○帆足
委員 外務大臣の御
説明にもかかわらず、
外務大臣よりもっと深く
アメリカ国内の事情を知っておるフルブライト外交
委員長は、ジュネーブ協定を最初に破壊したのは実は
アメリカ自身であった、そしてゴ・ジン・ジエム首相をそそのかし、ジュネーブ協定に反対させ、途中で混乱が起こってジュネーブ協定の暗殺に手をかしたのも
アメリカの
政府部内の一部であった、こうまでフルブライト外交
委員長が申しておるのでございます。それらのことを勘案いたしますと、
外務大臣の前半の御
説明に私は納得いかないのですけれども、後半のジュネーブ協定の平和の路線に
日本政府は賛成するということを、お
ことばだけでなくて実行において示される方向に前進することを私どもは切に要望する次第でございます。
実は、きょうは、北海道の北において起こりました漁船の問題と、それから上海の沖合いでありました例の漁船の問題につきまして、両方御注意を促したいと思ったのですが、一言だけ申しますと、それは北につきましては私は稚内に参りました。稚内でソビエトの漁船が難破いたしましたときに稚内の病院であらゆる看護をいたしまして、多くのソビエト市民に感謝されたという美談がたくさんございます。また、間宮林蔵があそこから脱出した場所でございますから、南樺太は指呼の間に見えますが、
日本の漁船が潮流に乗せられて悪意なく善意で領海を越えまして、あるいは難破し、その他の事件が起こりまして、大泊、豊原等のソ連の病院で非常に手厚い看護を受けてこちらへ帰ったという美談も多いのでございます。またその間、海上保安庁の皆さんも緩急よろしく事に処して、いろいろ問題が起こりましても、延髄、小脳を興奮させることなく、大脳で冷静に事に処したという例もたくさん聞きました。このたびの事件はそういう美談の中における
一つの遺憾な事件でありまして、ソ連の下級官僚に一種の官僚主義がありまして、船が衝突して数名の人が遭難いたしましたことを責任のがれのために通知しなかったということがあったとするならば、たくさんの美談の中の
一つの遺憾なこととして、やはり厳重にソビエトの注意を促すことが私は適当であると思います。同時に実情をよく調べまして、一小事件であるとするならば、今後を戒めまして、二度とこういうようなことの起こらないように互いに戒心して、しかし言うべきことはやはり言うということがわれわれソ連に対しても中国に対しましても、野党たる社会党の
立場から申しましても、どこの国に対しても自主的に対処せねばならぬ。敷島のやまとの国の野党であり、敷島のやまとの国の与党でありますから、やはり自主性と自尊心は失いたくないものと思っておる次第であります。しかし、こういうトラブルが起きましたときに、他方幾多の美談があるということもよく御勘案くださって、安っぽく興奮することのないように、交渉
委員はビタミンのBとCを十分召し上がって、交渉なさることが外交上必要であろうと思います。
中国沖合いの問題につきましては、船員諸君は非常な優遇を受けて帰ってきた。ただ中国は文章の国であります。同時に教育の国でありますから、その文章、パンフレットを読んで、中国の制度がりっぱになっていることに大いに感激して、それを語って一部にショックを与えたと伝えておりますが、これは中国の出しております文章はたいへんりっぱでありますから、従来思っておった中国と違うということであろうと私は思っております。ただ船長が自殺した問題につきましては、実は私は十三年前にこの漁業の問題で折衝をいたしましたときに、やはり幾つかのスパイ事件が実際にあったのでございます。したがいまして、今次の問題にスパイ事件が関連しているといたしますと、罪なきかよわき船長や一等機関士が死に、そういう特殊の命令を与えるような暗い機関があるとするならば遺憾なことでございますから、そういうことが以後ないように気をつけていただきたいし、また誤解であるとするならば誤解を解くように漁業団体相互の間で今後とも接触が続けられるいい
関係になっておりますから、中国に対しまして特に漁業団体同士で十分に
話し合いをしてもらいたいと思う次第であります。しかしスパイ事件が過去においてあったことは深刻ながら事実であって、(発言する者あり)――私は鯨岡さんにお話をしてもけっこうです。ひた隠しに隠されておりました当時――当時は米軍進駐下でありますから、私はやむを得ず口をつぐんでおりましたけれども、そういうこともありました。したがいまして、こちらもそういう汚点がないとは私は言えないと思っております。あえて
政府の御
答弁を伺って水かけ論をするには、わが
委員会の与えられた時間も短か過ぎますから……。
最後に、横山特使という方が――実は一向御経歴等を存じない方ですが、
政府の特命を受けて
ベトナム問題に対してあっせんにつとめたというふうな
新聞記事を読みました。私は横山さんという方の御経歴も存じません。しかし外務
委員といたしまして、ただ
新聞の端でちょいちょいそれを、まるで辻参謀が南
ベトナムにときどき隠顕された、隠れたり影を見せられたと同じような形で横山特使がうろちょろされたという
記事につきましては、どうも納得いたしかねるものの一人でございます。どういう事情かわかりませんでこういうことを申し上げますことも失礼でございますから、あえて事実を知らない批判は差し控えますけれども、あちらこちらお歩きになって、そして、南
ベトナムの人に接触したとか、どこやらで北
ベトナムの代表に接触したとかというような思わせぶりのことを言われておりますが、発表なさるならばちゃんとしたものを発表なさるし、発表しないなら、沈黙は金なりの格言を守られたほうがよくはあるまいか。
外務大臣と特別の御
関係で、どういう資格でどういうふうな任務を帯びてあちらこちらお歩きになって、どういう報告書を出されたか、ひとつその要点だけでも伺います。まるでさまよえるオランダ人のごとく、あちらこちらを歩かれた大使がおる。しかもその人自身、われわれあまり耳にしたことのない人物であって、学識、教養、学歴、経歴、識見、どういう方であるかということを知らないものですから、無知なる者は不安を感ずる。こういうことで、多少与野党を問わず、この問題にはあまり愉快な思いをしておりません。すなわち、よくわからないものですから、つい不安を
感じておる実情でございます。したがいまして、この際、
外務大臣からひとつその概要だけお伺いいたしたい。きょうの質問は以上で打ち切りますから、ひとつお知らせを願いたい。