにお前責任を持つか、こういうことになるでしょうけれども、何となしに、もとへ戻りつつあるという印象を受けているわけでありますから、やはり民主化された、そうしてより国民との緊密度が増すという方向でお考えになっているようでありますから、このくらいにして、別の機会にまた御質問することにいたします。きょうはこれでやめます。
  155. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後二時散会