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緒方参考人 四年制大学をとって申し上げますと、国立大学の奨
学生の総数、これはラウンドナンバーで申し上げますが、六万。それから私立大学が五万二千ぐらい。
学生総数の。パーセンテージから申しますと、国立大学のほうが三九・七%、それから私立大学が二二・四%、こういう。パーセンテージになります。
ちょっとこれは注釈を加えますけれども、これはどういうことかと申しますと、先ほどからお話がございますが、選考の基準を設けております。これは学力と経済事情、ケース的に出てまいりますのは、人物、健康等もございますけれども、具体的に切ることになりますのは学力と経済事情、これは種類によって一般
貸与、特別
貸与、それから高等
学校と大学と、それぞれ違った基準を使っておりますけれども、大学の場合で申しますと、一般
貸与のほうが高等
学校の
成績三・二以上、特別
貸与は三・五以上という、まず学力の基準が
一つございます。それからもう
一つは家計の基準でございます。これはなかなかむずかしいのでございますけれども、
考え方としましては、その家庭の学資負担能力が、その
学生生活に要する費用を下回った場合には
奨学金を貸しましょう、こういうことで、いろいろ
調査統計等を利用いたしまして収入基準をきめて、これ以下の収入の家庭に対して
奨学金を
貸与するという、その基準を定めております。これ
がいま大学の一般で申しますと、八十六万円ということになっています。八十六万円の年収、それ以下の家庭の子弟に対して貸す、こういうことでございます。
ただその場合に、若干特別な修正をすることにいたしております。たとえば私立大学の場合には、その授業料だけの分はよけいに見るという、そういう計算で計算をいたしておりますので、実際に出てきました結果を見ますと、国立大学のその奨
学生の家庭の家計の平均と、それから私立大学の場合と比べますと、私立大学のほうが若干上回っております。少し高いところまでとっているということでございます。つまりくどくど申し上げましたが、学力と経済との基準を
一つきめておりますから、それに該当しなければ奨
学生になれない、ということが前提になるわけでございます。そこで、いまの基準で申しますと、結果としてこういうことになるということでございます。
ちょっと、
一つ御
参考に申し上げたいと思いますけれども、たとえば国立大学で一番代表的な
東京大学でございますが、これの奨
学生の総数を申しますと五千二百六十八人、それから早稲田大学をかりに私立大学の代表としてとってみますと、五千二百四十五人、大体実数は同じくらいです。
ただ学生数が違いますので、パーセンテージが、さっき申しますように違ってくるという結果になっております。いまの両者の数の内容を見ますと、種類によって非常に違う。
東京大学のほうで申しますと、一般
貸与、これは
進学してから選考する奨
学生、これが千八百二十六人、早稲田大学が三千五百九十八人となっております。これは早稲田のほうが二倍ぐらい多いのです。ところが特別
貸与のほうは、
東京大学では千八百十五、早稲田のほうが千二百六十五と、早稲田のほうが下回っております。これはどういうことかと申しますと、先ほど申しますように、中学三年のとき予約をいたしまして、そうして、あなたが大学に入ったら特別奨
学生にしますぞ、という予約なのです。その
進学の大学は
一つも制限していない。ですから、早稲田は
相当多いのです。私学としては特別奨
学生が一番多い
学校でございますが、千二百六十五で、東大と比べますとだいぶ下回っておる。そこで差ができる。ほかの場合もこの違いが
相当多いのです。
それからもう
一つは、やはり大学院でございます。
東京大学が千六百二十七、早稲田は三百八十二。これは大学院の
学生数に対する比率はほとんど同じであります。しかしこれはほとんど国立も私立も差異はございません。かりに大学院を除いて
考えましても、いまの一般と特奨との
関係が
相当作用していることが
一つあります。実は私、
育英会に参りまして四年ほどになりますけれども、私学のほうに少ないじゃないかという声をだいぶ聞きました。それで、たとえばこれは私学に水増しをして割り当てをいたします。割り当てをしませんと、これは選考のしようがありませんから、割り当てをします。割り当てと申しますのは、
育英会が
最初からやっております経験の積み重ねがありますが、その基準によってやります。そうしてそれによって これは
育英会がいま一枚一枚申請書を見ておるわけです。それによって学力と家計とがみんな出てくるわけです。それによって、それを基準にした
一つの方式をつくって割り当てをします。その割り当てを、私少し水増しして、だいぶ私学のほうにやりますけれども、この基準だと、こういう結果にしかなりません。これ以上出てまいりません。ですから、基準の問題が
一つございます。
ただ、いまたとえば一般
貸与で申しまして、高等
学校の
成績三・二以上、これを低めていいかどうか。これは私学のほうも
相当優秀者が入っておりますから、低める必要はないと思います。そうすると、家計基準を高めたらどうかという問題になってまいります。高めていいかどうか。これは
育英会の育英
事業のたてまえとしまして、やはり家計困難な者ということを対象要件にしておりますから、そこをどう
考えたらいいか。先ほど申しましたように、選考の基準に、私立大学の授業料のかかりが多いので、そこら辺までは、基準の基礎のところには
考えてやっておりますけれども、それをそう区別をつけることは、いまの段階じゃできない。それじゃもっと全体を上げたらどうかということになりますと、貧困でない者にまで一その貧困の度合いの決定が非常にむずかしいところでございますけれども、そういう
実情を申し上げましたけれども、そういうことの結果、先ほど申しましたような結果になっておるわけでございます。私立大学はたくさんございますので、なかなかこれは――早稲田はいま申しましたような数でございますけれども、
学生数だって千差万別、あるいは
学生のいろいろな質と申しましてはあれでございますが、非常に幅が大きいものでございますから、結果としてはどうしてもこうなるということでございます。