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1966-03-09 第51回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月九日(水曜日)    午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 田中 彰治君    理事 堀川 恭平君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君 理事 山田 長司君       神近 市子君    栗原 俊夫君       中村 重光君    長谷川 保君       華山 親義君    森本  靖君  出席政府委員         文部政務次官  中野 文門君         文部事務官         (管理局長)  天城  勲君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局審         議官)     木田  宏君         運輸事務官         (航空局監理部         飛行場課長)  梶原  清君         運 輸 技 官         (航空局監理部         補給課長)   妻鹿 栄二君         会計検査院事務         官         (第五局長)  小原  剛君         参  考  人         (日本育英会理         事長)     緒方 信一君         参  考  人         (私立学校振興         会理事長)   岡田 孝平君         専  門  員 池田 孝道君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件(日本育英会私立学校振興  会)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  田中彰治君より、資料要求について発言を求められておりますので、これを許します。田中彰治君。
  3. 田中彰治

    田中(彰)委員 きょうは、運輸省航空局からだれかいらっしゃっていますか。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 運輸省からは、妻鹿補給課長梶原飛行場課長の両君が見えております。
  5. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは、妻鹿補給課長にちょっとお願いしたい。  きょうは、実は羽田飛行場土地の問題で、航空局長に出てきていただいて、簡単な御質問を申し上げて、資料要求をしたい、こういうので、理事会了解を得て、委員長のほうにお願いしておいたのですが、航空局長は、いろいろああいう事故があったから、来られないということです。これは私も新聞で知っておりますので、いまおいでになっておる妻鹿補給課長資料要求をいたします。  その前に、航空局はこの間、十六万坪の羽田空港の土地の争いで、これは飛島文吉さんから、この土地十六万坪を二百一万六千円で購入したと言っておるのです。これは訴訟に勝った原因です。ところがこれを調べてみますと、購入した予算がどこから出たという証拠もない。決算にもあらわれておらない。また日銀からも、当時としては代金は支出せられていない。結局、航空局としては金の出所が判明しておらないわけです。そこで、判明するしないは、これから皆さん証拠をお出しになるでしょうが、きょうは、それじゃ質疑はやめまして、資料要求だけをしておきます。そこへ書いてください。  一、東京国際空港敷地に関する国と野本治平氏との間における紛争の経過概要。  二、調達庁野本治平氏に支払った土地借料年度別金額。  三、戦後、国が米軍より引き渡しを受けた現東京国際空港用地について、埋め立てを行なった年度別坪数金額並びに埋め立て免許関係を明らかにする資料。  四、東京国際空港に関する民事係争中の土地所有権関係を示す系統図(明治五年より現在に至るもの。)――いずれそっちに書いてもらったあとで、あげましょう。一応これは委員長に聞いてもらわなければならぬから……。  五、昭和三十八年三月、東京地裁における前記民事訴訟判決全文写し。  六、判決中の約四万余坪についての判決要」旨。――これが野本治平氏のものになって、まだ国は勝訴しておらぬのです。わかりましたか。  七、国の予算決算面における本件用地(約二十万坪)取得の事実を証明する書類。  八、東京国際空港訴訟事件にかかわる昭和二十八年二月末日作成土地公図権利関係を明らかにするもの。)  九、前記公図のほか、現在における公図。  十、二十万坪のうち十六万坪と四万坪の個所を明示した図面。  これだけを委員長あてにひとつ提出してもらいたい。これをできる限り、私のほうでもこの図面ただとってきたんじゃない。みんな登記所証明のついたものを、私のほうで写してきて、いま持っています。登記所証明のあるものの写し、それから東京都知事証明書、こういうものを持っていますけれども、これは決してつくったものじゃない。登記所証明のあるものを写して持っています。一応この土地が国のものであれば、はっきり国のものであるという安定感証明して、国のものにして、ほかから侵害を受けないようにしてください。それから野本治平のものであれば、国はいさぎよく野本治平に、いままでの借地料とかを全部返さなければならぬ。これは裁判をしていますから。裁判とこことは違うのです。これは私があなた方に、登記簿証拠をもって、こうだとか、ああだとか言うこともなければ、あなた方がいろいろ知恵をしぼって私に御答弁くださることなく  全部これは登記証とか契約書とか、日本銀行の当時の出たものとか、予算委員会決算委員会国有財産増減等にきちっと示してあるものですから、その示した書類で、お互いに一これだけの理事の方もおられるし、ほかの方もおられるから、どっちが事実であるかはっきりさせればいいわけです。あと、国のものだとわかっても、野本判決において勝とうと、また野本のものだとわかっても、裁判所判決が国のものだといって野本が負けようと、そういうことはこっちに関係ない。ただこっちは明らかにしておかなければならぬ。  もう一つ参考に申し上げておきますが、訴訟に勝った原因  これはどうしてこんなことをやるんだ、委員長もお聞きになっておいていただきたいが、訴訟に勝った原因は、あれだけの大きな羽田飛行場土地なんです。そこで野本治平が昔から持っていた土地約十六万坪、いま四万坪残っておる。二十万坪については全部、証明書も全部出ていて登記もしてある。ところが運輸省は、これは自分土地だというので出した図面がある。これは野本とわずか番地は違っておりますが、そんな同じ土地を、わずか番地を少し違えただけで、二人が、野本あとで所有したというようなことがこのやつにないのですが、普通だと、民間だと、これに図面をつけて、運輸省のものであるならば運輸省登記しなければならぬ。この登記には、役所であるから安心したんでしょう。図面がついておらない。そこで二つがここへ重なったわけです。そこで図面がついておらないから登記できないのに、役所だから安心して図面をつけないということが裁判原因になっておる。それを前からずっと調べた。書類をずっと登記所写してきた。たとえば委員長が大きな土地を持っておられる、私はその土地がほしくて、ちょっと委員長番地を変えて、あれはおれの土地だと言って、たとえば登記しますね。どこから買ったとか……。その場合、同じ土地を二人でやるのですから、図面持ってこいと言われまして、図面持ってくれば、委員長のものだということはわかるわけです。民間なら図面がなければ許さない。違法なんです。ところが、役所なんですから、図面をつけないで登記しちゃった。だから二つ重なっちゃった。ところが、重なったから、こっちは運輸省のものであるとも言わない、自分のものであるとも言わない。前からちゃんときちっとした登記所証明全部あるのです。それから今度運輸省がこれを買ったと言っておりますけれども、当時の、昔ですから、買えば二百十万とかなんとか金が要りますから、これは日本銀行から出たか、予算委員会がどうしたか、逓信省がどうだとか何だとか、当時の関係ですね、そういう証明というものがちゃんと予算に出て、そして国有財産増減にきちっとあらわれておらないではならぬものが、委員長、そういうものは一つもないのです。これは日本銀行の当時の小切手まで全部調べ、予算関係まで全部いまあとで出てきたほかに、私の調査したものと合わせて委員長に上げますから、ごらんになりますと、昭和の御代にこんなばかなことが一体あるのかといって、委員長も驚かれるような状況です。これは私が言うのでなくて、前委員長堀川氏が私にきょう話したのです。前委員長というのはなかなか消極的な方で、石橋を渡っても半分しか渡らぬというくらいの人なんだが、この人が、前大蔵大臣から、田中君がこういうことをやるそうだが、田中君だからやるのだろう――しかし、これは実は当時裁判所も、示談にしろ、かわりの土地をやる、金も延滞分みんな払うからというようなことがあったけれども、もし国がそういうことをして示談にしたということになって、国会からでも責められたらたいへんだというので、当時の政府主権者がそれを拒んだ、何とか無理してもいいから勝てというので裁判になったということを、いま私が言うのではなくて、堀川委員長も、田中、ひどいことがあるものだと言って、いまそこで話しておったのです。そういうことですから、どうぞ、資料が来ましたらようごらんになって、各理事の方もようごらんになりまして、当人は九十一歳ですから、もうあすあさっても余命がわからない状態で、勝っても負けてもいいから、これをきめなければ死んでいけないと言ってわめいており、また国会のわれわれの先輩も野木に同情されて、これをやられたのですけれども、そういう問題があったのと、それじゃ政治的解決をしようかといっているうちに、裁判のほうで、何の証拠も出さないでごたごたやっているうちに裁判があれした。けれども、四万五千坪余りの土地は、まだ野木治平のものになって、まだはっきり運輸省のものになっておらないから、そういうものもはっきりして、あの飛行場が仮処分でも受けるということになりますれば、あしたから飛行機が通らぬわけです。今度わが党内にも、そういう大蔵大臣をした方々でさえも、あれは野本のものだと認めた関係がたくさんございますし、私も私利私欲あるいは感情等においてやるのじゃありませんから、これは重大なことですから、はっきりさすためにやるのですから……。やはりいろいろと弁護士さんなんかも、相当人たち野本に同情されて、そして裁判のほうにおいても争われるし、ここにおいてもはっきり、国のものなら国のものにしなければならぬ。それから野木のものであれば、国は人のものを公文書を偽造して、そうして横領してはいけません。これを私ははっきりしたい。こういうわけでやっておるのですから、どうぞ委員長、御了解を願いたいと思います。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 田中君の資料要求に対して、運輸省お答えになりますか。
  7. 梶原清

    梶原説明員 ただいま先生から野本――私ども野本事件、こう申しておりますが、これに関連する資料の御要求があったわけでございます。内容を聞かしていただきますと、相当分量も多うございますし、調査相当の時日を要するものもございます。また関係機関との連絡を要するものもございまするので、逐一私ども持ち帰りまして、検討させていただきまして、できるだけ早い機会資料の提出をさせていただくように取り運びたい、かように考えます。
  8. 田中彰治

    田中(彰)委員 私も、いまこれを印刷したら委員長に出そうと思っているのですが、私がかってに書いたものや何かでなくて、みんな役所の、都知事証明書とか、当時全部のものを取ってあるのですが、しかし一応人間ですから、役所の判の取れるようなものを持ってきても、間違いがあるとたいへんな問題です。だからあなたのほうからもう一ぺんいただいて、その資料と合わせてやるつもりでございます。御承知のとおり、だいぶ複雑しておりますけれども、できる限り早く、できたものから出してください。私どものほうはそれと合わせてやっていかなければなりませんから、あなたのほうで、また私のほうに対して、こういうものは見せてもらいたいというのがあったら、全部調査してありますから、委員長を通じてこっちへおっしゃれば、私のほうは写しをお見せする分には、これは何も秘密でも何でもないですから、あなたのほうの参考になるなら、私のほうがあなたのほうに写しごらんに入れますから、これは委員長を通じて申し込んでください。  では委員長、これでけっこうです。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  9. 吉川久衛

    吉川委員長 国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について、調査を行ないます。  本日は、本件調査ため関係当局、及び参考人として、日本育英会より理事長緒方信一君、私立学校振興会より理事長岡田孝平君に御出席を願っております。  参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  これより質疑に入ります。山田長司君。
  10. 山田長司

    山田(長)委員 最初に、日本育英会の方に御答弁願いたいと思います。  日本育英会が設立されて、優秀な学生生徒で、経済上の理由から就学困難な者に対して、教育機会均等を実現するためにお仕事をなさっておられるわけでございますが、あたかも進学時期になっておりますときに、それからまた卒業者を迎えるときにあたって、一段とこのことの明確さを期しておく必要があるのではないかと思いまするので、当局に対しまして御質問を申し上げる次第でございます。  いただきました資料によりますと、例年予算もふえますし、おやりになっているお仕事の実績も着々上がってきておるものと思われるのでありまするが、こうして国民の血税を貸与されて学校卒業されておられる人たちがたくさんあるのでありますが、この資料によりますと、奨学金の返済を迫られておられる人たちが現在六十八万人もおる。その六十八万人もの人たちが、返還期日が来ているのに遅々として返さずにおられるような不心得者が――全くこれは不得者だ思うのですが、あるわけであります。進学期を前にして、これから世話にならなければならない人たちがあるわけでございますから、これらの不心得者に対するところの対策というものを、やはり当局は厳重にやらなくちゃならぬと思います。それで、この表によりますと、返還期が来ても返還されない人たちは順次少なくなってきているようではありますが、これは、少なくなってきておるようであります。なんということであってはならぬと私は思うのです。そういう点で、ちょうどあたかも卒業者を出し、さらに育英会の力によって経済的に恵まれない人たち進学しようとしているときでありますから、この機会に特に明らかにしておいてもらいたいと思いますのは、いろいろな施策を講じながら、これが返還を迫っておるようでありますけれども、大体六十八万もの人たちの返さない態様は、いろいろ千差万別あると思うのですが、どんなところの人たちが一番多いですか。
  11. 緒方信一

    緒方参考人 ただいま御指摘のように、私ども大事な国費を借り入れまして、それを学生貸与しまして、そして国家の有為な人材を養成するという仕事を担当しているわけであります。そして日本育英会奨学制度は、これもいまお話しのように、貸しまして、卒業後これを返してもらう。返された金は、それをまた直ちに次の奨学資金の原資として投入する、こういう仕組みでございまして、国費を循環活用するということでございますので、返還が円滑にいきませんと、事業推進あるいは進展は期しがたいのでございます。  そこで、いま御指摘のように、従来だいぶん返還が悪いという実情がございまして、私どもまことに申しわけないことだと存じまして、非常に努力を重ねてきました結果、逐年成績は上がっております。この資料でもごらんのように、三十九年度末には、返すべき金のうち、返った金というのは大体八〇%までに上昇いたしてまいりました。なお四十年度末の計画によりますと、これはさらに成績を向上いたしたいと思っております。いろいろな手だてで推進をいたしておる次第でございます。  どういう者が返さない状態であるかというお尋ねでございますが、これは一がいに申しかねます。一がいに申しかねますが、ただ、何と申しますか、初めから返すものかといったような、いわゆる悪意のある者というのはわりあいに少ないように見受けました。やはり若い人でございまして、学校を出まして就職をして、商社、官庁等に入るわけでございますが、最初はどうもうっかりずるずるになってしまって、それが一年二年とたまりますと、やはり経済的にも負担が大きくなりますので、どうも返しにくくなる。こちらから毎年請求をし督促をいたしておりますけれども、それに対して返事もできないというようなことで、それが重なっていく、こういうものが多いように思われます。それから最近では、こういう相当長い期間音さたなく返してくれないという人たちに対しましては、やむを得ず、法律による強制取り立てもいたしておりますが、そういうことをやってみてわかりますことは、中にはやはり困っている人があるわけであります。返せないという人が、これは数は少ないと思いますが、あるようであります。要するに、いま申しましたように、そう悪意があって返さぬというよりも、ずるずるになって、初めついうっかりして延滞したのが、だんだんたまっていく、こういう状態のように見受ける次第でございます。これはまことに、御説のとおり、けしからぬことでございまして、私ども、これはやむを得ずでございますけれども、最近では、法律の手段によって強制的にも取り立てる、こういうことまでやっておるような次第でございますし、また一方道義心に訴えまして、これを返してもらうように、大いに呼びかけるということも努力いたしております。
  12. 山田長司

