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1966-06-24 第51回国会 衆議院 外務委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十四日(金曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 高瀬  傳君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 永田 亮一君    理事 三原 朝雄君 理事 毛利 松平君    理事 戸叶 里子君 理事 西村 関一君    理事 穗積 七郎君       愛知 揆一君    内海 安吉君       菊池 義郎君    森下 國雄君       黒田 壽男君    山田 耻目君       川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         外務事務官         (アジア局長) 小川平四郎君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         外務事務官         (国際連合局長         事務代理)   滝川 正久君     ――――――――――――― 六月二十三日  委員加藤進辞任につき、その補欠として川上  貫一君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員帆足計辞任につき、その補欠として山田  耻目君議長指名委員に選任された。 同日  委員山田耻目君辞任につき、その補欠として帆  足計君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十二日  米国原子力潜水艦等寄港反対に関する請願(加  藤進紹介)(第六〇二二号)  ベトナム戦争反対に関する請願川上貫一君紹  介)(第六〇二三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十二日  沖縄の祖国復帰に関する陳情書  (第五七八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  国際情勢に関する件  請 願   一 ベトナム戦争反対等に関する請願川上     貫一紹介)(第九一七号)   二 同(林百郎君紹介)(第九一八号)   三 日中国交促進に関する請願湊徹郎君紹     介)(第一二四六号)   四 ベトナム戦争反対に関する請願川上貫     一君紹介)(第二一五〇号)   五 自然改良による世界の民生安定に関する     請願中曽根康弘紹介)(第三一九〇     号)   六 旧満州国残留邦人調査及び救済に関す     る請願上村千一郎紹介)(第三四八五     号)   七 ベトナム戦争反対等に関する請願川上     貫一紹介)(第三五五一号)   八 米国原子力潜水艦等寄港反対に関する請     願(加藤進紹介)(第五五九四号)   九 ベトナム戦争反対に関する請願川上貫     一君紹介)(第五五九五号)  一〇 同(板川正吾紹介)(第五六五二号)  一一 同(加藤進紹介)(第五七八八号)  一二 同(川上貫一紹介)(第五七八九号)  一三 米国原子力潜水艦等寄港反対に関する請     願(加藤進紹介)(第六〇二二号)  一四 ベトナム戦争反対に関する請願川上貫     一君紹介)(第六〇二三号)      ――――◇―――――
  2. 高瀬傳

    高瀬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。菊池義郎君。
  3. 菊池義郎

    菊池委員 ソビエトは核の拡散防止条約締結の前提として、アメリカに対して米軍ベトナムからの撤退を要求したと伝えられておりますが、これはほんとうだという新聞記事とそれはうそだという記事と二通りあるのですが、どちらがほんとうですか。
  4. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう正式の要求は出しておらないと私は思っております。
  5. 菊池義郎

    菊池委員 それはお考えだけでなく、その情報は来ておりませんか。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 情報は来ておりません。
  7. 菊池義郎

    菊池委員 それからカナダロニング特使北ベトナムの外相と会って、南ベトナムにおける軍事作戦を縮小する、そのかわりアメリカ北爆を停止する、そういう提議を向こう外務大臣に正式に持ち出したということでありますが、それを向こうのほうはにべなく拒否したと伝えられておりますが、これはほんとうでございますか。
  8. 安川壯

    安川政府委員 カナダロニング特使ハノイに参りまして北ベトナム側と接触したという事実は、カナダ政府も確認しておりますから、この事実は間違いないものと承知しておりますが、どういう話をしたかということにつきましては、まだ外務省として公式な情報を得ておりません。新聞にはただいまおっしゃったようなことが報ぜられておりますが、これが事実であるかどうかは確認できないのであります。
  9. 菊池義郎

    菊池委員 去る二十二日にドゴールソ連コスイギンとの間に重要な国際問題について討議があった。そのときに、ベトナム和平問題が議題にのぼって、ドゴールジュネーブ協定に基づく国際会議中共も含めてこの会議を開きたいということを提案して、そうしてソ連首脳の支持を求めたということでありますが、これは外務省に入りました情報はどうでありますか。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだ公式の情報が入っておりません。
  11. 菊池義郎

    菊池委員 それからウ・タント事務総長がこの七月の二十五日ごろソ連を訪れて、同じくベトナム和平について話し合うということでございますが、これはアメリカと前もってしめし合わせての行動でございましょうか、外務省に入りました情報は……。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さような情報はございません。つまりアメリカと打ち合せたというような情報はございません。
  13. 菊池義郎

    菊池委員 それでは、行くという情報は入っておりますか。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 出かけることはこれはもう公表されておりますから、確認し得ることでございます。
  15. 菊池義郎

    菊池委員 欧州大戦のしょっぱなにドイツは突如としてソビエト軍事同盟を結んで、攻守同盟を結んで世界をあっけにとらせたことがありますが、今日もし北ベトナム中共との間に同じような軍事同盟でも締結され、あるいはソ連との間に同じような軍事同盟でも締結されるといたしますならば、米中戦争あるいは米ソ戦争といったようなことに早変わりする危険性が十分にあると思うのでありますが、こういう点についてどういうようにお考えになりますか。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういうことは、いまのところはあり得るという徴候はございません。
  17. 菊池義郎

    菊池委員 情報はもちろんないにきまっておりますが、これは仮定の問題です。そういうことも考えておかなければならぬと思うのでありますが、もし、そういうことがあったといたしますならば、戦争は起こり得ると考えますか、起こり得ないと考えますか。
  18. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それは戦争拡大の方向に向かうことは、もう容易に予想されると私は考えております。
  19. 菊池義郎

    菊池委員 米国の上院の外交委員会において、ベトナム現地から帰りました陸軍少将のジェームズ・ギャビンという人が発言いたしまして、米国がいつまでもベトナム戦争に深入りしておるならば、次には米中戦争に発展するおそれがある。そうして、この戦争米軍に勝利をもたらす結果は絶対に考えられないと言って、現地の深刻な情勢を報告しております。そういうように、米国にとりましては、ほとんどどろ沼同然の戦いであります。両方に非常に損害があって、益は何一つない。しまいには、米国は不名誉の退却をしなければならぬおそれが十二分にあると思うのであります。われわれもそう見ておるのでございますが、日本といたしましては、米国に対しまして、もうちょっとしっかり反論直言するところの勇気を持たなければならぬと思うのでありますが、日本外務省はどういうようにお考えになっておりますか。
  20. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 戦争拡大は極力避けなければならぬ。そして、一日も早く和平収拾の工作が行なわれなければならぬ。日本としては、こういうことは絶えず主張しておる次第であります。戦いは一方だけで一人相撲を取っておるのではなくて、両方がお互いにやり合っているのだから、なかなか戦争は終結しない。でありますから、アメリカはいつでも武器を置くというかまえは見せておるけれども、北越のほうがこれに応じないといおのが現状であります。どうかして相手方の戦意に翻意を促す、こういう有力な手がかりが見つかることが一番望ましいと私は考えております。
  21. 菊池義郎

    菊池委員 ベトナム北爆を始めたのも、相手が弱いと思って始めたので、もし相手ソビエトであったとしたならば、協定に違反しようが、条約に違反しようが、アメリカ民主党腰抜けどもは絶対に爆撃は始めません。弱いと見てとって始めた最も卑劣な行動であると私は考えておるのです。共和党の政権だったら、そういう卑劣なことは絶対にやらないと考えております。米国ハノイの説得のために、有力な国として日本に期待しておることは事実であります。それは米国要人のことばにあらわれておることでありますが、さらに前の日米合同委員会におきましても、米国日本に対して不満を寄せまして、日本横山特使を旅行させ、ただ申しわけ的に各国の意向を打診させて、そしてお茶を濁しておるということも言っておりますし、現下の情勢の打開のために、米国日本から何か言うことが、すなわち、米国態度の変化を求むるようなことがあるならば、率直に言ってほしいとも合同委員会において言っておるのでございます。この合同委員会こそ日本の活用すべき場所であると思うのでございます。七月五日から開かれるのでございます。その委員会において、あるいはまた直接向こうに対してでも、どちらでもよろしいのでありますが、日本といたしましては、このばかげたベトナム戦争において北爆を絶対に中止する、あるいはまた、さらに進んで米軍撤退を要望するというくらいの断固たる態度に出てもらいたいと思うのでありますが、政府はどういうふうにお考えですか。
  22. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 北越はそのままにしておいて、アメリカが一方的に武器を置いて撤退するということは、これは日本が言おうとも思っておりませんし、またかりにそういうことを言ったにしても、なかなかそのとおり実行される見込みはないと思います。やはり相手方もこれに応ずる反応を示すということでなければ、そういうことの実現はなかなか容易じゃない、困難である、むしろ不可能である、私はこういうように考えます。
  23. 菊池義郎

