○西村(関)
委員 私は昨年の一月に
ハノイに参りまして、ホー・チ・ミン主席に会いました。
北越の主席のホー・チ・ミン氏に会いまして、どうしたならばこの
戦争をやめることができるかということについて、きわめて具体的にホー・チ・ミン氏とひざをまじえて話したのであります。ホー・チ・ミン氏は
ドゴール氏の言っているところの東南
アジア中立化案、またプリンス・シアヌークの言っているところのインドシナ中立化案というものに対して賛成だ、むしろ私はシアヌークさんが言っているところの南
ベトナムとカンボジアとラオスを中立化しようという
考えよりは、むしろ
北越を含めて、
ベトナム民主共和国を含めて全部を中立化すればいいということを
考えている。そういうことに対してもし
和平の話し合いをする場所が提供されるならば、自分はいつでも乗り込んでいって、話をするその
会議に出るつもりだということをはっきり言ったのであります。ただその際
条件がある。それは
ジュネーブ協定の立場に立ち返って、
アメリカが完全にわが
ベトナムから
撤退をすることだということを言ったのであります。
ジュネーブ協定の立場からいたしましたらば、私は北からの
浸透が南にあるという
アメリカのいわゆる
ベトナム白書というものに対していろいろ問題を感じております。そのことをいま申し述べる時間の余裕はございませんけれども、問題を感じておりますが、かりに北からの南への
浸透があるならば、もちろんそのときには
ジュネーブ協定の精神に立って、南から北へ引き上げるということは当然でございますが、同時に
アメリカもまた南
ベトナムから一切の
軍隊、一切の
軍事基地を
撤退する、そして
ベトナム戦争の解決については
ベトナム人の手に返すという、この
ジュネーブ協定の基本的な立場に立つということ以外に解決の方法はないと思うのであります。そのことをホー・チ・ミン氏は私に約束をいたしました。もちろん私はプライベートの立場で会ったのでございますけれども、少なくとも一国の元首がそういうことを言ったということは間違いない、同僚の久保代議士もそばにおりましたから、そのことも間違いでないことはわれわれ両名が聞いておるのであります。
そういう
考え方に対して、
ジュネーブ協定の中身、
ジュネーブ協定の精神、これは
アメリカが署名しなかった、南越の
政府が署名しなかったと申されるのでありましょうけれども、しかし
世界の世論は一九五四年七月の
ジュネーブ協定が解決の一つのめどだ、それが唯一のめどだという
考えに立っています。しかも
アメリカは単独宣言でこの
ジュネーブ協定の精神を尊重するということを申しておるのです。天下に宣言しているのであります。そこのところを大臣はどういうふうにお
考えになっておられるか、私は
日本がうぬぼれてはいかぬと大臣が言われる点についてはもちろん同感であります。しかし何らかの努力をしなければいかぬ、しかも一番近い
アジアの一国であるところの
日本としては、何らかの強い努力をしなければいかぬ、いままでのような
日本政府のやり方では、ただ
アメリカの
考え方に追随しているだけであって、むしろ
アメリカは、
菊池さんもおっしゃったように、盟邦としての
日本のもっと親切な、もっと立ち入った忠告を求めている。
そのことは、私は昨年七月、八月、
アメリカへ参りましたときに、私自身ホワイトハウスにも参りました。またステートデパートメントにも参りました。さらにペンタゴン、国防総省にまで参りまして、大体次官及び次官補の中堅の幹部と話し合いをいたしました。彼らは真剣にどうしたら
ベトナム戦争をやめることができるかということに対して、また私が
北越に参りましたことについての率直な見解を求めておりました。聞こうという姿勢でございました。ある次官補のごときは、私の宿舎まで参りまして、もっと話を聞きたいという
態度でございました。
私は、
日本政府が特使を派遣せられていろいろな
情報を収集せられたその結果については何ら国会に報告されておりません。またその結果についての片りんさえも大臣の国会
答弁の中からうかがうことができません。こういう状態で時がどんどん進んでいく、チャンスを失ってしまう、しかも南
ベトナムにおきましては、あのような強い各階層の人民の動きがある、
アメリカにおいてもジョンソン政策に対して強い批判が出てきておる、これは
アメリカの現在の当面しているところの社会的、経済的、政治的
情勢のしからしめるところではございますけれども、基本的には
アメリカの
ベトナム政策に対して非常な不満が出てきておるということも、これは争えない事実だと思うのでございます。これは一年前の私が参りましたときとはよほど変わってきておるということを感ずるのであります。私は大臣のおっしゃることも全然わからぬじゃございませんが、しかしそういう
態度では、私は
日本の
外務大臣としての職責を全うせられるゆえんではない、こう
考えます。
私は大事な問題についてもっと深く突っ込んで伺いたいのですけれども、約束の時間がまいりましたから、これ以上お尋ねしません。また、私は
アジア、アフリカ、ラテン
アメリカの諸国に対する技術経済協力のあり方についてもきょうはお伺いをいたしたいと思っておりましたが、残念ながら時間がございません。ただもう一度いま私の申し述べましたような点について大臣の御所信を承って、きょうの私の質問は終わりたいと思います。