    山田(長)委員 経済的に恵まれない人で、しかも憂秀学生ですから、恵まれなくても優秀な学生に対して、そういう協力をして貸与をしてやって、それが貸与を受けて卒業して、恩をあだで返すようなことになったのでは、将来この伸びていかれると思われる若い人たちに対して迷惑がかかってくることなんで、この回収に対しては、強制取り立てをやっておると言われますが、私はこういう方法を講じたらいいんじゃないかと思うのです。たとえば、最近民事事件借地借家の問題がえらくふえてきています。ところが最近では、公正証書貸借関係を結ばれておるというようなことから、一面において、そういう契約を結んだ個所においては、滞りが少なくなってきておる。ですから、保証人を持ち、そして貸与をしてやっておるのでありますから、公正証書最初からこしらえて、よほどの理由のあるものでなければ、これが徹底的な取り立てをするようにしたらいいんじゃないかと思うのですが、この点についてはどうお考えですか。
  13. 緒方信一

    緒方参考人 公正証書までは至っておりませんけれども、これは卒業時に連帯保証人を立てまして、そして育英会との間にぴしっと借用証書を取りかわしまして、そしてそれに基づいて取り立てをするということにいたしております。これは本人卒業後二十年のうちに割賦で返す、こういうことでございます。それで、本人がそれを選びまして、自分できめる。そして返還期日もきめまして、それによって借用証書を取りかわしまして、それでやっておるということでございまして、いま申しますように、だんだんと成績も上がってまいったような実情でございます。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 返還回収がなかなか困難であるというようなことから、返還回収の業務に携わる人たち経費がばく大じゃありませんか。これはもしそういう手数のかかることを省くならば、こんな、大阪支所だの東京支所だの名古屋支所だの、それから全国各府県に支所の設置を予定するなんということは、中央の一カ所でばたっと処理ができるじゃありませんか。それがために、内勤が大阪に五十三人、東京に九十二名、名古屋に三十人、外勤大阪に十八人、東京に三十人、名古屋に五人――外勤というのは、おそらく取り立てて歩く仕事をされる人だと思うのでありますが、しかもそれが、今度はさらに全国支所を設けようという、九州、中国、四国、北海道、東北、これらの地方に支所を設置しようという、こんなことは、一体事務的に、これは役人の古手をここに入れるには、こういう形で支所をつくるのは必要かもしれないが、こんなことは中央に一カ所設けて、事務の人が十人いれば全部済んでしまうことだと私は思うのです。これがために使われる経費というものは、この書類を見ますと、三十七年に――おそらく管理運営費事務費だと思いますが、三十七年に三億九千万、三十八年に四億七千万、三十九年に五億七千万が、四十年に七億四千八百万、四十一年に八億五千万、こんなたくさんの経費を費やさなくても事務的に処理することができるならば、公正証書を張って、保証人を立て、すみやかにこれが事務処理をするならば、もっと有為な人たちに、もっと経済的に困難な人たちに対してもこれが貸し付けできると思いますが、この事務費節約について、何かお考えになってみたことはありますか。
  15. 緒方信一

    緒方参考人 いま、支所全国的に設置することの御指摘もございましたが、これは返還実情等を今後よく勘案いたしまして、このとおりに全国に設置することになりますかどうか、これはよくひとつ検討いたしたいと思っております。ただ六十万から七十万、これは年々ふえますので、そのうちにすぐ百万になってしまうという数でございますが、各個一件一件につきましてはわりあい零細でございますけれども、相当めんどうな一件一件の取り扱いになりまするし、それから、私ども考えますに、これはただ金の貸し借りということではいきたくない。やっぱりこれは人材の育成、教育事業の一環として行なっておりますから、こういうことを申してはどうかと思いますけれども、ここには血の通うやり方をやっていく、こういうふうなこともあると考えております。ただこれを、もうすぐ、強制取り立てしてしまうということになれば、これは簡単でございますが、なるべくそれを避けたい、こういう気持ちでございます。御指摘のように、事務費節約につきましては十分検討いたさなければなりませんけれども、だんだんふえてまいりまする要返還者取り扱いにつきましては、ある程度の事務体制を整えませんと、なかなかこれに対処していけない、そういう意味でございますので、ここにもございますけれども、最近は事務機械を入れまして、それによって請求督促等機械によって行なっていく、こういうことを考えておるような次第でございます。でございませんと、いま申しますように、二十年間に返すわけでございますが、取り扱いの数が非常にふえております。累増する大量の事務処理しますためには、人海戦術ではとてもいかぬということで、限界まで来ているということで、事務機械を入れて、これを処理する体制をいま整えつつある、こういう状態でございます。御了承いただきたいと思います。
  16. 山田長司

    山田(長)委員 どうも六十八万人もの滞納者ができそうな、愛情のある取り立てのようでございますけれども、これは、そういう考え方がほんとうの意味においての愛情であるかどうかということについても、私は問題があると思うのです。なぜこんなことを私申し上げるかというと、中にはせっかく優秀な成績卒業しておきながら、ばかにしたようなものの言い方をしている人が実際はいるのです。どうせろくなことをしていない役人もたくさんいるのだから、おれの分くらいはただだっていいのだ、こういうものの考え方で、一杯飲んで気炎を上げている人が実際いるのです。最初契約によって、卒業したならば必ず半年後には納めるのだというこの規定だけは絶対くずしちゃいかぬと思うのですよ。それと同時に、保証人がいることなんですから、その保証人に対しても厳重な催告をすべき筋のものだと思うのですが、保証人に対しては、どんな催告のしかたをしているのですか。
  17. 緒方信一

    緒方参考人 保証人でございますが、最初、家庭貧困で奨学金を願い出るそのときに、すでに保証人を立てさしております。ただ保証人になる人というのは、どうしても身内の者になります。やはり両親とかあるいはきょうだいとか、そういうことになりがちでございます。しかしあくまで、これは本人に対する、いわば出世払いのような形で、その学資を貸すわけでございますので、なるべくならば本人の責任を追及する、それがどうしてもいかぬ場合には、保証人にやる、こういうたてまえでいたしております。いままで保証人が返してくれたという件もございます。これはここでちょっと数字は申し上げかねますけれどもございますが、たてまえといたしましては、本人にあくまで責任をとってもらう、そういうやり方でやっております。これは、いまお話がございましたけれども、延滞者、滞納者はだんだん減っております。ただ、返さなければならない要返還者、これは学校卒業いたしますと、返さなければならない要返還者の中に入りますので、いまのところ年々四、五万ずつふえております。卒業生は九万くらいでありますが、上の学校に進むとかいうことで返還を猶予する者がありますので、すぐ返還しなければならないという者は五万くらいずつ毎年ふえております。それが累積するのでだんだんふえていくということを申し上げたわけでありまして、われわれといたしましては、いままでの延滞は十分厳重に取り立てますが、新しく卒業して出てくる人たちが新たな滞納者とならないように、それには十分力を入れまして、卒業前に学校に参りまして、いろいろ話をするとか、接触の機会をいろいろ持って、そういう意識を高揚するようにつとめております。
  18. 山田長司

    山田(長)委員 これは優秀な学生なので、出身校でもみんな推薦状を書いてよこしておるはずだと思います。ですから、出身校にも責任があると私は思う。これは保証人ばかりではなしに、その出身校等が、毎年毎年送り出しておきながら、その出身校に対する対策というものを何ら立てておらないという話ではありませんか、その点はどうですか。
  19. 緒方信一

    緒方参考人 これは最初に奨学生に採用いたしますときに、育英会では大体今年で二十九万人くらいを年間採用いたしておりますが、これを一々実質的に責任を持って調べるというわけにはまいりません。これはやはり大学あるいは高等学校の推薦を基準として、私ども選考いたしております。その段階におきまして、学校当局に責任を十分持ってもらっております。学長あるいは高等学校長の推薦を中心として、事務を運んでおるということでございます。ただ卒業後の返還金の回収につきまして、大学なり高等学校に責任を持たせることは、実情としてなかなか困難でございます。卒業してしまいますと、いままではなかなか同窓会の把握もできかねるような状態のようであります。大学生もだんだん多くなりますので、私ども一番困りますのは、要返還者の住居がわからなくなるということでございます。住居変更の場合には届け出ることになっておりますが、なかなか届け出をしてくれないという悩みが一つあります。これがなかなか回収がはかどらない一つ原因であります。それらについて大学の協力を求めておりますが、大学でも、卒業してしまいますと、どこかへ飛んでいってしまって、なかなかこれを押えることができないという実情のようであります。いろいろくふうをして、大学の名前を入れた書面を要返還者に出すとか、いろいろなことをやっておりますが、実際に、大学が要返還者に接触して、それを取り立ててもらうというような責任を持たせることは、実情として非常に困難なように思います。
  20. 山田長司

    山田(長)委員 普通の民間の会社などでは、往々にして、会社をやめた場合に、行き先不明などがあることは考えられますが、少なくとも優秀な学生で、しかも優秀な学生であるということを証明して、学校の校長が出しておるものが、それがどこに行っておるかわからないとか、あるいは取り立て不能になっておるというような形では、教育の将来が思いやられると思います。これは何としても、学校長にも一応の責任を負ってもらうべき筋のものだと思いますが、とにかく国民の血税を、学校成績が優秀であるということでそれを貸与しておきながら、それが卒業になったらどこに行ったかわからないから、学校としても協力ができないというような、そんな簡単なことで処理されてはまことに困ると思います。これは普通の場合と違って、学校なんですから、この点について新たな対策を立ててもらいたいと思いますが、どうですか。
  21. 緒方信一

    緒方参考人 私、いま学校に責任を持たせることは非常にむずかしいということを申し上げましたが、これは学校にもよりますけれども、やはり相当心配をしてやってくれるところと、なかなかそうもいかぬところと、実情としてはございます。責任はあくまでわれわれ育英会が持たなければなりませんけれども、いろんな側面から学校も協力をしてもらう、これは今後も、お話もございますので、十分検討して進めていきたいと思います。
  22. 山田長司

    山田(長)委員 これは育英会でもおそらく統計はとっていると思うのですよ。どこの学校の推薦者は学校を出てからちっとも金を返さない、この学校は非常に成績がよいし、それから学生は必ず返している、そういうものの統計くらいはあるだろうと思うのですけれども、どうなんです。統計も何もないのですか。
  23. 緒方信一

    緒方参考人 これはなかなか各学校別に出すということはむずかしいのでございます。これは事務実情を申し上げなければいけませんけれども、何十万のカードに整理いたしております。最初、やはり本人育英会との契約、こういうことで出発しておりますので、その学校別の責任をとらせるという体制に、実はなっていないのでございます。でございますから、どの学校が何人滞納しているということは、これは調べれば出ますが、一々調べるということはむずかしい状態でございます。いま申しましたような、だんだん機械化等が進みますと、これはあるいは可能かもわかりませんけれども、一挙には、どこの学校に何人いるかということをいますぐ出せといわれましても、これはなかなか困難でございます。
  24. 山田長司

    山田(長)委員 育英会のお世話になるためには、出身校の校長の証明、高等学校の場合などは、それが県の学務部を通っていると思うのですね、あるいは教育課ですね。そういうところを経て、この人間ならだいじょうぶだという証明までつけて出してきて、それで、育英会ではそれに対する貸与をしておると思うのですが、対個人という考え方をおとりになることは、私は間違いだと思うのです。やはり、出身校長及び県が証明をして育英会によこしているのですから、その間を経ている高等学校なりあるいはまた県なり、一応その責任はおのずとあると思うのです。そういう県に対して厳重な催告をするとか、あるいはあまり不心得者の多いところの県には貨し出しを禁止するくらいの厳重な処置を、やはりとっていいと思うのですよ。そうすれば、その県でもやはりその県内における高等学校に対する対策というものを十分に立てるのではないかと思われます。その点いかがですか。
  25. 緒方信一

    緒方参考人 ただいま申しますように、いろんな側面から――県に支部を私のほうは持っております。支部は教育委員会の中にございまして、教育長がその支部長でありますので、教育委員会あるいはその学校長等の協力は、今後ひとつ求めていきたいと存じております。
  26. 山田長司

    山田(長)委員 政府側にちょっと伺います。  この育英会の管理は、天城管理局長のところでおやりになっておるわけですか、大学局ですか。大学局のほうにも、おそらくそういう関係はやはりあるだろうと思われますけれども、大学局等もこれらの監督につきましては、やはりただいまのような形で大学の学長が証明を出すとか、あるいは理事長が証明を出すとかいう場合に、いまのような形で返済の遅延があっても、これはいまのような形の監督で済みますか。
  27. 木田宏