    菊池委員 くどいようでありますが、この戦争がとめどなく長引きますならば、米国軍事力は年一年と低下いたします。その一面において、中共反対軍事力が増強していくことになる。中共軍事力がもしも米国軍事力をしのぐようなことになりますと、そのときは戦争の危機がはらむと思うのでございます。日本は、この際断固としてわれわれの同盟国である米国のために、また世界平和のために、勇気ある態度をもってアメリカに臨むべきであると私は思う。その場その場を糊塗するような、単なる外交辞令にすぎないような発言ではだめだと私は考えておるのでありますが、もう一度外務大臣の誠意ある御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 軍事力が逆になるというようなことがあるかないか、それは私もよくわかりませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、この戦争アジアにとってきわめて不幸なことである。日本にとってもきわめて不幸な戦争でございますので、一日も早くこれを平和解決するようにしなければならぬ。その点に関しましては、アメリカにとっても、これはあらゆる機会にそういうことを探求すべきである、こういうことを提言しておるところでございますから、今度の合同委員会の場においても、これらに関する所見を述べて、彼らの意図するところを十分に聞きたい、こう考えております。
  25. 菊池義郎

    菊池委員 彼らの意図を聞くばかりでなく、進んで日本意見を露骨に、大胆に発言すべきであると私は考えております。合同委員会を利用するばかりでなく、本国に対しても同盟国のよしみをもってどしどし言うべきである。いまは小国が大国を威圧し、敗戦国戦勝国を圧倒してはばかる必要のない時代になっておる。何となれば、原水爆の時代には戦争の起こる心配が全くないから、世界二つに分かれておる今日であるから、どんなことを言おうと少しも差しつかえない。昔の旧態依然たる事大思想考え方ではほんとう外交はできないと私は考えておるのです。日本外交を見ておると、まるで社交と外交の区別がわからぬような外交をやっておる。これではだめだと思う。はっきりと言ってもらいたいと私は思う。民主党政権はずっと以前から卑劣な外交ばかりをやっておる。それが私は憤慨にたえないのでありますが、今日、ベトナム朝鮮あるいはドイツ二つに分かれておるのも、米国民主党政権ソビエトに押し切られて、これに同意したことに始まるのであります。そうして人類の悲劇を今日に残しております。さらにベルリンの封鎖のときにも、ソ連が四カ国の協定を破ってあの封鎖をしたのにろくろく抗議もせずにそれをそのまま残しておる。西ドイツに駐とんしておったアメリカ軍人本国いくじのない態度に憤激して、みずから戦車をもって封鎖線を破っておる。ほめてやらなければならぬ軍人アメリカ本国は免職して、そして世界のもの笑いになっておる。朝鮮戦争のときはマッカーサーを免職して、そうして朝鮮統一機会を失しておる。終戦直前にはソビエトを誘って、日本南樺太と千島をおまえにやるからといって日本戦争をふっかけさせた。日本本来の領土である南千島をソビエトが返さぬのも向うには一理あるのでございます。それから日本人がもし白人種であったら、長崎広島に絶対に原爆を落としません。有色人種と見くびって、動物扱いして、長崎広島原爆を落としておる。それからキューバ事件のときにも、ソビエトのほうでは米国軍事力をおそれてキューバへ向かう船をわざわざ引き返しているにかかわらず、民主党政権はまたソビエトをおそれて世界自由諸国が期待しておったところのキューバヘの進攻をしなかったためにカストロの共産政権がそのまま残って、国際会議の場においてあの小さな豆粒のようなキューバのために大米国がありとあらゆる罵詈ざんぼうを浴びせられて、そうしてざんぼう嘲笑せられておるというありさまなんでございます。こういうきたない、いくじのない外交は、今日においてはもう時代おくれなんでございます。それがために第一次大戦、第二次大戦を通じて独立した植民地が五十幾つかありますが、これらの植民地アメリカ頼むに足らずとしてあるいは中立に走ったり、あるいは共産圏になびきつつある状態なんです。これは世界自由諸国のために憂うべきことでございまして、このときこの際、われわれはアメリカに対しまして断固たる態度をもって臨むべきであると思うのであります。全世界はこの米国爆撃をどう見ておるか、弱い者いじめとしか見ていない。彼らにはいろいろ理屈はある。将棋倒し論とか、あるいは何とか言っておりますけれども、それはあとからつけた理屈であって、最初から向こうには軍備がないから鎧袖一触これをほふることができるという考えから爆撃を始めておるのです。そういうわけでありますから、日本といたしましては、このいくじのない米国外交断固として改めさせるため、この際大胆に率直に日本意見を開陳して、そしてこの北爆をやめさせ、あるいはできることならば米軍撤退させるというくらいの態度を示すべきであると私は考えておりますが、もう一度御答弁を願いたいと思う。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 とにかくあらゆることをしてやはり北越軍事行動を停止させるということが必要だと思います。もし、それに必要な場合にはまたアメリカが率先して軍事行動を停止するということも必要かと思います。いずれにしても終局的にこれを収拾するのには、やはり両方でやめなければいかぬということだろうと思います。依然として、アメリカがいなければなおさらけっこうだというので南越に対する浸透をますます強化するということであれば、アメリカ撤退ということはナンセンスだと思うのであります。そういうわけでございますから、とにかくあらゆる方法を尽くして、そうして北越浸透作戦というものをやめさせるようにしむけるということが必要だと思います。
  27. 菊池義郎

    菊池委員 それから質問は違いますが、ドゴールNATOから軍隊を引き揚げたことについて、外務省はどう思っておられますか。ドゴールはかつてEECに加盟することを拒んだり、あるいはまた中南米では盛んにアメリカを中傷して、そうしてアメリカから離反させるようなことをやった。自由世界にとりましてはまことに芳しからざる存在としてわれわれは考えていたのでございますが、軍隊を引き揚げた、これについて外務省はどういう考えですか。ワルシャワ条約でもってもう欧州はだいじょうぶだというふうに考えていらっしゃいますか。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いまのところはNATO内の問題で、いわば内部のごたごたといえばそれまでの話じゃないかと思います。軍隊を引き揚げるといっても、NATOそのものからフランス撤退するというわけでもない。ドゴール大統領の最近の行動についてまだわれわれとしては確定的な批判をすべき段階ではない、こう考えております。
  29. 菊池義郎

    菊池委員 それから松村謙三老がしきりに日中国交の回復を主張しておりますが、これについてはどういうお考えですか。
  30. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 松村さんは松村さんのお考えでやはり述べておられると思います。しかし、必ずしも松村さんのお考えを全部実行に移すというようなわけにもいかない、なかなかむずかしい段階だと思っております。
  31. 菊池義郎

    菊池委員 毛沢東は台湾とともに日本を解放するということを豪語しております。さらにまた日本から五百億ドルの賠償金をとるということを言っております。中ソ同盟条約においては日本米国を敵国なりと明記しておるのであります。そういう国と国交回復するなんていうことは絶対にできない。できないのにかかわらず、それを日本でもって、そういったようなことを言い触らすということは、これはおかしな話だと思うのですが、どうお考えになりますか。
  32. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私はまだそういう事実について正確な知識を持っておりませんので、はたしてそういうことになっておるのかどうか、これはなかなか微妙な、しかも重大な問題でございますので、もう少し事実を確かめて……。
  33. 高瀬傳

    高瀬委員長 あと一問に願います。
  34. 菊池義郎

    菊池委員 話は変わりまして、北洋漁業安全操業の問題ですが、ソ連側日本の漁港を利用したいということを言っております。そのかわり、日本の案といたしまして、交換条件として歯舞、色丹を日ソ共同の水域としたいということを申し入れておるのであります。これは成立の見込みがありますか、ないですか、どうですか。
  35. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 従来から変わった線が出てきております。これは注目すべき発言だと思いますが、まだ折衝の途中でございますから、いまの段階ではっきりしたことはちょっと言えない。交渉の最中でございます。
  36. 菊池義郎

    菊池委員 防衛庁のほうにお伺いしたいのですが、新島に射爆場をつくるということでございますが、こういう計画は、われわれ新島選挙区に持った議員には一応前もって話して、そうして了解を求めるくらいの民主的なやり方をもっていただきたいと思うのです。寝耳に水でございまして、選挙民から突き上げられて困っておるというところでございます。おまえは賛成か反対かということで、結局選挙民に同調せざるを得ないという立場にございますが、この射爆場は、実弾、爆弾を落とすのでございますか、どうでございますか。
  37. 小幡久男

    小幡政府委員 爆弾は落としません。
  38. 菊池義郎

    菊池委員 ちょっと、どういうものですか、説明してください。
  39. 小幡久男

    小幡政府委員 大体現在水戸でやっておりますのは、ロケット砲機関砲でございますね。それから機関銃等でございまして、爆弾模擬弾といいまして、爆薬のないものを落としております。したがって、爆弾は落としません。
  40. 菊池義郎

