○吉田(賢)
委員 次官に申し上げますが、やはり
労働行政はいろいろな問題があるようでありますけれ
ども、私
ども、いまのように保護を要するとか、あるいは十分機会に恵まれないといった面に対する特別な行政施策というものがかなりおくれているのじゃないだろうか、どうもそう思われるのであります。
いまの問題にも関連するのですけれ
ども、たとえば老人につきましても、老人がいたずらに老人ホームでひなたぼっこしておるということは、隣に棺おけを持ってくることと同じことなんです。私は、近ごろ、老人も生きている間は何でもしなさい、そして生きがいを感じるようにしなさい、こういうふうに言っておるのです。ところが、東京あたりでは、東京都は若干の施設をしましたけれ
ども、第一、社会が認識しないのです、受け入れないのです。老人がおったらじゃまになるというようなものです。したがって、そういうことについても、これは身障者じゃございませんけれ
ども、一つの適格性の非常に乏しい人でありますので、この辺はやはり
労働とそれから厚生と文部——文部はちょっと入りませんけれ
ども、
労働、厚生なんかではもっと強力な大きなものを打ち立てまして、やはり身障者と同じように、これは訓練なり、仕事の機会なり、あるいはまた仕事の機会を持ち得るような社会的な受け入れを宣伝をしてやって、そして国民に協力させるというふうにぜひやっていただきたい、こう思うのです。この辺はひとつ御希望として申し上げておきます。老人問題と身障問題は似た一面があるのです。
労働能力の喪失とは言いませんけれ
ども、非常に弱いものですから、その辺について、ひとつ特段の施策を推進せられんことを御希望申し上げておきたいと思います。
それから、職安関係についてちょっと伺いますが、職安の問題につきまして、御
承知のように、世界じゅうで日本ほど中小企業の多い国はございません。この中小企業の
労働事情というものは実に惨たんたるものでございます。
景気が悪くなれば中小企業自体が悪くなる。
労働者はもちろん寄りつきもしません。またそんな中小企業に一生を託するようなのんきな
労働者はございません。したがいまして、
労働の需給関係から
考えましても、職安が中小企業に対して手の届かないところ、兵庫県あたりにおきましても、中小企業で、一人の
労働者を雇うのに十万円くらいかけて雇うのはほんとうにざらなんですよ。けれ
ども職業の自由ですから、雇ってきましてもじっと定着するかどうか、これはまた別問題です。そういうのが中小企業の立場なんです。そこで、職安のほうはこういう問題について、抜本的なといいますか、全面的に責任を負うというような体制になっておりません。だから職安以外にまた社会の職安があります。職安と称しない職安もあります。それは法違反というのでなくしてですよ。でありますので、大企業は自由自在に
労働力を吸収し得る。一時帰休なり何なりの
制度をぼんぼんと行ない得る。職業訓練もできる。ところが、中小企業は訓練もできなければ、人集めに一人十万円も要る。そしてまた定着するかどうかわからないし、収入は少ないから逃げていくというのが
実情なんです。それでは中小企業は浮かばれません。したがいまして、企業の重要な要素の
労働を中小企業の場合に定着させる、安定さすという
意味において、もっと積極的な職安機能を発揮するということを大胆にやるべきじゃないか。私はこのことは何回も言っているのです。何回も言うているのですけれ
ども、実際は改善されておりません。近畿地方におきまして、
労働者の給源地帯といったら四国、九州、もしくは山陰地方なんです。四国、九州、山陰地方は、大企業は、職業
安定所以外に
就職の機会をつかみ得る種々のルートがありますよ。どこでもみんな職安にあらざる大職安所がありますよ。たくさんの人が別の名によって常置しております。あらゆる名目によって常置しております。職安活動はそういうところはとても及びもつきません。こういう
状態でありますので、何か中小企業に対して
労働力が適正に供給されていきますような手を、積極的に職安局としてこの際確立しなければいけないと思うのです。これについて何か進展したことがあるのであろうか、いまの構想はどうなっておるのであろうか、予算措置その他においてどうなんだろうか、従来の
実績に顧みて、何か改むべきことがあることをお気づきになっておるかどうか、この点をひとつはっきりとしておいていただきたい。