    ○木田説明員 返済の問題につきましては、かねて各方面から御指摘をいただいておりますので、その滞納額が少なくなりますように、いろいろな方法を通じてつとめてまいりました。お手元にもあるいは資料が参っておるかと思いますけれども、実は三十七年、三十八年、三十九年、こう並べてまいりまして、三十七年のころの延滞額の割合が非常に多うございまして、返すべき金額の半分近くが返っていないというような状態でございましたので、育英会のほうの回収業務にできるだけの改善とくふうを重ねました結果、三十八年には返還率が一〇%前年より上がりまして六九%になり、三十九年度末には八〇%に返還率が上がってまいりました。現在のところ、昭和四十年度の返還率は、八八%に上がってまいる予定でございます。  なお、先ほど山田委員指摘の中で、滞納者が六十八万というような、あるいは私の受け取り方の違いだったかと思いますが、そういう御発言でございましたけれども、これは滞納者の数ではございませんので、毎年返すべき人員で、三十九年度に返納してもらわなければならない総人員が六十八万人ということでございまして、その長期の延滞者等もかなり減ってまいりましたので、延べ人員では、まだ三十九年度の段階には、金額を入れてくれるのが予定の約束期日よりもおくれておるのが約十八万前後ございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在やっております各種の方法を講ずることによりまして、返還率が年に一〇%程度この二、三年間上がってまいったという実績があるわけでありまして、私ども、育英会のいま一そうのお骨折りを願って、この返還率を一〇〇%に近づくようにしたいということで、いたしておるわけでございます。
  28. 山田長司

    山田(長)委員 それから返還免除という問題ですが、この返還免除の場合に、死亡によるものはやむを得ないとしても、教育研究職による者――非常に抽象的でありまして、この内容は、どんな人たち返還しなくてもいいということになるのですか。
  29. 緒方信一

    緒方参考人 この資料の八ページにちょっとあげてございますが、これはいろいろごちゃごちゃ書いてありますけれども、かりに大学卒業者について申し上げますと、大学を卒業しました者が、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の先生になった場合、あるいは大学の先生になった場合、このときには一定年限の在職を条件にしてその返還を免除する、こういうことであります。これを分けて申し上げますと、義務教育の教員になった場合と、それ以外の教職についた場合に分けられます。義務教育の先生になった場合には、貸与を受けました年限の二倍在職しますと、全面的に免除になります。それが二倍に至らぬ場合には案分によって免除する、こういうことであります。それから高等学校そのほかの教育機関の教員になった場合には、貸与期間の三倍の期間在職すると、そのときに免除になる、こういうことであります。それからもう一つは、大学院を出まして中学校以上の先生になった場合は同様でございます。そのほか文部大臣の指定する研究所がございまして、その研究所の研究員に就職いたしました場合には、いま申しましたあとのほうに属しまして、貸与期間の三倍在職した場合に免除になる。大体こういう系列に分けてお考えただければよろしいかと思います。
  30. 吉川久衛

    吉川委員長 中村重光君。
  31. 中村重光

    ○中村(重)委員 緒方さんにちょっと尋ねますが、この奨学生の採用の基準、推薦の基準というのはあるわけですか。これはどうなんでしょうか。採用決定をいたしますね。そこでその途中において事情が変わってきた、優秀な学生が優秀でなくなった、そうすると、家庭生活あるいは本人のいろいろな事情の変化というものがあろうと思うのです。そういう場合はどういう扱い方なんですか。
  32. 緒方信一

    緒方参考人 事情が変わりまして、いまお話しのように、学力の面から申しましても、それから経済状態から申しましても、必要でない、あるいは出す価値がない、とこうなりました場合には、本人から辞退という形が一つと、それから停止をしたり、取り消しをしたり、こういうことをいたしております。年々本人から成績の報告をとっております。それによって、大学生であれば、大学を修業が不可能だというふうに認めました者は、あるいは一時停止するとか、あるいは辞退してもらうとか、こういう処置をとっております。
  33. 中村重光

    ○中村(重)委員 取り消し、停止、それから本人からの辞退、比率はどういうことになっておりますか。大体でけっこうです。
  34. 緒方信一

    緒方参考人 ちょっときょうは資料を持ってまいりませんで、予想しませんでしたから……。失礼いたしました。
  35. 中村重光

    ○中村(重)委員 本人からの辞退というのは、なかなかないでしょう。また辞退を特に強く要求するという、実質的には停止、取り消しと同じような形で扱っているのですか。
  36. 緒方信一

    緒方参考人 形は辞退という形にいたしております。取り消しすべきような者も、辞退という扱いに、学校当局と話をしまして、そして学校当局本人に話をしまして、そして辞退の願いを出させる、そういう形にして処理しているのが大部分でございます。
  37. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、既往の貸し付けの返還はどういうことになっておりますか。
  38. 緒方信一

    緒方参考人 その場合、同じように、それから返還してもらいます。修業した場合と同じように取り扱います。
  39. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、逆の場合ですね。申請はしておった。ところが優秀でなかった。家庭の事情もどうも好ましくなかった。したがって採用の基準に適合しない。ところがその後その必要が認められるような状態になった。そういう場合は、あらため本人から申し出がない限り、これを認めないのか。あるいはかつてそういう申請があったのだから、特に学校あるいは育英会のほうから、積極的に本人にその事情を聞いて、そして貸し付けをするというような運営をなさるのか。その点どうなんですか。
  40. 緒方信一

    緒方参考人 そういう場合に、こちらから積極的に取り上げていくということは、これは事実上困難でございます。やはり本人から願い出をいたしまして、さらに再選考するという形をとっております。で、採用の時期を四月の入学期に一ぺん、それから秋に一ぺんやるのが普通でございまして、そういう機会があるわけであります。あるいはまたその大学で欠員が出た、先ほどおっしゃいましたように、該当しなくなったような者が抜けていく、あるいは退学する者が出てくるというような場合、あとの補充をやる機会がございますので、そういうときに、学校を通じて願い出てもらうということでやるわけであります。そこで、普通毎年、これは奨学生の、前から継続した者と、それから新たにその年度に新しく採る者とございます。たとえばことしならば二十九万人ほどございますが、そのうちの九万人くらいが新規採用、新規採用は原則として一年生でございますが、二年、三年生も新規採用を、四年生は大体ございませんが、二年、三年生も、大学の場合、新規採用の中に入れております。そういう場合に願い出のチャンスが出てくるわけであります。
  41. 中村重光

    ○中村(重)委員 私の知る範囲ですが、どうも学生の中にそれが徹底していないというようなきらいがあるようです。同時に、ここに「奨学生の補導」というのがある。これを読んでみると、補導のねらいというのは、返還ための補導というのが中心になっているような感じがするのですが、具体的にどういう補導をしておられ、さらにまたいま私がお尋ねした、途中で事情が変わった、その場合はどうするかということに対しては、本人からの辞退という形式を実はとっている、また停止も取り消しもあるのだということですが、これは当然その保証人であるとかあるいは父兄というものがあるわけですから、それとの密接な連絡というものも、補導という中で考えていかなければならないのではないか。それは補導の必要のない事情の変化というものもあろうとは思いますけれども、そこいらはどういうようなことをやっていらっしゃるのですか。奨学生の補導のねらい、また具体的にどうしておるかということについて。
  42. 緒方信一

    緒方参考人 補導は必ずしも返還だけではございません。返還も、最近は、先ほど山田委員の御指摘のように、非常に私どもも力を入れておりますし、学校当局にもそれをいろいろ頼んでおりますから、返還相当の比重を占めますけれども、必ずしもそうじゃございません。ただ、まあ育英会が直接奨学生に接触して補導するという機会は、なかなか持ちにくいのでございます。何と申しましても、全国に散らばります高等学校、大学の学生でございます。数も多いのでございますから。しかしながら、できるだけ機会を求めて、私どもも大学に行きまして、奨学生と会う機会をたくさん持つ、座談会をしていろいろな要望も聞く、あるいはぐあいの悪い点もいろいろ聞いてくる、こういうことは大いにつとめております。ただ、いま申しますように、直接やるのはなかなか困難でございまして、やはり大部分は、学校当局にこれをおまかせして、学校当局の、大学であれば学生部でやっていただくということ、学生部を通じてやるということにせざるを得ないわけであります。ただ、先ほど山田委員からの御指摘もありましたように、全国支所を置く計画があるというような考えの中には、なるべく大学の所在に近いところにわれわれが出かけてまいりまして、そこに常置いたしまして、でき得るならば常に接触する機会を持ちたい。ただ金を貸して、卒業したあとは返してもらうというだけのことでは、どうも育英会としての事業の万全を期するものではないじゃないか、やっぱり大学当局に接触することは当然でございますけれども、さらに直接奨学生に接触するような機会を今後つくっていったらどうであろうか、かように考えておるわけであります。  それから、補導の中にいろいろございますけれども、育英会自身の相談所を設けまして、これにはしょっちゅう学生が出入りしております。これは相当な件数になります。それからこれは先ほどから申しましたように、大学に行って面接をする、本部にも面接に参ります。新規に採用された場合、都内の大学等から多数面接に参ります。そういう際に、よく話をし合うということにつとめております。それから、成績について、先ほど申しましたように報告をしてもらいまして、そしてどうも単位がとれそうもないというような人には、先ほど申しました停止をする前に、やはり注意をいたしております。大学を通じていたしております。これ、ちゃんとしてくれぬと奨学金も停止せざるを得なくなるぞ、ということを注意をいたしまして、よく学校に出て勉強するように、ということをやっております。  ただいまお話しの父兄との接触、これは遺憾ながら今日までできておりません。これは向こうから積極的に来てくれる人がたくさんございます。しかし、こっちから組織的に父兄と接触するということは、これはまたなかなか事実上困難で、今日までいたしておりません。
  43. 中村重光

    ○中村(重)委員 注意、停止、取り消し、本人からの辞退、これはやはり保証人もいるわけなんだから、父兄との連絡、保証人との連絡というものは、中学生のようにはいくまいけれども、また大学生、高等学校の生徒、それなりに適切な指導もし連絡もしていく必要があるのではないか、こういうふうに思います。私の知人の子弟なんかも、奨学金を実は借りている、私も口添えをすることもある。ところが、この補導というものはあまりなされているような感じは見受けられません。だから、いまあなたの事情御説明がございましたように、なかなか限られた人員また機構をもってしては、適切なことはできないということはわかります。ところが多くこれを学校側に期待するといたしましても、君は金を借りているのだ、そういうことではだめじゃないかと言うようなことは、実際上できるかというと、なかなかこれもできないでありましょう。そこのところは十分研究をし、また積極的に、育英会としても、国に対しては、補助を要求するところは強く要求をしていく、こういうようなことで、万遺憾なきを期していく必要があるんではないか。せっかくこの育英制度というものを効果ある形において推進していかなければならぬ、こう思います。  さらに、出願から貸し付けを決定するまでの期間というのはどのくらいですか。
  44. 緒方信一

    緒方参考人 これはかなり詳しく申し上げなければならぬことになるかもしれませんけれども、種類が二つございまして、一般奨学生というのと特別貸与と、二つございます。一般のほうは、進学をしたあと、大学なら大学生になってから、新学期にまず募集いたします。四月か五月に書類を出しまして、それを選考して、金を渡すのが夏休みの前くらいになります。それぐらいの期間はどうしてもかかります。それから特別奨学生のほうは、これはもう少し詳しく申し上げますと、大学の特別奨学生であれば、高等学校の三年のときに予約をするわけです。高等学校の特別奨学生は中学校の三年のときにやるわけです。それは高等学校、中学校三年の新学期に出願をいたしまして、選考が二重にございまして、第一次の選考は学校成績、それから家計基準で一ぺんふるいます。ふるったものを、もう一ぺん今度は学力のテストをいたします。これは学力というよりも――学力といってよろしゅうございましょうか、資質、能力を選ぶというたてまえの問題をつくりまして、全国一斉テストをいたしております。それが八月の初めになります。そうしてそれが大体決定しますのが十月の初めごろ決定して、本人に通知をいたします。その通知というのは、あなたは合格をしたので、来年の春、上の学校進学したら、当然に特別奨学金貸与を受けられます。こういう予約をするわけです。その人が翌春その入学試験にみごとパスすれば、学校進学届けを出しまして、そこで決定をいたしますから、これは、初めから最後までは相当長い期間を要します。ただ一般のほうは、先ほども申しましたように、出願後いろいろ手続がございますから、四月、五月ごろに出願しまして夏になるということでございます。
  45. 中村重光

    ○中村(重)委員 私の知っている範囲で、いまあなたが言われるような、本人に対しての資質検査というのか、試験というのか、そういうものがあっているのかどうか、私、わからないんですが――それはいいんです。いずれにしても、時間がかかり過ぎますね。私は拙速主義を必ずしもいいとは言っていません。しかし学生がこの奨学資金を借りるということについては、これは家庭の事情等、やむを得ず借りるんです。だからそういう場合に、若い学生にあまり長く待たせるということもどうかと思います。ですから、いまあなたが言われるような、限られたワクの中で多数の申請者があるわけでございましょうから、そういうことで決定をするんでしょうから、慎重にならざるを得ない。しかしお役所式でなくて、できるだけ早くひとつ決定をしていくというような運営をしていただきたいと思います。
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 勝澤芳雄君。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 引き続いて、返済の悪い人たちというのは、高校のほうが多いんですか、大学が多いんですか、その分類はどうでしょう。
  48. 緒方信一