    菊池委員 そうすると、水戸のほうで猛烈に反対したのはどういうわけなのですか。
  41. 小幡久男

    小幡政府委員 水戸は、先生も御承知のように、陸地の中で安全圏をとってやっておりますけれども、ときおり飛行機の速度等の関係もございまして、薬きょう等が射爆場の外へ落ちて、民家の近くへ落ちたりする例が間々ございますので、そういう点で、やはり万が一そういうものが人体等に影響があった場合にはたいへんだという見地が中心になりまして、いろいろな反対があるのでございます。
  42. 菊池義郎

    菊池委員 誤爆がありますならば、新島にもやっぱり誤爆があるとしなければいかぬ。そういたしますと、被害は水戸のほうと同じことになるわけでございますが、その射爆場そのもの範囲はどのくらい、広さはどのくらいですか。
  43. 小幡久男

    小幡政府委員 大体水戸では現在三百五、六十万坪でございますが、新島へ移りますと、この安全区域海面にとりますので、かりに新島が内定いたしますれば、その南端の数十万坪の陸地で足りるんじゃないか。あと海面でございますので、若干薬きょう等の落ちることがありましても、それは海面に落っこちて、水戸のような問題は起こらない。騒音の問題等は若干ございましょうが、これも新島の本島の住宅地区から八キロばかり離れておりますので、水戸と違いまして、この点も相当緩和されるだろうというふうに考えております。
  44. 菊池義郎

    菊池委員 経費はどのくらいかかるのですか。それから島民に対する補償といったようなものについても……。
  45. 小幡久男

    小幡政府委員 経費につきましては、実はまだ——米軍から正式な回答があって、米軍がいろいろ条件を出してまいりまして、それにつきまして討議を重ねました結果経費が積算されるわけでございまして、その段階に至りませんと明確なお答えはいたしかねますが、現在われわれ日本側のこれだけかかるのじゃないかという胸算用は、数十億の工事費でできるのじゃないかというふうに考えております。  なお、補償につきましては、これは御承知のように水戸周辺で防災、防音、それから漁業補償、民生安定、そういったものをやっておりますが、幸い本国会で防衛施設周辺の整備に関する法律も提案されまして、これが成立いたしますれば、従来にも増してそうした地区に対しましては重点的に諸般の施策が講ぜられます。何しろ範囲が狭い地域でございますが、そうした金も要るのではないかと考えております。
  46. 菊池義郎

    菊池委員 それから別のことでありますが、日本には現在軍事基地はどのくらいありますか。昔はだいぶあったようでありますが……。
  47. 小幡久男

    小幡政府委員 米軍基地は、昔の坪で言いますと大体約一億坪でございます。件数にしまして、こまかいものを入れまして現在百四十七件ございます。
  48. 菊池義郎

    菊池委員 そうすると、英国あるいはまたフランス西ドイツにあります米国軍事基地はやっぱりそのくらいありますか。
  49. 小幡久男

    小幡政府委員 ちょっと私は手元に独仏英のものを持っておりませんが……。  なお、ふえんいたしますと、昔の表現で約一億坪ございますけれども、その大部分は飛行場演習場でございまして、またその演習場のうち富士演習場が五千万坪余りあるわけでありますが、その五千万坪も実際は自衛隊が相当使用しております。それからその他の飛行場も現在は自衛隊が一部を使用したり、たとえば板付のように民間機が使用したりということで、米軍の帳簿上の一億坪という基地実態は、相当日本側自衛隊あるいは民間機、いわゆる日本側サイド共同使用、あるいは管理して米軍と使用しておるという実態でございまして、決してその一億坪を米軍が排他的に、独占的に使用しておるということではございません。
  50. 菊池義郎

    菊池委員 共産党の諸君は、日本の面積の何分の一かが軍事基地になっているということを言っておりますが、いまおっしゃるそんなたくさん——それは何ですか、単なる米軍施設とかそういうものを含めての話ですか。そんなたくさんあるはずはない。この前私は四、五十しかないということを聞きましたが……。
  51. 小幡久男

    小幡政府委員 そのとおりで、宿舎とか施設を一切含めますと件数は多い、そのくらいあるわけでありますが、いまおっしゃいました飛行場とか演習場だけですと、ずっと少なくなります。
  52. 菊池義郎

    菊池委員 どのくらいになりますか。
  53. 小幡久男

    小幡政府委員 演習場が十四でございます。飛行場が八つでございます。これが大体七、八割の地積を占めております。
  54. 菊池義郎

    菊池委員 終わります。
  55. 高瀬傳

    高瀬委員長 西村関一君。
  56. 西村関一

    ○西村(関)委員 ただいま与党の菊池委員から、ベトナム戦争終結に対する日本政府のとるべき態度について、かなり突っ込んだ質問がありまして、その点においては私もきわめて同感を覚えるのであります。そのやりとりの中におきましてもうかがわれましたように、日本政府はいつまでもアメリカの政策、しかもアメリカ自体が困惑しておりますのに、表面にあらわれておるアメリカの力の政策に追随するということで、一向独自的な立場から、また政府が言っておられます友邦としてのアメリカに対するほんとうの親切からの勧告をしようとはしない。ただアメリカの言いなりになってやっておられるというような印象を受けるのでございますが、この時点に立って、政府は一体ベトナム戦争終結のために、ただ成り行きを見守るということだけでなしに、どういう情勢の分析をしておられるか。  第一に、南ベトナムにおけるところの最近の情勢はどうなっておるか。どういうふうに日本政府としては把握しておられるか。アメリカ国内におけるベトナム戦争反対の顕著な動きに対しましても、これはもう一カ月前と今日とは非常に違ってきておる。こういうアメリカ国内の動き、アメリカの議会におけるところの動き、さらにまた菊池委員が質問せられましたように、カナダとかフランスとかあるいは国連とかいうようなベトナム戦争を早く終結させたいという世界の各国や世界の機関が真剣になって動いている、こういう動きに対しまして、大臣は一体どういうふうにお考えになっておられるか、この点まずお伺いをいたしたいと思います。
  57. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 南越の軍事情勢に対しては、日本独自の道、情報網というのがあるわけでもございませんので、大体あらゆる方面の情報を総合して判断するよりほかないわけであります。まあ軍事情勢というのは一進一退であります。私は、そういういわば流動している状況についてあまり固定した判断をするということは適切でないと思います。むしろ軍事情勢よりもどうすれば早く和平収拾ができるかということが重点だと思うのであります。アメリカとしてもいろいろこれに関する国内の世論もあり、またアメリカ自身としてもこれは相当な犠牲負担である、こうわれわれも考えられますが、そういう点からいって、早く和平収拾をしたいということを非常に念願していると思っております。  それから、米国内の世論は、アメリカは悪いことをやっている、であるからしてもう一切のことをおかまいなしにすぐ引き揚げてこい、そういったような世論はないようであります。アメリカはやはり正当な主張のもとに軍事行動をやっている、しかしながらそれ自体としてはできるだけ早く収拾すべきである、その方法としては云々、こういったような、大体の大綱としては政府行動を是認するが、しかし方法としてはいろいろな方法がもっと考えられる余地があるのではないかといったような議論のようでございます。日本としては、いま申し上げたように、戦勢が一体どうなっているかというようなことももちろん大事でありますけれども、いかにして和平収拾をすべきか、日本として一体これに対するどういう協力、努力の余地があるかということを探求して、そしてその解決のために幾ぶんでも前向きに力を注ぐ、こういうことにつとむべきである、こう考えております。
  58. 西村関一

