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椎名国務大臣 この問題は、事前にすでにタイ、フィリピン、この二国が熱心に——この二国以外にもございましたが、この二国が非常に重要な候補者であったことはわかっておりました。これに対する対策といたしましては、
日本としてはあらゆる機会、あらゆる
外交ルートを通じまして、本店誘致の意思を説き、これに賛意を表するように説得をいたしたのでございます。しかし、結果においてああいうことになりましたが、これは本店も、また総裁も、両方持っていくつもりらしい、出
資金にものをいわして、と言ったか言わないかわからぬけれ
ども、とにかくそういうような宣伝がございまして一しかし、本店はやはり低
開発の
地域に置かるべきものである、こういう主張をいたしまして、
日本に本店を設置することに対抗した運動をした、こういうことが
相当に目立っておったのであります。ついに、きわめて惜しいところで破れた次第でございます。
これは
日本の対
アジア政策というような、そういう基本的な問題に原因があるのではないかどうかというような御
質問と思われますが、私は、そういう点では別に特別に
日本が大国意識を出してひんしゅくを買うというような行動をとったとも思いませんし、やはり
日本といたしましては現在の
アジア政策あるいは
東南アジア政策というのと終始変わらない主張をしてきておるのでございまして、その
政策あるいは主張のためにかような結果を招いたというふうには
考えておりません。
それから、米国とは言わぬが、ブラック前世銀総裁が裏面において
相当工作をしたようであるがその点はどうか、こういうお話でありましたが、
これは、私はちらっとそういう批判を耳にしたことがございますけれ
ども、そう有力な話し方でもなかったと思われるし、また、それに見合うような事実があったというようなことも私は聞いておりません。これは少し思い過ぎではないか。米国を
背景にしてブラック前総裁がどういうことをやろうと、こういったような
東南アジアにとって切実な問題についてそう大きな指導力がここで働くとは私は
考えておりません。