    緒方参考人 これも、どっちが多いということを統計として、ここに正確なお答えは、ちょっとできかねます。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私は、この返済の年限二十年というのは、以内とはなっているけれども、一体妥当だろうかどうだろうか。それからこの貸与金額について、たとえば高校千五百円、大学二千五百円ですか、一体この額が適切かどうかという点について、やはり少し疑問があるわけであります。逆の言い方をしますと、この学生奨学金を借りる必要があるだろうかなというのも、実情において、あるわけです。それは一般奨学ですから、高校生の場合においては、学校と父兄、家庭というのは密着しているわけですね。しかし大学生の場合には、大学の学校当局と父兄というのはそんなに密着してはいないわけです。そして家庭の事情までわからないわけです。特別貸与の場合においては、その点が実にしっかりしております。高校時代に選考をやっているわけですし、家庭ときっちりしておるわけですから。ですから、ここに推薦基準というものがわりあい守られていると思うのです。しかし大学の一般について推薦基準が守られているかどうかというと、私も、二、三疑問があるわけであります。そういう点などについては、やはりいまの経済的な実情からいって、この金額が適切であるかどうかということと、それから、年数とか貸し付け金額というようなものについて、検討する時期にいま来ているのではないだろうか、こう思うのです。返済金をもっと早くすれば、ある程度金額を上げることもできるわけですから、そういうことで、対象を減らさずに、もう少し研究すべきではないだろうか、四年間借りたものを二十年ですから。まだたくさんあるかもしれません。  あるいはまた、今度は返済金の場合、滞納した場合の延滞金利の五分という利子がどうだろうか、極端に言えば、やはりもうちょっと上げたほうがいいじゃないかという気がするわけです。借りたものは返すということを、教育をされているわけですから、ましてや教育レベルの高い人たちですから。それからもう一つつけ加えますと、一ぺんに申し上げますと、職場返還という制度がやられているというのですが、この実績を見てみますと、まことにさびしい状態です。ですから、やはりこれらの問題についても、極端に言えば、官庁の中でどこがやっていないのかというような点をいまここで教えていただけば、あしたから、もうその官庁は職場返還ができるようになると思うのです。あなたのほうでやってもなかなかできないけれども、この決算委員会で、いま官庁で育英会の職場返還をやっているのはこれこれだけだと言えば、とたんに、黙っておっても、あすから私のところも貸与金の職場返還に入れてくれということになるわけですから、あなたのところで苦労されずに-民間でも同じことです。あなたのほうが、通産省を通じて、補助金を出している民間会社などに働きかければ、相当大きな部分の職場返還が可能になってくると思いますから。そういう点の努力も足りないと思う。できることなら、正式の資料でなくてもけっこうですから、やはりそういう点についても、ひとつ特に決算委員会なんか利用していただいて、資料を出していただけば、決算委員長から一言言うだけでも、職場返還がこんなわずかな実績にならぬと思うのです。そういう点などについても御意見を承りたいと思います。
  50. 緒方信一

    緒方参考人 まず貸与金額の問題でございますが、大学生のほうを申し上げますが、先ほど申しましたように、一般貸与と特別貸与がございまして、一般貸与のほうが二千五百円と三千円の二本立て、それから特別貸与のほうが、自宅通学、自宅外通学の二つに分けておりまして、五千円と八千円、いずれも月額でございます。こういう金額で、特に一般貸与のほうの月三千円、これがはたして大学の学生の学費にどれだけの効果があるかという問題が確かにございます。ただ、しかし、これは一がいに申せないのでありまして、たとえば東京大阪あたりの大都会に、家を離れて下宿をして大学に行くということになりますと、これは相当に毎月かかる。しかし地方の大学、特に国立大学等に家から通っている学生等に対しましては、やはり三千円という金が相当価値がある。特に地方の国立大学等からは、むしろ三千円口をふやしてくれという要求が非常に強い。沿革的に申しましても、この三千円というのは、戦後みんなが非常に困るという状態になったものですから、特定の優秀な者だけにたくさん貸すという育英会発足当初の考え方を若干切りかえまして、そうしてなるべくたくさんの者に利益を均てんさせてそれをささえていくというふうなことになった、その続きと申しますか、そういう経過を経て、三千円ということに落ちついているわけでございます。ただ、この三千円も、そういう、いま申しましたような事情がありますので、これを直ちにいますぐやめてしまって、もっと高いものに繰り込んだらいいのではないかということにもなかなかならぬのではないかと、現状では考えております。それから、そういう戦後からの引き続きで、こういう三千円ということになりましたので、そこにやはり高いものを立てようというので、特別貸与昭和三十三年度からできたのです。これは特に優秀な者、あるいは経済的にも特に困る者、そういう者を特に選んで、特別に高い金を貸していく、こういうことでございますけれども、現在ではこっちのほうをだんだんふやしております。だから、特別、一般と申しましても、いまでは人員もだんだん近づいてきているようなことでございまして、そういう意味におきまして、ここで一ぺん再検討する必要があるということはお説のとおりだと思います。さてどうしたらいいかということになりますと、なかなか、いま申しましたように、事態が複雑でございますから、すぐ答えが出てこぬかもしれませんけれども、私どもも、ひとつ漸次根本的な検討をいたしたい、かように考えております。  それから、二十年は長いじゃないかといろお話でございます。あるいは考えようによっては長いかもしれませんが、ただ、借りようによりましては一年に五千円、いま四千円以下じゃなく、年額は四千円以上ときめておりますが、やはり四千円、五千円、特に大学院なんかになりますと、これは研究職につけば免除でございますが、相当金額になります。やはり若い人が、就職して初めから年に五千円も返すということは相当な努力が要る。それは毎月月ぎめの貯金か何かしておけばよろしゅうございますけれども、先ほど申しますように、一ぺんこれをうっかりしてしまうと、次の年になれば一万円になる。こういうことですから、その辺も考えなければならぬという感じもいたします。たとえばアメリカの防衛教育法で始まった連邦の貸与奨学金制度がございます。これは十年でございます。しかも貸し付けのときから利子をとるとか、日本よりもわりあいにドライに割り切った、貸し借りという制度のたてまえのようでございますけれども、ちょっと日本育英会の出発点と、そこのところが少し違いますので、直ちにそういうふうな方向に切りかえていいかどうかは、ちょっと私どももちゅうちょを感ずるのであります。  それから、職場返還でございますけれども、これは御説のように、返還者ためにも非常に便宜を与える制度でございますので、特に来年度は力を入れたいと思っております。いまお話しがございましたけれども、中央官庁は大体協力してもらっております。だんだんこれから地方官庁にも及ぼしていきたいと、かように考えておりまするし、民間の大きな会社等にも及ぼしていきたい。現在六十数カ所協力してくれておるのではないかと思います。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 職場返還は六十八カ所で二千六百人だけなんですね。ですから、現実には問題にならぬということですよ。ですから、そういうものは育英会だけでやろうとしても無理だということですよ。   〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕 たとえば、極端に言えば、閣議に持ち出して閣議でそういうことをきめさせる、あるいは次官会議できめさせたら、上から下まで行ってしまうわけですね。ですから、そういう手だてを、あなたのほうから次官にでも相談をされて、やっていただくことがいいのではないかと思うのです。  それからやはり二十年ということ。たとえば大学で四年間  いま一年に消費者物価も、御承知のとおり七%から八%上がっているわけですね。そういう中で、四年後にやめたときの返済金額というものを考えてみれば、やはり二十年というものは長過ぎる。もう少しやはり短くすべきだ。ですからそこまでいまドライに割り切るかどうかということですけれども、現実に、このできたときの時代から、今日の時代は変わっているわけですね。ですから、やはり実情に合って喜ばれる方法、一律に二十年がいいというわけにいきませんが、やはり実情実情に合って、ある程度、十年のもあるし十五年のもあるというようなものの考え方もして、やはり実情に合った金の貸し方というものをすべきじゃないか、私はこう思うのです。これは政務次官もお聞きになっていますから、政務次官のほうも、特に職場返済の問題なんか、育英会に、文部省としても少しは協力してやっていただくようなことをお考えただきたい。  それから、日本育英会で貸している金で、私学とそれから官学に対してはどういう比率になりますか、それもおわかりになりませんか。
  52. 緒方信一

    緒方参考人 四年制大学をとって申し上げますと、国立大学の奨学生の総数、これはラウンドナンバーで申し上げますが、六万。それから私立大学が五万二千ぐらい。学生総数の。パーセンテージから申しますと、国立大学のほうが三九・七%、それから私立大学が二二・四%、こういう。パーセンテージになります。  ちょっとこれは注釈を加えますけれども、これはどういうことかと申しますと、先ほどからお話がございますが、選考の基準を設けております。これは学力と経済事情、ケース的に出てまいりますのは、人物、健康等もございますけれども、具体的に切ることになりますのは学力と経済事情、これは種類によって一般貸与、特別貸与、それから高等学校と大学と、それぞれ違った基準を使っておりますけれども、大学の場合で申しますと、一般貸与のほうが高等学校成績三・二以上、特別貸与は三・五以上という、まず学力の基準が一つございます。それからもう一つは家計の基準でございます。これはなかなかむずかしいのでございますけれども、考え方としましては、その家庭の学資負担能力が、その学生生活に要する費用を下回った場合には奨学金を貸しましょう、こういうことで、いろいろ調査統計等を利用いたしまして収入基準をきめて、これ以下の収入の家庭に対して奨学金貸与するという、その基準を定めております。これがいま大学の一般で申しますと、八十六万円ということになっています。八十六万円の年収、それ以下の家庭の子弟に対して貸す、こういうことでございます。ただその場合に、若干特別な修正をすることにいたしております。たとえば私立大学の場合には、その授業料だけの分はよけいに見るという、そういう計算で計算をいたしておりますので、実際に出てきました結果を見ますと、国立大学のその奨学生の家庭の家計の平均と、それから私立大学の場合と比べますと、私立大学のほうが若干上回っております。少し高いところまでとっているということでございます。つまりくどくど申し上げましたが、学力と経済との基準を一つきめておりますから、それに該当しなければ奨学生になれない、ということが前提になるわけでございます。そこで、いまの基準で申しますと、結果としてこういうことになるということでございます。  ちょっと、一つ参考に申し上げたいと思いますけれども、たとえば国立大学で一番代表的な東京大学でございますが、これの奨学生の総数を申しますと五千二百六十八人、それから早稲田大学をかりに私立大学の代表としてとってみますと、五千二百四十五人、大体実数は同じくらいです。ただ学生数が違いますので、パーセンテージが、さっき申しますように違ってくるという結果になっております。いまの両者の数の内容を見ますと、種類によって非常に違う。東京大学のほうで申しますと、一般貸与、これは進学してから選考する奨学生、これが千八百二十六人、早稲田大学が三千五百九十八人となっております。これは早稲田のほうが二倍ぐらい多いのです。ところが特別貸与のほうは、東京大学では千八百十五、早稲田のほうが千二百六十五と、早稲田のほうが下回っております。これはどういうことかと申しますと、先ほど申しますように、中学三年のとき予約をいたしまして、そうして、あなたが大学に入ったら特別奨学生にしますぞ、という予約なのです。その進学の大学は一つも制限していない。ですから、早稲田は相当多いのです。私学としては特別奨学生が一番多い学校でございますが、千二百六十五で、東大と比べますとだいぶ下回っておる。そこで差ができる。ほかの場合もこの違いが相当多いのです。  それからもう一つは、やはり大学院でございます。東京大学が千六百二十七、早稲田は三百八十二。これは大学院の学生数に対する比率はほとんど同じであります。しかしこれはほとんど国立も私立も差異はございません。かりに大学院を除いて考えましても、いまの一般と特奨との関係相当作用していることが一つあります。実は私、育英会に参りまして四年ほどになりますけれども、私学のほうに少ないじゃないかという声をだいぶ聞きました。それで、たとえばこれは私学に水増しをして割り当てをいたします。割り当てをしませんと、これは選考のしようがありませんから、割り当てをします。割り当てと申しますのは、育英会最初からやっております経験の積み重ねがありますが、その基準によってやります。そうしてそれによって  これは育英会がいま一枚一枚申請書を見ておるわけです。それによって学力と家計とがみんな出てくるわけです。それによって、それを基準にした一つの方式をつくって割り当てをします。その割り当てを、私少し水増しして、だいぶ私学のほうにやりますけれども、この基準だと、こういう結果にしかなりません。これ以上出てまいりません。ですから、基準の問題が一つございます。ただ、いまたとえば一般貸与で申しまして、高等学校成績三・二以上、これを低めていいかどうか。これは私学のほうも相当優秀者が入っておりますから、低める必要はないと思います。そうすると、家計基準を高めたらどうかという問題になってまいります。高めていいかどうか。これは育英会の育英事業のたてまえとしまして、やはり家計困難な者ということを対象要件にしておりますから、そこをどう考えたらいいか。先ほど申しましたように、選考の基準に、私立大学の授業料のかかりが多いので、そこら辺までは、基準の基礎のところには考えてやっておりますけれども、それをそう区別をつけることは、いまの段階じゃできない。それじゃもっと全体を上げたらどうかということになりますと、貧困でない者にまで一その貧困の度合いの決定が非常にむずかしいところでございますけれども、そういう実情を申し上げましたけれども、そういうことの結果、先ほど申しましたような結果になっておるわけでございます。私立大学はたくさんございますので、なかなかこれは――早稲田はいま申しましたような数でございますけれども、学生数だって千差万別、あるいは学生のいろいろな質と申しましてはあれでございますが、非常に幅が大きいものでございますから、結果としてはどうしてもこうなるということでございます。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 官立へ行っているがために、家計の状態が、私学に行っている者よりも悪いとは必ずしも考えないわけですね。私学に行っている者は必ずしも家計がいいとは限らないわけですね。結局、今日の状態というものは、やはり実力というよりも学歴というもので世の中の値打ちをきめておるために、結局教育を今日は投資の手段として、せめて子供にということで、できない子でも無理をしてみな大学まで出したいという風潮があるわけですね。ですから、たとえて言うならば、高級官僚のむすこというのは、大体官学が多いわけですね。下級官僚というのは大体私学が多いわけですよ。これは概して言えることです。頭をひねっているようですけれども、それはやはり時代の相違でしょう。私のいなかのまわりから見れば、そうです。そのことは、やはり小学校からの積み上げがそうなっているわけです。ですから、そういう点を私はやはり考えるべきだと思う。これではやはり、去年は慶応ですか、ことしは早稲田、来年は明治か法政か立教か、ストライキが起きるのはあたりまえだ。育英会がその一役を買っている、こうは言いませんけれども、私は、官学とか私学というのは、私は大学というのはあまり縁のないところですから、関係ありませんけれども、これはやはり一つの問題点として研究をすべきだと思うのです。ただ研究をするには、あなたともう一時間ぐらい論議をしなければいかぬようですけれども、育英会というものが、本来的な育英会事業をやってきたというだけでいいだろうか。もう少し、いまのドライな割り切ったものの考え方を変えるときに来ているのじゃないだろうか。極端に言えば、一人一人の学生を詳細に検討してみて、奨学金というものがどういう役割りをしているだろうか。あるいはまた、返済について一人一人もう少し実情を調べてみて、いまのままでいいだろうか。東大を出て、役所へ入って、二一十年間で返済をさせるということは、私はよくないと思う。東大を出て役所に入ったら、せめて十年くらいで完済させるようなことを考えていかなければいけないと思うのです。これは実情だと思うのです。ですから、それに合ったようにしなければいかぬ。それを、一律に何でも二十年ということでは、少し問題だと思うのです。あるいは、いい商事会社へ入ったらもっと縮めてやるということをする。私なんかは、生まれが大正ですから、いつも借金をしてものを買うことはいやです。金がたまったらものを買います。いまの者は、借金をして旅行して、旅行へ行って帰ってきてから、お金を返している。お金が返済になった時分に、また金を借りる。それで旅行に行く。この感覚の違いがあるわけですから、そこらはやはりお考えになっていただいて、借りたものはもらったものだという考え方もあるわけでありますから、そういう点まで勘案して、もう少し考えていただきたいと同時に、やはり私学とそれから官立のあり方ですね、そういうものについて、あなたは先ほど、私の質問よりも相当長い時間かけて御答弁したわけでありますから、意識されているようでありますから申し上げません。これで、私は育英会関係は終わります。
  54. 緒方信一