    ○西村(関)委員 大臣の御答弁は一年前と今日と少しも変わってないのであります。どうしたならばベトナム戦争を平和に導くことができるかということを探求していると言われるが、前は模索しているということばを使われました。今日は探求しているということばをお使いになります。模索も探求もあまり変わらないと思うのでありますが、いつまで探求しておられるのか。私はもちろん軍事情勢等について伺っているのじゃございません。外務委員会でございますから、外交上の立場から、日本アジアの一国としてアジア中心の外交を行なっていくというたてまえから、この戦争に無関心であり得ないということは言うまでもございません。世界じゅうの人が心配しているこの戦争に対して、日本は積極的に戦争終結への道を発見しなければいけない、そしてそのために努力をしなければならぬ、こういう立場から外務大臣の所信を伺っておるのでございます。しかるに、何ら政府としての見るべき手を打とうとしておられない。いまこういう事態で、このむずかしい戦争の終結のためには、さっき菊池さんがおっしゃったように、いろいろな世界的な動きがあるが、なかなかこれというきめ手が見つからぬということもわかりますけれども、しかし日本政府としては、横山特使も派遣をせられた、しかし、菊池さんのおことばをかりていえば、お茶を濁す程度のことだということで、国際外交の上からはあまりたいして評価されてないという与党側の議員のおことばもあったわけでございます。外務大臣としては、このベトナム戦争に対して一体どういうふうにしたならば解決ができるか、もう少しお考えがあろうと思うのです。いま発表する時期ではないということはしばしばお述べになったところでございますけれども、国民は心配しているのでございますから、この際日本政府としては、どういう立場で、アジア中心の外交を推進していくという立場でこの戦争をどのようにして解決するか、これは南北を通じてのベトナム人民の願いであるばかりでなく、世界の人民の願いであるということは言うまでもございません。  アメリカにおいても、この戦争を続けておることは間違いだという世論はないというふうに断言せられましたけれども、これは私は言い過ぎだと思うのです。そういうジョンソン政策に対してかなり強い反対をしている動きがあるということは、私も昨年の夏アメリカに参りまして、事実この目で見てまいりましたし、また、学者や政治家の人たちに会ったときにも、やはり、ジョンソンの政策は間違いだ、どうしたらジョンソンの政策を改めさせることができるかということに対して、われわれの意見を聞かれたこともあったのでございます。責任のある立場にある上院議員あるいは下院議員、あるいは大学の教授というような人たちも、また主婦や学生や労働者や教師や、いろいろな各階層の人たちが心配をして、ジョンソンの政策を改めさせなければいかぬという動きが出てきておる。これはアメリカの失業問題やら黒人の公民権運動の問題やら、いろいろな問題が関連しておりますけれども、この戦争は間違いだという世論がだんだん強くなってきておるということも否定できないのでございます。それを、そういうことは全然ないと大臣はおっしゃいますが、そのこと自体、私は大臣は片方的な情報だけに対して意見を述べておられるというふうにしか受け取れないのでございます。  また、南ベトナムにおけるところの情勢に対しても、出先の大使館もあって、いろいろ情報を集めているわけでございますが、われわれは、新聞、テレビ等を通じて南ベトナムの状態を知らされておるというにしかすぎないのでございますけれども、われわれの手元で知り得る情報からいたしましても、南ベトナムにおけるところの状態は、必ずしも政権が安定しているとはいえない。むしろ非常に不安定な状態にある。いまはキ政権が力で押えておりますけれども、いつ何どき爆発するかわからぬ。しかもその傾向は強い反米色に転化しておる。純粋な宗教的な立場から反対している仏教徒やまた学生や、そういう人たちの動きの中にも強い反米色が出てきておる。こういう動きに対して、外務大臣はどのようにその事態を把握しておられるか、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  59. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 とにかくこの戦争の継続を欲している国は世界じゅうにどこにもないはずでありますが、あるいは一、二の国はそれを望んでいるというようなこともいわれますけれども、私はよくわかりません。それで、このことは戦場から近い、遠いにかかわらず、世界の平和に対する脅威であるから、一日も早くやめさせなければならぬということで、いろいろな国でいろんな動きをしていることは御承知のとおりでございます。しかし戦争がなぜ一体行なわれなければならぬかということを考えると、アメリカはいつでも無条件武器を置く用意がある、北越がこれを承諾しない。北越が承諾しないのは、やはり相当な応援があるからなかなか武器を置かないのだ、こういう説もあります。これは私の目で見たわけじゃないからよくわかりませんけれども、とにかく長年の間こういう状態が続いておる。日本が一国でこのむずかしい問題をやめさせるという、それだけの力はないのでありまして、あまりうぬぼれてはいかぬ。  そこで、どうすればやまるかということをやはり筋をたどって十分に研究して、そしてそれに対して適切な手を打つということになるわけでありますが、結局けんかでございますから、両方でやめる気にならないと、そのけんかはおさまらない、こういうことになるだろうと思います。ごく大ざっぱなお話をいたしますと、そういうことになる。  どうしてやめさせるかということなんでありますが、私はそのポイントは、いまはやはり北越が停戦の誘いを受けて、そしてまず武器を置くという決意をするかどうかということにかかっておるのじゃないか、そうさせるにはどうすればいいかということでありますが、これは日本としてはおのずから努力するにいたしましても限界がある、こう考えております。
  60. 高瀬傳

    高瀬委員長 西村君に申し上げますが、十一時二十分で質問を打ち切っていただきたいのです、いろいろ後続の方の都合がありますから。
  61. 西村関一

    ○西村(関)委員 私は昨年の一月にハノイに参りまして、ホー・チ・ミン主席に会いました。北越の主席のホー・チ・ミン氏に会いまして、どうしたならばこの戦争をやめることができるかということについて、きわめて具体的にホー・チ・ミン氏とひざをまじえて話したのであります。ホー・チ・ミン氏はドゴール氏の言っているところの東南アジア中立化案、またプリンス・シアヌークの言っているところのインドシナ中立化案というものに対して賛成だ、むしろ私はシアヌークさんが言っているところの南ベトナムとカンボジアとラオスを中立化しようという考えよりは、むしろ北越を含めて、ベトナム民主共和国を含めて全部を中立化すればいいということを考えている。そういうことに対してもし和平の話し合いをする場所が提供されるならば、自分はいつでも乗り込んでいって、話をするその会議に出るつもりだということをはっきり言ったのであります。ただその際条件がある。それはジュネーブ協定の立場に立ち返って、アメリカが完全にわがベトナムから撤退をすることだということを言ったのであります。ジュネーブ協定の立場からいたしましたらば、私は北からの浸透が南にあるというアメリカのいわゆるベトナム白書というものに対していろいろ問題を感じております。そのことをいま申し述べる時間の余裕はございませんけれども、問題を感じておりますが、かりに北からの南への浸透があるならば、もちろんそのときにはジュネーブ協定の精神に立って、南から北へ引き上げるということは当然でございますが、同時にアメリカもまた南ベトナムから一切の軍隊、一切の軍事基地撤退する、そしてベトナム戦争の解決についてはベトナム人の手に返すという、このジュネーブ協定の基本的な立場に立つということ以外に解決の方法はないと思うのであります。そのことをホー・チ・ミン氏は私に約束をいたしました。もちろん私はプライベートの立場で会ったのでございますけれども、少なくとも一国の元首がそういうことを言ったということは間違いない、同僚の久保代議士もそばにおりましたから、そのことも間違いでないことはわれわれ両名が聞いておるのであります。  そういう考え方に対して、ジュネーブ協定の中身、ジュネーブ協定の精神、これはアメリカが署名しなかった、南越の政府が署名しなかったと申されるのでありましょうけれども、しかし世界の世論は一九五四年七月のジュネーブ協定が解決の一つのめどだ、それが唯一のめどだという考えに立っています。しかもアメリカは単独宣言でこのジュネーブ協定の精神を尊重するということを申しておるのです。天下に宣言しているのであります。そこのところを大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、私は日本がうぬぼれてはいかぬと大臣が言われる点についてはもちろん同感であります。しかし何らかの努力をしなければいかぬ、しかも一番近いアジアの一国であるところの日本としては、何らかの強い努力をしなければいかぬ、いままでのような日本政府のやり方では、ただアメリカ考え方に追随しているだけであって、むしろアメリカは、菊池さんもおっしゃったように、盟邦としての日本のもっと親切な、もっと立ち入った忠告を求めている。  そのことは、私は昨年七月、八月、アメリカへ参りましたときに、私自身ホワイトハウスにも参りました。またステートデパートメントにも参りました。さらにペンタゴン、国防総省にまで参りまして、大体次官及び次官補の中堅の幹部と話し合いをいたしました。彼らは真剣にどうしたらベトナム戦争をやめることができるかということに対して、また私が北越に参りましたことについての率直な見解を求めておりました。聞こうという姿勢でございました。ある次官補のごときは、私の宿舎まで参りまして、もっと話を聞きたいという態度でございました。  私は、日本政府が特使を派遣せられていろいろな情報を収集せられたその結果については何ら国会に報告されておりません。またその結果についての片りんさえも大臣の国会答弁の中からうかがうことができません。こういう状態で時がどんどん進んでいく、チャンスを失ってしまう、しかも南ベトナムにおきましては、あのような強い各階層の人民の動きがある、アメリカにおいてもジョンソン政策に対して強い批判が出てきておる、これはアメリカの現在の当面しているところの社会的、経済的、政治的情勢のしからしめるところではございますけれども、基本的にはアメリカベトナム政策に対して非常な不満が出てきておるということも、これは争えない事実だと思うのでございます。これは一年前の私が参りましたときとはよほど変わってきておるということを感ずるのであります。私は大臣のおっしゃることも全然わからぬじゃございませんが、しかしそういう態度では、私は日本外務大臣としての職責を全うせられるゆえんではない、こう考えます。  私は大事な問題についてもっと深く突っ込んで伺いたいのですけれども、約束の時間がまいりましたから、これ以上お尋ねしません。また、私はアジア、アフリカ、ラテンアメリカの諸国に対する技術経済協力のあり方についてもきょうはお伺いをいたしたいと思っておりましたが、残念ながら時間がございません。ただもう一度いま私の申し述べましたような点について大臣の御所信を承って、きょうの私の質問は終わりたいと思います。
  62. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ジュネーブ協定の精神、こう仰せられましたが、これにはいろいろな項目が列記してあります。これを貫く基調はどこにあるかということは、結局力によって政治目的を達成する、つまり早く言うと武力征服である、そういうことはいかぬのだと、これを否定しているところに私はジュネーブ協定の精神があると思います。そしてこれが守られて初めて軍隊撤退ということも行なわれる、これが守られて今度は南北統一の選挙ということも行なわれる、でありますから、都合のいいところだけつまみ食いして、そうしてこれがジュネーブ精神であるということは私は許されないと思う気がいたします。やはりジュネーブ協定を貫く基調は何であるかということを認識した上で、この協定を私は主張すべきではないか、こう考えますので、この点をまずもって申し上げておきます。  それから、ベトナムの問題はベトナムにまかせろということは、それはまあ一応それも相当の理由のあることでございますが、しかし同時に、人種が同じだとかあるいはことばを同じにするということで、これはもうここだけの一つのサークルであって、あとは外部の一切の干渉を許さないというような時代は過ぎて、どっちかというと問題は精神の自由、考え方の自由ということが基調になっていまきているのではないか。左翼陣営の主張も、もう常に人種であるとか、あるいはことばを同じくするとかいうようなことよりも、思想を中心にした連帯というものを非常に重く見ておるのであります。でありますから、昔は一家のことは家長にまかすべきであって、よけいなお世話だ、だから今度は子供をせっかんするにしても、一切ほかの干渉を許さない、煮て食おうが焼いて食おうがかってだというような——これは少し極端なことかもしれませんが、そういったような、一家のことは一家にまかせる、家長のリンチでも何でも全部認めるという時代も、それはもちろんありましたけれども、そういったようなことは社会として許されないということに、もういまはなってきておる。でありますから、同じベトナムであっても、北と南と、全然政治、思想、信条というものを異にしておるのでありまして、事実上二つ政権が分かれておる、こういう事実はやはり尊重しなければならぬと私は考えます。  そういうわけでございまして、やはり和平収拾ということは、まずもってげんこつを振り回してそれで勝負をきめるということじゃなしに、それをやめて、そして穏やかな話し合いによって自後の問題を収拾する、まずもって武器を置く、こういうことから始まらなければいかぬのじゃないか。私はそう思います。ジュネーブ協定はまず撤退することだとだというのじゃなしに、ジュネーブ協定の基調は何といっても武力征服が行なわれることは一番いかぬということである。こういうことからジュネーブ協定を言うべきである。  私の所見を申し上げまして御答弁にかえたいと思います。
  63. 西村関一

    ○西村(関)委員 そういう答弁なら、私はもう一時間くらいやらなければいかぬ。そういう答弁なら私はこのまま引き下がるわけにいかないのです。いま大臣の言われたようなおことばは、そのまま私は大臣に返したいと思うのです。力がいかぬということは、北越と、あるいは南にあるところの解放民族戦線の側とアメリカの側とどちらが大きな力を持っているか。どちらが大きく力を使っているかということはこれは明々白々であります。それはライオンと青ガエルの比較ぐらいの状態であります。大体南と北とは思想、信条が違うし、政権も違うと言われるけれども、南におけるところの八〇%はホー・チ・ミンを支持しておるということがいわれておるのであります。解放民族戦線の解放地区の状態につきましては、いろいろいわれておりますけれども、第一、ゴ・ジン・ジェム以来この二年ほどの間に一体幾つの政権がかわったか。現在のキ政権がはたして人心を把握しているかということをお考えになってみればわかると思うのであります。  現に、私が昨年南へ参りましたときにも、大きな声では言えないけれども、われわれ南のベトナム人といえどもホー・チ・ミン主席に対しては親愛の情を持っているということを多くの方から聞きました。しかも指導的な立場にある人たちから聞いたのであります。そういうことを明らかにするならばその人は消されてしまうかもしれませんけれども、そういう現状であります。大体どちらが一体力を行なっているか、どちらががむしゃらに力を行なっているかということは、いま私はここで具体的な例をあげろとおっしゃれば幾らでも申すことができます。アメリカベトナム白書の盲点についても私はここで申すことができます。しかし委員長があいさつをしておられますからそういうことは言えませんが、いまの大臣の答弁に対してはきわめて不満であるということだけを申し述べて、質問を終わります。
  64. 高瀬傳

  65. 山田耻目

    山田(耻)委員 私は、少し角度を変えまして、善良な日本人が外国で殺害された場合、一体どのような具体的措置を外務大臣としておとりになるのか、お伺いしたいと思います。  事件の概要につきましてはすでに御存じと思いますけれども、本年四月二十三日に、インドネシア共和国のスマトラ島パンジャンにおきまして、岡田海運株式会社の船員藤山源治、三十二歳が殺害をされております。しかも近時日本経済の進出等に伴いまして、諸外国を旅する人も非常にふえてまいっておりますが、治安確立地区においてこういう善良な日本人が殺害をされたということはゆゆしきことでございます。インドネシアにはりっぱな公館もありますし、どのような措置を今日までおとりになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  66. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 事実を詳しく調査しておりますので、アジア局長からお答えいたさせます。
  67. 小川平四郎

    ○小川政府委員 ただいま御指摘の事件につきましては、外務省といたしまして、報告を受けましてから直ちにインドネシアの政府に対しまして調査方を数回申し入れております。本件につきましては、船長の報告その他によりますと、港に寄っておりました船から上陸した船員が何者かによって殺害されたケースでございまして、現在までのところ、これにインドネシア側の官憲がからんでいたという様子はございません。むしろインドネシア側の官憲は、犯人発見、逮捕のために一生懸命に努力しておるのが実情でございまして、現在まで犯人の逮捕に至っておりませんので、ます調査をして犯人を捕えてもらうことが先決でございますので、その趣旨によってしばしばインドネシア側に申し入れをしている次第でございます。
  68. 山田耻目

    山田(耻)委員 事件発生以来もう二カ月余りたつております。五月二十七日に内閣委員会におきましてもこの種の質問がなされておりますし、しかも吉良参事官のほうから、すみやかに調査をしたい、当時インドネシアの副首相が見えておりましたし、対政府との関係も折衝に入りたい、こういう答弁がされておるわけでございます。  そこで、こういう問題についてどのようにインドネシア政府と折衝が進められておるのかという問題が一点。  二点目には、遺族が私の郷里の近所でございますので、遺族のほうからも、インドネシア政府に対して犯人の逮捕並びに補償要求というものが当然されてしかるべきだと思うが、どうだろうかというふうな要請も出ております。  この二点について、外務省としてどのようなお考えで今日までこの問題の解決に処せられてこられたか、その点について御答弁いただきたいと思います。
  69. 小川平四郎

    ○小川政府委員 本件の事件の起こりました船舶は、その後もまだ各地を航海中でございまして、日本には帰っておりませんが、報告を受けましてから、直ちに先ほど申しましたように、インドネシア側に対しましてはます犯人を極力捜査して逮捕してもらいたいということを、五月十四日に口上書をもって申し入れました。その後、引き続き数回にわたって督促をしておるわけでございます。  第二点につきまして、補償の問題でございますが、先ほど申しましたように、本件についてはインドネシア側の政府の行為ではございません。要するに、インドネシアにおいて起こりました殺人事件でございます。したがいまして、もしこれが漁船の拿捕とか、あるいは銃撃とかいうことによって、先方の政府の行為によって起こりました事件でありますれば補償の問題というものが直ちに出てまいりますけれども、本件は、インドネシアにおりました外国人が殺人事件によって殺されたという問題でございますので、たとえば、この日本人の保護あるいはその他について先方の官憲において重大なる過失または故意があったというような場合には補償の問題が起こってまいりますけれども、現在のところそこまでいっておりませんので、いきなり補償を要求するということは考えられないと思います。ます第一に犯人を逮捕して、どういう事件であったかということが判明いたしまして、その際にインドネシア側の政府に重大な過失あるいは故意があったという場合に補償の問題が起こる。したがいまして、政府の行為によって拿捕とか殺害とかいうことが起こったのとはやや異なるケースであろうと思います。
  70. 山田耻目