    緒方参考人 どうも貴重な御意見ありがとうございました。私どもは、決して実情だけで満足しているわけではございませんで、いろいろ検討すべき問題がたくさんあることは十分承知をいたしております。ただ一番問題は、国立、私立大学の問題で、私十分意識をしておりますので、これはどうやったらいいか、先ほど申し上げましたような実情でございますから、これは勝澤委員さんもおわかりいただいたかと思いますけれども、学力の基準というようなこと、これはいまのこういうことでいくと、こういう結果にならざるを得ないのではないか。はたして一体どうやったらいいか、ということになるかと存じます。  それから、先ほどちょっと申し上げましたが、特奨でございますね。これは入学の制限を一つもしておらぬものでございますから、学力が高くて経済的に困る、これはやはり国立大学のほうに多いのです。だからその辺を見ますと、そういう階層が国立の大学に入っている、その結果、やはり一般貸与のほうでも――一般貸与のほうでもというのはおかしいのですが、育英資金が国立大学のほうにたくさん流れるという結果を来たしている、こういうことになるのじゃないかと思うわけです。十分ひとつ実情もさらに研究をしたい、検討いたしたいと存じます。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 誤解のないように、一音だけ言っておきますけれども、私は、官立に特奨が多いのはやはり当然だと思うのです。それはそれでいいと私は思う。やはり問題は一般の問題になる。  次は、私学振興会のほうにお尋ねいたしますが、昨年の慶応、ことしの早稲田ということから、私学の経営について、いま注目を浴びておるわけでありまして、せめて来年は、これに続いてまたどこかでこういう事態が起きるというようなことにはすべきではないし、しないための努力というものをやはりしていかねばならぬと思うのです。そういう点から、今日、私学の経営の実態がどういうようになっているかという点について、私学振興会のほうから、ひとつ遠慮ない実情について御説明願いたいと思うのです。
  56. 岡田孝平

    岡田参考人 私学の経営は、これはたてまえといたしまして、私学みずからがその財政的な基礎を得て、みずからの責任でこれをやる。これが原則でございますが、最近だんだんと世の中が進歩してまいりまして、教育の施設、内容をどんどん向上しなければならぬ。学生生徒もふえてまいりますし、そうした施設をふやさなければならぬ。また、新しい教育内容にふさわしい教育設備等もどんどんと強化しなければならぬ。また、毎年先生のベースアップ等もございますので、人件費に膨大な経費を要するというようなことで、だんだんと私学の経営が苦しくなってまいったのは御承知のとおりでございます。それに対しまして、その収入源といたしましては、どうしても、授業料、入学金、あるいは特別の施設の寄付等、生徒の父兄にこれをたよる以外に、いまのところたいしたことはない。もちろんその他一般からの寄付金等にも相当これを仰いでおる実情にございますが、そういうように、だんだんと経営が苦しくなる。それに伴いまして、私学の借金、借り入れ金もだんだんふえてまいりまして、全私学を通じて、その学校の借り入れ金の比率が二四%にもなるというような状況になっておりますが、なかなかこれは容易ならぬ問題だと思っております。  私学振興会は、主として私立学校の経営に必要な資金の貸し付けをいたすのが仕事でございますが、ただいまやっております仕事は、学校法人の施設の整備充実、建物あるいは土地の購入あるいは整備、そういったものに対しまして必要な資金を貸し付けておるのでございまして、これはどこまでも貸し付けでございまして、これに対する補助ではない。もっとも、補助事業もやっております。これは振興会の利息収入をもちまして、私立学校教職員共済組合と私学研修福祉会に対して補助金を交付しておる等、補助事業もいたしておりますが、大きな仕事は貸し付けでございます。貸し付けではなかなか経営を楽にするということは困難ではなかろうか、振興会の貸し付けは低利長期でございますので、他の借金よりも非常に楽であることは申すまでもないのでございますが、それだけでは根本的な解決にはならぬだろうかと思っております。私の考えをもってしますならば、これはやはり政府が責任を持って、そうして直接私学に対します補助金の制度を拡大していただくことが最も必要であろうと考えております。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 文部省のほうから聞いたほうがいいと思うのですが、いま私学の負債は一千億もあると言われ、そのうち私学振興会からの貸し付けが四百億だ、こう言われておりますが、その私学全体の負債の現況というものについて、おわかりになっておりましょうか。あるいはまた、その負債の内容はどういうふうになっておるか、そういう点について、御説明を願いたい。
  58. 天城勲

    ○天城政府委員 私学の経費の大体の構成をちょっと最初に申し上げたいと思います。これは学校別によって違いますが、大学を例にして申し上げます。三十八年の数字がいま一番新しいものですから、これで申し上げさせていただきます。  収入のうち、学生納付金が四八%でございます。それから、借り入れ金が二二・九%、寄付金が六・一%、財産収入が三・四%、この辺が大体一般収入でございますが、あと病院その他の付属事業を若干やっているところもございますので、こういうものをあわせますと、二二・七%でございます。大ざっぱに申しますと、一般収入といわれているものが八五%でございますが、四八%が学生納付金、二三%が借り入れ金。寄付金が非常にウエートが減っております。  それに対して支出のほうでございますけれども、いわゆる教育教授費と申しますか、消費的な経費でございますが、これが五〇%でございます。それから資本的支出――建物建築費その他、これが三六%、残余の一三・六%が債務償還費、こういう形になっております。  現在、私学の持っております固定負債でございますが、先ほど先生おっしゃったように、四十年度現在でございますけれども、一千二十億でございます。これはいろいろなところからの借り入れ金でございまして、大きく分けまして、このうち市中金融機関、ちょっとこまこうございますが、これが、ラウンドナンバーで申し上げさしていただきますと、六百億でございます。そのほか、住宅金融公庫あるいは医療金融公庫、公共団体、学校債といわれているようなものがありまして、私学振興会の分が二百四十億でございます。構成はこういう形になっております。このうち、市中金融機関からのものに、やや多いかと思いますけれども、日歩二銭七厘、年約九分九厘でございます。かなりこれは高利じゃないかと思っておりますが、これが四十年度現在で百四億でございます。その他の債務を含めまして、ほかの分野からは二銭七厘というのはほとんどございません。二銭未満といわれているもの、これは大体七分前後か以下でございますが、これが金融機関からのもので、八十五億ございます。こういうぐあいに、金利は非常に散らばっております。  大体概要はそういうことであります。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私学と官学の率を見てみますと、私学が七割、官学が三割、こういわれているわけであります。こういうことを見てみますと、教育の中に私学の果たしている役割りというのは相当高く評価しなければならぬと思います。それと同時に、やはり今日の課題としては、私学について、もっと国がひものつかない協力をすべきであるという声が高まっておるわけでありまして、こういう観点から、私学の教育に果たしている役割りと、それを通じて、私学に対して一体どういう手当てがされておるのかという点について御説明願いたいと思います。
  60. 天城勲

    ○天城政府委員 御指摘のように、日本の教育の中で、私学の持っております使命、特に大学教育におきまして、量的にもきわめて大きなものがあるということをわれわれも強く認識いたしております。これにつきまして、国の現在行なっております私学の助成のことを最初に簡単に申し上げたいと思っておりますが、いま申し上げました私学振興会を通じましての、施設並びに土地取得のための融資、これが財投と出資金と両方で構成されておりますが、これも逐年拡大はしてきておるつもりでございますが、たとえば、現在御審議いただいております四十一年度予算要求しておりますのが、財投で百九十億、それから一般会計の出資で十二億という数字になっております。そのほかに補助金といたしまして、私立大学の理科特別助成という項目がございまして、私立――これは大学、短大、高専も含めておりますけれども、いわゆる理科系の学部学科におきますも教育内容の充実をはかるため学生の実験実習用の設備費、この補助金を続けております。明年度二十三億ほどを予定いたしているわけでございます。もう一つは、私立大学の研究設備費、これは私立大学におきます学術研究を助成するために――前のほうは学生の実験実習用でございまして、これは教官の研究用の設備の助成でありますが、これが約十三億六千万でございます。このほか項目はいろいろございまして、たとえば私立の短大で幼稚園の教員養成課程を置いているところがございまして……。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ここに資料をいただいているやつですね。資料があるやつはいいです。
  62. 天城勲

    ○天城政府委員 そういう項目で、事項はかなりいろいろございますが、いま申し上げました全体の私学の経費構成から申しまして、国の補助金の占めておる比率がきわめて低い現状でございまして、これは今後とも拡充をはかっていかなければならぬと考えております。  なお、私学のこの現状にかんがみまして、全体をどのように助成していくかということが、最近非常に大きな課題になっておりまして、昨年の国会で御審議いただきました、臨時私立学校振興方策調査会令という、法律に根拠を持ちました調査会を設けまして、去年の夏以来鋭意検討しておる段階でございますが、最近も、早稲田の問題をはじめ、社会的にもこの問題がきわめて大きく取り上げられてきておりますので、調査会のほうにおきましても、これらの事情を十分おくみ取りいただいておるわけでして、いま鋭意多角的に私学振興の方策を検討しているというのが実情でございます。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 高校生と大学生に分けて、私学と官学の生徒の負担の現況はおわかりになりますか。年間、高校生は私学ではどれくらい、官学ではどれくらい、大学生はどれくらい、こういうのはおわかりになりますか。
  64. 天城勲

    ○天城政府委員 ちょっと御質問の負担と申しますのは、教育費全体の、家計の負担でございますか。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いや、そうじやなくて、生徒の負担です。国立に行っている大学生は一年にこれくらい、私学のほうに行った場合はこれくらいかかっておる、という点はおわかりになりますか。
  66. 天城勲

    ○天城政府委員 たいへん恐縮でございますが、それは授業料とか学校へ納めておる一切を含めてでございますね。――それは学生経費負担というのがあるのでございますが、ちょうどいま手元に持っておらないのでございますけれども……。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それじゃあとで見せていただきましょう。  それで、この私学振興方策調査会の結論待ちというのが、実はこの間の本会議の佐藤代議士の質問に対する総理並びに文部大臣のお答えなのです。しかし結論がいつ出るかというと、どうもまだ来年だということで、ことしも見送る、あるいは来年度予算にも間に合いそうもない。一方のほうでは、ストライキが起きて、収拾の方策もない。国のほうは、私学だからおれのほうは責任がない、こういう実情はまことに悲しむべき実情だと私は思うのです。こういう点で、やはり私学振興方策調査会の結論というものを急がせる必要があると私は思うのです。文部省のほうでも、そういう督促はいたしているようでありますけれども、やはりもっと積極的な審議をさせるべきだと私は思うのです。いまの実情を見ていると、私は、御隠居さんたちが集まって、井戸ばた会議をやっているというふうに見えてしょうがないのでありますけれども、もっとこういう点などについては文部省として強く  これは言うならば、この間の本会議の答弁を聞いていると、総理も文部大臣も責任のがれで、そっちの調査会の答申が出るまで待ってますということじゃいかぬと思うのです。独自でやれることもあるわけでありますから、どうですか、文部政務次官。これは慶応がやって早稲田がやったから、来年は今度は明治、法政にやらせる一やらせるわけじゃないですけれども、しかし現実にはそういう結果になると私は思うのです。学生諸君の中のいろいろな問題もあるでしょうけれども、やはりそれに対応する学校自体の対策、学校自体の経営内容というものも、この際考えなければならぬ。そのためには、せめてことしの夏ごろの予算編成期までには間に合わせて、私学の経営というものをもう少し基本的に直すことを考えてやらなければならぬ。この間も言われておりましたが、農地報償なんというのは二十年前のをやっておるのだ。山一証券なんというのは、世の中に影響があるからといってやったのだ。それじゃ慶応や早稲田の学生のストライキというものは世の中に影響はないか、父兄にも、それ以外の私学に対しても、深刻な影響を与えていると私は思う。また、造船が困れば造船の利子補給。結局、私学そのものが国の政治を動かす力になっていないところに問題があるのでしょうけれども、これが官学なら、私はたいへんなことだと思うのです。各省の高級官僚はみな東大ですから、これはもう東大のお家大事だと、やりますけれども、私学のほうは残念ながらばらばらなんですよ。学校が違うから、私学という一本にまとまってないわけです。早稲田は早稲田、慶応は慶応、明治は明治、国会議員の中で、ばらばらなんですからね。私学一本にまとまってやるべき対策を、早稲田だけでやろうじゃないかという、けつの穴の狭いことを言っているから、解決しないのです。稲門会だけでなくて、国会議員の中の私学だけ集めてやればいいが、なかなかそうはいかぬ。そこに問題があるのです。  それは別問題として、やはりそういうことが行なわれているわけでありますから、ここら辺は大臣ともよく御相談されて、やはりこの夏ぐらいまでにはめどをつけて、これは画期的な方法をとってやらなければいけないと思うのです。実情はもうおわかりになっているわけでありますから、そういう点についての政務次官の御答弁を承りたいと思うのです。
  68. 中野文門