    山田(耻)委員 この船はおっしゃっているようにまだ日本に帰っておりませんが、けさの会社からの連絡によりますと、来月の二日に大阪港に帰ってくる模様でございます。したがいまして、船長を通して、殺害された事実の報告、盗まれておる幾つかの品物の報告はされると思いますけれども、犯人その他の逮捕の問題なり、あるいはそのことがどういう原因に基づいておるかということについては、船長からの報告を通して知ることはできないと思います。したがいまして、どうしても犯人逮捕の問題なりあるいは殺害された事情というものは、外務省を通してインドネシア政府を通じて明らかにされていかなくてはならない問題でございます。したがいまして、あなたがおっしゃっているように、この問題がはたして補償の対象になるものであるかどうかということは、その意味ではいまだいずれとも申すべきではない。あなたがおっしゃっているように、その該当案件ではないというふうな印象をここで与えていただくことも私はよくないと思います。したがいまして、日本政府としては、すみやかに犯人逮捕に対して一段とインドネシア政府の協力を願うように強く要請するということが第一ではないか、そうして詳細に犯行の動機などについて明らかにしていくということが大切ではないかという気がしております。今日、時間がございませんので、四月二十三日殺害以降、どのようにインドネシアの公館を通じて現地の実情把握なりインドネシア政府に対して申し入れをしたのか、順を追ってひとつ書面で御提出をいただきたいとお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  71. 小川平四郎

    ○小川政府委員 ただいまの御質問、現在直ちにお答えできますけれども、もし御要望でございましたら、書面にして提出申し上げます。
  72. 高瀬傳

    高瀬委員長 穗積君。——なお、十一時五十五分程度で川上君に質問を譲ってください。
  73. 穗積七郎

    穗積委員 きょうは今国会の最後の外務委員会ですから、少しゆっくり時間をいただきたいと思いましたが、時間が非常にないようですから、はなはだ残念ですけれども、二、三の点について、具体的に限ってお尋ねをいたしたいと思うのです。  まず第一には、来月に日米経済合同委員会が予定されておりますけれども、これは経済といいながら、実は仄聞するところによると、ベトナム問題あるいは中国問題等、あるいは日本を中心とする安全保障体制の強化の問題等々が論議されるようであります。ベトナム問題についてはただいま西村委員からもお尋ねがありまして、私も補足質問したいのですが、これは割愛いたしまして、中国問題について、すでに外務省としてもいろいろな検討をされておるようでありますから、お尋ねをしたいのです。  そこで、アメリカ政府並びに国民の世論の中におきましても、対中国認識やあるいは政策について微妙な変化が生じておることは御承知のとおりであります。したがって、東西貿易の問題もさることながら、まず当面、来たる国連総会における中国の代表権問題について、当然来月の合同委員会で話題になると思うのですね。そこで最近のアメリカからの外電その他の情報によりますと、重要事項指定方式の原則については異存はないけれども、その可能性については相当再検討を要するというような動きがあるようでございます。そうなりますと、重要事項指定方式による代表権の阻止が不可能になった場合の次の策、当然それをも含めまして来月の合同委員会で問題になるということが予想されるわけですが、まず第一、そういうことを背景にいたしまして、外務大臣は重要事項指定方式でいく御方針であるか、またそれに対する見通しは、この前私に対する答弁どおりであるかどうか、そのことを、休会にもなりますので、この際、事前にちょっと伺っておきたいと思うのです。
  74. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいまのところ、この前あなたに御答弁申し上げた程度でございます。なお状況の推移については絶えず注意しておりますので、相当の情勢の変化を認めた場合においては、それに相当する考え方をまとめなければならぬ、こう考えております。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 まあ合同委員会は来月のことですけれども、国連総会にはまだ時間があるし、その間にベトナム戦争あるいは最近のドゴールNATO並びにSEATOからの引き揚げ、あるいはソビエト接近によるいろいろな動きが出ておるわけですね、したがって非常に流動、変化をすることが予想される。  そこで、いまの外務大臣の御答弁は、方針においても重要事項指定方式の方針をまだ変えていない、そして現実的な見通しにおいてもそれが困難または不可能であるという認識を持っていない、こういうことでありますが、いま申しましたような総会までの国際情勢の流動的変化によりまして、重要事項指定方式が少数派になる可能性が私は十分あると思う。もしそういう場合には、次善の策として一体外務省はどういうものを考えておられるか。率直にこの際明らかにしていただきたいのです。情勢によっては変えざるを得ないと思うのです。
  76. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは代表権問題はきわめて重要な問題であるから、国際世論の大多数をもってきめなければならぬ、こういうことをわれわれは主張しているのでありまして、その予想がどうであろうと、とにかくこの重要事項指定方式によってこの問題を処理する、こういう方針においては変わりはないわけです。でありますから、それによって三分の二取れない場合はどうする、取れなければ取れないで、国際世論の動向というものはそういうことになったのでありますから、それに今度は応じて、その次の段階の問題について必要があれば処理することを考えなければいかぬ、こう思うのであります。
  77. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、いまのお話を伺うとあなたまかせである、したがって、われわれ日本政府としては何ら固定した方針は持ってないと、はなはだしく自主性のない答弁ですが、そういうていたらくでございますか。
  78. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いや、三分の二取れそうでないから重要事項指定方式のやり方を今度は変えるとか、そういうようなことは考えない。重要事項であるという認識はもう一貫して持っておって、それで国際の情勢がやはり代表権問題は従来と違った方向で処理しなければならぬということになれば、それはそれとしてこれを認めざるを得ない、こう思うのです。
  79. 穗積七郎

    穗積委員 私の判断は、アメリカのほうがやはりこの問題に対する流動的な情勢を分析しておると思います。そして重要事項指定方式の困難の度がますます増しておる、そういうことで、アメリカ側から、それにかかわるものとして伝えられておる二つの中国、あるいは言いかえれば、同じことですけれども、一つの中国一つの台湾、こういうようなことがすでに問題になっておるようでありますが、もしそういうようなことになった場合には、これは日本としてはいまのような主体性のないことでありますというと、それに追随するというふうにも聞こえますが、そういうことでしょうか。
  80. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 重要事項指定方式というものはとにかく厳としてこれは貫かれていかなければならぬ。その結果について去年と違う結論が出た場合どうするかということについては、日本日本の自主的判断によってそれに対処する方針をすみやかに確立して、これを実現するように努力するというだけであります。
  81. 穗積七郎

    穗積委員 だからその場合に、二つの中国、または一つの中国一つの台湾というような提案がアメリカその他の国からなされたときにどうするかということを聞いておるのです。
  82. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さあ、アメリカがどういう提案をしてくるのか私ども知りませんが、とにかく日本は自主的に判断してこれに対処する方針を固めたい、こう思っております。
  83. 穗積七郎

    穗積委員 その自主的な判断はどういう判断ですかと聞いておるのです。
  84. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それはいままだ申し上げられません。
  85. 穗積七郎

    穗積委員 どういうわけで申し上げかねるのですか。外交は、官僚の秘密外交は許されません。国民の世論を聞いて、しかるべくこれに対処するのが民主政治の当然のことでしょう。
  86. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだ早過ぎる。
  87. 穗積七郎

    穗積委員 早過ぎることはありませんよ。その方針を持たずして、行き当たりばったりで、敗れたら敗れたときだ、それで大勢のおもむくところに追随するのだ、これでは自主外交だの、アジア外交の主導権を確立したいというようなことを言っても、これは国民は失笑するばかりでしょう。何が早過ぎるのですか。その問題は国民に納得のいくように当然論議すべき問題じゃありませんか。国会としてもその責任があります。アメリカですでに問題になっているんだ。
  88. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 アメリカで問題になっているというのは、アメリカの民間ではいろいろなことを言っておりますが、アメリカ政府はまだ何も言っておりません。いま固定した考え方を発表するということは、これはいまの段階では不可能な問題であります。
  89. 穗積七郎

    穗積委員 どうもここで押し問答をやっておりますと時間がなくなってしまいますから、はなはだ遺憾の意を表し、政府に対します不信を深めておきますけれども、次にこれと関連して、今度の会議でも東西貿易問題は当然予想されておる。それに対して特に問題になっているのは吉田書簡の問題ですね。先般松村使節団が行かれてLT貿易の延長の原則だけはさまった。ところがあとは、高碕事務所、廖承志、LTの代表の間で実は内容について具体的な検討をする、それができるかできないか、そして日本の貿易、百億ドルを目標とする東西貿易の拡張の場合には、東西貿易の筆頭に立っておる日中貿易をどうするかということは、これは重要な問題です。それにかかっておるかぎは吉田書簡の処理の問題ですね。そうでしょう。それに対してあなたはせんだって参議院の外務委員会において、吉田書簡に政府は拘束されない、当時はたまたま政府の方針と吉田書簡の趣旨と一致したにすぎない、政府の方針というものはいつまでも流動する情勢の中で固定化するものではない、変化、発展があり得るのだということをいささか示唆するような答弁をなすっておられます。実は今日、日本の国民、特に経済の行き詰まりとともに、対米経済交渉とともに、対中国貿易問題というのが、生活に結びつく外交政策の問題として非常に重大な関心が持たれておるわけです。したがって、そういうことをよく理解されまして、吉田書簡の問題に対する、言いかえるならば、対中国延べ払いにおいて輸銀の資金使用を認める、これをいつまでも拘束しないという態度であると理解してよろしいかどうか。そのことを期待いたしまして答弁を求めます。
  90. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は原則的にお話ししたので、いま御指摘のとおり、あるいは吉田書簡と当時の日本政府の方針とたまたま一致するがゆえに何か吉田書簡に拘束されるかのごとき観を呈したこともあった。しかし、これを分析して正確に言えば、吉田書簡は吉田書簡であって、政府の方針は政府の方針である、しかも政府の方針は情勢の推移によって固定化すべきものではない、こういうことを申し上げたのでありまして、いまでもそのことは繰り返して申し上げて差しつかえございません。それじゃいつその方針を変えるかということについては、これはいまは言えない、こういうことを申し上げるよりしょうがありません。
  91. 穗積七郎