    ○中野政府委員 お説のとおりに存じます。したがいまして、私学振興方策調査会の進め方、あるいは中間報告を求めるというようなこともいわれておりますが、あらゆるくふうをいたしまして、国の私学振興助成対策につきましては、お説のとおりと思いますので、大臣、省内でよく談合いたしまして、御期待のようにやりたいと思います。
  69. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 山田長司君。
  70. 山田長司

    山田(長)委員 私学振興会の岡田理事長に御質問申し上げたいと思います。  私立学校の経営に必要な資金の貸し付けということで、日夜御努力されていることはよくわかるのでありますが、実は、実際に私学振興会で資金の貸し付けをする場合に、何か抵当をとらなければ貸し付けをしないというような実情になっておるようですが、この規則等によりますと、必要な資金の貸し付けということですけれども、抵当をとらなければ資金を貸さないということは、どこにもうたってありません。しかし実際は抵当をとらなければ貸しておらないようですけれども、これはどういうことなんですか。
  71. 岡田孝平

    岡田参考人 これは、たしか私立学校振興会の業務方法書に、そういう定めがあると承知いたしております。実際問題といたしましては、相手が学校法人でありまして、非常に信用が高いところでございますので、抵当権を設定いたしましても、実際問題といたしまして、それを実行に移すということはまずないのでございますけれども、しかしやはり国の資金をいただいてこれを貸し付ける、それを確実に償還をしてもらうということになりますと、そういう保証がないと、やはり貸してはまずい、こういうたてまえになっておりまして、ただいま資金を貸し出す場合には、すべて抵当権を設定するということにいたしております。
  72. 山田長司

    山田(長)委員 私は、こういうことがなされていいのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。たとえば、校舎を建てるとか、あるいは土地の買収とか、あるいは雨天体操場とかいうものを建てるために資金が必要なんですから、建てた事後でも、その建物あるいは土地等を抵当にとれば、それで貸し与えてもよいのじゃないかと思いますが、この点、抵当物件がなければ貸さないというのでは、せっかく資金の貸し付けをやって私学の振興をはかろうという趣旨に反するのじゃございませんか。この点どうですか。
  73. 岡田孝平

    岡田参考人 やはり抵当権を設定いたします以上は、確実な担保力のあるものをとりませんと、その目的を果たすことになりませんので、資金を貸します場合には、土地あるいは建物といったものにつきまして、既存の土地あるいは建物に抵当権を設定いたしまして、そして資金を貸し付ける。資金を貸し付けまして、それを受けまして完成いたしました建物等は、また、完成いたしますならば、それが新たな抵当権を設定され得る能力があるものとなりますので、その次、今度はそれを抵当にいたしまして、また資金を借りることができる、かようになるわけでございます。
  74. 山田長司

    山田(長)委員 運営に必要な資金を貸し付けるというのですから、運営上必要だから貸し与えてやるのであって、何か持っていなければ貸し与えないのだというならば、これは運営にならぬと思うのです。この点がどうも、何かあとでも確実に抵当にとれるという目安があるならば、土地の買収とかあるいは建物を建てるかとかいう場合に貸し与えて、必ずそのあと抵当に入れておくということで、私は差しつかえないと思われるし、同時に、そのことが運営に好結果をもたらすものではないのでしょうか。どうなんですか。
  75. 岡田孝平

    岡田参考人 お話はごもっとものようにも承りますけれども、しかしやはり現在の私のほうの運営の基本になっておりますたてまえが、先ほど申し上げましたように、すべて既存のものの上に成り立っておりまして、そして、たとえば会計検査院から会計検査に来られた場合にも、これは抵当権なしに貸しては実にけしからぬじゃないか、こういうようなおしかりをちょうだいすることもございまして、いや、これはそういうことはないのであって、これは多少おくれることも場合によってはあるかもしれませんけれども、そういうことは絶対ない、かようなことにいたしておりまして、現在のたてまえは、先ほど来申し上げたようなことにいたしておりますが、将来の問題といたしましては、なおさらにひとつ検討いたしまして、もし何かこの抵当権の問題で多少でも改善すべきものがありますれば、ひとつ考究してみたい、かように考えております。
  76. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの答弁で、これからこれらのことを検討されて、しかるべき処置が講ぜられるというならば、私はこれ以上このことについては伺わないのでありますが、これは既存のものならば、そういう建物なり校庭なりあるのですから、これを抵当に入れて、すぐに次の段階にスタートできると思うのです。そうじゃなくて、たとえばこれから、ベビーブームのような時代のためにつくった学校というものは、これはないところにスタートしていくのですから、当然これは経営に必要な資金として貸し与えて、しかる後に育成強化をはかっていくという目安が講ぜられなければならないと私は思うのです。この点はぜひひとつ御検討願います。  次に、天城管理局長に伺っておきます。それは、同じ文部省の規定で、学校は、大学にいたしましてもあるいは高等学校にいたしましても、存在するのでありますが、府県の審議会は、統一された形でこれが認可等を取り計らうべきにかかわらず、まるで各府県別々に、審議会がかってな処置をとっておるところがございます。これからできるものは、規定どおりに、高等学校の場合は、一人の生徒に対して、教室の坪数が三坪、それから校庭が十二坪、坪数がなければ認可の対象にしない、こういうことになっておるようでありますけれども、既存のものについては全然これが放てきされておって、新しくできるものについては、この規則どおりにいかなければならないという、そういう規定が、文部省から各府県の審議会に指令が出ているのですか。
  77. 天城勲

    ○天城政府委員 これは御存じのように、高等学校の設置基準というのがございまして、これに施設その他の高等学校の基準が定められておりますので、各府県におきまして、新しい認可の申請がありましたときには、これに基づいて、各府県の審議会で御審議の上決定している、こういう仕組みになっております。いまお話しのように、既存のものとか新設のものについて、この基準の扱いをいかにしろというようなことを申したことはございません。
  78. 山田長司

    山田(長)委員 それは、文部省当局で実は知らずにいることです。そういうことを文部省で言わなくても、各府県の審議会において、教室の大きさは一人の生徒について三坪、校庭は十二坪、この規定を順守しなければならないということで、審議会の認可の対象にしておるところが実はあったのです。それで、その規定どおりにのっとりまして、非の打ちどころがなくて、ついにしまいに認可したところがございます。これは庭の石の大きさにまで干渉しました。しからば既存のものについてはどういう処置をとるのかと思って見ておりましたけれども、既存のものはそれでよいというのです。既存のものの中に、高等学校でありながら、地方で、庭の面積が三十メートル四方の高等学校がございます。これが認可になっております。それからまことに不健康で、これは当然今度は公害の対策として――セメントの粉のために、健康上からいってもまことに不健康な高等学校がございます。それらについては、既存のものであるからということで認可を受けておりまするから、これはほうってありますけれども、私は、やはり高等学校として認可を受けておるものである以上は、既存のものでも、いまの法規にのっとった形の、校庭の設備を必要とし、校舎の設備を必要とするものでなければならないと思います。既存のものについては、最近の設置基準に基づかなくてもよいのですか、この点を伺っておきます。
  79. 天城勲

    ○天城政府委員 現在の高等学校設置基準でございますが、これは昭和二十三年に定められておりまして、それが二回ほど改正されて、一番新しいのは二十八年でございます。それで、いまちょっと、この経過措置について、こまかいのは載っておらないので、私も記憶があいまいでございますので、お答えしかねますが、少なくとも、現在は、この二十八年改正によります高等学校設置基準に従うことが原則でございます。過去のものにつきまして、前の基準でやったものを、新しいものができたときにどういうふうに拾っていったのか、ちょっとその経過措置が六法に載っておらないので、こまかいことを存じておりませんので、たいへん恐縮でございますが、お答えしかねるわけでございます。
  80. 山田長司

    山田(長)委員 同時に、これは経営上から、審議会が、おそらく各府県とも、通学区域等を勘案して、既存のものの近所に高等学校なら高等学校をつくらせないというような方針も、あるいはあるのかもしれませんけれども、私は斬新な教育の方法で、しかも学校設備においても、あるいは教育内容においても、しっかりした学校が近所にできるならば、既存のもので怠惰に満ちている学校は淘汰されていくのがあたりまえだと思うのです。それが、旧来の隋力によって漫然と経営をされている学校のそばに新しいものができたということで、これをあらゆる角度で反対しなければならないようなことは、私はあってはならないと思うのです。そういう点で、せっかく設置基準を設け、それから学校経営に対する振興会の設置等ができて、それで教育を推し進めていこうとしますときに、文部省はいかなる監督を、府県にまかせずに、中央においてやられるものなのか、この点を、参考までに伺っておきます。
  81. 天城勲

    ○天城政府委員 いま御指摘のような具体的なケースもあり得ると私も思いますが、現在高等学校設置基準に従いまして、設置認可の権限が、都道府県知事の権限になっておりますし、そのために審議会が各府県に置かれることになっておりまして、私たちのほうで一々これについて指示をする立場にないわけでございます。ただ、御指摘のように高等学校――これは高等学校に限りません、中学校でも、幼稚園でも、いろいろ出てくると思うのでございますが、その適正な配置の問題とか、それから新しい学校と古い学校との関係など、地方地方の事情が非常に複雑なものがある場合のあるケースも、私たち聞いておりますので、それらの点につきましては、まさにその地方の実情に即しながら、十分考えていただきたいということは、そういう問題を耳にいたしましたときには、申し上げております。ただ、法令上基準に合っているものを、他の理由によって認可をこばむということは、これは法令上できないのではないかということも、そういう話がきたときには伝えたことがございまして、個々のケースにつきましては、府県の実情に即して、慎重に扱ってもらうように、話は進めておるわけであります。
  82. 山田長司

    山田(長)委員 設置基準が生まれておりまする以上は、やはり既往にさかのぼって、当然この規則に準ずる形を、文部省としては指導しなければならぬと思いますけれども、基準の法律法律としてそのままにしておいて、既往のものにはこれを適用しないという方針なのか、それとも、設置基準にのっとった形で、既存のものにも適用範囲を伸ばそうとするのか、この点はどうなんです。
  83. 天城勲

    ○天城政府委員 先ほど申しましたように、現在の高等学校設置基準、一番新しいのが昭和二十八年の改正でございますが、このときに、先ほど申したように、二十三年からございました基準が逐次改善されてきておる。その過程におきまして、すでに存在している高等学校の実態が、この基準に合うか合わないかという問題が現実にあるわけでございます。それにつきまして、私もこまかいことを一々存じておらないので、たいへん恐縮なんでございますが、新しい条件で、校地、運動場、校舎その他に関する基準などにつきましても、いろいろ経過があるようなんでございます。そのものずばりで、二十八年規定によらなくてもいいような規定がある一わけでございますが、これらのこまかいことを、いまちょっと急に私も理解しかねておるのでございます。たとえば高等学校設置基準の二十八条に「定時制の課程のみを置く高等学校を設置する場合又はこの省令施行の際、現に存する従前の規定により学校が高等学校となる場合においては、」何条何条に関する規定はどういうふうに読みかえる、というこまかい規定がございますので、若干現行の基準よりも緩和した基準になっているのではないか、こう考えております。
  84. 山田長司

    山田(長)委員 緩和しているどころではなくして、既存のものはこのままでよいのだということをいっているところがございます。一体、あの設置基準を制定しておきながら旧来のものはそれでいいのだという、このものの考え方を審議会が持っているところがあるから、審議会に対して、まず高等学校というものはその設置基準にのっとって、すみやかにこの法規を順守しなければならないというような通牒を、文部省は出すべき筋のものだと思います。なぜかといえば、それは私立の各種学校で、しかも庭もないような高等学校が、この基準にのっとらずに、今日存在しておるのですから。そういうものをあえて認めて、しかもそれが既存のものはよいということでは、私はせっかく設けた意味がないと思うのです。この点について、政務次官、どうお考えです。
  85. 中野文門

    ○中野政府委員 一つ法律なり規則なりができまして、学校の設置なら設置の基準がそのときに定められます。ところが、その法律なり規則の発効前にあった同種類の学校の規模が、新しく定められた基準よりもはるかに基準に満たないという場合のお話のようでございますが、これは私もこまかい事務的な運びをただいま承知いたしておりませんけれども、ただいまの先生の御発言を聞きながらの私の判断といたしましては、少なくとも既得権と申しますか、事前にあった学校だから、事後新しくつくる場合の制限に満たなくとも、いつまでもよいのだというような形であってはならぬと思います。少なくとも指導的な観点から申しましても、新しい基準が、その時代、その時の基準でありますから、基準に満たない既設の学校設備につきましては、新しい基準に合うように指導、育成をしなくてはならぬ、かように私存ずるのでございます。
  86. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの政務次官の御答弁で、私はだいぶ私の考えていることに近いことを喜ぶのですが、実はこれは一定の期限を切って、当然この設置基準にのっとった形のものをつくり出さなければいかぬと思うのですよ。だから、既存のものに対しては一応認めてもよいが、今後十年な勢十五年なりたつまでの間に、この基準にのっとった形のものにしなくてはいかぬというような指示はしてしかるべきだと思うのです。そのことによって、振興会のほうは、これを育成強化して、資金の貸し付けをやっていく、それでこの基準にのっとった形の学校にしていく、という努力をさせなければいけないと思うのです。怠惰に流のものをそのままにしておいて、要するに人さえ集めればもうかるということで、もうけ主義の学校が今日存在するのですから、これには厳重な警告を発しなければいけないと思うのですよ。その点、期限の問題はどうお考えですか、政務次官。
  87. 中野文門

    ○中野政府委員 先生のお説の御趣旨は、そのとおりに存じますが、さて、しからば、いま直ちにどういう手段を用いるかということは、十分に省内で前向きで検討いたさなければならぬ、かように存じます。
  88. 山田長司

    山田(長)委員 既存のものはそのままにしてよいが、新しいものはつくり出させないという、そういう方針に近いものをお持ちになっているところがあるやに、私は見受けております。こういうことでは、教育が怠惰に流れる可能性があると私は見るのです。そういう点で、法律をこしらえてこれにならえといった以上は、既存のものはそれでいいのだという理屈は成り立たぬと思うのですよ。既存のものも、この設置基準にのっとるべきであるということを指示し、同時に、何年何月までの間にはその形が生まれなければ認可を取り消す、これくらいの抜本的な措置を講じてしかるべきだと思います。この点は管理局長どうお考えですか。
  89. 天城勲

    ○天城政府委員 私もいまちょっと条文を見直してみまして、幾つかわかってまいったのでございますが、三十八年の改正基準ができましたときに、従前の規定によって存在しておりました高等学校の基準につきましては、幾つかの基準の例外を設けております。これは、当分の間これこれの規定によらなくでもよいという規定があるために、現在の現実に新設される高等学校の基準よりも低い高等学校が存在することになっているわけでございます。これは基準を改めます段階では、どうしても、前の基準で一応認可されておった学校を、新しく変わったからすぐ直すということは、物理的にも非常に困難な場合がいろいろあるのじゃないかと思っております。なかんずく校地のような土地の問題につきましては、にわかに新しい拡張ができかねるところもいろいろあるということで、こういう例外を設けていると思うのでございます。ただ全体といたしましては、高等学校の基準を改善して水準を高めていこうということで改善が行なわれている以上は、既存のものといえども、方向としてはこういう方向で努力していただくことが当然だと思いますけれども、法令上そういうことになっておりますものを、いま期限を切って新しい基準に従わせろということは、ちょっと通牒その他でやることは無理ではないかと思うのでございますが、全体としては、高等学校の水準向上のために、今後ともいろいろの話し合いを、関係府県の担当者といたすことは、私どもの責任だと思っております。
  90. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの御答弁によって、なお私は理解ができなくなってくるのですが、「当分の間」というのは、一体どのくらいの歳月を、既存のものは認めておくのですか。
  91. 天城勲

    ○天城政府委員 これは法の制定のときの考えで、文字どおり、できたものは「当分の間」と読まざるを得ないのでございまして、一般にこれがいつかという議論は、ほかの法律の場合にもございますが、期限を切る場合には、あらためてこの規定を直すという形になると思いますので、この規定から、「当分の間」が何年であるということは、ちょっとお答えしかねるわけでございます。
  92. 山田長司

    山田(長)委員 よくこういうあいまいな字句がありますけれども、大体、当分というのは数年のことを意味すると思うのですよ。政務次官、「当分の間」の解釈は、ちょっといま天城管理局長も困っているようですけれども、これはやはり文部省当局としても、不可解な設置基準法を設けておいて、それでこれに従えといっておきながら、既存のものはかまわない、当分そのままでいいということは理屈が立たぬと思うのです。そういうことのないように、私学振興会というものができて、それで私学振興会は経営に必要な資金を貸し出して、教育を奨励しようというねらいなんですから、こういう存在があります以上は、当然これは振興会も力を入れ、それから県の審議会も力を入れ、既存のものは当分いいのだといっても、そんなばかなことは許されないのです。その点、一方は徹底してこの法律の基準に従わせ、一方は当分の間かまわぬというようなことで、不衛生なところは一応おき、庭もろくにないような高等学校が一方には存在し、しかも校舎が裏長屋の奥のほうにあるのですよ。そういうばかばかしいことが存在しておるのですから、これはわれわれがここで質問しなくても、当然、設置基準にのっとれというぐらいの注意事項は、各府県を通し、学校自体に言ってやるべき筋のものだと私は思うのです。この点どうなんですか。
  93. 天城勲

    ○天城政府委員 設置基準がございます以上は、設置基準にのっとって設置認可をいたすことは当然でございますし、それに違反することは、認可する上でも確かに許されないことでございますので、この趣旨の励行は、私ども常に督励はいたします。ただ、各府県の設置審議会と知事の認可権に属しておりますので、それから各府県の学校のあり方、配置計画等から、いろいろむずかしい問題があるということも現実に聞いておりますので、それらの点につきましては、高等学校教育の振興ということを念頭に置いて、地方の実情に即して措置をしていただくよりしかたがないことだと、私たちも考えておるわけでございまして、国から、どの高等学校をどうしろということを現在指示する立場でもございませんし、その点はひとつ御了承をお願いしたいと思っております。  なお、これは振興会のほうの問題になるわけでございますけれども、実際に学校が設置されて、いろいろ設備の拡充あるいは建設のための申請がある場合は、実情に即して、振興会の融資も行なわれることと私も期待しております。
  94. 山田長司

    山田(長)委員 実は最近、私は高等学校実情を数県見て回りました。私立学校というものが、実に堕落の極に達しておる姿を私は見ました。その一つの事例を話しますと、これは現にあったことですが、中学の担任の先生が、それが私立の高校へ入るために、まとめて願書をその学校へ持っていく。持っていきますと、入学試験に必要とされる金額だけは、入学試験の受験料は取らないで、そのよこした中学校へ全部戻してやる。そればかりでなしに、代々その学校から何人来るかということが、ちゃんと私立学校においてわかっておる。しかも特待生も何人つくってやるということもわかっている。中学の担任の先生が、自動車などへ乗って走り回っているような身上でない先生が、自動車に乗って走っている。これが一つ学校かと思って調べてみますと、ちゃんと学校で手分けをして、おまえのほうの学校はここまでは学生募集に行け、おまえのほうは、こっちからこっちは学生募集に来るなという協定ができている。そんな状態ですから、学校の設備改善などやろうという気持ちなど毛頭ないのです。これが一県に限ったことじゃないのです。最近の実情は。おそらく東京都内もそういろ事態だと思うのです。そういう四や五の点数をとっている者が入れる学校というものは――大体、学校の先生は、この学校はおまえ入れるけれども、この学校は入れないということを、担任の先生みずからがらく印を押してしまう。そんなことでありますから、私立学校の教頭のところへ、食い入ったところへ生徒はたくさん来るわけです。これが一地方のできごとじゃなくて、各地にそういう事例がいまあるのですが、実は去年、このことを調査しましたときに、私が調査したことによって、金額は三万円でありますが、ある中学が、受験生を受け入れた学校から金を返してもらった事例がございます。いま私はここで、それらの学校の事例をあげて、その学校の非難をしようとしておるのじゃないのですけれども、子供が行きたい学校に行くんじゃなくて、先生がリベートの入る方向へしむけてやっている実情です。こんな腐れ切った実情が一方にあるにかかわらず、設置基準法という法律があっても、その法律に従わせずに、そのままにしておいてあるという実情は、これは日本の教育界においてゆゆしい問題だと思うのです。この法律をあくまで順守して、この基準にのっとらない学校は、今後十年なり十五年たったならば、子供の健康上から考えてみたり、あるいはまわりの環境の設備から考えてみたりして、当然取り消すという断固たる処置が文部省でとれないというのはおかしいですよ。何のために当分の間なんというばく然とした形にしておくのですか。私は、文部省当局は当然法の立案をして、当分の間だったら、それは今後十年であるとか五年であるとか、期日を切って、振興会の世話になるべきものは世話になって、設備改善をし、子供の学び屋として恥ずかしからざる施設をつくり出すための努力をするように、学校の経営者あるいは理事者に対しての警告を発すべきものだと思います。そのことがなされずにおいて、一方にはこういう振興会のような機構があって、これは金を貸すという機構があるにかかわらず、二千人も三千人もの応募者がある。そうすると受験料二千円取ると幾らになりますか。受験料だけは戻してやるから、受験生はみんなよこせという状態で、県立の受験日などと違った受験日をきめておる学校がある。私は幾らも事例を持っておる。それではいかぬです。せっかく設置基準法を設けた以上は、この法律に従って、当分の間ということじゃなくて、厳重のようでありますけれども、やはり一定の期日を切って、設備改善をして、子供の教育はこれから遺憾なきを期する努力をするような指示くらいはすべきだと思います。管理局長どう思いますか。
  95. 天城勲

    ○天城政府委員 いま御指摘の、いろいろな喜ばしくないような事態についてお話がございましたけれども、私たち、おっしゃるとおり、法令に従って、学校の設置なり指導なりが行なわれるべきであるという基本的な考え方については、深く同感でございます。ただ、当分の間というものをいつまでにどうするかということに関しては、現在の規定上は、おことばを返すようでたいへん恐縮なんですけれども、やはり当分の間と読まざるを得ないものですから、これをいつまでにやれということになると、やはり規定上はっきりいたしませんと、強く明言することは困難だと思っておりますが、当分の間という規定ができました事情には、いろいろな複雑な経過的な事情があったのだと私も思うのでございまして、私、この場で、これはどうするということをお答えしかねることはたいへん申しわけございませんが、お答えしかねるわけでございます。ただ御趣旨につきましては、私も基本的には同感でございます。
  96. 山田長司

    山田(長)委員 振興会では、振興会の融資をしたところへは、ほんとうにまじめにその振興会が融資した額についての設備をしたかどうかの調査に行っておるようですが、一体認可をしておる学校の学力程度の検査などという問題については、戦後できた私学の高等学校には、一ぺんもないのじゃないかと思うのです。あなた方、認可をされておる高等学校実情を知らないから申し上げるのですが、掛け算ができない高等学校の生徒がいるのですよ。一体そんな高等学校を認可させておいて、これで高等学校卒業生として、社会通念上からいっても、いいかどうかという問題ですよ。これはちょっと想像できないですよ。どうしたって、設置基準にのっとった形の規定というものを厳にやって、それで、そういう高等学校の生徒をなからしめる努力をしなくてはならないと思うのです。まして一つの高等学校に五十人も先生がいて、半分しか資格者がない。資格を持たない者が半分もいて、それでもなおかつ高等学校であるという、こんなことが許されておって、既存のものであるからといって、新しくできるものに対して反対ののろしを上げる資格がどこにあるか。  さらに、私は、会計検査院当局に伺う。会計検査院は、いま振興会で出した金についての調査に出かけていきますが、一つ学校に何億あるいは何千万という、大学の場合ですけれども、資金を出していながら、会計検査院当局は一体どんな調査をしているのですか。なぜ私がこんなことを聞くかというと、私学の設備拡充資金として、各大学の入学金のほかに、何百万と出させているところがあるのです。文部省の出されている補助金というものは、一体どういう意図で使われるかということについての調査をしているものと思われますが、どの程度、全国の大学についての調査をやっていますか。
  97. 小原剛

    ○小原会計検査院説明員 私学振興会の貸し付け金の検査でございますが、ただいま御指摘になりました貸し付け対象物件は現物検査をやっております。三十九年度の状況を申しますと、大体私学振興会の検査に四十日ほど費やしておりまして、現場について検討いたしましたものは、四十七校でございます。
  98. 山田長司

    山田(長)委員 それはほんのりょうりょうたる検査しかできないと思う。それでまた気の毒なことには、大学当局は政治的な圧力をかけてくるから、検査に行かれる人たちもなかなか容易じゃないだろうと想像しますよ。そういう点で、四十日くらいな検査で、補助金を出している学校のどのくらいの部分が検査できているのですか。
  99. 小原剛

    ○小原会計検査院説明員 文部省から出ます補助金のほろは、文部検査課のほうでやっておりまして、私、所管でございませんので、どの程度やっておるか、ちょっと存じませんが、いま申しましたものは、私学振興会から私学に貸し付けておる、法人についての検査でございます。
  100. 山田長司

    山田(長)委員 これは、私学振興会のほうの検査だけの答弁のようでございますから、いずれ全体の検査については、文部省全体にわたる検査をしてきた御答弁を願うことにいたしまして、私の質問はこれで終わりますが、文部当局に申し上げておきますけれども、設置基準にのっとった形のほうを存置するためには、当分の間なんてばく然としたことではなくて、やはり期限を切ってでも、日本の子弟教育ために設備の改善を――こういう振興会という機構かあって、学校の経営に必要な資金も出すという設備があるのでございますから、やはり学校の設備改善のために、設置基準法にのっとって学校の設備改善をするように、指示をしていただきたいと思いますが、これは政務次官も、どうぞひとつ当局との話し合いの中に持ち出して、日本の教育に新たな息吹きを吹き込むために、この法律の適用をすみやかにされるように要望します。
  101. 中野文門