    穗積委員 それでは具体的にお尋ねしましょう。  LT協定の内容の交渉が始まるわけですが、その場合に輸銀使用による。プラント輸出の問題を民間ベースで妥結いたしましたときに、政府はこれを支持いたしますか、妨害いたしますか。
  92. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それはいまからはお約束はできません。
  93. 穗積七郎

    穗積委員 さらにお尋ねいたしますれば、輸銀使用による延べ払いの問題が妥結することはもう既定の事実として観測されておる。それに従って具体的にニチボーなり日立なりの延べ払いが個々の契約として妥結して、それが政府の支持を求めて提案されたときには、これを受け取って検討する用意があるかないか、それをこの際伺っておきたいのです。
  94. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 問題のきめ方に二通りあると思うのであります。原則として輸銀使用を認めるという行き方もあるでしょうし、まずもって具体的に問題に当面して、個別的に、これを具体的に考えていくという処理のしかたもあります。ただいまのところはまず具体的な問題に当面して、これを具体的な問題として考えたい、こう考えます。
  95. 穗積七郎

    穗積委員 だからその申請が出されたときには受理されるわけですね。受理して検討するということですね。そう理解してよろしゅうございますね。
  96. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まあそういうふうに御解釈になっても差しつかえないと思います。
  97. 穗積七郎

    穗積委員 関連して次にお尋ねいたします。  これはもう佐藤総理並びにあなた、さらに橋本官房長官と幾たびか非公式にお会いをし、あるいはまた国会でも答弁をいただいておりますが、例の北朝鮮の技術者の入国問題ですね。これは名簿も出て、法務省に受理されておる。あなたはソウルにお立ちになる前に、帰ってきてすみやかにこの問題は解決をするという態度をとられましたが、それに間違いはありませんね。
  98. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 慎重に考究しよう、こういうことは絶えず申し上げておりまして、これを繰り返したわけでございます。
  99. 穗積七郎

    穗積委員 この問題は、法務省、通産省は、両大臣、事務当局ともあげて当然なこととしてもうすでに省議まで決定する段階に来ておる。一にかかって外務省のちゅうちょ逡巡か抵抗によってこれが遷延しておるわけです。そうなると、外務大臣、あなたの判断によってこの問題のかぎは握られておる、こういうことです。来月は日米会議もあり、東西貿易問題が討議され、しかも十日前後に内閣の改造が行なわれる。あなたはおれの責任であるということになれば、大体内閣改造前にあなたの手によって決断が前向きになされる、こう私どもは理解いたしておりますが、それでよろしゅうございますか。
  100. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まあ御自由に解釈していただきます。
  101. 穗積七郎

    穗積委員 御自由にということがありますか。あなたが決定するかせぬかだ、それを聞いておるのです。おれはたぶん外務大臣に居残りをするから、そうすれば何も十日前にやらぬでも、続いて第三次に残れるから、それからやればいいというつもりかどうか知りませんけれども、常識的にいえば、もうこれはすべてそういう状況のもとで、ソウルの会議も済み、それから日米会議も眼前に迫り、それから内閣改造ももう大体予定されておる。こういうさなかであなたがもう一任されておるわけですよ。そうしてこれは必ず実行するという約束をしておるのですよ、政治的に。かってに解釈しろとはどういうことです。もうちょっと実のある答弁を促します。
  102. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この問題は慎重に処理するということを申し上げておりますので、そのとおり慎重に処理したいと思います。それ以上はどうぞ御自由に御解釈願います。
  103. 穗積七郎

    穗積委員 これは時間もありませんし、ここで必ずしも最後の詰めまでやることが適当であるとも思われませんから、あと委員会が済みましてからお目にかかって、あなたの考え、あなたの公約を実行していただくようによくお願いをいたしたいと思っております。
  104. 高瀬傳

    高瀬委員長 あと川上君が待っておりますから、簡単に。
  105. 穗積七郎

    穗積委員 そこであと時間がありませんから簡単にいたしますが、対米交渉ですが、日本経済の問題と、一方においてはアメリカの最近の国際収支の赤字は、本年度のいまの傾向から見れば、インフレとベトナム等の費用によって三十億近くになるかもわからぬと伝えられておる。そういう中で実は輸入の制限の問題であるとか、ダンピング課税の問題であるとか、バイアメリカンあるいはシップアメリカンの政策というものが一方的に押しつけられようとしております。これについては、日本の立場並びに自由の立場から当然強く要求すべきであると思うが、その御決意はどうであるか。それから時間がありませんし、あと質問者がありますから、一括してお聞きしておきます。これが第一の問題。  第二の問題は、専管水域の問題がついせんだってのアメリカの上院において十二海里の法案がパスいたしまして、これが近く下院においてもパスすることが予定されておる。そうなりますと、ベーリング海峡、アラスカあるいはまたアリューシャン地域における日本の漁業にとりまして重大な影響、ショック、打撃を受けるわけですね。それに対しては一体どういう方針で臨まれるつもりであるか。  それから第三にお尋ねしておきたいのは、空港の問題です。いま、千葉県をあっちこっち行って、条件が悪かったり反対されたりして宙に浮いてしまっておる。われわれの考えでは、東京近郊の立川、厚木あるいは横田、これらの空港を、当然その一つ、最も適切なものを日本の民間航空に開放すべきである、これは今日の国際経済、人事の交流にとって、空港の問題というのは重要な国益の問題でありますから、これらも当然来月の日米合同会議で強く要求し、かつ実現すべきであると思う。その要望を強くお伝えいたしまして、三つに対するそれぞれ具体的な御答弁をいただきたい。再質問しないで済むように御答弁をいただきたいと思います。
  106. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 アメリカの貿易制限に関する諸措置に対する対策としては、来たるべき合同委員会において当然討議したいと思います。  それから専管水域の問題は、事前に働きかける余地があればできるだけ働きかけてまいりますが、かりに通ったという場合でも、これは一方的な措置によって国際的に有効にこれが行なわれるはずのものではないのでありまして、あくまでこれに抗議したいと思います。  それから、空港の問題は、所管の問題ではございませんけれども、われわれとしても絶対にこの四、五年の間に第二国際空港がりっぱにでき上がることを念願し、かつできるだけこれに対して努力したい、外務省としてやるべきことはやりたい、こう考えております。
  107. 高瀬傳

  108. 川上貫一

    川上委員 私の協議された割り当ての時間は十五分間でありますが、これは守りたいと思いますから、できるだけ政府のほうの御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  質問の最初に私はちょっと外務大臣にお聞きしておきたい。日本にはもはや核兵器が持ち込まれておるのではないかと思われる節があります。それはアメリカの第五空軍の事故防止点検要目というものであります。これが横田、三沢など米空軍基地の安全担当将校に配付されておるといわれております。これには、核兵器の積みおろしは容易に見られない場所で行なわれているかどうか、また貯蔵施設はさくを施した地域内にあるが、そこへの接近を照らす灯火、つまり電灯を備えておるかどうか、そのほかいろいろ詳細に記載されておるそうであります。これはすでに日本に核兵器が持ち込まれておるということを示唆するものだとわれわれには思える。一体政府はこれを確めたことがありますかどうか、これを質問したい。
  109. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 全然われわれはそういう事実を認めておりません。第一あり得べからざることだと思うのであります。第五空軍の事故防止点検要目ですか、そういうようなものが外部に簡単に出るはずがない。そんなものをつくっておるはずもありませんし、またつくったとしても、そんなものが簡単にくずかごの中から発見できるというような、そんなことは私はほとんど考えられない。二重三重にこういうことはどうも信ずべからざる事柄である。これは所見でございます。
  110. 川上貫一