    ○中野政府委員 たいへん先生の御意見、私自身も啓発された点が多々ございます。御趣旨の真意は、十分私もわかりましたので、参考にさしてもらいまして、それぞれ大臣その他省議の段階等におきまして、前向きで検討いたしたい、かように存じます。
  102. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 長谷川保君。
  103. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 先ほどの山田君の質問に対する答弁があったわけでありますけれども、私学振興会のほうで融資をなさいますときに、融資対象物件ができ上がった、一口に言えば、学校ができ上がった、あるいは土地を買収した、そのときにそれを担保に取るという方法で、決して不当でないと私は思うのです。というのは、同じ国から資金を出しております医療金融公庫が、その方法をやっている。医療金融公庫は、融資をいたしましたその物件が、たとえば病院なら病院ができ上がりましたときに、それを担保に入れればいいという方法で、融資をしておるのであります。もっとも、非常に多額なものになりますと、ほかの他人名義のものでも何でもいいから、融資額の大体三分の二くらいに当たるものを一時入れてくれ、ただしそのものができ上がれば、それは解放いたしまして、そうして新しくでき上がりましたものを担保設定する、こういうしかたをしているのでありまして、これができないはずはないと思うのであります。先ほど伺っておりましたら、会計検査院のほうからお小言があるというようなお話でありましたけれども、たぶんそういうことはないだろうと思います。そういう方法は当然とれると思いますが、振興会のほうではどうお考えでしょうか。また会計検査院はそれを妥当と見るかどうか。
  104. 岡田孝平

    岡田参考人 先ほど申し上げましたように、ただいまの方法は、融資をいたします際に、既存の土地または建物に担保権を設定いたしまして、そうして融資をするというふうにいたしております。もちろん、お話の融資対象の物件が竣工すれば、それはもちろん登記されますから、そうなりますと、それに対して担保権を設定する、これはもちろん差しつかえない、それから貸すということになれば、これは何ら問題はありませんけれども、対象になっている土地なり建物なりが完成いたします以前に、担保を取らずに先に資金を貸すということは、やっていないのであります。ですから、お話しの、同じ限度に完成して、それが保存登記されておりますならば、もちろんそれを担保の対象にして金を貸すことは何ら差しつかえないと思います。それがさらに進んで、完成前にもうどんどん金を貸したらどうか、あとで担保を設定したらばいいじゃないかということでございますが、これにつきましては、さらによく他の公庫等の例も調べまして、ひとつ十分研究いたしたい、かように考えております。
  105. 小原剛

    ○小原会計検査院説明員 ただいまお話しのございましたように、他の公庫等におきましては、融資対象物件を担保にしておる例がございます。私学振興会におかれましては、その業務の方法を定めて文部大臣の認可を受けております業務方法書というものによって仕事をいたされております。その定められました業務方法書に、契約の際に一応担保を設定する、こういったふうに定めておられまして、われわれといたしましては、国の債権、財政資金の保全の意味からして、その規程自体はまことにごもっともな規程でございますので、それに沿って、われわれも検査いたしております。そういった事情でございます。
  106. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 いまの振興会当局理事長の御意見というのは、正しいように見えて実は正しくない、非常に消極的であります。医療金融公庫のほうは非常に積極的でございます。なぜ私が、私学振興という意味から正しくないかと申しますと、そういうような私立学校が、たとえば銀行からすでに建築資金なりあるいは設備資金なり運営資金を借りているというときには、銀行というのは非常にどん欲でありまして、おおよそあるだけのものは全部担保に取ってしまう。それはもう十分担保力があると見ても、そこに余っているだけのものはみんな取らなければ承知しないというのが、大体のいき方でございます。でありますから、既存のものをおたくのほうに入れる、それで新しいものを建てて、また新しいものを担保に入れて借りるといういき方は、実際は非常に困難であります。だから、医療金融公庫のほうは非常に前向きに積極的にやる、相当ばく大な金でない限り、銀行を代理店にしまして、信用調査をしておいて、担保なしでどんどん出していきますよ。でき上がったところで、その建物だけを担保にとる、それでやっているのです。その方法が、一方でそういうような医療事業に対して行なわれているのに、同じように人間を大事にしていく事業である、人間形成をしてまいる事業でありまするこちらの文教関係のものにできないというのは、非常に消極的な話です。非常に消極的な考えです。私はそれは正しくないと思います。そして先ほど来いろいろ書類を見せていただきますと、四十年度は百三十億に、政府からの借り入れ金百億、二百三十億というようなものが業務量になるようでありますけれども、三十九年度までのを見てまいりますと、借り入れ申し込み額と貸し付け額が非常に違うのです。借り入れ申し込み額に対しまして、貸し付け額は二八%くらいにしかなっていない。一般施設費でございますと二五%くらいにしかなっていないと計算をしたわけです。こういうことになりますと、早くから借りて設備をしたいけれども、おたくのほうでは間に合わぬから、銀行で借りてやっているというようなこともあるわけですよ。そうしますと、せっかくわれわれが私学振興会というものをつくって、そうしてそこで非常な苦境にありまする私学を振興さしていこう、そして国の金をそちらに回しておるということが、十分に使命を果たしておらぬことになる。いま山田君の言ったように、不届きな私学もございますけれども、同時にまた、非常にりっぱなまじめな私学もあるわけでございます。そういう私学振興の本来の仕事が十分できないのじゃないか。資金量が足らなければ、もちろんその資金量をふやす道をつけるべきであります。その対策を立てるべきであります。いまのような行き方では、ほんとうにまじめにやっているところよりも、むしろふまじめにやっているものが、先ほど申しましたような入学金その他を無理やりに取ってしまう。私の近くにもございます。先ごろできました高等学校でありまして、ようやく第一回卒業生を出すような高等学校でございますけれども、いち早く入学試験をやって、実に多数の入学志願者をとって、そしていち早く入学金を取ってしまう。そうしてほかの学校がそれからあとに発表する。入学金は一切返さない、ばく大な入学金を、入れないのに取ってしまう、詐欺であります。弱身につけ込んだ搾取であります。それで今度も四百人も入学許可をしたようでありますけれども、周囲で見ておって、とてもあんなには入らぬ、どうするのだろう、しかもほかの学校も、御承知のように、ことしは志望者は全員ほぼ入れるのだというような形になってきた。一体どうなるのだろうというように批評しているところがございます。同時にまた、むしろまじめでありますがゆえに、経営が非常に困難をしている。非常にまじめにその生徒のことを考え、ほんとうに人間形成を考えて尽力しておりますから、そういうむちゃくちゃな詐欺的なことはやらない。したがって、経営は困難しているというところもあるのであります。そういうようなものこそ、こういう私学振興会の金を回してやらなければならぬのに、いま申しましたような資金量が足りないので、すでに銀行から借りた、銀行は全部ありったけのものに担保設定を要求した、借りなければならぬから、しかたがないから全部出してしまった、したがって、今度私学振興会から金を借りたいけれども借りられない、こういう事態も当然起こってくるわけであります。でありますから、いまの業務方法書もそうなっておるということで、それに従わなければならない。会計検査院もそれに従って検査をしなければならないということであれば、業務方法書を変えたらいい、変えるべきであります。同じ国から出したものが、ほかでやっているのでありますから。私学振興会はそれくらいの積極性を当然持つべきであります。こういうように思うのでありますけれども、私学振興会の当局者としては、どういうようにお考えになりますか。
  107. 岡田孝平

    岡田参考人 たいへん貴重な御意見をいただきまして、ありがたく存じております。現在の方法書で、はたしてよいかどうか十分検討してみて、なお他の公庫等の例も参考にいたしまして、ひとつ漸進的にやっていきたいと考えております。  それから第二の、融資額と申し込み額との差が非常に大きいということであります。これはお話しのとおりでございまして、年々の予算獲得の際には相当に努力をいたし、また国会議員の方々の非常な御努力によりまして、逐次予算もふえてまいりましたが、なおかつ申し込み額と実際の貸し付け額とが相当開いております。幸いにして四十一年度に至りましては、四十年度の貸し付け額百五十億に対して二百四十二億と、相当大幅にふえましたので、四十一年度においては、おそらく従来よりもその申し込み額と融資額との差は縮まってくると考えております。なお四十年度においても相当縮まっております。この表に借り入れ申し込み額とありますのは、実は当初の二月か三月ごろの希望でありまして、その後四月、五月ごろになりまして、いよいよ借り入れ申し込み額がきまってまいりますと、これよりも二割以上も減るというのが例であります。四十年度の例をとりますと、ほんとうの借り入れ申し込み額は約三百億でありまして、そうして実際の融資額は百五十億でありますので、二分の一ということになっております。それでも差が大きいようでありまして、これは私ども将来大いに努力いたしまして、ほかから借りないでも済むようにいたしたいと考えておる次第であります。
  108. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私は、学生騒動を起こすところは貸すが、起こさないところは貸さないという行き方はいけないと思います。むしろ非常に一生懸命に、先生も生徒も一体になって、苦しいけれども勉強しておるところ、ほんとうにまじめな教育をしておるところがずいぶんあるだろうと思います。したがって、今度の学生騒動の早稲田事件を契機といたしまして、そういうところへの配慮に努力することはけっこうでありますが、同時にまた、そうしたところへは重点的に貸し付ける、そうでないところはあと回しにするという、とかく行政の面でありがちな、騒げばとれる、でなければ貸さぬというような行き方は絶対してはならぬと思うのであります。ただいまの業務方法書の改正の問題、またそういうような融資の問題等々について、次官のお考えをひとつ伺っておきたい。  あわせて、もう時間もおそくなりましたから、もう一つ振興会のほうに伺っておきたいのでありますが、あなたのところは、業務方法書か何かで、学校を設立いたしましてから三年たたないと貸さないというようなことがあるのでありますか。いまの山田君のお話のように、最初につくっていくというようなときには、校舎を担保にしてもいいじゃないかというようなことでありましたが、もちろん私立の高等学校を初めにつくるとすれば、法人をつくるわけであります。したがって、法人の財産というものが当然あるわけでありますが、いずれにしても、学校最初につくることは容易なことではありませんので、もし確実に文部省当局がその設立を認可するようなものであれば、私学振興会としても、ある程度の融資はしてもよいのじゃないか。少なくとも最低のものを最初につくって、だんだん拡張していくというようなまじめな学校であれば、そういう学校には必ずしも三年たたなくても融資してもいいのではないかというふうにも思うのでございます。そのことも業務方法書にあるのかないのか、あわせて今後の方針も伺っておきたいのであまりす。
  109. 岡田孝平

    岡田参考人 学校ができましてから三年たたないと貸さないという点はどうかと、こういう御質問でございますが、これは規定そのものにはないのでございますけれども、取り扱いの方針で、さようにいたしておるわけであります。ただし、高等学校の急増施設対策ということがございます。これは完了いたしましたけれども、過去数年間ありました。それから、大学の理工科系学生の増募対策というものも実施いたしております。これは現にいたしております。それから、四十年度から大学の学生の増員対策ということも実施されております。こういうものに該当いたしますものは、もうできますその年から融資いたしておるわけです。その他の一般の場合、三年というような制限を設けておりますけれども、みずからの財政力がないのに、借金でもってどんどん学校をつくるということになりますと、これは学校設置認可の問題にも非常に関連してまいりまして、文部省の方針とも関連をいたすものでございまして、そのようないろんな点から、現在はそういう取り扱いをいたしておりますけれども、これはひとつぜひ将来十分検討をしていきたい、かように考えております。  それから、ちょっとついでに言っておきますけれども、山田先生の御質問の、検査の問題を答えさしていただきます。振興会では、毎年、前年融資いたしましたものにつきまして、確実にその仕事が実施されておるかどうかということを、必ず全国の貸し付け法人について貸し付け状況を実地調査をいたしております。あわせてその際、滞納のある学校につきましては督励を加えておる、かようにいたしておるわけであります。大体におきまして、ただいままでの実績は、優良と申しますか、それをやっておらぬというようなところはほとんどないようです。間々ないわけではございませんけれども、ほとんどの、九八%、九九%以上は、指示どおりにやっておるのが例でございます。さようにして、これは厳重に督励しております。その際に、会計検査院のほうでも、実はいままででも全然検査がなかったわけではないのでございまして、毎年数件あるいは十数件の検査は、会計検査院自体が何かのついでの際に回られまして、振興会の貸し付けの結果が正確にできておるかどうかということを調べておったのでございますが、四十年度からは、振興会が実地検査いたします際に、会計検査院の担当の方が一緒に同行されましてやっていこうじゃないかというような申し入れがありまして、現に北海道その他の県につきまして、検査院と私ども一緒に実地検査をしているところでございます。検査院といたしましては、おそらくその全部の貸し付け法人に対して、検査院自体が調べることはなかなか容易でないので、大体は振興会にまかせるであろうけれども、そうかといって、全然まかせっ切りでは困るので、やはり多少の検査も検査院はいたすということで、その際要すれば振興会と一緒に検査したらいいであろうというような立場から、共同して検査をいたしておる、かような関係になっております。ちょっとお答えいたします。
  110. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 業務方法書の改正について……。
  111. 天城勲

    ○天城政府委員 ただいま振興会の理事長からお答え申し上げましたように、他の機関の実例等を調べまして、再検討いたしたいと思っております。
  112. 山田長司

    山田(長)委員 ただいま理事長から話が出ましたから、もう一つこういうことがあるのだから、融資をしてやったらどうかという意見を述べたいのですが、実は、本建築の建物ができますと、その周辺の土地というものはどんどん値上がりをします。それで一応の校庭を擁しておりながら、なお土地の買収を将来のために必要とされる場合があるわけです。そういう土地は、当然振興会は抵当にとって確保しておいたらいいと思うのです。だからそういう場合における融資は、いまほかの公庫でやっておるように、貸し与えたあとすぐに抵当にとっておけば、地価の値上がりはどんどんするのですから、取りっぱぐれなんか全然ないですよ。そういう融資の方法を講ずる場合に、当然振興会が融資してもいいと思う。この点どうなんですか。
  113. 岡田孝平

    岡田参考人 融資対象となるべきものに抵当権を設定して融資したらどうかというのですか――先ほどの問題と同じでございますね。十分ひとつ研究いたしたいと思います。
  114. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 本日は、これにて散会します。    午後四時三十六分散会