    川上委員 外務大臣答弁はある程度ごもっともだと思われる点がありますが、しかしそういう問題についても政府は確かめなければ、核兵器が持ち込まれておるかどうか、これはわからぬじゃないですか。この問題については私はこれ以上質問しません。時間がありませんから、あらためて政府考え方をお聞きしたい時期があると思います。  第二点ですが、日本政府アメリカの原子力潜水艦の寄港を九回にわたって許しております。そうしていままた新たにベトナム侵略戦争に公然と参加しておる原子力空母エンタープライズを中心とした原子力艦隊の横須賀入港を認める方針を明らかにしております。そもそもこの空母は戦術核爆弾を持っております。その艦載機は核ミサイル、ブルパップを持っております。さらに核攻撃専用の爆撃機ビジランティを積載しておることは世界周知の事実であります。だからこのエンタープライズのハローウェイ艦長は、ことしの四月、TBSテレビ、これの吉兼実記者に対して、核兵器を持っていないとは言えないと答えています。これは日本ではすでにテレビで放送されております。それにもかかわらずあなた方は、あくまで核兵器を持っていない、こう言い切りますか。言い切るとすれば持っていないという——私の指摘したのは持っておるのですから、これを持っていないという証拠をちょっと言ってみてください。
  111. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 艦長が、核兵器を持っていないとも言えないし、持っているとも言えない、そういう問題について権限がないということを言っているのだと思います。
  112. 川上貫一

    川上委員 私の質問は、政府が持っていないと言うのなら、持っていないという証拠をここで示してくれ、こう言うておる。
  113. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それよりも、持っているという証拠をひとつ伺いたいと思います。
  114. 川上貫一

    川上委員 大臣、答弁が非常に苦しいのだと思いますが、持っているのですよ。これをこっそり入れようとしておるのです。ここに問題があるのです。ここでぬけぬけとそういう答弁をした裏に、実際には核兵器を持っておるこの原子力艦隊を入れようとしておる。ここに重大問題があるのです。  時間がありませんから私は質問を急ぎますが、去る十八日に東京と箱根で開かれた日米間の何とかいう協議会、これは名前も正確にないのだそうです。あるのかもしれません。日本政府はこれに対して国防に関する問題を文書で提出しております。これはもう自明の事実であります。外務大臣はこのことについて何にも知らぬと言うておられる。ほんとうに知りませんか。それを聞いておきたい。
  115. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 知りません。
  116. 川上貫一

    川上委員 この問題を外務大臣は知らぬ、これが外務省態度です。これが日本政府態度です。ここは国会です。重要な問題を審議するところです。そこで知らぬと言うておる。この会議には、小川アジア局長、あなたは出席しておる。安川北米局長、これも出席しておる。アメリカ側はオーエン政策企画委員長の代理、それにライシャワー大使も出席しておる。この出席しておるお方、この方も知らぬと言いますか。これを聞きたい。
  117. 安川壯

    安川政府委員 私は、そういう文書を見たことはございません。
  118. 川上貫一

    川上委員 知らぬはずはないのです。こういう答弁をしなくちゃいけない——これが新聞に漏れました。新聞は書きました。あなた方は機密が漏洩したといい、あわてふためいておるじゃないですか。責任の追及を云々しておるじゃないですか。これは事実じゃないか。知らぬとか知っておるとかいう問題じゃない。さらにこの中に書いてある新しい軍事専門機構をつくる、この問題はいつ提案しますか。数年前から何べんも提案しておるじゃないですか。そのときにアメリカはどう言いました。日本には機密保護法がないから、これはなかなかむずかしいとアメリカは言っておる。ところが今度は機密保護法を、機密保護の問題を加えて提案しておる。これは一つの事実です。この一事をもってしても、この文書なるものは知らぬとか空ばくのものだとか、こんなものじゃありません。しかしこれは何ぼしてもあなた方は知らぬと言うよりほかに手がないと思う。これは一体どういうことなんですか。こういう重大問題を秘密裏にアメリカと協議しておるのです。これが問題なんです。  一体この日米間の協議会なるもの、正式の名前は何というのですか。またこれまでどこで何回開きましたか。一体何を協議したか。この会議は秘密会議なのかどうか。これを明らかにしてもらいたい。この会議を企画した小川アジア局長、これが最初に企画しておる。これはさきごろまで、国際資料部の部長です。それがいまアジア局長になっておる。この資料部はどうです、この会議については全部秘密の態度をとっておる。だれに対しても何も言わない。これは一体どういうことです。もし政府は、アメリカとこのような会議を秘密裏に進めておるのではない、あるいはこういうことがないとは言えませんが、秘密に進めておるのじゃない、こう言うのなら、この会合を年々開いておりますか、あるいはたびたび開いておりますか、この会合のすべてを本委員会に報告してもらいたい。これをわれわれは要求する権利がある。政府は報告する義務がある。全部報告できますか、できませんか。これは外務大臣にお聞きします。
  119. 小川平四郎

    ○小川政府委員 私どもといたしましては、外交活動の一環として、常に各国の外交関係者と意見を交換しておるわけでございまして、本件もその一環のものでございます。したがいまして、正式の会議とか、会談とかいう名前も別にないわけでございまして、ただいま申しました外交活動の一環としてやっておるものでございますので、特にこれを公表するというようなことは考えておりませんし、また公表すべきものでもないと思います。
  120. 川上貫一

    川上委員 どこで何回開きましたか。内容は言えぬと言うが、それも言えぬのですか。いつから始めましたか、そしてそのたびに日本並びにアメリカからだれが出席しておりますか、これも言えませんか。これさえ言えぬということになるなら、これは全く日本アメリカがこういう問題について秘密の会議をやっている。そんなことが許されますか。国会にも報告できぬのですか。
  121. 小川平四郎

    ○小川政府委員 先ほど申しましたとおり、これは外交活動の一環として当然にやっておることでございますので、どういう形式でとか、あるいはだれがということは特に申し上げるべきものでないと思いますが、たまたまアメリカの政策企画委員との意見交換は一昨年の秋に始まっております。その後昨年二回、本年は一回目でございます。
  122. 川上貫一

    川上委員 そこでどういう問題を協議しましたか。項目だけでよろしい。
  123. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 小川局長からお話ししておるように、国際的なそういういろいろな打ち合わせを一々どういうことをきめたとか、そういうことは一切公表できません。
  124. 川上貫一

    川上委員 問題は明らかになりました。秘密の会議をやっておる。国民の目の届かぬところで、国会も知らぬところで、アメリカと年々相談をしておる。しかも今度の会合は、すぐ近く開かれる日米合同委員会を前にこれをやっておる。これは日米合同委員会の課題の下相談、そうでないと言ったら内容になるから言えぬでしょう、明らかなんです。こういうことをやっておるから、これだから日本アメリカと核問題についても協議しておると言うて差しつかえない。私は言うが、私の質問しましたわずかの短い時間にこの一連の事実、これは一体何でありますか。これは明らかに佐藤内閣が日本には核兵器を持ち込ませないなどといって、いかにもアメリカの核戦争政策には加担しないかのごとく装うておる。ところが、実際には国民に隠れて、みずから進んであなた方はアメリカ戦争政策、核戦略体制に参加しておるのだ。参加しておらぬと言うなら、この内容をはっきり言いなさい。中身は言えないと言うのは参加している証拠だ。これがあなたの言うアメリカの核のかさのもとでの日本の安全、こういうものの実態なのです。これが核安保体制、——安保条約を核安保と言ってもよろしい、かく総理大臣の言われたこれの正体なのです。私が最初に質問した問題から短い時間に最後に質問した問題を一貫して考えてごらんなさい。そうでないと言えますか。佐藤内閣という内閣は、国民に隠れてここまで問題を進めてきておるのです。これはきわめて危険な政策です。われわれはこのことをあくまで追及しなければならぬ。今度の日米の会議について何も言わない。外務大臣はずうずうしく、わしは何も知らぬとさえ言うておる。まあそれは大臣になるとつらの皮は厚くなるのだけれども、ここまで厚くなってきたら、人民は苦労します。これは国会侮辱です。私は時間がありません。この問題についてはあらためて質問します。  これで私の質問を打ち切ります。      ————◇—————
  125. 高瀬傳

    高瀬委員長 これより請願の審査に入ります。  本会期中に本委員会に付託されました請願は十四件であります。  請願日程第一より第一四までを一括議題といたします。  各請願の内容については、文書表ですでに御承知のことでもあり、また、先ほど理事会で御検討願ったところでもありますので、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決いたします。  請願の日程中、第六の請願は採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 高瀬傳

    高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ただいま議決いたしました請願委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 高瀬傳

    高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  128. 高瀬傳

    高瀬委員長 なお、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり二十二件であります。この際御報告いたします。      ————◇—————
  129. 高瀬傳

    高瀬委員長 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお国際情勢に関する件について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 高瀬傳

    高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  131. 高瀬傳

    高瀬委員長 閉会中の委員派遣についておはかりいたします。  議長に申し入れることになりました閉会中審査が付託された場合に、委員を派遣し、実情調査を行なう必要が生じたときには、その期日、人選、派遣地等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 高瀬傳

    高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  133. 高瀬傳

    高瀬委員長 この際、今国会の委員会最終回にあたり、一言ごあいさつを申し上げます。  委員会の運営につきましては、理事各位をはじめ全委員の絶大なる御支援、御協力により全議案の審議を滞りなく完了し、大過なく過ごすことのできましたことを厚くお礼申し上げます。  以上、簡単でありますが、これをもってごあいさつといたします。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会